IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社藤井合金製作所の特許一覧 ▶ 大阪瓦斯株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-ガス栓へのフランジ板取付構造 図1
  • 特開-ガス栓へのフランジ板取付構造 図2
  • 特開-ガス栓へのフランジ板取付構造 図3
  • 特開-ガス栓へのフランジ板取付構造 図4
  • 特開-ガス栓へのフランジ板取付構造 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023167749
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】ガス栓へのフランジ板取付構造
(51)【国際特許分類】
   F16L 5/00 20060101AFI20231116BHJP
   F16B 37/08 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
F16L5/00 E
F16B37/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022079180
(22)【出願日】2022-05-13
(71)【出願人】
【識別番号】000151977
【氏名又は名称】株式会社藤井合金製作所
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111257
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 栄二
(74)【代理人】
【識別番号】100110504
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 智裕
(72)【発明者】
【氏名】高田 拓矢
(72)【発明者】
【氏名】木村 充志
(72)【発明者】
【氏名】湯澤 典之
(57)【要約】
【課題】テーパ雄ネジ筒部(42)が、フランジ板(1)の中央孔(10)を介してガス栓(3)のテーパ雌ネジ部(32)に螺合接続するとき、中央孔(10)の周辺が、配管接続部(32)の開放端面(36)と保持部材とで表裏から挟圧保持される形式のガス栓へのフランジ板取付構造に関し、ガス栓(3)の配管接続部(31)にフランジ板(33)を強固に且つ緩むことなく確実に取付け可能とすると共に、ガス栓(3)のテーパ雌ネジ部(32)と継手(41)のテーパ雄ネジ筒部(42)とは最終締付状態に達するまで確実に螺合可能とすること。
【解決手段】保持部材は、略C型形状に形成された弾性を有する金属製薄板からなる保持金具(2)とし、その内径及び肉厚は、内周縁(21)がテーパ雄ネジ筒部(42)の谷部に沿ってネジ係合可能な大きさに設定されていること。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス栓の配管接続部の開放端部に、壁板に固定するためのフランジ板を取り付けるガス栓へのフランジ板取付構造であって、
前記配管接続部には、継手のテーパ雄ネジ筒部が螺合接続可能なテーパ雌ネジ部が設けられ、
前記テーパ雄ネジ筒部には保持部材がネジ係合されており、
前記フランジ板は、前記テーパ雄ネジ筒部が挿通可能な中央孔を有すると共に、前記テーパ雄ネジ筒部が前記中央孔を介して前記テーパ雌ネジ部に螺合接続されたとき、前記中央孔の周辺が、前記配管接続部の開放端面と前記保持部材とで表裏から挟圧保持される形式のガス栓へのフランジ板取付構造において、
前記保持部材は、一部に内周縁から外周縁へ向かって開放する開放部が形成された略C型形状の弾性を有する金属製薄板からなり、
前記内周縁が前記テーパ雄ネジ筒部の谷部に沿ってネジ係合可能となるように、前記保持部材の内径及び肉厚が設定されているガス栓へのフランジ板取付構造。
【請求項2】
請求項1に記載のガス栓へのフランジ板取付構造において、
前記保持部材には、前記内周縁に開放する一つ以上の切欠が設けられているガス栓へのフランジ板取付構造。
【請求項3】
請求項2に記載のガス栓へのフランジ板取付構造において、
前記切欠が複数設けられているとき、各切欠は、前記開放部の中心線に対して対称に位置するように各々配置されているガス栓へのフランジ板取付構造。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載のガス栓へのフランジ板取付構造において、
前記切欠と前記開放部は、前記保持部材の周方向において均等な角度に位置するように配置されているガス栓へのフランジ板取付構造。
【請求項5】
請求項1から請求項3のいずれかに記載のガス栓へのフランジ板取付構造において、
前記フランジ板の裏面の中央孔周辺の所定個所に、前記テーパ雌ネジ部と前記テーパ雄ネジ筒部との螺合時に、前記保持部材の開放部の両側辺の少なくとも一方が周方向に係合可能な係合突起が設けられているガス栓へのフランジ板取付構造。
【請求項6】
請求項4に記載のガス栓へのフランジ板取付構造において、
前記フランジ板の裏面の中央孔周辺の所定個所に、前記テーパ雌ネジ部と前記テーパ雄ネジ筒部との螺合時に、前記保持部材の開放部の両側辺の少なくとも一方が周方向に係合可能な係合突起が設けられているガス栓へのフランジ板取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス栓にフランジ板を取り付ける取付構造、特に、壁板に添設固定させるフランジ板をガス栓の六角筒状の配管接続部に取り付ける取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
壁板(4)内に収容されているガス管としてのフレキ配管(44)が継手(41)を介して接続されるガス栓(3)を壁板(4)の表面に固定するために、ガス栓(3)の六角筒状の配管接続部(31)の開放端部に、金属製のフランジ板(33)が半径方向外側に張り出すように設けられている(図5参照)。
配管接続部(31)にはテーパ雌ネジ部(32)が形成されてあり、継手(41)にはこれに螺合可能なテーパ雄ネジ筒部(42)が設けられている。
【0003】
実開平1-78783号(特許文献1)のフランジ板(33)は円形の中央孔(30)を有する環状板であり、その表面には、中央孔(30)を囲むように六角嵌合部(34)が突設されている。六角嵌合部(34)内に前記六角筒状の配管接続部(31)の開放端部を嵌入させる。他方、継手(41)のテーパ雄ネジ筒部(42)には、フランジ板(33)を裏面側から保持する保持部材としての環状の締付けナット(43)を螺合させておく。
そして、図5に示すように、締付けナット(43)を螺合させたテーパ雄ネジ筒部(42)を、フランジ板(33)の六角嵌合部(34)に嵌入させた配管接続部(31)のテーパ雌ネジ部(32)に螺入し、最終締付状態に達するまで締め付ける。その後、締付けナット(43)を締め付けることにより、フランジ板(33)は、その中央孔(30)の周辺が、配管接続部(31)の開放端面と締付けナット(43)とによって表裏から強固に挟圧保持され、これにより、フランジ板(33)はガス栓(3)の配管接続部(31)の開放端に確実に取り付けられる。
【0004】
上記要領にてガス栓(3)の配管接続部(31)に取り付けられたフランジ板(33)を壁板(4)の表面に添設させると共に、壁板(4)の裏面には、別途用意された取付金具(5)を添設させる。そして、フランジ板(33)に設けられている複数のネジ挿通孔(35)に、取付けネジ(51)を挿通させると共に、取付金具(5)に設けたネジ孔(55)に螺合させて締め付ける。フランジ板(33)と取付金具(5)とで、壁板(4)の開口(40)の周辺が挟圧されることにより、ガス栓(3)は壁板(4)の表面に固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平1-78783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来例のものでは、締付けナット(43)には、テーパ雄ネジ筒部(42)に螺合させるための雌ネジ部を少なくとも1ピッチ以上設ける必要があるため、ある程度の厚みが必要となる。
また、締付けナット(43)のテーパ雄ネジ筒部(42)への螺合度合いは、テーパ雄ネジ筒部(42)の小径先端部に向かって緩くなり、テーパ雄ネジ筒部(42)の大径基端部に向かってきつくなる。これにより、締付けナット(43)をフランジ板(33)の裏面に押圧させる方向に締め付けると、締付けナット(43)はテーパ雄ネジ筒部(42)の小径先端部側へ移動することとなるため、テーパ雄ネジ筒部(42)への螺合度合いが緩くなり、ガス栓(3)の配管接続部(31)へのフランジ板(33)の取付状態をがたつかせてしまうおそれがある。また、テーパ雄ネジ筒部(42)とテーパ雌ネジ部(32)との螺合が進むにつれて、締付けナット(43)はフランジ板(33)に押されてテーパ雄ネジ筒部(42)の大径基端部側へ移動していくが、テーパ雄ネジ筒部(42)とテーパ雌ネジ部(32)とが最終締付状態に達する前に、テーパ雄ネジ筒部(42)の前記大径基端部へ締付けナット(43)を移動できなくなると、テーパ雄ネジ筒部(42)とテーパ雌ネジ部(32)とを最終締付状態に達するまで螺合させることができず、ガス栓(3)と継手(41)とのネジ接続が不十分となるといった不都合がある。
【0007】
本発明はかかる点に鑑みて成されたもので、ガス栓(3)の配管接続部(31)へフランジ板(33)を強固に且つ緩むことなく確実に取付けることができるようにすると共に、ガス栓(3)と継手(41)とは最終締付状態に達するまで確実に螺合させることができる、ガス栓へのフランジ板取付構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する為の本発明の技術的手段は、『ガス栓の配管接続部の開放端部に、壁板に固定するためのフランジ板を取り付けるガス栓へのフランジ板取付構造であって、
前記配管接続部には、継手のテーパ雄ネジ筒部が螺合接続可能なテーパ雌ネジ部が設けられ、
前記テーパ雄ネジ筒部には保持部材がネジ係合されており、
前記フランジ板は、前記テーパ雄ネジ筒部が挿通可能な中央孔を有すると共に、前記テーパ雄ネジ筒部が前記中央孔を介して前記テーパ雌ネジ部に螺合接続されたとき、前記中央孔の周辺が、前記配管接続部の開放端面と前記保持部材とで表裏から挟圧保持される形式のガス栓へのフランジ板取付構造において、
前記保持部材は、一部に内周縁から外周縁へ向かって開放する開放部が形成された略C型形状の弾性を有する金属製薄板からなり、
前記内周縁が前記テーパ雄ネジ筒部の谷部に沿ってネジ係合可能となるように、前記保持部材の内径及び肉厚が設定されている』ことである。
【0009】
上記技術的手段は次のように作用する。
保持部材は、略C型形状に形成された弾性を有する金属製薄板であって、その内周縁が前記テーパ雄ネジ筒部の谷部にネジ係合可能となるようにその内径及び肉厚は設定されているから、前記保持部材を継手のテーパ雄ネジ筒部の小径先端部に軽く嵌め込むと、前記保持部材は、前記開放部に前記テーパ雄ネジ筒部のネジ1ピッチ分の段差を生じさせながら、前記テーパ雄ネジ筒部に螺合していく。
【0010】
前記保持部材を螺合させたテーパ雄ネジ筒部を、フランジ板の中央孔を介して、ガス栓の配管接続部のテーパ雌ネジ部に螺合させる。螺合を進めていくと、フランジ板が配管接続部の開放端面で押されて移動すると共に、保持部材は、前記開放部を拡大させることによりその内径を弾性的に拡径させながら、テーパ雄ネジ筒部の大径基端部側にネジ係合されていく。これにより、ガス栓のテーパ雌ネジ部と継手のテーパ雄ネジ筒部とは最終締付状態に達するまで螺合可能となり、この状態にて、フランジ板の中央孔の周辺は、ガス栓の配管接続部の開放端面と、保持部材とで表裏から挟圧される態様となる。
なお、テーパ雄ネジ筒部に螺合された保持部材は、その弾性力によって谷部に摩擦係合した状態にあるため、不用意に緩むことがない。よって、フランジ板の中央孔の周辺は、ガス栓の配管接続部の開放端面と、保持部材とで表裏から強固に且つ確実に挟圧保持される態様となり、フランジ板は、ガス栓の配管接続部にがたつくことなく確実に取り付けられる。
【0011】
上記ガス栓へのフランジ板取付構造において、好ましくは、『前記保持部材には、前記内周縁に開放する一つ以上の切欠が設けられている』ことである。
保持部材は、金属製薄板を、一部に開放部を有する略C型形状に形成することで、開放部間の距離を拡大させることにより内周縁を拡径可能としたが、前記開放部の他に、一つ以上の切欠を内周縁に開放させておくことで、保持部材の内周縁はより一層拡径させ易いものとなる。言い換えれば、保持部材は、テーパ雄ネジ筒部の大径基端部側へさらに移動し易くなるから、ガス栓のテーパ雌ネジ部と継手のテーパ雄ネジ筒部との螺合を一層スムーズに行え、最終締付状態に達するまで両者を確実に締め付けることができる。
【0012】
なお、『前記切欠が複数設けられているとき、各切欠は、前記開放部の中心線に対して対称に位置するように各々配置されている』ことが望ましい。さらに、『前記切欠と前記開放部は、前記保持部材の周方向において均等な角度に位置するように配置する』ことが望ましい。
こうすることで、略C型形状に形成された保持部材は、一層無理なく且つバランス良く拡径させることができ、テーパ雄ネジ筒部への保持部材の螺合を、より一層スムーズに行うことができる。
【0013】
上記ガス栓へのフランジ板取付構造において、さらに好ましくは、『前記フランジ板の裏面の中央孔周辺の所定個所に、前記テーパ雌ネジ部と前記テーパ雄ネジ筒部との螺合時に、前記保持部材の開放部の両側辺の少なくとも一方が周方向に係合可能な係合突起が設けられている』ことである。
ガス栓の配管接続部のテーパ雌ネジ部と継手のテーパ雄ネジ筒部とを螺合させるとき、略C型形状の保持部材の開放部の両側辺の少なくとも一方を、前記フランジ板の裏面に突設させた係合突起に周方向に係合させることで、ガス栓のテーパ雌ネジ部を継手のテーパ雄ネジ筒部に螺合させると、保持部材を、テーパ雄ネジ筒部の大径基端部側へ向かってスムーズに且つ確実に捻じ込むことができる。よって、テーパ雄ネジ筒部とテーパ雌ネジ部との最終締付状態にて、前記フランジ板は、ガス栓の配管接続部と保持部材によって確実に挟圧固定され、緩むことがない。
【発明の効果】
【0014】
保持部材は、内周縁がテーパ雄ネジ筒部の谷部に沿ってネジ係合可能な略C型形状の弾性を有する金属製薄板とすることで、前記テーパ雄ネジ筒部の小径先端部から大径基端部側へ、内周縁を弾性的に拡径させながら前記谷部に螺合させることができ、この状態にて、保持部材は、テーパ雄ネジ筒部の谷部に摩擦係合することとなるから、保持部材の螺合度合いは緩むことがない。よって、前記フランジ板の中央孔の周辺を、前記配管接続部の開放端面と前記保持部材とで、表裏から確実に挟圧保持することができるから、フランジ板をガス栓の配管接続部にがたつくことなく、強固に且つ確実に取付けることができる。
【0015】
また、保持部材は、内径を弾性的に拡径させながら、テーパ雄ネジ筒部の大径基端部側へ移動可能であるから、テーパ雄ネジ筒部とテーパ雌ネジ部とを最終締付状態に達するまで確実に螺合させることができる。よって、ガス栓と継手との接続が確実となる。
【0016】
さらに、保持部材を具備させたテーパ雄ネジ筒部を、フランジ板を具備させた配管接続部のテーパ雌ネジ部に螺合させるだけで、フランジ板をガス栓の配管接続部に確実に取り付けることが出来るので、ガス栓へのフランジ板の取付作業が容易となる。また、保持部材は、金属製薄板を略C型形状に打ち抜いて形成されてあり、雌ネジ部を設ける必要がないから、保持部材の構造が簡単であり、容易に且つ安価に製造することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本願発明の実施の形態のガス栓へのフランジ板取付構造に採用したフランジ板をガス栓に取り付ける様子を示す分解斜視図である。
図2】本願発明の実施の形態のガス栓へのフランジ板取付構造に採用した保持部材の正面図である。
図3】本願発明の実施の形態のガス栓へのフランジ板取付構造に採用した保持部材を継手のテーパ雄ネジ筒部に螺合させた状態を示す側面図である。
図4】本願発明の実施の形態のガス栓へのフランジ板取付構造の要部拡大断面図である。
図5】従来のガス栓へのフランジ板取付構造の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明を実施するための最良の形態について添付図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の実施の形態のフランジ板(1)を、特定事項の保持部材として採用した略C字状の保持金具(2)を利用して、ガス栓(3)の配管接続部(31)に取り付ける様子を示す分解斜視図である。
【0019】
本実施の形態のフランジ板(1)は、1枚の金属板を、中央孔(10)を有する環状板(11)と、環状板(11)の周縁の相互に対向する2カ所から延設される一対の第1、第2連結帯(12a)(12b)と、第1、第2連結帯(12a)(12b)の各々の先端から両側方へ延設される第1、第2分割片(13a)(13b)とを有する形状に打ち抜く。
【0020】
その後の曲げ加工により、図1に示すように、第1、第2連結帯(12a)(12b)をその基端部で二つ折りにして、環状板(11)の表面に重ねると共に、第1、第2分割片(13a)(13b)を、第1、第2連結帯(12a)(12b)との境界部で直角に折り曲げて、環状板(11)上に起立させ、それぞれ、3等分する2カ所で約120度に折り曲げる。これにより、環状板(11)の表面に、非連続部(14)を介して位置する一対の第1、第2分割片(13a)(13b)からなる六角嵌合部(13)が、中央孔(10)を囲むように突設される。
【0021】
なお、六角嵌合部(13)の底部には、六角嵌合部(13)内に密嵌され且つ中央孔(10)と同径の穴が形成された六角形状の環状パッキン(15)が収容される。また、環状板(11)の裏面には、その周縁に添って、壁板に添設させるための環状の裏パッキン(16)が設けられる。
また、環状板(11)の中央孔(10)に対して対称な位置には、壁板の裏側に位置させる取付金具(図示せず)にネジ止めするための取付けネジ(51)を挿通させるためのネジ挿通孔(17)が貫通している。
【0022】
上記構成の六角嵌合部(13)内に、ガス栓(3)の六角筒状の配管接続部(31)を、非連続部(14)の幅が拡大する方向に、第1、第2分割片(13a)(13b)を弾性変形させながら嵌め込む。これにより、フランジ板(1)はガス栓(3)の配管接続部(31)に仮止めされることとなる。
【0023】
壁板の裏側に配設されるガス配管としてのフレキ配管(44)には、従来のものと同様、継手(41)が接続されている。この継手(41)をフレキ配管(44)と共に、壁板に設けられている開口から室内に引出し、継手(41)のテーパ雄ネジ筒部(42)に保持金具(2)を外嵌させる。なお、ガス栓(3)の配管接続部(31)及びフレキ管(44)の下流端に具備させる継手(41)は、図5に示した従来例と同様のものが採用可能である。
【0024】
保持金具(2)は、図1及び図2に示すように、略C型形状に打ち抜かれた、弾性を有する金属製薄板からなり、周方向の一部に、内周縁(21)から外周縁(22)に至る開放部(20)が形成されていると共に、開放部(20)の中心線に対して対称な位置に、一対の切欠(23)が内周縁(21)に開放するように形成されている。
【0025】
保持金具(2)の肉厚は、図3に示すように、テーパ雄ネジ筒部(42)の谷部(42a)の幅に略一致させてあり、内周縁(21)はテーパ雄ネジ筒部(42)の谷部(42a)に沿ってネジ係合可能な内径に設定されている。これにより、保持金具(2)をテーパ雄ネジ筒部(42)の小径先端部(45)側から谷部(42a)に沿ってネジ係合させると、保持金具(2)は、開放部(20)の両側端縁(20a)(20b)間に、テーパ雄ネジ筒部(42)の雄ネジ1ピッチ分の段差(S)を生じさせながらネジ係合可能となる。谷部(42a)に沿って螺合を進めていくと、保持金具(2)は、開放部(20)の幅を弾性的に拡大させることでその内径を拡径させながら大径基端部(46)に向かって移動可能となる。
【0026】
次に、上記構成の保持金具(2)を用いて、ガス栓(3)の配管接続部(31)にフランジ板(1)を取り付ける取付構造について説明する。
これには、まず、上述したように、環状板(11)の表面に突設させた六角嵌合部(13)内に環状パッキン(15)を収容し、その上から、ガス栓(3)の配管接続部(31)を、六角嵌合部(13)の非連続部(14)を拡大させながら嵌入させる。これにより、ガス栓(3)の配管接続部(31)にフランジ板(1)が仮固定される。
【0027】
他方、継手(41)のテーパ雄ネジ筒部(42)の小径先端部(45)から保持金具(2)を軽く外嵌させ、内周縁(21)を谷部(42a)に沿わせてネジ係合させる。保持金具(2)をネジ係合状態に外嵌させたテーパ雄ネジ筒部(42)を、フランジ板(1)の中央孔(10)を介して、ガス栓(3)の配管接続部(31)のテーパ雌ネジ部(32)に螺合させる。
【0028】
継手(4)のテーパ雄ネジ筒部(42)をガス栓(3)のテーパ雌ネジ部(32)へ螺合させていくにつれて、配管接続部(31)の開放端面(36)でフランジ板(1)が押されることにより、フランジ板(1)は、テーパ雄ネジ筒部(42)の大径基端部(46)に向かって移動していくと同時に、保持金具(2)も開放部(20)を弾性的に拡大させながら、大径基端部(46)へ向かってネジ係合しながら移動していく。
【0029】
継手(41)のテーパ雄ネジ筒部(42)が、ガス栓(3)のテーパ雌ネジ部(31)に対して、最終締付状態に達するまで締付けた締付完了時点にて、図4に示すように、フランジ板(1)の中央孔(10)の周辺が、ガス栓(3)の配管接続部(31)の開放端面(36)と保持金具(2)とで表裏から強固に挟圧保持される。これにより、フランジ板(1)は、ガス栓(3)の配管接続部(31)の開放端部に、不用意にがたつくことなく、確実に固定される。
【0030】
テーパ雄ネジ筒部(42)の大径基端部(46)側に、内径を拡径しながら移動させられた保持金具(2)は、内周縁(21)が、テーパ雄ネジ筒部(42)の谷部(42a)に弾性力によって摩擦係合状態で外嵌した状態にあるため、不用意に緩むことがなく、テーパ雄ネジ筒部(42)に強固に固定される。これにより、ガス栓(3)の配管接続部(31)の開放端面(36)と、保持部材(2)とで、フランジ板(1)の中央孔(10)の周辺を、表裏から強固に挟圧保持することができ、フランジ板(1)を、ガス栓(3)の配管接続部(31)の開放端部に、不用意にがたつくことなく、確実に固定することができる。よって、使用者がガス栓を使用する際に、がたつき等の違和感を感じることなく安心して操作することができる。
【0031】
なお、上記実施の形態で採用した保持金具(2)には、開放部(20)の他に、内周縁(21)にのみ開放する一対の切欠(23)を、開放部(20)の中心線に対して対称な位置に設けているから、開放部(20)を拡大させて、保持金具(2)の内径を拡径させ易く、保持金具(2)は、テーパ雄ネジ筒部(42)の大径基端部(46)側へスムーズに移動させることができる。よって、テーパ雌ネジ部(32)とテーパ雄ネジ筒部(42)とを最終締付状態に達するまで確実に締め付けることができる。
【0032】
また、フランジ板(1)の中央孔(10)の周縁の一部を延設させると共に裏面側へ屈曲させて、係合突起(18)を設けている。ガス栓(3)の配管接続部(31)のテーパ雌ネジ部(32)をテーパ雄ネジ筒部(42)に捻じ込んでいくと、この係合突起(18)が、テーパ雄ネジ筒部(42)に螺合させた保持金具(2)の開放部(20)間に位置して、保持金具(2)の開放部(20)の一方の側端縁(20b)が、フランジ板(1)の裏面に突設させた係合突起(18)に周方向から係合する。これにより、保持金具(2)は確実に且つスムーズにテーパ雄ネジ筒部(42)の大径基端部(46)側へ捻じ込むことができ、最終締付状態にて、フランジ板(1)を裏面から押圧しながら保持することができる。
【0033】
上記実施の形態の保持金具(2)は、テーパ雄ネジ筒部(42)の谷部(42a)の幅に略一致する肉厚の、弾性を有する金属製薄板を略C型形状に打ち抜くだけで製造することができるから、容易に且つ安価に製造することができる。
【0034】
また、保持金具(2)は、継手(41)のテーパ雄ネジ筒部(42)をガス栓(3)のテーパ雌ネジ部(32)に螺合させるだけで、フランジ板(1)をガス栓(3)の配管接続部(31)に確実に取り付けることができるから、ガス栓(3)へのフランジ板(1)の取付作業が容易となる。
【符号の説明】
【0035】
(1) ・・・・・・・フランジ板
(2) ・・・・・・・保持金具(保持部材)
(3) ・・・・・・・ガス栓
(10)・・・・・・・中央孔
(21)・・・・・・・内周縁
(31)・・・・・・・配管接続部
(32)・・・・・・・テーパ雌ネジ部
(36)・・・・・・・開放端面
(41)・・・・・・・継手
(42)・・・・・・・テーパ雄ネジ筒部
図1
図2
図3
図4
図5