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特開2023-167755情報処理装置、情報処理方法、車両制御装置、及び、情報処理端末
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023167755
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、車両制御装置、及び、情報処理端末
(51)【国際特許分類】
   B60R 25/24 20130101AFI20231116BHJP
   G06F 21/33 20130101ALI20231116BHJP
   G06F 21/62 20130101ALI20231116BHJP
   E05B 49/00 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
B60R25/24
G06F21/33
G06F21/62
E05B49/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022079196
(22)【出願日】2022-05-13
(71)【出願人】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121131
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082131
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 義雄
(74)【代理人】
【識別番号】100168686
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 勇介
(72)【発明者】
【氏名】藤野 真聡
(72)【発明者】
【氏名】関 康治
【テーマコード(参考)】
2E250
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250BB08
2E250DD06
2E250FF25
2E250FF27
2E250FF36
2E250GG06
2E250HH01
2E250JJ03
(57)【要約】
【課題】車両の使用範囲を容易かつ柔軟に設定する。
【解決手段】情報処理装置は、車両を使用するためのデジタルキーを生成するキー管理部と、前記車両の使用範囲を示す使用ルールを前記デジタルキーに対して設定する使用ルール管理部と、前記車両、及び、前記デジタルキーを使用する情報処理端末のうち少なくとも一方に前記デジタルキーを送信し、前記車両及び前記情報処理端末のうち少なくとも一方に前記使用ルールを示す使用ルール情報を送信する通信部とを備える。本技術は、例えば、車両のデジタルキーを管理するサーバに適用できる。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を使用するためのデジタルキーを生成するキー管理部と、
前記車両の使用範囲を示す使用ルールを前記デジタルキーに対して設定する使用ルール管理部と、
前記車両、及び、前記デジタルキーを使用する情報処理端末のうち少なくとも一方に前記デジタルキーを送信し、前記車両及び前記情報処理端末のうち少なくとも一方に前記使用ルールを示す使用ルール情報を送信する通信部と
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記使用ルール管理部は、第1のユーザに対して割り当てられたロールに対して設定されている前記使用ルールを、前記第1のユーザに付与する前記デジタルキーに対して設定する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記使用ルール管理部は、オーナ格の前記ロールが割り当てられている第2のユーザからの要求に応じて、前記ロールに対応付ける前記使用ルールを設定する
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記使用ルールは、前記車両の機能的な使用範囲、前記車両の時間的な使用範囲、及び、前記車両の空間的な使用範囲のうち少なくとも1つを示す
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記車両の機能的な使用範囲は、施解錠を許可する前記車両のドアの範囲、前記車両の運転機能の使用範囲、前記車両のHMI(Human Machine Interface)の機能の使用範囲、前記車両においてアクセス可能なコンテンツの範囲、前記車両のメインテナンス機能の使用範囲、及び、前記車両の運転状況の公開範囲のうち少なくとも1つを含む
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記車両の時間的な使用範囲は、前記車両を使用可能な期間を含む
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記車両の空間的な使用範囲は、前記車両が移動可能な範囲を含む
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記使用ルール管理部は、ユーザからの要求に応じて、前記使用ルールの内容を設定する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記通信部は、前記デジタルキーを前記情報処理端末に送信し、前記使用ルール情報を前記車両に送信する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記通信部は、前記使用ルール情報を前記情報処理端末にさらに送信する
請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記キー管理部は、前記デジタルキーの認証に用いる認証情報を含むペアキーを生成し、
前記通信部は、前記ペアキーを前記車両に送信する
請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項12】
情報処理装置が、
車両を使用するためのデジタルキーを生成し、
前記車両の使用範囲を示す使用ルールを前記デジタルキーに対して設定し、
前記車両、及び、前記デジタルキーを使用する情報処理端末のうち少なくとも一方に前記デジタルキーを送信し、前記車両及び前記情報処理端末のうち少なくとも一方に前記使用ルールを示す使用ルール情報を送信する
情報処理方法。
【請求項13】
情報処理端末から受信したデジタルキーに対して、前記デジタルキーを生成した情報処理装置により設定された使用ルールに基づいて、車両の使用範囲を制御するキー管理部を
備える車両制御装置。
【請求項14】
前記キー管理部は、前記デジタルキーの認証に用いる認証情報を含み、前記情報処理装置により生成されたペアキーに基づいて、前記デジタルキーの認証を行い、前記デジタルキーの認証に成功した場合、前記デジタルキーに対して設定されている前記使用ルールに基づいて、前記車両の使用範囲を制御する
請求項13に記載の車両制御装置。
【請求項15】
前記キー管理部は、前記使用ルールを示す使用ルール情報を前記情報処理装置から受信する
請求項13に記載の車両制御装置。
【請求項16】
前記使用ルールは、前記車両の機能的な使用範囲、前記車両の時間的な使用範囲、及び、前記車両の空間的な使用範囲のうち少なくとも1つを示す
請求項13に記載の車両制御装置。
【請求項17】
前記車両の機能的な使用範囲は、施解錠を許可する前記車両のドアの範囲、前記車両の運転機能の使用範囲、前記車両のHMIの機能の使用範囲、前記車両においてアクセス可能なコンテンツの範囲、前記車両のメインテナンス機能の使用範囲、及び、前記車両の運転状況の公開範囲のうち少なくとも1つを含む
請求項16に記載の車両制御装置。
【請求項18】
前記車両の時間的な使用範囲は、前記車両を使用可能な期間を含む
請求項16に記載の車両制御装置。
【請求項19】
前記車両の空間的な使用範囲は、前記車両が移動可能な範囲を含む
請求項16に記載の車両制御装置。
【請求項20】
車両の使用範囲を示す使用ルールが設定されたデジタルキーを情報処理装置から取得するキー管理部と、
前記車両を使用する場合に、前記デジタルキーを前記車両に送信する通信部と
を備える情報処理端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、情報処理装置、情報処理方法、車両制御装置、及び、情報処理端末に関し、特に、車両の使用範囲を容易かつ柔軟に設定できるようにした情報処理装置、情報処理方法、車両制御装置、及び、情報処理端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンテンツ提供装置を搭載した車両の鍵情報をユーザの携帯端末に配信する場合、鍵情報に対して、車両の施解錠及びコンテンツ提供装置を利用可能状態とすることは可能だが、車両を走行可能状態とすることは不可能となる機能制限情報を付加することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-104324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の発明では、車両の走行が全て制限されるため、利便性が低下する。
【0005】
本技術は、このような状況に鑑みてなされたものであり、車両の使用範囲を容易かつ柔軟に設定できるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本技術の第1の側面の情報処理装置は、車両を使用するためのデジタルキーを生成するキー管理部と、前記車両の使用範囲を示す使用ルールを前記デジタルキーに対して設定する使用ルール管理部と、前記車両、及び、前記デジタルキーを使用する情報処理端末のうち少なくとも一方に前記デジタルキーを送信し、前記車両及び前記情報処理端末のうち少なくとも一方に前記使用ルールを示す使用ルール情報を送信する通信部とを備える。
【0007】
本技術の第1の側面の情報処理方法は、情報処理装置が、車両を使用するためのデジタルキーを生成し、前記車両の使用範囲を示す使用ルールを前記デジタルキーに対して設定し、前記車両、及び、前記デジタルキーを使用する情報処理端末のうち少なくとも一方に前記デジタルキーを送信し、前記車両及び前記情報処理端末のうち少なくとも一方に前記使用ルールを示す使用ルール情報を送信する。
【0008】
本技術の第2の側面の車両制御装置は、情報処理端末から受信したデジタルキーに対して、前記デジタルキーを生成した情報処理装置により設定された使用ルールに基づいて、車両の使用範囲を制御するキー管理部を備える。
【0009】
本技術の第3の側面の情報処理端末は、車両の使用範囲を示す使用ルールが設定されたデジタルキーを情報処理装置から取得するキー管理部と、前記車両を使用する場合に、前記デジタルキーを前記車両に送信する通信部とを備える。
【0010】
本技術の第1の側面においては、車両を使用するためのデジタルキーが生成され、前記車両の使用範囲を示す使用ルールが前記デジタルキーに対して設定され、前記車両、及び、前記デジタルキーを使用する情報処理端末のうち少なくとも一方に前記デジタルキーが送信され、前記車両及び前記情報処理端末のうち少なくとも一方に前記使用ルールを示す使用ルール情報が送信される。
【0011】
本技術の第2の側面においては、情報処理端末から受信したデジタルキーに対して、前記デジタルキーを生成した情報処理装置により設定された使用ルールに基づいて、車両の使用範囲が制御される。
【0012】
本技術の第3の側面においては、車両の使用範囲を示す使用ルールが設定されたデジタルキーが情報処理装置から取得され、前記車両を使用する場合に、前記デジタルキーを前記車両に送信する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本技術を適用した情報処理システムの一実施の形態を示すブロック図である。
図2】クラウドシステムの構成例、及び、車両とモバイルデバイスの間のインタフェースの例を示す図である。
図3】クラウドシステムの構成例を示すブロック図である。
図4】車両制御システムの構成例を示すブロック図である。
図5】モバイルデバイスの構成例を示すブロック図である。
図6】情報処理システムのユーザの種類の例を示す図である。
図7】ユーザアカウント、ロール、及び、使用ルールの関係を示す図である。
図8】シェアキー生成処理を説明するためのフローチャートである。
図9】デジタルキーの一覧画面の例を示す図である。
図10】デジタルキーが存在しない場合のデジタルキーの一覧画面の例を示す図である。
図11】デジタルキーのリセット画面の例を示す図である。
図12】シェアキーのキーモードの設定画面の例を示す図である。
図13】シェアキーの有効期間の設定画面の例を示す図である。
図14】シェアキーの生成画面の例を示す図である。
図15】シェアキー提供画面の例を示す図である。
図16】未登録のペアキー及び使用ルールを車両に登録する処理を説明するためのシーケンス図である。
図17】運転席のドアハンドルの解錠処理を説明するためのシーケンス図である。
図18】トランクの解錠処理を説明するためのシーケンス図である。
図19】コンピュータの構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本技術を実施するための形態について説明する。説明は以下の順序で行う。
1.実施の形態
2.変形例
3.その他
【0015】
<<1.実施の形態>>
図1乃至図18を参照して、本技術の実施の形態について説明する。
【0016】
<情報処理システム1の構成例>
図1は、本技術を適用した情報処理システム1の一実施の形態を示している。
【0017】
情報処理システム1は、車両12を使用するためのデジタルキーの管理等を行うシステムである。図1は、情報処理システム1の構成例を模式的に示している。
【0018】
情報処理システム1は、クラウドシステム11、車両12、モバイルデバイス13、及び、FOB14を備える。
【0019】
なお、この図では、説明を簡単にするために、車両12、モバイルデバイス13、及び、FOB14を1つずつ示しているが、実際には、車両12、モバイルデバイス13、及び、FOB14は、それぞれ複数設けられる。
【0020】
また、車両12とモバイルデバイス13は必ずしも一対一の関係ではなく、1台の車両12に対して複数のモバイルデバイス13を設けることも可能である。すなわち、複数のモバイルデバイス13をそれぞれ用いて、1台の車両12を使用できるようにすることが可能である。同様に、車両12とFOB14は必ずしも一対一の関係ではなく、1台の車両12に対して複数のFOB14を設けることも可能である。すなわち、複数のFOB14をそれぞれ用いて、1台の車両12を使用できるようにすることが可能である。また、逆に、1台のモバイルデバイス13を用いて、複数の車両12をそれぞれ使用できるようにすることが可能である。
【0021】
クラウドシステム11は、車両12を使用するためのデジタルキー、及び、デジタルキーと対になるペアキーを生成する。ペアキーは、例えば、車両12においてデジタルキーを認証するための認証情報を含む。また、クラウドシステム11は、デジタルキーにより車両12を使用可能な範囲を示す使用ルール(Usage Rule)を生成し、デジタルキー及びペアキーに対して使用ルールを設定する。クラウドシステム11は、車両12、ユーザ(アカウント)、デジタルキー、及び、使用ルールの関係を管理する。
【0022】
クラウドシステム11は、デジタルキー、及び、使用ルールを示す情報(以下、使用ルール情報と称する)をモバイルデバイス13に送信する。クラウドシステム11は、ペアキー及び使用ルール情報を車両12に送信する。
【0023】
車両12は、クラウドシステム11から受信したペアキー及び使用ルール情報を記憶し、ペアキー及び使用ルールの関係を管理する。車両12は、ペアキーに基づいて、モバイルデバイス13又はFOB14から送信されるデジタルキーの認証処理を実行する。車両12は、デジタルキーの認証が成功した場合、デジタルキー(に対応するペアキー)に対して設定されている使用ルールに基づいて、車両12の使用範囲を制御する。
【0024】
モバイルデバイス13は、例えば、スマートフォン等のユーザが携帯可能な情報処理端末により構成される。モバイルデバイス13は、クラウドシステム11から受信したデジタルキー及び使用ルール情報を記憶し、デジタルキー及び使用ルールの関係を管理する。例えば、ユーザは、モバイルデバイス13を用いてデジタルキーを車両12に送信し、デジタルキーの認証が成功した場合、デジタルキーに対して設定されている使用ルールに基づく使用範囲内で車両12を使用することができる。
【0025】
FOB14は、車両12専用のデバイスであり、予めデジタルキーを保持している。例えば、ユーザは、FOB13を用いてデジタルキーを車両12に送信し、デジタルキーの認証が成功した場合、デジタルキーに対して設定されている使用ルールに基づいて、車両12を制限なく使用することができる。
【0026】
図2は、情報処理システム1の構成例を図1より詳細に示している。特に、図2は、クラウドシステム11の構成例、及び、車両12とモバイルデバイス13のインタフェースの構成例を示している。
【0027】
モバイルデバイス13は、例えば、オーナデバイス13A及びゲストデバイス13Bに分かれる。
【0028】
オーナデバイス13Aは、例えば、車両12のオーナ等の車両12を日常的又は定期的に使用したり、車両12を管理したりするユーザが使用するモバイルデバイスである。
【0029】
ゲストデバイス13Bは、例えば、車両12を一時的に使用するユーザが使用するモバイルデバイスである。
【0030】
なお、以下、オーナデバイス13A及びゲストデバイス13Bを個々に区別する必要がない場合、単に、モバイルデバイス13と称する。
【0031】
クラウドシステム11は、クラウドサーバ31及びキートラッキングサーバ32を備える。
【0032】
クラウドサーバ31は、車両12及びユーザに関する情報を管理するサーバである。クラウドサーバ31は、車両12及びモバイルデバイス13と、直接通信を行う。
【0033】
キートラッキングサーバ32は、デジタルキー、ペアキー、及び、使用ルールを生成及び管理するサーバである。
【0034】
車両12は、例えば、ドアNFC(Near Field Communication)リーダ51、コンソールNFCリーダ52、BLE(Bluetooth Low Energy)モジュール53、及び、UWB(Ultra-Wide Band)モジュール54を備える。
【0035】
ドアNFCリーダ51は、例えば、車両12の各ドアに設けられる。
【0036】
コンソールNFCリーダ52は、例えば、車両12の室内のコンソールに設けられる。
【0037】
モバイルデバイス13は、例えば、NFCモジュール71、BLEモジュール72、及び、UWBモジュール73を備える。
【0038】
NFCモジュール71は、ドアNFCリーダ51及びコンソールNFCリーダ52と通信可能である。
【0039】
例えば、NFCモジュール71は、車両12のドアを解錠するためにモバイルデバイス13を近接させた場合に、ドア付近に設けられたドアNFCリーダ51と通信を行うことにより、デジタルキーを車両12に送信する。そして、デジタルキーの認証が成功し、デジタルキーに対して設定されている使用ルールによりドアの解錠が許可されている場合、ドアが解錠される。
【0040】
例えば、NFCモジュール71は、車両12を起動するためにモバイルデバイス13をコンソールに近接させた場合に、コンソール付近に設けられたドアNFCリーダ51と通信を行うことにより、デジタルキーを車両12に送信する。そして、デジタルキーの認証が成功した場合、デジタルキーに対して設定されている使用ルールに基づいて、車両12が起動されるとともに、設定されている使用範囲内で車両12が使用可能になる。
【0041】
BLEモジュール72は、例えば、車両12のBLEモジュール53と通信を行うことにより、デジタルキーを車両12に送信する。そして、デジタルキーの認証が成功した場合、デジタルキーに対して設定されている使用ルールに基づいて、設定された使用範囲内で車両12が使用可能になる。
【0042】
UWBモジュール73は、例えば、車両12のUWBモジュール54と通信を行うことにより、デジタルキーを車両12に送信する。そして、デジタルキーの認証が成功した場合、デジタルキーに対して設定されている使用ルールに基づいて、設定された使用範囲内で車両12が使用可能になる。
【0043】
<クラウドシステム11の構成例>
図3は、図1のクラウドシステム11の構成例を示している。
【0044】
クラウドシステム11は、アカウント管理部101、車両管理部102、キー管理部103、使用ルール管理部104、及び、通信部105を備える。アカウント管理部101及び車両管理部102は、例えば、クラウドサーバ31により実現される。キー管理部103及び使用ルール管理部104は、例えば、キートラッキングサーバ32により実現される。通信部105は、例えば、クラウドサーバ31又は他のサーバにより実現される。
【0045】
アカウント管理部101は、各ユーザのアカウントを管理する。例えば、アカウント管理部101は、各ユーザのアカウントの生成、更新、及び、削除、並びに、各ユーザアカウントに含まれるユーザ情報の生成、更新、及び、削除等を行う。
【0046】
車両管理部102は、各車両12に関する情報を管理する。
【0047】
キー管理部103は、デジタルキーの管理を行う。例えば、キー管理部103は、デジタルキー、及び、デジタルキーと対になるペアキーの生成、保持、及び、削除等を行う。例えば、キー管理部103は、デジタルキーの生成及び管理等を行うためのウエブサイトをモバイルデバイス13に対して提供する。
【0048】
使用ルール管理部104は、使用ルールの管理を行う。例えば、使用ルール管理部104は、使用ルールの生成及び変更、並びに、生成又は変更した使用ルールを示す使用ルール情報の生成、更新、及び、削除等を行う。
【0049】
アカウント管理部101、車両管理部102、キー管理部103、及び、使用ルール管理部104は、ユーザアカウント、車両12、デジタルキー、ペアキー、及び、使用ルールを互いに関連付けて管理する。この管理は、アカウント管理部101、車両管理部102、キー管理部103、及び、使用ルール管理部104が協調して実行してもよいし、それらの一部が実行してもよい。
【0050】
通信部105は、車両12、モバイルデバイス13、及び、FOB14と通信を行う。例えば、通信部105は、デジタルキー及び使用ルール情報をモバイルデバイス13に送信する。例えば、通信部105は、ペアキー及び使用ルール情報等を各車両12に送信する。
【0051】
<車両制御システム201の構成例>
図4は、図1の車両12に設けられる車両制御システム201の構成例を示すブロック図である。
【0052】
車両制御システム201は、車両12の走行支援及び自動運転に関わる処理を行う。
【0053】
車両制御システム201は、車両制御ECU(Electronic Control Unit)21、通信部212、地図情報取得部213、位置情報取得部214、外部認識センサ215、記憶部216、キー管理部217、HMI(Human Machine Interface)218、走行支援・自動運転制御部219、及び、車両制御部220を備える。
【0054】
車両制御ECU211、通信部212、地図情報取得部213、位置情報取得部214、外部認識センサ215、記憶部216、走行支援・自動運転制御部219、ヒューマンマシーンインタフェース(HMI)218、及び、車両制御部220は、通信ネットワークNWを介して相互に通信可能に接続されている。通信ネットワークNWは、例えば、CAN(Controller Area Network)、LIN(Local Interconnect Network)、LAN(Local Area Network)、FlexRay(登録商標)、イーサネット(登録商標)といったデジタル双方向通信の規格に準拠した車載通信ネットワークやバス等により構成される。通信ネットワークNWは、伝送されるデータの種類によって使い分けられてもよい。例えば、車両制御に関するデータに対してCANが適用され、大容量データに対してイーサネットが適用されるようにしてもよい。なお、車両制御システム201の各部は、通信ネットワークNWを介さずに、例えば近距離無線通信(NFC)やBluetooth(登録商標)といった比較的近距離での通信を想定した無線通信を用いて直接的に接続される場合もある。
【0055】
なお、以下、車両制御システム201の各部が、通信ネットワークNWを介して通信を行う場合、通信ネットワークNWの記載を省略するものとする。例えば、車両制御ECU211と通信部212が通信ネットワークNWを介して通信を行う場合、単に車両制御ECU211と通信部212とが通信を行うと記載する。
【0056】
車両制御ECU211は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)といった各種のプロセッサにより構成される。車両制御ECU211は、車両制御システム201全体又は一部の機能の制御を行う。
【0057】
通信部212は、車内及び車外の様々な機器、他の車両、サーバ、基地局等と通信を行い、各種のデータの送受信を行う。このとき、通信部212は、複数の通信方式を用いて通信を行うことができる。例えば、通信部212は、図2のドアNFCリーダ51、コンソールNFCリーダ52、BLEモジュール53、及び、UWBモジュール54を備える。
【0058】
通信部212が実行可能な車外との通信について、概略的に説明する。通信部212は、例えば、5G(第5世代移動通信システム)、LTE(Long Term Evolution)、DSRC(Dedicated Short Range Communications)等の無線通信方式により、基地局又はアクセスポイントを介して、外部ネットワーク上に存在するサーバ(以下、外部のサーバと呼ぶ)等と通信を行う。通信部212が通信を行う外部ネットワークは、例えば、インターネット、クラウドネットワーク、又は、事業者固有のネットワーク等である。通信部212が外部ネットワークに対して行う通信方式は、所定以上の通信速度、且つ、所定以上の距離間でデジタル双方向通信が可能な無線通信方式であれば、特に限定されない。
【0059】
また例えば、通信部212は、P2P(Peer To Peer)技術を用いて、自車の近傍に存在する端末と通信を行うことができる。自車の近傍に存在する端末は、例えば、歩行者や自転車等の比較的低速で移動する移動体が装着する端末、店舗等に位置が固定されて設置される端末、又は、MTC(Machine Type Communication)端末である。さらに、通信部212は、V2X通信を行うこともできる。V2X通信とは、例えば、他の車両との間の車車間(Vehicle to Vehicle)通信、路側器等との間の路車間(Vehicle to Infrastructure)通信、家との間(Vehicle to Home)の通信、及び、歩行者が所持する端末等との間の歩車間(Vehicle to Pedestrian)通信等の、自車と他との通信をいう。
【0060】
通信部212は、例えば、車両制御システム201の動作を制御するソフトウエアを更新するためのプログラムを外部から受信することができる(Over The Air)。通信部212は、さらに、地図情報、交通情報、車両12の周囲の情報等を外部から受信することができる。また例えば、通信部212は、車両12に関する情報や、車両12の周囲の情報等を外部に送信することができる。通信部212が外部に送信する車両12に関する情報としては、例えば、車両12の状態を示すデータ、分析部241による認識結果等がある。さらに例えば、通信部212は、eコール等の車両緊急通報システムに対応した通信を行う。
【0061】
例えば、通信部212は、電波ビーコン、光ビーコン、FM多重放送等の道路交通情報通信システム(VICS(Vehicle Information and Communication System)(登録商標))により送信される電磁波を受信する。
【0062】
通信部212が実行可能な車内との通信について、概略的に説明する。通信部212は、例えば無線通信を用いて、車内の各機器と通信を行うことができる。通信部212は、例えば、無線LAN、Bluetooth、NFC、WUSB(Wireless USB)といった、無線通信により所定以上の通信速度でデジタル双方向通信が可能な通信方式により、車内の機器と無線通信を行うことができる。これに限らず、通信部212は、有線通信を用いて車内の各機器と通信を行うこともできる。例えば、通信部212は、図示しない接続端子に接続されるケーブルを介した有線通信により、車内の各機器と通信を行うことができる。通信部212は、例えば、USB(Universal Serial Bus)、HDMI(High-Definition Multimedia Interface)(登録商標)、MHL(Mobile High-definition Link)といった、有線通信により所定以上の通信速度でデジタル双方向通信が可能な通信方式により、車内の各機器と通信を行うことができる。
【0063】
ここで、車内の機器とは、例えば、車内において通信ネットワークNWに接続されていない機器を指す。車内の機器としては、例えば、運転者等の搭乗者が所持するモバイル機器やウェアラブル機器、車内に持ち込まれ一時的に設置される情報機器等が想定される。
【0064】
地図情報取得部213は、外部から提供される地図及び車両12で作成した地図の一方又は両方を蓄積する。例えば、地図情報取得部213は、3次元の高精度地図、高精度地図より精度が低く、広いエリアをカバーするグローバルマップ等を蓄積する。
【0065】
高精度地図は、例えば、ダイナミックマップ、ポイントクラウドマップ、ベクターマップ等である。ダイナミックマップは、例えば、動的情報、準動的情報、準静的情報、静的情報の4層からなる地図であり、外部のサーバ等から車両12に提供される。ポイントクラウドマップは、ポイントクラウド(点群データ)により構成される地図である。ベクターマップは、例えば、車線や信号機の位置といった交通情報等をポイントクラウドマップに対応付け、ADAS(Advanced Driver Assistance System)やAD(Autonomous Driving)に適合させた地図である。
【0066】
ポイントクラウドマップ及びベクターマップは、例えば、外部のサーバ等から提供されてもよいし、カメラ231、レーダ232、LiDAR233等によるセンシング結果に基づいて、後述するローカルマップとのマッチングを行うための地図として車両12で作成され、地図情報取得部213に蓄積されてもよい。また、外部のサーバ等から高精度地図が提供される場合、通信容量を削減するため、車両12がこれから走行する計画経路に関する、例えば数百メートル四方の地図データが外部のサーバ等から取得される。
【0067】
位置情報取得部214は、GNSS(Global Navigation Satellite System)衛星からGNSS信号を受信し、車両12の位置情報を取得する。取得した位置情報は、走行支援・自動運転制御部219に供給される。なお、位置情報取得部214は、GNSS信号を用いた方式に限定されず、例えば、ビーコンを用いて位置情報を取得してもよい。
【0068】
外部認識センサ215は、車両12の外部の状況の認識に用いられる各種のセンサを備え、各センサからのセンサデータを車両制御システム201の各部に供給する。外部認識センサ215が備えるセンサの種類や数は任意である。
【0069】
例えば、外部認識センサ215は、カメラ231、レーダ232、LiDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)233、及び、超音波センサ234を備える。これに限らず、外部認識センサ215は、カメラ231、レーダ232、LiDAR233、及び、超音波センサ234のうち1種類以上のセンサを備える構成でもよい。カメラ231、レーダ232、LiDAR233、及び、超音波センサ234の数は、現実的に車両12に設置可能な数であれば特に限定されない。また、外部認識センサ215が備えるセンサの種類は、この例に限定されず、外部認識センサ215は、他の種類のセンサを備えてもよい。外部認識センサ215が備える各センサのセンシング領域の例は、後述する。
【0070】
なお、カメラ231の撮影方式は、特に限定されない。例えば、測距が可能な撮影方式であるToF(Time Of Flight)カメラ、ステレオカメラ、単眼カメラ、赤外線カメラといった各種の撮影方式のカメラを、必要に応じてカメラ231に適用することができる。これに限らず、カメラ231は、測距に関わらずに、単に撮影画像を取得するためのものであってもよい。
【0071】
また、例えば、外部認識センサ215は、車両12に対する環境を検出するための環境センサを備えることができる。環境センサは、天候、気象、明るさ等の環境を検出するためのセンサであって、例えば、雨滴センサ、霧センサ、日照センサ、雪センサ、照度センサ等の各種センサを含むことができる。
【0072】
さらに、例えば、外部認識センサ215は、車両12の周囲の音や音源の位置の検出等に用いられるマイクロフォンを備える。
【0073】
記憶部216は、不揮発性の記憶媒体及び揮発性の記憶媒体のうち少なくとも一方を含み、データやプログラムを記憶する。記憶部216は、例えばEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)として用いられ、記憶媒体としては、HDD(Hard Disc Drive)といった磁気記憶デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス、及び、光磁気記憶デバイスを適用することができる。記憶部216は、車両制御システム201の各部が用いる各種プログラムやデータを記憶する。例えば、記憶部216は、EDR(Event Data Recorder)やDSSAD(Data Storage System for Automated Driving)を備え、事故等のイベントの前後の車両12の情報や、車内の情報を検出するための各種のセンサによって取得された情報を記憶する。
【0074】
記憶部216は、クラウドシステム11から受信したペアキー及び使用ルール情報を関連付けて記憶する。なお、記憶部218は、複数のデジタルキーに対応するペアキー及び使用ルール情報をクラウドシステム11から受信した場合、複数のペアキー及び使用ルール情報のペアをそれぞれ記憶する。
【0075】
キー管理部217は、デジタルキーの管理及びデジタルキーによる車両12の使用範囲の制御を行う。例えば、キー管理部217は、モバイルデバイス13からデジタルキーを受信した場合、受信したデジタルキーとペアになるペアキーを記憶部218から取得し、デジタルキーの認証処理を実行する。キー管理部217は、デジタルキーの認証に成功した場合、ペアキーに関連付けられている使用ルール情報を記憶部218から取得し、使用ルール情報に基づいて、車両12の使用範囲を制御する。
【0076】
HMI218は、各種のデータや指示等の入力と、各種のデータの運転者等への提示を行う。
【0077】
HMI218によるデータの入力について、概略的に説明する。HMI218は、人がデータを入力するための入力デバイスを備える。HMI218は、入力デバイスにより入力されたデータや指示等に基づいて入力信号を生成し、車両制御システム201の各部に供給する。HMI218は、入力デバイスとして、例えばタッチパネル、ボタン、スイッチ、及び、レバーといった操作子を備える。これに限らず、HMI218は、音声やジェスチャ等により手動操作以外の方法で情報を入力可能な入力デバイスをさらに備えてもよい。さらに、HMI218は、例えば、赤外線又は電波を利用したリモートコントロール装置や、車両制御システム201の操作に対応したモバイル機器又はウェアラブル機器等の外部接続機器を入力デバイスとして用いてもよい。
【0078】
HMI218によるデータの提示について、概略的に説明する。HMI218は、搭乗者又は車外に対する視覚情報、聴覚情報、及び、触覚情報の生成を行う。また、HMI218は、生成された各情報の出力、出力内容、出力タイミング及び出力方法等を制御する出力制御を行う。HMI218は、視覚情報として、例えば、操作画面、車両12の状態表示、警告表示、車両12の周囲の状況を示すモニタ画像等の画像や光により示される情報を生成及び出力する。また、HMI218は、聴覚情報として、例えば、音声ガイダンス、警告音、警告メッセージ等の音により示される情報を生成及び出力する。さらに、HMI218は、触覚情報として、例えば、力、振動、動き等により搭乗者の触覚に与えられる情報を生成及び出力する。
【0079】
HMI218が視覚情報を出力する出力デバイスとしては、例えば、自身が画像を表示することで視覚情報を提示する表示装置や、画像を投影することで視覚情報を提示するプロジェクタ装置を適用することができる。なお、表示装置は、通常のディスプレイを有する表示装置以外にも、例えば、ヘッドアップディスプレイ、透過型ディスプレイ、AR(Augmented Reality)機能を備えるウエアラブルデバイスといった、搭乗者の視界内に視覚情報を表示する装置であってもよい。また、HMI218は、車両12に設けられるナビゲーション装置、インストルメントパネル、CMS(Camera Monitoring System)、電子ミラー、ランプ等が有する表示デバイスを、視覚情報を出力する出力デバイスとして用いることも可能である。
【0080】
HMI218が聴覚情報を出力する出力デバイスとしては、例えば、オーディオスピーカ、ヘッドホン、イヤホンを適用することができる。
【0081】
HMI218が触覚情報を出力する出力デバイスとしては、例えば、ハプティクス技術を用いたハプティクス素子を適用することができる。ハプティクス素子は、例えば、ステアリングホイール、シートといった、車両12の搭乗者が接触する部分に設けられる。
【0082】
走行支援・自動運転制御部219は、車両12の走行支援及び自動運転の制御を行う。例えば、走行支援・自動運転制御部219は、分析部241、行動計画部242、及び、動作制御部243を備える。
【0083】
分析部241は、車両12及び周囲の状況の分析処理を行う。
【0084】
例えば、分析部241は、外部認識センサ215からのセンサデータ、及び、地図情報取得部213に蓄積されている高精度地図に基づいて、車両12の自己位置を推定する。例えば、分析部241は、外部認識センサ215からのセンサデータに基づいてローカルマップを生成し、ローカルマップと高精度地図とのマッチングを行うことにより、車両12の自己位置を推定する。車両12の位置は、例えば、後輪対車軸の中心が基準とされる。
【0085】
ローカルマップは、例えば、SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)等の技術を用いて作成される3次元の高精度地図、占有格子地図(Occupancy Grid Map)等である。3次元の高精度地図は、例えば、上述したポイントクラウドマップ等である。占有格子地図は、車両12の周囲の3次元又は2次元の空間を所定の大きさのグリッド(格子)に分割し、グリッド単位で物体の占有状態を示す地図である。物体の占有状態は、例えば、物体の有無や存在確率により示される。ローカルマップは、例えば、分析部241による車両12の外部の状況の検出処理及び認識処理にも用いられる。
【0086】
なお、分析部241は、位置情報取得部214により取得される位置情報、及び、車両12の状態を検出するための各種のセンサからのセンサデータに基づいて、車両12の自己位置を推定してもよい。
【0087】
分析部241は、複数の異なる種類のセンサデータ(例えば、カメラ231から供給される画像データ、及び、レーダ232から供給されるセンサデータ)を組み合わせて、新たな情報を得るセンサフュージョン処理を行う。異なる種類のセンサデータを組合せる方法としては、統合、融合、連合等がある。
【0088】
分析部241は、車両12の外部の状況の検出を行う検出処理、及び、車両12の外部の状況の認識を行う認識処理を実行する。
【0089】
例えば、分析部241は、外部認識センサ215からの情報等に基づいて、車両12の外部の状況の検出処理及び認識処理を行う。
【0090】
具体的には、例えば、分析部241は、車両12の周囲の物体の検出処理及び認識処理等を行う。物体の検出処理とは、例えば、物体の有無、大きさ、形、位置、動き等を検出する処理である。物体の認識処理とは、例えば、物体の種類等の属性を認識したり、特定の物体を識別したりする処理である。ただし、検出処理と認識処理とは、必ずしも明確に分かれるものではなく、重複する場合がある。
【0091】
例えば、分析部241は、レーダ232又はLiDAR233等によるセンサデータに基づくポイントクラウドを点群の塊毎に分類するクラスタリングを行うことにより、車両12の周囲の物体を検出する。これにより、車両12の周囲の物体の有無、大きさ、形状、位置が検出される。
【0092】
例えば、分析部241は、クラスタリングにより分類された点群の塊の動きを追従するトラッキングを行うことにより、車両12の周囲の物体の動きを検出する。これにより、車両12の周囲の物体の速度及び進行方向(移動ベクトル)が検出される。
【0093】
例えば、分析部241は、カメラ231から供給される画像データに基づいて、車両、人、自転車、障害物、構造物、道路、信号機、交通標識、道路標示等を検出又は認識する。また、分析部241は、セマンティックセグメンテーション等の認識処理を行うことにより、車両12の周囲の物体の種類を認識してもよい。
【0094】
例えば、分析部241は、地図情報取得部213に蓄積されている地図、自己位置の推定結果、及び、車両12の周囲の物体の認識結果に基づいて、車両12の周囲の交通ルールの認識処理を行うことができる。分析部241は、この処理により、信号機の位置及び状態、交通標識及び道路標示の内容、交通規制の内容、並びに、走行可能な車線等を認識することができる。
【0095】
例えば、分析部241は、車両12の周囲の環境の認識処理を行うことができる。分析部241が認識対象とする周囲の環境としては、天候、気温、湿度、明るさ、及び、路面の状態等が想定される。
【0096】
行動計画部242は、車両12の行動計画を作成する。例えば、行動計画部242は、経路計画、経路追従の処理を行うことにより、行動計画を作成する。
【0097】
なお、経路計画(Global path planning)とは、スタートからゴールまでの大まかな経路を計画する処理である。この経路計画には、軌道計画と言われ、計画した経路において、車両12の運動特性を考慮して、車両12の近傍で安全かつ滑らかに進行することが可能な軌道生成(Local path planning)を行う処理も含まれる。
【0098】
経路追従とは、経路計画により計画された経路を計画された時間内で安全かつ正確に走行するための動作を計画する処理である。行動計画部242は、例えば、この経路追従の処理の結果に基づき、車両12の目標速度と目標角速度を計算することができる。
【0099】
動作制御部243は、行動計画部242により作成された行動計画を実現するために、車両12の動作を制御する。
【0100】
例えば、動作制御部243は、後述する車両制御部220に含まれる、ステアリング制御部251、ブレーキ制御部252、及び、駆動制御部253を制御して、軌道計画により計算された軌道を車両12が進行するように、加減速制御及び方向制御を行う。例えば、動作制御部243は、衝突回避又は衝撃緩和、追従走行、車速維持走行、自車の衝突警告、自車のレーン逸脱警告等のADASの機能実現を目的とした協調制御を行う。例えば、動作制御部243は、運転者の操作によらずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行う。
【0101】
車両制御部220は、車両12の各部の制御を行う。車両制御部220は、ステアリング制御部251、ブレーキ制御部252、駆動制御部253、ボディ系制御部254、ライト制御部255、及び、ホーン制御部256を備える。
【0102】
ステアリング制御部251は、車両12のステアリングシステムの状態の検出及び制御等を行う。ステアリングシステムは、例えば、ステアリングホイール等を備えるステアリング機構、電動パワーステアリング等を備える。ステアリング制御部251は、例えば、ステアリングシステムの制御を行うステアリングECU、ステアリングシステムの駆動を行うアクチュエータ等を備える。
【0103】
ブレーキ制御部252は、車両12のブレーキシステムの状態の検出及び制御等を行う。ブレーキシステムは、例えば、ブレーキペダル等を含むブレーキ機構、ABS(Antilock Brake System)、回生ブレーキ機構等を備える。ブレーキ制御部252は、例えば、ブレーキシステムの制御を行うブレーキECU、ブレーキシステムの駆動を行うアクチュエータ等を備える。
【0104】
駆動制御部253は、車両12の駆動システムの状態の検出及び制御等を行う。駆動システムは、例えば、アクセルペダル、内燃機関又は駆動用モータ等の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構等を備える。駆動制御部253は、例えば、駆動システムの制御を行う駆動ECU、駆動システムの駆動を行うアクチュエータ等を備える。
【0105】
ボディ系制御部254は、車両12のボディ系システムの状態の検出及び制御等を行う。ボディ系システムは、例えば、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウインドウ装置、パワーシート、空調装置、エアバッグ、シートベルト、シフトレバー等を備える。ボディ系制御部254は、例えば、ボディ系システムの制御を行うボディ系ECU、ボディ系システムの駆動を行うアクチュエータ等を備える。
【0106】
ライト制御部255は、車両12の各種のライトの状態の検出及び制御等を行う。制御対象となるライトとしては、例えば、ヘッドライト、バックライト、フォグライト、ターンシグナル、ブレーキライト、プロジェクション、バンパーの表示等が想定される。ライト制御部255は、ライトの制御を行うライトECU、ライトの駆動を行うアクチュエータ等を備える。
【0107】
ホーン制御部256は、車両12のカーホーンの状態の検出及び制御等を行う。ホーン制御部256は、例えば、カーホーンの制御を行うホーンECU、カーホーンの駆動を行うアクチュエータ等を備える。
【0108】
<モバイルデバイス13の構成例>
図5は、モバイルデバイス13の機能の構成例を示している。
【0109】
モバイルデバイス13は、制御部311、入力部312、センシング部313、キー管理部314、出力部315、通信部316、及び、記憶部317を備える。制御部311、入力部312、センシング部313、キー管理部314、出力部315、通信部316、及び、記憶部317は、バスを介して互いに接続されている。
【0110】
制御部311は、モバイルデバイス13の各部の制御を行う。
【0111】
入力部312は、モバイルデバイス13に各種の情報を入力するための入力デバイスを備える。例えば、入力部312は、ボタン、スイッチ、タッチパネル等の操作デバイスを備える。
【0112】
センシング部313は、各種のセンサを備える。例えば、センシング部313は、カメラ、IMU(Inertial Measurement Unit)等を備える。センシング部313の各センサは、センシングした結果を示すセンサデータをバスに出力する。
【0113】
キー管理部314は、デジタルキーの管理を行う。例えば、キー管理部314は、ユーザ操作に従って、通信部316を介して、デジタルキーの生成をクラウドシステム11に要求する。例えば、キー管理部314は、通信部316を介して、クラウドシステム11からデジタルキー及び使用ルール情報を受信し、記憶部317に関連付けて記憶させる。例えば、キー管理部314は、記憶部317からデジタルキーを取得し、通信部316を介して、車両12に送信する。
【0114】
出力部315は、視覚情報、聴覚情報、触覚情報等の各種の情報を出力する出力デバイスを備える。例えば、出力部315は、視覚情報を出力する表示デバイスを備える。例えば、出力部315は、聴覚情報を出力する音声出力デバイスを備える。例えば、出力部315は、触覚情報を出力するハプティクスデバイスを備える。
【0115】
通信部316は、図2を参照して上述したNFCモジュール71、BLEモジュール72、及び、UWBモジュール73等を備え、クラウドシステム11及び車両12と通信を行う。なお、通信部316の通信方式は、特に限定されない。また、通信部316は、複数の通信方式を採用することが可能である。
【0116】
記憶部317は、モバイルデバイス13の処理に必要な各種のプログラム及びデータを記憶する。例えば、記憶部218は、クラウドシステム11から受信したデジタルキー及び使用ルール情報を関連付けて記憶する。
【0117】
<情報処理システム1のユーザの例>
次に、図6を参照して、情報処理システム1のユーザの例について説明する。
【0118】
情報処理システム1のユーザは、オーナ、通常ユーザ、及び、ゲストに大きく分かれる。
【0119】
オーナは、車両12を所有する自然人又は法人である。
【0120】
例えば、オーナは、車両12を個人的に所有する個人オーナを含む。個人オーナは、例えば、情報処理システム1を用いて、家族に車両12の利用権を付与したり、他者(ゲスト)に車両12の利用権を一時的に付与したりすることが可能である。
【0121】
例えば、オーナは、社用車を所有する企業、又は、その企業のオーナ等を含む。例えば、オーナは、レンタカー、カーシェアリング等の車両12を共有するサービスを提供する企業、又は、その企業のオーナ等を含む。企業又は企業オーナは、例えば、情報処理システム1を用いて、フリートマネジメントを行ったり、各ユーザに車両12を適切に利用させたりすることが可能である。
【0122】
また、オーナは、例えば、情報処理システム1を用いて、車両12を管理したり、車両12の使用範囲を設定したりする。車両12の使用範囲は、例えば、車両12を解錠できる箇所、運転できる範囲(ジオフェンス)、最高速度、車内で利用可能なコンテンツ等を含む。
【0123】
通常ユーザは、例えば、車両12を日常的又は定期的に使用するユーザである。例えば、オーナが自然人である場合、オーナ自身が通常ユーザにもなり得る。通常ユーザは、例えば、運転者及び同乗者を含む。
【0124】
運転者は、例えば、日常的又は定期的に車両12を運転するユーザである。例えば、運転者としては、個人オーナ及びその家族等が想定される。
【0125】
例えば、情報処理システム1により、各運転者に対して適切な運転設定を行ったり、ナビゲーションシステム、運行サポート等を最適化したりすることが可能になる。
【0126】
同乗者は、例えば、日常的又は定期的に車両12を運転せずに乗車するユーザである。例えば、同乗者としては、個人オーナの家族等が想定される。
【0127】
例えば、情報処理システム1により、同乗者が車両12に適切にアクセスしたり、車両12内で楽しむエンタテイメントを最適化したりすることが可能になる。
【0128】
ゲストは、例えば、一時的に車両12を使用するユーザである。例えば、ゲストとしては、個人オーナの知人、社用車を使用する社員、レンタカーやカーシェアリングを利用するユーザ等が想定される。
【0129】
例えば、情報処理システム1により、ゲストが使用可能範囲内で適切に車両12を使用することが可能になる。また、例えば、情報処理システム1により、ゲストが車両12を使用しているときにアクシデントが発生したときの責任の所在等を明確化することが可能になる。
【0130】
ここで、車両12を使用するためのデジタルキーには、マスタキーとシェアキーの少なくとも2種類が存在する。
【0131】
マスタキーは、例えば、日常的又は定期的に車両12を使用するのに用いられるデジタルキーである。マスタキーは、例えば、通常ユーザが所持する。
【0132】
シェアキーは、例えば、一時的に車両12を使用するのに用いられるデジタルキーである。シェアキーは、例えば、ゲストが所持する。
【0133】
<アカウント、ロール、及び、使用ルールの関係>
図7は、アカウント、ロール、及び、使用ルールの関係を示している。
【0134】
情報処理システム1では、各アカウントにロールが割り当てられることにより、各ロールに対して設定されている使用ルールが、各アカウントに対して適用される。すなわち、各アカウントを有するユーザに対して、ロールを介して間接的に使用ルールが適用される。より具体的には、各アカウントを有するユーザに対して割り当てられたロールに対して設定されている使用ルールが、ユーザに付与されるデジタルキーに対して設定される。
【0135】
例えば、図6のオーナに割り当てられるロールとして、個人オーナ、フリートマネージャ、カーシェアリングオーナ等が想定される。これらのロールは、オーナ格のロールであり、オーナ格のロールが割り当てられているユーザ(以下、オーナ格ユーザと称する)は、使用ルールの設定自体が可能になる。
【0136】
例えば、オーナ格ユーザは、モバイルデバイス13を用いてクラウドシステム11に要求することにより、車両12を使用する権利を設定する対象を設定することができる。例えば、設定対象となる権利としては、車両12のフロント右ドアの解錠権、フロント左ドアの解錠権、トランク解錠権、グローブボックス解錠権等が想定される。
【0137】
例えば、オーナ格ユーザは、モバイルデバイス13を用いてクラウドシステム11に要求することにより、各ロールに対して設定されている使用ルールの内容を設定することができる。例えば、各ロールに対して設定されている使用ルールの内容が変更されることにより、各ロールが割り当てられているユーザに対する車両12の使用範囲が変更される。
【0138】
例えば、図6の通常ユーザに割り当てられるロールとして、運転者、同乗者(オーナ)等が想定される。
【0139】
この例では、運転者に対して、無制限の運転可能権を含む使用ルールが設定されている。
【0140】
この例では、同乗者(オーナ)に対して、コンテンツのアクセス範囲、ナビゲーションシステムの履歴閲覧権、及び、ナビゲーションシステムのPOI(Point of Interest)設定権を含む使用ルールが設定されている。
【0141】
例えば、図6のゲストに割り当てられるロールとして、同乗者(ゲスト)、Valet driver等が想定される。
【0142】
この例では、同乗者(ゲスト)に対して、コンテンツのアクセス範囲、及び、ナビゲーションシステムのPOI設定権を含む使用ルールが設定されている。
【0143】
この例では、Valet driverに対して、制限付きの運転可能権、最高速度制限、及び、移動範囲制限を含む使用ルールが設定されている。
【0144】
ここで、使用ルールの具体例について、さらに詳細に説明する。
【0145】
上述したように、使用ルールは、車両12の使用範囲を示すルールである。例えば、使用ルールは、車両12の機能的な使用範囲、車両12の時間的な使用範囲、及び、車両12の空間的な使用範囲のうち少なくとも1つを示す。
【0146】
車両12の機能的な使用範囲は、例えば、施解錠を許可する車両12のドアの範囲、車両12の運転機能の使用範囲、車両12のHMI218の機能の使用範囲、車内においてアクセス可能なコンテンツの範囲、車両12のメインテナンス機能の使用範囲、及び、車両12の運転状況の公開範囲のうち少なくとも1つを含む。
【0147】
具体的には、例えば、使用ルールにより、施解錠を許可する車両12のドアの範囲が設定される。例えば、使用ルールにより、運転席のドアのみ施錠及び解錠が許可されたり、後部座席のドア及びトランクの施錠及び解錠が禁止されたりする。
【0148】
例えば、使用ルールにより、車両12の運転機能の使用範囲が設定される。例えば、使用ルールにより、運転機能が無効化されたり、車両12の最高速度が制限されたりする。
【0149】
例えば、使用ルールにより、車両12のHMI218の機能の使用範囲が設定される。例えば、使用ルールにより、HMI218が備えるナビゲーションシステムの履歴のアクセスが許可又は制限されたり、ナビゲーションシステムに対するPOIの設定が許可又は制限されたりする。
【0150】
例えば、使用ルールにより、車内においてアクセス可能なコンテンツの範囲が設定される。例えば、使用ルールにより、車内において、R18のコンテンツへのアクセスが禁止される。
【0151】
例えば、使用ルールにより、車両12のメインテナンス機能の使用範囲が設定される。例えば、使用ルールにより、OTAによるソフトウエアの更新やリモートダイアグノスティックスの使用が禁止又は制限される。
【0152】
例えば、使用ルールにより、車両12の運転状況の公開範囲が設定される。例えば、使用ルールにより、ステルスモード(プライバシモード)の運転が許可される。ステルスモードとは、運転に関するログをクラウドシステム11等にアップロードしないようにするモードである。
【0153】
例えば、使用ルールにより、車両12の時間的な使用範囲として、車両12を使用可能な期間、時間帯、曜日等が設定される。
【0154】
例えば、使用ルールにより、車両12の空間的な使用範囲として、ジオフェンスが設定され、車両12の移動範囲がジオフェンス内に制限される。
【0155】
なお、使用ルールにより示される車両12の使用範囲が、車両12の周囲の状況に応じて変化するようにしてもよい。例えば、外部認識センサ215により認識された車両12の周囲の歩行者の数に基づいて、車両12の機能が制限されるようにしてもよい。具体的には、例えば、交差点等において認識された歩行者の数に基づいて、車両12の最高速度が制限されるようにしてもよい。
【0156】
<情報処理システム1の処理>
次に、図8乃至図18を参照して、情報処理システム1の処理について説明する。
【0157】
<シェアキー生成処理>
まず、図8のフローチャートを参照して、情報処理システム1により実行されるシェアキー生成処理について説明する。
【0158】
なお、以下、オーナデバイス13Aのユーザをオーナと称し、ゲストデバイス13Bのユーザをゲストと称する
【0159】
ステップS1において、オーナデバイス13Aは、シェアキーの生成をクラウドシステム11に要求する。
【0160】
具体的には、オーナデバイス13Aの出力部315は、キー管理部314の制御の下に、シェアキーの生成を要求するための設定画面を表示する。
【0161】
これに対して、オーナは、入力部312を用いて所定の操作を行うことにより、シェアキーの生成を要求する。
【0162】
ここで、図9乃至図14を参照して、シェアキーの生成を要求するための操作の具体例について説明する。
【0163】
図9は、デジタルキーの一覧画面の例を示している。
【0164】
この画面には、デジタルキー(マスタキー及びシェアキー)を所持するユーザ等に関する情報が一覧で表示される。
【0165】
具体的は、この画面には、マスタキー欄401-1及びマスタキー欄401-2、マスタキー追加ボタン402、シェアキー欄403-1乃至シェアキー欄403-4、並びに、シェアキー追加ボタン404が表示されている。
【0166】
マスタキー欄401-1及びマスタキー欄401-2には、各マスタキーに関する情報が表示されている。具体的には、マスタキー欄401-1及びマスタキー欄401-2には、各マスタキーを所持するユーザのサムネイル画像及び名前がそれぞれ表示されている。
【0167】
マスタキー追加ボタン402が押下されると、新たなマスタキーを生成するための画面が表示される。
【0168】
シェアキー欄403-1乃至シェアキー欄403-4には、各シェアキーに関する情報が表示されている。
【0169】
具体的には、シェアキー欄403-1には、シェアキーを所持するユーザのサムネイル画像及びユーザ名、シェアキーの状態、並びに、スライダ403A-1が表示されている。ここで、シェアキーの状態が「Before Start」と表示されているが、これは、シェアキーの使用が開始されていないことを示している。スライダ403A-1が右に設定されると、シェアキーが有効になり、左に設定されると、シェアキーが無効になる。
【0170】
シェアキー欄403-2には、シェアキーのキーモード、有効期限(有効期間の終了日)、及び、状態、並びに、スライダ403A-2が表示されている。具体的には、キーモードがShareに設定されており、有効期限が2020年12月12日に設定されており、現在一時停止中であることが示されている。スライダ403A-2は、スライダ403A-1と同様に、シェアキーの有効/無効の切替えに用いられる。
【0171】
なお、現時点で対応するシェアキーを所持するユーザが存在しないため、シェアキー欄403-2には、ユーザに関する情報が表示されていない。
【0172】
シェアキー欄403-3には、シェアキーのキーモード、有効期限(有効期間の終了日)、及び、状態、並びに、スライダ403A-3が表示されている。具体的には、キーモードがFull Controlに設定されており、有効期限が2020年12月12日に設定されており、まだユーザに受信されていないことが示されている。スライダ403A-3は、スライダ403A-1と同様に、シェアキーの有効/無効の切替えに用いられる。
【0173】
なお、現時点で対応するシェアキーを所持するユーザが存在しないため、シェアキー欄403-3には、ユーザに関する情報が表示されていない。
【0174】
シェアキー欄403-4には、シェアキーのキーモード、有効期限(有効期間の終了日)、及び、状態が表示されている。具体的には、キーモードがNon Driverに設定されており、有効期限が2020年11月9日に設定されており、有効期限が切れていることが示されている。
【0175】
シェアキー追加ボタン404が押下されると、新たなシェアキーを生成するための画面が表示される。
【0176】
図10は、デジタルキーが存在しない場合のデジタルキーの一覧画面の例を示している。
【0177】
この画面には、デジタルキーが存在しないことが示されるとともに、デジタルキー生成ボタン421が表示されている。
【0178】
デジタルキー生成ボタン421が押下されると、新たなデジタルキーを生成するための画面が表示される。
【0179】
図11は、デジタルキーのリセット画面の例を示している。
【0180】
この画面には、デジタルキーの一覧画面の上に、ウインドウ441が表示されている。
【0181】
ウインドウ441は、デジタルキーを全て削除する操作を行うためのものであり、デリートボタン442及びキャンセルボタン443が表示されている。
【0182】
デリートボタン442が押下されると、対象となる車両12用のデジタルキーが全て削除される。
【0183】
キャンセルボタン443が押下されると、デジタルキーの削除操作がキャンセルされる。
【0184】
図12及び図13は、シェアキーの生成画面の例を示している。
【0185】
図12は、シェアキーのキーモードの設定画面の例を示している。
【0186】
この設定画面には、キーモード設定欄461が表示されている。例えば、この例では、フルコントロールモード、シェアモード、及び、ノンドライバモードの3種類のうちからキーモードを選択することが可能である。
【0187】
ここで、シェアキーが付与される対象となるユーザは、ゲスト(図6)である。この例では、このゲストというユーザの種類と、キーモードとの組み合わせにより、ロールが設定される。そして、ロールに対して設定されている使用ルールが、シェアキー(ゲスト)に適用される。
【0188】
例えば、フルコントロールモードに設定されたシェアキーを用いた場合、車両12を制限なく使用することが可能になる。
【0189】
例えば、シェアモードに設定されたシェアキーを用いた場合、車両12の運転は可能であるが、車両12の使用範囲が一部制限される。
【0190】
例えば、ノンドライバモードに設定されたシェアキーを用いた場合、車両12の運転は禁止され、車両12の使用範囲が一部制限される。
【0191】
図13は、シェアキーの有効期間の設定画面の例を示している。
【0192】
この画面には、有効期間設定欄481が表示されている。例えば、この例では、有効期間設定欄481に、有効期間の開始日及び終了日を設定するためのカレンダーが表示されている。また、OKボタン482及びキャンセルボタン483が表示されている。OKボタン482が押下されると、有効期間が確定され、例えば、図14の画面に遷移する。キャンセルボタン483が押下されると、有効期間の設定がキャンセルされ、例えば、図14の画面に遷移する。
【0193】
図14は、シェアキーの生成画面の例を示している。この画面には、キーモード欄501、開始日欄502、終了日欄503、及び、キー生成ボタン504が表示されている。
【0194】
キーモード欄501には、キーモードの設定値が表示される。また、キーモード欄501が選択されると、例えば、図12の設定画面が表示される。
【0195】
開始日欄502には、シェアキーの有効期間の開始日の設定値が表示される。また、開始日欄502が選択されると、例えば、図13の設定画面が表示される。
【0196】
終了日欄503には、シェアキーの有効期間の終了日の設定値が表示される。また、終了日欄503が選択されると、例えば、図13の設定画面が表示される。
【0197】
キー生成ボタン504が押下されると、設定されているキーモード及び有効期間でのシェアキーの生成が、クラウドシステム11に要求される。
【0198】
具体的には、キー管理部314は、シェアキーの生成を要求するシェアキー生成要求情報を生成する。シェアキー生成要求情報は、例えば、シェアキーを使用するユーザのアカウント情報、シェアキーを使用する車両12の識別情報、キーモード、及び、有効期間を含む。キー管理部314は、通信部316を介して、シェアキー生成要求情報をクラウドシステム11に送信する。
【0199】
図8に戻り、ステップS2において、クラウドシステム11は、シェアキー、ペアキー、及び、使用ルールを生成する。
【0200】
具体的には、通信部105は、シェアキー生成要求情報をオーナデバイス13Aから受信する。キー管理部103は、シェアキー生成要求情報に基づいて、シェアキー、及び、シェアキーと対になるペアキーを生成する。使用ルール管理部104は、シェアキー生成要求情報に基づいて、シェアキー及びペアキーに対して使用ルールを設定し、設定した使用ルールを示す使用ルール情報を生成する。アカウント管理部101、車両管理部102、キー管理部103、及び、使用ルール管理部104は、生成されたシェアキー、ペアキー、及び、使用ルール情報、ユーザアカウント、並びに、車両12を関連付けて、それぞれ記憶する。
【0201】
ステップS3において、クラウドシステム11は、シェアキーの取得先のURLを送信する。具体的には、キー管理部103は、シェアキーの取得先のウエブサイトのURLを含むダウンロード情報を生成する。キー管理部103は、通信部105を介して、ダウンロード情報をオーナデバイス13Aに送信する。
【0202】
ステップS4において、オーナデバイス13Aは、シェアキーの取得先のURLを受信する。具体的には、オーナデバイス13Aのキー管理部314は、通信部316を介して、ダウンロード情報をクラウドシステム11から受信する。
【0203】
ステップS5において、オーナデバイス13Aは、シェアキーの取得先のURLを通知する。例えば、出力部315は、ユーザ操作に従って、キー管理部314の制御の下に、図15のシェアキー提供画面を表示する。
【0204】
シェアキー提供画面には、QRコード521、有効期限欄522、キーモード欄523、開始日欄524、終了日欄525、及び、シェアボタン526が表示されている。
【0205】
QRコード521は、シェアキーの取得先のウエブサイトのURLを示している。QRコード521は、例えば、キー管理部314が、ダウンロード情報に示されるURLを変換することにより生成される。
【0206】
有効期限欄522は、QRコード(登録商標)により示されるURLによりアクセス可能なウエブサイトからシェアキーを入手可能な有効期限を示している。例えば、この例では、2020年11月5日の19時45分に有効期限が切れることが示されている。
【0207】
キーモード欄523は、シェアキーに対して設定されているキーモードを示している。
【0208】
開始日欄524は、シェアキーの有効期間の開始日を示している。
【0209】
終了日欄525は、シェアキーの有効期間の終了日を示している。
【0210】
シェアボタン526が押下されると、例えば、ゲストデバイス13Bにシェアキーの取得先のURLを送信するための画面が表示される。
【0211】
ステップS6において、ゲストデバイス13Bは、シェアキーの取得先のURLを取得する。例えば、ゲストは、ゲストデバイス13Bのセンシング部313に含まれるカメラを用いて、図15のシェアキー提供画面のQRコード521を撮影する。ゲストデバイス13Bのキー管理部314は、QRコード521をURLに変換する。
【0212】
ステップS7において、ゲストデバイス13Bは、シェアキー及び使用ルールを取得する。
【0213】
これに対して、ステップS8において、クラウドシステム11は、シェアキー及び使用ルールを送信する。
【0214】
具体的には、例えば、ゲストは、ゲストデバイス13Bの入力部312を用いて、ステップS6の処理で取得したURLにより示されるウエブサイトにアクセスし、シェアキーをダウンロードする操作を行う。
【0215】
これに対して、ゲストデバイス13Bのキー管理部314は、通信部316を介して、取得したURLにより示されるウエブサイトにアクセスする。
【0216】
これに対して、クラウドシステム11の通信部105は、シェアキー及び使用ルール情報をゲストデバイス13Bに送信する。
【0217】
そして、ゲストデバイス13Bのキー管理部314は、通信部316を介して、シェアキー及び使用ルール情報をクラウドシステム11からダウンロードする。キー管理部314は、取得したシェアキー及び使用ルール情報を関連付けて記憶部317に記憶させる。
【0218】
これにより、ゲストデバイス13Bにおいて、シェアキーの使用が可能になる。
【0219】
ステップS9において、クラウドシステム11の通信部105は、ペアキー及び使用ルール情報を車両12に送信する。
【0220】
これに対して、ステップS10において、車両12のキー管理部217は、通信部212を介して、ペアキー及び使用ルール情報を受信する。キー管理部217は、受信したペアキー及び使用ルール情報を関連付けて、記憶部216に記憶させる。
【0221】
これにより、新たなシェアキーに対応するペアキー及び使用ルールが車両12に登録される。
【0222】
なお、ステップS9の処理は、ステップS2の処理の後、クラウドシステム11と車両12との間の通信が可能になった時点で実行される。従って、ステップS9の処理は、例えば、ステップS3の処理の前、又は、ステップS8の処理の前に実行されてもよい。
【0223】
以上のようにして、オーナは、容易にシェアキーを生成し、ゲストに提供することができる。また、オーナは、シェアキーに対して容易に使用ルールを設定し、ゲストに対する車両12の使用範囲を設定することができる。
【0224】
<未登録ペアキー及び使用ルール登録処理>
次に、図16のシーケンス図を参照して、未登録のペアキー及び使用ルールを車両12に登録する処理について説明する。
【0225】
図8を参照して上述した処理においてシェアキーが生成されたときに車両12が起動されておらず、車両12がクラウドシステム11と通信できない場合、生成されたシェアキーに対応するペアキー及び使用ルールを車両12に登録することができない。これに対して、この処理は、車両12が起動し、通信可能になったときに、未登録のペアキー及び使用ルールを車両12に登録する処理である。
【0226】
ステップS101において、ユーザは、ペアキー及び使用ルールが既に車両12に登録されているデジタルキー(マスタキー又はシェアキー)を保持するモバイルデバイス13又はFOB14を用いて、車両12を利用する操作を行う。ここで、車両12を利用する操作とは、例えば、ドアを解錠し、車両12を起動する操作等である。
【0227】
これに対して、車両12のボディ系制御部254は、ドアを解錠し、車両12を起動する。
【0228】
ステップS102において、モバイルデバイス13又はFOB14は、クラウドシステム11に対して、利用リクエストを送信する。例えば、モバイルデバイス13のキー管理部314は、通信部316を介して、利用リクエストをクラウドシステム11に送信する。または、例えば、FOB14は、利用リクエストをクラウドシステム11に送信する。
【0229】
ステップS103において、クラウドシステム11は、未登録のペアキー及び使用ルールを特定する。具体的には、通信部105は、モバイルデバイス13又はFOB14から送信された利用リクエストを受信する。キー管理部103は、生成済みのシェアキーに対応するペアキー及び使用ルールのうち、車両12に未登録のペアキー及び使用ルールを特定する。
【0230】
ステップS104において、車両12は、未登録のペアキー及び使用ルールを登録する。
【0231】
具体的には、クラウドシステム11の通信部105は、ステップS103の処理で特定したペアキー、及び、使用ルールに対応する使用ルール情報を車両12に送信する。
【0232】
これに対して、車両12のキー管理部217は、通信部212を介して、ペアキー及び使用ルール情報をクラウドシステム11から受信する。キー管理部217は、受信したペアキー及び使用ルール情報を関連付けて記憶部216に記憶させる。
【0233】
これにより、車両12が通信可能になった時点で、未登録のペアキー及び使用ルールが自動的に車両12に登録される。
【0234】
なお、例えば、車両12のキー管理部217が、車両12が起動したときに、未登録のペアキー及び使用ルールが存在するか否かをクラウドシステム11に問い合わせるようにしてもよい。そして、車両12のキー管理部217は、未登録のペアキー及び使用ルールが存在する場合、未登録のペアキー及び使用ルールをクラウドシステム11から受信するようにしてもよい。
【0235】
<運転席ドア解錠処理>
次に、図17のシーケンス図を参照して、車両12の運転席のドアのみ施解錠が可能な使用ルールが設定されているシェアキーを用いて、運転席のドアを解錠する場合の処理について説明する。
【0236】
ステップS121において、ゲストは、ゲストデバイス13Bを用いて、運転席のドアを解錠する操作を行う。
【0237】
これに対して、ゲストデバイス13Bのキー管理部314は、通信部316を介して、シェアキーを車両12に送信する。
【0238】
ステップS122において、車両12のキー管理部217は、ユーザ(ゲスト)を確認し、使用ルールを要求する。具体的には、キー管理部217は、通信部212を介して、シェアキーをゲストデバイス13Bから受信する。キー管理部217は、記憶部216において、シェアキーと対になるペアキーを検索する。キー管理部217は、シェアキーと対になるペアキーが見つかった場合、ペアキーを用いて、シェアキーの認証処理を行うことにより、ユーザ(ゲスト)を確認する。キー管理部217は、シェアキーの認証に成功した場合、ペアキーに関連付けられている使用ルール情報を記憶部216に要求する。
【0239】
ステップS123において、記憶部216は、使用ルールを返却する。具体的には、記憶部216は、ペアキーに関連付けられている使用ルール情報をキー管理部217に供給する。
【0240】
ステップS124において、車両12のキー管理部217は、使用ルール情報に基づいて、使用ルールを解釈する。これにより、キー管理部217は、運転席のドアのみ解錠可能であることを認識する。
【0241】
ステップS125において、車両12は、運転席のドアのみ解錠可能な状態に設定する。具体的には、キー管理部217は、運転席のドアのみ解錠可能な状態に設定するように、ボディ系制御部254に指示する。これに対して、ボディ系制御部254は、運転席のドアのみ解錠可能な状態に設定する。
【0242】
ステップS126において、車両12のボディ系制御部254は、運転席のドアを解錠する。
【0243】
ステップS127において、ゲストは、運転席のドアの解錠を確認する。
【0244】
このようにして、ゲストは、シェアキーを用いて、運転席のドアを容易に解錠することができる。
【0245】
<トランク解錠処理>
次に、図18のシーケンス図を参照して、車両12のトランクの施解錠が可能な使用ルールが設定されているシェアキーを用いて、トランクを解錠する場合の処理について説明する。
【0246】
ステップS141において、ゲストは、ゲストデバイス13Bを用いて、トランクを解錠する操作を行う。
【0247】
これに対して、ゲストデバイス13Bのキー管理部314は、通信部316を介して、シェアキーを車両12に送信する。
【0248】
ステップS142において、図19のステップS122の処理と同様に、車両12のキー管理部217は、ユーザ(ゲスト)を確認し、記憶部216に使用ルールを要求する。
【0249】
ステップS143において、図19のステップS123の処理と同様に、車両12の記憶部216からキー管理部217へ使用ルールが返却される。
【0250】
ステップS144において、車両12のキー管理部217は、使用ルール情報に基づいて、使用ルールを解釈する。これにより、キー管理部217は、トランクを解錠可能であることを認識する。
【0251】
ステップS145において、車両12は、トランクを解錠可能な状態に設定する。具体的には、キー管理部217は、トランクを解錠可能な状態に設定するように、ボディ系制御部254に指示する。これに対して、ボディ系制御部254は、トランクを解錠可能な状態に設定する。
【0252】
ステップS146において、車両12のボディ系制御部254は、トランクを解錠する。
【0253】
ステップS147において、ユーザは、トランクの解錠を確認する。
【0254】
このようにして、ゲストは、シェアキーを用いて、トランクを容易に解錠することができる。
【0255】
なお、デジタルキー(マスタキー又はシェアキー)を用いて車両12を起動した場合、例えば、車両12が停止(電源がオフ)されるまで、デジタルキーに対して設定されている使用ルールが有効になる。すなわち、車両12の起動後は、車両12が停止(電源がオフ)されるまで、車両12の起動に用いたデジタルキーが有効になり、他のデジタルキーは使用できなくなる。
【0256】
<使用ルールの種類及び内容の設定方法>
次に、使用ルールの種類及び内容の設定方法の例について説明する。
【0257】
以上の説明では、3種類のキーモードに対応して3種類の使用ルールがシェアキーに設定される例を示したが、例えば、情報処理システム1は、使用ルールの種類数を増やしたり減らしたりすることが可能である。
【0258】
例えば、オーナ格ユーザが、オーナデバイス13Aを用いて、使用ルールの種類の追加又は削除をクラウドシステム11に要求する。これに対して、クラウドシステム11の使用ルール管理部104は、オーナ格ユーザの要求に従って、使用ルールの種類の追加又は削除を行う。
【0259】
例えば、情報処理システム1は、使用ルールの内容、すなわち、使用ルールにより示される車両12の使用範囲を適宜変更することが可能である。
【0260】
例えば、オーナ格ユーザが、オーナデバイス13Aを用いて、使用ルールの内容の変更をクラウドシステム11に要求する。これに対して、クラウドシステム11の使用ルール管理部104は、オーナ格ユーザの要求に従って、使用ルールの内容を変更する。
【0261】
例えば、情報処理システム1は、使用ルールの対象となる項目を適宜変更することができる。例えば、情報処理システム1は、車両12を使用する権利を設定する対象を変更することができる。
【0262】
例えば、オーナ格ユーザが、オーナデバイス13Aを用いて、使用ルールの対象となる項目の変更(例えば、追加又は削除)をクラウドシステム11に要求する。これに対して、クラウドシステム11の使用ルール管理部104は、オーナ格のユーザの要求に従って、使用ルールの対象となる項目を変更する。
【0263】
<デジタルキー及び使用ルールの削除方法>
次に、デジタルキー及び使用ルールの削除方法の例について説明する。
【0264】
例えば、使用期間が設定されているデジタルキー及び使用ルール情報は、使用期間が過ぎると、自動的にモバイルデバイス13から削除される。または、例えば、デジタルキー及び使用ルール情報が削除されずに、単に無効化されるようにしてもよい。
【0265】
同様に、例えば、使用期間が設定されているデジタルキーに対応するペアキー及び使用ルール情報は、使用期間が過ぎると、自動的に車両12から削除される。または、例えば、ペアキー及び使用ルール情報が削除されずに、単に無効化されるようにしてもよい。
【0266】
例えば、使用期間が設定されていないシェアキーを削除又は無効にする場合、例えば、オーナ格ユーザが、オーナデバイス13Aを用いて、シェアキーの削除又は無効化をクラウドシステム11に要求する。
【0267】
これに対して、例えば、クラウドシステム11の使用ルール管理部104は、オーナ格ユーザの要求に従って、通信部105を介して、シェアキー及び使用ルールの削除又は無効化をゲストデバイス13Bに要求する。また、クラウドシステム11の使用ルール管理部104は、オーナ格ユーザの要求に従って、通信部105を介して、ペアキー及び使用ルールの削除又は無効化を車両12に要求する。
【0268】
これに対して、ゲストデバイス13Bのキー管理部314は、シェアキー及び使用ルール情報を削除又は無効化する。車両12のキー管理部217は、ペアキー及び使用ルール情報を削除又は無効化する。
【0269】
以上のようにして、車両12の使用範囲を容易かつ柔軟に設定することができる。すなわち、各ユーザに対して、車両12の使用範囲を容易かつ詳細に設定することができる。
【0270】
これにより、例えば、車両12の運転を許可するユーザを容易に管理することができる。例えば、バレットパーキングを許可するユーザ、社用車を運転可能なユーザ等を容易に管理することができる。
【0271】
<<2.変形例>>
以下、上述した本技術の実施の形態の変形例について説明する。
【0272】
<使用ルールに関する変形例>
以上の説明では、各ユーザ(アカウント)に対して、ロールを介して間接的に使用ルールを設定する例を示したが、各ユーザに対して直接使用ルールを設定するようにしてもよい。
【0273】
例えば、車両12のキー管理部217は、事故等の緊急事態が発生した場合に、使用ルールの内容が変更されるようにしてもよい。例えば、キー管理部217は、事故等の緊急事態に迅速に対処できるように、使用ルールの内容を変更し、車両12の使用範囲を広げるようにしてもよい。
【0274】
例えば、ユーザの運転経験や運転技術に基づいて、ユーザに適用される使用ルールが設定されるようにしてもよい。
【0275】
例えば、保険会社等が把握するユーザの運転経験に基づいて、ユーザに適用される使用ルールが設定されるようにしてもよい。具体的には、例えば、運転経験が多いユーザほど車両12の使用範囲が広がり、運転経験が少ないユーザほど車両12の使用範囲が狭まるように、ユーザに適用される使用ルールが設定されるようにしてもよい。
【0276】
例えば、運転免許証の残り点数に基づいて、ユーザに適用される使用ルールが設定されるようにしてもよい。具体的には、例えば、運転免許証の残り点数が少なくなるほど、車両12の使用範囲が狭まるように、ユーザに適用される使用ルールが設定されるようにしてもよい。
【0277】
<デジタルキー及び使用ルールの授受に関する変形例>
例えば、クラウドシステム11から、車両12を介して、モバイルデバイス13にデジタルキーが供給されるようにしてもよい。すなわち、クラウドシステム11から車両12にデジタルキーを送信し、車両12からモバイルデバイス13にデジタルキーを送信するようにしてもよい。
【0278】
例えば、クラウドシステム11から、モバイルデバイス13を介して、車両12に使用ルール情報が供給されるようにしてもよい。すなわち、クラウドシステム11からモバイルデバイス13に使用ルール情報を送信し、モバイルデバイス13から車両12に使用ルール情報を送信するようにしてもよい。
【0279】
例えば、クラウドシステム11から、モバイルデバイス13を介して、車両12にペアキーが供給されるようにしてもよい。すなわち、クラウドシステム11からモバイルデバイス13にペアキーを送信し、モバイルデバイス13から車両12にペアキーを送信するようにしてもよい。
【0280】
なお、必ずしもモバイルデバイス13は、クラウドシステム11から使用ルール情報を取得する必要はない。
【0281】
また、例えば、車両12は、デジタルキーを認証可能な情報を予め保持している場合、必ずしもクラウドシステム11からペアキーを取得する必要はない。
【0282】
<その他の変形例>
なお、例えば、ユーザがデジタルキーを用いて車両12を使用する場合、車両12が、デジタルキーの認証に加えて、必要に応じてユーザ認証を行うようにしてもよい。そして、デジタルキー及びユーザの両方の認証が成功した場合、認証されたユーザが、使用ルールに従って車両12を使用できるようにしてもよい。
【0283】
例えば、複数のゲストがシェアキーを用いて車両12を共有した場合、シェアキー毎に走行距離を集計することが可能である。これに対して、例えば、車両12が社用車である場合、各シェアキーが付与されたユーザ毎に、会社の経費精算を実行することができる。例えば、車両12がカーシェアリング用の車両である場合、各シェアキーが付与されたユーザ毎の乗車距離に基づいて、料金を請求することができる。
【0284】
<<3.その他>>
<コンピュータの構成例>
上述した一連の処理は、ハードウエアにより実行することもできるし、ソフトウエアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウエアにより実行する場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、コンピュータにインストールされる。ここで、コンピュータには、専用のハードウエアに組み込まれているコンピュータや、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどが含まれる。
【0285】
図19は、上述した一連の処理をプログラムにより実行するコンピュータのハードウエアの構成例を示すブロック図である。
【0286】
コンピュータ1000において、CPU(Central Processing Unit)1001、ROM(Read Only Memory)1002、RAM(Random Access Memory)1003は、バス1004により相互に接続されている。
【0287】
バス1004には、さらに、入出力インタフェース1005が接続されている。入出力インタフェース1005には、入力部1006、出力部1007、記憶部1008、通信部1009、及びドライブ1010が接続されている。
【0288】
入力部1006は、入力スイッチ、ボタン、マイクロフォン、撮像素子などよりなる。出力部1007は、ディスプレイ、スピーカなどよりなる。記憶部1008は、ハードディスクや不揮発性のメモリなどよりなる。通信部1009は、ネットワークインタフェースなどよりなる。ドライブ1010は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、又は半導体メモリなどのリムーバブルメディア1011を駆動する。
【0289】
以上のように構成されるコンピュータ1000では、CPU1001が、例えば、記憶部1008に記録されているプログラムを、入出力インタフェース1005及びバス1004を介して、RAM1003にロードして実行することにより、上述した一連の処理が行われる。
【0290】
コンピュータ1000(CPU1001)が実行するプログラムは、例えば、パッケージメディア等としてのリムーバブルメディア1011に記録して提供することができる。また、プログラムは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供することができる。
【0291】
コンピュータ1000では、プログラムは、リムーバブルメディア1011をドライブ1010に装着することにより、入出力インタフェース1005を介して、記憶部1008にインストールすることができる。また、プログラムは、有線または無線の伝送媒体を介して、通信部1009で受信し、記憶部1008にインストールすることができる。その他、プログラムは、ROM1002や記憶部1008に、あらかじめインストールしておくことができる。
【0292】
なお、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
【0293】
また、本明細書において、システムとは、複数の構成要素(装置、モジュール(部品)等)の集合を意味し、すべての構成要素が同一筐体中にあるか否かは問わない。したがって、別個の筐体に収納され、ネットワークを介して接続されている複数の装置、及び、1つの筐体の中に複数のモジュールが収納されている1つの装置は、いずれも、システムである。
【0294】
さらに、本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0295】
例えば、本技術は、1つの機能をネットワークを介して複数の装置で分担、共同して処理するクラウドコンピューティングの構成をとることができる。
【0296】
また、上述のフローチャートで説明した各ステップは、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。
【0297】
さらに、1つのステップに複数の処理が含まれる場合には、その1つのステップに含まれる複数の処理は、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。
【0298】
<構成の組み合わせ例>
本技術は、以下のような構成をとることもできる。
【0299】
(1)
車両を使用するためのデジタルキーを生成するキー管理部と、
前記車両の使用範囲を示す使用ルールを前記デジタルキーに対して設定する使用ルール管理部と、
前記車両、及び、前記デジタルキーを使用する情報処理端末のうち少なくとも一方に前記デジタルキーを送信し、前記車両及び前記情報処理端末のうち少なくとも一方に前記使用ルールを示す使用ルール情報を送信する通信部と
を備える情報処理装置。
(2)
前記使用ルール管理部は、第1のユーザに対して割り当てられたロールに対して設定されている前記使用ルールを、前記第1のユーザに付与する前記デジタルキーに対して設定する
前記(1)に記載の情報処理装置。
(3)
前記使用ルール管理部は、オーナ格の前記ロールが割り当てられている第2のユーザからの要求に応じて、前記ロールに対応付ける前記使用ルールを設定する
前記(2)に記載の情報処理装置。
(4)
前記使用ルールは、前記車両の機能的な使用範囲、前記車両の時間的な使用範囲、及び、前記車両の空間的な使用範囲のうち少なくとも1つを示す
前記(1)乃至(3)のいずれかに記載の情報処理装置。
(5)
前記車両の機能的な使用範囲は、施解錠を許可する前記車両のドアの範囲、前記車両の運転機能の使用範囲、前記車両のHMI(Human Machine Interface)の機能の使用範囲、前記車両においてアクセス可能なコンテンツの範囲、前記車両のメインテナンス機能の使用範囲、及び、前記車両の運転状況の公開範囲のうち少なくとも1つを含む
前記(4)に記載の情報処理装置。
(6)
前記車両の時間的な使用範囲は、前記車両を使用可能な期間を含む
前記(4)又は(5)に記載の情報処理装置。
(7)
前記車両の空間的な使用範囲は、前記車両が移動可能な範囲を含む
前記(4)乃至(6)のいずれかに記載の情報処理装置。
(8)
前記使用ルール管理部は、ユーザからの要求に応じて、前記使用ルールの内容を設定する
前記(1)乃至(7)のいずれかに記載の情報処理装置。
(9)
前記通信部は、前記デジタルキーを前記情報処理端末に送信し、前記使用ルール情報を前記車両に送信する
前記(1)乃至(8)のいずれかに記載の情報処理装置。
(10)
前記通信部は、前記使用ルール情報を前記情報処理端末にさらに送信する
前記(9)に記載の情報処理装置。
(11)
前記キー管理部は、前記デジタルキーの認証に用いる認証情報を含むペアキーを生成し、
前記通信部は、前記ペアキーを前記車両に送信する
前記(9)又は(10)に記載の情報処理装置。
(12)
情報処理装置が、
車両を使用するためのデジタルキーを生成し、
前記車両の使用範囲を示す使用ルールを前記デジタルキーに対して設定し、
前記車両、及び、前記デジタルキーを使用する情報処理端末のうち少なくとも一方に前記デジタルキーを送信し、前記車両及び前記情報処理端末のうち少なくとも一方に前記使用ルールを示す使用ルール情報を送信する
情報処理方法。
(13)
情報処理端末から受信したデジタルキーに対して、前記デジタルキーを生成した情報処理装置により設定された使用ルールに基づいて、車両の使用範囲を制御するキー管理部を
備える車両制御装置。
(14)
前記キー管理部は、前記デジタルキーの認証に用いる認証情報を含み、前記情報処理装置により生成されたペアキーに基づいて、前記デジタルキーの認証を行い、前記デジタルキーの認証に成功した場合、前記デジタルキーに対して設定されている前記使用ルールに基づいて、前記車両の使用範囲を制御する
前記(13)に記載の車両制御装置。
(15)
前記キー管理部は、前記使用ルールを示す使用ルール情報を前記情報処理装置から受信する
前記(13)又は(14)に記載の車両制御装置。
(16)
前記使用ルールは、前記車両の機能的な使用範囲、前記車両の時間的な使用範囲、及び、前記車両の空間的な使用範囲のうち少なくとも1つを示す
前記(13)乃至(15)のいずれかに記載の車両制御装置。
(17)
前記車両の機能的な使用範囲は、施解錠を許可する前記車両のドアの範囲、前記車両の運転機能の使用範囲、前記車両のHMIの機能の使用範囲、前記車両においてアクセス可能なコンテンツの範囲、前記車両のメインテナンス機能の使用範囲、及び、前記車両の運転状況の公開範囲のうち少なくとも1つを含む
前記(16)に記載の車両制御装置。
(18)
前記車両の時間的な使用範囲は、前記車両を使用可能な期間を含む
前記(16)又は(17)に記載の車両制御装置。
(19)
前記車両の空間的な使用範囲は、前記車両が移動可能な範囲を含む
前記(16)乃至(18)のいずれかに記載の車両制御装置。
(20)
車両の使用範囲を示す使用ルールが設定されたデジタルキーを情報処理装置から取得するキー管理部と、
前記車両を使用する場合に、前記デジタルキーを前記車両に送信する通信部と
を備える情報処理端末。
【0300】
なお、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、他の効果があってもよい。
【符号の説明】
【0301】
1 情報処理システム, 11 クラウドシステム, 12 車両, 13 モバイルデバイス, 13A オーナデバイス, 13B ゲストデバイス, 14 FOB, 31 クラウドサーバ, 32 キートラッキングサーバ, 101 アカウント管理部, 102 車両管理部, 103 キー管理部, 104 使用ルール管理部, 105 通信部, 211 車両制御ECU, 216 記憶部, 217 キー管理部, 218 HMI, 220 車両制御部, 254 ボディ系制御部, 313 センシング部, 314 キー管理部, 316 通信部, 317 記憶部
図1
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