(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023167764
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理方法、および情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 21/82 20130101AFI20231116BHJP
【FI】
G06F21/82
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022079214
(22)【出願日】2022-05-13
(71)【出願人】
【識別番号】300057584
【氏名又は名称】日本デジタル配信株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100170209
【弁理士】
【氏名又は名称】林 陽和
(72)【発明者】
【氏名】手島 悠太
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 俊之
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 将史
(57)【要約】
【課題】セキュリティを確保しながら、ユーザ(従業員)に対して、職場内での個人的なメッセージの確認の機会を適切に与える。
【解決手段】本開示の一例としての情報処理システムは、通信アプリケーションを介した1以上の他者とのメッセージのやりとりをユーザに閲覧させるためのアプリケーション画面に対する文字認識を実行する認識処理部と、文字認識の結果に基づいて、アプリケーション画面のうち少なくとも一部に、ユーザの操作入力が制限される制限領域を設定する領域処理部と、制限領域が設定されたアプリケーション画面をユーザの職場に設置された端末装置に出力するアプリケーション処理部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信アプリケーションを介した1以上の他者とのメッセージのやりとりをユーザに閲覧させるためのアプリケーション画面に対する文字認識を実行する認識処理部と、
前記文字認識の結果に基づいて、前記アプリケーション画面のうち少なくとも一部に、ユーザの操作入力が制限される制限領域を設定する領域処理部と、
前記制限領域が設定された前記アプリケーション画面を前記ユーザの職場に設置された端末装置に出力するアプリケーション処理部と、
を備える、情報処理システム。
【請求項2】
前記領域処理部は、前記1以上の他者のうち予め指定された他者との前記メッセージのやりとりの前記アプリケーション画面上での閲覧のみを可能とするように前記制限領域を設定する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記アプリケーション画面は、前記1以上の他者の識別情報のリストが表示される第1領域と、所望の1人の他者の識別情報を前記リストから選択する前記操作入力が行われることに応じて前記1人の他者との前記メッセージのやりとりが表示される第2領域と、を含み、
前記領域処理部は、前記文字認識の結果に基づいて、前記第1領域のうち前記予め指定された他者の識別情報以外が表示された部分に対して前記制限領域を設定し、前記第2領域の略全域に対して前記制限領域を設定する、
請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記領域処理部は、前記第1領域に表示される前記リストの項目の変動に応じて、前記第1領域に対して設定する前記制限領域を動的に変更する、
請求項3に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記アプリケーション処理部は、前記アプリケーション画面を用いた前記メッセージの閲覧の制限時間を表示する制限時間インターフェースを前記アプリケーション画面に表示する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項6】
通信アプリケーションを介した1以上の他者とのメッセージのやりとりをユーザに閲覧させるためのアプリケーション画面に対する文字認識を実行することと、
前記文字認識の結果に基づいて、前記アプリケーション画面のうち少なくとも一部に、ユーザの操作入力が制限される制限領域を設定することと、
前記制限領域が設定された前記アプリケーション画面を前記ユーザの職場に設置された端末装置に出力することと、
を含む、情報処理方法。
【請求項7】
通信アプリケーションを介した1以上の他者とのメッセージのやりとりをユーザに閲覧させるためのアプリケーション画面に対する文字認識を実行することと、
前記文字認識の結果に基づいて、前記アプリケーション画面のうち少なくとも一部に、ユーザの操作入力が制限される制限領域を設定することと、
前記制限領域が設定された前記アプリケーション画面を前記ユーザの職場に設置された端末装置に出力することと、
を1以上のコンピュータに実行させるための、情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理システム、情報処理方法、および情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、他者との間でメッセージのやりとりを行うための通信アプリケーションが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、たとえば個人情報を取り扱う職場においては、セキュリティの確保のため、上記のような通信アプリケーションが搭載された従業員の個人端末の使用が制限されうる。このような場合、従業員が個人的なメッセージを確認する機会が著しく制限されるという不都合が生じうる。
【0005】
そこで、本開示が解決しようとする課題の一つは、セキュリティを確保しながら、ユーザ(従業員)に対して、職場内での個人的なメッセージの確認の機会を適切に与えることが可能な情報処理システム、情報処理方法、および情報処理プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一例としての情報処理システムは、通信アプリケーションを介した1以上の他者とのメッセージのやりとりをユーザに閲覧させるためのアプリケーション画面に対する文字認識を実行する認識処理部と、文字認識の結果に基づいて、アプリケーション画面のうち少なくとも一部に、ユーザの操作入力が制限される制限領域を設定する領域処理部と、制限領域が設定されたアプリケーション画面をユーザの職場に設置された端末装置に出力するアプリケーション処理部と、を備える。
【0007】
また、本開示の他の一例としての情報処理方法は、通信アプリケーションを介した1以上の他者とのメッセージのやりとりをユーザに閲覧させるためのアプリケーション画面に対する文字認識を実行することと、文字認識の結果に基づいて、アプリケーション画面のうち少なくとも一部に、ユーザの操作入力が制限される制限領域を設定することと、制限領域が設定されたアプリケーション画面をユーザの職場に設置された端末装置に出力することと、を含む。
【0008】
また、本開示のさらに他の一例としての情報処理プログラムは、通信アプリケーションを介した1以上の他者とのメッセージのやりとりをユーザに閲覧させるためのアプリケーション画面に対する文字認識を実行することと、文字認識の結果に基づいて、アプリケーション画面のうち少なくとも一部に、ユーザの操作入力が制限される制限領域を設定することと、制限領域が設定されたアプリケーション画面をユーザの職場に設置された端末装置に出力することと、を1以上のコンピュータに実行させるための、情報処理プログラムである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態にかかる情報処理システムの機能的構成を示した例示的かつ模式的なブロック図である。
【
図2A】
図2Aは、実施形態にかかる情報処理システムにおいて実行される処理の流れを説明するための例示的かつ模式的な図である。
【
図2B】
図2Bは、実施形態にかかる情報処理システムにおいて
図2Aに示される処理の流れに続いて実行される処理の流れを説明するための例示的かつ模式的な図である。
【
図3】
図3は、実施形態にかかるマスク領域およびアプリケーション画面を説明するための例示的かつ模式的な図である。
【
図4】
図4は、実施形態にかかる情報処理システムを構成するコンピュータのハードウェア構成を示した例示的かつ模式的なブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態を図面に基づいて説明する。以下に記載する実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および効果は、あくまで一例であって、以下の記載内容に制限されるものではない。
【0011】
図1は、実施形態にかかる情報処理システム100の機能的構成を示した例示的かつ模式的なブロック図である。
【0012】
図1に示されるように、実施形態にかかる情報処理システム100は、端末装置110に対して各種のサービスを提供するサーバ群を含む。より具体的に、情報処理システム100は、VDI(Virtual Desktop Infrastructure)ゲートウェイ120と、VDIサーバ130と、認証サーバ140と、OCR(Optical Character Reader)サーバ150と、表示画像制御サーバ160と、を含む。
【0013】
端末装置110は、たとえば、個人端末の使用が制限されるような、個人情報を取り扱う職場に設置される共用端末である。端末装置110は、当該職場の従業員であるユーザの操作入力を受け付ける入力受付部111と、当該ユーザに対してアプリケーション画像(詳細は後述する)を出力する画像出力部112と、を含む。
【0014】
VDIゲートウェイ120は、端末装置110とVDIサーバ130との通信を中継する中継部121を含む。
【0015】
VDIサーバ130は、他者とのメッセージのやりとりを行うための通信アプリケーションを実行する仮想環境(仮想デスクトップ)を端末装置110に提供するように構成される。VDIサーバ130は、VDIサーバ130に対するログインおよびログアウトを司るログイン/ログアウト処理部131と、仮想環境に関する制御を行う仮想環境処理部132と、通信アプリケーションに関する制御を行うアプリケーション処理部133と、を含む。
【0016】
認証サーバ140は、端末装置110がVDIサーバ130にアクセスする際における認証を司る認証部141を含む。
【0017】
上記のような構成により、端末装置110のユーザは、VDIゲートウェイ120を介してVDIサーバ130にアクセスし、通信アプリケーションが実行される仮想環境を取得することで、職場内で個人的なメッセージを確認することが可能になる。
【0018】
ここで、前述したように、端末装置110は、たとえば個人情報を取り扱う職場に設置される共用端末である。したがって、端末装置110を介してユーザが他者と自由にメッセージをやりとりすることを許可すると、情報の漏洩が発生しうる。一方、個人的なメッセージの確認を完全に禁止してしまうと、たとえば家族からの緊急連絡などのような重要なメッセージをユーザが受け取れなくなるので、不都合が発生しうる。
【0019】
そこで、実施形態は、以下に説明するような構成および処理に基づいて、セキュリティを確保しながら、従業員に対して、職場内での個人的なメッセージの確認の機会を適切に与えることを実現する。
【0020】
すなわち、実施形態において、OCRサーバ150は、通信アプリケーションを介した1以上の他者とのメッセージのやりとりをユーザに閲覧させるためのアプリケーション画面に対する文字認識を実行するように構成される。そして、表示画像制御サーバ160は、当該文字認識の結果に基づいて、職場に申請しておくことなどによって予め指定された他者からのメッセージのみをユーザに閲覧させるように、アプリケーション画面のうち少なくとも一部に、ユーザの操作入力が制限される制限領域としてのマスク領域を設定するように構成される。なお、アプリケーション画面およびマスク領域の具体例については
図3を参照しながら後で説明するため、ここではこれ以上の説明を省略する。
【0021】
より具体的に、OCRサーバ150は、文字認識を実行する認識処理部151を含む。また、表示画像制御サーバ160は、文字認識の結果に基づいて、アプリケーション画面にメッセージの送信元として表示される他者が、閲覧可能なメッセージの送信元として予め指定された他者に該当するか否かを判定する許否判定処理部161と、文字認識の結果に基づいて、アプリケーション画面のうち少なくとも一部にマスク領域を設定するマスク処理部162と、を含む。なお、マスク処理部162は、本開示の「領域処理部」の一例である。
【0022】
そして、VDIサーバ130のアプリケーション処理部133は、制限領域が設定されたアプリケーション画面をユーザの端末装置110に出力する。これにより、端末装置110のユーザは、たとえばメッセージの送信のような情報の漏洩につながりうる操作入力の制限を受ける一方、予め指定された他者からのメッセージの閲覧の機会を得ることが可能である。
【0023】
以上の構成に基づき、実施形態にかかる情報処理システム100は、以下に説明するような流れで動作する。
【0024】
図2Aは、実施形態にかかる情報処理システム100において実行される処理の流れを説明するための例示的かつ模式的な図であり、
図2Bは、実施形態にかかる情報処理システム100において
図2Aに示される処理の流れに続いて実行される処理の流れを説明するための例示的かつ模式的な図である。
【0025】
図2Aに示されるように、実施形態では、まず、ステップS201において、端末装置110は、たとえば入力受付部111により受け付けられたユーザの操作入力に応じて、VDIゲートウェイ120に対してログイン要求を行う。そして、ステップS202において、VDIゲートウェイ120の中継部121は、端末装置110に対してログイン画面(図示は省略)を提供する。
【0026】
そして、ステップS203において、端末装置110の画像出力部112は、VDIゲートウェイ120から提供されたログイン画面をディスプレイ(図示は省略)に表示する。そして、ステップS204において、端末装置110は、ログイン画面を介して入力受付部111により受け付けられたユーザ名およびパスワードのような認証情報をVDIゲートウェイ120に送信する。
【0027】
そして、ステップS205において、VDIゲートウェイ120の中継部121は、端末装置110から受信した認証情報に基づいて、認証サーバ140に対して、端末装置110からのアクセスが正規のものであるか否かに関する認証要求を行う。そして、ステップS206において、認証サーバ140の認証部141は、VDIゲートウェイ120からの認証要求に応じて認証処理を行う。そして、ステップS207において、認証サーバ140の認証部141は、ステップS206における認証処理の結果をVDIゲートウェイ120に通知する。
【0028】
ステップS206における認証処理の結果が成功であった場合、ステップS208において、VDIゲートウェイ120の中継部121は、VDIサーバ130に対してログイン要求を行う。ここで、図示は省略しているが、ステップS206における認証処理の結果が失敗であった場合、VDIゲートウェイ120の中継部121は、端末装置110に対して認証エラーを通知しうる。
【0029】
ステップS209において、VDIサーバ130のログイン/ログアウト処理部131は、VDIゲートウェイ120からのログイン要求に応じて、認証サーバ140に対して、VDIゲートウェイ120からのアクセスが正規のものであるか否かに関する認証要求を行う。そして、ステップS210において、認証サーバ140の認証部141は、VDIサーバ130からの認証要求に応じて認証処理を行う。そして、ステップS211において、認証サーバ140の認証部141は、ステップS210における認証処理の結果をVDIサーバ130に通知する。
【0030】
ステップS210における認証処理の結果が成功であった場合、ステップS212において、VDIサーバ130の仮想環境処理部132は、前述した通信アプリケーションを実行するための仮想環境を構築する。ここで、図示は省略しているが、ステップS211における認証処理の結果が失敗であった場合、VDIサーバ130のログイン/ログアウト処理部131は、VDIゲートウェイ120を介して、端末装置110に対して認証エラーを通知しうる。なお、簡単化のため、本開示の図面においては、「アプリケーション」が単に「アプリ」と表現されることがある。
【0031】
そして、
図2Bに示されるように、ステップS213において、VDIサーバ130のアプリケーション処理部133は、ステップS212において構築された仮想環境上で通信アプリケーションを起動する。これにより、通信アプリケーションを介した他者とのメッセージのやりとりをユーザに閲覧させるためのアプリケーション画面が生成される。
【0032】
そして、ステップS214において、VDIサーバ130のアプリケーション処理部133は、生成されたアプリケーション画面をOCRサーバ150に送信する。そして、ステップS215において、OCRサーバ150の認識処理部151は、VDIサーバ130から取得したアプリケーション画面に対して文字認識を行う。なお、個人情報保護の観点から、ステップS215における文字認識の結果がOCRサーバ150に(永続的に)記録されることはない。
【0033】
そして、ステップS216において、OCRサーバ150の認識処理部151は、ステップS215における文字認識の結果を表示画像制御サーバ160に送信する。そして、ステップS217において、表示画像制御サーバ160の許否判定処理部161は、ステップS216において取得した文字認識の結果に基づいて、アプリケーション画面にメッセージの送信元として表示される他者が、閲覧可能なメッセージの送信元として予め指定された他者に該当するか否かを判定する。
【0034】
そして、ステップS218において、表示画像制御サーバ160のマスク処理部162は、アプリケーション画面において上記の予め指定された他者からのメッセージのみを閲覧可能とするように、アプリケーション画面のうち少なくとも一部にユーザの操作入力が制限される制限領域として設定するマスク領域(の位置および大きさ)を決定する。そして、ステップS219において、表示画像制御サーバ160のマスク処理部162は、ステップS218において決定したマスク領域をVDIサーバ130に通知する。
【0035】
そして、ステップS220において、VDIサーバ130のアプリケーション処理部133は、表示画像制御サーバ160から通知されたマスク領域を含むアプリケーション画面をVDIゲートウェイ120に送信する。そして、ステップS221において、VDIゲートウェイ120は、マスク領域を含むアプリケーション画面を端末装置110に転送する。そして、ステップS222において、端末装置110の画像出力部112は、マスク領域を含むアプリケーション画面をディスプレイ(不図示)に表示する。
【0036】
以下、
図3を参照して、上述したマスク領域およびアプリケーション画面の詳細について説明する。
【0037】
図3は、実施形態にかかるマスク領域およびアプリケーション画面を説明するための例示的かつ模式的な図である。
【0038】
図3に示される画像300は、端末装置110を起動してVDIサーバ130にアクセスすることで取得される仮想環境に基づいて端末装置110のディスプレイに表示される画面(いわゆるデスクトップ画面)の一例である。この画像300は、アプリケーション画像の一例としての画像310を含んでいる。
【0039】
また、
図3に示される例において、画像310は、通信アプリケーションを介してメッセージをやりとりすることが可能な1以上の他者の識別情報(たとえば名前)のリストが表示される第1領域311と、所望の1人の他者の識別情報を第1領域311内のリストから選択する操作入力が行われることに応じて当該1人の他者とのメッセージのやりとりが表示される第2領域312と、を含んでいる。
【0040】
ここで、
図3に示される例において、第1領域311の領域311a、311b、および311cと、第2領域312の領域312aとが、上述したマスク領域に対応する。このため、領域311a、311b、および311cに対する操作入力(たとえば選択操作)は無効であり、領域312aに対する操作入力(たとえばメッセージの送信操作)も無効となる。なお、
図3では、領域311a、311b、311c、および領域312aにハッチングが付されており、これらの領域に何の情報も表示されていないが、これはあくまでマスク領域を強調するためのものである。したがって、領域311a、311b、および311cには、メッセージをやりとりする対象の他者の識別情報が表示されうるし、領域312aには、「JDS四郎」という他者とのメッセージのやりとりが表示されうる。
【0041】
なお、第1領域311の領域311a、311b、および311cの位置および大きさは、マスク領域が設定される前の画像310に対するOCRサーバ150による文字認識の結果に基づいて、表示画像制御サーバ160により決定される。つまり、表示画像制御サーバ160は、OCRサーバ150による文字認識の結果に基づいて、第1領域311から、閲覧可能なメッセージの送信元として予め指定されている他者の識別情報が表示された領域に該当しない領域の位置および大きさを計算し、当該計算の結果に基づいて、適切な位置および大きさで、マスク領域としての領域311a、311b、および311cを画像300内に設定する。
【0042】
ここで、第1領域311に表示されるリストの項目の表示順は、たとえば新着メッセージが受信されるごとに変動しうる。したがって、実施形態において、OCRサーバ150は、アプリケーション画像に対する文字認識を繰り返し実行し、表示画像制御サーバ160は、第1領域311に表示されるリストの項目の表示順が変動するごとに、第1領域311のマスク領域の位置を動的に変更しうる。一方、第2領域321の領域321aは、第2領域321の略全域に対応し、基本的には固定である。
【0043】
なお、アプリケーション画面としての画像310を用いたメッセージの閲覧を時間的に無制限に許可すると、業務に支障がでるおそれがある。したがって、
図3に示される例では、画像310を用いたメッセージの閲覧の制限時間を表示する制限インターフェースとしてのインジケータ画像320が画像300内に設けられている。
【0044】
以上説明したように、実施形態にかかる情報処理システム100は、認識処理部151と、マスク処理部162と、アプリケーション処理部133と、を備える。認識処理部151は、通信アプリケーションを介した1以上の他者とのメッセージのやりとりをユーザに閲覧させるためのアプリケーション画面(たとえば
図3の画像310参照)に対する文字認識を実行する。そして、マスク処理部162は、文字認識の結果に基づいて、アプリケーション画面のうち少なくとも一部に、ユーザの操作入力が制限される制限領域(たとえば
図3の領域311a~311c、および321a参照)を設定する。そして、アプリケーション処理部133は、マスク領域が設定されたアプリケーション画面をユーザの職場に設置された端末装置110に出力する。このような構成によれば、文字認識の結果に基づいて、アプリケーション画面を介した操作入力に適切に制限をかけることで、セキュリティを確保しながら、ユーザ(従業員)に対して、職場内での個人的なメッセージの確認の機会を適切に与えることができる。
【0045】
また、実施形態において、マスク処理部162は、上記の1以上の他者のうち予め指定された他者とのメッセージのやりとりのアプリケーション画面(たとえば
図3の画像310参照)上での閲覧のみを可能とするように、マスク領域を設定する。このような構成によれば、マスク領域を適切に設定することで、操作入力に制限をかけつつメッセージの閲覧のみを可能とすることを容易に実現することができる。
【0046】
また、実施形態において、アプリケーション画面(たとえば
図3の画像310参照)は、1以上の他者の識別情報のリストが表示される第1領域(たとえば
図3の第1領域311参照)と、所望の1人の他者の識別情報をリストから選択する操作入力が行われることに応じて1人の他者とのメッセージのやりとりが表示される第2領域(たとえば
図3の第2領域312参照)と、を含む。そして、マスク処理部162は、文字認識の結果に基づいて、第1領域のうち予め指定された他者の識別情報以外が表示された部分に対して制限領域(たとえば
図3の領域311a~311c参照)を設定し、第2領域の略全域に対して制限領域(たとえば
図3の領域321a参照)を設定する。このような構成によれば、第1領域および第2領域のそれぞれに対して制限領域を適切に設定することで、操作入力に制限をかけつつメッセージの閲覧のみを可能とすることを容易に実現することができる。
【0047】
また、実施形態において、マスク処理部162は、第1領域(たとえば
図3の第1領域311参照)に表示されるリストの項目の変動に応じて、第1領域に対して設定する制限領域(たとえば
図3の領域311a~311c参照)を動的に変更する。このような構成によれば、第1領域の表示項目の変動が発生した場合であっても、それに追従して制限領域を適切に変更することができる。
【0048】
なお、実施形態において、アプリケーション処理部133は、アプリケーション画面(たとえば
図3の画像310参照)を用いたメッセージの閲覧の制限時間を表示する制限時間インターフェース(たとえば
図3のインジケータ画像320参照)をアプリケーション画面に表示する。このような構成によれば、ユーザ(従業員)がメッセージの閲覧を無制限に行うことで業務に支障が出るのを抑制することができる。
【0049】
最後に、上述した実施形態にかかる情報処理システム100(
図1参照)を構成する各装置のハードウェア構成について説明する。実施形態において、端末装置110、VDIゲートウェイ120、VDIサーバ130、認証サーバ140、OCRサーバ150、および表示画像制御サーバ160は、たとえば次の
図4に示されるようなハードウェア構成を有するコンピュータ400として構成される。
【0050】
図4は、実施形態にかかる情報処理システム100を構成するコンピュータ400のハードウェア構成を示した例示的かつ模式的なブロック図である。
【0051】
図4に示されるように、コンピュータ400は、プロセッサ410と、メモリ420と、ストレージ430と、入出力インターフェース(I/F)440と、通信インターフェース(I/F)450と、を備えている。これらのハードウェアは、バス460に接続されている。
【0052】
プロセッサ410は、たとえばCPU(Central Processing Unit)として構成され、コンピュータ400の各部の動作を統括的に制御する。
【0053】
メモリ420は、たとえばROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)を含み、プロセッサ410により実行されるプログラムなどの各種のデータの揮発的または不揮発的な記憶、およびプロセッサ410がプログラムを実行するための作業領域の提供などを実現する。
【0054】
ストレージ430は、たとえばHDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)を含み、各種のデータを不揮発的に記憶する。
【0055】
入出力インターフェース440は、たとえばキーボードおよびマウスなどのような入力装置(不図示)からコンピュータ400へのデータの入力と、たとえばコンピュータ400からディスプレイおよびスピーカなどのような出力装置(不図示)へのデータの出力と、を制御する。
【0056】
通信インターフェース450は、コンピュータ400が他の装置と通信を実行することを可能にする。
【0057】
実施形態にかかる情報処理システム100を構成する各装置が有する機能的構成(
図1参照)は、対応するコンピュータ400のプロセッサ410がメモリ420またはストレージ430に予め記憶された情報処理プログラムを実行した結果として、ハードウェアとソフトウェアとの協働による機能モジュール群として実現される。ただし、実施形態では、
図4に示される機能モジュール群のうち一部または全部が、専用に設計された回路のようなハードウェアのみによって実現されてもよい。
【0058】
なお、上述した情報処理プログラムは、必ずしもメモリ420またはストレージ430に予め記憶されている必要はない。たとえば、上述した情報処理プログラムは、フレキシブルディスク(FD)のような各種の磁気ディスク、またはDVD(Digital Versatile Disk)のような各種の光ディスクなどといった、コンピュータで読み取り可能な媒体にインストール可能な形式または実行可能な形式で記録されたコンピュータプログラムプロダクトとして提供されてもよい。
【0059】
また、上述した情報処理プログラムは、インターネットなどのネットワーク経由で提供または配布されてもよい。すなわち、上述した情報処理プログラムは、インターネットなどのネットワークに接続されたコンピュータ上に格納された状態で、ネットワーク経由でのダウンロードを受け付ける、といった形で提供されてもよい。
【0060】
以上、本開示の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態およびその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0061】
100 情報処理システム
133 アプリケーション処理部
151 認識処理部
162 マスク処理部(領域処理部)
310 画像(アプリケーション画像)
311 第1領域
311a、311b、311c マスク領域(制限領域)
312 第2領域
312a マスク領域(制限領域)
320 インジケータ画像(制限時間インターフェース)