(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023016778
(43)【公開日】2023-02-02
(54)【発明の名称】理学療法パッチ及びその作動方法
(51)【国際特許分類】
A61N 1/04 20060101AFI20230126BHJP
A61N 1/36 20060101ALI20230126BHJP
【FI】
A61N1/04
A61N1/36
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022116653
(22)【出願日】2022-07-21
(31)【優先権主張番号】202110827246.6
(32)【優先日】2021-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202121669089.2
(32)【優先日】2021-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】509312592
【氏名又は名称】北京富納特創新科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲ハン▼ 立
(72)【発明者】
【氏名】潛 力
(72)【発明者】
【氏名】王 ▲ユイ▼權
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053BB05
4C053BB23
4C053BB36
4C053JJ13
4C053JJ15
4C053JJ36
(57)【要約】
【課題】本発明は、理学療法パッチ及び理学療法パッチの作動方法を提供する。
【解決手段】理学療法パッチは、フレキシブルパッチを含む。前記フレキシブルパッチは、第一可撓性層、第二可撓性層、複数の機能層及び複数の電極を含み、前記第一可撓性層及び前記第二可撓性層が積層して設置され、複数の前記機能層は、前記第一可撓性層と前記第二可撓性層との間に設置され、各一つの前記電極は、一つの前記機能層又は一対の前記機能層と電気的に接続され、前記第二可撓性層は、前記機能層に対応する箇所に少なくとも一つの開口部が設置され、前記機能層が前記開口部を介して露出される。本発明は、更に理学療法パッチの作動方法を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシブルパッチを含む理学療法パッチにおいて、
前記フレキシブルパッチは、第一可撓性層、第二可撓性層、複数の機能層及び複数の電極を含み、前記第一可撓性層及び前記第二可撓性層が積層して設置され、
複数の前記機能層は、前記第一可撓性層と前記第二可撓性層との間に設置され、
各一つの前記電極は、一つの前記機能層又は一対の前記機能層と電気的に接続され、
前記第二可撓性層は、前記機能層に対応する箇所に少なくとも一つの開口部が設置され、
前記機能層が前記開口部を介して露出されることを特徴とする、理学療法パッチ。
【請求項2】
前記機能層は、カーボンナノチューブ層であることを特徴とする、請求項1に記載の理学療法パッチ。
【請求項3】
前記フレキシブルパッチは、コントローラーをさらに含み、前記フレキシブルパッチと前記コントローラーとが可動的に接続されることを特徴とする、請求項1に記載の理学療法パッチ。
【請求項4】
前記フレキシブルパッチは、電源接続口が設置され、
前記コントローラーは、前記電源接続口を介して、前記フレキシブルパッチと電気的に接続されることを特徴とする、請求項3に記載の理学療法パッチ。
【請求項5】
前記開口部のサイズが対応する前記機能層のサイズより小さいことを特徴とする、請求項1に記載の理学療法パッチ。
【請求項6】
理学療法パッチの作動方法であって、前記理学療法パッチは、フレキシブルパッチ及び該フレキシブルパッチを制御するためのコントローラーを含み、前記フレキシブルパッチは、第一可撓性層、第二可撓性層、複数の機能層及び複数の電極を含み、前記第一可撓性層及び前記第二可撓性層が積層して設置され、複数の前記機能層は、前記第一可撓性層と前記第二可撓性層との間に設置され、各一つの前記電極は、一つの前記機能層又は一対の前記機能層と電気的に接続され、
前記フレキシブルパッチは、ユーザの顔に貼り付けることができる可撓性導電フィルムに前記第二可撓性層が接触するように、前記可撓性導電フィルムに貼り付けられ、
前記コントローラーは、前記コントローラーの電源が入れられ、該コントローラーの機能ボタンが選択された場合、複数の前記電極における任意の二つの前記電極の間に電圧を印加し、少なくとも一つの回路を形成し、該回路に電流を形成することを特徴とする、理学療法パッチの作動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、理学療法パッチ及びその作動方法に関し、特に、カーボンナノチューブ層を機能層とする理学療法パッチ及びその作動方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
人々の物質的な生活水準の継続的な改善に伴い、健康に対する人々の要求もますます高くなっている。従って、理学療法の製品が非常によく売れている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Kaili Jiang、Qunqing Li、Shoushan Fan、“Spinning continuous carbon nanotube yarns”、Nature、2002年、第419巻、p.801
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】中国特許出願公開第101239712号明細書
【特許文献2】中国特許出願公開第101284662号明細書
【特許文献3】中国特許出願公開第101314464号明細書
【特許文献4】中国特許出願公開第1483667号明細書
【特許文献5】中国特許出願公開第1982209号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の理学療法の製品は、大部分が硬質材料からなる理学療法の装置である。従って、人体に作用する面積も小さくなり、人体の快適さがよくない。
【0006】
これによって、上記技術問題を解決するために、理学療法パッチ及びその作動方法を提供することが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
理学療法パッチは、フレキシブルパッチを含む。前記フレキシブルパッチは、第一可撓性層、第二可撓性層、複数の機能層及び複数の電極を含み、前記第一可撓性層及び前記第二可撓性層が積層して設置され、複数の前記機能層は、前記第一可撓性層と前記第二可撓性層との間に設置され、各一つの前記電極は、一つの前記機能層又は一対の前記機能層と電気的に接続され、前記第二可撓性層は、前記機能層に対応する箇所に少なくとも一つの開口部が設置され、前記機能層が前記開口部を介して露出される。
【0008】
前記機能層は、カーボンナノチューブ層である。
【0009】
前記フレキシブルパッチは、コントローラーをさらに含み、前記フレキシブルパッチと前記コントローラーとが可動的に接続される。
【0010】
前記フレキシブルパッチは、電源接続口が設置され、前記コントローラーは、前記電源接続口を介して、前記フレキシブルパッチと電気的に接続される。
【0011】
前記開口部のサイズが対応する前記機能層のサイズより小さい。
【0012】
理学療法パッチの作動方法であって、前記理学療法パッチは、フレキシブルパッチ及び該フレキシブルパッチを制御するためのコントローラーを含み、前記フレキシブルパッチは、第一可撓性層、第二可撓性層、複数の機能層及び複数の電極を含み、前記第一可撓性層及び前記第二可撓性層が積層して設置され、複数の前記機能層は、前記第一可撓性層と前記第二可撓性層との間に設置され、各一つの前記電極は、一つの前記機能層又は一対の前記機能層と電気的に接続され、前記フレキシブルパッチは、ユーザの顔に貼り付けることができる可撓性導電フィルムに前記第二可撓性層が接触するように、前記可撓性導電フィルムに貼り付けられ、前記コントローラーは、前記コントローラーの電源が入れられ、該コントローラーの機能ボタンが選択された場合、複数の前記電極における任意の二つの前記電極の間に電圧を印加し、少なくとも一つの回路を形成し、該回路に電流を形成する。
【発明の効果】
【0013】
従来技術と比べて、本発明の一態様から提供される理学療法パッチ及びその作動方法は、以下の利点を有する。第一に、理学療法パッチは、人間の皮膚に直接に貼り付けることができるので、手で支える必要がなく、ユーザの手を解放できる。第二に、コントローラーが回路を制御することによって、選択的に皮膚を刺激し、刺激を必要とする位置をより正確に選択でき、非対称性を引き起こすことがない。第三に、理学療法パッチが使用される時、フレキシブルパッチをユーザの皮膚に直接に貼り付けるわけではなく、可撓性導電フィルムを中間層として、フレキシブルパッチを、可撓性導電フィルムを介して、ユーザの皮膚に貼り付ける。従って、可撓性導電フィルムは、フレキシブルパッチをユーザの皮膚から分離して、フレキシブルパッチが皮膚によって汚染されることを防止する。それによって、フレキシブルパッチが再利用される。可撓性導電フィルムのコストが安いので、自由に交換することができ、且つ可撓性導電フィルムは、導電性材料であるので、フレキシブルパッチがユーザの皮膚に電気刺激を提供することに影響を与えない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第一実施例による理学療法パッチの構造を示す図である。
【
図2】本発明の
図1に示される理学療法パッチにおけるフレキシブルパッチの構造を示す図である。
【
図3】本発明の第二実施例による理学療法パッチの構造を示す図である。
【
図4】本発明の
図3に示される理学療法パッチにおけるフレキシブルパッチの構造を示す図である。
【
図5】本発明の第三実施例による理学療法パッチにおけるフレキシブルパッチの構造を示す図である。
【
図6】本発明の実施例による理学療法パッチの作動方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付の図面及び具体的な実施形例を参照して、本発明の一態様による理学療法パッチ及びその作動方法をさらに詳細に説明する。
【0016】
図1及び
図2を参照すると、本発明の実施例は、理学療法パッチ100を提供する。理学療法パッチ100は、フレキシブルパッチ10を含む。フレキシブルパッチ10に電源接続口110が設置される。理学療法パッチ100は、フレキシブルパッチ10を制御することに用いられるコントローラー40をさらに含む。コントローラー40は、電源接続口110を介して、フレキシブルパッチ10と電気的に接続される。
【0017】
図2を参照すると、フレキシブルパッチ10は、第一可撓性層102、第二可撓性層106、複数の機能層104及び複数の電極108を含む。第一可撓性層102及び第二可撓性層106が積層して設置される(明確に表示するため、
図2において、第一可撓性層102及び第二可撓性層106が別々に示される)。複数の機能層104は、第一可撓性層102と第二可撓性層106との間に設置される。複数の機能層104のそれぞれは、一つの電極108と電気的に接続される。
【0018】
フレキシブルパッチ10の機能層104の数量は、K個(K=1、2、3、4……)であり、電極108の数量も、K個(K=1、2、3、4……)である。複数の機能層の番号は、左側から右側にそれぞれ、1、2、3……Kであり、複数の機能層104と電気的に接続される電極108の番号は、左側から右側にそれぞれ1、2、3……Kである。即ち、機能層の番号は、該機能層と電気的に接続される電極の番号と同じである。コントローラー40は、K個の電極108と電気的に接続され、K個の電極108を介してフレキシブルパッチ10における複数の機能層104を制御する。任意の二つの電極108の間に電圧を印加することができる。電圧が印加された二つの電極108と電気的に接続された二つの機能層104が回路を形成し、人間の皮膚を刺激する。好ましくは、電極1及び電極2、電極2及び電極3、電極3及び電極4、……電極K-1及び電極Kの方式で二つの電極の間に電圧を循環するように印加し、それによって、各二つの電極108が対応する二つの機能層104に循環するように電流を入力し、ユーザの皮膚を循環するように刺激する。
【0019】
機能層104の数量が制限されず、ニーズに応じてフレキシブルパッチ10の任意の位置に設置することができる。機能層104の面積が異なってもよく、ニーズに応じて調整することができる。
【0020】
コントローラー40は、K個の電極108と電気的に接続され、任意の二つの電極108の間に電気信号を入力することに用いられる。
図1を参照すると、コントローラー40は、一つの連接線を介して、K個の電極108と接続する。連接線は、絶縁して設置されるK個のリード線を含み、各リード線は、一つの電極108と電気的に接続される。コントローラー40には、フレキシブルパッチ10を制御するための複数の機能ボタンが設けられる。各機能ボタンは、電流の大きさ、電流の周波数、入力電流の位置などを制御することを通して、フレキシブルパッチ10の内部の機能層104を制御して、異なる機能を実現することができる。フレキシブルパッチ10は、コントローラー40と可動的に接続されてもよい。本実施例において、フレキシブルパッチ10は、第二可撓性層106に電源接続口110が設けられる。連接線の一つの端部が電源接続口110を介して、フレキシブルパッチ10と接続され、もう一つの端部がコントローラー40と電気的に接続される。
【0021】
第一可撓性層102又は/及び第二可撓性層106の材料は、不織布、正絹層、一般的な可撓性布、多孔質可撓性紙、又はシリカゲルなどの可撓性材料である。第一可撓性層102又は/及び第二可撓性層106の厚さは、実際の応用に応じて設定することができる。本実施例において、第一可撓性層102又は/及び第二可撓性層106の厚さは、10マイクロメートル~100マイクロメートルである。第二可撓性層106は、可撓性導電フィルム12と電気的に接続される。第二可撓性層106は、機能層104に対応する箇所に少なくとも一つの開口部1062が設置され、機能層104が開口部1062を介して露出される。
図2を参照すると、第二可撓性層106は、各々の機能層104に対応する各々の箇所に間隔を介して設置された複数の開口部1062が設置され、各々の機能層104が複数の開口部1062を介して露出される。開口部1062の形状が制限されず、円形、四角形などであってもよい。開口部1062のサイズが対応する機能層104のサイズより小さいことが好ましく、機能層104が脱落するのを防止することができる。
【0022】
図2を参照すると、第一実施例において、フレキシブルパッチ10は、四つの機能層104、四つの電極108を含む。各々の機能層104がそれぞれ異なる電極108と電気的に接続される。各々の機能層104は、長手形状であり、面積が等しく、互いに平行して設置される。第二可撓性層106における開口部1062は、円形であり、各々の機能層104に対応する開口部1062は、並んで設置される複数の円形である。
【0023】
図3及び
図4を参照すると、第二実施例は、理学療法パッチを提供する。理学療法パッチは、フレキシブルパッチ20を含む。フレキシブルパッチ20は、第一可撓性層202、第二可撓性層206、複数の機能層204及び複数の電極208を含む。第一可撓性層202及び第二可撓性層206が積層して設置される。複数の機能層204は、第一可撓性層202と第二可撓性層206との間に設置される。複数の機能層204は、互いに平行して間隔をあけて設置される。複数の機能層104のそれぞれは、一つの電極108と電気的に接続される。第二可撓性層206に電源接続口210が設置される。第二可撓性層206に開口部2062が設置される。各々の機能層204は、一つの長手形状の開口部2062に対応する。第二実施例から提供される理学療法パッチは、第一実施例から提供される理学療法パッチ100と基本的に同じであり、異なるのは、第二可撓性層の各々の機能層204に対する開口部2062の形状及び数量である。
【0024】
図5を参照すると、第三実施例において、フレキシブルパッチ30は、第一可撓性層302、第二可撓性層306、複数の機能層304及び複数の電極308を含む。第一可撓性層302及び第二可撓性層306が積層して設置される。複数の機能層304は、第一可撓性層302と第二可撓性層306との間に設置される。複数の機能層304は、左列及び右列の2列に並んで、分布する。左列に位置する機能層304と右列に位置する機能層304がそれぞれ対称に分布する。左列及び右列に位置する対称に分布する二つの機能層304は、複数の機能層対を形成する。複数の機能層対のそれぞれが一つの異なる電極308と電気的に接続される。本実施例から提供される理学療法パッチは、第一実施例から提供される理学療法パッチ100と基本的に同じであり、異なるのは、機能層304と電極308との接続関係、及び機能層304の数量が電極308の数量の2倍であることである。機能層304と電極308との接続関係は、コントローラー40が回路を制御することによって、選択的に顔の皮膚を刺激することに有利である。
【0025】
K個の電極は、形状が制限されず、導電フィルム、金属シート又は金属リード線である。好ましくは、K個の電極が、線状の導電フィルムであり、線状の導電フィルムの厚さが制限されない。電極の材料は、金属、合金、ITO、ATO、導電銀テープ、導電性ポリマー及び導電カーボンナノチューブ等のいずれかの一種である。金属又は合金材料は、アルミニウム、銅、タングステン、モリブデン、金、チタン、ネオジム、パラジウム、セシウム又は任意の組み合わせの合金である。本実施例において、K個の電極は、線状の銅導電フィルムであり、銅導電フィルムの厚さが1マイクロメートルである。電極は、可撓性が優れ、厚さが薄い材料を選択するべきである。
【0026】
各機能層は、カーボンナノチューブ層であってもよい。カーボンナノチューブ層は、均一に分布した複数のカーボンナノチューブを含み、カーボンナノチューブは、分子間力で緊密に結合する。カーボンナノチューブ層は、カーボンナノチューブのみを含む純粋なカーボンナノチューブ層である。カーボンナノチューブ層の厚さは、50ナノメートル~100マイクロメートルであることが好ましい。カーボンナノチューブ層におけるカーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ及び多層カーボンナノチューブの中の一種又は多種である。カーボンナノチューブは、純粋なカーボンナノチューブチューブであってもよい。純粋なカーボンナノチューブは、カーボンナノチューブの表面にアモルファスカーボン及び官能基などの不純物を含まない。単層カーボンナノチューブの直径は、0.5ナノメートル~50ナノメートルであり、二層カーボンナノチューブの直径は、1.0ナノメートル~50ナノメートルであり、多層カーボンナノチューブの直径は、1.5ナノメートル~50ナノメートルである。カーボンナノチューブ層は、配向して配置されている複数のカーボンナノチューブ又は配向せず、ランダムに配置されている複数のカーボンナノチューブを含む。配向して配置されることは、複数のカーボンナノチューブが同じ方向に沿って配列していることを指す。
【0027】
好ましくは、カーボンナノチューブ層は自立構造である。ここで、「自立構造」とは、支持体材を利用せず、自体の所定の形状を保持でき、カーボンナノチューブ層を独立して利用することができるという形態のことである。すなわち、カーボンナノチューブ層を対向する両側から支持して、カーボンナノチューブ層の構造を変化させずに、カーボンナノチューブ層を懸架させることができることを意味する。自立構造のカーボンナノチューブ層は、複数のカーボンナノチューブを含み、複数のカーボンナノチューブが分子間力によって互いに引き付けられ、ネットワーク構造を形成し、カーボンナノチューブ層を所定の形状を有させ、一体構造を有する自立構造であるカーボンナノチューブ層を形成するようになる。例えば、カーボンナノチューブスラリー層の自立構造ではないカーボンナノチューブ層と比べて、自立構造のカーボンナノチューブ層は、より優れた可撓性を有する。実験によって、カーボンナノチューブスラリーを機能層として、フレキシブルパッチの内部に塗布されると、カーボンナノチューブスラリーが乾燥した後、カーボンナノチューブスラリーが塗布されたので、フレキシブルパッチの可撓性が下がることが分かる。
【0028】
具体的には、カーボンナノチューブ層は、少なくとも一枚のカーボンナノチューブフィルム又は少なくとも一本のカーボンナノチューブラインを含む。カーボンナノチューブ層が複数のカーボンナノチューブフィルムを含む場合、複数のカーボンナノチューブフィルムが積層して設置される。カーボンナノチューブフィルムに、複数のカーボンナノチューブが配向して又は配向せずに配置されている。複数のカーボンナノチューブの配列方式により、カーボンナノチューブフィルムは非配向型のカーボンナノチューブフィルム及び配向型のカーボンナノチューブフィルムの二種に分類される。非配向型のカーボンナノチューブフィルムにおける複数のカーボンナノチューブは、ランダムに配列される。ランダムに配列されることは、複数のカーボンナノチューブの配列方向が不規則であることである。配向型のカーボンナノチューブフィルムにおける複数のカーボンナノチューブは、配列方向が規則的である。具体的には、非配向型のカーボンナノチューブフィルムにおける複数のカーボンナノチューブは絡み合って、非配向型のカーボンナノチューブフィルムからなるカーボンナノチューブ層は、等方性を有する。配向型のカーボンナノチューブフィルムでは、複数のカーボンナノチューブが一つの方向又は複数の方向に沿って、配向に配列している。カーボンナノチューブフィルムは、ドローン構造カーボンナノチューブフィルム、プレシッド構造カーボンナノチューブフィルム又は綿毛構造カーボンナノチューブフィルムである。
【0029】
ドローン構造カーボンナノチューブフィルムは、超配列カーボンナノチューブアレイ(Superaligned array of carbon nanotubes,非特許文献1を参照)から引き出して得られ、自立構造を有したものである。ドローン構造カーボンナノチューブフィルム及びその製造方法は、特許文献1を参照されたい。
【0030】
カーボンナノチューブ層は、一層のドローン構造カーボンナノチューブフィルム又は二層以上のドローン構造カーボンナノチューブフィルムを含む。カーボンナノチューブ層が二層以上のドローン構造カーボンナノチューブフィルムを含む場合、複数のドローン構造カーボンナノチューブフィルムが積層して設置され、又は並列して設置される。隣接するドローン構造カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブは、交差角度αを成し、交差角度αが0°~90°である(0°≦α≦90°)。複数のドローン構造カーボンナノチューブフィルムの間又は一枚のドローン構造カーボンナノチューブフィルムにおける隣接するカーボンナノチューブの間に間隔を有するので、カーボンナノチューブ層に複数の微孔が形成され、微孔の直径が10マイクロメートル以下である。
【0031】
綿毛構造カーボンナノチューブフィルム(flocculated carbon nanotube film)は、凝集法によって形成されたカーボンナノチューブフィルムである。綿毛構造カーボンナノチューブフィルム及びその製造方法は、特許文献2を参照されたい。
【0032】
プレシッド構造カーボンナノチューブフィルム(pressed carbon nanotube film)は、押し器具を利用することにより、所定の圧力をかけてカーボンナノチューブアレイを押し、カーボンナノチューブアレイを圧力で倒すことにより形成された、シート状の自立構造を有するものである。プレシッド構造カーボンナノチューブフィルム及びその製造方法は、特許文献3を参照されたい。
【0033】
カーボンナノチューブ層が複数のカーボンナノチューブワイヤを含む場合、複数のカーボンナノチューブワイヤが平行して設置され、並べて設置され、交差して設置され、又は編まれて、二次元のカーボンナノチューブ層を形成することができる。カーボンナノチューブワイヤは、非ねじれ状のカーボンナノチューブワイヤ又はねじれ状のカーボンナノチューブワイヤである。
【0034】
非ねじれ状のカーボンナノチューブワイヤは、ドローン構造カーボンナノチューブフィルムを、有機溶剤で処理して形成したものである。非ねじれ状のカーボンナノチューブワイヤは、その長手方向に沿って、配列し、端と端が接続された複数のカーボンナノチューブを含む。好ましくは、非ねじれ状のカーボンナノチューブワイヤは、分子間力によって、端と端とが接続された複数のカーボンナノチューブセグメント(図示せず)を含む。各々のカーボンナノチューブセグメントに、平行に配列され、分子間力によって緊密に接続された複数のカーボンナノチューブを含む。カーボンナノチューブセグメントは、任意の長さ、厚さ、均一性及び形状を有する。非ねじれ状のカーボンナノチューブワイヤの長さが制限されず、直径が0.5ナノメートル~100マイクロメートルである。
【0035】
ねじれ状のカーボンナノチューブワイヤは、機械外力でドローン構造カーボンナノチューブフィルムを処理して形成されたものである。具体的には、ドローン構造カーボンナノチューブフィルムの両端を異なる方向に沿って絞る。ねじれ状のカーボンナノチューブワイヤは、該カーボンナノチューブワイヤの中心軸を軸に、螺旋状に配列された複数のカーボンナノチューブを含む。ねじれ状のカーボンナノチューブワイヤは、分子間力で端と端とが接続された複数のカーボンナノチューブセグメントを含む。各々のカーボンナノチューブセグメントは、平行に配列され、分子間力によって緊密に接続された複数のカーボンナノチューブを含む。カーボンナノチューブセグメントは、任意の長さ、厚さ、均一性及び形状を有する。ねじれ状のカーボンナノチューブワイヤの長さが制限されず、直径が0.5ナノメートル~100マイクロメートルである。カーボンナノチューブワイヤ及びその製造方法は、特許文献4及び特許文献5を参照されたい。
【0036】
カーボンナノチューブ層は、第一可撓性層又は/及び第二可撓性層よりも優れた可撓性を有する。カーボンナノチューブ層を機能層として、フレキシブルパッチに応用される時、フレキシブルパッチの可撓性は、機能層の設置によって低下することない。カーボンナノチューブ層の強度が強いので、フレキシブルパッチを折り曲げても引っ張っても、カーボンナノチューブ層が破壊されない。
【0037】
図6を参照すると、本発明は、さらに理学療法パッチの使用方法を提供する。もちろん、理学療法パッチの使用方法は、理学療法パッチの作動方法でもある。理学療法パッチの使用方法は、以下のステップを含む。
【0038】
ステップ一:理学療法パッチを提供する。
【0039】
理学療法パッチは、フレキシブルパッチを含む。フレキシブルパッチは、第一可撓性層、第二可撓性層、複数の機能層及び複数の電極を含む。第一可撓性層及び第二可撓性層が積層して設置される。複数の機能層は、第一可撓性層と第二可撓性層との間に設置される。各一つの前記電極は、一つの前記機能層又は一対の前記機能層と電気的に接続される。理学療法パッチは、上記の実施例の任意の一つの理学療法パッチである。
【0040】
ステップ二:可撓性導電フィルムを提供し、可撓性導電フィルムをユーザの皮膚に貼り付ける。
【0041】
可撓性導電フィルムは、ユーザの皮膚に直接に貼り付けることができる。可撓性導電フィルムは、導電性材料であり、一定の可撓性を有し、ユーザの皮膚に貼り付けることができる。好ましくは、可撓性導電フィルムは、一定の接着性を有し、ユーザの皮膚と一定の結合力を有し、ユーザの皮膚にしっかりと貼り付けることができる。本実施例において、可撓性導電フィルムは、ヒドロゲルである。ヒドロゲルは、一定の接着性を有し、フレキシブルパッチをヒドロゲルの可撓性導電フィルムの表面に完全に貼り付けせることができ、且つヒドロゲルは、ユーザの皮膚にしっかりと貼り付けることができる。更に、ヒドロゲルは一定の抵抗を有し、導電性能がちょうどよい。可撓性導電フィルムが自由に交換できる。
【0042】
ステップ三:理学療法パッチのフレキシブルパッチを可撓性導電フィルムに貼り付ける。
【0043】
可撓性導電フィルムは、ユーザの皮膚とフレキシブルパッチとの間に位置する。フレキシブルパッチにおける第二可撓性層は、可撓性導電フィルムと接触する。第二可撓性層が機能層に対応する箇所に少なくとも一つの開口部が設置され、機能層が露出されるので、機能層は、可撓性導電フィルムと直接に接触し、機能層と可撓性導電フィルムが電気的に接続される。可撓性導電フィルムは、フレキシブルパッチをユーザの皮膚から分離することに用いられ、フレキシブルパッチが皮膚によって汚染されることを防止する。可撓性導電フィルムのコストが安いので、自由に交換することができ、且つ可撓性導電フィルムは、導電性材料であるので、フレキシブルパッチがユーザの皮膚に電気刺激を提供することに影響を与えない。
【0044】
ステップ四:複数の電極における任意の二つの電極の間に電圧を印加し、少なくとも一つの回路を形成し、該回路に電流が流れ、電流がユーザの顔の皮膚を流し、ユーザの皮膚を刺激する。
【0045】
理学療法パッチが使用される時に、機能層とユーザの皮膚は回路が形成され、ユーザの皮膚に電流が流れる。電極1及び電極2、電極2及び電極3、電極3及び電極4、……電極K-1及び電極Kの方式で二つの電極の間に電圧を循環するように印加し、それによって、各二つの電極が対応する二対の機能層又は二つの機能層に循環するように電流を入力し、ユーザの皮膚を循環するように刺激する。各一対の電極は、しばらく電圧を印加した後、しばらく電圧を印加しないで、次に他対の電極に電圧を印加する。各対電極の循環時間は、電圧を印加する時間及び電圧を印加しない時間の合計である。電圧を印加する電圧はニーズに応じて設定することができる。好ましくは、電圧を印加する電圧が20V~36Vであり、電圧の周波数が50Khz~100Khzである。
【0046】
一つの電極が一対の機能層と電気的に接続される時に、二つの電極に電圧を印加すると、二対の機能層に電流を入力することができる。一つの電極が一つの機能層と電気的に接続される時に、二つの電極に電圧を印加すると、二つの機能層に電流を入力することができる。具体的には、一つの電極が一つの機能層と電気的に接続される時に、任意の二つの電極に電圧を印加すると、フレキシブルパッチに回路を形成し、回路において、電流が順番に外部電源、第一電極、第一電極と電気的に接続される機能層、可撓性導電フィルム、ユーザの皮膚、可撓性導電フィルム、第二電極と電気的に接続される機能層、第二電極を流れる。一つの電極が一対の機能層と電気的に接続される時に、任意の二つの電極に電圧を印加する時に、並列接続される二つの回路を形成する。各々の回路において、電流が順番に外部電源、第一電極、第一電極と電気的に接続される機能層、可撓性導電フィルム、ユーザの皮膚、可撓性導電フィルム、第二電極と電気的に接続される機能層、第二電極を流れる。各回路における二つの機能層がフレキシブルパッチの同一側に位置する。
【0047】
図2を参照すると、本実施例において、
図2から提供されるフレキシブルパッチ10における機能層104の番号は、左側から右側にそれぞれ、1、2、3、4であり、機能層104と電気的に接続される電極108の番号は、左側から右側にそれぞれ1、2、3、4である。即ち、機能層104の番号は、該機能層104と電気的に接続される電極108の番号と同じである。電極1及び電極2、電極2及び電極3、電極3及び電極4の方式で二つの電極の間に電圧を循環に印加し、二つの電極108を介して、各二つの電極が対応する二対の機能層に循環に電流を入力して、電流によって循環に順に皮膚を刺激する目的を実現するようになる。本実施例において、2sを一つのサイクルとして、1s間電源オンして、1s間電源オフして、このように循環する。各対の電極108の合計通電時間が1sであり、合計停留時間が1sである。電源オンする1s間で、電極108の電圧が20V~36Vで調節して、周波数が90Khzである。
【0048】
本発明の一態様から提供される理学療法パッチ及びその作動方法は、以下の利点を有する。第一に、理学療法パッチは、手で支えることなく、ユーザの手を解放して、人間の皮膚に直接に取り付けることができる。第二に、コントローラーが回路を制御することによって、選択的に皮膚を刺激し、刺激を必要とする位置をより正確に選択でき、非対称性を引き起こすことがない。第三に、理学療法パッチが使用される時、フレキシブルパッチをユーザの皮膚に直接に貼り付けるわけではなく、可撓性導電フィルムを中間層として、フレキシブルパッチを、可撓性導電フィルムを介して、ユーザの皮膚に貼り付ける。従って、可撓性導電フィルムは、フレキシブルパッチをユーザの皮膚から分離して、フレキシブルパッチが皮膚によって汚染されることを防止する。それによって、フレキシブルパッチが再利用される。可撓性導電フィルムのコストが安いので、自由に交換することができ、且つ可撓性導電フィルムは、導電性材料であるので、フレキシブルパッチがユーザの皮膚に電気刺激を提供することに影響を与えない。
【0049】
また、当業者であれば、本発明の精神の範囲内で他の変更を行うことができる。もちろん、本発明の精神に従ってなされたこれらの変更は、いずれも本発明の保護請求する範囲に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0050】
100 理学療法パッチ
10、20、30 フレキシブルパッチ
40 コントローラー
110、210 電源接続口
102、202、302 第一可撓性層
104、204、304 機能層
106、206、306 第二可撓性層
108、208、308 電極
1062、2062、3062 開口部