IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日立オートモティブシステムズ株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-電子制御装置 図1
  • 特開-電子制御装置 図2
  • 特開-電子制御装置 図3
  • 特開-電子制御装置 図4
  • 特開-電子制御装置 図5
  • 特開-電子制御装置 図6
  • 特開-電子制御装置 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023167800
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】電子制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60W 50/04 20060101AFI20231116BHJP
   B60W 30/165 20200101ALI20231116BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20231116BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
B60W50/04
B60W30/165
G08G1/00 X
G08G1/16 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022079268
(22)【出願日】2022-05-13
(71)【出願人】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】関谷 允志
(72)【発明者】
【氏名】渡部 光彦
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BA01
3D241BA64
3D241BA65
3D241BB72
3D241BB74
3D241CC01
3D241CC08
3D241CC17
3D241CC18
3D241CE03
3D241DB02Z
3D241DC01Z
3D241DC21Z
5H181AA01
5H181AA07
5H181BB04
5H181CC03
5H181CC14
5H181LL04
5H181LL06
(57)【要約】
【課題】連結走行する複数の自動運転車両におけるアクチュエータ動作の異常を事前に検知することが可能な電子制御装置を提供する。
【解決手段】電子制御装置は、自車両のアクチュエータ情報及び車両走行情報、並びに、自車両と情報の送受信ができる他車両から受信したアクチュエータ情報及び車両走行情報に基づき、他車両のアクチュエータ情報の変化量を計測する計測部310と、自車両のアクチュエータ情報と、計測部が計測した他車両のアクチュエータ情報の変化量とを比較する比較部320と、比較部の比較結果に基づいて自車両及び他車両のアクチュエータ動作の異常を判定する異常判定部330とを備える。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両のアクチュエータ情報及び車両走行情報、並びに、前記自車両と情報の送受信ができる他車両から受信したアクチュエータ情報及び車両走行情報に基づき、前記他車両のアクチュエータ情報の変化量を計測する計測部と、
前記自車両のアクチュエータ情報と、前記計測部が計測した前記他車両のアクチュエータ情報の変化量とを比較する比較部と、
前記比較部の比較結果に基づいて前記自車両及び前記他車両のアクチュエータ動作の異常を判定する異常判定部と、を備える
電子制御装置。
【請求項2】
前記異常判定部は、前記比較結果の数が少ない前記自車両又は前記他車両の前記アクチュエータ動作に異常が生じたと判定する
請求項1に記載の電子制御装置。
【請求項3】
前記自車両及び前記他車両は、連結走行する車両である
請求項2に記載の電子制御装置。
【請求項4】
前記異常判定部が前記自車両のアクチュエータ動作に異常があると判定した場合、連結走行に前記異常を反映するように制御する連結走行制御部を備える
請求項3に記載の電子制御装置。
【請求項5】
前記自車両及び前記他車両は、同じ車両基地に駐車している車両である
請求項4に記載の電子制御装置。
【請求項6】
前記車両走行情報は、車速、車間距離、及び前記他車両が前記自車両の位置まで走行する走行時間を含む
請求項4に記載の電子制御装置。
【請求項7】
前記異常判定部が前記自車両又は前記他車両のアクチュエータ動作に異常があると判定した場合、異常判定の結果を前記他車両に通知する異常通知部を備える
請求項4に記載の電子制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のアクチュエータ故障を診断するシステムにおいて、アクチュエータ故障が発生した後に故障を検知する過電流診断やオープン診断などが主流である。
【0003】
例えば、特許文献1に記載された技術では、「情報処理装置は、複数の他車両から受信した正当性情報の多数決(すなわち、複数の他車両による投票制)によって、自動運転制御部が正常であるか否かを検出するとよい。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-35180号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、従来の車両のアクチュエータ故障を診断するシステムは、既に発生したアクチュエータ故障を検知する(特許文献1参照)ので、故障に至る前のアクチュエータの劣化等の異常を検出できない問題がある。また、車両の走行条件により故障診断が遅れると、アクチュエータが完全に故障してしまう。例えば、トラックなどの業務用車両の稼働時間が低下することにより、車両の稼働率が下がって故障診断が遅れ、完全に故障することがある。自動運転による連結走行する車両では、完全に故障した車両により、連結走行中の他の車両が移動不可になることで、物流が阻害されて多大な損失を被り得る。なお、自動運転レベルの進化に伴い、車両の連続稼働時間の長時間化が考えられる。そこで、車両運用の効率化のため、車両のアクチュエータの故障や劣化状態などの異常を事前に検知することが必要となる。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、連結走行する複数の自動運転車両におけるアクチュエータ動作の異常を事前に検知することが可能な電子制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、自車両のアクチュエータ情報及び車両走行情報、並びに、自車両と情報の送受信ができる他車両から受信したアクチュエータ情報及び車両走行情報に基づき、他車両のアクチュエータ情報の変化量を計測する計測部と、自車両のアクチュエータ情報と、計測部が計測した他車両のアクチュエータ情報の変化量とを比較する比較部と、比較部の比較結果に基づいて自車両及び他車両のアクチュエータ動作の異常を判定する異常判定部とを備える。
【発明の効果】
【0008】
上記構成の本発明によれば、連結走行する複数の自動運転車両におけるアクチュエータ動作の異常を事前に検知することが可能な電子制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態に係る自動運転車両の概略構成例図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る電子制御装置の基本構成例を示す図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る電子制御装置の機能ブロック図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る電子制御装置における電子制御処理の手順を示すフローチャートである。
図5】本発明の第1実施形態に係る電子制御装置における電子制御処理の具体例を説明するためのフローチャートである。
図6】本発明の第2実施形態に係る電子制御装置の機能ブロック図である。
図7】本発明の第3実施形態に係る電子制御装置の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について、添付図面を参照して説明する。本明細書及び図面において、実質的に同一の機能又は構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
【0011】
<第1実施形態>
[自動運転車両の概略構成例]
まず、本実施形態に係る自動運転車両の概略構成例について説明する。図1は、本実施形態に係る自動運転車両の概略構成例を示す図である。図1に示すように、車両100、車両110及び車両120は、連結走行する複数(3台)の車両である。この連結走行する複数の車両は、無線通信方式により互いに情報の送受信を行うことができる。本実施形態に係る複数の車両は、同じ車種であり、同様な構成を有することを想定する。
【0012】
車両100は、上位電子制御装置130と、下位電子制御装置160と、アクチュエータ190と、センサ220とを有する。上位電子制御装置130と、下位電子制御装置160と、アクチュエータ190及びセンサ220のそれぞれとは、この順で接続される。上位電子制御装置130は、車両110の後述の上位電子制御装置140、及び、車両120の後述の上位電子制御装置150と無線通信方式により情報の送受信ができるように接続される。下位電子制御装置160は、上位電子制御装置130の指示に従い、アクチュエータ190及びセンサ220を駆動する。アクチュエータ190は、車両100の電子制御サスペンション、電動ブレーキ等の駆動装置である。センサ220は、例えば、アクチュエータ190のアクチュエータ情報、例えば、電子制御サスペンションの上下運動情報を感知するセンサであり、アクチュエータ190の動作を検出するためにアクチュエータ190ごとに設けられる。
【0013】
車両110は、上位電子制御装置140と、下位電子制御装置170と、アクチュエータ200と、センサ230とを有する。また、車両120は、上位電子制御装置150と、下位電子制御装置180と、アクチュエータ210と、センサ240とを有する。なお、車両110及び車両120は、車両100と同様な構成を有するため、車両110及び車両120の各機能部の説明を省略する。
【0014】
[電子制御装置の基本構成例]
次に、本実施形態に係る電子制御装置(上位電子制御装置及び下位電子制御装置)の基本構成例について説明する。図2は、本実施形態に係る電子制御装置の基本構成例を示す図である。ここで、車両100(以下、「自車両」と呼ぶ)の電子制御装置を例として説明し、車両110及び車両120の電子制御装置の説明を省略する。車両110,120を区別しない場合、「他車両」と呼ぶことがある。なお、図2に示す上位電子制御装置130の構成は一例であり、上位電子制御装置130の構成はこれに限定されない。
【0015】
上位電子制御装置130は、他車両の上位電子制御装置140,150との間で、相互に各種の情報を送受信する機能を有する。この上位電子制御装置130は、CPU(Central Processing Unit)270を有する。CPU270は、図2に示すように、アクチュエータ情報モニタ部280、車両走行情報モニタ部290、車両間通信部300、信号処理部310、比較部320、異常判定部330及び連結走行制御部340を備える。
【0016】
アクチュエータ情報モニタ部280は、下位電子制御装置160を介して、センサ220が感知したアクチュエータ190のアクチュエータ情報を取得する。アクチュエータ情報モニタ部280がアクチュエータ情報を取得する周期は一定としてもよいし、アクチュエータがサスペンションであれば、サスペンションが動いたタイミングとしてもよい。例えば、車両100がカーブを走行する時に、サスペンションが動いたタイミングで、アクチュエータ情報モニタ部280がアクチュエータ情報を取得できる。なお、アクチュエータ情報モニタ部280は、下位電子制御装置160を介さず、センサ220から直接、アクチュエータ190のアクチュエータ情報を取得する構成としてもよい。
【0017】
車両走行情報モニタ部290は、自車両の車速、他車両と自車両との車両間距離、後方の他車両が自車両の位置まで走行する走行時間、自車両が前方の他車両の位置まで走行する走行時間等を含む車両走行情報を、自車両に設置される各種センサ等から取得する。
【0018】
車両間通信部300は、無線通信方式により、車両110及び車両120との間でアクチュエータ情報及び車両走行情報の送受信を行う。
【0019】
計測部(信号処理部310)は、自車両のアクチュエータ情報及び車両走行情報、並びに、他車両(車両110及び車両120)から受信したアクチュエータ情報及び車両走行情報に基づき、車両110及び車両120のアクチュエータ情報の変化量を計測する。
【0020】
比較部(比較部320)は、自車両のアクチュエータ情報と、信号処理部310が計測した他車両のアクチュエータ情報の変化量とを比較する。ここで、アクチュエータ情報の変化量とは、自車両のアクチュエータ情報が他車両のアクチュエータ情報と比べて変化したか否かの検出結果であり、「0」又は「1」のデジタル値で表される。「0」は比較対象である2つの車両のアクチュエータ情報が同じであることを表し、「1」は比較対象である2つの車両のアクチュエータ情報が異なることを表す。
【0021】
異常判定部(異常判定部330)は、比較部(比較部320)の比較結果に基づいて自車両及び他車両のアクチュエータ動作の異常の有無を判定する。この判定には、比較部320による比較結果であるデジタル値の多数決が用いられる。そこで、車両100,110のアクチュエータ情報が比較される。同様に、車両100,120のアクチュエータ情報が比較され、車両110,120のアクチュエータ情報が比較される。異常判定部330の処理の詳細は、後述する図5にて説明する。
【0022】
連結走行制御部340は、複数の車両による連結走行を制御する。なお、連結走行制御部(連結走行制御部340)は、異常判定部(異常判定部330)が自車両のアクチュエータ動作に異常があると判定した場合、連結走行に支障を来さないように自車両の動作を制御する。一方、異常判定部(異常判定部330)が他車両のアクチュエータ動作に異常があると判定した場合、異常があると判定した他車両に対して、車両間通信部300を通じてアクチュエータ動作の異常発生を通知する。このため、アクチュエータ動作に異常があると判定された他車両が備える連結走行制御部は、連結走行に支障を来さないように他車両の動作を制御する。
【0023】
下位電子制御装置160は、図2に示すように、電源回路、ドライバ回路等を備えるCPU250を有する。なお、図2に示す下位電子制御装置160の構成は一例であり、下位電子制御装置160の構成はこれに限定されない。
【0024】
CPU250の電源回路は、バッテリー260の電源をアクチュエータ190及びセンサ220に供給する。ドライバ回路は、MOS-FET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)等のスイッチング素子で構成され、アクチュエータ190を駆動する。また、CPU250は、センサ220からアクチュエータ190のアクチュエータ情報を取得して上位電子制御装置130のアクチュエータ情報モニタ部280に送信する。
【0025】
次に、上位電子制御装置の内部構成例について詳述する。図3は、本実施形態に係る上位電子制御装置の機能ブロック図である。
【0026】
図3に示すように、例えば、車両100の上位電子制御装置130では、アクチュエータ情報モニタ部280、車両間通信部300、信号処理部310、比較部320、異常判定部330及び連結走行制御部340は、この順で接続される。また、車両走行情報モニタ部290は、車両間通信部300及び信号処理部310の入力側に接続される。また、車両間通信部300は、車両110の上位電子制御装置140の車両間通信部370、及び、車両120の上位電子制御装置150の車両間通信部380のそれぞれと、無線通信方式により情報の送受信ができるように接続される。なお、車両110の上位電子制御装置140、及び、車両120の上位電子制御装置150の構成は、車両100の上位電子制御装置130の構成と同じであるため、重複説明を省略する。
【0027】
アクチュエータ情報モニタ部280は、下位電子制御装置160(図2を参照)を介して、センサ220が感知したアクチュエータ190のアクチュエータ情報を取得する。また、アクチュエータ情報モニタ部280は、取得したアクチュエータ情報を車両間通信部300及び信号処理部310に出力する。
【0028】
車両走行情報モニタ部290は、自車両の車速、自車両と他車両との車両間距、他車両が自車両の位置まで走行する走行時間等を含む車両走行情報を、自車両に設置される速度センサやLiDAR(Light Detection And Ranging)などの各種センサから取得する。また、車両走行情報モニタ部290は、取得した車両走行情報を信号処理部310に出力する。なお、車両走行情報モニタ部290が取得する車両走行情報は、車速、車両間距離、及び、他車両が自車両の位置まで走行する走行時間に限定されず、信号処理部310が信号処理に使用する情報であれば、任意に追加又は変更可能である。
【0029】
車両間通信部300は、アクチュエータ情報モニタ部280が取得した自車両のアクチュエータ情報を、車両110(車両間通信部370)及び車両120(車両間通信部380)に送信する。また、車両間通信部300は、車両走行情報モニタ部290が取得した車両走行情報を入力して、車両110(車両間通信部370)及び車両120(車両間通信部380)に送信する。また、車両間通信部300は、車両110(車両間通信部370)及び車両120(車両間通信部380)から、車両110及び車両120のアクチュエータ情報(他車両のアクチュエータ情報)及び車両走行情報(他車両の車両走行情報)を受信する。また、車両間通信部300は、他車両(車両110及び車両120)から受信したアクチュエータ情報及び車両走行情報を信号処理部310に出力する。
【0030】
信号処理部310は、自車両のアクチュエータ情報及び車両走行情報、並びに、車両110及び車両120から受信したアクチュエータ情報及び車両走行情報に基づいて、車両110及び車両120のアクチュエータ情報の変化量を計測する。また、信号処理部310は、計測した車両110及び車両120(他車両)のアクチュエータ情報の変化量を比較部320に出力する。なお、他車両のアクチュエータ情報の変化量としては、例えば、アクチュエータがサスペンションである場合、サスペンションの上下運動を感知する加速度センサが検出した加速度センサ値の変化量である。この場合、加速度センサ値の変化量は、例えば、車両100に後続する車両120(他車両)が車両100(自車両)の位置まで走行する走行時間後の車両120の加速度センサ値が計測される。
【0031】
比較部320は、自車両のアクチュエータ情報と、信号処理部310が計測した他車両のアクチュエータ情報の変化量とを比較し、比較結果を異常判定部330に出力する。例えば、自車両のアクチュエータ情報と、他車両のアクチュエータ情報の変化量とが一致する場合、比較結果として「0」のデジタル数値が出力される。一方、自車両のアクチュエータ情報と、他車両のアクチュエータ情報の変化量とが一致しない場合に、比較結果として「1」のデジタル数値が出力される。
【0032】
異常判定部330は、比較部320の比較結果に基づいて自車両及び他車両のアクチュエータ動作の異常を判定する。異常判定の方法としては、例えば、多数決判定方法がある。多数決判定方法では、異常判定部330は、比較結果の数(デジタル値ごとの数)が少ない自車両又は他車両のアクチュエータ動作に異常が生じたと判定する。具体的には、異常判定部330は、自車両のアクチュエータ情報と、他車両のアクチュエータ情報の変化量との比較結果において、自車両のデジタル値「0」と同じデジタル値「0」を出力した他車両があれば、自車両のアクチュエータ動作に異常がないと判断する。一方、異常判定部330は、自車両のアクチュエータ情報と、他車両のアクチュエータ情報の変化量との比較結果において、自車両のデジタル値「0」と異なるデジタル値「1」を出力した他車両があれば、デジタル値「1」を出力した他車両の数が、自車両のデジタル値「0」を出力した数より多いか少ないかを判断する。例えば、異常判定部330は、デジタル値「1」を出力した他車両の数(例えば「1」)が、自車両と他車両がデジタル値「0」を出力した数(例えば「2」)より少なければ、デジタル値「1」を出力した他車両のアクチュエータ動作に異常があると判断する。一方、デジタル値「1」を出力した他車両の数(例えば「2」)が、自車両のデジタル値「0」を出力した数(例えば「1」)より多ければ、自車両のアクチュエータ動作に異常があると判断する。なお、多数決判定方法は、異常判定の方法の一例であり、本発明はこれに限定されず、アクチュエータ情報及び車両走行情報を用いて異常を判定できる方法であれば、任意の判定方法を適用可能である。また、異常判定部330は、異常判定の結果を連結走行制御部340に出力する。
【0033】
連結走行制御部340は、異常判定部330が自車両アクチュエータ動作に異常があると判定した場合、連結走行に異常を反映するように制御する。連結走行に異常を反映する方法としては、例えば、自車両を連結走行車両列から外す方法、連結走行している車両群の速度を低下して安全に停止できる場所まで走行する方法等、異常がない車両の連結走行を妨げない方法であれば、任意の方法を適用可能である。また、異常が発生した車両の情報を、他車両に通知する方法を用いてもよい。
【0034】
[電子制御装置における制御処理の手順]
次に、本実施形態に係る電子制御装置における電子制御処理の手順について説明する。図4は、本実施形態に係る電子制御装置における電子制御処理の手順を示すフローチャートである。なお、ここで、車両100の電子制御装置(上位電子制御装置130及び下位電子制御装置160)における電子制御処理を例として説明し、車両110及び車両110の電子制御装置における電子制御処理の説明を省略する。以下に説明する処理は、上位電子制御装置130のアクチュエータ情報モニタ部280が、下位電子制御装置160のCPU250から自車両のアクチュエータ情報を入力すると開始する。
【0035】
まず、アクチュエータ情報モニタ部280は、下位電子制御装置160から自車両のアクチュエータ情報を取得する(ステップS101)。また、この処理において、アクチュエータ情報モニタ部280は、取得した自車両のアクチュエータ情報を車両間通信部300及び信号処理部310に出力する。
【0036】
次いで、車両走行情報モニタ部290は、車両110の車速、車両間距離等の自車両の車両走行情報を、自車両に設置される速度センサやLiDARなどの各種センサから取得する(ステップS102)。また、この処理において、車両走行情報モニタ部290は、取得した自車両の車両走行情報を車両間通信部300及び信号処理部310に出力する。
【0037】
次いで、車両間通信部300は、アクチュエータ情報及び車両走行情報の送受信を行う(ステップS103)。この処理において、車両間通信部300は、自車両のアクチュエータ情報及び車両走行情報を車両110(車両間通信部370)及び車両120(車両間通信部380)に送信する。また、車両間通信部300は、車両110(車両間通信部370)及び車両120(車両間通信部380)から、車両110及び車両120のアクチュエータ情報(他車両のアクチュエータ情報)及び車両走行情報(他車両の各種車両走行情報)を受信する。また、車両間通信部300は、受信した他車両のアクチュエータ情報及び他車両の車両走行情報を信号処理部310に出力する。
【0038】
次いで、信号処理部310は、入力した自車両及び他車両のアクチュエータ情報、車両走行情報に基づき、他車両のアクチュエータ情報の変化量を計測する(ステップS104)。また、この処理において、信号処理部310は、計測した他車両のアクチュエータ情報の変化量を比較部320に出力する。なお、信号処理部310における他車両のアクチュエータ情報の変化量を計測する処理について、後述の図5で詳述する。
【0039】
次いで、比較部320は、自車両のアクチュエータ情報と、信号処理部310が計測した他車両のアクチュエータ情報変化量との比較処理を行う(ステップS105)。また、この処理において、比較部320は、比較結果を異常判定部330に出力する。なお、比較部320における比較処理について、後述の図5で詳述する。
【0040】
次いで、異常判定部330は、比較部320の比較結果に基づいて自車両及び他車両のアクチュエータ動作の異常判定を行う(ステップS106)。また、この処理において、異常判定部330は、異常判定の結果を連結走行制御部340に出力する。なお、異常判定部330における各車両のアクチュエータ動作の異常判定について、後述の図5で詳述する。
【0041】
次いで、連結走行制御部340は、異常判定部330から入力した異常判定の結果が、自車両のアクチュエータ190の動作に異常があることを示す場合に、連結走行に異常を反映するように制御する(ステップS107)。なお、異常判定部330から入力した異常判定の結果が、自車両のアクチュエータ190の動作に異常があることを示さない場合に、連結走行制御部340は通常どおりの連結走行を行うようにアクチュエータ190を制御する。
【0042】
以下の説明では、アクチュエータ190が電子制御サスペンションである場合、図4で説明した電子制御装置における電子制御処理の具体例を説明する。
【0043】
図5は、本実施形態に係る電子制御装置における電子制御処理の具体例を説明するためのフローチャートである。図5は、図4と同様に、車両100の電子制御装置における電子制御処理を例として説明する。ここで、連結走行で自動運転する業務用車両の電子制御サスペンションの動作の異常を判定する処理を例とする。なお、以下では、図4に示す、ステップS101~S103の処理に関する説明を省略し、上位電子制御装置130の信号処理部310が、電子制御サスペンションの動作の異常を判定するためのアクチュエータ情報及び車両走行情報を取得する処理から説明する。
【0044】
まず、上位電子制御装置130の信号処理部310は、自車両のアクチュエータ情報及び自車両の車両走行情報を取得する(ステップS201)。この処理において、信号処理部310は、アクチュエータ情報モニタ部280から自車両のアクチュエータ情報である加速度センサ値A100を取得する(図4のステップS101参照)。また、信号処理部310は、車両走行情報モニタ部290から自車両の車両走行情報である、自車両から車両110までの車間距離X110、及び、自車両から車両120までの車間距離X120を取得する(図4のステップS102参照)。
【0045】
次いで、信号処理部310は、他車両のアクチュエータ情報及び他車両の車両走行情報を取得する(ステップS202)。この処理において、信号処理部310は、車両間通信部300から、車両110のアクチュエータ情報である加速度センサ値A110、及び、車両120のアクチュエータ情報である加速度センサ値A120を取得する(図4のステップS103参照)。また、信号処理部310は、車両間通信部300から、車両110の車速V110及び車両120の車速V120を取得する(図4のステップS103参照)。
【0046】
ステップS202の後、信号処理部310は、他車両のアクチュエータ情報の変化量を計測する(ステップS203)。この処理において、信号処理部310は、車両120との車間距離X120及び車両120の車速V120を基に、X120/V120時間後の加速度センサ値A120を車両120のアクチュエータ情報の変化量として計測する。同様に、信号処理部310は、車両110との車間距離X110及び車両110の車速V110を基に、X110/V110時間前の加速度センサ値A110を車両110のアクチュエータ情報の変化量として計測する。また、信号処理部310は、計測した車両110及び車両120のそれぞれのアクチュエータ情報の変化量を比較部320に出力する。
【0047】
次いで、比較部320は、自車両のアクチュエータ情報と、信号処理部310が計測した車両120のアクチュエータ情報の変化量との比較処理を行う(ステップS204)。ステップS204以降の説明では、車両110,100,120の比較結果のデジタル値を、(車両110のデジタル値、車両100のデジタル値,車両120のデジタル値)の形式で記載する。なお、車両100のアクチュエータ情報及び車両走行情報は、他車両のアクチュエータ情報及び車両走行情報の比較の基準となる。そこで、車両100のデジタル値は「0」とする。また、車両100と比較する前の他車両のデジタル値は「-」で表す。
【0048】
ステップS204の処理において、比較部320は、自車両のアクチュエータ情報(A100)が、車両120のアクチュエータ情報の変化量(X120/V120時間後のA120)と同じであると判定した場合(ステップS204のYES)、ステップS205の処理を行う。ステップS204の処理でYES判定された時、比較結果のデジタル値は、(-,0,0)で表される。
【0049】
ステップS205の処理では、比較部320は、自車両のアクチュエータ情報(A100)と、車両110のアクチュエータ情報の変化量(X110/V110時間前のA110)との比較処理を行う。比較部320は、自車両のアクチュエータ情報(A100)が、車両110のアクチュエータ情報の変化量(X110/V110時間前のA110)と同じであると判定した場合(ステップS205のYES)、異常判定部330は、ステップS206の処理を行う。ステップS205の処理でYES判定された時、比較結果のデジタル値は、(0,0,0)で表される。車両110,100,120のアクチュエータ情報の変化量はいずれも一致しており、デジタル値の多数決により、異常判定部330は、車両110,100,120のアクチュエータ情報が正しいと推定できる。そこで、異常判定部330は、車両100,車両110及び車両120の電子制御サスペンションの動作に異常がないと判定する(ステップS206)。
【0050】
一方、ステップS205の処理において、比較部320は、自車両のアクチュエータ情報が、車両110のアクチュエータ情報の変化量と異なると判定した場合(ステップS205のNO)、異常判定部330は、ステップS207の処理を行う。ステップS205の処理でNO判定された時、比較結果のデジタル値は、(1,0,0)で表される。車両110のデジタル値「1」の数は1つであり、車両100,120のデジタル値「0」の数は2つであるため、異常判定部330は、デジタル値の多数決により、車両100,120のアクチュエータ情報が正しいと推定できる。そこで、異常判定部330は、車両110の電子制御サスペンションの動作に異常があると判定する(ステップS207)。
【0051】
ステップS204のNO判定の処理に戻ってフローチャートの説明を続ける。
ステップS204の処理において、比較部320は、自車両のアクチュエータ情報が、車両120のアクチュエータ情報の変化量と異なると判定した場合(ステップS204のNO)、ステップS208の処理を行う。ステップS204の処理でNO判定された時、比較結果のデジタル値は、(-,0,1)で表される。
【0052】
ステップS208の処理では、比較部320は、自車両のアクチュエータ情報(A100)と、車両110のアクチュエータ情報の変化量(X110/V110時間前のA110)との比較処理を行う(ステップS208)。比較部320は、自車両のアクチュエータ情報(A100)が車両110のアクチュエータ情報の変化量(X110/V110時間前のA110)と同じであると判定した場合(ステップS208のYES)、異常判定部330は、ステップS209の処理を行う。ステップS208の処理でYES判定された時、比較結果のデジタル値は、(0,0,1)で表される。車両110,100のデジタル値「0」の数は2つであり、車両120のデジタル値「1」の数は1つであるため、異常判定部330は、デジタル値の多数決により、車両110,100のアクチュエータ情報が正しいと推定できる。そこで、異常判定部330は、車両120の電子制御サスペンションの動作に異常があると判定する(ステップS209)。
【0053】
一方、ステップS208の処理において、比較部320は、自車両のアクチュエータ情報が車両110のアクチュエータ情報の変化量と異なると判定した場合(ステップS208のNO)、異常判定部330は、ステップS210の処理を行う。ステップS208の処理でNO判定された時、比較結果のデジタル値は、(1,0,1)で表される。車両110,120のデジタル値「1」の数は2つであり、車両100のデジタル値「0」の数は1つであるため、異常判定部330は、デジタル値の多数決により、車両110,120のアクチュエータ情報が正しいと推定できる。そこで、異常判定部330は、車両100の電子制御サスペンションの動作に異常があると判定する(ステップS210)。
【0054】
ステップS206、S207、209又はS210の処理後、連結走行制御部340は、連結走行制御に異常を反映する(ステップS211)。この処理において、連結走行制御部340は、ステップS206、S207、S209又はS210処理の異常判定の結果において、自車両の電子制御サスペンションの動作に異常があると判定された場合、自車両を連結走行車両列から外す制御を行う。また、連結走行制御部340は、車両110,120のいずれかの電子制御サスペンションの動作に異常があると判定された場合、異常が判定された車両110,120のいずれかを連結走行車両列から外す制御を行う。
【0055】
なお、上述したステップS201~S202の処理は、図4に示すステップS101~103の処理に対応する。上述したステップS203の処理は、図4に示すステップS104の処理に対応する。上述したステップS204、S205及びS208の処理は、図4に示すステップS105の処理に対応する。上述したステップS206、S207、209及びS210の処理は、図4に示すステップS106の処理に対応する。また、上述したステップS211の処理は、図4に示すステップS107の処理に対応する。
【0056】
[効果]
上述したように、本実施形態の電子制御装置は、自車両のアクチュエータ情報と、計測した他車両のアクチュエータ情報の変化量とを比較することにより、自車両及び他車両のアクチュエータ動作に異常があるか否かを判定する。このため、本実施形態の電子制御装置によれば、異常のある車両が完全に故障になる前、すなわち、事前に、アクチュエータ動作の異常を検知することができる。また、本実施形態では、連結走行の各車両が同じ電子制御装置を備えるため、異常がある車両が連結走行車両列から外されても、他車両が止まらずに連結走行を継続することができる。
【0057】
<第2実施形態>
図6は、本発明の第2実施形態に係る電子制御装置の機能ブロック図である。本実施形態の電子制御装置(上位電子制御装置及び下位電子制御装置)では、図6図3と比較して分かるように、アクチュエータ情報モニタ部及び車両間通信部は、車両の上位電子制御装置の内部に設置されず、下位電子制御装置の内部に設けられている。なお、アクチュエータ情報モニタ部及び車両間通信部以外の電子制御装置の各部の機能は、図3で説明した各部と同様であるため、重複説明を省略する。
【0058】
以下では、図6に示す車両100のアクチュエータ情報モニタ部280及び車両間通信部300を例として説明する。車両110のアクチュエータ情報モニタ部350及び車両間通信部370、並びに、車両120のアクチュエータ情報モニタ部360及び車両間通信部380の説明を省略する。また、図6に示す前後車両110の上位電子制御装置140と、前後車両120の上位電子制御装置150の内部構成は、車両100の上位電子制御装置130と同じであるので、図示と説明を省略する。
【0059】
車両100のアクチュエータ情報モニタ部280は、下位電子制御装置160に接続されるセンサ220からアクチュエータ190のアクチュエータ情報を取得し、車両間通信部300及び上位電子制御装置130の信号処理部310に出力する。
【0060】
車両間通信部300は、アクチュエータ情報モニタ部280が取得した自車両のアクチュエータ情報を、車両110の下位電子制御装置170の車両間通信部370、及び、車両120の下位電子制御装置180の車両間通信部380に送信する。また、車両間通信部300は、上位電子制御装置130の車両走行情報モニタ部290が取得した車両走行情報を入力して、車両110(車両間通信部370)及び車両120(車両間通信部380)に送信する。また、車両間通信部300は、車両110(車両間通信部370)及び車両120(車両間通信部380)から、車両110及び車両120のアクチュエータ情報及び車両走行情報を受信する。また、車両間通信部300は、車両110(車両間通信部370)及び車両120(車両間通信部380)から受信した車両110及び車両120のアクチュエータ情報、車両走行情報を信号処理部310に出力する。
【0061】
なお、図6では、アクチュエータ情報モニタ部及び車両通信部のみが下位電子制御装置の内部に設けられる構成について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、図3に示す上位電子制御装置130の全ての機能部を下位電子制御装置の内部に設けてもよい。
【0062】
[効果]
上述したように、本実施形態の電子制御装置では、アクチュエータ情報モニタ部及び車両通信部は、車両の上位電子制御装置の内部に設置されず、下位電子制御装置の内部に設けられている。このようの構成により、上位電子制御装置の処理負荷を低減することができる。
【0063】
<第3実施形態>
図7は、本発明の第3実施形態に係る電子制御装置の機能ブロック図である。図7図3と比較して分かるように、本実施形態では、車両100の上位電子制御装置130のみが車両走行情報モニタ部290、信号処理部310、比較部320、異常判定部330、連結走行制御部340及び異常通知部390を有する。また、車両110の上位電子制御装置140は異常把握部400を有し、車両120の上位電子制御装置150は異常把握部410を有する。なお、車両100の異常通知部390、車両110の異常把握部400及び車両120の異常把握部410以外の各部の構成は、図3で説明した各部と同様であるため、重複説明を省略する。
【0064】
車両100の上位電子制御装置130の異常通知部390は、異常判定部330が自車両又は他車両のアクチュエータ動作に異常があると判定した場合、異常判定の結果を車両110及び車両120(他車両)に通知する。具体的には、図7に示すように、異常通知部390は、異常判定部330の出力側に接続され、異常判定部330から異常判定の結果を入力する。また、異常通知部390は、異常判定の結果を無線通信方式により、車両110の異常把握部400及び車両120の異常把握部410のそれぞれに送信する。
【0065】
車両110の異常把握部400は、車両100の異常通知部390により通知された異常判定の結果から、自車両(車両110)のアクチュエータ動作に関する異常情報を検出する。また、異常把握部400は、自車両のアクチュエータ動作に関する異常情報を検出した場合、検出した異常情報を連結走行制御部420に出力する。
【0066】
なお、車両120の異常把握部410の動作は、車両110の異常把握部400の動作と同様であるため、重複説明を省略する。
【0067】
[効果]
上述したように、本実施形態では、車両100の上位電子制御装置130のみが車両走行情報モニタ部290、信号処理部310、比較部320、異常判定部330及び連結走行制御部340を有する。すなわち、連結走行車両列の中、1台の車両のみがアクチュエータ動作の異常判定に関連する各機能部を有する。この1台の車両は、自車両及び他車両のアクチュエータ動作の異常判定を行い、異常判定の結果を他車両に通知する。他車両の電子制御装置では、異常判定に関する処理が行われないので、他車両の電子制御装置の負荷を低減することができる。
【0068】
<各種変形例>
以上、本発明の各実施形態に係る電子制御装置及び電子制御装置における電子制御方法について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限り、その他種々の変形例の態様を取ることができる。
【0069】
上述した各実施形態では、車両100(自車両)が、自身に隣接する車両110及び車両120との間でアクチュエータ情報及び車両走行情報の送受信を行う例を説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、車両100が車両110及び車両120に加えて、車両110より前を走行する車両、車両120より後ろを走行する車両により車列を構成すると想定する。この場合、車両100は、車両110より前を走行する各他車両や、車両120より後ろを走行する各他車両などとの間でアクチュエータ情報及び車両走行情報の送受信を行うことも可能である。また、車両100(自車両)は、自身に隣接する車両以外の車列中の他車両から受信したアクチュエータ情報及び車両走行情報に基づいて、各車両のアクチュエータの異常判定を行うことも可能である。
【0070】
上述した各実施形態及び変形例では、連結走行で自動運転する業務用車両に対する異常判定処理を例として説明したが、本発明はこれに限定されない。本実施形態に係る上位電子制御装置は、例えば、業務終了後に車両基地に戻ってきた業務用車両に対しても、すなわち、複数の車両が連結走行していない場合にも、同じ車両基地に駐車している車両間の通信により、事前にアクチュエータ動作の異常を検知することができる。
【0071】
また、上述した各実施形態及び変形例では、電子制御サスペンションの異常判定処理を例として説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、車両制動を行う電動ブレーキや、ハンドル操作を行う電動パワーステアリングなどのアクチュエータに対しても、事前に異常を検知することは可能である。アクチュエータが電動ブレーキである場合、アクチュエータ情報の変化量としては、ブレーキ圧の変化量としてもよい。また、アクチュエータが電動パワーステアリングである場合、アクチュエータ情報の変化量としては、基準位置に対する操舵角としてもよい。
【0072】
また、上述した各実施形態及び変形例では、車両100の上位電子制御装置130が異常通知部390を備える構成を説明したが、本発明はこれに限定にされない。例えば、上位電子制御装置130において、異常通知部390を別途に設けず、他車両に対する異常通知の機能を車両間通信部300の内部に設けてもよい。このようにする場合、車両間通信部300は、異常判定部330から異常判定の結果を取得し、異常判定の結果を車両110の車両間通信部370及び車両120の車両間通信部380に送信する。車両110及び車両120のそれぞれにおいて、車両間通信部が受信した異常判定の結果を異常把握部に出力する。
【符号の説明】
【0073】
130,140,150…上位電子制御装置、160,170,180…下位電子制御装置、190,200,210…アクチュエータ、220,230,240…センサ、250,270…CPU、280,350,360…アクチュエータ情報モニタ部、290…車両走行情報モニタ部、300,370,380…車両間通信部、310…信号処理部、320…比較部、330…異常判定部、340,420,430…連結走行制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7