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特開2023-167807搬送経路、記録装置、記録システム、および搬送装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023167807
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】搬送経路、記録装置、記録システム、および搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 5/38 20060101AFI20231116BHJP
   B65H 29/52 20060101ALI20231116BHJP
   B65H 5/06 20060101ALI20231116BHJP
   B65H 43/00 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
B65H5/38
B65H29/52
B65H5/06 D
B65H43/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022079279
(22)【出願日】2022-05-13
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 祐登
【テーマコード(参考)】
3F048
3F049
3F101
【Fターム(参考)】
3F048AA01
3F048AB01
3F048BA06
3F048BA08
3F048BB02
3F048BB05
3F048BC03
3F049AA03
3F049DA12
3F049DA14
3F049DB05
3F049DB06
3F049LA01
3F049LB01
3F101FC01
3F101FC16
3F101LA01
3F101LB01
(57)【要約】
【課題】搬送経路において、搬送経路を構成する経路部材を搬送経路の幅方向に亘って交換すると、経路部材のうち交換する必要のない部分も交換する虞がある。
【解決手段】搬送経路TRは、媒体Pを搬送方向に搬送する搬送経路TRであって、媒体Pを案内する経路部材XPを、搬送方向と交差するX軸方向に複数有し、複数の経路部材XPは、互いに入れ替え可能である。
【選択図】図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を搬送方向に搬送する搬送経路であって、
前記媒体を案内する経路部材を、前記搬送方向と交差する前記搬送経路の経路幅方向に複数有し、
複数の前記経路部材は、互いに入れ替え可能である、
ことを特徴とする搬送経路。
【請求項2】
前記複数の前記経路部材は、同一形状である、
ことを特徴とする請求項1に記載の搬送経路。
【請求項3】
前記経路部材は、組付部と、被組付部と、を備え、
前記複数の前記経路部材のうちの二つの前記経路部材を第1経路部材と第2経路部材とし、所定の位置に配置される前記第1経路部材と隣り合う隣接位置に前記第2経路部材を配置するとき、
前記第1経路部材の前記被組付部に、前記第2経路部材の前記組付部が組付けられることで、前記隣接位置に前記第2経路部材が配置される、
ことを特徴とする請求項1に記載の搬送経路。
【請求項4】
前記経路部材が配置される所定の位置と前記経路幅方向において隣り合う隣接部であって、被組付部を備える前記隣接部をさらに備え、
前記経路部材は、組付部を備え、
前記複数の前記経路部材のうちの一つの前記経路部材を第1経路部材とし、前記所定の位置に前記第1経路部材を配置するとき、
前記隣接部の前記被組付部に、前記第1経路部材の前記組付部が組付けられることで、前記所定の位置に前記第1経路部材が配置される、
ことを特徴とする請求項1に記載の搬送経路。
【請求項5】
前記複数の前記経路部材を着脱可能な取付け部をさらに備え、
前記複数の前記経路部材は、前記取付け部に対して、前記経路幅方向に摺動可能に設けられる、
ことを特徴とする請求項1に記載の搬送経路。
【請求項6】
前記複数の前記経路部材を着脱可能な取付け部をさらに備え、
前記複数の前記経路部材は、前記取付け部に対して、前記経路幅方向と交差する方向に着脱可能に設けられる、
ことを特徴とする請求項1に記載の搬送経路。
【請求項7】
前記経路部材は、前記媒体を搬送する搬送部を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の搬送経路。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の搬送経路と、
前記搬送経路を搬送される前記媒体に記録を行う記録部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記記録の仕様に関する記録情報に基づいて、前記複数の前記経路部材それぞれについて、前記媒体を案内する性能の劣化度を算出し、
前記複数の前記経路部材において、前記劣化度が設定値を超える設定値超過経路部材と、前記劣化度が前記設定値を超えていない設定値未超過経路部材と、がある場合に、前記制御部は、前記設定値超過経路部材と前記設定値未超過経路部材との入れ替えを促す旨の報知を行う、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項9】
前記報知において、前記制御部は、前記設定値超過経路部材と、前記複数の前記経路部材のうち前記劣化度が最も小さい前記設定値未超過経路部材と、の入れ替えを促す、
ことを特徴とする請求項8に記載の記録装置。
【請求項10】
前記記録情報は、前記媒体の種類、前記媒体への前記記録に要する時間である記録速度、前記媒体への前記記録において前記媒体に付着する色材量の程度である記録濃度、および前記記録が行われるときの使用環境に関する環境情報のうち少なくとも一つを含む、
ことを特徴とする請求項8に記載の記録装置。
【請求項11】
前記記録情報は、前記搬送経路において搬送不良が発生した前記媒体の情報を含む、
ことを特徴とする請求項8に記載の記録装置。
【請求項12】
前記複数の前記経路部材には、それぞれを識別する標示が設けられ、
前記制御部は、前記標示を使用して、前記設定値超過経路部材と、前記設定値未超過経路部材と、を入れ替える旨の前記報知を行う、
ことを特徴とする請求項8に記載の記録装置。
【請求項13】
前記報知を行う報知部をさらに備える、
ことを特徴とする請求項8に記載の記録装置。
【請求項14】
媒体に記録を行う記録装置と、
前記記録装置によって記録された前記媒体を搬送する搬送装置であって、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の搬送経路を備える前記搬送装置と、
前記記録装置および前記搬送装置を制御する制御部と、
を備える、
ことを特徴とする記録システム。
【請求項15】
記録装置によって記録された媒体を搬送する搬送装置であって、
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の搬送経路を備える、
ことを特徴とする搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、搬送経路、記録装置、記録システム、および搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、記録紙を搬送する給紙ローラーユニットを備える記録装置の一例である画像形成装置が開示されている。また、この画像形成装置では、給紙ローラーユニットの摩耗率および給紙段の使用率を基にユーザーによる部品入れ替え通知が必要な場合に、給紙ローラーユニットの交換を促すように通知を行うことが開示されている。記録紙は媒体の一例である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-276604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、搬送経路では、搬送経路の幅方向において、経路部材の摩耗の度合いが異なることがある。このため、特許文献1に開示される給紙ローラーユニットの交換と同じように、搬送経路を構成する経路部材を搬送経路の幅方向に亘って交換すると、経路部材のうち交換する必要のない部分も交換する虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
搬送経路は、媒体を搬送方向に搬送する搬送経路であって、前記媒体を案内する経路部材を、前記搬送方向と交差する前記搬送経路の経路幅方向に複数有し、複数の前記経路部材は、互いに入れ替え可能である。
【0006】
記録装置は、上述の搬送経路と、前記搬送経路を搬送される前記媒体に記録を行う記録部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記記録の仕様に関する記録情報に応じて、前記複数の前記経路部材それぞれについて、前記媒体を案内する性能の劣化度を算出し、前記複数の前記経路部材において、前記劣化度が設定値を超える設定値超過経路部材と、前記劣化度が前記設定値を超えていない設定値未超過経路部材と、がある場合に、前記制御部は、前記設定値超過経路部材と前記設定値未超過経路部材との入れ替えを促す旨の報知を行う。
【0007】
記録システムは、媒体に記録を行う記録装置と、前記記録装置によって記録された前記媒体を搬送する搬送装置であって、上述の搬送経路を備える前記搬送装置と、前記記録装置および前記搬送装置を制御する制御部と、を備える。
【0008】
搬送装置は、記録装置によって記録された媒体を搬送する搬送装置であって、上述の搬送経路を備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の一実施形態としての記録装置の外観構成を示す斜視図。
図2】記録装置における搬送経路を示す模式図。
図3】開閉部が開いた状態の記録装置を示す斜視図。
図4】媒体受けトレイが開いた状態の記録装置を示す斜視図。
図5】スライド部が引き出された状態の構造体を示す斜視図。
図6】スライド部が引き出された状態の記録装置を示す斜視図。
図7】前面カバーが開いた状態の記録装置を示す斜視図。
図8】前面カバーが開き、スライド部が引き出された状態の記録装置を示す斜視図。
図9】搬送経路の詳細を示す模式図。
図10】開閉部が開いたときの搬送経路を示す模式図。
図11】媒体受けトレイが開いたときの搬送経路を示す模式図。
図12】スライド部が引き出されたときの搬送経路を示す模式図。
図13】反転経路の反転部および給送経路の構成を示す模式図。
図14】反転経路の反転部および給送経路の構成を示す模式図。
図15】経路部材の入れ替えを促す報知が表示される報知部を示す模式図。
図16】反転経路の反転部および給送経路の構成を示す模式図。
図17】反転経路の上部区間の構成を示す模式図。
図18】反転経路の上部区間の構成を示す模式図。
図19】経路部材の装着の様子を示す模式図。
図20】経路部材の装着の様子を示す模式図。
図21】経路部材の他の実施形態を示す模式図。
図22】記録システムの構成を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示を実施形態に基づいて説明する。各図において同一部材には同一符号を付し、重複する説明は省略する。なお、本明細書において、「同じ」、「同一」、「同時」とは、完全に同じであることを指すのみならず、測定誤差を考慮して同じである場合、部材の製造ばらつきを考慮して同じである場合、および、機能を損なわない範囲で同じである場合を含むものとする。よって、例えば、「両者の寸法が同じである」とは、測定誤差、部材の製造ばらつきを考慮し、両者の寸法差が、一方の寸法の±10パーセント以内、さらに好ましくは±5パーセント以内、特に好ましくは±3パーセント以内であることを指す。
【0011】
また、各図においてX、Y、Zは、互いに直交する3つの空間軸を表している。本明細書では、これらの軸に沿った方向をX軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向とする。向きを特定する場合には、正の方向を「+」、負の方向を「-」として、方向表記に正負の符合を併用し、各図の矢印が向かう向きを+方向、矢印の反対方向を-方向として説明する。
【0012】
また、Z軸方向は、重力方向を示し、+Z方向は鉛直上向き、-Z方向は鉛直下向きを示す。また、X軸,Y軸を含む平面をX-Y面、X軸,Z軸を含む平面をX-Z面、Y軸,Z軸を含む平面をY-Z面として説明する。また、X-Y面は水平面となる。さらに、正方向及び負方向を限定しない3つのX、Y、Zの空間軸については、X軸、Y軸、Z軸として説明する。
【0013】
尚、各図においてX軸方向は記録装置10の奥行方向であり、搬送経路21の経路幅方向であり、媒体Pの幅方向である。X軸方向のうち-X方向は記録装置10の背面から記録装置10の前面に向かう方向である。また+X方向は記録装置10の前面から記録装置10の背面に向かう方向である。
【0014】
Y軸方向は記録装置10の幅方向であり、媒体Pの搬送方向に沿う方向である。Y軸方向のうち-Y方向は記録装置10の前面をユーザーと対面させた際にユーザーから見て右方向となり、また+Y方向は同左方向となる。またZ軸方向は記録装置10に高さ方向である。本実施形態において記録装置10の周囲を構成する側面のうち表示パネル19が設けられた側面が記録装置10の前面となる。
【0015】
1.実施形態1
図1に示すように、記録装置10は、例えば、媒体Pに記録可能なインクジェット方式のプリンターである。記録装置10は装置本体12と、スキャナーユニット14とを備える複合機として構成される。装置本体12は、媒体Pを収容する複数の媒体収容カセット16を備える。各媒体収容カセット16は、装置本体12の-X方向側から着脱可能に取り付けられる。尚、本明細書において媒体Pとは、一例として普通紙や厚紙、写真用紙等の用紙を指している。また、複数の媒体収容カセット16には、サイズの異なる媒体Pを収容可能である。
【0016】
また、装置本体12におけるZ軸方向において、スキャナーユニット14と媒体収容カセット16との間には、後述する記録部18において記録が実行された媒体Pを受ける媒体受けトレイ20が設けられる。また、装置本体12のうち、スキャナーユニット14の-X方向側であって、媒体受けトレイ20の+Z方向側となる位置には、ユーザーに報知が可能な表示パネル19が設けられる。表示パネル19は、報知部の一例である。
【0017】
図2図9に示すように、記録装置10は、媒体Pを搬送する搬送経路21を備える。搬送経路21は、ストレート経路22、スイッチバック経路24、反転経路26、フェイスダウン排出経路28、媒体収容カセット16とストレート経路22との間を接続する給送経路30により構成される。搬送経路21は搬送経路TRの一例である。
【0018】
図2に示すように、媒体収容カセット16に収容される媒体Pは、媒体収容カセット16内に設けられるホッパー17上に支持される。ホッパー17は、ホッパー17に設けられる回動軸17aを支点に回動し、媒体Pを+Z方向に持ち上げる。その際、給送ローラー32は、ホッパー17に支持される媒体Pの最上位の媒体Pと接触して、媒体Pを搬送方向下流側に搬送する。この際、最上位の媒体Pとともに次位以降の媒体Pも搬送されることがあるが、分離ローラー対33により最上位の媒体Pと次位以降の媒体Pとが分離され、最上位の媒体Pのみが搬送方向下流側に搬送される。
【0019】
尚、以降の説明において、本明細書に登場する各搬送ローラー対における一方のローラーは従動ローラーとして構成され、他方のローラーは図示しない駆動源により回転駆動される駆動ローラーとして構成されるものとして説明する。また、本実施形態において、特に説明がない場合、一方のローラーは外周に複数の歯を備える拍車として構成されており、他方のローラーである駆動ローラーは一例としてゴムローラーとして構成される。従動ローラー、駆動ローラーは、媒体Pを搬送する搬送部の一例である。
【0020】
本実施形態では、各駆動ローラーは装置本体12内に設けられた制御部15により図示しない駆動源を介して制御される。また、後述する記録ヘッド48も制御部15により制御される。つまり、制御部15は、記録装置10における記録動作に必要な制御を実行可能に構成される。
【0021】
制御部15は、不図示のCPU(Central Processing Unit)と、不図示のメモリーとを有する。CPUは、メモリーに記憶された各種プログラムを実行することができ、例えば、各種の判断や各種の命令等を行なうことができる。メモリーには、例えば、媒体Pを搬送するプログラム等の各種プログラム、後述する複数の経路部材XPそれぞれについて、媒体Pを案内する性能の劣化度Dを記録情報RIに応じて算出するプログラム、表示パネル19に記録装置10の状態を表示するための表示方法に関するプログラム等の各種プログラム、記録情報RIに関する各種テーブル、各種カウンター値等が記憶されている。
【0022】
制御部15は、記録装置10の全体を制御する。例えば、媒体Pに記録を行う場合、制御部15は、後述する記録部18の記録ヘッド48、および搬送部を制御することで、搬送経路21に搬送される媒体Pに対して、記録ヘッド48からインクを吐出させて記録を行う。また、例えば、制御部15は、スキャナーユニット14を制御することで、原稿に記録された画像を読み取る。また、例えば、制御部15は、表示パネル19に、記録装置10の状態に関する情報を表示させる報知SCを行う。
【0023】
給送経路30は、媒体Pを搬送方向に沿って案内する経路部材FPを備える。経路部材FPは、搬送経路TRが有する経路部材XPの一例である。本実施形態において、X軸方向は搬送経路TRの経路幅方向である。給送経路30には、媒体Pの搬送方向に沿って順に給送ローラー32と、分離ローラー対33と、第1搬送ローラー対34と、が設けられる。給送ローラー32は図示しない駆動源により回転駆動される。分離ローラー対33の一方のローラー33aは所定の回転抵抗が付与された状態で従動回転するローラーであり、回転駆動される他方のローラー33bとの間で媒体Pをニップすることで媒体Pの分離を行う。
【0024】
図9に示すように、第1搬送ローラー対34の一方のローラー34aは、他方のローラー34bの回転駆動に伴って従動回転される従動ローラーとして構成され、他方のローラー34bは、図示しない駆動源により回転駆動される駆動ローラーとして構成される。
【0025】
ここでは、媒体Pの記録面を下向きにして媒体受けトレイ20に向けて排出されるフェイスダウン排出を前提として説明する。第1搬送ローラー対34の搬送方向下流側には、第2搬送ローラー対36が設けられる。第2搬送ローラー対36も一方のローラー36a及び他方のローラー36bを備える。
【0026】
本実施形態では第2搬送ローラー対36の位置で、給送経路30とストレート経路22とが接続される。つまり、給送経路30は媒体収容カセット16から第2搬送ローラー対36までの経路として設定される。
【0027】
ストレート経路22は、媒体Pを搬送方向に沿って案内する経路部材RPを備え、直線状に延びる経路として構成される。経路部材RPは、搬送経路TRが有する経路部材XPの一例である。ストレート経路22には、搬送方向に沿って順に第2搬送ローラー対36、第3搬送ローラー対38、記録部18、拍車40、第4搬送ローラー対42、拍車44、第1フラップ46が設けられる。尚、本実施形態においてストレート経路22は、第2搬送ローラー対36から第1フラップ46までの経路として設定される。すなわち、ストレート経路22は記録部18を通り、記録部18の搬送方向上流側および搬送方向下流側に延びる経路として設定される。
【0028】
第3搬送ローラー対38は一方のローラー38aおよび他方のローラー38bを備える。記録部18は記録ヘッド48を備える。記録ヘッド48は、記録ヘッド48と対向する位置に媒体Pが搬送された際、媒体Pの記録面にインクを吐出して記録を実行するように構成される。本実施形態の記録ヘッド48は、インクを吐出するノズルが媒体Pの幅方向全域をカバーする様に設けられた記録ヘッドであり、X軸方向への移動を伴わないで媒体Pの幅方向全体に記録が可能な所謂ラインヘッドとして構成される。
【0029】
続いて、拍車44の搬送方向下流側には第1フラップ46が設けられる。第1フラップ46は、制御部15が制御する駆動機構により、ストレート経路22とスイッチバック経路24とを接続し、あるいはストレート経路22とフェイスダウン排出経路28とを接続するように切換可能に構成される。尚、本実施形態において第1フラップ46を駆動する駆動機構は、ソレノイドにより構成される。
【0030】
第1フラップ46によりストレート経路22とスイッチバック経路24とが接続されている際、媒体Pは第4搬送ローラー対42によりストレート経路22からスイッチバック経路24へ送られる。また、ストレート経路22とフェイスダウン排出経路28とが接続されている際、媒体Pは第4搬送ローラー対42によりストレート経路22からフェイスダウン排出経路28へ送られる。
【0031】
第2フラップ50は、Z軸方向において第1フラップ46の+Z方向に設けられる。そして、第2フラップ50は第1フラップ46の動作に連動して図示しない連動機構により駆動される。つまり、第2フラップ50は、第1フラップ46および上述の連動機構を介して制御部15に制御される。
【0032】
第1フラップ46がストレート経路22とスイッチバック経路24とを接続している状態では、第2フラップ50はスイッチバック経路24と反転経路26との接続を遮る姿勢となる。一方、第1フラップ46がストレート経路22とフェイスダウン排出経路28とを接続している状態では、第2フラップ50はスイッチバック経路24と反転経路26とを接続する姿勢となる。
【0033】
フェイスダウン排出経路28は、Z軸方向においてストレート経路22から+Z方向に延びつつ、湾曲反転している。フェイスダウン排出経路28は、第5搬送ローラー対52、第6搬送ローラー対54、第7搬送ローラー対56、第8搬送ローラー対58、第9搬送ローラー対60、第10搬送ローラー対62、複数の拍車64、および媒体Pを搬送方向に沿って案内する経路部材DPを備える。経路部材DPは、搬送経路TRが有する経路部材XPの一例である。
【0034】
フェイスダウン排出経路28は、第1フラップ46から第10搬送ローラー対62の搬送方向下流側に位置する出口28aまでを経路としている。つまり、フェイスダウン排出経路28は、ストレート経路22と接続する搬送経路であって、記録部18を通った媒体Pを湾曲させ、反転させて排出する経路である。
【0035】
記録部18で記録面に記録が実行された媒体Pは、フェイスダウン排出経路28において第1フラップ46から搬送方向に沿って順に、第5搬送ローラー対52、第6搬送ローラー対54、第7搬送ローラー対56、第8搬送ローラー対58、第9搬送ローラー対60および第10搬送ローラー対62により順次ニップされて搬送される。そして、媒体Pは出口28aから媒体受けトレイ20に向けて排出される。
【0036】
ここで媒体Pは、フェイスダウン排出経路28を搬送される際、最後に記録部18で記録された記録面を+Z方向向きにして搬送され、次に記録面をフェイスダウン排出経路28の湾曲部分の内側に向けて湾曲させられて搬送され、そして記録面を-Z方向向きにして出口28aから媒体受けトレイ20に向けて排出される。
【0037】
また、第5搬送ローラー対52の一方のローラー52a、第6搬送ローラー対54の一方のローラー54a、第7搬送ローラー対56の一方のローラー56a、第8搬送ローラー対58の一方のローラー58a、第9搬送ローラー対60の一方のローラー60a、第10搬送ローラー対62の一方のローラー62aおよび複数の拍車64は、フェイスダウン排出経路28の湾曲の内側、つまり、記録部18において最後に記録された記録面と対向する側に配置される。
【0038】
さらに、第5搬送ローラー対52の他方のローラー52b、第6搬送ローラー対54の他方のローラー54b、第7搬送ローラー対56の他方のローラー56b、第8搬送ローラー対58の他方のローラー58b、第9搬送ローラー対60の他方のローラー60bおよび第10搬送ローラー対62の他方のローラー62bは、フェイスダウン排出経路28の湾曲の外側、つまり、記録部18において最後に記録された記録面と対向する側と反対側に配置される。
【0039】
図2に示すように、媒体受けトレイ20は、フェイスダウン排出経路28の出口28aから遠い側、つまり-Y方向側に向かって+Z方向となる上向き傾斜姿勢を取り、フェイスダウン排出経路28から排出された媒体Pを載置するように構成される。尚、本実施形態において媒体受けトレイ20は、Z軸方向において記録部18の+Z方向側に位置する。
【0040】
図9に示すように、スイッチバック経路24および反転経路26は、媒体Pにおける第1面の記録後、第2面に記録を実行する場合、つまり両面記録を実行する場合において媒体Pが通過する経路である。尚、第1面に記録を行わないものの第2面には記録を行う場合も同様に、媒体Pはスイッチバック経路24および反転経路26を通過する。
【0041】
スイッチバック経路24は、Z軸方向において+Z方向向きに湾曲反転するフェイスダウン排出経路28の内側に位置し、フェイスダウン排出経路28に沿って延びる。そして、スイッチバック経路24は、第11搬送ローラー対66と、複数の拍車68と、を備える。また、スイッチバック経路24は、媒体Pを搬送方向に沿って案内する経路部材SPを備える。経路部材SPは、搬送経路TRが有する経路部材XPの一例である。第11搬送ローラー対66の一方のローラー66aと、複数の拍車68とは、スイッチバック経路24の湾曲方向における内側に配置される。また、第11搬送ローラー対66の他方のローラー66bは、スイッチバック経路24の湾曲方向における外側に配置される。
【0042】
また、本実施形態において、スイッチバック経路24は第2フラップ50からスイッチバック経路24の先端に設けられた開口24aまでの経路として設定される。図9に示すように、スイッチバック経路24とストレート経路22とが第1フラップ46により接続されている際、媒体Pは第4搬送ローラー対42により記録部18から第1フラップ46を経てスイッチバック経路24に送り込まれる。媒体Pはスイッチバック経路24において搬送方向における後端部が第11搬送ローラー対66にニップされる位置まで送り込まれる。
【0043】
また、第1フラップ46がストレート経路22とスイッチバック経路24とを接続状態とする姿勢からストレート経路22とスイッチバック経路24とを非接続状態とする姿勢に切り換わると、第2フラップ50はスイッチバック経路24と反転経路26とを接続する姿勢に切り換わる。
【0044】
これにより、制御部15は、媒体Pをスイッチバック経路24に送り込んだ方向と逆方向に第11搬送ローラー対66を回転させ、媒体Pの後端側を先端側として反転経路26に媒体Pを送り出す。つまり、媒体Pをスイッチバックさせる。したがって、スイッチバック経路24は、ストレート経路22に接続する搬送経路であって、記録部18を通った媒体Pを送り込んだ後、スイッチバックさせて送り込み方向とは逆方向に搬送する経路である。
【0045】
図9に示すように、反転経路26は、第2フラップ50から、記録部18の+Z方向側を通り、ストレート経路22の第2搬送ローラー対36へ至る経路として設定される。
【0046】
反転経路26は、第12搬送ローラー対70、第13搬送ローラー対72、第14搬送ローラー対74、および複数の拍車76を備える。反転経路26において第12搬送ローラー対70の他方のローラー70b、第13搬送ローラー対72の他方のローラー72b、第14搬送ローラー対74の他方のローラー74bは、記録部18に対して搬送経路の内側、つまり記録部18寄りに設けられる。また、第12搬送ローラー対70の一方のローラー70a、第13搬送ローラー対72の一方のローラー72a、第14搬送ローラー対74の一方のローラー74a、および拍車76は、搬送経路の外側に設けられる。
【0047】
また、本実施形態では、符号76aが付された拍車から第12搬送ローラー対70および第13搬送ローラー対72を経て、符号76bが付された拍車までを上部区間26aとし、符号76bが付された拍車から第2搬送ローラー対36までを反転部26bとする。
【0048】
また、反転経路26は、媒体Pを搬送方向に沿って案内する経路部材TP,UP,HPを備える。経路部材TPは、上部区間26aの+Z方向側に位置し、上部区間26aの+Z方向側を形成する。経路部材UPは、上部区間26aの-Z方向側に位置し、上部区間26aの-Z方向側を形成する。経路部材HPは、反転部26bを形成する。経路部材TP,UP,HPは、搬送経路TRが有する経路部材XPの一例である。
【0049】
また、図2に示すように、反転経路26は、反転経路26の+Z方向側に、上側部材78を備える。上側部材78には、上部区間26aの+Z方向側を形成する経路部材TPが設けられる。また、上側部材78の+Z方向側は、媒体受けトレイ20が形成される。すなわち、上側部材78は、その上面が媒体受けトレイ20を構成し、その下面は上部区間26aの一部を構成する。
【0050】
また、上側部材78には、+Y方向側の端部に回動支点80が設けられる。したがって、上側部材78は、上部区間26aを構成する閉じた姿勢(図2における実線部参照)と上部区間26aを開放する姿勢(図2における二点鎖線部参照)を取り得る。尚、上側部材78の回動については後ほど詳細に説明する。
【0051】
また、反転経路26において、上部区間26a内に位置する拍車76,76a,76b、第12搬送ローラー対70のローラー70a、第13搬送ローラー対72のローラー72aは上側部材78に回転可能に取り付けられる。
【0052】
反転部26bの出口側は、ストレート経路22における第2搬送ローラー対36の搬送方向上流となる位置においてストレート経路22に合流するように構成される。そして、媒体Pは、ストレート経路22に再度送り込まれる。つまり、反転経路26は、スイッチバック経路24と接続する搬送経路であって、逆方向に搬送された、すなわちスイッチバックされた媒体Pを記録部18の+Z方向側を迂回させて反転させ、ストレート経路22における記録部18の搬送方向上流側に位置する第2搬送ローラー対36で合流させる経路として設定される。
【0053】
以上が、記録装置10において媒体受けトレイ20に対してフェイスダウン排出を実行する際の搬送経路21の概要である。本実施形態では記録装置10において媒体Pに対し両面記録、すなわち媒体Pの第1面および第2面に記録を実行する場合、媒体Pの搬送経路21は媒体収容カセット16からストレート経路22、記録部18、スイッチバック経路24および反転経路26を経て再度ストレート経路22、記録部18を通り、フェイスダウン排出経路28を経て媒体受けトレイ20に至る。
【0054】
また、本実施形態における記録装置10はフェイスアップ排出も可能に構成される。図9に示すように、フェイスダウン排出経路28において第6搬送ローラー対54の他方のローラー54bと第7搬送ローラー対56の他方のローラー56bとの間の経路部材の一部は第3フラップ84として構成される。第3フラップ84は、フェイスダウン排出経路28の搬送経路を構成する姿勢(図2および図9参照)と、フェイスアップ排出姿勢(不図示)とを切り換え可能に構成される。尚、本実施形態において第3フラップ84は、制御部15の制御を受ける。
【0055】
第3フラップ84をフェイスアップ排出姿勢に切り換えることにより、ストレート経路22からフェイスダウン排出経路28に送られた媒体Pが、第3フラップ84を介して図5に示すフェイスアップ排出トレイ86に媒体Pの記録面を+Z方向向きにして排出される。
【0056】
また、図2において符号88が付された破線は、手差しトレイ90(図1参照)を装置本体12に対して回動させて開いた状態において、手差しトレイ90から供給される媒体Pの手差し給送経路88を示している。手差し給送経路88は、給送経路30に合流するように構成される。これにより、手差し給送経路88から供給された媒体Pも記録装置10において片面記録および両面記録の両方が実行可能に構成される。
【0057】
次に、装置本体12における搬送経路21において生じた媒体Pの紙詰まりの処理と、搬送経路21を構成する経路部材FP,RP,DP,SP,TP,UP,HPへのアクセスと、を可能とする構成について説明する。
【0058】
まず、給送経路30、反転経路26の反転部26bについて説明する。図10において、符号92が付された一点鎖線部は、装置本体12に対して開閉可能な開閉部92を示している。尚、図10において開閉部92は説明のために搬送経路21から水平方向に移動した状態で図示している。開閉部92は、図1に示す装置本体12に対して閉じた状態と、図3に示す装置本体12に対して開いた状態とを取り得る。開閉部92は、+X方向側の端部に回動支点(不図示)を有する。開閉部92は、回動支点を中心に装置本体12に対して回動可能に構成される。
【0059】
図4図10に示すように、開閉部92は、開閉部92に対して開閉可能な手差しトレイ90を備える。さらに開閉部92は、開閉部92を装置本体12に対して閉じた状態とした際、図2に示すように、給送経路30において第1搬送ローラー対34から手差し給送経路88との合流位置までの経路と、反転経路26の反転部26bの一部を形成する。また、図10に示すように、開閉部92は第14搬送ローラー対74のローラー74aを備える。
【0060】
したがって、図3図10に示すように開閉部92を装置本体12に対して開いた状態とした際、給送経路30において第1搬送ローラー対34から手差し給送経路88との合流位置までの経路および反転経路26の反転部26bの一部が装置本体12の外側に向けて露呈する。この際、図10に示すように、第1搬送ローラー対34の一方のローラー34aと他方のローラー34bとが離間し、第1搬送ローラー対34におけるニップ状態が解消される。したがって、給送経路30において詰まった媒体Pを容易に取り除くことができる。また、ユーザーが、給送経路30を構成する経路部材FPにアクセス可能になる。
【0061】
同様に、第14搬送ローラー対74の一方のローラー74aおよび他方のローラー74bも互いに離間するので、第14搬送ローラー対74におけるニップ状態が解消される。したがって、反転経路26の反転部26bにおいて詰まった媒体Pを容易に取り除くことができる。また、ユーザーが、反転経路26の反転部26bを構成する経路部材HPにアクセス可能になる。
【0062】
次に、反転経路26の上部区間26aについて説明する。図10図11に示すように、上側部材78は+Y方向側端部に設けられた回動支点80を支点として装置本体12に対して閉じた状態から+Z方向側へ回動させて装置本体12に対して開いた状態とすることができる。
【0063】
上側部材78を装置本体12に対して開いた状態とすると、反転経路26の上部区間26aが開放される。つまり、反転経路26の上部区間26aが装置本体12の外側に向けて露呈した状態となる。また、上部区間26aに配置された第12搬送ローラー対70のローラー70aとローラー70bとがそれぞれ離間し、第12搬送ローラー対70におけるニップ状態が解消される。同様に上部区間26aに配置された第13搬送ローラー対72のローラー72aとローラー72bとがそれぞれ離間し、第13搬送ローラー対72におけるニップ状態が解消される。
【0064】
また、上部区間26aに配置される拍車76,76a,76bは上側部材78に設けられることから、上側部材78を回動させた際、上部区間26aに残るのはZ軸方向において媒体Pの-Z方向側を支持する第12搬送ローラー対70のローラー70bおよび第13搬送ローラー対72のローラー72bのみである。したがって、上部区間26aの+Z方向側を遮るものがないことから、媒体Pのジャム処理を容易にすることができる。また、ユーザーが、反転経路26の上部区間26aを構成する経路部材TP,UPにアクセス可能になる。
【0065】
次に、スイッチバック経路24およびフェイスダウン排出経路28について説明する。図12において符号94が付された二点鎖線部は、装置本体12に対して搬送経路21を形成する第1の状態と、搬送経路21を開放する第2の状態と、を取り得るスライド部94を示している。尚、図12では、搬送経路21に設けられた複数の拍車のうちスライド部94に関連する拍車のみ符号を付し、その他の拍車の符号は省略する。
【0066】
スライド部94は、ストレート経路22において第4搬送ローラー対42の搬送方向下流側から第1フラップ46および第2フラップ50に至るまでの経路、スイッチバック経路24において第2フラップ50から第11搬送ローラー対66を経て湾曲反転部分の途中までの経路を含む。さらに、スライド部94はフェイスダウン排出経路28において第1フラップ46から第5搬送ローラー対52、第6搬送ローラー対54、第7搬送ローラー対56および第8搬送ローラー対58を経て、第8搬送ローラー対58から第9搬送ローラー対60に向かう経路の途中までの経路を含む。
【0067】
スライド部94は、図5に示すように装置本体12内において搬送経路21を構成する構造体96に対して、Y軸方向に移動可能に構成される。本実施形態では、構造体96に設けられた一対のレール部材98により構造体96から出し入れ可能に構成される。
【0068】
また、図6に示すように、スライド部94の+Z方向側の端部にはレバー100が設けられる。レバー100は、装置本体12内に設けられた、図示しないロック機構と係合可能に構成される。スライド部94が装置本体12に対して閉じた状態(図7参照)、つまりスライド部94が搬送経路21の形成する第1の状態において、レバー100はロック機構と係合状態にある。これによりスライド部94は、装置本体12に対してスライド部94の移動が規制される状態となる。
【0069】
そして、レバー100を例えば持ち上げることによりロック機構との係合状態を解消し、レバー100を引っ張ることによりスライド部94を装置本体12に対して引き出すことが可能となる。つまり、レバー100とロック機構との係合が解消された状態で、レバー100を+Y方向に引っ張ると、図6に示すようにスライド部94が装置本体12から引き出された状態、つまり搬送経路21を開放する第2の状態となる。
【0070】
図12に示すように、スライド部94が装置本体12に対して引き出された第2の状態となると、ストレート経路22の一部、スイッチバック経路24の一部およびフェイスダウン排出経路28の一部が装置本体12の外側に向けて露呈する。特にスイッチバック経路24およびフェイスダウン排出経路28において紙詰まりが生じた際、スイッチバック経路24およびフェイスダウン排出経路28が目視確認可能となり、これらの経路におけるジャム処理作業をより一層容易に行うことができる。また、ユーザーが、スイッチバック経路24の一部を構成する経路部材SP、およびフェイスダウン排出経路28の一部を構成する経路部材DPにアクセス可能になる。
【0071】
また、図6に示すように、スライド部94には開閉カバー102がスライド部94に対して回動可能に設けられる。開閉カバー102をスライド部94に対して開いた状態(不図示)とするとスライド部94に設けられたフェイスアップ排出トレイ86が装置本体12の外側に向けて露呈し、フェイスアップ排出トレイ86に排出された媒体Pを装置本体12から取り出すことができる。また、ユーザーが、フェイスダウン排出経路28の一部を構成する経路部材DPにアクセス可能になる。
【0072】
次に、ストレート経路22およびその近傍の搬送経路について説明する。図5に示すように、構造体96の-X方向側には、フレーム104が立設される。フレーム104には開口106が形成されている。開口106は、フレーム104においてスライド部94が構造体96に対して第1の状態つまり、スライド部94が搬送経路21を構成している状態において、図9に示すように第4搬送ローラー対42、第5搬送ローラー対52、第6搬送ローラー対54、第11搬送ローラー対66、第1フラップ46および第2フラップ50に対応する位置に形成されている。尚、図9図12において符号106が付された二点鎖線部は開口106を示している。
【0073】
そして、図5図12に示すようにスライド部94が構造体96に対して第2の状態つまり、スライド部94が構造体96から引き出されて搬送経路21を開放している状態において、ユーザーは開口106を介して搬送経路21の側方つまり-X方向側から、搬送経路21における記録部18やストレート経路22の一部、例えば第4搬送ローラー対42やその周囲にアクセス可能となる。また、スイッチバック経路24やフェイスダウン排出経路28の入口にもアクセス可能となる。
【0074】
また、図5から図7に示すように、装置本体12におけるZ軸方向において構造体96に対応する位置、つまりフレーム104の-X方向側には、下端部を回動支点として装置本体12に対して回動可能な前面カバー108が設けられている。前面カバー108を装置本体12に対して回動させることにより開口106が装置本体12の外側に向けて露呈する。
【0075】
次いで図8に示すように、スライド部94を装置本体12から引き出すと、開口106を塞いでいたスライド部94の一部が+Y方向に移動する。その結果、開口106の内側において装置本体12内において奥まった位置にあるストレート経路22、例えば、記録部18の下流側に位置する第4搬送ローラー対42およびその周辺が目視可能となる。
【0076】
そして、ユーザーが開口106を介して手を搬送経路21内に差し入れて、ジャム処理をすることができる。また、ユーザーが、ストレート経路22の+Y方向側からストレート経路22およびその近傍を構成する経路部材RPに、ストレート経路22の+Y方向側となるスライド部94側からアクセス可能になる。
【0077】
尚、スライド部94を構造体96から引き出すと、第4搬送ローラー対42のローラー42aは、不図示の連動機構によってローラー42bから離間されて、第4搬送ローラー対42におけるニップ状態が解消する。これにより、記録部18において生じたジャムを容易に処理することができる。
【0078】
搬送経路21を搬送される媒体Pは、X軸方向における媒体Pの端部が経路部材FP,RP,DP,SP,TP,UP,HPと擦れやすく、X軸方向における中央部は経路部材FP,RP,DP,TP,SP,UP,HPと擦れにくい。このため、経路部材FP,RP,DP,SP,TP,UP,HPにおいて、多く使用されるサイズの媒体Pの端部が通過する部分と、それ以外の部分と、では、経路部材FP,RP,DP,TP,SP,UP,HPの摩耗、汚損、紙粉の付着等の度合いが異なる場合がある。このため、摩耗、汚損、紙粉の付着等の進んだ部分を交換できるように、本実施形態では各経路部材FP,RP,DP,SP,TP,UP,HPをX軸方向に複数、本実施形態では六つ備える。
【0079】
また、このため、制御部15は、記録情報RIに基づいて、搬送経路TRがX軸方向に備える複数の経路部材XPそれぞれについて、媒体Pを案内する性能の劣化度Dを算出する。記録の仕様に関する記録情報RIには、媒体Pのサイズ、搬送方向に対する媒体Pの方向、媒体Pの種類、媒体Pへの記録に要する時間である記録速度、媒体Pへの記録において媒体Pに付着する色材量の程度である記録濃度、および記録が行われるときの使用環境に関する環境情報、搬送経路TRにおいて搬送不良が発生した媒体Pの情報等が含まれる。制御部15は、記録情報RIのうち媒体Pのサイズ、および搬送方向に対する媒体Pの方向から、X軸方向における媒体Pの端部が通過する経路部材XPを特定し、特定した経路部材XPの劣化度Dに、設定される加算値を媒体Pが経路部材XPを通過する枚数分加算する。
【0080】
例えば、経路部材XPを腰の強い媒体Pが通過する場合、制御部15は、経路部材XPを腰の弱い媒体Pが通過する場合と比較して経路部材XPの劣化度Dへの加算値を多くする。また、例えば、媒体Pへの記録における記録速度が速い場合、制御部15は、記録速度が遅い場合と比較して経路部材XPの劣化度Dへの加算値を多くする。また、例えば、媒体Pへの記録における記録濃度が高い場合、制御部15は、記録濃度が低い場合と比較して経路部材XPの劣化度Dへの加算値を多くする。
【0081】
また、例えば、記録が行われるときの湿度が低い場合、制御部15は、湿度が高い場合と比較して経路部材XPの劣化度Dへの加算値を多くする。また、例えば、搬送経路TRにおいて搬送不良が発生した媒体PのX軸方向の端部が通過する経路部材XPの劣化度Dは、経路部材XPの入れ替えの目安として設定される設定値SVに近い蓋然性が高い。尚、媒体Pのサイズ、および搬送方向に対する媒体Pの方向を除く他の記録情報RIのうち複数の記録情報RIを考慮して劣化度Dを算出する場合、劣化度Dへの影響度を考慮してそれぞれの記録情報RIに重み付けを行ってもよい。
【0082】
そして、複数の経路部材XPにおいて、劣化度Dが設定値SVを超える設定値超過経路部材EXと、劣化度Dが設定値SVを超えていない設定値未超過経路部材NEXと、がある場合に、設定値超過経路部材EXと設定値未超過経路部材NEXとの入れ替えを促す旨を表示パネル19に表示させる報知SCを行う。
【0083】
ここでは、経路部材FP、経路部材HP、経路部材DP、経路部材UPの構成について説明する。尚、本実施形態において、経路部材UPと同様の構成である経路部材RP,SP,TPについては説明を省略する。
【0084】
まず、給送経路30の一部を構成する経路部材FP、および開閉部92に対する経路部材FPの脱着について説明する。尚、開閉部92に対する経路部材FPの脱着は、図3に示す装置本体12に対して開閉部92が開いた状態で行われるが、図13図14図16では、説明のため、装置本体12に対して開閉部92が閉じた状態での空間軸X,Y,Zの方向を使用するものとする。
【0085】
図13図14に示すように、給送経路30は、隣接部FPa、複数の経路部材FPである経路部材FP1,FP2,FP3,FP4,FP5,FP6、および規制部FPcを備える。隣接部FPa、経路部材FP1,FP2,FP3,FP4,FP5,FP6、および規制部FPcは、開閉部92に対して、給送経路30の経路幅方向となるX軸方向に並ぶように設けられる。
【0086】
隣接部FPaは、X軸方向において、開閉部92の+X方向側の端に設けられる。隣接部FPaには、被組付部FPf、取付け部FPd、および取付け部FPeが設けられる。被組付部FPfは、隣接部FPaの-X方向側の面に設けられ、-X方向に開口する窪みである。取付け部FPdは、隣接部FPaから-X方向に延びる断面円形の軸である。取付け部FPeは、隣接部FPaから-X方向に延びる断面円形の軸であって、取付け部FPdに対して-Z方向側となる位置に、取付け部FPdと間隔を置いて設けられる。取付け部FPeの断面径は、取付け部FPdの断面径より大きく設定される。また、隣接部FPaは、X軸方向に延びる駆動軸34cをX軸方向に沿う軸中心に回転可能に支持する。駆動軸34cは、Z軸方向において、取付け部FPdと取付け部FPeとの間に位置する。
【0087】
本実施形態の経路部材FP1,FP2,FP3,FP4,FP5,FP6は同一形状である。経路部材FP1,FP2,FP3,FP4,FP5,FP6には、組付部FPg、被組付部FPh、ガイド部FPk、ガイド部FPm、および標示Mが設けられる。組付部FPgは、経路部材FP1,FP2,FP3,FP4,FP5,FP6の+X方向側の面に設けられ、+X方向に突き出る突起である。ガイド部FPkは、X軸方向に延びる貫通穴であり、取付け部FPdを挿入可能な大きさに設定される。ガイド部FPmは、X軸方向に延びる貫通穴であり、取付けFPeを挿入可能な大きさに設定される。標示Mは、経路部材FP1,FP2,FP3,FP4,FP5,FP6それぞれを識別可能に、経路部材FP1,FP2,FP3,FP4,FP5,FP6の+Y方向側の面に設けられる。
【0088】
また、各経路部材FP1,FP2,FP3,FP4,FP5,FP6は、駆動ローラーであるローラー34bをX軸方向に沿う軸中心に回転可能に支持する。ローラー34bには、X軸方向に延びる貫通穴34dが設けられる。経路部材FP1,FP2,FP3,FP4,FP5,FP6に支持される六つのローラー34bは、貫通穴34dに駆動軸34cが挿入されることで、駆動軸34cの回転に同期して回転する。
【0089】
規制部FPcは、X軸方向において、経路部材FP1,FP2,FP3,FP4,FP5,FP6に対して-X方向側に隣り合う位置である開閉部92の-X方向側の端に着脱可能に設けられる。規制部FPcには、保持部FPn、支持部34e、および保持部FPpが設けられる。保持部FPnは、X軸方向に延びる貫通穴であり、取付け部FPdを挿入可能な大きさに設定される。保持部FPpは、X軸方向に延びる貫通穴であり、取付け部FPeを挿入可能な大きさに設定される。支持部34eは、X軸方向に延びる貫通穴であり、駆動軸34cを回転可能に支持する。
【0090】
例えば、図13の状態において、X軸方向における端部が経路部材FP3と経路部材FP4を通過するサイズの媒体Pが多く搬送され、制御部15により算出される経路部材FP3,FP4の劣化度Dが設定値SVを超えるとする。この場合、経路部材FP3,FP4は設定値超過経路部材EXである。このとき、制御部15は、算出される劣化度Dが設定値SVを超えていない設定値未超過経路部材NEXが経路部材FP1,FP2,FP5,FP6の中にある場合、設定値超過経路部材EXと設定値未超過経路部材NEXとの入れ替えを促す旨を表示パネル19に表示させる報知SCを行う。
【0091】
また、経路部材FP2,FP5の劣化度Dが最も小さい場合、図15に示すように、制御部15は、経路部材FP2と経路部材FP3の入れ替えと、経路部材FP4と経路部材FP5の入れ替えを促す旨を表示パネル19に表示させる報知SCを行う。このとき、標示Mを使用して、経路部材FP2と経路部材FP3の入れ替えと、経路部材FP4と経路部材FP5の入れ替えを促す旨を表示パネル19に表示させる報知SCを行う。
【0092】
ユーザーが、経路部材FP1,FP2,FP3,FP4,FP5,FP6を開閉部92から取り外す場合、まず、開閉部92に対する規制部FPcの固定を解除し、規制部FPcの保持部FPn,FPpを取付け部FPd,FPeに対して-X方向に摺動させることで、規制部FPcを開閉部92の固定位置から取り外す。そして、経路部材FP1,FP2,FP3,FP4,FP5,FP6のガイド部FPk,FPmを取付け部FPd,FPeに対して-X方向に摺動させることで、経路部材FP1,FP2,FP3,FP4,FP5,FP6を開閉部92から取り外すことができる。換言すると、経路部材FP1,FP2,FP3,FP4,FP5,FP6は、取付け部FPd,FPeに対して着脱可能に設けられ、取付け部FPd,FPeに対してX軸方向に摺動可能に設けられる。
【0093】
また、図13において、隣接部FPaとX軸方向において隣り合い、経路部材FP1が配置される位置を所定の位置とする。そして、取付け部FPd,FPeから取り外された複数の経路部材FP1,FP2,FP3,FP4,FP5,FP6のうちの経路部材FP1を所定の位置に配置する場合、経路部材FP1のガイド部FPk,FPmを取付け部FPd,FPeに挿入する。そして、経路部材FP1を取付け部FPd,FPeに沿って+X方向に摺動させる。そして、隣接部FPaの被組付部FPfに、経路部材FP1の組付部FPgを組付け、隣接部FPaに経路部材FP1を接触させることで、所定の位置に経路部材FP1が配置される。尚、隣接部FPaは、所定の位置とX軸方向において隣り合っていればよく、接触していなくてもよい。
【0094】
次に、図13において、上述の所定の位置に配置される経路部材FP1とX軸方向において隣り合い、経路部材FP2が配置される位置を隣接位置とする。そして、取付け部FPd,FPeから取り外された経路部材FP3を隣接位置に配置する場合、経路部材FP3のガイド部FPk,FPmを取付け部FPd,FPeに挿入する。そして、経路部材FP3を取付け部FPd,FPeに沿って+X方向に摺動させる。そして、経路部材FP1の被組付部FPhに、経路部材FP3の組付部FPgを組付け、経路部材FP1に経路部材FP3を接触させることで、隣接位置に経路部材FP3が配置される。経路部材FP1は第1経路部材の一例であり、経路部材FP3は第2経路部材の一例である。尚、隣接位置は、所定の位置に配置される経路部材FP1とX軸方向において隣り合っていればよく、接触していなくてもよい。
【0095】
そして、取付け部FPd,FPeから取り外された経路部材FP2,FP4,FP5,FP6を図16に示すように配置する場合、隣接位置に経路部材FP3を配置したときと同様の手順で、経路部材FP2、経路部材FP5、経路部材FP4、経路部材FP6の順番で、経路部材FP2,FP5,FP4,FP6のガイド部FPk,FPmを取付け部FPd,FPeに挿入する。
【0096】
そして、規制部FPcの保持部FPn,FPp、支持部34eを、取付け部FPd,FPe、駆動軸34cに挿入し、規制部FPcを開閉部92の固定位置に固定する。これにより、複数の経路部材FPは、X軸方向において、経路部材FP2の位置と経路部材FP3の位置が入れ替わり、経路部材FP4の位置と経路部材FP5の位置が入れ替わった図16に示す配置になる。すなわち、経路部材FP1,FP2,FP3,FP4,FP5,FP6は、互いに入れ替え可能に、搬送経路21を構成する給送経路30に設けられる。換言すると、複数の経路部材FPは、互いに入れ替え可能に、搬送経路21に設けられる。
【0097】
次に、反転経路26の反転部26bを構成する経路部材HPについて説明する。尚、開閉部92に対する経路部材HPの脱着方法は経路部材FPと同様であるため説明を省略する。
【0098】
図13図14に示すように、反転経路26の反転部26bは、隣接部HPa、複数の経路部材HPである経路部材HP1,HP2,HP3,HP4,HP5,HP6、および規制部HPcを備える。隣接部HPa、経路部材HP1,HP2,HP3,HP4,HP5,HP6、および規制部HPcは、開閉部92に対して、反転経路26の経路幅方向となるX軸方向に並ぶように設けられる。
【0099】
隣接部HPaは、隣接部FPaと同様に、X軸方向において、開閉部92の+X方向側の端に設けられる。隣接部HPaには、隣接部FPaの構成と同様の、被組付部HPf、取付け部HPd、および取付け部HPeが設けられる。尚、経路部材HPは駆動ローラー、および駆動軸を備えないため、隣接部HPaは、駆動軸を回転可能に支持する隣接部FPaのような構成を備えない。
【0100】
本実施形態の経路部材HP1,HP2,HP3,HP4,HP5,HP6は同一形状である。経路部材HP1,HP2,HP3,HP4,HP5,HP6には、経路部材FPの構成と同様の、組付部HPg、被組付部HPh、ガイド部HPk、ガイド部HPm、および標示Mが設けられる。標示Mは、経路部材HP1,HP2,HP3,HP4,HP5,HP6それぞれを識別可能に、経路部材HP1,HP2,HP3,HP4,HP5,HP6の+Y方向側の面に設けられる。また、各経路部材HP1,HP2,HP3,HP4,HP5,HP6は、従動ローラーであるローラー74aをX軸方向に沿う軸中心に回転可能に支持する。
【0101】
規制部HPcは、規制部FPcと同様に、X軸方向において、経路部材HP1,HP2,HP3,HP4,HP5,HP6に対して-X方向側に隣り合う位置である開閉部92の-X方向側の端に着脱可能に設けられる。規制部HPcには、規制部FPcの構成と同様の、保持部HPn、および保持部HPpが設けられる。尚、経路部材HPは駆動ローラー、および駆動軸を備えないため、規制部HPcは、駆動軸を回転可能に支持する規制部FPcのような構成を備えない。
【0102】
上述のように経路部材HPが備える経路部材FPと同様の構成により、経路部材FPと同様に、経路部材HP1,HP2,HP3,HP4,HP5,HP6は、取付け部HPd,HPeに対して着脱可能に設けられ、取付け部HPd,HPeに対してX軸方向に摺動可能に設けられる。また、経路部材HP1,HP2,HP3,HP4,HP5,HP6は、互いに入れ替え可能に、搬送経路21を構成する反転経路26の反転部26bに設けられる。換言すると、複数の経路部材HPは、互いに入れ替え可能に、搬送経路21に設けられる。
【0103】
次に、フェイスダウン排出経路28を構成する経路部材DPについて説明する。スライド部94に対する経路部材DPの脱着は、図6図12に示すように、スライド部94が引き出された第2の状態で行う。また、開閉カバー102をスライド部94に対して開いた状態とすると、後述する経路部材DPの標示Mを視認しながら経路部材DPの脱着を行うことができる。尚、スライド部94に対する経路部材DPの脱着方法は経路部材FPと同様であるため説明を省略する。
【0104】
フェイスダウン排出経路28は、不図示の隣接部DPa、複数の経路部材DPである経路部材DP1,DP2,DP3,DP4,DP5,DP6、および図6に示す規制部DPcを備える。隣接部DPa、経路部材DP1,DP2,DP3,DP4,DP5,DP6、および規制部DPcは、スライド部94に対して、フェイスダウン排出経路28の経路幅方向となるX軸方向に並ぶように設けられる。
【0105】
隣接部DPaは、隣接部FPaと同様に、X軸方向において、開閉部92の+X方向側の端に設けられる。隣接部DPaには、隣接部FPaの構成と同様の、不図示の被組付部DPf、取付け部DPd、および取付け部DPeが設けられる。また、隣接部DPaは、隣接部FPaと同様に、X軸方向に延びる不図示の駆動軸56c,58cをX軸方向に沿う軸中心に回転可能に支持する。
【0106】
本実施形態の経路部材DP1,DP2,DP3,DP4,DP5,DP6は同一形状である。経路部材DP1,DP2,DP3,DP4,DP5,DP6には、経路部材FPの構成と同様の、不図示の組付部DPg、被組付部DPh、ガイド部DPk、ガイド部DPm、および標示Mが設けられる。標示Mは、経路部材DP1,DP2,DP3,DP4,DP5,DP6それぞれを識別可能に、経路部材DP1,DP2,DP3,DP4,DP5,DP6の+Y方向側の面に設けられる。また、各経路部材DP1,DP2,DP3,DP4,DP5,DP6は、経路部材FPと同様に、ローラー56b,58bをX軸方向に沿う軸中心に回転可能に支持する。
【0107】
規制部DPcは、規制部FPcと同様に、X軸方向において、経路部材DP1,DP2,DP3,DP4,DP5,DP6に対して-X方向側に隣り合う位置であるスライド部94の-X方向側の端に着脱可能に設けられる。規制部DPcには、規制部FPcの構成と同様の、不図示の保持部HPn、支持部56e,58e、および保持部HPpが設けられる。支持部56e,58eは、駆動軸56c,58cを回転可能に支持する。
【0108】
上述のように経路部材DPが備える経路部材FPと同様の構成により、経路部材FPと同様に、経路部材DP1,DP2,DP3,DP4,DP5,DP6は、取付け部DPd,DPeに対して着脱可能に設けられ、取付け部DPd,DPeに対してX軸方向に摺動可能に設けられる。また、経路部材DP1,DP2,DP3,DP4,DP5,DP6は、互いに入れ替え可能に、搬送経路21を構成するフェイスダウン排出経路28に設けられる。換言すると、複数の経路部材DPは、互いに入れ替え可能に、搬送経路21に設けられる。
【0109】
次に、反転経路26の上部区間26aを構成する経路部材UPについて説明する。反転経路26に対する経路部材UPの脱着は、図4に示すように、上側部材78を装置本体12に対して開いた状態で行う。
【0110】
図17図18に示すように、反転経路26の上部区間26aは、ローラー70b、ローラー72b、隣接部UPa、および複数の経路部材UPである経路部材UP1,UP2,UP3,UP4,UP5,UP6を備える。経路部材UP1,UP2,UP3,UP4,UP5,UP6は、上部区間26aのベース部材である隣接部UPaに対して、反転経路26の経路幅方向となるX軸方向に並ぶように設けられる。
【0111】
隣接部UPaには、取付け部UPd、および取付け部UPeが設けられる。図17から図20に示すように、取付け部UPdは、X軸方向に延びる断面円形の軸である。取付け部UPeは、X軸方向に延びる断面円形の軸であって、取付け部UPdに対して-Y方向側となる位置に、取付け部UPdと間隔を置いて設けられる。取付け部UPeの断面径は、取付け部UPdの断面径より大きく設定される。
【0112】
本実施形態の経路部材UP1,UP2,UP3,UP4,UP5,UP6は同一形状である。経路部材UP1,UP2,UP3,UP4,UP5,UP6には、位置決め部UPr、位置決め部UPs、固定フックUPt、摘み部UPu、および標示Mが設けられる。
【0113】
位置決め部UPrは、経路部材UPにおける媒体Pを案内する+Z方向側の面より-Z方向側に設けられ、経路部材UPのX軸方向に亘って延びる凹みである。位置決め部UPrは、Y軸方向において経路部材UPの中央より+Y方向側に位置し、+Y方向に向かって開口する。位置決め部UPrが取付け部UPdに嵌め込まれることで、経路部材UPの取付け部UPdに対するZ軸方向への移動、および+Y方向への移動が規制される。
【0114】
位置決め部UPsは、経路部材UPにおける媒体Pを案内する+Z方向側の面より-Z方向側に設けられ、経路部材UPのX軸方向に亘って延びる階段状の突起である。位置決め部UPsは、Y軸方向において経路部材UPの中央より-Y方向側に位置し、-Z方向に向かって突き出る。位置決め部UPsが取付け部UPeに接触することで、経路部材UPの取付け部UPeに対する-Z方向への移動、および-Y方向への移動が規制される。
【0115】
固定フックUPtは、経路部材UPにおける媒体Pを案内する+Z方向側の面より-Z方向側に設けられ、-Z方向に突き出る鉤状の突起である。固定フックUPtは、取付け部UPeに対して引っ掛かるように設けられる、所謂スナップフィットである。固定フックUPtが取付け部UPeに対して引っ掛かることで、経路部材UPの取付け部UPeに対する+Z方向への移動が規制される。
【0116】
摘み部UPuは、経路部材UPのX軸方向の両側面に設けられる一対の窪みである。ユーザーは摘み部UPuを摘まむことで、経路部材UPを取付け部UPd,UPeから取り外したり、取付け部UPd,UPeに取り付けたりすることができる。
【0117】
標示Mは、経路部材UP1,UP2,UP3,UP4,UP5,UP6それぞれを識別可能に、経路部材UP1,UP2,UP3,UP4,UP5,UP6の+Z方向側の面に設けられる。
【0118】
例えば、X軸方向において、図18に示す経路部材UP2と経路部材UP4との間となる位置に、経路部材UP3を取り付ける場合、経路部材UP3の摘み部UPuを摘まみ、図19に示すように、取付け部UPdに対して、+Z方向側でありかつ-Y方向側となる位置から白抜きの矢印で示す向きに経路部材UP3を移動させることで、取付け部UPdに経路部材UP3の位置決め部UPrを嵌め込む。白抜きの矢印で示す向きはX軸方向と交差する方向である。
【0119】
そして、さらに白抜きの矢印で示す向きに経路部材UP3を移動させることで、位置決め部UPrの凹みの底面を取付け部UPdに接触させる。そして、取付け部UPdを軸中心にして黒塗りの矢印の向きに経路部材UP3を回転させる。これにより、図20に示すように、取付け部UPeに固定フックUPtが引っ掛かり、取付け部UPeに位置決め部UPsが接触することで、取付け部UPd,UPeに対して経路部材UP3が取り付けられる。黒抜きの矢印で示す向きはX軸方向と交差する方向である。
【0120】
また、例えば、経路部材UP3を取付け部UPd,UPeから取り外す場合、経路部材UP3の摘み部UPuを摘まみ、図19に示す黒塗りの矢印の向きと反対の向きに経路部材UP3を引っ張ることで、固定フックUPtの取付け部UPeに対する引っ掛かりを解除する。そして、図19に示す白塗りの矢印の向きと反対の向きに経路部材UP3を移動することで、取付け部UPd,UPeから経路部材UP3が取り外される。
【0121】
経路部材UP1,UP2,UP4,UP5,UP6は、経路部材UP3と同様の構成を備える。よって、複数の経路部材UPである経路部材UP1,UP2,UP3,UP4,UP5,UP6は、取付け部UPd,UPeに対して、反転経路26の経路幅方向であるX軸方向と交差する方向に着脱可能に設けられる。このため、本実施形態では、複数の経路部材UPのうちのいずれかを取付け部UPd,UPeに対して着脱する場合、他の経路部材UPを取付け部UPd,UPeから取り外す必要がない。また、経路部材UP1,UP2,UP3,UP4,UP5,UP6は、互いに入れ替え可能に、搬送経路21を構成する反転経路26に設けられる。換言すると、複数の経路部材UPは、互いに入れ替え可能に、搬送経路21に設けられる。
【0122】
尚、本実施形態では、取付け部UPd,UPeに対して、六つの経路部材UP1,UP2,UP4,UP5,UP6が取り付けられることで、X軸方向における複数の経路部材UPの位置が固定される。一方、図18に示すように、複数の経路部材UPのうちのいずれかが取付け部UPd,UPeから取り外されている状態であれば、取付け部UPd,UPeに対して取り付けられる他の経路部材UPは、取付け部UPd,UPeに対してX軸方向に摺動可能である。
【0123】
以上述べたように、実施形態1に係る搬送経路21、および記録装置10によれば、以下の効果を得ることができる。
【0124】
搬送経路TRは、媒体Pを搬送方向に搬送する搬送経路TRであって、媒体Pを案内する経路部材XPを、搬送方向と交差するX軸方向に複数有し、複数の経路部材XPは、互いに入れ替え可能である。搬送経路TRを搬送される媒体Pは、経路幅方向における媒体Pの端部が経路部材XPと擦れやすく、経路幅方向における中央部は経路部材XPと擦れにくい。このため、経路部材XPにおいて、多く使用されるサイズの媒体Pの端部が通過する部分と、それ以外の部分と、では、経路部材XPの摩耗および紙粉の付着のいずれかの度合いが異なる場合がある。これに対して本実施形態の搬送経路TRによれば、各経路部材XPの摩耗および紙粉の付着のいずれかの度合いに応じて経路部材XPを入れ替えることで、搬送経路TRにおける媒体Pの搬送性能の低下を抑制できる。
【0125】
複数の経路部材XPは、同一形状である。これによれば、経路部材XPを入れ替え可能とした場合も、搬送経路TRの構成が複雑になりにくい。
【0126】
経路部材XPは、組付部FPgと、被組付部FPhと、を備え、複数の経路部材XPのうちの二つの経路部材XPを、経路部材FP1と経路部材FP3とし、所定の位置に配置される経路部材FP1と隣り合う隣接位置に経路部材FP3を配置するとき、経路部材FP1の被組付部FPhに、経路部材FP3の組付部FPgが組付けられることで、隣接位置に経路部材FP3が配置される。これによれば、経路部材FP1との組付け方向が正しい場合に、隣接位置への経路部材FP3の配置が可能となるため、経路部材FPが誤った組付け方向で組付けられることを抑制できる。
【0127】
経路部材XPが配置される所定の位置と経路幅方向において隣り合う隣接部FPaであって、被組付部FPfを備える隣接部FPaをさらに備え、経路部材XPは、組付部FPgを備え、複数の経路部材XPのうちの一つの経路部材XPを経路部材FP1とし、所定の位置に経路部材FP1を配置するとき、隣接部FPaの被組付部FPfに、経路部材FP1の組付部FPgが組付けられることで、所定の位置に経路部材FP1が配置される。これによれば、隣接部FPaとの組付け方向が正しい場合に、所定の位置への経路部材FP1の配置が可能となるため、経路部材FPが誤った組付け方向で組付けられることを抑制できる。
【0128】
複数の経路部材XPを着脱可能な取付け部FPd,FPeをさらに備え、複数の経路部材XPは、取付け部FPd,FPeに対して、X軸方向に摺動可能に設けられる。これによれば、取付け部FPd,FPeに対して複数の経路部材XPを摺動させて取外し、複数の経路部材XPの取付け順序を変えることで、経路部材XPの入れ替えができる。
【0129】
複数の経路部材XPを着脱可能な取付け部UPd,UPeをさらに備え、複数の経路部材XPは、取付け部UPd,UPeに対して、X軸方向と交差する方向に着脱可能に設けられる。これによれば、経路部材XPは経路幅方向と交差する方向に着脱可能であるため、入れ替え対象の経路部材XPを取付け部UPd,UPeに対して脱着することで、経路部材XPの入れ替えができる。
【0130】
経路部材XPは、媒体Pを搬送するローラー34bを有する。これによれば、経路部材XPの入れ替えあるいは交換を行うことで、摩耗および紙粉の付着のいずれかや汚損等が進んだローラー34bの入れ替えあるいは交換が可能となる。
【0131】
記録装置10は、搬送経路TRと、搬送経路TRを搬送される媒体Pに記録を行う記録部18と、制御部15と、を備え、制御部15は、記録の仕様に関する記録情報RIに基づいて、複数の経路部材XPそれぞれについて、媒体Pを案内する性能の劣化度Dを算出し、複数の経路部材XPにおいて、劣化度Dが設定値SVを超える設定値超過経路部材EXと、劣化度Dが設定値SVを超えていない設定値未超過経路部材NEXと、がある場合に、制御部15は、設定値超過経路部材EXと設定値未超過経路部材NEXとの入れ替えを促す旨の報知SCを行う。これによれば、報知SCを行うことで、ユーザーが経路部材XPの入れ替えを容易に行うことができる。
【0132】
報知SCにおいて、制御部15は、設定値超過経路部材EXと、複数の経路部材XPのうち劣化度Dが最も小さい設定値未超過経路部材NEXと、の入れ替えを促す。これによれば、経路部材XPを入れ替えることで、搬送経路TRにおける媒体Pの搬送性能の低下を抑制しやすい。よって、記録装置10の記録品質の低下を抑制でき、記録装置10の使用可能期間をより延ばすことができる。
【0133】
記録情報RIは、媒体Pの種類、媒体Pへの記録に要する時間である記録速度、媒体Pへの記録において媒体Pに付着する色材量の程度である記録濃度、および記録が行われるときの使用環境に関する環境情報のうち少なくとも一つを含む。これによれば、記録情報RIに応じて劣化度Dを算出することで、経路部材XPの入れ替えの適当なタイミングを予測することができる。
【0134】
記録情報RIは、搬送経路TRにおいて搬送不良が発生した媒体Pの情報を含む。例えば、経路部材XPにおいて媒体Pを案内する性能の劣化が進むと、媒体Pの搬送不良が発生しやすくなる。よって、搬送経路TRにおいて搬送不良が発生した媒体Pの情報を記録情報RIが含むことで、経路部材XPの入れ替えのより適当なタイミングを予測することができる。
【0135】
複数の経路部材XPには、それぞれを識別する標示Mが設けられ、制御部15は、標示Mを使用して、設定値超過経路部材EXと、設定値未超過経路部材NEXと、を入れ替える旨の報知SCを行う。これによれば、ユーザーが入れ替える経路部材XPを容易に認識できる。
【0136】
記録装置10は、報知SCを行う表示パネル19をさらに備える。これによれば、ユーザーが表示パネル19に表示される情報を確認しながら経路部材XPの入れ替えを行うことができる。
【0137】
本開示の上記実施形態に係る搬送経路21、および記録装置10は、以上述べたような構成を有することを基本とするものであるが、本開示の要旨を逸脱しない範囲内での部分的構成の変更や省略等を行うことも勿論可能である。また、上記実施形態および以下に説明する他の実施形態は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。以下、他の実施形態について説明する。
【0138】
記録された媒体Pを部数単位でまとめてステープル留め、あるいはパンチ穴の加工を行う場合、図22に示すように、記録された媒体Pを搬送する搬送経路221を備える搬送装置210と、搬送装置210によって搬送される記録された媒体Pを部数単位でまとめてステープル留め、あるいはパンチ穴の加工を行うフィニッシャー310と、を備える記録システム510に、上記実施形態の記録装置10を適用してもよい。この場合、記録装置10が備える制御部15が記録装置10、搬送装置210、およびフィニッシャー310を制御してもよい。
【0139】
また、搬送装置210が備える搬送経路221に、搬送経路21が備える構成および搬送経路21が備える経路部材XPと同様の構成を備えてもよい。この場合、搬送経路221は搬送経路TRの一例である。換言すると、搬送装置210は、記録装置10によって記録された媒体Pを搬送する搬送装置210であって、搬送経路TRを備える。これによれば、搬送経路TRにおいて経路部材XPの入れ替えを行うことで、搬送装置210における媒体Pの搬送性能の低下を抑制しやすい。
【0140】
また、この場合、記録システム510は、媒体Pに記録を行う記録装置10と、記録装置10によって記録された媒体Pを搬送する搬送装置210であって、搬送経路TRを備える搬送装置210と、記録装置10および搬送装置210を制御する制御部15と、を備える。これによれば、搬送装置210は経路部材XPを有する搬送経路TRを備える。このため、搬送経路TRにおいて経路部材XPの入れ替えを行うことで、記録システム510における媒体Pの搬送性能の低下を抑制しやすい。
【0141】
また、この場合、フィニッシャー310が備える搬送経路321に、搬送経路21が備える構成および搬送経路21が備える経路部材XPと同様の構成を備えてもよい。この場合、搬送経路321は搬送経路TRの一例である。
【0142】
上記実施形態において、記録装置10が備えるスキャナーユニット14、あるいは同様のスキャナーが備える搬送経路であって原稿を搬送する搬送経路に、搬送経路21が備える構成および搬送経路21が備える経路部材XPと同様の構成を備えてもよい。
【0143】
上記実施形態において、搬送経路TRは、経路部材XPを、X軸方向に六つ有さなくてもよい。例えば、搬送経路TRは、図21に示すように、経路部材XPを、X軸方向に三つ有してもよい。また、例えば、搬送経路TRに、経路部材XPを、搬送経路TRの経路幅方向であるX軸方向に二つ有してもよい。この場合、二つの経路部材XPを互いに入れ替えることにより、二つの経路部材XPそれぞれにおいて、媒体PのX軸方向の端部が通過する位置を、二つの経路部材XPを互いに入れ替える前とX軸方向において異ならせることで、搬送経路TRにおける媒体Pの搬送性能の低下を抑制できる。
【0144】
上記実施形態において、複数の経路部材XPは、同一形状でなくてもよい。例えば、図21に示すように、複数の経路部材XPである経路部材HP1,HP2,HP3、あるいは経路部材FP1,FP2,FP3は、互いにX軸方向の幅寸法が異なっていてもよい。この場合も、例えば、三つの経路部材FP1,FP2,FP3のうち経路部材FP1と経路部材FP3とを入れ替えることで、三つの経路部材XPそれぞれにおいて、媒体PのX軸方向の端部が通過する位置を、経路部材FP1と経路部材FP3とを入れ替える前とX軸方向において異ならせることで、搬送経路TRにおける媒体Pの搬送性能の低下を抑制できる。
【0145】
上記実施形態において、複数の経路部材XP全てが入れ替え可能に設けられなくてもよい。例えば、図17に示す、反転経路26の上部区間26aを構成する複数の経路部材UPである経路部材UP1,UP2,UP3,UP4,UP5,UP6のうち経路部材UP3が取付け部UPd,UPeから取り外せなくてもよい。この場合、経路部材UP3は標示Mを備えなくてもよい。
【0146】
上記実施形態において、制御部15は、複数の経路部材XPそれぞれについて、媒体Pを案内する性能の劣化度Dを算出し、複数の経路部材XPにおいて、設定値未超過経路部材NEXがない場合、経路部材XPの入れ替えが行えない旨の報知SCを行うとともに、ユーザーに対応を求めてもよい。また、制御部15は、複数の経路部材XPにおいて、設定値未超過経路部材NEXが一つになったタイミングで、最後の一つの設定値未超過経路部材NEXが設定値超過経路部材EXになったとき経路部材XPの入れ替えが行えない旨の報知SCを行うとともに、事前にユーザーに対応を求めてもよい。尚、対応の具体例としては、新たな経路部材XPの購入、経路部材XPの清掃、記録装置10の交換および搬送経路TRの交換のいずれかのためのサービスマンへの連絡等が挙げられる。
【0147】
上記実施形態において、記録装置10は、表示パネル19を備えなくてもよい。この場合、制御部15は、記録装置10が備える不図示の通信インターフェイス、通信ケーブルまたは無線通信回線等を通じて、外部機器(不図示)が有する表示部に、記録装置10の状態に関する情報を表示させる報知SCを行ってもよい。外部機器としては、パーソナルコンピューター、スマートフォン、携帯電話、携帯情報端末などが挙げられる。
【0148】
上記実施形態において、経路部材FP、経路部材HP、および経路部材DPのいずれかは、経路部材UPと同様の構成を備えてもよい。例えば、経路部材DPが経路部材UPと同様の構成を備える場合、経路部材DP1,DP2,DP3,DP4,DP5,DP6は、取付け部DPd,DPeに対して、フェイスダウン排出経路28の経路幅方向であるX軸方向と交差する方向に着脱可能に設けられる。また、この場合、経路部材DPの取付け部DPd,DPeに対する着脱は、スライド部94の開閉カバー102を開いた状態で、経路部材DPの+Y方向側から行われる。
【0149】
上記実施形態において述べられる搬送経路TR、および複数の経路部材XPを備えるのであれば、記録装置10はインクジェット式プリンターでなくてもよい。例えば、記録装置10は、トナー粉を熱で溶かして媒体Pに定着させるレーザープリンターであってもよい。
【符号の説明】
【0150】
10…記録装置、12…装置本体、14…スキャナーユニット、15…制御部、16…媒体収容カセット、17…ホッパー、17a…回動軸、18…記録部、19…表示パネル、20…媒体受けトレイ、21…搬送経路、22…ストレート経路、24…スイッチバック経路、24a…開口、26…反転経路、26a…上部区間、26b…反転部、28…フェイスダウン排出経路、28a…出口、30…給送経路、32…給送ローラー、33…分離ローラー対、33a,33b…ローラー、34…第1搬送ローラー対、34a,34b…ローラー、34c…駆動軸、34d…貫通穴、34e…支持部、36…第2搬送ローラー対、36a,36b…ローラー、38…第3搬送ローラー対、38a,38b…ローラー、40…拍車、42…第4搬送ローラー対、42a,42b…ローラー、44…拍車、46…第1フラップ、48…記録ヘッド、50…第2フラップ、52…第5搬送ローラー対、52a,52b…ローラー、54…第6搬送ローラー対、54a,54b…ローラー、56…第7搬送ローラー対、56a,56b…ローラー、56c…駆動軸、56e…支持部、58…第8搬送ローラー対、58a,58b…ローラー、60…第9搬送ローラー対、60a,60b…ローラー、62…第10搬送ローラー対、62a,62b…ローラー、64…拍車、66…第11搬送ローラー対、66a,66b…ローラー、68…拍車、70…第12搬送ローラー対、70a,70b…ローラー、72…第13搬送ローラー対、72a,72b…ローラー、74…第14搬送ローラー対、74a,74b…ローラー、76,76a,76b…拍車、78…上側部材、80…回動支点、84…第3フラップ、86…フェイスアップ排出トレイ、88…手差し給送経路、90…手差しトレイ、92…開閉部、94…スライド部、96…構造体、98…レール部材、100…レバー、102…開閉カバー、104…フレーム、106…開口、108…前面カバー、210…搬送装置、221…搬送経路、310…フィニッシャー、321…搬送経路、510…記録システム、DP、DP1,DP2,DP3,DP4,DP5,DP6…経路部材、DPa…隣接部、DPc…規制部、DPd,DPe…取付け部、DPf,DPh…被組付部、DPg…組付部、DPk,DPm…ガイド部、DPn,DPp…保持部、FP,FP1,FP2,FP3,FP4,FP5,FP6…経路部材、FPa…隣接部、FPc…規制部、FPd,FPe…取付け部、FPf,FPh…被組付部、FPg…組付部、FPk,FPm…ガイド部、FPn,FPp…保持部、HP,HP1,HP2,HP3,HP4,HP5,HP6…経路部材、HPa…隣接部、HPc…規制部、HPd,HPe…取付け部、HPf,HPh…被組付部、HPg…組付部、HPk,HPm…ガイド部、HPn,HPp…保持部、M…標示、RI…記録情報、RP…経路部材、SC…報知、SP…経路部材、TP…経路部材、TR…搬送経路、UP,UP1,UP2,UP3,UP4,UP5,UP6…経路部材、UPa…隣接部、UPd,UPe…取付け部、UPr,UPs…位置決め部、UPt…固定フック、UPu…摘み部、XP…経路部材。
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