(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023167813
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】打ち込み工具
(51)【国際特許分類】
B25C 1/06 20060101AFI20231116BHJP
B25C 1/04 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
B25C1/06
B25C1/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022079287
(22)【出願日】2022-05-13
(71)【出願人】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】馬場 徳和
(72)【発明者】
【氏名】栗木 駿
(72)【発明者】
【氏名】福田 一作
(72)【発明者】
【氏名】長尾 雅也
【テーマコード(参考)】
3C068
【Fターム(参考)】
3C068AA01
3C068AA04
3C068CC02
3C068CC07
3C068JJ20
(57)【要約】
【課題】ガス圧でドライバを移動させて打ち込み具を打ち込み、リフト機構のホイールを係合させてドライバを下動端から上動端位置に戻す打ち込み工具において、釘詰まり等によりドライバに対するホイールの噛み合いがずれる場合がある。噛み合いがずれたまま待機位置に戻されると、次回の打ち込み動作が安定しない。本開示では噛み合いのずれが修正されて常に安定した打ち込み動作がなされるようにする。
【解決手段】最終前係合部である第9係合部P9は他の係合部Pよりも小径である。これにより第10被係合部L10に対する第9係合部P9の噛み合いが浅くなる。第9係合部P9の噛み合いが浅くなって外れることによりドライバ15が待機位置まで下動する。これにより待機位置において第10被係合部L10に第10係合部P10が係合された正常な噛み合い状態に修正される。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
打ち込み工具であって、
ガス圧によって打ち込み方向へ移動するピストンと、
前記ピストンに設けられて前記ピストンと一体で移動して打ち込み具を打撃するドライバと、
前記ドライバを反打ち込み方向に移動させるホイールと、を有し、
前記ドライバは、前記打ち込み方向に沿って配設された複数の被係合部を備え、
前記ホイールは、前記ドライバを前記反打ち込み方向に移動するために回転する際に、前記ドライバの前記被係合部に順次係合する複数の係合部を備え、前記複数の係合部は、前記ドライバに係合する際に、前記打ち込み方向に直交する方向において前記ドライバ側に位置する外側領域を有し、
前記ドライバを前記反打ち込み方向に移動させる最後の係合部の1つ前で前記ドライバに係合する最終前係合部は、前記ドライバに係合する際に、他の係合部の前記外側領域よりも前記ドライバから遠い位置に前記外側領域を有する打ち込み工具。
【請求項2】
請求項1記載の打ち込み工具であって、
前記最終前係合部が前記他の係合部よりも小径であることにより、前記最終前係合部の前記外側領域が前記他の係合部よりも前記ドライバから遠い打ち込み工具。
【請求項3】
請求項1記載の打ち込み工具であって、
前記最終前係合部が前記他の係合部よりも前記ホイールの回転中心軸に近いことにより、前記最終前係合部の前記外側領域が前記他の係合部よりも前記ドライバから遠い打ち込み工具。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1つに記載の打ち込み工具であって、
前記ドライバの前記複数の被係合部は、前記反打ち込み方向に移動する際に、最後に前記ホイールに係合する最終被係合部を含み、
前記ドライバは、前記ホイールの反対側において案内面によって摺動可能に支持され、
前記最終被係合部が前記最終前係合部と係合する異常時において、前記ドライバが前記ホイールから離れることを許容する逃がし部が前記案内面に形成されている打ち込み工具。
【請求項5】
打ち込み工具であって、
ガス圧によって打ち込み方向へ移動するピストンと、
前記ピストンに設けられて前記ピストンと一体で移動して打ち込み具を打撃するドライバと、
前記ドライバを反打ち込み方向に移動させるホイールと、
前記ドライバを前記ホイールの反対側において摺接可能に支持する案内面を有し、
前記ドライバは、前記打ち込み方向に沿って配設された複数の被係合部を備え、
前記複数の被係合部は、前記反打ち込み方向に移動する際に、最後に前記ホイールに係合する最終被係合部を含み、
前記ホイールは、前記ドライバを前記反打ち込み方向に移動するために回転する際に、前記ドライバの前記被係合部に順次係合する複数の係合部を備え、
前記複数の係合部は、前記ドライバを前記反打ち込み方向に移動させる最後の係合部の1つ前で前記ドライバに係合する最終前係合部を含み、
前記最終被係合部が前記最終前係合部と係合する異常時において、前記ドライバが前記ホイールから離れることを許容する逃がし部が前記案内面に形成されている打ち込み工具。
【請求項6】
請求項4又は5記載の打ち込み工具であって、
前記案内面は、前記ドライバに沿って延出する主案内面を有し、
前記逃がし部は、前記ドライバの前記最終被係合部が前記ホイールの前記最後の係合部に係合する前記ドライバの待機位置に対して前記反打ち込み方向において前記主案内面に隣接し、かつ前記主案内面よりも前記ホイールから離れる方向に凹む打ち込み工具。
【請求項7】
請求項6記載の打ち込み工具であって、
前記案内面は、前記主案内面に対して傾斜して前記主案内面と前記逃がし部を接続する傾斜面を有する打ち込み工具。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の打ち込み工具であって、
前記ドライバは、前記逃がし部に入り得る先端を有し、前記先端は、前記案内面側に前記ドライバの移動方向に対して傾斜する傾斜面を有する打ち込み工具。
【請求項9】
請求項4~8の何れか1つに記載の打ち込み工具であって、
前記異常時に前記ドライバが前記逃がし部に至って前記最終被係合部から前記最終前係合部が外れることで、前記ドライバが前記逃がし部から前記打ち込み方向に変位して前記ドライバの前記最終被係合部が前記ホイールの前記最後の係合部に係合する待機位置に戻される打ち込み工具。
【請求項10】
請求項1~9の何れか1つに記載の打ち込み工具であって、
前記ドライバの前記複数の被係合部は、前記反打ち込み方向に移動する際に、最後に前記ホイールに係合する最終被係合部を含み、
前記最終被係合部が他の前記被係合部よりも前記ホイール側に突き出す打ち込み工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、釘やステープル等の打ち込み具を木材等に打ち込むための打ち込み工具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、圧縮ガスの推力を打撃力として利用するガスバネ式の打ち込み工具が開示されている。ガスバネ式の打ち込み工具は、シリンダ内を上下動するピストンと、ピストンに結合されて一体で下動して打ち込み具を打撃するドライバを有する。ピストンとドライバは蓄圧室のガス圧で打ち込み方向に下動する。ピストンとドライバはリフト機構により反打ち込み方向に戻される。
【0003】
リフト機構は、ドライバに設けた複数の被係合部に順次係合される複数の係合部を備えたホイールを有する。ホイールは電動モータにより回転する。打ち込み動作後にホイールが回転して係合部がドライバの被係合部に順次噛み合わされることでドライバが反打ち込み方向に上動される。ピストンが反打ち込み方向に上動されることで、蓄圧室のガス圧が高められる。ドライバが上動端位置に上動されると、ドライバに対するリフト機構の係合状態が解除される。これによりドライバがガス圧により下動して打撃動作がなされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
係る打ち込み工具では、例えば釘詰まりによりドライバが下動端の手前で停止すると、ドライバの被係合部に対するリフト機構の係合部の噛み合いがずれる場合がある。次回の打ち込み動作時に、噛み合いがずれた状態のままドライバが上動端に至ると打ち込み力が不安定化するおそれがある。
【0006】
本開示では、リフト機構のドライバに対する噛み合いがずれた場合であっても、次回の打ち込み動作時には噛み合いのずれが修正されて安定した打ち込み力で打ち込み動作がなされるようにする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の1つの局面によれば、打ち込み工具は、例えばガス圧によって打ち込み方向へ移動するピストンと、ピストンに設けられてピストンと一体で移動して打ち込み具を打撃するドライバと、ドライバを反打ち込み方向に移動させるホイールを有する。ドライバは、例えば打ち込み方向に沿って配設された複数の被係合部を備える。ホイールは、例えばドライバを反打ち込み方向に移動するために回転する際に、ドライバの被係合部に順次係合する複数の係合部を備える。
【0008】
例えば複数の係合部は、ドライバに係合する際に、打ち込み方向に直交する方向においてドライバ側に位置する外側領域を有する。例えばドライバを反打ち込み方向に移動させる最後の係合部の1つ前でドライバに係合する最終前係合部は、ドライバに係合する際に、他の係合部の外側領域よりもドライバから遠い位置に外側領域を有する。
【0009】
従って、ドライバを反打ち込み方向に移動させる際に、ドライバの被係合部に対する最終前係合部の係合(噛み合い)が他の係合部よりも浅くなる。噛み合いの浅い状態でホイールが回転することで、最終前係合部の最終被係合部に対する噛み合いが外れる。これにより噛み合いのずれが修正されて最後の係合部が最終被係合部に係合された正常な噛み合い状態でホイールが停止される。従って、次回の打ち込み動作の安定化が図られる。
【0010】
本開示の他の局面によれば、打ち込み工具は、例えばガス圧によって打ち込み方向へ移動するピストンと、ピストンに設けられてピストンと一体で移動して打ち込み具を打撃するドライバと、ドライバを反打ち込み方向に移動させるホイールを有する。打ち込み工具は、例えばドライバをホイールの反対側において摺接可能に支持する案内面を有する。例えばドライバは、打ち込み方向に沿って配設された複数の被係合部を備える。複数の被係合部は、例えば反打ち込み方向に移動する際に、最後にホイールに係合する最終被係合部を含む。例えばホイールは、ドライバを反打ち込み方向に移動するために回転する際に、ドライバの被係合部に順次係合する複数の係合部を備える。
【0011】
例えば複数の係合部は、ドライバを反打ち込み方向に移動させる最後の係合部の1つ前でドライバに係合する最終前係合部を含む。例えば最終被係合部が最終前係合部と係合する異常時において、ドライバがホイールから離れることを許容する逃がし部が案内面に形成されている。
【0012】
従って、ドライバが逃がし部に至ることで、最終被係合部に対する最終前係合部の係合が浅くなる。噛み合いの浅い状態でホイールが回転することで、最終前係合部の最終被係合部に対する噛み合いが外れる。これにより噛み合いのずれが修正されて最後の係合部が最終被係合部に係合された正常な噛み合い状態でホイールが停止される。従って、次回の打ち込み動作の安定化が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】
図1中II-II線断面矢視図であって、リフト機構の横断面図である。
【
図3】
図1中III-III線断面矢視図であって、工具本体の縦断面図である。
【
図4】リフト機構の縦断面図である。本図は、ドライバが下動端に至った状態であって、打ち込み直後の状態を示している。
【
図5】リフト機構の縦断面図である。本図は、ドライバが待機位置に停止された初期状態を示している。
【
図6】リフト機構の縦断面図である。本図は、ドライバが下動途中で停止されてホイールとの噛み合いがずれた状態を示している。
【
図7】リフト機構の縦断面図である。本図は、ホイールの噛み合いがずれた状態でドライバが上動端に至った状態を示している。
【
図8】第8係合部と第9係合部と第10係合部の径の違いと位置関係を示す図である。
【
図10】第2実施例のリフト機構の縦断面図である。本図は、ホイールの噛み合いがずれた状態でドライバが上動端に至った状態を示している。
【
図11】第8係合部と第9係合部と第10係合部の位置関係について第2実施例を示す図である。
【
図12】第2実施例のリフト機構の縦断面図である。本図は、ホイールの噛み合いのずれが修正されてドライバが待機位置に停止された状態を示している。
【
図13】第3実施例のリフト機構の縦断面図である。本図は、ホイールの噛み合いがずれたままドライバが上動端に至った状態を示している。
【
図14】
図13中XIV部の拡大図であって、打ち込み通路の縦断面図である。
【
図15】第3実施例のリフト機構の縦断面図である。本図は、ドライバが待機位置で停止された状態を示している。
【
図16】
図15中XVI部の拡大図であって、打ち込み通路の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
1つ又はそれ以上の実施態様において、例えば最終前係合部が他の係合部よりも小径であることにより、最終前係合部の外側領域が他の係合部よりもドライバから遠くなっている。これにより最終前係合部の被係合部に対する係合が浅くなる。
【0015】
1つ又はそれ以上の実施態様において、例えば最終前係合部が他の係合部よりもホイールの回転中心軸に近いことにより、最終前係合部の外側領域が他の係合部よりもドライバから遠くなっている。これにより最終前係合部の被係合部に対する噛み合いが浅くなる。
【0016】
1つ又はそれ以上の実施態様において、例えばドライバの複数の被係合部は、反打ち込み方向に移動する際に、最後にホイールに係合する最終被係合部を含む。例えばドライバは、ホイールの反対側において案内面によって摺動可能に支持される。例えば最終被係合部が最終前係合部と係合する異常時において、ドライバがホイールから離れることを許容する逃がし部が案内面に形成されている。従って、ドライバが逃がし部に至ることで、最終被係合部に対する最終前係合部の係合が浅くなる。これによりドライバの被係合部に対するホイールの噛み合いのずれが修正される。
【0017】
1つ又はそれ以上の実施態様において、例えば案内面は、ドライバに沿って延出する主案内面を有する。例えば逃がし部は、ドライバの最終被係合部がホイールの最後の係合部に係合するドライバの待機位置に対して反打ち込み方向において主案内面に隣接し、かつ主案内面よりもホイールから離れる方向に凹む。従って、異常時にドライバが待機位置を超えて反打ち込み方向に移動したときに、ドライバが主案内面から逃がし部に至ることでホイールから離れる。これにより最終被係合部に対する最終前係合部の噛み合いが外れて噛み合いのずれが修正される。
【0018】
1つ又はそれ以上の実施態様において、例えば案内面は、主案内面に対して傾斜して主案内面と逃がし部を接続する傾斜面を有する。従って、ドライバの主案内面と逃がし部との間の移動が案内面の傾斜面によってスムーズになされる。
【0019】
1つ又はそれ以上の実施態様において、例えばドライバは、逃がし部に入り得る先端を有する。ドライバの先端は、例えば案内面側にドライバの移動方向に対して傾斜する傾斜面を有する。従って、ドライバの主案内面と逃がし部との間の移動がドライバの傾斜面によってスムーズになされる。
【0020】
1つ又はそれ以上の実施態様において、例えば異常時にドライバが逃がし部に至って前記最終被係合部から前記最終前係合部が外れることで、前記ドライバが前記逃がし部から前記打ち込み方向に変位して前記ドライバの前記最終被係合部が前記ホイールの前記最後の係合部に係合する待機位置に戻される。従って、待機位置において、ドライバが主案内面に摺接されることでドライバの最終被係合部に対するホイールの最後の係合部の深い係合状態が維持される。
【0021】
1つ又はそれ以上の実施態様において、例えばドライバの複数の被係合部は、反打ち込み方向に移動する際に、最後にホイールに係合する最終被係合部を含む。例えば最終被係合部が他の被係合部よりもホイール側に突き出す。従って、最終被係合部に対するホイールの噛み合いが深くなる。これにより、待機位置においてずれのない正常な噛み合いが確実に実現される。
【実施例0022】
次に本開示の実施例の1つを
図1~16に基づいて説明する。打ち込み工具1の一例として、シリンダ上方の蓄圧室のガス圧を打ち込み具Nを打ち込むための推力として利用するガスばね式の打ち込み工具を示す。以下の説明では、打ち込み具Nの打ち込み方向を下方向とし、反打ち込み方向を上方向とする。打ち込み工具1の使用者は、
図1において概ね打ち込み工具1の左側に位置する。使用者の手前側を後方向(使用者側)、手前側と反対側の奥側を前方向とする。左右方向については使用者を基準とする。
【0023】
図1,3に示すように打ち込み工具1は、工具本体10を有する。工具本体10は、概ね円筒形の本体ハウジング11にシリンダ12を収容した構成を有する。シリンダ12内にはピストン13が上下に往復動可能に収容される。ピストン13よりも上方のシリンダ12の上部は、蓄圧室14に連通される。蓄圧室14には、例えば空気等の圧縮ガスが封入される。蓄圧室14のガス圧は、ピストン13の上面に下動させる推力として作用する。
【0024】
図3に示すようにシリンダ12の下部は、工具本体10の下部に設けられた打ち込みノーズ部2の打ち込み通路2aに連通される。打ち込みノーズ部2は、多数本の打ち込み具N(
図1参照)が装填されたマガジン8と結合される。打ち込み通路2aには、マガジン8内から打ち込み具Nが1本ずつ上下に延出した姿勢で供給される。打ち込みノーズ部2の下部には、上下にスライド可能なコンタクトアーム3が設けられる。コンタクトアーム3は、被打ち込み材Wと当接することにより上動する。
【0025】
図3に示すようにピストン13の下面には、上下に長いドライバ15が結合される。ドライバ15の下部は、打ち込み通路2a内に進入している。ドライバ15は、ピストン13の上面に作用する蓄圧室14のガス圧によって打ち込み通路2a内を下動する。ドライバ15の下端が打ち込み通路2a内に供給された1本の打ち込み具Nを打撃する。打撃された打ち込み具Nは、打ち込みノーズ部2の射出口2bから射出される。射出された打ち込み具Nは被打ち込み材Wに打ち込まれる。シリンダ12の下部には、ピストン13の下動端での衝撃を吸収するための下動端ダンパ17が配置される。
【0026】
図3に示すようにドライバ15の右側部には、複数の被係合部Lが設けられる。本実施例では、各被係合部Lに、ホイール22側に突き出すラック歯状の凸部が用いられる。本実施例では10個の被係合部L1~L10がドライバ15の長手方向(上下方向)に一定の間隔で配置される。各被係合部Lは、ラック歯状に形成され、それぞれ右方へ張り出す状態に設けられる。以下、10個の被係合部L1~L10を、必要に応じて上側から順に、第1被係合部L1、第2被係合部L2、第3被係合部L3、第4被係合部L4、第5被係合部L5、第6被係合部L6、第7被係合部L7、第8被係合部L8、第9被係合部L9、第10被係合部L10とも称する。10個の被係合部Lに、後述するリフト機構20が具備する係合部Pが係合される。
【0027】
図1に示すように工具本体10の後部には、使用者が把持するグリップ4が設けられる。グリップ4の前部下面には、使用者が指先で引いて操作するトリガ5が設けられる。被打ち込み材Wにコンタクトアーム3を押し付けて打ち込みノーズ部2に対して相対的に上動させることでトリガ5の引き操作が有効になる。グリップ4の後部にはバッテリ取付部6が設けられる。バッテリ取付部6の後面には、バッテリパック7を取り外し可能に装着できる。バッテリパック7は、バッテリ取付部6から取り外して別途用意した充電器で繰り返し充電して使用できる。バッテリパック7は、他の電動工具の電源として流用することができる。バッテリパック7は、後述する駆動部30に電力を供給する電源として動作する。
【0028】
図3に示すように打ち込みノーズ部2の右側部には、リフト機構20が結合されている。リフト機構20は、打撃後にピストン13とドライバ15を一体で上方へ戻す機能を有する。リフト機構20によりピストン13が上方へ戻されることで、蓄圧室14のガス圧が高められる。
【0029】
図1に示すようにリフト機構20の後部には、リフト機構20を動作させるための駆動部30が並設される。リフト機構20と駆動部30は、略円筒状の駆動部ケース11aに収容される。駆動部ケース11aは、本体ハウジング11の下部とバッテリ取付部6の下部を連結する。駆動部ケース11aは、本体ハウジング11と一体に設けられる。
【0030】
図2に示すように駆動部30は、駆動源としての電動モータ31を有する。電動モータ31は、出力軸32の軸線(モータ軸線J)を打ち込み方向(
図2において紙面直交方向)に直交させた前後方向に沿わせた姿勢で収容される。電動モータ31は、バッテリパック7の電力を電源としてトリガ5の引き操作によって起動する。
【0031】
図2に示すように電動モータ31の出力軸32は、軸受33,34を介して駆動部ケース11aに回転可能に支持される。出力軸32の前部は、減速ギア部40に接続される。減速ギア部40は、駆動部ケース11aに収容された略円筒状のギアケース40aの内周側に支持される。減速ギア部40には3列の遊星ギア列41,42,43が用いられている。3列の遊星ギア列41,42,43は、相互に同軸でありかつモータ軸線Jと同軸に配置されている。電動モータ31の回転出力は、3列の遊星ギア列41,42,43を含む減速ギア部40で減速されて前方のリフト機構20に出力される。
【0032】
図2に示すようにリフト機構20は、減速ギア部40に連結された回転軸21と、回転軸21に支持されたホイール22を有する。リフト機構20は、駆動部ケース11aに収容された略円筒状の機構ケース29に収容される。回転軸21の回転軸線は、モータ軸線Jに一致している。機構ケース29の前部は蓋部29aで塞がれている。回転軸21の前端は、蓋部29aを介して機構ケース29に保持される軸受26に回転可能に支持される。回転軸21の後端は、減速ギア部40の最終段のキャリア43aに結合される。減速ギア部40の最終段のキャリア43aは、外周側に設けられた軸受27を介して機構ケース29に回転可能に支持される。電動モータ31が起動すると、リフト機構20の回転軸21とホイール22が一体で
図3に示す矢印Rの方向(
図3において反時計回り方向)に回転する。ホイール22が矢印R方向に回転することでドライバ15が上方へリフトされる。
【0033】
ホイール22は、ドライバ15の被係合部Lに順次噛み合う複数の係合部Pを有する。複数の係合部Pは、ホイール22の外周縁に沿って一定間隔をおいて配置されている。本実施例では、例えば10個の係合部P(P1~P10)が設けられる。各係合部Pには、円柱形の軸部材(ピン)が用いられる。以下、10個の係合部Pを、ホイール22の矢印Rの回転方向先頭側から順に第1係合部P1、第2係合部P2、第3係合部P3、第4係合部P4、第5係合部P5、第6係合部P6、第7係合部P7、第8係合部P8、第9係合部P9、第10係合部P10とも称する。
【0034】
図4は、ドライバ15が下動端に至って打ち込み具Nの打ち込みがなされた直後の状態を示している。ドライバ15が下動端に至って正常な打ち込みがなされる。正常な打ち込み動作は、ピストン13が蓄圧室14のガス圧により下動端ダンパ17に当接されるまで下動することによりなされる。ドライバ15は下動端に至った後、ホイール22が引き続き矢印R方向に回転することにより上方へ戻される。
図4に示すようにホイール22の第1係合部P1がドライバ15の第1被係合部L1の下面に係合された正常な噛み合いによりドライバ15のリフトが開始される。噛み合う係合部Pの符合Pに付した数字と、被係合部Lの符合Lに付した数字が一致する場合が正常な噛み合い状態である。一致しない場合は噛み合いがずれた異常な噛み合い状態である。
【0035】
第1係合部P1が第1被係合部L1に係合された状態で引き続きホイール22が矢印R方向に回転する。これにより、以下第2係合部P2が第2被係合部L2の下面に係合され、次に第3係合部P3が第3被係合部L3の下面に係合される。以下ホイール22の回転により、第4係合部P4、第5係合部P5、第6係合部P6、第7係合部P7、第8係合部P8、第9係合部P9、第10係合部P10が、順次第4被係合部L4、第5被係合部L5、第6被係合部L6、第7被係合部L7、第8被係合部L8、第9被係合部L9、第10被係合部L10の下面に係合されていくことで、ドライバ15とピストン13が上動される。
【0036】
図5に示すように正常な噛み合いにより最終係合部P10が最終被係合部L10の下面に係合されると、ピストン13とドライバ15が上記した待機位置に至る。例えば電動モータ31の起動時間が適切に制御されることで、ピストン13とドライバ15が待機位置に至った段階で電動モータ31が停止される。以上で一連の打ち込み動作が終了する。ピストン13とドライバ15の待機位置は、上動端位置より下方に設定されている。1回の打ち込み動作では、ドライバ15が待機位置から一旦上動端位置まで上動された後にガス圧により下動して打ち込み動作がなされる。
【0037】
図6に示すように例えば被打ち込み材Wの硬い部位に打ち込み具Nが打ち込まれる場合等には、打ち込み具Nの打ち込み不足が発生する。この場合には、ピストン13とドライバ15が下動端に至らずより上方の位置で停止される。また、打ち込み具Nの詰まりが発生した場合もピストン13とドライバ15が下動端の手前で停止される。
図6では、ピストン13が下動端ダンパ17の手前で停止された状態が示されている。ドライバ15の途中停止状態においてもホイール22の回転状態は継続される。このため、ドライバ15の被係合部Lに対する係合部Pの相対位置のずれ(異常な噛み合い)が発生する。
図6では、第1係合部P1が第1被係合部L1ではなく第2被係合部L2の下面に係合された状態が示されている。
図4に示すように正常な噛み合いでは、リフト開始時に第1係合部P1が第1被係合部L1の下面に係合される。
図6は噛み合いが1つずれた異常な噛み合い状態が発生している。
【0038】
噛み合いが1つずれた異常な噛み合い状態でホイール22が矢印R方向に回転することでドライバ15がリフトされる。このため、
図7に示すように第9係合部P9が第10被係合部L10の下面に係合されることでピストン13とドライバ15が一旦上動端まで上動される。ホイール22の第9係合部P9がドライバ15の第10被係合部L10の下面に係合された状態で、電動モータ31が停止されて一連の打ち込み動作が終了されると、次回の打ち込み動作時に下動するドライバ15の第10被係合部L10が第10係合部P10に干渉して打ち込み動作が不安定化するおそれがある。本実施例では係る問題が解消されている。
【0039】
図8に示すように第1~第10係合部P1~P10は、同一の円周C0(半径C0の円弧を便宜上「円周C0」と称する。)上に配置されているが、第9係合部P9の直径d2は、他の係合部P(第1~第8係合部P1~P8、第10係合部P10)の直径d1よりも小径になっている。このため、第9係合部P9の外側領域E(打ち込み方向に直交する方向においてドライバ15側に位置する端縁領域)は、他の係合部Pの外側領域Eよりもドライバ15から遠い位置に位置する。なお、各係合部Pの外側領域Eは、ホイール22の放射方向の外周側端縁と捉えることができる。
【0040】
第9係合部P9の外側領域Eが他の係合部Pよりもドライバ15から遠い位置に位置することから、第9係合部P9の被係合部Lに対する噛み合いは他の係合部Pよりも浅くなる。このため、上記したように異常な噛み合い状態のままピストン13が待機位置を超えて上動端付近まで上動される段階で、第9係合部P9の第10被係合部L10に対する噛み合いが短時間で外れる。ピストン13が一旦上動端付近まで上動された段階で、第9係合部P9の第10被係合部L10に対する噛み合いが外れることで、ピストン13とドライバ15が蓄圧室14のガス圧により待機位置まで下動する。これにより、第10係合部P10が第10被係合部L10の下面に係合されて噛み合いのずれが修正される。異常な噛み合いが修正されてドライバ15が
図5に示す待機位置に戻される。
【0041】
図9に示すように本実施例では、第10被係合部L10の歯高さ(ホイール22側への突き出し寸法)が他の被係合部L(第1~第9被係合部L1~L9)の歯高さよりも距離hだけ大きくなっている。これにより、
図5に示す待機位置における第10係合部P10と第10被係合部L10の噛み合いが距離hだけ深くなって正常な噛み合いが確実に実現されるようになっている。
【0042】
以上のように構成した実施例によれば、ホイール22の第9係合部P9が他の係合部Pよりも小径(d1>d2)であることにより、第9係合部P9の外側領域Eが他の係合部Pよりもドライバ15から遠くなっている。このため、ドライバ15を反打ち込み方向に移動させる際に、ドライバ15の被係合部Lに対する第9係合部P9の係合(噛み合い)が他の係合部Pよりも浅くなる。噛み合いの浅い状態でホイール22が回転することで、第9係合部P9の被係合部Lに対する噛み合いが外れる。これにより、第9係合部P9がドライバ15の被係合部Lに係合された状態での停止状態が回避されて、待機位置におけるドライバ15の被係合部Lに対するホイール22の係合部Pの噛み合いのずれが修正される。噛み合いのずれが修正された状態で次回の打ち込み動作がなされることにより打ち込み動作の安定化が図られる。
【0043】
以上の第1実施例には変更を加えることができる。例えば第9係合部P9を他の係合部Pよりも小径(d1>d2)にすることで、第9係合部P9の外側領域Eを他の係合部Pの外側領域Eよりもドライバ15から遠い位置に位置させて被係合部Lに対する噛み合いを浅くする構成を例示したが、第9係合部P11の位置を変更することにより同様の作用効果を得ることができる。
【0044】
図10~12には第2実施例に係る第9係合部P11が示されている。第1実施例と同様で足りる部材及び構成には同位の符合を用いてその説明を省略する。第2実施例は第1実施例の第9係合部P9に代えて第9係合部P11が用いられる。第2実施例では、第1~第8係合部P1~P8、第10係合部P10及び第9係合部P11は、全て同じ直径d1の軸部材が用いられている。第2実施例では、第9係合部P11が第9被係合部L9の下面に係合される場合に正常な噛み合いとなる。第1係合部P1~第8係合部P8、第10係合部P10については、第1実施例と同様噛み合う係合部Pの符合Pに付した数字と、被係合部Lの符合Lに付した数字が一致する場合が正常な噛み合い状態である。一致しない場合は噛み合いがずれた異常な噛み合い状態である。
【0045】
図12に示すように第2実施例に係る第9係合部P11は、円周C1(半径C1の円弧を便宜上「円周C1」と称する。)上に配置されている。第1~第8係合部P1~P8及び第10係合部P10は、第1実施例と同じく同一の円周C0上に配置されている。円周C1は円周C0よりも小径である。従って、第9係合部P11は、他の係合部Pよりもホイール22の回転中心軸(回転軸21の回転中心軸)に近い位置に配置されている。これにより、第9係合部P11の外側領域Eが他の係合部Pよりもドライバ15から遠くなっている。第1実施例と同様、外側領域Eがドライバ15から遠いことにより第9係合部P11の被係合部Lに対する噛み合いが浅くなる。
【0046】
図10に示すように噛み合いがずれた状態でドライバ15が待機位置を超えて上動端付近まで上動されると、第9係合部P11の第10被係合部L10に対する噛み合いが浅いためホイール22が回転することにより第9係合部P11が第10被係合部L10から外れる。これにより、
図11に示すようにドライバ15が下動して第10被係合部L10の下面に第10係合部P10が係合された正常な噛み合い状態でホイール22が停止される。従って、噛み合いのずれが修正された状態でドライバ15が待機位置に停止される。これにより、次回の打ち込み動作の安定化が図られる。第2実施例においても、噛み合い最終の第10被係合部L10は他の被係合部Lよりも距離hだけ突き出し距離が大きくなっている。これにより第10被係合部L10に対する第10係合部P10の噛み合いが深くなって、ドライバ15が待機位置に確実に保持される。
【0047】
第1、第2実施例では、ホイール22の係合部Pとドライバ15の被係合部Lの噛み合いのずれを修正するために、第9係合部P9,P11の外側領域Eを他の係合部Pの外側領域Eよりもドライバ15から遠くに位置させる手段が用いられている。これに代えて以下の第3実施例によっても同様の作用効果を得ることができる。
【0048】
図12~15に第3実施例が示されている。第3実施例ではドライバ15の位置が変更されることでホイール22の係合部Pとドライバ15の被係合部Lの噛み合いが浅くなって、異常な噛み合いが修正される。第3実施例ではドライバ15の案内面2cについて従来にない工夫がなされている。
【0049】
打ち込み通路2aには、ドライバ15の上下動を案内する案内面2cが設けられている。案内面2cは、ドライバ15に対してホイール22とは反対側において上下に延在されている。主としてドライバ15のリフト時に、ドライバ15の被係合部Lとは反対側の左側面が案内面2cに摺接されることでドライバ15が上方に案内される。
【0050】
ドライバ15には、ホイール22の各係合部Pが噛み合わされることにより、案内面2cに押し付けられる方向の力が作用する。このため、ドライバ15は案内面2cに押し付けられつつ上方へ案内される。
【0051】
図14に示すように案内面2cの上方領域には一段低い逃がし部2dが設けられている。逃がし部2dは、主案内面(逃がし部2dを除く案内面2c)に対してホイール22から離れる方向に深さDだけ凹んでいる。逃がし部2dは主案内面の反打ち込み方向(上方)に隣接して延在される。
【0052】
案内面2cは、主案内面に対して傾斜して主案内面と逃がし部2dを接続する傾斜面2eを有する。ドライバ15は、逃がし部2dに進入可能な先端(下端部)を有する。ドライバ15の先端の、案内面2c側に、ドライバ15の移動方向に対して傾斜する傾斜面15aが設けられている。
【0053】
第3実施例では、ホイール22の全ての係合部P(第1~第8係合部P1~P8、第9係合部P12、第10係合部P10)は、同一の円周C0上に配置され、かつ同じ径d1を有する。第3実施例では、第9係合部P12が第9被係合部L9の下面に係合される場合に正常な噛み合いとなる。第1係合部P1~第8係合部P8、第10係合部P10については、第1、第2実施例と同様噛み合う係合部Pの符合Pに付した数字と、被係合部Lの符合Lに付した数字が一致する場合が正常な噛み合い状態である。一致しない場合は噛み合いがずれた異常な噛み合い状態である。
【0054】
第3実施例によれば、第1、第2実施例と同様ホイール22の係合部Pとドライバ15の被係合部Lとの噛み合いがずれた異常な噛み合い状態のままドライバ15がリフトされることで、第9係合部P12が第10被係合部L10の下面に係合される。第9係合部P12が第10被係合部L10に係合されてホイール22が矢印R方向に回転することでピストン13とドライバ15が待機位置を超えて上動端付近にまでリフトされる。
【0055】
図13,14に示すように異常な噛み合い状態でドライバ15が上動端付近にまでリフトされると、第9係合部P12からの力を受けてドライバ15の先端が逃がし部2d内に進入する。逃がし部2dは、第9係合部P12が被係合部Lに係合される時にドライバ15の先端が進入される領域に設けられている。これにより
図14中矢印Aで示すようにドライバ15の先端がホイール22から離れる方向(
図13,14において左方)へ逃がし部2dの深さDだけ変位する。こうしてドライバ15がホイール22から離れる方向に変位することで、第10被係合部に対する第9係合部P12の噛み合いが浅くなって外れる。
【0056】
第10被係合部L10に対する第9係合部P12の噛み合いが外れることで、一旦上動端付近までリフトされたピストン13とドライバ15が
図14中矢印Bで示すように僅かに下動する。
図15,16に示すようにドライバ15が下動することで、その先端が逃がし部2d内から外れて案内面2c(主案内面)に戻される。逃がし部2dと主案内面との間に傾斜面2eが設けられている。また、ドライバ15の逃がし部2d側の先端角部に傾斜面15aが設けられている。傾斜面2eと傾斜面15aの摺接により、ドライバ15の先端が逃がし部2d内から滑らかに下方へ変位されて主案内面に戻される。
【0057】
第9係合部P12の噛み合いが外れてドライバ15が下動されると、第10被係合部L10の下面に第10係合部P10が係合される。これにより異常な噛み合いが修正されてピストン13とドライバ15が待機位置に停止される。待機位置では、ドライバ15の左側面(ホイール22とは反対側の側面)が逃がし部2dから外れて案内面2c(主案内面)に摺接された状態に復帰される。これにより、ドライバ15の先端がホイール22側に戻されて第10被係合部L10に対する第10係合部P10の確実な噛み合い状態が得られる。第3実施例においても、噛み合い最終の第10被係合部L10は他の被係合部Lよりも距離hだけ突き出し距離が大きくなっている。これにより第10被係合部L10に対する第10係合部P10の噛み合いが深くなって、ドライバ15が待機位置に確実に保持される。
【0058】
このように第3実施例によっても、ドライバ15のリフト時に異常な噛み合いが自動的に修正される。これにより、待機位置におけるホイール22の係合部Pとドライバ15の被係合部Lとの正常な噛み合い状態が得られることで、次回の打ち込み動作の安定化が図られる。
【0059】
以上説明した実施例にはさらに変更を加えることができる。例えば、第1実施例と第2実施例を組み合わせて実施してもよい。また、第1実施例又は第2実施例に第3実施例のドライバ変位機構(逃がし部2d)を組み合わせて実施してもよい。
【0060】
ホイール22の係合部Pに軸部材を用いる構成を例示したが、歯形の凸部に変更してもよい。最終係合部の1つ前の係合部について歯形の凸部の突き出し量を小さくし、あるいは内周側に変位させることで同様の作用効果を得る。ホイールの係合部に歯形の凸部を用いる場合には、ドライバ15の被係合部Lに軸部材を用いる構成としてもよい。
【0061】
ホイール22の係合部P及びドライバ15の被係合部Lの個数についてはそれぞれ増減して例示した噛み合い修正構造を適用することができる。
【0062】
第1~第3実施例の打ち込み工具1が本開示の1つの局面若しくは他の局面における打ち込み工具の一例である。第1~第3実施例のピストン13が本開示の1つの局面若しくは他の局面におけるピストンの一例である。第1~第3実施例のドライバ15が本開示の1つの局面若しくは他の局面におけるドライバの一例である。第1~第3実施例のホイール22が本開示の1つの局面若しくは他の局面におけるホイールの一例である。第1~第3実施例の被係合部Lが本開示の1つの局面若しくは他の局面における被係合部の一例である。第1~第3実施例の係合部Pが本開示の1つの局面若しくは他の局面における係合部の一例である。
【0063】
第1、第2実施例の外側領域Eが本開示の1つの局面における外側領域の一例である。第1~第3実施例の第10係合部P10が本開示の1つの局面若しくは他の局面における最後の係合部の一例である。第1実施例の第9係合部P9、第2実施例の第9係合部P11、第3実施例の第9係合部P12が、本開示の1つの局面若しくは他の局面における最終前係合部の一例である。
【0064】
第3実施例の案内面2cが本開示の他の局面における案内面の一例である。第3実施例の逃がし部2dが本開示の他の局面における逃がし部の一例である。