(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023167836
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】配線固定構造および電気設備
(51)【国際特許分類】
H05K 7/00 20060101AFI20231116BHJP
H05K 7/18 20060101ALI20231116BHJP
H02M 7/48 20070101ALI20231116BHJP
H02G 3/30 20060101ALI20231116BHJP
H02B 1/20 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
H05K7/00 H
H05K7/18 E
H02M7/48 Z
H02G3/30
H02B1/20 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022079330
(22)【出願日】2022-05-13
(71)【出願人】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高津 良平
【テーマコード(参考)】
4E352
5G016
5G363
5H770
【Fターム(参考)】
4E352AA01
4E352AA02
4E352BB02
4E352BB11
4E352CC01
4E352CC40
4E352DD04
4E352DD16
4E352DR02
4E352DR14
4E352DR19
4E352DR40
4E352GG01
4E352GG17
5G016AA04
5G016DB06
5G363AA08
5G363AA16
5G363BA01
5G363DA01
5G363DA16
5G363DC08
5H770AA21
5H770QA27
5H770QA33
(57)【要約】
【課題】簡便な構成により加工の容易化および省スペース化を図りつつ、筐体の内面に配線を安定的に固定することができる配線固定構造を提供する。
【解決手段】筐体内に配設された配線を前記筐体の内面に固定するための配線固定構造であって、筐体の板状部分には、厚み方向に貫通する矩形状の貫通孔が形成されている。配線固定構造は、貫通孔の内側にて、貫通孔の第1辺から第1辺に対向する第2辺に向けて突出する矩形状の引掛部と、引掛部および配線を緊縛するためのバンド部材とを備える。バンド部材は、帯状のバンド部を有している。引掛部の突出方向における長さをAとし、引掛部の突出方向における先端部分と貫通孔の第2辺との間隙をBとし、バンド部の長さ方向に直交する方向におけるバンド部の幅をCとし、バンド部の厚みをDとした場合に、引掛部およびバンド部材は、A≧C>B>Dの関係を満たしている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に配設された配線を前記筐体の内面に固定するための配線固定構造であって、
前記筐体の板状部分には、厚み方向に貫通する矩形状の貫通孔が形成されており、
前記貫通孔の内側にて、前記貫通孔の第1辺から前記第1辺に対向する第2辺に向けて突出する矩形状の引掛部と、
前記引掛部および前記配線を緊縛するためのバンド部材とを備え、
前記バンド部材は、帯状のバンド部を有しており、
前記引掛部の突出方向における長さをAとし、前記引掛部の突出方向における先端部分と前記貫通孔の前記第2辺との間隙をBとし、前記バンド部の長さ方向に直交する方向における前記バンド部の幅をCとし、前記バンド部の厚みをDとした場合に、前記引掛部および前記バンド部材は、A≧C>B>Dの関係を満たしている、配線固定構造。
【請求項2】
前記引掛部は、前記突出方向が前記配線の配設方向に一致するように配置される、請求項1に記載の配線固定構造。
【請求項3】
前記引掛部は、前記板状部分と面一となるように構成されている、請求項1または2に記載の配線固定構造。
【請求項4】
前記引掛部は、前記板状部分を打ち抜き加工することにより形成される、請求項3に記載の配線固定構造。
【請求項5】
筐体と、
前記筐体内に収容される電気機器と、
前記筐体内に配設され、前記電気機器に接続される配線と、
前記配線を前記筐体の内面に固定するための配線固定構造とを備え、
前記筐体の板状部分には、厚み方向に貫通する矩形状の貫通孔が形成されており、
前記配線固定構造は、
前記貫通孔の内側にて、前記貫通孔の第1辺から前記第1辺に対向する第2辺に向けて突出する矩形状の引掛部と、
前記引掛部および前記配線を緊縛するためのバンド部材とを含み、
前記バンド部材は、帯状のバンド部を有しており、
前記引掛部の突出方向における長さをAとし、前記引掛部の突出方向における先端部分と前記貫通孔の前記第2辺との間隙をBとし、前記バンド部の長さ方向に直交する方向における前記バンド部の幅をCとし、前記バンド部の厚みをDとした場合に、前記引掛部および前記バンド部材は、A≧C>B>Dの関係を満たしている、電気設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配線固定構造および電気設備に関する。
【背景技術】
【0002】
特開平10-229283号公報(特許文献1)には、電線束線固定構造が開示されている。この電線束線固定構造は、電線を結束する結束バンドと、固定面に設けられ結束バンドを固定する引掛部とを備えている。引掛部は、固定面に設けた開口部の開口縁部の一部から開口部の内方に向けて延設している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、一旦締め付けられた結束バンドが引掛部から抜け落ちることがないように、引掛部の先端部分に結束バンド止め片を設けた実施形態が開示される。この結束バンド止め片は、引掛部の先端部分を幅広の形状とすること、あるいは、引掛部の先端部分を略直角に折り曲げることによって形成されている。さらに特許文献1には、他の実施形態として、一方の開口部における引掛部を設けた縁部が、他方の開口部における縁部に臨むように、2つの開口部を固定面に形成する構成が開示されている。
【0005】
上記2つの実施形態によれば、結束バンドが引掛部から脱落することを防止できるが、その一方で、引掛部の形状が複雑化する、または、引掛部の数が増えることにより、引掛部の加工に時間および手間を要することが懸念される。また、上記他の実施の形態では、2つの開口部を固定面に並べて配置するため、多くのスペースを占有することが懸念される。
【0006】
本開示は、かかる問題点を解決するためになされたものであり、本開示の目的は、簡便な構成により加工の容易化および省スペース化を図りつつ、筐体の内面に配線を安定的に固定することができる配線固定構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る配線固定構造は、筐体内に配設された配線を筐体の内面に固定するための配線固定構造である。筐体の板状部分には、厚み方向に貫通する矩形状の貫通孔が形成されている。配線固定構造は、貫通孔の内側にて、貫通孔の第1辺から第1辺に対向する第2辺に向けて突出する矩形状の引掛部と、引掛部および配線を緊縛するためのバンド部材とを備える。バンド部材は、帯状のバンド部を有している。引掛部の突出方向における長さをAとし、引掛部の突出方向における先端部分と貫通孔の第2辺との間隙をBとし、バンド部の長さ方向に直交する方向におけるバンド部の幅をCとし、バンド部の厚みをDとした場合に、引掛部およびバンド部材は、A≧C>B>Dの関係を満たしている。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、簡便な構成により加工の容易化および省スペース化を図りつつ、筐体の内面に配線を安定的に固定することができる配線固定構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態に係る配線固定構造が適用された電気設備の概略的な外観図である。
【
図2】
図1に示す筐体の内部構成の一部分を拡大して示す図である。
【
図3】
図1に示す筐体の内部構成の別の部分を拡大して示す図である。
【
図4】実施の形態に係る配線固定構造を説明するための図である。
【
図5】配線を筐体の内面に固定する際の作業手順を説明するための図である。
【
図6】配線を筐体の内面に固定する際の作業手順を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本開示の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下では図中の同一または相当部分には同一符号を付してその説明は原則的に繰返さないものとする。
【0011】
図1は、本実施の形態に係る配線固定構造が適用された電気設備の概略的な外観図である。
図1に示すように、電気設備100は、直方体形状の筐体110を備えている。筐体110は、複数の電気機器40および配線50を収容する。複数の電気機器40は、例えば、電力変換器、コンデンサ、リアクトル、および制御回路などの電気部品、ならびに、これらの電気部品を冷却するためのファンなどを含んでいる。
図1には、筐体110の前面に設けられたカバー112が開放された状態の電気設備100の内部構成が示されている。
図1では、一部の電気機器40および一部の配線50が示されている。
【0012】
配線50には、複数の電気機器40同士を電気的に接続するための電力線、一部の電気機器40を筐体110外部に設置された他の電気設備に電気的に接続するための電力線、および、各電気機器40と各種信号を遣り取りするための通信線などが含まれる。これらの配線50には、公知の配線を用いることができる。
【0013】
筐体110の内部では、各電気機器40および筐体110間の間隙、または、隣接する電気機器40間の間隙を利用して配線50が配設される。このような構成では、配線50が電気機器40に接触することによって配線50が損傷する可能性がある。あるいは、配線50が長尺になるに従って、配線50の自重により配線50が電気機器40から外れてしまう可能性がある。また、配線50に妨げられて電気機器40のメンテナンスを行う際の作業性が損なわれる可能性がある。
【0014】
これらの問題点を回避するためには、配線50を筐体110の内面に固定することが望ましい。本実施の形態では、筐体110の内面に配線50を固定するための配線固定構造について提案する。
【0015】
図2は、
図1に示す筐体110の内部構成の一部分を拡大して示す図である。
図2には、
図1中の領域RGN1が示されている。
図2に示すように、複数の配線50は、筐体110の天井部分から電気機器40に向けて垂直方向に配設されている。複数の配線50は、電気機器40に各種信号を伝送するための通信線である。筐体110の背面側の内壁114の一部分30において、複数の配線50は、バンド部材2によって結束されて内壁114に固定されている。
【0016】
図3は、
図1に示す筐体の内部構成の別の部分を拡大して示す図である。
図3には、
図1中の領域RGN2が示されている。
図3に示すように、複数の配線50は、第1の端部が筐体110内部に配された導体45に接続され、第2の端部が、筐体110の背面側の内壁114に設けられた挿通口116を通じて内壁114の後方へ配設されている。複数の配線50は、電力を伝送するための電力線である。筐体110の背面側の内壁114の一部分30において、複数の配線50は、バンド部材2によって結束されて内壁114に固定されている。
図2および
図3において、バンド部材2は、例えば結束バンドである。
【0017】
図4は、本実施の形態に係る配線固定構造を説明するための図である。
図4(A)は、筐体110の板状部分120の平面図である。本実施の形態に係る配線固定構は、引掛部1と、バンド部材2とを備える。
【0018】
図4(A)に示すように、引掛部1は、筐体110の板状部分120に設けられる。
図2および
図3の例では、引掛部1は、筐体110の背面側の内壁114の板状部分に設けられている。筐体110の板状部分120には、厚み方向に貫通する貫通孔10が形成されている。
【0019】
貫通孔10は、矩形状であって、互いに対向する第1辺11および第2辺12と、互いに対向する第3辺13および第4辺14とを有している。第3辺13および第4辺14は、第1辺11および第2辺12に直交している。
【0020】
引掛部1は、矩形形状の貫通孔10の内側に配置される。引掛部1は、貫通孔10の第1辺11から第2辺12に向けて突出する形状を有している。引掛部1は、貫通孔10を形成する矩形よりも小さい矩形形状を有している。引掛部1の突出方向に対して垂直な方向における両側の端部と貫通孔10の第3辺13および第4辺14との間には、間隙がそれぞれ形成されている。引掛部1の突出方向における先端部分と第2辺12との間には、間隙15が形成されている。これらの間隙によって貫通孔10はコの字型の形状をなしている。
【0021】
引掛部1は、筐体110の板状部分120と面一となるように構成されている。引掛部1は、筐体110の板状部分120を打ち抜き加工することにより形成することができる。
【0022】
図4(B)はバンド部材2の側面図であり、
図4(C)はバンド部材2の平面図である。
図4(B)および
図4(C)に示すように、バンド部材2は、帯状のバンド部20と、ヘッド部22とを有する。
【0023】
バンド部20は、複数の配線50の周囲を包囲可能な長さを有している。バンド部20の厚みは一定である。ヘッド部22は、バンド部20の長さ方向における第1端部に接続されており、バンド部20の長さ方向における第2端部の挿通を許容する挿通孔24が形成されている。
【0024】
図2および
図3に示したように、引掛部1は、その突出方向が配線50の配設方向に一致するように、板状部分120に配置されている。
図2では、垂直方向に配設される配線50に対して、引掛部1は、突出方向が垂直方向となるように配置されている。
図3では、水平方向に配設される配線50に対して、引掛部1は、突出方向が水平方向となるように配置されている。これによると、引掛部1は、配線50と重なり合うことができる。
【0025】
バンド部材2は、引掛部1を囲うコの字型の貫通孔10に挿通され、引掛部1および配線50に巻き付けられる。この状態でバンド部20の第2端部をヘッド部22の挿通孔24に挿通して第2端部を引っ張ることによって、配線50と引掛部1とを緊縛することができる。これにより、配線50を筐体110の板状部分120に固定することができる。
【0026】
上記構成において、引掛部1の突出方向における長さをAとし、引掛部1の突出方向における先端部分と貫通孔10の第2辺12との間隙15の大きさをBとし、バンド部20の長さ方向に直交する方向におけるバンド部20の幅をCとし、バンド部20の厚みをDとした場合に、引掛部1およびバンド部材2は、A≧C>B>Dの関係を満たしている。
【0027】
すなわち、バンド部20の幅Cは、引掛部1の突出方向における長さA以下であり、かつ、引掛部1の先端部分と貫通孔10の第2辺12との間隙15の大きさBよりも大きい。バンド部20の厚みDは、引掛部1の先端部分と貫通孔10の第2辺12との間隙15の大きさBよりも小さい。
【0028】
バンド部20の幅Cを、引掛部1の先端部分と貫通孔10の第2辺12との間隙15の大きさBよりも大きくしたことにより、間隙15において、配線50と引掛部1とを緊縛するためのバンド部20が引掛部1から抜けてしまうことを防ぐことができる。
【0029】
ただし、間隙15の大きさBをバンド部20の幅Cよりも狭めたことによって、コの字型の貫通孔10にバンド部20を挿通し、バンド部20を引掛部1および配線50に巻き付けるのに手間を取られてしまうことが懸念される。これにより、配線50を筐体110の内面に固定する際の作業性が低下することが懸念される。
【0030】
そのため、本実施の形態では、引掛部1の先端部分と貫通孔10の第2辺12との間隙15の大きさBをバンド部20の厚みDよりも大きくすることによって、作業性の低下を抑制する。以下に、配線50を筐体110の内面に固定する際の作業手順について説明する。
【0031】
図5および
図6は、配線50を筐体110の内面に固定する際の作業手順を説明するための図である。
図5および
図6には、第1(
図5[1])から第8(
図6[8])までの工程が順に示されている。各工程において、左側には筐体110の板状部分120を横から見た側面図が示され、右側には筐体110の板状部分120を筐体110の内側から見た平面図が示されている。
【0032】
まず、
図5[1]を参照して、第1工程では、バンド部材2のバンド部20が、引掛部1を囲むように形成されたコの字型の貫通孔10に沿うように、コの字型の形状に曲げられる。折り曲げられた状態のバンド部材2は、バンド部20の幅方向が筐体110の板状部分120に対して垂直となるように配置される。
【0033】
次に、第2工程(
図5[2]参照)では、コの字型に曲げられたバンド部20の一部分が、引掛部1の先端部分と貫通孔10の第2辺12との間隙15に挿入される。このとき、バンド部20の厚みDは間隙15の大きさBよりも小さいため、バンド部20を間隙15に挿入することができる。
【0034】
第3工程(
図5[3]参照)では、バンド部20がさらに貫通孔10に挿入される。引掛部1の両側の間隙にもバンド部20が挿入される。
【0035】
次に、
図5[4]を参照して、第4工程では、バンド部20を貫通孔10に挿入させた状態で、バンド部20が筐体110の板状部分120に対して起立するように、バンド部20の向きが変更される。
【0036】
第5工程(
図6[5]参照)では、バンド部20の幅方向が板状部分120に対して水平とされる。これにより、バンド部20は、第1工程(
図5[1])での状態から90°回転した状態となる。
【0037】
第6工程(
図6[6]参照)では、バンド部20の幅方向の一方の端部が貫通孔10の第1辺11に当接するように、バンド部20を板状部分120に対して水平に移動させる。
【0038】
次に、
図6[7]に示すように、第7工程では、配線50が引掛部1と重なり合うように配置される。
【0039】
最後に、第8工程(
図6[8]参照)では、バンド部20の長さ方向における第2端部がヘッド部22の挿通孔24に挿通される。配線50および引掛部1にバンド部20が巻き付けられた状態で、バンド部20の第2端部が引っ張られる。これにより、バンド部20によって配線50および引掛部1が緊縛されて、結果的に配線50が板状部分120に固定される。
【0040】
なお、
図5および
図6では、バンド部20を貫通孔10に挿入した後にバンド部20の長さ方向における第2端部をヘッド部22の挿通孔24に挿通する手順について説明したが、最初にバンド部20の長さ方向における第2端部を挿通孔24に挿通してバンド部20をリンク状にした状態で貫通孔10にバンド部20を挿入させる手順としてもよい。
【0041】
以上説明したように、本実施の形態に係る配線固定構造によれば、引掛部1の先端部分と貫通孔10との間隙15の大きさBをバンド部材2のバンド部20の幅Cよりも小さくしたことにより、間隙15において、配線50と引掛部1とを緊縛するためのバンド部20が引掛部1から抜けてしまうことを防ぐことができる。
【0042】
ここで、バンド部20が引掛部1から抜けてしまうことを防ぐための第1の手法としては、特許文献1に記載されるように、引掛部1の先端部分にバンド抜け止め片を設ける構成が検討される。あるいは、第2の手法として、特許文献1に記載されるように、2個の引掛部1を、貫通孔10の第1辺11同士が対向するように並べて配置する構成が検討される。
【0043】
しかしながら、上記第1の手法では、バンド抜け止め片を、引掛部1の先端部分を幅広の形状とすること、あるいは、引掛部1の先端部分を略直角に折り曲げることによって形成するため、引掛部1の形状が複雑化することになる。そのため、筐体110の板状部分120の加工に時間および手間を要するということが懸念される。
【0044】
また、上記第2の手法では、第1の手法に比べて、個々の引掛部1の加工が容易になるものの、筐体110の板状部分120に2個の引掛部1を並べて配置するためのスペースが必要となる。また、引掛部1の数が増えたことで板状部分120の加工に時間および手間を要することが懸念される。
【0045】
これに対して、本実施の形態では、上述したように、単一の引掛部1の先端部分と貫通孔10との間隙15の大きさBを調整することでバンド部20が引掛部1から抜けることを防止できるため、引掛部1の形状が複雑化すること、および、引掛部1の数が増えることを回避できる。その結果、上記第1および第2の手法に比べて、筐体110の板状部分120を加工する時間および手間を削減することが可能となる。また、本実施の形態では、単一の引掛部1で足りるため、複数の引掛部1を配置するために多くのスペースを占有することがない。
【0046】
さらに、本実施の形態では、引掛部1の先端部分と貫通孔10との間隙15の大きさBをバンド部材2のバンド部20の厚みDよりも大きくしたことにより、バンド部20を貫通孔10に挿入し易くなるため、引掛部1および配線50をバンド部材2で緊縛する際の作業性が低下することを抑制することができる。
【0047】
また、本実施の形態では、引掛部1の突出方向によって配線50の配設方向が規定されるため、電気設備100の設計段階において配線50の理想的な配設状態に基づいて、筐体110における引掛部1の配置位置を決めておくことができる。これによると、電気設備100の組立作業を行う作業者に対して、引掛部1を利用して、理想的な配線50の配設方向を指示することが可能となる。これによると、作業者のスキルレベルによって配線50の配設状態にばらつきが生じることを抑制することができる。
【0048】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0049】
1 引掛部、2 バンド部材、10 貫通孔、11 第1辺、12 第2辺、13 第3辺、14 第4辺、15 間隙、20 バンド部、22 ヘッド部、24 挿通孔、40 電気機器、45 導体、50 配線、100 電気設備、110 筐体、112 カバー、114 内壁、116 挿通口、120 板状部分。