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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023167856
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】自立性包装袋
(51)【国際特許分類】
   B65D 30/02 20060101AFI20231116BHJP
   B65D 30/16 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
B65D30/02 ZAB
B65D30/16 C ZBP
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022079363
(22)【出願日】2022-05-13
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100169063
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 洋平
(72)【発明者】
【氏名】山本 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】小谷 直己
(72)【発明者】
【氏名】岡村 正信
【テーマコード(参考)】
3E064
【Fターム(参考)】
3E064AB25
3E064BA27
3E064BA28
3E064BB03
3E064BC01
3E064BC08
3E064BC18
3E064BC20
3E064EA07
3E064EA30
3E064FA03
3E064GA01
3E064HN05
(57)【要約】
【課題】モノマテリアル化を実現しつつ、落下時の衝撃による内容物の漏出を抑制することができ、且つ簡単に作製することができる自立性包装袋を提供すること。
【解決手段】基材層及びシーラント層をそれぞれ含む一対の本体部と、基材層及びシーラント層を含み且つ山折り部を有する底テープとをヒートシールして形成されている自立性包装袋であって、自立性包装袋の両サイドに設けられており、一対の本体部同士を接着しているサイドシール部と、自立性包装袋の底部に設けられており、一対の本体部と底テープを接着している底シール部と、底テープの領域であって、底シール部及び山折り部で囲まれた領域に設けられており、底テープに対して本体部を部分的に接着している内側シール部とを備え、自立性包装袋におけるポリエチレン樹脂の含有量が90質量%以上である、自立性包装袋。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材層及びシーラント層をそれぞれ含む一対の本体部と、基材層及びシーラント層を含み且つ山折り部を有する底テープとをヒートシールして形成されている自立性包装袋であって、
前記自立性包装袋の両サイドに設けられており、前記一対の本体部同士を接着しているサイドシール部と、
前記自立性包装袋の底部に設けられており、前記一対の本体部と前記底テープを接着している底シール部と、
前記底テープの領域であって、前記底シール部及び前記山折り部で囲まれた領域に設けられており、前記底テープに対して前記本体部を部分的に接着している内側シール部と、
を備え、
前記自立性包装袋におけるポリエチレン樹脂の含有量が90質量%以上である、自立性包装袋。
【請求項2】
前記内側シール部の横方向の最大長さが、前記領域の横方向の最大長さに対して20~80%である、請求項1に記載の自立性包装袋。
【請求項3】
前記内側シール部が、前記領域の横方向の中心線と重なる位置に設けられている、請求項1又は2に記載の自立性包装袋。
【請求項4】
前記底シール部から前記内側シール部までの縦方向の最大距離が、前記底シール部から前記山折り部までの縦方向の最大距離に対して40%以下である、請求項1又は2に記載の自立性包装袋。
【請求項5】
前記底シール部から前記内側シール部までの縦方向の最大距離が5~40mmである、請求項1又は2に記載の自立性包装袋。
【請求項6】
前記内側シール部の形状が、多角形状、直線状、円弧状、円形状、及び楕円形状のうちのいずれかである、請求項1又は2に記載の自立性包装袋。
【請求項7】
前記本体部及び/又は前記底テープの基材層が、高密度ポリエチレンを含む、請求項1又は2に記載の自立性包装袋。
【請求項8】
前記本体部及び/又は前記底テープのシーラント層が、低密度ポリエチレンを含む、請求項1又は2に記載の自立性包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自立性包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
スタンディングパウチ等の自立性包装袋は、店頭の商品棚で商品を目立たせることが可能であることから、採用の範囲が広がっている。スタンディングパウチには、落下時等に衝撃が加わっても、ヒートシール部が破断することなく、スタンディングパウチの内容物が漏出しないことが求められる。例えば、特許文献1には、対向配置された胴部シートの両サイドをシールしサイドシール部を形成するとともに、底部シートが内側に折り畳まれ、胴部シートとシールし底シール部が形成され、底部シートを拡開して自立可能とした自立性包装袋であって、底シール部に未シール部からなる空隙部が形成され、空隙部に空気を圧入してなる空気封入部が形成され、空気封入部が、複数形成されていることを特徴とする自立性包装袋が開示されている。この自立性包装袋によれば、落下時の衝撃を吸収し、包装袋の破袋を低減できることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-20755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の自立性包装袋は、未シール領域に空気を充填する必要があるため生産性の点で課題がある。そのため、落下時の衝撃による内容物の漏出を抑制することができ、且つ簡単な方法により作製することができる自立性包装袋が求められる。
【0005】
また、近年の環境問題への意識の高まりから、包装袋にリサイクル適性を持たせるために、単一素材を使用した包装袋、いわゆるモノマテリアル包材袋への関心が高まっている。しかし、単一素材を使用した包装袋は、包装袋を構成する積層体の材料が制限されることから、積層体の材料を変えることにより積層体同士の密着強度を高めることは難しい。
【0006】
そこで、本発明の一側面は、モノマテリアル化を実現しつつ、落下時の衝撃による内容物の漏出を抑制することができ、且つ簡単に作製することができる自立性包装袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面に係る自立性包装袋は、基材層及びシーラント層をそれぞれ含む一対の本体部と、基材層及びシーラント層を含み且つ山折り部を有する底テープとをヒートシールして形成されている自立性包装袋であって、自立性包装袋の両サイドに設けられており、一対の本体部同士を接着しているサイドシール部と、自立性包装袋の底部に設けられており、一対の本体部と底テープを接着している底シール部と、底テープの領域であって、底シール部及び山折り部で囲まれた領域に設けられており、底テープに対して本体部を部分的に接着している内側シール部とを備え、自立性包装袋におけるポリエチレン樹脂の含有量が90質量%以上である、自立性包装袋である。
【0008】
上記自立性包装袋によれば、モノマテリアル化を実現しつつ、落下時の衝撃による内容物の漏出を抑制することができる。また、上記自立性包装袋は、上記領域内に内側ヒートシール部を追加することにより作製できるため、簡単に作製することができる。
【0009】
上記自立性包装袋によれば、落下時の衝撃による内容物の漏出を抑制することができる理由について、本発明者らは以下のように推察するが、以下の理由に限定されるものではない。すなわち、スタンディングパウチ等の自立性包装袋は、落下時の衝撃により内容物が漏出する場合、自立性包装袋のサイドシール部と底シール部とが重なる領域(交点シール部)における剥離等が原因となっていることがある。この交点シール部の剥離等は、落下時に自立性包装袋の底部が自立性包装袋の正面視における前後方向に大きく開き、交点シール部に力が加わることによって、発生していると考えられる。上記自立性包装袋によれば、上記領域内に上記内側シール部が部分的に設けられていることにより、自立性包装袋に内容物が充填された状態において、底部の自立性包装袋の正面視における前後方向の開きを狭くすることができる。これにより、自立性包装袋の落下時に、交点シール部にかかる力を軽減することが可能となり、落下時の衝撃による内容物の漏出を抑制することができると推察される。
【0010】
上記自立性包装袋において、上記内側シール部の上記横方向の最大長さは、上記領域の上記横方向の最大長さに対して20~80%であってもよい。上記内側シール部は、上記領域の上記横方向の中心をまたいでもよい。
【0011】
上記自立性包装袋において、上記底シール部から上記内側シール部までの最大距離は、上記底シール部から上記山折り部までの最大距離に対して40%以下であってもよい。上記底シール部から上記内側シール部までの最大距離は5~40mmであってもよい。
【0012】
上記自立性包装袋において、上記内側シール部の形状は、多角形状、直線状、円弧状、円形状、及び楕円形状のうちのいずれかであってもよい。上記本体部及び/又は上記底テープの基材層は、高密度ポリエチレンを含んでもよい。上記本体部及び/又は上記底テープのシーラント層は、低密度ポリエチレンを含んでもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、モノマテリアル化を実現しつつ、落下時の衝撃による内容物の漏出を抑制することができ、且つ簡単に作製することができる自立性包装袋が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係るスタンディングパウチを模式的に示す正面図である。
図2図1に示されるスタンディングパウチの構成を模式的に示す断面図である。
図3図1に示されるスタンディングパウチを構成する一対の本体部と、底テープとを模式的に示す斜視図である。
図4図1に示すスタンディングパウチの内側シール部について説明する正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0016】
<スタンディングパウチ>
図1は、本発明の自立性包装袋の一実施形態に係るスタンディングパウチを模式的に示す正面図である。図2は、図1に示されるスタンディングパウチの構成を模式的に示す断面図である。図3は、図1に示されるスタンディングパウチを構成する一対の本体部と、底テープとを模式的に示す斜視図である。これらの図に示されるスタンディングパウチ10は、一対の本体部1,2と、底テープ3とをヒートシールして形成されている。一対の本体部1,2及び底テープ3はいずれも、基材層L1と、シーラント層L2とを少なくとも含む積層体で構成されている(図2参照)。
【0017】
スタンディングパウチ10の側部は、サイドシール部5で構成されている。サイドシール部5は、一対の本体部1,2同士をスタンディングパウチ10の正面視における縦方向(以下、単に縦方向ともいう。)にヒートシールした部分である。サイドシール部5は、スタンディングパウチ10の両サイドにおいて、一対の本体部1,2と底テープ3も接着している。サイドシール部5の幅は、例えば、5~18mmであり、7~15mmであってもよい。サイドシール部5の幅が5mm以上であることで十分なシール強度を達成できる傾向にあり、サイドシール部5の幅が18mm以下であることでスタンディングパウチ10の十分な内容量を確保しやすい傾向にある。
【0018】
底テープ3は一つの山折り部3aを有する。すなわち、スタンディングパウチ10が自立した状態において、底テープ3は逆V字状に配置されている(図2,3参照)。図2に示されるように、スタンディングパウチ10の底部10aは、底シール部6a,6bによって構成されている。底シール部6aは、本体部1の底部1aと底テープ3の一方の底部3bとをスタンディングパウチ10の正面視における横方向(以下、単に横方向ともいう。)にヒートシールした部分である。底シール部6bは、底部2aと底テープ3の一方の底部3cとを横方向にヒートシールした部分である。本体部1,2と底テープ3は、例えば、図1に示されるように、内容物を収容する領域の底部が曲面をなすように、上側が円弧状をなすようにヒートシールされていてもよい。スタンディングパウチ10は、サイドシール部5と、底シール部6a,6bとの交点である交点シール部10bを有している。
【0019】
図1に示されるように、スタンディングパウチ10は、その正面視において底シール部6a又は底シール部6bと、山折り部3aとで囲まれた領域A(図4においてハッチングを付した領域)を有している。スタンディングパウチ10は、領域A内に内側シール部7a,7bを備える。内側シール部7aは、本体部1と底テープ3とを領域A内においてヒートシールした部分である。内側シール部7bは、本体部2と底テープ3とを領域A内においてヒートシールした部分である。
【0020】
内側シール部7a及び/又は内側シール部7bの横方向の最大長さ(図4に示す長さLa)は、落下時のスタンディングパウチ10の正面視における底部10aの前後方向(以下、単に前後方向ともいう。)の開きを抑制し易くなり、内容物の漏出を抑制し易やすくなる観点から、領域Aの横方向の最大長さ(図4に示す長さLb)に対して10%以上、20%以上、30%以上、又は40%以上であってもよい。長さLaは、スタンディングパウチ10が自立しやすくなる観点から、長さLbに対して、90%以下、80%以下、70%以下、又は60%以下であってもよい。長さLaは、長さLbに対して10~90%又は20~80%であってもよい。
【0021】
長さLaは、例えば、18mm以上、22mm以上、又は70mm以上であってもよく、90mm以下、80mm以下、又は30mm以下であってもよい。長さLaは、18~90mmであってもよい。
【0022】
内側シール部7a及び/又は内側シール部7bは、底部10aの前後方向の開きを抑制し易くなり、内容物の漏出を抑制し易やすくなる観点から、領域Aの横方向の中心線と重なる位置に設けられていてもよい。すなわち、内側シール部7a及び/又は内側シール部7bは、領域Aの横方向の中心(領域Aの横方向の最大長さLbの50%の位置)をまたぐように設けられていてもよい。内側シール部7a及び/又は内側シール部7bは、領域Aの横方向の中心を通る中心線に対して略線対称となるように設けられていてもよい。
【0023】
内側シール部7a及び/又は内側シール部7bの縦方向の最大長さ(図4に示す長さLc)は、内容物の漏出を抑制し易やすくなる観点から、領域Aの縦方向の最大長さ(図4に示す長さLd)に対して5%以上、10%以上、20%以上であってもよい。長さLcは、長さLdに対して、50%以下、40%以下、又は30%以下であってもよい。長さLcは、長さLdに対して5~50%であってもよい。
【0024】
長さLcは、例えば、1mm以上、2mm以上、又は4mm以上であってもよく、15mm以下、10mm以下、又は8mm以下であってもよい。長さLcは、1~15mmであってもよい。
【0025】
底シール部6aから内側シール部7aまでの縦方向の最大距離(図4に示す距離D1)は、スタンディングパウチ10が自立しやすくなる観点から、底シール部6aから山折り部3aまでの縦方向の最大距離(図4に示す長さLd)に対して50%以下、40%以下、又は30%以下であってもよい。距離D1は底部10aの前後方向の開きを抑制し易くなり、内容物の漏出を抑制し易い観点から、長さLdに対して、10%以上、20%以上、又は25%以上であってもよい。距離D1は、長さLdに対して10~50%であってもよい。底シール部6bから内側シール部7bまでの最大距離についても上記の範囲を満たすものであってもよい。
【0026】
距離D1は、例えば、5mm以上、10mm以上、15mm以上、又は25mm以上であってもよく、50mm以下又は40mm以下であってもよい。距離D1は、5~50mm、5~40mm、又は25~40mmであってもよい。底シール部6bから内側シール部7bまでの最大距離についても上記の範囲を満たすものであってもよい。
【0027】
内側シール部7a,bの形状は特に限定されない。内側シール部7a,bの形状は、例えば、多角形状、直線状、円弧状、円形状、及び楕円形状のうちのいずれかであってもよい。内側シール部7a及び内側シール部7bの形状は、それぞれ略同一であってもよく、異なっていてもよい。内側シール部7a及び内側シール部7bの外縁は、スタンディングパウチ10の表裏において重なるように形成されていてもよい。
【0028】
スタンディングパウチ10は、領域A内に複数の内側シール部を有していてもよい。例えば、内側シール部が破線状(点線状)であるとき、スタンディングパウチ10は、領域A内に複数の内側シール部を有するといえる。複数の内側シール部のそれぞれの形状は、互いに同一であってよく、異なっていてもよい。スタンディングパウチ10が、領域A内に複数の内側シール部を有する場合、複数の内側シール部のうち横方向の右端に存在する内側シールの右端から、横方向の左端に存在する内側シール部の左端までの横方向に沿った(横方向と平行方向の)長さは、底部10aの前後方向の開きを抑制し易くなり、内容物の漏出を抑制し易やすくなる観点から、上記の長さLaの範囲を満たすものであってもよく、上記の長さLbに対する長さLaの割合の範囲を満たすものであってもよい。スタンディングパウチ10が、領域A内に複数の内側シール部を有する場合、複数の内側シール部のうち縦方向の上端に存在する内側シールの上端から、縦方向の下端に存在する内側シール部の下端までの縦方向に沿った(縦方向と平行方向の)長さは、内容物の漏出を抑制し易やすくなる観点から、上記の長さLcの範囲を満たすものであってもよく、上記の長さLdに対する長さLcの範囲を満たすものであってもよい。
【0029】
スタンディングパウチ10は、内側シール部7a,7bを形成することの他は従来のスタンディングパウチと同様に製造することができる。内側シール部7a,7bは、サイドシール部5及び/又は底シール部6a,6bと同様のヒートシール条件で形成されていてもよく、異なるヒートシール条件で形成されていてもよい。内側シール部7a,7bは、例えば、温度100~200℃、時間0.3~10秒、圧力0.1~1.0MPaのヒートシール条件で形成されていてもよい。
【0030】
図1に示されるとおり、スタンディングパウチ10は、底部10aの両サイドに融着部9をそれぞれ有する。本実施形態においては、スタンディングパウチ10の一方のサイドに二つの融着部9が上下に並んで形成され、他方、他方のサイドにも二つの融着部9が上下に並んで形成されている。融着部9は本体部1と本体部2とを接合している。融着部9は、底テープ3に設けられた切り欠き部8a,8bを通じて本体部1,2のシーラント層L2同士が局所的に融着している箇所である。図3に示されたように、底テープ3の切り欠き部8a,8bは、山折り部3aと底辺3d,3dとの間の領域であり且つ底テープ3の側部に設けられている。底部10aの両サイドに融着部9が設けられていることで、スタンディングパウチ10の自立性及び落下耐性をより一層向上させることができる。なお、ここでは、底テープ3の一つのサイドに二対の切り欠き部8a,8bを設け、二つの融着部9を形成した場合を例示したが、例えば、底テープ3の一つのサイドに一対の切り欠き部を設け、一つの融着部9を形成してもよい。
【0031】
スタンディングパウチ10におけるポリエチレン樹脂の含有量は、90質量%以上である。スタンディングパウチ10のモノマテリアル化をより高度に達成する観点から、スタンディングパウチ10におけるポリエチレン樹脂の含有量は、92質量%以上、95質量%以上、又は97質量%以上であってもよい。
【0032】
<積層体>
スタンディングパウチ10の一対の本体部1,2及び底テープ3は、それぞれ基材層L1と、シーラント層L2とを少なくとも含む積層体であってもよい。
【0033】
[基材層]
基材層L1は、ポリエチレン樹脂を含むフィルムである。基材層L1に含まれるポリエチレン樹脂は、石油由来のものに限定されず、その一部又は全部が生物由来の樹脂材料(例えば、バイオマス由来のエチレンを原材料に用いたバイオマスポリエチレン)であってもよい。バイオマス由来のポリエチレン樹脂の製造方法は、例えば、特表2010-511634号公報に開示されている。基材層L1は、市販のバイオマスポリエチレン(ブラスケム社製グリーンPE等)を含んでもよく、使用済みのポリエチレン製品やポリエチレン製品の製造過程で発生した樹脂(いわゆるバリ)を原料とするメカニカルリサイクルポリエチレンを含んでもよい。
【0034】
基材層L1は、耐熱性の観点から、密度が0.925g/cm以上であるポリエチレン樹脂を含んでもよく、密度が0.93~0.98g/cmである高密度ポリエチレン樹脂を含んでもよい。基材層L1は、ポリエチレン樹脂として、例えば、高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)、中密度ポリエチレン樹脂(MDPE)等を含んでもよく、これらのブレンドであってもよい。基材層L1は、高密度ポリエチレン樹脂からなる層(基材層L1における高密度ポリエチレン樹脂の含有量が実質的に100質量%)であってもよい。
【0035】
基材層L1は、ポリオレフィン樹脂以外のその他の成分を含んでもよい。その他の成分としては、例えば、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、生分解性の樹脂材料(例えば、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリグリコール酸、変性ポリビニルアルコール、カゼイン、変性澱粉等)などが挙げられる。基材層L1は、帯電防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、着色剤等の添加剤を含んでもよい。基材層L1におけるポリエチレン樹脂以外の成分の量は、基材層L1の全量を基準として、0~10質量%、又は0~5質量%であってもよい。
【0036】
基材層L1の融点は、ヒートシール時に、基材層L1の溶融を抑制する観点から、シーラント層L2の融点よりも高くてもよい。基材層L1の融点は、例えば、シーラント層L2の融点より20℃以上高くてもよく、25℃以上高くてもよく、30℃以上高くてもよい。基材層L1の融点は、例えば、120℃以上、又は125℃以上であってもよい。すなわち、基材層L1は、融点が120℃以上のポリエチレン樹脂で構成されていてもよく、融点が125℃以上のポリエチレン樹脂で構成されていてもよい。基材層L1の融点は、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定することができる。
【0037】
基材層L1の厚さは、例えば、5~800μm、5~500μm、又は10~50μmであってもよい。
【0038】
基材層L1は、未延伸のフィルムであってもよい。基材層L1が未延伸のフィルムであることで、樹脂の配向性がほとんどなく、引っ張りやせん断のような外部応力に対して伸びやすく、破断しにくい。基材層L1は、単一の層であってよく、複数の層で形成されていてもよい。
【0039】
[シーラント層]
シーラント層L2は、ポリエチレン樹脂を含むフィルムである。シーラント層L2に含まれるポリエチレン樹脂は、石油由来のものに限定されず、その一部又は全部が生物由来の樹脂材料(例えば、バイオマス由来のエチレンを原材料に用いたバイオマスポリエチレン)であってもよい。このようなシーラントフィルムは、例えば、特開2013-177531号公報に開示されている。シーラント層L2は、使用済みのポリエチレン製品やポリエチレン製品の製造過程で発生した樹脂(いわゆるバリ)を原料とするメカニカルリサイクルポリエチレンを含んでもよい。
【0040】
シーラント層L2は、ポリエチレン樹脂として、例えば、密度が0.925g/cm未満であるポリエチレン樹脂を含んでもよく、密度が0.90~0.92g/cmのポリエチレン樹脂を含んでもよい。シーラント層L2は、ポリエチレン樹脂として、例えば、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)、超低密度ポリエチレン樹脂(VLDPE)等を含んでもよく、これらのブレンドであってもよい。シーラント層L2は、低密度ポリエチレン樹脂からなる層(シーラント層L2における低密度ポリエチレン樹脂の含有量が実質的に100質量%)であってもよい。
【0041】
シーラント層L2は、ポリオレフィン樹脂以外のその他の成分を含んでもよい。その他の成分としては、例えば、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、生分解性の樹脂材料(例えば、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリグリコール酸、変性ポリビニルアルコール、カゼイン、変性澱粉等)などが挙げられる。シーラント層L2は、酸化防止剤、スリップ剤、難燃剤、アンチブロッキング剤、光安定剤、脱水剤、粘着付与剤、結晶核剤、可塑剤等の添加剤を含んでもよい。シーラント層L2におけるポリエチレン樹脂以外の成分の量は、シーラント層L2の全量を基準として、0~10質量%、又は0~5質量%であってもよい。
【0042】
シーラント層L2の融点は、ヒートシール時に、シーラント層L2を基材層L1よりも優先的に溶融させる観点から、基材層L1の融点よりも低くてもよい。シーラント層L2の融点は、例えば、基材層L1の融点より20℃以上低くてもよく、25℃以上低くてもよく、30℃以上低くてもよい。シーラント層L2の融点は、120℃以下、又は110℃以下であってもよい。シーラント層L2の融点は、95℃以上であってもよい。すなわち、シーラント層L2は、融点が120℃以下のポリエチレン樹脂で構成されていてもよく、融点が110℃以下のポリエチレン樹脂で構成されていてもよい。シーラント層L2の融点は、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定することができる。
【0043】
シーラント層L2の厚さは、例えば、40~150μm、又は20~250μmであってもよい。
【0044】
(その他の層)
積層体は、基材層L1とシーラント層L2との間に接着層(不図示)を更に含んでもよい。接着層を形成する接着剤は、接着方法に合わせて選定することができるが、ウレタン系接着剤、ポリエステル系接着剤等を用いることができる。このような接着層を設けることで、基材層L1とシーラント層L2との密着性を高くしてデラミネーションしにくくなり、耐圧性及び耐衝撃性がより向上する。
【0045】
接着層は、塩素を含まないことが好ましい。接着層が塩素を含まないことで、接着層を形成する接着剤、リサイクル後の再生樹脂等が着色すること、及び加熱処理によって臭いが発生することを抑制できる。接着層は、環境配慮の観点から、バイオマス材料で形成されていてもよく、溶剤を含まなくてもよい。
【0046】
積層体は、例えば、水蒸気及び酸素に対するガスバリア性向上の観点から、ガスバリア層を更に含んでもよい。ガスバリア層は、基材層L1とシーラント層L2との間に設けられてもよく、基材層L1のシーラント層L2とは反対側の面に設けられてもよい。積層体がガスバリア層を含むことで、内容物の水蒸気及び酸素による劣化を抑制し、長期的に品質を保持しやすくなる。
【0047】
ガスバリア層の一例として、無機酸化物の蒸着層が挙げられる。無機酸化物の蒸着層を用いることにより、積層体のリサイクル性に影響を与えない範囲のごく薄い層で、高いバリア性を得ることができる。無機酸化物としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、及び酸化錫が挙げられる。透明性及びバリア性の観点から、無機酸化物としては、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、及び酸化マグネシウムからなる群より選択されてもよい。無機酸化物の蒸着層の厚さは、例えば、5~100nm、又は10~50nmであってもよい。無機酸化物の蒸着層の厚さが5nm以上であることで優れたバリア性を得やすく、無機酸化物の蒸着層の厚さが100nm以下であることで積層体の可撓性を維持しいやすい。蒸着層は、例えば、物理気相成長法、化学気相成長法等によって形成することができる。
【0048】
積層体は、無機酸化物の蒸着層に代えて、又は無機酸化物の蒸着層に加えて、金属層(金属箔)を含んでもよい。金属層としては、アルミニウム、ステンレス鋼等からなる各種金属箔を用いることができ、防湿性、延展性等の加工性及びコスト等の観点から、アルミニウム箔であってもよい。アルミニウム箔としては、軟質アルミニウム箔を用いることができる。アルミニウム箔は、耐ピンホール性及び成型時の延展性が優れる観点から、鉄を含んでもよい。金属層の厚さは、バリア性、耐ピンホール性、加工性等の観点から、7~50μm、又は9~15μmであってもよい。
【0049】
積層体は、基材層L1とシーラント層L2との間にアンカーコート層を備えていてもよい。アンカーコート層は、アンカーコート剤を用いて形成することができる。アンカーコート剤としては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、アクリルウレタン系樹脂、ポリエステル系ポリウレタン樹脂、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂、及びポリビニルアルコール系樹脂が挙げられる。アンカーコート剤としては、耐熱性及び層間接着強度の観点から、アクリルウレタン系樹脂及びポリエステル系ポリウレタン樹脂の少なくとも一方であってもよい。アンカーコート層は、積層体のリサイクル性に影響を与えない範囲のごく薄い層であってもよい。
【0050】
積層体は、印刷層を更に含んでもよい。印刷層は、基材層L1とシーラント層L2との間に設けられてもよく、基材層L1のシーラント層L2とは反対側の面に設けられてもよい。印刷層は、印刷層の再溶融時に着色すること、及び臭いが発生することを抑制する観点から、塩素を含まなくてもよい。印刷層は、環境配慮の観点、バイオマス材料により形成されていてもよい。
【0051】
積層体におけるポリエチレン樹脂の含有量は、モノマテリアル化を実現し、樹脂再生が容易となる観点から、積層体の全量を基準として、90質量%以上、92質量%以上、95質量%以上、又は97質量%以上であってもよい。
【0052】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。一実施形態に係るスタンディングパウチは、シャンプー、ハンドソープ、洗剤等の詰め替えパウチ、及びスープ、調味料等の食品用パウチとして使用することができる。
【0053】
本発明は、例えば以下の各発明に関するものである。
(1)基材層及びシーラント層をそれぞれ含む一対の本体部と、基材層及びシーラント層を含み且つ山折り部を有する底テープとをヒートシールして形成されている自立性包装袋であって、
前記自立性包装袋の両サイドに設けられており、前記一対の本体部同士を接着しているサイドシール部と、
前記自立性包装袋の底部に設けられており、前記一対の本体部と前記底テープを接着している底シール部と、
前記底テープの領域であって、前記底シール部及び前記山折り部で囲まれた領域に設けられており、前記底テープに対して前記本体部を部分的に接着している内側シール部と、
を備え、自立性包装袋におけるポリエチレン樹脂の含有量が90%以上である、自立性包装袋。
(2)前記内側シール部の横方向の最大長さが、前記領域の横方向の最大長さに対して20~80%である、(1)に記載の自立性包装袋。
(3)前記内側シール部が、前記領域の横方向の中心線と重なる位置に設けられている、(1)又は(2)に記載の自立性包装袋。
(4)前記底シール部から前記内側シール部までの縦方向の最大距離が、前記底シール部から前記山折り部までの縦方向の最大距離に対して40%以下である、(1)~(3)のいずれかに記載の自立性包装袋。
(5)前記底シール部から前記内側シール部までの縦方向の最大距離が5~40mmである、請求項(1)~(4)のいずれかに記載の自立性包装袋。
(6)前記内側シール部の形状が、多角形状、直線状、円弧状、円形状、及び楕円形状のうちのいずれかである、(1)~(5)のいずれかに記載の自立性包装袋。
(7)前記本体部及び/又は前記底テープの基材層が、高密度ポリエチレンを含む、(1)~(6)のいずれかに記載の自立性包装袋。
(8)前記本体部及び/又は前記底テープのシーラント層が、低密度ポリエチレンを含む、(1)~(7)のいずれかに記載の自立性包装袋。
【実施例0054】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0055】
(実施例1)
高密度ポリエチレンフィルム(厚さ:40μm、密度:0.950g/cm)/印刷層/高密度ポリエチレンフィルム(厚さ:30μm、密度:0.9508g/cm)/直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(厚さ:80μm、密度:0.913g/cm)をこの順に備える本体部フィルムを作製した。また、高密度ポリエチレンフィルム(厚さ:40μm、密度:0.950g/cm)/直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(厚さ:80μm、密度:0.913g/cm)をこの順に備える底テープフィルムを作製した。
【0056】
作製した底テープフィルム(横150mm×縦82mmの矩形)を縦方向(短軸方向)の長さが半分になるように逆V字状に折り、本体部フィルム(横150mm×縦230mmの矩形)/逆V字状の底テープフィルム(横150mm×縦41mmの矩形)/本体部フィルム(横150mm×縦230mmの矩形)の順に積層して、本体部フィルム及び底テープフィルムの横方向の両端、及び縦方向の下端を揃えた状態で横方向の両端及び縦方向の下端を150℃、0.3秒、0.2MPaの条件でヒートシールして、サイドシール部、底シール部を形成した。次いで、ヒートシール後の積層体の正面視においてサイドシール部と、底シール部と、底テープフィルムの山折り部とで囲まれた領域内で、一対の本体部フィルムの内面及び底テープフィルムの内面を150℃、0.3秒、0.2MPaの条件でヒートシールして、積層体の両面に内側シール部を形成した。内側シール部は、横72mm×縦5mmの直線状であり、内側シール部の横方向の最大長さ(72mm)は、領域の横方向の最大長さの51%であった。また、内側シール部は、上記領域の横方向の中心を通る中心線に対して線対称であった。また、内側シール部は、底シール部からの内側シール部までの最大距離が36mmであり、底シール部から山折り部までの最大距離(120mm)の30%となる位置であった。
【0057】
次いで、作製したヒートシール後の積層体に5℃の水を400mL充填した後、本体部部フィルムの縦方向の上端をヒートシールして封緘し、内容物入りのスタンディングパウチを作製した。スタンディングパウチにおけるポリエチレン樹脂の含有量は、99質量%であった。同様にして合計10個のスタンディングパウチを作製した。
【0058】
(実施例2)
横24mm×縦5mmの直線状の内側シール部を形成したこと以外は、実施例1と同様にしてスタンディングパウチを作製した。同様にして合計10個のスタンディングパウチを作製した。
【0059】
(比較例1)
内側シール部を形成しなかったこと以外は、実施例1と同様にしてスタンディングパウチを作製した。同様にして合計10個のスタンディングパウチを作製した。
【0060】
(落下試験)
作製した10個のスタンディングパウチを1mの高さから自然落下させ、内容物の漏出の有無及び外観の変化の有無を確認した。同様の操作を漏出が確認されるまで最大10回繰り返し行った。表1に結果を示す。
【0061】
【表1】
【符号の説明】
【0062】
1,2…本体部、1a,2a,3b,3c,10a…底部、3…底テープ、3a…山折り部、3d…底辺、5…サイドシール部、6a,6b…底シール部、7a,7b…内側シール部、8a,8b…切り欠き部、9…融着部、10…スタンディングパウチ、10b…交点シール部、A…領域、L1…基材層、L2…シーラント層。
図1
図2
図3
図4