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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023167897
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】発熱要素と熱電対とを有する被覆体
(51)【国際特許分類】
   F16L 53/38 20180101AFI20231116BHJP
   F16L 59/147 20060101ALI20231116BHJP
   F16L 55/00 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
F16L53/38
F16L59/147
F16L55/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022079432
(22)【出願日】2022-05-13
(71)【出願人】
【識別番号】000110804
【氏名又は名称】ニチアス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100107537
【弁理士】
【氏名又は名称】磯貝 克臣
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 章
(72)【発明者】
【氏名】石 大作
(72)【発明者】
【氏名】飯田 研二
【テーマコード(参考)】
3H025
3H036
【Fターム(参考)】
3H025AA13
3H025AB02
3H025AB05
3H036AA01
3H036AB13
3H036AB18
3H036AB24
3H036AC03
3H036AE09
(57)【要約】
【課題】 発熱要素と熱電対とを有する被覆体であって、熱電対を対象物表面に安定的に直接接触させることで高精度な温度測定を実現することができる被覆体を提供すること。
【解決手段】 本発明は、対象物を被覆する被覆体であって、前記対象物に近い側に配置される内層部と、前記対象物から遠い側に配置される外層部と、前記内層部の前記外層部側に配置されている内層側断熱部材と、前記外層部の前記内層部側に配置されている外層側断熱部材と、前記内層側断熱部材と前記外層側断熱部材との間に配置されている発熱要素と、前記内層部の前記対象物に更に近い側に段差部を提供するシートと、前記段差部の前記対象物に更に近い側に設けられた熱電対と、を備えたことを特徴とする被覆体である。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物を被覆する被覆体であって、
前記対象物に近い側に配置される内層部と、
前記対象物から遠い側に配置される外層部と、
前記内層部の前記外層部側に配置されている内層側断熱部材と、
前記外層部の前記内層部側に配置されている外層側断熱部材と、
前記内層側断熱部材と前記外層側断熱部材との間に配置されている発熱要素と、
前記内層部の前記対象物に更に近い側に段差部を提供するシートと、
前記段差部の前記対象物に更に近い側に設けられた熱電対と、
を備えたことを特徴とする被覆体。
【請求項2】
前記熱電対は、前記段差部の前記対象物に更に近い側において、少なくとも一部が露出されている
ことを特徴とする請求項1に記載の被覆体。
【請求項3】
前記シートは、シートパッチとして、前記内層部の前記対象物に更に近い側に局所的に設けられることで、前記段差部を提供している
ことを特徴とする請求項1または2に記載の被覆体。
【請求項4】
前記シートパッチは、フッ素樹脂、ポリイミド系樹脂、または、アラミド系樹脂、からなる
ことを特徴とする請求項3に記載の被覆体。
【請求項5】
前記熱電対は、前記段差部の前記対象物に更に近い側において、少なくとも一部が露出されており、
前記シートパッチの面積は、前記シートパッチ上において露出する前記熱電対の面積に対して、5~400倍である
ことを特徴とする請求項3または4に記載の被覆体。
【請求項6】
前記シートパッチは、0.1mm~5.0mmの厚さを有している
ことを特徴とする請求項3乃至5のいずれかに記載の被覆体。
【請求項7】
前記シートパッチは、一辺が配管外周の1/2倍以下の矩形形状を有している
ことを特徴とする請求項3乃至6のいずれかに記載の被覆体。
【請求項8】
前記シートパッチは、直径が配管外周の1/2倍以下の円形形状または環形状を有している
ことを特徴とする請求項3乃至6のいずれかに記載の被覆体。
【請求項9】
前記シートの一部が、シートパッチ部として前記対象物に更に近い側に局所的に突出することによって、前記段差部を提供している
ことを特徴とする請求項1または2に記載の被覆体。
【請求項10】
前記シートは、フッ素樹脂、ポリイミド系樹脂、または、アラミド系樹脂、からなる
ことを特徴とする請求項9に記載の被覆体。
【請求項11】
前記熱電対は、前記段差部の前記対象物に更に近い側において、少なくとも一部が露出されており、
前記シートパッチ部の面積は、前記シートパッチ部上において露出する前記熱電対の面積に対して、5~400倍である
ことを特徴とする請求項9または10に記載の被覆体。
【請求項12】
前記シートパッチ部は、0.1mm~5.0mmの厚さを有している
ことを特徴とする請求項9乃至11のいずれかに記載の被覆体。
【請求項13】
前記シートパッチ部は、一辺が配管外周の1/2倍以下の矩形形状を有している
ことを特徴とする請求項9乃至12のいずれかに記載の被覆体。
【請求項14】
前記シートパッチ部は、直径が配管外周の1/2倍以下の円形形状または環形状を有している
ことを特徴とする請求項9乃至13のいずれかに記載の被覆体。
【請求項15】
前記内層部から前記外層部に向かう厚み方向に見て、前記発熱要素と前記熱電対とが重ならないように配置されている
ことを特徴とする請求項1乃至14のいずれかに記載の被覆体。
【請求項16】
直管、エルボ管、フレキシブル管、または、弁箱である対象物と、
前記対象物を被覆する請求項1乃至15のいずれかに記載の被覆体と、
を備えたことを特徴とする発熱構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発熱要素と熱電対とを有する被覆体に関している。特には、例えばガスの供給ないし排気のための配管等を所望の温度に加熱して保温することができる被覆体に関している。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ガスの供給ないし排気のための配管を所望の温度に加熱して保温することができる被覆体として、以下の構造を開示している。
【0003】
図21(特許文献1の図4(c)に対応する)に示すように、特許文献1の被覆体は、内層部510と外層部500(共にフッ素樹脂材)との間に、ヒータ線等の発熱体530と、当該発熱体530を内層側で支持する断熱部材540(ガラスクロス材)と、当該発熱体530の外層側に配置された断熱部520(ガラスファイバー)と、が積層されている。
【0004】
図21の例では、更に、断熱部材540と内層部510との間に、金属薄板400が介在されており、内層部510の更に内側(ガス配管110側)に、蓄熱度の大きい断熱絶縁部材600(アルミナクロス材)が設けられている。金属薄板400及び断熱絶縁部材600は、ガス配管の加熱具合を均一にするために配置されている。
【0005】
そして、ガス配管110の実際の温度を発熱体530のフィードバック制御に利用するべく、ガス配管110に当接するように板状の集熱板等の温度検知部555が設けられている。温度検知部555は、断熱絶縁部材600の更に内側(ガス配管110側)に取り付けられている。そして、温度検知部555に、図21においては不図示の熱電対が接続されている。また、図21の例では、温度スイッチ(制御部)としてのサーモスイッチ560も、断熱絶縁部材600の更に内側(ガス配管110側)に取り付けられている。
【0006】
以上のような被覆体によれば、板状の集熱板等の温度検知部555に対してガス配管110の熱が直接伝わりやすくなっているため、これに接続された熱電対は、間接的にではあるが、ガス配管110の温度を検知することができる。従って、当該熱電対による検知温度の情報を、発熱体530のフィードバック制御に利用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第6616265号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本件発明者は、配管の温度を熱電対によって測定する場合において、前述のように板状の集熱板(熱電対がより効果的に周囲の熱を検知する為に、熱電対に補助的に取り付けられた熱伝導率の高い金属(例えば、ステンレス鋼やアルミニウムであり、その他にも熱電対と同等以上の熱伝導率を有する金属)の板または箔を指す)等を介在させないで、熱電対を配管表面(配管本体が樹脂等で被覆されている場合には、当該樹脂表面が配管表面である)に直接的にあてがう(直接接触させることに加えて、少なくとも本願出願の時点においては、温度測定への影響が小さいフィルムやパッチ等が両者の間に介在する態様を排除しない)方が、より高精度に温度測定を実施できることを知見した。
【0009】
しかしながら、一方で、断熱絶縁部材600の内側に熱電対を単に露出等させた形態では、熱電対と配管表面との接触状態が安定せず、高精度な温度測定を実施できない場合があることをも知見した。
【0010】
更に、前述のように、断熱絶縁部材600は、温度均一性の向上のために配管全体を一律に等しく被覆するように設けられていたところ、本件発明者は、この機能を局所的に犠牲にしたとしても、配管全体の温度均一性には大きな影響がないことを知見した。
【0011】
本発明は、以上の知見に基づいて創案されたものである。本発明の目的は、発熱要素と熱電対とを有する被覆体であって、熱電対を対象物表面に安定的に直接接触させることで高精度な温度測定を実現することができる被覆体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、対象物を被覆する被覆体であって、前記対象物に近い側に配置される内層部と、前記対象物から遠い側に配置される外層部と、前記内層部の前記外層部側に配置されている内層側断熱部材と、前記外層部の前記内層部側に配置されている外層側断熱部材と、前記内層側断熱部材と前記外層側断熱部材との間に配置されている発熱要素と、前記内層部の前記対象物に更に近い側に段差部を提供するシートと、前記段差部の前記対象物に更に近い側に設けられた熱電対と、を備えたことを特徴とする被覆体である。
【0013】
本発明によれば、段差部(その周縁領域に対して局所的に内方側に盛り上がっている部分)が設けられていることによって、熱電対を対象物表面に安定的に直接的にあてがうことが支援される。これによって、より高精度な温度測定が実現され得る。
【0014】
少なくとも本願出願の時点においては、熱電対が露出されておらず、すなわち、熱電対の対象物側に例えば薄膜状のフィルムやパッチ等(例えば、フッ素樹脂、ポリイミド系樹脂、または、アラミド系樹脂、からなり、厚みの上限は0.5mm程度である)が設けられていて、それらのフィルムやパッチ等が熱電対と対象物との間に介在する態様も排除されない。もっとも、前記熱電対の少なくとも一部が、前記段差部の前記対象物に更に近い側において露出されていれば、熱電対と対象物とが直接接触することが支援されるため、好適である。
【0015】
本発明の一態様においては、前記シートは、シートパッチとして、前記内層部の前記対象物に更に近い側に局所的に設けられることで、前記段差部を提供する。
【0016】
本発明の当該態様によれば、局所的に設けられたシートパッチによって、熱電対を対象物表面に安定的に直接的にあてがうことが支援される。これによって、より高精度な温度測定が実現され得る。
【0017】
本件発明者による各種実験によれば、シートパッチは、対象物表面に対して熱電対をソフトに押し当てるような弾性を有する材料からなることが好ましい。具体的には、シートパッチは、フッ素樹脂、ポリイミド系樹脂、または、アラミド系樹脂、からなることが好ましい。このようなシートパッチを局所的に設けても、対象物全体の温度均一性には大きな影響がないことが確認された。更に、このようなシートパッチの場合、断熱性があって蓄熱性が小さいため、熱電対による温度測定において発熱要素からの直接的な影響を効果的に排除できるという利点もある。
【0018】
シートパッチの面積(内側からの投影面積)は、シートパッチ上において熱電対が露出する場合、当該熱電対の露出する面積(内側からの投影面積)に対して、5~400倍であることが好ましい。当該範囲内であれば、対象物全体の温度均一性に大きな影響を与えることなく、熱電対を対象物表面に安定的に直接接触させることができる。
【0019】
具体的には、シートパッチの面積が10cm×10cmである場合、熱電対が露出する面積がその1/400~1/87倍であれば、本発明の効果が得られることが確認された(シートパッチの面積が、シートパッチ上において熱電対が露出する面積に対して、87~400倍)。更に、シートパッチの面積が3cm×2cmである場合、熱電対が露出する面積がその1/24~1/5倍であれば、本発明の効果が得られることが確認された(シートパッチの面積が、シートパッチ上において熱電対が露出する面積に対して、5~24倍)。
【0020】
例えば、シートパッチは、0.1mm~5.0mmの厚さを有している。また、例えば、シートパッチは、一辺が配管外周の1/2倍以下の矩形形状を有している、または、一辺が10cm以下の矩形形状を有している。あるいは、例えば、シートパッチは、直径が配管外周の1/2倍以下の円形形状または環形状を有している、または、直径が10cm以下の円形形状または環形状を有している。
【0021】
なお、シートパッチを局所的に設けるという技術的思想は、対象物に対して全体的に延在するシートの一部であるシートパッチ部を局所的に突出させることによっても、代替可能である。すなわち、本発明の別の一態様においては、前記シートの一部が、シートパッチ部として前記対象物に更に近い側に局所的に突出することによって、前記段差部を提供する。
【0022】
本発明の当該態様によれば、局所的に設けられたシートパッチ部によって、熱電対を対象物表面に安定的に直接的にあてがうことが支援される。これによって、より高精度な温度測定が実現され得る。
【0023】
本件発明者による各種実験によれば、シートパッチ部(を含むシート)は、対象物表面に対して熱電対をソフトに押し当てるような弾性を有する材料からなることが好ましい。具体的には、シートパッチ部を含むシートは、フッ素樹脂、ポリイミド系樹脂、または、アラミド系樹脂、からなることが好ましい。このようなシートパッチ部(を含むシート)を設けても、対象物全体の温度均一性には大きな影響がないことが確認された。更に、このようなシートパッチの場合、断熱性があって蓄熱性が小さいため、熱電対による温度測定において発熱要素からの直接的な影響を効果的に排除できるという利点もある。
【0024】
シートパッチ部の面積(内側からの投影面積)は、シートパッチ部上において熱電対が露出する場合、当該熱電対の露出する面積(内側からの投影面積)に対して、5~400倍であることが好ましい。当該範囲内であれば、対象物全体の温度均一性に大きな影響を与えることなく、熱電対を対象物表面に安定的に直接接触させることができる。
【0025】
具体的には、シートパッチ部の面積が10cm×10cmである場合、熱電対が露出する面積がその1/400~1/87倍であれば、本発明の効果が得られることが確認された(シートパッチ部の面積が、シートパッチ部上において熱電対が露出する面積に対して、87~400倍)。更に、シートパッチ部の面積が3cm×2cmである場合、熱電対が露出する面積がその1/24~1/5倍であれば、本発明の効果が得られることが確認された(シートパッチ部の面積が、シートパッチ部上において熱電対が露出する面積に対して、5~24倍)。
【0026】
例えば、シートパッチ部を除いたシートは、0.1mm~5.0mmの厚さを有している。シートパッチ部は、シート上において、0.1mm~5.0mmの厚さを有している。また、例えば、シートパッチ部は、一辺が配管外周の1/2倍以下の矩形形状を有している、または、一辺が10cm以下の矩形形状を有している。あるいは、例えば、シートパッチは、直径が配管外周の1/2倍以下の円形形状または環形状を有している、または、直径が10cm以下の円形形状または環形状を有している。
【0027】
また、以上の各被覆体において、前記内層部から前記外層部に向かう厚み方向に見て、前記発熱要素と前記熱電対とが重ならないように配置されていることが好ましい。
【0028】
この場合、熱電対による温度測定において、発熱要素からの直接的な影響をより一層効果的に排除することができる。
【0029】
また、本発明は、直管、エルボ管、フレキシブル管、または、弁箱である対象物と、前記特徴のいずれかを有する被覆体と、を備えたことを特徴とする発熱構造体である。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、段差部が設けられていることによって、熱電対を対象物表面に安定的に直接的にあてがうことが支援される。これによって、より高精度な温度測定が実現され得る。
【0031】
特に、本発明の一態様によれば、局所的に設けられたシートパッチによって、熱電対を対象物表面に安定的に直接的にあてがうことが支援される。これによって、より高精度な温度測定が実現され得る。
【0032】
あるいは、本発明の別の一態様によれば、シート上に局所的に突出するシートパッチ部によって、熱電対を対象物表面に安定的に直接的にあてがうことが支援される。これによって、より高精度な温度測定が実現され得る。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明の一実施形態に係る被覆体の概略斜視図である。
図2図1の被覆体の概略断面図である。
図3】他のタイプの熱電対の写真である。
図4】他のタイプの熱電対の写真である。
図5】他のタイプの熱電対の写真である。
図6】弁箱の具体例を示す斜視図である。
図7】弁箱の具体例を示す正面図である。
図8】厚さが一定でないタイプのシートパッチの一例を示す概略縦断面図である。
図9】厚さが一定でないタイプのシートパッチの他の例を示す概略縦断面図である。
図10】厚さが一定でないタイプのシートパッチの他の例を示す概略縦断面図である。
図11】厚さが一定でないタイプのシートパッチの他の例を示す概略縦断面図である。
図12】厚さが一定でないタイプのシートパッチの他の例を示す概略縦断面図である。
図13】厚さが一定でないタイプのシートパッチの他の例を示す概略縦断面図である。
図14】本発明の他の実施形態に係る被覆体の概略斜視図である。
図15図14の被覆体の概略断面図である。
図16】シートパッチ部の他の例を示す、図15に対応する概略断面図である。
図17】シートパッチ部の他の例を示す、図15に対応する概略断面図である。
図18】シートパッチ部の他の例を示す、図15に対応する概略断面図である。
図19】シートパッチ部の他の例を示す、図15に対応する概略断面図である。
図20】シートパッチ部の他の例を示す、図15に対応する概略断面図である。
図21】従来の被覆体の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0035】
(一実施形態)
本発明の一実施形態の被覆体1は、ガスの供給ないし排気のための直管状の配管(対象物の一例)を所望の温度に加熱して保温することができる被覆体である。被覆体1の(内層側の)形態は、予め配管の直管状の外観形態に合わせて、設計及び製造されている。
【0036】
(被覆体1の構成)
図1及び図2に示すように、本実施形態の被覆体1は、2つの積層されたガラスクロス、フッ素樹脂コーティングガラスクロス、フッ素樹脂多孔質シート、またはアラミド繊維クロス層からなる内層部11と、フッ素樹脂コーティングガラスクロス、シリコーン樹脂コーティングガラスクロス、フッ素樹脂多孔質シート、またはアラミド繊維クロス層からなる外層部12と、を備えている。内層部11が、配管に近い側に配置されるようになっており、外層部12が、配管から遠い側に配置されるようになっている。
【0037】
被覆体1は、所定の厚み(本例では20mm程度)を有しており、内層部11と外層部12とは、側方端において、側方層部13によって接続されている。側方層部13も、外層部12と同様、フッ素樹脂コーティングガラスクロス層からなる。
【0038】
図2に示すように、内層部11の外側(外層部12側)に、内層側断熱部材21が配置されている。内層側断熱部材21は、ヒータ線からなる発熱要素23を、内層側において支持している。発熱要素23の外側(外層部12側)に、外層側断熱部材22が配置されている。
【0039】
内層側断熱部材21は、シリカ繊維クロスからなり、発熱要素23は、ニッケルクロム電熱線からなり、フッ素樹脂コーティングガラスヤーンによって内層側断熱部材21に縫着されており、外層側断熱部材22は、ガラスマットからなる。
【0040】
そして、本実施形態の被覆体1では、内層部11の内側(配管側)に、段差部を提供するシートとして、局所的に2か所に、シートパッチ31が設けられている(糸を介しての縫い付けでも、接着でもよく、設けられるシートパッチ31は1か所または3か所以上でもよい。)。本実施形態のシートパッチ31の各々は、フッ素樹脂製であり、適度な弾性を有しており、3cm×2cmの矩形形状を有しており(面積は6cm2)、厚さは1.0mmである。
【0041】
そして、シートパッチ31の各々の更に内側(配管側)に、熱電対32が露出されている。本実施形態の熱電対32は、直径1mmの「シースストレート」タイプであり、長さ2.0cmの全体部分が露出している。熱電対32は、シートパッチ31に、糸を介して縫い付け、または、接着されている。
【0042】
すなわち、熱電対32がシートパッチ31上において露出する面積(内側からの投影面積)は、0.25cm2である。これにより、シートパッチ31の面積(内側からの投影面積)は、熱電対32がシートパッチ31上において露出する面積(内側からの投影面積)に対して、24倍となっている。
【0043】
熱電対32の基端側は、被覆体1(シートパッチ31、内層部11、内層側断熱部材21、外層側断熱部材22、及び、外層部12)を貫通するリード線(不図示)を介して、不図示の制御部(例えばサーモスタット)に接続可能となっている。当該制御部は、また、外層部12及び外層側断熱部材22を貫通するリード線によって、発熱要素23に接続可能となっている。そして、当該制御部が、熱電対32による温度測定値に応じて、発熱要素23への通電を制御するようになっている。
【0044】
その他、本実施形態の被覆体1には、外層部12の外側表面部に、締結部14が設けられており、当該締結部14の留め具と外層部12の留め具とが、フック、ベルト、面ファスナー、紐又はフッ素ゴム製リングにより締結されることによって、被覆体1が対象物である配管上に固定されるようになっている。
【0045】
(被覆体1の作用)
前述のように、被覆体1の(内層側の)形態は、予め、対象物である配管の外観形態に合わせて設計及び製造されている。そして、被覆体1は、締結部14の留め具と外層部12の留め具とが締結されることによって、対象物である配管上に固定される。
【0046】
この固定の際、本実施形態の被覆体1では、配管側に熱電対32が露出されているが、シートパッチ31が配管表面に対して熱電対32をソフトに押し当てるような弾性を有しているため、熱電対32を配管表面に安定的に直接接触させることができる。
【0047】
ここで、シートパッチ31は、熱電対32の設置位置に対応して局所的にのみ設けられているため、配管全体の温度均一性に大きな悪影響を及ぼすことはないことが確認された。
【0048】
以上のような本実施形態の被覆体1によれば、局所的に設けられたシートパッチ31によって、熱電対32を配管表面に安定的に直接接触させることが支援される。これによって、より高精度な温度測定が実現され得る。
【0049】
そして、熱電対32は、不図示の制御部(例えばサーモスタット)に接続され、当該制御部が、熱電対32による温度測定値に応じて、発熱要素23への通電を制御する。これにより、発熱要素23への通電制御が、より高精度に実施され得る。
【0050】
ここで、本実施形態の被覆体1によれば、シートパッチ31に断熱性があって蓄熱性も小さいため、熱電対32による温度測定において、発熱要素23からの直接的な影響を効果的に排除できるという利点もある。また、内層部11から外層部12に向かう厚み方向に見て、発熱要素23と熱電対32の露出された部分とが重ならないように配置されていれば、発熱要素23からの直接的な影響を排除する上で更に効果的である。
【0051】
(シートパッチの変形例)
以上の実施形態では、シートパッチ31は3cm×2cmの矩形形状であって、シートパッチ31の面積は、熱電対32がシートパッチ31上において露出する面積に対して、24倍となっていたが、これに限定されない。本件発明者によれば、シートパッチの面積が3cm×2cmである場合、熱電対が露出する面積がその1/24~1/5倍であれば(シートパッチの面積が、シートパッチ上において熱電対が露出する面積に対して、5~24倍)、本発明の効果が得られることが確認された。
【0052】
また、シートパッチ31が10cm×10cmの矩形形状である場合、本件発明者によれば、熱電対が露出する面積がその1/400~1/87倍であれば(シートパッチの面積が、シートパッチ上において熱電対が露出する面積に対して、87~400倍)、本発明の効果が得られることが確認された。
【0053】
更に、シートパッチ31は、他のサイズの矩形形状であってもよく、例えば一辺が10cm以下の矩形形状であれば本発明の効果が得られる。配管外周との関係で言えば、シートパッチ31は、一辺が配管外周の1/2倍以下(好ましくは1/4倍以下)の矩形形状であれば、本発明の効果が得られる(配管表面に対して熱電対32をソフトに押し当てることができ、熱電対32を配管表面に安定的に直接接触させることができる)。
【0054】
あるいは、シートパッチ31は、矩形形状に限定されないで、様々な形状を有することができる。例えば、シートパッチ31は、円形形状や楕円形状や環形状であってもよい。環形状の場合、中央の穴の領域が熱電対32と重なっても構わない。シートパッチ31が円形形状、楕円形状、または環形状である場合、その直径、長軸半径の2倍、または外径が10cm以下であれば、本発明の効果が期待できる。配管外周との関係で言えば、シートパッチ31は、その直径、長軸半径の2倍、または外径が配管外周の1/2倍以下(好ましくは1/4倍以下)であれば、本発明の効果が得られる(配管表面に対して熱電対32をソフトに押し当てることができ、熱電対32を配管表面に安定的に直接接触させることができる)。
【0055】
また、シートパッチ31の厚さについては、0.1mm~5.0mmであれば、本発明の効果が期待できる。(シートパッチ31の厚さが5.0mmを超えると、当該箇所における発熱要素32と配管表面との間の距離が過大となり、更に、シートパッチ31の端面部分が過大な段差となって被覆体1と配管表面との間に隙間を残存させてしまうため、効率的かつ均等に配管を加熱することが阻害され得る。)
【0056】
(熱電対の変形例)
また、本発明は、「シースストレート」タイプの熱電対32に限定されず、他の様々なタイプの熱電対を利用することができる。例えば、図3は、「先端プレート付き」タイプの熱電対の写真であり、図4は、「先端ブロック付」タイプの熱電対の写真であり、図5は、「先端O字端子付」タイプの熱電対の写真であるが、本発明はこれらのタイプの熱電対(特に、対象物に沿わせることが容易な平面的な形状を有しているとは言い難いタイプの熱電対)を任意に適用することができる。
【0057】
(全体形態の変形例)
また、以上の実施形態では、直管状の配管に対して、被覆体1の全体形態が設計及び製造されているが、これに限定されず、直管部と屈曲部とを有する配管に対して、被覆体1の全体形態が設計及び製造されていてもよい。更には、弁箱(バルブユニットを収容する箱)等の複雑な形状を有する対象物に対して、被覆体1の全体形態が設計及び製造されていてもよい。図6及び図7に、弁箱40の具体的構造例を示す(図6及び図7は、本件出願人による先行特許(特許第6596025号)の図10及び図11に準じている)。
【0058】
そして、対象物(例えば、直管、エルボ管、フレキシブル管、または、弁箱)と、当該対象物を被覆する被覆体1と、を備えた発熱構造体の全体についても、本願発明の対象である。
【0059】
(シートパッチの厚み)
シートパッチ31の厚みは、厚くすれば熱電対32を押し当てる作用効果が大きくなる一方、厚くし過ぎるとシートパッチ31の加熱が不十分になって温度ムラが生じることがある。従って、シートパッチ31の厚みは、対象物及び被覆体1のタイプ及び寸法、並びに、熱電対32のタイプ及び寸法、等に応じて適切に選択されることが望ましい。
【0060】
また、以上の実施形態及び各変形例において、シートパッチ31の厚さは、シートパッチ31の全体において一定または略一定であることが前提となっている。しかしながら、本発明はそのような態様に限定されない。
【0061】
例えば、熱電対32の先端側に位置するシートパッチ31の領域を、熱電対32の根元側に位置するシートパッチ31の領域よりも厚くすることによって、熱電対32の先端側を対象物に押し当てる作用をより確実なものとすることができる。当該作用によって熱電対32と対象物との間の距離が縮まると、ヒータ線からなる発熱要素23から熱電対32に直接届いてしまう熱ノイズの影響が抑制される。
【0062】
熱電対32の先端側に位置するシートパッチ31の領域を熱電対32の根元側に位置するシートパッチ31の領域よりも厚くするための具体的態様としては、様々な態様が考えられる。図8乃至図13は、それぞれ、厚さが一定でないタイプのシートパッチ31の例を示す概略縦断面図である。
【0063】
図8は、熱電対32の先端側(図8において右側)に位置するシートパッチ31の領域を折り曲げたタイプの一例を示す概略縦断面図である。図8(a)は、被覆体1への装着前の状態を示しており、図8(b)は、被覆体1への装着後の状態を示している。図8(b)において、シートパッチ31の上面側が被覆体1に接着等されているが、被覆体1の図示は省略されている。折り曲げ回数は、製造容易性の観点から、2回以下(重なりが3枚以下)であることが好ましい(3回以上折り曲げることは容易でないため)。
【0064】
図8に示すように、熱電対32の先端側に位置するシートパッチ31の領域を熱電対32とは反対側に折り曲げることによって、熱電対32がシートパッチ31と不所望な「引っ掛かり」等を生じて不所望な変形ないし破損を生じる虞が顕著に抑制される。
【0065】
図9は、熱電対32の先端側(図9において右側)に位置するシートパッチ31の領域を二重に重ねたタイプの一例を示す概略縦断面図である。図9(a)は、被覆体1への装着前の状態を示しており、図9(b)は、被覆体1への装着後の状態を示している。図9(b)において、シートパッチ31の上面側が被覆体1に接着等されているが、被覆体1の図示は省略されている。重ねられる枚数は、製造容易性の観点から、3枚以下であることが好ましい(4枚以上を重ねることは容易でないため)。
【0066】
図9に示すように、熱電対32の先端側に位置するシートパッチ31の領域を熱電対32とは反対側で二重にすることによって、熱電対32がシートパッチ31と不所望な「引っ掛かり」等を生じて不所望な変形ないし破損を生じる虞が顕著に抑制される。
【0067】
図10は、熱電対32の先端側(図10において右側)に位置するシートパッチ31の領域の方が熱電対32の根元側(図10において左側)に位置するシートパッチ31の領域よりも厚くなるように、シートパッチ31の全体が「楔形」に形成されたタイプの一例を示す概略縦断面図である。熱電対32が楔形のシートパッチ31の傾斜面側に設けられている。
【0068】
図10に示すように、シートパッチ31の全体を「楔形」に形成することによっても、熱電対32がシートパッチ31と不所望な「引っ掛かり」等を生じて不所望な変形ないし破損を生じる虞が顕著に抑制される。
【0069】
図11も、熱電対32の先端側(図11において右側)に位置するシートパッチ31の領域の方が熱電対32の根元側(図11において左側)に位置するシートパッチ31の領域よりも厚くなるように、シートパッチ31の全体が「楔形」に形成されたタイプの一例を示す概略縦断面図である。図11(a)は、被覆体1への装着前の状態を示しており、熱電対32が楔形のシートパッチ31の水平面側に設けられている。図11(b)は、被覆体1への装着後の状態を示しており、シートパッチ31の上面側が被覆体1に接着等されているが、被覆体1の図示は省略されている。
【0070】
図11に示す例でも、熱電対32がシートパッチ31と不所望な「引っ掛かり」等を生じて不所望な変形ないし破損を生じる虞が顕著に抑制される。
【0071】
図12は、熱電対32の先端側(図10において右側)に位置するシートパッチ31の領域の方が熱電対32の根元側(図11において左側)に位置するシートパッチ31の領域よりも厚くなるように、シートパッチ31の一部が「楔形」に形成されたタイプの一例を示す概略縦断面図である。熱電対32がシートパッチ31の傾斜面側に設けられている。
【0072】
図12に示すように、シートパッチ31の一部を「楔形」に形成することによっても、熱電対32がシートパッチ31と不所望な「引っ掛かり」等を生じて不所望な変形ないし破損を生じる虞が顕著に抑制される。
【0073】
図13も、熱電対32の先端側(図13において右側)に位置するシートパッチ31の領域の方が熱電対32の根元側(図13において左側)に位置するシートパッチ31の領域よりも厚くなるように、シートパッチ31の一部が「楔形」に形成されたタイプの一例を示す概略縦断面図である。図13(a)は、被覆体1への装着前の状態を示しており、熱電対32がシートパッチ31の水平面側に設けられている。図13(b)は、被覆体1への装着後の状態を示しており、シートパッチ31の上面側が被覆体1に接着等されているが、被覆体1の図示は省略されている。
【0074】
図13に示す例でも、熱電対32がシートパッチ31と不所望な「引っ掛かり」等を生じて不所望な変形ないし破損を生じる虞が顕著に抑制される。
【0075】
(他の実施形態)
なお、前述の実施形態においては、内層部11の内側(配管側)に直接的にシートパッチ31が設けられているが、両者の間に何らかの中間層が介在していても、本発明の範囲内の構成である。
【0076】
更に、当該中間層とシートパッチ31とが一体的に結合されていた場合(糸を介しての縫い付けや接着等)でも、本発明の範囲内の構成である。
【0077】
更に、段差部を提供するシートとして、シートパッチ31を局所的に配置することに代えて、シートパッチ部131が局所的に突出するシート130を内層部11の内側(配管側)に配置してもよい。そのような実施形態を、図14及び図15に示す。
【0078】
図14及び図15に示す実施形態では、内層部11の内側(配管側)に、局所的に2か所(1か所または3か所以上でもよい)でシートパッチ部131が突出するシート130が配置されている。シートパッチ部131は、シート130の他の部分よりも肉厚の部分として構成されて段差部を提供している(図15参照)。本実施形態の(シートパッチ部131を含む)シート130は、フッ素樹脂製であり、適度な弾性を有している。シートパッチ部131を除いたシート130の厚みは、0.5mmであり、各シートパッチ部131は、3cm×2cmの矩形形状を有しており(面積は6cm2)、厚さは1.0mmである(シート130の他の部分よりも0.5mm厚い)。
【0079】
図14及び図15に示す実施形態において、図1及び図2に示す実施形態と同様の構成については、同様の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0080】
図14及び図15に示す実施形態でも、配管側に熱電対32が露出されているが、シートパッチ部131が配管表面に対して熱電対32をソフトに押し当てるような弾性を有しているため、熱電対32を配管表面に安定的に直接接触させることができる。
【0081】
シートパッチ部131は、熱電対32の設置位置に対応して局所的にのみ設けられているため、配管全体の温度均一性に大きな悪影響を及ぼすことはないが確認された。
【0082】
図14及び図15に示す実施形態によっても、局所的に設けられたシートパッチ部131によって、熱電対32を配管表面に安定的に直接接触させることが支援される。これによって、より高精度な温度測定が実現され得る。
【0083】
そして、熱電対32は、不図示の制御部(例えばサーモスタット)に接続され、当該制御部が、熱電対32による温度測定値に応じて、発熱要素23への通電を制御する。これにより、発熱要素23への通電制御が、より高精度に実施され得る。
【0084】
図14及び図15に示す実施形態でも、シートパッチ部131に断熱性があって蓄熱性も小さいため、熱電対32による温度測定において、発熱要素23からの直接的な影響を効果的に排除できる。また、内層部11から外層部12に向かう厚み方向に見て、発熱要素23と熱電対32の露出された部分とが重ならないように配置されていれば、発熱要素23からの直接的な影響を排除する上で更に効果的である。
【0085】
(シートパッチ部の変形例)
図14及び図15に示す実施形態でも、シートパッチ部131は3cm×2cmの矩形形状であって、シートパッチ部131の面積は、熱電対32がシートパッチ部131上において露出する面積に対して、24倍となっていたが、これに限定されない。本件発明者によれば、シートパッチ部の面積が3cm×2cmである場合、熱電対が露出する面積がその1/24~1/5倍であれば(シートパッチ部の面積が、シートパッチ上において熱電対が露出する面積に対して、5~24倍)、本発明の効果が得られることが確認された。
【0086】
また、シートパッチ部131が10cm×10cmの矩形形状である場合、本件発明者によれば、熱電対が露出する面積がその1/400~1/87倍であれば(シートパッチ部の面積が、シートパッチ部上において熱電対が露出する面積に対して、87~400倍)、本発明の効果が得られることが確認された。
【0087】
更に、シートパッチ部131は、他のサイズの矩形形状であってもよく、例えば一辺が10cm以下の矩形形状であれば本発明の効果が得られる。配管外周との関係で言えば、シートパッチ部131は、一辺が配管外周の1/2倍以下(好ましくは1/4倍以下)の矩形形状であれば、本発明の効果が得られる(配管表面に対して熱電対32をソフトに押し当てることができ、熱電対32を配管表面に安定的に直接接触させることができる)。
【0088】
あるいは、シートパッチ部131は、矩形形状に限定されないで、様々な形状を有することができる。例えば、シートパッチ部131は、円形形状や楕円形状や環形状であってもよい。環形状の場合、中央の穴の領域が熱電対32と重なっても構わない。シートパッチ部131が円形形状、楕円形状、または環形状である場合、その直径、長軸半径の2倍、または外径が10cm以下であれば、本発明の効果が期待できる。配管外周との関係で言えば、シートパッチ部131は、その直径、長軸半径の2倍、または外径が配管外周の1/2倍以下(好ましくは1/4倍以下)であれば、本発明の効果が得られる(配管表面に対して熱電対32をソフトに押し当てることができ、熱電対32を配管表面に安定的に直接接触させることができる)。
【0089】
また、シートパッチ部131の厚さについては、0.1mm~5.0mmであれば、本発明の効果が期待できる。(シートパッチ部131の厚さが5.0mmを超えると、当該箇所における発熱要素32と配管表面との間の距離が過大となり、更に、シートパッチ部131の端面部分が過大な段差となって被覆体1と配管表面との間に隙間を残存させてしまうため、効率的かつ均等に配管を加熱することが阻害され得る。)
【0090】
また、図16に示すシートパッチ部131’のように、その周縁部分がなだらかに傾斜するような形態が採用されてもよい。
【0091】
また、図17に示すシートパッチ部231のように、内層部11の内方側(配管側)に嵩増要素(段差形成要素)211を介在させた上で、それ自体の厚さは全体において一定または略一定であるシート130が配置されることで、段差部が提供されてもよい。
【0092】
また、図18に示すシートパッチ部231’のように、内層部11の内方側(配管側)に予め嵩増部(段差形成部)11’を設けておいて、それ自体の厚さは全体において一定または略一定であるシート130が配置されることで、段差部が提供されてもよい。
【0093】
また、図19に示すシートパッチ部231”のように、何らかの型押し技術等によってシート130の一部を内方側(配管側)に突出する形状に加工することで、段差部が提供されてもよい。
【0094】
また、図20に示すシートパッチ部331のように、シート130の一部を断面S字状に折り畳むように配置することで、段差部が提供されてもよい。
【符号の説明】
【0095】
1 被覆体
11 内層部
11’ 嵩増部(段差形成部)
12 外層部
13 側方層部
14 締結部
21 内層側断熱部材
22 外層側断熱部材
23 発熱要素
31 シートパッチ
32 熱電対
40 弁箱(バルブユニットを収容する箱)
110 ガス配管
130 シート
131 シートパッチ部
131’ シートパッチ部
211 嵩増要素(段差形成要素)
231 シートパッチ部
231’ シートパッチ部
231” シートパッチ部
331 シートパッチ部
400 金属薄板
500 外層部
510 内層部
520 断熱部
530 発熱体
540 断熱部材
555 温度検知部
560 サーモスイッチ
600 断熱絶縁部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21