(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023167908
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】構造部材の切断装置および構造部材の切断方法
(51)【国際特許分類】
B28D 1/08 20060101AFI20231116BHJP
E04G 23/08 20060101ALI20231116BHJP
B24B 27/06 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
B28D1/08
E04G23/08 D
B24B27/06 S
B24B27/06 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022079451
(22)【出願日】2022-05-13
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】奥山 信博
【テーマコード(参考)】
2E176
3C069
3C158
【Fターム(参考)】
2E176AA01
2E176DD22
3C069AA01
3C069BA06
3C069BB03
3C069BC02
3C069BC05
3C069CA10
3C069EA01
3C158AA05
3C158AA16
3C158BA02
3C158BA07
3C158BC02
3C158CB07
3C158DA03
(57)【要約】
【課題】構造部材の切断可能幅を広げることができる構造部材の切断装置および構造部材の切断方法を提供する。
【解決手段】構造部材2を切断するワイヤーソー3と、ワイヤーソー3を無端ループ状に巻き掛け循環回動させる複数の第一ガイドプーリー4および複数の第二ガイドプーリー5と、複数の第二ガイドプーリー5を第一ガイドプーリー4に対して構造部材2の幅長に応じて構造部材2の幅方向に拡縮する拡縮機構7と、複数の第一ガイドプーリー4および複数の第二ガイドプーリー5を駆動させる駆動部6と、を備え、第一ガイドプーリー4は、ワイヤーソー3を循環回動させる駆動プーリー41と、ワイヤーソー3の長さを調整する巻取りプーリー42a、42bと、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造部材を切断するワイヤーソーと、
前記ワイヤーソーを無端ループ状に巻き掛け循環回動させる複数の第一ガイドプーリーおよび複数の第二ガイドプーリーと、
前記複数の第二ガイドプーリーを前記第一ガイドプーリーに対して前記構造部材の幅長に応じて前記構造部材の幅方向に拡縮する拡縮機構と、
前記複数の第一ガイドプーリーおよび前記複数の第二ガイドプーリーを駆動させる駆動部と、
を備え、
前記第一ガイドプーリーは、前記ワイヤーソーを循環回動させる駆動プーリーと、前記ワイヤーソーの長さを調整する巻取りプーリーと、を備える、
構造部材の切断装置。
【請求項2】
前記ワイヤーソーの切断高さを保持する複数の第三ガイドプーリーを備える、
請求項1に記載の構造部材の切断装置。
【請求項3】
前記複数の第三ガイドプーリーの位置を調整する位置調整機構を備える、
請求項2に記載の構造部材の切断装置。
【請求項4】
前記位置調整機構は、前記複数の第三ガイドプーリーの位置を前記構造部材の高さ方向及び幅方向に調整可能に構成されている、
請求項3に記載の構造部材の切断装置。
【請求項5】
前記第一ガイドプーリーと前記第二ガイドプーリーとの間に設けられる支持板と、
前記支持板に接続され、前記構造部材の表面に接地する支持キャスターと、
を備える、
請求項1から4のいずれか一項に記載の構造部材の切断装置。
【請求項6】
前記構造部材の切断位置の切断幅略中央に配置され、前記ワイヤーソーを前記構造部材の切断位置で緊張させる第四ガイドプーリーと、
前記駆動部に設けられ、前記第四ガイドプーリーを前記構造部材の切断方向に沿って移動させる移動機構と、
を備える、
請求項1から4のいずれか一項に記載の構造部材の切断装置。
【請求項7】
構造部材を切断するワイヤーソーと、
前記ワイヤーソーを無端ループ状に巻き掛け循環回動させる複数の第一ガイドプーリーおよび複数の第二ガイドプーリーと、
前記複数の第二ガイドプーリーを前記第一ガイドプーリーに対して前記構造部材の幅長に応じて前記構造部材の幅方向に拡縮する拡縮機構と、
前記複数の第一ガイドプーリーおよび前記複数の第二ガイドプーリーを駆動させる駆動部と、
を備え、
前記第一ガイドプーリーは、前記ワイヤーソーを循環回動させる駆動プーリーと、前記ワイヤーソーの長さを調整する巻取りプーリーと、を備え、
前記ワイヤーソーの切断高さを保持する複数の第三ガイドプーリーと、前記複数の第三ガイドプーリーの位置を調整する位置調整機構と、を備え、
前記複数の第二ガイドプーリーを前記拡縮機構により前記構造部材の幅方向のスパン以上に拡幅し、
前記ワイヤーソーを前記構造部材の切断領域の先端に配置し、
前記複数の第三ガイドプーリーを前記構造部材の幅方向側方において前記構造部材の切断高さに配置し、
前記駆動部により前記複数の第一ガイドプーリーおよび前記複数の第二ガイドプーリーを駆動させて、前記ワイヤーソーを循環回動させ、
前記ワイヤーソーを前記切断装置側に引き寄せて切断方向に移動させることで前記構造部材を切断する、
構造部材の切断方法。
【請求項8】
前記構造部材の切断位置の切断幅略中央に配置され、前記ワイヤーソーを前記構造部材の切断位置で緊張させる第四ガイドプーリーと、
前記駆動部に設けられ、前記第四ガイドプーリーを前記構造部材の切断方向に沿って移動させる移動機構と、を備え、
前記構造部材は、複数の基礎梁を備え、
前記複数の第二ガイドプーリーを前記拡縮機構により前記複数の基礎梁を跨ぐように拡幅し、
前記ワイヤーソーを前記複数の基礎梁の切断領域の先端に配置し、
前記複数の第三ガイドプーリーを前記構造部材の幅方向側方において前記構造部材の切断高さに配置し、
前記第四ガイドプーリーを前記移動機構により前記複数の基礎梁の間および前記切断領域の幅方向中央に配置し、
前記駆動部により前記複数の第一ガイドプーリーおよび前記複数の第二ガイドプーリーを駆動させて、前記ワイヤーソーを循環回動させ、
前記ワイヤーソーを前記切断装置側に引き寄せて切断方向に移動させることで前記複数の基礎梁を同時に切断する、
請求項7に記載の構造部材の切断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造部材の切断装置および構造部材の切断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、SRC造やRC造の構造物を解体する方法として、地上に設置した大型の破砕重機を用いる方法や、破砕機やブレーカを作業階に複数配置して階上において構造物を破砕する方法が用いられてきた。この中でも基礎梁やマットスラブ等の基礎躯体の解体作業は、特に振動や騒音が大きく、以前より環境上の問題が大きい作業であった。
【0003】
上記の問題を解決する方法として、例えば特許文献1および特許文献2には、複数のプーリーに無端ループ状に巻き掛けられ循環回動するワイヤーソーにより、基礎梁やマットスラブ等を下面側で水平方向に切断することで解体する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-111768号公報
【特許文献2】特開2019-123168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記の方法の場合、基礎梁やマットスラブ等の切断対象物の適用可能幅は最大約2,400mm程度であり、例えばその幅を超える複数の基礎梁のスパン等の条件によっては切断対象物からさらに切断領域を細分化して切断回数を増やして解体する必要があった。
【0006】
そこで、本発明は、構造部材の切断可能幅を広げることができる構造部材の切断装置および構造部材の切断方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る構造部材の切断装置は、構造部材を切断するワイヤーソーと、前記ワイヤーソーを無端ループ状に巻き掛け循環回動させる複数の第一ガイドプーリーおよび複数の第二ガイドプーリーと、前記複数の第二ガイドプーリーを前記第一ガイドプーリーに対して前記構造部材の幅長に応じて前記構造部材の幅方向に拡縮する拡縮機構と、前記複数の第一ガイドプーリーおよび前記複数の第二ガイドプーリーを駆動させる駆動部と、を備え、前記第一ガイドプーリーは、前記ワイヤーソーを循環回動させる駆動プーリーと、前記ワイヤーソーの長さを調整する巻取りプーリーと、を備える。
【0008】
上記の構成により、構造部材の切断装置は、拡縮機構により複数の第二ガイドプーリーを複数の第一ガイドプーリーに対して構造部材の幅長に応じて構造部材の幅方向に拡縮できるため、構造部材の切断可能幅を広げることができる。例えば、構造部材が複数の基礎梁である場合、第二ガイドプーリーを拡縮機構により基礎梁を跨ぐように配置してワイヤーソーを循環回動させることで複数の基礎梁を同時に切断することができる。
【0009】
また、本発明に係る構造部材の切断装置は、前記ワイヤーソーの切断高さを保持する複数の第三ガイドプーリーを備えてもよい。
【0010】
上記の構成により、構造部材の切断装置は、ワイヤーソーの切断高さを複数の第三ガイドプーリーによって保持することにより、構造部材の切断時におけるワイヤーソーの撓みを抑制し、構造部材の下部の砕石層や地盤を切断することによるワイヤーソーの損傷を防ぐことができる。また、ワイヤーソーの切断高さを構造部材の下端に近い低い位置で保持することができるため、切断面と砕石層等との間に残ったコンクリートの斫り解体作業等の残部材の後処理を削減することができる。
【0011】
また、本発明に係る構造部材の切断装置は、前記複数の第三ガイドプーリーの位置を調整する位置調整機構を備えてもよい。
【0012】
上記の構成により、構造部材の切断装置は、複数の第三ガイドプーリーの位置を構造部材の切断高さやワイヤーソーによる切断の進行状況に応じて容易に調整することができる。
【0013】
また、本発明に係る構造部材の切断装置において、前記位置調整機構は、前記複数の第三ガイドプーリーの位置を前記構造部材の高さ方向及び幅方向に調整可能に構成されていてもよい。
【0014】
上記の構成により、構造部材の切断装置は、複数の第三ガイドプーリーの位置を構造部材の高さ方向及び幅方向に調整できるため、矩形状の構造部材の切断時において第三ガイドプーリーの位置を容易に調整することができる。
【0015】
また、本発明に係る構造部材の切断装置は、前記第一ガイドプーリーと前記第二ガイドプーリーとの間に設けられる支持板と、前記支持板に接続され、前記構造部材の表面に接地する支持キャスターと、を備えてもよい。
【0016】
上記の構成により、構造部材の切断装置は、支持板により構造部材の幅方向に拡縮される複数の第二ガイドプーリーの剛性を補剛することができるため、第二ガイドプーリーの配置位置のずれおよびワイヤーソーによる構造部材の切断位置のずれの発生を防ぐことができる。また、支持キャスターを備えることにより、第二ガイドプーリーを容易に幅方向に拡縮することができる。
【0017】
また、本発明に係る構造部材の切断装置は、前記構造部材の切断位置の切断幅略中央に配置され、前記ワイヤーソーを前記構造部材の切断位置で緊張させる第四ガイドプーリーと、前記駆動部に設けられ、前記第四ガイドプーリーを前記構造部材の切断方向に沿って移動させる移動機構と、を備えてもよい。
【0018】
上記の構成により、構造部材の切断装置は、第四ガイドプーリーによりワイヤーソーを切断位置において緊張させることができるため、構造部材の切断時においてワイヤーソーの撓みの発生をより確実に防ぐことができ、構造部材を所望の位置で切断することができる。
【0019】
上記目的を達成するため、本発明に係る構造部材の切断方法は、構造部材を切断するワイヤーソーと、前記ワイヤーソーを無端ループ状に巻き掛け循環回動させる複数の第一ガイドプーリーおよび複数の第二ガイドプーリーと、前記複数の第二ガイドプーリーを前記第一ガイドプーリーに対して前記構造部材の幅長に応じて前記構造部材の幅方向に拡縮する拡縮機構と、前記複数の第一ガイドプーリーおよび前記複数の第二ガイドプーリーを駆動させる駆動部と、を備え、前記第一ガイドプーリーは、前記ワイヤーソーを循環回動させる駆動プーリーと、前記ワイヤーソーの長さを調整する巻取りプーリーと、を備え、前記ワイヤーソーの切断高さを保持する複数の第三ガイドプーリーと、前記複数の第三ガイドプーリーの位置を調整する位置調整機構と、を備え、前記複数の第二ガイドプーリーを前記拡縮機構により前記構造部材の幅方向のスパン以上に拡幅し、前記ワイヤーソーを前記構造部材の切断領域の先端に配置し、前記複数の第三ガイドプーリーを前記構造部材の幅方向側方において前記構造部材の切断高さに配置し、前記駆動部により前記複数の第一ガイドプーリーおよび前記複数の第二ガイドプーリーを駆動させて、前記ワイヤーソーを循環回動させ、前記ワイヤーソーを前記切断装置側に引き寄せて切断方向に移動させることで前記構造部材を切断する。
【0020】
上記の構造部材の切断方法により、複数の第二ガイドプーリーを拡縮機構により構造部材の幅方向のスパン以上に拡幅させることで、構造部材の切断可能幅を広げ、ワイヤーソーを構造部材に対する最適な切断幅に配置して構造部材を切断することができる。
【0021】
上記目的を達成するため、本発明に係る構造部材の切断方法は、前記構造部材の切断位置の切断幅略中央に配置され、前記ワイヤーソーを前記構造部材の切断位置で緊張させる第四ガイドプーリーと、前記駆動部に設けられ、前記第四ガイドプーリーを前記構造部材の切断方向に沿って移動させる移動機構と、を備え、前記構造部材は、複数の基礎梁を備え、前記複数の第二ガイドプーリーを前記拡縮機構により前記複数の基礎梁を跨ぐように拡幅し、前記ワイヤーソーを前記複数の基礎梁の切断領域の先端に配置し、前記複数の第三ガイドプーリーを前記構造部材の幅方向側方において前記構造部材の切断高さに配置し、前記第四ガイドプーリーを前記移動機構により前記複数の基礎梁の間および前記切断領域の幅方向中央に配置し、前記駆動部により前記複数の第一ガイドプーリーおよび前記複数の第二ガイドプーリーを駆動させて、前記ワイヤーソーを循環回動させ、前記ワイヤーソーを前記切断装置側に引き寄せて切断方向に移動させることで前記複数の基礎梁を同時に切断してもよい。
【0022】
上記の構造部材の切断方法により、第四ガイドプーリーを切断領域の幅方向中央に配置し、複数の第二ガイドプーリーを拡縮機構により複数の基礎梁を跨ぐように拡幅して配置することで、複数の基礎梁をワイヤーソーで同時に切断することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、構造部材の切断可能幅を広げることができる構造部材の切断装置および構造部材の切断方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の実施形態に係る構造部材の切断装置の一例を示す正面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る構造部材の切断装置の一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態に係る構造部材の切断装置及び構造部材の切断方法の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明で用いる図面は模式的なものであり、長さ、幅及び厚みの比率等は実際のものと同一とは限らず、適宜変更することができる。
【0026】
構造部材の切断装置1は、例えば一方向に一定の間隔を有して複数配置される基礎梁やマットスラブのような大型かつコンクリート製の構造部材2の切断対象となる切断領域2aを切断する(以下、「構造部材の切断装置1」を「切断装置1」と記載する)。構造部材2は高さ方向に立設されるとともに一方向に延びる。以下、構造部材2の幅方向をX方向、構造部材2の長さ方向をY方向、構造部材2の高さ方向をZ方向と記載する。
【0027】
図1および
図2に示すように、切断装置1は、ワイヤーソー3と、複数の第一ガイドプーリー4と、複数の第二ガイドプーリー5と、駆動部6と、拡縮機構7と、ワイヤーソー高さ保持装置8と、移動機構9と、を備える。切断装置1は、ワイヤーソー3を循環回動させることにより切断領域2aを切断する。
【0028】
ワイヤーソー3の全長は、材質の伸縮性に起因する僅かな伸び縮みを除けば一定である。ワイヤーソー3は、例えば公知のダイヤモンドワイヤーである。
【0029】
第一ガイドプーリー4は、駆動プーリー41と、巻取りプーリー42a、42bと、固定プーリー43a、43b、43c、43dと、を備える。第二ガイドプーリー5は、一対の上部ガイドプーリー51a、51bと、一対の下部ガイドプーリー52a、52bと、を備える。
【0030】
駆動プーリー41、巻取りプーリー42a、42b及び固定プーリー43a、43b、43c、43dは、駆動部6の内部に配置されている。駆動部6は、構造部材2上に安定配置されている。駆動部6は、水平な基台等を介して構造部材2上に配置されてもよい。
【0031】
駆動プーリー41は、Y方向に沿って延びる軸芯410を介して駆動部6に接続され、駆動部6の駆動によって軸芯410を中心に回転駆動し、ワイヤーソー3に駆動力を伝達する。軸芯410は、駆動部6に形成され、かつZ方向に延在する貫通孔61aに貫通する。駆動プーリー41は、駆動部6の駆動によって貫通孔61aをZ方向に沿って独立して移動し、ワイヤーソー3の張力を調整する。
【0032】
巻取りプーリー42a、42bは、Y方向に沿って延びる軸芯420を介して駆動部6に接続され、駆動部6の駆動によるワイヤーソー3の循環回動に従って軸芯420を中心に回転駆動する。軸芯420は、駆動部6に形成され、かつZ方向に延在する貫通孔61bに貫通する。巻取りプーリー42a、42bは、駆動部6の駆動によってそれぞれ貫通孔61b、61bをZ方向に沿って独立して移動する。巻取りプーリー42a、42bは、Z方向上方に移動すると駆動部6の外部に位置するワイヤーソー3を駆動部6内に引き込み、Z方向下方に移動すると駆動部6内に位置するワイヤーソー3を駆動部6外に引き出すことにより、循環回動するワイヤーソー3の長さを調整し、ワイヤーソー3の撓みを抑制する。
【0033】
固定プーリー43a、43b、43c、43dは、少なくとも駆動プーリー41および巻取りプーリー42a、42bより下方で、X方向に所定の間隔をあけて配置され、第一固定部61を介して駆動部6内に固定されている。第一固定部61の構成は特に限定されず、例えば駆動部6の内部に直接取り付けられる構成でもよい。
【0034】
一対の上部ガイドプーリー51a、51bおよび一対の下部ガイドプーリー52a、52bは、駆動部6の外部に配置されている。
【0035】
拡縮機構7は、一対のガイド部材71、71と、一対の補剛部72、72と、一対の高さ調整部材73、73と、を備える。
【0036】
一対のガイド部材71、71は、互いのX方向の間隔を拡縮可能に設けられ、ワイヤーソー3は、一対のガイド部材71、71のX方向の拡縮に応じて長さが調整される。一対のガイド部材71、71の上端には、それぞれ上部ガイドプーリー51a、51bが連結金具711、711を介して軸芯712、712を中心にX方向に回転可能に接続されている。上部ガイドプーリー51a、51bは、それぞれワイヤーソー3の循環回動に従って軸芯712を中心に回転駆動する。
【0037】
一対の上部ガイドプーリー51a、51bは、X方向に並行するように固定される。したがって、上部ガイドプーリー51a、51bは、それぞれガイド部材71、71を中心に旋回しない。
【0038】
一対の補剛部72、72は、それぞれガイド部材71と駆動部6との間に配置され、一対のガイド部材71、71および一対の高さ調整部材73、73の剛性を補剛し、各部材の変形を防止する。補剛部72は、支持板721と、支持板721からZ方向下向きに延出し構造部材2の上面2cに接地する支持キャスター722と、を備える。一対の支持キャスター722、722は、一対のガイド部材71、71の拡縮に応じて上面2c上を回転駆動することで拡縮機構7による拡縮動作を滑らかにする。
【0039】
一対の高さ調整部材73、73は、それぞれ一対のガイド部材71の下端からZ方向上下にスライド可能に延出する。一対の高さ調整部材73、73の下端には、それぞれ下部ガイドプーリー52a、52bが接続されている。一対の高さ調整部材73、73をZ方向上下にスライドすることにより、一対の下部ガイドプーリー52a、52bのZ方向の位置を調整する。
【0040】
一対の下部ガイドプーリー52a、52bは、それぞれ一対の高さ調整部材73、73の下端に設けられた連結金具731、731を介して軸芯732、732を中心に回転可能に接続される。一対の下部ガイドプーリー52a、52bは、それぞれガイド部材71、71を中心に旋回する。具体的には、連結金具731は、高さ調整部材73に対して下部ガイドプーリー52a(52b)との接続部733においてZ軸を回転中心として旋回可能となるように設けられる。したがって、一対の下部ガイドプーリー52a、52bは、Z方向に沿って立設した状態で、平面視で回転可能となる。
【0041】
一対のガイド部材71、71及び一対の高さ調整部材73、73は、それぞれ一対の上部ガイドプーリー51a、51bおよび一対の下部ガイドプーリー52a、52bの固定部(第二固定部)としても機能する。
【0042】
ワイヤーソー高さ保持装置8は、固定部81と、幅調整部(位置調整機構)82と、一対の第三ガイドプーリー83a、83bと、一対の高さ調整部(位置調整機構)84、84と、を備える。
図2および
図3に示すように、ワイヤーソー高さ保持装置8は、切断装置1と切断領域2aの先端2bとの間に配置される。ワイヤーソー高さ保持装置8の材質は特に限定されず、例えばアルミ等の軽量金属材により形成される。
【0043】
ワイヤーソー高さ保持装置8の固定部81は、構造部材2の上面2cに固定され切断領域2aのX方向略中央に配置される。固定部81の構成は特に限定されず、例えば構造部材2に公知のスチールアンカーを打設して固定する構成でもよい。上記の構成により、ワイヤーソー高さ保持装置8の取り付けおよび取り外しが容易となり作業の手間を低減できる。
【0044】
幅調整部82は、固定部81に接続され、端部82a、82bをX方向に伸縮またはスライド移動可能に設けられる。幅調整部82は、X方向に伸縮またはスライド移動することにより、一対の第三ガイドプーリー83a、83bのX方向の位置を調整する。
【0045】
一対の高さ調整部84、84は、それぞれ幅調整部82の端部82a、82bに設けられ、Z方向に伸縮またはスライド移動可能に設けられる。一対の高さ調整部84、84は、Z方向に伸縮またはスライド移動することで一対の第三ガイドプーリー83a、83bのZ方向の位置を調整する。
【0046】
一対の第三ガイドプーリー83a、83bは、幅調整部82の端部82a、82bに設けられた一対の高さ調整部84のそれぞれの下端近傍に設けられている。一対の第三ガイドプーリー83a、83bは、平面視でワイヤーソー3の巻き掛け部831、831が幅調整部82からX方向外方に突出した位置になるように配置されている。
【0047】
幅調整部82および高さ調整部84の構成は限定されず、例えばX方向およびZ方向にスライドして位置を調整するスライド機構でもよい。また、一対の第三ガイドプーリー83a、83bの間隔および高さと同等の長さを備える部材に一対の第三ガイドプーリー83a、83bを接続し、一対の第三ガイドプーリー83a、83bを所望の位置に配置する構成でもよい。
【0048】
図2、
図4に示すように、移動機構9は、長さ調整部91と、高さ調整部92とを備える。
長さ調整部91は、駆動部6から切断領域2aの先端2bに向かって延出し、Y方向に沿って設けられた棒状部材である。長さ調整部91には、固定部81が取り付けられている。固定部81は、長さ調整部91に沿って(Y方向に沿って)移動可能に構成されている。なお、長さ調整部91に固定部81が固定されており、長さ調整部91がY方向に沿って伸縮またはスライド移動自在に設けられていてもよい。固定部81の切断領域2aの先端2b側の基端部には、高さ調整部92が設けられている。高さ調整部92は、長さ調整部91に対してZ方向に伸縮またはスライド移動可能に設けられている。高さ調整部92の下端近傍には、第四ガイドプーリー93が接続されている。
【0049】
固定部81は、長さ調整部91に沿ってスライド移動することにより、第四ガイドプーリー93のY方向の位置を調整する。高さ調整部92は、Z方向に伸縮またはスライド移動することで第四ガイドプーリー93のZ方向の位置を調整する。
【0050】
長さ調整部91および高さ調整部92の構成は限定されず、例えば公知の油圧シリンダーでもよいし、X方向およびZ方向にスライドして位置を調整するスライド機構でもよい。
【0051】
第四ガイドプーリー93は、切断装置1の正面視において、切断領域2aのX方向の略中央部に配置され、ワイヤーソー3の巻き掛け部931が平面視で高さ調整部92からY方向外方に突出した位置になるように配置されている。
【0052】
ワイヤーソー3は、
図1および
図2において時計回りに、駆動プーリー41から固定プーリー43a、上部ガイドプーリー51a、下部ガイドプーリー52a、第三ガイドプーリー83a、第四ガイドプーリー93、第三ガイドプーリー83b、下部ガイドプーリー52b、上部ガイドプーリー51b、固定プーリー43b、巻取りプーリー42a、固定プーリー43c、巻取りプーリー42b、固定プーリー43d、再び駆動プーリー41に至るように無端ループ状に架け渡され各プーリーに巻き掛けられる。ワイヤーソー3は、駆動部6による駆動プーリー41の回転駆動により循環回動する。循環回動するワイヤーソー3の長さは、巻取りプーリー42a、42bのZ方向の位置を調整することにより調整され、ワイヤーソー3の撓みを抑制する。ワイヤーソー3の巻き掛け方向および回動方向は、時計回りでもよいし、反時計回りでもよい。
【0053】
次に上記の切断装置1を適用した構造部材の切断方法について図面に基づいて説明する。
【0054】
図1から
図4に示すように、構造部材2は、4本の基礎梁21である。基礎梁21は、X方向に一定の間隔を有して配置されY方向に延びる。本実施形態では、各基礎梁21のX方向およびZ方向の全域かつY方向の一部を含む矩形(直方体)形状を切断領域2aとする。X方向両端部に位置する基礎梁21、21の外端21a、21a間の長さは、切断装置1の拡縮機構7を閉じた状態におけるX方向の幅長よりも長い。切断領域2aは、切断装置1の拡縮機構7による拡縮範囲およびワイヤーソー3の切断能力に応じて決定される。本実施形態に適用される切断装置1のX方向の切断可能幅は、拡縮機構7による一対のガイド部材71、71および一対の上部ガイドプーリー51a、51bのX方向への拡幅により、例えば、3.0mから4.0m程度となる。
【0055】
本実施形態の切断方法は、第一鉛直方向切断工程と、水平方向切断工程と、第二鉛直方向切断工程と、構成部材切り出し工程と、を備える。以下、各工程について説明する。
【0056】
<第一鉛直方向切断工程>
切断装置1を構造部材2の上面2c上に設置する。拡縮機構7により、一対のガイド部材71、71を一対のガイド部材71、71間のX方向の間隔と切断領域2aのX方向の幅長とが略一致するように拡幅する。上記の拡幅により、一対の上部ガイドプーリー51a、51b、一対の下部ガイドプーリー52a、52bおよび一対の高さ調整部材73、73においても、それぞれX方向の間隔と切断領域2aのX方向の幅長とが略一致するように拡幅される。上記の状態で、切断領域2aのX方向両端の上方にそれぞれ高さ調整部材73、73と下部ガイドプーリー52a、52bを配置させる。駆動部6を駆動させ、一対の高さ調整部材73、73を下降させながらワイヤーソー3を循環回動させる。ワイヤーソー3の切断高さは、切断領域2aの下端2dよりも多少上方とする(以下、「切断下端2e」と記載する)。上記により、切断領域2aの先端2bおよびX方向両側部2f、2fがZ方向下向きに押し切られZ方向に切断溝2gが形成される。なお、本工程は上記の方法に限定されず、例えば公知のロードカッターを用いて先端2bおよび両側部2f、2fをZ方向に下向きに押し切る方法でもよい。
【0057】
<水平方向切断工程>
次に、切断領域2aの大きさを考慮し、駆動部6を切断領域2aに対してY方向奥側に配置して固定する。一対の下部ガイドプーリー52a、52b及びワイヤーソー3を一対の高さ調整部材73、73によりZ方向の位置を調整して切断下端2eに配置する。また、移動機構9により第四ガイドプーリー93を先端2b側に前進させ、同様に切断下端2eに配置する。第四ガイドプーリー93は、基礎梁21に対してY方向に重複しない位置に配置される。上記の構成で駆動部6により駆動プーリー41を回転駆動させることでワイヤーソー3を循環回動させつつ、下部ガイドプーリー52a、52b間に巻き掛けられたワイヤーソー3をY方向切断装置1側に進行させ、複数の基礎梁21を水平方向(長手方向)に切断する。ワイヤーソー3は、切断の進行に応じて駆動部6内の巻取りプーリー42a、42bのZ方向の位置を調整することにより駆動部6外にあるワイヤーソー3の長さおよびワイヤーソー3の長さに起因するたわみを調整する。また、切断装置1は上記の構成に限らず、例えば駆動部6内にワイヤーソー3の不要な長さ分を引き寄せて回収する機構を設けてもよい。
【0058】
下部ガイドプーリー52a、52b間に巻き掛けられたワイヤーソー3の高さは、一対の第三ガイドプーリー83a、83bおよび第四ガイドプーリー93により、切断下端2eの高さに保持される。ワイヤーソー高さ保持装置8は、ワイヤーソー3の切断位置が近づくと、固定部81による固定状態を解除して撤去し、切断装置1側に移動させて、再度同様に固定部81によって固定し、幅調整部82および一対の高さ調整部84、84により一対の第三ガイドプーリー83a、83bの高さを再度切断下端2eの高さに保持する。
【0059】
切断領域2aの先端2b側で複数の基礎梁21間(切断対象物間)に配置されたワイヤーソー3は、第四ガイドプーリー93により緊張した状態に保持される。
【0060】
上記の方法による切断領域2aの切断下端2eに沿う切断を切断装置1側の他端2hまで行い、切断領域2aの下端にXY平面に沿う切断溝2iが形成される。
【0061】
上記の切断を行った後、ワイヤーソー3の循環駆動を一旦停止する。上記の状態において、ワイヤーソー3の平面視弓状の撓みを上記と同様に巻取りプーリー42a、42bのZ方向の位置の調整により再度解消し、一対の下部ガイドプーリー52a、52b間のワイヤーソー3を他端2h上に配置する。
【0062】
<第二鉛直方向切断工程>
次に、ワイヤーソー3の循環駆動を再開し、他端2hの切断下端2eに位置するワイヤーソー3をZ方向上向きに移動させ、他端2hをZ方向上向きに引き切りする。具体的には、ワイヤーソー3を循環回動させつつ、一対の高さ調整部材73、73をZ方向上向きに縮小させ、一対の下部ガイドプーリー52a、52bおよびワイヤーソー3を上昇させる。本工程により、切断領域2aの他端2h側にXZ平面に沿う切断溝2jが形成される。ワイヤーソー3が切断領域2aの上方に達すると、切断溝2jが切断領域2aの上面2cに開口する。
【0063】
<構成部材切り出し工程>
上記の工程により、切断溝2g、2i、2jによって切り出された複数の基礎梁21をクレーン等の重機により切断領域2aから吊り上げて取り出す。
【0064】
なお、上記の工程において、切断領域2aがY方向に長く、複数の基礎梁21を複数の切断部材に分けて切り出す場合は、上記の第二鉛直方向切断工程又は構成部材切り出し工程を行った後に、他端2hから上記と同様の手順で水平方向切断工程から構成部材切り出し工程までを繰り返すことで連続して切断部材の切り出しを行うことができる。この際、切断装置1は必要に応じてワイヤーソー3が循環回動となるようにY方向に移動させる。以後、前述のように水平方向切断工程から構成部材切り出し工程までを繰り返せばよい。
【0065】
以上の各工程を行うことにより、4本の基礎梁21は同時に切断され切断作業が完了する。
【0066】
次に、上述した本発明の実施形態による構造部材の切断装置および構造部材の切断方法の作用・効果について図面を用いて説明する。
【0067】
切断装置1は、拡縮機構7により一対の下部ガイドプーリー52a、52b(第二ガイドプーリー5)および一対の高さ調整部材73、73を駆動部6内に配置された第一ガイドプーリー4に対して構造部材2の切断領域2aの幅長に応じてX方向に拡縮することにより、切断幅を適宜調整することが可能となり、構造部材2の切断可能幅を広げることができる。例えば、マットスラブ又は基礎梁1本における現状の切断可能幅が約2.0mから2.4mであるのに対して、拡縮機構7により切断可能幅を3.0mから4.0mに設定することができる。
そのため、本実施形態における複数の基礎梁21のように切断対象の構造部材2が複数ある場合においても、一対の下部ガイドプーリー52a、52bおよび一対の高さ調整部材73、73を拡縮機構7により複数の基礎梁21をX方向に跨ぐように配置することで複数の基礎梁21を同時に切断することができる。上記により、構造部材2の切断作業の施工手間の削減および作業の高効率化を実現できる。
【0068】
切断装置1は、一対の第三ガイドプーリー83a、83bによってワイヤーソー3の切断高さを保持することにより、構造部材2の切断時におけるワイヤーソー3の撓みを抑制できる。そのため、構造部材2の下部の砕石層や地盤を切断することによるワイヤーソー3の損傷を防ぐことができる。また、ワイヤーソー3の切断高さの監視の手間を削減できる。
【0069】
切断装置1は、一対の第三ガイドプーリー83a、83bによってワイヤーソー3の切断高さを構造部材2の下端に近い切断下端2eで保持することができるため、切断した構造部材2の撤去後における切断面と砕石層等との間に残ったコンクリートの斫り解体作業等の残部材の後処理を低減することができる。そのため、構造部材2の切断作業の施工手間の削減および作業の高効率化を実現できる。
【0070】
切断装置1は、ワイヤーソー高さ保持装置8において、幅調整部82および一対の高さ調整部84、84により、一対の第三ガイドプーリー83a、83bのX方向およびZ方向の位置を調整できるため、矩形状の構造部材2の切断時において一対の第三ガイドプーリー83a、83bの位置を容易に調整することができる。
【0071】
切断装置1は、一対の補剛部72、72において、支持板721、721と、支持板721、721からZ方向下向きに延出し構造部材2の上面2cに接地する支持キャスター722、722と、を備える。
上記の構成により、切断装置1は、X方向に拡縮される第二ガイドプーリー5および一対のガイド部材71、71の剛性を補剛することができるため、一対の上部ガイドプーリー51a、51b及び一対の下部ガイドプーリー52a、52bの配置位置のずれおよびワイヤーソー3による構造部材2の切断位置のずれを防ぐことができる。
【0072】
切断装置1は、構造部材2の切断位置の切断幅略中央に、ワイヤーソー3を構造部材2の切断位置で緊張させる第四ガイドプーリー93と、駆動部6に設けられ、第四ガイドプーリー93を構造部材2の切断方向に沿って移動させる移動機構9と、を備えた。
上記の構成により、切断装置1は、第四ガイドプーリー93によりワイヤーソー3を切断位置において緊張させることができるため、構造部材2の切断時においてワイヤーソー3の撓みの発生をより確実に防ぐことができ、構造部材2を所望の位置で切断することができる。
【0073】
以上、本発明による構造部材の切断装置および構造部材の切断方法の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0074】
上記の実施形態では、切断装置1を複数の基礎梁21の同時切断に適用しているが、上記の実施形態に限定されず、例えば、マットスラブや1本の基礎梁を切断する場合に適用してもよいし、床版を切断する場合に適用してもよい。なお、上記の場合においては、第三ガイドプーリーの設置を省略してもよい。
【0075】
上記実施形態では、第三ガイドプーリー83a、83bに位置調整機構を備えた事例で説明をしたが、第三ガイドプーリー83a、83bを所定の位置で支持固定できるのであれば位置調整機構(幅調整部82、高さ調整部84)以外の構成であってもよい。
【0076】
上記実施形態では、第一ガイドプーリー4と第二ガイドプーリー5との間に支持板721を設け、支持板721に接続され、構造部材2の表面に接地する支持キャスター722を備えた構成で説明をしたが、切断装置1の強度が確保されるなら支持板721はなくてもよい。また、拡縮機構7により第二ガイドプーリー51a、52bの間の距離を可変させる際は支持キャスター722以外の方法で移動させるようにしてもよい。
【0077】
上記実施形態では、構造部材2の切断位置の切断幅略中央に、ワイヤーソー3を構造部材2の切断位置で緊張させる第四ガイドプーリー93と、駆動部6に設けられ、第四ガイドプーリー93を構造部材2の切断方向に沿って移動させる移動機構9と、を備えた事例で説明したが、構造部材2の幅方向の大きさがそれほど大きくないときは第四ガイドプーリー93を取り付けなくてもよい。また、移動機構9についても必須ではない。その場合、ワイヤーソー高さ保持装置8は移動機構9とは別の手段にて移動させるようにすればよい。
【符号の説明】
【0078】
1 構造部材の切断装置(切断装置)
2 構造部材
3 ワイヤーソー
4 第一ガイドプーリー
5 第二ガイドプーリー
6 駆動部
7 拡縮機構
41 駆動プーリー
42a、42b 巻取りプーリー
82 幅調整部
83a、83b 第三ガイドプーリー
84 高さ調整部
93 第四ガイドプーリー