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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023167913
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】電池モジュール用状態検査装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/42 20060101AFI20231116BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20231116BHJP
   G01R 31/364 20190101ALI20231116BHJP
   G01R 31/389 20190101ALI20231116BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
H01M10/42 P
H01M10/48 P
G01R31/364
G01R31/389
H02J7/00 Q
H02J7/00 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022079457
(22)【出願日】2022-05-13
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】酒井 政信
(72)【発明者】
【氏名】眞塩 徹也
【テーマコード(参考)】
2G216
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
2G216BA51
2G216BA53
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB02
5G503CA01
5G503CA11
5G503CC02
5G503DA13
5G503EA06
5G503EA09
5G503FA06
5H030AA10
5H030AS08
5H030AS18
5H030FF22
5H030FF41
5H030FF42
5H030FF43
5H030FF44
5H030FF51
5H030FF52
(57)【要約】
【課題】電池モジュールの状態を精度良く検査することのできる、電池モジュール用状態検査装置を提供すること。
【解決手段】検査装置1は、ベース材6と、ベース材6に支持された検査機構33とを備える。ベース材6が電池モジュール2に取り付けられると、検査機構33に含まれる検査電極群9が、電池モジュール2の出力端子群4に接触する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列および/または並列に接続された複数のセルを有する電池モジュールの状態を検査する、電池モジュール用状態検査装置であって、
前記電池モジュールに着脱自在に取り付けられ、前記電池モジュールに取り付けられた場合に前記電池モジュールによって支持される、ベース材と、
前記ベース材に支持された検査機構と、
を備え、
前記検査機構は、
前記電池モジュールの状態を検査する検査回路と、
前記検査回路に電気的に接続された検査電極群と、を備え、
前記検査電極群は、前記ベース材が前記電池モジュールに取り付けられると、前記電池モジュールの出力端子群に接触するように配置されている、
検査装置。
【請求項2】
請求項1に記載の検査装置であって、
前記電池モジュールは、複数の突出部が設けられた第1面を有し、
前記出力端子群は、複数の出力端子を有しており、
前記複数の出力端子は、それぞれ、前記複数の突出部に設けられており、
前記ベース材には、前記複数の突出部に対応する位置に開口部が設けられており、
前記ベース材は、前記開口部に前記複数の突出部が挿入されるように、前記電池モジュールに取り付けられる、
検査装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の検査装置であって、
前記検査回路は、前記電池モジュールを電源として駆動するように構成されている、
検査装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の検査装置であって、
前記ベース材は、前記電池モジュールに設けられた第1係合部と係合可能な第2係合部を備え、
前記第1係合部に前記第2係合部が係合することにより、前記ベース材が前記電池モジュールに支持される、
検査装置。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の検査装置であって、
前記ベース材は、前記出力端子群を保護するように覆う保護カバーであり、
前記検査機構は、前記保護カバーの内側に配置された検査回路基板を有し、
前記検査回路は、前記検査回路基板に設けられている、
検査装置。
【請求項6】
請求項5に記載の検査装置であって、
前記検査機構は、更に、前記検査回路基板よりも前記電池モジュール側に配置された電極基板を有しており、
前記検査電極群は、前記電極基板に設けられており、
前記電極基板と前記検査回路基板との間には、弾性部材が設けられており、
前記ベース材を前記電池モジュールに取り付けた場合に、前記弾性部材により、前記検査電極群が前記出力端子群に弾性的に押し当てられる、
検査装置。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の検査装置であって、
前記検査回路は、前記電池モジュールの電圧を測定するように構成されている、
検査装置。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の検査装置であって、
前記検査機構は、更に、前記ベース材に取り付けられ、外部電源に電気的に接続されるように構成された、外部電源接続コネクタを備える、
検査装置。
【請求項9】
請求項8に記載の検査装置であって、
前記検査回路は、前記外部電源を電源としても駆動可能となるように構成されている、検査装置。
【請求項10】
請求項8に記載の検査装置であって、
前記検査機構は、更に、前記外部電源接続コネクタを前記出力端子群に接続する測定電流供給線を備え、
前記検査回路は、前記外部電源から前記測定電流供給線を介して前記電池モジュールに測定電流が印加された場合に、前記測定電流の印加に応じた前記電池モジュールの電圧変動を測定し、測定結果に基づいて前記電池モジュールの内部抵抗を測定するように構成されている、
検査装置。
【請求項11】
請求項1又は2に記載の検査装置であって、
前記検査機構は、更に、
バックアップ電源と、
前記電池モジュールの電圧が予め設定された電圧を下回った場合に、前記検査回路の電源を前記電池モジュールから前記バックアップ電源に切り替える切替回路とを備える、
検査装置。
【請求項12】
請求項11に記載の検査装置であって、
前記検査回路は、前記電池モジュールの電圧が予め設定された電圧を下回った場合に、警報信号を出力するように構成されている、
検査装置。
【請求項13】
請求項11に記載の検査装置であって、
前記検査機構は、更に、前記バックアップ電源の電圧が予め設定された電圧を下回った場合に、前記バックアップ電源から前記検査回路への電力供給を遮断するシャットダウン回路を備える、
検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池モジュール用状態検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
充放電可能な電池モジュールが知られている。そのような電池モジュールは劣化することがある。電池モジュールの劣化状態を知る必要がある場合、検査装置を使用して、電池モジュールの電気的状態が測定される。
【0003】
上記に関連して、特許文献1(特許第5515181号)には、バッテリーテスターに関する発明が記載されている。このバッテリーテスターには、2本の検出用電線が設けられている。各検出用電線は、バッテリーの電極を挟み込むようにして、バッテリーに接続される。
【0004】
また、特許文献2(特許第4885800号)には、一対の測定用プローブを介して測定用信号を出力して測定対象体の電気的パラメータを測定する測定装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5515181号
【特許文献2】特許第4885800号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電池モジュールの電気的状態を測定するには、検査装置を電池モジュールに接続する必要がある。特許文献1及び特許文献2に記載されるような装置を使用する場合、通常、手作業で、検査装置の電極(プローブ)が検査対象となる装置に接続される。手作業により接続されるため、接続状態にばらつきが生じやすく、測定結果に誤差が生じやすい。
【0007】
そこで、本発明の目的は、電池モジュールの状態を精度良く検査することのできる、電池モジュール用状態検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る電池モジュール用状態検査装置は、直列および/または並列に接続された複数のセルを有する電池モジュールの状態を検査する装置である。この検査装置は、電池モジュールに着脱自在に取り付けられ、電池モジュールに取り付けられた場合に電池モジュールによって支持される、ベース材と、ベース材に支持された検査機構とを備える。
検査機構は、電池モジュールの状態を検査する検査回路と、検査回路に電気的に接続された検査電極群と、を備える。検査電極群は、ベース材が電池モジュールに取り付けられると、電池モジュールの出力端子群に接触するように配置されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電池モジュールの状態を精度良く検査することのできる、電池モジュール用状態検査装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、検査装置が取り付けられた状態の電池モジュールを概略的に示す断面図である。
図2図2は、検査装置が取り付けられる前の電池モジュール及び検査装置を示す概略断面図である。
図3図3は、電池モジュールの端子形成面を示す正面図である。
図4図4は、検査装置が取り付けられた状態の電池モジュールの端子形成面を示す正面図である。
図5図5は、電池モジュール側から検査装置を見た時の図である。
図6図6は、検査装置と電池モジュールとの電気的な接続関係を示す図である。
図7図7は、検査回路の機能構成を示すブロック図である。
図8図8は、第2の実施形態に係る検査装置の回路構成を示す概略図である。
図9図9は、第3の実施形態に係る検査装置の回路構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(1)第1の実施形態
本実施形態に係る電池モジュール用検査装置1(以下、単に検査装置1という)は、電池モジュール2の内部状態を検査するための装置である。検査装置1は、電池モジュール2に取り付けられて使用される。
【0012】
図1は、検査装置1が取り付けられた状態の電池モジュール2を概略的に示す断面図である。図2は、検査装置1が取り付けられる前の電池モジュール2及び検査装置1を示す概略断面図である。
【0013】
検査装置1は、ベース材6と、ベース材6に取り付けられた検査機構33とを有している。ベース材6は、電池モジュール2に着脱自在に取り付けられる。ベース材6は、電池モジュール2に取り付けられると、電池モジュール2によって支持される。検査機構33は、検査回路が設けられた検査回路基板7と、検査回路に接続された検査電極9(検査電極群)とを有している。検査電極9は、ベース材6が電池モジュール2に取り付けられると、電池モジュール2の出力端子4に接触するように配置されている。
【0014】
このような構成を採用することによって、ベース材6を電池モジュール2に取り付けると、検査電極9が自ずと出力端子4に接触し、電池モジュール2が検査回路に電気的に接続される。そして、検査回路によって電池モジュール2の状態を検査することができる。検査電極9の位置決めを手作業で行う必要がなく、検査電極9と出力端子4との接続部分の構造を安定化させることができる。従って、測定精度を向上させることができる。
【0015】
以下に、本実施形態について詳細に説明する。
【0016】
まず、検査対象である電池モジュール2の構成について説明する。
【0017】
電池モジュール2は、おおむね直方体状であり、複数の出力端子4(出力端子群)を有している。図3は、電池モジュールの第1面3(端子形成面)を示す正面図である。図4は、検査装置1が取り付けられた状態の第1面3を示す正面図である。図3に示されるように、複数の出力端子4は、正極端子(P)、負極端子(N)、および中間端子(M)を含んでいる。図4に示されるように、これら出力端子4は、検査装置1を取り付けると、検査装置1により覆われる。なお、後述するように、電池モジュール2は、その内部に、直列及び/又は並列に接続された複数のセルを含む。正極端子(P)及び負極端子(N)は、それぞれ、複数のセル全体の正極及び負極に対応する端子である。一方、中間端子(M)は、セルとセルとの間に接続された端子である。
【0018】
図1及び2に示されるように、各出力端子4は、第1面3から突出するように配置されている。具体的には、第1面3には複数の突出部5(突出部群)が設けられており、各突出部5の先端において各出力端子4が露出している。
【0019】
また、図3に示されるように、第1面3には、第1係合部16-1が設けられている。第1係合部16-1は、検査装置1を電池モジュール2に取り付けるために使用される構造である。
【0020】
続いて、検査装置1の構造について説明する。
【0021】
既述のように、検査装置1は、ベース材6と、ベース材6に支持された検査機構33とを備えている(図1図2参照)。
【0022】
ベース材6は、複数の出力端子4を覆うような形状を有しており、複数の出力端子4の保護カバーとしても機能する。
【0023】
図5は、電池モジュール2側からベース材6(検査装置1)を見たときの図である。図5に示されるように、ベース材6には、開口部17及び第2係合部16-2が設けられている。なお、図5には、参考のため、電池モジュール2の複数の突出部5の位置が点線で示されている。
【0024】
開口部17は、複数の突出部5に対応する位置に設けられている。具体的には、開口部17は、複数の突出部5を全体的に取り囲むように設けられている。開口部17の内周の少なくとも一部は、複数の突出部5の外周の少なくとも一部に接するような形状を有している。より詳細には、複数の突出部5は、それぞれ矩形状であり、一直線状に配置されている。そして、両端の突出部5が、それぞれ3面(上面、下面、および外側の面)において、開口部17の内周に接している。このような構成により、検査装置1の取り付け時に、複数の突出部5が開口部17に挿入される(嵌合する)。その結果、検査装置1を取り付ける際の位置決めが容易になる。また、一度取り付けた検査装置1の位置が意図せずにずれることが抑制される。なお、図5に示した例では、開口部17が1個であるが、複数の突出部5に対応して複数の開口部17が設けられていてもよい。
【0025】
第2係合部16-2は、電池モジュール2に設けられた第1係合部16-1と係合可能となっている。この第2係合部16-2を第1係合部16-1に係合させることにより、ベース材6を電池モジュール2に取り付けることができる。取り付けられたベース材6は、電池モジュール2によって支持される。すなわち、取り付け後に、ユーザがベース材6を保持する必要はない。なお、第1係合部16-1及び第2係合部16-2は、係合状態を解除できるようにも構成されている。すなわち、ベース材6は、着脱自在に電池モジュール2に取り付けられる。
【0026】
第1係合部16-1及び第2係合部16-2は、例えばスナップフィット機構等の公知の構造によって実現することができる。例えば、第1係合部16-1及び第2係合部16-2の一方を突起状構造にする。そして、他方を、突起状構造に接触すると弾性的に変形し、変形後に突起状構造に係合して抜けなくなるような構造にすればよい。
【0027】
続いて、図1及び図2を参照しつつ、検査機構33について説明する。検査機構33は、電池モジュール2の状態を検査する機能を有しており、既述のようにベース材6によって支持されている。図2に示されるように、検査機構33は、検査回路基板7、電極基板8、検査電極9、測定電流電極10、検査信号線11、測定電流供給線12、弾性部材13及び外部電源接続コネクタ14を有している。
【0028】
検査回路基板7は、ベース材6の内側に配置されており、ベース材6に対して固定されている。なお、検査回路基板7には、電池モジュール2の状態を検査する検査回路が形成されている。検査回路の詳細については後述する。
【0029】
電極基板8もベース材6の内側に配置されている。電極基板8は、検査回路基板7よりも電池モジュール2側に配置されている。検査回路基板7と電極基板8との間には弾性部材13が配置されている。
【0030】
電極基板8には、電池モジュール2側に、検査電極9及び測定電流電極10が設けられている。
【0031】
検査電極9は、検査信号線11を介して検査回路(検査回路基板7)に接続されている。既述のように、検査電極9は、ベース材6が電池モジュール2に取り付けられると、出力端子4に接触する。なお、検査電極9は、各出力端子4に対応して設けられている。すなわち、実際には、正極端子(P)、負極端子(N)及び中間端子(M)に対応して、3個の検査電極9が設けられている。
【0032】
測定電流電極10は、測定電流供給線12を介して、外部電源接続コネクタ14に接続されている。測定電流電極10も、検査電極9と同様に、ベース材6が電池モジュール2に取り付けられると、出力端子4に接触するように配置されている。測定電流電極10は、正極端子(P)及び負極端子(N)に対応して設けられている。すなわち、正極端子(P)及び負極端子(N)に対応して、2個の測定電流電極10が設けられている。
【0033】
弾性部材13は、検査電極9及び測定電流電極10を適切な接触圧で出力端子4に押し当てるために配置されている。弾性部材13としては、ラバーなどの絶縁性部材が使用される。なお、弾性部材13により、既述の第1係合部16-1と第2係合部16-2との係合状態が維持される方向に応力を発生させることもできる。
【0034】
外部電源接続コネクタ14は、ベース材6の外側に取り付けられている。詳細は後述するが、検査回路は、電池モジュール2を電源として駆動する。しかしながら、外部電源接続コネクタ14を用いることにより、必要に応じて、外部電源を使用することも可能となっている。また、測定するパラメータによっては、電池モジュール2に外部から電流を供給することが求められる場合がある。そのような場合に、外部電源接続コネクタ14を用いて外部電源を利用することができる。
【0035】
外部電源接続コネクタ14としては、接触保護型のコネクタを採用することが望ましい。接触保護型のコネクタとは、接続部分が外部に露出しないタイプのコネクタである。外部電源接続コネクタ14は、既述のように、測定電流供給線12を介して電池モジュール2の出力端子4に接続される。従って、外部電源接続コネクタ14の接続部分が露出していると、金属物などに接触して外部短絡を起す可能性がある。そこで、接触保護型のコネクタを採用し、外部短絡を防止することが好ましい。
【0036】
以上が、検査装置1の構造についての説明である。
【0037】
本実施形態においては、電池モジュール2の内部状態を検査する場合、ユーザは、検査装置1を電池モジュール2に取り付ける。すると、検査電極9が自ずと出力端子4に接触し、検査回路が電池モジュール2に電気的に接続される。これにより、検査回路によって電池モジュール2の状態を検査することが可能となる。取り付け時には、検査電極9が自ずと位置決めされて出力端子4に接触することとなり、手作業で検査電極9の接続位置を決める必要がない。従って、検査電極9と出力端子4との接続状態を安定させることができ、精度よく電池モジュール2の状態を検査することができる。
【0038】
続いて、検査装置1による測定動作について詳細に説明する。本実施形態において、検査装置1は、電池モジュール2の状態として、「電圧」及び「内部抵抗(インピーダンス)」を測定するように構成されている。
【0039】
図6は、検査装置1と電池モジュール2との電気的な接続関係を示す図である。検査装置1が電池モジュール2に取り付けられると、検査回路19は、複数の検査信号線11を介して、複数の出力端子4(正極端子(P)、負極端子(N)、及び中間端子(M))に接続される。これにより、検査回路19は、各出力端子4の電圧を示す検査信号を取得するように構成されている。なお、本実施形態では、電池モジュール2の内部に2個のセル18が設けられており、これらが直列に接続されている。中間端子(M)は、セル18間に接続された端子である。
【0040】
検査装置1の内部において、検査回路19は、一対の測定電流供給線12のうちの少なくとも一方にも接続されている。検査回路19は、測定電流供給線12から、測定電流供給線12を流れる測定電流を示す測定電流信号を取得するようにも構成されている。
【0041】
更に、検査回路19は、制御コンピュータ21と通信可能となるように構成されている。検査回路19と制御コンピュータ21との間の通信は、有線で行われてもよいし、無線で行われてもよい。
【0042】
また、外部電源接続コネクタ14は、測定電流供給線12を介して、出力端子4(正極端子(P)及び負極端子(N))に接続される。外部電源接続コネクタ14は、外部電源装置20に接続可能となっている。外部電源装置20は、制御コンピュータ21によって制御される。
【0043】
図7は、検査回路19の機能構成を示すブロック図である。図7に示されるように、検査回路19は、測定部29、記憶部32及び出力部15を有している。これらの機能は、例えば、マイクロコンピュータにより実現できる。
【0044】
記憶部32には、予め、電圧-劣化度データおよび抵抗-劣化度データが格納されている。電圧-劣化度データは、電池モジュール2の電圧と劣化度(SOH)との関係を示すデータである。抵抗-劣化度データは、電池モジュール2の内部抵抗と劣化度との関係を示すデータである。
【0045】
測定部29は、電池モジュール2の状態を測定する機能を実現する。測定部29は、電圧測定部30及び抵抗測定部31を有している。電圧測定部30は、検査信号に基づいて、電池モジュール2の電圧を測定するように構成されている。一方、抵抗測定部31は、検査信号及び測定電流信号に基づいて、電池モジュール2の内部抵抗を測定するように構成されている。
【0046】
電池モジュール2の「電圧」を測定する場合には、電圧測定部30が、複数の検査信号線11を介して、検査信号を取得する。電圧測定部30は、取得した検査信号に基づき、電池モジュール2の電圧を測定する。測定される電圧は、電池モジュール2の全体的な電圧であってもよく、セル18毎の電圧であってもよい。なお、セル18毎の電圧は、正極端子(P)及び負極端子(N)に加えて、中間端子(M)の電圧が判れば、求めることができる。電圧測定部30は、測定結果に基づき、電圧-劣化度データを参照し、電池モジュール2の劣化度を求める。求められた劣化度は、出力部15を介して、制御コンピュータ21に出力される。あるいは、検査回路19に設けられた内部メモリに結果が記録されてもよい。
【0047】
一方、電池モジュール2の「内部抵抗」を測定する場合には、外部電源接続コネクタ14を外部電源装置20に接続する(図6参照)。そして、制御コンピュータ21を介して外部電源装置20に指令を送る。指令を受けた外部電源装置20は、外部電源接続コネクタ14及び測定電流供給線12を介して、交流電流を測定電流として電池モジュール2に供給する。測定電流の供給に応じて、電池モジュール2の出力電圧が変動する。ここで、検査回路19は、測定電流が供給された場合に、測定電流供給線12から、測定電流を示す測定電流信号を取得する。また、検査回路19は、複数の検査信号線11を介して、各出力端子4の電圧を示す検査信号を取得する。検査回路では、抵抗測定部31が、これらの信号に基づき、電池モジュール2の内部抵抗を測定する(図7参照)。具体的には、測定電流の波形(振幅(アンペア)及び位相)と、各出力端子(正極端子(P)、負極端子(N)、および中間端子(M))の電圧変動から、電池モジュール2の内部抵抗を測定する。なお、測定される内部抵抗は、電池モジュール2全体の内部抵抗であってもよいし、セル18毎の内部抵抗であってもよい。セル18毎の内部抵抗については、正極端子(P)及び負極端子(N)に加えて中間端子(M)の電圧が判れば、求めることができる。その後、抵抗測定部31は、抵抗-劣化度データを参照し、測定した内部抵抗から劣化度を求める。求められた劣化度は、出力部15を介して制御コンピュータ21に出力される。あるいは、検査回路19に設けられた内部メモリに結果が記録されてもよい。
【0048】
以上説明した構成により、電池モジュール2の状態として、電圧及び内部抵抗を検査することができる。
【0049】
なお、検査回路19は、電池モジュール2を電源として駆動するように構成されている。詳細には、検査装置1が電池モジュール2に取り付けられると、電池モジュール2から検査回路19に電力が供給される。電池モジュール2から電力が供給されると、検査回路19は、パワーオンリセット機能により予め設定された検査プログラムを実行し、所定の機能を実現する。この際、検査回路19に内部タイマーなどが設けられていれば、電池モジュール2の電力を利用して、検査回路19を定期的に起動させることもできる。これにより、検査装置1を電池モジュール2に装着したまま、一定期間の間、自律的に電池モジュール2の検査を行うことが可能となる。得られた結果は、例えば履歴データとして、内部メモリや外部記憶装置に記録させることができる。
【0050】
電池モジュール2から検査回路19への電力供給は、例えば、検査信号線11を介して行うことができる。すなわち、検査信号線11が、検査回路19の検査信号入力端子だけでなく、電源入力端子にも接続するように構成されていればよい。これにより、検査信号線11を介して電池モジュール2の電力を検査回路19に供給することができる。一方で、検査信号線11とは別に検査装置1に電源用配線を設けておき、この電源用配線を介して電池モジュール2の出力端子4から検査回路19に電力が供給されてもよい。
【0051】
一方で、本実施形態では、外部電源接続コネクタ14が設けられている。そのため、必要に応じて、外部電源装置20を電源として検査回路19を駆動させることも可能である。
【0052】
なお、本実施形態では、外部電源装置20を使用して、内部抵抗を測定するための測定電流が電池モジュール2に供給される場合について説明した。しかしながら、外部電源装置20ではなく、電池モジュール2自体の電力を利用して測定電流を生成することも、一応は可能である。ただし、電池モジュール2が大容量電池モジュールである場合等には、その内部抵抗が低い場合がある。内部抵抗が低い場合、内部抵抗を測定するためには、多くの測定電流(例えば1~10A)を供給する必要がある。電池モジュール2を用いて多くの測定電流を生成すると、検査中に電池モジュール2の充電量が下がってしまい、適切な検査が実行できない場合がある。これに対して、本実施形態によれば、外部電源接続コネクタ14が設けられているから、外部電源装置20を利用して測定電流を供給することができる。よって、電池モジュール2の充電量を低下させることなく、内部抵抗を測定することができる。
【0053】
また、外部電源装置20を利用して測定電流を供給することにより、内部抵抗だけでなく、セル電圧OCV(直流電圧)、セル直流抵抗DCR(過渡電流印加により)、電解質抵抗Re(高周波抵抗HFR、約1kHz以上の高周波交流電流印加により)、反応抵抗Rct(1khz~1Hz、低周波交流電流印加により)、およびセル温度(検査装置の検査端子実装サーミスタによりセル端子からの熱伝導により)等を測定することもできる。従って、検査回路19は、これらパラメータを測定するように構成されていてもよい。
【0054】
本実施形態に係る電池モジュール2の用途は特に限定されないが、例えば、電気自動車用のリチウムイオン電池等を挙げることができる。電気自動車用の電池は大容量であるため、本実施形態に係る検査装置1を長時間稼働させるのに十分な容量を有する。
【0055】
また、電気自動車用の電池モジュール等は、2次利用されることがある。すなわち、電池モジュール2は、最初の用途での役割を終えた後、回収され、他の用途に使用される場合がある。このような場合、電池モジュール2は、回収後、次の用途に使用されるまでの間、保管される。そこで、保管中に検査装置1を取り付けておき、電池モジュール2の内部状態を、電池モジュール2の電力を利用して検査することができる。例えば、保管中に検査装置1を電池モジュール2に取り付けたままにしておくことにより、電池モジュール2の内部状態を定期的に検査することができる。検査回路19は、電池モジュール2の劣化状態が予め設定された劣化状態に至った場合に、警報信号を出力するように構成されていてもよい。これにより、保管中に電池モジュール2が劣化した場合に、その旨をユーザに知らせることができる。2次利用する電池モジュール2を取捨選別しやすくなり、2次利用向け電池モジュール2の生産性を高めることができる。
【0056】
また、本実施形態に係る検査装置1は、二次利用先においてバッテリー監視装置(BMS)として使用することもできる。すなわち、電池モジュール2の二次利用前に検査装置1を取り付け、電池モジュール2の選別を行う。選別後、検査装置1を取り付けたまま、電池モジュール2を二次利用先に出荷する。検査装置1の出力に関する仕様を、二次利用先の仕様に適合させておけば、二次利用先において検査装置1をバッテリー監視装置として使用することができる。この場合、1個の電池モジュール2に対して1個の検査装置1が必要となる。検査装置1が大量生産されることになるため、量産化により、検査装置1を低価格化することができる。外部電源接続コネクタ14は、2次利用先において、短絡防止機能を有する電池モジュール2の入出力端子として使用することができる。
【0057】
本実施形態において、電圧測定部30及び抵抗測定部31等を実現するための検査回路19は、小さいサイズ(10cm程度)の回路で実現できる。また、内部抵抗の測定時に電池モジュール2に供給する測定電流は、数A程度の交流電流でよい。そのため、測定電流供給線12は、細い配線(例えば、2.0sq(φ1.8mm)程度)により実現することができる。従って、検査装置1は、小型の装置により実現することができる。小型であるため、安価に検査装置1を作成することができる。
【0058】
なお、本実施形態では、電池モジュール2において、2つのセル18が直列に接続されている場合について説明した(図6参照)。ただし、セル18の数は3個以上であってもよい。この場合、セル18とセル18との間の数に応じて、中間端子(M)の数も増えることになる。よって、中間端子(M)の数に応じて、検査電極9及び検査信号線11の数を増やせばよい。
【0059】
以上、第1の実施形態について説明した。なお、第1の実施形態における構成と効果の関係について、代表的なものを要約すれば、以下の通りである。
【0060】
本実施形態によれば、検査装置1が、電池モジュール2に着脱自在に取り付けられるベース材6と、ベース材に支持された検査機構33を有している。ベース材6は、電池モジュール2に取り付けられると、電池モジュール2によって支持される。検査機構33は、電池モジュール2の状態を検査する検査回路と、検査回路に電気的に接続された検査電極群とを備えている。検査電極群は、ベース材6が電池モジュール2に取り付けられると、電池モジュール2の出力端子群に接触するように配置されている。このような構成によれば、検査電極9が自ずと出力端子4に接触するので、ユーザは、検査電極9の位置決めを手動で行う必要がない。従って、検査装置1と電池モジュール2との間の接続状態を安定させやすく、測定ばらつきを低減できる。
【0061】
本実施形態においては、ベース材6に開口部17が設けられており、開口部17は複数の突出部5に対応する位置に設けられている。ベース材6は、開口部17に複数の突出部5が挿入されるように、電池モジュール2に取り付けられる。このような構成によれば、開口部17に複数の突出部5が嵌り込むため、検査装置1の位置決めが容易である。また、取り付けられた検査装置1の位置がずれにくく、測定ばらつきがより低減される。
【0062】
本実施形態においては、ベース材6が、第1面3に形成された第1係合部16-1と係合可能な第2係合部16-2を備えている。第1係合部16-1に第2係合部16-2が係合することにより、ベース材6が電池モジュール2に取り付けられる。このような構成により、検査装置1を電池モジュール2によって支持することが可能である。すなわち、ユーザは、検査時に検査装置1を保持する必要はない。また、検査装置1を電池モジュール2に取り付けたままにしておくことも可能である。
【0063】
本実施形態においては、ベース材6が、複数の出力端子4(出力端子群)を保護するように覆う保護カバーとして機能する。この保護カバーの内側に、検査回路が設けられた検査回路基板7が配置される。このような構成を採用することにより、電池モジュール2の出力端子4を保護する機能と、電池モジュール2の内部状態を検査するための機能とを、一つの装置で実現することができる。省スペース化の点で有利である。
【0064】
本実施形態においては、検査機構33が、検査回路基板7よりも電池モジュール2側に配置された電極基板8を有している。複数の検査電極9(検査電極群)は、電極基板8に設けられている。電極基板8と検査回路基板7との間には、弾性部材13が設けられている。ベース材6を電池モジュール2に取り付けた場合に、弾性部材13により、検査電極群が出力端子群に弾性的に押し当てられる。このような構成を採用することにより、検査電極9を適切な力で出力端子に接触させることができ、測定ばらつきをより低減することができる。加えて、弾性部材13を設けることにより、既述の第1係合部16-1と第2係合部16-2との係合状態(ロック状態)が維持されるような方向に応力を発生させることもできる。これにより、検査装置1が意図せず外れることをより確実に防止できる。
【0065】
本実施形態においては、検査回路19が、電池モジュール2を電源として駆動するように構成されている。これにより、検査装置1を電池モジュール2に装着したまま、一定期間の間、自律的に電池モジュール2の検査を行うことが可能となる。
【0066】
本実施形態においては、検査機構33が、外部電源接続コネクタ14を出力端子群に接続する測定電流供給線12を備えている。検査回路19は、外部電源から測定電流供給線12を介して電池モジュール2に測定電流が印加された場合に、測定電流の印加に応じた電池モジュール2の電圧変動を測定し、測定結果に基づいて電池モジュール2の内部抵抗を測定するように構成されている。このような構成により、内部抵抗を測定することができる。また、測定に使用するための測定電流を、外部電源から供給することができる。測定電流の生成にあたり、電池モジュール2の電力を使用する必要がない。よって、電池モジュール2の充電量を下げることなく、電池モジュール2の内部抵抗を測定することが可能となる。
【0067】
(2)第2の実施形態
続いて、第2の実施形態について説明する。本実施形態においては、第1の実施形態に対して、検査装置1の電源に関する回路構成が工夫されている。なお、以下の説明において、第1の実施形態と同様の構成を採用することができる点については、説明を省略する。
【0068】
図8は、本実施形態に係る検査装置1(検査機構33)の回路構成を示す概略図であり、具体的には、検査回路19の電源に接続される回路を示す図である。図8に示されるように、検査機構33は、バックアップ電源22及び切替回路23を有している。
【0069】
バックアップ電源22は、負極側で接地されており、正極側で切替回路23に接続されている。
【0070】
切替回路23は、電池モジュール2の電圧が予め設定された電圧を下回った場合に、検査回路19の電源を電池モジュール2からバックアップ電源22に切り替えるように構成されている。具体的には、切替回路23は、ダイオードD1とダイオードD2とを有している。ダイオードD1は、正極端子(P)とノードAとの間に設けられており、正極(P)からノードAの方向にのみ電流を流すように構成されている。ダイオードD2は、バックアップ電源22の正極とノードAとの間に設けられており、バックアップ電源22からノードAの方向にのみ電流を流すように配置されている。なお、ノードAは、検査回路19の電源入力端子に接続されている。
【0071】
切替回路23において、正極端子(P)側の電圧がバックアップ電源22側の電圧よりも高い場合には、電池モジュール2の正極(P)から切替回路23を介して検査回路19に電流が流れる。すなわち、電池モジュール2の電圧が十分に高い場合には、電池モジュール2が検査回路19の駆動電源として機能する。一方、正極端子(P)側の電圧がバックアップ電源22側の電圧よりも低くなると、バックアップ電源22側から検査回路19に電流が流れる。すなわち、検査回路19の電源が、電池モジュール2からバックアップ電源22に切り替わる。これにより、電池モジュール2の過放電を防止することができる。なお、検査回路19の駆動電源が切り替わる際の基準となる電池モジュール2の電圧の大きさは、ダイオードD1、ダイオードD2及びバックアップ電源22の仕様により、決めることができる。
【0072】
以上説明したように、本実施形態によれば、検査機構33が、バックアップ電源22と切替回路23とを備えている。切替回路23は、電池モジュール2の電圧が予め設定された電圧を下回った場合に、検査回路19の電源を電池モジュール2からバックアップ電源22に切り替える。これにより、電池モジュール2の過放電を防止することができる。電池モジュール2の2次利用前の保管時に本実施形態に係る検査装置1を使用すれば、電池モジュール2の充電量が使用下限値に近づいても検査を続行できる。その結果、2次利用向け電池モジュール2の生産性を向上させることができる。
【0073】
なお、切替回路23は、必ずしも上述のような構成を有している必要はない。例えば、安価で小型な市販の半導体スイッチ素子などを利用して、切替回路23を実現することもできる。
【0074】
また、バックアップ電源22は、例えば、乾電池、電気二重層コンデンサ、及び全固体二次電池等により実現できる。バックアップ電源22は、検査回路基板7に搭載されていてもよいし、検査回路基板7とは別にベース材6に取り付けられていてもよい。また、バックアップ電源22としては、一次電池だけではなく、二次電池やスーパーキャパシタも利用できる。検査装置1は、充電量に余裕がある電池モジュール2に取り付けられた場合に、電池モジュール2からバックアップ電源22が充電され得るように構成されていてもよい。また、検査装置1は、外部電源装置20からバックアップ電源22が充電され得るように構成されていてもよい。
【0075】
なお、第3の実施形態にて説明するように、検査機構33は、更に、バックアップ電源22の電圧が予め設定された電圧を下回った場合に、バックアップ電源22から検査回路19への電力供給を遮断するシャットダウン回路を備えていてもよい。このような構成を採用することにより、バックアップ電源22の電圧が下がった場合に、電池モジュール2から再び検査回路19側に電流が流れることを防止できる。なお、シャットダウン回路は、例えば、検査回路19に低電圧シャットダウン機能を有する電源電圧制御IC等を設けることにより、実現できる。
【0076】
(3)第3の実施形態
続いて、第3の実施形態について説明する。本実施形態は、第2の実施形態の変形例であり、検査装置1の電源に関する回路構成が工夫されている。なお、以下の説明において、第2の実施形態と同様の構成を採用することができる点については、説明を省略する。
【0077】
図9は、本実施形態に係る検査装置1(検査機構33)の回路構成を示す概略図である。図9に示されるように、検査機構33は、バックアップ電源22及び切替回路23に加えて、シャットダウン回路25を有している。また、検査回路19は、警報装置24と通信可能に接続されており、警報装置24を介して警報信号を出力できるようになっている。
【0078】
シャットダウン回路25は、スイッチ34及びコンパレータ35を有している。スイッチ34は、ノードAと検査回路19の電源入力端子との間に設けられている。また、スイッチ34は、コンパレータ35の出力端子に接続されており、コンパレータ35の出力信号に応じて制御されるようになっている。コンパレータ35は、バックアップ電源22の出力電圧Vbと、予め設定された使用下限電圧Vuと比較し、比較結果を出力信号として出力するように構成されている。
【0079】
検査回路19は、動作電源がバックアップ電源22に切り替わったことを検知し、検知結果に応じて警報信号を出力するように構成される。バックアップ電源22への切り替りは、例えば、ダイオードD2の両端の電圧差を測定することにより、検知できる。または、バックアップ電源22からの電流を図示しない電流センサで検知することにより、動作電源の切り替わりを検知することもできる。
【0080】
本実施形態においては、第2の実施形態と同様に、電池モジュール2の電圧が予め設定された電圧を下回ると、検査回路19の駆動電源がバックアップ電源22に切り替わる。この際、検査回路19は駆動電源の切り替わりを検知し、警報装置24を介して警報信号を出力する。これにより、ユーザを電池モジュール2に誘導することができる。
【0081】
加えて、バックアップ電源22の出力電圧までもが使用下限電圧Vuに達すると、コンパレータ35によってスイッチ34がオフ状態となり、検査回路19に対する電力供給が遮断される。すなわち、検査回路19がシャットダウン(機能停止)する。これにより、電池モジュール2から再び検査回路19に電流が流れることが防止できる。
【0082】
なお、以降は、電池モジュール2が自然放電により放電することになる。この点に関連して、検査回路19に、ポーリング信号(呼びかけの送信信号)に応じて応答信号を出力するような機能を設けておくとよい。この場合、例えば監視PCより、定期的に検査回路19にポーリング信号が送られる。そして、監視PCは、所定期間内における応答信号の有無を確認することにより、検査装置1がシャットダウンしているか否かを判定することができる。
【0083】
なお、警報装置24は、検査装置1に搭載されていてもよいし、検査装置1とは別に設けられていてもよい。警報装置24と検査回路19は、有線(USB/LAN等)により通信可能に接続されていてもよいし、無線により通信可能に接続されていてもよい。無線通信としては、例えば、Wi-Fi通信、赤外線等の光通信、超音波及び可聴周波数の音波通信を挙げることができる。また、警報装置24としては、例えば、LEDや圧電ブザー等を挙げることができ、警報発光及び警報音等を警報信号として出力するものを使用することができる。
【0084】
以上説明したように、本実施形態によれば、第2の実施形態と同様に、電池モジュール2の電圧が予め設定された電圧を下回った場合に、検査回路19の電源がバックアップ電源22に切り替わる。
【0085】
加えて、本実施形態によれば、検査回路19が、電池モジュール2の電圧が予め設定された電圧を下回った場合に、警報信号を出力するように構成されている。これにより、ユーザに電池モジュール2の電圧が低くなったことを報知することができる。
【0086】
更に、本実施形態によれば、検査機構33が、バックアップ電源22の電圧が予め設定された電圧を下回った場合に、バックアップ電源22から検査回路19への電力供給を遮断する、シャットダウン回路25を有している。これにより、バックアップ電源22の電圧が下がった場合に、再び電池モジュール2が放電してしまうことを防ぐことができる。
【0087】
また、本実施形態では、仮に電池モジュール2の充電量が十分であったとしても、バックアップ電源22の出力電圧が使用下限電圧Vuを下回っている場合には、検査回路19が駆動しない。従って、本実施形態によれば、バックアップ電源22の不良や、付け忘れについても検査することができる。
【0088】
なお、シャットダウン回路25は、第2の実施形態においても説明したように、検査回路19に低電圧シャットダウン機能を有する市販の電源電圧制御ICを搭載することにより、実現することもできる。
【符号の説明】
【0089】
1 検査装置、2 電池モジュール、3 第1面、4 出力端子、5 突出部、6 ベース材、7 検査回路基板、8 電極基板、9 検査電極、10 測定電流電極、11 検査信号線、12 測定電流供給線、13 弾性部材、14 外部電源接続コネクタ、15 出力部、16-1 第1係合部、16-2 第2係合部、17 開口部、18 セル、19 検査回路、20 外部電源装置、21 制御コンピュータ、22 バックアップ電源、23 切替回路、24 警報装置、25 シャットダウン回路、26 コンパレータ、27 スイッチ、29 測定部、30 電圧測定部、31 抵抗測定部、32 記憶部、33 検査機構、34 スイッチ、35 コンパレータ、D1、D2 ダイオード
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9