(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023167931
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】沈砂・沈殿分離装置および沈砂・沈殿分離方法
(51)【国際特許分類】
B01D 21/26 20060101AFI20231116BHJP
B01D 21/02 20060101ALI20231116BHJP
B01D 21/24 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
B01D21/26
B01D21/02 G
B01D21/24 G
B01D21/24 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022079487
(22)【出願日】2022-05-13
(71)【出願人】
【識別番号】000176752
【氏名又は名称】三菱化工機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100183357
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 義美
(72)【発明者】
【氏名】原 新一
(72)【発明者】
【氏名】正木 恵之
(57)【要約】
【課題】沈砂・沈殿分離装置および沈砂・沈殿分離方法を提供する。
【解決手段】ホッパ部11aを有する円筒槽11と、円筒槽11内の鉛直軸方向に挿入・配置され、外部の駆動装置12により回転駆動される内筒13と、内筒13の周囲に配置され、間に螺旋状流路14aが形成された円錐状螺旋板14bを有し、汚水31a中の汚泥31bを分離するスパイラルセパレータ14と、内筒13の内部に有機物や土砂を含む汚水31aを導入する汚水導入部15と、ホッパ部11aの下部に設けられ、導入された汚水31aが落水する際に自重で沈降した沈砂21を回収する沈砂回収部16と、ホッパ部11aの内周に形成され、円錐状螺旋板14bの外周縁部14cから落下する有機物を含む汚泥31bを回収する汚泥回収通路20と、汚泥回収通路20の下端部側から汚泥31bを外部へ排出する汚泥排出管路20aと、を設けた。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下方へ向けて先細りとなるホッパ部を有する円筒槽と、
前記円筒槽内の鉛直軸方向に挿入・配置され、外部の駆動装置により回転駆動される内筒と、
前記内筒の周囲に配置され、螺旋状流路が間に形成された円錐状螺旋板を複数有し、前記汚水中の汚泥分を分離するスパイラルセパレータと、
前記円筒槽の内部に有機物や土砂を含む汚水を導入する汚水導入部と、
前記ホッパ部の下部に設けられ、導入された汚水が落水する際に自重で沈降した沈砂を回収する沈砂回収部と、
前記ホッパ部に沿って形成され、前記円錐状螺旋板の外周縁部から落下する有機物を含む汚泥を回収する汚泥回収通路と、
を設けたこと特徴とする沈砂・沈殿分離装置。
【請求項2】
前記汚泥回収通路は、その開口部が前記円錐状螺旋板の外周縁部から鉛直軸方向に垂下した位置に、又は前記内筒の回転中心軸方向側に位置してなることを特徴とする請求項1に記載の沈砂・沈殿分離装置。
【請求項3】
前記円筒槽の上方内側に設けられ、液面付近に浮上した有機物を一部含む汚泥を分離した分離水を越流させる越流部と、
前記越流部で越流した分離水を外部へ排出水として排出する越流水排出管路と、
前記汚泥回収通路の下端部側から汚泥を外部へ排出する汚泥排出管路と、
を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の沈砂・沈殿分離装置。
【請求項4】
前記円筒槽内に、噴出ノズルから微細気泡を噴出させてなる微細気泡発生装置を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の沈砂・沈殿分離装置。
【請求項5】
請求項1又は2の沈砂・沈殿装置を用い、
導入された汚水が下降流として落下する際に、前記沈砂回収部に沈砂として回収すると共に、
前記沈砂が回収され、反転した上昇流が前記スパイラルセパレータの回転により、有機物を含む汚泥と分離水とを分離し、前記有機物を含む前記汚泥を沈殿させて前記汚泥回収通路で回収することを特徴とする沈砂・沈殿分離方法。
【請求項6】
前記円筒槽内に、噴出ノズルから微細気泡を噴出させ、前記沈砂に含まれる有機物を洗い流すことを特徴とする請求項5に記載の沈砂・沈殿分離方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、沈砂・沈殿分離装置および沈砂・沈殿分離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
これまでの下水処理においては、沈砂池設備(沈砂集砂、揚砂、砂洗浄)、一次処理の沈殿池設備、汚泥濃縮設備における重力濃縮設備は、重力沈降による分離設備が必要であった(特許文献1)。
【0003】
このため、従来の設備は、敷地面積が大きく、大型のコンクリート躯体による水槽が必要であるため、土建費、設備費が高額となり、メンテナンスにも手間とコストが必要であった。
【0004】
また、昨今の気候変動による多発化されることが想定される洪水や、30年以内に発生が想定される巨大地震により、下水処理場機能が喪失した際に、必要となる仮設の簡易処理設備への適用する技術の構築も望まれている。
【0005】
これまでの下水処理における沈砂池設備は、バケットによる沈砂掻揚や高圧ポンプによる集砂揚砂設備であり、機械、配管設備が複雑で高コストであることから、簡易な構成の設備の開発が要望されている。
【0006】
また、大量の下水を処理するので、大型の土木躯体が必要であることから、土木工事が高コストとなるため、設備の再構築の際に、低コストである下水処理技術が求められている。
さらには、労働人口減少による維持管理人員不足のため、運転手間、メンテナンスにおける省力化が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は従来技術の有するこのような問題点を解決するためになされたものであり、その課題とするところは、沈砂と汚泥とを一つの装置内で効率よく分離することができる沈砂・沈殿分離装置および沈砂・沈殿分離方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するために、第1の本発明は、
下方へ向けて先細りとなるホッパ部を有する円筒槽と、
前記円筒槽内の鉛直軸方向に挿入・配置され、外部の駆動装置により回転駆動される内筒と、
前記内筒の周囲に配置され、螺旋状流路が間に形成された円錐状螺旋板を複数有し、前記汚水中の汚泥分を分離するスパイラルセパレータと、
前記円筒槽の内部に有機物や土砂を含む汚水を導入する汚水導入部と、
前記ホッパ部の下部に設けられ、導入された汚水が落水する際に自重で沈降した沈砂を回収する沈砂回収部と、
前記ホッパ部に沿って形成され、前記円錐状螺旋板の外周縁部から落下する有機物を含む汚泥を回収する汚泥回収通路と、
を設けたこと特徴とする沈砂・沈殿分離装置としたことである。
【0010】
第2の本発明は、第1の本発明において、前記汚泥回収通路は、その開口部が前記円錐状螺旋板の外周縁部から鉛直軸方向に垂下した位置に、又は前記内筒の回転中心軸方向側に位置してなることを特徴とする沈砂・沈殿装置としたことである。
【0011】
第3の本発明は、第1又は第2の本発明において、前記円筒槽の上方内側に設けられ、液面付近に浮上した有機物を一部含む汚泥を分離した分離水を越流させる越流部と、
前記越流部で越流した分離水を外部へ排出水として排出する越流水排出管路と、
前記汚泥回収通路の下端部側から汚泥を外部へ排出する汚泥排出管路と、を備えることを特徴とする沈砂・沈殿装置としたことである。
【0012】
第4の本発明は、第1又は第2の本発明において、
前記円筒槽内に、噴出ノズルから微細気泡を噴出させてなる微細気泡発生装置を備えることを特徴とする沈砂・沈殿装置としたことである。
【0013】
第5の本発明は、前述の沈砂・沈殿装置を用い、
導入された汚水が下降流として落下する際に、前記沈砂回収部に沈砂として回収すると共に、
前記沈砂が回収され、反転した上昇流が前記スパイラルセパレータの回転により、有機物を含む汚泥と分離水とを分離し、前記有機物を含む前記汚泥を沈殿させて前記汚泥回収通路で回収することを特徴とする沈砂・沈殿分離方法としたことである。
第6の本発明は、第5の本発明において、
前記円筒槽内に、噴出ノズルから微細気泡を噴出させ、前記沈砂に含まれる有機物を洗い流すことを特徴とする請求項5に記載の沈砂・沈殿分離方法としたことである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、下水処理をする際、一つの装置において、沈砂処理も汚泥処理も両方分離できるので、設備の省スペース化を図ることができる。また、災害時において、沈砂と沈殿の仮設処理としても機能することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の沈砂・沈殿装置の第一実施形態を示す一部切り欠き斜視図である。
【
図2】本発明の沈砂・沈殿装置の第一実施形態を示す概略図である。
【
図3】本発明の沈砂・沈殿装置の装置内部の模式図である。
【
図4】本発明の沈砂・沈殿装置の第二実施形態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態について説明する。
なお、本実施形態は本発明の一実施形態に過ぎず、何等限定解釈されるものではなく、本発明の範囲内で適宜設計変更可能である。
「第一実施形態」
【0017】
図1は、第一実施形態の沈砂・沈殿装置の一部切り欠き斜視図である。
図2は、沈砂・沈殿装置の概略図である。
図3は、装置内部の模式図である。
図1及び
図2に示すように、本実施形態の沈砂・沈殿装置100Aは、竪型で下部に下方へ向けて徐々に先細りとなるホッパ部11aを形成した円筒槽11と、円筒槽11内に配置され、外部の駆動装置12により回転駆動される内筒13と、内筒13の周囲に配置され、螺旋状流路14aが間に形成された円錐状螺旋板14bを複数有し、汚水31aから有機物を含む汚泥31bを分離して分離水31cとするスパイラルセパレータ14と、内筒13の内部に有機物や土砂を含む汚水31aを導入する汚水導入部15と、ホッパ部11aの下部に設けられ、導入された汚水31aが降下する際に自重で沈降した沈砂21を回収する沈砂回収部16と、沈砂回収部16に回収された沈砂21を外部へ移送する沈砂移送装置17と、ホッパ部11aの内周面に沿って形成され、円錐状螺旋板14bの外周縁部14cから落下する有機物を含む汚泥を回収する汚泥回収通路20と、ホッパ部11aの下端側の汚泥回収通路20から汚泥31bを外部へ排出する汚泥排出管路20aと、を設けたものである。
【0018】
円筒槽11は、汚水31aを導入する竪型の円筒状水槽であり、その下部側にホッパ部11aを一体に形成したものであり、図示しない設置架台(基礎など)に設置されている。その材質としては、鋼板製でもコンクリート製でもよく、設置場所、大きさにより適宜選定され、限定されるものではない。
【0019】
内筒13は、外部に設けた駆動装置12により回転駆動されており、低速回転としている。内筒13の回転速度は、例えば0.5~5回転/分、より好ましくは1~3回転/分としている。
【0020】
汚水31aの導入は、本実施形態では内筒13の下部から上方側に挿入された導入部15により導入するようにしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、内筒13の上部から汚水31aを導入するようにしてもよい。本実施形態では、汚水導入部15の導入先端口15aは、スパイラルセパレータ14の円錐状螺旋板14bの最上位の取付位置よりも上部となるように設置しているが、限定されるものではない。
【0021】
ここで、汚水31aとは、例えば下水に流れ込む生活排水や雨水から沈砂池で回収した沈砂や管路施設に堆積した浚渫汚泥、沈殿池汚泥やし尿・浄化槽汚泥から液体サイクロンなどで分離された分離砂、建設現場や河川・湾岸・湖沼などの浚渫土砂などを含む廃水である。
【0022】
汚水導入部15の導入先端口15aから噴出された汚水31aは、その導入した量だけ、処理水31eとして外部に排出されている。その結果、導入された汚水31aは内筒13内に導入された後、底部側に引き込まれるので、内筒13の内部に沿って下降する下降流F1となる。その下降の際、夾雑物の砂など比重の重いものは底部側の沈砂回収部16にそのまま自重で沈砂21として沈降する。
【0023】
ここでスパイラルセパレータ14は、螺旋状流路14aを間に形成した円錐状螺旋板14bを備えており、流入量に合わせて円錐状螺旋板14bが回転するので、円筒槽11の形状は円形である。
【0024】
このスパイラルセパレータ14は、螺旋状流路14aが形成された円錐状螺旋板14bを、軸線が垂直な回転軸を中心として回転駆動装置12により回転させるものである。
【0025】
折り返しのない螺旋状流路14aが形成されたスパイラルセパレータ14とすることで、有機物の閉塞もなく、沈降する細かい砂21aと共に有機物を含む汚泥31bは傾斜に沿って外周縁部14c側へ集められる。この円錐状螺旋板14bの傾斜角度は、水平に対して例えば45°以上90°未満、好ましくは60°前後とするのが好ましい。円錐状螺旋板(回転傾斜板)群の円錐状螺旋板14bと円錐状螺旋板14bとの間隔は、例えば75~150mmとするのが好ましい。
【0026】
このスパイラルセパレータ14の回転により、内筒13の下端部13a側を通過する下降流F1の一部は反転流F2となる。この反転流F2は、円錐状螺旋板(回転傾斜板)14bの回転によって上昇流F3となって液面まで上昇する。
【0027】
この上昇流F3が上昇する際、円錐状螺旋板(回転傾斜板)14bの裏面側と表面側とにおいて、汚水31a中の汚泥(含む有機物)31bが分離され、その回転につれて円錐状螺旋板(回転傾斜板)14bの表面から端部の外周縁部14c側へ移動し、外周縁部14cから汚泥31bとして落下・落水する。
【0028】
すなわち、
図3の沈砂・沈殿装置の装置内部の模式図に示すように、スパイラルセパレータ14の円錐状螺旋板14bの回転により、汚泥31bの粒子が表面側から離れ、離れた汚泥31bは槽内壁11aと外周縁部14cとの間に形成された落下通路11dを落下する際、槽内壁11eと外周縁部14cとの間に穏やかな剪断力が作用し、落下する汚泥31bの濃縮が促進される。
【0029】
汚水31aから汚泥31bが分離された分離水31cは、円筒槽11の液面側に上昇し、液面近傍に設置された越流部18を越流する。越流部18を超えた越流水31dは、越流水排出管路18aを介して処理水31eとして外部へ排出される。
【0030】
越流部18は円筒槽11の上部の内周面に沿って形成されており、越流した越流水31dを一時貯留し、外部へ越流水排出管路18aを介して処理水31eとして排出している。越流部18の内部には汚泥などが溜まるので、定期的に回収除去するようにしている。
【0031】
なお、越流部18を設置することなく直接外部に排出するようにしてもよい。また、越流部18の設置は少なくとも一か所とするようにしてもよい。
【0032】
沈砂回収部16は沈砂21を一時的に回収する領域であり、回収された沈砂は沈砂移送装置17により例えば高圧水などの駆動水17aによって、外部へ沈砂夾雑物排出管路17bを介して沈砂夾雑物17cが排出される。
【0033】
本実施形態にかかる沈砂・沈殿分離装置100Aによれば、内筒13内に導入された汚水31aは、導入後下降流F1となり、この下降の際、汚水31a中の大きな砂は沈砂21として、沈砂回収部16側に沈降する。
【0034】
その後、内筒13の下端部13a近傍を汚水31aが通過する際、汚水31aの下降流F1の流れの一部が反転して反転流F2となり、スパイラルセパレータ14の螺旋状流路14a内を回転する円錐状螺旋板14bと同期しながら、上昇流F3となって上昇する。この上昇流F3が浮上するにつれて、スパイラルセパレータ14の回転により、汚水31aから有機物を含む汚泥31bが分離されて分離水31cとなる。
【0035】
このスパイラルセパレータ14の作用により、汚水31a中に含まれる有機分と細かい砂からなる汚泥31bが分離される。この汚泥31bが分離された分離水31cは、スパイラルセパレータ14の回転作用で上昇し、この上昇水が越流部18を超えて越流水31dとなり、処理水31eとして外部に排出される。
この排出された処理水31eは、細かい砂と有機分とが分離されているので、沈砂・沈殿装置100Aの後段に設置される処理施設の負荷を軽減することができる。
【0036】
このように、スパイラルセパレータ14が回転すると、上昇流F3が発生し、この上昇の際、固形物の汚泥31bが落下し、分離水31cとして分離されることにより、回転による効果的な沈降能力が得られる。すなわち、スパイラルセパレータ14の回転による汚泥31bの落下は傘をゆっくりと振り回して回転させたような沈降となる。よって、汚泥31bは槽内壁11aと外周縁部14cとの間に形成された落下通路11dを落下する際、単にそのまま汚泥31bが鉛直軸方向に落下するものではないので、汚泥31bが剪断力により濃縮されつつ汚泥回収通路20に落下することとなり、汚泥31bの濃縮効果が向上する。
【0037】
また、スパイラルセパレータ14の円錐状螺旋板14bの外周縁部14cから落下した汚泥31bは、円錐状螺旋板14bの外周縁部14cから垂下した位置に開口20bを有する汚泥回収通路20に落下し、この通路の下端側に汚泥として堆積する。この汚泥31bは、汚泥排出管路20aから汚泥移送ポンプPを介して汚泥31bとして外部へ排出される。
【0038】
すなわち、汚泥回収通路20は、ホッパ部11aとその内側に設置されたホッパ通路11bとの間に形成されていると共に、その開口20bが前記円錐状螺旋板14bの外周縁部14cから鉛直軸方向に垂下した位置に位置している。この結果、落下した汚泥31bが汚泥回収通路20内に確実に回収される、沈砂回収部16側に流入することが防止されることとなる。
【0039】
本実施形態にかかる沈砂・沈殿分離装置100Aによれば、沈砂21も汚泥31bも分離できる、両方の分離する機能を兼ね備えているので、設備の省スペース化を図ることができる。また、災害時において、沈砂と沈殿の仮設処理としても機能することができる。
【0040】
近年土木構造価格が上昇しているが、沈砂池と沈殿池とを同一装置内で実現することにより、省コスト、省スペース化を実現することができる。通常、沈砂池で排出される沈砂は洗浄装置などを経て、産廃などで処理される。通常沈砂池は、矩形で砂を集積するための設備も具備されるが、これも省略することが可能となり、処理コストの低減を図ることが可能となる。
【0041】
従来の沈殿池では沈殿処理された汚泥を、後段で濃縮する設備が必要となるが、本実施形態にかかる沈砂・沈殿分離装置100Aによれば、約3~4重量%に濃縮された汚泥31bを排出することができる。よって、省コスト化を実現できる。
【0042】
本実施形態にかかる沈砂・沈殿分離装置100Aを用いた沈砂・沈殿分離方法は、汚水導入部15から導入された汚水31aが内筒13内部で下降流F1として落下する際に、沈砂回収部16にそのまま重力で沈砂21として回収すると共に、この落下して沈砂21が回収され、反転した上昇流F3がスパイラルセパレータ14の回転により、有機物を含む汚泥31bと分離水31cとを分離し、有機物を含む汚泥31bをそのまま重力により沈殿させて汚泥回収通路20で回収するものである。このように、本方法によれば、一つの装置で沈砂と沈殿との分離を行うと共に、それぞれ一つの装置内で回収することができる。「第二実施形態」
【0043】
図4は本発明の第二実施形態を示し、沈砂・沈殿装置の別形態である。本実施形態にかかる沈砂・沈殿分離装置100Bは、円筒槽11内に設けられた噴出ノズル41から微細気泡41aを噴出させてなる微細気泡発生装置42を備えている。なお、その他の構成及び作用効果にあっては第一実施形態と同じであるため、第一実施形態の説明を援用し、ここでの詳細な説明は省略する。
【0044】
微細気泡発生装置42から発生させる微細気泡41aの大きさは、例えば1mm以下、洗浄効果を高めるには、例えば0.01~0.5mmである。1mmを超えれば、有機物に気泡が付きにくくなると共に、気泡の上昇速度が速まり上向偏流が生じることで分離効率や土砂の回収率が低下する。
【0045】
本実施形態にかかる沈砂・沈殿分離装置100Bによれば、円筒槽11内に微細気泡41aを噴出ノズル41から噴出し、沈砂21に含まれる有機物を洗い流す。この微細気泡41aにより、沈砂中の土砂と有機物を解すことができる。しかも、有機物に微細気泡41aを付着させることで有機物の浮上性を高め、スパイラルセパレータ14での有機物と土砂との分離性を高めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、沈砂・沈殿装置全般に利用可能である。
【符号の説明】
【0047】
100A、100B 沈砂・沈殿分離装置
11a ホッパ部
11 円筒槽
12 駆動装置
13 内筒
14a 螺旋状流路
14b 円錐状螺旋板
14c 外周縁部
14 スパイラルセパレータ
15 汚水導入部
16 沈砂回収部
17 沈砂移送装置
18 越流部
18a 越流水排出管路
20 汚泥回収通路
20a 汚泥排出管路
21 沈砂
31a 汚水
31b 汚泥
31c 分離水
31d 越流水
31e 処理水
41 噴出ノズル
41a 微細気泡
42 微細気泡発生装置
F1 下降流
F2 反転流
F3 上昇流