(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023167956
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】電気機器、電気機器システム、及び制御方法
(51)【国際特許分類】
H05B 47/19 20200101AFI20231116BHJP
H04Q 9/00 20060101ALI20231116BHJP
H05B 47/165 20200101ALI20231116BHJP
【FI】
H05B47/19
H04Q9/00 301D
H05B47/165
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022079525
(22)【出願日】2022-05-13
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】藤村 栞
(72)【発明者】
【氏名】万波 寛明
(72)【発明者】
【氏名】安西 了一
(72)【発明者】
【氏名】密島 康一
【テーマコード(参考)】
3K273
5K048
【Fターム(参考)】
3K273PA10
3K273QA37
3K273TA03
3K273TA05
3K273TA15
3K273TA17
3K273TA28
3K273TA40
3K273TA41
3K273TA55
3K273TA57
3K273TA62
3K273TA67
3K273TA75
3K273UA22
3K273UA23
5K048AA05
5K048BA07
5K048CA07
5K048EB02
5K048HA01
5K048HA02
5K048HA03
(57)【要約】
【課題】複数の機能についての初期化の進捗を把握しやすくすること。
【解決手段】電気機器1は、操作機器2により操作される電気機器であって、通信部11と、処理部(照明制御部)13と、出力部14と、を備える。通信部11は、操作機器2との間で無線通信を行う。処理部13は、操作機器2からの初期化を指示する初期化信号を通信部11が受信すると、電気機器1が有する複数の機能を順次初期化する初期化処理を実行する。出力部14は、処理部13での初期化処理の進捗に応じて出力を変化させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作機器により操作される電気機器であって、
前記操作機器との間で無線通信を行う通信部と、
前記操作機器からの初期化を指示する初期化信号を前記通信部が受信すると、前記電気機器が有する複数の機能を順次初期化する初期化処理を実行する処理部と、
前記処理部での前記初期化処理の進捗に応じて出力を変化させる出力部と、を備える、
電気機器。
【請求項2】
前記出力部は、前記初期化処理における前記複数の機能のうちの少なくとも1つの機能に対する初期化と、前記初期化処理における他の機能に対する初期化とで出力を互いに異ならせる、
請求項1に記載の電気機器。
【請求項3】
前記出力部の出力は、前記初期化処理の開始時と、前記初期化処理の完了時とで同じである、
請求項1又は2に記載の電気機器。
【請求項4】
前記出力部の出力は、電力の変化を伴う出力である、
請求項1又は2に記載の電気機器。
【請求項5】
前記電気機器は、照明器具であって、
前記出力部の出力は、光源部が発する光である、
請求項1又は2に記載の電気機器。
【請求項6】
前記通信部は、前記電気機器の設置されるスペースの外側に存在する前記操作機器との間で通信可能に構成されている、
請求項1又は2に記載の電気機器。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の前記電気機器と、
前記電気機器との間で無線通信を行い、前記電気機器の動作を制御する前記操作機器と、を備える、
電気機器システム。
【請求項8】
操作機器により操作される電気機器の制御方法であって、
前記操作機器との間で無線通信を行い、
前記操作機器からの初期化を指示する初期化信号を受信すると、前記電気機器が有する複数の機能を順次初期化する初期化処理を実行し、
前記初期化処理の進捗に応じて前記電気機器の出力を変化させる、
制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の機能を有する電気機器、電気機器システム、及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、照明器具内のネットワーク構成をリセットするためのファクトリーリセットを実施するためのシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、複数の機能についての初期化の進捗を把握しやすい電気機器等を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る電気機器は、操作機器により操作される電気機器であって、通信部と、処理部と、出力部と、を備える。前記通信部は、前記操作機器との間で無線通信を行う。前記処理部は、前記操作機器からの初期化を指示する初期化信号を前記通信部が受信すると、前記電気機器が有する複数の機能を順次初期化する初期化処理を実行する。前記出力部は、前記処理部での前記初期化処理の進捗に応じて出力を変化させる。
【0006】
本発明の一態様に係る電気機器システムは、前記電気機器と、前記電気機器との間で無線通信を行い、前記電気機器の動作を制御する前記操作機器と、を備える。
【0007】
本発明の一態様に係る制御方法は、操作機器により操作される電気機器の制御方法である。前記制御方法は、前記操作機器との間で無線通信を行う。前記制御方法は、前記操作機器からの初期化を指示する初期化信号を受信すると、前記電気機器が有する複数の機能を順次初期化する初期化処理を実行する。前記制御方法は、前記初期化処理の進捗に応じて前記電気機器の出力を変化させる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の電気機器等は、複数の機能についての初期化の進捗を把握しやすい、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る電気機器を含む全体構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係る電気機器の動作例を示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、実施の形態に係る電気機器の動作例を示すシーケンス図である。
【
図4】
図4は、比較例に係る電気機器の動作例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序等は、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0011】
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化される場合がある。
【0012】
(実施の形態)
[構成]
まず、実施の形態に係る電気機器の構成について説明する。電気機器は、屋内又は屋外における所定の領域(例えば、部屋等)に設置される機器である。実施の形態では、電気機器は、例えばシーリングライト等の照明器具である。なお、照明器具は、シーリングライトに限らず、ダウンライト、ベースライト、又はスポットライト等であってもよく、その態様は特に限定されない。また、電気機器は、照明器具に限らず、例えばテレビジョン受像機、エアーコンディショナ、洗濯機、又はスピーカ(スマートスピーカを含む)等であってもよい。
【0013】
図1は、実施の形態に係る電気機器を含む全体構成を示すブロック図である。
図1に示すように、電気機器1は、例えばインターネット等のネットワークN1を介して、情報端末22及びサーバ装置3との間で無線通信を行うように構成されている。さらに、電気機器1は、リモートコントローラ(以下、「リモコン」という)21との間で近距離無線通信を行うように構成されている。リモコン21及び情報端末22は、操作機器2に相当する。
【0014】
実施の形態では、電気機器1と、操作機器2とで電気機器システム100を構成している。なお、電気機器システム100に含まれる操作機器2は、リモコン21及び情報端末22の両方を含んでいてもよいし、いずれか一方のみを含んでいてもよい。また、実施の形態では、サーバ装置3は電気機器システム100の構成要素に含まれていないが、電気機器システム100の構成要素に含まれていてもよい。
【0015】
操作機器2は、電気機器1との間で無線通信を行い、電気機器1の動作を制御する(つまり、電気機器1を操作する)機器である。リモコン21は、例えば赤外線通信により電気機器1との間で無線通信を行う機器である。なお、リモコン21は、例えばBluetooth(登録商標)等の近距離無線通信規格に従って電気機器1との間で無線通信を行う機器を含み得る。情報端末22は、例えばWi-Fi(登録商標)等の無線通信規格に従って、ネットワークN1及びサーバ装置3を介して電気機器1との間で無線通信を行う機器である。情報端末22は、例えばスマートフォン又はタブレット端末等の携帯型の端末であって、インストールされている電気機器1の遠隔操作用のアプリケーションを実行することにより、操作機器2として機能する。なお、情報端末22は、例えば電気機器1に対応する専用のコントローラであってもよい。
【0016】
ユーザは、操作機器2に対して操作入力を行うことにより、電気機器1の動作の開始、終了、及び動作モードの切り替え等の遠隔操作を行うことが可能である。既に述べたように、実施の形態では、電気機器1は照明器具である。したがって、ユーザは、操作機器2に対して操作入力を行うことにより、照明器具の点灯、調光、消灯、及び照明器具の点灯モードの切り替え等を行うことが可能である。
【0017】
操作機器2は、所定の操作入力を受け付けることにより、電気機器1の初期化を指示する初期化信号を電気機器1に向けて送信する機能を有している。ここで、電気機器1の初期化とは、電気機器1が有する複数の機能を初期状態(例えば、電気機器1の出荷時の状態)に戻すことをいう。電気機器1の複数の機能は、それぞれ対応する複数のメモリに記憶されているコンピュータプログラムに従った処理を実行する。電気機器1の初期化は、これら複数のメモリにそれぞれ記憶されているコンピュータプログラムのパラメータを初期値に戻すことに相当する。
【0018】
電気機器1の初期化は、例えば電気機器1を製造する工場において、作業者が電気機器1に対する検査等を行った後に、電気機器1を出荷可能な状態とするために行われる。また、電気機器1の初期化は、例えば停電が起こる等して電気機器1に何らかの異常が発生して正常に動作できない場合に、ユーザが電気機器1を正常な状態に復帰させるために行われる。
【0019】
サーバ装置3は、操作機器2で入力された操作入力に応じた制御データを、対象となる電気機器1へ提供するコンピュータである。具体的には、サーバ装置3は、ネットワークN1を介して操作機器2(ここでは、情報端末22)からの操作信号を受信すると、受信した操作信号に含まれる指令に応じた制御データを、操作信号に含まれるアドレスで指定された電気機器1へネットワークN1を介して送信する。サーバ装置3は、例えば、電気機器1が設置される施設に設置されるエッジサーバによって実現されてもよいし、当該施設外に設置されたクラウドサーバによって実現されてもよい。
【0020】
電気機器1は、操作機器2により制御される機器である。電気機器1は、通信部11と、通信制御部12と、照明制御部13と、出力部14と、を備えている。電気機器1は、複数の機能を有している。実施の形態では、電気機器1が有する複数の機能は、第2通信部112の機能と、通信制御部12の機能と、照明制御部13の機能と、を含んでいる。
【0021】
通信部11は、操作機器2との間で無線通信を行う。実施の形態では、通信部11は、第1通信部111と、第2通信部112と、を有している。第1通信部111は、操作機器2の1つであるリモコン21との間で赤外線通信を行うための通信インタフェースである。第2通信部112は、ネットワークN1を介して操作機器2の1つである情報端末22及びサーバ装置3との間で無線通信を行うための通信インタフェースである。
【0022】
ここで、リモコン21は、例えば電気機器1の設置されるスペースの内側に存在する等して電気機器1との間の距離が比較的短い場合に電気機器1を遠隔操作することが可能であるが、当該スペースの外側に存在する等して電気機器1との距離が比較的長い場合には、電気機器1を遠隔操作することができない。一方、情報端末22は、ネットワークN1を介して電気機器1との間で通信可能であるため、当該スペースの内外を問わず、電気機器1を遠隔操作することが可能である。つまり、通信部11(第2通信部112)は、電気機器1の設置されるスペースの外側に存在する操作機器2(情報端末22)との間で通信可能に構成されている。
【0023】
実施の形態では、第2通信部112は、マイクロコントローラで構成されている。つまり、第2通信部112は、プロセッサ及びメモリを備えたIC(Integrated Circuit)で構成されている。そして、プロセッサがメモリに格納されたコンピュータプログラムを実行することにより、第2通信部112としての機能が実現される。第2通信部112は、既に述べたように、電気機器1が有する複数の機能のうちの1つの機能を実現する部位であって、初期化の対象となる。すなわち、第2通信部112は、後述する初期化処理において、第2通信部112が有するメモリに記憶されているコンピュータプログラムのパラメータを初期値に戻すことで、初期化される。
【0024】
通信制御部12は、操作機器2と電気機器1との間の通信を制御する。実施の形態では、通信制御部12は、マイクロコントローラで構成されている。つまり、通信制御部12は、プロセッサ及びメモリを備えたICで構成されている。そして、プロセッサがメモリに格納されたコンピュータプログラムを実行することにより、通信制御部12としての機能が実現される。通信制御部12は、既に述べたように、電気機器1が有する複数の機能のうちの1つの機能を実現する部位であって、初期化の対象となる。すなわち、通信制御部12は、後述する初期化処理において、通信制御部12が有するメモリに記憶されているコンピュータプログラムのパラメータを初期値に戻すことで、初期化される。
【0025】
照明制御部13は、操作機器2で入力された操作入力に応じた制御データを通信部11が受信すると、当該制御データに従って光源部141(後述する)を制御する。実施の形態では、照明制御部13は、マイクロコントローラで構成されている。つまり、照明制御部13は、プロセッサ及びメモリを備えたICで構成されている。そして、プロセッサがメモリに格納されたコンピュータプログラムを実行することにより、照明制御部13としての機能が実現される。照明制御部13は、電気機器1が有する複数の機能のうちの1つの機能を実現する部位であって、初期化の対象となる。すなわち、照明制御部13は、後述する初期化処理において、照明制御部13が有するメモリに記憶されているコンピュータプログラムのパラメータを初期値に戻すことで、初期化される。
【0026】
また、照明制御部13は、操作機器2からの初期化を指示する初期化信号を通信部11が受信すると、電気機器1が有する複数の機能を順次初期化する初期化処理を実行する。ここで、初期化処理は、照明制御部13自身を初期化する処理の他、照明制御部13が初期化の対象である機能に対して直接的に初期化を指示する処理を含み得る。また、初期化処理は、照明制御部13から直接的に初期化の指示を受けた機能が、初期化の対象である機能に対して初期化を指示する、つまり照明制御部13が初期化の対象である機能に対して間接的に初期化を指示する処理を含み得る。以下の説明では、照明制御部13は、「処理部13」と称する場合もある。
【0027】
ここで、電気機器1が照明器具である場合における初期化の対象となるパラメータは、例えば照明器具の商品番号、製造番号、ファームウェアのバージョン、ファームウェアのアップデートの有無等を含み得る。また、当該パラメータは、例えばBLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)の設定情報、Wi-Fi(登録商標)の設定情報、又はルータの設定情報等を含み得る。また、当該パラメータは、例えばサーバ装置3のURL(Uniform Resource Locator)等を含み得る。また、当該パラメータは、例えば光源部141の点灯モード、調光値、調色値、パネル状態、モード情報、又はスケジュール情報等を含み得る。
【0028】
出力部14は、処理部(照明制御部)13での初期化処理の進捗に応じて出力を変化させる。ここで、処理部13での初期化処理においては、電気機器1の有する複数の機能を順次初期化する。そこで、出力部14は、例えば複数の機能のうちのいずれかの機能の初期化を開始するごと(又は初期化を完了するごと)に、出力を変化させる。すなわち、出力部14は、初期化処理における複数の機能のうちの少なくとも1つの機能に対する初期化と、初期化処理における他の機能に対する初期化とで出力を互いに異ならせる。
【0029】
実施の形態では、出力部14は、光源部141を有している。光源部141は、例えばLED(Light Emitting Diode)素子によって実現されるが、半導体レーザ、有機EL(Electro-Luminescence)素子、又は無機EL素子等の他の発光素子によって実現されてもよい。そして、光源部141は、照明制御部13によって制御されることで、初期化処理の進捗に応じて点灯モードを変化させる。つまり、実施の形態では、出力部14の出力は、光源部141が発する光である。
【0030】
例えば、電気機器1の有する2つの機能に対して初期化処理を実行する場合、一方の機能の初期化が開始されると光源部141を比較的高い色温度で調色し、他方の機能の初期化が開始されると光源部141を比較的低い色温度で調色してもよい。
【0031】
ここで、光源部141の点灯モードが変化することに伴って、電気機器1の消費電力も変化する。そこで、出力部14の出力は、初期化処理の進捗に応じて電気機器1の消費電力を変化させる出力としてもよい。この場合、出力部14の出力は、電力の変化を伴う出力である。
【0032】
例えば、電気機器1の有する2つの機能に対して初期化処理を実行する場合、一方の機能の初期化が開始されると、出力部14は、電気機器1が数Wの電力を消費する出力とし、他方の機能の初期化が開始されると、出力部14は、電気機器1が数十Wの電力を消費する出力としてもよい。
【0033】
[動作]
以下、実施の形態に係る電気機器1の基本動作について、
図2を用いて説明する。
図2は、実施の形態に係る電気機器1の動作例を示すフローチャートである。まず、ユーザ又は作業者が操作機器2に対して所定の操作入力を行うことにより、操作機器2から電気機器1に向けて初期化信号が送信される。すると、電気機器1の通信部11は、初期化信号を受信する(S101)。ここでは、操作機器2がリモコン21である場合、第1通信部111が初期化信号を受信し、操作機器2が情報端末22である場合、第2通信部112が初期化信号を受信する。
【0034】
通信部11が初期化信号を受信すると、電気機器1の処理部13は、いずれかの機能の初期化を開始することで、初期化処理を開始する(S102)。ここでは、処理部13は、照明制御部13である。また、ここでは、初期化処理の対象となる複数の機能は、第2通信部112、通信制御部12、及び照明制御部13の3つである。
【0035】
処理部13による初期化処理が開始されると、出力部14は、第1出力での出力を開始する(S103)。ここでは、出力部14の第1出力は、光源部141が発する第1光である。
【0036】
その後、対象となる機能の初期化が完了するまで(S104:No)、出力部14は、現在の出力(ここでは、光源部141の第1光)を維持する(S105)。そして、対象となる機能の初期化が完了し(S104:Yes)、全ての機能の初期化が完了していなければ(S106:No)、処理部13は、未だ初期化が完了していない他の機能の初期化を開始する(S107)。そして、出力部14は、現在の出力から出力を変化させる(S108)。例えば、現在の出力が光源部141の発する第1光である場合、光源部141の発する光が第1光から第2光へと変化する。第1光と第2光とは、色温度が互いに異なっていてもよいし、光エネルギーが互いに異なっていてもよい。
【0037】
全ての機能の初期化が完了すると(S106:Yes)、処理部13による初期化処理が完了する。そして、出力部14は、現在の出力から第1出力へ出力を変化させる(S109)。つまり、実施の形態では、出力部14の出力は、初期化処理の開始時と、初期化処理の完了時とで同じである。このため、ユーザ又は作業者は、初期化処理が完了したことを把握しやすくなる、という利点がある。また、ユーザ又は作業者が、電気機器1を初期化開始時の状態に戻す作業を行わなくて済み、利便性が向上するという利点もある。
【0038】
以下、実施の形態に係る電気機器1の動作の具体例について、
図3を用いて説明する。
図3は、実施の形態に係る電気機器1の動作例を示すシーケンス図である。まず、ユーザ又は作業者が操作機器2に対して所定の操作入力を行うことにより、操作機器2から電気機器1に向けて初期化信号が送信される(S201)。通信部11が初期化信号を受信すると、照明制御部(処理部)13は、初期化処理を開始する。ここでは、照明制御部13は、初期化を指示する初期化コマンドを通信制御部12へ送信する(S202)。また、照明制御部13は、自身の初期化を実行する(S203)。
図3に示す例においては、初期化処理は、照明制御部13が初期化コマンドを通信制御部12へ送信することをトリガとする通信制御部12及び第2通信部112の初期化と、照明制御部13自身の初期化と、を含む。
【0039】
さらに、照明制御部13は、光源部141の点灯モードを第1点灯モードへ切り替える(S204)。これにより、光源部141の発する光は、第1点灯モードに対応した第1光となる。第1点灯モードは、例えば常夜灯を点灯するモードである。なお、処理S202,S203,S204を実行する順番は、この順に限らない。
【0040】
通信制御部12は、照明制御部13からの初期化コマンドを受信すると、第2通信部112へ初期化コマンドを送信する(S205)。そして、第2通信部112は、通信制御部12からの初期化コマンドを受信すると、自身の初期化を実行する(S206)。第2通信部112は、自身の初期化が完了すると、初期化が完了したことを示す完了通知を通信制御部12へ送信する(S209)。
【0041】
また、通信制御部12は、第2通信部112へ初期化コマンドを送信してから所定時間が経過すると、光源部141の点灯モードの切り替えを指示する制御コマンドを照明制御部13へ送信する(S207)。照明制御部13は、通信制御部12からの制御コマンドを受信すると、光源部141の点灯モードを第1点灯モードから第2点灯モードへ切り替える(S208)。第2点灯モードは、例えば通常用いる光源を点灯するモードであり、かつ、通常時よりも光エネルギーを低くしたモードである。なお、通信制御部12は、通信制御部12が第2通信部112からの完了通知を受信したことをトリガとして制御コマンドを送信してもよい。
【0042】
通信制御部12は、第2通信部112からの完了通知を受信すると、自身の初期化を実行する(S210)。そして、通信制御部12は、自身の初期化が完了すると、光源部141の点灯モードの切り替えを指示する制御コマンドを照明制御部13へ送信する(S211)。照明制御部13は、通信制御部12からの制御コマンドを受信すると、光源部141の点灯モードを第2点灯モードから第1点灯モードへ切り替える(S212)。これをもって、照明制御部13による初期化処理が完了する。
【0043】
ところで、
図3に示す動作例では、照明制御部13は、光源部141の点灯モードの第1点灯モードから第2点灯モードへの切り替え、及び第2点灯モードから第1点灯モードへの切り替えを通信制御部12から送信される制御コマンドに従って実行しているが、これに限られない。例えば、通信制御部12は、処理S207において、制御コマンドの送信に代えて、第2通信部112の初期化が完了したことを示す完了通知を照明制御部13へ送信してもよい。そして、照明制御部13は、通信制御部12からの完了通知を受信したことをトリガとして、光源部141の点灯モードを第1点灯モードから第2点灯モードへ切り替えてもよい。同様に、通信制御部12は、処理S211において、制御コマンドの送信に代えて、自身の初期化が完了したことを示す完了通知を照明制御部13へ送信してもよい。そして、照明制御部13は、通信制御部12からの完了通知を受信したことをトリガとして、光源部141の点灯モードを第2点灯モードから第1点灯モードへ切り替えてもよい。
【0044】
[利点]
以下、実施の形態に係る電気機器1の利点について、比較例の電気機器との比較を交えて説明する。比較例の電気機器は、初期化処理の開始時から完了時までの間において、出力部(光源部)による出力が不変である点で、実施の形態に係る電気機器1と相違する。
【0045】
図4は、比較例の電気機器の動作例を示すシーケンス図である。まず、ユーザ又は作業者が操作機器2に対して所定の操作入力を行うことにより、操作機器2から電気機器に向けて初期化信号が送信される(S301)。通信部が初期化信号を受信すると、照明制御部は、初期化処理を開始する。ここでは、照明制御部は、初期化を指示する初期化コマンドを通信制御部へ送信する(S302)。また、照明制御部は、自身の初期化を実行する(S303)。
【0046】
さらに、照明制御部は、光源部の点灯モードを、常夜灯を点灯する常夜灯モードへ切り替える(S304)。
【0047】
通信制御部は、照明制御部からの初期化コマンドを受信すると、第2通信部へ初期化コマンドを送信する(S305)。そして、第2通信部は、通信制御部からの初期化コマンドを受信すると、自身の初期化を実行する(S306)。第2通信部は、自身の初期化が完了すると、初期化が完了したことを示す完了通知を通信制御部へ送信する(S307)。
【0048】
通信制御部は、第2通信部からの完了通知を受信すると、自身の初期化を実行する(S308)。これをもって、照明制御部による初期化処理が完了する。
【0049】
図4に示すように、比較例の電気機器では、照明制御部による初期化処理の実行中において、光源部は常夜灯モードで動作しており、他の点灯モードへと切り替わっていない。このため、比較例の電気機器では、初期化処理が正常に行われているか否かをユーザ又は作業者が把握することができない、という問題がある。
【0050】
これに対して、実施の形態に係る電気機器1では、照明制御部13による初期化処理の実行中において、光源部141は第1点灯モード、第2点灯モード、第1点灯モードの順に点灯モードが切り替わっている。つまり、実施の形態に係る電気機器1では、光源部141の発する光(出力部14の出力)が初期化処理の進捗に応じて変化する。このため、実施の形態に係る電気機器1では、ユーザ又は作業者は、光源部141の発する光を視認することで、電気機器1の初期化が正常に行われていることを把握しやすくなる。
【0051】
また、実施の形態に係る電気機器1では、いずれかの機能の初期化に異常が発生した場合に、当該機能の初期化の実行時に出力部14の出力が変化しないことから、ユーザ又は作業者は、当該機能の初期化に異常が発生したことを把握しやすい、という利点もある。そして、ユーザ又は作業者が電気機器1に異常が発生したことを報告する場合に、出力部14の出力の変化態様を報告すれば、報告を受けた者は、電気機器1のいずれの機能の初期化に異常が発生したかを把握しやすい。
【0052】
ところで、既に述べたように、実施の形態に係る電気機器1では、出力部14の出力は、電気機器1の消費電力が変化する出力(言い換えれば、電力の変化を伴う出力)としてもよい。この場合、ユーザ又は作業者は、検査器を用いて電気機器1の消費電力の変化を測定することで、電気機器1の初期化が正常に行われていることを把握しやすくなる、という利点がある。
【0053】
[変形例]
以上、実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。以下、実施の形態の変形例について列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせてもよい。
【0054】
上記実施の形態において、出力部14は、複数の機能の初期化の各々で互いに出力が異なるように出力を変化させてもよい。例えば、3つの機能を初期化する場合に、光源部141は、1つ目の機能を初期化する際には全点灯モード、2つ目の機能を初期化する際には通常下限モード、3つ目の機能を初期化する際には常夜灯モードに切り替わってもよい。ここで、全点灯モードは、通常モードであって最大の調光率で光源を点灯させるモードである。また、通常下限モードは、通常モードであって最小の調光率で光源を点灯させるモードである。
【0055】
また、例えば、光源部141は、1つ目の機能を初期化する際には通常下限モード、2つ目の機能を初期化する際には常夜灯モード、3つ目の機能を初期化する際には通常下限モードに切り替わってもよい。この場合、1回目の通常下限モードにおいては光源部141の光色を白色に、2回目の通常下限モードにおいては光源部141の光色を電球色とすることで、全ての機能の初期化の各々で互いに出力が異なることになる。
【0056】
また、上記実施の形態において、出力部14は、複数の機能の初期化の各々で互いに出力を異ならせずに、少なくとも一部の機能の初期化と他の機能の初期化とで互いに出力が異なるように出力を変化させてもよい。例えば、3つの機能を初期化する場合に、光源部141は、1つ目の機能を初期化する際には常夜灯モード、2つ目の機能を初期化する際には通常下限モード、3つ目の機能を初期化する際には常夜灯モードに切り替わってもよい。
【0057】
また、上記実施の形態において、初期化処理の実行中における光源部141の点灯モードは、ユーザ又は作業者の視認性を確保すべく、ユーザ又は作業者にとって眩しさを感じにくい点灯モードであってもよい。例えば、3つの機能を初期化する場合に、光源部141は、1つ目の機能を初期化する際には消灯し、2つ目の機能を初期化する際には通常下限モード、3つ目の機能を初期化する際には常夜灯モードに切り替わってもよい。
【0058】
また、上記実施の形態では、複数の機能は、それぞれ複数の機能部(実施の形態では、第2通信部112、通信制御部12、及び照明制御部13)が有しているが、これに限られない。例えば、複数の機能は、1つの機能部が有していてもよい。
【0059】
また、上記実施の形態において、電気機器1は、照明器具以外の機器であってもよい。この場合でも、例えば電気機器1が報知用のランプを備えていれば、出力部14は、初期化処理の進捗に応じて報知用のランプの点灯モードを変化させてもよい。
【0060】
また、上記実施の形態において、例えば電気機器1がスピーカを搭載していれば、出力部14は、初期化処理の進捗に応じてスピーカから出力する音声を変化させてもよい。つまり、出力部14は、電気機器1が有する機能を用いて、初期化処理の進捗に応じて出力を変化させればよい。
【0061】
上記実施の形態では、電気機器1は、リモコン21及び情報端末22の両方と通信可能に構成されているが、これに限られない。例えば、電気機器1は、リモコン21及び情報端末22のいずれか一方のみと通信可能に構成されていてもよい。つまり、通信部11は、第1通信部111及び第2通信部112のいずれか一方のみを有していてもよい。
【0062】
また、上記実施の形態で説明された処理の順序は、一例である。複数の処理の順序は変更されてもよいし、複数の処理は並行して実行されてもよい。また、特定の処理部が実行する処理を別の処理部が実行してもよい。
【0063】
また、上記実施の形態において、各構成要素は、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU又はプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスク又は半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0064】
また、各構成要素は、ハードウェアによって実現されてもよい。例えば、各構成要素は、回路(又は集積回路)でもよい。これらの回路は、全体として1つの回路を構成してもよいし、それぞれ別々の回路でもよい。また、これらの回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
【0065】
また、本発明の全般的又は具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよい。また、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。例えば、本発明は、コンピュータが実行する制御方法として実行されてもよいし、このような制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現されてもよい。また、本発明は、このようなプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体として実現されてもよい。
【0066】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、又は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【0067】
(まとめ)
以上説明したように、電気機器1は、操作機器2により操作される電気機器であって、通信部11と、処理部(照明制御部)13と、出力部14と、を備える。通信部11は、操作機器2との間で無線通信を行う。処理部13は、操作機器2からの初期化を指示する初期化信号を通信部11が受信すると、電気機器1が有する複数の機能を順次初期化する初期化処理を実行する。出力部14は、処理部13での初期化処理の進捗に応じて出力を変化させる。
【0068】
このような電気機器1によれば、ユーザ又は作業者は、出力部14の出力を確認することで、電気機器1の初期化が正常に行われていることを把握しやすくなる、という利点がある。
【0069】
また、例えば、出力部14は、初期化処理における複数の機能のうちの少なくとも1つの機能に対する初期化と、初期化処理における他の機能に対する初期化とで出力を互いに異ならせる。
【0070】
このような電気機器1によれば、ユーザ又は作業者は、いずれの機能の初期化が実行されているかを把握しやすくなる、という利点がある。
【0071】
また、例えば、出力部14の出力は、初期化処理の開始時と、初期化処理の完了時とで同じである。
【0072】
このような電気機器1によれば、ユーザ又は作業者は、初期化処理が完了したことを把握しやすくなる、という利点がある。また、ユーザ又は作業者が、電気機器1を初期化開始時の状態に戻す作業を行わなくて済み、利便性が向上するという利点もある。
【0073】
また、例えば、出力部14の出力は、電力の変化を伴う出力である。
【0074】
このような電気機器1によれば、ユーザ又は作業者は、検査器を用いて電気機器1の消費電力の変化を測定することで、電気機器1の初期化が正常に行われていることを把握しやすくなる、という利点がある。
【0075】
また、例えば、電気機器1は、照明器具である。出力部14の出力は、光源部141が発する光である。
【0076】
このような電気機器1によれば、ユーザ又は作業者は、光源部141の発する光を視認することで、電気機器1の初期化が正常に行われていることを把握しやすくなる、という利点がある。
【0077】
また、例えば、通信部11(第2通信部112)は、電気機器1の設置されるスペースの外側に存在する操作機器2(情報端末22)との間で通信可能に構成されている。
【0078】
このような電気機器1によれば、電気機器1の設置されているスペース外からも電気機器1を遠隔操作することができる、という利点がある。
【0079】
また、例えば、電気機器システム100は、電気機器1と、操作機器2と、を備える。操作機器2は、電気機器1との間で無線通信を行い、電気機器1の動作を制御する。
【0080】
このような電気機器システム100によれば、ユーザ又は作業者は、出力部14の出力を確認することで、電気機器1の初期化が正常に行われていることを把握しやすくなる、という利点がある。
【0081】
また、例えば、制御方法は、操作機器2により操作される電気機器1の制御方法であって、操作機器2との間で無線通信を行う。また、制御方法では、操作機器2からの初期化を指示する初期化信号を受信すると、電気機器1が有する複数の機能を順次初期化する初期化処理を実行する。また、制御方法では、初期化処理の進捗に応じて電気機器1の出力を変化させる。
【0082】
このような制御方法によれば、ユーザ又は作業者は、出力部14の出力を確認することで、電気機器1の初期化が正常に行われていることを把握しやすくなる、という利点がある。
【符号の説明】
【0083】
1 電気機器
11 通信部
13 照明制御部(処理部)
14 出力部
141 光源部
2 操作機器
100 電気機器システム