(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023016797
(43)【公開日】2023-02-02
(54)【発明の名称】電磁波遮蔽フィルター
(51)【国際特許分類】
H03H 7/09 20060101AFI20230126BHJP
H01F 17/06 20060101ALI20230126BHJP
H01F 17/02 20060101ALI20230126BHJP
H03H 7/01 20060101ALI20230126BHJP
【FI】
H03H7/09 Z
H01F17/06 K
H01F17/06 F
H01F17/02
H03H7/01 Z
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022117676
(22)【出願日】2022-07-25
(31)【優先権主張番号】10-2021-0096783
(32)【優先日】2021-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】522296136
【氏名又は名称】シン,ゴン イル
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】シン,ゴン イル
【テーマコード(参考)】
5E070
5J024
【Fターム(参考)】
5E070AA01
5E070AB03
5E070BA14
5E070CA01
5E070CA06
5E070DA05
5E070DA17
5J024AA01
5J024CA06
5J024DA01
5J024DA21
5J024DA26
5J024EA02
5J024EA03
5J024EA08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】希望する高周波信号は伝達する一方、希望しない共通モード形態の電磁波は遮断することで、低域通過方式や帯域通過方式のフィルターで電磁波遮蔽を構成する電磁波遮蔽フィルターを提供する。
【解決手段】高周波通信用の電磁波遮蔽フィルターは、フィルターの内部に楕円形のフェライト磁気コアを構成し、両端に1次コイルと2次コイルを設置した後、楕円形の磁界コアにおいて遮蔽及び貫通部を電磁波遮蔽の材質で仕上げて、1次コイル側の信号は磁界形態で2次コイルに伝送し、余りの希望しない共通モード成分は除去する構造を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁波遮蔽フィルターの中央部に設置される楕円形(円形)のフェライト磁気コアで構成され、
前記楕円形のフェライト磁気コアを中心に互いに対称に対峙される形態で配置される1次コイルと2次コイル、
前記楕円形(円形)のコアに巻き取られる1次コイル、
前記楕円形のコアに巻き取られる2次コイル、
前記楕円形の磁気コアを取り囲むコア貫通及び遮蔽部、
前記1次コイル、前記2次コイル、前記楕円形のフェライト磁気コア、磁気コアを面接触で取り囲み、遮蔽フィルターの内部面と密着する磁気コア遮蔽及び貫通部を含む電磁波遮蔽フィルターの外郭筐体、
を含むことを特徴とする、電磁波遮蔽フィルター。
【請求項2】
前記楕円形の磁気コアを通じて、高周波特性に優れ、高い透磁率を有するコアを適用し、磁界形態で信号伝送は維持しながら、磁気コアの周辺を磁界コア遮蔽貫通部を用いて電磁気的に遮蔽し、前記1次コイルと前記2次コイル間の電磁気遮蔽を維持することを特徴とする、請求項1に記載の電磁波遮蔽フィルター。
【請求項3】
前記磁気コアは、楕円形(円形)のフェライトコアが適用されることを特徴とする、請求項2に記載の電磁波遮蔽フィルター。
【請求項4】
前記楕円形の磁気コアの中心部の周辺において、電磁波遮蔽フィルターの内部壁面と面で接地及び遮蔽される磁気コア遮蔽及び貫通部の材質が、鉄、銅、アルミニウムなどの高い導電性(低い抵抗性)の材質で構成されることを特徴とする、請求項2に記載の電磁波遮蔽フィルター。
【請求項5】
前記磁気コア遮蔽及び貫通部は、高い導電性(低い抵抗性)の材質である鉄綿や銅綿のような低密度、高導電性の形態で構成されることを特徴とする、請求項2に記載の電磁波遮蔽フィルター。
【請求項6】
前記楕円形(円形)の磁気コアに1次及び2次コイルが1回転又は多重で巻き取られ、1次端から2次端に高周波信号(RF)を伝送可能にすることを特徴とする、請求項2に記載の電磁波遮蔽フィルター。
【請求項7】
前記楕円形(円形)の磁気コアに1次及び2次コイルを代替する同軸ケーブルが巻き取られ、ループアンテナ状で1回転又は多重で巻き取られる構造であり、1次端から2次端に高周波信号(RF)を伝送可能な構造を有することを特徴とする、請求項2に記載の電磁波遮蔽フィルター。
【請求項8】
前記楕円形(円形)の磁気コアの代わりに空心(Air)コアに代替され、1次及び2次コイルを代替して同軸ケーブルの終端でループアンテナの構造で適用され、1回転又は多重で巻き取られ、ループアンテナ面が互いに向かい合う構造を形成し、1次端から2次端に高周波信号(RF)を伝送可能な構造を特徴とする、請求項2に記載の電磁波遮蔽フィルター。
【請求項9】
前記磁気コアは、楕円形(円形)の積層型鉄芯コアが適用される構造を特徴とする、請求項2に記載の電磁波遮蔽フィルター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一実施例は、電磁波遮蔽フィルターに関し、電磁波遮蔽施設内に、必要な高周波信号は通過させ、それ以外の干渉周波数成分は遮断するフィルターに関する。
【背景技術】
【0002】
以下に記述される内容は、単純に本実施と関連する背景情報のみを提供するだけで、従来技術を構成するものではない。
【0003】
一般に、電磁波遮蔽施設の遮蔽効果の性能を検証するためには、EEEE-std-299又はMIL-STD-188-125-1/2、国立電波研究院告示第2016-10のような規格に従って遮蔽試験を行い、電磁波遮蔽施設の遮蔽性能を確認する。
【0004】
電磁波遮蔽施設は、基本的に外部と内部が電磁気波的に分離されており、外部の電磁波環境で施設内部のサーバーや通信装備が影響を受けないように設計された施設であって、人力や装備の移動のための遮蔽ドアー及び内部への電力供給や通信をするための電磁波遮蔽フィルターを用いて、電磁波遮蔽施設の内部と外部が連結される。
【0005】
現在使用されている従来の一般電磁波遮蔽フィルターは、低域通過フィルターを用いて、電磁波遮蔽を希望する10kHz~100kHz以上から数~18GHz帯域までの高帯域は遮断し、電力供給のような60Hzの低い周波数は通過させており、場合によって、帯域通過フィルターを用いて特定帯域のみが通過する形態で構成することもあり、高周波の通信周波数が低域通過フィルターの遮断周波数よりも高い通信帯域周波数(例えば、500MHz)である場合は、光電変換後に光ケーブルを通じて入力し、再び電光変換を行い、信号は伝送しながら電磁波遮蔽を維持する方式で遮蔽施設の内部と外部を連結する。
【0006】
一般に、最も低い周波数まで電磁波遮蔽を行う軍用(EMP)遮蔽フィルターとして使用される低域通過方式の電磁波遮蔽フィルターが、3dBの損失を有する遮断周波数が10kHz付近であり、それよりも遮断周波数をさらに下げると供給電力に損失を与えるため、10kHzの遮断周波数が通常の下限線である。このため、10kHz以下の周波数を送ると、それよりも低い周波数はフィルターを通過できるため、フィルターの役割が制限される状況が発生する。このように現在まで使用中の低域通過方式の電磁波遮蔽フィルターでは、全周波数帯域を遮断し、希望する周波数帯域の信号のみを通過させるには限界があるため、電磁波遮蔽フィルターの構成において、根本的な構造的変化が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本実施は、フィルターの内部において、電磁波遮蔽面の外部と内部を決定する部分に、透磁率の高い材質の楕円形構造の磁気コアを配置し、電磁気波を遮蔽可能な適切な深さと直径を有するコア遮蔽及び貫通部を通じて、高周波電磁波信号を1次コイルで差動モード形態に変え、楕円形の磁気コアで差動モードの磁場形態で遮蔽施設の外部から内部に伝達し、2次コイルで再び差動モードの高周波信号を復元し、希望する高周波信号は伝達する一方、希望しない共通モード形態の電磁波は遮断することで、低域通過方式や帯域通過方式のフィルターで電磁波遮蔽を構成することに目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本実施の一側面によれば、電磁波遮蔽施設の片側の遮蔽壁面に設置される電磁波遮蔽フィルターは、透磁率の高い楕円形(円形)の磁気コア構造の短い両側に1次コイル及び2次コイルが巻き取られる構造であり、楕円形の磁気コアの中間には高い電導度(低い抵抗性)を有する素材で構成し、電磁波遮蔽フィルターの内部が、縦断に電磁波遮蔽が可能な深さと直径を有するように構成されることで、高い透磁率を有する楕円形の磁気コア構造を中心に互いに対称に対峙する形態で配置される1次コイル;前記2次コイル、前記高い透磁率を有する磁気コア(磁気経路)を含む外郭筐体;コアの中心に縦断方向に電気電導度の高い(低い抵抗性)素材で充填される構造;を含むことを特徴とする、電磁波遮蔽フィルターを構成する。
【発明の効果】
【0009】
以上で説明したように、本実施によれば、フィルターの内部に、外部と内部を決定する電磁波の遮蔽境界面に、高い透磁率を有する素材で磁気経路を構成し、RF又は差動モード形態の高周波電磁波信号は、楕円形(又は円形)の磁気コアを通じて磁場形態で外部から内部に伝達し、楕円形の磁気コアの周囲と遮蔽フィルター筐体の内部面には高い電導度(低い抵抗性)を有する素材で充填して電磁波を遮蔽できる形態を備えており、電磁波遮蔽施設の外部と内部の電気場と磁気場を遮蔽する構造を有するので、無線高周波信号は通過させるが残りの放射性共通モード(Common mode)電磁波はすべての周波数帯域に亘って遮蔽できる効果がある。
【0010】
また、高周波信号自体は差動モード(Differential mode)構造なので通過可能であるが、外部ノイズなどの高出力電磁波などは共通モード(Common mode)なので楕円形の磁気コアを通過することが不可能であり、よって、通過を希望する信号以外のノイズは全帯域に亘って遮断される効果がある。従来の帯域通過フィルターや低域通過フィルター方式の電磁波遮蔽フィルターに対比される格別な特徴である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施に係る楕円形(円形)の磁気コアと磁気コア遮蔽及び貫通部を含む電磁波遮蔽フィルターを示す図である。
【
図2】本実施に係る楕円形の磁気コアと磁気コア遮蔽及び貫通部を含む電磁波遮蔽フィルターを電磁波遮蔽施設に適用した例を示す図である。
【
図3】本実施に係る楕円形の磁気コアを含む電磁波遮蔽フィルターの側面及び縦断面を示す図である。
【
図4】本実施に係る高周波信号を同時に送信及び受信できるように、二重の楕円形磁気コア及び1次、2次コイルセットを含む電磁波遮蔽フィルターを示す図である。
【
図5】本実施に係る同軸ケーブルを用い、1次及び2次コイルの代わりに1次及び2次ループアンテナを構成し、磁気コア遮蔽及び貫通部を含む電磁波遮蔽フィルターを適用した例を示す図である。
【
図6】本実施に、
図5のように同軸ケーブルを用いたフィルターに差動モードの高周波信号を通過させるために、入力同軸ケーブルの芯をグラウンドに連結しない構造で適用し、電磁波遮蔽を維持しながら磁界を形成するためのアンテナの役割のために、同軸ケーブルの外部グラウンドの一部が断線されている構造である。これは、構成された1次及び2次ループアンテナが磁場を効果的に発散する目的で同軸ケーブルの外部グラウンドの一部を断線したものである。
【
図7】本実施に係る同軸ケーブルを用いた電磁波遮蔽フィルターにGHz帯域のRFを通過させるために、フェライトコアを除去し、空芯(Air)コアの形態を適用して、同軸ケーブル構造の小さいループアンテナの広い面を突き合わせる構造で形成された電磁波遮蔽フィルターであって、GHz帯域の信号を通過させるための電磁波遮蔽フィルターに適用する構造である。
【
図8】本電磁波遮蔽施設の空気排気用に使用するハニカムの形状を示す図である。
【
図9】一般に使用される低域通過フィルター型の電磁波遮蔽フィルターを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本実施を添付図面に基づき詳細に説明する。
【0013】
図1は、本実施に係る楕円形の磁気コアを含む電磁波遮蔽フィルターを示す図である。
【0014】
本実施に係る楕円形(円形)のコアを含む電磁波遮蔽フィルターは、電磁波遮蔽筐体101、楕円形(円形)の磁気コア104、1次コイル102、2次コイル103、磁気コア遮蔽及び貫通部105を含み、該電磁波遮蔽フィルターに含まれた構成要素は必ずしもこれに限定されるものではない。
【0015】
楕円形の磁気コアを含む電磁波遮蔽フィルターは、
図1に示すように、電磁波遮蔽施設の片側の遮蔽壁面にフィルターを設置する際に、1次コイル102と2次コイル103が楕円形の磁気コアの両端に設置され、楕円形の磁気コア104は、高周波特性に優れ、高い透磁率を有する素材を適用して、1次コイル102から通過を希望する信号により形成された磁場形態で楕円形のコアを経由して反対側のコアに伝達され、反対側の2次コイル103で再び電圧形態に変更される。2次コイル103から1次コイル102への反対の場合も可能である。
【0016】
1次コイル102側に高周波通信のための信号を印加すれば、磁場に変更され、楕円形の磁気コア103を経由して2次コイルに誘起及び伝達される。再び2次コイルに伝達された磁場は、2次コイルにより電圧形態に変換され、受信した信号を復旧することができる。ところが、この状態では電磁波遮蔽機能がない変圧器の形態であるが、これに、楕円形の磁気コア104の周辺に高い電気電導度(低い抵抗性)を有する素材105で遮蔽フィルターの内部壁面を充填すれば、磁気コアを取り囲むトンネル状の構造が形成され、電磁波遮蔽が可能な条件を形成することができる。
【0017】
また、楕円形のフェライトタイルの物理的な耐久性が低い方なので、楕円形の磁気コア遮蔽及び貫通部を構成する際に、鉄綿や銅綿のような形態を適用すると、製作がしやすい他、外部の衝撃にも相当な保護効果を有し得る。密度の高い金属形態でフィルターの筐体とコア部分が充填されると、外部の衝撃がそのまま伝達されるが、鉄綿や銅綿のように密度が低い素材で充填されると、物理的衝撃を密度の低い(スポンジと類似した構造)素材が吸収し、衝撃の伝達が制限される。
【0018】
図9のような低域通過フィルター方式の電磁波遮蔽フィルターは、インダクタ920,921、キャパシタ923,924,925、落雷保護機927などで構成され、遮断周波数以下の周波数は通過させ、遮断周波数以上の周波数を通過させる構造であるため、低域通過フィルターの遮断周波数よりも高い周波数を遮蔽施設に通過させて送ることは難しい。そのため、特定帯域のみを通過させるように、帯域通過フィルター方式で電磁波遮蔽フィルターを適用する場合もあるが、このような低域通過フィルターや帯域通過フィルターの通過帯域の付近の周波数の遮断特性が、60dB程度の帯域阻止減殺を有するため、完璧な遮断特性を確保し難く、そのうえ、帯域通過フィルターの帯域内に高出力電磁波(EMP)信号が入力されると、電磁波遮蔽フィルターの役割を果たしづらい。
【0019】
しかし、本実施に係る電磁波遮蔽フィルター(
図1)は、楕円形の磁気コア104に誘起される高周波信号がマクスウェル方程式の電磁誘導の法則(数式1)によって、差動モード(Differential mode)の構造でのみ伝達されるので、高出力電磁波又は外部電磁波ノイズのように放射性である共通モード(Common mode)の電磁波は、1次コイル102から楕円形の磁気コア104を通過して2次コイル103に伝達され得ない。
【0020】
【0021】
また、本実施に適用される楕円形の磁気コアの直径が3~10nm程度なので、一定値以上の高出力電磁気波が入力されると、楕円形の磁気コア104の磁束が飽和されるため、2次コイルに一定エネルギー以上は伝達されず、これにより、楕円形の磁気コアの2次側の出力に連結された通信装備の受信端と送信端を保護することができる。
【0022】
また、電磁波遮蔽フィルターを構成する構成素子が、高周波素子であるにもかかわらず、すべて受動素子で構成されており、損傷される可能性が非常に低いが、その理由は、時間が経過するにつれて酸化されたり化学的性質が変わる物質を含んでいないからである。
【0023】
なお、低域通過フィルター(
図9)に含まれる素子、特に落雷保護機927、キャパシタ926,920,921などには寿命があり、永久的な使用が不可能であり、損傷時又は一定周期毎に交替が必要な部品であるが、このような部品は、本実施に係る電磁波遮蔽フィルター(
図1)を適用すると不要になるので、遮蔽施設内部の装備を中断なく使用することができ、フェライトコアが衝撃によって破れたり、1次コイル102と2次コイル103が過電流により損傷される現象はほとんど発生することがないので、本実施に係る電磁波遮蔽フィルターは永久的な寿命を有することができる。
【0024】
本実施に係る電磁波遮蔽フィルターに適用される楕円形の磁気コア104の素材は、高周波特性に優れ、高い透磁率を有する素材であることから、フェライト材質が使用されてよく、ZnMnタイプのフェライトは高い電導度(数十オーム)程度であることから、比較的低い周波数帯域で活用されてよく、NiMnタイプのフェライト素材が低い電気電導度(数十Mオーム)及び高い透磁率を有するので、より高い周波数帯域でより有効であり得る。
【0025】
さらに、本例示で記述する電磁波遮蔽フィルターは、高周波信号用の電磁波遮蔽フィルターとして考案されたものであるが、楕円形の磁気コアをフェライトコアの代わりに積層型鉄芯の磁気コアを適用すれば、50Hz又は60Hzの電源ラインのための電磁波遮蔽フィルターとしても使用可能であり、楕円形の磁気コアの構造のため、1次コイルと2次コイルとの間隔が遠ざかって伝送効率が低下することはあるが、電磁波の遮蔽特性を確保できることから、必要によって適用可能であろう。
【0026】
図2に示した電磁波遮蔽フィルターは、単独では電磁波の遮蔽が難しく、遮蔽施設207の壁面や天井に遮蔽フィルター筐体201が密着された構造で構成され、六面体がすべて遮断された遮蔽施設構造で使用可能であり、現在構築されている遮蔽施設はすべてこのような構造で建築されており、このような施設に適用されるフィルターである。
【0027】
楕円形(円形)の磁気コア遮蔽及び貫通部を形成する部分に穴が形成され、ZnMnタイプのフェライトを楕円形の磁気コアとして使用する場合、フェライトタイル自体の電気電導度が高いので(低い抵抗、数十オーム)、磁気コアに穴が存在しても電磁気波の観点では塞がっているような形態を保持することができる。そして、楕円形の磁気コアとしてNiMnタイプのフェライトを適用する場合、磁気コアが貫通する穴を、電磁気波の観点では電磁波の遮蔽が損傷され得る構造と見なすことができるが、表1のように穴の直径(d)306と深さ(g)307を調整することによって、これを解決することができる。また、フェライトの材質自体が電磁波を吸収する機能があるので、穴が存在しても電磁波遮蔽における損傷の有無の観点では影響が少ない。
【0028】
図8は、電磁波遮蔽施設の換気部に使用するハニカムであって、空気は通すが電磁波は遮蔽させる構成品であり、物理的な穴(
図8)はあるが、ハニカムの遮断周波数以内では電磁波を遮蔽することができる。
【0029】
次の表は、電磁波遮蔽施設のハニカムの直径と深さにより決定される電磁波遮蔽効果の計算式であり、貫通口の物理的穴の形態、例えば四角形、円形、六角形の鋳造により電磁波の遮蔽効果が変わり得るが、基本的に貫通口の直径(d)と深さ(g)を(
図3,
図8を参照)調整することによって、電磁波遮蔽を損傷させ得る穴があっても遮蔽周波数以下では電磁波の遮蔽が可能であることが分かる。
【0030】
【0031】
例えば、六角形状のハニカムにおいて、深さ(d)が20mmで、最も長い直径が3mmである場合、18GHzでは遮蔽効果が96dBと維持されるので、穴が存在しても穴の深さと直径により決定された遮断周波数以下では電磁波の遮蔽が可能である。
【0032】
したがって、NiMnタイプのフェライトを適用する場合にも、電気電導度が低いので(高抵抗性の素材)、電磁気波観点の穴が存在しても電磁波遮蔽の損傷がない電磁波遮蔽を維持できる構造が可能である。
【0033】
本実施に係る電磁波遮蔽フィルター(
図1)は、従来の低域通過方式や帯域通過方式のフィルターにおいて構成上に必要な容量性(キャパシタ)素子と誘導性(インダクタ)素子が不要であり、特に外部の強いインパルス性衝撃に対する保護装置である落雷保護機やEMP保護装置926が不要になる。電磁波遮蔽フィルター(
図9)の内部の素子は、寿命を持つ素子であって、周期的な交替が必要であり、時間的かつ費用的な損失が発生する。このような低域通過フィルター方式に比べて磁界伝送方式フィルターの最も大きい長所は、全周波数帯域で100dB以上の高い電磁波遮蔽効果の特性を有し、さらには電磁波遮蔽フィルターの通過帯域が別に存在しない他、信号を通過させる通過帯域ですら電磁波遮蔽が維持できることである。また、1次コイル、2次コイル及び楕円形のコアを取り囲んでいる部分は、この構造の内部的かつ電気的に短絡及び遮蔽構造を作っているので、電界形態で放出したりカップリングされる現象が最小化され、1次と2次間に電磁波遮蔽が維持される特性を示す。
【0034】
図3は、本実施に係る楕円形(円形)の磁気コアを含む電磁波遮蔽フィルターの側面及び縦断面を示す図であり、磁気コアの貫通口の直径と深さが表示されている。
【0035】
本実施に係る楕円形(円形)の磁気コア304を含む電磁波遮蔽フィルター(
図3)は、楕円形の磁気コア304、1次コイル302、2次コイル303、磁気コア遮蔽及び貫通部305、電磁波遮蔽フィルターの外郭筐体301を含む。電磁波遮蔽フィルター(
図3)に含まれた構成要素は必ずしもこれに限定されものではない。
【0036】
図4は、本実施に係る二重の楕円形(円形)の磁気コアを含む電磁波遮蔽フィルターを示す図である。
【0037】
本実施に係る楕円形のコアを含む電磁波遮蔽フィルター(
図4)は、2つの楕円形の磁気コア、2つの1次コイル402、3つの2次コイル403、磁気コア遮蔽及び貫通部405で構成されており、イーサネット信号のようなデジタル通信において、遮蔽施設の内部に高周波信号を伝達するため、送信部と受信部を個別に構成し、同時送信及び受信を可能にする。電磁波遮蔽フィルター(
図4)に含まれた構成要素は必ずしもこれに限定されるものではない。
【0038】
図5は、本実施に係る楕円形(円形)の磁気コアを含む電磁波遮蔽フィルターを示す図である。
【0039】
本実施に係る楕円形(円形)のコアを含む電磁波遮蔽フィルター(
図5)は、楕円形(円形)の磁気コア504、1次コイルの役割を担う同軸ケーブル508の終端のループアンテナ502、2次コイルの役割を担う同軸ケーブル509の終端のループアンテナ503、磁気コア遮蔽及び貫通部505で構成されており、低い周波数での伝送特性は劣るが、コイルに比べて高い周波数帯域での伝送効率を期待することができ、同軸ケーブル508,509を磁気コアに巻き取った後、同軸ケーブル508,509の芯を同軸ケーブル508,509のシールド面に電気的に連結する方法によって、ループアンテナ502,503を作り、1次及び2次コイルと同じ役割にすることができる。また、取り扱う周波数が数百MHz~数GHzの帯域幅を有するので、SMA型又はN型のようなRFコネクター506,507及びケーブル508,509を適用して連結する。電磁波遮蔽フィルター(
図5)に含まれた構成要素は必ずしもこれに限定されるものではない。
【0040】
図7は、以前の項で言及された特徴のうち、フェライトコアを空心(Air)コアに代替した場合であり、フェライト材質では1GHz以下の周波数帯域における動作が容易であるが、1GHz帯域以上の磁界伝達特性を満たし難いため、フェライト磁気コアを空心(Air)コアに代替した場合に、GHz帯域のようなはるかに高い周波数特性を得ることができ、特定のGHz帯域の信号は通過しながら全周波数帯域の電磁波を遮蔽するために使用することができ、さらにはRF通過帯域内でも外部の電磁波遮蔽が可能であり、放射性電磁波である共通モード(Common mode)の外部電磁波ノイズは[数式1]のような磁界の伝達構造のため、1次側から2次側に伝達され得ない。電磁波遮蔽フィルター筐体701の外部のコネクター706,707と連結された1次同軸ケーブル708と2次同軸ケーブル709は、中間部で同軸ケーブルの芯と外皮グラウンド部が当接する構造で作られた小さいループ(loop)アンテナ構造で構成される。1次ループアンテナ702と2次ループアンテナ703は、互いに電気的に短絡されないとともに、互いに向かい合う構造で配置され、入力されたRF信号は1次ループアンテナ702を通りながら作られた磁界が2次ループアンテナ703側に磁場形態で伝送され、この磁場信号を受け取る構造で動作する。1次及び2次ループアンテナを取り囲んでいるコア遮蔽部と小さいループアンテナ部位は電気的に離隔されている。また、この空間内で、ループアンテナ自体は電界側面では短絡であるため、電界の放射が起り得ず、カップリングもなく、シールドルームの内部と外部を決定する1次端と2次端は電気的に短絡であるため、全周波数帯域に対して電界的に完全に分離される。ただし、1次ループアンテナ702及び2次ループアンテナ703に反応する特定の該当周波数帯域のみが、磁場形態で1次と2次側は電磁波損失が一部発生するが、1次端と2次端が連結される。(3dB以内)
【0041】
図8は、本電磁波遮蔽施設の換気口部分に設置されるハニカムの形状を示す簡略図であり、穴の直径(g)802と深さ(d)803を示し、2個の項による関数によって電磁波遮蔽効果の量が決定され、電磁気的な開口面が存在しても特定の遮断周波数以下では電磁波遮蔽が可能であることを示すための図である。
【0042】
図9は、現在、一般に使用する高周波信号線用の低域通過フィルター方式の電磁波遮蔽フィルターを示す図であり、インダクタ920,921と、キャパシタ923,924,925と、サージ保護器925などで構成され、フィルター入力端に入力された信号は、特定の遮断周波数以下でのみ通過し、それ以上は遮断される特性を有している。場合によって、帯域通過フィルターや高域通過フィルターと併合して使用する場合もあるが、遮蔽フィルターの通過帯域内に干渉信号や高出力信号が入力される場合、遮蔽フィルターを通過して出力として伝達されるため、遮蔽施設内の装備が損傷される可能性が高い。
【0043】
以上の説明は、本実施の技術思想を例示的に説明したものに過ぎず、本実施の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、本実施の本質的な特性から逸脱しない範囲で様々な修正及び変形が可能である。したがって、本実施は、本実施の技術思想を限定するためのものではなく説明するためのものであり、このような実施例により、本実施の技術思想の範囲が限定されるものではない。本実施の保護範囲は次の特許請求の範囲によって解釈されるべきであり、それと同等な範囲内にあるすべての技術思想は、本実施の権利範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0044】
101,201,301,401,501,601,701:電磁波遮蔽フィルター筐体
202,302,402,502:1次コイル
104,204,304,404,504:楕円形(円形)の磁気コア(磁気経路)
203,303,403,403:1次及び2次コイル
105,205,305,405,505,605,705:磁気コア遮蔽及び貫通部(高導電性の素材)
506,507,606,607,706,707:RFコネクター
508,509,608,609,708,709:同軸ケーブル
502,503,602,603,702,703:同軸ケーブルの終端ループアンテナ(1次及び2次コイルの役割)
206:電磁波遮蔽ドアー
801:ハニカム
802:ハニカムの直径(g)
803:ハニカムの深さ(d)
920,921:インダクタ
923,924,925:キャパシタ
926:落雷保護機(MOV,Arrestor)