(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023167984
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】自動倉庫
(51)【国際特許分類】
B65G 1/04 20060101AFI20231116BHJP
【FI】
B65G1/04 521
B65G1/04 515A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022079564
(22)【出願日】2022-05-13
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100128428
【弁理士】
【氏名又は名称】田巻 文孝
(72)【発明者】
【氏名】▲辻▼ 雄爾
【テーマコード(参考)】
3F022
【Fターム(参考)】
3F022EE05
3F022FF01
3F022JJ13
3F022KK12
3F022LL16
3F022MM01
3F022MM05
3F022MM13
3F022NN12
3F022PP06
(57)【要約】
【課題】より早い時間で持ち替えを完了させて、奥行き幅が異なる複数種類の荷物をラックの奥行き方向に効率的に格納することができるシャトル式の自動倉庫を提供する。
【解決手段】本発明のシャトル式の自動倉庫1は、移載装置12を備えた入出庫台車4とラック2とを備え、移載装置12は、ミドルアーム36およびトップアーム38を含むサイドアーム32と、トップアーム38の前後端の各端部フック46と、各端部フック46間の中央フック48と、台車4上で荷物を奥行き方向に移動可能なコンベヤ62と、コントローラ50と、を備え、コントローラ50は、荷物(A1、B1)の後端が、移載するラック2の側であって中央フック48よりも前側の位置となるまで、荷物を移動させるようコンベヤ62を駆動し、その後、荷物を中央フック48により、ラック2の奥行き方向に格納するようサイドアーム32を駆動する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物を移載する移載装置を備えた入出庫台車と、この入出庫台車の走行路の両側に配置されたラックと、を備えたシャトル式の自動倉庫であって、
上記ラックは、荷物を奥行き方向に少なくとも2個格納可能であり、
上記移載装置は、
ベースアーム、ミドルアーム、トップアームを少なくとも有するサイドアームであって、上記両側のラックに進出可能であり、上記トップアームの先端が上記ラックの奥行き方向において一番奥側に移載される荷物の後端位置まで進出するサイドアームと、
上記トップアームの前後端にそれぞれ配置された端部フックと、
上記トップアームにおいて上記各端部フック間の中間位置に配置された中央フックと、
上記入出庫台車の荷物載置面に配置され、荷物を奥行き方向に移動可能なコンベヤと、
上記移載装置を制御するコントローラと、を備え、
上記コントローラは、荷物の後端が移載するラックの側であって上記中央フックよりも前側の位置となるまで荷物を移動させるよう上記コンベヤを駆動し、その後、荷物を上記中央フックにより上記ラックの奥行き方向に格納するよう上記サイドアームを駆動するように構成されている、ことを特徴とするシャトル式の自動倉庫。
【請求項2】
上記移載装置のコンベヤは、荷物と係合可能な爪部材をコンベヤ表面に有する連続して回転するコンベヤである、請求項1に記載のシャトル式の自動倉庫。
【請求項3】
上記コントローラは、上記入出庫台車の走行中に、上記荷物の前端が移載するラックの側であって上記端部フックに近接した位置となるまで荷物を予め寄せておくよう上記コンベヤを駆動するように構成されている、請求項1または請求項2に記載のシャトル式の自動倉庫。
【請求項4】
上記コントローラは、荷物を移載する上記ラックの箇所がフローラックである場合、上記サイドアームを駆動せず、上記コンベヤの駆動によって荷物を上記ラックの奥行き方向に格納するよう構成されている、請求項1に記載のシャトル式の自動倉庫。
【請求項5】
上記ラックは、上記端部フックと上記中央フックとの間の距離より小さい所定の奥行き幅を有する小荷物を奥行き方向に3個格納可能であり、
上記コントローラは、小荷物を上記ラックに格納する場合、上記入出庫台車の走行中に、移載するラックの側であって上記中央フックよりも前側に小荷物を移動させるよう上記コンベヤを駆動すると共に上記中央フックを開位置とし、上記入出庫台車の停止後に、上記小荷物を上記中央フックにより上記ラックの奥行き方向に格納するよう上記サイドアームを駆動するように構成されている、請求項1に記載のシャトル式の自動倉庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動倉庫に係わり、特に、荷物を移載する移載装置を備えた入出庫台車と、この入出庫台車の走行路の両側に配置されたラックと、を備えたシャトル式の自動倉庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、荷物を移載するためのサイドアームおよびフックを備えると共に、上面に載置される荷物を搬送させるコンベヤを備えたリアフック式移載装置が知られている(たとえば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】再公表特許WO2014/038387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、シャトル式の自動倉庫において、リアフック式移載装置など、荷物をフックで押し出す機構を備える移載装置において、奥行き幅が異なる複数種類の荷物をシャトルからラック(棚)の奥行き方向に複数格納(荷おろし)する場合がある。このようにラックの奥行き方向に複数種類の荷物を格納する場合、既に奥側に格納されている荷物や隣のラックにスライドアームが接触する恐れがある。そのため、格納しようとする荷物の奥行き幅に合わせたフックの追加や、異なるフックによる荷物の持ち替えが必要になる。
【0005】
しかしながら、上述したようにフックを追加する場合、フック点数追加によるコストアップや、所定の奥行き幅の荷物しか荷おろしを行えない、という問題がある。
また、異なるフックによる荷物の持ち替えを行う場合、荷おろし時のサイクルタイムの増加や、持ち替え動作中の荷物の傾きの発生により、次に荷積みができなくなる恐れがあるという問題がある。
【0006】
また、ラックの奥行き方向に奥行き幅が異なる複数種類の荷物を格納する場合、フックを荷物の移載方向(奥行き方向)に可動とした可動式フックを移載装置の前後端に採用することにより、異なる奥行き幅の荷物を持ち替え無しでラックに格納することも考えられる。しかしながら、この場合、フックを可動させる機構が必要となり、コストが増大するという問題がある。
【0007】
また、前後端の各フックと中央フックとを備えた移載装置において、ラックの奥行き方向に奥行き幅が異なる複数種類の荷物を格納する場合、移載装置上のある位置に載置された荷物に対して、まず、サイドアームを、荷物を移載するラック側とは反対側に戻して中央フックに荷物を掛け、次に、サイドアームを、荷物を移載するラック側に伸ばして、中央フックに掛けられた荷物を棚に荷おろしする、というような手順で荷物を格納することも考えられる。しかしながら、この場合、反対側のラックに荷物が格納されていると、その荷物とサイドアームとが干渉してしまう懸念があり、この手順を採用する場合、反対側のラックを空けておく必要がある、という問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、上述した問題を解決するためになされたものであり、より早い時間で持ち替えを完了させて、奥行き幅が異なる複数種類の荷物をラックの奥行き方向に効率的に格納することができるシャトル式の自動倉庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明は、荷物を移載する移載装置を備えた入出庫台車と、この入出庫台車の走行路の両側に配置されたラックと、を備えたシャトル式の自動倉庫であって、ラックは、荷物を奥行き方向に少なくとも2個格納可能であり、移載装置は、ベースアーム、ミドルアーム、トップアームを少なくとも有するサイドアームであって、両側のラックに進出可能であり、トップアームの先端がラックの奥行き方向において一番奥側に移載される荷物の後端位置まで進出するサイドアームと、トップアームの前後端にそれぞれ配置された端部フックと、トップアームにおいて各端部フック間の中間位置に配置された中央フックと、入出庫台車の荷物載置部に配置され、荷物を奥行き方向に移動可能なコンベヤと、移載装置を制御するコントローラと、を備え、コントローラは、荷物の後端が移載するラックの側であって中央フックよりも前側の位置となるまで荷物を移動させるようコンベヤを駆動し、その後、荷物を中央フックによりラックの奥行き方向に格納するようサイドアームを駆動するように構成されている、ことを特徴としている。
【0010】
このように構成された本発明によれば、持ち替え機構の一つであるコンベヤを駆動して、荷物の後端が移載するラックの側であって中央フックよりも前側の位置となるまで荷物を移動させ、その後、サイドアームを駆動して、荷物を中央フックによりラックの奥行き方向に格納するので、より早い時間で持ち替えを完了させて、奥行き幅が異なる複数種類の荷物をラックの奥行き方向に効率的に格納することができる。
【0011】
また、本発明において、好ましくは、移載装置のコンベヤは、荷物と係合可能な爪部材をコンベヤ表面に有する連続して回転するコンベヤである。
このように構成された本発明によれば、たとえば荷物がコンベヤ上で滑るような場合でも荷物が爪部材に係合するので、より確実に、より早い時間で持ち替えを完了させて、奥行き幅が異なる複数種類の荷物をラックの奥行き方向に効率的に格納することができる。
【0012】
また、本発明において、好ましくは、コントローラは、入出庫台車の走行中に、荷物の前端が移載するラックの側であって端部フックに近接した位置となるまで荷物を予め寄せておくようコンベヤを駆動するように構成されている。
このように構成された本発明によれば、より確実に、より早い時間で持ち替えを完了させて、奥行き幅が異なる複数種類の荷物をラックの奥行き方向に効率的に格納することができる。
【0013】
また、本発明において、好ましくは、コントローラは、荷物を移載するラックの箇所がフローラックである場合、サイドアームを駆動せず、コンベヤの駆動によって荷物をラックの奥行き方向に格納するよう構成されている。
このように構成された本発明によれば、より確実に、より早い時間で持ち替えを完了させて、奥行き幅が異なる複数種類の荷物をラックの奥行き方向に効率的に格納することができる。
【0014】
また、本発明において、好ましくは、ラックは、端部フックと中央フックとの間の距離より小さい所定の奥行き幅を有する小荷物を奥行き方向に3個格納可能であり、コントローラは、小荷物をラックに格納する場合、入出庫台車の走行中に、移載するラックの側であって中央フックよりも前側に小荷物を移動させるようコンベヤを駆動すると共に中央フックを開位置とし、入出庫台車の停止後に、小荷物を中央フックによりラックの奥行き方向に格納するようサイドアームを駆動するように構成されている。
このように構成された本発明によれば、荷物を奥行き方向に3個格納可能なラックにおいて、より確実に、より早い時間で持ち替えを完了させて、奥行き幅が異なる複数種類の荷物をラックの奥行き方向に効率的に格納することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、より早い時間で持ち替えを完了させて、奥行き幅が異なる複数種類の荷物をラックの奥行き方向に効率的に格納することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態によるシャトル式自動倉庫の概略構成を示す正面図である。
【
図2】本発明の実施形態によるシャトル式自動倉庫の概略構成を示す平面図である。
【
図3】本実施形態によるシャトル式自動倉庫の入出庫台車およびその移載装置の概略構成を示す斜視図である。
【
図4】本実施形態の入出庫台車が備える移載装置の制御システムの概略構成を示すブロック図である。
【
図5】本実施形態の移載装置による移載パターンを示す模式図であり、奥行き方向に2個の大荷物の載置位置が規定されたラックおよびシャトル通路上の入出庫台車を示す図である。
【
図6】本実施形態の移載装置による移載パターンを示す模式図であり、奥行き方向に3個の小荷物の載置位置が規定されたラックおよびシャトル通路上の入出庫台車を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、添付図面を参照して、本発明の実施形態によるシャトル式自動倉庫を説明する。
【0018】
まず、
図1および
図2により、本発明の実施形態によるシャトル式自動倉庫の概略構成を説明する。
図1は、本発明の実施形態によるシャトル式自動倉庫の概略構成を示す正面図であり、
図2は、本発明の実施形態によるシャトル式自動倉庫の概略構成を示す平面図である。
図1および
図2に示すように、符号1は、本実施形態のシャトル式自動倉庫(以下、「自動倉庫」という)を示し、この自動倉庫1は、ラック2と、複数の入出庫台車(以下、「台車」という)4とを備える。
ラック2は、左右方向(図に示すX方向)に並べられた一連の棚6を有する棚段8を上下方向(図に示すZ方向)に複数備えている。なお、複数の棚6のそれぞれは別体であってもよく、一体に形成されていてもよい。
【0019】
次に、
図2に示すように、複数の台車4は、それぞれ、一対のレールを有する走行路10に沿って左右方向に互いに独立して移動し、後述する移載装置12により、ラック2に対する荷物の受け渡し、すなわち、ラック2への荷おろし(移載)および台車4へのラック2からの荷つみを行う。複数の台車4は、複数の棚段8に1台ずつ配置されている。
図2に示すように、ラック2は、台車4の走行路10を挟んで対向する一対のラック2を有する。
なお、本実施形態の自動倉庫1の変形例として、たとえば3段の棚段8毎にリフタ付きの入出庫台車を1台配置して、その1台の台車で3段の棚段8にそれぞれ荷物を格納することができるような自動倉庫1であってもよい。
【0020】
次に、
図1および
図2に示すように、自動倉庫1は、その両側に、ラック2に収納されるべき荷物を受け取り、かつ、ラック2から取り出された荷物を受け取るための第1および第2のステーション14、16を備える。本実施形態では、第1ステーション14は、最下段の棚段8に対応する上下方向の位置に配置されており、第2ステーション16は、最上段の棚段8に対応する上下方向の位置に配置されている。
【0021】
また、自動倉庫1は、荷物を昇降させる第1および第2の昇降装置18、20を備える。第1および第2の昇降装置18、20は、それぞれ、第1および第2のステーション14、16と台車4との間の荷物の受け渡しを仲介する。
【0022】
自動倉庫1は、これら台車4等の動作を制御するコントローラ22を備えている。台車4等は無線通信または有線通信によりコントローラ22から送信される制御信号に従って動作する。
【0023】
ここで、コントローラ22による自動倉庫1の基本的な荷物の入出庫動作を説明する。
まず、荷物の入庫作業として、第1ステーション14の入庫用コンベヤ24により搬送されてきた荷物は、第1昇降装置18により、入庫する棚段8に対応する高さ位置の入庫用載置領域26に載置される。この入庫用載置領域26に載置された荷物は、該当する棚段8の台車4に引き取られ、その棚段8のいずれかの棚6に移載(荷おろし)される。
次に、荷物の出庫作業として、入庫する棚段8のいずれかの棚6に載置されている荷物は、該当する棚段8の台車4に荷つみされ、その棚段8に対応する高さ位置の出庫用載置領域28まで搬送される。この出庫用載置領域28まで搬送された荷物は、第1昇降装置18を介して出庫用コンベヤ30まで移動され、さらに出庫用コンベヤ30に接続された搬送先まで搬送される。
【0024】
第2ステーション16も、第1ステーション14と同様であり、入庫用コンベヤ25、入庫用載置領域27、出庫用載置領域29および出庫用コンベヤ31を備え、上述した入出庫動作が行われる。また、第1ステーション14および第2ステーション16の一方を介した入庫作業および出庫作業は、他方を介した入庫作業および出庫作業とは独立して実行することができる。
【0025】
次に、
図3により、本実施形態のシャトル式自動倉庫の入出庫台車およびその移載装置の概略構成を説明する。
図3は、本実施形態によるシャトル式自動倉庫の入出庫台車およびその移載装置の概略構成を示す斜視図である。
図3に示すように、台車4は、移載装置12を備える。移載装置12は、一対のサイドアーム(持ち替え機構)32を備え、これらのサイドアーム32が前後方向(
図1、
図2に示すY方向)に伸縮することにより、荷物の取り込み(荷つみ)および送り出し(荷おろし)を行う。
一対のサイドアーム32は、それぞれ、ベースアーム34と、このベースアーム34に連結されたミドルアーム36と、このミドルアーム36に連結されたトップアーム38とを有する。なお、一対のサイドアーム32の各アーム34、36、38の構成は、左右で互いに同じであるので、以下では、片方のアームについて説明する。
【0026】
ベースアーム34は、台車4に固定されている。ベースアーム34の中央部には、スプラインシャフト40が左右方向(
図1、2に示すX方向)に貫通して延びており、このスプラインシャフト40は、台車4に内蔵されたモータ(後述する
図4に示すアーム出退モータ52)で回転駆動されるようになっている。
このスプラインシャフト40の前後には、それぞれ、4つずつ並べられたピニオンギア42が互いに噛み合うよう配置されると共に、これらのピニオンギア42にミドルアーム36のラックギア44が噛み合うように配置される。
また、ミドルアーム36の前後方向の両端部、および、トップアーム38の前後方向の両端部には、それぞれ、プーリ(図示せず)が設けられ、これらのプーリにベルト(図示)がたすき掛けされている。
【0027】
本実施形態では、主にこれらの構成により、スプラインシャフト40を所定の方向に回転させると、従動する各ピニオンギア42が回転し、その回転を受けたラックギア44が前後方向のいずれか一方に移動し、これにより、ミドルアーム36がベースアーム34に対して伸縮する。さらに、ミドルアーム36が伸縮することにより、プーリにたすき掛けされたベルトの作用により、トップアーム38が、ミドルアーム36の倍量、伸縮するようになっている。このように、ミドルアーム36の伸縮に連動して、トップアーム38が伸縮するようになっている。
なお、本実施形態では、3枚板のアーム34、36、38でサイドアーム32を構成しているが、たとえばダブルリーチアームなど、4枚板のアームでサイドアーム(32)を構成するようにしてもよい。
【0028】
このようにベースアーム34、ミドルアーム36、トップアーム38を有するサイドアーム32は、上述した駆動機構(40、42、44など)により、台車4の走行路10の両側に配置されたラック2(棚6)に進出可能であり、かつ、その先端が、ラック2の奥行き方向において一番奥側に移載される荷物の後端位置まで進出するようになっている。たとえば、後述する
図5、
図6において図示は省略しているが、トップアーム38の先端は、ラック2の奥行き方向の一番奥側に移載された荷物(
図5のA2、
図6のB3)の後端位置まで進出する。そして、このトップアーム38は、開状態にある先端の端部フック46が、それらの荷物A2、B3の後方端部に係合して、それらの荷物A2、B3を台車4に取り込むこと(荷つみ)が可能となっている。
【0029】
次に、トップアーム38は、その前後端部にそれぞれ端部フック(持ち替え機構)46を備える。これらの端部フック46は、トップアーム38内に収容されるような閉位置(
図3に示す位置)と、この閉位置から約90°回転して、一対のトップアーム38の間に突出する開位置との間で回動可能に構成されている。これらの端部フック46は、開状態において、荷物の前端または後端に係合して、荷物を取り込みまたは送り出しするようになっている。
【0030】
また、トップアーム38は、その前後方向の中間位置に中央フック(持ち替え機構)48を備える。この中央フック48も、上述した端部フック46と同様に、トップアーム38内に収容されるような閉位置(
図3に示す位置)と、一対のトップアーム38の間に突出する開位置との間で回動可能に構成され、その開状態において、荷物の前端または後端に係合して、荷物を取り込みまたは送り出しするようになっている。
【0031】
中央フック48は、端部フック46と同様の形状に形成された2本の棒状部材48aを1つの板状部材48bで連結して、一体的なフックとして形成されている。
図3から明らかなように、このように形成された中央フック48の前後方向の厚さ(後述する、ラック2の奥行き方向の幅)は、端部フック46の前後方向の厚さ(ラック2の奥行き方向の幅)より十分大きい。
【0032】
本実施形態では、この中央フック48の前後方向厚さ(奥行き方向の幅)は、各ラック2の奥行き方向に3つの小荷物を格納する場合に、中央フック48のみで、ラック2の最も奥側の載置位置に小荷物を移載することができる大きさに設定されている。すなわち、本実施形態では、サイドアーム32の一定の伸縮量に対し、中央フック48の奥行き幅を大きくして、中央フック48に係合する小荷物(たとえば、
図6のB3)を最奥の格納位置に移載することができるようにしている。
なお、中央フック48の奥行き幅が前後の端部フック46の奥行き幅と同じとなるよう、中央フック48および端部フック46を同一の構造としてもよい。この場合、小荷物を中央フック48のみでラック2の最奥の格納位置に移載できるような伸縮量が得られるよう、サイドアーム32を構成すればよい。
【0033】
次に、台車4内には、一対のサイドアーム32全体の互いの間隔を狭めまたは拡げるように、ベースアーム34を左右方向に移動させるアーム開閉モータ56(
図4参照)が組み込まれている。すなわち、所定の荷幅の荷物を移載する場合には、まず、このモータ56により、各トップアーム38間の間隔を、フック46、48のいずれかが荷物の前後端に係合可能となるような距離まで狭める。この場合、トップアーム38は、荷物との間に所定の小さいクリアランスを保つ位置まで近づけられるか、あるいは、荷物に過大な圧力がかからない程度にクランプする。
また、トップアーム38は、端部フック46および中央フック48を回動させるフック開閉モータ54(
図3、
図4参照)を備える。
【0034】
次に、
図3に示すように、台車4の下方部分には、その荷物載置面(荷物載置部)60に、コンベヤ(持ち替え機構)62が設けられている。本実施形態において、このコンベヤ62は、無端ベルトによるベルトコンベヤであり、台車4の前後にそれぞれ設けられた駆動軸(図示せず)および従動軸(図示せず)によって連続して回転するよう構成されている。駆動軸は、後述する
図4に示すコンベヤ駆動モータ58により駆動される。コンベヤ62は、このコンベヤ駆動モータ58により、前後方向の2方向に切り換えて回転するようになっている。
【0035】
このコンベヤ62の表面には、
図3に示すように、荷物に係合して荷物を移載方向に移動させる爪部材64が設けられている。爪部材64は、本実施形態では、コンベヤ62上の2箇所に設けられており、これらの2つの爪部材64は、コンベヤ62上で等距離(2つの爪部材64で区切られたコンベヤの2つの面の長さが等しくなる距離)に離間するよう設けられている。
図3では、他方の爪部材(64)は、隠れた位置に存在している。等距離の2箇所の爪部材64は、それらが、台車4の前後方向の側面(各ラック2側の側面)の格納位置(
図5(A)、
図5(E)、
図6(A)、
図6(C)参照)に移動したときに、荷物載置面60より下方となり、これにより、コンベヤ62を使用しないときに、荷物の荷おろしおよび荷つみを阻害しないようにしている。なお、爪部材64は1つであってもよい。
【0036】
ここで、本実施形態では、コンベヤ62を使用せずに各フック46、48によって荷物を台車4側に引き込む(荷つみする)とき、爪部材64を、上述した格納位置ではなく、台車4の上面側の所定位置に配置させることにより、爪部材64を荷物のストッパとして利用することもできる。すなわち、荷物を引き込む際、予め、爪部材64が、台車4の側面の位置に対して荷物幅(荷物の前後長さ)に相当する距離離れた位置になるようコンベヤ62を回転させた後、その位置でコンベヤ62を停止させ、これにより、引き込まれた荷物を爪部材64で受け止めて、荷物が慣性で移動し過ぎないようにすることができる。
【0037】
一方、各フック46、48とコンベヤ62を併用して荷物を台車4側に引き込むときには、上述した格納位置(側面位置)に存在する爪部材64がコンベヤの回転により移動して、引き込んだ荷物が爪部材64に乗り上げる可能性がある。そこで、本実施形態では、荷物を引き込むとき、予め、爪部材64が、台車4の側面の位置から所定距離だけ離れた位置(たとえば、回転しているコンベヤ62上に荷物が載ったとき、爪部材64が荷物の前端に隣接するような位置)となるようにコンベヤ62を回転させ、これにより、引き込まれた荷物が爪部材64に乗り上げることを防止することができる。
【0038】
なお、コンベヤ62の第1の変形例として、爪部材が2箇所あるいは1箇所に設けられた、2方向に切り換えて連続して回転するチェーンコンベヤでもよいし、第2の変形例として、爪部材を有さない、2方向に切り換えて連続して回転する複数のローラコンベヤでもよいし、第3の変形例として、爪部材が1箇所に設けられた、2方向に切り換えて連続して回転する巻き取り式の有端ベルトを備えるベルトコンベヤでもよい。この第3の変形例では、たとえば台車(4)の前後方向の側面位置に、それぞれ、有端ベルトを巻き取るための駆動軸が設けられる。
【0039】
次に、
図4により、本実施形態の入出庫台車が備える移載装置の制御システムを説明する。
図4は、本実施形態の入出庫台車が備える移載装置の制御システムの概略構成を示すブロック図である。
図4に示すように、移載装置12は、上述したアーム34、36、38やフック46、48の動作およびコンベヤ62の動作を制御するためのコントローラ50を備えている。このコントローラ50は、上述したスプラインシャフト40を回転させてサイドアーム32を伸縮させるアーム出退モータ52を制御する。また、コントローラ50は、各端部フック46の開閉および中央フック48の開閉を行わせるフック開閉モータ54を制御する。また、コントローラ50は、サイドアーム32の互いの間隔を調整するためのアーム開閉モータ56を制御する。また、コントローラ50は、コンベヤ62を回転動作させるコンベヤ駆動モータ58を制御する。
【0040】
次に、本実施形態の自動倉庫1の前提条件を説明する。
まず、本明細書において、荷物の「荷幅」とは、左右方向(X方向)の荷物の幅であって、台車4の走行方向の荷物の幅を意味する。
一方、荷物の「奥行き方向の幅」とは、前後方向(Y方向)の荷物の幅であって、ラック2の奥行き方向の荷物の幅を意味する。
【0041】
そして、本実施形態の
図1および
図2に示す自動倉庫1においては、台車4の前後方向(Y方向)の幅、すなわち、一対のサイドアーム32間の荷載可能な領域の前後方向の幅と、片側のラック2(棚6)の前後方向(奥行き方向)の幅との比が、4:6の比で構成されている。
【0042】
また、顧客によって、ラック2に1種類の荷幅(台車走行方向の幅)の荷物を格納するように自動倉庫1を利用する場合と、ラック2に2種類以上の荷幅の荷物を格納するように自動倉庫1を利用する場合がある。
【0043】
また、本実施形態の自動倉庫1では、荷物の奥行き方向の幅(以下、「奥行き幅」という)が比較的大きく、各ラック2の奥行き方向に最大2個の荷物を格納可能する場合と、荷物の幅奥行き幅が比較的小さく、各ラック2の奥行き方向に最大3個の荷物を格納可能な場合とを想定して設計されている。以下、前者の場合の荷物を「小荷物」と言い、後者の場合の荷物を「大荷物」と言う。本実施形態では、このような大荷物の幅と、小荷物の幅とは、3:2の比である。
そして、本実施形態では、台車4の前後方向の幅と、ラック2(棚6)の奥行き方向の幅と、大荷物の奥行き方向の幅と、小荷物の奥行き方向の幅とは、4:6:3:2の比となっている。
【0044】
なお、本実施形態の自動倉庫1では、大荷物の奥行き幅が、400mmを超え、かつ、600mm以下の数値の範囲のものが適用され、小荷物の奥行き幅が、200mm以上かつ400mm以下の数値の範囲のものが適用される。上述した比「4:6:3:2」は、大荷物の奥行き方向の幅が600mm、小荷物の奥行き方向の幅が400mmの場合である。
ここで、たとえば段ボール箱などの多種形状の荷物を格納する場合には、これらの数値範囲を利用して多種形状の各荷物を「大荷物」と「小荷物」とに判別し、以下に説明するようにラック2に移載するようにしている。
なお、以下では図示を省略するが、上述した大荷物より大きい極大荷物をラック2に1個格納することもできる。
【0045】
ここで、本実施形態では、中央フック48は、上述したように、各端部フック46より大きい奥行き幅を有している。本実施形態では、中央フック48の奥行き方向の幅Wが、「小荷物」を中央フック48のみでラック2の最も奥側の載置位置に移載可能な幅に設定されている。また、端部フック46と中央フック48との間の間隔を、小荷物の1個分の奥行き幅と同等な間隔にしており、これにより、開位置の端部フック46と開位置の中央フック48との間に、小荷物が収まるようにしている。
【0046】
ここで、本実施形態において、「小荷物の1個分の奥行き幅」とは、上述した小荷物の奥行き幅の範囲のうち最大の400mmを意味する。なお、本実施形態では、所定の間隔Sは、各フック46、48と、小荷物との間で、+20mmのクリアランスが得られるよう、420mmの間隔に設定されている。なお、このようなクリアランス量は、自動倉庫1の仕様に応じて適宜設定される。
【0047】
次に、
図5により、本実施形態の移載装置12による、片側のラック2の奥行き方向に最大2個の荷物を移載可能な「大荷物」の場合の移載パターンの一例を説明する。
図5は、本実施形態の移載装置による移載パターンを示す模式図であり、奥行き方向に2個の大荷物の載置位置が規定されたラックおよびシャトル通路上の入出庫台車を示す図である。なお、
図5では、サイドアーム32のうちベースアーム34の図示を省略している。以下で説明する移載パターンの動作は、上述したコントローラ50(
図4参照)により制御される。
【0048】
まず、
図5(A)に示すように、台車4(図示を省略する)上に荷おろし前の大荷物A1が載せられている。この
図5(A)に示す台車4上の大荷物A1の位置は、上述した入庫用載置領域26、27から、該当する棚段8の台車4に引き取られたときの位置である。大荷物A1は、この位置で、台車4の荷物載置面60のコンベヤ62上に載せられている。この
図5(A)の状態では、各端部フック46が、実線で示すような開位置とされ、中央フック48が、閉位置(説明上、二点鎖線で中央フック48を示す)とされる。
以下の
図5(B)乃至
図5(E)では、この位置にある大荷物A1を、ラック2の手前側の載置位置(
図5(A)に破線で示す大荷物A0の位置)に移載する動作を説明する。
図5(B)乃至
図5(E)は、上述した荷幅が2種類以上の荷物を自動倉庫1に格納する場合の例であり、ラック2の奥側には、既に大荷物A2が格納されている。
【0049】
まず、
図5(B)に示すように、移載時間の短縮のため、台車4の走行中(台車4が、格納しようとするラック2の箇所に到着するまでの間)、コンベヤ62を回転させ、大荷物A1を、移載するラック2側の端部フック46に近接した位置まで寄せておく。大荷物A1は、コンベヤ62との間の摩擦力で移動し、または、コンベヤ62の爪部材64に係合して爪部材64で押されることにより移動する。
ここで、移載装置12には、荷物の位置を検出するセンサ(図示せず)が設けられており、コンベヤ62の回転を開始した後、大荷物A1の前端が、移載するラック2側の端部フック46に近接した位置となったことが検出されると、コンベヤ駆動モータ58の駆動が停止され、コンベヤ62の回転が停止される。
【0050】
次に、
図5(C)に示すように、台車4が、移載しようとするラック2の箇所に到着すると、まず、移載するラック2の側の端部フック46が、開位置(
図5(B)に実線で示す)から閉位置(
図5(C)に二点鎖線で示す)とされた後、コンベヤ62を回転させる。そして、爪部材64との係合(またはコンベヤ62との摩擦力)により、大荷物A1の後端が、閉位置(二点鎖線で示す)にある中央フック48よりも前側の位置となるまで大荷物A1が移動するよう、コンベヤ62を回転させる。この場合も、荷物の位置を検出するセンサ(図示せず)により、大荷物A1の後端が、中央フック48よりも前側の位置(移載しようとするラック2側の位置)となったことが検出されると、コンベヤ駆動モータ58の駆動が停止され、コンベヤ62の回転が停止される。
【0051】
次に、
図5(D)に示すように、大荷物A1の後端が、中央フック48よりも前側の位置(移載しようとするラック2側の位置)となった後、中央フック48を開位置(実線で示す)とし、中央フック48が大荷物A1の後端に係合可能となる。
次に、
図5(E)に示すように、図示しないベースアーム34に対してミドルアーム36およびトップアーム38をラック2側に伸ばし、大荷物A1の後端に係合した中央フック48によって、大荷物A1がラック2の手前側の格納位置に移載される(荷おろしする)。
ここで、上述した
図5(A)乃至
図5(E)の格納動作は、大荷物A1を奥側の格納位置(図中、大荷物A2の位置)に格納する場合も同様であり、この場合、ミドルアーム36およびトップアーム38のラック2側への伸び量を奥側の格納位置に合わせて調整すればよい。
【0052】
なお、このような
図5(A)乃至
図5(E)に示す格納動作によれば、たとえば奥側に格納されている大荷物A2の荷幅が、手前側に移載しようとする大荷物A1の荷幅より大きい場合であっても、サイドアーム32が奥側まで伸びて大荷物A2に当接/干渉しないようにすることができる。
一方、たとえば荷幅が1種類の大荷物を自動倉庫1に格納する場合には、サイドアーム32が奥側まで延びても奥側の大荷物A2に干渉しない。したがって、大荷物を手前側の格納位置(
図5(A)に示す大荷物A0の位置)に移載する場合には、台車4がラック2の箇所に到着した後、
図5(B)乃至
図5(E)の格納動作をさせず、
図5(A)に示す積載位置にある大荷物A1を、たとえば、移載しようとするラック2の側と反対側の端部フック46で手前側の格納位置に移載することができる。
また、たとえば荷幅が1種類の大荷物を自動倉庫1に格納する場合であって、奥側の格納位置(
図5に示す大荷物A2の位置)に移載する場合には、中央フック48を用いて、上述した
図5(B)乃至
図5(E)の格納動作により移載する。
【0053】
次に、
図6により、本実施形態の移載装置12による、片側のラック2の奥行き方向に最大3個の荷物を移載可能な「小荷物」の場合の移載パターンの一例を説明する。
図6は、本実施形態の移載装置による移載パターンを示す模式図であり、奥行き方向に3個の小荷物の載置位置が規定されたラックおよびシャトル通路上の入出庫台車を示す図である。なお、
図6では、サイドアーム32のうちベースアーム34の図示を省略している。以下で説明する移載パターンの動作は、上述したコントローラ50(
図4参照)により制御される。
【0054】
まず、
図6(A)に示すように、台車4(図示を省略する)上に荷おろし前の小荷物B1が載せられている。この
図6(A)に示す台車4上の小荷物B1の位置は、上述した入庫用載置領域26、27から、該当する棚段8の台車4に引き取られたときの位置である。小荷物B1は、この位置で、台車4の荷物載置面60のコンベヤ62上に載せられている。この
図6(A)の状態では、各端部フック46が、実線で示すような開位置とされ、中央フック48が、閉位置(説明上、二点鎖線で中央フック48を示す)とされる。
以下の
図6(B)および
図6(C)では、この位置にある小荷物B1を、ラック2の手前側の載置位置(
図6(A)に破線で示す小荷物B0の位置)に移載する動作を説明する。
図6(B)および
図6(C)は、上述した荷幅が2種類以上の荷物を自動倉庫1に格納する場合の例であり、ラック2の奥側には、既に、中間の格納位置および奥側の格納位置に、それぞれ、小荷物B2、B3が格納されている。
【0055】
まず、
図6(B)に示すように、移載時間の短縮のため、台車4の走行中(台車4が、格納しようとするラック2の箇所に到着するまでに)、コンベヤ62を回転させ、小荷物B1の後端が中央フック48よりも前側の位置(移載しようとするラック2側の位置)となるまで、小荷物B1を移動させる。本実施形態における小荷物B1は、上述したように、その奥行き幅が、開位置の端部フック46と開位置の中央フック48との間に収まるような大きさであるので、
図6(B)に示すように、小荷物B1の前端は、移載するラック2側の端部フック46より手前側となる。
【0056】
この
図6(B)に示す状態においても、上述した荷物の位置を検出するセンサ(図示せず)により、小荷物B1の後端が、中央フック48よりも前側の位置となったことが検出されると、コンベヤ駆動モータ58の駆動が停止され、コンベヤ62の回転が停止される。小荷物B1は、コンベヤ62との間の摩擦力で移動し、または、コンベヤ62の爪部材64に係合して爪部材64で押されることにより移動する。
【0057】
引き続き、台車4の走行中(台車4が、格納しようとするラック2の箇所に到着するまでの間)、
図6(B)に示すように、小荷物B1の後端が中央フック48よりも前側の位置となった後、中央フック48が開位置(実線で示す)とされる。この点で、上述した
図5(B)での大荷物A1での動作とは異なる(
図5(B)では、台車4の走行中に、中央フック48は閉位置のままである)。
【0058】
次に、
図6(C)に示すように、台車4が、移載しようとするラック2の箇所に到着すると、格納しようとするラック2側の端部フック46が閉位置(二点鎖線で示す)とされる。その後、同じく
図6(C)に示すように、図示しないベースアーム34に対してミドルアーム36およびトップアーム38をラック2側に伸ばし、小荷物B1の後端に係合した中央フック48によって、小荷物B1がラック2の手前側の格納位置に移載される(荷おろしする)。
ここで、上述した
図6(A)乃至
図6(C)の格納動作は、小荷物B1を中間の格納位置(図中、小荷物B2の位置)、および、奥側の格納位置(図中、大荷物A3の位置)に格納する場合も同様であり、これらの場合、ミドルアーム36およびトップアーム38のラック2側への伸び量を各格納位置に合わせて調整すればよい。
【0059】
なお、このような
図6(A)乃至
図6(C)に示す格納動作によれば、たとえば奥側に格納されている小荷物B2、B3の荷幅が、手前側に移載しようとする小荷物B1の荷幅より大きい場合であっても、サイドアーム32が奥側まで伸びて小荷物B2、B3に当接/干渉しないようにすることができる。
一方、たとえば荷幅が1種類の荷物を自動倉庫1に格納する場合には、サイドアーム32が奥側まで延びても奥側の小荷物B2、B3に干渉しない。したがって、小荷物を手前側の格納位置(
図6(A)に示す小荷物B0の位置)に移載する場合には、台車4がラック2の箇所に到着した後、
図6(B)および
図6(C)の格納動作をさせず、
図6(A)に示す積載位置にある小荷物B1を、たとえば、移載しようとするラック2の側と反対側の端部フック46で手前側の格納位置に移載することができる。
また、たとえば荷幅が1種類の荷物を自動倉庫1に格納する場合であって、中間の格納位置(
図6に示す小荷物B2の位置)や奥側の格納位置(
図6に示す小荷物B3の位置)に移載する場合には、中央フック48を用いて、上述した
図6(B)および
図6(C)の格納動作により移載する。
【0060】
ここで、上述した
図6(A)の例は、小荷物B1が、中央フック48と、移載するラック2側の端部フック46との間に積載されていない例である。
これに対し、小荷物B1が、中央フック48と、移載するラック2側の端部フック46との間に予め積載されている場合(上述した入庫用載置領域26、27から、該当する棚段8の台車4に引き取られたときの位置が、中央フック48と、移載するラック2側の端部フック46の間である場合)、上述した
図6(B)の小荷物B1を移動させる動作を省略することができる。すなわち、この場合、台車4の走行中、中央フック48を開位置とし、台車4が、移載しようとするラック2の箇所に到着すると、
図6(C)に示すように、小荷物B1をラック2に移載する(荷つみする)。
【0061】
ここで、上述した
図5および
図6において、大荷物および小荷物を移載するラック2の箇所が、いわゆるフローラックの箇所(複数の並列配置された回転自在なローラなどで荷物を移載可能な箇所)である場合の移載装置12の動作を説明する。
この場合、上述した
図5(B)に示す大荷物A1の状態、あるいは、
図6(B)に示す小荷物B1の状態から、台車4が、移載するラック2の箇所(フローラック)に到着した後、まず、端部フック46を開位置にする。その後、たとえば
図5(E)や
図6(C)のようにサイドアーム32を駆動せず、コンベヤ62のみを駆動し、コンベヤ62との摩擦力あるいは爪部材64との係合によって、荷物A1、B1を押し出すようにする。このような動作により、荷物A1、B1をフローラック(2)に格納する。このような動作は、上述した例と同様に、コントローラ50により制御される。たとえば、自動倉庫1のコントローラ22または移載装置12のコントローラ50は、ラック2において、フローラックとなっている位置情報を記憶しており、台車4がその箇所に到着すると、このような動作を実行する。
【0062】
次に、本発明の実施形態による自動倉庫の作用効果を説明する。
まず、本実施形態では、荷物(A、B)を移載する移載装置12を備えた入出庫台車4と、この入出庫台車4の走行路10の両側に配置されたラック2と、を備えたシャトル式の自動倉庫1であって、ラック2は、荷物を奥行き方向に少なくとも2個格納可能であり、移載装置12は、ベースアーム34、ミドルアーム36、トップアーム38を少なくとも有するサイドアーム32であって、両側のラック2に進出可能であり、トップアーム38の先端がラック2の奥行き方向において一番奥側に移載される荷物(A2、B3)の後端位置まで進出するサイドアーム32と、トップアーム38の前後端にそれぞれ配置された端部フック46と、トップアーム38において各端部フック46間の中間位置に配置された中央フック48と、入出庫台車4の荷物載置部60に配置され、荷物を奥行き方向に移動可能なコンベヤ62と、移載装置12を制御するコントローラ50と、を備え、コントローラ50は、荷物(A1、B1)の後端が、移載するラック2の側であって中央フック48よりも前側の位置となるまで荷物を移動させるようコンベヤ62を駆動し、その後、荷物を中央フック48によりラック2の奥行き方向に格納するようサイドアーム32を駆動するように構成されている。
このように構成された本実施形態によれば、持ち替え機構の一つであるコンベヤ62を駆動して、荷物(A1、B1)の後端が移載するラック2の側であって中央フック48よりも前側の位置となるまで荷物を移動させ、その後、サイドアーム32を駆動して、荷物を中央フック48によりラックの奥行き方向に格納するので、より早い時間で持ち替えを完了させて、奥行き幅が異なる複数種類の荷物をラック2の奥行き方向に効率的に格納することができる。
【0063】
また、本実施形態では、移載装置12のコンベヤ62は、荷物と係合可能な爪部材64をコンベヤ表面に有する連続して回転するコンベヤであるので、より確実に、より早い時間で持ち替えを完了させて、奥行き幅が異なる複数種類の荷物をラック2の奥行き方向に効率的に格納することができる。特に、コンベヤ62の爪部材64は、たとえば荷物がコンベヤ上で滑るような場合に荷物に係合するので、荷物を確実に格納することができる。
また、本実施形態では、コントローラ50は、入出庫台車4の走行中に、荷物の前端が、移載するラック2の側であって端部フック46に近接した位置となるまで荷物を予め寄せておくようコンベヤ62を駆動するように構成されているので、より確実に、より早い時間で持ち替えを完了させて、奥行き幅が異なる複数種類の荷物をラック2の奥行き方向に効率的に格納することができる。
【0064】
また、本実施形態では、コントローラ50は、荷物を移載するラック2の箇所がフローラックである場合、サイドアーム32を駆動せず、コンベヤ62の駆動によって荷物をラック2の奥行き方向に格納するよう構成されている。
【0065】
また、本実施形態では、ラック2は、端部フック46と中央フック48との間の距離より小さい所定の奥行き幅を有する小荷物B1、B2、B3を奥行き方向に3個格納可能であり、コントローラ50は、小荷物をラックに格納する場合、入出庫台車4の走行中にコンベヤ62を駆動して、移載するラック2の側であって中央フック48よりも前側の位置となるまで小荷物(B1)を移動させると共に中央フック48を開位置とし、入出庫台車4の停止後にサイドアーム32を駆動して、小荷物(B1)を中央フック48によりラック2の奥行き方向に格納する。
このように構成された本実施形態によれば、荷物を奥行き方向に3個格納可能なラック2において、より確実に、より早い時間で持ち替えを完了させて、奥行き幅が異なる複数種類の荷物をラック2の奥行き方向に効率的に格納することができる。
【符号の説明】
【0066】
1 シャトル式自動倉庫
2 ラック
4 入出庫台車
6 棚
8 棚段
10 走行路
12 移載装置
32 サイドアーム
34 ベースアーム
36 ミドルアーム
38 トップアーム
46 端部フック
48 中央フック
50 コントローラ
60 台車の荷物載置面
62 コンベヤ(持ち替え機構)
64 コンベヤの爪部材
A0、A1、A2 大荷物
B0、B1、B2、B3 小荷物