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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023167991
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】フロアマット
(51)【国際特許分類】
   B60N 3/04 20060101AFI20231116BHJP
【FI】
B60N3/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022079576
(22)【出願日】2022-05-13
(71)【出願人】
【識別番号】000251060
【氏名又は名称】林テレンプ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096703
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 俊之
(74)【代理人】
【識別番号】100124958
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 建志
(72)【発明者】
【氏名】田代 錠二
(72)【発明者】
【氏名】黒川 秀人
(72)【発明者】
【氏名】田中 賢次
【テーマコード(参考)】
3B088
【Fターム(参考)】
3B088FA02
3B088FB05
3B088FC01
(57)【要約】
【課題】曲がり難くなることを抑制可能なフロアマットを提供する。
【解決手段】床面(50a)上に設置されるフロアマット1は、エラストマーで形成された裏打ち層10を含んでいる。裏打ち層10は、床面(50a)に沿った平面部15と、滑り止めのために平面部15から突出した複数の突起20と、該複数の突起20を複数に区画するように複数の突起20から離隔した位置において平面部15から凹んだ溝30と、を含む裏面12を有する。溝30は、平面部15を複数の分割領域A0に分割するように平面部15から凹んでいてもよい。複数の分割領域A0は、同形状の複数の第一領域A1と、該複数の第一領域A1のいずれかに隣接し且つ第一領域A1とは異なる形状の複数の第二領域A2と、を含んでいてもよい。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エラストマーで形成された裏打ち層を含み、床面上に設置されるフロアマットであって、
前記裏打ち層は、前記床面に沿った平面部と、滑り止めのために前記平面部から突出した複数の突起と、該複数の突起を複数に区画するように前記複数の突起から離隔した位置において前記平面部から凹んだ溝と、を含む裏面を有する、フロアマット。
【請求項2】
前記溝は、1以上の前記突起を含めて前記平面部を複数の分割領域に分割し、
前記複数の分割領域は、同形状の複数の第一領域と、該複数の第一領域のいずれかに隣接し且つ前記第一領域とは異なる形状の複数の第二領域と、を含む、請求項1に記載のフロアマット。
【請求項3】
前記第二領域は、5以上の角を有する形状である、請求項2に記載のフロアマット。
【請求項4】
前記複数の突起は、前記溝を挟んで互いに隣接する第一突起及び第二突起を含み、
前記第一突起の中心と前記第二突起の中心との間の前記平面部に沿った距離P0に対する、前記第一突起の中心と前記溝の中間位置との間の前記平面部に沿った距離P1の比P1/P0は、0.3以上且つ0.7以下である、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載のフロアマット。
【請求項5】
前記溝は、横断面に角が無い形状である、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載のフロアマット。
【請求項6】
エラストマーで形成された裏打ち層を含み、床面上に設置されるフロアマットであって、
前記裏打ち層は、前記床面に沿った平面部と、該平面部を複数の分割領域に分割するように前記平面部から凹んだ溝と、を含む裏面を有し、
前記複数の分割領域は、同形状の複数の第一領域と、該複数の第一領域のいずれかに隣接し且つ前記第一領域とは異なる形状の複数の第二領域と、を含む、フロアマット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床面上に設置されるフロアマットに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車に敷設されているフロアカーペットの汚れを防ぐため、エラストマーで形成された裏打ち層を有するフロアマットをフロアカーペット上に重ねることが行われている。運転席の足下にはアクセルペダルやブレーキペダルといったペダルがあるので、運転席の足下に設置されるフロアマットの裏打ち層は、滑り止め用の複数の突起を有している。
特許文献1には、ゴムまたは熱可塑性エラストマー等を原料とした裏打ち材を備えたカーペットマットが開示されている。裏打ち材の裏面には、滑り止め用突起が整列されている。各滑り止め用突起は、滑り止め用突起の中心部に空洞を有するリング状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】登録実用新案第3026349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
滑り止め効果を高めるためには、突起の周囲にある裏打ち材の剛性を高める必要がある。一方、運転席の足下に設置されるフロアマットの剛性がペダルの操作に影響する可能性を考慮すると、フロアマットが曲がり難くなることを抑制する必要がある。従って、良好な滑り止め機能とフロアマットの曲がり易さを両立させる裏打ち層を有するフロアマットが望まれる。
また、助手席や後席の足下に設置されるフロアマットでは、隙間にフロアマットの一部を差し込むことが考えられる。この場合、フロアマットの形状を保持するための裏打ち層に滑り止め用突起が無くてもよいが、隙間にフロアマットの一部を差し込むためにフロアマットが曲がり難くなることを抑制する必要がある。
【0005】
本発明は、曲がり難くなることを抑制可能なフロアマットを開示するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のフロアマットは、エラストマーで形成された裏打ち層を含み、床面上に設置されるフロアマットであって、
前記裏打ち層は、前記床面に沿った平面部と、滑り止めのために前記平面部から突出した複数の突起と、該複数の突起を複数に区画するように前記複数の突起から離隔した位置において前記平面部から凹んだ溝と、を含む裏面を有する、態様を有する。
【0007】
また、本発明のフロアマットは、エラストマーで形成された裏打ち層を含み、床面上に設置されるフロアマットであって、
前記裏打ち層は、前記床面に沿った平面部と、該平面部を複数の分割領域に分割するように前記平面部から凹んだ溝と、を含む裏面を有し、
前記複数の分割領域は、同形状の複数の第一領域と、該複数の第一領域のいずれかに隣接し且つ前記第一領域とは異なる形状の複数の第二領域と、を含む、態様を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、曲がり難くなることを抑制可能なフロアマットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】フロアカーペットにフロアマットが重ねられた車両の断面の例を模式的に示す断面図。
図2】裏打ち層の裏面の例を模式的に示す斜視図。
図3】裏打ち層の裏面の例を模式的に示す底面図。
図4】裏打ち層における各部のサイズの例を模式的に示す図。
図5】裏打ち層の溝を起点として曲がったフロアマットの例を模式的に示す断面図。
図6】別の裏打ち層の裏面の例を模式的に示す底面図。
図7】別の裏打ち層の裏面の例を模式的に示す底面図。
図8】別の裏打ち層の裏面の例を模式的に示す底面図。
図9】別の裏打ち層の裏面の例を模式的に示す底面図。
図10】別の裏打ち層の裏面の例を模式的に示す底面図。
図11】比較例に係るフロアマットの断面の例を模式的に示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を説明する。むろん、以下の実施形態は本発明を例示するものに過ぎず、実施形態に示す特徴の全てが発明の解決手段に必須になるとは限らない。
【0011】
(1)本発明に含まれる技術の概要:
まず、図1~11に示される例を参照して本発明に含まれる技術の概要を説明する。尚、本願の図は模式的に例を示す図であり、これらの図に示される各方向の拡大率は異なることがあり、各図は整合していないことがある。むろん、本技術の各要素は、符号で示される具体例に限定されない。
また、本願において、数値範囲「Min~Max」は、最小値Min以上、且つ、最大値Max以下を意味する。
【0012】
[態様1]
本技術の一態様に係るフロアマット1は、エラストマーで形成された裏打ち層10を含み、床面(例えばフロアカーペット50の表面50a)上に設置される。前記裏打ち層10は、前記床面(50a)に沿った平面部15と、滑り止めのために前記平面部15から突出した複数の突起20と、該複数の突起20を複数に区画するように前記複数の突起20から離隔した位置において前記平面部15から凹んだ溝30と、を含む裏面12を有する。
【0013】
上記態様の裏打ち層10の裏面12において、滑り止め用の複数の突起20の周囲には、床面(50a)に沿った平面部15が存在する。床面(50a)に面する周囲の平面部15が複数の突起20を支持することにより、床面(50a)上に設置されたフロアマット1が良好な滑り止め機能を発揮する。ここで、突起20間の裏打ち層10の剛性が高くなると、図11に例示するようにフロアマットは曲がり難くなる。上記態様の裏打ち層10の裏面12には複数の突起20を複数に区画するように複数の突起20から離隔した位置において平面部15から凹んだ溝30が存在するので、図5に例示するように、上記態様のフロアマット1は曲がり易い。従って、上記態様は、滑り止め機能の低下を抑制しながら曲がり難くなることを抑制可能なフロアマットを提供することができる。
【0014】
ここで、フロアマットは、カーペットといった表皮層、基布層、接着層、等の内の少なくとも一つを含んでいてもよい。
エラストマーには、熱可塑性エラストマー、ゴム、等が含まれる。
尚、上述した付言は、以下の態様においても適用される。
【0015】
[態様2]
図3,6~8等に例示するように、前記溝30は、1以上の前記突起20を含めて前記平面部15を複数の分割領域A0に分割してもよい。前記複数の分割領域A0は、同形状の複数の第一領域A1を含んでいてもよく、該複数の第一領域A1のいずれかに隣接し且つ前記第一領域A1とは異なる形状の複数の第二領域A2を含んでいてもよい。
以上の場合、裏打ち層10の裏面12において平面部15から凹んだ溝30により分割された複数の分割領域A0が複数の第一領域A1と複数の第二領域A2とを含み、第一領域A1に隣接する第二領域A2が第一領域A1とは異なる形状であるので、様々な向きにおいてフロアマット1が曲がり易い。従って、上記態様は、様々な向きにおいて曲がり難くなることを抑制可能なフロアマットを提供することができる。
【0016】
ここで、第一領域の形状には、四角形といった多角形、多角形の辺の少なくとも一部を曲線状に変えた形状、円形、楕円形、等、様々な形状が考えられる。
第二領域の形状には、第一領域の形状とは異なる限り、五角形といった多角形、多角形の辺の少なくとも一部を曲線状に変えた形状、円形、楕円形、等、様々な形状が考えられる。
複数の分割領域は、第一領域と第二領域のいずれとも異なる形状の複数の領域を含んでいてもよい。
本願における「第一」、「第二」、「第三」、…は、類似点を有する複数の構成要素に含まれる各構成要素を識別するための用語であり、順番を意味しない。複数の構成要素のうちどの構成要素が「第一」、「第二」、「第三」、…に当てはまるのかは、相対的に決まる。
尚、上述した付言は、以下の態様においても適用される。
【0017】
[態様3]
図3,6~8に例示するように、前記第二領域A2は、5以上の角C2を有する形状でもよい。
以上の場合、第二領域A2を形成する溝30が様々な方向に向いていることにより、フロアマット1は様々な向きにおいて曲がり易い。従って、上記態様は、様々な向きにおいて曲がり難くなることを抑制する好適な例を提供することができる。
【0018】
[態様4]
図4等に例示するように、前記複数の突起20は、前記溝30を挟んで互いに隣接する第一突起21及び第二突起22を含んでいてもよい。前記第一突起21の中心と前記第二突起22の中心との間の前記平面部15に沿った距離P0に対する、前記第一突起21の中心と前記溝30の中間位置との間の前記平面部15に沿った距離P1の比P1/P0は、0.3以上且つ0.7以下でもよい。
0.3≦P1/P0≦0.7であることにより、床面(50a)に面する周囲の平面部15が第一突起21及び第二突起22を強固に支持し、床面(50a)上に設置されたフロアマット1が良好な滑り止め機能を発揮する。従って、上記態様は、滑り止め機能の低下を抑制する好適な例を提供することができる。
【0019】
[態様5]
図1等に例示するように、前記溝30は、横断面に角が無い形状でもよい。
溝30の横断面に角があると、フロアマット1が曲げ動作により角を起点として劣化する可能性がある。溝30の横断面に角が無いことにより、曲げ動作によるフロアマット1の劣化が抑制される。従って、上記態様は、フロアマットの耐久性を向上させることができる。
【0020】
[態様6]
ところで、本技術の別の態様に係るフロアマット1の裏打ち層10は、前記床面(50a)に沿った平面部15と、該平面部15を複数の分割領域A0に分割するように前記平面部15から凹んだ溝30と、を含む裏面12を有する。前記複数の分割領域A0は、同形状の複数の第一領域A1と、該複数の第一領域A1のいずれかに隣接し且つ前記第一領域A1とは異なる形状の複数の第二領域A2と、を含んでいる。
以上の場合、裏打ち層10の裏面12において平面部15から凹んだ溝30により分割された複数の分割領域A0が複数の第一領域A1と複数の第二領域A2とを含み、第一領域A1に隣接する第二領域A2が第一領域A1とは異なる形状であるので、様々な向きにおいてフロアマット1が曲がり易い。従って、上記態様は、様々な向きにおいて曲がり難くなることを抑制可能なフロアマットを提供することができる。
【0021】
ここで、裏打ち層の裏面は、滑り止めのために溝から突出した複数の突起を含んでいてもよい。また、裏打ち層の裏面は、滑り止めのために平面部から突出した複数の突起を含んでいてもよい。
【0022】
(2)フロアマットの具体例:
図1は、車両の例として、車両用フロアカーペット50に車両用フロアマット1が重ねられた自動車90の断面を模式的に示している。図1の上部には、フロアマット1の断面が示されている。尚、フロアマット1を設置可能な自動車90は、車室と荷室とが繋がっているワゴンタイプの乗用自動車、セダンタイプの乗用自動車、等、特に限定されない。また、自動車90において、フロアマット1は、運転席の足下、助手席の足下、後席の足下、荷室の床部、等に設置可能である。
【0023】
フロアカーペット50は、三次元形状を有する金属製車体パネル80の上に直接又は間接的に設置される。フロアカーペット50が配置される車体パネル80は、不図示の凹凸を有するものの全体として略水平に配置されたフロアパネル、及び、該フロアパネルの前縁から前方に向かって斜めに立ち上がったトーボードを含む。車体パネル80は、トーボードの前縁からより鉛直に近い斜めに立ち上がったダッシュパネルを含んでいてもよい。図1には、車体パネル80としてのフロアパネルの上面81に緩衝材60が載置されることによりフロアパネルとフロアカーペット50との間に緩衝材60が存在することが示されている。緩衝材60は、衝撃吸収、吸音、及び、遮音の少なくとも一つのために使用され、車体パネル80上に部分的に配置されてもよい。緩衝材60には、フェルトのような繊維材、発泡熱可塑性樹脂やポリウレタンフォームのような発泡樹脂、該発泡樹脂の粉砕物の成形品、これらのうち2以上の組合せ、等を用いることができる。
【0024】
フロアカーペット50は、車体パネル80と緩衝材60の少なくとも一方の三次元形状に合わせられた三次元形状を有する。図1に示すフロアカーペット50は、表面50aに現れているカーペット層51、及び、該カーペット層51の裏面と一体化された裏打ち樹脂層52を含んでいる。カーペット層51は、通気性を有する繊維材であり、フロアカーペット50に意匠性、良好な触感、耐摩耗性、吸音性、等の特性を付与する。カーペット層51には、表面50aに多数の毛羽を有するニードルパンチドカーペット、表面50aに多数のパイルが立毛しているタフテッドカーペット、等を用いることができる。ニードルパンチドカーペットは、例えば、かぎのついた多数の針で不織布を突き刺し、繊維を絡ませて表面に毛羽を形成することにより、形成される。タフテッドカーペットは、例えば、スパンボンド不織布といった不織布、各種繊維の編織物、等の基布にタフティング機でパイル糸を刺し込んでパイルを立毛させることにより、形成される。カーペット層51を構成する繊維には、合成繊維等を用いることができる。この合成繊維には、PP(ポリプロピレン)繊維といったポリオレフィン系繊維、ポリアミド系繊維、PET(ポリエチレンテレフタレート)繊維といったポリエステル系の繊維、アクリル系の繊維、等を用いることができる。裏打ち樹脂層52には、PE(ポリエチレン)樹脂やPP(ポリプロピレン)樹脂といったポリオレフィン樹脂、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ビニル樹脂、アクリル樹脂、AS(アクリロニトリルスチレン)樹脂、ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)樹脂、これらの樹脂のいずれかに充填材や着色剤といった添加剤を添加した材料、これらのうち2以上の組合せ、等を用いることができる。
【0025】
フロアマット1は、自動車90の室内SP1に面するようにフロアカーペット50の上に設置される。フロアカーペット50の表面50aは、車両の床面の例である。図1に示すフロアマット1は、該フロアマット1の厚さ方向D1の順に、表層41、基層42、及び、複数の突起20を有する裏打ち層10を含んでいる。ここで、厚さ方向D1は、裏打ち層10の裏面12の平面部15に直交する方向とする。基層42は、表層41の裏面と一体化された基布層43、及び、該基布層43の裏面と一体化されたラテックス層44を含んでいる。ここで、ラテックス層44は、ラテックスが固化又は硬化した層を意味する。ラテックス層44は、裏打ち層10において裏面12とは反対側の接着面11と一体化されている。
【0026】
表層41には、カーペットのように通気性を有する繊維材等を用いることができる。表層41としてのカーペットには、ニードルパンチドカーペット、タフテッドカーペット、等を用いることができる。従って、表層41としてのカーペットを構成する繊維には、合成繊維等を用いることができる。この合成繊維には、PP繊維といったポリオレフィン系繊維、ポリアミド系繊維、PET繊維といったポリエステル系の繊維、アクリル系の繊維、これらのうち2以上の組合せ、等を用いることができる。基布層43には、スパンボンド不織布といった不織布、各種繊維の編織物、等を用いることができる。ラテックス層44を形成するための材料には、スチレンブタジエンゴム(SBR)やアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)やメチルメタクリレートブタジエンゴム(MBR)といった合成ゴムとなるラテックス、天然ゴムのラテックス、これらの組合せ、等を用いることができる。
尚、基層42は、表層41を支持することができればよいため、ラテックス層44が無い基布層、基布層43が無いラテックス層、樹脂層を含む層、等でもよい。
【0027】
裏打ち層10には、エラストマーを用いることができる。裏打ち層10を形成するためのエラストマーは、熱可塑性エラストマーでもよいし、熱硬化性エラストマーでもよい。裏打ち層10を形成するための熱可塑性エラストマーには、スチレンエチレンブチレンスチレンブロック共重合体(SEBS)エラストマーやスチレンブタジエンスチレンブロック共重合体(SBS)エラストマーといったスチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、塩ビ系エラストマー、ウレタン系エラストマー、エステル系エラストマー、アミド系エラストマー、これらのエラストマーのいずれかに充填材や着色剤といった添加剤を添加した材料、これらのうち2以上の組合せ、等を用いることができる。裏打ち層10を形成するための熱硬化性エラストマーには、各種合成ゴム、天然ゴム、これらのエラストマーのいずれかに加硫剤や充填材や着色剤といった添加剤を添加した材料、これらのうち2以上の組合せ、等を用いることができる。
【0028】
図2は、裏打ち層10の裏面12を模式的に例示する斜視図である。図3は、裏打ち層10の裏面12を模式的に例示する底面図である。図4は、裏打ち層10における各部のサイズを模式的に例示している。
図1~4に示すように、裏打ち層10においてフロアカーペット50に面する裏面12は、平面部15と滑り止め用の複数の突起20と溝30を含んでいる。裏打ち層10において裏面12とは反対側の接着面11は、ラテックス層44と一体化されている。
【0029】
平面部15は、図1に示すように、裏面12においてフロアカーペット50の表面50aに沿った部分である。複数の突起20は、フロアカーペット50に対してフロアマット1が滑ることを防ぐために裏面12において平面部15から突出した部分である。溝30は、複数の突起20を複数に区画するように複数の突起20から離隔した位置において平面部15から凹んでいる。溝30は平面部15を複数の分割領域A0に分割するように平面部15から凹んでいるともいえる。
【0030】
平面部15における裏打ち層10の厚さT(図4参照)は、例えば、1.0~3.0mmとすることができる。溝30の部分における裏打ち層10の厚さtは、例えば、0.5~2.5mmとすることができる。溝30の深さT-tは、例えば、0.2~0.5mmとすることができる。溝30の幅Wは、例えば、0.3~1.0mmとすることができる。
【0031】
各突起20の形状は限定されないが、図2,4に示す各突起20は、円錐台形状であり、平面部15から厚さ方向D1へ突出している。突起20の下底の直径R1は、平面部15に沿った力による突起20の倒れを抑制して滑り止め効果を向上させる点から、例えば、0.8mm以上、より好ましくは1.0mm以上とすることができる。また、直径R1は、突起20の密度を高めて滑り止め効果を向上させる点から、例えば、3.0mm以下、より好ましくは2.5mm以下とすることができる。突起20は円錐形状でもよいが、突起20が円錐台形状であることにより突起20の先端部の変形が抑制される。突起20の上底の直径R2は、下底の直径R1よりも小さい。直径R2は、突起20の先端部の変形を抑制し、且つ、突起20をフロアカーペット50に進入し易くさせる点から、例えば、0.1~2.0mm、より好ましくは0.2~1.0mmとすることができる。
【0032】
突起20の高さHは、摩擦抵抗を大きくして滑り止め効果を向上させる点から、例えば、0.8mm以上、より好ましくは1.0mm以上とすることができる。また、高さHは、平面部15に沿った力による突起20の倒れを抑制して滑り止め効果を向上させる点、及び、フロアマット1の成形性の点から、例えば、3.0mm以下、より好ましくは2.5mm以下とすることができる。
複数の突起20の形状は、全て同じであることに限定されない。従って、複数の突起20は、第一の形状の突起、及び、該第一の形状とは異なる第二の形状の突起を含んでいてもよい。
【0033】
裏面12における突起20の密度は、摩擦抵抗を大きくして滑り止め効果を向上させる点から、例えば、10cm2当たり30個以上、より好ましくは50個以上とすることができる。また、突起20の密度は、突起20に所要の直径R1を確保する点、及び、フロアマット1の成形性の点から、例えば、10cm2当たり150個以下、より好ましくは120個以下とすることができる。
【0034】
各突起20の周囲には、フロアカーペット50の表面50aに沿った平面部15が存在する。フロアカーペット50の表面50aに面する周囲の平面部15が各突起20を支持することにより、フロアカーペット50の表面50aの上に設置されたフロアマット1が良好な滑り止め機能を発揮する。ここで、図1~4に示すように、溝30は、複数の突起20から離隔した位置において平面部15から凹んでいる。これにより、周囲の平面部15が各突起20を支持する機能が維持され、フロアマット1の良好な滑り止め効果が維持される。
【0035】
図11は、比較例に係るフロアマット91の断面を模式的に例示している。フロアマット91は、該フロアマット91の厚さ方向の順に、表層41、基層42、及び、複数の突起20を有する裏打ち層10を含んでいる。フロアマット91の裏打ち層10の裏面12には、溝が無い。ここで、車体パネルにおいて略水平の上面81、及び、上面81から立ち上がった傾斜面82の上にフロアマット91が設置されたと仮定する。突起20間の裏打ち層10の剛性が高い場合、図11に示すように、フロアマット91は曲がり難い。突起20間の裏打ち層10を薄くすると、フロアマット91は曲がり易くなるものの、平面部15に沿った力により各突起20が倒れ易くなり、フロアマット91の滑り止め機能が低下する。
【0036】
図5は、図11に示す上面81及び傾斜面82のような床面の上にフロアマット1が設置された様子を模式的に例示している。図5に示すフロアマット1は、裏打ち層10の溝30を起点として曲がっている。裏打ち層10の裏面12において溝30が複数の突起20から離隔した位置において平面部15から凹んでいるので、フロアマット1が曲がり易いうえ、フロアマット1の良好な滑り止め効果が維持される。また、裏面12において溝30が複数の突起20を複数に区画するように存在することにより、良好な滑り止め機能を有するフロアマット1が全体にわたって曲がり易い。特に、運転席の足下に設置されたフロアマット1がアクセルペダルやブレーキペダルといったペダルの上に載っても、フロアマット1が曲がり易いため、ペダルの操作に影響することを防ぐことができる。
【0037】
ここで、図4に示すように、溝30を挟んで互いに隣接する2本の突起20を第一突起21及び第二突起22とし、第一突起21の中心と第二突起22の中心との間の平面部15に沿った距離をP0とし、第一突起21の中心と溝30の中間位置との間の平面部15に沿った距離をP1とし、第二突起22の中心と溝30の中間位置との間の平面部15に沿った距離をP2とすると、P0=P1+P2である。距離P0に対する距離P1の比P1/P0は、0.3以上且つ0.7以下が好ましい。0.3≦P1/P0≦0.7である場合、0.3≦P2/P0≦0.7である。0.3≦P1/P0≦0.7であることにより、フロアカーペット50の表面50aに面する周囲の平面部15が第一突起21及び第二突起22を強固に支持し、フロアカーペット50の表面50aの上に設置されたフロアマット1が良好な滑り止め機能を発揮する。
【0038】
突起20の高さHに対する突起-溝間の距離Lの比L/Hは、平面部15に沿った力による突起20の倒れを抑制して滑り止め効果を向上させる点から、0.3以上が好ましく、0.5以上がより好ましい。また、比L/Hは、突起20の密度を高めて滑り止め効果を向上させる点から、2.0以下が好ましく、1.0以下がより好ましい。
【0039】
平面部15における裏打ち層10の厚さTに対する突起-溝間の距離Lの比L/Tは、平面部15に沿った力による突起20の倒れを抑制して滑り止め効果を向上させる点から、0.5以上が好ましく、0.7以上がより好ましい。また、比L/Tは、突起20の密度を高めて滑り止め効果を向上させる点から、3.0以下が好ましく、1.5以下がより好ましい。
【0040】
突起-溝間の距離Lに対する溝部分の裏打ち層10の厚さtの比t/Lは、平面部15に沿った力による突起20の倒れを抑制して滑り止め効果を向上させる点から、0.3以上が好ましく、0.5以上がより好ましい。また、比t/Lは、裏打ち層10の剛性を低下させて裏打ち層10を曲がり易くさせる点から、2.0以下が好ましく、1.0以下がより好ましい。
【0041】
溝30を有する裏打ち層10のショアA硬さは、平面部15に沿った力による突起20の倒れを抑制して滑り止め効果を向上させる点から、40以上が好ましく、45以上がより好ましい。また、ショアA硬さは、裏打ち層10の剛性を低下させて裏打ち層10を曲がり易くさせる点から、70以下が好ましく、65以下がより好ましい。ここで、ショアA硬さは、タイプAデュロメータによるショア硬さとする。
【0042】
溝30は、横断面に角が無い形状である。図4に示す溝30は断面半円状であるが、横断面に角が無い形状は、断面U字状等でもよい。溝30の横断面に角が無いことにより、曲げ動作による溝の角を起点とした裏打ち層10の破断等といった劣化が抑制される。
溝30の断面形状は、全て同じであることに限定されない。従って、溝30は、第一の断面形状の部分、及び、該第一の断面形状とは異なる第二の断面形状の部分を含んでいてもよい。
【0043】
溝30は、図2,3に示すように、一つに繋がっており、1以上の突起20を含めて平面部15を複数の分割領域A0に分割している。複数の分割領域A0は、同形状の複数の第一領域A1、及び、該複数の第一領域A1のいずれかに隣接し且つ第一領域A1とは異なる形状の複数の第二領域A2を含んでいる。
各第一領域A1は、1本の突起20を含み、4箇所の第二領域A2に囲まれ、略正方形である。従って、第一領域A1は、4箇所の角C1を有する形状である。第一領域A1同士は隣接しておらず、第一領域A1には第二領域A2のみ隣接している。各第二領域A2は、2本の突起20を含み、4箇所の異なる第二領域A2と2箇所の第一領域A1に囲まれ、略六角形である。従って、第二領域A2は、5以上の角C2、具体的には6箇所の角C2を有する形状である。各第二領域A2には、4箇所の異なる第二領域A2と2箇所の第一領域A1が隣接している。
【0044】
以上より、溝30の向きは、第一領域A1における正方形の2辺に沿った方向D11、該方向D11に直交する方向D12、方向D11,D12から45°ずれた方向D13、及び、該方向D13に直交する方向D14を含む。これにより、フロアマット1は、溝30のうち方向D11,D12に沿った部分を起点として曲がり易いのみならず、方向D13,D14に沿った部分を起点としても曲がり易い。第一領域A1に隣接する第二領域A2が第一領域A1とは異なる形状であることにより、フロアマット1は様々な向きにおいて曲がり易い。特に、第二領域A2が5以上の角C2を有する形状であることにより、第二領域A2を形成する溝30が様々な方向に向き、フロアマット1は様々な向きにおいて曲がり易い。また、裏打ち層10の裏面12において第一領域A1同士が隣接しないように複数の第一領域A1が分散していることにより、フロアマット1は全体にわたって様々な向きにおいて曲がり易い。特に、運転席の足下に設置されたフロアマット1がペダルの上に載っても、フロアマット1が様々な向きにおいて曲がり易いため、ペダルの操作に影響することを防ぐことができる。
【0045】
第一領域A1に含まれる突起20の数は、1本に限定されず、2本又は3本でもよい。また、整数N1,N2を1≦N1<N2≦3として、複数の第一領域A1は、N1本の突起20を含む領域、及び、N2本の突起20を含む領域を含んでいてもよい。
第二領域A2に含まれる突起20の数は、2本に限定されず、1本又は3本でもよい。また、整数N1,N2を1≦N1<N2≦3として、複数の第二領域A2は、N1本の突起20を含む領域、及び、N2本の突起20を含む領域を含んでいてもよい。
【0046】
裏打ち層10の裏面12は、図6~10に例示するように様々な構成が可能であり、図3,6~10に示される構成の少なくとも一部を組み合わせた構成でもよい。
【0047】
図6は、フロアマット1の概念に含まれるフロアマット1Aの裏打ち層10の裏面12を模式的に例示している。図7は、フロアマット1の概念に含まれるフロアマット1Bの裏打ち層10の裏面12を模式的に例示している。図8は、フロアマット1の概念に含まれるフロアマット1Cの裏打ち層10の裏面12を模式的に例示している。図6~8中、図1~5で示した構成と同じ構成については、詳しい説明を省略する。
図6~8に示す溝30も、一つに繋がっており、1以上の突起20を含めて平面部15を複数の分割領域A0に分割している。複数の分割領域A0は、同形状の複数の第一領域A1、及び、該複数の第一領域A1のいずれかに隣接し且つ第一領域A1とは異なる形状の複数の第二領域A2を含んでいる。
【0048】
図6に示す各第一領域A1は、1本の突起20を含み、8箇所の第二領域A2に囲まれ、略正方形である。第一領域A1同士は隣接しておらず、第一領域A1には第二領域A2のみ隣接している。各第二領域A2は、1本の突起20を含み、3箇所の異なる第二領域A2と2箇所の第一領域A1に囲まれ、略五角形である。従って、第二領域A2は、5以上の角C2、具体的には5箇所の角C2を有する形状である。各第二領域A2には、3箇所の異なる第二領域A2と2箇所の第一領域A1が隣接している。
以上より、溝30の向きは、第一領域A1における正方形の2辺に沿った方向D11、該方向D11に直交する方向D12、方向D11,D12から45°ずれた方向D13、及び、該方向D13に直交する方向D14を含む。これにより、フロアマット1Aは、溝30のうち方向D11,D12に沿った部分を起点として曲がり易いのみならず、方向D13,D14に沿った部分を起点としても曲がり易い。
【0049】
図7に示す各第一領域A1は、1本の突起20を含み、8箇所の第二領域A2に囲まれ、略円形である。第一領域A1同士は隣接しておらず、第一領域A1には第二領域A2のみ隣接している。各第二領域A2は、1本の突起20を含み、第一領域A1との境界部分に曲線形状を有し、多角形の辺の一部を曲線状に変えた形状である。複数の第二領域A2は、5箇所の角C2を有する領域A21、及び、6箇所の角C2を有する領域A22を含んでいる。各領域A21には、2箇所の異なる領域A21、2箇所の領域A22、及び、1箇所の第一領域A1が隣接している。領域A22同士は隣接しておらず、各領域A22には4箇所の領域A21と2箇所の第一領域A1が隣接している。
第一領域A1と第二領域A2との境界部分において溝30が曲線形状であり、第二領域A2が5以上の角C2を有する形状であることにより、フロアマット1Bは、様々な向きにおいて曲がり易い。
【0050】
図8に示す複数の分割領域A0は、複数の第一領域A1と複数の第二領域A2に加えて、第一領域A1及び第二領域A2とは異なる形状の複数の第三領域A3を含んでいる。各第一領域A1は、1本の突起20を含み、6箇所の第二領域A2に囲まれ、略円形である。第一領域A1同士は隣接しておらず、第一領域A1には第二領域A2のみ隣接している。各第二領域A2は、1本の突起20を含み、第一領域A1との境界部分に曲線形状を有し、多角形の辺の一部を曲線状に変えた形状である。複数の第二領域A2は、5箇所の角C2を有する領域A23、及び、6箇所の角C2を有する領域A24を含んでいる。各領域A23には、2箇所の異なる領域A23、1箇所の領域A24、1箇所の第一領域A1、及び、1箇所の第三領域A3が隣接している。各領域A24には、1箇所の異なる領域A24、2箇所の領域A23、1箇所の第一領域A1、及び、2箇所の第三領域A3が隣接している。各第三領域A3は、1本の突起20を含み、8箇所の第二領域A2に囲まれ、略菱形である。第三領域A3同士は隣接しておらず、第三領域A3には第二領域A2のみ隣接している。
第一領域A1と第二領域A2との境界部分において溝30が曲線形状であり、第二領域A2が5以上の角C2を有する形状であることにより、フロアマット1Cは、様々な向きにおいて曲がり易い。
【0051】
図3,6~8に例示するフロアマット1のように、裏面12の溝30が滑り止め用の複数の突起20を複数に区画するように複数の突起20から離隔した位置において平面部15から凹んでいる場合、フロアカーペット50の表面50aに面する周囲の平面部15が複数の突起20を支持する。これにより、フロアカーペット50の表面50aの上に設置されたフロアマット1が良好な滑り止め機能を発揮する。また、溝30が複数の突起20から離隔しているので、図5に例示するようにフロアマット1が曲がり易いうえ、フロアマット1の良好な滑り止め効果が維持される。さらに、裏打ち層10の裏面12において溝30が複数の突起20を複数に区画するように存在することにより、良好な滑り止め機能を有するフロアマット1が全体にわたって曲がり易い。
以上より、本具体例は、滑り止め機能の低下を抑制しながら曲がり難くなることを抑制可能なフロアマット1を提供することができる。
【0052】
図9に例示するように複数の突起20の無い裏面12を有するフロアマット1Dでも、様々な向きにおいて曲がり難くなることが抑制される。図9に示すフロアマット1Dも、フロアマット1の概念に含まれる。図9中、図1~5で示した構成と同じ構成については、詳しい説明を省略する。
図9に示すフロアマット1Dは、複数の突起20を除いて、図3に示すフロアマット1と同じ構成を有している。すなわち、図9に示す溝30も、一つに繋がっており、平面部15を複数の分割領域A0に分割している。複数の分割領域A0は、同形状の複数の第一領域A1、及び、該複数の第一領域A1のいずれかに隣接し且つ第一領域A1とは異なる形状の複数の第二領域A2を含んでいる。
【0053】
以上より、フロアマット1Dは、第一領域A1における正方形の2辺に沿った溝30のうち方向D11,D12に沿った部分を起点として曲がり易いのみならず、方向D13,D14に沿った部分を起点としても曲がり易い。第一領域A1に隣接する第二領域A2が第一領域A1とは異なる形状であることにより、フロアマット1Dは様々な向きにおいて曲がり易い。裏打ち層10の裏面12において第一領域A1同士が隣接しないように複数の第一領域A1が分散していることにより、フロアマット1Dは全体にわたって様々な向きにおいて曲がり易い。
例えば、助手席や後席の足下に設置されるフロアマット1Dの一部が隙間に差し込まれる場合、フロアマット1Dに滑り止め用突起が無いので、隙間にフロアマット1Dの一部を容易に滑り込ませることができる。また、フロアマット1Dが様々な向きにおいて曲がり易いので、フロアマット1Dの一部を隙間に差し込む作業を容易に行うことができる。
【0054】
図示していないが、図6に示すフロアマット1Aから複数の突起20を除いた構成を有するフロアマット、図7に示すフロアマット1Bから複数の突起20を除いた構成を有するフロアマット、図8に示すフロアマット1Cから複数の突起20を除いた構成を有するフロアマット、等も、フロアマット1の概念に含まれる。これら滑り止め用突起の無いフロアマットも、第一領域A1に隣接する第二領域A2が第一領域A1とは異なる形状であることにより、様々な向きにおいて曲がり易い。また、裏打ち層10の裏面12において第一領域A1同士が隣接しないように複数の第一領域A1が分散していることにより、フロアマットが全体にわたって様々な向きにおいて曲がり易い。
【0055】
図10に例示するように平面部15からではなく溝30から厚さ方向D1へ突出した複数の突起20を有するフロアマット1Eでも、様々な向きにおいて曲がり難くなることが抑制される。図10に示すフロアマット1Eも、フロアマット1の概念に含まれる。図10中、図1~5で示した構成と同じ構成については、詳しい説明を省略する。
図10に示すフロアマット1Eの裏打ち層10の裏面12は、平面部15、該平面部15を複数の分割領域A0に分割するように平面部15から凹んだ溝30、及び、滑り止めのために溝30から突出した複数の突起20を含んでいる。平面部15を複数に区画する溝30は、各突起20を囲む環状溝38を含んでいる。
【0056】
複数の分割領域A0は、様々な形状の領域を含んでいる。例えば、複数の分割領域A0の内、図10に示すように8箇所の角C1を有する領域を第一領域A1に当てはめると、該第一領域A1に隣接する4箇所の領域が第二領域A2に当てはまる。複数の分割領域A0は、第一領域A1及び第二領域A2とは異なる形状の複数の領域も含んでいる。第二領域A2は、8箇所の角C2を有している。
平面部15を様々な形状の複数の分割領域A0に分割する溝30を有するフロアマット1Eは、様々な向きにおいて曲がり易い。裏打ち層10の裏面12において第一領域A1同士が隣接しないように複数の第一領域A1が分散していることにより、フロアマット1Eは全体にわたって様々な向きにおいて曲がり易い。
【0057】
裏打ち層10の裏面12は、図3,6~8,10に示すように複数の突起20を含む構成を有する部分と、図9に示すように滑り止め用突起の無い構成を有する部分とを含んでいてもよい。例えば、フロアマット1の内、隙間に差し込まれる部分を滑り止め用突起の無い構成にし、残りの部分を複数の突起20が含まれる構成にすることが考えられる。また、裏打ち層10の裏面12は、図3,6~8に示すように平面部15から複数の突起20が突出した構成を有する部分と、図9,10に示すように平面部15に滑り止め用突起が無い構成を有する部分とを含んでいてもよい。
【0058】
上述したフロアマット1は、例えば、以下のようにして製造することができる。
まず、表層41が一体化された基布層43の裏面にラテックスを塗布することにより基布層43と一体化されたラテックス層44を形成する基層形成工程が実施される。その後、裏打ち層10の裏面12の形状に合わせられたバッキングロールを用いてエラストマーをラテックス層44の裏面と一体化させることにより裏打ち層10を形成する裏打ち層形成工程が実施される。これにより、図1に示すようなフロアマット1が形成される。
【0059】
(3)変形例:
本発明は、種々の変形例が考えられる。
例えば、フロアマット1は、車両用に限定されず、屋内や玄関の床に固定されたカーペットの上に設置される建物用フロアマット等でもよい。また、滑り止め用突起の無いフロアマット1は、カーペットの上でなく、硬質の床上に直接設置されてもよい。
フロアマット1は、表層41及び基層42が裏打ち層10の表面に嵌め込まれた構造等、裏打ち層10から表層41及び基層42を分離可能な構造を有していてもよい。
【0060】
また、フロアマット1に基層42が無い場合等でも、裏打ち層10に溝30があれば様々な向きにおいて曲がり難くなることを抑制する効果が得られ、裏打ち層10に複数の突起20と溝30があれば滑り止め機能の低下を抑制しながら曲がり難くなることを抑制する効果が得られる。
【0061】
(4)結び:
以上説明したように、本発明によると、種々の態様により、滑り止め機能の低下を抑制しながら曲がり難くなることを抑制可能なフロアマット、様々な向きにおいて曲がり難くなることを抑制可能なフロアマット、等の技術を提供することができる。むろん、独立請求項に係る構成要件のみからなる技術でも、上述した基本的な作用、効果が得られる。
また、上述した例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、公知技術及び上述した例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、等も実施可能である。本発明は、これらの構成等も含まれる。
【符号の説明】
【0062】
1,1A,1B,1C,1D,1E…フロアマット、
10…裏打ち層、11…接着面、12…裏面、
15…平面部、
20…突起、21…第一突起、22…第二突起、
30…溝、38…環状溝、
41…表層、42…基層、43…基布層、44…ラテックス層、
50…フロアカーペット、50a…表面(車両の床面の例)、
90…自動車(車両の例)、
A0…分割領域、A1…第一領域、A2…第二領域、A3…第三領域、
C1,C2…角、
D1…厚さ方向、
P0…第一突起の中心と第二突起の中心との間の平面部に沿った距離、
P1…第一突起の中心と溝の中間位置との間の平面部に沿った距離、
P2…第二突起の中心と溝の中間位置との間の平面部に沿った距離、
R1…突起の下底の直径、R2…突起の上底の直径、
H…突起の高さ、L…突起-溝間の距離、
T…平面部における裏打ち層の厚さ、t…溝部分の裏打ち層の厚さ、
W…溝の幅。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11