(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023168001
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】放熱構造、及び駆動ユニット
(51)【国際特許分類】
H05K 7/20 20060101AFI20231116BHJP
H01L 23/34 20060101ALI20231116BHJP
B62B 3/00 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
H05K7/20 F
H01L23/34 A
H05K7/20 E
H05K7/20 C
B62B3/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022079593
(22)【出願日】2022-05-13
(71)【出願人】
【識別番号】000149033
【氏名又は名称】株式会社エクセディ
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】大野 太一
(72)【発明者】
【氏名】北村 太一
【テーマコード(参考)】
3D050
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
3D050AA01
3D050BB06
3D050BB22
3D050EE08
3D050EE15
3D050KK14
5E322AA01
5E322AA11
5E322AB01
5E322CA06
5E322EA10
5E322EA11
5E322FA04
5F136BA04
5F136BC03
5F136DA11
5F136EA02
(57)【要約】
【課題】防塵性及び防水性を確保する。
【解決手段】放熱構造100は、筐体3、放熱機構5、及びシール部材6を備える。筐体3は、発熱体101を収容する。放熱機構5は、伝熱部51と、放熱部52とを有する。伝熱部51は、筐体3内に配置されている。伝熱部51は、発熱体101の熱を伝熱するように構成されている。放熱部52は、筐体3の外部に配置されている。シール部材6は、放熱機構5と筐体3との間をシールする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱体を冷却するための放熱構造であって、
前記発熱体を収容する筐体と、
前記筐体内に配置され前記発熱体の熱を伝熱するように構成される伝熱部、及び前記筐体の外部に配置される放熱部を有する放熱機構と、
前記放熱機構と前記筐体との間をシールするシール部材と、
を備える、放熱構造。
【請求項2】
前記放熱機構は、一つの部材によって構成されるヒートシンクである、
請求項1に記載の放熱構造。
【請求項3】
前記伝熱部を囲むように配置される遮熱部をさらに備える、
請求項1に記載の放熱構造。
【請求項4】
前記筐体を貫通して前記筐体外へ延びる取付ボルトをさらに備え、
前記放熱部は、貫通しないネジ穴を有し、
前記取付ボルトは、前記ネジ穴に螺合する、
請求項1に記載の放熱構造。
【請求項5】
前記筐体は、前記筐体の内部と外部とを連通させる開口部を有し、
前記開口部は、水平方向を向く、
請求項1に記載の放熱構造。
【請求項6】
前記筐体内に配置される電子基板をさらに備え、
前記発熱体は、前記電子基板に取り付けられており、
前記電子基板は、前記開口部と対向するように配置されている、
請求項5に記載の放熱構造。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の放熱構造と、
前記筐体内に配置されるバッテリと、
前記バッテリにより駆動される電気モータと、
を備える、駆動ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放熱構造、及び駆動ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、電気製品は、筐体内に配置される電子基板を有している。この電子基板上には、半導体素子などの発熱体が取り付けられている。この発熱体を冷却するために、例えば、特許文献1には、吸気口及び排気口を筐体に設け、筐体内に冷却ファンを設ける放熱構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した放熱構造では、塵埃又は雨水などが吸気口及び排気口を介して筐体内に入ってくるため、防塵性や防水性が求められる製品には適していない。
【0005】
そこで、本発明の課題は、防塵性及び防水性を確保できる放熱構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1態様に係る放熱構造は、発熱体を冷却するように構成されている。この放熱構造は、筐体と、放熱機構と、シール部材とを備える。筐体は、発熱体を収容する。放熱機構は、伝熱部と、放熱部とを有する。伝熱部は、筐体内に配置されている。伝熱部は、発熱体の熱を伝熱するように構成されている。放熱部は、筐体の外部に配置されている。シール部材は、放熱機構と筐体との間をシールする。
【0007】
この構成によれば、筐体内に収容された発熱体の熱は、伝熱部を介して放熱部へ伝わり、放熱部によって筐体の外部にて大気に放出される。そして、この放熱機構と筐体との間はシール部材によってシールされているため、防塵性及び防水性を確保することができる。
【0008】
第2態様に係る放熱構造は、第1態様に係る放熱構造において、放熱機構が、一つの部材によって構成されるヒートシンクである。
【0009】
第3態様に係る放熱構造は、第1又は第2態様に係る放熱構造において、伝熱部を囲むように配置される遮熱部をさらに備える。
【0010】
第4態様に係る放熱構造は、第1から第3態様のいずれかに係る放熱構造において、筐体を貫通して筐体外へ延びる取付ボルトをさらに備える。放熱部は、貫通しないネジ穴を有する。取付ボルトは、ネジ穴に螺合する。
【0011】
第5態様に係る放熱構造は、第1から第4態様のいずれかに係る放熱構造において、筐体が、筐体の内部と外部とを連通させる開口部を有する。開口部は、水平方向を向く。
【0012】
第6態様に係る放熱構造は、第5態様に係る放熱構造において、筐体内に配置される電子基板をさらに備える。発熱体は、電子基板に取り付けられている。電子基板は、開口部と対向するように配置されている。
【0013】
第7態様に係る駆動ユニットは、第1から第6態様に係る放熱構造と、バッテリと、電気モータとを備える。バッテリは、筐体内に配置される。電気モータは、バッテリにより駆動される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、防塵性及び防水性を備えた放熱構造を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本実施形態に係る放熱構造について図面を参照しつつ説明する。なお、
図1は、本実施形態に係る放熱構造が適用された駆動ユニットを搭載するパレットトラックの側面図である。なお、この放熱構造が適用された駆動ユニットは、パレットトラック以外の移動体(例えば、ハンドリフトトラック、ハンドトラック、又は車椅子)などにも搭載することができる。また、この放熱構造は、駆動ユニット以外の電気製品にも適用可能である。
【0017】
図1に示すように、パレットトラック200は、パレットトラック本体210と、駆動ユニット20とを有している。パレットトラック本体210は、荷台(一対のフォークアーム)201、操作ハンドル202、複数の車輪204を有している。なお、各車輪204は、非駆動輪である。このパレットトラック本体210に、駆動ユニット20が取り付けられている。
【0018】
<駆動ユニット>
駆動ユニット20は、電気モータ21、バッテリ22、及び放熱構造100を含んでいる。また、駆動ユニット20は、駆動輪24、及び減速機25なども有している。
【0019】
電気モータ21は、使用者が人力によってパレットトラック200を走行させているときに、パレットトラック200の走行をアシストするためのアシスト力を出力する。電気モータ21は、駆動輪24を回転駆動する。
【0020】
バッテリ22は、電気モータ21などに電力を供給するように構成されている。電子基板9は、バッテリ22と電気的に接続されている。電子基板9には、複数の半導体素子などが半田付けされている。なお、このバッテリ22及び電子基板9は、後述する筐体3内に収容されている。
【0021】
減速機25は、電気モータ21の回転数を減速して、駆動輪24へと伝達する。減速機25は、例えば複数の歯車などによって構成されている。
【0022】
[放熱構造]
図2は、上方から見た放熱構造の断面図である。
図2に示すように、放熱構造100は、複数の発熱体101を冷却するように構成されている。放熱構造100は、筐体3、放熱シート4、放熱機構5、シール部材6、及び遮熱部7を有する。また、放熱構造100は、複数の取付ボルト8、及び電子基板9も有している(
図4参照)。
【0023】
[筐体]
筐体3は、各種部品を収容するように構成されている。詳細には、筐体3は、その内部に電子基板9を収容している。また、筐体3は、バッテリ22を内部に収容している。筐体3は、塵埃及び雨水などが内部に入らないように気密性を有している。
【0024】
筐体3は、電子基板9を収容する第1空間31と、バッテリ22を収容する第2空間32とを有している。すなわち、筐体3は、隔壁33によって、2つの空間に仕切られている。なお、筐体3は、例えば、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)樹脂、ASA(アクリロニトリル・スチレン・アクリレート)樹脂、又はPES(ポリエーテルサルフォン)樹脂のような合成樹脂などによって構成されている。
【0025】
電子基板9は、筐体3内において、縦置きされている。すなわち、電子基板9は、鉛直方向に沿うように配置されている。電子基板9上には、複数の発熱体101が半田付けされている。発熱体101は、例えば、トランジスタなどの半導体素子である。発熱体101は、電子基板9の第1主面91側に配置されている。発熱体101から生じる熱は、電子基板9に形成されたサーマルビア(図示省略)を介して、電子基板9の第2主面92側に配置された放熱シート4へと伝えられる。なお、発熱体101は、電子基板9の第2主面92側に配置されて、放熱シート4と直接的に接していてもよい。
【0026】
筐体3は、開口部34を有している。開口部34は、筐体3の内部と外部とを連通させている。開口部34は、筐体3の側壁部35に形成されている。側壁部35は、電子基板9と対向している。開口部34は、側壁部35を第1方向に貫通している。この第1方向視において、複数の発熱体101は、この開口部34内に収まるように配置されている。なお、本実施形態では、開口部34は水平方向を向いている。電子基板9は、この開口部34と対向するように配置されている。詳細には、電子基板9の第2主面92が開口部34と対向している。
【0027】
[放熱シート]
放熱シート4は、複数の発熱体101と放熱機構5との間に配置されている。なお、本実施形態では、放熱シート4は、発熱体101からの熱を伝える複数のサーマルビアと放熱機構5との間に配置されている。放熱シート4は、複数のサーマルビアと放熱機構5とに接触している。放熱シート4は、各サーマルビア間のギャップを埋めるように構成されている。
【0028】
[放熱機構]
図3は、側方から見た放熱構造の拡大断面図である。
図2及び
図3に示すように、放熱機構5は、伝熱部51と放熱部52とを有している。伝熱部51と放熱部52とは、互いに一つの部材によって構成されている。放熱機構5は、例えば一つの部材によって構成されるヒートシンクである。この放熱機構5は、開口部34を介して、筐体3内から外部へと延びている。
【0029】
伝熱部51は、筐体3内に配置されている。なお、伝熱部51は、筐体3内から外部にかけて配置されていてもよい。伝熱部51は、発熱体101の熱を伝熱するように構成される。なお、本実施形態では、発熱体101の熱は、サーマルビア、及び放熱シート4を介して、伝熱部51に伝えられる。そして、伝熱部51は、その熱を放熱部52へと伝える。
【0030】
放熱部52は、筐体3の外部に配置されている。放熱部52は、伝熱部51を介して伝えられた発熱体101の熱を、筐体3の外部にて大気に放出するように構成されている。放熱部52は、例えば、放熱フィン521と、フランジ部522とを有している。フランジ部522は、筐体3の開口部34よりも一回り大きい環状に形成されている。フランジ部522は、開口部34を囲むように配置されている。
【0031】
図4に示すように、放熱部52は、複数の凸部523を有している。凸部523は、フランジ部522に形成されている。凸部523は、フランジ部522から筐体3とは反対側に突出している。
【0032】
放熱部52は、複数のネジ穴524を有している。各ネジ穴524は、凸部523に形成されている。各ネジ穴524は、貫通していない凹部である。ネジ穴524は、筐体3の外部とは連通していない。ネジ穴524は、筐体3の貫通孔を介して筐体3内に開口している。なお、ネジ穴524と筐体3内とは、シール部材6に形成された開口部61を介して連通している。このため、ネジ穴524と筐体3内とは気密に連通している。
【0033】
このネジ穴524に、取付ボルト8が螺合している。なお、取付ボルト8は、頭部が筐体3内に配置されており、ネジ部が筐体3外へと延びている。取付ボルト8は、筐体3の側壁部35を貫通し筐体3外へ延びており、その筐体3外において、ネジ穴524と螺合している。この取付ボルト8によって、放熱機構5が筐体3に取り付けられている。
【0034】
[シール部材]
図2から
図4に示すように、シール部材6は、放熱機構5と筐体3との間をシールしている。シール部材6は、環状である。シール部材6は、開口部34を囲むように配置されている。シール部材6は、筐体3と、フランジ部522との間で圧縮されている。このシール部材6によって、開口部34を介して筐体3内に埃塵や雨水が侵入することが防止されている。シール部材6は、例えば、天然ゴム、合成ゴム、液体ガスケット、又はメタルシールなどによって構成することができる。
【0035】
[遮熱部]
遮熱部7は、伝熱部51を囲むように配置されている。遮熱部7は、筒状となっている。詳細には、遮熱部7は、開口部34の外周縁に沿って延びており、開口部34の外周縁から筐体3内に向かって延びている。詳細には、遮熱部7は、側壁部35から電子基板9に向かって延びている。なお、遮熱部7は、電子基板9と間隔をあけて配置されているが、電子基板9と接触していてもよい。
【0036】
遮熱部7は、伝熱部51と間隔をあけて配置されている。本実施形態では、遮熱部7は、筐体3の一部として構成されているが、遮熱部7は、筐体3とは別部材によって構成されていてもよい。また、遮熱部7は、伝熱部51に巻かれていてもよい。すなわち、遮熱部7は、伝熱部51と接触していてもよい。
【0037】
遮熱部7は、伝熱部51よりも熱伝導率の低い材料によって構成されている。例えば、遮熱部7は、筐体3と同じようにABS樹脂、ASA樹脂、又はPES樹脂のような合成樹脂材料や、これら合成樹脂より熱伝導率が低いシリコン樹脂などによって構成することができる。この遮熱部7を設けることによって、伝熱部51を伝わる熱が筐体3内に放出されることを抑制することができる。
【0038】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。なお、以下の各変形例は、基本的には同時に適用することができる。
【0039】
(a)上記実施形態では、放熱機構5は一つの部材によって構成されるヒートシンクとして説明したが、放熱機構5の構成はこれに限定されない。例えば、放熱機構5は、2つ以上の部材によって構成されていてもよい。
【0040】
(b)上記実施形態では、放熱機構5は1つのみ設置されているが、2つ以上の放熱機構5が設置されていてもよい。
【符号の説明】
【0041】
3 :筐体
5 :放熱機構
51 :伝熱部
52 :放熱部
6 :シール部材
7 :遮熱部
8 :取付ボルト
20 :駆動ユニット
21 :電気モータ
22 :バッテリ
23 :電子基板
100 :放熱構造
101 :発熱体
524 :ネジ穴