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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023168039
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】スクリーン装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/54 20060101AFI20231116BHJP
   E06B 9/02 20060101ALI20231116BHJP
   E06B 9/68 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
E06B9/54
E06B9/02 F
E06B9/68 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022079656
(22)【出願日】2022-05-13
(71)【出願人】
【識別番号】390020101
【氏名又は名称】セイキ住工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119404
【弁理士】
【氏名又は名称】林 直生樹
(74)【代理人】
【識別番号】100177769
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100188743
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 誠
(72)【発明者】
【氏名】守谷 将人
(72)【発明者】
【氏名】堀内 太一朗
【テーマコード(参考)】
2E042
【Fターム(参考)】
2E042AA07
2E042BA02
2E042CA05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】巻取ドラムに巻き取られたワイヤ同士が絡まり合うのを防止するスクリーン装置を提供する。
【解決手段】建物開口部を開閉するスクリーン3と、スクリーンを巻き取る巻取ローラ4と、スクリーンを開閉操作する可動桟と、巻取ローラ4と同軸位置に配設されたドラム軸29に取り付けられた巻取ドラム40と、巻取ドラム40と可動桟とを結ぶワイヤ30と、巻取ローラ4の内部に配設されて一端及び他端が巻取ローラ4及びドラム軸29に連結され、捻り付勢力を巻取ローラ4及びドラム軸29にスクリーン3及びワイヤ30を巻き取る方向の回転力として伝達するコイルばね34とを有し、巻取ドラム40は円錐台状をなしていて、ワイヤ30の巻始め端である大径部41aと、ワイヤ巻の巻終り端である小径部41bとを有し、巻取ドラム40の外周に、巻き取ったワイヤが嵌合する螺旋状の嵌合溝45が、巻始め端と前記巻終わり端とを結ぶように形成されている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物開口部を開閉するスクリーンと、前記建物開口部の一端に配設された巻取ボックスと、前記巻取ボックスの内部に回転自在且つ着脱自在に支持され、前記スクリーンによる建物開口部の開閉時に該スクリーンを巻き取ったり繰り出したりする巻取ローラと、前記スクリーンの先端に取り付けられた開閉操作用の可動桟と、該可動桟により前記カーテンを開閉操作する際の操作力を調整するための操作力調整機構とを有し、
前記操作力調整機構は、前記巻取ローラと同軸位置に該巻取ローラに対して相対的に回転自在なるように配設されたドラム軸と、該ドラム軸の一端に取り付けられた巻取ドラムドラムと、前記巻取ドラムに基端が連結されて前記建物開口部内を掛け回され、先端が前記可動桟に前記建物開口部の他端側から連結されたワイヤと、前記巻取ローラの内部に配設されて一端及び他端が前記巻取ローラ及びドラム軸に連結され、該巻取ローラとドラム軸との相対回転により捻られて付勢力を蓄積し、蓄積した付勢力を前記巻取ローラ及びドラム軸に前記スクリーン及びワイヤを巻き取る方向の回転力として付与するコイルばねとを有するスクリーン装置において、
前記巻取ドラムは円錐台状をしていて、前記ワイヤを巻き取る際の巻始め端となる大径部と、前記ワイヤを巻き取った際の巻終り端となる小径部とを有し、該巻取ドラムの外周には、巻き取ったワイヤが嵌合する嵌合溝が、前記大径部と小径部とを螺旋状に結ぶように形成されている、
ことを特徴とするスクリーン装置。
【請求項2】
前記嵌合溝は円弧状をしていて、該嵌合溝の深さは前記円弧の曲率変形より大きく、隣接する嵌合溝を隔てる隔壁の幅は該嵌合溝の溝幅より小さいことを特徴とする請求項1に記載のスクリーン装置。
【請求項3】
前記巻取ドラムの大径部における前記巻始め端となる部分の直径は、前記巻取ローラが前記スクリーンを巻き取って全開にした時の該スクリーンの巻径と同等であり、前記巻取ドラムの小径部における前記巻終り端となる部分の直径は、前記巻取ローラの直径と同等であることを特徴とする請求項1又は2に記載のスクリーン装置。
【請求項4】
前記巻取ドラムの前記大径部には、前記ワイヤの基端部を係止させて巻始め端とするためのワイヤ係止孔が、前記嵌合溝上の異なる位置に複数形成され、該複数のワイヤ係止孔を選択的に使用することにより、前記巻始め端の位置が変更可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載のスクリーン装置。
【請求項5】
前記ワイヤは、1本のワイヤを有する単線部と、2本のワイヤに分岐する複線部とからなり、前記単線部は、前記スクリーンの開閉時に前記巻取ドラムに巻き取られたり該巻取ドラムから繰り出されたりする部分であり、前記複線部における2本のワイヤのうち一方のワイヤの先端は、前記可動桟の長さ方向の一端に連結され、他方のワイヤの先端は前記可動桟の長さ方向の他端に連結されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のスクリーン装置。
【請求項6】
前記巻取ローラの軸方向の一端及び他端にそれぞれベアリングが取り付けられ、前記巻取ボックスの長手方向の両端に設けられたブラケットには、ベアリング受けと該ベアリング受けに対して着脱自在のベアリング押さえとがそれぞれ設けられ、該ベアリング受けとベアリング押さえとの間に前記ベアリングを挟持させることにより、前記巻取ローラが前記巻取ボックスの内部に回転自在且つ着脱自在に支持されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のスクリーン装置。
【請求項7】
前記スクリーンの幅方向の両端部には、該両端部をガイドするスクリーン枠に摺動自在に係止する係止部材が取り付けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のスクリーン装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物開口部に取り付けて遮光や目隠しあるいは防虫等の目的で使用されるスクリーン装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建物開口部に取り付けて遮光や目隠しあるいは防虫等の目的で使用されるスクリーン装置は、従来より各種形態のものが知られている。
特許文献1には、このようなスクリーン装置の一例として、カーテン開閉装置が開示されている。このカーテン開閉装置は、カーテンを上げ下げすることによって建物開口部を開閉するもので、カーテンを開閉する際の操作力を調整するための操作力調整機構を有している。
前記操作力調整機構は、前記カーテンを巻き取るための巻取シャフトと平行に配置された支軸(ドラム軸)と、該支軸に取り付けられた巻取リール(巻取ドラム)と、該巻取リールに基端部が卷回されて先端部が前記カーテンの上端部に連結された吊り持ち索(ワイヤ)と、前記巻取シャフトと支軸とに両端が連結され、捻りにより蓄積される付勢力を前記巻取シャフト及び支軸に前記カーテン及びワイヤを巻き取る方向の回転力として伝えるコイルばねとを有し、該コイルばねに前記巻取シャフトと巻取リールとの回転差を吸収させることで、前記カーテンを開閉する際の操作力を調整するものである。
しかし、前記従来のカーテン開閉装置は、前記巻取ドラムが、一対のフランジで仕切られた円柱面の周りに前記ワイヤを多重に巻き取る構造であるため、巻き重ねられたワイヤ同士が絡まり合って互いに係止し易く、巻取ドラムからワイヤを繰り出す際にその繰り出しが円滑に行われにくいため、前記カーテンの開閉操作に支障を来す場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8-170477号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の技術的課題は、カーテンを開閉する際の操作力を調整するための操作力調整機構を有するスクリーン装置において、巻取ドラムに巻き取られたワイヤ同士が絡まり合うのを防止してスクリーンの開閉操作を円滑に行うことができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するため、本発明のスクリーン装置は、建物開口部を開閉するスクリーンと、前記建物開口部の一端に配設された巻取ボックスと、前記巻取ボックスの内部に回転自在且つ着脱自在に支持され、前記スクリーンによる建物開口部の開閉時に該スクリーンを巻き取ったり繰り出したりする巻取ローラと、前記スクリーンの先端に取り付けられた開閉操作用の可動桟と、該可動桟により前記カーテンを開閉する際の操作力を調整するための操作力調整機構とを有し、前記操作力調整機構は、前記巻取ローラと同軸位置に該巻取ローラに対して相対回転自在に配設されたドラム軸と、該ドラム軸の一端に取り付けられた巻取ドラムと、前記巻取ドラムに基端が連結されて前記建物開口部内を掛け回され、先端が前記可動桟に前記建物開口部の他端側から連結されたワイヤと、前記巻取ローラの内部に配設されて一端及び他端が前記巻取ローラ及びドラム軸に連結され、該巻取ローラとドラム軸との相対回転により捻られて付勢力を蓄積し、蓄積した付勢力を前記巻取ローラ及びドラム軸に前記スクリーン及びワイヤを巻き取る方向の回転力として伝達するコイルばねとを有するスクリーン装置において、前記巻取ドラムは円錐台状をしていて、前記ワイヤを巻き取る際の巻始め端となる大径部と、前記ワイヤを巻き取った際の巻終り端となる小径部とを有し、前記巻取ドラムの外周には、巻き取ったワイヤが嵌合する嵌合溝が、前記大径部と小径部とを螺旋状に結ぶように形成されていることを特徴とするものである。
【0006】
本発明において、前記嵌合溝は円弧状をしていて、該嵌合溝の深さは前記円弧の曲率変形より大きく、隣接する嵌合溝を隔てる隔壁の幅は該嵌合溝の溝幅より小さいことが好ましい。
【0007】
また、本発明において、前記巻取ドラムの大径部における前記巻始め端となる部分の直径は、前記巻取ローラが前記スクリーンを巻き取って全開にした時の該スクリーンの巻径と同等であり、前記巻取ドラムの小径部における前記巻終り端となる部分の直径は、前記巻取ローラの直径と同等であることが好ましい。
【0008】
また、本発明において、前記巻取ドラムの前記大径部には、前記ワイヤの基端部を固定して巻始め端とするためのワイヤ係止孔が、前記嵌合溝上の異なる位置に複数形成され、該複数のワイヤ係止孔を選択的に使用することにより、前記巻始め端の位置が変更可能であっても良い。
【0009】
また、本発明において、前記ワイヤは、1本のワイヤを有する単線部と、該単線部の先端に連結された2本のワイヤを有する複線部とからなり、前記単線部は、前記スクリーンの開閉時に前記巻取ドラムに巻き取られたり該巻取ドラムから繰り出されたりする部分であり、前記複線部における2本のワイヤのうち一方のワイヤの先端は、前記可動桟の長さ方向の一端に連結され、他方のワイヤの先端は前記可動桟の長さ方向の他端に連結されていることが好ましい。
【0010】
本発明において好ましくは、前記巻取ローラの軸方向の一端及び他端にそれぞれベアリングが取り付けられ、前記巻取ボックスの長手方向の両端に設けられたブラケットには、ベアリング受けと該ベアリング受けに対して着脱自在のベアリング押さえとが設けられ、該ベアリング受けとベアリング押さえとの間に前記ベアリングを挟持させることにより、前記巻取ローラが前記巻取ボックスの内部に回転自在且つ着脱自在に支持されていることである。
【0011】
また、本発明において、前記スクリーンの幅方向の両端部には、該両端部をガイドするスクリーン枠に摺動自在に係止する係止部材が取り付けられていても良い。
【発明の効果】
【0012】
本発明のスクリーン装置は、巻取ドラムの外周面に、巻き取ったワイヤが嵌合する螺旋状の嵌合溝を設けているので、前記ワイヤを巻重なりが生じないように螺旋状に整然と巻き取ることができ、このため、ワイヤ同士が絡まり合ってスクリーンの開閉操作に支障を来すことがない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係るスクリーン装置の一実施形態を示す正面図である。
図2図1における巻取ボックスの部分の要部拡大図である。
図3図2の分解図である。
図4】巻取ボックスの底部の斜視図である。
図5図1の要部拡大断面図である。
図6】ベアリングの平面図である。
図7】巻取ドラムの正面図である。
図8】巻取ドラムの下面図である。
図9】巻取ドラムの縦断面図である。
図10図9の要部拡大図である。
図11】スクリーンを全開にした時のスクリーン装置の平面的な模式図であって、巻取ローラと巻取ドラムとを分離すると共に、コイルばねの巻き数を少なくして示す図である。
図12】スクリーンを半開にした時のスクリーン装置の模式図である。
図13】スクリーンを全閉にした時のスクリーン装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1図5は、本発明に係るスクリーン装置の一実施形態を示すもので、このスクリーン装置1は、スクリーン3を横移動させて建物開口部を開閉する横開き式のスクリーン装置であって、図1に示すように、前記建物開口部に取り付けられた矩形のスクリーン枠5に、巻取ローラ4で前記スクリーン3を巻き取るように構成されたスクリーン巻取ユニット2を着脱自在に取り付けたものである。
【0015】
なお、本発明において、前記巻取ローラ4でスクリーン3を巻き取って建物開口部を開放することを「スクリーン3を開放する」と言い、巻取ローラ4からスクリーン3を繰り出して建物開口部を閉鎖することを「スクリーン3を閉じる」あるいは「スクリーン3を閉鎖する」と言う。従って、「スクリーン3を開閉する」というのは、「スクリーン3で建物開口部を開閉する」ことである。
【0016】
前記スクリーン枠5は、前記建物開口部の左右方向の一端側に縦向きに配設された巻取ボックス6と、該巻取ボックス6の上端及び下端から前記建物開口部の上辺及び下辺に沿ってそれぞれ水平に延びる上横枠杆7及び下横枠杆8と、前記建物開口部の左右方向の他端側に縦向きに配設された縦枠杆9とを有している。
【0017】
前記スクリーン巻取ユニット2は、前記スクリーン3と、該スクリーン3を巻き取ったり繰り出したりする円筒状の前記巻取ローラ4とを有している。該巻取ローラ4の上端部には、該巻取ローラ4より小径の円筒状をした第1ローラ軸4aが該巻取ローラ4と同軸に取り付けられ、前記巻取ローラ4の下端部には、該巻取ローラ4より小径の円柱状をした第2ローラ軸4bが該巻取ローラ4と同軸に取り付けられ、これら第1ローラ軸4a及び第2ローラ軸4bにそれぞれ転がり軸受けとしてのベアリング13が取り付けられ、該ベアリング13を介して前記巻取ローラ4が、前記巻取ボックス6の内部に回転自在且つ取り外し可能なるように支持されている。
【0018】
前記ベアリング13は、図6に示すように、同心状に配置された環状の内輪13a及び外輪13bと、これら内輪13aと外輪13bとの間に介設されたボールあるいはローラからなる複数の転動体13cとからなるもので、前記内輪13aの内部に、前記巻取ローラ4の前記第1ローラ軸4aの端部及び第2ローラ軸4bの端部をそれぞれ圧入することにより、該巻取ローラ4の上下両端部にそれぞれ前記ベアリング13が取り付けられている。
【0019】
前記第1ローラ軸4aに取り付けられたベアリング13は、前記巻取ボックス6の長手方向(上下方向)の一端(上端)に設けられた第1ブラケット11に、ベアリング受け24及びベアリング押さえ25を介して支持され、前記第2ローラ軸4bに取り付けられたベアリング13は、前記巻取ボックス6の長手方向(上下方向)の他端(下端)に設けられた第2ブラケット12に、前記第1ブラケット11に取り付けられた前記ベアリング受け24及びベアリング押さえ25と同様のベアリング受け24及びベアリング押さえ25を介して支持されている。
【0020】
前記ベアリング受け24は、図3及び図4から明らかなように、半円状をした部材からなっていて、前記ベアリング13の外輪13bの外周面が当接する半円状の当接面24aを有し、前記第1ブラケット11及び前記第2ブラケット12の互いに向き合う内面にそれぞれ取付螺子27により固定され、該ベアリング受け24の両端の取付面24bに、前記ベアリング押さえ25を取り付ける取付螺子26を螺着するための螺子孔24cが形成されている。
【0021】
一方、前記ベアリング押さえ25は、前記ベアリング13の外輪13bの外周面が当接する半円状の当接面25bを有する半円状をした本体部25aと、該本体部25aの両端に連なる取付部25cとを有し、該取付部25cには螺子挿通孔25dが形成され、該ベアリング押さえ25と前記ベアリング受け24との間に前記ベアリング13の外輪13bを挟持した状態で、前記該螺子挿通孔25dに挿通した取付螺子26を前記ベアリング受け24の両端の取付面24bに形成された螺子孔24cに螺着することにより、前記ベアリング押さえ25が前記ベアリング受け24に着脱自在に取り付けられている。前記取付螺子26を取り外して前記ベアリング押さえ25を前記ベアリング受け24から分離することにより、図3に示すように、前記巻取ローラ4即ちスクリーン巻取ユニット2を、前記ベアリング13と一緒に前記巻取ボックス6から取り外すことができる。
【0022】
なお、前記第1ローラ軸4aの上端部は、前記第1ブラケット11より上方に突出しているため、該第1ブラケット11には、前記巻取ローラ4を前記巻取ボックス6に対して着脱する際に前記第1ローラ軸4aの上端部を出し入れするための切欠11aが形成されている。
【0023】
図1に戻って、前記スクリーン3の先端には、開閉操作のための可動桟14が連結されている。この可動桟14の上下端は、前記スクリーン枠5の上横枠杆7及び下横枠杆8に形成されたガイド溝内に嵌合し、前記スクリーン3の開閉操作時に前記上横枠杆7及び下横枠杆8によって案内される。
【0024】
また、前記スクリーン3の幅方向の両端である上端及び下端は、前記上横枠杆7及び下横枠杆8内にそれぞれ収容されたインナーレール(不図示)のスリット内に嵌合し、開閉時に該スリットに沿って移動するようになっており、前記クリーン3の上端及び下端に係止部材19が取り付けられ、この係止部材19が前記スリットの内縁に摺動自在に係止しており、これにより前記スクリーン3は、その開閉時に前記上横枠杆7及び下横枠杆8に沿って円滑にガイドされるだけでなく、風圧等の作用により撓んで上下端が前記上横枠杆7及び下横枠杆8から外れるのが防止される。
【0025】
前記係止部材19としては、例えば、スライドファスナーの互いに噛合する一対の務歯のうちの一方の務歯を使用することができるが、務歯以外のものであっても、前記スリットの内縁に係止した状態で該内縁に沿って摺動できるものであれば、どのようなものでも構わない。前記スクリーン3と前記可動桟14との連結にも同様の係止部材19が使用され、該可動桟14に上下方向に形成されたスリット内に前記スクリーン3の先端部が挿入され、該先端部に取り付けた係止部材19が前記スリットの内縁に係止することにより、前記スクリーン3と前記可動桟14とが連結されている。
【0026】
なお、前記巻取ボックス6は、その前面にヒンジや螺子等の取付部材により開閉自在あるいは分離自在に取り付けられたカバーを有していて、通常は該カバーで該巻取ボックス6の前面は覆われており、メンテナンス時や前記スクリーン巻取ユニット2の着脱時等に前記カバーが開放されるように構成されているが、該カバーの図示は省略されている。
【0027】
図5に示すように、前記巻取ローラ4の上端に設けられた前記第1ローラ軸4aの内部には、丸棒状をしたドラム軸29が、前記巻取ローラ4と同軸上で回転自在なるように収容されている。
【0028】
前記ドラム軸29の上端部は、前記第1ローラ軸4aの上端部から上方に突出して前記上横枠杆7の内部まで延在し、該ドラム軸29の上端に円錐台状をした巻取ドラム40が取り付けられ、該巻取ドラム40に、該巻取ドラム40と前記可動桟14とを結ぶワイヤ30の基端部が連結され、前記スクリーン3の開閉時に該ワイヤ30が、前記巻取ドラム40に巻き取られたり該巻取ドラム40から繰り出されたりするように構成されている。より具体的には、前記スクリーン3を巻取ローラ4から繰り出して建物開口部を閉鎖する時、前記ワイヤ30が前記巻取ドラム40に巻き取られ、前記スクリーン3を巻取ローラ4に巻き取って建物開口部を開放する時、前記ワイヤ30が前記巻取ドラム40から繰り出されるように構成されている。
【0029】
前記巻取ドラム40は、図7図10に詳細に示すように、大径部41a及び小径部41bを有する円錐台状をした中空のドラム本体41と、該ドラム本体41の内部を同心状に延びる円筒状の取付部42と、該取付部42の外面と前記ドラム本体41の内面との間に放射状に設けられた補強用の複数のリブ43とを有し、前記取付部42の内部に前記ドラム軸29の上端部を挿入して螺子やピン等の係止金具44で固定することにより、前記巻取ドラム40が、前記ドラム軸29に、前記大径部41aを下向きにし小径部41bを上向きにした姿勢で同軸に取り付けられている。
【0030】
前記巻取ドラム40の大径部41aは、前記ワイヤ30を巻き取る際の巻始め端となる部分であり、前記小径部41bは、前記ワイヤ30を巻き取った時の巻終り端となる部分であり、前記巻取ドラム40の外周面には、巻き取った前記ワイヤ30が嵌合する嵌合溝45が、前記大径部41aと小径部41bとを螺旋状に結ぶように形成され、この嵌合溝45に沿ってワイヤ30が螺旋状に巻き取られるように構成されている。前記小径部41bには、前記ワイヤ30が巻取ドラム40から外れるのを防止するためのフランジ部41cが形成され、このフランジ部41cにワイヤ30が当接又は近接する位置が該ワイヤ30の巻終わり端になるように設定されている。
【0031】
前記嵌合溝45の溝形状は、図10に示すように円弧状をなし、該嵌合溝45の深さ、即ち前記巻取ドラム40の外周面である円錐面sからの深さhは、前記円弧の曲率半径rより大きく、上下に隣接する嵌合溝45,45を隔てる隔壁47の幅w1は、前記嵌合溝45の溝幅w2より小さい。
【0032】
ここで、図11に模式的に示すように、前記巻取ローラ4が前記スクリーン3を巻き取る時の回転方向aと前記巻取ドラム40が前記ワイヤ30を巻き取るときの回転方向bとは、互いに逆方向であり、本実施形態においては、前記巻取ローラ4が前記スクリーン3を巻き取る時の回転方向aは時計回りに設定され、前記巻取ドラム40が前記ワイヤ30を巻き取るときの回転方向bは反時計回りに設定されている。しかし、その逆であっても構わない。
【0033】
また、前記スクリーン3の長さと前記ワイヤ30の長さとは、前記スクリーン3が全開のとき(図11参照)、即ち、該スクリーン3が前記巻取ローラ4に全て巻き取られたとき、前記ワイヤ30の後述する単線部30Aが前記巻取ドラム40から全て繰り出され、前記スクリーン3が全閉のとき(図13参照)、即ち、該スクリーン3が前記巻取ローラ4から全て繰り出されたとき、前記ワイヤ30の単線部30Aが前記巻取ドラム40に全て巻き取られるように関係付けられている。
【0034】
更に、前記巻取ドラム40の前記巻き始め端の位置における直径d1は、図11に示すように、前記巻取ローラ4が前記スクリーン3を巻き取って全開にした時の該スクリーン3の巻径D1とほぼ同等であり、前記巻取ドラム40の巻き終わり端の位置即ち前記小径部41bの直径d2は、前記巻取ローラ4の外径D2とほぼ同等であるように設定されている。
【0035】
また、前記巻取ドラム40の大径部41aには、図7に示すように、前記ワイヤ30の基端部を係止させて巻始め端とするためのワイヤ係止孔46が、前記嵌合溝45上の異なる位置に複数設けられ、該複数のワイヤ係止孔46を選択的に使用することにより、前記ワイヤ30の巻始め端の位置を変更することができるようになっている。図示した実施形態においては、前記ワイヤ係止孔46が、前記嵌合溝45の端部の位置P1と、該端部から嵌合溝45の螺旋に沿って3ピッチ分進んだ位置P2と、さらに3ピッチ分進んだ位置P3と、さらに3ピッチ分進んだ位置P4との、合計4箇所に設けられており、これにより、様々な長さのスクリーンを使用する場合に、その長さに合わせて前記巻き始め端の位置、即ち前記巻取ドラム40によるワイヤ30の巻き取り長さを、4段階に変更することができるようになっている。
【0036】
前記ワイヤ30は、図1に示すように、分岐部31より基端側の単線部30Aと、分岐部31より先端側の複線部30Bとを有し、前記単線部30Aは1本のワイヤ30aからなり、前記複線部30Bは2本のワイヤ30b,30cに分岐している。前記単線部30Aは、前記スクリーン3の開閉時に前記巻取ドラム40に巻き取られたり該巻取ドラム40から繰り出されたりする部分であり、一方、前記複線部30Bにおける2本のワイヤ30b,30cは、前記スクリーン枠5内に設けた複数のガイドプーリ33a,33b,33cに掛け回されたあと、一方のワイヤ30bの先端は、前記縦枠杆9の上端のガイドプーリ33bから前記可動桟14の上端部に連結され、他方のワイヤ30cの先端は、前記縦枠杆9の下端のガイドプーリ33cから前記可動桟14の下端部に連結されている。
【0037】
図5に戻って、前記ドラム軸29の下端部は、前記第1ローラ軸4aの下端部から前記巻取ローラ4の内部に突出し、該巻取ローラ4の内部に、前記ドラム軸29を取り巻くようにコイルばね34が配設され、該コイルばね34の一端(下端)34aは前記ドラム軸29に係止し、該コイルばね34の他端(上端)34bは前記第1ローラ軸4aに係止している。
【0038】
前記コイルばね34には、予め、その巻き回数を増やすことによって初期捻りが加えられており、この初期捻りによって前記巻取ローラ4及びドラム軸29には、前記コイルばね34が巻き戻ろうとする方向の付勢力(回転力)が常時作用している。その付勢力の作用方向は、前記巻取ローラ4とドラム軸29とで互いに逆方向であって、図11に示すように、前記巻取ローラ4においては、前記スクリーン3を巻き取る方向a即ち時計回りであり、前記ドラム軸29においては、前記巻取ドラム40がワイヤ30を巻き取る方向b即ち反時計回りである。これにより、前記スクリーン3及びワイヤ30は、常に張力が作用した状態になるため、緩みによる動作不良等が生じない。
【0039】
前記コイルばね34に初期捻りを加える方法としては、前記スクリーン巻取ユニット2を前記巻取ボックス6に取り付ける前に、前記巻取ローラ4とドラム軸29とを相対的に回転させることにより前記コイルばね34に初期捻りを加えた状態にし、その状態で、前記ドラム軸29と第1ローラ軸4aとをスナップピン等の係止金具35によって相対的に回転不能なるように固定し、その状態で前記スクリーン巻取ユニット2を前記巻取ボックス6に取り付けたあと、前記係止金具35を取り外すようにすれば良い。
【0040】
次に、前記スクリーン装置1の作用について説明する。図11図13は、前記スクリーン装置1を、同軸に設けられている前記巻取ローラ4と巻取ドラム40とを互いに分離すると共に、前記コイルばね34の巻数を少なくした状態にして平面的に示す模式図であって、図11はスクリーン3を全開にした状態であり、図12はスクリーン3を半開にした状態であり、図13はスクリーン3を全閉にした状態である。
【0041】
前記スクリーン装置1において、図11のようにスクリーン3を全開にした状態では、初期捻りが加えられた前記コイルばね34により、前記巻取ローラ4には、矢印a方向の回転力が作用し、ドラム軸29即ち巻取ドラム40には、矢印b方向の回転力が作用している。この状態から、前記可動桟14を図の左方(矢印m方向)に移動させてスクリーン3を巻取ローラ4から繰り出すと、該巻取ローラ4が矢印b方向に回転するため、前記コイルばね34が捻られ、その付勢力によりドラム軸29及び巻取ドラム40が矢印b方向に回転する。このため、図12及び図13に示すように、前記巻取ドラム40が、前記可動桟14の移動量(スクリーン3の繰り出し量)に対応する長さのワイヤ30を、該巻取ドラム40の大径端30a側から小径端30b側に向けて嵌合溝45に沿って螺旋状に巻き取っていく。
【0042】
このとき、前記巻取ローラ4によるスクリーン3の巻径と前記巻取ドラム40によるワイヤ30の巻径との径差によって生じる前記巻取ローラ4とドラム軸29(巻取ドラム40)との回転差により、前記コイルばね34の捻り回数(巻回数)は若干増減することがあるが、前記巻取ローラ4によるスクリーン3の巻径と前記巻取ドラム40によるワイヤ30の巻径とは、比例的に変化するように設定されていて、スクリーン3がどのような開閉状態にあっても両者間に大きな差が生じないように関係付けられているため、前記コイルばね34の巻回数が大幅に増減することはなく、このため、前記スクリーン3を図7の全開位置から図12の半開位置を経て図13の全閉位置まで繰り出す際の操作力は平均化され、大きく変化することはなく、また、前記スクリーン3を図12の半開位置にも停止させることができる。
したがって、前記ドラム軸29及びコイルばね34と、前記巻取ドラム40及びワイヤ30とは、前記可動桟14でスクリーン3を開閉操作する時の操作力調整機構を構成するものである。
【0043】
このように、本発明においては、円錐台状をした前記巻取ドラム40の外周面に螺旋状の嵌合溝45を設けたことにより、前記ワイヤ30を、巻重なりや絡み合い等が生じないように前記嵌合溝45に沿って螺旋状に整然と巻き取ることができるだけでなく、前記スクリーン3の開閉時に、前記巻取ドラム40におけるワイヤ30の巻径を、前記巻取ローラ4におけるスクリーン3の巻径の変化に対応するように変化させることができる。
【0044】
次に、前記スクリーン3を図13の全閉位置から、図12の半開位置を経て図11の全開位置に移動させるために前記可動桟14を図の右方(矢印n方向)に移動させてスクリーン3を巻取ローラ4に巻き取るときは、前記ワイヤ30が巻取ドラム40から引き出されることにより、該巻取ドラム40及びドラム軸29が矢印a方向に回転してコイルばね34が捻られるため、その付勢力により巻取ローラ4が矢印a方向に回転して前記スクリーン3を巻き取る。このとき、前記巻取ドラム40と巻取ローラ4との回転差によって前記コイルばね34の捻り回数が若干増減することがあっても、前述したように該コイルばね34の巻回数が大幅に増減することはなく、このため、前記スクリーン3を開放する際の操作力も平均化され、大きく変化することはない。
【0045】
なお、前記実施形態において、前記巻取ドラム40は、大径部41aを下向きにし小径部41bを上向きにした姿勢でドラム軸29に取り付けられているが、その逆に、大径部41aを上向きにし小径部41bを下向きにした姿勢でドラム軸29に取り付けることもできる。
また、前記スクリーン装置1は、スクリーン3を横移動させて建物開口部を開閉する横開き式のスクリーン装置であるが、本発明は、スクリーン3を上下に昇降させて建物開口部を開閉する縦開き式のスクリーン装置にも適用することができる。この場合、巻取ボックス6は建物開口部の上端部又は下端部に配設され、巻取ローラ4は、この巻取ボックス6の内部にベアリング13を介して水平な軸線を中心に回転自在なるように取り付けられる。
【符号の説明】
【0046】
1 スクリーン装置
3 スクリーン
4 巻取ローラ
6 巻取ボックス
11 第1ブラケット
12 第2ブラケット
13 ベアリング
14 可動桟
19 係止部材
24 ベアリング受け
25 ベアリング押さえ
29 ドラム軸
30 ワイヤ
30A 単線部
30B 複線部
30a 単線部のワイヤ
30b 複線部の一方のワイヤ
30c 複線部の他方のワイヤ
34 コイルばね
40 巻取ドラム
41a 大径部
41b 小径部
41c フランジ部
45 嵌合溝
46 ワイヤ係止孔
d1 巻取ドラムの巻き始め端の直径
d2 巻取ドラムの小径部(巻き終わり端)の直径
D1 スクリーンの巻径
D2 巻取ローラの直径
h 嵌合溝の深さ
r 円弧の曲率半径
w1 隔壁の幅
w2 溝幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13