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特開2023-168044施工管理システム、施工管理方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023168044
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】施工管理システム、施工管理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   E02D 3/02 20060101AFI20231116BHJP
   G01C 15/00 20060101ALN20231116BHJP
【FI】
E02D3/02
G01C15/00 103E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022079663
(22)【出願日】2022-05-13
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003333
【氏名又は名称】ボッシュ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】平田 弘達
(72)【発明者】
【氏名】宮下 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】山本 真哉
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 正憲
(72)【発明者】
【氏名】中里 研一
【テーマコード(参考)】
2D043
【Fターム(参考)】
2D043CA00
2D043CB00
(57)【要約】
【課題】施工現場において締め固めが可能な領域を適正に特定できるようにする。
【解決手段】施工対象領域を区分するように設定した区画について、前記施工対象領域におけるブルドーザーの敷均しの実行結果に基づいて、前記ブルドーザーによる敷均しが完了した完了区画と、敷均しが完了していない未完区画とを判定する区画判定部と、前記区画判定部により判定された完了区画のうちで、前記未完区画による未完領域から一定以上の距離を有する完了区画による領域をローラーによる締め固めが可能な締め固め可能領域として設定する領域設定部とを備えて施工管理システムを構成する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
施工対象領域を区分するように設定した区画について、前記施工対象領域におけるブルドーザーの敷均しの実行結果に基づいて、前記ブルドーザーによる敷均しが完了した完了区画と、敷均しが完了していない未完区画とを判定する区画判定部と、
前記区画判定部により判定された完了区画のうちで、前記未完区画による未完領域から一定以上の距離を有する完了区画による領域をローラーによる締め固めが可能な締め固め可能領域として設定する領域設定部と
を備える施工管理システム。
【請求項2】
前記区画判定部は、前記ブルドーザーの敷均しの実行結果として、施工対象領域にて測定された高さに基づいて、前記完了区画と未完区画とを判定する
請求項1に記載の施工管理システム。
【請求項3】
前記領域設定部は、前記完了区画と前記未完区画との境界に対応して所定の幅の緩衝領域を設定し、前記区画判定部により判定された完了区画のうちで前記緩衝領域と重複しない完了区画による領域を締め固め可能領域として設定する
請求項1に記載の施工管理システム。
【請求項4】
施工対象領域を区分するように設定した区画について、前記施工対象領域におけるブルドーザーの敷均しの実行結果に基づいて、前記ブルドーザーによる敷均しが完了した完了区画と、敷均しが完了していない未完区画とを判定する区画判定ステップと、
前記区画判定ステップにより判定された完了区画のうちで、前記未完区画による未完領域から一定以上の距離を有する完了区画による領域をローラーによる締め固めが可能な締め固め可能領域として設定する領域設定ステップと
を備える施工管理方法。
【請求項5】
施工管理システムにおいて備えられるコンピュータを、
施工対象領域を区分するように設定した区画について、前記施工対象領域におけるブルドーザーの敷均しの実行結果に基づいて、前記ブルドーザーによる敷均しが完了した完了区画と、敷均しが完了していない未完区画とを判定する区画判定部、
前記区画判定部により判定された完了区画のうちで、前記未完区画による未完領域から一定以上の距離を有する完了区画による領域をローラーによる締め固めが可能な締め固め可能領域として設定する領域設定部
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施工管理システム、施工管理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
建設機械に備えられたステレオカメラを用いて施工現場の画像データを取得し、取得された画像データを用いて施工現場の地形の三次元データを生成する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-44480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
施工現場において、ブルドーザーにより敷均しを完了させた領域をローラー(転圧機)により締め固めする施工を、それぞれ自律運転させたブルドーザーとローラーとを用いて行うにあたっては、敷均しが完了してローラーが締め固め可能となった領域を適正に特定できるようにすることが求められる。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、施工現場において締め固めが可能な領域を適正に特定できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決する本発明の一態様は、施工対象領域を区分するように設定した区画について、前記施工対象領域におけるブルドーザーの敷均しの実行結果に基づいて、前記ブルドーザーによる敷均しが完了した完了区画と、敷均しが完了していない未完区画とを判定する区画判定部と、前記区画判定部により判定された完了区画のうちで、前記未完区画による未完領域から一定以上の距離を有する完了区画による領域をローラーによる締め固めが可能な締め固め可能領域として設定する領域設定部とを備える施工管理システムである。
【0007】
本発明の一態様は、施工対象領域を区分するように設定した区画について、前記施工対象領域におけるブルドーザーの敷均しの実行結果に基づいて、前記ブルドーザーによる敷均しが完了した完了区画と、敷均しが完了していない未完区画とを判定する区画判定ステップと、前記区画判定ステップにより判定された完了区画のうちで、前記未完区画による未完領域から一定以上の距離を有する完了区画による領域をローラーによる締め固めが可能な締め固め可能領域として設定する領域設定ステップとを備える施工管理方法である。
【0008】
本発明の一態様は、施工管理システムにおいて備えられるコンピュータを、施工対象領域を区分するように設定した区画について、前記施工対象領域におけるブルドーザーの敷均しの実行結果に基づいて、前記ブルドーザーによる敷均しが完了した完了区画と、敷均しが完了していない未完区画とを判定する区画判定部、前記区画判定部により判定された完了区画のうちで、前記未完区画による未完領域から一定以上の距離を有する完了区画による領域をローラーによる締め固めが可能な締め固め可能領域として設定する領域設定部として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように、本発明によれば、施工現場において締め固めが可能な領域を適正に特定できるようになるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態における施工管理システムの構成例を示す図である。
図2】本実施形態におけるブルドーザーの機能構成例を示す図である。
図3】本実施形態におけるローラーの機能構成例を示す図である。
図4】本実施形態における施工管理サーバの機能構成例を示す図である。
図5】本実施形態における締め固め可能領域の設定手順例を説明する図である。
図6】本実施形態における締め固め可能領域の設定手順例を説明する図である。
図7】本実施形態における締め固め可能領域の設定手順例を説明する図である。
図8】本実施形態における締め固め可能領域の設定手順例を説明する図である。
図9】本実施形態におけるブルドーザーが施工現場の高さの測定に関連して実行する処理手順例を示すフローチャートである。
図10】本実施形態における施工管理サーバが締め固め可能領域の設定に関連して実行する処理手順例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本実施形態の施工管理システムの構成例を示している。同図に示されるように、本実施形態の施工管理システムは、ブルドーザー100、ローラー200、及び施工管理サーバ300を備える。
【0012】
ブルドーザー100は、施工現場FL(施工対象領域の一例)において盛り土を敷均すようにして稼働する重機である。ブルドーザー100は、自律運転により施工現場FLにおいて移動し、敷均し(撒き出し)を行うことが可能とされる。敷均しは、例えば土砂運搬車両により運搬されて施工現場FLに降ろされた土砂を、ブルドーザー100により目標の高さで平坦となるように均していく工程である。
ブルドーザー100の自律運転を実現する技術については特に限定されないが、例えば自律運転のために周囲形状を把握する技術としてはLIDAR(Light Detection and Ranging)が採用されてよい。LIDARは、パルス状のレーザ光を周囲に照射してから反射光が受光されるまでの時間に基づいて距離を計測することにより周囲環境の形状を示す周囲環境データを生成し、自己位置を推定するようにされた技術である。
【0013】
ローラー200は、施工現場FLにおいてブルドーザー100により敷均された領域の締め固めを行うように稼働する重機である。ローラー200は、例えば振動ローラー、コンバインドローラー、マカダムローラー等の転圧機のいずれかであってよい。ローラー200は、自律運転により施工現場FLにおいて移動し、締め固めを行うことが可能とされる。
【0014】
ブルドーザー100とローラー200は、施工管理サーバ300と通信可能に接続される。また、ブルドーザー100とローラー200とは相互に通信可能とされる。
【0015】
ブルドーザー100は、施工現場FLにて敷均しを行いながら施工現場FLの地面の高さを測定し、測定した高さの情報を施工管理サーバ300に送信する。
施工管理サーバ300は、ブルドーザー100から受信した高さに基づいて、施工現場FLにおいてブルドーザーによる敷均しが完了してローラー200による締め固めが可能な領域(締め固め可能領域)を特定する。施工管理サーバ300は、特定した締め固め可能領域をローラー200に通知する。ローラー200は、通知された締め固め領域の敷均しを行うことができる。
【0016】
自律運転によるブルドーザー100に敷均しを行わせる際に、施工現場FLの全域を対象として一括で敷均しを行っていくようにすると、管理や安全性確保の面で難点が生じる場合がある。そこで、本実施形態の施工管理システムは、施工現場FLを区画単位で分割し、ブルドーザー100は区画単位で敷均しを行っていくようにされる。施工管理サーバ300は、区画単位で敷均しが完了したか否かを判定した結果に基づいて、区画単位により締め固め可能領域を特定する。ローラー200は、区画単位による締め固め可能領域の締め固めを行っていくようにされる。
また、ブルドーザー100にも特定された締め固め可能領域の通知が行われることで、ブルドーザー100は、特定された締め固め可能領域には進入しないように自律運転を行うことができる。これにより、締め固めを行うローラー200の周辺にブルドーザー100が近づかないようにすることができる。
このようにして、本実施形態の施工管理システムでは、自律運転されるブルドーザー100とローラー200とを協調して稼働させることができる。
【0017】
図2は、ブルドーザー100の機能構成例を示している。ブルドーザー100は、通信部101、センサ部102、測位部103、車両機構部104、ブレード機構部105、制御部106、及び記憶部107を備える。
【0018】
通信部101は、無線による通信経由で施工管理サーバ300と通信を行う。
センサ部102は、ブルドーザー100が備える各種のセンサを包括して示す部位である。本実施形態のセンサ部102は、例えばLIDARによる自律運転を行う場合には、周囲環境データの生成と自己位置推定を行うためにレーザ光を照射し、反射されたレーザ光を受光するセンサを含む。また、本実施形態のセンサ部102は、施工現場FLの高さを測定するセンサも含む。なお、施工現場FLの高さを測定にあたり、LIDARにより生成される周囲環境データが用いられてもよい。
測位部103は、例えばGPS(Global Positioning System)等に対応するデバイスを備え、自己位置を測定する。
【0019】
車両機構部104は、ブルドーザー100における車両に相当する機構部である。車両機構部104が自律運転制御部161の制御により駆動されることで、ブルドーザー100は、自律運転のもとで移動することができる。
ブレード機構部105は、ブレードを動かすことのできる機構部である。ブレード機構部105が自律運転制御部161の制御により駆動されることで、ブルドーザー100は、自律運転のもとでブレードを適切に動かすことができる。
【0020】
制御部106は、ブルドーザー100における制御を行う。制御部106としての機能は、ブルドーザー100において備えられるCPU(Central Processing Unit)がプログラムを実行することにより実現される。制御部106は、自律運転制御部161と高さ測定部162とを備える。
自律運転制御部161は、ブルドーザー100の自律運転に関する制御を実行する。自律運転制御部161は、例えばセンサ部102におけるカメラ、レーザスキャナ等のセンサの出力に基づいて施工現場FLにおける自己位置を推定する、また、自律運転制御部161は、自己位置の推定結果に基づいてブルドーザー100が移動するように車両機構部104を制御する。また、自律運転制御部161は、しかるべき位置にて敷均しが行われるように車両機構部104、ブレード機構部105を制御する。
高さ測定部162は、センサ部102において備えられる所定のセンサの出力を用いて施工現場FLの地面の高さを測定する。
記憶部107は、ブルドーザー100に関連する所定の情報を記憶する。
【0021】
図3は、ローラー200の機能構成例を示している。ローラー200は、通信部201、センサ部202、測位部203、車両機構部204、ローラー機構部205、制御部206、及び記憶部207を備える。
【0022】
通信部201は、無線による通信経由で施工管理サーバ300と通信を行う。
センサ部202は、ローラー200が備える各種のセンサを包括して示す部位である。センサ部202は、自律運転に対応して周囲環境データの生成と自己位置推定を行うためのセンサを含む。
測位部203は、例えばGPS等に対応するデバイスを備え、自己位置を測定する。
【0023】
車両機構部204は、ローラー200における車両に相当する機構部である。車両機構部204が自律運転制御部261の制御により駆動されることで、ローラー200は、自律運転のもとで移動することができる。
ローラー機構部205は、ローラーに関する機構部である。
【0024】
制御部206は、ローラー200における制御を行う。制御部206としての機能は、ローラー200において備えられるCPUがプログラムを実行することにより実現される。制御部206は、自律運転制御部261を備える。
自律運転制御部261は、ローラー200の自律運転に関する制御を実行する。自律運転制御部261は、例えばセンサ部202におけるカメラ、レーダー等のセンサの出力に基づいて施工現場FLにおける自己位置を推定する、また、自律運転制御部261は、自己位置の推定結果に基づいてローラー200が締め固め工程に応じて移動するように車両機構部204を制御する。
記憶部207は、ローラー200に関連する所定の情報を記憶する。
【0025】
図4は、施工管理サーバ300の機能構成例を示している。施工管理サーバ300は、通信部301、制御部302、及び記憶部303を備える。同図に示される施工管理サーバ300としての機能は、施工管理サーバ300が備えるCPUがプログラムを実行することにより実現される。
通信部301は、無線による通信経由でブルドーザー100、ローラー200のそれぞれと通信を行う。
【0026】
制御部302は、施工管理サーバ300における各種の制御を実行する。制御部302は、情報取得部321、区画判定部322、領域設定部323、及び情報送信部324を備える。
情報取得部321は、ブルドーザー100から施工管理サーバ300に送信される情報を取得する。情報取得部321がブルドーザー100から取得する情報には、測定された高さの情報(高さ情報)が含まれる。また、情報取得部321は、ローラー200から施工管理サーバ300に送信される情報も取得可能とされてよい。
区画判定部322は、施工現場FLに対して設定した区画について、情報取得部321が取得した高さ情報に基づいて、ブルドーザー100による敷均しが完了した完了区画と敷均しが完了していない未完区画とを判定する。
領域設定部323は、ローラー200による締め固めが可能な締め固め可能領域を設定する。締め固め可能領域は、区画判定部322により判定された完了区画のうちで締め固めが可能であると特定された区画の集合である。領域設定部323は、完了区画として締め固めが可能か否かを判定するにあたり、施工現場FLにおいて完了区画による完了領域と未完区画による未完領域との境界から一定以上の距離を隔てているとの条件を満たしているか否かを判定する。
情報送信部324は、ブルドーザー100とローラー200とに対して所定の情報を送信する。情報送信部324が送信する情報には、領域設定部323により設定された締め固め領域を示す情報が含まれる。
【0027】
記憶部303は、施工管理サーバ300が対応する各種の情報を記憶する。記憶部303は、施工状況データ記憶部331を備える。施工状況データ記憶部331は、施工状況データを記憶する。施工状況データは、施工現場FLにおける施工状況として、ブルドーザー100による敷均しの進捗状況を示すデータである。具体的に、施工状況データは、施工現場FLを区画単位で分割したマップ上の各区画に対して、区画判定部322により判定された完了区画と未完区画とのいずれであるのかを示すようにされたデータであってよい。
【0028】
図5図8を参照して、施工管理サーバ300による締め固め可能領域の設定手順例について説明する。
図5において施工領域AR1は、施工現場FLを平面からみた領域に対応する。
施工領域AR1は、区画Diにより分割される。同図の区画Diは、四角形のメッシュ状により施工領域AR1に対して設定される。なお、区画Diのサイズ(寸法)は一律に同一でなくともよい。また、区画Diの形状は、四角形以外であってもよい。また、同図のように施工領域AR1に対して設定した区画Diの集合による領域として、区画対応施工領域AR20が設定される。
施工状況データにおけるマップは、同図に示されるように施工領域AR1に対して区画対応施工領域AR20を設定したものとなる。これにより、施工データ領域のマップは、施工領域AR1を区画Diにより区分して示したものとなる。
また、同図の施工領域AR1は、施工途中の状態が示されている。同図においては、施工領域AR1における施工の進捗状況が、ブルドーザー100による敷均しが完了した実完了領域AR11と敷均しが完了していない実未完領域AR12とにより示されている。
【0029】
施工現場FLにおいて敷均しを行っているブルドーザー100の高さ測定部162は、所定のタイミングで施工現場FLにおける地面の高さを測定する。
この際、高さ測定部162は、例えば施工現場FLにおいてこれまでに敷均しの対象としていた区画単位に対応する敷地部分の高さを測定するようにされてよい。また、高さ測定部162は、例えば施工現場FLにおいて設定した基準平面に対する高さを測定するようにされてよい。これにより、高さ測定部162は、測定対象とした敷地部分の高さ分布の情報を得ることができる。
【0030】
高さ測定部162は、測定対象の敷地部分について測定した高さ分布を示す高さ情報を施工管理サーバ300に送信する。また、高さ情報は、測定された敷地部分に対応する位置範囲を示す位置範囲情報を含む。
【0031】
施工管理サーバ300において、情報取得部321は、ブルドーザー100から送信された高さ情報を取得する。
施工管理サーバ300の区画判定部322は、情報取得部321が取得した高さ情報に含まれる位置範囲情報により示される位置範囲に該当する判定対象の区画Diについて、当該高さ情報が示す高さ分布の情報を利用して、敷均しが完了したか否かを判定する。この際、区画判定部322は、高さ情報が示す高さ分布における測定点ごとに、測定された高さの目標高さに対する高低差ΔHを算出する。
区画判定部322は、算出した高低差ΔHごとに予め定められた許容範囲Emx未満であるか否かを判定する。区画判定部322は、判定対象の区画Diにおける全ての測定点の高低差ΔHが許容範囲Emx未満であれば、当該判定対象の区画Diは敷均しが完了した完了区画であると判定する。また、区画判定部322は、これまでにおいて完了区画として判定されない区画Diについては敷均しが完了していない未完区画であるとして判定する。
区画判定部322は、このようにして施工現場FLにおける区画対応施工領域AR20において設定された区画Diごとに、完了区画と未完区画とに区分する。
【0032】
図5のように実完了領域AR11と実未完領域AR12とが存在している状態の施工領域AR1を対象として区画判定部322が上記のように区画対応施工領域AR20の区画を完了区画と未完区画とで区分した結果を、図6に示す。
図6に示されるように、区画対応施工領域AR20に含まれる区画Diのうちで、施工領域AR1として含まれる部分の全てが、実完了領域AR11となっている区画Diが完了区画D1として区分される。一方、区画対応施工領域AR20に含まれる区画Diのうちで、少なくとも一部に実未完領域AR12が存在する区画Diについては未完区画D2として区分される。
【0033】
本実施形態においては、施工領域AR1における或る区画Diを基点として開始し、敷均しが完了した区画Diに隣接する区画Diをさらに敷均していくようにして、敷均しの完了した領域を拡大していくようにされる。このため、図6における区画対応施工領域AR20は、6つの完了区画D1によるひとまとまりの完了区画領域AR21と、完了区画領域AR21に含まれない未完区画D2によるひとまとまりの未完区画領域AR22とに区分される。区画判定部322は、完了区画D1と未完区画D2の区分結果に基づいて、このような完了区画領域AR21と未完区画領域AR22との区分についても実行してよい。
【0034】
次に、施工管理サーバ300における領域設定部323は、図6の完了区画D1と未完区画D2の区分結果から以下のように締め固め可能領域を特定する処理を行う。
まず、領域設定部323は、図6の完了区画D1と未完区画D2の区分結果に応じた完了区画領域AR21と未完区画領域AR22との境界に対応させて緩衝領域を設定する。
図7は、図6に示した完了区画領域AR21と未完区画領域AR22との境界に対する緩衝領域ARmの設定例を示している。同図に示される緩衝領域ARmは、完了区画領域AR21と未完区画領域AR22との境界を含み、所定の幅Wを有する帯状とされている。
【0035】
完了区画D1のうちで、緩衝領域ARmと重複する部分のある完了区画D1は、未完区画D2と隣接していることになる。完了区画D1が未完区画D2と隣接しているということは、当該完了区画D1の近傍に敷均しの完了していない領域が存在することである。
このように近傍に敷均しの完了していない領域が存在するにもかかわらず、完了区画D1に対してローラー200が締め固めを行った場合には、敷均しが未完の締め固めを行ってはいけない領域まで締め固めを行ってしまう可能性がある。このため、未完区画D2と隣接している完了区画D1は、締め固めが可能な区画(締め固め可能区画)の候補から除外することが好ましい。
【0036】
そこで、領域設定部323は、図8に示すように、完了区画領域AR21に含まれる完了区画D1のうちで、緩衝領域ARmと重複する部分の無い完了区画D1を、締め固め可能区画D11として設定する。領域設定部323は、設定した締め固め可能区画D11の集合を締め固め可能領域として設定する。図7の例では、1つの締め固め可能区画D11が設定されていることから、領域設定部323は、当該1つの締め固め可能区画D11により締め固め可能領域を設定するようにされる。
【0037】
施工管理サーバ300の情報送信部324は、設定した締め固め可能領域に関する締め固め可能領域情報を施工現場FLのブルドーザー100とローラー200とに送信する。締め固め可能領域情報は、設定された締め固め可能領域の位置範囲を示す情報を含む。なお、ブルドーザー100とローラー200とが、区画Diで区分された施工現場FLのマップを記憶するようにされている場合、締め固め可能領域情報は、設定された締め固め可能領域を形成する区画Diを示す情報を含むようにされてもよい。
ローラー200は、受信された締め固め可能領域情報により示される締め固め可能領域としての位置範囲の締め固めを行うように動作する。また、ローラー200は、自己の動作状況をブルドーザー100に送信するようにされる。これにより、ブルドーザー100は、ローラー200が締め固め可能領域の締め固めを行う際には、締め固め可能領域に近づくことがないようにして移動することが可能となり、安全性を高めることができる。
【0038】
図9のフローチャートを参照して、ブルドーザー100が施工現場FLの高さの測定に関連して実行する処理手順例について説明する。
ステップS100:ブルドーザー100において高さ測定部162は、高さ測定トリガが発生するのを待機している。高さ測定トリガは、施工現場FLの高さの測定を指示するトリガである。高さ測定トリガは、例えば、ブルドーザー100の自律運転制御部161が、一定の対象の区画Diにおける敷均しのための移動を完了したとするタイミングで発生させるようにしてもよいし、ブルドーザー100の敷均しのために稼働されてから一定時間経過したタイミングで発生させるようにしてもよい。
ステップS102:高さ測定トリガが発生したことに応じて、高さ測定部162は、施工現場FLにおける地面の高さを測定する。
ステップS104:高さ測定部162は、ステップS102により測定した高さと、高さを測定した位置範囲を示す高さ情報を施工管理サーバ300に送信する。
【0039】
図10のフローチャートを参照して、施工管理サーバ300が締め固め可能領域の設定に関連して実行する処理手順例について説明する。
ステップS200:施工管理サーバ300において、情報取得部321は、図9のステップS104により送信された高さ情報を取得する。
【0040】
ステップS202:区画判定部322は、ステップS200により取得された高さ情報を利用して、図6を参照して説明したように、施工状況データ記憶部331が記憶する施工状況データのマップ上で、施工現場FLに対して設定した区画Diを、完了区画D1と未完区画D2とで区分する。このように区分された結果に基づいて、区画判定部322は、マップ上において設定されている区画対応施工領域AR20を完了区画領域AR21と未完区画領域AR22とに区分することも行う。このようにして、施工状況データのマップを用いてステップS202の処理が実行されることで、施工状況として、敷均しの進捗状況が施工状況データに反映される。
【0041】
ステップS204:領域設定部323は、ステップS02による完了区画D1と未完区画D2の区分の結果として、新規の完了区画D1が得られたか否かを判定する。新規の完了区画D1が得られていないと判定された場合には、同図の処理を終了する。
【0042】
ステップS206:ステップS204にて新規の完了区画D1が得られたと判定された場合、領域設定部323は、図7を参照して説明したようにして緩衝領域ARmを設定する。
ステップS208:領域設定部323は、図8を参照して説明したようにして、締め固め可能区画D11を設定し、設定した締め固め可能区画D11の集合による締め固め可能領域を設定する。
ステップS210:情報送信部324は、ステップS208にて設定した締め固め可能領域に関する締め固め可能領域情報を、ブルドーザー100とローラー200とに送信する。
【0043】
以下、本実施形態の変形例について説明する。
上記実施形態においてはブルドーザー100が施工現場FLの地面の高さを測定し、施工管理サーバ300が測定された高さに基づいて、図10に示したように、完了区画D1と未完区画D2との区分から締め固め可能領域の設定までを実行するようにされている。しかしながら、ブルドーザー100が図10のステップS202からS208までにおける所定の段階までの処理を実行し、残りの段階の処理を施工管理サーバ300が実行するようにされてもよい。
【0044】
上記実施形態では、土砂を敷均していくようにされた施工現場FLである場合を例に挙げた。しかしながら、例えばダムなどのようにコンクリートをブルドーザーにより敷均していくような施工現場にも本実施形態の施工管理システムを適用することができる。
【0045】
上記実施形態では、緩衝領域に重複する完了区画D1は一律に締め固め可能区画D11の候補から除外するようにされていた。しかしながら、緩衝領域に重複する完了区画D1のうちで、敷均しが完了したとされる地面の高さの条件を満たす領域が一定率以上の未完区画D2が接している完了区画D1については、締め固め可能区画D11として設定されるようにしてよい。
【0046】
上記実施形態において、ブルドーザー100とローラー200は、それぞれが自律運転をするように構成された例を挙げた。しかしながら、ブルドーザー100とローラー200の少なくともいずれか一方が人により運転(操縦)されるものであってもよい。
例えばローラー200が人により操縦される場合には、ローラー200は、施工管理サーバ300から受信した締め固め可能領域情報が示す位置範囲を施工現場FLの地図上で示すように表示してよい。ローラー200の操縦者は、表示された位置範囲を確認して締め固めを行うようにローラー200を操縦する。
【0047】
なお、上述のブルドーザー100、ローラー200、及び施工管理サーバ300等としての機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより上述のブルドーザー100、ローラー200、及び施工管理サーバ300等としての処理を行ってもよい。ここで、「記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行する」とは、コンピュータシステムにプログラムをインストールすることを含む。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、通信回線を含むネットワークを介して接続された複数のコンピュータ装置を含んでもよい。記録媒体には、当該プログラムを配信するために配信サーバからアクセス可能な内部または外部に設けられた記録媒体も含まれる。
【符号の説明】
【0048】
100 ブルドーザー、101 通信部、102 センサ部、103 測位部、104 車両機構部、105 ブレード機構部、106 制御部、107 記憶部、161 自律運転制御部、162 測定部、200 ローラー、201 通信部、202 センサ部、203 測位部、204 車両機構部、205 ローラー機構部、206 制御部、207 記憶部、261 自律運転制御部、300 施工管理サーバ、301 通信部、302 制御部、303 記憶部、321 情報取得部、322 区画判定部、323 領域設定部、324 情報送信部、331 施工状況データ記憶部
図1
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図10