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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023168045
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】シフト装置
(51)【国際特許分類】
   F16H 59/08 20060101AFI20231116BHJP
   B60K 20/02 20060101ALI20231116BHJP
   F16H 61/02 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
F16H59/08
B60K20/02 Z
F16H61/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022079664
(22)【出願日】2022-05-13
(71)【出願人】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 誠
(72)【発明者】
【氏名】稲村 友峰
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 琢也
【テーマコード(参考)】
3D040
3J552
【Fターム(参考)】
3D040AA10
3D040AA33
3D040AB01
3D040AC36
3D040AD05
3J552NA01
3J552PA54
3J552QC03
3J552QC07
3J552QC08
3J552QC10
3J552RA19
3J552VA61W
(57)【要約】
【課題】シフト位置間の中間位置が選択された際に変速機のシフトレンジを判定する。
【解決手段】シフト装置10では、乗員が手指Fによってパネル16のP位置20PとR位置20Rとの間のPR位置20PRに接触して、PR位置20PRが選択されたと判定された場合に、変速機がRレンジに対し優先順位の高いPレンジに変更される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
選択可能にされる複数のシフト位置と、
前記シフト位置の選択を検出して車両の変速機のシフトレンジが変更されると共に、前記シフト位置間の中間位置の選択を検出して前記変速機のシフトレンジが判定される検出部と、
を備えるシフト装置。
【請求項2】
前記検出部は、
前記シフト位置の選択を検出するシフト検出部と、
前記中間位置の選択を検出する中間検出部と、
を有する請求項1記載のシフト装置。
【請求項3】
前記検出部が前記中間位置の選択を検出した際に前記中間位置の両側の前記シフト位置に対応する前記シフトレンジのうちの優先順位の高い前記シフトレンジに前記変速機が変更される請求項1に記載のシフト装置。
【請求項4】
優先順位の高い前記シフトレンジに対応する前記シフト位置が優先順位の低い前記シフトレンジに対応する前記シフト位置に対し選択されるための閾値を小さくされる請求項3記載のシフト装置。
【請求項5】
車両が駆動されない前記シフトレンジが車両が駆動される前記シフトレンジに対し優先順位を高くされる請求項3記載のシフト装置。
【請求項6】
第1の前記シフト位置の選択値が第2の前記シフト位置の選択値に対し差分閾値以上であることを前記検出部が検出した際に前記変速機が第1の前記シフト位置に対応する前記シフトレンジに変更される請求項1記載のシフト装置。
【請求項7】
前記検出部が前記中間位置の選択を検出した際に前記変速機のシフトレンジが維持される請求項1記載のシフト装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シフト位置が選択可能にされるシフト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載の入力装置では、機能凹部が接触されて、自動変速機のシフトレンジが変更される。
【0003】
ここで、このシフト装置では、機能凹部間の接続部が接触された際に、自動変速機のシフトレンジが判定されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許出願公開102014009355号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事実を考慮し、シフト位置間の中間位置が選択された際に変速機のシフトレンジを判定できるシフト装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様のシフト装置は、選択可能にされる複数のシフト位置と、前記シフト位置の選択を検出して車両の変速機のシフトレンジが変更されると共に、前記シフト位置間の中間位置の選択を検出して前記変速機のシフトレンジが判定される検出部と、を備える。
【0007】
本発明の第2態様のシフト装置は、本発明の第1態様のシフト装置において、前記検出部は、前記シフト位置の選択を検出するシフト検出部と、前記中間位置の選択を検出する中間検出部と、を有する。
【0008】
本発明の第3態様のシフト装置は、本発明の第1態様又は第2態様のシフト装置において、前記検出部が前記中間位置の選択を検出した際に前記中間位置の両側の前記シフト位置に対応する前記シフトレンジのうちの優先順位の高い前記シフトレンジに前記変速機が変更される。
【0009】
本発明の第4態様のシフト装置は、本発明の第3態様のシフト装置において、優先順位の高い前記シフトレンジに対応する前記シフト位置が優先順位の低い前記シフトレンジに対応する前記シフト位置に対し選択されるための閾値を小さくされる。
【0010】
本発明の第5態様のシフト装置は、本発明の第3態様又は第4態様のシフト装置において、車両が駆動されない前記シフトレンジが車両が駆動される前記シフトレンジに対し優先順位を高くされる。
【0011】
本発明の第6態様のシフト装置は、本発明の第1態様~第5態様の何れか1つのシフト装置において、第1の前記シフト位置の選択値が第2の前記シフト位置の選択値に対し差分閾値以上であることを前記検出部が検出した際に前記変速機が第1の前記シフト位置に対応する前記シフトレンジに変更される。
【0012】
本発明の第7態様のシフト装置は、本発明の第1態様~第6態様の何れか1つのシフト装置において、前記検出部が前記中間位置の選択を検出した際に前記変速機のシフトレンジが維持される。
【発明の効果】
【0013】
本発明の第1態様のシフト装置では、複数のシフト位置が選択可能にされる。さらに、検出部がシフト位置の選択を検出して、車両の変速機のシフトレンジが変更される。
【0014】
ここで、検出部がシフト位置間の中間位置の選択を検出して、変速機のシフトレンジが判定される。このため、シフト位置間の中間位置が選択された際に、変速機のシフトレンジを判定できる。
【0015】
本発明の第2態様のシフト装置では、検出部がシフト検出部と中間検出部とを有しており、シフト検出部がシフト位置の選択を検出すると共に、中間検出部が中間位置の選択を検出する。このため、シフト検出部とは別に中間検出部が設けられることで、中間位置の選択を良好に検出できる。
【0016】
本発明の第3態様のシフト装置では、検出部が中間位置の選択を検出した際に、中間位置の両側のシフト位置に対応するシフトレンジのうちの優先順位の高いシフトレンジに変速機が変更される。このため、変速機を優先順位の高いシフトレンジに変更できる。
【0017】
本発明の第4態様のシフト装置では、優先順位の高いシフトレンジに対応するシフト位置が、優先順位の低いシフトレンジに対応するシフト位置に対し、選択されるための閾値を小さくされる。このため、変速機を優先順位の高いシフトレンジに適切に変更できる。
【0018】
本発明の第5態様のシフト装置では、車両が駆動されないシフトレンジが、車両が駆動されるシフトレンジに対し、優先順位を高くされる。このため、検出部が中間位置の選択を検出した際に、車両が駆動されることを制限できる。
【0019】
本発明の第6態様のシフト装置では、第1のシフト位置の選択値が第2のシフト位置の選択値に対し差分閾値以上であることを検出部が検出した際に、変速機が第1のシフト位置に対応するシフトレンジに変更される。このため、変速機を第1のシフト位置に対応するシフトレンジに適切に変更できる。
【0020】
本発明の第7態様のシフト装置では、検出部が中間位置の選択を検出した際に、変速機のシフトレンジが維持される。このため、検出部が中間位置の選択を検出した際に、変速機のシフトレンジの変更を制限できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第1実施形態に係るシフト装置を示す表側から見た正面図である。
図2】本発明の第1実施形態に係るシフト装置を示す下方から見た断面図である。
図3】(A)及び(B)は、本発明の第2実施形態に係るシフト装置を示す表側から見た正面図であり、(A)は、シフト位置の選択状況を示し、(B)は、中間位置の選択状況を示している。
図4】本発明の第3実施形態に係るシフト装置を示す表側から見た正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[第1実施形態]
図1には、本発明の第1実施形態に係るシフト装置10が表側から見た正面図にて示されており、図2には、シフト装置10が下方から見た断面図にて示されている。なお、図面では、シフト装置10の表側を矢印SFで示し、シフト装置10の右方を矢印RHで示し、シフト装置10の上方を矢印UPで示している。
【0023】
図1及び図2に示す如く、本実施形態に係るシフト装置10は、車両(自動車)のインストルメントパネル12の車幅方向中央部に設置されて、車両のステアリングホイール(図示省略)の車幅方向内側に配置されている。また、シフト装置10の表側、右方及び上方は、それぞれ車両の後側、右方及び上側に向けられている。
【0024】
シフト装置10には、設置体としての略直方体形箱状のケース14が設けられており、ケース14は、インストルメントパネル12の車両前側に固定されている。ケース14は、左右方向に長尺にされており、ケース14内は、表側に開放されている。インストルメントパネル12には、ケース14の車両後側において、矩形状の開口12Aが形成されており、ケース14内は、開口12Aに対向されている。ケース14内には、固定柱14Aが複数設けられており、固定柱14Aは、ケース14の裏側壁から表側に突出されている。
【0025】
ケース14の表側には、選択体としての矩形板状のパネル16が設けられており、パネル16は、ケース14の固定柱14Aの表側に固定されて、インストルメントパネル12の開口12Aに嵌合されている。
【0026】
パネル16の表側部分には、選択部材としての矩形板状のプレート18が設けられており、プレート18は、例えば樹脂製にされて、絶縁体にされている。プレート18の表側面は、インストルメントパネル12の車両後側面と面一に配置されており、プレート18の表側面は、インストルメントパネル12の車両後側面と共に、車両の車室の意匠面を構成している。このため、プレート18の表側面は、車両の乗員(特に運転者)が手指Fによって接触可能にされている。
【0027】
プレート18の表側面には、シフト位置としての矩形状のP位置20P(パーク位置)、R位置20R(リバース位置)、N位置20N(ニュートラル位置)及びD位置20D(ドライブ位置)が設けられており、P位置20P、R位置20R、N位置20N及びD位置20Dは、左側から右側へ向けてこの順番で等間隔に配置されている。また、P位置20P、R位置20R、N位置20N及びD位置20Dの中央部には、それぞれ「P」表示18P、「R」表示18R、「N」表示18N及び「D」表示18Dが表示されている。
【0028】
プレート18の表側面では、P位置20PとR位置20Rとの間、R位置20RとN位置20Nとの間及びN位置20NとD位置20Dとの間が、それぞれ中間位置としてのPR位置20PR、RN位置20RN及びND位置20NDにされており、PR位置20PR、RN位置20RN及びND位置20NDの左右方向寸法は、P位置20P、R位置20R、N位置20N及びD位置20Dの左右方向寸法に比し小さくされている。
【0029】
プレート18の裏側には、検出部としての矩形シート状の静電シート22が固定されており、静電シート22は、プレート18の裏側面を被覆している。静電シート22の表側には、シフト検出部としての矩形膜状のP電極24P、R電極24R、N電極24N及びD電極24Dが設けられており、P電極24P、R電極24R、N電極24N及びD電極24Dは、左側から右側へ向けてこの順番で等間隔に配置されている。P電極24P、R電極24R、N電極24N及びD電極24Dの左右方向寸法は、乗員の手指Fの幅方向寸法に比し大きくされており、P電極24PとR電極24Rとの隙間、R電極24RとN電極24Nとの隙間及びN電極24NとD電極24Dとの隙間の左右方向寸法は、乗員の手指Fの幅方向寸法に比し小さくされている。P電極24P、R電極24R、N電極24N及びD電極24Dの各全体は、それぞれP位置20P、R位置20R、N位置20N及びD位置20Dの各全体と表裏方向(プレート18の肉厚方向)において対向されており、P電極24P、R電極24R、N電極24N及びD電極24Dは、例えば金属製にされて、導電性を有している。
【0030】
静電シート22のP電極24P、R電極24R、N電極24N及びD電極24Dは、車両の制御装置26に電気的に接続されており、制御装置26には、車両の変速機28(自動変速機)が電気的に接続されている。制御装置26には、CPU、ROM、RAM、不揮発性のメモリ(ストレージ)等がバスによって接続されたマイクロコンピュータが設けられており、制御装置26では、CPUがROM及びストレージに記憶されたプログラムを読出してRAMに展開しながら実行することで、各種の機能が実現される。
【0031】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0032】
以上の構成のシフト装置10では、乗員が手指Fによってパネル16(プレート18)のP位置20P、R位置20R、N位置20N又はD位置20Dに接触した際に、それぞれ手指Fとパネル16(静電シート22)のP電極24P、R電極24R、N電極24N又はD電極24Dとの間に静電容量が発生する。そして、手指FとP電極24P、R電極24R、N電極24N又はD電極24Dとの間の静電容量(例えば電流が変換された電圧として検出される選択値)が時間閾値(例えば0.5秒)以上の時間において容量閾値以上である場合には、それぞれ、P位置20P、R位置20R、N位置20N又はD位置20Dが選択されたと制御装置26が判定して(P位置20P、R位置20R、N位置20N又はD位置20Dの選択が検出されて)、制御装置26の制御により変速機28のシフトレンジが対応するPレンジ(パークレンジ)、Rレンジ(リバースレンジ)、Nレンジ(ニュートラルレンジ)又はDレンジ(ドライブレンジ)に変更される。
【0033】
ところで、制御装置26では、変速機28のシフトレンジに優先順位が設定されており、優先順位の高いシフトレンジから低いシフトレンジへの順番が、Pレンジ、Nレンジ、Dレンジ、Rレンジの順番にされている。
【0034】
乗員が手指Fによってパネル16のPR位置20PRに接触して(図1参照)、手指Fとパネル16のP電極24P及びR電極24Rのそれぞれとの間の静電容量が時間閾値以上の時間において容量閾値以上である場合には、PR位置20PRが選択されたと制御装置26が判定して(PR位置20PRの選択が検出されて)、制御装置26の制御により変速機28がRレンジに対し優先順位の高いPレンジに変更される。
【0035】
乗員が手指Fによってパネル16のRN位置20RNに接触して、手指FとR電極24R及びN電極24Nのそれぞれとの間の静電容量が時間閾値以上の時間において容量閾値以上である場合には、RN位置20RNが選択されたと制御装置26が判定して(RN位置20RNの選択が検出されて)、制御装置26の制御により変速機28がRレンジに対し優先順位の高いNレンジに変更される。
【0036】
乗員が手指Fによってパネル16のND位置20NDに接触して、手指FとN電極24N及びD電極24Dのそれぞれとの間の静電容量が時間閾値以上の時間において容量閾値以上である場合には、ND位置20NDが選択されたと制御装置26が判定して(ND位置20NDの選択が検出されて)、制御装置26の制御により変速機28がDレンジに対し優先順位の高いNレンジに変更される。
【0037】
乗員が複数の手指Fによってパネル16のP位置20P、R位置20R、N位置20N及びD位置20Dのうちの複数のシフト位置に接触して、複数の手指FとP電極24P、R電極24R、N電極24N及びD電極24Dのうちの複数の電極との間のそれぞれの静電容量が時間閾値以上の時間において容量閾値以上である場合には、複数のシフト位置が選択されたと制御装置26が判定して(複数のシフト位置の選択が検出されて)、制御装置26の制御により変速機28が当該複数のシフト位置に対応する複数のシフトレンジのうちの最も優先順位の高いシフトレンジに変更される。
【0038】
ここで、制御装置26では、変速機28のシフトレンジの優先順位が、車両が駆動されないPレンジ及びNレンジを車両が駆動されるRレンジ及びDレンジに対し高く設定されており、PR位置20PR、RN位置20RN又はND位置20NDが選択された際には、それぞれ変速機28が車両が駆動されないPレンジ、Nレンジ又はNレンジに変更される。このため、PR位置20PR、RN位置20RN又はND位置20NDが選択された際には、車両が駆動されることを制限でき、車両の安全性を高くできる。
【0039】
また、制御装置26では、変速機28のシフトレンジの優先順位が、車両の安全性が高い方を高く設定されており、複数のシフト位置が選択された際には、変速機28が最も優先順位の高いシフトレンジに変更される。このため、複数のシフト位置が選択された際には、車両の安全性を高くできる。
【0040】
なお、本実施形態では、制御装置26に変速機28のシフトレンジの優先順位が予め設定される。しかしながら、優先順位が高いシフトレンジに対応するシフト位置が選択されるための容量閾値が、優先順位が低いシフトレンジに対応するシフト位置が選択されるための容量閾値に比し小さくされることで、変速機28のシフトレンジに優先順位が設定されてもよい。さらに、優先順位が高いシフトレンジに対応するシフト位置が選択されるための時間閾値(例えば0.2秒)が、優先順位が低いシフトレンジに対応するシフト位置が選択されるための時間閾値(例えば0.5秒)に比し小さくされることで、変速機28のシフトレンジに優先順位が設定されてもよい。
【0041】
(第1変形例)
本実施形態の変形例(第1変形例)では、乗員が手指Fによってパネル16のPR位置20PRに接触して、時間閾値以上の時間において、手指FとP電極24P及びR電極24Rの一方との間の静電容量が、容量閾値以上であり、かつ、手指FとP電極24P及びR電極24Rの他方との間の静電容量に対し差分閾値以上である場合に、PR位置20PRが選択されたと制御装置26が判定して(PR位置20PRの選択が検出されて)、制御装置26の制御により変速機28がP電極24P及びR電極24Rの一方に対応するPレンジ及びRレンジの一方に変更される。
【0042】
乗員が手指Fによってパネル16のRN位置20RNに接触して、時間閾値以上の時間において、手指FとR電極24R及びN電極24Nの一方との間の静電容量が、容量閾値以上であり、かつ、手指FとR電極24R及びN電極24Nの他方との間の静電容量に対し差分閾値以上である場合には、RN位置20RNが選択されたと制御装置26が判定して(RN位置20RNの選択が検出されて)、制御装置26の制御により変速機28がR電極24R及びN電極24Nの一方に対応するRレンジ及びNレンジの一方に変更される。
【0043】
乗員が手指Fによってパネル16のND位置20NDに接触して、時間閾値以上の時間において、手指FとN電極24N及びD電極24Dの一方との間の静電容量が、容量閾値以上であり、かつ、手指FとN電極24N及びD電極24Dの他方との間の静電容量に対し差分閾値以上である場合には、ND位置20NDが選択されたと制御装置26が判定して(ND位置20NDの選択が検出されて)、制御装置26の制御により変速機28がN電極24N及びD電極24Dの一方に対応するNレンジ及びDレンジの一方に変更される。
【0044】
乗員が複数の手指Fによってパネル16のPR位置20PR、RN位置20RN及びND位置20NDのうちの複数の中間位置に接触して、時間閾値以上の時間において、複数の手指FとP電極24P、R電極24R、N電極24N及びD電極24Dとの間の1番目に大きい静電容量が、容量閾値以上であり、かつ、複数の手指FとP電極24P、R電極24R、N電極24N及びD電極24Dとの間の2番目に大きい静電容量に対し差分閾値以上である場合には、複数の中間位置が選択されたと制御装置26が判定して(複数の中間位置の選択が検出されて)、制御装置26の制御により変速機28が当該1番目に大きい静電容量の電極に対応するシフトレンジに変更される。
【0045】
以上により、変速機28を静電容量が大きい電極に対応するシフトレンジに適切に変更できる。
【0046】
[第2実施形態]
図3(A)には、本発明の第2実施形態に係るシフト装置50が表側から見た正面図にて示されている。
【0047】
本実施形態に係るシフト装置50は、上記第1実施形態と、ほぼ同様の構成であるが、以下の点で異なる。
【0048】
図3(A)に示す如く、本実施形態に係るシフト装置50では、静電シート22のP電極24Pが左側の第1P電極24P1と右側の第2P電極24P2とに分割されており、第1P電極24P1と第2P電極24P2とは、同一の矩形膜状にされると共に、間に矩形状の隙間が形成されている。静電シート22のR電極24Rは、左側の第1R電極24R1と右側の第2R電極24R2とに分割されており、第1R電極24R1と第2R電極24R2とは、同一の矩形膜状にされると共に、間に矩形状の隙間が形成されている。静電シート22のN電極24Nは、左側の第1N電極24N1と右側の第2N電極24N2とに分割されており、第1N電極24N1と第2N電極24N2とは、同一の矩形膜状にされると共に、間に矩形状の隙間が形成されている。静電シート22のD電極24Dは、左側の第1D電極24D1と右側の第2D電極24D2とに分割されており、第1D電極24D1と第2D電極24D2とは、同一の矩形膜状にされると共に、間に矩形状の隙間が形成されている。
【0049】
第1P電極24P1、第2P電極24P2、第1R電極24R1、第2R電極24R2、第1N電極24N1、第2N電極24N2、第1D電極24D1及び第2D電極24D2の左右方向寸法は、乗員の手指Fの幅方向寸法に比し大きくされている。第1P電極24P1と第2P電極24P2との隙間、第1R電極24R1と第2R電極24R2との隙間、第1N電極24N1と第2N電極24N2との隙間及び第1D電極24D1と第2D電極24D2との隙間の左右方向寸法は、乗員の手指Fの幅方向寸法に比し小さくされている。
【0050】
ところで、乗員が手指Fによってパネル16のP位置20Pに接触して(図3(A)参照)、手指FとP電極24Pの第1P電極24P1及び第2P電極24P2のそれぞれとの間の静電容量が時間閾値以上の時間において容量閾値以上である場合には、P位置20Pが選択されたと制御装置26が判定して(P位置20Pの選択が検出されて)、制御装置26の制御により変速機28がPレンジに変更される。
【0051】
乗員が手指Fによってパネル16のR位置20Rに接触して、手指FとR電極24Rの第1R電極24R1及び第2R電極24R2のそれぞれとの間の静電容量が時間閾値以上の時間において容量閾値以上である場合には、R位置20Rが選択されたと制御装置26が判定して(R位置20Rの選択が検出されて)、制御装置26の制御により変速機28がRレンジに変更される。
【0052】
乗員が手指Fによってパネル16のN位置20Nに接触して、手指FとN電極24Nの第1N電極24N1及び第2N電極24N2のそれぞれとの間の静電容量が時間閾値以上の時間において容量閾値以上である場合には、N位置20Nが選択されたと制御装置26が判定して(N位置20Nの選択が検出されて)、制御装置26の制御により変速機28がNレンジに変更される。
【0053】
乗員が手指Fによってパネル16のD位置20Dに接触して、手指FとD電極24Dの第1D電極24D1及び第2D電極24D2のそれぞれとの間の静電容量が時間閾値以上の時間において容量閾値以上である場合には、D位置20Dが選択されたと制御装置26が判定して(D位置20Dの選択が検出されて)、制御装置26の制御により変速機28がDレンジに変更される。
【0054】
乗員が手指Fによってパネル16のPR位置20PRに接触して(図3(B)参照)、手指Fと第2P電極24P2及び第1R電極24R1のそれぞれとの間の静電容量が時間閾値以上の時間において容量閾値以上である場合には、PR位置20PRが選択されたと制御装置26が判定して(PR位置20PRの選択が検出されて)、制御装置26の制御により変速機28がRレンジに対し優先順位の高いPレンジに変更される。
【0055】
乗員が手指Fによってパネル16のRN位置20RNに接触して、手指Fと第2R電極24R2及び第1N電極24N1のそれぞれとの間の静電容量が時間閾値以上の時間において容量閾値以上である場合には、RN位置20RNが選択されたと制御装置26が判定して(RN位置20RNの選択が検出されて)、制御装置26の制御により変速機28がRレンジに対し優先順位の高いNレンジに変更される。
【0056】
乗員が手指Fによってパネル16のND位置20NDに接触して、手指Fと第2N電極24N2及び第1D電極24D1のそれぞれとの間の静電容量が時間閾値以上の時間において容量閾値以上である場合には、ND位置20NDが選択されたと制御装置26が判定して(ND位置20NDの選択が検出されて)、制御装置26の制御により変速機28がDレンジに対し優先順位の高いNレンジに変更される。
【0057】
ここで、本実施形態でも、上記第1実施形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0058】
(第2変形例)
本実施形態の変形例(第2変形例)では、乗員が手指Fによってパネル16のPR位置20PRに接触して、時間閾値以上の時間において、手指Fと第2P電極24P2及び第1R電極24R1の一方との間の静電容量が、容量閾値以上であり、かつ、手指Fと第2P電極24P2及び第1R電極24R1の他方との間の静電容量に対し差分閾値以上である場合に、PR位置20PRが選択されたと制御装置26が判定して(PR位置20PRの選択が検出されて)、制御装置26の制御により変速機28が第2P電極24P2及び第1R電極24R1の一方に対応するPレンジ及びRレンジの一方に変更される。
【0059】
乗員が手指Fによってパネル16のRN位置20RNに接触して、時間閾値以上の時間において、手指Fと第2R電極24R2及び第1N電極24N1の一方との間の静電容量が、容量閾値以上であり、かつ、手指Fと第2R電極24R2及び第1N電極24N1の他方との間の静電容量に対し差分閾値以上である場合には、RN位置20RNが選択されたと制御装置26が判定して(RN位置20RNの選択が検出されて)、制御装置26の制御により変速機28が第2R電極24R2及び第1N電極24N1の一方に対応するRレンジ及びNレンジの一方に変更される。
【0060】
乗員が手指Fによってパネル16のND位置20NDに接触して、時間閾値以上の時間において、手指Fと第2N電極24N2及び第1D電極24D1の一方との間の静電容量が、容量閾値以上であり、かつ、手指Fと第2N電極24N2及び第1D電極24D1の他方との間の静電容量に対し差分閾値以上である場合には、ND位置20NDが選択されたと制御装置26が判定して(ND位置20NDの選択が検出されて)、制御装置26の制御により変速機28が第2N電極24N2及び第1D電極24D1の一方に対応するNレンジ及びDレンジの一方に変更される。
【0061】
乗員が複数の手指Fによってパネル16のPR位置20PR、RN位置20RN及びND位置20NDのうちの複数の中間位置に接触して、時間閾値以上の時間において、複数の手指Fと第2P電極24P2、第1R電極24R1、第2R電極24R2、第1N電極24N1、第2N電極24N2及び第1D電極24D1との間の1番目に大きい静電容量が、容量閾値以上であり、かつ、複数の手指Fと第2P電極24P2、第1R電極24R1、第2R電極24R2、第1N電極24N1、第2N電極24N2及び第1D電極24D1との間の2番目に大きい静電容量に対し差分閾値以上である場合には、複数の中間位置が選択されたと制御装置26が判定して(複数の中間位置の選択が検出されて)、制御装置26の制御により変速機28が当該1番目に大きい静電容量の電極に対応するシフトレンジに変更される。
【0062】
以上により、変速機28を静電容量が大きい電極に対応するシフトレンジに適切に変更できる。
【0063】
[第3実施形態]
図4には、本発明の第3実施形態に係るシフト装置70が表側から見た正面図にて示されている。
【0064】
本実施形態に係るシフト装置70は、上記第1実施形態と、ほぼ同様の構成であるが、以下の点で異なる。
【0065】
図4に示す如く、本実施形態に係るシフト装置70では、静電シート22において、P電極24PとR電極24Rとの間、R電極24RとN電極24Nとの間及びN電極24NとD電極24Dとの間の左右方向寸法が大きくされており、P電極24PとR電極24Rとの間、R電極24RとN電極24Nとの間及びN電極24NとD電極24Dとの間には、それぞれ中間検出部としての矩形膜状のPR電極24PR、RN電極24RN及びND電極24NDが設けられている。PR電極24PR、RN電極24RN及びND電極24NDの左右方向寸法は、乗員の手指Fの幅方向寸法に比し大きくされており、PR電極24PR、RN電極24RN及びND電極24NDは、例えば金属製にされて導電性を有すると共に、制御装置26に電気的に接続されている。
【0066】
ところで、乗員が手指Fによってパネル16のPR位置20PRに接触して(図4参照)、手指FとPR電極24PRとの間の静電容量が時間閾値以上の時間において容量閾値以上である場合には、PR位置20PRが選択されたと制御装置26が判定して(PR位置20PRの選択が検出されて)、制御装置26の制御により変速機28がRレンジに対し優先順位の高いPレンジに変更される。
【0067】
乗員が手指Fによってパネル16のRN位置20RNに接触して、手指FとRN電極24RNとの間の静電容量が時間閾値以上の時間において容量閾値以上である場合には、RN位置20RNが選択されたと制御装置26が判定して(RN位置20RNの選択が検出されて)、制御装置26の制御により変速機28がRレンジに対し優先順位の高いNレンジに変更される。
【0068】
乗員が手指Fによってパネル16のND位置20NDに接触して、手指FとND電極24NDとの間の静電容量が時間閾値以上の時間において容量閾値以上である場合には、ND位置20NDが選択されたと制御装置26が判定して(ND位置20NDの選択が検出されて)、制御装置26の制御により変速機28がDレンジに対し優先順位の高いNレンジに変更される。
【0069】
ここで、本実施形態でも、上記第1実施形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0070】
さらに、手指FとPR電極24PRとの間の静電容量、手指FとRN電極24RNとの間の静電容量及び手指FとND電極24NDとの間の静電容量に基づき、それぞれPR位置20PRの選択、RN位置20RNの選択及びND位置20NDの選択が判定される。このため、PR位置20PR、RN位置20RN及びND位置20NDの選択を判定するための静電容量を大きくでき、PR位置20PR、RN位置20RN及びND位置20NDの選択を適切に判定できる。
【0071】
なお、上記第1実施形態(第1変形例を含む)、第2実施形態(第2変形例を含む)及び第3実施形態では、PR位置20PR、RN位置20RN又はND位置20NDが選択されたと制御装置26が判定した場合に、制御装置26の制御により変速機28のシフトレンジが変更される。しかしながら、PR位置20PR、RN位置20RN又はND位置20NDが選択されたと制御装置26が判定した場合に、制御装置26の制御により変速機28のシフトレンジが変更されずに維持されてもよい。
【0072】
さらに、上記第1実施形態(第1変形例を含む)、第2実施形態(第2変形例を含む)及び第3実施形態では、複数のシフト位置が選択されたと制御装置26が判定した場合に、制御装置26の制御により変速機28が当該複数のシフト位置に対応する複数のシフトレンジのうちの最も優先順位の高いシフトレンジに変更される。しかしながら、複数のシフト位置が選択されたと制御装置26が判定した場合に、制御装置26の制御により変速機28のシフトレンジが変更されずに維持されてもよい。
【0073】
また、上記第1実施形態(第1変形例を含む)、第2実施形態(第2変形例を含む)及び第3実施形態において、例えばパネル16のP位置20Pが電動パーキングブレーキ(Electric Parking Brake)スイッチの機能を併せて有してもよい。この場合、制御装置26に車両の電動パーキングブレーキが電気的に接続されることで、制御装置26の制御により、変速機28がPレンジに変更される際に、電動パーキングブレーキが作動されると共に、制御装置26の制御により、変速機28がPレンジから変更される際に、電動パーキングブレーキの作動が解除される。
【0074】
さらに、上記第1実施形態(第1変形例を含む)、第2実施形態(第2変形例を含む)及び第3実施形態では、シフト装置10、50、70がインストルメントパネルに設置される。しかしながら、シフト装置10、50、70が車両の他の部分(コンソール又はコラムカバー等)に設置されてもよい。
【符号の説明】
【0075】
10・・・シフト装置、20P・・・P位置(シフト位置)、20R・・・R位置(シフト位置)、20N・・・N位置(シフト位置)、20D・・・D位置(シフト位置)、20PR・・・PR位置(中間位置)、20RN・・・RN位置(中間位置)、20ND・・・ND位置(中間位置)、22・・・静電シート(検出部)、24P・・・P電極(シフト検出部)、24R・・・R電極(シフト検出部)、24N・・・N電極(シフト検出部)、24D・・・D電極(シフト検出部)、24PR・・・PR電極(中間検出部)、24RN・・・RN電極(中間検出部)、24ND・・・ND電極(中間検出部)、28・・・変速機、50・・・シフト装置、70・・・シフト装置
図1
図2
図3
図4