(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023168046
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】ステアリング装置
(51)【国際特許分類】
B62D 1/19 20060101AFI20231116BHJP
【FI】
B62D1/19
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022079665
(22)【出願日】2022-05-13
(71)【出願人】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長 勇次
【テーマコード(参考)】
3D030
【Fターム(参考)】
3D030DD02
3D030DD23
3D030DE05
3D030DE09
3D030DE13
3D030DE23
3D030DE26
(57)【要約】
【課題】簡単な構成でステアリングへの衝撃を吸収する。
【解決手段】ステアリング装置10では、コラムモジュール20のスライダ36がリンフォース38のガイド溝38Aに案内されて、コラムモジュール20及びステアリングが移動される。ここで、ステアリングに衝撃が作用された際に、スライダ36がガイド溝38Aの周面によって破断されて、ステアリング及びコラムモジュール20の回転が許容される。このため、スライダ36とガイド溝38Aとを使用して当該衝撃を吸収できるため、簡単な構成で当該衝撃を吸収できる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操舵されて車両の転舵輪が転舵されるステアリングと、
前記ステアリングを操舵可能に支持し、被案内部が設けられる支持体と、
案内部が設けられると共に、前記被案内部と前記案内部とが係合される状態で前記支持体が取付けられ、前記被案内部が前記案内部に案内されて前記支持体の位置が調整されると共に、前記ステアリングに衝撃が作用された際に前記被案内部と前記案内部との係合が解除されて当該衝撃が吸収される取付体と、
を備えるステアリング装置。
【請求項2】
前記ステアリングに衝撃が作用された際に前記被案内部及び前記案内部の少なくとも一方が変形される請求項1記載のステアリング装置。
【請求項3】
前記被案内部及び前記案内部の少なくとも一方に設けられ、強度が低下される強度低下部を備える請求項1記載のステアリング装置。
【請求項4】
前記支持体の前記取付体への取付力が調整可能にされる請求項1記載のステアリング装置。
【請求項5】
前記支持体及び前記取付体の少なくとも一方に設けられ、前記ステアリングに衝撃が作用された際に変形される変形部を備える請求項1記載のステアリング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステアリングを支持する支持体が取付体に取付けられるステアリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載の車両用ステアリング装置では、ステアリングホイールをステアリングコラムが支持しており、ステアリングコラムのフランジがステアリングクロスビームのブラケットに結合されて、ステアリングコラムがステアリングクロスビームに取付けられている。
【0003】
ここで、この車両用ステアリング装置では、ステアリングホイールに衝撃が作用された際に、ステアリングホイール及びステアリングコラムが回動されて、当該衝撃が吸収される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事実を考慮し、簡単な構成でステアリングへの衝撃を吸収できるステアリング装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様のステアリング装置は、操舵されて車両の転舵輪が転舵されるステアリングと、前記ステアリングを操舵可能に支持し、被案内部が設けられる支持体と、案内部が設けられると共に、前記被案内部と前記案内部とが係合される状態で前記支持体が取付けられ、前記被案内部が前記案内部に案内されて前記支持体の位置が調整されると共に、前記ステアリングに衝撃が作用された際に前記被案内部と前記案内部との係合が解除されて当該衝撃が吸収される取付体と、を備える。
【0007】
本発明の第2態様のステアリング装置は、本発明の第1態様のステアリング装置において、前記ステアリングに衝撃が作用された際に前記被案内部及び前記案内部の少なくとも一方が変形される。
【0008】
本発明の第3態様のステアリング装置は、本発明の第1態様又は第2態様のステアリング装置において、前記被案内部及び前記案内部の少なくとも一方に設けられ、強度が低下される強度低下部を備える。
【0009】
本発明の第4態様のステアリング装置は、本発明の第1態様~第3態様の何れか1つのステアリング装置において、前記支持体の前記取付体への取付力が調整可能にされる。
【0010】
本発明の第5態様のステアリング装置は、本発明の第1態様~第4態様の何れか1つのステアリング装置において、前記支持体及び前記取付体の少なくとも一方に設けられ、前記ステアリングに衝撃が作用された際に変形される変形部を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明の第1態様のステアリング装置では、ステアリングが操舵されて、車両の転舵輪が転舵される。また、ステアリングを支持体が操舵可能に支持しており、ステアリングの被案内部と取付体の案内部とが係合される状態で支持体が取付体に取付けられる。さらに、被案内部が案内部に案内されて、支持体の位置が調整される。
【0012】
ここで、ステアリングに衝撃が作用された際に、被案内部と案内部との係合が解除されて、当該衝撃が吸収される。このため、被案内部と案内部とを使用して当該衝撃を吸収できるため、簡単な構成で当該衝撃を吸収できる。
【0013】
本発明の第2態様のステアリング装置では、ステアリングに衝撃が作用された際に、被案内部及び案内部の少なくとも一方が変形される。このため、当該衝撃を吸収できる。
【0014】
本発明の第3態様のステアリング装置では、被案内部及び案内部の少なくとも一方の強度低下部の強度が低下される。このため、ステアリングに衝撃が作用された際に、強度低下部が変形されることで、被案内部及び案内部の少なくとも一方が変形により当該衝撃を吸収するための荷重を調整できる。
【0015】
本発明の第4態様のステアリング装置では、支持体の取付体への取付力が調整可能にされる。このため、ステアリングに衝撃が作用された際に、支持体及び取付体が当該衝撃を吸収するための荷重を調整できる。
【0016】
本発明の第5態様のステアリング装置では、ステアリングに衝撃が作用された際に、支持体及び取付体の少なくとも一方の変形部が変形される。このため、変形部によって当該衝撃を吸収できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るステアリング装置を示す車両後側から見た正面図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係るステアリング装置を示す車両右側かつ車両後側から見た斜視図である。
【
図3】(A)は、本発明の第1実施形態に係るステアリング装置のブラケット及びリンフォースを示す車両右方から見た断面図であり、(B)は、本発明の第1実施形態に係るステアリング装置のリンフォースを示す車両右側かつ車両前側から見た斜視図である。
【
図4】(A)は、本発明の第1実施形態の第1変形例に係るステアリング装置のブラケット及びリンフォースを示す車両右方から見た断面図であり、(B)は、本発明の第1実施形態の第2変形例に係るステアリング装置のブラケット及びリンフォースを示す車両右方から見た断面図である。
【
図5】(A)~(C)は、本発明の第1実施形態の第3変形例に係るステアリング装置のブラケット及びリンフォースを示す車両右方から見た断面図であり、(A)は、通常時を示し、(B)は、ステアリングへの衝撃作用開始時を示し、(C)は、ステアリングへの衝撃作用開始後を示している。
【
図6】本発明の第2実施形態に係るステアリング装置のブラケット及びリンフォースを示す車両右方から見た断面図である。
【
図7】(A)及び(B)は、本発明の第3実施形態に係るステアリング装置のブラケット及びリンフォースを示す車両右方から見た断面図であり、(A)は、ブラケットのリンフォースへの第1締付状態を示し、(B)は、ブラケットのリンフォースへの第2締付状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[第1実施形態]
図1には、本発明の第1実施形態に係るステアリング装置10が車両後側から見た正面図にて示されており、
図2には、ステアリング装置10が車両右側かつ車両後側から見た斜視図にて示されている。なお、図面では、車両前方を矢印FRで示し、車両右方を矢印RHで示し、上方を矢印UPで示している。
【0019】
図1及び
図2に示す如く、本実施形態に係るステアリング装置10には、ステアリング12が設けられている。ステアリング12の内周側には、正面視T字状の内側部12Aが設けられると共に、ステアリング12の外周側には、把持部としての正面視U字状のリム部12Bが設けられており、リム部12Bは、内側部12Aの車両左側端、車両右側端及び下端と一体にされている。ステアリング12は、車両後側における車両の運転席に向けられており、ステアリング12は、運転席に着座する乗員(運転者)の車両前側に配置される。このため、乗員がリム部12Bを把持してステアリング12を左回し方向及び右回し方向に操舵(回転操作)可能にされている。
【0020】
ステアリング12の内側部12Aには、車両左右方向中央部分の車両後側において、収容部材としての樹脂製で略箱状のパッド14が設けられており、パッド14内は、車両前側に開放される共に、エアバッグ装置16が収容されている。エアバッグ装置16には、袋状のエアバッグ(図示省略)が折畳まれた状態で設けられており、エアバッグ装置16は、車両の制御装置18に電気的に接続されている。
【0021】
ステアリング12の車両前側には、支持体としての略直方体状のコラムモジュール20が設けられており、コラムモジュール20は、車両後方へ向かうに従い上方へ向かう方向に傾斜配置されている。
【0022】
コラムモジュール20には、回転部材としての略円柱状のステアリングシャフト22が回転可能に支持されており、ステアリングシャフト22は、車両後方へ向かうに従い上方へ向かう方向に傾斜される共に、車両後側に延出されている。ステアリングシャフト22の車両後側端部には、ステアリング12の内側部12Aの上側かつ車両左右方向中央の部分が固定されており、ステアリングシャフト22は、ステアリング12を支持している。ステアリングシャフト22は、ステアリング12の操舵と一体回転可能にされており、ステアリング12の操舵軸方向は、車両後方へ向かうに従い上方へ向かう方向に傾斜されている。
【0023】
コラムモジュール20内には、検出部としての角度センサ24が設けられており、角度センサ24は、ステアリングシャフト22の回転方向及び回転角度を検出して、ステアリング12の操舵方向及び操舵角を検出する。角度センサ24は、制御装置18に電気的に接続されており、制御装置18には、車両の転舵装置26が電気的に接続されている。転舵装置26は、車両の転舵輪28(例えば前輪)に機械的に接続されており、ステアリング12が操舵されて、角度センサ24がステアリング12の操舵方向及び操舵角を検出した際には、制御装置18の制御により、転舵装置26が転舵輪28をステアリング12の操舵方向及び操舵角に対応する転舵方向及び転舵角に転舵させる。これにより、ステアリング装置10は、ステアバイワイヤシステムを構成しており、ステアリング12は、転舵輪28に、電気的に接続されて、機械的には接続されない構成にされている。
【0024】
コラムモジュール20の下面には、取付部としての金属製で略円筒状のブラケット30(
図3(A)参照)が固定されており、ブラケット30の軸方向は、車両左右方向にされている。ブラケット30の車両前側部分は、周方向において分離されており、ブラケット30の周方向両端には、矩形板状の取付片30Aが一体形成されている。取付片30Aは、ブラケット30の径方向外側に延出されており、一対の取付片30Aは、調整機構としてのボルト32及びナット34によって締結されている。ブラケット30の上部には、円柱状の嵌合孔30Bが形成されており、嵌合孔30Bは、ブラケット30の径方向内側(下側)に開放されている。嵌合孔30Bには、被案内部としての金属製で円柱状のスライダ36が嵌合されており、スライダ36は、ブラケット30の径方向内側(下側)に突出されている。
【0025】
ブラケット30内には、取付体としての金属製で略円筒状のリンフォース38(
図3の(A)及び(B)参照)が嵌合されており、リンフォース38は、軸方向が車両左右方向にされると共に、軸方向両端が車体に固定されている。リンフォース38の上部には、案内部としての断面矩形状のガイド溝38Aが形成されており、ガイド溝38Aは、リンフォース38の軸方向全体に延在される共に、リンフォース38の径方向外側(上側)に開放されている。
【0026】
ガイド溝38Aには、コラムモジュール20(ブラケット30)のスライダ36が挿入されて連絡(係合)されており、ガイド溝38Aにスライダ36がリンフォース38の周方向において嵌合されることで、ブラケット30のリンフォース38周りへの回転が規制されて、コラムモジュール20及びステアリング12のリンフォース38周りへの回転が規制されている。
【0027】
スライダ36は、ガイド溝38Aに案内されて移動(スライド)可能にされており、これにより、ブラケット30がリンフォース38の軸方向に移動可能にされて、コラムモジュール20及びステアリング12がリンフォース38の軸方向に移動可能にされている。上述の如くブラケット30の一対の取付片30Aがボルト32及びナット34によって締結されることで、ブラケット30がリンフォース38に締付けられており(取付けられており)、これにより、ブラケット30のリンフォース38軸方向への移動が規制されて、コラムモジュール20及びステアリング12のリンフォース38軸方向への移動が規制されている。
【0028】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0029】
以上の構成のステアリング装置10では、コラムモジュール20におけるブラケット30の一対の取付片30Aがボルト32及びナット34によって締結されない状態で、ブラケット30のスライダ36がリンフォース38のガイド溝38Aに案内されて移動されることで、ブラケット30がリンフォース38の軸方向に移動されて、コラムモジュール20及びステアリング12がリンフォース38の軸方向に移動される。このため、ステアリング12が転舵輪28に機械的に接続される場合とは異なり、車両へのコラムモジュール20及びステアリング12の搭載位置が車両左右方向(リンフォース38の軸方向)において調整可能にされて、車両へのコラムモジュール20及びステアリング12の搭載位置の自由度が向上されている。
【0030】
ところで、車両の衝突時には、制御装置18の制御により、ステアリング12におけるエアバッグ装置16のエアバッグ内に高圧のガスが瞬時に供給されて、エアバッグが膨張されることで、エアバッグが、パッド14を破断して、ステアリング12の車両後側全体に展開される。これにより、乗員の頭部がエアバッグに衝突しても、乗員の頭部からの衝撃がエアバッグによって吸収される。
【0031】
さらに、乗員の頭部からの衝撃がエアバッグを介してステアリング12に作用されて、ステアリング12及びコラムモジュール20に車両前側かつ上側への回転力が作用されても、ブラケット30のスライダ36がリンフォース38のガイド溝38A周面によって破断されて、ブラケット30がリンフォース38との摩擦力に抗してリンフォース38周りに回転される。このため、ステアリング12及びコラムモジュール20の車両前側かつ上側への回転が許容されて、乗員の頭部からの衝撃がスライダ36の破断及びブラケット30とリンフォース38との摩擦力によって吸収される。
【0032】
ここで、上述の如く、乗員の頭部からの衝撃がステアリング12に作用された際には、ブラケット30のスライダ36とリンフォース38のガイド溝38Aとの連絡が解除されて、当該衝撃が吸収される。このため、スライダ36とガイド溝38Aとを使用して当該衝撃を吸収できるため、簡単な構成で当該衝撃を吸収でき、当該衝撃を吸収するための構造を小型化及び軽量化できる。
【0033】
さらに、乗員の頭部からの衝撃がステアリング12に作用された際には、スライダ36が破断(変形)される。このため、当該衝撃を吸収できる。
【0034】
しかも、ブラケット30の一対の取付片30Aのボルト32及びナット34による締結力が調整されることで、ブラケット30のリンフォース38への締付力(取付力)が調整される。このため、乗員の頭部からの衝撃がステアリング12に作用されてブラケット30がリンフォース38周りに回転される際におけるブラケット30とリンフォース38との摩擦力を調整でき、ブラケット30とリンフォース38とが摩擦力により当該衝撃を吸収するための荷重を調整できる。
【0035】
(第1変形例)
図4(A)には、本実施形態の第1変形例に係るステアリング装置50のブラケット30及びリンフォース38が車両右方から見た断面図にて示されている。
【0036】
図4に示す如く、本第1変形例に係るステアリング装置50では、コラムモジュール20のブラケット30において、スライダ36の軸方向中間部に、強度低下部としての括れ部36Aが同軸上に形成されており、括れ部36Aは、軸方向両端から軸方向中央へ向かうに従い径寸法が小さくされて、強度が低下されている。
【0037】
ここで、乗員の頭部からの衝撃がステアリング12に作用された際には、リンフォース38のガイド溝38A周面によってスライダ36が括れ部36Aの軸方向中央において破断(変形)される。このため、スライダ36が破断により当該衝撃を吸収するための荷重を調整できる。
【0038】
(第2変形例)
図4(B)には、本実施形態の第2変形例に係るステアリング装置60のブラケット30及びリンフォース38が車両右方から見た断面図にて示されている。
【0039】
図4(B)に示す如く、本第2変形例に係るステアリング装置60では、コラムモジュール20のブラケット30において、スライダ36の軸方向中間部に、強度低下部としての円柱状の括れ部36Bが同軸上に形成されており、括れ部36Bは、径寸法が小さくされて、強度が低下されている。
【0040】
ここで、乗員の頭部からの衝撃がステアリング12に作用された際には、リンフォース38のガイド溝38A周面によってスライダ36が括れ部36Bにおいて破断(変形)される。このため、スライダ36が破断により当該衝撃を吸収するための荷重を調整できる。
【0041】
(第3変形例)
図5(A)には、本実施形態の第3変形例に係るステアリング装置70のブラケット30及びリンフォース38が車両右方から見た断面図にて示されている。
【0042】
図5(A)に示す如く、本第3変形例に係るステアリング装置70では、コラムモジュール20のブラケット30において、スライダ36の下部が、同軸上の円錐台状にされて、周面に斜面36Cを形成されており、スライダ36の下部は、下側へ向かうに従い径寸法が小さくされている。スライダ36の上面とブラケット30の嵌合孔30Bの底面(上面)との間には、付勢部材としてのコイル状のスプリング72が掛渡されており、スプリング72は、軸方向において圧縮されて、スライダ36を下側に付勢している。
【0043】
ここで、乗員の頭部からの衝撃がステアリング12に作用された際には、スライダ36が、斜面36Cをリンフォース38のガイド溝38Aの車両前側かつ上側の角部に当接されて、スプリング72の付勢力に抗して上側に移動されることで(
図5(B)参照)、スライダ36が、ガイド溝38Aから離脱されて、ガイド溝38Aとの連絡を解除される(
図5(C)参照)。このため、スライダ36とガイド溝38Aの当該角部との摩擦力及びスプリング72の付勢力によって当該衝撃を吸収できる。
【0044】
[第2実施形態]
図6には、本発明の第2実施形態に係るステアリング装置80のブラケット30及びリンフォース38が車両右方から見た断面図にて示されている。
【0045】
本実施形態に係るステアリング装置80は、上記第1実施形態と、ほぼ同様の構成であるが、以下の点で異なる。
【0046】
図6に示す如く、本実施形態に係るステアリング装置80では、コラムモジュール20において、ブラケット30の内周面に、被案内部及び変形部としての略三角柱状の外突起30Cが複数一体形成されており、複数の外突起30Cは、ブラケット30の周方向に連続して配置されると共に、それぞれブラケット30の軸方向全体に延在されている。
【0047】
リンフォース38の外周面には、案内部及び変形部としての略三角柱状の内突起38Bが複数一体形成されており、複数の内突起38Bは、リンフォース38の周方向に連続して配置されると共に、それぞれリンフォース38の軸方向全体に延在されている。内突起38B間には、コラムモジュール20(ブラケット30)の外突起30Cが挿入されて連絡(係合)されており、内突起38B間に外突起30Cがリンフォース38の周方向において嵌合されることで、ブラケット30のリンフォース38周りへの回転が規制されて、コラムモジュール20及びステアリング12のリンフォース38周りへの回転が規制されている。
【0048】
外突起30Cは、内突起38B間に案内されて移動(スライド)可能にされており、これにより、ブラケット30がリンフォース38の軸方向に移動可能にされて、コラムモジュール20及びステアリング12がリンフォース38の軸方向に移動可能にされている。さらに、ブラケット30の一対の取付片30Aがボルト32及びナット34によって締結されて、ブラケット30がリンフォース38に締付けられており(取付けられており)、これにより、ブラケット30のリンフォース38軸方向への移動が規制されて、コラムモジュール20及びステアリング12のリンフォース38軸方向への移動が規制されている。
【0049】
ここで、コラムモジュール20におけるブラケット30の一対の取付片30Aがボルト32及びナット34によって締結されない状態で、ブラケット30の外突起30Cがリンフォース38の内突起38B間に案内されて移動されることで、ブラケット30がリンフォース38の軸方向に移動されて、コラムモジュール20及びステアリング12がリンフォース38の軸方向に移動される。
【0050】
また、車両の衝突時に、乗員の頭部からの衝撃がエアバッグを介してステアリング12に作用されて、ステアリング12及びコラムモジュール20に車両前側かつ上側への回転力が作用されても、ブラケット30の外突起30C及びリンフォース38の内突起38Bの少なくとも一方が破断(変形)されて、ブラケット30がリンフォース38(外突起30Cでもよい)との摩擦力に抗してリンフォース38周りに回転される。このため、ステアリング12及びコラムモジュール20の車両前側かつ上側への回転が許容されて、乗員の頭部からの衝撃が外突起30C及び内突起38Bの少なくとも一方の破断及びブラケット30とリンフォース38(外突起30Cでもよい)との摩擦力によって吸収される。
【0051】
これにより、本実施形態でも、上記第1実施形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0052】
なお、本実施形態において、上記第1実施形態(第1変形例~第3変形例でもよい)におけるスライダ36(第3変形例ではスプリング72を含む)及びガイド溝38Aが設けられてもよい。
【0053】
[第3実施形態]
図7の(A)及び(B)には、本発明の第3実施形態に係るステアリング装置90のブラケット30及びリンフォース38が車両右方から見た断面図にて示されている。
【0054】
本実施形態に係るステアリング装置90は、上記第1実施形態と、ほぼ同様の構成であるが、以下の点で異なる。
【0055】
図7の(A)及び(B)に示す如く、本実施形態に係るステアリング装置90では、コラムモジュール20のブラケット30において、ボルト32の頭部に操作部材としての棒状のレバー32Aの基端部が連結されている。レバー32Aは、ボルト32の径方向外側に延出されており、レバー32Aが回動操作されて、ボルト32がレバー32Aと一体に回転される。ナット34は、ブラケット30の一方の取付片30Aに固定されており、ボルト32が回転されることで、ボルト32がナット34に対し回転されて、一対の取付片30Aのボルト32及びナット34による締結力が調整される。
【0056】
ここで、本実施形態でも、上記第1実施形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0057】
さらに、レバー32Aが回動操作されることで、ボルト32がナット34に対し回転されて、ブラケット30における一対の取付片30Aのボルト32及びナット34による締結力が調整される。このため、一対の取付片30Aのボルト32及びナット34による締結力を容易に調整でき、ブラケット30のリンフォース38への締付力(取付力)を容易に調整できる。これにより、乗員の頭部からの衝撃がステアリング12に作用されてブラケット30がリンフォース38周りに回転される際におけるブラケット30とリンフォース38との摩擦力を容易に調整できて、ブラケット30とリンフォース38とが摩擦力により当該衝撃を吸収するための荷重を容易に調整できる。
【0058】
なお、本実施形態は、上記第1実施形態に適用される。しかしながら、本実施形態は、上記第1実施形態の第1変形例~第3変形例又は上記第2実施形態に適用されてもよい。
【符号の説明】
【0059】
10・・・ステアリング装置、12・・・ステアリング、20・・・コラムモジュール(支持体)、28・・・転舵輪、30C・・・外突起(被案内部、変形部)、36・・・スライダ(被案内部)、36A・・・括れ部(強度低下部)、36B・・・括れ部(強度低下部)、38・・・リンフォース(取付体)、38A・・・ガイド溝(案内部)、38B・・・内突起(案内部、変形部)、50・・・ステアリング装置、60・・・ステアリング装置、70・・・ステアリング装置、80・・・ステアリング装置、90・・・ステアリング装置