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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023168048
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】遠隔操作装置
(51)【国際特許分類】
   H04Q 9/00 20060101AFI20231116BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
H04Q9/00 341A
H02J13/00 311E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022079667
(22)【出願日】2022-05-13
(71)【出願人】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 恵輔
(72)【発明者】
【氏名】押部 洋
【テーマコード(参考)】
5G064
5K048
【Fターム(参考)】
5G064AA04
5G064AC06
5G064AC09
5G064BA02
5G064BA05
5G064BA09
5G064CB08
5G064CB14
5G064DA02
5K048BA21
5K048DC01
5K048EB02
5K048EB12
5K048EB15
5K048FB10
5K048HA23
(57)【要約】
【課題】現場にかけつけなくてもエネルギー供給設備の故障時に必要な操作盤上での操作を、安価かつ効率的に実現する。
【解決手段】操作指示部52では、無線通信よって、スマートスイッチ34に対して、リセット操作を指示する。リセット操作の指示を受けたスマートスイッチ34は、動作部34Bが動作し、先端で、表示画面16Aのリセット操作領域32をタッチ操作を実行する。スマートスイッチ34を用い、予め定めた固定位置のリセット操作領域32に動作部34Bを対峙させて、遠隔監視センター24からの遠隔操作で、リセット操作領域32のタッチ操作を行うことができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
指示項目が各々設定された複数の領域を表示する表示部、及び前記表示部に表示された前記複数の領域への選択的な操作によって選択的な操作が行われた領域に設定された前記指示項目を受け付ける操作部を備えた操作盤と、前記操作盤で受け付けた指示項目に基づき施設へのエネルギーの供給を制御する制御部と、を備えたエネルギー供給設備に用いられ、前記操作盤への操作を遠隔で実行する遠隔操作装置であって、
前記操作盤に取り付けられ、前記複数の領域の中の予め定めた特定領域に対峙され、受信した電気信号を物理的運動に変換することで前記特定領域への選択的な操作と同等の動作を前記特定領域に対して実行する動作部を備えたアクチュエータを有する遠隔操作装置。
【請求項2】
前記エネルギー供給設備が設置された現場から遠隔となる場所に設置され、前記エネルギー供給設備における稼働状況、及び、稼働中の異常発生の有無の確認を含むトレンドデータを収集することで、前記エネルギー供給設備の稼働状態を監視する監視装置をさらに有し、
前記監視装置には、通信装置を介して、前記電気信号を前記アクチュエータへ送信する送信部が設けられている、請求項1記載の遠隔操作装置。
【請求項3】
前記表示部の表示画面が、複数頁に切り替え可能であり、各頁での表示画面の同一領域が異なる指示項目として機能する場合に、切り替えられた頁における前記特定領域の有無を判別可能な情報を取得する情報取得部をさらに有する、請求項1記載の遠隔操作装置。
【請求項4】
前記情報取得部が、前記表示部の表示画面を撮影するカメラであり、前記カメラにより撮影された画像に基づき、前記特定領域の有無を判別する、請求項3記載の遠隔操作装置。
【請求項5】
前記特定領域の指示項目が、前記制御部のリセット指示である、請求項1記載の遠隔操作装置。
【請求項6】
前記アクチュエータを、前記表示部の表示画面に対峙する二次元平面で、指定されたx-y座標に基づいて移動可能な移動機構部をさらに有する、請求項1記載の遠隔操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作盤、及び、操作盤で受け付けた指示項目に基づき施設へのエネルギーの供給を制御する制御部を備えたエネルギー供給設備に用いられ、操作盤への操作を遠隔で実行する遠隔操作装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
設備監視当事者が展開しているエネルギーサービスでは、遠隔監視システムを構築してエネルギー供給設備の稼働データ収集や故障発生有無の確認を行っている。
【0003】
故障発生時に、その程度によってはメーカー又は設備監視当事者の社員が現場に出動せずに、エネルギーサービスを導入いただいている顧客に対して、現場の状況確認および操作盤でのリセット操作を依頼している。
【0004】
特に、迅速な対応が必要な故障リセットに関しては、顧客は、現場への駆けつけ、現場の状況確認、及び操作盤でのリセット操作という負担が強いられることになる。
【0005】
リセットに関する技術として、特許文献1には、ハングアップ状態となっても機器本体から電池を取り外す等の煩雑な作業を強いられることなく復旧できるようにすることを目的として、リモコンと接続可能な電子機器において、リモコン側には、操作部の操作部材同時押しを検出するとリセット信号を発生する同時押し検出回路を設けることが記載されている。
【0006】
特許文献1では、機器本体側には、リセット信号を受信したことに応じてCPUがリセット動作するように電源回路部を制御するリセット回路を設ける。リモコンと機器本体とは、同時押し検出回路から発生されるリセット信号をリセット回路に導くためのリセット専用ラインで接続する。
【0007】
また、後付けスイッチ等に関する技術として、特許文献2には、通信部と制御部と接点部とを持つスマートスイッチ又は通信部と制御部と受け口とを持つスマートコンセントが建物の設置場所に設けられた既設スイッチ又は既設コンセントと交換可能な構造になったことを特徴とするスマート配電システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006-109158号公報
【特許文献2】特開2017-212817号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特に、操作盤でのリセット操作を顧客に依頼する場合、顧客が操作盤のタッチパネル操作方法がわからず設備監視当事者又はメーカーが電話での操作支援を行うことがあり、多くの時間を要すると共に、操作ミスを発生させる懸念が生じる。
【0010】
設備監視当事者又はメーカーが、顧客に代わり、操作盤を遠隔から操作することで上記の手間を削減することが可能であるが、操作盤が遠隔から操作指示を受け取れるようにするために操作盤の改造・現地配線工事を行うことは多大なコストが発生する課題がある。
【0011】
特許文献1は、予め内部のデバイスの設計やプログラミングで、リセット機能が備わっていることが前提であり、リセット操作のために外部からの操作が必要な機器には対応できない。言い換えれば、リセット機能を新たに設けるための操作盤の改良等が必須となる。
【0012】
特許文献2は、予め固定された位置のスイッチ等を切り替える、或いは、信号線(電源等)を遮断するといった機能であり、リセット操作する位置が固定的であれば可能であるが、操作盤上でのリセット操作の位置によっては取り付けができない。また、表示が切替可能なパネルと感圧式スイッチとで組み合わされた操作盤では、リセット操作が可能な表示がなされていなければ、誤った操作がなされる場合がある。
【0013】
従って、特許文献1のリセット技術及び特許文献2の外部操作技術を組み合わせたとしても、所謂後付けにより、遠隔で操作盤上でのリセット操作を確実に行うことは困難である。
【0014】
本発明は、現場にかけつけなくてもエネルギー供給設備の故障時に必要な操作盤上での操作を、安価かつ効率的に実現することができる遠隔操作装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係る遠隔操作装置の第1の態様は、指示項目が各々設定された複数の領域を表示する表示部、及び前記表示部に表示された前記複数の領域への選択的な操作によって選択的な操作が行われた領域に設定された前記指示項目を受け付ける操作部を備えた操作盤と、前記操作盤で受け付けた指示項目に基づき施設へのエネルギーの供給を制御する制御部と、を備えたエネルギー供給設備に用いられ、前記操作盤への操作を遠隔で実行する遠隔操作装置であって、前記操作盤に取り付けられ、前記複数の領域の中の予め定めた特定領域に対峙され、受信した電気信号を物理的運動に変換することで前記特定領域への選択的な操作と同等の動作を前記特定領域に対して実行する動作部を備えたアクチュエータを有している。
【0016】
第1の態様によれば、アクチュエータを操作盤に取り付ける際に、当該アクチュエータの動作部を領域の中の予め定めた特定領域に対峙させておき、遠隔操作によって受信した電気信号を物理的運動に変換することで、動作部に前記特定領域への手動操作と同等の動作を実行させる。
【0017】
これにより、現場にかけつけなくてもエネルギー供給設備の故障時に必要な操作盤上でのリセット操作を、安価かつ効率的に実現することができる。
【0018】
本発明に係る遠隔操作装置の第2の態様は、第1の態様において、前記エネルギー供給設備が設置された現場から遠隔となる場所に設置され、前記エネルギー供給設備における稼働状況、及び、稼働中の異常発生の有無の確認を含むトレンドデータを収集することで、前記エネルギー供給設備の稼働状態を監視する監視装置をさらに有し、前記監視装置には、通信装置を介して、前記電気信号を前記アクチュエータへ送信する送信部が設けられていることを特徴としている。
【0019】
エネルギー供給設備とは遠隔となる場所には、既存の監視装置が設置されている。監視装置は、エネルギー供給設備における稼働状況、及び、稼働中の異常発生の有無の確認を含むトレンドデータを収集することが可能である。この既存の監視装置に送信部を設け、通信装置を介して、前記電気信号を前記アクチュエータへ送信することで、通常の監視と連携して、特定領域への遠隔操作が可能となる。
【0020】
本発明に係る遠隔操作装置の第3の態様は、第1の態様又は第2の態様において、前記表示部の表示画面が、複数頁に切り替え可能であり、各頁での表示画面の同一領域が異なる指示項目として機能する場合に、切り替えられた頁における前記特定領域の有無を判別可能な情報を取得する情報取得部をさらに有することを特徴としている。
【0021】
情報取得部により切り替えられた頁における特定領域の有無を判別可能となり、誤操作を防止することができる。
【0022】
本発明に係る遠隔操作装置の第4の態様は、第3の態様において、前記情報取得部が、前記表示部の表示画面を撮影するカメラであり、前記カメラにより撮影された画像に基づき、前記特定領域の有無を判別することを特徴としている。
【0023】
情報取得部がカメラであり、カメラにより撮影された画像に基づき、前記特定情報の有無を判別することができる。
【0024】
本発明に係る遠隔操作装置の第5の態様は、第1の態様から第4の態様の何れかにおいて、前記特定領域の指示項目が、前記制御部のリセット指示であることを特徴としている。
【0025】
特定領域の指示項目が、前記制御部のリセット指示であり、遠隔地から出向いてリセット操作するよりも迅速にリセット作業を行うことができる。
【0026】
本発明に係る遠隔操作装置の第5の態様は、第1の態様から第5の態様の何れかにおいて、前記アクチュエータを、前記表示部の表示画面に対峙する二次元平面で、指定されたx-y座標に基づいて移動可能な移動機構部をさらに有することを特徴としている。
【0027】
アクチュエータによる操作の範囲を、表示画面全体に拡大することができる。
【発明の効果】
【0028】
以上説明した如く本発明によれば、現場にかけつけなくてもエネルギー供給設備の故障時に必要な操作盤上での操作を、安価かつ効率的に実現することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本実施の形態に係るエネルギー供給設備を管理するエネルギー供給設備管理システムの概略図である。
図2】本実施の形態に係る設備操作盤であり、(A)が正面図、(B)が右側面図である。
図3】本実施の形態に係る遠隔監視センターのメインコントローラで実行される、設備操作盤の表示画面のリセット操作領域の操作に特化した、遠隔操作制御の機能ブロック図である。
図4】本実施の形態に係る設備操作盤の表示画面のリセット操作領域の操作に特化した遠隔操作制御の流れを示すフローチャートである。
図5】変形例に係る設備操作盤の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、本実施の形態に係るエネルギー供給設備10を管理するエネルギー供給設備管理システム12の概略図である。
【0031】
エネルギー供給設備10は、設備管理専用端末14を備える。また、設備管理専用端末14は、エネルギー供給設備10の運転を指示する設備操作盤16が接続されている。
【0032】
設備管理専用端末14は、設備操作盤16から送られるエネルギー供給設備10の運転状況に関する情報を収集することで、定期的な設備の保全、突発的な設備の故障の対策等、エネルギー供給設備10の状況を監視する。
【0033】
設備管理専用端末14は、インターネット等のネットワーク18を介して、エネルギー供給設備10を製造し、施工したエネルギー供給設備メーカー20の管理サーバー22に接続されている。管理サーバー22は、設備管理専用端末14と連携し、設備製造・施工者側の立場から、エネルギー供給設備10を監視する。
【0034】
また、設備管理専用端末14は、ネットワーク18を介して、遠隔監視センター24に接続されている。遠隔監視センター24は、エネルギー供給設備10に必要なエネルギー(燃料ガス等)を供給するエネルギー供給者、かつ設備監視当事者としての役目を有する。
【0035】
遠隔監視センター24は、設備管理専用端末14(エネルギー供給設備メーカー20の管理サーバー22を含む)と連携し、設備監視当事者の立場から、エネルギー供給設備10を監視する。
【0036】
遠隔監視センター24は、メインコントローラ26、ユーザーインターフェイス(UI)28及びセンター側無線通信端末30を備えている。メインコントローラ26では、オプションを含め、以下のような業務を遂行する。
【0037】
(1) 24時間、365日監視
遠隔監視センター24には、エネルギー供給設備のエキスパートを配し、顧客側の各エネルギー供給設備10の運転状況をリアルタイムで見守る。
【0038】
(2) トラブルへのスピード対応
トラブルの際には、直ちにデータを解析し、原因を究明し、復旧に努める。エネルギー供給設備メーカー20のサポート体制とも連携する場合がある。
【0039】
(3) 故障の未然防止
各エネルギー供給設備10の運転データ解析に基づく要点検個所の抽出などを通じ、トラブル未然防止のための策を講じる。
【0040】
(4) 省エネ運転アドバイス
各エネルギー供給設備10の運転状況を分析し、省エネ診断の実施や運転上の改善点のアドバイスを実施する。
【0041】
ここで、エネルギー供給設備10に不具合が発生し、現場作業を必要とする調整作業及び修理作業等が必要な場合は、当然、エネルギー供給設備メーカー20又は設備監視当事者(遠隔監視センター24)から、必要な人員が出向き、トラブルシューティング作業を実施することになる。
【0042】
この場合、設備操作盤16での、リセット操作(タッチパネルであれば、所定の領域のタッチ操作等)を行うことで、不具合が解消することが明白な場合、エネルギー供給設備メーカー20又は設備監視当事者(遠隔監視センター24)から人員を出向かせることなく、顧客に依頼することがあった。
【0043】
しかし、顧客が設備操作盤16のタッチパネル操作方法がわからず、結果として、エネルギー供給設備メーカー20又は設備監視当事者(遠隔監視センター24)が電話等で操作支援を行ったり、トラブルシューティングに不慣れな顧客の場合は、操作ミスを発生させる場合がある。
【0044】
そこで、本実施の形態では、設備操作盤16の表示画面16Aの一部(リセット操作領域32(図2参照)と対峙する位置)に、スマートスイッチ34を取り付け、遠隔操作で、設備操作盤16上のタッチ操作を実行可能とした。
【0045】
図2(A)に示される如く、設備操作盤16の表示画面16Aは、タッチパネル型の操作盤となっており、その一部にリセット操作領域32が設定されている。このリセット操作領域32は、表示画面が複数頁に亘って切り替え可能であっても、常に、各頁の同じ位置(同じ座標位置)に設定されていることが好ましい。
【0046】
設備操作盤16の表示画面16Aの周囲のガイドプレート35における、リセット操作領域32の近傍には、スマートスイッチ34の本体34Aが取り付けられている。
【0047】
スマートスイッチ34の本体34Aには、アーム形状の動作部34Bが設けられ、その先端部が、表示画面16Aのリセット操作領域32に対峙している。
【0048】
動作部34Bの先端部は、人間の指によるタッチ操作と同等の機能を有している。すなわち、タッチパネルの構造が感圧式であれば、所定の圧力で押圧する。また、タッチパネルの構造が静電容量式であれば、接触部から静電気を吸い取る。
【0049】
図2(B)に示される如く、動作部34Bは、本体34Aの駆動系(図示省略)で、回転することで、先端部が、表示画面16Aのリセット操作領域32に接触又は離間する構造となっている。
【0050】
図1に示される如く、スマートスイッチ34は、設備側無線通信端末36に接続されている。本体34Aの駆動系は、遠隔監視センター24から無線基地局38を介して受信する、操作指示信号に基づいて動作し、動作部34Bの先端で、表示画面16Aのリセット操作領域32をタッチ操作、すなわち、エネルギー供給設備10のリセット操作が可能となっている。
【0051】
また、エネルギー供給設備10における設備操作盤16の近傍には、カメラ40が設置されている。図1では、エネルギー供給設備10の天井面に設置されており、設備操作盤16の表示画面16Aが、カメラ40の撮影領域に入っている。なお、カメラ40は、側壁、直接設備操作盤等、表示画面16Aがカメラ40の撮影領域に入っていればよい。
【0052】
カメラ40は、設備側無線通信端末36に接続されている。カメラ40で撮影された画像(一定間隔で撮影された静止画、又は動画の何れでもよい。)は、設備側無線通信端末36から無線基地局38を介して、遠隔監視センター24が受信する。
【0053】
図3は、遠隔監視センター24のメインコントローラ26で実行される、設備操作盤16の表示画面16Aのリセット操作領域32の操作に特化した、遠隔操作制御の機能ブロック図である。
【0054】
なお、図3に示す各ブロックは、メインコントローラ26のハード構成を限定するものではなく、一部又は全部の機能を、遠隔操作制御プログラムによってコンピュータが処理するようにしてもよい。
【0055】
ネットワーク18には、稼働データ収集部42が接続されている。稼働データ収集部42は、設備管理専用端末14(図1参照)からエネルギー供給設備10の稼働状況に関するデータを収集する。
【0056】
稼働データとは、エネルギー供給設備10における稼働状況、及び、稼働中の異常発生の有無の確認を含むトレンドデータであるが、エネルギー供給設備10における、設備の仕様、稼働の際の各種設定値等を含んでもよい。
【0057】
稼働データ収集部42は、故障発生判定部44に接続されている。故障発生判定部44では、稼働データ収集部42から取得した稼働データに基づいて、エネルギー供給設備10に故障が発生しているか否かを判定する。なお、図3における故障発生判定部44は、エネルギー供給設備10の様々な故障の内、リセット操作によって回復し得る故障に特化して、発生の有無を判定する。
【0058】
故障発生判定部44は、リセット操作で回復し得る故障が発生したと判定すると、無線通信確立部46に対して、センター側無線通信端末30と、エネルギー供給設備10に設置された設備側無線通信端末36と、の間の通信プロトコルを確立する。通信プロトコルが確立すると、送受信部48による、センター側無線通信端末30と設備側無線通信端末36との間での情報のやりとりが可能となる。
【0059】
送受信部48では、カメラ撮影情報取得部50及び操作指示部52に接続されている。
【0060】
カメラ撮影情報取得部50は、送受信部48を介して、センター側無線通信端末30に対して、エネルギー供給設備10に設置されたカメラ40からの撮影情報を取得するように指示する。
【0061】
送受信部48で受信したカメラ40の撮影情報は、カメラ撮影情報取得部50へ送出され、撮影された画像は、ユーザーインターフェイス28のモニタ54に表示される。
【0062】
モニタ54を監視している、遠隔監視センター24のオペレータは、カメラ40で撮影された画像により、設備操作盤16の表示画面16Aのリセット操作領域32と、スマートスイッチ34との関係を、目視で確認し、リセット操作の可否を判断する。
【0063】
なお、カメラ40の撮影画像自体が判別機能としての役目を有するが、さらに撮影画像を解析して、自動でリセット操作領域32の位置を判別し、色の変化や点滅等によって、オペレータに報知することが可能である。
【0064】
オペレータは、ユーザーインターフェイス28の入力デバイス56(キーボードやマウス、或いは、リセット操作専用のキー等)を操作することで、当該操作情報が操作指示部52へ送出される。
【0065】
操作指示部52では、無線通信によって、スマートスイッチ34に対して、リセット操作を指示することが可能となっている。
【0066】
リセット操作の指示を受けたスマートスイッチ34は、動作部34Bが動作し、先端で、表示画面16Aのリセット操作領域32のタッチ操作を実行する。
【0067】
以下に、図4のフローチャートに従い、本実施の形態の作用を説明する。
【0068】
図4は、遠隔監視センター24のメインコントローラ26で実行される、設備操作盤16の表示画面16Aのリセット操作領域32の操作に特化した、遠隔操作制御の流れを示すフローチャートである。
【0069】
ステップ100では、稼働データを収集し、次いで、ステップ102へ移行して、故障判定を実行する。
【0070】
次のステップ104では、ステップ102の故障判定に基づき、故障が発生したか否かを判断する。このステップ104で否定判定された場合は、リセット操作によって故障が発生していないと判断し、ステップ100へ戻る。
【0071】
また、ステップ104で肯定判定された場合は、リセット操作によって回復し得る故障が発生していると判断し、ステップ106へ移行して、故障発生設備を特定する。
【0072】
次のステップ108では、特定した故障発生設備に基づき、ステップ102の故障判定が、エネルギー供給設備10の様々な故障の内、リセット操作によって回復し得る故障であり、リセットが必要か否かを判断する。
【0073】
ステップ108で否定判定されると、リセット操作が不要と判断され、ステップ126へ移行して、他の故障復旧処理を指示し、ステップ100へ戻る。
【0074】
このステップ108で肯定判定されると、ステップ110へ移行して、無線通信の確立処理を実行する。すなわち、センター側無線通信端末30と、エネルギー供給設備10に設置された設備側無線通信端末36と、の間の通信プロトコルを確立し、送受信部48による、センター側無線通信端末30と設備側無線通信端末36との間での情報のやりとりを可能とする。
【0075】
次のステップ112では、カメラ40の撮影情報を取得し、次いで、ステップ114へ移行して、取得した画像をモニタ54に表示する。
【0076】
モニタ54に表示された画像により、遠隔監視センター24のオペレータが、設備操作盤16の表示画面16Aのリセット操作領域32と、スマートスイッチ34との関係を目視で確認し、リセット操作の可否を判断する。
【0077】
オペレータは、リセット操作が可能と判断した場合は、入力デバイス56の操作で、リセット指示を実行する。
【0078】
次のステップ116では、リセット指示があったか否かを判断し、否定判定された場合は、ステップ118へ移行して、キャンセル指示があったか否かを判断する。このステップ118で否定判定された場合は、ステップ112へ戻り、ステップ116又はステップ118で肯定判定されるまで、ステップ112、114、116、118を繰り返す。
【0079】
ここで、ステップ118で肯定判定された場合は、リセット操作をしない(キャンセルあり)と判断し、ステップ126へ移行して、他の故障復旧処理を指示し、ステップ100へ戻る。
【0080】
一方、ステップ116で肯定判定されると、リセット指示があったと判断し、ステップ120へ移行して、遠隔によるスマートスイッチ34の動作を指示し、ステップ122へ移行する。
【0081】
ステップ122では、リセット操作が成功したか否かを判断し、肯定判定された場合は、ステップ100へ戻り、上記工程を繰り返す。
【0082】
また、ステップ122で否定判定された場合は、ステップ124へ移行して、所定回数のリセット操作を試行したか否かを判断する。このステップ124で否定判定された場合は、ステップ112へ戻り、肯定判定された場合は、リセット操作ができなかったと判断し、ステップ126へ移行する。ステップ126では、他の故障復旧処理を指示し、ステップ100へ戻る。
【0083】
(変形例)
なお、本実施の形態では、スマートスイッチ34を用い、予め定めた固定位置の故障リセット操作領域32に動作部34Bを対峙させて、遠隔監視センター24からの遠隔操作で、リセット操作領域32のタッチ操作を行った。
【0084】
これに対して、変形例では、設備操作盤16の表示画面16Aの全域にわたり、動作部34Bのタッチ操作を可能にした。
【0085】
図5に示される如く、変形例に係る設備操作盤16には、x-yテーブル機構58が設けられている。
【0086】
設備操作盤16のガイドプレート35には、表示画面16Aの横辺に沿って、一対のx軸レール60が取り付けられている。また、この一対のx軸レール60には、図示しない駆動機構でx軸レール60に沿って移動可能なy軸レール62が架け渡されている。
【0087】
また、y軸レール62には、図示しない駆動機構でy軸レール62に沿って移動可能な移動ブロック64が取り付けられている。
【0088】
移動ブロック64には、スマートスイッチ66が配置されている。スマートスイッチ66は、図2に示す、スマートスイッチ34と基本的には同一構造であり、本体66Aに組み込まれた駆動部(図示省略)で動作する動作部66Bが、表示画面16Aに対峙可能となっている。
【0089】
なお、y軸レール62が、ホームポジション(図5の実線位置)に位置決めされている場合は、スマートスイッチ66の動作部66Bは、ガイドプレート35に対峙されるため、通常の作業者の表示画面16Aの操作に支障をきたすことはない。
【0090】
表示画面16Aには、リセット操作領域32とは別に、一対の頁切替領域68、70(一方が順めくり指示、他方が逆めくり指示)が設けられている。すなわち、変形例の表示画面16Aは、リセット操作領域32が、特定の頁画面に設定されることを想定している。
【0091】
リセット操作が必要となったとき、リセット操作領域32が設定されていない頁が表示されると、例えば、図2に示すように、固定配置されたスマートスイッチ66ではリセット操作ができない場合がある。
【0092】
これに対して、変形例では、移動ブロック64を、x軸レール60及びy軸レール62に沿って移動させることで、リセット操作領域32に加え、一対の頁切替領域68、70に動作部66Bを対峙させることができる。
【0093】
このため、遠隔監視センター24では、カメラ40で撮影された画像に基づいて、遠隔で、x-yテーブル機構58の動作を制御することで、頁切替及びリセット操作が可能となる。
【0094】
なお、表示画面16Aの特定領域を、リセット操作領域32としたが、遠隔で操作する必要がある指示項目であれば、リセット操作指示に限定されるものではなく、例えば、装置の緊急停止、ガス配管ラインのバルブの緊急閉止等、急を要する操作の指示であってもよい。
【0095】
また、本実施の形態(変形例を含む)では、スマートスイッチ34(66)が、表示画面16Aに表示されるリセット操作領域32に対峙しているか否かを判別する判別(変形例では、頁の切替状況を含む。)として、カメラ40の撮影画像を利用したが、設備操作盤16の制御部から表示画面16Aの表示制御情報を取得し、当該表示制御情報に基づいて、対峙の判別を行ってもよい。
【符号の説明】
【0096】
10 エネルギー供給設備
12 エネルギー供給設備管理システム
14 設備管理専用端末
16 設備操作盤
18 ネットワーク
20 エネルギー供給設備メーカー
22 管理サーバー
24 遠隔監視センター
26 メインコントローラ(監視装置)
28 ユーザーインターフェイス(UI)
30 センター側無線通信端末(送信部)
32 リセット操作領域
16A 表示画面
35 ガイドプレート
34 スマートスイッチ(アクチュエータ)
34A 本体
34B 動作部
36 設備側無線通信端末
38 無線基地局
40 カメラ(情報取得部)
42 稼働データ収集部
44 故障発生判定部
46 無線通信確立部
48 送受信部
50 カメラ撮影情報取得部
52 操作指示部
54 モニタ
56 入力デバイス
58 x-yテーブル機構(移動機構部)
60 x軸レール
62 y軸レール
64 移動ブロック
66 スマートスイッチ
66A 本体
66B 動作部
68、70 頁切替領域
図1
図2
図3
図4
図5