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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023168064
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】空中操作装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/042 20060101AFI20231116BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20231116BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
G06F3/042 481
G06F3/041 580
G09G5/00 510A
G09G5/00 550C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022079694
(22)【出願日】2022-05-13
(71)【出願人】
【識別番号】000148689
【氏名又は名称】株式会社村上開明堂
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】宮城 幸子
(72)【発明者】
【氏名】松村 智美
(72)【発明者】
【氏名】江川 泰三郎
【テーマコード(参考)】
5C182
【Fターム(参考)】
5C182AA03
5C182AA05
5C182AC02
5C182AC03
5C182BA28
5C182BA29
5C182BA39
5C182BA54
5C182BA56
5C182BA65
5C182BA75
5C182BB02
5C182BB11
5C182CA32
(57)【要約】
【課題】多数のボタンを表示するための空中結像デバイス、及び多数のボタンを表示するための表示装置を備える場合でも筐体の大型化を抑制し、薄型化を実現させることができる空中操作装置を提供する。
【解決手段】一実施形態に係る空中操作装置1において、複数の空中結像デバイス14は、第1表示装置15Aからの光L1を受けて第1ボタン11A付きの第1表示面10Aを表示する第1空中結像デバイス14A、及び第2表示装置15Bからの光L2を受けて第2ボタン11B付きの第2表示面10Bを表示する第2空中結像デバイス14Bを含んでいる。1つのセンサ3が、第1表示面10Aに対象物Fが位置していること、及び第2表示面10Bに対象物Fが位置していることを検出する。複数の表示装置15が第3方向D3に沿って並んで配置されており、複数の空中結像デバイス14が第3方向D3に沿って並んで配置されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を照射して情報を表示する複数の表示装置と、
複数の前記表示装置を収容する筐体と、
前記筐体に取り付けられており、各前記表示装置からの光を複数回反射させて空中像としてボタン付きの表示面を表示する複数の空中結像デバイスと、
前記ボタンに接近する対象物の位置を検出するセンサと、
を備えた空中操作装置であって、
前記センサによって検出された対象物の位置に基づいて、前記ボタンが押されたか否かを認識する認識部と、
前記認識部によって前記ボタンが押されたと認識されたときに、前記空中操作装置の外部の機器に制御信号を出力して前記機器の動作を制御する信号出力部と、
を備え、
複数の前記表示装置は、第1表示装置及び第2表示装置を含んでおり、
複数の前記空中結像デバイスは、前記第1表示装置からの光を受けて第1ボタン付きの第1表示面を表示する第1空中結像デバイス、及び前記第2表示装置からの光を受けて第2ボタン付きの第2表示面を表示する第2空中結像デバイスを含んでおり、
1つの前記センサが、前記第1表示面に前記対象物が位置していること、及び前記第2表示面に前記対象物が位置していることを検出し、
複数の前記表示装置が所定方向に沿って並んで配置されており、
複数の前記空中結像デバイスが前記所定方向に沿って並んで配置されている、
空中操作装置。
【請求項2】
前記第1表示装置は、前記第2表示装置よりも上方に配置されており、
前記第1空中結像デバイスは、前記第2空中結像デバイスよりも上方に配置されており、
前記第1表示装置と前記第1空中結像デバイスとが成す角度は、前記第2表示装置と前記第2空中結像デバイスとが成す角度よりも小さい、
請求項1に記載の空中操作装置。
【請求項3】
前記第1表示面及び前記第2表示面を視認する視認者の目が位置するアイポイントを検出するアイポイント検出部と、
前記アイポイント検出部によって検出されたアイポイントの位置に応じて、前記第1表示装置と前記第1空中結像デバイスとが成す角度、及び前記第2表示装置と前記第2空中結像デバイスとが成す角度、の少なくともいずれかを変更する角度変更機構と、
を備える、
請求項1又は2に記載の空中操作装置。
【請求項4】
前記認識部は、
前記センサによって検出された対象物が前記ボタンの位置であると認識したときに前記信号出力部による前記制御信号の出力を抑制するように前記ボタンを無効とし、
前記センサによって検出された対象物が前記ボタンから離れることを認識したときに前記信号出力部による前記制御信号の出力を許容するように前記ボタンを有効とする、
請求項1又は2に記載の空中操作装置。
【請求項5】
前記ボタンが押されたか否かを前記表示面を視認する視認者に通知する通知部を備え、
前記通知部は、前記ボタンが押されたと前記認識部が認識したときに、前記表示装置を制御して押された前記ボタンの表示態様を変更する、
請求項1又は2に記載の空中操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空中操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2020-160903号公報には、表示・入力装置が記載されている。表示・入力装置は、複数のセンサのそれぞれに割り当てられたボタンの機能を象徴するマークを表示させる制御部を備える。複数のセンサは、磁気型センサ、光電形センサ、又は感熱形センサである。
【0003】
特開2016-95635号公報には、TOF方式が用いられている位置入力部を備えた空中タッチパネルが記載されている。位置入力部は第1のモードと第2のモードとを有する。第1のモードでは第1空間の画像の手の位置を認識し、第2のモードでは第2空間の操作面の手の位置を認識する。1つのセンサが複数の画面上の指等の位置を認識する。
【0004】
特開2018-97388号公報には、TOFセンサを用いて2つの空中画像を押すことが可能な入力デバイスが記載されている。この入力デバイスでは、1つのセンサが複数の画面上の指等の位置を検出する。
【0005】
特開2019-105726号公報には、一方向に並ぶ複数の表示部と、位置検出部とを有する空中映像表示装置が記載されている。位置検出部として、TOFで観察者の位置を検出するセンサが設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2020-160903号公報
【特許文献2】特開2016-95635号公報
【特許文献3】特開2018-97388号公報
【特許文献4】特開2019-105726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述したように、空中像としてボタン付きの表示面が表示され、ボタンに接近する手等の位置がセンサによって検出される空中操作装置では、表示するボタンの数が増加すると、表示装置の面積が増加する。表示するボタンの数が増えると、それに伴い対となるセンサの数も増える。空中操作装置では、空中結像デバイスと表示装置が筐体の厚さ方向に並ぶように配置されるので、厚さ方向に筐体が大型化する。本開示は、多数のボタンを表示するための空中結像デバイス、及び多数のボタンを表示するための表示装置を備える場合でも筐体の大型化を抑制し、薄型化を実現させることができる空中操作装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本開示に係る空中操作装置は、光を照射して情報を表示する複数の表示装置と、複数の表示装置を収容する筐体と、筐体に取り付けられており、各表示装置からの光を複数回反射させて空中像としてボタン付きの表示面を表示する複数の空中結像デバイスと、ボタンに接近する対象物の位置を検出するセンサと、を備えた空中操作装置である。空中操作装置は、センサによって検出された対象物の位置に基づいて、ボタンが押されたか否かを認識する認識部と、認識部によってボタンが押されたと認識されたときに、空中操作装置の外部の機器に制御信号を出力して機器の動作を制御する信号出力部と、を備える。複数の表示装置は、第1表示装置及び第2表示装置を含んでいる。複数の空中結像デバイスは、第1表示装置からの光を受けて第1ボタン付きの第1表示面を表示する第1空中結像デバイス、及び第2表示装置からの光を受けて第2ボタン付きの第2表示面を表示する第2空中結像デバイスを含んでいる。1つのセンサが、第1表示面に対象物が位置していること、及び第2表示面に対象物が位置していることを検出する。複数の表示装置が所定方向に沿って並んで配置されており、複数の空中結像デバイスが所定方向に沿って並んで配置されている。
【0009】
この空中操作装置では、複数の表示装置が第1表示装置及び第2表示装置を含んでいる。複数の空中結像デバイスは、第1表示装置からの光を受けて第1ボタン付きの第1表示面を表示する第1空中結像デバイスと、第2表示装置からの光を受けて第2ボタン付きの第2表示面を表示する第2空中結像デバイスとを含んでいる。そして、第1表示面に指等の対象物が位置していること、及び第2表示面に対象物が位置していることが1つのセンサによって検出される。従って、1つのセンサが複数の表示面のそれぞれへの対象物の接近を検出するので、センサの数を低減させることができ、その結果、簡易な構成の空中操作装置とすることができる。また、複数の表示装置が所定方向に沿って並んでおり、複数の空中結像デバイスも当該所定方向に沿って並んでいる。従って、複数の表示装置、及び複数の空中結像デバイスが互いに同一の所定方向に沿って並んでいるので、当該所定方向に交差する方向への筐体の厚さが肥大化することを抑制できる。よって、複数の空中結像デバイス、及び複数の表示装置を備える場合でも筐体の大型化を抑制すると共に薄型化を実現させることができる。
【0010】
(2)上記(1)において、第1表示装置は、第2表示装置よりも上方に配置されており、第1空中結像デバイスは、第2空中結像デバイスよりも上方に配置されていてもよい。第1表示装置と第1空中結像デバイスとが成す角度は、第2表示装置と第2空中結像デバイスとが成す角度よりも小さくてもよい。この場合、下側に位置する第2表示装置と第2空中結像デバイスとが成す角度が、上側に位置する第1表示装置と第1空中結像デバイスとが成す角度より大きい。従って、上側に位置する第1表示面と比較して下側に位置する第2表示面がより上側を向くように表示される。すなわち、上側に位置する第1表示面が横向きに表示されるのに対し、下側に位置する第2表示面が上向きに表示される。従って、筐体の斜め上方から上側に位置する第1表示面、及び下側に位置する第2表示面を視認しやすくすることができるので、複数の空中像の視認性を向上させることができる。
【0011】
(3)上記(1)又は(2)において、空中操作装置は、第1表示面及び第2表示面を視認する視認者の目が位置するアイポイントを検出するアイポイント検出部と、アイポイント検出部によって検出されたアイポイントの位置に応じて、第1表示装置と第1空中結像デバイスとが成す角度、及び第2表示装置と第2空中結像デバイスとが成す角度、の少なくともいずれかを変更する角度変更機構と、を備えてもよい。この場合、アイポイント検出部によって検出された視認者の目の位置に応じて第1表示装置と第1空中結像デバイスとが成す角度、及び第2表示装置と第2空中結像デバイスとが成す角度、の少なくともいずれかが変更される。従って、視認者の目の位置に応じて第1表示面又は第2表示面の向きが変わるので、第1表示面及び第2表示面の視認性を一層向上させることができる。
【0012】
(4)上記(1)~(3)のいずれかにおいて、認識部は、センサによって検出された対象物がボタンの位置であると認識したときに信号出力部による制御信号の出力を抑制するようにボタンを無効とし、センサによって検出された対象物がボタンから離れることを認識したときに信号出力部による制御信号の出力を許容するようにボタンを有効としてもよい。この場合、認識部は、対象物がボタンの位置にあるときに複数のボタンを無効にする。従って、ボタンが押されたタイミングで複数のボタンを無効にすることにより、意図しないボタンが反応して意図しない動作が生じることを抑制することができる。また、認識部は、対象物がボタンから離れるときに、信号出力部による制御信号の出力を許容するように当該ボタンを有効とする。従って、対象物がボタンから離れるタイミングで当該ボタンを有効にすることにより、意図したボタンのみを反応させて意図した動作を実現させることができる。よって、誤動作を抑制することができると共に、ボタンの操作性を向上させることができる。
【0013】
(5)上記(1)~(4)のいずれかにおいて、空中操作装置は、ボタンが押されたか否かを表示面を視認する視認者に通知する通知部を備えてもよい。通知部は、ボタンが押されたと認識部が認識したときに、表示装置を制御して押されたボタンの表示態様を変更してもよい。この場合、ボタンが押されたと認識部によって認識されたときに、通知部はボタンの表示態様を変更することによって視認者にボタンが押されたことを通知する。従って、視認者はボタンが押されたことを表示態様の変更によって容易に把握できるので、ボタンの操作性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、多数のボタンを表示するための空中結像デバイス、及び多数のボタンを表示するための表示装置を備える場合でも筐体の大型化を抑制し、薄型化を実現させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態に係る空中操作装置を示す斜視図である。
図2】実施形態に係る空中操作装置の内部構造を模式的に示す縦断面図である。
図3】実施形態に係る空中操作装置の機能構成を示すブロック図である。
図4】空中操作装置によって表示される表示面のボタンを押そうとする対象物が第1位置にある場合、及び第2位置にある場合、のそれぞれのボタンの表示態様を模式的に示す図である。
図5】ボタンの外縁の内側、外縁、及び外縁の外側の例を説明する図である。
図6】ボタンと認識部との関係の例を示すブロック図である。
図7】実施形態に係る空中操作装置におけるボタンの認識方法の工程の例を示すフローチャートである。
図8】第1変形例に係る空中操作装置の内部構造を模式的に示す縦断面図である。
図9】第2変形例に係る空中操作装置の内部構造を模式的に示す縦断面図である。
図10】第2変形例に係る空中操作装置の機能構成を示すブロック図である。
図11】(a)は、第2変形例に係る空中操作装置の表示装置及び空中結像デバイスを模式的に示す図である。(b)は、第3変形例に係る空中操作装置の表示装置及び空中結像デバイスを模式的に示す図である。
図12】第4変形例に係る空中操作装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下では、図面を参照しながら本開示に係る空中操作装置の実施形態について説明する。図面の説明において同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、図面は、理解の容易化のため、一部を簡略化又は誇張して描いている場合があり、寸法、比率及び角度等は図面に記載のものに限定されない。
【0017】
図1は、本実施形態に係る空中操作装置1を示す斜視図である。例えば、空中操作装置1は、空中操作装置1の外部の機器を操作可能な操作入力装置である。一例として、空中操作装置1は、現金自動預け払い機(ATM:Automated Teller Machine)に付属して設けられる。
【0018】
図2は、空中操作装置1の内部構造を模式的に示す縦断面図である。図1及び図2に示されるように、一例としての空中操作装置1は、矩形状を呈する。空中操作装置1は、第1方向D1、第2方向D2及び第3方向D3に延在する。第1方向D1は空中操作装置1に対面する視認者M(空中操作装置1の使用者)から見て左右方向に相当し、第2方向D2は空中操作装置1の奥行方向に相当する。第3方向D3は空中操作装置1の高さ方向に相当する。
【0019】
一例として、空中操作装置1の第3方向D3への長さ(高さ)は、空中操作装置1の第1方向D1への長さ、及び空中操作装置1の第2方向D2への長さよりも長い。空中操作装置1の第1方向D1への長さは、空中操作装置1の第2方向D2への長さよりも長い。本実施形態に係る空中操作装置1では、第2方向D2への長さを低減して空中操作装置1の厚さの肥大化を抑制している。
【0020】
以降では、説明の便宜のため、空中操作装置1から見て視認者M側に向けられる方向を前、前側又は前方、空中操作装置1から見て視認者Mの反対側に向けられる方向を後、後側又は後方と称することがある。しかしながら、これらの方向は、説明の便宜上のものであり、部品の配置位置等を限定するものではない。
【0021】
空中操作装置1は、空中操作装置1の外面を構成する筐体2を備える。筐体2は、例えば、鉛直上方を向く上面2bと、第1方向D1に沿って並ぶ一対の側面2cと、第2方向D2の一方側(前側)を向く前面2dと、第2方向D2の他方側(後側)を向く背面2fとを有する。例えば、筐体2は、前面2dから前方に突出する突出部2gを有する。突出部2gは、前面2dから前方に延在する上面2hと、上面2hの第1方向D1の端部から下方に延在する側面2jと、上面2hの前端から下方に延在する前面2kとを有する。
【0022】
前面2dは、例えば、後に詳述する空中結像デバイス14が露出する開口2pを有する。開口2pは、例えば、第1方向D1に沿って延びる長辺、及び第3方向D3に沿って延びる短辺を有する長方形状を呈する。筐体2は、例えば、複数の開口2pを有し、複数の開口2pは第3方向D3に沿って並んでいる。一例として、開口2pの数は4である。
【0023】
空中操作装置1は、空中にボタン11付きの表示面10を表示する。ボタン11付きの表示面10は、空中に浮き出るように表示される空中浮遊像である。すなわち、ボタン11付きの表示面10は、空中像として表示される。よって、空中操作装置1の視認者Mは、直接タッチパネル等に触れなくても済むため衛生的に空中操作装置1の外部の機器(例えばATM)を操作することが可能となる。
【0024】
例えば、表示面10は、複数のボタン11を備えており、視認者Mが複数のボタン11を操作することによって空中操作装置1の外部の機器を操作することが可能である。空中操作装置1は対象物Fを検出するセンサ3を有し、例えば、センサ3は筐体2に埋め込まれている。本開示において、「対象物」とは、ボタンを操作して空中操作装置の外部の機器を動作させるものを示しており、例えば、視認者Mの指を示している。
【0025】
例えば、空中操作装置1は、複数の空中結像デバイス14と、複数の表示装置15と、複数のセンサ3と、制御部20とを備える。各空中結像デバイス14及び各表示装置15は、例えば、側面視(第1方向D1から見た場合)において、板状を呈する。空中結像デバイス14及び表示装置15によって空中像表示部17が構成される。空中結像デバイス14は、例えば、筐体2の開口2pに固定されている再帰反射部材(再起反射鏡)である。
【0026】
表示装置15は、空中結像デバイス14に対して斜めに配置されている。一例として、空中結像デバイス14は第3方向D3に沿って延びるように配置されており、表示装置15は、その上端から斜め後方に延びるように配置されている。表示装置15の上端は空中結像デバイス14に近接しており、下方に向かうに従って空中結像デバイス14と表示装置15との距離が長くなっている。
【0027】
表示装置15は、一例として、液晶ディスプレイ(LCD)である。表示装置15は、筐体2に収容されており、筐体2の内部における空中結像デバイス14の後方に配置されている。表示装置15は、画像を表示するスクリーンを有する。表示装置15のスクリーンは、例えば、空中結像デバイス14に向けて斜め下方に画像としての光Lを照射する。空中結像デバイス14は、表示装置15からの光Lを空中結像デバイス14の内部において複数回(例えば2回)反射し、視認者Mから見て空中結像デバイス14よりも手前側の空間に表示面10を結像する。
【0028】
空中操作装置1は、空中結像デバイス14及び表示装置15を含む複数の空中像表示部17を有する。複数の空中像表示部17は、第3方向D3(所定方向)に沿って並んでいる。各空中像表示部17が表示面10を表示する。例えば、第3方向D3に沿って並ぶ複数の空中像表示部17によって複数のボタン11からなるテンキーが表示される。空中像表示部17は、表示面10において複数のボタン11が第1方向D1に沿って並ぶように複数のボタン11を表示する。一例として、ボタン11の数は12である。
【0029】
一例として、最上段の空中像表示部17が「1」、「2」、「3」という数字のボタン11を表示し、上から2段目の空中像表示部17が「4」、「5」、「6」という数字のボタン11を表示する。上から3段目の空中像表示部17が「7」、「8」、「9」という数字のボタン11を表示し、最下段の空中像表示部17が「*」、「0」、「#」という数字又は記号のボタン11を表示する。
【0030】
センサ3は、例えば、第3方向D3に沿って並ぶ複数のボタン11の組Cに対応して設けられており、複数のボタン11がセンサ3の上方に表示される。複数の表示装置15は、例えば、第1表示装置15A及び第2表示装置15Bを含んでおり、複数の空中結像デバイス14は第1空中結像デバイス14A及び第2空中結像デバイス14Bを含んでいる。
【0031】
第1空中結像デバイス14Aは第2空中結像デバイス14Bよりも上方に配置されており、第1表示装置15Aは第2表示装置15Bよりも上方に配置されている。第1空中結像デバイス14Aは、第1表示装置15Aからの光L1を受けて第1ボタン11A付きの第1表示面10Aを表示する。第2空中結像デバイス14Bは、第2表示装置15Bからの光L2を受けて第2ボタン11B付きの第2表示面10Bを表示する。第1表示面10A及び第2表示面10Bは複数の表示面10に含まれる表示面であり、第1ボタン11A及び第2ボタン11Bは複数のボタン11に含まれるボタンである。
【0032】
一例として、第1表示面10Aは最上段の表示面10であり、第2表示面10Bは上から2段目の表示面10である。例えば、第1ボタン11Aは数字の「1」であり、第2ボタン11Bは数字の「4」である。しかしながら、第1表示面10A及び第2表示面10Bは上下に並んでいればよく、第1表示面10Aの位置、及び第2表示面10Bの位置は、最上段及び上から2段目に限定されない。第1ボタン11A及び第2ボタン11Bも上下に並んでいればよく、数字の「1」及び数字の「4」に限定されない。
【0033】
空中操作装置1では、1つのセンサ3が、第1表示面10Aに対象物Fが位置していること、及び第2表示面10Bに対象物Fが位置していることを検出する。センサ3は、例えば、上方に位置する組Cの複数のボタン11のいずれかに対象物Fが位置していることを検出してもよい。一例として、センサ3は、上方に位置する組Cの4つのボタン11のいずれかに対象物Fが位置するか否かを検出する。
【0034】
例えば、第1のセンサ3Aは、数字の「1」のボタン11、数字の「4」のボタン11、数字の「7」のボタン11、及び記号「*」のボタン11、のいずれかに対象物Fが位置するか否かを検出する。第2のセンサ3Bは、数字の「2」のボタン11、数字の「5」のボタン11、数字の「8」のボタン11、及び数字の「0」のボタン11、のいずれかに対象物Fが位置するか否かを検出する。第3のセンサ3Cは、数字の「3」のボタン11、数字の「6」のボタン11、数字の「9」のボタン11、及び記号「#」のボタン11、のいずれかに対象物Fが位置するか否かを検出する。
【0035】
センサ3は、例えば、筐体2の突出部2gの上面2hに配置されている。センサ3は上面2hにおいて露出している。一例として、センサ3は深度センサである。例えば、センサ3は、ボタン11の中央から下方に延びる仮想直線X上、すなわち、空中像であるボタン11の下方に設けられる。センサ3は、例えば、仮想直線Xに対して交差する面における対象物Fの位置(2次元位置)の情報と、センサ3から対象物Fまでの距離の情報とを含む距離画像データを取得する。
【0036】
センサ3は、例えば、距離画像データを取得する。センサ3は、例えば、取得した距離画像データを所定の周期(例えば1/30秒)で制御部20に出力する。具体例として、センサ3は、対象物Fを含む撮影領域内に存在する物体上の各点に光線(又は赤外線)を照射し、物体上の各点から反射した光線を受光する。そして、センサ3は、受光した光線に基づいてセンサ3と物体上の各点との距離を測定し、測定した距離を画素毎に出力する。センサ3と物体上の各点との距離は、例えばLight Coding方式によって測定されてもよい。
【0037】
Light Coding方式では、センサ3は、対象物Fを含む撮影領域内に存在する物体上の各点にランダムドットパターンで光線を照射する。そして、センサ3は、物体上の各点から反射した光線を受光し、反射した光線のパターンの歪みを検出することによって、センサ3と物体上の各点との距離を測定する。センサ3は、物体上の各点の2次元位置の情報と、センサ3から物体上の各点までの距離の情報とを複数の画素として検出し、検出した複数の画素を制御部20に出力する。
【0038】
制御部20は、センサ3及び表示装置15のそれぞれと通信可能とされている。制御部20は、例えば、プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read OnlyMemory)及びRAM(Random Access Memory)を含む記憶部と、入出力部と、ドライバとを含む。制御部20の各機能は、CPUの制御の下で入出力部を動作させ、記憶部におけるデータの読み出し又は書き込みを行うことによって実現される。一例として、制御部20は、複数の表示装置15の下方に配置されている。しかしながら、制御部20の形態及び配置場所については特に限定されない。
【0039】
図3は、制御部20の機能ブロック図である。図3に示されるように、制御部20は、機能的構成要素として、画像出力部21と、対象物検出部22と、位置検出部23と、認識部24と、信号出力部25と、通知部26とを有する。画像出力部21は、表示装置15に表示させる画像の画像データの制御信号を表示装置15に出力する。
【0040】
対象物検出部22は、センサ3から出力される検出信号(例えば、距離画像データ)に基づいて対象物Fを検出する。位置検出部23は、例えば、対象物検出部22によって検出された対象物Fの位置を示す位置データを生成する。位置検出部23は、生成した位置データを認識部24に出力する。
【0041】
認識部24は、対象物検出部22によって検出された対象物Fの位置に基づいて、対象物Fによってボタン11が押されたことを認識する。図2及び図3に示されるように、例えば、認識部24は、センサ3と対象物Fとの距離が第1距離K1となったときに第1ボタン11Aが押されたと認識し、センサ3と対象物Fとの距離が第1距離K1よりも短い第2距離K2となったときに第2ボタン11Bが押されたと認識する。
【0042】
また、センサ3は、第1ボタン11Aと仮想直線Xとの交点Q1に位置する仮想の第1検出部3d、及び第2ボタン11Bと仮想直線Xとの交点Q2に位置する仮想の第2検出部3fを有していてもよい。例えば、第1検出部3dは第1ボタン11Aの中心と仮想直線Xとの交点Q1に位置しており、第2検出部3fは第2ボタン11Bの中心と仮想直線Xとの交点Q2に位置する。この場合、認識部24は、対象物Fが第1検出部3dに到達したときに第1ボタン11Aが押されたと認識し、対象物Fが第2検出部3fに到達したときに第2ボタン11Bが押されたと認識する。例えば、第1検出部3dは第1ボタン11Aの中心に位置しており、第2検出部3fは第2ボタン11Bの中心に位置している。
【0043】
信号出力部25は、第1ボタン11A又は第2ボタン11Bを含むボタン11が押されたと認識部24が認識したときに、ボタン11の押下操作に基づく制御信号を生成する。信号出力部25は、生成した制御信号を空中操作装置1の外部の機器に出力する。信号出力部25は、制御信号を空中操作装置1の外部の機器に出力することによって当該機器を動作させる。
【0044】
通知部26は、ボタン11が押されたと認識部24が認識したときに認識部24から操作信号を受信する。通知部26は、ボタン11が押されたと認識部24が認識したときに、ボタン11が押されたことを視認者Mに通知する通知手段である。通知部26は、例えば、音声出力部26bと、色彩変更部26cとを有する。
【0045】
一例として、音声出力部26bはスピーカであり、認識部24から操作信号を受信したときに音声を出力する。音声出力部26bからの音声を視認者Mが聞くことにより、視認者Mはボタン11が操作されたことを把握可能となる。色彩変更部26cは、例えば、認識部24から操作信号を受信したときに色彩変更信号を生成し、色彩変更信号を押されたボタン11を表示している表示装置15に出力する。
【0046】
色彩変更信号を受信した表示装置15は、例えば、視認者Mが押したボタン11の色彩を変更する。押したボタン11の色彩が変更されたことを視認者Mが視認することにより、視認者Mがボタン11を押すことができたことを把握可能となる。なお、表示装置15は、色彩変更部26cから色彩変更信号を受信したときに、ボタン11以外の箇所の色彩を変更してもよい。
【0047】
以上の通知部26を備えることにより、視認者Mはボタン11が押されたことを把握できる。しかしながら、音声出力部26b及び色彩変更部26cの少なくともいずれかが省略されてもよい。また、通知部26は、音声出力部26bによる音声出力、又は色彩変更部26cによる色彩変更、とは異なる態様でボタン11が押されたことを視認者Mに通知してもよい。
【0048】
図4に示されるように、例えば、センサ3は、表示面10よりも視認者M寄りの第1位置S1、及び表示面10よりも視認者Mから離れた第2位置S2を設定してもよい。例えば、通知部26は、センサ3によって検出された対象物Fの位置が第1位置S1であるときに、表示装置15を制御して接近対象のボタン11の表示態様を第1モードに変更する。
【0049】
「ボタンの表示態様を(第1モード又は後述する第2モードに)変更」とは、例えば、対象物Fの接近対象のボタン11を他のボタン11とは異なる色彩に変更すること、及び、対象物Fの接近対象のボタン11を他のボタン11とは異なる大きさに変更する(一例として大きくする)ことの少なくともいずれかを示している。このように接近対象のボタン11の表示態様を通知部26が変更することにより、視認者Mは自分が押そうとしているボタン11を把握でき、安心してボタン11の操作を行うことができる。
【0050】
センサ3によって検出された対象物Fの位置が第1位置S1よりも奥側(空中結像デバイス14側)に位置する第2位置S2であると認識部24が認識したときに信号出力部25は空中操作装置1の外部の機器に制御信号を出力する。これにより、空中操作装置1の外部の機器が動作する。また、センサ3によって検出された対象物Fの位置が第2位置S2であると認識部24が認識したときに、例えば、通知部26は、押されたボタン11を表示する表示装置15を制御して当該ボタン11の表示態様を第1モードとは異なる第2モードに変更する。
【0051】
「ボタンの表示態様を第2モードに変更」とは、例えば、接近対象のボタン11の色彩を第1モードとは異なる色彩に変更すること、接近対象のボタン11の大きさを第1モードとは異なる大きさに変更すること、及び、第1モードとは異なる音声を出力すること、の少なくともいずれかを示している。このように接近対象のボタン11の表示態様を第2モードに変更することにより、狙いのボタン11を確実に押せていることを視認者Mが把握できると共に機器を操作することができる。
【0052】
図5は、図4とは別の例を説明するための図である。図5に示されるように、通知部26は、対象物Fが接近する表示面10の位置に応じて視認者Mへの通知の内容を変更してもよい。通知部26は、センサ3によって検出された対象物Fの位置がボタン11の外縁よりも内側であると認識部24が認識したときに、ボタン11を表示する表示装置15を制御して当該ボタン11の表示態様を第1モードに変更する。
【0053】
一例として、対象物Fの位置がボタン11の外縁よりも内側であると認識部24が認識したときに、通知部26は接近対象のボタン11の色彩を青系色に変更してもよい。具体例として、対象物Fの位置が位置a、位置c又は位置eであると認識されたときに、通知部26は対象物Fの位置のボタン11を青系色に変更してもよい。この場合、視認者Mは、正しく狙いのボタン11を押せていることを把握できる。
【0054】
通知部26は、センサ3によって検出された対象物Fの位置がボタン11の外縁又は当該外縁よりも外側であると認識部24が認識したときに、ボタン11を表示する表示装置15を制御して当該ボタン11の表示態様を第1モードとは異なる第2モードに変更する。例えば、対象物Fの位置がボタン11の外縁又は当該外縁よりも外側であると認識部24が認識したときに、通知部26は接近対象のボタン11の色彩を赤系又は黄系色に変更してもよい。具体例として、対象物Fの位置が位置b、位置d又は位置fであると認識されたときに、通知部26は対象物Fの位置のボタン11、又は対象物Fから最も近い位置のボタン11を赤系色又は黄系色に変更してもよい。この場合、視認者Mは、狙いのボタン11を正しく押せていないことを把握でき、視認者Mに正しくボタン11を押すように警告することができる。
【0055】
図6は、複数のボタン11と認識部24との関係の例を模式的に示すブロック図である。図6に示されるように、複数のボタン11は、少なくとも1つのボタン11を含むグループを構成してもよい。当該グループの数は、単数であってもよいし、複数であってもよい。当該グループは、同一線上でタッチできる関係にある複数のボタン11(例えば、「1」、「4」、「7」のボタン11、又は「1」、「2」、「3」のボタン11)から構成されていてもよい。図6の例では、複数のボタン11の一部であるボタン11a及びボタン11bを含むグループG1、ボタン11c、ボタン11d及びボタン11eを含むグループG2、並びに、ボタン11pを含むグループGX(Xは3以上の自然数)が構成されている。
【0056】
図7は、以上のようにグループ分けされたボタン11の操作を認識部24が認識する認識方法の一例を示すフローチャートである。図6及び図7に示されるように、まず、認識部24は、タッチされたボタン11のグループを認識する。例えば、認識部24は、センサ3によって検出された対象物Fがボタン11a(又はボタン11b)の位置であるときに、グループG1の領域を認識する。例えば、認識部24は、センサ3によって検出された対象物Fがボタン11a(又はボタン11b)の位置であるときに、グループG1の領域を認識する。このとき、例えば、グループG1におけるタッチ同一線上の領域を認識する(ステップS1)。
【0057】
認識部24は、センサ3によって検出された対象物FがグループG1のボタン11a(又はボタン11b)の位置であると認識したときに、グループG1の全てのボタン11(ボタン11a及びボタン11b)を無効とする。すなわち、前述した領域にある全てのボタンを無効とする(ステップS2)。そして、認識部24は、グループG1(例えば前述した領域)にある全てのボタン11を(ボタン11a及びボタン11b)を有効可能候補とする(ステップS3)。
【0058】
ところで、例えば、最初にボタン11aを押そうとしたが、押したときにボタン11bを押したかったことに視認者Mが気付くことがある。そのときに、視認者Mは、表示面10から指等の対象物Fを離さず、表示面10に対象物Fを接触させたままボタン11bに対象物Fを移動させることがあり、ボタン11bから対象物Fを離したときに動作させるようにしたいことが考えられる。
【0059】
このとき、認識部24は、センサ3によって検出された対象物Fがボタン11bから離れるか否か、すなわち、対象物Fの位置がタッチリリース座標であるときに、信号出力部25による制御信号の出力を許容するようにボタン11bを有効とし(ステップS5)、一連の工程を終了する。一方、認識部24は、センサ3によって検出された対象物Fがボタン11bから離れることを認識しないとき、すなわち、対象物Fの位置がタッチリリースボタン座標でないときには、そのまま一連の工程を終了する。
【0060】
次に、本実施形態に係る空中操作装置1から得られる作用効果について説明する。図2に示されるように、空中操作装置1では、複数の表示装置15が第1表示装置15A及び第2表示装置15Bを含んでいる。複数の空中結像デバイス14は、第1表示装置15Aからの光L1を受けて第1ボタン11A付きの第1表示面10Aを表示する第1空中結像デバイス14Aと、第2表示装置15Bからの光L2を受けて第2ボタン11B付きの第2表示面10Bを表示する第2空中結像デバイス14Bとを含んでいる。そして、第1表示面10Aに指等の対象物Fが位置していること、及び第2表示面10Bに対象物Fが位置していることが1つのセンサ3によって検出される。従って、1つのセンサ3が複数の表示面10のそれぞれへの対象物Fの接近を検出するので、センサ3の数を低減させることができ、その結果、簡易な構成の空中操作装置1とすることができる。本実施形態では、センサ3の数を、ボタン11の数の1/4、すなわち3とすることができる。
【0061】
また、複数の表示装置15が第3方向D3に沿って並んでおり、複数の空中結像デバイス14も第3方向D3に沿って並んでいる。従って、複数の表示装置15、及び複数の空中結像デバイス14が互いに同一の方向(第3方向D3)に沿って並んでいるので、第3方向D3に交差する方向(特に第2方向D2)への筐体2の厚さが肥大化することを抑制できる。
【0062】
例えば、第3方向D3に沿って並ぶ複数のボタン11を1つの空中結像デバイス14及び1つの表示装置15によって表示する場合には、空中結像デバイス14及び表示装置15の第3方向D3への長さが長いと共に、表示装置15が斜め後方に大きく延在し、筐体2の第2方向D2への長さ(厚さ)が大きくなって空中操作装置1が肥大化しうる。これに対し、本実施形態のように、第3方向D3に沿って並ぶ複数のボタン11を複数の空中結像デバイス14のそれぞれ、及び複数の表示装置15のそれぞれによって表示する場合には、各空中結像デバイス14及び各表示装置15の第3方向D3への長さを短くでき、各表示装置15の斜め後方への長さを低減できる。従って、筐体2の第2方向D2への長さを低減できるので、筐体2の薄型化を実現させることができる。よって、複数の空中結像デバイス14、及び複数の表示装置15を備える場合でも筐体2の大型化を抑制すると共に薄型化を実現させることができる。
【0063】
図6及び図7に示されるように、認識部24は、センサ3によって検出された対象物Fがボタン11a,11bの位置であると認識したときに信号出力部25による制御信号の出力を抑制するようにボタン11a,11b(例えばグループG1に属するボタン11)を無効とし、センサ3によって検出された対象物Fがボタン11bから離れることを認識したときに信号出力部25による制御信号の出力を許容するようにボタン11bを有効としてもよい。この場合、認識部24は、対象物Fがボタン11a,11bの位置にあるときにボタン11a,11bを無効にする。従って、ボタン11a,11bが押されたタイミングでボタン11a,11bを無効にすることにより、意図しないボタン11が反応して意図しない動作が生じることを抑制することができる。
【0064】
また、認識部24は、対象物Fがボタン11bから離れるときに、信号出力部25による制御信号の出力を許容するようにボタン11bを有効とする。従って、対象物Fがボタン11bから離れるタイミングでボタン11bを有効にすることにより、意図したボタン11bのみを反応させて意図した動作を実現させることができる。よって、誤動作を抑制することができると共に、ボタン11の操作性を向上させることができる。
【0065】
図3図5に示されるように、空中操作装置1は、ボタン11が押されたか否かを表示面10を視認する視認者Mに通知する通知部26を備えてもよい。通知部26は、ボタン11が押されたと認識部24が認識したときに、ボタン11を表示する表示装置15を制御して押されたボタン11の表示態様を変更してもよい。この場合、ボタン11が押されたと認識部24によって認識されたときに、通知部26はボタン11の表示態様を変更することによって視認者Mにボタン11が押されたことを通知する。従って、視認者Mはボタン11が押されたことを表示態様の変更によって容易に把握できるので、ボタン11の操作性を向上させることができる。
【0066】
続いて、本開示に係る空中操作装置の種々の変形例について説明する。後述する各変形例に係る空中操作装置の一部の構成は、前述した空中操作装置1の一部の構成と同一であるため、以下では、空中操作装置1の構成と重複する構成の説明を適宜省略する。
【0067】
図8は、第1変形例に係る空中操作装置1Aの筐体2Aの縦断面を模式的に示す図である。図8に示されるように、空中操作装置1Aは、空中操作装置1と同様、複数の空中結像デバイス14と、複数の表示装置15とを有する。複数の空中結像デバイス14は、第1空中結像デバイス14Aと、第1空中結像デバイス14Aよりも下方に位置する第2空中結像デバイス14Bと、第2空中結像デバイス14Bよりも下方に位置する第3空中結像デバイス14Cとを含む。複数の表示装置15は、第1表示装置15Aと、第1表示装置15Aよりも下方に位置する第2表示装置15Bと、第2表示装置15Bよりも下方に位置する第3表示装置15Cとを含む。
【0068】
第1空中結像デバイス14A及び第1表示装置15Aによって空中像である第1表示面10Aが表示され、第2空中結像デバイス14B及び第2表示装置15Bによって空中像である第2表示面10Bが表示され、第3空中結像デバイス14C及び第3表示装置15Cによって空中像である第3表示面10Cが表示される。例えば、第1空中結像デバイス14A、第2空中結像デバイス14B及び第3空中結像デバイス14Cのそれぞれは第3方向D3に沿って延在している。
【0069】
第1表示装置15A、第2表示装置15B及び第3表示装置15Cのそれぞれは、第1空中結像デバイス14A、第2空中結像デバイス14B及び第3空中結像デバイス14Cのそれぞれから斜め後方に延在している。第1空中結像デバイス14Aに対する第1表示装置15Aの傾斜角度θ1、第2空中結像デバイス14Bに対する第2表示装置15Bの傾斜角度θ2、及び第3空中結像デバイス14Cに対する第3表示装置15Cの傾斜角度θ3は、互いに異なっている。具体的には、傾斜角度θ1は傾斜角度θ2より小さく、傾斜角度θ3は傾斜角度θ2より大きい。
【0070】
第1表示面10Aは第1空中結像デバイス14Aに対して第1表示装置15Aの面対称の位置に表示され、第2表示面10Bは第2空中結像デバイス14Bに対して第2表示装置15Bの面対称の位置に表示され、第3表示面10Cは第3空中結像デバイス14Cに対して第3表示装置15Cの面対称の位置に表示される。これにより、第1空中結像デバイス14Aに対する第1表示面10Aの傾斜角度θ1は第2空中結像デバイス14Bに対する第2表示面10Bの傾斜角度θ2より小さく、第3空中結像デバイス14Cに対する第3表示面10Cの傾斜角度θ3は第2空中結像デバイス14Bに対する第2表示面10Bの傾斜角度θ2よりも大きい。よって、上段の第1表示面10Aの傾斜角度θ1が最も小さく、下段の第3表示面10Cの傾斜角度θ3が最も大きく、中段の第2表示面10Bの傾斜角度θ2は傾斜角度θ1より大きく且つ傾斜角度θ3より小さい。
【0071】
傾斜角度θ1、傾斜角度θ2及び傾斜角度θ3は、例えば、予め設定された一般的な視認者Mの目Eの位置であるアイポイントPに基づいて設計される。この場合、アイポイントPから第1表示面10Aの中心O1まで延びる仮想線X1と第1表示面10Aとが成す角度が直角となるように傾斜角度θ1が設定され、アイポイントPから第2表示面10Bの中心O2まで延びる仮想線X2と第2表示面10Bとが成す角度が直角となるように傾斜角度θ2が設定される。そして、アイポイントPから第3表示面10Cの中心O3まで延びる仮想線X3と第3表示面10Cとが成す角度が直角となるように傾斜角度θ3が設定される。
【0072】
以上、第1変形例に係る空中操作装置1Aでは、第1表示装置15A、第2表示装置15B、第1空中結像デバイス14A、及び第2空中結像デバイス14Bは、側面視において板状を呈する。第1表示装置15Aは、第2表示装置15Bよりも上方に配置されており、第1空中結像デバイス14Aは、第2空中結像デバイス14Bよりも上方に配置されている。第1表示装置15Aと第1空中結像デバイス14Aとが成す傾斜角度θ1は、第2表示装置15Bと第2空中結像デバイス14Bとが成す傾斜角度θ2よりも小さい。
【0073】
よって、下側に位置する第2表示装置15Bと第2空中結像デバイス14Bとが成す傾斜角度θ2が、上側に位置する第1表示装置15Aと第1空中結像デバイス14Aとが成す傾斜角度θ1より大きい。従って、上側に位置する第1表示面10Aと比較して下側に位置する第2表示面10Bがより上側を向くように表示される。すなわち、上側に位置する第1表示面10Aが横向きに表示されるのに対し、下側に位置する第2表示面10Bが上向きに表示される。従って、筐体2の斜め上方から上側に位置する第1表示面10A、及び下側に位置する第2表示面10Bを視認しやすくすることができるので、空中像として表示される複数の表示面10の視認性を向上させることができる。
【0074】
続いて、第2変形例に係る空中操作装置1Bについて図9及び図10を参照しながら説明する。空中操作装置1Bでは、第1表示装置15A、第2表示装置15B及び第3表示装置15Cのそれぞれが可動する。空中操作装置1Bは、視認者Mの目Eの位置をアイポイントPとして検出するアイポイント検出部16と、各空中結像デバイス14に対する各表示装置15の傾斜角度θを変更する角度変更機構30とを備える。
【0075】
制御部20は、角度変更機構30に角度変更信号を出力して複数の表示装置15のそれぞれを回転させる回転部27を有する。アイポイント検出部16は、筐体2に対面する目Eの位置をアイポイントPとして検出する。一例として、アイポイント検出部16はセンサ3に組み込まれていてもよく、筐体2の突出部2gに組み込まれた眼球位置検出センサであってもよい。アイポイント検出部16は、視認者Mの目Eの位置を検出すると、検出信号を回転部27に出力し、回転部27は当該検出信号を受信すると可動信号を生成して当該可動信号を角度変更機構30に出力する。
【0076】
角度変更機構30は、回転部27から可動信号を受信すると、複数の表示装置15のそれぞれの傾斜角度θを変更する。例えば図8図10に示されるように、角度変更機構30は、第1表示装置15Aを、アイポイントPから第1表示面10Aの中心O1まで延びる仮想線X1と第1表示面10Aとが成す角度が直角となるように回転する。角度変更機構30は、第2表示装置15Bを、アイポイントPから第2表示面10Bの中心O2まで延びる仮想線X2と第2表示面10Bとが成す角度が直角となるように回転する。角度変更機構30は、第3表示装置15Cを、アイポイントPから第3表示面10Cの中心O3まで延びる仮想線X3と第3表示面10Cとが成す角度が直角となるように回転する。
【0077】
以上、第2変形例に係る空中操作装置1Bは、第1表示面10A及び第2表示面10Bを視認する視認者Mの目Eが位置するアイポイントPを検出するアイポイント検出部16と、アイポイント検出部16によって検出されたアイポイントPの位置に応じて、第1表示装置15Aと第1空中結像デバイス14Aとが成す傾斜角度θ、及び第2表示装置15Bと第2空中結像デバイス14Bとが成す角度、の少なくともいずれかを変更する角度変更機構30と、を備える。従って、アイポイント検出部16によって検出された視認者Mの目Eの位置に応じて第1表示装置15Aと第1空中結像デバイス14Aとが成す傾斜角度θ、及び第2表示装置15Bと第2空中結像デバイス14Bとが成す傾斜角度θ、の少なくともいずれかが変更される。従って、視認者Mの目Eの位置に応じて第1表示面10A又は第2表示面10Bの向きが変わるので、第1表示面10A及び第2表示面10Bの視認性を一層向上させることができる。
【0078】
次に、図11(a)及び図11(b)を参照しながら、第3変形例に係る空中操作装置1Cについて説明する。まず、第2変形例に係る空中操作装置1Bにおいて、角度変更機構30は、表示装置15の上側に位置しており且つ第1方向D1に延在する軸15fを中心として表示装置15を回転させる。これに対し、第3変形例に係る空中操作装置1Cでは、角度変更機構30は、側面視(第1方向D1から見た場合)における表示装置15の中央において第1方向D1に延在する軸15gを中心として表示装置15を回転させる。
【0079】
前述したように、例えば、センサ3の検出部(例えば、第1検出部3d及び第2検出部3f)はボタン11の中心と仮想直線Xとの交点Q(前述では交点Q1及び交点Q2)に位置する。例えば、交点Qは空中結像デバイス14に対して軸15gの面対称の位置に設けられる。この場合、表示装置15が回転しても、交点Qの位置をずれにくくすることができるので、ボタン11に接近する対象物Fのセンサ3によるセンシングの精度を高く維持することができる。すなわち、表示装置15が回転してもセンサ3による対象物Fの検出精度をより安定させることができる。
【0080】
次に、第4変形例に係る空中操作装置1Dについて図12を参照しながら説明する。空中操作装置1Dは、筐体2と、1つのセンサ3と、2つの空中結像デバイス14とを有する。各空中結像デバイス14は、複数のボタン11Dを含む表示面10Dを空中像として表示する。空中操作装置1Dは、前述した表示装置15と同様、筐体2に内蔵された複数の表示装置を有し、各空中結像デバイス14は各表示装置からの光を複数回反射させて表示面10Dを表示する。前述の実施形態では、複数のボタン11としてテンキーが表示される例について説明した。しかしながら、第4変形例では、複数のボタン11Dとして方向を示す三角印が表示される。以上のように、空中像として表示されるボタン等の種類は適宜変更可能である。
【0081】
以上、本開示に係る空中操作装置の実施形態及び種々の変形例について説明した。しかしながら、本開示に係る空中操作装置は、前述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した要旨を変更しない範囲において変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。すなわち、空中操作装置の各部の構成、形状、大きさ、数、材料及び配置態様は、前述した要旨を変更しない範囲において適宜変更可能である。例えば、前述した実施形態及び複数の実施例の一部を、他の実施形態及び複数の実施例の他の部分に組み合わせてもよい。すなわち、本開示に係る空中操作装置は、前述した実施形態及び実施例の一部が適宜組み合わされたものであってもよい。
【0082】
例えば、前述の実施形態では、空中操作装置1がATMに付属して設けられる例について説明した。しかしながら、本開示に係る空中操作装置の操作対象となる空中操作装置の外部の機器は、ATM以外のものであってもよい。例えば、空中操作装置の外部の機器は、機械式駐車場、コインパーキング、洗車場、又はエレベータシステムであってもよい。この場合も、空中に表示される表示面のボタンを操作することができるので、前述した実施形態及び変形例と同様の効果が得られる。
【0083】
また、空中操作装置の操作対象としての機器は、キッチン、トイレ、水回り、病院、公共機関、駅又は空港等に設けられていてもよい。例えば、キッチンに設けられる空中操作装置では、数字付きの表示面が空中像として表示されることにより、食材が付着した指等でディスプレイに直接触れなくても、料理アプリにおける数字の入力が可能となる。すなわち、従来は携帯端末等のディスプレイを触るために、わざわざ手を洗ってからディスプレイに表示される料理アプリの数字入力を行っていたが、本開示に係る空中操作装置では、ボタン付きの表示面が空中像として表示されるので、空中のボタンを操作することによって料理アプリを操作できる。従って、わざわざ手を洗わなくても料理アプリを操作できるので、操作性が高い空中操作装置とすることができる。
【0084】
例えば、ATM、病院、公共機関、駅又は空港に設けられる空中操作装置では、ボタン付きの表示面が空中像として表示されることにより、共用のディスプレイを直接触らなくても、ATM、又は、病院若しくは空港の受付機等への入力操作を行うことが可能である。従って、共用のディスプレイへの指の接触を不要とすることができるので、衛生的に操作を行うことができる。
【符号の説明】
【0085】
1,1A,1B,1C,1D…空中操作装置、2…筐体、2b…上面、2c…側面、2d…前面、2f…背面、2g…突出部、2h…上面、2j…側面、2k…前面、2p…開口、3,3A,3B,3C…センサ、3d…第1検出部、3f…第2検出部、10,10D…表示面、10A…第1表示面、10B…第2表示面、10C…第3表示面、11,11a,11b,11c,11d,11D,11e,11p…ボタン、11A…第1ボタン、11B…第2ボタン、14…空中結像デバイス、14A…第1空中結像デバイス、14B…第2空中結像デバイス、14C…第3空中結像デバイス、15…表示装置、15A…第1表示装置、15B…第2表示装置、15C…第3表示装置、15f,15g…軸、16…アイポイント検出部、17…空中像表示部、20…制御部、21…画像出力部、22…対象物検出部、23…位置検出部、24…認識部、25…信号出力部、26…通知部、26b…音声出力部、26c…色彩変更部、27…回転部、30…角度変更機構、a,b,c,d,e,f…位置、C…組、D1…第1方向、D2…第2方向、D3…第3方向、E…目、F…対象物、G1,G2,GX…グループ、K1…第1距離、K2…第2距離、L,L1,L2…光、M…視認者(空中操作装置1の使用者)、O1,O2,O3…中心、P…アイポイント、Q,Q1,Q2…交点、S1…第1位置、S2…第2位置、X…仮想直線、X1,X2,X3…仮想線、θ,θ1,θ2,θ3…傾斜角度。

図1
図2
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図5
図6
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図12