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特開2023-168089発電設備、排ガス処理システム、および排ガス処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023168089
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】発電設備、排ガス処理システム、および排ガス処理方法
(51)【国際特許分類】
   F23G 5/50 20060101AFI20231116BHJP
   F23J 15/06 20060101ALI20231116BHJP
   F23J 15/00 20060101ALI20231116BHJP
   F23G 5/46 20060101ALI20231116BHJP
   B01D 53/62 20060101ALI20231116BHJP
   B01D 53/78 20060101ALI20231116BHJP
   B01D 53/14 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
F23G5/50 H
F23G5/50 G ZAB
F23G5/50 N
F23G5/50 M
F23J15/06
F23J15/00 G
F23J15/00 Z
F23G5/46 A
F23J15/00 A
F23G5/50 Z
B01D53/62
B01D53/78
B01D53/14 220
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022079735
(22)【出願日】2022-05-13
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】大丸 卓一郎
(72)【発明者】
【氏名】香月 紀人
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 琢哉
(72)【発明者】
【氏名】辻内 達也
(72)【発明者】
【氏名】進藤 義剛
(72)【発明者】
【氏名】今田 潤司
(72)【発明者】
【氏名】松井 直也
【テーマコード(参考)】
3K062
3K065
3K070
4D002
4D020
【Fターム(参考)】
3K062AA01
3K062AB01
3K062AC01
3K062BA02
3K062BB03
3K062CA08
3K062CB03
3K062DA03
3K062DA22
3K062DA25
3K062DB05
3K062DB16
3K065AA01
3K065AB01
3K065AC01
3K065BA02
3K070DA02
3K070DA07
3K070DA09
3K070DA27
3K070DA48
3K070DA49
3K070DA66
3K070DA75
4D002AA09
4D002AC04
4D002BA02
4D002BA13
4D002BA14
4D002CA01
4D002DA31
4D002EA08
4D002FA01
4D002GA02
4D002GA03
4D002GB01
4D002GB03
4D002HA08
4D020AA03
4D020BA16
4D020BC01
4D020CB25
4D020CC09
4D020CD02
4D020DA01
4D020DA02
4D020DB01
4D020DB02
(57)【要約】
【課題】排ガス中の二酸化炭素を安定的に回収しつつ、より効率的に運転することができる発電設備、排ガス処理システム、および排ガス処理方法を提供する。
【解決手段】発電設備は、被焼却物を焼却させて発電する発電設備であって、被焼却物が焼却される焼却炉と、焼却炉で生成された排ガスが供給されるボイラと、ボイラを通過した排ガスが流入する二酸化炭素回収装置と、ボイラと二酸化炭素回収装置との間に設けられた排ガス流路と、排ガス流路を流れる排ガスの流量を目的の流量に調整可能、かつ、排ガスの温度を目的の温度に調整可能な調整装置と、発電設備に設けられたセンサと、センサの検出結果に基づき調整装置を制御する制御装置と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被焼却物を焼却させて発電する発電設備であって、
前記被焼却物が焼却される焼却炉と、
前記焼却炉で生成された排ガスが供給されるボイラと、
前記ボイラを通過した前記排ガスが流入する二酸化炭素回収装置と、
前記ボイラと前記二酸化炭素回収装置との間に設けられた排ガス流路と、
前記排ガス流路を流れる前記排ガスの流量を目的の流量に調整可能、かつ、前記排ガスの温度を目的の温度に調整可能な調整装置と、
前記発電設備に設けられたセンサと、
前記センサの検出結果に基づき前記調整装置を制御する制御装置と、
を備えた発電設備。
【請求項2】
前記調整装置は、前記焼却炉内に前記被焼却物および燃焼空気を供給し、
前記センサは、前記焼却炉内における前記被焼却物の燃焼状態を示す熱画像情報を取得可能なカメラを有し、
前記制御装置は、前記熱画像情報に基づいて前記調整装置を制御することで、前記焼却炉内に供給される前記被焼却物の供給状態と、前記焼却炉内に供給される燃焼空気の供給状態とのうち、1つ以上を制御する
請求項1に記載の発電設備。
【請求項3】
前記センサは、前記排ガスの酸素濃度を検出可能な酸素濃度検出部を有し、
前記制御装置は、前記酸素濃度検出部の検出結果に基づいて前記調整装置を制御することで、前記酸素濃度から求められる空気比が1.1以上かつ1.25以下となるように前記焼却炉内に供給される前記燃焼空気の量を制御する
請求項2に記載の発電設備。
【請求項4】
前記排ガス流路中に配置された集塵装置を備え、
前記ボイラは、前記排ガスと熱媒体とを熱交換可能であり、
前記センサは、
前記集塵装置に流入する前記排ガスの第1温度を検出可能な第1温度計と、前記集塵装置から流出した前記排ガスの第2温度を検出可能な第2温度計とのうち1つ以上と、
前記排ガス流路を流れる前記排ガス中の窒素酸化物濃度を検出可能な窒素酸化物濃度検出部と、
を有し、
前記制御装置は、前記窒素酸化物濃度と、前記第1温度および前記第2温度のうち1つ以上とが関連付いた対応関係情報に基づいて、前記ボイラに供給される前記熱媒体の量を制御する
請求項1に記載の発電設備。
【請求項5】
前記排ガス流路中に配置された集塵装置を備え、
前記調整装置は、
前記集塵装置よりも上流側における前記排ガス流路中に配置され、前記排ガスと熱媒体とを熱交換可能なエコノマイザを有し、
前記センサは、
前記集塵装置に流入する前記排ガスの第1温度を検出可能な第1温度計と、前記集塵装置から流出した前記排ガスの第2温度を検出可能な第2温度計とのうち1つ以上と、
前記排ガス流路を流れる前記排ガス中の窒素酸化物濃度を検出可能な窒素酸化物濃度検出部と、
を有し、
前記制御装置は、前記窒素酸化物濃度と、前記第1温度および前記第2温度のうち1つ以上とが関連付いた対応関係情報に基づいて、前記エコノマイザに供給される前記熱媒体の量を制御する
請求項1に記載の発電設備。
【請求項6】
前記排ガス流路中に配置された集塵装置を備え、
前記調整装置は、
前記集塵装置よりも下流側における前記排ガス流路中に配置され、前記排ガスと熱媒体とを熱交換可能な熱回収器を有し、
前記センサは、前記熱回収器から流出した前記排ガスの第3温度を検出可能な第3温度計を有し、
前記制御装置は、前記第3温度に基づいて、前記熱回収器に供給される前記熱媒体の量を制御する
請求項1に記載の発電設備。
【請求項7】
前記排ガス流路中に配置された集塵装置を備え、
前記調整装置は、
前記集塵装置よりも下流側における前記排ガス流路中に配置され、前記排ガスと熱媒体とを熱交換可能な熱回収器と、
前記集塵装置よりも上流側における前記排ガス流路中に配置され、前記排ガスと熱媒体とを熱交換可能なエコノマイザと、
一端が前記ボイラと前記エコノマイザとの間の前記排ガス流路に接続され、他端が前記エコノマイザと前記集塵装置との間の前記排ガス流路に接続されたバイパスラインと、
前記バイパスライン中に配置され、前記バイパスラインを流れる前記排ガスの流量を調整可能な流量調整器と、
を有し、
前記センサは、前記熱回収器よりも下流側における前記排ガス流路を流れる前記排ガスの第3温度を検出可能な第3温度計を有し、
前記制御装置は、前記第3温度に基づいて、前記流量調整器の開度を制御する
請求項1に記載の発電設備。
【請求項8】
前記排ガス流路中に配置された集塵装置を備え、
前記調整装置は、
前記集塵装置よりも上流側における前記排ガス流路中に配置され、前記排ガスと熱媒体とを熱交換可能なエコノマイザと、
前記エコノマイザと前記集塵装置との間における前記排ガス流路中に配置され、前記排ガスと熱媒体とを熱交換可能な熱回収器と、
一端が前記エコノマイザと前記熱回収器との間の前記排ガス流路に接続され、他端が前記熱回収器と前記集塵装置との間の前記排ガス流路に接続されたバイパスラインと、
前記バイパスライン中に配置され、前記バイパスラインを流れる前記排ガスの流量を調整可能な流量調整器と、
を有し、
前記センサは、
前記集塵装置に流入する前記排ガスの第1温度を検出可能な第1温度計と、前記集塵装置から流出した前記排ガスの第2温度を検出可能な第2温度計とのうち1つ以上と、
前記集塵装置よりも下流側における前記排ガス流路を流れる前記排ガス中の窒素酸化物濃度を検出可能な窒素酸化物濃度検出部と、
を有し、
前記制御装置は、前記窒素酸化物濃度と、前記第1温度および前記第2温度のうち1つ以上とが関連付いた対応関係情報に基づいて、前記流量調整器の開度を制御する
請求項1に記載の発電設備。
【請求項9】
前記排ガス流路中に配置された集塵装置と、
前記ボイラからの主蒸気が供給されることで駆動される蒸気タービンと、
前記蒸気タービンからの排出蒸気が流入する復水器と、
前記復水器からの水を前記調整装置に熱媒体として導くことができる接続ラインと、
前記蒸気タービンからの抽気蒸気を利用して、前記調整装置からの水から溶存ガスを脱気する脱気器と、
脱気された前記水を前記ボイラに導くことができるボイラ給水ラインと、
を備え、
前記調整装置は、
前記集塵装置よりも下流側における前記排ガス流路中に配置され、前記排ガスと前記熱媒体とを熱交換可能な熱回収器を有した
請求項1に記載の発電設備。
【請求項10】
前記ボイラと前記蒸気タービンとを接続し、前記主蒸気が流れる主蒸気ラインから、前記主蒸気を前記二酸化炭素回収装置へ導くことができる第1ラインと、
前記第1ライン中に配置された第1弁と、
前記蒸気タービンと前記脱気器とを接続し、前記抽気蒸気が流れる抽気蒸気ラインから、前記抽気蒸気を前記二酸化炭素回収装置へ導くことができる第2ラインと、
前記第2ライン中に配置された第2弁と、
を備え、
前記二酸化炭素回収装置は、
前記排ガスを冷却する冷却塔と、
冷却された前記排ガスに含まれる二酸化炭素を吸収液に吸収させる吸収塔と、
前記第1ラインおよび前記第2ラインが接続されることで前記主蒸気と前記抽気蒸気とが供給されるリボイラによって、前記二酸化炭素を吸収した前記吸収液を加熱し、前記吸収液から前記二酸化炭素を分離する再生塔と、
を有し、
前記制御装置は、前記発電設備の運転状態に基づいて、前記第1弁と前記第2弁とのうち、一方を閉止状態に制御する
請求項9に記載の発電設備。
【請求項11】
前記蒸気タービンと前記脱気器とを接続し、前記抽気蒸気が流れる抽気蒸気ラインから、前記抽気蒸気を前記二酸化炭素回収装置へ導くことができる蒸気導入ラインを備え、
前記蒸気タービンは、
前記主蒸気が供給される第1蒸気タービンと、
前記第1蒸気タービンからの排出蒸気が供給される第2蒸気タービンと、
前記第1蒸気タービンと前記第2蒸気タービンとを接続し、前記第1蒸気タービンからの前記排出蒸気が流れる段間ラインと、
前記段間ライン中に配置され、前記段間ラインを流れる前記排出蒸気の圧力を調整可能な圧力調整弁と、
を有し、
前記二酸化炭素回収装置は、
前記排ガスを冷却する冷却塔と、
冷却された前記排ガスに含まれる二酸化炭素を吸収液に吸収させる吸収塔と、
前記蒸気導入ラインが接続されることで前記排出蒸気が前記抽気蒸気として供給されるリボイラによって、前記二酸化炭素を吸収した前記吸収液を加熱し、前記吸収液から前記二酸化炭素を分離する再生塔と、
を有し、
前記制御装置は、前記発電設備の運転状態に基づいて、前記圧力調整弁の開度を制御する
請求項9に記載の発電設備。
【請求項12】
排ガスが生じる設備の一部として設けられる排ガス処理システムであって、
前記設備で生じた前記排ガスが流れる排ガス流路と、
前記排ガス流路を流れた前記排ガスが流入する二酸化炭素回収装置と、
前記排ガス流路を流れる前記排ガスの流量を目的の流量に調整可能、かつ、前記排ガス流路を流れる前記排ガスの温度を目的の温度に調整可能な調整装置と、
前記設備に設けられたセンサの検出結果に基づき前記調整装置を制御する制御装置と、
を備えた排ガス処理システム。
【請求項13】
排ガスが生じる設備で用いられる排ガス処理方法であって、
前記設備は、
前記排ガスが流れる排ガス流路と、
前記排ガス流路を流れた前記排ガスが流入する二酸化炭素回収装置と、
前記排ガス流路を流れる前記排ガスの流量を目的の流量に調整可能、かつ、前記排ガス流路を流れる前記排ガスの温度を目的の温度に調整可能な調整装置と、
を備え、
前記排ガス処理方法は、前記設備に設けられたセンサの検出結果に基づき前記調整装置を制御することを含む
排ガス処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発電設備、排ガス処理システム、および排ガス処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ゴミを焼却処理する発電設備の分野では、焼却炉から排出された排ガスから二酸化炭素を回収する技術がある。例えば、特許文献1には、ゴミ焼却炉からの排ガスが導入される排ガス処理装置で二酸化炭素濃縮ガスを生成し、圧縮して水分を除去するとともに、水分が除去された二酸化炭素濃縮ガスを灰処理部へ導いて灰の処理に利用するゴミ焼却施設が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6826850号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、排ガスから二酸化炭素を回収する設備では、二酸化炭素の回収に際し、電力・熱が必要である。このため、より効率的に運転する技術が要求される。また同時に、排ガスから二酸化炭素を安定的に回収したいという要求がある。
【0005】
本開示は上記課題を解決するためになされたものであって、排ガス中の二酸化炭素を安定的に回収しつつ、より効率的に運転することができる発電設備、排ガス処理システム、および排ガス処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る発電設備は、被焼却物を焼却させて発電する発電設備であって、前記被焼却物が焼却される焼却炉と、前記焼却炉で生成された排ガスが供給されるボイラと、前記ボイラを通過した前記排ガスが流入する二酸化炭素回収装置と、前記ボイラと前記二酸化炭素回収装置との間に設けられた排ガス流路と、前記排ガス流路を流れる前記排ガスの流量を目的の流量に調整可能、かつ、前記排ガスの温度を目的の温度に調整可能な調整装置と、前記発電設備に設けられたセンサと、前記センサの検出結果に基づき前記調整装置を制御する制御装置と、を備える。
【0007】
本開示に係る排ガス処理システムは、排ガスが生じる設備の一部として設けられる排ガス処理システムであって、前記設備で生じた前記排ガスが流れる排ガス流路と、前記排ガス流路を流れた前記排ガスが流入する二酸化炭素回収装置と、前記排ガス流路を流れる前記排ガスの流量を目的の流量に調整可能、かつ、前記排ガス流路を流れる前記排ガスの温度を目的の温度に調整可能な調整装置と、前記設備に設けられたセンサの検出結果に基づき前記調整装置を制御する制御装置と、を備える。
【0008】
本開示に係る排ガス処理方法は、排ガスが生じる設備で用いられる排ガス処理方法であって、前記設備は、前記排ガスが流れる排ガス流路と、前記排ガス流路を流れた前記排ガスが流入する二酸化炭素回収装置と、前記排ガス流路を流れる前記排ガスの流量を目的の流量に調整可能、かつ、前記排ガス流路を流れる前記排ガスの温度を目的の温度に調整可能な調整装置と、を備え、前記排ガス処理方法は、前記設備に設けられたセンサの検出結果に基づき前記調整装置を制御することを含む。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、排ガス中の二酸化炭素を安定的に回収しつつ、より効率的に運転することができる発電設備、排ガス処理システム、および排ガス処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の第1実施形態に係る発電設備の構成を示す図である。
図2】排ガス流路を流れる排ガスの温度変化を模式的に示す図である。
図3】本開示の第1実施形態に係る制御装置の機能ブロック図である。
図4】本開示の第1実施形態に係る制御装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図5】本開示の第1実施形態に係る制御装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図6】本開示の第1実施形態に係る制御装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図7】本開示の第1実施形態に係る制御装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図8】本開示の第1実施形態に係る制御装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図9】本開示の第1実施形態に係る排ガス処理方法を示すフローチャートである。
図10】本開示の第2実施形態に係る発電設備の構成を示す図である。
図11】本開示の第2実施形態に係る制御装置の機能ブロック図である。
図12】本開示の第2実施形態に係る制御装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図13】本開示の第3実施形態に係る発電設備の構成を示す図である。
図14】本開示の第3実施形態に係る制御装置の機能ブロック図である。
図15】本開示の第3実施形態に係る制御装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図16】本開示の第4実施形態に係る発電設備の構成を示す図である。
図17】本開示の第4実施形態に係る制御装置の機能ブロック図である。
図18】本開示の第4実施形態に係る制御装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図19】本開示の実施形態に係る発電設備における発電端出力および送電端出力の関係を示すグラフである。
図20】本開示の実施形態に係るコンピュータの構成を示すハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本開示による発電設備、排ガス処理システム、および排ガス処理方法を実施するための形態を説明する。
【0012】
<第1実施形態>
発電設備は、例えば、都市ゴミ、産業廃棄物、またはバイオマス等を被焼却物として焼却処理するとともに、被焼却物を焼却処理することで発生する排ガスの熱を利用して廃棄物発電を行うプラントである。以下では、説明の便宜上、被焼却物を「ゴミ」と称する。本実施形態におけるゴミは、焼却炉内で燃焼反応を発生させるための燃料である。図1に示すように、発電設備1000は、ゴミ処理系統100と、排ガス処理系統200と、発電系統300と、センサ400と、制御装置500とを備えている。
【0013】
(ゴミ処理系統)
ゴミ処理系統100は、発電設備1000におけるゴミWを焼却処理する系統である。ゴミ処理系統100は、焼却炉1と、ゴミピット18aと、灰押出装置19aと、灰ピット19bとを備えている。
【0014】
(焼却炉)
本実施形態における焼却炉1は、ストーカ式焼却炉である。焼却炉1は、内部でゴミWを搬送しながら燃焼させる炉である。焼却炉1によるゴミWの燃焼に伴って、焼却炉1からは排ガスEGが発生する。発生した排ガスEGは、焼却炉1の上部に接続された排ガス処理系統200へ送られる。焼却炉1は、炉本体2と、燃料供給機構3と、ストーカ4と、風箱5と、排出シュート6と、火炉7と、押込送風機8と、1次空気ライン9と、空気予熱器10と、2次空気ライン11と、1次空気ダンパ90と、2次空気ダンパ110とを有している。
【0015】
炉本体2は、焼却炉1における本体部分である。炉本体2は、ゴミWを燃焼させるための処理空間Vを内部に画定している。この処理空間Vでは、ゴミWが燃焼しながら搬送方向Da(図1における左右方向)に搬送される。処理空間Vで焼却されたゴミWは、排出シュート6を通じて炉本体2の外部に排出される。以下では、説明の便宜上、搬送方向Daにおける排出シュート6から燃料供給機構3へ向かう側(図1における左側)を「一方側Dal」と称する。また、一方側Dalとは反対側のゴミWが搬送される側(図1における右側)を「他方側Dar」と称する。
【0016】
燃料供給機構3は、ゴミWを焼却炉1の外部から受け入れるとともに、受け入れたゴミWを炉本体2内部の処理空間Vに供給する機構である。本実施形態における燃料供給機構3は、ホッパ30と、フィーダ310とを有している。ホッパ30は、炉本体2内部にゴミWを供給するための焼却炉1の入口である。ホッパ30には、焼却炉1の外部からクレーン182によってゴミWが投入される。ホッパ30は、入口部301と、出口部302とを有している。
【0017】
入口部301は、外部からゴミWが入るホッパ30における入口部分である。入口部301は、鉛直方向Dvの上方側から供給されたゴミWを下方側の出口部302へと導く。入口部301は、鉛直方向Dvに延びる筒状を成している。入口部301の下部には出口部302が接続されている。したがって、入口部301に投入されたゴミWは、重力にしたがって下方側に落下する。以下では、説明の便宜上、鉛直方向Dvにおける上方側Dvd(図1における上側)を単に「上方側Dvd」と称する。また、上方側Dvdとは反対の側(図1における下側)を単に「下方側Dvu」と称する。
【0018】
出口部302は、入口部301に投入されたゴミWを炉本体2内部の処理空間Vへ導くホッパ30における出口部分である。出口部302は、ゴミWを炉本体2内部の処理空間Vへ供給する前にこのゴミWを一時的に貯留する貯留空間Rを内部に画定している。本実施形態における出口部302は、搬送方向Daに延びる箱形形状を成している。
【0019】
フィーダ310は、ホッパ30内のゴミWを炉本体2内部の処理空間Vに供給する装置である。フィーダ310は、出口部302の内面における上方側Dvdを向く床面302aに対して搬送方向Daに往復移動可能に配置されている。フィーダ310における一方側Dalの端部は、油圧等によってフィーダ310を往復移動させるフィーダ駆動機構(図示省略)に接続されている。フィーダ310は、このフィーダ駆動機構によって、貯留空間R内を搬送方向Daに往復移動可能とされている。すなわち、フィーダ310は、出口部302の床面302a上を一方側Dalと他方側Darとに進退可能とされている。
【0020】
フィーダ310は、搬送方向Daおよび炉幅方向Dwに延びるとともに所定の厚さを有する板状を成している。フィーダ310は、上方側Dvdを向く上面311と、上面311に接続されるとともに他方側Darを向く押出面312とを有している。以下では、説明の便宜上、搬送方向Daおよび鉛直方向Dvのそれぞれに対して垂直な方向である炉本体2の幅方向を「炉幅方向Dw」と称する。
【0021】
上面311は、入口部301から供給されたゴミWが堆積する面である。押出面312は、床面302a上に堆積したゴミWを他方側Darに押し出す面である。すなわち、フィーダ310は、このフィーダ310自身が所定のタイミングで搬送方向Daに往復移動することで、貯留空間R内のゴミWを処理空間Vに向かって間欠的に押し出す。
【0022】
本実施形態におけるゴミWは、貯留空間R内部で圧密されている。貯留空間R内のゴミWは、粘性を有するとともに、この貯留空間R内をひとかたまりで搬送方向Daに移動する1つの連続体としてみなすことができる。つまり、フィーダ310における上面311上のゴミW、および出口部302における床面302a上のゴミWは、貯留空間R内で一体になっている。そのため、フィーダ310の押出面312がゴミWを処理空間V側に押し出すことにより、上面311上に堆積したゴミWも連動して処理空間V側へ移動する。
【0023】
本実施形態におけるフィーダ310の搬送方向Daへの進退動作は、制御装置500によって制御されている。具体的には、フィーダ310は、進退に係る指示を示す信号を制御装置500から受信する。つまり、フィーダ310は、当該信号が示す指示に基づいて出口部302の床面302a上を往復移動する。ここでいう進退に係る指示とは、例えば、フィーダ310の基準位置からの自身の進退量、進退速度、および進退し始めるタイミングの間隔等である。したがって、フィーダ310は、制御装置500によって制御されることでゴミWの供給状態を調整可能な調整装置として機能している。
【0024】
また、フィーダ310は、基準位置からの自身の進退量(以下、単に「進退量」と称する)、進退速度、および進退し始めるタイミングの間隔を示す信号を制御装置500に有線または無線通信を介して所定の時間間隔で送信することができる。つまり、フィーダ310は、自身の状態情報を制御装置500に送信可能である。本実施形態におけるフィーダ310は、進退量を自身の状態情報として制御装置500に送信する。
【0025】
ストーカ4は、複数の火格子(図示省略)により構成されており、この複数の火格子は、燃料供給機構3によってゴミWが層状に供給されるストーカ面4aを形成している。火格子は、固定火格子(図示省略)と、可動火格子(図示省略)とで構成されている。
【0026】
固定火格子は、風箱5の上方側Dvdを向く風箱5の表面に固定されている。可動火格子は、一定の速度で一方側Dal(上流側)と他方側Dar(下流側)へ移動することで、この可動火格子と固定火格子の上(ストーカ面上)にあるゴミWを攪拌混合させながら下流側へ搬送する。ストーカ4は、ストーカ面4aに層状に供給されたゴミWを燃焼させながら、排出シュート6に向かって搬送している。
【0027】
炉本体2は、一方側Dalから順に、乾燥段5a、燃焼段5b、および後燃焼段5cを有している。これら乾燥段5a、燃焼段5b、および後燃焼段5cは、処理空間Vを搬送方向Daに区画している。乾燥段5aは、ホッパ30から供給されたゴミWを、ストーカ4上で燃焼に先立って乾燥させる領域である。
【0028】
燃焼段5bおよび後燃焼段5cは、乾燥した状態のゴミWをストーカ4上で燃焼させる領域である。燃焼段5bでは、ゴミWから発生する熱分解ガスによる拡散燃焼が発生し、輝炎Fが生じる。後燃焼段5cでは、拡散燃焼後のゴミWの固定炭素燃焼が起きるため、輝炎Fは生じない。したがって、燃焼に伴って生じる輝炎Fは、主として燃焼段5bに形成される。
【0029】
風箱5は、ストーカ4の下方から処理空間Vに向かって燃焼用の空気を供給する。風箱5は、搬送方向Daに複数配列されている。本実施形態では、風箱5によって炉本体2における乾燥段5a、燃焼段5b、および後燃焼段5cが区画されている。
【0030】
排出シュート6は、燃焼を終えて灰となったゴミWを炉本体2よりも下方側Dvuに位置する灰押出装置19aへ落下させる装置である。排出シュート6は、後燃焼段5cの他方側Darの端部に設けられている。
【0031】
火炉7は、炉本体2の上部から上方側Dvdに向かって延びている。処理空間V内でゴミWが燃焼することによって生じた排ガスEGは、火炉7を通じて排ガス処理系統200へ送られる。
【0032】
押込送風機8は、処理空間VでゴミWを燃焼させるための空気を焼却炉1内部に向かって圧送する装置である。押込送風機8は、第1押込送風機81と、第2押込送風機82とを有している。第1押込送風機81は、1次空気ライン9を通じて、風箱5に向かって燃焼用の空気を圧送する。第2押込送風機82は、2次空気ライン11を通じて、火炉7に向かって燃焼用の空気を圧送する。
【0033】
本実施形態における第1押込送風機81の回転数(圧送する空気の流量)は、制御装置500によって制御されている。具体的には、第1押込送風機81は、回転数を示す信号を制御装置500から有線または無線通信を介して受信する。第1押込送風機81は、当該信号が示す回転数に基づいて回転し、空気を処理空間Vへ向けて圧送する。
【0034】
したがって、第1押込送風機81は、制御装置500によって制御されることで1次空気ライン9を通じて処理空間Vに供給される燃焼用の空気の流量を調整可能な調整装置として機能している。また、これら第1押込送風機81は、自身の出力回転数を示す信号を制御装置500に有線または無線通信を介して所定の時間間隔で送信する。つまり、第1押込送風機81は、出力回転数を自身の状態情報を制御装置500に送信する。
【0035】
1次空気ライン9は、第1押込送風機81と風箱5とを接続している。第1押込送風機81が駆動されることで、1次空気ライン9を通じてゴミWの燃焼に必要な空気が風箱5に供給される。風箱5に供給された空気は、ストーカ4の下方からゴミWに向かう。以下、説明の便宜上、1次空気ライン9を通じて炉本体2内部へ供給される空気を「燃焼空気」と称する。
【0036】
ここで、1次空気ダンパ90は、1次空気ライン9中に配置されている。ここでいう「1次空気ライン9中」とは、1次空気ライン9の内部ではなく、1次空気ライン9の途中を意味する。1次空気ダンパ90は、ダンパの開度によって1次空気ライン9内を流れる燃焼空気の流量を調整可能である。本実施形態における1次空気ダンパ90の開度は、制御装置500によって制御されている。具体的には、1次空気ダンパ90は、開度を示す信号を制御装置500から有線または無線通信を介して受信する。
【0037】
1次空気ダンパ90は、当該信号が示す開度に基づいて1次空気ライン9を流れる燃焼空気の流量を調整する。したがって、1次空気ダンパ90は、制御装置500によって制御されることで1次空気ライン9を通じて処理空間Vに供給される燃焼空気の流量を調整可能な調整装置として機能している。また、1次空気ダンパ90は、自身の開度を示す信号を制御装置500に有線または無線通信を介して所定の時間間隔で送信する。つまり、1次空気ダンパ90は、開度を自身の状態情報を制御装置500に送信する。
【0038】
空気予熱器10は、第1押込送風機81から圧送される空気を予熱する熱交換器である。空気予熱器10は、1次空気ライン9中に配置されており、第1押込送風機81から風箱5に向かって1次空気ライン9を流れる燃焼空気を加熱する。空気予熱器10によって加熱された燃焼空気は、処理空間Vに供給され、ゴミWの燃焼に利用されるとともにゴミWの燃焼に伴って処理空間V内に発生する排ガスEGに混合し、この排ガスEGと熱交換する。
【0039】
本実施形態における空気予熱器10の設定温度(予熱温度)は、制御装置500によって制御されている。具体的には、空気予熱器10は、設定温度を示す信号を制御装置500から有線または無線通信を介して受信する。空気予熱器10は、当該信号が示す温度に基づいて燃焼空気を予熱する。したがって、空気予熱器10は、制御装置500によって制御されることで1次空気ライン9を流れる燃焼空気の温度を調整可能な調整装置として機能している。また、空気予熱器10は、自身の設定温度を示す信号を制御装置500に有線または無線通信を介して所定の時間間隔で送信する。つまり、空気予熱器10は、設定温度を自身の状態情報を制御装置500に送信する。
【0040】
2次空気ライン11は、第2押込送風機82と火炉7とを接続している。第2押込送風機82が駆動されることで、2次空気ライン11を通じて、ゴミWの燃焼に必要な空気が火炉7内に供給される。火炉7内に供給された2次空気は、ストーカ4の上方からゴミWに向かう。ここで、2次空気ダンパ110は、2次空気ライン11中に配置されている。ここでいう「2次空気ライン11中」とは、2次空気ライン11の内部ではなく、2次空気ライン11の途中を意味する。2次空気ダンパ110は、ダンパの開度によって2次空気ライン11を流れる燃焼用の空気の流量を調整可能である。
【0041】
(ゴミピット)
ゴミピット18aは、ゴミWを貯留するとともに、ゴミWをホッパ30の入口部301に供給する。ゴミピット18aは、ゴミピット本体180と、プラットフォーム181と、クレーン182と、クレーン制御装置189とを有している。ゴミピット本体180は、焼却炉1よりも一方側DalでゴミWを貯留する室である。ゴミピット本体180は、ホッパ30の入口部301に接続されている。すなわち、ホッパ30内部とゴミピット本体180内部とは連通しており、ゴミピット本体180内部からホッパ30の内部へゴミWが供給可能とされている。
【0042】
プラットフォーム181は、ゴミWをゴミピット本体180内部へ搬入するための搬入口である。プラットフォーム181は、ゴミピット本体180の一方側Dalに形成されている搬入用の開口部に接続されている。プラットフォーム181には、例えば、発電設備1000の外部からゴミ収集車Tが搬入される。ゴミ収集車Tは、搬入したゴミWをゴミピット本体180内部へ投入する。クレーン182は、ゴミピット本体180内に貯留されたゴミWの一部を把持するとともに、把持したゴミWをゴミピット本体180からホッパ30の入口部301へ移送する。クレーン182は、ゴミピット本体180の上方側Dvdの天井部分に設けられている。
【0043】
クレーン182は、天井に設けられているレール183と、レール183に沿って走行するガーダ184と、このガーダ184を横行するトロリ185と、このトロリ185から吊り下げられているワイヤ186と、このワイヤ186の巻き上げおよび巻き下げを行う巻上機187と、ワイヤ186の先端に取り付けられているグラップル188とを有している。クレーン制御装置189は、ガーダ184の走行、トロリ185の横行、巻上機187によるワイヤ186の巻き上げと巻き下げ、およびグラップル188の把持動作等を制御する装置である。
【0044】
(灰押出装置)
灰押出装置19aは、排出シュート6を通じて炉本体2よりも下方側Dvuに落下したゴミW(灰)を受けるとともに、後続の灰ピット19bへ押し出す装置である。灰押出装置19aは、押出装置本体190と押出機構(図示省略)とを有している。押出装置本体190は、処理空間V内で燃焼を終えて灰となったゴミWを受けるとともに一時的に堆積させる。押出装置本体190は、炉本体2よりも下方側Dvuに配置されている。押出装置本体190は、排出シュート6に下方側Dvuから接続されている。押出機構は、灰ピット19bに向けて押出装置本体190内に落下したゴミW(灰)を押し出す。
【0045】
(灰ピット)
灰ピット19bは、押出装置内のゴミWを受け入れるとともに内部に貯留する室である。本実施形態における灰ピット19bは、押出装置本体190に他方側Darから接続されている。灰ピット19b内に貯留されたゴミWは、例えば灰クレーン等(図示省略)によって発電設備1000の外部へ移送される。
【0046】
(排ガス処理系統)
排ガス処理系統200は、ゴミ処理系統100で発生した排ガスEGを処理する系統である。排ガス処理系統200は、ボイラ12と、排ガス流路14と、集塵装置16と、熱回収器17と、二酸化炭素回収装置13と、煙突18と、出口流路19とを備えている。
【0047】
(ボイラ)
ボイラ12は、ゴミ処理系統100における火炉7から導入された排ガスEGと、外部から供給される水(給水)との間で熱交換を行うことで、供給された水を加熱して蒸気を発生させる装置である。本実施形態におけるボイラ12は、火炉7からの排ガスEGから熱を回収するとともに、この熱を利用して発電系統300の蒸気タービン31を駆動させるための蒸気(主蒸気)を発生させる。
【0048】
詳細な図示は省略するが、ボイラ12は、ボイラ外枠と、このボイラ外枠内に配置された複数の装置によって構成されている。複数の装置には、例えば、熱交換器、加熱器、蒸発器等が挙げられる。ボイラ外枠内に配置されたこれら装置には、火炉7からの排ガスEGが順次に導入される。各装置に導入された排ガスEGは、外部から導入された水と熱交換されることで冷却される。一方、ボイラ12に導入された水は、排ガスEGによって加熱されて蒸気になる。
【0049】
(排ガス流路)
排ガス流路14は、ボイラ12で熱交換を終えた排ガスEGを内部に流通させる。排ガス流路14の一端は、ボイラ12の排ガス出口に接続されている。排ガス流路14の他端は、二酸化炭素回収装置13に接続されている。
【0050】
(集塵装置)
本実施形態における集塵装置16は、排ガス流路14を流れる排ガスEGに含まれるススや塵埃の除去(除塵)、窒素酸化物の除去(脱硝)、およびダイオキシン類等の有害物質の除去をすることができる触媒担持バグフィルタである。集塵装置16は、排ガス流路14中におけるボイラ12と二酸化炭素回収装置13との間に配置されている。ここでいう「排ガス流路14中」とは、排ガス流路14の内部ではなく、排ガス流路14の途中を意味する。したがって、集塵装置16には、ボイラ12から流出した排ガスEGが流入する。集塵装置16で有害物質が除去された排ガスEGは、再び排ガス流路14に流入する。
【0051】
(熱回収器)
熱回収器17は、排ガス流路14を流れる排ガスEGと、外部から導入される熱媒体とを熱交換させることで排ガスEGの熱を回収する装置(熱交換器)である。本実施形態における熱回収器17は、エコノマイザである。熱回収器17は、排ガス流路14中における集塵装置16と二酸化炭素回収装置13との間に配置されている。したがって、熱回収器17には、集塵装置16からの排ガスEGが流入する。本実施形態における熱回収器17に外部から供給される熱媒体は、水(給水)である。熱回収器17で熱交換を終えた排ガスEGは、再び排ガス流路14に流出する。
【0052】
(二酸化炭素回収装置)
二酸化炭素回収装置13は、排ガス流路14を流れる排ガスEGから二酸化炭素を回収する。二酸化炭素回収装置13には、熱回収器17から流出した排ガスEGが流入する。本実施形態における二酸化炭素回収装置13は、冷却塔131と、吸収塔132と、再生塔133とを有している。
【0053】
冷却塔131は、熱回収器17からの排ガスEGを冷却する装置である。詳細の図示は省略するが、本実施形態における冷却塔131は、冷却塔循環水を循環させる循環ライン、ポンプ、および外部から導入される冷却水と熱交換をして冷却塔循環水を冷却する熱交換器を備えており、冷却水によって冷却された冷却塔循環水と排ガスEGとを接触させることで、この排ガスEGを冷却する。すなわち、冷却塔131に流入した排ガスEGは、冷却塔循環水と熱交換することで冷却される。冷却塔131で冷却された排ガスEGは、吸収塔132へ導かれる。
【0054】
吸収塔132は、吸収液(アミン吸収液)を用いて二酸化炭素回収装置13に導入された排ガスEGから二酸化炭素を除去する装置である。吸収塔132の内部には、冷却塔131からの排ガスEGが導入される。吸収塔132の内部では、上部から下方に向けて吸収液が散布される。冷却塔131の内部に散布された吸収液は、排ガスEGと接触することにより排ガスEG中の二酸化炭素を吸収する。吸収塔132の内部で二酸化炭素が除去された排ガスEGは、吸収塔132に接続された出口流路19を通じて煙突18へ送られ、煙突18から大気へ排出される。一方、二酸化炭素を吸収した吸収液は、再生塔133へ導かれる。
【0055】
再生塔133は、吸収塔132からの吸収液を加熱し、吸収液から二酸化炭素を分離する装置である。再生塔133は、吸収液から二酸化炭素を分離することで、吸収液を再生させる。再生塔133は、再生塔本体133aと、リボイラ133bとを有している。再生塔本体133aは、内部に充填層やトレイを有している。再生塔本体133a内の空間には、吸収塔132から吸収液供給管を介して二酸化炭素を吸収した吸収液が導入される。
【0056】
リボイラ133bは、例えば、再生塔本体133aにおける下部と配管で接続されている。リボイラ133bには、吸収液を加熱するための熱媒体が外部から導入される。本実施形態におけるリボイラ133bに外部から供給される熱媒体は、蒸気(主蒸気または抽気蒸気)である。再生塔本体133a内に流入した吸収液は、熱媒体と熱交換することで加熱される。再生塔本体133a内部で吸収液が加熱されることで、吸収液から二酸化炭素が分離される。吸収液から分離された二酸化炭素は、二酸化炭素回収装置13の外部へ導かれる。二酸化炭素が分離された吸収液は、吸収塔132へ再び導かれる。吸収液を加熱することで冷却された熱媒体としての蒸気は、凝縮水となる。この凝縮水は、発電系統300へ導かれる。
【0057】
ここで、リボイラ133bに導入される気体の熱媒体には、例えば、130~160℃の温度帯下で、0.27~0.62MPaAの圧力が維持される必要がある。以下、この温度帯(130~160℃)下におけるこの圧力範囲(0.27~0.62MPaA)を「最低必要圧」と称する。
【0058】
(発電系統)
発電系統300は、ゴミ処理系統100で発生した排ガスEGの熱を利用して発電する系統である。発電系統300は、蒸気タービン31と、復水器32と、脱気器33と、第1給水ポンプ34aと、第2給水ポンプ34bと、各種ラインと、各種弁とを備えている。
【0059】
上記の各種ラインは、主蒸気ライン30aと、第1ライン30bと、第1接続ライン30c(接続ライン)と、第2接続ライン30gと、給水バイパスライン30hと、抽気蒸気ライン30dと、第2ライン30eと、ボイラ給水ライン30fと、凝縮水ライン30kとを有している。また、上記の各種弁は、熱媒体弁17aと、第1弁13aと、第2弁13bと、第3弁13cとを有している。
【0060】
(蒸気タービン)
蒸気タービン31は、ボイラ12からの蒸気によって駆動され、この蒸気タービン31に接続された発電機GENを回転させる回転機械である。本実施形態における蒸気タービン31には、ボイラ12で発生した蒸気が主蒸気ライン30aを通じて導入される。主蒸気ライン30aは、ボイラ12の蒸気出口と、蒸気タービン31の蒸気入口とを接続している。
【0061】
主蒸気ライン30aには、二酸化炭素回収装置13における再生塔133のリボイラ133bに接続される第1ライン30bが接続されている。主蒸気ライン30aを流れるボイラ12からの蒸気は、第1ライン30bを通じてリボイラ133bへ導入される。リボイラ133bに導入された蒸気は、再生塔本体133a内で吸収液を加熱するための熱媒体として利用される。
【0062】
第1ライン30bには、第1弁13aが配置されている。第1弁13aは、第1ライン30bを流れる蒸気の流量を調整可能な流量調整弁である。第1弁13aは、開度が制御されることで、第1ライン30bを流れる蒸気の流量を調整する。本実施形態における第1弁13aの開度は、制御装置500によって制御されている。具体的には、第1弁13aは、開度を示す信号を制御装置500から有線または無線通信を介して受信し、受信した信号に基づいて開度を調整する。
【0063】
(復水器)
復水器32は、蒸気タービン31に接続されている。蒸気タービン31で膨張仕事を終えた蒸気は、復水器32内に導かれ、冷却されることで凝縮して水(復水)となり、復水器32内に貯留される。復水器32内に貯留された水は、第1接続ライン30cを通じて、熱回収器17内で排ガスEGと熱交換させるための熱媒体として熱回収器17へ導かれる。
【0064】
ここで、第1接続ライン30cは、復水器32と熱回収器17とを接続している。第1接続ライン30c中には、第1給水ポンプ34aが配置されている。ここでいう「第1接続ライン30c中」とは、第1接続ライン30cの内部ではなく、第1接続ライン30cの途中を意味する。第1給水ポンプ34aは、駆動されることで、復水器32からの水を熱回収器17に送る。第1接続ライン30cを通じて熱回収器17に導入された水は、熱回収器17内で排ガスEGと熱交換し、排ガスEGによって加熱される。熱回収器17内で加熱された水は、第2接続ライン30gを通じて脱気器33へ導かれる。
【0065】
給水バイパスライン30hは、一端が第1接続ライン30cに接続され、他端が第2接続ライン30gに接続されている。したがって、第1接続ライン30cを流れる水の一部は、一端から給水バイパスライン30h内に流入し、他端を通じて第2接続ライン30gに流入することができる。したがって、給水バイパスライン30hは、熱回収器17を経由せずに第1接続ライン30cから第2接続ライン30gへ水をバイパスすることができる。
【0066】
給水バイパスライン30hには、熱媒体弁17aが配置されている。熱媒体弁17aは、給水バイパスライン30hを流れる水の流量を調整可能な流量調整弁である。熱媒体弁17aは、開度が制御されることで、給水バイパスライン30hを流れる水の流量を調整する。本実施形態における熱媒体弁17aの開度は、制御装置500によって制御されている。具体的には、熱媒体弁17aは、開度を示す信号を制御装置500から有線または無線通信を介して受信し、受信した信号に基づいて開度を調整する。
【0067】
熱媒体弁17aは、制御装置500によって制御されることで給水バイパスライン30hを流れる水の流量を調整可能である。熱媒体弁17aの開度が調整されることで、熱回収器17に流入する熱媒体としての水の流量が調整される。したがって、熱回収器17は、熱媒体弁17aの開度が調整されることで排ガスEGの温度を調整可能な調整装置として機能している。
【0068】
(脱気器)
脱気器33は、熱回収器17からの水を加熱するとともに、この水に含まれる溶存ガス(酸素や炭酸ガス等)を脱気する。脱気器33によって脱気された水は、ボイラ給水ライン30fを通じてボイラ12に導かれる。ボイラ給水ライン30fは、脱気器33の給水出口と、ボイラ12の給水入口とを接続している。ボイラ給水ライン30fを通じてボイラ12に導入された水は、ボイラ12内で排ガスEGと熱交換させるための熱媒体として利用される。
【0069】
ボイラ給水ライン30f中には、第2給水ポンプ34bが配置されている。ここでいう「ボイラ給水ライン30f」とは、ボイラ給水ライン30fの内部ではなく、ボイラ給水ライン30fの途中を意味する。第2給水ポンプ34bは、駆動されることで、脱気器33からの水をボイラ12に送る。ボイラ給水ライン30fを通じてボイラ12に導入された水は、ボイラ12内で排ガスEGと熱交換し、排ガスEGによって加熱されて蒸気(主蒸気)となる。この蒸気は、主蒸気ライン30aを通じて蒸気タービン31へ導かれる。
【0070】
本実施形態における第2給水ポンプ34bの回転数(脱気器33からボイラ12へ圧送する水の流量)は、制御装置500によって制御されている。具体的には、第2給水ポンプ34bは、回転数を示す信号を制御装置500から有線または無線通信を介して受信する。第2給水ポンプ34bは、当該信号が示す回転数に基づいて回転し、ボイラ給水ライン30f内の水をボイラ12へ圧送する。
【0071】
第2給水ポンプ34bは、制御装置500によって制御されることでボイラ給水ライン30fを流れる水の流量を調整可能である。第2給水ポンプ34bの回転数が調整されることで、ボイラ12に流入する熱媒体としての水の流量が調整される。
【0072】
なお、ボイラ12に流入する熱媒体としての水の流量の調整は、例えば、ボイラ給水ライン30f中に配置されたボイラ給水弁(図示省略)によって制御されてもよい。ボイラ給水弁の構成は、後述のその他の実施形態中で詳細に説明する。
【0073】
また、脱気器33には、蒸気タービン31から抽気された蒸気(抽気蒸気)が、水を加熱するための熱源として導入される。脱気器33と蒸気タービン31とは、抽気蒸気ライン30dによって接続されている。すなわち、脱気器33には、蒸気タービン31から抽気された蒸気が抽気蒸気ライン30dを通じて導入される。脱気器33内に導入された蒸気が、脱気器33内に導入された水と直接接触することで、水が加熱脱気される。ここで、抽気蒸気ライン30dを流れる蒸気の圧力は、主蒸気ライン30aを流れる蒸気の圧力よりも低い。
【0074】
抽気蒸気ライン30dには、二酸化炭素回収装置13における再生塔133のリボイラ133bに接続される第2ライン30eが接続されている。抽気蒸気ライン30dを流れる蒸気タービン31からの蒸気は、第2ライン30eを通じてリボイラ133bへ導入される。リボイラ133bに導入された蒸気は、再生塔本体133a内で吸収液を加熱するための熱媒体として利用される。
【0075】
第2ライン30eには、第2弁13bが配置されている。第2弁13bは、第2ライン30eを流れる蒸気の流量を調整可能な流量調整弁である。第2弁13bは、開度が制御されることで、第2ライン30eを流れる蒸気の流量を調整する。本実施形態における第2弁13bの開度は、制御装置500によって制御されている。具体的には、第2弁13bは、開度を示す信号を制御装置500から有線または無線通信を介して受信し、受信した信号に基づいて開度を調整する。
【0076】
なお、第2ライン30eを通じてリボイラ133bに導入された熱媒体としての蒸気は、上記の凝縮水となり、リボイラ133bと脱気器33とを接続する凝縮水ライン30kを通じて脱気器33内へ導かれる。凝縮水ライン30kには、第3弁13cが配置されている。第3弁13cは、凝縮水ライン30kを流れる凝縮水の流量を調整可能な流量調整弁である。第3弁13cは、開度が制御されることで、凝縮水ライン30kを流れる凝縮水の流量を調整する。本実施形態における第3弁13cの開度は、制御装置500によって制御されている。具体的には、第3弁13cは、開度を示す信号を制御装置500から有線または無線通信を介して受信し、受信した信号に基づいて開度を調整する。
【0077】
ここで、排ガス処理系統200における排ガス流路14を流れる排ガスEGの温度変化を説明する。図2に示すように、焼却炉1からの排ガスEGは、ボイラ12内で水と熱交換することで目的の温度まで冷却される。本明細書中における「目的の温度」とは、あるピンポイントの温度に限定されることはなく、一定の温度範囲に収まることを含む。ボイラ12内で熱交換を後えた排ガスEGの目的の温度は、例えば、100~200℃である。以下、説明の便宜上、この目的の温度を「第1目的温度」と称する。
【0078】
ボイラ12から流出した排ガスEGは、温度が維持された状態で、集塵装置16を通過した後、熱回収器17に流入する。熱回収器17に流入した排ガスEGは、水と熱交換することで目的の温度まで冷却される。熱回収器17で熱交換を後えた排ガスEGの目的の温度は、例えば、70~150℃である。以下、説明の便宜上、この目的の温度を「第2目的温度」と称する。
【0079】
熱回収器17から流出した排ガスEGは、二酸化炭素回収装置13に流入する。二酸化炭素回収装置13に流入した排ガスEGは、冷却塔131で冷却される。冷却塔131で冷却された後の排ガスEGの温度は、例えば、20~60℃である。
【0080】
(センサ)
図1に示すように、センサ400は、発電設備1000に設けられている。本実施形態におけるセンサ400は、カメラ41と、酸素濃度検出部42と、第1温度計43と、第2温度計44と、第3温度計46と、窒素酸化物濃度検出部45とを有している。
【0081】
(カメラ)
本実施形態におけるカメラ41は、炉本体2内部を撮像可能な赤外カメラである、カメラ41は、炉本体2内部におけるゴミWおよび輝炎Fが写る熱画像を取得する。つまり、カメラ41は、処理空間V内におけるゴミWの燃焼状態を示す熱画像情報を検出可能である。カメラ41は、例えば、炉本体2内部における炉尻に配置されている。カメラ41が処理空間V内を撮影して生成した検出結果としての熱画像中では、フィーダ310、乾燥段5a、燃焼段5b、および後燃焼段5cのそれぞれが写る領域が予め特定されている。カメラ41が検出した熱画像情報は、輝度分布を有する。
【0082】
カメラ41の撮像範囲には、輝炎Fが入り込む。輝炎Fは、主として燃焼段5bに生じており、輝炎Fは炉内画像の上半部に写りこむ。輝炎Fは、他方側Darの端部に燃え切り点を有している。燃え切り点は、燃焼段5bにおけるゴミWの拡散燃焼が終了したことを示すストーカ4上の一地点(揮発ガス発生完了点)であり、焼却炉1内での好適な燃焼を図るための制御に用いられる指標の1つである。熱画像情報が有する輝度分布は、この燃え切り点を含んでいる。カメラ41は、所定の時間間隔で炉本体2内部を撮像するとともに、検出結果を示す信号を制御装置500へ有線または無線通信を介して送信する。
【0083】
(酸素濃度検出部)
酸素濃度検出部42は、排ガスEGの酸素濃度O1を検出可能な酸素センサ(Oセンサ)である。本実施形態における酸素濃度検出部42は、出口流路19に配置されている。したがって、酸素濃度検出部42は、出口流路19内を流れる排ガスEGの酸素濃度O1を検出する。酸素濃度検出部42は、所定の時間間隔で排ガスEGの酸素濃度O1を検出するとともに、検出結果を示す信号を制御装置500へ有線または無線通信を介して送信する。
【0084】
(第1温度計)
第1温度計43は、排ガス流路14中におけるボイラ12と集塵装置16との間に配置されている。本実施形態における第1温度計43は、集塵装置16に流入する排ガスEGの温度を検出する。第1温度計43は、所定の時間間隔で排ガスEGの温度を検出するとともに、検出結果を示す信号を制御装置500へ有線または無線通信を介して送信する。以下、説明の便宜上、第1温度計43が検出する排ガスEGの温度を「第1温度T1」と称する。
【0085】
(第2温度計)
第2温度計44は、排ガス流路14中における集塵装置16と熱回収器17との間に配置されている。本実施形態における第2温度計44は、集塵装置16から流入した排ガスEGの温度を検出する。言い換えれば、第2温度計44は、熱回収器17に流入する排ガスEGの温度を検出する。第2温度計44は、所定の時間間隔で排ガスEGの温度を検出するとともに、検出結果を示す信号を制御装置500へ有線または無線通信を介して送信する。以下、説明の便宜上、第2温度計44が検出する排ガスEGの温度を「第2温度T2」と称する。
【0086】
(第3温度計)
第3温度計46は、排ガス流路14中における熱回収器17と二酸化炭素回収装置13との間に配置されている。本実施形態における第3温度計46は、熱回収器17から流出した排ガスEGの温度を検出する。言い換えれば、第3温度計46は、二酸化炭素回収装置13に流入する排ガスEGの温度を検出する。第3温度計46は、所定の時間間隔で排ガスEGの温度を検出するとともに、検出結果を示す信号を制御装置500へ有線または無線通信を介して送信する。以下、説明の便宜上、第3温度計46が検出する排ガスEGの温度を「第3温度T3」と称する。
【0087】
(窒素酸化物濃度検出部)
窒素酸化物濃度検出部45は、排ガスEGの窒素酸化物濃度A1を検出可能な窒素酸化物センサ(NOセンサ)である。本実施形態における窒素酸化物濃度検出部45は、排ガス流路14中における集塵装置16と熱回収器17との間に配置されている。したがって、窒素酸化物濃度検出部45は、集塵装置16から流出した排ガスEGの窒素酸化物濃度A1を検出する。言い換えれば、窒素酸化物濃度検出部45は、熱回収器17に流入する排ガスEGの窒素酸化物濃度A1を検出する。窒素酸化物濃度検出部45は、所定の時間間隔で排ガスEGの窒素酸化物濃度A1を検出するとともに、検出結果を示す信号を制御装置500へ有線または無線通信を介して送信する。
【0088】
(制御装置)
制御装置500は、上述したセンサ400からの検出結果を示す信号を受信するとともに、調整装置として機能する各種装置のうち1つ以上に対して制御を行う。すなわち、制御装置500は、センサ400の検出結果に基づき、調整装置として機能する各種装置のうち1つ以上を制御する。また、制御装置500は、各種装置の状態を示す信号を受信することで得られた発電設備1000の運転状態に基づいて、発電系統300における第1弁13aおよび第2弁13bの状態を制御する。発電設備1000の運転状態については、後述する。
【0089】
ここでいう各種装置は、ゴミ処理系統100におけるフィーダ310、第1押込送風機81、空気予熱器10、1次空気ダンパ90、発電系統300における熱媒体弁17a、および第2給水ポンプ34bである。
図3に示すように、本実施形態における制御装置500は、検出部51と、判定部52と、制御部53と、記憶部54とを有している。記憶部54は、判定部52が判定処理に用いる情報を記憶している。
【0090】
(検出部)
検出部51は、センサ400からの信号を受信することで、センサ400の検出結果を取得する。また、検出部51は、調整装置としてのフィーダ310、第1押込送風機81、空気予熱器10、および1次空気ダンパ90からこれらの状態を取得する。
【0091】
「カメラからの取得」
検出部51は、カメラ41から送信される信号を受信することで、当該信号が示す熱画像情報を取得する。検出部51は、取得した熱画像情報を判定部52に送る。
【0092】
「酸素濃度検出部からの取得」
検出部51は、酸素濃度検出部42から送信される信号を受信することで、当該信号が示す酸素濃度O1を取得する。検出部51は、取得した酸素濃度O1を判定部52に送る。
【0093】
「第1温度計からの取得」
検出部51は、第1温度計43から送信される信号を受信することで、当該信号が示す第1温度T1を取得する。検出部51は、取得した第1温度T1を判定部52に送る。
【0094】
「第2温度計からの取得」
検出部51は、第2温度計44から送信される信号を受信することで、当該信号が示す第2温度T2を取得する。検出部51は、取得した第2温度T2を判定部52に送る。
【0095】
「第3温度計からの取得」
検出部51は、第3温度計46から送信される信号を受信することで、当該信号が示す第3温度T3を取得する。検出部51は、取得した第3温度T3を判定部52に送る。
【0096】
「窒素酸化物濃度検出部からの取得」
検出部51は、窒素酸化物濃度検出部45から送信される信号を受信することで、当該信号が示す窒素酸化物濃度A1を取得する。検出部51は、取得した窒素酸化物濃度A1を判定部52に送る。
【0097】
「フィーダからの取得」
検出部51は、フィーダ310から送信される信号を受信することで、当該信号が示すフィーダ310の状態情報を取得する。具体的には、検出部51は、フィーダ310の進退量を取得する。検出部51は、取得したフィーダ310の進退量を判定部52に送る。
【0098】
「第1押込送風機からの取得」
検出部51は、第1押込送風機81から送信される信号を受信することで、当該信号が示す第1押込送風機81の状態情報を取得する。具体的には、検出部51は、第1押込送風機81の出力回転数を取得する。検出部51は、取得した第1押込送風機81の出力回転数を判定部52に送る。
【0099】
「空気予熱器からの取得」
検出部51は、空気予熱器10から送信される信号を受信することで、当該信号が示す空気予熱器10の状態情報を取得する。具体的には、検出部51は、空気予熱器10の設定温度を取得する。検出部51は、取得した空気予熱器10の設定温度を判定部52に送る。
【0100】
「1次空気ダンパからの取得」
検出部51は、1次空気ダンパ90から送信される信号を受信することで、当該信号が示す1次空気ダンパ90の状態情報を取得する。具体的には、検出部51は、1次空気ダンパ90の開度を取得する。検出部51は、取得した1次空気ダンパ90の開度を判定部52に送る。
【0101】
(判定部)
判定部52は、検出部51から受け付けたセンサ400の検出結果に基づいて、判定処理をする。また、判定部52は、検出部51から受け付けた調整装置の状態に基づいて、発電設備1000の運転状態を判定する。
【0102】
「熱画像情報に関する判定」
判定部52は、検出部51から熱画像情報を受け付けた場合、当該熱画像情報に含まれる輝度分布と所定の輝度分布とを比較する。
【0103】
判定部52は、熱画像情報が有する輝度分布に含まれる燃え切り点の位置と、所定の輝度分布に含まれる燃え切り点の位置との間の距離が所定の閾値よりも大きい場合に、「燃焼状態が不良である」と判定する。
【0104】
一方、判定部52は、熱画像情報が有する輝度分布に含まれる燃え切り点の位置と、所定の輝度分布に含まれる燃え切り点位置との間の距離が所定の閾値の範囲内に収まっている場合に、「燃焼状態が不良でない」と判定する。なお、所定の輝度分布、および所定の閾値は、例えば、記憶部54によって予め記憶されている。
【0105】
「酸素濃度に関する判定」
判定部52は、検出部51から酸素濃度O1を受け付けた場合、所定の空気比情報を参照して、当該酸素濃度O1に対応する空気比(燃焼空気比)を取得する。ここで、空気比情報は、例えば、排ガスEGの酸素濃度O1と、空気比とが関連付いたテーブルである。
【0106】
判定部52は、取得した空気比が、所定の閾値範囲外である場合に、「空気比が閾値範囲外である」と判定する。さらに、判定部52は、取得した空気比が閾値範囲の下限値よりも小さい場合、「空気比が低い」と判定する。また、判定部52は、取得した空気比が閾値範囲の上限値よりも大きい場合、「空気比が高い」と判定する。本実施形態における所定の閾値範囲には、例えば、1.1以上かつ1.25以下の数値範囲が採用される。この閾値範囲は、発明者らの知見によって得られた数値範囲である。
【0107】
一方、判定部52は、取得した空気比が、所定の閾値範囲内である場合に、「空気比が閾値範囲内である」と判定する。ここでいう閾値範囲内は、この閾値範囲の上限値および下限値を含む。なお、空気比情報、および閾値範囲は、例えば、記憶部54によって予め記憶されている。
【0108】
「第1温度、第2温度、および窒素酸化物濃度に関する判定」
判定部52は、検出部51から第1温度T1、第2温度T2、および窒素酸化物濃度A1を受け付けた場合、所定の対応関係情報を参照して、当該第1温度T1および第2温度T2と、窒素酸化物濃度A1に応じた閾値温度Txとを比較する。本実施形態における対応関係情報は、例えば、窒素酸化物濃度A1と閾値温度Txとが関連付いたテーブルである。対応関係情報に含まれる閾値温度Txは、上記の第1目的温度が示す温度範囲内の値である。
【0109】
判定部52は、第1温度T1が閾値温度Txから乖離している場合に、「第1温度T1の調整が必要である」と判定する。ここでいう、第1温度T1が閾値温度Txから乖離している場合とは、第1温度T1が、例えば、閾値温度Txに閾値温度Txの10%の値を足した値よりも大きい場合、または、閾値温度Txに閾値温度Txの10%の値を引いた値よりも小さい場合を意味する。また、第1温度T1が閾値温度Txから乖離していない場合とは、第1温度T1が、例えば、閾値温度Txに閾値温度Txの10%の値を足した値以下の場合、かつ、閾値温度Txに閾値温度Txの10%の値を引いた値以上の場合を意味する。
【0110】
さらに、判定部52は、第1温度T1が、閾値温度Txに閾値温度Txの10%の値を足した値よりも大きい場合、「第1温度T1が高い」と判定する。また、判定部52は、第1温度T1が、値温度Txに閾値温度Txの10%の値を引いた値よりも小さい場合、「第1温度T1が低い」と判定する。
【0111】
また、判定部52は、第2温度T2が閾値温度Txから乖離している場合に、「第2温度T2の調整が必要である」と判定する。ここでいう、第2温度T2が閾値温度Txから乖離している場合とは、第2温度T2が、例えば、閾値温度Txに閾値温度Txの10%の値を足した値よりも大きい場合、または、閾値温度Txに閾値温度Txの10%の値を引いた値よりも小さい場合を意味する。また、第2温度T2が閾値温度Txから乖離していない場合とは、第2温度T2が、例えば、閾値温度Txに閾値温度Txの10%の値を足した値以下の場合、かつ、閾値温度Txに閾値温度Txの10%の値を引いた値以上の場合を意味する。
【0112】
さらに、判定部52は、第2温度T2が、閾値温度Txに閾値温度Txの10%の値を足した値よりも大きい場合、「第2温度T2が高い」と判定する。また、判定部52は、第2温度T2が、値温度Txに閾値温度Txの10%の値を引いた値よりも小さい場合、「第2温度T2が低い」と判定する。
【0113】
一方、判定部52は、第1温度T1が閾値温度Txから乖離していない場合に、「第1温度T1の調整が必要でない」と判定する。また、判定部52は、第2温度T2が閾値温度Txから乖離していない場合に、「第2温度T2の調整が必要でない」と判定する。なお、対応関係情報は、例えば、記憶部54によって予め記憶されている。
【0114】
「第3温度に関する判定」
判定部52は、検出部51から第3温度T3を受け付けた場合、当該第3温度T3と所定の閾値温度Tyとを比較する。閾値温度Tyは、上記の第2目的温度が示す温度範囲内の値である。
【0115】
判定部52は、第3温度T3が閾値温度Tyから乖離している場合に、「第3温度T3の調整が必要である」と判定する。ここで、第3温度T3が閾値温度Tyから乖離している場合とは、第3温度T3が、例えば、閾値温度Tyに閾値温度Tyの10%の値を足した値よりも大きい場合、または、閾値温度Tyに閾値温度Tyの10%の値を引いた値よりも小さい場合を意味する。また、第3温度T3が閾値温度Tyから乖離していない場合とは、第3温度T3が、例えば、閾値温度Tyに閾値温度Tyの10%の値を足した値以下の場合、かつ、閾値温度Tyに閾値温度Tyの10%の値を引いた値以上の場合を意味する。
【0116】
さらに、判定部52は、第3温度T3が、閾値温度Tyに閾値温度Tyの10%の値を足した値よりも大きい場合、「第3温度T3が高い」と判定する。また、判定部52は、第3温度T3が、値温度Tyに閾値温度Tyの10%の値を引いた値よりも小さい場合、「第3温度T3が低い」と判定する。
【0117】
一方、判定部52は、第3温度T3が閾値温度Tyから乖離していない場合に、「第3温度T3の調整が必要でない」と判定する。なお、閾値温度Tyは、例えば、記憶部54によって予め記憶されている。
【0118】
「発電設備の運転状態に関する判定」
判定部52は、フィーダ310、第1押込送風機81、空気予熱器10、および1次空気ダンパ90それぞれの状態情報を検出部51から1つ以上取得した場合に、取得した状態情報に基づいて発電設備1000の運転状態を判定する。
【0119】
判定部52は、以下の(i)~(iv)の判定結果のうち1つ以上が生じた場合に、これらの各状態と、処理空間VにおけるゴミWの最大焼却可能量に対する割合(以下、焼却量割合と称する)とが関連付いた所定の焼却量情報を参照して、焼却量割合を取得する。焼却量情報は、例えばテーブルである。
(i)フィーダ310の進退量が所定の進退量閾値よりも大きい
(ii)第1押込送風機81の回転数が所定の回転数閾値よりも高い
(iii)空気予熱器10の設定温度が所定の設定温度閾値よりも高い
(iv)1次空気ダンパ90の開度が所定の開度閾値よりも大きい
【0120】
判定部52は、焼却量割合が、例えば90%以上である場合(全負荷時)に、「全炉運転である」と判定する。一方、判定部52は、焼却量割合が、例えば90%未満である場合(部分負荷時)に、「一部炉運転である」と判定する。なお、焼却量情報、進退量閾値、回転数閾値、設定温度閾値、開度閾値は、例えば、記憶部54によって予め記憶されている。
【0121】
(制御部)
制御部53は、判定部52による判定結果に基づいて、調整装置として機能する各種装置を制御する。また、制御部53は、判定部52が判定した発電設備1000の運転状態に基づいて、第1弁13aおよび第2弁13bの状態を制御する。
【0122】
「フィーダ、第1押込送風機、空気予熱器、および1次空気ダンパに対する制御」
制御部53は、判定部52が「燃焼状態が不良である」と判定した場合に、フィーダ310、第1押込送風機81、空気予熱器10、および1次空気ダンパ90のうち1つ以上を制御することで、ゴミWの供給状態と燃焼空気の供給状態とのうち、1つ以上を制御する。
【0123】
具体的には、制御部53は、例えば、以下の(I)~(IV)の制御のうち、1つ以上を実施する。
(I)進退量の増加または減少を示す信号をフィーダ310に送信
(II)回転数の増加または減少を示す信号を第1押込送風機81に送信
(III)設定温度の上昇または低下を示す信号を空気予熱器10に送信
(IV)開度の上昇または低下を示す信号を1次空気ダンパ90に送信
【0124】
すなわち、上記の(I)の制御がゴミWの供給状態の制御に対応し、(II)~(IV)の制御が燃焼空気の供給状態の制御に対応している。
【0125】
当該制御によって、炉本体2内部の処理空間Vにおける燃焼状態が安定化される。その結果、焼却炉1から排出される排ガスEGの流量が目的の流量に調整され、排ガスEGの温度が目的の温度に調整される。本明細書中における「目的の流量」とは、あるピンポイントの流量に限定されることはなく、一定の流量範囲に収まることを含む。
【0126】
したがって、調整装置としてのフィーダ310、第1押込送風機81、空気予熱器10、および1次空気ダンパ90が制御装置500によって制御されることで、ゴミWの供給状態および燃焼空気の供給状態とのうち1つ以上が制御される。その結果、ゴミWの燃焼によって生じる排ガスEGの流量が目的の流量に調整されるとともに、排ガスEGの温度が目的の温度に調整される。
【0127】
「第1押込送風機、および1次空気ダンパに対する制御」
制御部53は、判定部52が「空気比が閾値範囲外である」と判定した場合に、第1押込送風機81、および1次空気ダンパ90のうち1つ以上を制御することで燃焼空気の量を制御する。
【0128】
具体的には、制御部53は、判定部52が「空気比が低い」と判定した場合に、進退量の増加を示す信号をフィーダ310に送信する制御、および開度の上昇を示す信号を1次空気ダンパ90に送信する制御のうち1つ以上を実施する。また、制御部53は、判定部52が「空気比が高い」と判定した場合に、進退量の減少を示す信号をフィーダ310に送信する制御、および開度の低下を示す信号を1次空気ダンパ90に送信する制御のうち1つ以上を実施する。
【0129】
一方、制御部53は、判定部52が「空気比が閾値範囲内である」と判定した場合に、第1押込送風機81、および1次空気ダンパ90に開度の維持を示す信号を送信する。
【0130】
「第2給水ポンプに対する制御」
制御部53は、判定部52が「第1温度T1の調整が必要である」、または「第2温度T2の調整が必要である」と判定した場合に、ボイラ12への熱媒体の量を制御する。
【0131】
具体的には、制御部53は、判定部52が「第1温度T1が高い」と判定した場合、または、「第2温度T2が高い」と判定した場合、回転数の上昇を示す信号を第2給水ポンプ34bに送信する。また、制御部53は、判定部52が「第1温度T1が低い」と判定した場合、または、「第2温度T2が低い」と判定した場合、回転数の低下を示す信号を第2給水ポンプ34bに送信する。つまり、ボイラ12へ導入される熱媒体の量が制御される。
【0132】
一方、制御部53は、判定部52が「第1温度T1の調整が必要でない」と判定し、「第2温度T2の調整が必要でない」と判定した場合、第2給水ポンプ34bに回転数の維持を示す信号を送信する。
【0133】
「熱媒体弁に対する制御」
制御部53は、判定部52が「第3温度T3の調整が必要である」と判定した場合、熱回収器17への熱媒体の量を制御する。
【0134】
具体的には、制御部53は、判定部52が「第3温度T3が高い」と判定した場合、開度の上昇を示す信号を熱媒体弁17aに送信する。また、制御部53は、判定部52が「第3温度T3が低い」と判定した場合、開度の低下を示す信号を熱媒体弁17aに送信する。つまり、熱回収器17へ導入される熱媒体の量が制御される。
【0135】
一方、制御部53は、判定部52が「第3温度T3の調整が必要でない」と判定した場合、熱媒体弁17aに開度の維持を示す信号を送信する。
【0136】
「第1弁および第2弁に対する制御」
制御部53は、判定部52が「全炉運転である」と判定した場合、全閉状態(開度最小)の指示を示す信号を第1弁13aに送信し、全開状態(開度最大)の指示を示す信号を第2弁13bに送信する。
【0137】
一方、制御部53は、判定部52が「一部炉運転である」と判定した場合、全開状態(開度最大)の指示を示す信号を第1弁13aに送信し、全閉状態(開度最小)の指示を示す信号を第2弁13bに送信する。
【0138】
(制御装置の動作)
続いて、制御装置500の動作について説明する。
【0139】
以下、図4を参照して、熱画像情報に基づいて調整装置を制御する制御装置500の動作の一例について説明する。
検出部51は、熱画像情報を取得する(ステップS11)。次に、判定部52は、取得された熱画像情報に基づいて、燃焼状態が不良であるか否かを判定する(ステップS12)。燃焼状態が不良であると判定部52が判定した場合(ステップS12:YES)、制御部53は、ごみの供給状態と燃焼空気の供給状態とのうち、1つ以上を制御する(ステップS13)。ステップS13の処理を終えた場合、ステップS11の処理が再び行われる。燃焼状態が不良でないと判定部52が判定した場合(ステップS12:NO)、ステップS11の処理が再び行われる。
以上説明したステップS11からステップS13の処理は、発電設備1000の運転段階で繰り返し実行される。
【0140】
以下、図5を参照して、酸素濃度O1に基づいて調整装置を制御する制御装置500の動作の一例について説明する。
検出部51は、酸素濃度O1を取得する(ステップS21)。次に、判定部52は、取得された酸素濃度O1に基づいて、空気比が閾値範囲外であるか閾値範囲内であるかを判定する(ステップS22)。空気比が閾値範囲外であると判定部52が判定した場合(ステップS22:YES)、制御部53は、燃焼空気の量を制御する(ステップS23)。ステップS23の処理を終えた場合、ステップS21の処理が再び行われる。空気比が閾値範囲内であると判定部52が判定した場合(ステップS22:NO)、ステップS21の処理が再び行われる。
以上説明したステップS21からステップS23の処理は、発電設備1000の運転段階で繰り返し実行される。
【0141】
以下、図6を参照して、第1温度T1、第2温度T2、および窒素酸化物濃度A1に基づいて調整装置を制御する制御装置500の動作の一例について説明する。
検出部51は、第1温度T1、第2温度T2、および窒素酸化物濃度A1を取得する(ステップS31)。次に、判定部52は、取得された第1温度T1、第2温度T2、および窒素酸化物濃度A1に基づいて、第1温度T1の調整が必要であるか否か、または第2温度T2の調整が必要であるか否かを判定する(ステップS32)。第1温度T1の調整が必要である、または第2温度T2の調整が必要であると判定部52が判定した場合(ステップS32:YES)、制御部53は、ボイラ12への熱媒体の量を制御する(ステップS33)。ステップS33の処理を終えた場合、ステップS31の処理が再び行われる。第1温度T1の調整が必要でない、かつ第2温度T2の調整が必要でないと判定部52が判定した場合(ステップS32:NO)、ステップS31の処理が再び行われる。
以上説明したステップS31からステップS33の処理は、発電設備1000の運転段階で繰り返し実行される。
【0142】
以下、図7を参照して、第3温度T3に基づいて調整装置を制御する制御装置500の動作の一例について説明する。
検出部51は、第3温度T3を取得する(ステップS41)。次に、判定部52は、取得された第3温度T3に基づいて、第3温度T3の調整が必要であるか否かを判定する(ステップS42)。第3温度T3の調整が必要であると判定部52が判定した場合(ステップS42:YES)、制御部53は、熱回収器17への熱媒体の量を制御する(ステップS43)。ステップS43の処理を終えた場合、ステップS41の処理が再び行われる。第3温度T3の調整が必要でないと判定部52が判定した場合(ステップS42:NO)、ステップS41の処理が再び行われる。
以上説明したステップS41からステップS43の処理は、発電設備1000の運転段階で繰り返し実行される。
【0143】
以下、図8を参照して、状態情報に基づいて第1弁13aおよび第2弁13bを制御する制御装置500の動作の一例について説明する。
検出部51は、状態情報を取得する(ステップS51)。次に、判定部52は、取得された状態情報に基づいて、全炉運転であるか一部炉運転であるかを判定する(ステップS52)。全炉運転であると判定部52が判定した場合(ステップS52:YES)、制御部53は、第1弁13aを全閉状態に制御し、第2弁13bを全開状態に制御する(ステップS53)。ステップS53の処理を終えた場合、ステップS51の処理が再び行われる。一部炉運転であると判定部52が判定した場合(ステップS52:NO)、制御部53は、第1弁13aを全開状態に制御し、第2弁13bを全閉状態に制御する(ステップS54)。ステップS54の処理を終えた場合、ステップS51の処理が再び行われる。
以上説明したステップS51からステップS54の処理は、発電設備1000の運転段階で繰り返し実行される。
【0144】
上述した排ガス流路14と、二酸化炭素回収装置13と、調整装置と、制御装置500とによって、排ガスを処理する排ガス処理システムが構成されている。排ガス処理システムは、排ガスEGが生じる設備の一部として設けられる。すなわち、本実施形態では、この排ガス処理システムは、発電設備1000に設けられている。
【0145】
(発電設備で用いられる排ガス処理方法)
続いて、発電設備1000で用いられる排ガス処理方法について図9を参照して説明する。この排ガス処理方法では、センサ400の検出結果に基づき調整装置を制御する。排ガス処理方法は、第1制御工程S1と、第2制御工程S2とを実行する。
【0146】
第1制御工程S1では、はじめに、調整装置としてのフィーダ310および第1押込送風機81によって、ゴミWおよび燃焼空気が焼却炉1における炉本体2内部の処理空間Vに供給される。次に、カメラ41によって、焼却炉1内におけるゴミWの燃焼状態を示す熱画像情報が取得される。次に、制御装置500は、カメラ41が取得した熱画像情報に基づいて調整装置を制御することで、焼却炉1内に供給されるゴミWの供給状態と、焼却炉1内に供給される燃焼空気の供給状態とのうち、1つ以上を制御する。この際、制御装置500は、調整装置としてのフィーダ310、第1押込送風機81、空気予熱器10、および1次空気ダンパ90のうち1つ以上を制御する。第1制御工程S1が終了すると、第2制御工程S2を実行する。
【0147】
第2制御工程S2では、はじめに、酸素濃度検出部42によって、酸素濃度O1が取得される。次に、制御装置500は、酸素濃度検出部42の検出結果に基づいて調整装置を制御することで、酸素濃度O1から求められる空気比が1.1以上かつ1.25以下となるように焼却炉1内に供給される燃焼空気の量を制御する。この際、制御装置500は、調整装置としての第1押込送風機81および1次空気ダンパ90のうち1つ以上を制御する。以上で、本実施形態の排ガス処理方法が終了する。
【0148】
(作用効果)
上記構成では、センサ400の検出結果に基づいて排ガス流路14を流れる排ガスEGが調整装置によって目的の流量および目的の温度とされる。調整装置は、ゴミ処理系統100におけるフィーダ310、第1押込送風機81、空気予熱器10、1次空気ダンパ90、排ガス処理系統200におけるボイラ12、および熱回収器17である。つまり、排ガスEGの流量および温度が、目的の流量および目的の温度に調整されない場合と比較して、排ガス流路14を流れる排ガスEGの状態を安定させることができる。したがって、例えば、排ガス流路14を流れる排ガスEGを利用する外部の装置等が排ガスEGの熱を円滑に利用することができる。その結果、発電設備1000内の動力が利用される機会を削減することができる。また、排ガスEGの状態が安定化されるため、二酸化炭素回収装置13における排ガスEGから二酸化炭素を安定的に回収することができる。したがって、排ガスEG中の二酸化炭素を安定的に回収しつつ、より効率的に運転することができる。
【0149】
また、廃棄物発電を行う発電設備1000の分野では、ゴミWの性状や炉本体2内部へのゴミWの供給量が変動した場合、供給されたゴミWを完全燃焼させるために、空気比を1.3以上に維持して運転されることが一般的である。
上記構成では、酸素濃度検出部42が検出した酸素濃度O1より得られる空気比に基づいて、制御装置500が燃焼空気の量を制御する。具体的には、制御装置500の制御部53は、空気比が1.1以上かつ1.25以下となるように調整装置としての第1押込送風機81および1次空気ダンパ90の状態を制御する。これにより、例えば、空気比が1.3以上に維持される場合と比較して、排ガスEG中に含まれる窒素酸化物濃度A1を抑制することができる。
【0150】
また、上記構成では、窒素酸化物濃度検出部45により検出された排ガスEG中の窒素酸化物濃度A1と、第1温度計43および第2温度計44のうち1つ以上により検出された排ガスEGの温度とに基づいて、ボイラ12に供給される熱媒体の量が制御される。すなわち、集塵装置16を通過する排ガスEGの温度を窒素酸化物濃度A1に基づいた温度に調整することができる。これにより、集塵装置16における排ガスEGの脱硝性能をより安定させることができる。
【0151】
また、上記構成では、第3温度計46により検出された排ガスEGの温度に基づいて、熱回収器17に供給される熱媒体の量が制御される。すなわち、熱回収器17内における排ガスEGと熱交換する熱媒体の量が制御される。これにより、排ガス流路14内で熱交換器から二酸化炭素回収装置13へ向かう排ガスEGの温度をより安定化させることができる。
【0152】
また、上記構成では、発電設備1000が全炉運転である場合には、ボイラ12からの蒸気を流すことができる第1ライン30bに配置された第1弁13aが閉止され、蒸気タービン31から抽気された蒸気を流すことができる第2ライン30eにおける第2弁13bが開放される。つまり、第1ライン30bを流れる蒸気は再生塔133のリボイラ133bへ導入されず、第2ライン30eを流れる蒸気がリボイラ133bへ導入される。一方で、発電設備1000が一部炉運転である場合には、第1弁13aが開放され、第2弁13bが閉止される。つまり、第1ライン30bを流れる蒸気が再生塔133のリボイラ133bへ導入され、第2ライン30eを流れる蒸気がリボイラ133bへ導入される。第2ライン30eを流れる蒸気の圧力は、第1ライン30bを流れる蒸気の圧力よりも低い。これにより、全炉運転時(発電設備がほぼ全負荷)には、抽気蒸気ライン30dを流れる蒸気をリボイラ133bに導くことができる。一方、一部炉運転時(発電設備が部分負荷)には、抽気蒸気ライン30dを流れる蒸気の圧力が低下し,リボイラ133bの要求圧力を下回る場合がある。上記構成によれば、一部炉運転時には、主蒸気ライン30aを流れる蒸気をリボイラ133bへ導くことができる。したがって、発電設備1000の運転状態に応じて、リボイラ133bに導かれる蒸気を、蒸気タービン31に供給される蒸気、および蒸気タービン31から抽気された蒸気を切り替えることができる。したがって、蒸気タービン31による発電量を基本的に大きくすることができる抽気蒸気を使用しつつ、負荷が低い場合には、主蒸気ライン30aを流れる蒸気(主蒸気)の使用に切り替えることができ、その結果、負荷によらず二酸化炭素の回収が可能となる。
【0153】
<第2実施形態>
以下、本開示の第2実施形態に係る発電設備1000について説明する。第2実施形態で説明する発電設備1000は、第1実施形態の発電設備1000に対して構成が一部異なる。第1実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。第2実施形態における排ガス処理系統200aは、エコノマイザ15をさらに備えている。また、第2実施形態における発電系統300の各種ラインは、第3接続ライン30iと、第4接続ライン30jとをさらに有している。
【0154】
(排ガス処理系統)
図10に示すように、排ガス処理系統200aは、ボイラ12と、排ガス流路14と、エコノマイザ15と、集塵装置16と、熱回収器17と、二酸化炭素回収装置13と、煙突18と、出口流路19と、バイパスライン20と、流量調整器21とを備えている。
【0155】
(エコノマイザ)
エコノマイザ15は、排ガス流路14を流れるボイラ12からの排ガスEGと、外部から導入される熱媒体とを熱交換させる装置(熱交換器)である。エコノマイザ15は、排ガス流路14中におけるボイラ12と集塵装置16との間に配置されている。エコノマイザ15に流入した排ガスEGは、外部から供給された熱媒体と熱交換することで目的の温度に冷却される。一方、外部からエコノマイザ15に導入された熱媒体は、排ガスEGによって加熱される。本実施形態におけるエコノマイザ15に導入される熱媒体は、水(給水)である。エコノマイザ15で熱交換を終えた排ガスEGは、再び排ガス流路14に流出する。第1温度計43は、排ガス流路14におけるエコノマイザ15と集塵装置16との間に配置されている。
【0156】
ここで、第3接続ライン30iは、第1接続ライン30cとエコノマイザ15とを接続している。エコノマイザ15には、第3接続ライン30iを通じて、復水器32からの水が排ガスEGと熱交換するための熱媒体として導入される。エコノマイザ15で熱交換を終えた熱媒体は、例えば、このエコノマイザ15と脱気器33とを接続する第4接続ライン30jを通じて脱気器33へ導かれる。
【0157】
(バイパスライン)
バイパスライン20は、一端20aがボイラ12とエコノマイザ15との間の排ガス流路14に接続され、他端20bがエコノマイザ15と集塵装置16との間の排ガス流路14に接続されている。したがって、ボイラ12を流出した排ガス流路14を流れる排ガスEGの一部は、一端20aからバイパスライン20内に流入し、他端20bを通じて排ガス流路14に再び流入することができる。したがって、バイパスライン20は、エコノマイザ15を経由せずにボイラ12とエコノマイザ15との間の排ガス流路14からエコノマイザ15と集塵装置16との間の排ガス流路14へ排ガスEGをバイパスすることができる。バイパスライン20の他端20bは、排ガス流路14における第1温度計43よりもエコノマイザ15側に配置されている。
【0158】
(流量調整器)
流量調整器21は、バイパスライン20中に配置されている。ここでいう「バイパスライン20中」とは、バイパスライン20の内部ではなく、バイパスライン20の途中を意味する。流量調整器21は、開度を調整することでバイパスライン20を流れる蒸気の流量を調整可能な流量調整弁である。本実施形態における流量調整弁の開度は、制御装置500aによって制御されている。具体的には、流量調整弁は、開度を示す信号を制御装置500aから有線または無線通信を介して受信する。流量調整弁は、当該信号が示す開度に基づいてバイパスライン20を流れる排ガスEGの流量を調整する。したがって、流量調整器21は、制御装置500aによって制御されることで、排ガス流路14でエコノマイザ15に流入する排ガスEGの量を調整可能な調整装置として機能している。
【0159】
(制御装置)
図11に示すように、本実施形態における制御装置500aは、検出部51と、判定部52と、制御部53aと、記憶部54とを有している。
【0160】
制御部53aは、判定部52が「第3温度T3の調整が必要である」と判定した場合、流量調整器21の開度を制御する。
【0161】
具体的には、制御部53aは、判定部52が「第3温度T3が高い」と判定した場合、開度の低下を示す信号を流量調整器21に送信する。また、制御部53aは、判定部52が「第3温度T3が低い」と判定した場合、開度の上昇を示す信号を流量調整器21に送信する。つまり、バイパスライン20を流れる排ガスEGの流量が調整されると同時に、エコノマイザ15に流入する排ガスEGの流量が制御される。
【0162】
一方、制御部53aは、判定部52が「第3温度T3の調整が必要でない」と判定した場合、流量調整器21に開度の維持を示す信号を送信する。
【0163】
以下、図12を参照して、第3温度T3に基づいて調整装置を制御する制御装置500aの動作の一例について説明する。
検出部51は、第3温度T3を取得する(ステップS61)。次に、判定部52は、取得された第3温度T3に基づいて、第3温度T3の調整が必要であるか否かを判定する(ステップS62)。第3温度T3の調整が必要であると判定部52が判定した場合(ステップS62:YES)、制御部53aは、流量調整器21の開度を制御する(ステップS63)。ステップS63の処理を終えた場合、ステップS61の処理が再び行われる。第3温度T3の調整が必要でないと判定部52が判定した場合(ステップS62:NO)、ステップS61の処理が再び行われる。
以上説明したステップS61からステップS63の処理は、発電設備1000の運転段階で繰り返し実行される。
【0164】
(作用効果)
上記構成では、第3温度計46により検出された排ガスEGの温度に基づいて、エコノマイザ15に流入する排ガスEGの量が制御される。すなわち、エコノマイザ15内における熱媒体と熱交換する排ガスEGの量が制御される。これにより、二酸化炭素回収装置13に流入する排ガスEGの温度をより安定化させることができる。
【0165】
<第3実施形態>
以下、本開示の第3実施形態に係る発電設備1000について説明する。第3実施形態で説明する発電設備1000は、第2実施形態の発電設備1000に対して構成が一部異なる。第2実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0166】
(排ガス処理系統)
図13に示すように、排ガス処理系統200bは、ボイラ12と、排ガス流路14と、エコノマイザ15と、集塵装置16と、熱回収器17と、二酸化炭素回収装置13と、煙突18と、出口流路19と、バイパスライン20と、流量調整器21とを備えている。
【0167】
(熱回収器)
熱回収器17は、排ガス流路14中におけるエコノマイザ15と集塵装置16との間に配置されている。したがって、熱回収器17には、エコノマイザ15からの排ガスEGが流入する。
【0168】
(バイパスライン)
バイパスライン20は、一端20aがエコノマイザ15と熱回収器17との間の排ガス流路14に接続され、他端20bが熱回収器17と集塵装置16との間の排ガス流路14に接続されている。したがって、バイパスライン20は、熱回収器17を経由せずにエコノマイザ15と熱回収器17との間の排ガス流路14から熱回収器17と集塵装置16との間の排ガス流路14へ排ガスEGをバイパスすることができる。バイパスライン20の他端20bは、排ガス流路14における第1温度計43よりも熱回収器17側に配置されている。
【0169】
(制御装置)
図14に示すように、本実施形態における制御装置500bは、検出部51と、判定部52と、制御部53bと、記憶部54とを有している。
【0170】
制御部53bは、判定部52が「第1温度T1の調整が必要である」、または「第2温度T2の調整が必要である」と判定した場合に、流量調整器21の開度を制御する。
【0171】
具体的には、制御部53bは、判定部52が「第1温度T1が高い」と判定した場合、または、「第2温度T2が高い」と判定した場合、開度の低下を示す信号を流量調整器21に送信する。また、制御部53bは、判定部52が「第1温度T1が低い」と判定した場合、または、「第2温度T2が低い」と判定した場合、開度の上昇を示す信号を流量調整器21に送信する。つまり、バイパスライン20を流れる排ガスEGの流量が調整されると同時に、熱回収器17に流入する排ガスEGの流量が制御される。
【0172】
一方、制御部53bは、判定部52が「第1温度T1の調整が必要でない」と判定し、「第2温度T2の調整が必要でない」と判定した場合、流量調整器21に開度の維持を示す信号を送信する。
【0173】
以下、図15を参照して、第1温度T1、第2温度T2、および窒素酸化物濃度A1に基づいて調整装置を制御する制御装置500bの動作の一例について説明する。
検出部51は、第1温度T1、第2温度T2、および窒素酸化物濃度A1を取得する(ステップS71)。次に、判定部52は、取得された第1温度T1、第2温度T2、および窒素酸化物濃度A1に基づいて、第1温度T1の調整が必要であるか否か、または第2温度T2の調整が必要であるか否かを判定する(ステップS72)。第1温度T1の調整が必要である、または第2温度T2の調整が必要であると判定部52が判定した場合(ステップS72:YES)、制御部53bは、流量調整器21の開度を制御する(ステップS73)。ステップS73の処理を終えた場合、ステップS71の処理が再び行われる。第1温度T1の調整が必要でない、かつ第2温度T2の調整が必要でないと判定部52が判定した場合(ステップS72:NO)、ステップS71の処理が再び行われる。
以上説明したステップS71からステップS73の処理は、発電設備1000の運転段階で繰り返し実行される。
【0174】
(作用効果)
上記構成では、窒素酸化物濃度検出部45により検出された排ガスEG中の窒素酸化物濃度A1と、第1温度計43および第2温度計44のうち1つ以上により検出された排ガスEGの温度とに基づいて、熱回収器17に流入する排ガスEGの量が制御される。すなわち、熱回収器17内における熱媒体と熱交換する排ガスEGの量が制御される。これにより、集塵装置16に流入する排ガスEGの温度をより安定化させることができる。
【0175】
<第4実施形態>
以下、本開示の第4実施形態に係る発電設備1000について説明する。第4実施形態で説明する発電設備1000は、第1実施形態の発電設備1000に対して構成が一部異なる。第1実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。第4実施形態における発電系統300aの蒸気タービン35の構成が、第1実施形態で説明した蒸気タービン31に対して異なっている。また、第4実施形態における発電系統300aにおける各種ラインは、第1実施形態で説明した発電系統300の各種ラインが備える第1ライン30bを備えず、第2ライン30eに替えて、蒸気導入ライン13dを備えている。また、第4実施形態における発電系統300aにおける各種弁は、第1実施形態で説明した発電系統300の各種弁が備える第1弁13aおよび第2弁13bを備えていない。
【0176】
(発電系統)
図16に示すように、発電系統300aは、蒸気タービン35と、復水器32と、脱気器33と、給水ポンプ34と、各種ラインと、各種弁とを備えている。
【0177】
(蒸気タービン)
本実施形態における蒸気タービン35は、第1蒸気タービン31aと、第2蒸気タービン31bと、段間ライン31cと、圧力調整弁31dとを有している。
【0178】
第1蒸気タービン31aは、ボイラ12からの蒸気(主蒸気)によって駆動される回転機械である。本実施形態における第1蒸気タービン31aには、ボイラ12で発生した蒸気が主蒸気ライン30aを通じて導入される。主蒸気ライン30aは、ボイラ12の蒸気出口と、第1蒸気タービン31aの蒸気入口とを接続している。第2蒸気タービン31bは、第1蒸気タービン31aからの蒸気によって駆動され、この第2蒸気タービン31bに接続された発電機GENを回転させる回転機械である。
【0179】
段間ライン31cは、第1蒸気タービン31aの蒸気出口と、第2蒸気タービン31bの蒸気入口を接続している。すなわち、第1蒸気タービン31aで膨張仕事を終えた蒸気は、段間ライン31cを通じて第2蒸気タービン31bへ導かれる。以下、段間ライン31cを流れる蒸気を「排出蒸気」と称する。したがって、第2蒸気タービン31bには、段間ライン31cを通じて第1蒸気タービン31aからの排出蒸気が供給される。段間ライン31cと脱気器33とは、抽気蒸気ライン30dによって接続されている。
【0180】
圧力調整弁31dは、段間ライン31c中における段間ライン31cと抽気蒸気ライン30dの接続部分よりも第2蒸気タービン31b側に配置されている。ここでいう「段間ライン31c中」とは、段間ライン31cの内部ではなく、段間ライン31cの途中を意味する。圧力調整弁31dは、段間ライン31cを流れる排出蒸気の圧力を調整可能である。本実施形態における圧力調整弁31dの開度は、制御装置500bによって制御されている。具体的には、圧力調整弁31dは、開度を示す信号を制御装置500bから有線または無線通信を介して受信する。圧力調整弁31dは、当該信号が示す開度に基づいて段間ライン31cを流れる排出蒸気の圧力を調整する。
【0181】
(復水器)
復水器32は、第2蒸気タービン31bに接続されている。第2蒸気タービン31bで膨張仕事を終えた蒸気は、復水器32内に導かれ、冷却されることで凝縮して水(復水)となり、復水器32内に貯留される。
【0182】
ここで、抽気蒸気ライン30dには、二酸化炭素回収装置13における再生塔133のリボイラ133bに接続される蒸気導入ライン13dが接続されている。抽気蒸気ライン30dを流れる第1蒸気タービン31aからの排出蒸気は、蒸気タービン35の抽気蒸気として蒸気導入ライン13dを通じてリボイラ133bへ導入される。リボイラ133bに導入された抽気蒸気は、再生塔本体133a内で吸収液を加熱するための熱媒体として利用される。
【0183】
(センサ)
本実施形態におけるセンサ400は、カメラ41と、酸素濃度検出部42と、第1温度計43と、第2温度計44と、第3温度計46と、窒素酸化物濃度検出部45と、圧力計31eとを有している。
【0184】
圧力計31eは、段間ライン31cを流れる排出蒸気の圧力を検出可能である。圧力計31eは、段間ライン31c中における圧力調整弁31dよりも第1蒸気タービン31a側に配置されている。圧力計31eは、所定の時間間隔で排出蒸気の圧力を検出するとともに、検出結果を示す信号を制御装置500cへ有線または無線を介して送信する。
【0185】
(制御装置)
図17に示すように、本実施形態における制御装置500cは、検出部51cと、判定部52cと、制御部53cと、記憶部54とを有している。
【0186】
(検出部)
検出部51cは、圧力計31eからの送信される信号を受信することで、当該信号が示す段間ライン31cを流れる蒸気の圧力を取得する。検出部51cは、取得した圧力を判定部52cに送る。
【0187】
(判定部)
判定部52cは、検出部51cから圧力を受け付けた場合、当該圧力が所定の蒸気圧閾値範囲外にあるか、蒸気圧閾値範囲内にあるかを判定する。
【0188】
判定部52cは、圧力が蒸気圧閾値範囲外である場合に、「蒸気圧閾値範囲外である」と判定する。さらに、判定部52cは、圧力が蒸気圧閾値範囲の下限値よりも小さい場合、「低圧である」と判定する。また、判定部52cは、圧力が蒸気圧閾値範囲の上限値よりも大きい場合、「高圧である」と判定する。蒸気圧閾値範囲の下限値には、例えば、第1実施形態で説明した最低必要圧の圧力範囲の下限値以上の値が採用される。蒸気圧閾値範囲の上限値には、例えば、最低必要圧の圧力範囲の上限値以下の値が採用される。
【0189】
一方、判定部52cは、圧力が所定の閾値範囲内である場合に、「蒸気圧閾値範囲内である」と判定する。ここでいう蒸気圧閾値範囲内は、この蒸気圧閾値範囲の上限値および下限値を含む。なお、蒸気圧閾値範囲は、例えば、記憶部54によって予め記憶されている。
【0190】
(制御部)
制御部53cは、「蒸気圧範囲外である」と判定した場合、圧力調整弁31dの開度を制御する。
【0191】
具体的には、制御部53cは、判定部52cが「高圧である」と判定した場合、開度の上昇を示す信号を圧力調整弁31dに送信する。また、制御部53cは、判定部52cが「低圧である」と判定した場合、開度の低下を示す信号を圧力調整弁31dに送信する。これによって、第1蒸気タービン31aからの排出蒸気(抽気蒸気)の圧力が調整される。
【0192】
また、制御部53cは、「蒸気圧範囲内外である」と判定した場合、開度の維持を示す信号を圧力調整弁31dに送信する。
【0193】
(制御装置の動作)
続いて、制御装置500cの動作について説明する。
【0194】
以下、図18を参照して、状態情報および圧力に基づいて圧力調整弁31dを制御する制御装置500cの動作の一例について説明する。
【0195】
検出部51cは、状態情報および圧力を取得する(ステップS81)。次に、判定部52cは、取得された状態情報に基づいて、一部炉運転であるか全炉運転であるかを判定する(ステップS82)。
【0196】
一部炉運転であると判定部52cが判定した場合(ステップS82:YES)、判定部52cは、取得された圧力が蒸気圧範囲外であるか蒸気圧範囲内であるかを判定する(ステップS83)。全炉運転であると判定部52cが判定した場合(ステップS82:NO)、ステップS81の処理が再び行われる。
【0197】
蒸気圧範囲外であると判定部52cが判定した場合(ステップS83:YES)、制御部53cは、圧力調整弁31dの開度を制御する(ステップS84)。蒸気圧範囲内であると判定部52cが判定した場合(ステップS83:NO)、ステップS81の処理が再び行われる。
【0198】
次に、検出部51cは、圧力を取得する(ステップS85)。次に、判定部52cは、取得された圧力が蒸気圧範囲内であるか蒸気圧範囲外であるかを判定する(ステップS86)。蒸気圧範囲内であると判定部52cが判定した場合(ステップS86:YES)、ステップS81の処理が再び行われる。蒸気圧範囲外であると判定部52cが判定した場合(ステップS86:NO)、ステップS84の処理が再び行われる。
【0199】
以上説明したステップS81からステップS86の処理は、発電設備1000の運転段階で繰り返し実行される。
【0200】
(作用効果)
発電設備1000が一部炉運転である場合、発電設備1000が全炉運転である場合と比較して、段間ライン31cを流れる蒸気の圧力が低下する。すなわち、抽気蒸気の圧力が低下する。上記構成によれば、発電設備1000の運転状態が一部炉運転であって、圧力計31eが検出する圧力が所定の蒸気圧閾値範囲外である場合、制御部53cによって圧力調整弁31dの開度が制御される。これにより、段間ライン31cを流れる第1蒸気タービン31aからの蒸気の圧力を蒸気圧閾値範囲内に収めることができる。つまり、段間ライン31cに繋がる抽気蒸気ライン30dから蒸気導入ライン13dを通じてリボイラ133bに供給される蒸気の圧力を一定の範囲内に収めることができる。その結果、発電設備1000の運転状態によらず、リボイラ133bに供給される蒸気の圧力を安定化させることができ、再生塔133で吸収液を安定的に再生させることができる。
【0201】
(その他の実施形態)
以上、本開示の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成は各実施形態の構成に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内での構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。
【0202】
ここで、熱回収器17の有無、ボイラ出口ガス温度(℃)、主蒸気の温度(℃)、抽気蒸気の圧力(MPaG)、および主蒸気の圧力(MPaG)がそれぞれ互いに対応する表を図19に示す。本例では、6パターンを一例として表に示している。熱回収器17の有無は、排ガス流路14中に熱回収器17が配置されるか否かを意味する。ボイラ出口ガス温度は、ボイラ12から流出したエコノマイザ15に流入する前の排ガスEGの温度を意味する。主蒸気は、主蒸気ライン30aを流れる蒸気の温度を意味する。抽気蒸気は、抽気蒸気ライン30dを流れる蒸気を意味する。表に示すように、2種類のボイラ出口ガス温度であるTaおよびTbは、互いに異なる値であり、Ta>Tbの関係が成立する。TaおよびTbが示す温度は、例えば、100~200℃の範囲にある。3種類の主蒸気の温度であるTc、Td、およびTeは、互いに異なる値であり、Tc<Td<Teが成立する。Tc、Td、およびTeが示す温度は、例えば、350~550℃の範囲にある。3種類の主蒸気の圧力であるP1、P2、およびP3は、互いに異なる値であり、P1<P2<P3が成立する。P1、P2、およびP3が示す圧力は、例えば、2.0~12.0MPaGの範囲にある。2種類の抽気蒸気の圧力であるP4およびP5は、互いに異なる値であり、P4>P5が成立する。P4およびP5が示す圧力は、0.50~2.0MPaGの範囲にある。
【0203】
各パターンに対応して示されている2種類の棒グラフは、発電端出力と、送電端出力を示している。発電端出力は、蒸気タービン31,35に接続された発電機GENによって発電された電力(出力)を意味している。送電端出力は、発電設備1000から電力系統に最終的に売電された電力(出力)を意味している。グラフより、熱回収器17が排ガス流路14中に配置されることで、発電端出力および送電端出力がともに向上していることが分かる。また、回収器を有したボイラ出口ガス温度、主蒸気の温度、主蒸気の圧力が高いほど、発電端出力および送電端出力がともに向上していることが分かる。また、抽気蒸気の圧力が低いほど、発電端出力および送電端出力がともに向上していることが分かる。
【0204】
なお、図20は、本実施形態に係るコンピュータ1100の構成を示すハードウェア構成図である。コンピュータ1100は、プロセッサ1110、メインメモリ1120、ストレージ1130、およびインターフェース1140を備える。
【0205】
上述の制御装置500,500a,500b,500cは、コンピュータ1100に実装される。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でストレージ1130に記憶されている。プロセッサ1110は、プログラムをストレージ1130から読み出してメインメモリ1120に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、プロセッサ1110は、プログラムに従って、上述した各記憶部54に対応する記憶領域をメインメモリ1120に確保する。
【0206】
プログラムは、コンピュータ1100に発揮させる機能の一部を実現するためのものであってもよい。例えば、プログラムは、ストレージ1130に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせ、または他の装置に実装された他のプログラムとの組み合わせによって機能を発揮させるものであってもよい。また、コンピュータ1100は、上記構成に加えて、または上記構成に代えてPLD(Programmable Logic Device)などのカスタムLSI(Large Scale Integrated Circuit)を備えてもよい。PLDの例としては、PAL(Programmable Array Logic)、GAL(Generic Array Logic)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)が挙げられる。この場合、プロセッサ1110によって実現される機能の一部または全部が当該集積回路によって実現されてよい。
【0207】
ストレージ1130の例としては、磁気ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリ等が挙げられる。ストレージ1130は、コンピュータ1100のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インターフェース1140または通信回線を介してコンピュータ1100に接続される外部メディアであってもよい。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ1100に配信される場合、配信を受けたコンピュータ1100が当該プログラムをメインメモリ1120に展開し、上記処理を実行してもよい。上記実施形態では、ストレージ1130は、一時的でない有形の記憶媒体である。
【0208】
また、当該プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。
さらに、当該プログラムは、前述した機能をストレージ1130に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0209】
また、実施形態では、制御装置500が調整装置を制御することで空気比が1.1以上かつ1.25以下となるように制御することによって焼却炉1からの排ガスEG中の窒素酸化物濃度A1が抑制されている。上記実施形態では、この構成に替えて、焼却炉1における火炉7内を流れる排ガスEGへアンモニア水(NH)や尿素水(CHO)などの脱硝材を供給し、排ガスEGを脱硝することによって、焼却炉1からの排ガスEG中の窒素酸化物濃度A1を抑制してもよい。また、これらの構成を組み合わせてもよい。
【0210】
また、上記実施形態では、発電系統300は、上述したボイラ給水弁を更に備えてもよい。このボイラ給水弁は、ボイラ給水ライン30f中に配置されている。この場合、ボイラ給水弁は、ボイラ給水ライン30fを流れる水の流量を調整可能な流量調整弁である。ボイラ給水弁は、開度が制御されることで、ボイラ給水ライン30fを流れる水の流量を調整する。ボイラ給水弁の開度は、制御装置500によって制御されている。具体的には、ボイラ給水弁は、開度を示す信号を制御装置500から有線または無線通信を介して受信し、受信した信号に基づいて開度を調整する。
【0211】
ボイラ給水弁は、制御装置500によって制御されることでボイラ給水ライン30fを流れる水の流量を調整可能である。ボイラ給水弁の開度が調整されることで、ボイラ12に流入する熱媒体としての水の流量が調整される。
【0212】
この際、制御装置500における判定部52,52cが「第1温度T1が高い」、または、「第2温度T2が高い」と判定した場合、制御装置500における制御部53,53a,53b,53cが開度の上昇を示す信号をボイラ給水弁に送信し、判定部52,52cが「第1温度T1が低い」と判定した場合、または、「第2温度T2が低い」と判定した場合、制御部53,53a,53b,53cが開度の低下を示す信号をボイラ給水弁に送信する構成であってもよい。またこの際、制御部53,53a,53b,53cは、判定部52,52cが「第1温度T1の調整が必要でない」と判定し、「第2温度T2の調整が必要でない」と判定した場合、ボイラ給水弁に開度の維持を示す信号を送信する。
【0213】
したがって、ボイラ12へ導入される熱媒体の量の制御のされ方は上記実施形態で説明された構成に限定されることはない。
【0214】
また、各実施形態で説明される発電設備1000の構成は、それぞれ独立した構成に留まることはなく、各実施形態に記載の構成要素を適宜組み合わせて発電設備1000を構成してもよい。
【0215】
また、実施形態では、発電設備1000におけるゴミ処理系統100における焼却炉1がストーカ式焼却炉とされているが、ストーカ式焼却炉に限定されることはない。ゴミ処理系統100は、例えば、キルンストーカ炉、バイオマス流動床ボイラ、汚泥焼却炉等であってもよい。
【0216】
<付記>
各実施形態に記載の発電設備、排ガス処理システム、および排ガス処理方法は、例えば以下のように把握される。
【0217】
(1)第1の態様に係る発電設備1000は、被焼却物Wを焼却させて発電する発電設備1000であって、前記被焼却物Wが焼却される焼却炉1と、前記焼却炉1で生成された排ガスEGが供給されるボイラ12と、前記ボイラを通過した前記排ガスEGが流入する二酸化炭素回収装置13と、前記ボイラと前記二酸化炭素回収装置13との間に設けられた排ガス流路14と、前記排ガス流路14を流れる前記排ガスEGの流量を目的の流量に調整可能、かつ、前記排ガスEGの温度を目的の温度に調整可能な調整装置と、前記発電設備1000に設けられたセンサ400と、前記センサ400の検出結果に基づき前記調整装置を制御する制御装置500,500a,500b,500cと、を備える。
【0218】
これにより、焼却炉1からの排ガスEGの流量および温度が、目的の流量および目的の温度に調整されない場合と比較して、排ガス流路14を流れる排ガスEGの状態を安定させることができる。したがって、例えば、排ガス流路14を流れる排ガスEGを利用する外部の装置等が排ガスEGの熱を円滑に利用することができる。また、排ガスEGの状態が安定化されるため、二酸化炭素回収装置13における排ガスEGから二酸化炭素を安定的に回収することができる。
【0219】
(2)第2の態様に係る発電設備1000は、(1)の発電設備1000であって、前記調整装置は、前記焼却炉1内に前記被焼却物Wおよび燃焼空気を供給し、前記センサ400は、前記焼却炉1内における前記被焼却物Wの燃焼状態を示す熱画像情報を取得可能なカメラ41を有し、前記制御装置500,500a,500b,500cは、前記熱画像情報に基づいて前記調整装置を制御することで、前記焼却炉1内に供給される前記被焼却物Wの供給状態と、前記焼却炉1内に供給される燃焼空気の供給状態とのうち、1つ以上を制御してもよい。
【0220】
これにより、排ガスEGの流量および温度をより高精度に目的の流量および目的の温度にすることができる。
【0221】
(3)第3の態様に係る発電設備1000は、(2)の発電設備1000であって、前記センサ400は、前記排ガスEGの酸素濃度O1を検出可能な酸素濃度検出部42を有し、前記制御装置500,500a,500b,500cは、前記酸素濃度検出部42の検出結果に基づいて前記調整装置を制御することで、前記酸素濃度O1から求められる空気比が1.1以上かつ1.25以下となるように前記焼却炉1内に供給される前記燃焼空気の量を制御してもよい。
【0222】
これにより、例えば、空気比が1.3以上に維持される場合と比較して、排ガスEG中に含まれる窒素酸化物濃度A1を抑制することができる。
【0223】
(4)第4の態様に係る発電設備1000は、(1)から(3)のうちいずれかの発電設備1000であって、前記排ガス流路14中に配置された集塵装置16を備え、前記ボイラ12は、前記排ガスEGと熱媒体とを熱交換可能であり、前記センサ400は、前記集塵装置16に流入する前記排ガスEGの第1温度T1を検出可能な第1温度計43と、前記集塵装置16から流出した前記排ガスEGの第2温度T2を検出可能な第2温度計44とのうち1つ以上と、前記排ガス流路14を流れる前記排ガスEG中の窒素酸化物濃度A1を検出可能な窒素酸化物濃度検出部45と、を有し、前記制御装置500,500a,500b,500cは、前記窒素酸化物濃度A1と、前記第1温度T1および前記第2温度T2のうち1つ以上とが関連付いた対応関係情報に基づいて、前記ボイラ12に供給される前記熱媒体の量を制御してもよい。
【0224】
(5)第5の態様に係る発電設備1000は、(1)から(3)のうちいずれかの発電設備1000であって、前記排ガス流路14中に配置された集塵装置16を備え、前記排ガス流路14中に配置された集塵装置16を備え、前記調整装置は、前記集塵装置16よりも上流側における前記排ガス流路14中に配置され、前記排ガスEGと熱媒体とを熱交換可能なエコノマイザ15を有し、前記センサ400は、前記集塵装置16に流入する前記排ガスEGの第1温度T1を検出可能な第1温度計43と、前記集塵装置16から流出した前記排ガスEGの第2温度T2を検出可能な第2温度計44とのうち1つ以上と、前記排ガス流路14を流れる前記排ガスEG中の窒素酸化物濃度A1を検出可能な窒素酸化物濃度検出部45と、を有し、前記制御装置500,500a,500b,500cは、前記窒素酸化物濃度A1と、前記第1温度T1および前記第2温度T2のうち1つ以上とが関連付いた対応関係情報に基づいて、前記エコノマイザ15に供給される前記熱媒体の量を制御してもよい。
【0225】
これにより、集塵装置16を通過する排ガスEGの温度を窒素酸化物濃度A1に基づいた温度に調整することができる。したがって、集塵装置16における排ガスEGの脱硝性能をより安定させることができる。
【0226】
(6)第6の態様に係る発電設備1000は、(1)から(5)のうちいずれかの発電設備1000であって、前記排ガス流路14中に配置された集塵装置16を備え、前記調整装置は、前記集塵装置16よりも下流側における前記排ガス流路14中に配置され、前記排ガスEGと熱媒体とを熱交換可能な熱回収器17を有し、前記センサ400は、前記熱回収器17から流出した前記排ガスEGの第3温度T3を検出可能な第3温度計46を有し、前記制御装置500,500a,500cは、前記第3温度T3に基づいて、前記熱回収器17に供給される前記熱媒体の量を制御してもよい。
【0227】
これにより、排ガス流路14内で熱回収器17から二酸化炭素回収装置13へ向かう排ガスEGの温度をより安定化させることができる。
【0228】
(7)第7の態様に係る発電設備1000は、(1)から(5)のうちいずれかの発電設備1000であって、前記排ガス流路14中に配置された集塵装置16を備え、前記調整装置は、前記集塵装置16よりも下流側における前記排ガス流路14中に配置され、前記排ガスEGと熱媒体とを熱交換可能な熱回収器17と、前記集塵装置16よりも上流側における前記排ガス流路14中に配置され、前記排ガスEGと熱媒体とを熱交換可能なエコノマイザ15と、一端20aが前記ボイラ12と前記エコノマイザ15との間の前記排ガス流路14に接続され、他端20bが前記エコノマイザ15と前記集塵装置16との間の前記排ガス流路14に接続されたバイパスライン20と、前記バイパスライン20中に配置され、前記バイパスライン20を流れる前記排ガスEGの流量を調整可能な流量調整器21と、を有し、前記センサ400は、前記熱回収器17よりも下流側における前記排ガス流路14を流れる前記排ガスEGの第3温度T3を検出可能な第3温度計46を有し、前記制御装置500aは、前記第3温度T3に基づいて、前記流量調整器21の開度を制御してもよい。
【0229】
これにより、二酸化炭素回収装置13に流入する排ガスEGの温度をより安定化させることができる。
【0230】
(8)第8の態様に係る発電設備1000は、(1)から(5)のうちいずれかの発電設備1000であって、前記排ガス流路14中に配置された集塵装置16を備え、前記調整装置は、前記集塵装置16よりも上流側における前記排ガス流路14中に配置され、前記排ガスEGと熱媒体とを熱交換可能なエコノマイザ15と、前記エコノマイザ15と前記集塵装置16との間における前記排ガス流路14中に配置され、前記排ガスEGと熱媒体とを熱交換可能な熱回収器17と、一端20aが前記エコノマイザ15と前記熱回収器17との間の前記排ガス流路14に接続され、他端20bが前記熱回収器17と前記集塵装置16との間の前記排ガス流路14に接続されたバイパスライン20と、前記バイパスライン20中に配置され、前記バイパスライン20を流れる前記排ガスEGの流量を調整可能な流量調整器21と、を有し、前記センサ400は、前記集塵装置16に流入する前記排ガスEGの第1温度T1を検出可能な第1温度計43と、前記集塵装置16から流出した前記排ガスEGの第2温度T2を検出可能な第2温度計44とのうち1つ以上と、前記集塵装置16よりも下流側における前記排ガス流路14を流れる前記排ガスEG中の窒素酸化物濃度A1を検出可能な窒素酸化物濃度検出部45と、を有し、前記制御装置500bは、前記窒素酸化物濃度A1と、前記第1温度T1および前記第2温度T2のうち1つ以上とが関連付いた対応関係情報に基づいて、前記流量調整器21の開度を制御してもよい。
【0231】
これにより、集塵装置16に流入する排ガスEGの温度をより安定化させることができる。
【0232】
(9)第9の態様に係る発電設備1000は、(1)から(8)のうちいずれかの発電設備1000であって、前記排ガス流路14中に配置された集塵装置16と、前記ボイラからの主蒸気が供給されることで駆動される蒸気タービン31,35と、前記蒸気タービン31,35からの排出蒸気が流入する復水器32と、前記復水器32からの水を前記調整装置に熱媒体として導くことができる接続ラインと、前記蒸気タービン31,35からの抽気蒸気を利用して、前記調整装置からの水から溶存ガスを脱気する脱気器33と、脱気された前記水を前記ボイラに導くことができるボイラ給水ライン30fと、を備え、前記調整装置は、前記集塵装置16よりも下流側における前記排ガス流路14中に配置され、前記排ガスEGと前記熱媒体とを熱交換可能な熱回収器17を有してもよい。
【0233】
これにより、調整装置は、復水器32以外の装置から熱媒体を受け取る必要がない。したがって、調整装置に供給するための熱媒体を生成する装置を別途設ける必要がない。
【0234】
(10)第10の態様に係る発電設備1000は、(9)の発電設備1000であって、前記ボイラと前記蒸気タービン31とを接続し、前記主蒸気が流れる主蒸気ライン30aから、前記主蒸気を前記二酸化炭素回収装置13へ導くことができる第1ライン30bと、前記第1ライン30b中に配置された第1弁13aと、前記蒸気タービン31と前記脱気器33とを接続し、前記抽気蒸気が流れる抽気蒸気ライン30dから、前記抽気蒸気を前記二酸化炭素回収装置13へ導くことができる第2ライン30eと、前記第2ライン30e中に配置された第2弁13bと、を備え、前記二酸化炭素回収装置13は、前記排ガスEGを冷却する冷却塔131と、冷却された前記排ガスEGに含まれる二酸化炭素を吸収液に吸収させる吸収塔132と、前記第1ライン30bおよび前記第2ライン30eが接続されることで前記主蒸気と前記抽気蒸気とが供給されるリボイラ133bによって、前記二酸化炭素を吸収した前記吸収液を加熱し、前記吸収液から前記二酸化炭素を分離する再生塔133と、を有し、前記制御装置500,500a,500bは、前記発電設備1000の運転状態に基づいて、前記第1弁13aと前記第2弁13bとのうち、一方を閉止状態に制御してもよい。
【0235】
これにより、発電設備1000の運転状態に応じて、蒸気タービン31に供給される蒸気、および蒸気タービン31から抽気される蒸気を使い分けることができ、その結果、蒸気タービン31による発電量を増加させることができる。
【0236】
(11)第11の態様に係る発電設備1000は、(9)の発電設備1000であって、前記蒸気タービン35と前記脱気器33とを接続し、前記抽気蒸気が流れる抽気蒸気ライン30dから、前記抽気蒸気を前記二酸化炭素回収装置13へ導くことができる蒸気導入ライン13dを備え、前記蒸気タービン35は、前記主蒸気が供給される第1蒸気タービン31aと、前記第1蒸気タービン31aからの排出蒸気が供給される第2蒸気タービン31bと、前記第1蒸気タービン31aと前記第2蒸気タービン31bとを接続し、前記第1蒸気タービン31aからの前記排出蒸気が流れる段間ライン31cと、前記段間ライン31c中に配置され、前記段間ライン31cを流れる前記排出蒸気の圧力を調整可能な圧力調整弁31dと、を有し、前記二酸化炭素回収装置13は、前記排ガスEGを冷却する冷却塔131と、冷却された前記排ガスEGに含まれる二酸化炭素を吸収液に吸収させる吸収塔132と、前記蒸気導入ライン13dが接続されることで前記排出蒸気が前記抽気蒸気として供給されるリボイラ133bによって、前記二酸化炭素を吸収した前記吸収液を加熱し、前記吸収液から前記二酸化炭素を分離する再生塔133と、を有し、前記制御装置500cは、前記発電設備1000の運転状態に基づいて、前記圧力調整弁31dの開度を制御してもよい。
【0237】
これにより、発電設備1000の運転状態に応じて、段間ライン31cに繋がる抽気蒸気ライン30dから蒸気導入ライン13dを通じてリボイラ133bに供給される蒸気の圧力を調整することができる。
【0238】
(12)第12の態様に係る排ガス処理システムは、排ガスEGが生じる設備の一部として設けられる排ガス処理システムであって、前記設備で生じた前記排ガスEGが流れる排ガス流路14と、前記排ガス流路14を流れた前記排ガスEGが流入する二酸化炭素回収装置13と、前記排ガス流路14を流れる前記排ガスEGの流量を目的の流量に調整可能、かつ、前記排ガス流路14を流れる前記排ガスEGの温度を目的の温度に調整可能な調整装置と、前記設備に設けられたセンサ400の検出結果に基づき前記調整装置を制御する制御装置500,500a,500b,500cと、を備える。
【0239】
(13)第13の態様に係る排ガス処理方法は、排ガスEGが生じる設備で用いられる排ガス処理方法であって、前記設備は、前記排ガスEGが流れる排ガス流路14と、前記排ガス流路14を流れた前記排ガスEGが流入する二酸化炭素回収装置13と、前記排ガス流路14を流れる前記排ガスEGの流量を目的の流量に調整可能、かつ、前記排ガス流路14を流れる前記排ガスEGの温度を目的の温度に調整可能な調整装置と、を備え、前記排ガス処理方法は、前記設備に設けられたセンサ400の検出結果に基づき前記調整装置を制御することを含む。
【符号の説明】
【0240】
1…焼却炉 2…炉本体 3…燃料供給機構 4…ストーカ 4a…ストーカ面 5…風箱 5a…乾燥段 5b…燃焼段 5c…後燃焼段 6…排出シュート 7…火炉 8…押込送風機 9…1次空気ライン 10…空気予熱器 11…2次空気ライン 12…ボイラ 13…二酸化炭素回収装置 13a…第1弁 13b…第2弁 13c…第3弁 13d…蒸気導入ライン 14…排ガス流路 15…エコノマイザ 16…集塵装置 17…熱回収器 17a…熱媒体弁 18…煙突 18a…ゴミピット 19…出口流路 19a…灰押出装置 19b…灰ピット 20…バイパスライン 20a…一端 20b…他端 21…流量調整器 30…ホッパ 30a…主蒸気ライン 30b…第1ライン 30c…第1接続ライン 30d…抽気蒸気ライン 30e…第2ライン 30f…ボイラ給水ライン 30g…第2接続ライン 30h…給水バイパスライン 30i…第3接続ライン 30j…第4接続ライン 30k…凝縮水ライン 31,35…蒸気タービン 31a…第1蒸気タービン 31b…第2蒸気タービン 31c…段間ライン 31d…圧力調整弁 31e…圧力計 32…復水器 33…脱気器 34a…第1給水ポンプ 34b…第2給水ポンプ 41…カメラ 42…酸素濃度検出部 43…第1温度計 44…第2温度計 45…窒素酸化物濃度検出部 46…第3温度計 51,51c…検出部 52,52c…判定部 53,53a,53b,53c…制御部 54…記憶部 81…第1押込送風機 82…第2押込送風機 90…1次空気ダンパ 100…ゴミ処理系統 110…2次空気ダンパ 131…冷却塔 132…吸収塔 133…再生塔 133a…再生塔本体 133b…リボイラ 180…ゴミピット本体 181…プラットフォーム 182…クレーン 183…レール 184…ガーダ 185…トロリ 186…ワイヤ 187…巻上機 188…グラップル 189…クレーン制御装置 190…押出装置本体 200,200a,200b…排ガス処理系統 300,300a…発電系統 301…入口部 302…出口部 302a…床面 310…フィーダ 311…上面 312…押出面 400…センサ 500,500a,500b,500c…制御装置 1000…発電設備 1100…コンピュータ 1110…プロセッサ 1120…メインメモリ 1130…ストレージ 1140…インターフェース Da…搬送方向 Dal…一方側 Dar…他方側 Dv…鉛直方向 Dvd…上方側 Dvu…下方側 Dw…炉幅方向 EG…排ガス F…輝炎 GEN…発電機 O1…酸素濃度 R…貯留空間 S1…第1制御工程 S2…第2制御工程 T…ゴミ収集車 T1…第1温度 T2…第2温度 T3…第3温度 A1…窒素酸化物濃度 V…処理空間 W…被焼却物,ゴミ
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