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特開2023-168092排ガス処理システム、これを備えている発電設備、および排ガス処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023168092
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】排ガス処理システム、これを備えている発電設備、および排ガス処理方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/62 20060101AFI20231116BHJP
   F23J 15/00 20060101ALI20231116BHJP
   F23J 15/06 20060101ALI20231116BHJP
   B01D 53/50 20060101ALI20231116BHJP
   B01D 53/64 20060101ALI20231116BHJP
   B01D 53/78 20060101ALI20231116BHJP
   B01D 53/82 20060101ALI20231116BHJP
   B01D 53/96 20060101ALI20231116BHJP
   B01D 53/14 20060101ALI20231116BHJP
   B01D 53/86 20060101ALI20231116BHJP
   B01D 53/83 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
B01D53/62
F23J15/00 G
F23J15/00 H
F23J15/00 A
F23J15/00 B
F23J15/00 J
F23J15/06
F23J15/00 Z
B01D53/50 ZAB
B01D53/64 100
B01D53/78
B01D53/82
B01D53/96
B01D53/14 220
B01D53/86 222
B01D53/83
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022079740
(22)【出願日】2022-05-13
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 琢哉
(72)【発明者】
【氏名】辻内 達也
(72)【発明者】
【氏名】平田 琢也
(72)【発明者】
【氏名】勝木 将利
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 匠
(72)【発明者】
【氏名】今田 潤司
(72)【発明者】
【氏名】進藤 義剛
【テーマコード(参考)】
3K070
4D002
4D020
4D148
【Fターム(参考)】
3K070DA02
3K070DA03
3K070DA13
3K070DA22
3K070DA25
3K070DA32
3K070DA48
3K070DA49
3K070DA58
3K070DA60
3K070DA75
4D002AA02
4D002AA09
4D002AA12
4D002AA19
4D002AA29
4D002AC04
4D002BA02
4D002BA04
4D002BA06
4D002BA13
4D002BA14
4D002CA07
4D002CA13
4D002DA05
4D002DA07
4D002DA12
4D002DA31
4D002DA41
4D002EA02
4D002EA05
4D002EA08
4D002GA02
4D002GA03
4D002GB02
4D002GB03
4D002GB20
4D020AA03
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4D020BC01
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4D020DA02
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4D148AA06
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4D148CD01
4D148CD02
4D148CD03
4D148DA01
4D148DA02
4D148DA05
4D148DA06
4D148DA07
(57)【要約】
【課題】排ガスを処理する過程で使用される動力を削減しつつ、二酸化炭素回収装置での吸収液の消費量の増大を抑制することができる排ガス処理システム、これを備えている発電設備、および排ガス処理方法を提供する。
【解決手段】排ガス処理システムは、脱硝触媒が担持された脱硝層を含み、排ガスが通過する集塵設備と、排ガスの流れ方向で集塵設備よりも下流側に位置する二酸化炭素回収装置と、を備え、排ガスは、集塵設備の出口ガス温度以下の状態を維持したまま、集塵設備から二酸化炭素回収装置に供給される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱硝触媒が担持された脱硝層を含み、排ガスが通過する集塵設備と、
前記排ガスの流れ方向で前記集塵設備よりも下流側に位置する二酸化炭素回収装置と、
を備え、
前記排ガスは、前記集塵設備の出口ガス温度以下の状態を維持したまま、前記集塵設備から前記二酸化炭素回収装置に供給される
排ガス処理システム。
【請求項2】
前記排ガスの流れ方向で前記集塵設備よりも上流側に位置し、前記排ガスと熱媒体とを熱交換させる第1熱回収器と、
前記第1熱回収器と前記集塵設備との間を流れる前記排ガスの温度を検出可能な第1温度計と、前記集塵設備と前記二酸化炭素回収装置との間を流れる前記排ガスの温度を検出可能な第2温度計とのうち1つ以上を有するセンサと、
前記第1温度計と前記第2温度計とのうち1つ以上の検出結果とガス温度閾値とに基づき、前記第1熱回収器に供給される前記熱媒体の量を制御する制御装置と、
を備えた請求項1に記載の排ガス処理システム。
【請求項3】
前記排ガスの流れ方向で前記集塵設備よりも上流側に位置し、前記排ガスと熱媒体とを熱交換させる第1熱回収器と、
前記第1熱回収器に流入する前記排ガスの少なくとも一部を、前記第1熱回収器と前記集塵設備との間を流れる前記排ガスへ前記第1熱回収器を経由させずに合流させることができるバイパスラインと、
前記バイパスラインに配置され、前記バイパスラインを流れる前記排ガスの流量を調整可能な流量調整器と、
前記第1熱回収器と前記集塵設備との間を流れる前記排ガスの温度を検出可能な第1温度計と、前記集塵設備と前記二酸化炭素回収装置との間を流れる前記排ガスの温度を検出可能な第2温度計とのうち、1つ以上を有するセンサと、
前記第1温度計と前記第2温度計とのうち1つ以上の検出結果とガス温度閾値とに基づき、前記流量調整器の開度を制御する制御装置と、
を備えた請求項1に記載の排ガス処理システム。
【請求項4】
前記センサは、前記排ガス中の窒素酸化物濃度を検出可能な窒素酸化物濃度検出部と、前記排ガス中の硫黄酸化物濃度を検出可能な硫黄酸化物濃度検出部とのうち、1つ以上を有し、
前記制御装置は、窒素酸化物濃度検出部と硫黄酸化物濃度検出部とのうち1つ以上の検出結果に基づき、前記ガス温度閾値を変更する
請求項2または請求項3に記載の排ガス処理システム。
【請求項5】
前記排ガスの流れ方向で前記集塵設備と前記二酸化炭素回収装置との間に位置し、前記排ガスと熱媒体とを熱交換させる第2熱回収器を備えた
請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載の排ガス処理システム。
【請求項6】
前記第2熱回収器と前記二酸化炭素回収装置との間を流れる前記排ガスの温度を検出可能な第3温度計を有するセンサと、
前記センサの検出結果とガス温度閾値とに基づき、前記第2熱回収器に供給される前記熱媒体の量を制御する制御装置と、
を備えた請求項5に記載の排ガス処理システム。
【請求項7】
前記排ガスの流れ方向で前記集塵設備よりも上流側を流れる前記排ガスに還元剤を供給可能な還元剤供給部を備えた
請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載の排ガス処理システム。
【請求項8】
前記排ガスの流れ方向で前記集塵設備よりも上流側を流れる前記排ガスに活性炭を供給可能な活性炭供給部を備えた
請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載の排ガス処理システム。
【請求項9】
前記排ガスの流れ方向で前記集塵設備よりも上流側を流れる前記排ガスにアルカリ性粉体を供給可能なアルカリ性粉体供給部を備えた
請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載の排ガス処理システム。
【請求項10】
前記二酸化炭素回収装置内にアルカリ剤を供給可能なアルカリ剤供給部を備え、
前記二酸化炭素回収装置は、
前記排ガスを冷却しつつ、前記アルカリ剤供給部からの前記アルカリ剤を冷却塔循環水に添加する冷却塔と、
冷却された前記排ガスに含まれる二酸化炭素を吸収液に吸収させる吸収塔と、
熱媒体が供給されるリボイラによって前記二酸化炭素を吸収した前記吸収液を加熱し、前記吸収液から前記二酸化炭素を分離する再生塔と、
を有した
請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載の排ガス処理システム。
【請求項11】
被焼却物を焼却させて発電する発電設備であって、
前記被焼却物が焼却される焼却炉と、
前記排ガスの流れ方向で前記集塵設備よりも上流側に位置し、前記焼却炉で生成された前記排ガスが供給されるボイラと、
前記ボイラを通過した前記排ガスが導入される請求項7に記載の排ガス処理システムと、
を備え、
前記排ガス処理システムは、前記二酸化炭素回収装置と前記ボイラとを接続する還元剤導入ラインを備え、
前記二酸化炭素回収装置は、
前記排ガスを冷却する冷却塔と、
冷却された前記排ガスに含まれる二酸化炭素を吸収液に吸収させる吸収塔と、
熱媒体が供給されるリボイラによって前記二酸化炭素を吸収した前記吸収液を加熱し、前記吸収液から前記二酸化炭素を分離する再生塔と、
前記再生塔からの前記吸収液を、不純物が濃縮された第1液と、不純物が分離された第2液とに分けるリクレーマと、
を有し、
前記還元剤導入ラインは、前記還元剤供給部として、前記リクレーマからの前記第1液を前記還元剤として前記焼却炉内に供給する
発電設備。
【請求項12】
排ガスが生じる設備で用いられる排ガス処理方法であって、
前記設備は、
脱硝触媒が担持された脱硝層を含み、排ガスが通過する集塵設備と、
前記排ガスの流れ方向で前記集塵設備よりも下流側に位置する二酸化炭素回収装置と、
を備え、
前記排ガス処理方法は、前記集塵設備の出口ガス温度以下の状態を維持したまま、前記集塵設備から前記二酸化炭素回収装置に供給することを含む
排ガス処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、排ガス処理システム、これを備えている発電設備、および排ガス処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、廃棄物焼却プラント等の設備に導入される従来の排ガス処理システムが開示されている。排ガス処理システムは、焼却炉からの排ガスから熱を回収するボイラ、排ガスを冷却する減温塔、排ガスの除塵を行う除塵器、排ガスを再加熱する再加熱器、脱硝触媒が設置されて再加熱器により再加熱された排ガスから脱硝を行う触媒反応塔、および煙突を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-126674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような排ガス処理システムには、排ガスに含まれる二酸化炭素を回収可能な二酸化炭素回収装置が導入される場合がある。二酸化炭素回収装置には、例えば、排ガス処理システムが導入される設備内の動力が使用される。このため、システム中の排ガスを処理する過程で使用される動力を削減したいという要求がある。また、排ガスの処理が不十分である場合、排ガス中に含まれる不純物の量が増加し、その結果、二酸化炭素回収装置で用いられる吸収液の消費量が増大する場合がある。
【0005】
本開示は上記課題を解決するためになされたものであって、排ガスを処理する過程で使用される動力を削減しつつ、二酸化炭素回収装置での吸収液の消費量の増大を抑制することができる排ガス処理システム、これを備えている発電設備、および排ガス処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る排ガス処理システムは、脱硝触媒が担持された脱硝層を含み、排ガスが通過する集塵設備と、前記排ガスの流れ方向で前記集塵設備よりも下流側に位置する二酸化炭素回収装置と、を備え、前記排ガスは、前記集塵設備の出口ガス温度以下の状態を維持したまま、前記集塵設備から前記二酸化炭素回収装置に供給される。
【0007】
本開示に係る発電設備は、被焼却物を焼却させて発電する発電設備であって、前記被焼却物が焼却される焼却炉と、前記排ガスの流れ方向で前記集塵設備よりも上流側に位置し、前記焼却炉で生成された前記排ガスが供給されるボイラと、前記ボイラを通過した前記排ガスが導入される上記の排ガス処理システムと、を備え、前記排ガス処理システムは、前記二酸化炭素回収装置と前記ボイラとを接続する還元剤導入ラインを備え、前記二酸化炭素回収装置は、前記排ガスを冷却する冷却塔と、冷却された前記排ガスに含まれる二酸化炭素を吸収液に吸収させる吸収塔と、熱媒体が供給されるリボイラによって前記二酸化炭素を吸収した前記吸収液を加熱し、前記吸収液から前記二酸化炭素を分離する再生塔と、前記再生塔からの前記吸収液を、不純物が濃縮された第1液と、不純物が分離された第2液とに分けるリクレーマと、を有し、前記還元剤導入ラインは、前記還元剤供給部として、前記リクレーマからの前記第1液を前記還元剤として前記焼却炉内に供給する。
【0008】
本開示に係る排ガス処理方法は、排ガスが生じる設備で用いられる排ガス処理方法であって、前記設備は、脱硝触媒が担持された脱硝層を含み、排ガスが通過する集塵設備と、前記排ガスの流れ方向で前記集塵設備よりも下流側に位置する二酸化炭素回収装置と、を備え、前記排ガス処理方法は、前記集塵設備の出口ガス温度以下の状態を維持したまま、前記集塵設備から前記二酸化炭素回収装置に供給することを含む。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、排ガスを処理する過程で使用される動力を削減しつつ、二酸化炭素回収装置での吸収液の消費量の増大を抑制することができる排ガス処理システム、これを備えている発電設備、および排ガス処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の第1実施形態に係る発電設備の構成を示す図である。
図2】排ガス流路を流れる排ガスの温度変化を模式的に示す図である。
図3】本開示の第1実施形態に係る制御装置の機能ブロック図である。
図4】本開示の第1実施形態に係る制御装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図5】本開示の第1実施形態に係る制御装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図6】本開示の第2実施形態に係る発電設備の構成の一部を示す図である。
図7】本開示の第2実施形態に係る制御装置の機能ブロック図である。
図8】本開示の第2実施形態に係る制御装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図9】本開示の第3実施形態に係る発電設備の構成を示す図である。
図10】本開示の実施形態に係るコンピュータの構成を示すハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本開示による排ガス処理システム、発電設備、および排ガス処理方法を実施するための形態を説明する。
【0012】
<第1実施形態>
発電設備は、例えば、都市ゴミ、産業廃棄物、またはバイオマス等を被焼却物として焼却処理するとともに、被焼却物を焼却処理することで発生する排ガスの熱を利用して廃棄物発電を行うプラントである。図1に示すように、発電設備1000は、ゴミ処理系統200と、排ガス処理システム100と、発電系統300と、センサ400と、制御装置500とを備えている。
【0013】
(ゴミ処理系統)
ゴミ処理系統200は、発電設備1000における被焼却物を焼却処理する系統である。ゴミ処理系統200は、焼却炉10と、排熱回収ボイラ11(ボイラ)とを備えている。
【0014】
(焼却炉)
本実施形態における焼却炉10は、ストーカ式焼却炉である。焼却炉10は、内部で被焼却物を搬送しながら燃焼させる炉である。焼却炉10による被焼却物の燃焼に伴って、焼却炉10からは排ガスEGが発生する。発生した排ガスEGは、焼却炉10の上部に接続された排ガス処理システム100へ送られる。焼却炉10は、炉本体1と、燃料供給機構2と、火炉3とを有している。
【0015】
炉本体1は、焼却炉10における本体部分である。炉本体1は、被焼却物を燃焼させるための空間を内部に画定している。炉本体1内部では、被焼却物が燃焼しながら搬送される。炉本体1内部で焼却されて灰になった被焼却物は、炉本体1の外部に排出される。燃料供給機構2は、被焼却物を焼却炉10の外部から受け入れるとともに、受け入れた被焼却物を炉本体1内部に供給する。火炉3は、炉本体1の上部から上方側に向かって延びている。炉本体1の内部で被焼却物が燃焼することによって生じた排ガスEGは、火炉3を通じて排熱回収ボイラ11へ送られる。
【0016】
(排熱回収ボイラ)
排熱回収ボイラ11は、火炉3から導入された排ガスEGと、外部から供給される水(排熱回収ボイラ11への給水)との間で熱交換を行うことで、供給された水を加熱して蒸気を発生させる装置である。本実施形態における排熱回収ボイラ11は、火炉3からの排ガスEGから熱を回収するとともに、この熱を利用して発電系統300の蒸気タービン31を駆動させるための蒸気(主蒸気)を発生させる。
【0017】
詳細な図示は省略するが、排熱回収ボイラ11は、ボイラ外枠と、このボイラ外枠内に配置された伝熱管等によって構成されている。ボイラ外枠内には、火炉3からの排ガスEGが導入される。ボイラ外枠内に導入された排ガスEGは、ボイラ外枠内の伝熱管を介して外部から導入された水と熱交換されることで冷却される。一方、排熱回収ボイラ11に導入された水は、排ガスEGによって加熱されて蒸気になる。排熱回収ボイラ11で熱交換を終えた排ガスEGは、排ガス処理システム100へ導入される。
【0018】
(排ガス処理システム)
排ガス処理システム100は、ゴミ処理系統200で発生した排ガスEGを処理するシステムである。本実施形態における排ガス処理システム100は、排ガス流路12と、第1熱回収器13と、集塵設備14と、第2熱回収器15と、二酸化炭素回収装置16と、還元剤供給部19と、活性炭供給部20と、アルカリ性粉体供給部21と、アルカリ剤供給部22と、煙突17と、出口流路18とを備えている。
【0019】
(排ガス流路)
排ガス流路12は、ゴミ処理系統200の排熱回収ボイラ11で熱交換を終えた排ガスEGを内部に流通させる。排ガス流路12は、排熱回収ボイラ11の排ガス出口に接続されている。以下、排ガス流路12内で排ガスEGが流れる方向を単に「排ガスEGの流れ方向」と称する。また、排ガスEGの流れ方向のうち、排熱回収ボイラ11の排ガス出口側を「上流側」と称し、その反対側を「下流側」と称する。
【0020】
(第1熱回収器)
第1熱回収器13は、排ガス流路12を流れる排ガスEGと、外部から導入される熱媒体とを熱交換させる装置(熱交換器)である。すなわち、第1熱回収器13は、排ガス流路12を流れる排ガスEGの温度を調節する。本実施形態における第1熱回収器13は、エコノマイザである。第1熱回収器13は、排ガス流路12中に配置されている。ここでいう「排ガス流路12中」とは、排ガス流路12の内部ではなく、排ガス流路12の途中を意味する。第1熱回収器13には、排熱回収ボイラ11から流出した排ガスEGが排ガス流路12を通じて流入する。すなわち、第1熱回収器13に流入した排ガスEGは、外部から供給された熱媒体と熱交換することで冷却される。
【0021】
一方、外部から第1熱回収器13に導入された熱媒体は、排ガスEGによって加熱される。本実施形態における第1熱回収器13に外部から供給される熱媒体は、例えば、水(排熱回収ボイラ11への給水)である。第1熱回収器13で熱交換を終えた排ガスEGは、第1熱回収器13よりも下流側の排ガス流路12に流出する。第1熱回収器13内で加熱された熱媒体は、外部の装置で熱源として利用される。
【0022】
(集塵設備)
本実施形態における集塵設備14は、排ガス流路12を流れる排ガスEGが通過することで、通過する排ガスEGに含まれるススや塵埃の除去(除塵)、窒素酸化物の除去(脱硝)、およびダイオキシン類等の有害物質の除去をすることができる触媒担持バグフィルタである。集塵設備14は、排ガス流路12中における第1熱回収器13よりも下流側に配置されている。したがって、集塵設備14には、第1熱回収器13から流出した排ガスEGが排ガス流路12を通じて流入する。
【0023】
本実施形態における集塵設備14は、集塵設備本体141と、脱硝層142とを含んでいる。集塵設備本体141には、第1熱回収器13からの排ガスEGが排ガス流路12を通じて流入する。脱硝層142は、集塵設備本体141の内部に配置されている濾布(フィルタ)である。脱硝層142には、排ガスEGを脱硝可能な脱硝触媒が担持されている。集塵設備本体141に流入した排ガスEGは、脱硝層142を通過することで脱硝層142に担持された脱硝触媒によって脱硝される。集塵設備14を通過した排ガスEGは、集塵設備14よりも下流側の排ガス流路12に流出する。
【0024】
(第2熱回収器)
第2熱回収器15は、排ガス流路12を流れる排ガスEGと、外部から導入される熱媒体とを熱交換させることで排ガスEGの熱を回収する装置(熱交換器)である。すなわち、第2熱回収器15は、排ガス流路12を流れる排ガスEGの温度を調節する。本実施形態における第2熱回収器15は、エコノマイザである。第2熱回収器15は、第1熱回収器13に流入する排ガスEGよりも低い温度の排ガスEGから熱を回収する。
【0025】
第2熱回収器15は、排ガス流路12中における集塵設備14よりも下流側に配置されている。したがって、第2熱回収器15には、集塵設備14からの排ガスEGが排ガス流路12を通じて流入する。第2熱回収器15に流入した排ガスEGは、外部から供給された熱媒体と熱交換することで冷却される。一方、第2熱回収器15に導入された熱媒体は、排ガスEGによって加熱される。本実施形態における第2熱回収器15に外部から供給される熱媒体は、例えば、水(排熱回収ボイラ11への給水)である。第2熱回収器15で熱交換を終えた排ガスEGは、第2熱回収器15よりも下流側の排ガス流路12に流出する。第2熱回収器15内で加熱された熱媒体は、外部の装置で熱源として利用される。
【0026】
(二酸化炭素回収装置)
二酸化炭素回収装置16は、排ガス流路12を流れる排ガスEGから二酸化炭素を回収する。本実施形態における二酸化炭素回収装置16は、湿式の化学吸収法によって二酸化炭素を回収する。二酸化炭素回収装置16には、第2熱回収器15から流出した排ガスEGが排ガス流路12を通じて流入する。二酸化炭素回収装置16は、排ガス流路12によって排熱回収ボイラ11に接続されている。本実施形態における二酸化炭素回収装置16は、冷却塔161と、吸収塔162と、再生塔163とを有している。
【0027】
冷却塔161は、第2熱回収器15からの排ガスEGを冷却する装置である。詳細の図示は省略するが、本実施形態における冷却塔161は、冷却塔循環水を循環させる循環ライン、ポンプ、および外部から導入される冷却水と熱交換をして冷却塔循環水を冷却する熱交換器を備えており、冷却水によって冷却された冷却塔循環水と排ガスEGと接触させることで排ガスEGを冷却する。すなわち、冷却塔161に流入した排ガスEGは、冷却塔循環水と熱交換することで冷却される。冷却塔161で冷却された排ガスEGは、吸収塔162へ導かれる。
【0028】
吸収塔162は、吸収液(アミン吸収液)を用いて二酸化炭素回収装置16に導入された排ガスEGから二酸化炭素を除去する装置である。吸収塔162の内部には、冷却塔161からの排ガスEGが導入される。吸収塔162の内部では、上部から下方に向けて吸収液が散布される。冷却塔161の内部に散布された吸収液は、排ガスEGと接触することにより排ガスEG中の二酸化炭素を吸収する。吸収塔162の内部で二酸化炭素が除去された排ガスEGは、吸収塔162に接続された出口流路18を通じて煙突17へ送られる。煙突17に送られた排ガスEGは、大気へ排出される。一方、二酸化炭素を吸収した吸収液は、再生塔163へ導かれる。
【0029】
再生塔163は、吸収塔162からの吸収液を加熱し、吸収液から二酸化炭素を分離する装置である。再生塔163は、吸収液から二酸化炭素を分離することで、吸収液を再生させる。本実施形態における再生塔163は、再生塔本体163aと、リボイラ163bとを有している。再生塔本体163aは、内部に充填層やトレイを有している。再生塔本体163a内の空間には、吸収塔162から吸収液供給管を介して二酸化炭素を吸収した吸収液が導入される。
【0030】
リボイラ163bは、例えば、再生塔本体163aにおける下部と配管で接続されている。リボイラ163bには、吸収液を加熱するための熱媒体が外部から導入される。本実施形態におけるリボイラ163bに外部から供給される熱媒体は、例えば、蒸気(主蒸気)である。再生塔本体163a内に流入した吸収液は、熱媒体と熱交換することで加熱される。再生塔本体163a内部で吸収液が加熱されることで、吸収液から二酸化炭素が分離される。吸収液から分離された二酸化炭素は、二酸化炭素回収装置16の外部へ導かれる。二酸化炭素が分離された吸収液は、吸収塔162へ再び導かれる。吸収液を加熱することで冷却された熱媒体としての蒸気は、凝縮水となる。この凝縮水は、例えば、発電系統300へ導かれる。
【0031】
(還元剤供給部)
還元剤供給部19は、排ガスEGの流れ方向で集塵設備14よりも上流側を流れる排ガスEGに還元剤を供給する。言い換えれば、還元剤供給部19は、排ガスEGに還元剤を添加する。還元剤供給部19は、ゴミ処理系統200の焼却炉10や排熱回収ボイラ11内を流れる排ガスEGに還元剤を供給する。本実施形態における還元剤供給部19は、排熱回収ボイラ11内を流れる排ガスEGに還元剤を供給する。還元剤は、排ガスEG中の窒素酸化物を還元することで排ガスEG中の窒素酸化物の除去を行う。本実施形態における還元剤には、例えば、アンモニア(NH)等が採用される。還元剤供給部19は、還元剤供給源191と、還元剤供給ライン192とを有している。
【0032】
本実施形態における還元剤供給源191は、液体状態の還元剤を内部に貯留するタンクである。還元剤供給ライン192は、還元剤供給源191に貯留された還元剤を排熱回収ボイラ11内に導く。したがって、還元剤供給ライン192は、還元剤供給源191と排熱回収ボイラ11とを接続している。還元剤供給ライン192を通じて排熱回収ボイラ11に送られた還元剤は、排熱回収ボイラ11内を流れる排ガスEGに噴霧される。なお、還元剤供給ライン192には、例えば、還元剤を還元剤供給源191から排熱回収ボイラ11へ送るためのポンプ等(図示省略)が配置されている。
【0033】
(活性炭供給部)
活性炭供給部20は、排ガスEGの流れ方向で集塵設備14よりも上流側を流れる排ガスEGに還元剤を供給する。本実施形態における活性炭供給部20は、例えば、排ガス流路12内における第1熱回収器13よりも下流側を流れる排ガスEGに活性炭を供給する。活性炭は、排ガスEGに含まれる水銀を吸着する。したがって、排ガス流路12内を流れる排ガスEGに活性炭が供給されることで、排ガスEGに含まれる水銀が除去される。活性炭供給部20は、活性炭供給源201と、活性炭供給ライン202とを有している。
【0034】
本実施形態における活性炭供給源201は、粉状または粒状の活性炭を内部に保持するタンクである。活性炭供給ライン202は、活性炭供給源201に保持された活性炭を第1熱回収器13よりも下流側の排ガス流路12内に導く。したがって、活性炭供給ライン202は、活性炭供給源201と第1熱回収器13よりも下流側の排ガス流路12とを接続している。活性炭供給ライン202を通じて排ガス流路12に送られた活性炭は、排ガス流路12内を流れる排ガスEGに散布される。なお、活性炭供給ライン202には、例えば、活性炭を還元剤供給源191から排ガス流路12へ送るための送風機等(図示省略)が配置されている。
【0035】
(アルカリ性粉体供給部)
アルカリ性粉体供給部21は、排ガスEGの流れ方向で集塵設備14よりも上流側を流れる排ガスEGにアルカリ性粉体を供給する。本実施形態におけるアルカリ性粉体には、例えば、消石灰(Ca(OH))等が採用される。本実施形態におけるアルカリ性粉体供給部21は、例えば、排ガス流路12内における第1熱回収器13よりも下流側を流れる排ガスEGにアルカリ性粉体を供給する。排ガスEGに供給されたアルカリ性粉体が例えば消石灰である場合、この消石灰は、排ガスEGに含まれる硫黄酸化物(SO)と反応することで、硫酸カルシウム(CaSO)になる。また、排ガスEGに供給されたアルカリ性粉体が例えば消石灰である場合、この消石灰は、排ガスEGに含まれる塩化水素(HCl)と反応することで、塩化カルシウム(CaCl)になる。アルカリ性粉体供給部21は、アルカリ性粉体供給源211と、アルカリ性粉体供給ライン212とを有している。
【0036】
本実施形態におけるアルカリ性粉体供給源211は、粉状または粒状のアルカリ性粉体を内部に保持するタンクである。アルカリ性粉体供給ライン212は、アルカリ性粉体供給源211に保持されたアルカリ性粉体を第1熱回収器13よりも上流側の排ガス流路12内に導く。したがって、アルカリ性粉体供給ライン212は、アルカリ性粉体供給源211と第1熱回収器13よりも下流側の排ガス流路12とを接続している。より詳しくは、アルカリ性粉体供給ライン212は、排ガス流路12における活性炭供給ライン202が接続される部分よりも下流側の排ガス流路12に接続されている。アルカリ性粉体供給ライン212を通じて排ガス流路12に送られたアルカリ性粉体は、排ガス流路12内を流れる排ガスEGに散布される。なお、アルカリ性粉体供給ライン212には、例えば、アルカリ性粉体をアルカリ性粉体供給源211から排ガス流路12へ送るための送風機等(図示省略)が配置されている。
【0037】
(アルカリ剤供給部)
アルカリ剤供給部22は、二酸化炭素回収装置16内にアルカリ剤を供給する。本実施形態におけるアルカリ剤供給部22は、二酸化炭素回収装置16の冷却塔161内の冷却塔循環水にアルカリ剤を供給する。言い換えれば、アルカリ剤供給部22は、冷却塔循環水にアルカリ剤を添加する。本実施形態におけるアルカリ剤には、例えば、水酸化ナトリウム水溶液が採用される。したがって冷却塔循環水に供給されたアルカリ剤が水酸化ナトリウム水溶液である場合、この水素ナトリウム水溶液は、排ガスEGに含まれる硫黄酸化物と反応することで、硫酸ナトリウムになり、排ガスEGに含まれる塩化水素と反応することで、塩化ナトリウムになる。冷却塔161内を循環する冷却塔循環水にアルカリ剤が供給されることで、排ガスEGが脱硫および脱塩される。アルカリ剤供給部22は、アルカリ剤供給源221と、アルカリ剤供給ライン222とを有している。
【0038】
本実施形態におけるアルカリ剤供給源221は、水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ剤を内部に保持するタンクである。アルカリ剤供給ライン222は、アルカリ剤供給源221に保持されたアルカリ剤を冷却塔161内に導く。したがって、アルカリ剤供給ライン222は、アルカリ剤供給源221と冷却塔161とを接続している。アルカリ剤供給ライン222を通じて冷却塔161に送られたアルカリ剤は、冷却塔161内を循環する冷却塔循環水に散布される。なお、アルカリ剤供給ライン222には、例えば、アルカリ剤をアルカリ剤供給源221から冷却塔161へ送るためのポンプ等(図示省略)が配置されている。
【0039】
(発電系統)
発電系統300は、ゴミ処理系統200で発生した排ガスEGの熱を利用して発電する系統である。発電系統300は、蒸気タービン31と、復水器32と、脱気器34と、第1給水ポンプ33aと、第2給水ポンプ33bと、主蒸気ライン30aと、第1接続ライン30cと、第2接続ライン30dと、第3接続ライン30eと、ボイラ給水ライン30bと、第1給水バイパスライン30gと、第1熱媒体弁15aと、第2給水バイパスライン30hと、第2熱媒体弁13aとを備えている。
【0040】
(蒸気タービン)
蒸気タービン31は、排熱回収ボイラ11からの蒸気によって駆動され、この蒸気タービン31に接続された発電機GENを回転させる回転機械である。本実施形態における蒸気タービン31には、排熱回収ボイラ11で発生した蒸気が主蒸気ライン30aを通じて導入される。主蒸気ライン30aは、排熱回収ボイラ11の蒸気出口と、蒸気タービン31の蒸気入口とを接続している。
【0041】
また、図1中では図示省略するが、主蒸気ライン30aを流れる排熱回収ボイラ11からの蒸気は、例えば、リボイラ163bへ導かれる。リボイラ163bに導入された蒸気は、再生塔本体163a内で吸収液を加熱するための熱媒体として利用される。つまり、排熱回収ボイラ11からの蒸気の一部を二酸化炭素回収装置16におけるリボイラ163bにおける熱源として利用することができる。
【0042】
(復水器)
復水器32は、蒸気タービン31に接続されている。蒸気タービン31で膨張仕事を終えた蒸気は、復水器32内に導かれ、冷却されることで凝縮して水(復水)となり、復水器32内に貯留される。復水器32内に貯留された水は、第1接続ライン30cを通じて、第2熱回収器15内で排ガスEGと熱交換させるための熱媒体として第2熱回収器15へ導かれる。
【0043】
ここで、第1接続ライン30cは、復水器32と第2熱回収器15とを接続している。第1接続ライン30c中には、第1給水ポンプ33aが配置されている。第1給水ポンプ33aは、駆動されることで、復水器32からの水を第2熱回収器15に送る。本実施形態における第1給水ポンプ33aの回転数(復水器32から第2熱回収器15へ圧送する水の流量)は、制御装置500によって制御されている。具体的には、第1給水ポンプ33aは、回転数を示す信号を制御装置500から有線または無線通信を介して受信する。第1給水ポンプ33aは、当該信号が示す回転数に基づいて回転し、第1接続ライン30c内の水を第2熱回収器15へ圧送する。
【0044】
つまり、第1給水ポンプ33aは、制御装置500によって制御されることで第1接続ライン30cを流れる水の流量を調整可能である。第1給水ポンプ33aの回転数が調整されることで、第2熱回収器15に流入する熱媒体としての水の流量が調整される。
【0045】
第1接続ライン30cを通じて第2熱回収器15に導入された水は、第2熱回収器15内で排ガスEGと熱交換し、排ガスEGによって加熱される。第2熱回収器15内で加熱された水は、第2接続ライン30dを通じて脱気器34へ導かれる。
【0046】
第1給水バイパスライン30gは、一端が第1接続ライン30cに接続され、他端が第2接続ライン30dに接続されている。したがって、第1接続ライン30cを流れる水の一部は、一端から第1給水バイパスライン30g内に流入し、他端を通じて第2接続ライン30dに流入することができる。したがって、第1給水バイパスライン30gは、第2熱回収器15を経由せずに第1接続ライン30cから第2接続ライン30dへ水をバイパスすることができる。
【0047】
第1給水バイパスライン30gには、第1熱媒体弁15aが配置されている。第1熱媒体弁15aは、第1給水バイパスライン30gを流れる水の流量を調整可能な流量調整弁である。第1熱媒体弁15aは、開度が制御されることで、第1給水バイパスライン30gを流れる水の流量を調整する。本実施形態における第1熱媒体弁15aの開度は、制御装置500によって制御されている。具体的には、第1熱媒体弁15aは、開度を示す信号を制御装置500から有線または無線通信を介して受信し、受信した信号に基づいて開度を調整する。
【0048】
第1熱媒体弁15aは、制御装置500によって制御されることで第1給水バイパスライン30gを流れる水の流量を調整可能である。第1熱媒体弁15aの開度が調整されることで、第2熱回収器15に流入する熱媒体としての水の流量が調整される。
【0049】
(脱気器)
脱気器34は、第2熱回収器15からの水を加熱するとともに、この水に含まれる溶存ガス(酸素や炭酸ガス等)を脱気する。なお、詳細な図示は省略するが、脱気器34には、例えば、蒸気タービン31から抽気された蒸気(抽気蒸気)が、水を加熱(脱気)するための熱源として導入される。脱気器34によって脱気された水は、第3接続ライン30eを通じて第1熱回収器13に導かれる。第3接続ライン30eは、脱気器34の給水出口と、第1熱回収器とを接続している。第3接続ライン30eを通じて第1熱回収器13に導入された水は、第1熱回収器13内で排ガスEGと熱交換させるための熱媒体として利用される。
【0050】
第3接続ライン30e中には、第2給水ポンプ33bが配置されている。第2給水ポンプ33bは、駆動されることで、脱気器34からの水を第1熱回収器13に送る。本実施形態における第2給水ポンプ33bの回転数(脱気器34から第1熱回収器13へ圧送する水の流量)は、制御装置500によって制御されている。具体的には、第2給水ポンプ33bは、回転数を示す信号を制御装置500から有線または無線通信を介して受信する。第2給水ポンプ33bは、当該信号が示す回転数に基づいて回転し、第3接続ライン30e内の水を第1熱回収器13へ圧送する。
【0051】
つまり、第2給水ポンプ33bは、制御装置500によって制御されることで第3接続ライン30eを流れる水の流量を調整可能である。第2給水ポンプ33bの回転数が調整されることで、第1熱回収器13に流入する熱媒体としての水の流量が調整される。
【0052】
第1熱回収器13で熱交換を終えた水は、ボイラ給水ライン30bを通じて排熱回収ボイラ11に導かれる。ボイラ給水ライン30bは、第1熱回収器13と、排熱回収ボイラ11の給水入口とを接続している。ボイラ給水ライン30bを通じて排熱回収ボイラ11に導入された水は、排熱回収ボイラ11内で排ガスEGと熱交換させるための熱媒体として利用される。
【0053】
ボイラ給水ライン30bを通じて排熱回収ボイラ11に導入された水は、排熱回収ボイラ11内で排ガスEGと熱交換し、排ガスEGによって加熱されて蒸気(主蒸気)となる。この蒸気は、主蒸気ライン30aを通じて蒸気タービン31へ導かれる。
【0054】
第2給水バイパスライン30hは、一端が第3接続ライン30eに接続され、他端がボイラ給水ライン30bに接続されている。したがって、第3接続ライン30eを流れる水の一部は、一端から第2給水バイパスライン30h内に流入し、他端を通じてボイラ給水ライン30bに流入することができる。したがって、第2給水バイパスライン30hは、第1熱回収器13を経由せずに第3接続ライン30eからボイラ給水ライン30bへ水をバイパスすることができる。
【0055】
第2給水バイパスライン30hには、第2熱媒体弁13aが配置されている。第2熱媒体弁13aは、第2給水バイパスライン30hを流れる水の流量を調整可能な流量調整弁である。第2熱媒体弁13aは、開度が制御されることで、第2給水バイパスライン30hを流れる水の流量を調整する。本実施形態における第2熱媒体弁13aの開度は、制御装置500によって制御されている。具体的には、第2熱媒体弁13aは、開度を示す信号を制御装置500から有線または無線通信を介して受信し、受信した信号に基づいて開度を調整する。
【0056】
第2熱媒体弁13aは、制御装置500によって制御されることで第2給水バイパスライン30hを流れる水の流量を調整可能である。第2熱媒体弁13aの開度が調整されることで、第1熱回収器13に流入する熱媒体としての水の流量が調整される。
【0057】
ここで、排ガス処理システム100における排ガス流路12を流れる排ガスEGの温度変化を説明する。図2に示すように、排熱回収ボイラ11から排ガス流路12に流入した排ガスEGは、第1熱回収器13に流入する。第1熱回収器13に流入した排ガスEGは、水と熱交換することで冷却される。第1熱回収器13で熱交換を後えた排ガスEGの温度は、例えば、150~230℃である。第1熱回収器13から流出した排ガスEGは、集塵設備14を通過した後、第2熱回収器15に流入する。第2熱回収器15に流入した排ガスEGは、水と熱交換することで冷却される。第2熱回収器15で熱交換を終えた排ガスEGの温度は、例えば、70~150℃である。第2熱回収器15から流出した排ガスEGは、二酸化炭素回収装置16に流入する。二酸化炭素回収装置16に流入した排ガスEGは、冷却塔161で冷却される。冷却塔161で冷却された後の排ガスEGの温度は、例えば、20~60℃である。したがって、排ガスEGは、集塵設備14の出口ガス温度以下の状態を維持したまま、集塵設備14から第2熱回収器15を経て、二酸化炭素回収装置16に供給される。ここでいう「出口ガス温度」とは、集塵設備14から流出し、第2熱回収器15に流入する前の排ガスEGの温度を意味する。
【0058】
(センサ)
センサ400は、発電設備1000に設けられている。本実施形態におけるセンサ400は、第1温度計41と、第2温度計42と、第3温度計43と、窒素酸化物濃度検出部44と、硫黄酸化物濃度検出部45とを有している。
【0059】
(第1温度計)
第1温度計41は、排ガス流路12中における第1熱回収器13と集塵設備14との間に配置されている。本実施形態における第1温度計41は、排ガス流路12におけるアルカリ性粉体供給ライン212との接続部分よりも下流側に配置されている。第1温度計41は、集塵設備14に流入する排ガスEGの温度を検出する。第1温度計41は、所定の時間間隔で排ガスEGの温度を検出するとともに、検出結果を示す信号を制御装置500へ有線または無線通信を介して送信する。以下、説明の便宜上、第1温度計41が検出する排ガスEGの温度を「第1温度T1」と称する。
【0060】
(第2温度計)
第2温度計42は、排ガス流路12中における集塵設備14と第2熱回収器15との間に配置されている。本実施形態における第2温度計42は、集塵設備14から流出した排ガスEGの温度を検出する。言い換えれば、第2温度計42は、第2熱回収器15に流入する排ガスEGの温度を検出する。第2温度計42は、所定の時間間隔で排ガスEGの温度を検出するとともに、検出結果を示す信号を制御装置500へ有線または無線通信を介して送信する。以下、説明の便宜上、第2温度計42が検出する排ガスEGの温度を「第2温度T2」と称する。すなわち、第2温度T2は、上記の出口ガス温度である。
【0061】
(第3温度計)
第3温度計43は、排ガス流路12中における第2熱回収器15と二酸化炭素回収装置16との間に配置されている。本実施形態における第3温度計43は、第2熱回収器15から流入した排ガスEGの温度を検出する。言い換えれば、第3温度計43は、二酸化炭素回収装置16の冷却塔161に流入する排ガスEGの温度を検出する。第3温度計43は、所定の時間間隔で排ガスEGの温度を検出するとともに、検出結果を示す信号を制御装置500へ有線または無線通信を介して送信する。以下、説明の便宜上、第3温度計43が検出する排ガスEGの温度を「第3温度T3」と称する。
【0062】
(窒素酸化物濃度検出部)
窒素酸化物濃度検出部44は、排ガスEGの窒素酸化物濃度A1を検出可能な窒素酸化物センサ(NOセンサ)である。本実施形態における窒素酸化物濃度検出部44は、排ガス流路12中における集塵設備14と第2熱回収器15との間に配置されている。したがって、窒素酸化物濃度検出部44は、集塵設備14から流出した排ガスEGの窒素酸化物濃度A1を検出する。言い換えれば、窒素酸化物濃度検出部44は、第2熱回収器15に流入する排ガスEGに含まれる窒素酸化物の濃度を検出する。窒素酸化物濃度検出部44は、所定の時間間隔で排ガスEGの窒素酸化物濃度A1を検出するとともに、検出結果を示す信号を制御装置500へ有線または無線通信を介して送信する。
【0063】
(硫黄酸化物濃度検出部)
硫黄酸化物濃度検出部45は、排ガスEGの硫黄酸化物濃度A2を検出可能な硫黄酸化物センサ(SOセンサ)である。本実施形態における硫黄酸化物濃度検出部45は、排ガス流路12中における集塵設備14と第2熱回収器15との間に配置されている。したがって、硫黄酸化物濃度検出部45は、集塵設備14から流出した排ガスEGの硫黄酸化物濃度A2を検出する。言い換えれば、硫黄酸化物濃度検出部45は、第2熱回収器15に流入する排ガスEGに含まれる硫黄酸化物の濃度を検出する。硫黄酸化物濃度検出部45は、所定の時間間隔で排ガスEGの硫黄酸化物濃度A2を検出するとともに、検出結果を示す信号を制御装置500へ有線または無線通信を介して送信する。
【0064】
(制御装置)
制御装置500は、上述したセンサ400からの検出結果を示す信号を受信するとともに、第1熱回収器13に供給される熱媒体の量、および第2熱回収器15に供給される熱媒体の量を制御する。図3に示すように、本実施形態における制御装置500は、検出部51と、判定部52と、設定部53と、制御部54と、記憶部55とを有している。記憶部55は、判定部52が判定処理に用いる情報を記憶している。
【0065】
(検出部)
検出部51は、センサ400からの信号を受信することで、センサ400の検出結果を取得する。
【0066】
検出部51は、第1温度計41から送信される信号を受信することで、当該信号が示す第1温度T1を取得する。検出部51は、取得した第1温度T1を判定部52へ送る。また、検出部51は、第2温度計42から送信される信号を受信することで、当該信号が示す第2温度T2を取得する。検出部51は、取得した第2温度T2を判定部52へ送る。また、検出部51は、第3温度計43から送信される信号を受信することで、当該信号が示す第3温度T3を取得する。検出部51は、取得した第3温度T3を判定部52へ送る。
【0067】
また、検出部51は、窒素酸化物濃度検出部44から送信される信号を受信することで、当該信号が示す窒素酸化物濃度A1を取得する。検出部51は、取得した窒素酸化物濃度A1を設定部53へ送る。また、検出部51は、硫黄酸化物濃度検出部45から送信される信号を受信することで、当該信号が示す硫黄酸化物濃度A2を取得する。検出部51は、取得した硫黄酸化物濃度A2を判定部52へ送る。
【0068】
(判定部)
判定部52は、検出部51から受け付けたセンサ400の検出結果に基づいて、判定処理をする。判定部52は、検出部51から第1温度T1および第2温度T2を受け付けた場合、当該第1温度T1および第2温度T2と、所定のガス温度閾値Txとを比較する。本実施形態におけるガス温度閾値Txは、例えば、設定部53によって予め設定された温度である。ガス温度閾値Txは、例えば、150~230℃の温度範囲にある値である。好ましくは、180~220℃である。
【0069】
判定部52は、第1温度T1がガス温度閾値Txから乖離している場合に、「第1温度T1の調整が必要である」と判定する。ここでいう、第1温度T1がガス温度閾値Txから乖離している場合とは、第1温度T1が、例えば、ガス温度閾値Txが示す温度範囲外である場合を意味する。また、第1温度T1がガス温度閾値Txから乖離していない場合とは、第1温度T1が、例えば、ガス温度閾値Txが示す温度範囲内である場合を意味する。
【0070】
さらに、判定部52は、第1温度T1が、ガス温度閾値Txが示す温度範囲の上限値よりも大きい場合、「第1温度T1が高い」と判定する。また、判定部52は、第1温度T1が、ガス温度閾値Txが示す温度範囲の下限値よりも小さい場合、「第1温度T1が低い」と判定する。
【0071】
また、判定部52は、第2温度T2がガス温度閾値Txから乖離している場合に、「第2温度T2の調整が必要である」と判定する。ここでいう、第2温度T2がガス温度閾値Txから乖離している場合とは、第2温度T2が、例えば、ガス温度閾値Txが示す温度範囲外である場合を意味する。また、第2温度T2がガス温度閾値Txから乖離していない場合とは、第2温度T2が、例えば、ガス温度閾値Txが示す温度範囲内である場合を意味する。
【0072】
さらに、判定部52は、第2温度T2が、ガス温度閾値Txが示す温度範囲の上限値よりも大きい場合、「第2温度T2が高い」と判定する。また、判定部52は、第2温度T2が、ガス温度閾値Txが示す温度範囲の下限値よりも小さい場合、「第2温度T2が低い」と判定する。
【0073】
一方、判定部52は、第1温度T1がガス温度閾値Txから乖離していない場合に、「第1温度T1の調整が必要でない」と判定する。また、判定部52は、第2温度T2がガス温度閾値Txから乖離していない場合に、「第2温度T2の調整が必要でない」と判定する。なお、ガス温度閾値Txは、例えば、記憶部55によって記憶されている。
【0074】
また、判定部52は、検出部51から第3温度T3を受け付けた場合、当該第3温度T3と所定のガス温度閾値Tyとを比較する。本実施形態におけるガス温度閾値Tyは、例えば、発電設備1000に応じて予め設定される温度範囲である。
【0075】
判定部52は、第3温度T3がガス温度閾値Tyから乖離している場合に、「第3温度T3の調整が必要である」と判定する。ここでいう、第3温度T3がガス温度閾値Tyから乖離している場合とは、第3温度T3が、例えば、ガス温度閾値Tyが示す温度範囲外である場合を意味する。また、第3温度T3がガス温度閾値Tyから乖離していない場合とは、第3温度T3が、例えば、ガス温度閾値Tyが示す温度範囲内である場合を意味する。
【0076】
さらに、判定部52は、第3温度T3が、ガス温度閾値Tyが示す温度範囲の上限値よりも大きい場合、「第3温度T3が高い」と判定する。また、判定部52は、第3温度T3が、ガス温度閾値Tyが示す温度範囲の下限値よりも小さい場合、「第3温度T3が低い」と判定する。
【0077】
一方、判定部52は、第3温度T3がガス温度閾値Tyから乖離していない場合に、「第3温度T3の調整が必要でない」と判定する。なお、ガス温度閾値Tyは、例えば、記憶部55によって予め記憶されている。
【0078】
(設定部)
設定部53は、検出部51から受け付けたセンサ400の検出結果に基づいて、ガス温度閾値Txを設定する。設定部53は、検出部51からの窒素酸化物濃度A1および硫黄酸化物濃度A2を受け付けた場合、これらと設定すべきガス温度閾値Txと関連付いた所定の対応関係情報を参照して、当該窒素酸化物濃度A1と硫黄酸化物濃度A2とのうち1つ以上に応じたガス温度閾値Txを取得する。
【0079】
設定部53は、取得したガス温度閾値Txを記憶部55に記憶させる。本実施形態における対応関係情報は、例えば、窒素酸化物濃度A1および硫黄酸化物濃度A2とガス温度閾値Txとのうち1つ以上が関連付いたテーブルである。なお、対応関係情報は、窒素酸化物濃度A1と硫黄酸化物濃度A2とのうち1つ以上を引数とし、ガス温度閾値Txを戻り値とする関数等であってもよい。対応関係情報は、例えば、記憶部55によって予め記憶されている。
【0080】
(制御部)
制御部54は、判定部52による判定結果に基づいて、第1熱回収器13に供給される熱媒体の量、および第2熱回収器15に供給される熱媒体の量を制御する。
【0081】
制御部54は、判定部52が「第1温度T1の調整が必要である」、または「第2温度T2の調整が必要である」と判定した場合に、第1熱回収器13への熱媒体の量を制御する。具体的には、制御部54は、判定部52が「第1温度T1が高い」と判定した場合、または、「第2温度T2が高い」と判定した場合、開度の上昇を示す信号を第2熱媒体弁13aに送信する。また、制御部54は、判定部52が「第1温度T1が低い」と判定した場合、または、「第2温度T2が低い」と判定した場合、開度の低下を示す信号を第2熱媒体弁13aに送信する。一方、制御部54は、判定部52が「第1温度T1の調整が必要でない」と判定し、かつ「第2温度T2の調整が必要でない」と判定した場合、第2熱媒体弁13aに開度の維持を示す信号を送信する。これらの制御部54による動作によって、第1熱回収器13へ導入される熱媒体の量が制御される。
【0082】
また、制御部54は、判定部52が「第3温度T3の調整が必要である」と判定した場合、第2熱回収器15への熱媒体の量を制御する。具体的には、制御部54は、判定部52が「第3温度T3が高い」と判定した場合、開度の上昇を示す信号を第1熱媒体弁15aに送信する。また、制御部54は、判定部52が「第3温度T3が低い」と判定した場合、開度の低下を示す信号を第1熱媒体弁15aに送信する。一方、制御部54は、判定部52が「第3温度T3の調整が必要でない」と判定した場合、第1熱媒体弁15aに開度の維持を示す信号を送信する。制御部54によるこれらの動作によって、第1熱回収器13へ導入される熱媒体の量が制御される。
【0083】
(制御装置の動作)
続いて、本実施形態における制御装置500の動作について説明する。
【0084】
以下、図4を参照して、第1熱回収器13に供給される熱媒体の量を制御する制御装置500の動作の一例について説明する。
検出部51は、第1温度T1、第2温度T2、窒素酸化物濃度A1、および硫黄酸化物濃度A2を取得する(ステップS11)。次に、設定部53は、検出部51によって取得された窒素酸化物濃度A1および硫黄酸化物濃度A2とのうち1つ以上に基づいて、ガス温度閾値Txを設定する(ステップS12)。次に、判定部52は、取得された第1温度T1および第2温度T2に基づいて、第1温度T1の調整が必要であるか否か、または第2温度T2の調整が必要であるか否かを判定する(ステップS13)。第1温度T1の調整が必要である、または第2温度T2の調整が必要であると判定部52が判定した場合(ステップS13:YES)、制御部54は、第2熱媒体弁13aの開度を制御する(ステップS14)。ステップS14の処理を終えた場合、ステップS11の処理が再び行われる。第1温度T1の調整が必要でない、かつ第2温度T2の調整が必要でないと判定部52が判定した場合(ステップS13:NO)、ステップS11の処理が再び行われる。
以上説明したステップS11からステップS14の処理は、排ガス処理システム100の運転段階で繰り返し実行される。
【0085】
以下、図5を参照して、第2熱回収器15に供給される熱媒体の量を制御する制御装置500の動作の一例について説明する。
検出部51は、第3温度T3を取得する(ステップS21)。次に、判定部52は、取得された第3温度T3に基づいて、第3温度T3の調整が必要であるか否かを判定する(ステップS22)。第3温度T3の調整が必要であると判定部52が判定した場合(ステップS22:YES)、制御部54は、第1熱媒体弁15aの開度を制御する(ステップS23)。ステップS23の処理を終えた場合、ステップS21の処理が再び行われる。第3温度T3の調整が必要でないと判定部52が判定した場合(ステップS22:NO)、ステップS21の処理が再び行われる。
以上説明したステップS21からステップS23の処理は、発電設備1000の運転段階で繰り返し実行される。
【0086】
(排ガス処理方法)
続いて、発電設備1000で用いられる排ガス処理方法について説明する。この排ガス処理方法は、集塵設備14の出口ガス温度以下の状態を維持したまま、集塵設備14から二酸化炭素回収装置16に供給することを含む。排ガス処理方法は、熱交換工程を実行する。
【0087】
熱交換工程では、排ガス流路12中に配置されたセンサ400の検出結果に基づいて、制御装置500が第2熱回収器15に流入する熱媒体の量を制御する。具体的には、制御装置500の取得部が取得した第3温度計43からの第3温度T3に基づいて、制御装置500の判定部52が第3温度T3の調整が必要であるか否かを判定する。制御装置500の制御部54は、判定部52の判定結果に基づいて、第1熱媒体弁15aの開度を制御する。これによって、集塵設備14を通過した排ガスEGの温度は、第2熱回収器15での熱交換によって冷却される。したがって、排ガスEGは、集塵設備14の出口ガス温度以下の状態を維持したまま、二酸化炭素回収装置16に供給される。
【0088】
(作用効果)
上記の排気ガス処理システムの構成によれば、集塵設備14を通過する排ガスEGは、脱硝触媒が担持された脱硝層142によって脱硝される。脱硝された排ガスEGは、集塵設備14から流出した時の温度以下の排ガス温度を維持したまま二酸化炭素回収装置16へ供給される。すなわち、排ガスEGは、集塵設備14で脱硝されるため、集塵設備14から二酸化炭素回収装置16に到る過程で加熱される必要がない。したがって、この加熱に要する熱エネルギーを削減することができる。また、排ガスの処理が不十分である場合、排ガス中に含まれる硫黄酸化物等の不純物の量が増加する場合がある。上記構成によれば、二酸化炭素回収装置16よりも上流側の集塵設備14の脱硝層142で排ガスEG中の硫黄酸化物が除去されるため、二酸化炭素回収装置16で不純物が吸収される吸収液の消費量の増大を抑制することができる。
【0089】
また、上記構成では、主蒸気ライン30aを流れる排熱回収ボイラ11からの蒸気の一部を二酸化炭素回収装置16におけるリボイラ163bで熱源として利用することができる。これにより、排ガス処理システム100に二酸化炭素回収装置16を導入した場合であっても、発電設備1000における発電効率の低下を抑制することができる。
【0090】
また、上記構成では、第1温度計41と第2温度計42とのうち1つ以上の検出結果とガス温度閾値Txとの比較に基づき、排ガスEGの流れ方向で集塵設備14よりも上流側に位置した第1熱回収器13に供給される熱媒体の量が制御される。これにより、集塵設備14に導入される排ガスEGの温度を安定させることができる。したがって、集塵設備14における排ガスEGの脱硝性能を安定化させることができる。二酸化炭素回収装置16における吸収液への不純物の流入や蓄積等を抑制することができる。
【0091】
また、上記構成では、集塵設備14を通過する排ガスEGの温度が、窒素酸化物濃度A1と硫黄酸化物濃度A2とのうち1つ以上に応じた温度に調整される。したがって、例えば、窒素酸化物濃度A1および硫黄酸化物濃度A2が高い場合には、集塵設備14を通過する排ガスEGの温度が高まるように制御され、窒素酸化物濃度A1および硫黄酸化物濃度A2が低い場合には、集塵設備14を通過する排ガスEGの温度が低まるように制御される。その結果、排ガス処理システム100で使用される動力の大きさを適正化することができる。
【0092】
また、上記構成によれば、集塵設備14を通過した排ガスEGの熱が第2熱回収器15によって回収される。この際、第1熱回収器13に供給される熱媒体の流量は、窒素酸化物濃度A1と硫黄酸化物濃度A2のうち1つ以上に応じた排ガス温度に設定されるとともに、第2熱回収器15に供給される熱媒体の流量は、第3温度T3に基づいて設定される。これにより、排ガス流路12内で第2熱回収器15から二酸化炭素回収装置16へ向かう排ガスEGの温度をより安定化させることができる。したがって、発電効率の低下を抑制しつつ、集塵設備14の脱硝層142における排ガスEGの脱硝性能を向上させることができる。
【0093】
また、上記構成では、第3温度計43の検出結果と、ガス温度閾値Tyとの比較に基づいて第2熱回収器15に供給される熱媒体の量が制御される。これにより、排ガスEGからの熱回収量を安定化させることができる。また、二酸化炭素回収装置16へ流入する排ガスEGの温度を安定させることができる。
【0094】
また、上記構成では、集塵設備14に流入する前の排ガスEGに還元剤が供給される。排ガスEGに供給された還元剤は、排ガスEG中の窒素酸化物に直接反応してこの窒素酸化物を除去する。また、排ガスEGに供給された還元剤は、排ガスEGとともに脱硝設備を通過する。この際、還元剤は脱硝層142の脱硝触媒に接触し、集塵設備14の脱硝層142の触媒作用により窒素酸化物が除去される。つまり、還元剤が脱硝触媒に作用することで脱硝触媒が再生される。これらの作用の結果、集塵設備14における脱硝効率の低下を抑制することができる。
【0095】
また、上記構成では、集塵設備14に流入する前の排ガスEGに活性炭が供給される。これにより、排ガスEGに含まれる水銀等の不純物が活性炭に吸着される。したがって、集塵設備14を通過する排ガスEGに水銀等の不純物が残存することが抑制され、その結果、二酸化炭素回収装置16における吸収液への不純物の流入を抑制することができる。したがって、二酸化炭素回収装置16で回収された二酸化炭素への不純物の混入や、吸収液の劣化を低減できる。
【0096】
また、上記構成では、集塵設備14に流入する前の排ガスEGにアルカリ性粉体が供給される。これにより、排ガスEGに含まれる硫黄酸化物がアルカリ性粉体としての消石灰と反応することで、硫酸カルシウムになる。したがって、排ガスEGに含まれる硫黄酸化物が、集塵設備14における脱硝触媒へ接触することを抑制することができる。その結果、脱硝触媒の被毒を抑制することができる。また、二酸化炭素回収装置16よりも上流側で硫黄酸化物を除去することで、二酸化炭素回収装置16における冷却塔161へ供給するアルカリ剤の供給量を削減可能となる。
【0097】
また、上記構成では、二酸化炭素回収装置16の冷却塔161内で排ガスEGに含まれる硫黄酸化物や塩化水素が、アルカリ剤供給部22によって冷却塔循環水に供給されたアルカリ剤と反応する。これにより、冷却塔161内の排ガスEGが脱硫および脱塩される。冷却塔161にて、排ガスEGを脱硫・脱塩させることができるため、触媒担持バグフィルタである集塵設備14よりも上流側で噴霧する薬剤(消石灰、炭酸水素ナトリウム等のアルカリ性粉体)の量を削減することができる。その結果、排出される固形廃棄物の量を削減することができる。また、噴霧する薬剤の量が削減されることで触媒担持バグフィルタにおける差圧上昇が低減され、逆洗間隔が延びる。その結果、触媒担持バグフィルタの寿命を延ばすことができる。
【0098】
<第2実施形態>
以下、本開示の第2実施形態に係る発電設備1000について説明する。第2実施形態で説明する排ガス処理システム100および発電系統300は、第1実施形態で説明した排ガス処理システム100および発電系統300に対して構成が一部異なる。第1実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。第2実施形態における排ガス処理システム100は、第1実施形態で説明した排ガス処理システム100に対して、バイパスライン23と、流量調整器24とを更に備えている。
【0099】
(排ガス処理システム)
図6に示すように、本実施形態における排ガス処理システム100は、排ガス流路12と、第1熱回収器13と、集塵設備14と、第2熱回収器15と、二酸化炭素回収装置16と、還元剤供給部19と、活性炭供給部20と、アルカリ性粉体供給部21と、アルカリ剤供給部22と、煙突17と、出口流路18と、バイパスライン23と、流量調整器24とを備えている。
【0100】
(バイパスライン)
バイパスライン23は、一端23aが排熱回収ボイラ11と第1熱回収器13との間の排ガス流路12に接続され、他端23bが第1熱回収器13と集塵設備14との間の排ガス流路12に接続されている。したがって、排ガス流路12を流れる排ガスEGの一部は、一端23aからバイパスライン23内に流入し、他端23bを通じて排ガス流路12に再び流入することができる。言い換えれば、バイパスライン23は、第1熱回収器13に流入する排ガスEGの少なくとも一部を、第1熱回収器13と集塵設備14との間を流れる排ガスEGへ第1熱回収器13を経由させずに合流させることができる(バイパスさせることができる)。バイパスライン23の一端23aは、排ガス流路12における排熱回収ボイラ11と第1熱回収器13との間に配置されている。バイパスライン23の他端23bは、排ガス流路12における活性炭供給ライン202との接続部分よりも上流側である第1熱回収器13側に配置されている。
【0101】
(流量調整器)
流量調整器24は、バイパスライン23中に配置されている。ここでいう「バイパスライン23中」とは、バイパスライン23の内部ではなく、バイパスライン23の途中を意味する。流量調整器24は、開度を調整することでバイパスライン23を流れる排ガスEGの流量を調整可能な流量調整弁である。本実施形態における流量調整器24の開度は、制御装置500によって制御されている。具体的には、流量調整弁は、開度を示す信号を制御装置500から有線または無線通信を介して受信する。流量調整弁は、当該信号が示す開度に基づいてバイパスライン23を流れる排ガスEGの流量を調整する。
【0102】
(制御装置)
図7に示すように、本実施形態における制御装置500は、検出部51と、判定部52と、設定部53と、制御部54aと、記憶部55とを有している。
【0103】
制御部54aは、判定部52が「第1温度T1の調整が必要である」、または「第2温度T2の調整が必要である」と判定した場合に、流量調整器24の開度を制御する。具体的には、制御部54aは、判定部52が「第1温度T1が高い」と判定した場合、または、「第2温度T2が高い」と判定した場合、開度の低下を示す信号を流量調整器24に送信する。また、制御部54aは、判定部52が「第1温度T1が低い」と判定した場合、または、「第2温度T2が低い」と判定した場合、開度の上昇を示す信号を流量調整器24に送信する。つまり、バイパスライン23を流れる排ガスEGの流量が調整されると同時に、第1熱回収器13に流入する排ガスEGの流量が制御される。一方、制御部54aは、判定部52が「第1温度T1の調整が必要でない」と判定し、かつ「第2温度T2の調整が必要でない」と判定した場合、流量調整器24に開度の維持を示す信号を送信する。これらの制御部54aによる動作によって、第1熱回収器13へ導入される熱媒体の量が制御される。
【0104】
以下、図8を参照して、第1熱回収器13に供給される熱媒体の量を制御する制御装置500の動作の一例について説明する。
検出部51は、第1温度T1、第2温度T2、窒素酸化物濃度A1、および硫黄酸化物濃度A2を取得する(ステップS31)。次に、設定部53は、検出部51によって取得された窒素酸化物濃度A1および硫黄酸化物濃度A2とのうち1つ以上に基づいて、ガス温度閾値Txを設定する(ステップS32)。次に、判定部52は、取得された第1温度T1および第2温度T2に基づいて、第1温度T1の調整が必要であるか否か、または第2温度T2の調整が必要であるか否かを判定する(ステップS33)。第1温度T1の調整が必要である、または第2温度T2の調整が必要であると判定部52が判定した場合(ステップS33:YES)、制御部54aは、流量調整器24の開度を制御する(ステップS34)。ステップS34の処理を終えた場合、ステップS31の処理が再び行われる。第1温度T1の調整が必要でない、かつ第2温度T2の調整が必要でないと判定部52が判定した場合(ステップS33:NO)、ステップS31の処理が再び行われる。
以上説明したステップS31からステップS34の処理は、排ガス処理システム100の運転段階で繰り返し実行される。
【0105】
(作用効果)
第2実施形態の構成では、第1温度計41と第2温度計42とのうち1つ以上の検出結果とガス温度閾値Txとの比較に基づき、排ガスEGの流れ方向で集塵設備14よりも上流側に位置した第1熱回収器13に供給される排ガスEGの量が制御される。これにより、集塵設備14に導入される排ガスEGの温度を安定させることができる。したがって、集塵設備14における排ガスEGの脱硝性能を安定化させることができる。
【0106】
<第3実施形態>
以下、本開示の第3実施形態に係る発電設備1000について説明する。第3実施形態で説明する発電設備1000は、第1実施形態の発電設備1000に対して構成が一部異なる。第1実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。第3実施形態では、排ガス処理システム100における二酸化炭素回収装置16が第1実施形態で説明した二酸化炭素回収装置16に対して、リクレーマ164を更に有している。第3実施形態における排ガス処理システム100は、第1実施形態で説明した排ガス処理システム100に対して、還元剤導入ライン25を更に備えている。
【0107】
(排ガス処理システム)
図9に示すように、本実施形態における排ガス処理システム100は、排ガス流路12と、第1熱回収器13と、集塵設備14と、第2熱回収器15と、二酸化炭素回収装置16と、還元剤供給部19と、活性炭供給部20と、アルカリ性粉体供給部21と、アルカリ剤供給部22と、煙突17と、出口流路18と、還元剤導入ライン25とを備えている。
【0108】
(二酸化炭素回収装置)
本実施形態における二酸化炭素回収装置16は、冷却塔161と、吸収塔162と、再生塔163と、リクレーマ164とを有している。
【0109】
リクレーマ164は、二酸化炭素が分離され、吸収塔162へ導かれる再生塔163からの吸収液の一部を受け入れるとともに、吸収液内の不純物が濃縮された第1液と、不純物が分離された第2液とに分ける装置である。第1液は、二酸化炭素回収装置16から排出される排出液である。第1液には、アミンが含まれている。リクレーマ164には、排熱回収ボイラ11に繋がる還元剤導入ライン25が接続されている。リクレーマ164によって分けられた第1液は還元剤導入ライン25を通じて焼却炉10の炉本体1内に供給され、第2液は再生塔163内に戻される。したがって、還元剤導入ライン25は、リクレーマ164と排熱回収ボイラ11とを接続している。
【0110】
還元剤導入ライン25を通じて炉本体1に送られた第1液は、ごみ等の被焼却物と同様に焼却処理される。第1液に含まれるアミンは還元作用を有しており、被焼却物と同時に焼却されることで窒素酸化物の発生が抑制される。つまり、還元剤導入ライン25を流れる第1液は、窒素酸化物の還元剤として機能し、還元剤導入ライン25は、炉本体1内に還元剤を供給する還元剤供給部19として機能している。なお、還元剤導入ライン25には、例えば、還元剤をリクレーマ164から焼却炉10の炉本体1へ送るためのポンプ等(図示省略)が配置されている。
【0111】
(作用効果)
上記構成によれば、再生塔163から吸収塔162に向かう吸収液の一部がリクレーマ164によって第1液と第2液とに分けられ、分けられた第1液は、排熱回収ボイラ11内の排ガスEGに還元剤として添加される。つまり、二酸化炭素回収装置16からの排水である第1液が還元剤として利用される。したがって、第1液を排水として処分する際に必要な動力や費用を削減することができる。また、還元剤導入ライン25が還元剤供給部19として機能するため、還元剤供給部19によって扱われる還元剤の量を削減することができる。
【0112】
(その他の実施形態)
以上、本開示の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成は各実施形態の構成に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内での構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。
【0113】
なお、図10は、本実施形態に係るコンピュータ1100の構成を示すハードウェア構成図である。コンピュータ1100は、プロセッサ1110、メインメモリ1120、ストレージ1130、およびインターフェース1140を備える。
【0114】
上述の制御装置500は、コンピュータ1100に実装される。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でストレージ1130に記憶されている。プロセッサ1110は、プログラムをストレージ1130から読み出してメインメモリ1120に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、プロセッサ1110は、プログラムに従って、上述した記憶部55に対応する記憶領域をメインメモリ1120に確保する。
【0115】
プログラムは、コンピュータ1100に発揮させる機能の一部を実現するためのものであってもよい。例えば、プログラムは、ストレージ1130に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせ、または他の装置に実装された他のプログラムとの組み合わせによって機能を発揮させるものであってもよい。また、コンピュータ1100は、上記構成に加えて、または上記構成に代えてPLD(Programmable Logic Device)等のカスタムLSI(Large Scale Integrated Circuit)を備えてもよい。PLDの例としては、PAL(Programmable Array Logic)、GAL(Generic Array Logic)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)が挙げられる。この場合、プロセッサ1110によって実現される機能の一部または全部が当該集積回路によって実現されてよい。
【0116】
ストレージ1130の例としては、磁気ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリ等が挙げられる。ストレージ1130は、コンピュータ1100のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インターフェース1140または通信回線を介してコンピュータ1100に接続される外部メディアであってもよい。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ1100に配信される場合、配信を受けたコンピュータ1100が当該プログラムをメインメモリ1120に展開し、上記処理を実行してもよい。上記実施形態では、ストレージ1130は、一時的でない有形の記憶媒体である。
【0117】
また、当該プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。
さらに、当該プログラムは、前述した機能をストレージ1130に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0118】
また、第1実施形態では、還元剤供給部19が排熱回収ボイラ11内を流れる排ガスEGに還元剤を供給する構成を説明したが、この構成に限定されることはない。還元剤供給部19は、排ガス流路12における第1熱回収器13よりも上流側を流れる排ガスEGに供給する構成であってもよい。したがって、この場合、還元剤供給ライン192は、還元剤供給源191と、排ガス流路12における第1熱回収器13よりも上流側の部分とを接続すればよい。
【0119】
また、第1実施形態で説明したガス温度閾値Txは、発電設備1000に応じて予め設定される温度であってもよい。したがって、この場合、制御装置500は設定部53を有していなくてもよい。
【0120】
また、各実施形態で説明された発電設備1000の構成は、それぞれ独立した構成に留まることはなく、各実施形態に記載の構成要素を適宜組み合わせて発電設備を構成してもよい。
【0121】
また、二酸化炭素回収装置16は、湿式の化学吸収法によって二酸化炭素を回収する構成に限定されることはない。二酸化炭素回収装置16は、乾式の物理吸収法等によって二酸化炭素を回収する構成であってもよい。
【0122】
また、実施形態で説明した発電設備1000における排ガス処理システム100は、集塵設備14と煙突17との間における排ガス流路12または出口流路18に配置されたブロア(図示省略)をさらに備えてもよい。
【0123】
また、実施形態で説明した第1熱回収器13および第2熱回収器15は、外部から導入される熱媒体と熱交換させることで排ガスEGの熱を回収する熱交換器の構成に限定されることはない。第1熱回収器13および第2熱回収器15は、この構成に替えて、例えば、排ガスEGへ水を噴霧することによって排ガスEGの温度を調節する温度調節器であってもよい。
【0124】
また、実施形態では、アルカリ性粉体供給部21は、アルカリ性粉体として消石灰を排ガスEGに供給する構成を説明したが、この構成に限定されることはない。アルカリ性粉体供給部21は、例えば、炭酸水素ナトリウム等を排ガスEGに供給する構成であってもよい。
【0125】
また、実施形態では、発電設備1000のゴミ処理系統200における焼却炉10がストーカ式焼却炉とされているが、ストーカ式焼却炉に限定されることはない。焼却炉10は、例えば、キルンストーカ炉、バイオマス流動床ボイラ、汚泥焼却炉等であってもよい。
【0126】
<付記>
各実施形態に記載の排ガス処理システム、これを備えている発電設備、および排ガス処理方法は、例えば以下のように把握される。
【0127】
(1)第1の態様に係る排ガス処理システム100は、脱硝触媒が担持された脱硝層142を含み、排ガスEGが通過する集塵設備14と、前記排ガスEGの流れ方向で前記集塵設備14よりも下流側に位置する二酸化炭素回収装置16と、を備え、前記排ガスEGは、前記集塵設備14の出口ガス温度以下の状態を維持したまま、前記集塵設備14から前記二酸化炭素回収装置16に供給される。
【0128】
これにより、排ガスEGは集塵設備14で脱硝されるため、集塵設備14から二酸化炭素回収装置16に到る過程で加熱される必要がない。したがって、この加熱に要する熱エネルギーを削減することができる。また、二酸化炭素回収装置16よりも上流側の集塵設備14の脱硝層142で排ガスEG中の硫黄酸化物が除去されるため、二酸化炭素回収装置16で不純物が吸収される吸収液の消費量の増大を抑制することができる。
【0129】
(2)第2の態様に係る排ガス処理システム100は、(1)の排ガス処理システム100であって、前記排ガスEGの流れ方向で前記集塵設備14よりも上流側に位置し、前記排ガスEGと熱媒体とを熱交換させる第1熱回収器13と、前記第1熱回収器13と前記集塵設備14との間を流れる前記排ガスEGの温度を検出可能な第1温度計41と、前記集塵設備14と前記二酸化炭素回収装置16との間を流れる前記排ガスEGの温度を検出可能な第2温度計42とのうち1つ以上を有するセンサ400と、前記第1温度計41と前記第2温度計42とのうち1つ以上の検出結果とガス温度閾値Txとに基づき、前記第1熱回収器13に供給される前記熱媒体の量を制御する制御装置500と、を備えてもよい。
【0130】
これにより、集塵設備14に導入される排ガスEGの温度を安定させることができる。
【0131】
(3)第3の態様に係る排ガス処理システム100は、(1)の排ガス処理システム100であって、前記排ガスEGの流れ方向で前記集塵設備14よりも上流側に位置し、前記排ガスEGと熱媒体とを熱交換させる第1熱回収器13と、前記第1熱回収器13に流入する前記排ガスEGの少なくとも一部を、前記第1熱回収器13と前記集塵設備14との間を流れる前記排ガスEGへ前記第1熱回収器13を経由させずに合流させることができるバイパスライン23と、前記バイパスライン23に配置され、前記バイパスライン23を流れる前記排ガスEGの流量を調整可能な流量調整器24と、前記第1熱回収器13と前記集塵設備14との間を流れる前記排ガスEGの温度を検出可能な第1温度計41と、前記集塵設備14と前記二酸化炭素回収装置16との間を流れる前記排ガスEGの温度を検出可能な第2温度計42とのうち、1つ以上を有するセンサ400と、前記第1温度計41と前記第2温度計42とのうち1つ以上の検出結果とガス温度閾値Txとに基づき、前記流量調整器24の開度を制御する制御装置500と、を備えてもよい。
【0132】
これにより、集塵設備14に導入される排ガスEGの温度を安定させることができる。
【0133】
(4)第4の態様に係る排ガス処理システム100は、(2)または(3)の排ガス処理システム100であって、前記センサ400は、前記排ガスEG中の窒素酸化物濃度A1を検出可能な窒素酸化物濃度検出部44と、前記排ガスEG中の硫黄酸化物濃度A2を検出可能な硫黄酸化物濃度検出部45とのうち、1つ以上を有し、前記制御装置500は、窒素酸化物濃度検出部44と硫黄酸化物濃度検出部45とのうち1つ以上の検出結果に基づき、前記ガス温度閾値Txを変更してもよい。
【0134】
これにより、窒素酸化物濃度A1および硫黄酸化物濃度A2のうち1つ以上に応じた排ガスEGの温度に制御される。その結果、排ガス処理システム100で使用される動力の大きさを適正化することができる。
【0135】
(5)第5の態様に係る排ガス処理システム100は、(1)から(4)のうちいずれかの排ガス処理システム100であって、前記排ガスEGの流れ方向で前記集塵設備14と前記二酸化炭素回収装置16との間に位置し、前記排ガスEGと熱媒体とを熱交換させる第2熱回収器15を備えてもよい。
【0136】
これにより、排ガス流路12内で第2熱回収器15から二酸化炭素回収装置16へ向かう排ガスEGの温度をより安定化させることができる。したがって、発電効率の低下を抑制しつつ、集塵設備14の脱硝層142における排ガスEGの脱硝性能を向上させることができる。
【0137】
(6)第6の態様に係る排ガス処理システム100は、(5)の排ガス処理システム100であって、前記第2熱回収器15と前記二酸化炭素回収装置16との間を流れる前記排ガスEGの温度を検出可能な第3温度計43を有するセンサ400と、前記センサ400の検出結果とガス温度閾値Tyとに基づき、前記第2熱回収器15に供給される前記熱媒体の量を制御する制御装置500と、を備えてもよい。
【0138】
これにより、排ガスEGからの熱回収量を安定化させることができる。また、二酸化炭素回収装置16へ流入する排ガスEGの温度を安定させることができる。
【0139】
(7)第7の態様に係る排ガス処理システム100は、(1)から(6)のうちいずれかの排ガス処理システム100であって、前記排ガスEGの流れ方向で前記集塵設備14よりも上流側を流れる前記排ガスEGに還元剤を供給可能な還元剤供給部19を備えてもよい。
【0140】
これにより、排ガスEGに供給された還元剤は、排ガスEG中の窒素酸化物に直接反応してこの窒素酸化物を除去する。また、排ガスEGに供給された還元剤は、排ガスEGとともに脱硝設備を通過する。この際、還元剤は脱硝層142の脱硝触媒に接触し、集塵設備14の脱硝層142の触媒作用により窒素酸化物が除去される。つまり、還元剤が脱硝触媒に作用することで脱硝触媒が再生される。
【0141】
(8)第8の態様に係る排ガス処理システム100は、(1)から(7)のうちいずれかの排ガス処理システム100であって、前記排ガスEGの流れ方向で前記集塵設備14よりも上流側を流れる前記排ガスEGに活性炭を供給可能な活性炭供給部20を備えてもよい。
【0142】
これにより、排ガスEGに含まれる水銀等の不純物が活性炭に吸着される。したがって、集塵設備14を通過する排ガスEGに水銀等の不純物が残存することが抑制され、その結果、二酸化炭素回収装置16における吸収液への不純物の流入を抑制することができる。したがって、二酸化炭素回収装置16で回収された二酸化炭素への不純物の混入や、吸収液の劣化を低減できる。
【0143】
(9)第9の態様に係る排ガス処理システム100は、(1)から(8)のうちいずれかの排ガス処理システム100であって、前記排ガスEGの流れ方向で前記集塵設備14よりも上流側を流れる前記排ガスEGにアルカリ性粉体を供給可能なアルカリ性粉体供給部21を備えてもよい。
【0144】
これにより、排ガスEGに含まれる硫黄酸化物がアルカリ性粉体と反応することで、硫酸カルシウムになる。したがって、排ガスEGに含まれる硫黄酸化物が、集塵設備14における脱硝触媒に接触することを抑制することができる。
【0145】
(10)第10の態様に係る排ガス処理システム100は、(1)から(9)のうちいずれかの排ガス処理システム100であって、前記二酸化炭素回収装置16内にアルカリ剤を供給可能なアルカリ剤供給部22を備え、前記二酸化炭素回収装置16は、前記排ガスEGを冷却しつつ、前記アルカリ剤供給部22からの前記アルカリ剤を冷却塔循環水に添加する冷却塔161と、冷却された前記排ガスEGに含まれる二酸化炭素を吸収液に吸収させる吸収塔162と、熱媒体が供給されるリボイラ163bによって前記二酸化炭素を吸収した前記吸収液を加熱し、前記吸収液から前記二酸化炭素を分離する再生塔163と、を有してもよい。
【0146】
これにより、冷却塔161内の排ガスEGが脱硫および脱塩される。冷却塔161にて、脱硫・脱塩ができるため、例えば、集塵設備14よりも上流側でアルカリ性粉体等が供給される場合に、このアルカリ性粉体の量を削減することができる。また、排出される固形廃棄物の量を削減することができる。また、噴霧する薬剤量が削減されることで集塵設備における差圧が小さくなり、逆洗間隔が延びるため、集塵設備14の寿命を延ばすことができる。
【0147】
(11)第11の態様に係る発電設備1000は、被焼却物を焼却させて発電する発電設備1000であって、前記被焼却物が焼却される焼却炉10と、前記排ガスEGの流れ方向で前記集塵設備14よりも上流側に位置し、前記焼却炉10で生成された前記排ガスEGが供給されるボイラと、前記ボイラを通過した前記排ガスEGが導入される請求項7に記載の排ガス処理システム100と、を備え、前記排ガス処理システム100は、前記二酸化炭素回収装置16と前記ボイラとを接続する還元剤導入ライン25を備え、前記二酸化炭素回収装置16は、前記排ガスEGを冷却する冷却塔161と、冷却された前記排ガスEGに含まれる二酸化炭素を吸収液に吸収させる吸収塔162と、熱媒体が供給されるリボイラ163bによって前記二酸化炭素を吸収した前記吸収液を加熱し、前記吸収液から前記二酸化炭素を分離する再生塔163と、前記再生塔163からの前記吸収液を、不純物が濃縮された第1液と、不純物が分離された第2液とに分けるリクレーマ164と、を有し、前記還元剤導入ライン25は、前記還元剤供給部19として、前記リクレーマ164からの前記第1液を前記還元剤として前記焼却炉10内に供給する。
【0148】
これにより、二酸化炭素回収装置16からの排水である第1液が還元剤として利用される。したがって、第1液を焼却炉10内で有効に処分することができる。また、還元剤導入ライン25が還元剤供給部19として機能するため、還元剤供給部19が扱う還元剤の量を削減することができる。
【0149】
(12)第12の態様に係る排ガス処理方法は、排ガスEGが生じる設備で用いられる排ガス処理方法であって、前記設備は、脱硝触媒が担持された脱硝層142を含み、排ガスEGが通過する集塵設備14と、前記排ガスEGの流れ方向で前記集塵設備14よりも下流側に位置する二酸化炭素回収装置16と、を備え、前記排ガス処理方法は、前記集塵設備14の出口ガス温度以下の状態を維持したまま、前記集塵設備14から前記二酸化炭素回収装置16に供給することを含む。
【符号の説明】
【0150】
1…炉本体 2…燃料供給機構 3…火炉 10…焼却炉 11…排熱回収ボイラ 12…排ガス流路 13…第1熱回収器 14…集塵設備 13a…第2熱媒体弁 15…第2熱回収器 15a…第1熱媒体弁 16…二酸化炭素回収装置 17…煙突 18…出口流路 19…還元剤供給部 20…活性炭供給部 21…アルカリ性粉体供給部 22…アルカリ剤供給部 23…バイパスライン 23a…一端 23b…他端 24…流量調整器 25…還元剤導入ライン 30a…主蒸気ライン 30b…ボイラ給水ライン 30c…第1接続ライン 30d…第2接続ライン 30e…第3接続ライン 30g…第1給水バイパスライン 30h…第2給水バイパスライン 31…蒸気タービン 32…復水器 33a…第1給水ポンプ 33b…第2給水ポンプ 34…脱気器 41…第1温度計 42…第2温度計 43…第3温度計 44…窒素酸化物濃度検出部 45…硫黄酸化物濃度検出部 51…検出部 52…判定部 53…設定部 54,54a…制御部 55…記憶部 100…排ガス処理システム 141…集塵設備本体 142…脱硝層 161…冷却塔 162…吸収塔 163…再生塔 163a…再生塔本体 163b…リボイラ 164…リクレーマ 191…還元剤供給源 192…還元剤供給ライン 200…ゴミ処理系統 201…活性炭供給源 202…活性炭供給ライン 211…アルカリ性粉体供給源 212…アルカリ性粉体供給ライン 221…アルカリ剤供給源 222…アルカリ剤供給ライン 300…発電系統 400…センサ 500…制御装置 1000…発電設備 1100…コンピュータ 1110…プロセッサ 1120…メインメモリ 1130…ストレージ 1140…インターフェース A1…窒素酸化物濃度 A2…硫黄酸化物濃度 EG…排ガス GEN…発電機 T1…第1温度 T2…第2温度 T3…第3温度
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