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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023168105
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】配線基板
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/46 20060101AFI20231116BHJP
【FI】
H05K3/46 U
H05K3/46 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022079759
(22)【出願日】2022-05-13
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 武信
【テーマコード(参考)】
5E316
【Fターム(参考)】
5E316AA02
5E316AA15
5E316AA35
5E316AA45
5E316BB16
5E316CC08
5E316CC09
5E316CC13
5E316CC32
5E316CC37
5E316DD02
5E316DD25
5E316EE33
5E316FF07
5E316FF15
5E316GG15
5E316GG17
5E316GG22
5E316HH17
(57)【要約】
【課題】放熱を効率的に行う配線基板の提供。
【解決手段】実施形態の配線基板は放熱部材HB1を有する多層コア基板100と第1および第2導体パッド12a、12bを含む第1導体層12を露出する第1積層部10と第3および第4導体パッド22a、22bを含む第2導体層22を露出する第2積層部20と第1積層部10の第1ビア導体13aおよび第2導体パッド12bに接続される第2ビア導体13bと第2積層部20の第3および第4ビア導体23a、23bとを有し、第1導体パッド12aは部品搭載パッドであり、放熱部材HB1は第1ビア導体13aを介して第1導体パッド12aと第3ビア導体23aを介して第3導体パッド22aと接続され、多層コア基板100の第5ビア導体15はスタックビア導体を構成して第2および第4ビア導体13b、23bに接続され、第4および第5ビア導体23b、15は第1積層部10側に向かって縮径している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面および前記第1面と反対側の第2面を備え、放熱部材を有する多層コア基板と、
前記第1面上に形成され、第1導体パッドおよび第2導体パッドを含む第1導体層を最外面に露出している第1積層部と、
前記第2面上に形成され、第3導体パッドおよび第4導体パッドを含む第2導体層を最外面に露出している第2積層部と、
前記第1積層部に形成され、前記第1導体パッドに接続される第1ビア導体および前記第2導体パッドに接続される第2ビア導体と、
前記第2積層部に形成され、前記第3導体パッドに接続される第3ビア導体および前記第4導体パッドに接続される第4ビア導体と、
を有する配線基板であって、
前記第1導体パッドは、部品搭載領域内に配置される部品搭載パッドであり、
前記放熱部材は、前記第1ビア導体を介して前記第1導体パッドと接続されると共に、前記第3ビア導体を介して前記第3導体パッドと接続されており、
前記多層コア基板は、複数の第5ビア導体から構成されるスタックビア導体を含み、
前記スタックビア導体は、前記第2ビア導体と前記第4ビア導体とに接続されており、
前記第4ビア導体および前記第5ビア導体は、前記第1積層部側に向かって縮径する形状を有している。
【請求項2】
請求項1記載の配線基板であって、前記第2ビア導体は、前記第2積層部側に向かって縮径する形状を有している。
【請求項3】
請求項1記載の配線基板であって、前記スタックビア導体は、前記放熱部材の周囲に複数形成されている。
【請求項4】
請求項1記載の配線基板であって、前記スタックビア導体は、前記放熱部材を取り囲むように配置されている。
【請求項5】
請求項1記載の配線基板であって、前記放熱部材は銅ブロックである。
【請求項6】
請求項1記載の配線基板であって、前記放熱部材は、前記部品搭載領域と平面視で重なる位置に配置されている。
【請求項7】
請求項1記載の配線基板であって、前記放熱部材は前記多層コア基板を貫通する収容部に配置されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は配線基板に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、一方の面がICチップに接続され、他方の面がマザーボードに接続されているプリント配線板が開示されている。プリント配線板は、放熱ブロックが収容される貫通孔を備えるコア基板を有している。ICチップに接続される導体層(導体パッド)、および、マザーボードに接続される導体層(導体パッド)は、それぞれビア導体を介して放熱ブロックに接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-135168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されているプリント配線板では、プリント配線板の一方の面に搭載されているICチップから放熱ブロックに伝わる熱は、主にマザーボード側のビア導体を介して他方の面へと伝導する。放熱ブロックからの導体を介した熱伝導の経路がビア導体に限られており、プリント配線板内に熱が留まりやすい場合があると考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の配線基板は、第1面および前記第1面と反対側の第2面を備え、放熱部材を有する多層コア基板と、前記第1面上に形成され、第1導体パッドおよび第2導体パッドを含む第1導体層を最外面に露出している第1積層部と、前記第2面上に形成され、第3導体パッドおよび第4導体パッドを含む第2導体層を最外面に露出している第2積層部と、前記第1積層部に形成され、前記第1導体パッドに接続される第1ビア導体および前記第2導体パッドに接続される第2ビア導体と、前記第2積層部に形成され、前記第3導体パッドに接続される第3ビア導体および前記第4導体パッドに接続される第4ビア導体とを有している。前記第1導体パッドは、部品搭載領域内に配置される部品搭載パッドであり、前記放熱部材は、前記第1ビア導体を介して前記第1導体パッドと接続されると共に、前記第3ビア導体を介して前記第3導体パッドと接続されており、前記多層コア基板は、複数の第5ビア導体から構成されるスタックビア導体を含み、前記スタックビア導体は、前記第2ビア導体と前記第4ビア導体とに接続されており、前記第4ビア導体および前記第5ビア導体は、前記第1積層部側に向かって縮径する形状を有している。
【0006】
本発明の実施形態によれば、搭載される部品からの熱が、放熱部材を介して接続される第1導体パッドから第3導体パッドへと放熱されると共に、スタックビア導体を介して配線基板の垂直方向に放熱される。放熱部材および放熱部材の近傍における吸熱が抑制されている放熱性に優れた配線基板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施形態の配線基板の一例を示す断面図。
図2A】本発明の一実施形態である配線基板の製造方法の一例を示す図。
図2B】本発明の一実施形態である配線基板の製造方法の一例を示す図。
図2C】本発明の一実施形態である配線基板の製造方法の一例を示す図。
図2D】本発明の一実施形態である配線基板の製造方法の一例を示す図。
図2E】本発明の一実施形態である配線基板の製造方法の一例を示す図。
図2F】本発明の一実施形態である配線基板の製造方法の一例を示す図。
図2G】本発明の一実施形態である配線基板の製造方法の一例を示す図。
図2H】本発明の一実施形態である配線基板の製造方法の一例を示す図。
図2I】本発明の一実施形態である配線基板の製造方法の一例を示す図。
図2J】本発明の一実施形態である配線基板の製造方法の一例を示す図。
図2K】本発明の一実施形態である配線基板の製造方法の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、本発明の一実施形態である配線基板の一例が図面を参照しながら説明される。なお、以下、参照される図面においては、各構成要素の正確な比率を示すことは意図されておらず、本発明の特徴が理解され易いように描かれている。
【0009】
図1には、配線基板1の断面図が示されている。配線基板1は、その厚さ方向に対して直交する方向(平面方向)に延在する2つの主面(表面)として、F面FSとF面FSに対して反対側のS面SSとを備えている。配線基板1は、F面FS側の第1面100F、および、第1面100Fの反対側の面、すなわちS面SS側の面である第2面100Sを備える多層コア基板100を有している。
【0010】
図1の例では、多層コア基板100の第1面100F上には、絶縁層(第1絶縁層)11および第1絶縁層11上に形成される導体層(第1導体層)12を含む第1積層部10が形成されている。第2面100S上には、絶縁層(第2絶縁層)21および第2絶縁層21上に形成される導体層(第2導体層)22を含む、第2積層部20が形成されている。第1積層部10の最も外側の表面は配線基板1のF面FSを構成し、第2積層部20の最も外側の表面は配線基板1のS面SSを構成している。
【0011】
第1導体層12および第2導体層22には、それぞれ、配線パターンおよび/または導体パッドを含む所望の導体パターンが形成されている。図1に示される例の配線基板1では、第1導体層12は、F面FSに露出している複数の導体パッド(第1導体パッド12a、第2導体パッド12b)を含んでいる。第1導体パッド12aは、部品搭載パッドである。すなわち、第1導体パッド12aは、配線基板1の使用時に配線基板1に搭載される外部の電子部品D1と接続され得る導体パッドであり、外部の電子部品D1が搭載される領域(部品搭載領域)内の第1導体層12に配置されている。第1導体パッド12aは、配線基板1の使用において外部の電子部品D1の接続パッドD1pと、適切な導電性を有する例えば半田などの接続部材BD1を介して、電気的に接続され得る。すなわち、F面FSは、配線基板1の使用において、外部の電子部品が搭載される部品搭載面であり得る。第1導体パッド12aは、配線基板1に搭載される電子部品D1の配線パターンなどに応じて部品搭載領域内の任意の位置に、任意の数で形成され得る。
【0012】
図示される例では、配線基板1は、第1導体層12および第1導体層12の導体パターンから露出する第1絶縁層11の表面上に形成された第1被覆層14を備えている。第1被覆層14は、例えばソルダーレジスト層である。第1被覆層14に設けられている開口14cによって、第1導体パッド12aが露出されている。
【0013】
第2導体層22は、S面SSに露出している複数の導体パッド(第3導体パッド22a、第4導体パッド22b)を含んでいる。第3導体パッド22aおよび第4導体パッド22bは、配線基板1の使用時に外部の例えばマザーボードなどの配線構造体WBの接続パッドWBpと、適切な導電性を有する例えば半田などの接続部材BD2を介して電気的に接続され得る。すなわち、S面SSは、配線基板1の使用において、電子機器のマザーボードや積層構造を有する半導体装置のパッケージ基板等の配線構造体との接続面であり得る。第3導体パッド22aおよび第4導体パッド22bは、配線構造体WBの配線パターンなどに応じて任意の位置に、任意の数で形成され得る。
【0014】
図1の例の配線基板1は、第2導体層22および第2導体層22の導体パターンから露出する第2絶縁層21表面上に形成された、例えばソルダーレジスト層であり得る第2被覆層24を備えている。第2被覆層24に設けられている開口24cによって、第3導体パッド22aおよび第4導体パッド22bが露出されている。
【0015】
第1積層部10の絶縁層(第1絶縁層11)には、絶縁層(第1絶縁層11)を貫通するビア導体(第1ビア導体13a、第2ビア導体13b)が形成されている。ビア導体(第1ビア導体13a、第2ビア導体13b)は、第1絶縁層11を貫く貫通孔を導電体で埋めることによって形成される所謂フィルドビアである。ビア導体(第1ビア導体13a、第2ビア導体13b)は、図1における上側の導体層(第1導体層12)と一体的に形成されている。第1ビア導体13aは、第1導体パッド12aに接続されている。第2ビア導体13bは、第2導体パッド12bに接続されている。
【0016】
第2積層部20の絶縁層(第2絶縁層21)には、絶縁層(第2絶縁層21)を貫通するビア導体(第3ビア導体23a、第4ビア導体23b)が形成されている。ビア導体(第3ビア導体23a、第4ビア導体23b)は、第2絶縁層21を貫く貫通孔を導電体で埋めることによって形成される所謂フィルドビアである。ビア導体(第3ビア導体23a、第4ビア導体23b)は、図1における下側の導体層(第2導体層22)と一体的に形成されている。第3ビア導体23aは、第3導体パッド22aに接続されている。第4ビア導体23bは、第4導体パッド22bに接続されている。
【0017】
図1に示されるように、実施形態の配線基板1では、多層コア基板100は、複数の絶縁層(第3絶縁層31、第4絶縁層41、第5絶縁層51、第6絶縁層61)と複数の導体層(第3導体層32、第4導体層42、第5導体層52、第6導体層62、第7導体層72)とが交互に積層されたビルドアップ構造を有している。多層コア基板100の第1面100Fは、ビルドアップ構造の積層方向の一方側に露出する第3絶縁層31および第3導体層32の面から構成されている。また、多層コア基板100の第2面100Sは、ビルドアップ構造の積層方向の他方側に露出する第6絶縁層61および第7導体層72の面から構成されている。
【0018】
図1の例では、多層コア基板100の第2面100S側から第1面100F側に向って、順に、第7導体層72、第6絶縁層61、第6導体層62、第5絶縁層51、第5導体層52、第4絶縁層41、第4導体層42、第3絶縁層31、第3導体層32が積層されている。第3導体層32は、第3絶縁層31内に埋め込まれて一面を多層コア基板1000の第1面100Fに露出している。
【0019】
図1の配線基板1では、多層コア基板100は、交互に積層された4つの絶縁層(第3絶縁層31、第4絶縁層41、第5絶縁層51、第6絶縁層61)と5つの導体層(第3導体層32、第4導体層42、第5導体層52、第6導体層62、第7導体層72)とで構成されている。すなわち、図1には、いわゆる5層構造のビルドアップ構造の例が示されている。しかし、絶縁層および導体層の積層数は、この例に限定されるものではなく、所望の回路構成により適宜選択され得る。ビルドアップ構造は、任意の数の、例えば5またはそれ以上の数の絶縁層および6またはそれ以上の数の導体層で構成されていてもよい。
【0020】
多層コア基板100の導体層(第3導体層32、第4導体層42、第5導体層52、第6導体層62、第7導体層72)、ならびに、第1積層部10に含まれる第1導体層12、および、第2積層部20に含まれる第2導体層22は、任意の金属を用いて形成される。例えば、各導体層は、銅箔などの金属箔や、めっきまたはスパッタリングなどで形成される金属膜によって形成され得る。図1に示される例では、各導体層は単層で示されているが、各導体層は、多層構造で構成されていてもよい。例えば、第1導体層12、第2導体層22、第3導体層32、第4導体層42、第5導体層52、第6導体層62および第7導体層72は、無電解めっき膜層および電解めっき膜層を有する2層構造で構成され得る。また、第1導体層12、第2導体層22、第3導体層32、第4導体層42、第5導体層52、第6導体層62および第7導体層72は、金属箔層、無電解めっき膜層、および、電解めっき膜層を有する3層構造で構成されていてもよい。第1導体層12、第2導体層22、第3導体層32、第4導体層42、第5導体層52、第6導体層62および第7導体層72は、例えば、銅、ニッケルなどの任意の金属を単独でまたは組み合わせて用いて形成され得る。例えば、第1導体層12、第2導体層22、第3導体層32、第4導体層42、第5導体層52、第6導体層62および第7導体層72は、電解めっきによる形成が容易で、導電性に優れていることから銅で形成され得る。
【0021】
多層コア基板100の絶縁層(第3絶縁層31、第4絶縁層41、第5絶縁層51、第6絶縁層61)、ならびに、第1積層部10に含まれる第1絶縁層11、および、第2積層部20に含まれる第2絶縁層21は、例えばエポキシ樹脂、BT樹脂、フェノール樹脂などの任意の絶縁性樹脂を含んでいる。各絶縁層は、それぞれが同じ絶縁性樹脂を含んでいてもよく、互いに異なる絶縁性樹脂を含んでいてもよい。各絶縁層は、シリカ(SiO2)、アルミナ、またはムライトなどの微粒子からなる無機フィラー(図示せず)を含んでいてもよい。
【0022】
多層コア基板100の第3絶縁層31、第4絶縁層41、第5絶縁層51および第6絶縁層61のそれぞれには、各絶縁層を貫通し、第3絶縁層31、第4絶縁層41、第5絶縁層51および第6絶縁層61それぞれを挟む導体層同士を接続する第5ビア導体15が形成されている。第5ビア導体15は、第1ビア導体13a、第2ビア導体13b、第3ビア導体23aおよび第4ビア導体23bと同様に、各絶縁層それぞれを貫く貫通孔を導電体で埋めることによって形成される所謂フィルドビアである。第5ビア導体15は、それぞれの下側の導体層と一体的に形成されている。したがって、例えば、第5ビア導体15と第4導体層42、第5導体層52、第6導体層62および第7導体層72とは、同一の、例えば銅またはニッケルなどからなるめっき膜(無電解めっき膜および電解めっき膜)によって形成されている。第5ビア導体15形成用の貫通孔は、例えば、各絶縁層の一方の表面へのレーザー光の照射により形成され得る。貫通孔の径は、レーザー光の照射側で大きく、レーザー光の照射側と反対側(奥側)では小さくなる。図1に示される例では、多層コア基板100の製造時に、図の下側からレーザー光が照射されるため、貫通孔の下側の径(幅)が大きく、上側の径(幅)が小さい。そのため、その貫通孔内に形成される各第5ビア導体も下側の幅(径)が大きく、上側の幅(径)が小さい。すなわち、図1に示される例では、多層コア基板100に含まれる第5ビア導体15は、いずれも、多層コア基板100の第2面100Sから第1面100Fに向かって縮径するテーパー形状に形成されている。なお、便宜上、「縮径」という文言が用いられているが、第5ビア導体15の形状は、必ずしも円形に限定されない。「縮径」は、単に、第5ビア導体15の水平断面における外周上の最長の2点間の距離が小さくなることを意味している。
【0023】
一方、第1積層部10の第1絶縁層11に形成される第1ビア導体13aおよび第2ビア導体13bならびに第2積層部20の第2絶縁層21に形成される第3ビア導体23a、第4ビア導体23b形成用の貫通孔は、配線基板1のF面FS側の表面およびS面SS側の表面のそれぞれへのレーザー光の照射によって形成される。この結果、第1ビア導体13aおよび第2ビア導体13bは、配線基板1のF面FSからS面SSに向かって縮径するテーパー形状を有している。第3ビア導体23aおよび第4ビア導体23bは、配線基板1のS面SSからF面FSに向かって縮径するテーパー形状を有している。
【0024】
図示されるように、多層コア基板100には、多層コア基板100を貫通する開口110が形成されている。開口110には放熱部材HB1が収容されている。すなわち開口110は、その内側に放熱部材HB1が収容される収容部として機能する。したがって、開口110は、収容部110とも称される。放熱部材HB1は、部品搭載領域と平面視で重なる位置に配置されている。すなわち、放熱部材HB1は、配線基板1に搭載される電子部品D1の直下の領域に配置される。なお、「平面視」とは、実施形態の配線基板をその厚さ方向に沿う視線で見ることを意味している。
【0025】
放熱部材HB1は、銅を含む材料で形成されている。好ましくは、放熱部材HB1は、銅製の放熱ブロックである。例えば、放熱部材HB1は、銅ブロックであり得る。
【0026】
後述されるように、放熱部材HB1が開口110内に収容された後、開口(収容部)110は、第1絶縁層11を構成する樹脂成分によって充填される。放熱部材HB1は開口110内に封止されている。
【0027】
配線基板1の使用において、F面FSに搭載され得る電子部品D1が発する熱は、電子部品D1内に留まると電子部品の誤動作の原因となり得るので、配線基板1を介してS面SSの外側へと放熱されることが望ましい。したがって、配線基板1に吸収される電子部品D1が発する熱は、部品搭載パッドである第1導体パッド12aを介して、効率的にS面SSの外側へと放熱されることが望まれる。電子部品D1が発する熱は、配線基板1自体の反りなどの不良を抑制する観点からも、S面SSの外側へと効率的に放熱されることが望まれる。
【0028】
外部の電子部品が搭載される部品搭載面であり得るF面FSは、配線基板1の使用において、電子部品D1から発生する熱を、第1導体層12ならびに第1ビア導体13aおよび第2ビア導体13bを介して多層コア基板100側へと伝えるべく受熱する吸熱面として機能し得る。また、外部の配線構造体WBとの接続面であり得るS面SSは、配線基板1の使用において、電子部品D1から発せられ多層コア基板100へと伝導した熱を、第3ビア導体23aおよび第4ビア導体23bならびに第2導体層22を介してS面SSの外側へと放熱させる放熱面として機能し得る。
【0029】
本実施形態では、放熱部材HB1は、第1絶縁層11を貫くように形成されている第1ビア導体13aを介して、配線基板1のF面FS側の最も外側の導体層である第1導体層12と接続されている。これにより、第1導体パッド12aから放熱部材HB1への、第1ビア導体13aを介した伝熱経路が形成されている。
【0030】
さらに、放熱部材HB1は、第2絶縁層21を貫くように形成されている第3ビア導体23aを介して、配線基板1のS面SS側の最も外側の導体層である第2導体層22と接続されている。これにより、放熱部材HB1から第3導体パッド22aへの、第3ビア導体23aを介した伝熱経路が形成されている。
【0031】
すなわち、本実施形態の配線基板1では、配線基板1のF面FSを構成する第1導体パッド12aと、S面SSを構成する第3導体パッド22aとの間に、第1ビア導体13a、放熱部材HB1、第3ビア導体23a、を介した伝熱経路が構成されている。この経路により、F面FSで吸収される電子部品D1から発せられる熱は、S面SSから配線基板1の外部へと効率的に放熱され得る。
【0032】
図1に示される例では、配線基板1の多層コア基板100の第5ビア導体15は、それぞれ平面視で互いに重なる位置に形成され、所謂スタックビア導体を形成している。
【0033】
第2ビア導体13bは、第1絶縁層11を貫くように形成されて、第1絶縁層11を挟む第1導体層12と多層コア基板100の第1面100F側の最も外側の導体層である第3導体層32とを接続している。すなわち、第2ビア導体13bの配線基板1のF面FSと反対側の端面は第3導体層32に接続されている。
【0034】
第2ビア導体13bは、第5ビア導体15から構成されるスタックビア導体と平面視で重なる位置に形成されている。上述したように、第2ビア導体13bは、配線基板1のF面FS側から第3導体層32に向かって縮径するテーパー形状を有している。第5ビア導体15は、配線基板1のS面SS側から第3導体層32に向かって縮径するテーパー形状を有している。第2ビア導体13bと第5ビア導体15との第3導体層32を挟んだ端部同士は、略同じ端面面積で、積層方向において略同じ位置で対向している。
【0035】
第4ビア導体23bは、第2絶縁層21を貫くように形成されて、第2絶縁層21を挟む第2導体層22と多層コア基板100の第2面100S側の最も外側の導体層である第7導体層72とを接続している。すなわち、第4ビア導体23bの配線基板1のS面SSと反対側の端面は第7導体層72に接続されている。第4ビア導体23bは、第5ビア導体15から構成されるスタックビア導体と平面視で重なる位置に形成されている。
【0036】
すなわち、本実施形態では、第2ビア導体13bと第4ビア導体23bとが第5ビア導体15に積み重なるように形成されて、第5ビア導体15と共に、スタックビア導体を形成している。電子部品D1から発せられる熱は、部品搭載パッドである第1導体パッド12aを通じて、第1導体層12内で第1導体パッド12aと接続されている第2導体パッド12bからスタックビア導体および第4導体パッド22bを介して配線基板1の外部へと放熱され得る。第2導体パッド12bと第4導体パッド22bとが、スタックビア導体によって短い経路で電気的に接続されているため、効率的な放熱が起こり易いと考えられる。スタックビア導体によって、配線基板1のF面FS側の最外層の第1導体層12から配線基板1のS面SS側の最外層の第2導体層12への効率の良い伝熱経路が形成されている。
【0037】
すなわち、本実施形態の配線基板1は、第1ビア導体13a、放熱部材HB1、および第3ビア導体23aを介した、第1導体パッド12aから第3導体パッド22aまでの伝熱経路に加えて、スタックビア導体を介した、第1導体層12の第2導体パッド12bから第4導体パッド22bまでの伝熱経路をさらに備えている。図1に示されるように、スタックビア導体は、放熱部材HB1の収容部110の周囲に形成されている。すなわち、放熱部材HB1を経由する伝熱経路の周囲にスタックビア導体で接続される伝熱経路が形成されている。第1導体パッド12aが電子部品D1から受容した熱は、積層方向すなわち第1ビア導体13aへと流れるだけでなく、第1導体層12を平面方向にも流れて第2導体パッド12bからスタックビア導体を通じてS面SS側へと放熱される。
【0038】
上述したように、第2ビア導体13bは、配線基板1のF面FSからS面SSへ向かって縮径する形状を有している。一方、第5ビア導体15のそれぞれおよび第4ビア導体23bは、配線基板1のS面SSからF面FSへ向かって縮径する形状を有している。すなわち、第5ビア導体15および第4ビア導体23bは、スタックビア導体の伝熱経路における下流側が拡がった形状でそれぞれ形成されている。この結果、熱は各第5ビア導体15および第4ビア導体23bを配線基板1のS面SSへ向かって流れやすくなっていると考えられる。したがって、スタックビア導体がこのような形状をもつビア導体を含むことにより、第2導体パッド12bから第2ビア導体13bを介して第3導体層32に伝わった熱が、より効率よく配線基板1のS面SSへと流れ、第4導体パッド22bから放熱されていくと考えられる。
【0039】
放熱部材HB1を介した第1導体パッド12aから第3導体パッド22aへの伝熱経路においては、配線基板1のS面SS側の放熱部材HB1の近傍に熱が留まり、局所的な吸熱が起こることがある。本実施形態の配線基板1では、放熱部材HB1の周囲にスタックビア導体を経由する伝熱経路が配置されていることに加えて、スタックビア導体を構成するビア導体を上述の形状とすることにより、さらに配線基板1の放熱効率が向上されていると考えられる。したがって、放熱部材HB1内、および放熱部材HB1近傍の第2導体層22での熱の局所的な蓄積が起こりにくいと考えられる。配線基板1のS面SSからF面FS側への熱の逆流も防止され得ると考えられる。よって、F面FS(具体的には、第1導体パッド12a)から吸収される熱が、S面SS(具体的には、第3導体パッド22aおよび第4導体パッド22b)へ効率的に放熱され得る配線基板1が提供され得る。熱が局所的に留まることによる不良(例えば、配線基板1を構成する構成要素間の剥離や配線基板1の反り等)も抑制され得ると考えられる。
【0040】
好ましくは、収容部110の周囲には、複数のスタックビア導体が形成される。換言すると、収容部110の周囲には、スタックビア導体で構成される複数の伝熱経路が形成され得る。図1の例では、収容部110は、平面方向に2つ並んだスタックビア導体によって周囲を囲まれている。しかしながら、スタックビア導体の数や配置はこれに限定される訳ではなく、スタックビア導体は、F面FSからS面SSへの効率的な放熱が実現され得るように、収容部110の周囲に所望の数で適宜配置され得る。
【0041】
次に、配線基板の製造方法が、図1に示される配線基板1の製造を例にして、図2A図2Kを参照して説明される。
【0042】
まず、放熱部材HB1が収容された収容部110を有する多層コア基板100が形成される。図2Aに示されるように、コア材93およびその表面に金属箔91を有するベース板90が用意される。金属箔91は一面に接着されたキャリア金属箔92を備えており、キャリア金属箔92とコア材93とが熱圧着などにより接合されている。金属箔91とキャリア金属箔92とは、例えば、熱可塑性接着剤などの分離可能な接着剤で接着されるか、縁部だけで固着されている。コア材93には、例えばガラスエポキシ基板が用いられる。両面銅張積層板が、キャリア金属箔92を備えたベース板90として用いられてもよい。金属箔91およびキャリア金属箔92は好ましくは銅箔である。
【0043】
続いてベース板90上に積層体が形成されるが、この形成においては、ベース板90の両面に積層体が2つ同時に形成されてもよいし、ベース板90の一方の面だけに積層体が形成されてもよい。図2Bでは、ベース板90の一方の面だけが示されている。
【0044】
まず、ベース板90上に第3導体層32が形成される。例えば、図示されないめっきレジストが金属箔91上に形成される。めっきレジストには、第3導体層32の導体パターンに応じた開口が設けられる。そして、めっきレジストの開口部に、金属箔91をシード層とする電解めっきにより電解銅めっき膜が形成され、その後、めっきレジストが除去される。それにより、所望の導体パターンを含む第3導体層32が形成される。ベース板90上および第3導体層32上に絶縁層および導体層が積層され、それにより図2Bに示されるように、第3導体層32を覆う絶縁層(第3絶縁層31)を含む積層体が形成される。
【0045】
積層体の形成には、一般的なビルドアップ配線板の製造方法が用いられ得る。例えば、絶縁性樹脂によって主に構成されるフィルム状の絶縁材が第3導体層32および金属箔91の露出部分上に積層され、加圧されると共に加熱される。その硬化物として、第3絶縁層31が形成される。第3絶縁層31の材料は、芯材を含まない、例えばエポキシ樹脂などが例示される。第3絶縁層31は、第3導体層32を、金属箔91側の一面を除いて被覆するように形成される。
【0046】
その後、第5ビア導体15の形成場所に対応する位置の第3絶縁層31に、例えばCO2レーザー光の照射によって第5ビア導体15形成用の貫通孔が形成される。そして、第5ビア導体15形成用の貫通孔内および第3絶縁層31の表面上に、無電解銅めっきなどによって金属膜が形成される。さらに、この金属膜をシード層として用いて、パターンめっき法を用いて銅などからなる電解めっき膜が形成される。その後、パターンめっきに用いられたレジストが除去され、その除去により露出する金属膜が除去される。その結果、所望の導体パターンを含む第4導体層42および第5ビア導体15が形成される。
【0047】
図2Bに示されるように、第3絶縁層31、第4導体層42および第5ビア導体15の形成方法と同様の方法で、第3絶縁層31および第4導体層42上に、順に、第4絶縁層41、第5導体層52、第5絶縁層51、第6導体層62、第6絶縁層61、第7導体層72が、ならびに、各絶縁層を貫通する第5ビア導体15が、形成される。
【0048】
その後、図2Cに示されるように、ベース板90が除去される。具体的には、キャリア金属箔92と金属箔91(図2A参照)とが分離され、それにより露出する金属箔91が、例えばエッチングによって除去される。金属箔91とキャリア金属箔92との分離は、例えば、両者を接着している熱可塑性接着剤を加熱により軟化させることや、両者を縁部において固着している接合部の切除によって行われ得る。ベース板90の除去によって、第3導体層32および第3絶縁層31が露出する。
【0049】
次いで、図2Dに示されるように、放熱ブロックHB1(図1参照)を収容するための開口110が、例えば炭酸ガスレーザーを用いるレーザー加工により形成される。多層コア基板100が完成する。
【0050】
次いで、図2Eに示されるように、開口110が塞がれるように、PETフィルムなどからなるテープ94が、多層コア基板100の第2面100S側から貼り付けられる。
【0051】
次いで、図2Fに示されるように、例えばマウンターを使用して、放熱ブロックHB1がテープ94上に配置される。
【0052】
次いで、開口110が塞がれるように、多層コア基板100の第1面100F上に、プリプレグなどの樹脂フィルムが積層される。加熱プレスにより、樹脂フィルムから樹脂が開口110内にしみ出て開口110が充填される。開口110を充填している樹脂および樹脂フィルムの樹脂を硬化させることで、図2Gに示されるように、第1面100Fおよび放熱ブロックHB1上に第1絶縁層11が形成されるとともに、放熱ブロックHB1が開口110内に封止される。
【0053】
次いで、図2Hに示されるように、テープ94が除去される。
【0054】
続いて、図2Iに示されるように、多層コア基板100の第2面100S側に、樹脂フィルムが積層され、加圧されると共に加熱される。その硬化物として、第2絶縁層21が形成される。
【0055】
次いで、図2Jに示されるように、上述の第4導体層42および第5ビア導体15の製造方法と同様に、第1絶縁層11上の第1導体層12、第1導体層12と放熱部材HB1とを接続する第1ビア導体13a、および、第1導体層12と多層コア基板100の第1面100Fの最外の導体層である第3導体層32とを接続する第2ビア導体13bが形成される。第1導体層12は、第1導体パッド12aおよびの第2導体パッド12bを含むパターンに形成される。第1ビア導体13aは、第1導体パッド12aが第1ビア導体13aを介して放熱部材HB1と接続されるように形成される。第2ビア導体13bは、第2導体パッド12bが第2ビア導体13bを介して第3導体層32と接続されるように、かつ、第5ビア導体15と共にスタックビア導体を形成するように、形成される。第1ビア導体13aおよび第2ビア導体13bは、第1絶縁層11の表面へのレーザー光の照射によって形成される貫通孔を充填することによって形成されるため、多層コア基板100の第1面100Fに向かって縮径するテーパー形状を有するように形成されている。
【0056】
多層コア基板100の第2面100S側には、第2絶縁層21上の第2導体層22、第2導体層22と放熱部材HB1とを接続する第3ビア導体23a、および、第2導体層22と多層コア基板100の第2面100Sの最外の導体層である第7導体層72とを接続する第4ビア導体23bが形成される。第2導体層22は、第3導体パッド22aおよび第4導体パッド22bを含むパターンに形成される。第3ビア導体23aは、第3導体パッド22aが第3ビア導体23aを介して放熱部材HB1と接続されるように形成される。第4ビア導体23bは、第4導体パッド22bが第4ビア導体23bを介して第7導体層72と接続されるように、かつ、第5ビア導体15と共にスタックビア導体を形成するように、形成される。第3ビア導体23aおよび第4ビア導体23bは、第2絶縁層21の表面へのレーザー光の照射によって形成される貫通孔を充填することによって形成されるため、多層コア基板100の第2面100Sに向かって縮径するテーパー形状を有するように形成されている。
【0057】
次いで、図2Kに示されるように第1導体層12および第2導体層22上に、例えばソルダーレジスト層である第1被覆層14および第2被覆層24がそれぞれ形成される。第1被覆層14は、例えば感光性エポキシ樹脂等の塗布ならびに露光および現像によって、第1導体パッド12aを露出させる開口14cを有するように形成される。第2被覆層24には、第3導体パッド22aおよび第4導体パッド22bを露出させる開口24cが形成される。配線基板1の製造が完了する。
【0058】
実施形態の配線基板は、各図面に例示される構造や、本明細書において例示された構造や材料を備えるものに限定されない。図1を参照して説明された配線基板1では、第1積層部および第2積層部はそれぞれ1層の絶縁層および1層の導体層を有している。しかしながら、配線基板の第1積層部および第2積層部が有する絶縁層および導体層の層数はこれに限定されず、所望の層数に増減され得る。また、複数の放熱部材の収容部が配線基板に形成されていてもよい。また、図1には示されていないが、配線基板の最外の導体層に含まれる導体パッドの露出面には、例えば、Ni/Au、Ni/Pd/Au、またはSn等の複数または単一の金属めっき膜、また、OSP膜であり得る保護膜が形成されてもよい。また、配線基板の製造方法は、各図面を参照して説明された方法に限定されず、その条件や順序等は適宜変更されてよい。現に製造される配線基板の構造に応じて、一部の工程が省略されてもよく、別の工程が追加されてもよい。
【符号の説明】
【0059】
1 配線基板
10 第1積層部
20 第2積層部
11 第1絶縁層
12 第1導体層
12a 第1導体パッド
12b 第2導体パッド
13a 第1ビア導体
13b 第2ビア導体
15 第5ビア導体
21 第2絶縁層
22 第2導体層
22a 第3導体パッド
22b 第4導体パッド
23a 第3ビア導体
23b 第4ビア導体
100 多層コア基板
D1 電子部品
WB 配線構造体
HB1 放熱部材
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図2H
図2I
図2J
図2K