(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023168112
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】カバー構造
(51)【国際特許分類】
F02B 63/04 20060101AFI20231116BHJP
F02B 77/13 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
F02B63/04 B
F02B77/13 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022079766
(22)【出願日】2022-05-13
(71)【出願人】
【識別番号】000109819
【氏名又は名称】デンヨー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 愛
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 雅徳
(57)【要約】
【課題】各カバーを独立して容易に開閉できるとともに、各カバーが予期せず開くことを防止できるカバー構造を提供する。
【解決手段】第一天壁部21と第一ヒンジ部22とを有する吊り具カバー20と、第二天壁部51と側壁部52と第二ヒンジ部54とを有する一対のロープ掛け具カバー50とを備え、吊り具カバー20は、閉位置P1と開位置P2との間を、第一回動軸31を中心に回動するように構成され、ロープ掛け具カバー50は、閉位置P3と凹部10内に収容される開位置P4との間を、第二回動軸61を中心に回動するように構成されている。開位置P4にあるロープ掛け具カバー50は、凹部10内に収容され、かつ、閉位置P1にある吊り具カバー20の第一天壁部21が、ロープ掛け具カバー50の回動軌道上に位置している。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体に設けられた凹部を覆うカバー構造であって、
吊り具カバーと、一対のロープ掛け具カバーとを備えており、
前記吊り具カバーは、平面視で前記凹部内に設けられた吊り具が含まれる領域を覆う第一天壁部と、前記第一天壁部を前記筐体に回動可能に連結するための第一ヒンジ部と、を有し、
前記ロープ掛け具カバーは、平面視で前記凹部内の長手方向端部に設けられたロープ掛け具を含む領域を覆う第二天壁部と、前記第二天壁部の端縁から下方に向かって延在する側壁部と、前記第二天壁部および前記側壁部を前記筐体に回動可能に連結するための第二ヒンジ部と、を有し、
前記吊り具カバーは、
前記吊り具を覆う閉位置と、前記吊り具の上方から退避する開位置との間を、前記凹部の長手方向に沿って延在する第一回動軸を中心に回動するように構成され、
前記各ロープ掛け具カバーは、
前記ロープ掛け具を覆う閉位置と、前記ロープ掛け具の上方と側方から退避する前記凹部内に収容される開位置との間を、前記凹部の幅方向に沿って延在する第二回動軸を中心に回動するように構成されており、
開位置にある前記ロープ掛け具カバーは、前記凹部内に収容され、且つ、閉位置にある前記吊り具カバーの前記第一天壁部が、前記ロープ掛け具カバーの回動軌道上に位置する、
カバー構造。
【請求項2】
前記ロープ掛け具カバーが開位置にあるときに、前記ロープ掛け具カバーを所定の角度で支持する開位置支持部材が、前記凹部内に設けられている、
請求項1に記載のカバー構造。
【請求項3】
前記吊り具カバーの前記第一天壁部に規制部材が設けられており、
前記規制部材は、前記吊り具カバーが閉位置にあり前記ロープ掛け具カバーが開位置にあるときに、前記ロープ掛け具カバーを上から押さえるように構成されている、
請求項1に記載のカバー構造。
【請求項4】
前記ロープ掛け具カバーの前記側壁部の内側面には、ハンドル部が設けられており、
前記ハンドル部は、把持用の孔を備え、前記ロープ掛け具カバーが閉位置にあるときに前記凹部の内方向に延在する、
請求項1に記載のカバー構造。
【請求項5】
前記吊り具カバーの端部に第一規制壁部が設けられており、
前記第一規制壁部は、前記吊り具カバーおよび前記ロープ掛け具カバーが閉位置にあるときに、前記ロープ掛け具カバーの前記吊り具カバーに対向する端部の回動軌道上に位置している、
請求項1に記載のカバー構造。
【請求項6】
前記ロープ掛け具カバーの端部に、第二規制壁部が設けられており、
前記第一規制壁部および前記第二規制壁部の少なくともいずれか一方に、クッション部材が設けられている、
請求項5に記載のカバー構造。
【請求項7】
前記ロープ掛け具カバーが閉位置にあるときに、前記ロープ掛け具カバーの前記第二天壁部を下方から支持する閉位置支持部材が、前記凹部内に設けられている、
請求項1に記載のカバー構造。
【請求項8】
前記吊り具カバーを閉位置で固定するプッシュラッチ機構をさらに備えており、
前記プッシュラッチ機構は、前記吊り具カバーの回動を阻止する規制状態と前記吊り具カバーの回動を許容する非規制状態とを切替可能であって、前記吊り具カバーが前記規制状態のときに吊り具カバーに押圧操作が入力されると前記非規制状態に切り替えるとともに前記押圧操作とは反対方向の力を前記吊り具カバーに作用させて吊り具カバーを開く方向へ回動させる、
請求項1に記載のカバー構造。
【請求項9】
前記吊り具カバーを閉位置で固定する施錠機構をさらに備えている、
請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載のカバー構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体の凹部を覆うカバー構造に関する。
【背景技術】
【0002】
発電機等の作業機本体やこれを駆動するエンジン、その他必要な機器を搭載した可搬型作業機の筐体のルーフパネルには、吊り具・ロープ掛け具を収容する凹部が設けられている。当該凹部は、上方に開口しており、盗難防止や使用時の損傷防止などのために凹部カバーで覆われているものがある。従来の凹部カバーとしては、例えば特許文献1または特許文献2に記載されたものが知られている。特許文献1の凹部カバーは、吊り具とローブ掛け具が配設された凹部全体を覆い、両方をまとめてカバーする構成となっている。一方、特許文献2の凹部カバーは、吊り具とロープ掛け具を別々にカバーする構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-156119号公報
【特許文献2】特開2003-214174号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
可搬型作業機は、大まかに分けて「運転時」、「保管時」、「吊り上げ時」、「運搬時」の使用状態がある。このうち「運転時」と「保管時」には、盗難の防止を考慮して吊り具カバーとロープ掛け具カバーを閉じていることが望ましい。「吊り上げ時」には、吊り上げのために吊り具カバーを開く一方、吊りフック等の接触などでロープ掛け具が損傷しないようにロープ掛け具カバーを閉じていることが望ましい。「運搬時」には、ロープによる荷台等への固縛のためにロープ掛け具カバーを開き、吊り具カバーは使用しないため閉じていることが望ましい。
【0005】
特許文献1では、凹部カバーの両端部に、係止カバーが設けられており、係止カバーが有する係止部を筐体ドアの上縁部で押さえ付けることで、凹部カバーに設けたロック機構とエンジン作業機ドアの錠により二重にロックできる構造のため、ロープ掛け具を使用したい場合には、係止カバーの係止部を筐体ドアの上縁部から外すことで、凹部カバーをロックしたまま係止カバーだけを開くことができる。つまり、吊り具をカバーしたままロープ掛け具にアクセスすることができるものの、係止部が筐体ドアの上縁部から外された状態の係止カバーは固定されず蝶番を軸にして回動自由となっており、荷台運搬時の振動や風などで予期せず動き、筐体やカバー自身に傷や破損を生じさせる虞がある。また、係止部が筐体ドアの上縁部から外された状態の係止カバーは、筐体側面から飛び出た状態のため、他の物品との接触等により破損する虞がある。また、係止部を筐体ドアの上縁部で押さえ付け係止カバーを閉じたままでは凹部カバーを開くことができないため、係止カバーを閉じた状態で吊り具を使用することができない。さらに、係止カバー閉時の固定の際に筐体のドアに挟み込む操作をしなくてはならないため、筐体のドアの開閉に時間がかかり作業性が悪いという問題があった。
【0006】
一方、特許文献2の凹部カバーでは、吊り具とロープ掛け具とを、それぞれ独立してカバーはできるものの、吊り具用カバーとロープ掛け具用カバーのそれぞれに施錠用の鍵が必要であり作業手間が多く、また鍵やカバー自体の紛失の虞もある。
【0007】
そこで、本発明は、各カバーを独立して容易に開閉できるとともに、各カバーが予期せず開くことを防止できるカバー構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための手段として、本発明に係るカバー構造は、筐体に設けられた凹部を覆うものであって、吊り具カバーと、一対のロープ掛け具カバーとを備えている。前記吊り具カバーは、平面視で前記凹部内に設けられた吊り具が含まれる領域を覆う第一天壁部と、前記第一天壁部を前記筐体に回動可能に連結するための第一ヒンジ部と、を有し、前記ロープ掛け具カバーは、平面視で前記凹部内の長手方向端部に設けられたロープ掛け具を含む領域を覆う第二天壁部と、前記第二天壁部の端縁から下方に向かって延在する側壁部と、前記第二天壁部および前記側壁部を前記筐体に回動可能に連結するための第二ヒンジ部と、を有している。前記吊り具カバーは、前記吊り具を覆う閉位置と、前記吊り具の上方から退避する開位置との間を、前記凹部の長手方向に沿って延在する第一回動軸を中心に回動するように構成され、前記各ロープ掛け具カバーは、前記ロープ掛け具を覆う閉位置と、前記ロープ掛け具の上方と側方から退避する前記凹部内に収容される開位置との間を、前記凹部の幅方向に沿って延在する第二回動軸を中心に回動するように構成されている。開位置にある前記ロープ掛け具カバーは、前記凹部内に収容され、且つ、閉位置にある前記吊り具カバーの前記第一天壁部が、前記ロープ掛け具カバーの回動軌道上に位置する。
【0009】
このような構成のカバー構造によれば、吊り具カバーとロープ掛け具カバーとを独立して容易に開閉できる。また、開位置にあるロープ掛け具カバーが、振動や風などの外的要因によって閉位置側に回動しようとしても、吊り具カバーの第一天壁部に当たって止められる。したがって、吊り具カバーが閉位置にある状態では、ロープ掛け具カバーは、凹部の内部に収容され続ける。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るカバー構造によれば、各カバーを独立して容易に開閉できるとともに、各カバーが予期せず開くことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】カバー構造が設けられた筐体を示した斜視図である。
【
図2】本発明の第一の実施形態に係るカバー構造が取り付けられる凹部を示した斜視図である。
【
図3】凹部を取り外した状態を示した斜視図である。
【
図4】(a)は吊り具カバーを示した斜視図、(b)は吊り具カバーを斜め下方から見上げた状態を示した斜視図である。
【
図5】(a)はロープ掛け具カバーを示した斜視図、(b)はロープ掛け具カバーを斜め下方から見上げた状態を示した斜視図である。
【
図6】吊り具カバーが閉位置にありロープ掛け具カバーが閉位置にある状態を示した断面図である。
【
図7】(a)は吊り具カバーが開位置にありロープ掛け具カバーが閉位置にある状態を示した断面図、(b)は吊り具カバーが開位置にありロープ掛け具カバーが閉位置にある状態を示した斜視図である。
【
図8】(a)は吊り具カバーが閉位置にある状態を示した断面図、(b)は吊り具カバーが開位置にある状態を示した断面図である。
【
図9】(a)は吊り具カバーが開位置にありロープ掛け具カバーが開位置にある状態を示した断面図、(b)は吊り具カバーが開位置にありロープ掛け具カバーが開位置にある状態を示した斜視図である。
【
図10】(a)は吊り具カバーが閉位置にありロープ掛け具カバーが開位置にある状態を示した断面図、(b)は吊り具カバーが閉位置にありロープ掛け具カバーが開位置にある状態を示した斜視図である。
【
図11】(a)は施錠した状態を示した平面図、(b)は開錠した状態を示した平面図である。
【
図12】本発明の第二の実施形態に係るカバー構造が取り付けられる凹部を示した斜視図である。
【
図13】(a)は第二の実施形態に係るカバー構造の吊り具カバーを示した斜視図、(b)は吊り具カバーを斜め下方から見上げた状態を示した斜視図である。
【
図14】(a)は第二の実施形態に係るカバー構造のロープ掛け具カバーを示した斜視図、(b)はロープ掛け具カバーを斜め下方から見上げた状態を示した斜視図である。
【
図15】(a)は第二の実施形態に係るカバー構造の吊り具カバーが閉位置にありロープ掛け具カバーが閉位置にある状態を示した断面図、(b)は吊り具カバーが開位置にありロープ掛け具カバーが閉位置にある状態を示した断面図である。
【
図16】(a)は第二の実施形態に係るカバー構造の吊り具カバーが開位置にありロープ掛け具カバーが開位置にある状態を示した断面図、(b)は吊り具カバーが閉位置にありロープ掛け具カバーが開位置にある状態を示した断面図である。
【
図17】(a)は第三の実施形態に係るカバー構造の吊り具カバーが開位置にありロープ掛け具カバーが開位置にある状態を示した断面図、(b)は吊り具カバーが閉位置にありロープ掛け具カバーが開位置にある状態を示した断面図である。
【
図18】(a)は規制部材の第一変形例を示した断面図、(b)は規制部材の第二変形例を示した断面図である。
【
図19】(a)は施錠機構の第一変形例を示した図であって、施錠した状態を示した斜視図、(b)は施錠した状態を斜め下方から見上げた斜視図である。
【
図20】(a)は施錠機構の第一変形例を示した図であって、開錠した状態を示した斜視図、(b)は開錠した状態を斜め下方から見上げた斜視図である。
【
図21】(a)は施錠機構の第一変形例を示した図であって、施錠した状態を示した側面図、(b)は開錠した状態を示した側面図である。
【
図22】(a)は施錠機構の第二変形例を示した図であって、施錠した状態を示した斜視図、(b)は施錠した状態を斜め下方から見上げた斜視図である。
【
図23】(a)は施錠機構の第二変形例を示した図であって、開錠した状態を示した斜視図、(b)は開錠した状態を斜め下方から見上げた斜視図である。
【
図24】(a)は施錠機構の第二変形例を示した図であって、施錠した状態を示した側面図、(b)は開錠した状態を示した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第一実施形態)
本発明の第一の実施形態に係るカバー構造について、添付した図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、筐体の長手方向を「X方向」、凹部が延在する方向(筐体の短手方向)を「Y方向」、鉛直方向を「Z方向」とする。
【0013】
(筐体)
図1に示すように、本実施形態におけるカバー構造1が設けられる筐体2は、例えば、内部に発電機等の作業機本体やこれを駆動するエンジン、その他必要な機器を搭載し収容するためのものである。筐体2は、金属、木材又は樹脂などの部材からなり、外形形状は直方体形状である。なお、筐体2の外形形状は一例であって、円柱形状であってもよいし、平面視長円形の箱型であってもよい。筐体2は、ベース3と、側壁4と、ルーフパネル5とを含む。ベース3は、側壁4で区画される空間の下部を覆うように配置される。ルーフパネル5は、側壁4で区画される空間の上部を覆うように配置される。ルーフパネル5には、凹部10が設けられている。
【0014】
(凹部)
凹部10は、吊り具11とロープ掛け具12を収容するためのものであり、ルーフパネル5の筐体長手方向(X方向)の中央部に、Y方向に沿って延在している。
図2および
図3に示すように、凹部10は、ルーフパネル5の表面から下方に向かって凹み、上方に向かって開口する断面U字形状を呈している。凹部10の延在方向(Y方向)両端は、側方に向かって開口するよう構成されている。凹部10は、一対の側壁13,13と、底壁14とを備えている。凹部10の内側には、吊り具11と、一対のロープ掛け具12,12とが設けられている。一対の側壁13,13は、X方向に間隔をあけて互いに平行配置された板材にて構成されている。底壁14は、一対の側壁13,13の下端部同士を連結しており、水平配置された板材にて構成されている。底壁14と一対の側壁13,13とが合わさって溝形形状が構成されている。
【0015】
吊り具11は、筐体2を吊り上げる際にクレーンのフックやスリングを掛けるための部位であって、凹部10の長手方向(Y方向)の中間部に設けられている。吊り具11は、円柱状を呈しており、互いに対向する一対の側壁13,13間に架け渡されている。吊り具11の両端部は、側壁13を貫通して凹部10の外側に突出している。側壁13の外側には、補強プレート15が設けられている。吊り具11の両端の突出部11aは、補強プレート15を貫通して、補強プレート15に溶接されている。なお、吊り具11の形状は、前記構成に限定されるものではない。例えば、逆U字形状の金具を底壁14に溶接して、吊り具としてもよい。
【0016】
ロープ掛け具12は、輸送時に筐体2が動かないように固定するためのものであって、筐体2を荷台(図示せず)に固縛するロープ等を引っ掛けるために用いる。ロープ掛け具12は、凹部10の長手方向(Y方向)の両端部にそれぞれ設けられている。ロープ掛け具12は、平面視く字状になるように中央で屈曲した円柱体である。ロープ掛け具12は、凹部10の長手方向両端部において、互いに対向する一対の側壁13,13間に架け渡されている。ロープ掛け具12の両端部は、側壁13を貫通して凹部10の外側に突出している。ロープ掛け具12の両端の突出部は、側壁13に溶接されている。なお、ロープ掛け具12の形状は、前記構成に限定されるものではない。例えば、鉛直方向に延在する柱状体や、フック状に折り曲げられた金具を、底壁14に溶接して、ロープ掛け具としてもよい。
【0017】
本発明の第一の実施形態に係るカバー構造1は、凹部10を覆うものであって、吊り具カバー20と、ロープ掛け具カバー50と、開位置支持部材70と、閉位置支持部材80と、プッシュラッチ機構90とを備えている。
【0018】
(吊り具カバー)
図6に示すように、吊り具カバー20は、吊り具11の上方において凹部10の開口を覆うことで、吊り具11の不使用時に吊り具11が外部に露出することを防ぎ、吊り具11を傷や汚れから保護するものである。吊り具カバー20は、
図8に示すように、凹部10の長手方向(Y方向)に沿って延在する第一回動軸31を中心に回動可能であり、閉位置P1と開位置P2との間で回動する。閉位置P1は、吊り具11の上方において凹部10の開口を覆う位置である(
図8の(a)参照)。開位置P2は、凹部10を露出させる位置である(
図8の(b)参照)。
図4に示すように、吊り具カバー20は、第一天壁部21と、第一ヒンジ部22と、枠壁部23と、第一規制壁部24とを有している。
【0019】
第一天壁部21は、平面視で凹部10内に設けられた吊り具11が含まれる領域を覆う長方形の板状部材であって、短辺の長さが凹部10のX方向の幅寸法と略同じである。第一天壁部21は、吊り具カバー20が閉位置P1にあるときに、吊り具11の上方に配置される。第一天壁部21は、凹部10のY方向中間部から両端部に向かって延在している。第一天壁部21のY方向端部は、ロープ掛け具12よりも吊り具11寄りの位置まで延在しており、ロープ掛け具12の上方は覆わない(ロープ掛け具カバー50と所定のクリアランスをあけて配置される)ように構成されている。第一天壁部21は、第一ヒンジ部22を介して筐体2に回動可能に支持されている。吊り具カバー20が閉位置P1にあるときは、第一天壁部21の上面は、ルーフパネル5の上面と面一になる。
【0020】
枠壁部23は、吊り具カバー20の剛性を上げるために設けられており、第一天壁部21の長辺に沿って一対形成されている。枠壁部23は、第一天壁部21の長辺の周縁部に連続してほぼ直交しており、吊り具カバー20が閉位置P1にあるときに、周縁部から垂下する。枠壁部23の先端部は、対向する枠壁部23側に向かって直角に折り返されており、吊り具カバー20の剛性をさらに上げている。吊り具カバー20が開位置P2にあるときに、下側になる枠壁部23には、枠壁部23の内側に溜まる雨水等を排水するための水抜き孔25が形成されている。
【0021】
枠壁部23の先端部で、吊り具11に対向する部分には、切欠き部26が形成されている。切欠き部26は、枠壁部23が吊り具11に干渉しないように設けられており、吊り具11の外周形状に沿った円弧形状に形成されている(
図6参照)。
【0022】
第一天壁部21の長手方向(Y方向)中間部には、指掛け用切欠き部27が形成されている。指掛け用切欠き部27は、吊り具カバー20を持ち上げる際に作業者が指先を掛ける部位である。なお、指掛け用切欠き部27の形状は、
図4の構成に限定されるものではない。例えば、第一天壁部21に形成された矩形、円形や楕円形状の孔であってもよい。
【0023】
第一規制壁部24は、閉位置P3にあるロープ掛け具カバー50の回動を規制する部位であって、第一天壁部21の端部(短辺部)に設けられている。第一規制壁部24は、第一天壁部21の短辺の周縁部に連続して直交し、吊り具カバー20が閉位置P1にあるときに、凹部10の底壁14に向かって延在し、閉位置P3にあるロープ掛け具カバー50に対向する。
【0024】
第一ヒンジ部22は、筐体2と第一天壁部21とを連結し、吊り具カバー20を閉位置P1と開位置P2との間で回動させるための部位である。第一ヒンジ部22は、第一天壁部21の長手方向(Y方向)に間隔をあけて複数(本実施形態では二つ)設けられている。二つの第一ヒンジ部22,22は、第一天壁部21のY方向の中間部を挟んで対向する位置に設けられている。第一ヒンジ部22は、第一回動軸31と、ヒンジアーム32と、ヒンジアームカバー33とを有する。
【0025】
図3および
図8に示すように、第一回動軸31は、吊り具カバー20の回動中心となる軸であって、凹部10の長手方向(Y方向)に沿って延在する。第一回動軸31は、側壁13の外側に取り付けられたヒンジアームカバー33に支持されている。
【0026】
ヒンジアームカバー33は、ヒンジアーム32の一端部(側壁13よりも外側に位置する端部)を囲う部位である。
図3に示すように、ヒンジアームカバー33は、一対の縦壁部34,34と、側壁固定片部35と、ルーフパネル固定片部36とを備えている。縦壁部34は、側壁13に直交してX方向に広がる板状部材からなり、Y方向に所定の間隔をあけて配置されている。縦壁部34,34間の隙間にヒンジアーム32の一端部が収容され、縦壁部34,34の上端部間に第一回動軸31が掛け渡されている。第一回動軸31の側壁部寄りには、ストッパーピン38が設けられている。ストッパーピン38は、ヒンジアーム32の回動位置を規制するピンであって、第一回動軸31と平行に配置されている。ヒンジアーム32がストッパーピン38に当接すると、吊り具カバー20が開位置P2で止められる。
【0027】
図7および
図8に示すように、側壁13には、挿通孔16が形成されている。挿通孔16は、縦壁部34,34間の隙間に対向する部分に設けられている。挿通孔16には、ヒンジアーム32が挿通される。挿通孔16は、ヒンジアーム32の回動を阻害しないよう、縦長に形成されている。
【0028】
図3に示すように、側壁固定片部35は、縦壁部34の側壁13側の端部に連続して直交する板状部であり、側壁13の外面に当接する。側壁固定片部35を側壁13にボルト止めすることで、ヒンジアームカバー33が側壁13に固定される。ルーフパネル固定片部36は、縦壁部34の上端部に連続して直交する板状部であり、ルーフパネル5の下面に当接する。ルーフパネル固定片部36をルーフパネル5にボルト止めすることで、ヒンジアームカバー33がルーフパネル5に固定される。
【0029】
図8に示すように、ヒンジアーム32は、第一回動軸31と第一天壁部21とを連結する部位である。ヒンジアーム32は、下方に膨らんで湾曲しており、ストッパーピン38の下方を通過する。閉位置P1にある吊り具カバー20を、第一回動軸31を中心にして上方に回動させると、ヒンジアーム32の他端部(第一天壁部21側の端部)が第一回動軸31を超える位置まで移動し、吊り具カバー20が開位置P2まで移動すると、ヒンジアーム32の一端部がストッパーピン38に当接する。吊り具カバー20が開位置P2にあるとき、第一天壁部21は、凹部10の上方位置から退避した状態となる。
図4の(b)に示すように、ヒンジアーム32の他端部(第一天壁部21側の端部)は、接続ブラケット37を介して、第一天壁部21に接続されている。接続ブラケット37は、断面L型の金属板からなり、一方の面が第一天壁部21の裏面(凹部10に対向する面)に溶接されている。接続ブラケット37の他方の面には、長孔(図示せず)が形成されている。長孔は、ヒンジアーム32の他端部と接続ブラケット37とを接続するためのボルトが挿通される孔である。長孔の範囲で、ヒンジアーム32の取付位置を調整可能になっている。
【0030】
このようなヒンジアーム32を用いることで、吊り具カバー20が閉位置P1にあるときに、ヒンジアーム32が筐体2の外部に露出されず、美観が向上する。なお、美観を考慮しなくても良い場合には、ヒンジアーム32に代えて、単純に丁番を用いて第一天壁部21を回動可能に支持するようにしてもよい。
【0031】
(ロープ掛け具カバー)
図6,7および
図9,10に示すように、ロープ掛け具カバー50は、ロープ掛け具12の上方と、ロープ掛け具12の側方を覆う部位である。ロープ掛け具カバー50は、ロープ掛け具12の不使用時に、ロープ掛け具12が露出することを防ぎ、ロープ掛け具12を傷や汚れから保護する。ロープ掛け具カバー50は、凹部10の長手方向両端に配置される。ロープ掛け具カバー50は、凹部10の幅方向(X方向)に沿って延在する第二回動軸61を中心に回動する。ロープ掛け具カバー50は、凹部10の長手方向両端部の開口を覆う閉位置P3(
図6参照)と、凹部10の長手方向両端部を露出させる開位置P4(
図9参照)との間で回動する。
図5に示すように、ロープ掛け具カバー50は、第二天壁部51と、側壁部52と、接続壁部53と、第二ヒンジ部54と、枠壁部55と、第二規制壁部56とを有する。
【0032】
第二天壁部51は、ロープ掛け具12を含む領域を覆う矩形の板状部材である。第二天壁部51は、ロープ掛け具カバー50が閉位置P3にあるときに、ロープ掛け具12の上方において凹部10を覆う位置に配置される(
図6および
図7参照)。第二天壁部51のX方向長さは、凹部10のX方向の幅寸法と略同じである。ロープ掛け具カバー50が閉位置P3にあるときに、第二天壁部51の上面は、ルーフパネル5の上面と面一になる。
【0033】
側壁部52は、凹部10の長手方向(Y方向)の端部を覆う矩形の板状部材である。側壁部52は、ロープ掛け具カバー50が閉位置P3にあるときに、ロープ掛け具12の側方において凹部10を覆う位置に配置される。側壁部52のX方向長さは、凹部10のX方向の幅寸法と略同じである。ロープ掛け具カバー50が閉位置P3にあるときに、側壁部52の表面は、ルーフパネル5の側面と面一になる。
【0034】
側壁部52の先端部(ロープ掛け具カバー50が閉位置P3にあるときの下端部)の内側面には、ハンドル部57が設けられている。ハンドル部57は、ロープ掛け具カバー50を開位置P4から閉位置P3に回動させる際に、作業者が指をかけるための部位であり、把手用の孔58を備えている。ハンドル部57は側壁部52の内面側から側壁部52に対して直交する方向に延在している。つまり、ハンドル部57は、ロープ掛け具カバー50が閉位置P3にあるときに凹部10の内方向に向かって水平に延在する。
【0035】
接続壁部53は、第二天壁部51と側壁部52とを接続する部位である。接続壁部53は湾曲しており、ロープ掛け具カバー50が閉位置P3にあるときに、接続壁部53の表面は、ルーフパネル5の稜部の外面と面一になる。
【0036】
なお、接続壁部53の形状は、湾曲形状に限定されるものではない。接続壁部53は、傾斜した平面形状であってもよいが、ルーフパネル5の稜部の形状に合わせた形状であることが好ましい。また、接続壁部を省略して、第二天壁部51と側壁部52とが連続して直交するものであってもよい。
【0037】
枠壁部55は、ロープ掛け具カバー50の剛性を上げるために設けられており、第二天壁部51の幅方向(X方向)の両側に、それぞれ設けられている。枠壁部55は、接続壁部53および側壁部52のうち、凹部10の各側壁13と対向する端縁にそれぞれ連続して直交している。枠壁部55は、ロープ掛け具カバーが閉位置P3にあるときに、凹部10内側に向かって延出する。枠壁部55のうち、接続壁部53に繋がる位置には、枠壁部55の内側に溜まる雨水等を排水するための水抜き孔59が形成されている。
【0038】
第二規制壁部56は、吊り具カバー20が閉位置P1にあり、且つ、ロープ掛け具カバー50が閉位置P3にあるときに、吊り具カバー20の第一規制壁部24と干渉させることで、ロープ掛け具カバー50の回動を規制するための部位である。第二規制壁部56は、ロープ掛け具カバー50の第二天壁部51の端部のうち、吊り具カバー20に対向する端部に連続して形成されている。吊り具カバー20が閉位置P1にあり、且つ、ロープ掛け具カバー50が閉位置P3にあるときに、第二規制壁部56は、凹部10の底壁14に向かって延在し、吊り具カバー20の第一規制壁部24に対して平行となる。第二規制壁部56は、第一規制壁部24よりも下方に延在している。第二規制壁部56の下端部は、ロープ掛け具カバー50の剛性を高めるべく、対向する吊り具カバー20側に向かって直角に折り返されている。
【0039】
第一規制壁部24および第二規制壁部56の少なくともいずれか一方(本実施形態では、第二規制壁部56のみ)には、クッション部材63が設けられている。クッション部材63は、吊り具カバー20が閉位置P1にあり、且つ、ロープ掛け具カバー50が閉位置P3にあるときに、第一規制壁部24と第二規制壁部56のそれぞれに傷がつかないようにするための部位であり、ロープ掛け具カバー50の第二規制壁部56と、吊り具カバー20の第一規制壁部24との間に介在される。クッション部材63は、頭部と脚部を備えた弾性部材からなり、第二規制壁部56に形成された孔(図示せず)に脚部を嵌合させることで、第二規制壁部56に固定されている。
【0040】
第二ヒンジ部54は、ロープ掛け具カバー50を筐体2の凹部10に回動可能に連結するための部位であり、一対の突出部64,64を備えている。突出部64は、第二天壁部51の吊り具カバー20側の端部において、凹部10の各側壁13と対向する端縁にそれぞれ連続して直交している。突出部64は、枠壁部55と同一面上に形成されており、ロープ掛け具カバー50が閉位置P3にあるときに、下方に延出する。突出部64には、軸受65が設けられている。軸受65は、側壁13に設けられた第二回動軸61を回転可能に支持する。
【0041】
(開位置支持部材)
図9に示すように、開位置支持部材70は、ロープ掛け具カバー50が開位置P4にあるときに、ロープ掛け具カバー50を支持する部位である。開位置支持部材70は、凹部10内で、閉位置P1にある吊り具カバー20の第一天壁部21の下方に設けられている。開位置支持部材70は、凹部10の両側壁13,13のそれぞれの内側面に取り付けられている。二つの開位置支持部材70,70は、対向するように配置されている。
図3にも示すように、開位置支持部材70は、断面L型の板状部材にて構成されており、第一板部71と、第一板部71に直交する第二板部72とを備えている。第一板部71は側壁13の内側面に当接し、第二板部72はロープ掛け具カバー50を支持する面となる。第一板部71には、長孔73が形成されている。長孔73は、開位置支持部材70を側壁13に固定するためのボルトが挿通される孔であり、第二板部72の法線方向に沿って延在している。開位置支持部材70は、長孔73の範囲で、取付位置を調整可能である。第二板部72は、開位置P4におけるロープ掛け具カバー50の側壁部52の傾斜角度に応じて傾斜して配置され、その上面にロープ掛け具カバー50の側壁部52が載置される。第二板部72には、クッション部材74が設けられている。クッション部材74は、ロープ掛け具カバー50が開位置P4にあるときに、側壁部52と第二板部72のそれぞれに傷がつかないようにするための部位である。クッション部材74は、クッション部材63と同形状であり、頭部が斜め上方に対向するように配置されている。クッション部材74は、第二板部72に形成された孔(図示せず)に脚部を嵌合させることで、開位置支持部材70に固定されている。
【0042】
(閉位置支持部材)
図6および
図7に示すように、閉位置支持部材80は、ロープ掛け具カバー50が閉位置P3にあるときに、ロープ掛け具カバー50の第二天壁部51を下方から支持する部位である。つまり、閉位置支持部材80は、ロープ掛け具カバー50の閉位置P3での位置決めを行う。閉位置支持部材80は、凹部10内で、閉位置P3にあるロープ掛け具カバー50の第二天壁部51の下方に設けられている。閉位置支持部材80は、凹部10の両側壁13,13のそれぞれの内側面に取り付けられている。二つの閉位置支持部材80は、対向する位置に配置されている。
図3にも示すように、閉位置支持部材80は、断面L型の板状部材にて構成されており、第一板部81と、第一板部81に直交する第二板部82とを備えている。第一板部81は側壁13の内側面に当接している。第一板部81には、長孔83が形成されている。長孔83は、閉位置支持部材80を側壁13に固定するためのボルトが挿通される孔であり、上下方向に延在している。閉位置支持部材80は、長孔83の範囲で、取付高さ位置を調整可能である。第二板部82はロープ掛け具カバー50を支持する。第二板部82の上端部には、直角に折り曲げられた水平板部85が形成されている。水平板部85に、第二天壁部51が載置される。水平板部85には、クッション部材84が設けられている。クッション部材84は、ロープ掛け具カバー50が閉位置P3にあるときに、第二天壁部51と水平板部85のそれぞれに傷がつかないようにするための部位である。クッション部材84は、クッション部材74と同形状であり、頭部が上方に対向して配置されている。クッション部材84は、水平板部85に形成された孔(図示せず)に脚部が嵌合することで、閉位置支持部材80に固定されている。
【0043】
(プッシュラッチ機構)
図8に示すように、プッシュラッチ機構90は、吊り具カバー20を閉位置P1で凹部10に固定する部位である。プッシュラッチ機構90は、吊り具カバー20の回動を阻止する規制状態と、吊り具カバー20の回動を許容する非規制状態とを切替可能である。プッシュラッチ機構90は、吊り具カバー20が規制状態のときに吊り具カバー20に下方への押圧操作が入力されると非規制状態に切り替えられ、押圧操作とは反対方向(上方)の力を吊り具カバー20に作用させて吊り具カバー20を開く方向へ回動させる。プッシュラッチ機構90は、ラッチ本体91と、フック部材92とを備えている。
【0044】
ラッチ本体91は、凹部10の側壁13のうち、ヒンジアームカバー33が取り付けられた側壁13に対向する側壁13の内側面に取り付けられている。ラッチ本体91は、ヒンジアームカバー33の取付位置に対向する位置の二か所に設けられている。なお、ラッチ本体91の取付位置は、凹部10の長手方向(Y方向)の中間部を挟んで対象位置であれば、ヒンジアームカバー33の取付位置に対してY方向にずれていてもよい。また、ラッチ本体91の取付個数は、二個に限定されるものではなく、四個以上の偶数個であってもよいし、凹部10の長手方向(Y方向)の中間部に設けられた一個を含む奇数個であってもよい。ラッチ本体91は、上向きに取り付けられており、フック部材92を係止する係止部が上端部に設けられている。
【0045】
フック部材92は、ラッチ本体91の上端部の係止部に着脱可能に係止される部位である。フック部材92は、ラッチ本体91に相当する位置で、吊り具カバー20の第一天壁部21の先端部の枠壁部23の端部の折返し部に取り付けられている。
【0046】
以上説明した吊り具カバー20とロープ掛け具カバー50との位置関係は、
図10に示すように、閉位置P1にある吊り具カバー20の第一天壁部21は、ロープ掛け具カバー50の回動軌道L上に位置している。そして、ロープ掛け具カバー50が開位置P4にあるときは、閉位置P1にある吊り具カバー20がロープ掛け具カバー50の上方を塞いでいる。この状態では、ロープ掛け具カバー50が振動や風などの外的要因によって後記する閉位置P3側の方向Dに回動しようとしても、吊り具カバー20の第一天壁部に当たって止められる。
【0047】
また、吊り具カバー20の第一規制壁部24は、ロープ掛け具カバー50の端部(吊り具カバー20に対向する第二天壁部51の端部)の回動軌道上に位置している(
図6参照)。これによって、ロープ掛け具カバー50が閉位置P3から上方に回動しようとすると、ロープ掛け具カバー50の端部が吊り具カバー20側へ移動し、第一規制壁部24に当接するので、回動が規制される。
【0048】
(動作)
次に、本実施形態に係るカバー構造1の各部の動作と作用効果を説明する。まず、吊り具カバー20が閉位置P1にあり、且つ、ロープ掛け具カバー50が閉位置P3にあるときの状態を説明する。
図6に示すように、両カバー20,50がそれぞれ閉位置P1,P3にある状態では、凹部10の開口はすべて覆われ、吊り具11とロープ掛け具12は外部から見えなくなる。このとき、吊り具カバー20の第一天壁部21の表面およびロープ掛け具カバー50の第二天壁部51の表面はルーフパネル5の上面と面一であり、ロープ掛け具カバー50の側壁部52はルーフパネル5の側面と面一であり、接続壁部53の表面はルーフパネル5の稜部の外面と面一になっているので、凹凸が発生せず、美観が良好であり、意匠性が向上する。
【0049】
閉位置P1における吊り具カバー20は、プッシュラッチ機構90によって凹部10に固定されている(規制状態)ので、振動や風などの外的要因によって吊り具カバー20が勝手に開かない。
【0050】
閉位置P3におけるロープ掛け具カバー50は、閉位置支持部材80の上面に第二天壁部51の下面が当接することで、位置決めがなされている。ロープ掛け具カバー50は、閉位置支持部材80によって、側壁部52の下端面と凹部10の底壁14との間に僅かなクリアランスを設けることができる高さに位置決めされる。このクリアランスは、凹部10内に浸入した雨水等の排出口の役目を果たすとともに、ロープ掛け具カバー50を閉位置P3から開位置P4へ回動する際に指先を掛ける間隙として利用することができる。閉位置支持部材80の設置高さは、ボルトの締緩により、長孔83の範囲内で容易に調節可能なので、ロープ掛け具カバー50の閉位置P3における第二天壁部51の高さを微調整することが可能である。したがって、第二天壁部51の上面と、ルーフパネル5の上面とを容易に一致させる(面一とする)ことができる。
【0051】
カバー構造1は吊り具カバー20に第一規制壁部24が備わっているので、ロープ掛け具カバー50が第二回動軸61を中心にして開位置P4へ向けて回動しようとすると(例えば、ロープ掛け具カバー50を持ち上げようとすると)、ロープ掛け具カバー50の端部が第一規制壁部24に当接して、ロープ掛け具カバー50の回動が規制される。さらに、ロープ掛け具カバー50が第二規制壁部56とクッション部材63を備えているので、クッション部材63が第一規制壁部24に当接して緩衝材の役目を果たす。これによって、第一規制壁部24の表面と第二規制壁部56の表面とに傷がつくのを防止できるとともに、搬送時等におけるロープ掛け具カバー50の振動を抑制できる。
【0052】
次に、吊り具カバー20が閉位置P1にあり、且つ、ロープ掛け具カバー50が閉位置P3にある状態から、吊り具カバー20を開位置P2に回動させる状態を説明する。
吊り具カバー20を開く際には、まず、吊り具カバー20をラッチ本体91に向けて下方に押圧する。すると、プッシュラッチ機構90が非規制状態に切り替わり、ラッチ本体91によって吊り具カバー20が持ち上げられるので、回動作業を容易に始めることができる。そして、指掛け用切欠き部27に作業者が指先を引っ掛けて吊り具カバー20を持ち上げると、吊り具カバー20は、第一回動軸31を中心として開位置P2まで回動する。吊り具カバー20は、ヒンジアームカバー33に設けられたストッパーピン38にヒンジアーム32が当接することで、開位置P2で位置決めがなされる。
図7および
図8の(b)に示すように、開位置P2は、第一天壁部21が凹部10の上方から完全に外れる位置であり、閉位置P1に対して第一天壁部21が90度以上回動した位置になっている。したがって、ロープ掛け具カバー50を持ち上げ、ロープ掛け具カバー50を開位置P4に回動させて内部に収容する際に、吊り具カバー20とロープ掛け具カバー50とが干渉しない。
【0053】
また、筐体2の吊り下げ輸送はこの状態で行うが、吊り具カバー20とロープ掛け具カバー50が独立しているため、吊り具カバー20が開位置P2にあるときにロープ掛け具カバー50を閉位置P3に留めることができる(
図7参照)。したがって、吊り具カバー20を開放して吊り下げ輸送を行う時に、ロープ掛け具カバー50を閉じてロープ掛け具12を保護することができる。さらに、筐体2の吊り下げ輸送時には、吊り具11の近傍までクレーンのフックを接近させる必要があるが、クレーンのフックは長い鎖で吊り下げられているため、予期せずフックが揺れ筐体2に接触するおそれがある。このとき、フックがロープ掛け具12に接触すると、ロープ掛け具12が曲がったり破損したりする場合があるので、吊り具11の使用時にロープ掛け具カバー50によってロープ掛け具12を保護する構成に利点がある。
【0054】
次に、吊り具カバー20が開位置P2にあり、且つ、ロープ掛け具カバー50が閉位置P3にある状態から、ロープ掛け具カバー50を開位置P4に回動させる状態を説明する。
吊り具カバー20が開位置にある状態で、ロープ掛け具カバー50の側壁部52を上向きに持ち上げると、
図9に示すように、第二回動軸61を中心として開位置P4まで回動する。ロープ掛け具カバー50は、側壁部52の外面が開位置支持部材70に当接することで開位置P4の位置決めがなされる。ここで、側壁部52は、クッション部材74を介して開位置支持部材70に当接するので、ロープ掛け具カバー50および開位置支持部材70の表面に傷がつくのを防止できる。また、本実施形態では、開位置支持部材70がない場合に比べ、ロープ掛け具カバー50の開閉時の回動角度を小さくできるので、作業者の負担が軽減する。
【0055】
ロープ掛け具カバー50は、開位置P4において、側壁部52が傾斜して斜め上方に向いているので、側壁部52を把持し易く、開閉時の作業性が良好となる。さらに、本実施形態では、側壁部52にハンドル部57が設けられているので、ロープ掛け具カバー50を開位置P4から持ち上げる際の作業性がより一層良好となる。特に、ハンドル部57は、開位置P4において、把持しようとする作業者に向かって斜め上方に延在することになるので、非常に把持し易い。なお、ロープ掛け具カバー50が閉位置P3にあるときに、ハンドル部57は凹部10の内側方向に延在するので邪魔にならない。
【0056】
次に、吊り具カバー20が開位置P2にあり、且つ、ロープ掛け具カバー50が開位置P4にある状態から、吊り具カバー20を閉位置P1に回動させる状態を説明する。
図10に示すように、吊り具カバー20を回動させて閉位置P1に戻すと、吊り具カバー20の第一天壁部21は、ロープ掛け具カバー50の回動軌道上に配置されるとともに、凹部10の内部に収容されたロープ掛け具カバー50の上方を覆うことになる。そのため、ロープ掛け具カバー50が閉位置P3へ向かう方向Dに回動しようとしても、吊り具カバー20に当接して、回動を阻害されるため、閉位置P3になることはできない。トラックの荷台やコンテナ積み込み時の固縛はこの状態で行うが、ロープ掛け具カバー50は、吊り具カバー20によって覆われているので、振動や風などの外的要因によって予期せず閉位置P3に戻ることはない。また、ロープ掛け具カバー50は、凹部10の内部に収容されるので、筐体2の外側に突出せず、先行文献1のように開放状態のロープ掛け具カバーが邪魔になることはない。
【0057】
(施錠機構)
なお、本実施形態では、プッシュラッチ機構90に加えて施錠機構95が設けられている。
図11に示すように、施錠機構95は、吊り具カバー20の閉位置P1において、吊り具カバー20を凹部10の側壁13に固定して施錠する。施錠機構95は、第一回動軸31から離れた側の周縁部の、第一天壁部21の長手方向(Y方向)中間部に設けられている。
【0058】
施錠機構95は、鍵穴部96と回動ピン97と係止部98とを備えている。鍵穴部96は、第一天壁部21の表面に鍵穴が開口するように設けられおり、第一天壁部21の外側から鍵を挿入可能になっている。回動ピン97は、鍵穴部96に挿入された鍵の回転に応じて回動する係止ピンであって、施錠位置(
図11の(a)参照)と開錠位置(
図11の(b)参照)との間で回動する。係止部98は、凹部10の側壁13に設けられており、閉位置P1にある吊り具カバー20の施錠機構95の回動ピン97を係止する部分である。係止部98は、施錠位置にある回動ピン97の先端部を上側から押さえることで、吊り具カバー20を押えて回動不能として施錠する。このような施錠機構95を設け、保管時に吊り具カバー20を施錠することで、吊り具カバー20が回動せず吊り具11が露出されないので、クレーン等による吊り上げを防止できる。これによって、筐体2の盗難を防止できる。
【0059】
また、吊り具カバー20の第一規制壁部24によって、ロープ掛け具カバー50が閉位置P3から上方に回動しようとしても、ロープ掛け具カバー50の端部が吊り具カバー20側へ移動し、第一規制壁部24に当接し回動が規制される。したがって、吊り具カバー20を施錠すれば、それに伴ってロープ掛け具カバー50も回動不能となる。よって吊り具カバー20一箇所の鍵で両カバー20,50を施錠することができ、先行文献2のように吊り具用カバーとロープ掛け具用カバーのそれぞれに施錠用の鍵を設ける必要がなくなり、施錠時の作業性が向上する。
【0060】
なお、本実施形態では、プッシュラッチ機構90と施錠機構95の両方を設けているが、プッシュラッチ機構90を設けずに、施錠機構95のみとして、施錠機構95で吊り具カバー20を凹部10の側壁13に固定するようにしてもよい。
【0061】
(第二実施形態)
本発明の第二の実施形態に係るカバー構造について、添付した図面を参照しながら説明する。
図12から
図16に示すように、第二の実施形態に係るカバー構造1aは、第一の実施形態のカバー構造1から所定の部品を取り除いた構造となっている。具体的には、
図12に示すように、凹部10の側壁13に、閉位置支持部材、開位置支持部材、プッシュラッチ機構および施錠機構が設けられていない。また、
図13に示すように、吊り具カバー20aの規制壁部が設けられておらず、第一天壁部21の長手方向端部は、第一天壁部21と枠壁部23,23とで側面視コ字型となっている。さらに、
図14に示すように、ロープ掛け具カバー50aの第二規制壁部が設けられておらず、第二天壁部51の吊り具カバー20側の端部は、第二天壁部51と枠壁部55とで、側面視コ字型となっている。また、ロープ掛け具カバー50aには、ハンドル部も設けられていない。なお、その他の構成については、第一の実施形態と同様であるので、同じ符号を付して説明を省略する。
【0062】
次に、第二の実施形態に係るカバー構造1aの各部の動作と作用効果を説明する。まず、吊り具カバー20aが閉位置P1にあり、且つ、ロープ掛け具カバー50aが閉位置P3にあるときの状態を説明する。
図15の(a)に示すように、閉位置P1における吊り具カバー20aは、枠壁部23の切欠き部26が吊り具11に載置されることで位置決めがなされている。つまり、第一の実施形態では、切欠き部26は吊り具カバー20に干渉しないように設けられていたのに対して、第二の実施形態では、切欠き部26は、吊り具11に載置されることで、閉位置P1での位置決めの役目を果たしている。
【0063】
閉位置P3におけるロープ掛け具カバー50aは、側壁部52の下端面と枠壁部55の端辺とが、凹部10の底壁14に当接することで、閉位置P3での位置決めがなされている。
【0064】
第二の実施形態においても、両カバー20a,50aがそれぞれ閉位置P1,P3にある状態では、吊り具11とロープ掛け具12は覆われて、外部から見えなくなる。このとき、吊り具カバー20の第一天壁部21の表面およびロープ掛け具カバー50aの第二天壁部51の表面はルーフパネル5の上面と面一であり、ロープ掛け具カバー50aの側壁部52はルーフパネル5の側面と面一であり、接続壁部53の表面はルーフパネル5の稜部の外面と面一になっているので、美観が良好であり、意匠性が向上する。
【0065】
次に、吊り具カバー20aが閉位置P1にあり、且つ、ロープ掛け具カバー50aが閉位置P3にある状態から、
図15の(b)に示すように、吊り具カバー20aを開位置P2に回動させる状態を説明する。
吊り具カバー20aを開く際には、指掛け用切欠き部27に作業者が指先を引っ掛けて吊り具カバー20aを持ち上げる。すると、吊り具カバー20aは、第一回動軸31を中心として開位置P2まで回動する。吊り具カバー20aは、ヒンジアームカバー33に設けられたストッパーピン38にヒンジアーム32が当接することで、開位置P2で位置決めがなされる。このとき、吊り具カバー20aは、開位置P2において凹部10の上部開口から完全に退避する位置にあるので、第一の実施形態と同様に、開位置P4に向かって回動するロープ掛け具カバー50aや、吊り具11に係止されるフック等が、吊り具カバー20aに干渉しない。
【0066】
次に、吊り具カバー20aが開位置P2にあり、且つ、ロープ掛け具カバー50aが閉位置P3にある状態から、
図16の(a)に示すように、ロープ掛け具カバー50aを開位置P4に回動させる状態を説明する。
吊り具カバー20aが開位置にある状態で、ロープ掛け具カバー50aの側壁部52を持って上向きに持ち上げると、ロープ掛け具カバー50aは第二回動軸61を中心に開位置P4まで回動する。開位置支持部材のない第二の実施形態では、ロープ掛け具カバー50aは、側壁部52、接続壁部53、第二天壁部51のいずれかが凹部10の底壁14と当接することで開位置P4での位置決めがなされる。本実施形態では、側壁部52と接続壁部53との連結部分が底壁14に当接している。
【0067】
次に、吊り具カバー20aが閉位置P1にあり、ロープ掛け具カバー50aが開位置P4にある状態を説明する。
図16の(b)に示すように、吊り具カバー20aを回動させて閉位置P1に戻すと、吊り具カバー20aの第一天壁部21は、ロープ掛け具カバー50aの回動軌道L上に配置されるとともに、凹部10の内部に収容されたロープ掛け具カバー50aの上方を覆うことになる。そのため、第一の実施形態と同様に、ロープ掛け具カバー50aが第二回動軸61を中心にして閉位置P3に向かう方向Dに回動しようとしても、吊り具カバー20aに当接して、回動を阻害されるため、閉位置P3に至ることはない。また、ロープ掛け具カバー50aは、凹部10の内部に収容されるので、筐体2の外側に突出せず邪魔になることはない。
【0068】
(第三実施形態)
本発明の第三の実施形態に係るカバー構造について、添付した図面を参照しながら説明する。
図17に示すように、第三の実施形態に係るカバー構造1bは、第二の実施形態のカバー構造1aに、開位置支持部材70と規制部材100とを加えたものである。
【0069】
開位置支持部材70は、ロープ掛け具カバー50が開位置P4にあるときに、ロープ掛け具カバー50を所定の角度で支持する部位であって、第一の実施形態と同様の構造である。
【0070】
規制部材100は、吊り具カバー20bが閉位置P1にあり、且つ、ロープ掛け具カバー50が開位置P4にあるときに、ロープ掛け具カバー50を上から押さえる部材である(
図17の(b)参照)。規制部材100は、吊り具カバー20bの下側に設けられている。規制部材100は、断面L型の板状部材にて構成されており、第一板部101と、第一板部101に直交する第二板部102とを備えている。第一板部101は吊り具カバー20bの枠壁部23の内側面に当接し溶接されている。第一板部101は、開位置P4にあるロープ掛け具カバー50の側壁部52の法線方向に沿って延在している。第二板部102は、開位置P4におけるロープ掛け具カバー50の側壁部52の先端部に当接する部分であって、側壁部52の傾斜角度に応じて傾斜している。第二板部102には、クッション部材103が設けられている。クッション部材103は、ロープ掛け具カバー50が開位置P4にあるときに、側壁部52と第二板部102のそれぞれに傷がつかないようにするための部位である。クッション部材103は、クッション部材74と同形状であり、頭部が斜め下方に対向するように配置されている。
【0071】
第三の実施形態のカバー構造1bにおいては、
図17の(a)に示すように、吊り具カバー20bが開位置P2にあるときは、規制部材100が、ロープ掛け具カバー50の回動軌跡上に干渉しない。すなわち、開位置P4にある吊り具カバー20bの規制部材100は、凹部10の上方位置から外れている。
【0072】
図17の(b)に示すように、吊り具カバー20bが閉位置P1にあり、且つ、ロープ掛け具カバー50aが開位置P4にあるときは、第一および第二の実施形態と同様に、凹部10内のロープ掛け具カバー50aの閉位置P3の方向への回動を阻止できるという作用効果の他に、以下の作用効果を得られる。本実施形態では、開位置P4にあるロープ掛け具カバー50aが規制部材100にて上から押さえられるとともに、開位置支持部材70にて下から支持されているので、上下から挟持されている。これによって、ロープ掛け具カバー50aは、確実に固定されて、振動を防止することができる。
【0073】
(規制部材の変形例)
次に、変形例に係る規制部材の構成を説明する。第一の変形例に係る規制部材110は、
図18の(a)に示すように、吊り具カバー20cの第一天壁部21の下面から垂下する方向に延在して設けられている。規制部材110は、断面L型の板状部材にて構成されており、第一板部111と、第一板部111に直交する第二板部112とを備えている。第一板部111は吊り具カバー20cの第一天壁部21の下面に溶接されている。第一板部111は、第二天壁部51の下面から下方に垂下している。第二板部112は、開位置P4におけるロープ掛け具カバー50cの側壁部52の先端に当接する部分である。第二板部112は、第一板部111の先端部に連続して直角に屈曲している。第二板部112には、クッション部材113が設けられている。クッション部材113は、その中央部に側壁部52の先端が接触するように配置されている。なお、
図18のロープ掛け具カバー50cは、第二の実施形態のロープ掛け具カバー50aから枠壁部55を取り除いた形状である。ロープ掛け具カバー50cの形状は、これに限定されるものでない。
【0074】
第二の変形例に係る規制部材115は、
図18の(b)に示すように、吊り具カバー20dの第一天壁部21の下面から垂下した後、その下端部において開位置P4にあるロープ掛け具カバー50cの側壁部52に直交する方向(開位置支持部材70の第二板部72の法線方向)に沿って屈曲して設けられている。規制部材115は、断面L型の板状部材にて構成されており、第一板部116と、第一板部116に直交する第二板部117とを備えている。第一板部116は吊り具カバー20dの第一天壁部21の下面に溶接されている。第一板部116は、第二天壁部51の下面から下方に垂下し、下端部において、開位置支持部材70の第二板部72の法線方向に沿って延在している。第二板部117は、開位置P4におけるロープ掛け具カバー50cの側壁部52の内側面に当接する部分である。第二板部117は、第一板部116の先端部に連続して直角に屈曲している。第二板部117には、クッション部材118が設けられている。クッション部材113は、その中央部に側壁部52の先端が接触するように配置されている。
【0075】
以上説明した第一および第二変形例に係る規制部材110,115においても、第三の実施形態の規制部材100と同様に、開位置P4にあるロープ掛け具カバー50cを、開位置支持部材70と規制部材110,115とで上下から挟持することができる。これによって、ロープ掛け具カバー50cは、確実に固定されて、振動を防止することができる。
【0076】
(施錠機構の変形例)
次に、変形例に係る施錠機構の構成を説明する。第一の変形例に係る施錠機構150は、
図19から
図21に示すように、ヒンジアームカバー33に接続され、ヒンジアームカバー33内でヒンジアーム32を係止するものである。施錠機構150は、操作レバー151と、リンク機構152と、係止片153とを備えている。
【0077】
操作レバー151は、施錠操作を行う際に回動させるレバーであって、支持ブラケット8に回動可能に支持されている。支持ブラケット8は、凹部10を支持する柱体7に取り付けられている。リンク機構152は、操作レバー151の動作を係止片153に伝達する手段であって、回動アーム155と、第一リンク156と第二リンク157とを備えている。回動アーム155は、操作レバー151の回転軸に取り付けられ、操作レバー151の回動とともに回動する。第一リンク156は、回動アーム155の先端部にピン結合されて、上方に延在している。第一リンク156は、操作レバー151の回動に応じて昇降する。第二リンク157は、第一リンク156の上端部にピン結合されて、ヒンジアームカバー33側に向かって横方向に延在している。第二リンク157の長手方向中間部は、側壁13に取り付けられたピン161(
図21参照)に回転可能に支持されている。第一リンク156にピン結合された第二リンク157の基端部が上昇すると、ヒンジアームカバー33側となる第二リンク157の先端部が下降する。
【0078】
係止片153は、ヒンジアーム32を係止する部位であって、ヒンジアームカバー33の内部に出没可能に設けられている。
図21に示すように、係止片153は、支持ブラケット158に支持されている。支持ブラケット158は、ヒンジアームカバー33の縦壁部34に取り付けられている。支持ブラケット158には、ピン163が設けられており、係止片153は、ピン163に回動可能に支持されている。係止片153のピン163よりも第二リンク157側には、直線状の長孔160が形成され、支持ブラケット158には、円弧状の長孔159が形成されている。各長孔159,160には、第二リンク157の先端部に設けられたピン162が挿通されている。
【0079】
第一リンク156が下がって第二リンク157の先端部が上方に位置するときは、ピン162は、長孔159の上端部と長孔160のピン163寄りの端部に位置する。このとき、係止片153は水平状態となり、係止片153の先端部がヒンジアームカバー33の内部に突出する。この状態で、係止片153の先端部がヒンジアーム32を上方から押さえ、ヒンジアーム32が回動不能となるので、施錠状態となる(
図19および
図21の(a)参照)。第一リンク156が上がって第二リンク157の先端部が下方に位置するときは、ピン162は、長孔159の下端部と長孔160の第二リンク157寄りの端部に位置する。このとき、係止片153の基端部はピン162とともに下がって、係止片153が傾斜して、係止片153の先端部がヒンジアームカバー33の内部から引き抜かれる。この状態で、係止片153の先端部がヒンジアーム32を上方から離反するので、ヒンジアーム32が回動可能となり、開錠状態となる(
図20および
図21の(b)参照)。
【0080】
第二の変形例に係る施錠機構170も、
図22から
図24に示すように、ヒンジアームカバー33に接続され、ヒンジアームカバー33内でヒンジアーム32を係止するものである。施錠機構170は、操作レバー171と、リンク機構172と、係止装置173とを備えている。
【0081】
操作レバー171は、施錠操作を行う際に昇降させるレバーであって、凹部10を支持する柱体7に取り付けられた支持ブラケット9に形成された長孔9aに挿通されている。長孔9aは、上下方向に延在するとともに上端部から横方向に延在した逆L字状になっている。操作レバー171は、長孔9aに沿って移動可能となっている。なお、長孔9aの横方向に延在する部分は、操作レバー171を上端部で固定する固定位置となっている。リンク機構172は、操作レバー171の動作を係止装置173に伝達する手段であって、第一リンク175と第二リンク176と第三リンク177とを備えている。第一リンク175は、操作レバー171の上端部にピン結合されて、上方に延在している。第一リンク175は、操作レバー171の昇降とともに昇降する。第二リンク176は、第一リンク175の上端部にピン結合されて、ヒンジアームカバー33側に向かって横方向に延在している。第二リンク176の長手方向中間部は、側壁13に取り付けられたピン178(
図24参照)に回転可能に支持されている。第一リンク175にピン結合された第二リンク176の基端部が上昇すると、第二リンク176は水平状態となる(
図24の(a)参照)。第二リンク176の基端部が下降すると、第二リンク176の先端部が上昇し、第二リンク176は傾斜状態となる(
図24の(b)参照)。第三リンク177の基端部は第二リンク176の先端部にピン結合され、第三リンク177はヒンジアームカバー33側に向かって延在している。第三リンク177の先端部は、係止装置173の出没ピン173aに接続されている。
【0082】
係止装置173は、出没ピン173aと、出没ピン173aを支持する筒部173bとを備えている。出没ピン173aは、ヒンジアーム32を係止する部位であって、ヒンジアームカバー33の内部に出没可能に設けられている。出没ピン173aは、筒部173b内に挿通され、軸方向に沿って移動可能となっている。筒部173bは、軸方向の一端部がヒンジアームカバー33の縦壁部34に直交するように取り付けられている。
【0083】
操作レバー171および第一リンク175が上がって第二リンク176が水平になるときは、第三リンク177が係止装置173側に移動して、出没ピン173aをヒンジアームカバー33の内部に突出させる。この状態で、出没ピン173aの先端部がヒンジアーム32を上方から押さえ、ヒンジアーム32が回動不能となるので、施錠状態となる(
図22および
図24の(a)参照)。操作レバー171および第一リンク175が下がって第二リンク176の先端部が上方に位置するときは、第三リンク177が第二リンク176側に移動して、出没ピン173aがヒンジアームカバー33の内部から引き抜かれる。この状態で、出没ピン173aの先端部がヒンジアーム32を上方から離反するので、ヒンジアーム32が回動可能となり、開錠状態となる(
図22および
図24の(b)参照)。
【0084】
以上説明した構成の施錠機構150,170によれば、施錠機構95と同様に、保管時に吊り具カバー20を施錠することができるので、筐体2の盗難を防止できる。
【0085】
以上、本発明を実施するための形態についてそれぞれ説明したが、本発明は前記の実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、材質、形状や大きさなど適宜設計変更が可能である。例えば、前記実施形態では、筐体2は、発電機を収容するものであるが、これに限定されるものでない。可搬型の作業機であれば、他のものであってもよい。
【符号の説明】
【0086】
1 凹部カバー構造
2 筐体
5 ルーフパネル
10 凹部
11 吊り具
12 ロープ掛け具
13 側壁
14 底壁
20 吊り具カバー
21 第一天壁部
22 第一ヒンジ部
23 枠壁部
24 第一規制壁部
31 第一回動軸
50 ロープ掛け具カバー
51 第二天壁部
52 側壁部
53 接続壁部
54 第二ヒンジ部
56 第二規制壁部
57 ハンドル部
58 孔
61 第二回動軸
70 開位置支持部材
80 閉位置支持部材
90 プッシュラッチ機構
95 施錠機構
100 規制部材
110 規制部材
115 規制部材
150 施錠機構
170 施錠機構
P1 (吊り具カバーの)閉位置
P2 (吊り具カバーの)開位置
P3 (ロープ掛け具カバーの)閉位置
P4 (ロープ掛け具カバーの)開位置