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特開2023-168135車両用シート制御装置及び車両用シート
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023168135
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】車両用シート制御装置及び車両用シート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/75 20180101AFI20231116BHJP
   B60N 2/22 20060101ALI20231116BHJP
   B60N 2/90 20180101ALI20231116BHJP
   A47C 7/54 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
B60N2/75
B60N2/22
B60N2/90
A47C7/54
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022079796
(22)【出願日】2022-05-13
(71)【出願人】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】勝部 健一
(72)【発明者】
【氏名】松本 敦夫
(72)【発明者】
【氏名】松澤 剛
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087AA02
3B087DC01
3B087DE08
3B087DE10
(57)【要約】
【課題】シートバックを回動させてもアームレストと当該シートバックにおいて所定の位置関係を維持することが可能な車両用シート制御装置及び車両用シートを得る。
【解決手段】リクライニング用スイッチ55がONされると、シートバック14における前後方向の位置、アームレスト22における前後方向の位置を検出した後、リクライニング用モータ20及びアームレスト用モータ26が駆動する。そして、シートバック14とアームレスト22の位置関係は、例えば、シート側面視で当該アームレスト22の後端部22Aが当該シートバック14の前端部14B1と重なる(ラップ部W)ように設定され、シートバック14が回動する動作に連動して予め設定された当該シートバック14とアームレスト22の位置関係を維持するようにアームレスト22がスライドする。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗員が着座するシートクッションに対して、前記シートクッションに着座した着座乗員の上体を支持するシートバックをシート前後方向に沿って回動させるリクライニング部と、
前記シートクッションのシート幅方向の外側に設けられ、かつ着座乗員の腕を支持するアームレストをシート前後方向に沿ってスライドさせるスライド部と、
を備え、
前記リクライニング部を介してシート前後方向に沿って前記シートバックが回動する動作に連動して予め設定された当該シートバックと前記アームレストの位置関係を維持した状態で前記スライド部を介して前記アームレストをスライドさせるように制御する車両用シート制御装置。
【請求項2】
前記予め設定された前記シートバックと前記アームレストの位置関係は、シート側面視で当該アームレストにおけるシート前後方向の後端部が当該シートバックにおけるシート前後方向の前端部と重なるように設定されている請求項1に記載の車両用シート制御装置。
【請求項3】
前記予め設定された前記シートバックと前記アームレストの位置関係は、シート側面視で当該アームレストにおけるシート前後方向の後端部と当該シートバックにおけるシート前後方向の前端部との間に予め設定された所定の隙間が設けられるように設定されている請求項1に記載の車両用シート制御装置。
【請求項4】
前記シートバックに設けられ、当該シートバックにおいてシート前後方向の位置を検出する第1位置検出装置と、
前記リクライニング部に設けられ、前記シートバックをシート前後方向に沿って回動させる第1駆動装置と、
前記アームレストに設けられ、当該アームレストにおいてシート前後方向の位置を検出する第2位置検出装置と、
前記スライド部に設けられ、前記アームレストをシート前後方向に沿ってスライドさせる第2駆動装置と、
をさらに備え、
前記第1位置検出装置により前記シートバックにおいてシート前後方向の位置を検出し、前記第2位置検出装置により前記アームレストにおいてシート前後方向の位置を検出した後、前記第1駆動装置及び前記第2駆動装置が駆動されるように制御する請求項1に記載の車両用シート制御装置。
【請求項5】
前記第1位置検出装置及び前記第2位置検出装置のうち少なくとも何れか一方による検出結果が入力されない場合、前記第2駆動装置を駆動させないように制御する請求項4に記載の車両用シート制御装置。
【請求項6】
請求項1~請求項5の何れか1項に記載の車両用シート制御装置を備え、
前記アームレストはシートクッションに取り付けられている車両用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シート制御装置及び車両用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、自動運転と手動運転との切り替えが可能なシート用制御装置に関する技術が開示されている。この先行技術では、車両用シートのシートバックの角度を調整するシートバック駆動部及びアームレストの位置を移動させるアームレスト駆動部が自動運転制御ECUに接続されている。そして、自動運転から手動運転への切り替え時に、自動運転制御ECUによってシートバックの角度の調整及びアームレストの移動が制御されることで、運転者が手動運転可能な状態となるよう支援される。
【0003】
具体的に説明すると、上記先行技術では、アームレストは、ステアリングホイールの近くに配置された第1位置と、ステアリングホイールから離れ、運転に邪魔にならない第2位置に移動可能とされている。自動運転制御ECUは、自動運転から手動運転への切り替え時に、手動による運転への復帰を促すため、アームレストを第1位置へ移動させた後、運転の妨げにならない第2位置に移動させるように設定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-109616号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上のように、上記先行技術では、シートバックとアームレストの個別移動が可能となっている。
【0006】
しかしながら、シートバックとアームレストの個別移動が可能な場合、アームレストとシートバックの間の隙間が変わることになり、当該隙間が狭すぎたり広すぎたりする場合が生じる。
【0007】
本発明は上記事実を考慮し、シートバックを回動させてもアームレストと当該シートバックにおいて所定の位置関係を維持することが可能な車両用シート制御装置及び車両用シートを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明に係る車両用シート制御装置は、乗員が着座するシートクッションに対して、前記シートクッションに着座した着座乗員の上体を支持するシートバックをシート前後方向に沿って回動させるリクライニング部と、前記シートクッションのシート幅方向の外側に設けられ、かつ着座乗員の腕を支持するアームレストをシート前後方向に沿ってスライドさせるスライド部と、を備え、前記リクライニング部を介してシート前後方向に沿って前記シートバックが回動する動作に連動して予め設定された当該シートバックと前記アームレストの位置関係を維持した状態で前記スライド部を介して前記アームレストをスライドさせるように制御する。
【0009】
請求項1に記載の発明に係る車両用シート制御装置では、リクライニング部及びスライド部を備えており、リクライニング部によって、シートクッションに対してシートバックがシート前後方向に沿って回動し、スライド部によって、アームレストがシート前後方向に沿ってスライド可能とされる。
【0010】
ここで、車両用シート制御装置は、リクライニング部を介してシート前後方向に沿ってシートバックが回動する動作に連動して予め設定された当該シートバックとアームレストの位置関係を維持した状態でスライド部を介してアームレストをスライドさせるように制御する。
【0011】
このため、本発明では、シートバックが回動すると、予め設定されたシートバックとアームレストの位置関係を維持しつつアームレストはスライド移動する。言い換えると、本発明では、シートバックを回動させてもシートバックとアームレストとの位置関係は変わらないように設定されている。
【0012】
なお、本発明における「連動」について、シートバックとアームレストは必ずしも同期させる必要はなく、シートバックとアームレストが所定の位置関係を維持するようにシートバックの回動に伴ってアームレストを移動させることを意味する。
【0013】
また、「予め設定されたシートバックとアームレストの位置関係」について、予め設定された位置関係では、所定の範囲内での設定を含んでおり、この場合、所定の範囲内であれば、シートバックをリクライングさせてもアームレストはスライドしない場合もある。
【0014】
請求項2に記載の発明に係る車両用シート制御装置は、請求項1に記載の発明に係る車両用シート制御装置において、前記予め設定された前記シートバックと前記アームレストの位置関係は、シート側面視で当該アームレストにおけるシート前後方向の後端部が当該シートバックにおけるシート前後方向の前端部と重なるように設定されている。
【0015】
請求項2に記載の発明に係る車両用シート制御装置では、予め設定されたシートバックとアームレストの位置関係は、シート側面視で当該アームレストの後端部が当該シートバックの前端部と重なるように設定されているため、シートバックの回動によりシートバックの前端部とアームレストの後端部との間に隙間が形成されることはない。
【0016】
請求項3に記載の発明に係る車両用シート制御装置は、請求項1に記載の発明に係る車両用シート制御装置において、前記予め設定された前記シートバックと前記アームレストの位置関係は、シート側面視で当該アームレストにおけるシート前後方向の後端部と当該シートバックにおけるシート前後方向の前端部との間に予め設定された所定の隙間が設けられるように設定されている。
【0017】
請求項3に記載の発明に係る車両用シート制御装置では、予め設定されたシートバックとアームレストの位置関係は、シート側面視で当該アームレストの後端部と当該シートバックの前端部との間に予め設定された所定の隙間が設けられるように設定されているため、シートバックの回動によりシートバックの前端部とアームレストの後端部との間で隙間がなくなることはない。
【0018】
請求項4に記載の発明に係る車両用シート制御装置は、請求項1に記載の発明に係る車両用シート制御装置において、前記シートバックに設けられ、当該シートバックにおいてシート前後方向の位置を検出する第1位置検出装置と、前記リクライニング部に設けられ、前記シートバックをシート前後方向に沿って回動させる第1駆動装置と、前記アームレストにおいて設けられ、当該アームレストのシート前後方向の位置を検出する第2位置検出装置と、前記スライド部に設けられ、前記アームレストをシート前後方向に沿ってスライドさせる第2駆動装置と、をさらに備え、前記第1位置検出装置により前記シートバックにおいてシート前後方向の位置を検出し、前記第2位置検出装置により前記アームレストにおいてシート前後方向の位置を検出した後、前記第1駆動装置及び前記第2駆動装置が駆動されるように制御する。
【0019】
請求項4に記載の発明に係る車両用シート制御装置では、第1位置検出装置、第1駆動装置、第2位置検出装置及び第2駆動装置をさらに備えている。第1位置検出装置は、シートバックに設けられており、当該シートバックにおいてシート前後方向の位置を検出する。第1駆動装置は、リクライニング部に設けられており、シートバックをシート前後方向に沿って回動させる。一方、第2位置検出装置は、アームレストに設けられており、当該アームレストにおいてシート前後方向の位置を検出する。第2駆動装置は、スライド部に設けられており、アームレストをシート前後方向に沿ってスライドさせる。
【0020】
そして、車両用シート制御装置によって、第1位置検出装置によりシートバックにおいてシート前後方向の位置を検出し、第2位置検出装置によりアームレストにおいてシート前後方向の位置を検出した後、第1駆動装置及び第2駆動装置を駆動させる。つまり、制御装置は、リクライニング部を介してシートバックが回動する動作に連動して予め設定された当該シートバックとアームレストの位置関係を維持するようにスライド部を介してアームレストをスライドさせる。
【0021】
このように、シートバックを回動させる前にシートバックにおけるシート前後方向の位置及びアームレストにおけるシート前後方向の位置を検出するため、予め設定されたシートバックとアームレストの位置関係を維持するようにシートバックの回動に連動して確実にアームレストをスライドさせることができる。
【0022】
請求項5に記載の発明に係る車両用シート制御装置は、請求項4に記載の発明に係る車両用シート制御装置において、第1位置検出装置及び第2位置検出装置のうち少なくとも何れか一方による検出結果が入力されない場合、前記第2駆動装置を駆動させないように制御する。
【0023】
請求項5に記載の発明に係る車両用シート制御装置では、制御装置は、シートバックのシート前後方向の位置を検出する第1位置検出装置及びアームレストのシート前後方向の位置を検出する第2位置検出装置のうち少なくとも何れか一方による検出結果が入力されない場合、アームレストをシート前後方向に沿ってスライドさせる第2駆動装置を駆動させないように制御されている。これにより、シートバック、アームレストの位置が検出されないにも拘わらず、アームレストがシート前後方向に沿ってスライドすることがないようにしている。
【0024】
請求項6に記載の発明に係る車両用シートは、請求項1~請求項5の何れか1項に記載の車両用シート制御装置を備え、前記アームレストはシートクッションに取り付けられている。
【0025】
請求項6に記載の発明に係る車両用シートでは、アームレストはシートクッションに取り付けられているため、アームレストがセンターコンソール、ドアトリム等に設けられた場合と比較して、車両用シート単体でアームレストとシートバックの位置関係を設定することができるため制御しやすくなる。
【発明の効果】
【0026】
以上説明したように、本発明に係る車両用シート用制御装置及び車両用シートでは、シートバックを回動させてもアームレストと当該シートバックにおいて所定の位置関係を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本実施の形態に係る車両用シートを左斜め前方側から見た斜視図である。
図2】本実施の形態に係る車両用シートのシートバックを起立させた状態を示す側面図である。
図3】本実施の形態に係る車両用シートのシートバックをリクライニングさせた状態を示す側面図である。
図4】本実施の形態に係る車両用シート制御装置の構成を示すブロック図である。
図5図2に対応するアームレストの要部を拡大して示す要部拡大断面図である。
図6図3に対応するアームレストの要部を拡大して示す要部拡大断面図である。
図7】本実施形態に係る車両用シート制御装置の制御の流れを示すフローチャート図である。
図8】本実施の形態に係る車両用シートの変形例としてシートバックを起立させた状態を示す側面図である。
図9】本実施の形態に係る車両用シートの変形例としてシートバックをリクライニングさせた状態を示す側面図である。
図10】比較例に係る車両用シートのシートバックを起立させた状態を示す側面図である。
図11】比較例に係る車両用シートのシートバックをリクライニングさせた状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態に係る車両用シート10について説明する。なお、図中に示される矢印FR、矢印UP、矢印OUTは、車両用シート10の前方、上方、外方をそれぞれ示している。この車両用シート10の前後方向、左右方向(車両幅方向)および上下方向は、この車両用シート10が搭載された車両(自動車)の前後方向、左右方向(幅方向)および上下方向と一致している。以下、単に前後左右上下の方向を用いて説明する場合、特に断りのない限り、車両用シート10に対する方向を示すものとする。
【0029】
(車両用シートの構成)
まず、本実施の形態に係る車両用シート10の構成について説明する。
【0030】
図1には、本実施形態に係る車両用シート10の斜視図が示されている。この車両用シート10は、着座乗員P(図2参照)の大腿部及び腰部を支持するシートクッション12と、着座乗員Pの上体を支持するシートバック14と、着座乗員Pの頭部を支持するヘッドレスト16と、を含んで構成されている。
【0031】
当該シートバック14の下端部には、リクライニング部18が設けられている。このリクライニング部18は、図4に示されるように、リクライニング用モータ(第1駆動装置)20を含んで構成されている。このリクライニング用モータ20の駆動によって、シートバック14は、図2図3に示されるように、当該シートバック14の下端部に設けられた図示しない軸部を中心にシートクッション12に対してシート前後方向に沿って回動する。
【0032】
一方、当該シートクッション12における車両幅方向の内側には、着座乗員Pの腕部を支持するアームレスト22が取り付けられている。
【0033】
本実施形態では、当該アームレスト22は、シート側面視で、アームレスト22の後端部22Aがシートバック14の前端部14B1と重なる(ラップ部W)ように設定されている(後述する)。ここで、シートバック14は、図1に示されるように、着座乗員P(図2参照)の上体を背面側から支持するメイン部14Aと、メイン部14Aを中心にシート幅方向の両側に設けられ着座乗員Pの上体に対して側方側からの支持を可能とするサイド部14Bと、を含んで構成されている。このため、サイド部14Bは、シート側面視でメイン部14Aよりも前方側へ突出している。したがって、ここでのシートバック14の前端部14B1は、サイド部14Bとなる。
【0034】
また、本実施形態におけるアームレスト22には、スライド部24が設けられている。当該スライド部24は、図4に示されるように、アームレスト用モータ(第2駆動装置)26を含んで構成されており、当該アームレスト用モータ26の駆動によって、アームレスト22は、図2図3に示されるように、シート前後方向に沿ってスライドする(後述する)。なお、図示はしないが、アームレスト22は、シートクッション12における車両幅方向の内側及び外側に設けられてもよい。
【0035】
また、図4に示されるように、車両用シート10には、車両用シート制御装置としてのシートECU(Electronic Control Unit)28が配設されている。シートECU28は、CPU(Central Processing Unit)30、ROM(Read Only Memory)32、RAM(Random Access Memory)34、及び入出力I/F(Inter Face)36がバス38を介して接続されている。
【0036】
CPU30は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムの実行、及び各部の制御を行う。ROM32は、各種プログラムおよび各種データを格納する。RAM34は、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。ストレージ40は、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、及び各種データを格納する。
【0037】
すなわち、当該CPU30は、ROM32又はストレージ40からプログラムを読み出し、RAM34を作業領域としてプログラムを実行する。また、CPU30は、ROM32又はストレージ40に記録されているプログラムに従って、上記各構成の制御および各種の演算処理を行う。
【0038】
ここで、シートECU28の入出力I/F36には、車両に搭載された車両ECU42、バッテリ44、GND46が電気的に接続されている。また、シートECU28の入出力I/F36には、前述したリクライニング用モータ20、アームレスト用モータ26が電気的に接続されている。
【0039】
さらに、シートECU28の入出力I/F36には、第1位置検出装置としてのシートバック用位置検出センサ(以下、単に「シートバック用センサ」と称する)48、第2位置検出装置としてのアームレスト用位置検出センサ(以下、単に「アームレスト用センサ」と称する)50等が電気的に接続されている。
【0040】
シートバック用センサ48は、シートバック14(図2図3参照)の前後方向の位置を検出するセンサであり、アームレスト用センサ50は、アームレスト22(図2図3参照)の前後方向の位置を検出するセンサである。
【0041】
なお、シートバック用センサ48、アームレスト用センサ50として、例えば、ホールIC等が用いられる。この場合、リクライニング用モータ20、アームレスト用モータ26の出力軸の回転に応じたパルス信号がシートECU28に出力され、シートECU28でパルス信号をカウントし積算することによって、シートクッション12、シートバック14において前後方向の位置がそれぞれ検出されるように設定される。
【0042】
また、シートECU28には、上記以外にも図示はしないが車両用シート10の前後移動を行うシートスライド用モータ、車両用シート10の上下移動を行うリフター用モータ、シートクッション12、シートバック14を温めるシート用ヒータ(何れも図示省略)等、その他シート用電装品52が電気的に接続されている。
【0043】
このように、シートECU28の入出力I/F36に対して電気的に接続されたこれらの装置は、当該シートECU28によってそれぞれ制御される。
【0044】
一方、本実施形態では、図1に示されるように、アームレスト22の前方側には、操作パネル54が設けられている。操作パネル54は、シート前方側へ向かうにつれてシート上方側へ向かって傾斜するように設けられており、着座乗員Pが操作しやすいように設定されている。
【0045】
操作パネル54には、シートバック14を回動移動させるためのリクライニング用スイッチ55(図4参照)、図示はしないが、車両用シート10を前後移動させるためのスライド用スイッチ、車両用シート10を上下移動させるためのリフター用スイッチ等が設けられている。これらのスイッチもそれぞれシートECU28と電気的に接続されており、これらのスイッチに接触すると、シートECU28によって対応する装置が作動する。
【0046】
ところで、本実施形態では、アームレスト22は、本体部56と脚部58を含んで構成されている。本体部56はアームレスト22の上部を構成し、脚部58はアームレスト22の下部を構成しており、本体部56は、脚部58に対して前後方向に沿ってスライド可能とされている。
【0047】
脚部58は、下方側へ向かうにつれて前後方向の幅寸法が狭くなるように形成されたシート側面視で逆台形状を成す箱型とされている。なお、図2図3では、脚部58の形状を簡略化して示している。また、図1に示されるように、当該脚部58の下端部は、シートクッション12の骨格部材を構成する図示しないシートクッションフレームをシート幅方向の外方から覆うサイドフィニッシャ60に固定されている。
【0048】
ここで、図5図6に示されるように、当該脚部58内には、前述したアームレスト用モータ26が配設されている。また、脚部58内には、前後方向に沿ってボールネジ62が配置されており、当該ボールネジ62は、アームレスト用モータ26に接続されている。このため、アームレスト用モータ26が駆動すると、ボールネジ62が回転する。
【0049】
当該ボールネジ62にはナット64が螺合されており、ボールネジ62の回転によってナット64がボールネジ62の軸方向(前後方向)に沿って移動する。当該ナット64に本体部56が一体化されており、ナット64の移動によって、脚部58に対して本体部56が前後方向に沿って移動する。
【0050】
なお、本実施形態では、ボールネジ62及びナット64を用いてアームレスト22の本体部56を前後方向に沿ってスライドさせるようにしているが、アームレスト用モータ26の回転力を前後方向に沿ってスライドさせる直線移動に変換することができればよいためこれに限るものではない。例えば、図示はしないが、ピニオン及びラックが用いられてもよい。
【0051】
(車両用シートの作用及び効果)
次に、本実施の形態に係る車両用シート10の作用及び効果について説明する。
【0052】
図7には、本実施の形態に係る車両用シート10に備わったシートECU28における処理を示すフローチャートが示されている。図4を参照して、このフローチャートに沿ってシートECU28の作用について説明する。
【0053】
図7に示されるように、シートECU28のCPU30は、ステップS102において、リクライニング用スイッチ55が押圧(ON)されると、ステップS104において、シートバック14における前後方向の位置を検出する。
【0054】
次に、CPU30は、ステップS106において、シートバック14における前後方向の位置が取得されたか否かを判断する。CPU30は、ステップS106において、シートバック14における前後方向の位置が取得されると(ステップS106:Y)、ステップS108の処理へ移行する。
【0055】
そして、CPU30は、ステップS108において、アームレスト22における前後方向の位置を検出すると、ステップS110において、アームレスト22における前後方向の位置が取得されたか否かを判断する。
【0056】
CPU30は、ステップS110において、アームレスト22における前後方向の位置が取得されると(ステップS110:Y)、ステップS112において、リクライニング用モータ20を駆動させ、ステップS114において、アームレスト用モータ26を駆動させる。
【0057】
ここで、ステップS112とステップS114とで処理を分けて記載しているが、本実施形態では、アームレスト22はシートバック14のリクライニング動作に連動してスライドするように設定されているため、ステップS112とステップS114の処理は略同時に行われる。
【0058】
次に、CPU30は、ステップS116において、リクライニング用スイッチ55の押圧状態が解除(OFF)されたか否かを判断する。CPU30は、ステップS116において、リクライニング用スイッチ55がOFFになると(ステップS116:Y)、ステップS118において、リクライニング用モータ20の駆動を停止させ、ステップS120において、アームレスト用モータ26の駆動を停止させる。
【0059】
ここで、ステップS118とステップS120とで処理を分けて記載しているが、前述のように、本実施形態では、アームレスト22はシートバック14のリクライニング動作に連動してスライドするように設定されているため、ステップS118とステップS120の処理は略同時に行われる。
【0060】
一方、CPU30は、ステップS106において、シートバック14における前後方向の位置が取得されない場合(ステップS106:N)、フローを終了する。
【0061】
また、CPU30は、ステップS110において、アームレスト22における前後方向の位置が取得されない場合(ステップS110:N)、フローを終了する。
【0062】
さらに、CPU30は、ステップS116において、リクライニング用スイッチ55がOFFにならない(ステップS116:N)場合、ステップS106へ移行する。つまり、本実施形態では、CPU30は、リクライニング用スイッチ55がOFFになるまで、ステップS106からステップS114の処理を繰り返す。
【0063】
本実施形態における作用について具体的に説明する。
本実施形態では、図4に示されるように、車両用シート10には、リクライニング部18、スライド部24及びシートECU28が備わっている。そして、リクライニング部18によって、シートクッション12に対してシートバック14がシート前後方向に沿って回動し、スライド部24によって、アームレスト22がシート前後方向に沿ってスライド可能とされる。
【0064】
一方、シートECU28は、リクライニング部18を介してシート前後方向に沿ってシートバック14が回動する動作に連動して、予め設定された当該シートバック14とアームレスト22の位置関係を維持するようにスライド部24を介してアームレスト22をスライドさせる。
【0065】
また、本実施形態では、シートECU28は、シートバック用センサ48、リクライニング用モータ20、アームレスト用センサ50及びアームレスト用モータ26をさらに備えている。シートバック用センサ48は、シートバック14に設けられ当該シートバック14のシート前後方向の位置を検出し、リクライニング用モータ20は、リクライニング部18に設けられシートバック14をシート前後方向に沿って回動させる。一方、アームレスト用センサ50は、アームレスト22に設けられ当該アームレスト22のシート前後方向の位置を検出し、アームレスト用モータ26は、スライド部24に設けられアームレスト22をシート前後方向に沿ってスライドさせる。
【0066】
以上のような構成により、本実施形態では、リクライニング用スイッチ55がONされると、シートECU28によって、シートバック用センサ48によりシートバック14のシート前後方向の位置を検出し、アームレスト用センサ50によりアームレスト22のシート前後方向の位置を検出した後、リクライニング用モータ20及びアームレスト用モータ26が駆動する。
【0067】
例えば、比較例として、図10に示されるように、シートバック100が起立した状態において、シート側面視でアームレスト102の後端部102Aがシートバック100の前端部100Aと重なった状態であっても、シートバック100をリクライニングさせると、図11に示されるように、アームレスト102の後端部102Aとシートバック100の前端部100Aの間には隙間tが設けられてしまう。つまり、比較例では、シートバック100のリクライニングによって、アームレスト102とシートバック100の位置関係が変わり、当該隙間tが狭すぎたり広すぎたりする場合が生じる。
【0068】
これに対して、本実施形態では、図2に示されるように、シートバック14が起立した状態において、シートバック14とアームレスト22の位置関係は、シート側面視で当該アームレスト22の後端部22Aが当該シートバック14の前端部14B1と重なる(ラップ部W)ように設定されている。さらに、本実施形態では、シートバック14が回動する動作に連動して予め設定された当該シートバック14とアームレスト22の位置関係を維持するようにアームレスト22がスライドする。
【0069】
このため、本実施形態では、図4に示すリクライニング用モータ20及びアームレスト用モータ26が駆動し、図3に示されるように、シートバック14をリクライニングさせても、シート側面視で当該アームレスト22の後端部22Aと当該シートバック14の前端部14B1は重なる(ラップ部W)。
【0070】
つまり、本実施形態では、図2図3に示されるように、シートバック14を回動させてもシートバック14の前端部14B1とアームレスト22の後端部22Aの位置関係は維持され変わらないように設定されている。
【0071】
また、本実施形態では、シートバック14を回動させる前にシートバック14におけるシート前後方向の位置及びアームレスト22におけるシート前後方向の位置を検出するため、予め設定されたシートバック14とアームレスト22の位置関係を維持するようにシートバック14の回動に連動して確実にアームレスト22をスライドさせることができる。
【0072】
一方、本実施形態では、図4に示すシートECU28は、図7のステップS106、S110において、シートバック14のシート前後方向の位置を検出するシートバック用センサ48及びアームレスト22のシート前後方向の位置を検出するアームレスト用センサ50のうち少なくとも何れか一方による検出結果が入力されない場合、フローは終了する。つまり、シートバック用センサ48及びアームレスト用センサ50のうち少なくとも何れか一方が故障した場合等に、アームレスト用モータ26を駆動させないように設定されている。
【0073】
本実施形態では、前述のように、図4に示すシートECU28は、リクライニング部18を介してシート前後方向に沿ってシートバック14が回動する動作に連動して、予め設定された当該シートバック14とアームレスト22の位置関係を維持するように、スライド部24を介してアームレスト22をスライドさせる。
【0074】
このため、シートバック14、アームレスト22の位置が検出されないにも拘わらず、アームレスト22がシート前後方向に沿ってスライドして、予め設定された当該シートバック14とアームレスト22の位置関係が崩れることがないようにしている。
【0075】
また、本実施形態では、アームレスト22はシートクッション12に取り付けられている。このため、アームレスト22が図示はしないが、センターコンソール、ドアトリム等に設けられた場合と比較して、車両用シート単体でアームレスト22とシートバック14の位置関係を設定することができるため制御しやすくなる。但し、本発明では、シートバックが回動しても、当該シートバックとアームレストの位置関係を維持することができればよいため、図示はしないが、アームレストがセンターコンソール、ドアトリム側に設けられてもよいのは勿論のことである。
【0076】
なお、本実施形態では、図2図3に示されるように、シートバック14の回動動作に関係なく、アームレスト22は、シート側面視で、アームレスト22の後端部22Aがシートバック14の前端部14B1と重なる(ラップ部W)ように設定されている。しかしながら、本発明では、シートバックが回動する動作に連動して予め設定された当該シートバックとアームレストの位置関係を維持するようにアームレストを前後方向に沿ってスライドさせることができればよいため、これに限るものではない。
【0077】
例えば、図8図9に示されるように、シートバック14とアームレスト22の位置関係は、シートバック14の回動動作に関係なく、シート側面視で当該アームレスト22の後端部22Aと当該シートバック14の前端部14B1の間に所定の隙間tが設けられるように設定されてもよい。
【0078】
この場合、図4に示すリクライニング用モータ20及びアームレスト用モータ26が駆動し、図3に示されるように、シートバック14をリクライニングさせても、シート側面視でアームレスト22の後端部22Aとシートバック14の前端部14B1の間には所定の隙間tが設けられた状態が維持される。なお、隙間tは、所定の範囲を有してもよい。
【0079】
つまり、本実施形態では、図8図9に示されるように、シートバック14を回動させてもシートバック14の前端部14B1とアームレスト22の後端部22Aの位置関係は維持され、シートバック14の回動によりシートバックの前端部14B1とアームレスト22の後端部22Aとの間で隙間tがなくなることはない。
【0080】
また、以上の実施形態では、シートバック14が回動する動作に連動してアームレスト22が前後方向に沿ってスライドするように設定されている。つまり、アームレスト22はシートバック14の動作に連動してスライドするように設定されているが、必ずしもこれに限るものではない。
【0081】
例えば、当該アームレスト22は単独で前後方向に沿ってスライド可能とされてもよい。この場合、シートバック14をリクライニングさせる際には、予め設定されたシートバック14とアームレスト22の位置関係となるようにアームレスト22の位置を戻した後に、図7に示す処理が行われてもよい。
【0082】
また、これ以外にも、アームレスト22を単独でスライドさせた状態のままシートバック14とアームレスト22の位置関係を維持するようにして、シートバック14のリクライニング動作に連動してアームレスト22をスライドさせるようにしてもよい。
【0083】
その他、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施できる。また、本発明の権利範囲が上記実施形態に限定されない
【0084】
<付記>
なお、下記の構成を適宜組み合わせて本発明に係る車両用シートとしてもよい。
【0085】
(構成1)
乗員が着座するシートクッションに対して、前記シートクッションに着座した着座乗員の上体を支持するシートバックをシート前後方向に沿って回動させるリクライニング部と、前記シートクッションのシート幅方向の外側に設けられ、かつ着座乗員の腕を支持するアームレストをシート前後方向に沿ってスライドさせるスライド部と、を備え、車両用シート制御装置は、前記リクライニング部を介してシート前後方向に沿って前記シートバックが回動する動作に連動して予め設定された当該シートバックと前記アームレストの位置関係を維持した状態で前記スライド部を介して前記アームレストをスライドさせるように制御する。
【0086】
(構成2)
車両用シート制御装置は、前記予め設定された前記シートバックと前記アームレストの位置関係がシート側面視で当該アームレストにおけるシート前後方向の後端部が当該シートバックにおけるシート前後方向の前端部と重なるように設定されている。
【0087】
(構成3)
車両用シート制御装置は、前記予め設定された前記シートバックと前記アームレストの位置関係がシート側面視で当該アームレストにおけるシート前後方向の後端部と当該シートバックにおけるシート前後方向の前端部との間に予め設定された所定の隙間が設けられるように設定されている。
【0088】
(構成4)
前記シートバックに設けられ、当該シートバックにおいてシート前後方向の位置を検出する第1位置検出装置と、前記リクライニング部に設けられ、前記シートバックをシート前後方向に沿って回動させる第1駆動装置と、前記アームレストに設けられ、当該アームレストにおいてシート前後方向の位置を検出する第2位置検出装置と、前記スライド部に設けられ、前記アームレストをシート前後方向に沿ってスライドさせる第2駆動装置と、をさらに備え、車両用シート制御装置は、前記第1位置検出装置により前記シートバックにおいてシート前後方向の位置を検出し、前記第2位置検出装置により前記アームレストにおいてシート前後方向の位置を検出した後、前記第1駆動装置及び前記第2駆動装置が駆動されるように制御する。
【0089】
(構成5)
車両用シート制御装置は、前記第1位置検出装置及び前記第2位置検出装置のうち少なくとも何れか一方による検出結果が入力されない場合、前記第2駆動装置を駆動させないように制御する。
【0090】
その他、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施できる。また、本発明の権利範囲が上記実施形態に限定されない。
【符号の説明】
【0091】
10 車両用シート
12 シートクッション
14 シートバック
14B1 前端部(シートバックにおけるシート前後方向の前端部)
18 リクライニング部
20 リクライニング用モータ(第1駆動装置)
22 アームレスト
22A 後端部(アームレストにおけるシート前後方向の後端部)
24 スライド部
26 アームレスト用モータ(第2駆動装置)
28 シートECU(車両用シート制御装置)
48 シートバック用センサ(第1位置検出装置)
50 アームレスト用センサ(第2位置検出装置)
P 着座乗員
t 隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11