(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023168167
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】害獣駆除装置及び害獣駆除方法
(51)【国際特許分類】
A01M 29/10 20110101AFI20231116BHJP
【FI】
A01M29/10
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022087239
(22)【出願日】2022-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】522210785
【氏名又は名称】合同会社なんま獣医学研究所
(72)【発明者】
【氏名】小野 定康
(72)【発明者】
【氏名】小野 嘉隆
【テーマコード(参考)】
2B121
【Fターム(参考)】
2B121AA01
2B121DA27
2B121DA30
2B121DA38
2B121DA62
2B121DA63
2B121EA21
2B121EA26
2B121FA13
2B121FA14
2B121FA20
(57)【要約】
【課題】イノシシやシカ等の害獣を、安全に駆除する事ができる装置及び方法を提供する事。
【解決手段】撮像装置と、レーザー照射器と、前記撮像装置の所定位置とレーザー照射器からのレーザー光を同軸に配置した照準を持つ分光器と、前記撮像装置と前記レーザー照射器と前記分光器が一体に固定された雲台を駆動する駆動手段を持つ害獣駆除装置により撮像装置より得た画像を用いて駆除対象の動物を判別し、駆動手段により対象動物の目に照準を合わせてレーザー照射を行う事により確実に対象の目にレーザー光を照射できる害獣駆除装置を提供するものである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置と、レーザー照射器と、前記撮像装置の所定位置と前記レーザー照射器からのレーザー光を同軸に配置した照準を持つ分光器と、前記撮像装置と前記レーザー照射器と前記分光器が一体に固定された雲台を駆動する駆動手段を持つ害獣駆除装置において、前記撮像装置と前記レーザー照射器並びに前記駆動手段に接続される制御器と、前記制御器には前記撮像装置の映像に基づいて対象動物の目を判別する判別手段と、該対象動物の目の位置を前記照準に合わせるように前記駆動手段を操作する操作手段と、前記操作手段により前記対象動物の目が前記照準に一致した時にレーザー照射を行う照射実行手段とを備えた害獣駆除装置。
【請求項2】
撮像装置と、レーザー照射器と、前記撮像装置の所定位置と前記レーザー照射器からのレーザー光を同軸に配置した照準を持つ分光器と、前記撮像装置と前記レーザー照射器と前記分光器が一体に固定された雲台を駆動する駆動手段を持つ害獣駆除装置の害獣駆除方法において、前記撮像装置の映像に基づいて対象動物の目を検知し、前記照準に前記対象動物の目を一致させるよう駆動手段を動かし、前記照準に前記対象動物の目が一致した時にレーザー照射器からレーザー照射を行う害獣駆除方法。
【請求項3】
撮像装置と、レーザー照射器と、前記撮像装置に接続された対象動物判別手段と、該対象動物判別手段で対象動物と判別されたときに前記レーザー照射器からのレーザー光を対象動物に照射するレーザー光照射手段とを備えた害獣駆除装置において、前記撮像装置の映像に基づいて対象動物から除外する安全動物判定手段を備え、前記安全動物判定手段により除外する動物が前記撮像装置の映像内に存在すると判定した時にはレーザー光の照射を禁止する禁止手段を備えた害獣駆除装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像撮像装置とレーザー照射器を一体にし、撮像装置の像の中心を分光器を介してレーザー光と同軸にしたレーザーの照準を害獣に対して合わせ、レーザー照射を行う事で害獣駆除を行う害獣駆除装置及び害獣駆除方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
イノシシや鹿などに代表される哺乳類の害獣は、畜産業、農業、林業及び近隣住民の安全を脅かす存在である。
害獣を駆除する方法として、狩猟者による銃猟とわな猟がある。しかし、銃猟では、銃の暴発、誤射などの事故に加え、狩猟者の転落や滑落、動物の襲撃などの危険性もある。また、わな猟では、通常、捕獲までに長い日数がかかる。これは野生動物であるが故に警戒心が強い為である。また、仲間がわなで捕まるのを見た動物は、学習してしまう為に捕らえるのが更に難しくなるなどの問題がある。
【0003】
実用新案登録第3199518号には、高輝度の閃光を一定間隔で点滅させて害獣を撃退する害獣忌避装置が紹介されているが、本装置ではランダムにレーザー光を投射させ、かつ投射方向も上下、左右に断続的に変化する事により威嚇するものであり、効果的に害獣の目に向けてレーザー光を当てて駆除することができない。また、害獣を検知してこの装置を作動させると記載されているが、害獣以外の生物に対して作動させない安全装置については開示がない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明では、画像処理により対象とする害獣とその害獣の目の位置を識別してレーザー照射する装置である為、銃猟による事故の危険性や、罠猟による捕獲の手間や時間を減らしつつ、害獣を安全に駆除する事ができるようになる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
撮像装置と、レーザー照射器と、前記撮像装置の所定位置と前記レーザー照射器からのレーザー光を同軸に配置した照準を持つ分光器と、前記撮像装置と前記レーザー照射器と前記分光器が一体に固定された雲台を駆動する駆動手段を持つ害獣駆除装置により撮像装置より得た画像を用いて駆除対象の動物を判別し、駆動手段により対象動物の目に照準を合わせてレーザー照射を行う事により着実に目にレーザー光を照射できる害獣駆除装置を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明は害獣が進入したと判定した時に、着実に害獣の目をレーザー照射する事で目を見えない状態にして駆除できるようにするものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】は害獣駆除装置中の制御システム内で実行されるフローチャートである。
【
図3】は害獣駆除装置により動物が駆除されるプロセスである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は本発明の害獣駆除装置の全体的な構成を表している。害獣駆除装置は、CCDカメラからなる撮像装置1と、半導体レーザー発振器からなるレーザー照射器2と、ハーフミラー8を備えた分光器3と、撮像装置1とレーザー照射器2並びに分光器3を一体に固定する為の雲台4と、雲台4を電気モーターで上下左右に動かすことができるパンチルーターからなる駆動部5と、撮像装置の映像信号を入力し駆動部を動作させる駆動信号を出力する制御器6とからなる。
【0010】
また、制御器6は制御ユニット6-1、外部端末6-2及び無線LAN6-3からなり、制御ユニット6-1からは外部の基地局に備えられた外部端末6-2に無線LAN6-3を通じて撮像装置1で撮影した映像信号が送られ、外部端末6-2は画像解析機能を用いて害獣や人間等の安全動物を判別する画像認識機能が設けられている。
【0011】
外部端末6-2は画像認識機能により識別した害獣や人間に関する識別情報を無線LAN6-3を介して制御ユニット6-1に送信し、制御ユニット6-1は当該識別情報を用いてレーザー照射器2に対してレーザー照射の実行や禁止の制御を行う。
【0012】
撮像装置1で撮像する映像フレームの中心を照準点として定め、分光器3に備えたハーフミラー8のフレーム中心に対応する所と同軸になるようにレーザー照射器2の光軸を合わせて、雲台に撮像装置1とレーザー照射器2と分光器3を一体に固定する。
【0013】
これらの害獣駆除装置はポータブル電源7により給電されるので、害獣駆除装置は可搬構造になっている。
【0014】
レーザー照射器2は、害獣の眼球の角膜と網膜を瞬時に焼く事ができるだけの熱量を持ち、制御器からの信号により照射を制御される。
【0015】
分光器3は、光束を2つに分割する光学分野の装置である。分光器3に入射した光の一部は反射し、一部は透過する特性を持つ。この特性を活かし、透過した光を前記撮像装置が撮影し、反射した光の軌跡を逆になぞるようにレーザーを照射するように前記レーザー照射器2を設置する事で、前記撮像装置の撮像と前記レーザー照射器の照射点を同軸に合わせる。
【0016】
制御ユニット6-1は撮像装置1から送られてきた映像信号を無線LAN6-3を介して外部端末6-2に送信し、外部端末6-2ではAI(人工知能)による深層学習を用いた画像認識処理により害獣の認識、害獣の目の認識と人間や家畜などの安全動物の認識を行い、外部端末6-2からそれぞれの認識処理結果を制御ユニット6-1に送る。
【0017】
制御ユニット6-1では、上述した映像信号に基づいて画像認識処理により認識した害獣の目の位置を照準と一致させるように駆動部5を動かし、照準と一致した時にレーザー照射器を作動させる制御を行う事で害獣を駆除することができる。この制御プロセスについては、
図2で説明する。
【0018】
本害獣装置はポータブル電源7により可搬式となっている為、さまざまな場所に設置することができる。また、設置した場所に餌を撒くことによって害獣を誘き寄せ、捕食している間が害獣の動きは鈍くなっている為に本装置で駆除する可能性が高くなる。
図2をステップごとに以下に説明する
【0019】
(ステップS1)
撮像装置1が撮影した映像を制御ユニット6-1が取得し、無線LAN6-3を介して外部端末6-2に送信する事で、外部端末6-2に設けられている画像認識機能により、狙撃対象とする対象動物である害獣が今回撮影した映像フレームに存在するか否かを識別する。
【0020】
(ステップS2)
ステップS1で得られた画像認識の結果、害獣が存在する場合はステップS4に進む。害獣が存在しない場合はステップS3に進む
【0021】
(ステップS3)
ステップS2で害獣が今回撮影した映像フレームには存在しなかったので、制御ユニット6-1が駆動部5を上下左右に稼動させる事で撮像装置1が隣接領域を撮影し、ステップS1に戻る。害獣が認識されるまでステップS1からステップS3が繰り返される事により害獣駆除装置の駆除領域をくまなくスキャンする事ができる。
【0022】
(ステップS4)
外部端末6-2に設けられている画像認識機能により、ステップS1にて狙撃対象となる対象動物が存在すると認識された映像から、狙撃点である害獣の眼が識別できるか否かを識別する。撮像装置にはCCDカメラを用いているので近赤外線の画像が得られるため、眼の位置の認識は比較的容易に行う事ができる。外部端末6-2から害獣の眼の有無と、有の場合にはその目の位置座標情報が制御ユニット6-1に送られてくる。
【0023】
(ステップS5、ステップS6)
害獣の眼を識別できない場合は、害獣の眼を識別できるようになるまで害獣が動くのを待つ。ステップS5で目の存在が確認できないときは、ステップS6で例えば0.2秒を待つことでステップS4において再度撮像装置1から画像を取得し、外部端末6-2で眼の存在確認を行う。これを繰り返して害獣の眼の存在が認識できるまでステップS4からステップS6を繰り返す。
【0024】
(ステップS7、ステップS8)
ステップS5で害獣の眼が存在すると認識された場合、ステップS7に進み外部端末7から送られてきた眼の位置の座標信号と照準のずれ分を差分情報として算出し、その差分情報に基づいて駆動部5を動かすことで眼の位置を照準に合わせる制御を行う。駆動部5を制御させたのちにステップS8で照準と眼の位置が一致するかを確認し、不一致の場合にはステップS7に戻り眼の位置が照準に合うまで繰り返し駆動部5の調整を行う。
【0025】
(ステップS9)
ステップS8にて害獣の眼とレーザー照射器2の照準が一致した時には、ステップS9では撮像装置1の映像を外部端末6-2に送り、その外部端末6-2に備わっているAI(人工知能)による深層学習を用いた画像認識処理により、人間や家畜などの保護しなければならない動物である安全動物が画像内に存在しないか否かを示す情報を制御ユニット6-1が受信する。
【0026】
(ステップS10)
ステップS10で安全動物がいないことが確認できた場合は、ステップS11に進む。ステップS10で安全動物が存在し、安全と確認できない場合には全ての処理を終了し、再び害獣駆除装置の開始時期を待って再開する。これにより害獣の近くに安全動物がいる場合に、レーザー光が直接照射されなくても光線の反射を見ることで安全動物の眼に悪影響が及ぶことを防ぐことができる。
【0027】
(ステップS11)
ステップS11にて、害獣の眼とレーザー照射器2の照準が一致した状態で、対象害獣以外の生物が画像内に存在しない事を識別できた場合、制御ユニット6-1がレーザー照射器2を発射させる。これにより害獣の目を失明させることができる。
【0028】
図2のステップの一部を実際の画像例で示したのが
図3である。
図3を以下に説明する。
図3(a):画像を取得し害獣の有無を確認する。害獣が存在しないときはパンチルーターを上下左右に動かしながら右図で害獣を検知する。
図3(b):害獣を検知しても左図のように眼の向きがレーザー照射に不向きであると眼の大きさや形状で認識した時には一定時間ごとに再認識を繰り返すことで右図のように眼の向きがレーザー照射に良い状態まで待つ。
図3(c):レーザー照射の照準は画面の中心(+)に設定されているので、眼の位置情報を座標で得て、眼の位置との差分情報に基づいて照準を眼の位置に合わせる。
(右図)
【手続補正書】
【提出日】2022-10-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置と、レーザー照射器と、前記撮像装置の所定位置と前記レーザー照射器からのレーザー光を同軸に配置した照準を持つ分光器と、前記撮像装置と前記レーザー照射器と前記分光器が一体に固定された雲台を駆動する駆動手段を持つ害獣駆除装置において、 前記撮像装置と前記レーザー照射器並びに前記駆動手段に接続される制御器と、前記制御器には前記撮像装置の映像に基づいて対象動物の目を判別する判別手段と、 該対象動物の目の位置を前記照準に合わせるように前記駆動手段を操作する操作手段と、前記操作手段により前記対象動物の目が前記照準に一致した時にレーザー照射を行う照射実行手段とを備えた害獣駆除装置。
【請求項2】
撮像装置と、レーザー照射器と、前記撮像装置の所定位置と前記レーザー照射器からのレー ザー光を同軸に配置した照準を持つ分光器と、前記撮像装置と前記レーザー照射器と前記分光器が一体に固定された雲台を駆動する駆動手段を持つ害獣駆除装置の害獣駆除方法において、前記撮像装置の映像に基づいて対象動物の目を検知し、前記照準に前記対象動物の目を一致させるよう駆動手段を動かし、前記照準に前記対象動物の目が一致した時にレーザー照射器からレーザー照射を行う害獣駆除方法。
【請求項3】
撮像装置と、レーザー照射器と、前記レーザー照射器からのレーザー光を害獣に照射するレーザー光照射手段とを備えた害獣駆除装置において、前記撮像装置の映像に基づいて安全動物を判定する安全動物判定手段を備え、前記安全動物判定手段により前記安全動物が前記撮像装置の映像内に存在すると判定した時にはレーザー光の照射を禁止する禁止手段を備えた害獣駆除装置。
【請求項4】
撮像装置と、レーザー照射器と、前記レーザー照射器からのレーザー光を害獣に照射するレーザー光照射手段と持つ害獣駆除装置の害獣駆除方法において、前記撮像装置の映像に基づいて安全動物を判定し、 前記安全動物が前記撮像装置の映像内に存在する時にはレーザー光の照射を行わない害獣駆除装置の害獣駆除方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像撮像装置とレーザー照射器を一体にし、撮像装置の像の中心を分光器を介してレーザー光と同軸にしたレーザーの照準を害獣に対して合わせ、レーザー照射を行う事で害獣駆除を行う害獣駆除装置及び害獣駆除方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
イノシシや鹿などに代表される哺乳類の害獣は、畜産業、農業、林業及び近隣住民の安全を脅かす存在である。
害獣を駆除する方法として、狩猟者による銃猟とわな猟がある。しかし、銃猟では、銃の暴発、誤射などの事故に加え、狩猟者の転落や滑落、動物の襲撃などの危険性もある。また、わな猟では、通常、捕獲までに長い日数がかかる。これは野生動物であるが故に警戒心が強い為である。また、仲間がわなで捕まるのを見た動物は、学習してしまう為に捕らえるのが更に難しくなるなどの問題がある。
【0003】
実用新案登録第3199518号には、高輝度の閃光を一定間隔で点滅させて害獣を撃退する害獣忌避装置が紹介されているが、本装置ではランダムにレーザー光を投射させ、かつ投射方向も上下、左右に断続的に変化する事により威嚇するものであり、効果的に害獣の目に向けてレーザー光を当てて駆除することができない。また、害獣を検知してこの装置を作動させると記載されているが、害獣以外の生物に対して作動させない安全装置については開示がない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明では、画像処理により対象とする害獣とその害獣の目の位置を識別してレーザー照射する装置である為、銃猟による事故の危険性や、罠猟による捕獲の手間や時間を減らしつつ、害獣を安全に駆除する事ができるようになる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
撮像装置と、レーザー照射器と、前記撮像装置の所定位置と前記レーザー照射器からのレーザー光を同軸に配置した照準を持つ分光器と、前記撮像装置と前記レーザー照射器と前記分光器が一体に固定された雲台を駆動する駆動手段を持つ害獣駆除装置により撮像装置より得た画像を用いて駆除対象の動物を判別し、駆動手段により対象動物の目に照準を合わせてレーザー照射を行う事により着実に目にレーザー光を照射できる害獣駆除装置を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明は害獣が進入したと判定した時に、着実に害獣の目をレーザー照射する事で目を見えない状態にして駆除できるようにするものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】は害獣駆除装置中の制御システム内で実行されるフローチャートである。
【
図3】は害獣駆除装置により動物が駆除されるプロセスである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は本発明の害獣駆除装置の全体的な構成を表している。害獣駆除装置は、CCDカメラからなる撮像装置1と、半導体レーザー発振器からなるレーザー照射器2と、ハーフミラー8を備えた分光器3と、撮像装置1とレーザー照射器2並びに分光器3を一体に固定する為の雲台4と、雲台4を電気モーターで上下左右に動かすことができるパンチルーターからなる駆動部5と、撮像装置の映像信号を入力し駆動部を動作させる駆動信号を出力する制御器6とからなる。
【0010】
また、制御器6は制御ユニット6-1、外部端末6-2及び無線LAN6-3からなり、制御ユニット6-1からは外部の基地局に備えられた外部端末6-2に無線LAN6-3を通じて撮像装置1で撮影した映像信号が送られ、外部端末6-2は画像解析機能を用いて害獣や人間等の安全動物を判別する画像認識機能が設けられている。
【0011】
外部端末6-2は画像認識機能により識別した害獣や人間に関する識別情報を無線LAN6-3を介して制御ユニット6-1に送信し、制御ユニット6-1は当該識別情報を用いてレーザー照射器2に対してレーザー照射の実行や禁止の制御を行う。
【0012】
撮像装置1で撮像する映像フレームの中心を照準点として定め、分光器3に備えたハーフミラー8のフレーム中心に対応する所と同軸になるようにレーザー照射器2の光軸を合わせて、雲台に撮像装置1とレーザー照射器2と分光器3を一体に固定する。
【0013】
これらの害獣駆除装置はポータブル電源7により給電されるので、害獣駆除装置は可搬構造になっている。
【0014】
レーザー照射器2は、害獣の眼球の角膜と網膜を瞬時に焼く事ができるだけの熱量を持ち、制御器からの信号により照射を制御される。
【0015】
分光器3は、光束を2つに分割する光学分野の装置である。分光器3に入射した光の一部は反射し、一部は透過する特性を持つ。この特性を活かし、透過した光を前記撮像装置が撮影し、反射した光の軌跡を逆になぞるようにレーザーを照射するように前記レーザー照射器2を設置する事で、前記撮像装置の撮像と前記レーザー照射器の照射点を同軸に合わせる。
【0016】
制御ユニット6-1は撮像装置1から送られてきた映像信号を無線LAN6-3を介して外部端末6-2に送信し、外部端末6-2ではAI(人工知能)による深層学習を用いた画像認識処理により害獣の認識、害獣の目の認識と人間や家畜などの安全動物の認識を行い、外部端末6-2からそれぞれの認識処理結果を制御ユニット6-1に送る。
【0017】
制御ユニット6-1では、上述した映像信号に基づいて画像認識処理により認識した害獣の目の位置を照準と一致させるように駆動部5を動かし、照準と一致した時にレーザー照射器を作動させる制御を行う事で害獣を駆除することができる。この制御プロセスについては、
図2で説明する。
【0018】
本害獣装置はポータブル電源7により可搬式となっている為、さまざまな場所に設置することができる。また、設置した場所に餌を撒くことによって害獣を誘き寄せ、捕食している間が害獣の動きは鈍くなっている為に本装置で駆除する可能性が高くなる。
図2をステップごとに以下に説明する
【0019】
(ステップS1)
撮像装置1が撮影した映像を制御ユニット6-1が取得し、無線LAN6-3を介して外部端末6-2に送信する事で、外部端末6-2に設けられている画像認識機能により、狙撃対象とする対象動物である鹿や猪等の害獣が今回撮影した映像フレームに存在するか否かを識別する。
【0020】
(ステップS2)
ステップS1で得られた画像認識の結果、害獣が存在する場合はステップS4に進む。害獣が存在しない場合はステップS3に進む
【0021】
(ステップS3)
ステップS2で害獣が今回撮影した映像フレームには存在しなかったので、制御ユニット6-1が駆動部5を例えば映像フレーム(画面)の1/2分だけ上下左右に稼動させる事で撮像装置1が隣接領域を撮影し、ステップS1に戻る。害獣が認識されるまでステップS1からステップS3が繰り返される事により害獣駆除装置の駆除領域をくまなくスキャンする事ができる。
【0022】
(ステップS4)
外部端末6-2に設けられている画像認識機能により、ステップS1にて狙撃対象となる対象動物が存在すると認識された映像から、狙撃点である害獣の眼が識別できるか否かを識別する。撮像装置にはCCDカメラを用いているので近赤外線の画像が得られるため、眼の位置の認識は比較的容易に行う事ができる。外部端末6-2から害獣の眼の有無と、有の場合にはその目の位置座標情報が制御ユニット6-1に送られてくる。
【0023】
本実施例では図示していないが害獣の眼を識別できない場合は、害獣の眼を識別できるようになるまで害獣が動くのを待つ処理を行う。目の存在が確認できないときは、例えば0.2秒を待つことでステップS4において再度撮像装置1から画像を取得し、外部端末6-2で眼の存在確認を行う。これを繰り返して害獣の眼の存在が認識できるまでステップS4が実行される。なお、所定の時間(例えば、10分間)を経過しても目の存在が確認できない場合には、すべての処理を終了して再び最初のステップS1から処理を開始しても良い。
【0024】
(ステップS5、ステップS6)
ステップS4で害獣の眼が存在すると認識された場合、ステップS5に進み外部端末7から送られてきた眼の位置の座標信号と照準のずれ分を差分情報として算出し、その差分情報に基づいて駆動部5を動かすことで眼の位置を照準に合わせる制御を行う。駆動部5を制御させたのちにステップS6で照準と眼の位置が一致するかを確認し、不一致の場合にはステップS5に戻り眼の位置が照準に合うまで繰り返し駆動部5の調整を行う。
【0025】
(ステップS7)
ステップS6にて害獣の眼とレーザー照射器2の照準が一致した時には、ステップS8では再度読み込まれた撮像装置1の最新の映像を外部端末6-2に送り、その外部端末6-2に備わっているAI(人工知能)による深層学習を用いた画像認識処理により、人間や家畜などの保護しなければならない動物である安全動物が画像内に存在しないか否かを示す情報を制御ユニット6-1が受信する。
【0026】
(ステップS8)
ステップS8で安全動物がいないことが確認できた場合は、ステップS9に進む。ステップS8で安全動物が存在し、安全と確認できない場合には全ての処理を終了し、再び害獣駆除装置の開始時期を待って再開する。これにより害獣の近くに安全動物がいる場合に、レーザー光が直接照射されなくても光線の反射を見ることで安全動物の眼に悪影響が及ぶことを防ぐことができる。
【0027】
(ステップS9)
ステップS9にて、害獣の眼とレーザー照射器2の照準が一致した状態で、対象害獣以外の人や家畜などの生物が画像内に存在しない事を識別できた場合、制御ユニット6-1がレーザー照射器2を発射させ、制御を終了する。制御の終了後は所定時間(例えば、5分後)に再び制御開始に戻る事で、同じ制御が繰り返される。これにより害獣の目を失明させることができる。
【0028】
図2のステップの一部を実際の画像例で示したのが
図3である。
図3を以下に説明する。
図3(a):画像を取得し害獣の有無を確認する。害獣が存在しないときはパンチルーターを上下左右に動かしながら右図で害獣を検知する。
図3(b):害獣を検知しても左図のように眼の向きがレーザー照射に不向きであると眼の大きさや形状で認識した時には一定時間ごとに再認識を繰り返すことで右図のように眼の向きがレーザー照射に良い状態まで待つ。
図3(c):レーザー照射の照準は画面の中心(+)に設定されているので、眼の位置情報を座標で得て、眼の位置との差分情報に基づいて照準を眼の位置に合わせる。(右図)
【0029】
以上のように、本発明では照準と同軸に配置されたレーザー光を用いて害獣の眼を的確に照射することで害獣を駆除できるものである。また、レーザー照射の際に人や家畜などへの被害を抑え安全性を高める害獣駆除装置を提供するものである。