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特開2023-168170雑草及び植物害虫等の防除に効果のある食酢の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023168170
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】雑草及び植物害虫等の防除に効果のある食酢の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C12J 1/00 20060101AFI20231116BHJP
   C12J 1/04 20060101ALI20231116BHJP
   A01P 17/00 20060101ALI20231116BHJP
   A01N 65/08 20090101ALI20231116BHJP
【FI】
C12J1/00 Z
C12J1/04 101B
A01P17/00
A01N65/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022088077
(22)【出願日】2022-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】502166662
【氏名又は名称】熊谷 照男
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 照男
【テーマコード(参考)】
4B128
4H011
【Fターム(参考)】
4B128BC05
4B128BL06
4B128BL22
4B128BP08
4B128BP09
4B128BP10
4B128BP11
4H011AC06
4H011BB22
(57)【要約】
【課題】 雑草及び植物害虫等の防除だけではなく、カリウム、ポリフェノール、ビタミンなど人体に有用な植物の多様な栄養成分が豊富に含まれた、美味しく飲食も可能な渋柿成分を含有する食酢の製造方法の提供。
【解決手段】 渋柿等にアルコールを吹きかけ、冷凍処理して軟化や渋抜きされた柿果皮や果実を、同量の水中に破砕して入れ、更に、水を加えた量と同量の柿酢諸味を加えて静置培養した後、搾汁、濾過、火入れして得る柿酢を、サトウキビ等を原料とする酸度20度の醸造酢に、求める酸度となるよう容器に割り入れて仕込み、熟成する、渋柿成分を含有する食酢の製造方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
柿の皮や柿果実にアルコールを吹きかけ、凍結して渋抜きと柿の軟化処理を施した後、処理した柿果実と同量の水中に破砕して加え、更に水を加えた量と同量の柿酢諸味を加えて後、最終的に全体の5重量%になるようにアルコールを添加して静置培養してできた柿酢を濾過し、火入れ処理して酵素を失活させ、サトウキビ等を原料とする酸度20%の醸造酢に、所望する酸度になるよう容器に割り入れて熟成することを特徴とする、雑草及び植物害虫等の防除に効果のあり、飲食用にも提供できる食酢の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雑草及び植物害虫等の防除に効果のあり、飲食用にも提供できる渋柿成分を含有する食酢の製造に関する。
【背景技術】
【0002】
植物害虫等の防除に効果のある酵母細胞壁酵素分解物を含む植物害虫防除剤組成物が紹介されている。(特許文献1参照)。また、雑草に対する酢酸を有効成分とする除草剤(特許文献2参照)公開されている。
近年、原材料に照らし農作物等、人畜及び水産動植物に対し害を及ぼす恐れが無いことが明らかなものに対して特定防除資材(特定農薬)として指定する政策がなされている。
食酢(酢酸)がその中一つであるということは、それだけ信頼性、利用度が高いという証であるが、食酢を防除剤として使用するには、食酢には展着性は無く少量の雨にも弱く、直ぐ酢の成分が薄まる欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-045708号公報
【特許文献2】特開2021-169526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常の食酢は、サトウキビ、米、穀物、果実などを原料としたアルコールに酢酸菌により醸造醗酵して造られた水溶液で、防除資材として用いた場合に展着性に欠けていた。
本発明は、多少の雨で酢の成分が直ちに薄まることのない、展着性の具わった食酢を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記の課題を達成するため、干し柿を造る際に大量に排出される柿の皮や、収穫した傷ついた柿や渋柿を洗浄し、蔕を取り果皮の外側から35度以上45度以下のアルコールを吹きかけて密閉袋に入れ、数日間、直射日光を避けた常温の場所に保管する。
【0006】
前記処理した柿果皮や柿果実を、脱渋と柿果実の軟化目的のため、-20℃以下に冷えた冷凍庫に入れ冷凍保管する。
【0007】
前記冷凍処理した柿果皮や柿果実を常温解凍し、柿が保持する含有成分の溶出を容易にする目的に柿を破砕する。
【0008】
前記破砕処理した、柿果皮や柿果実に同量の水を加え、更に、水を加えた量と同量の柿酢諸味を加えた量に、最終的に全体の5重量%になるようにアルコールを添加する。
【0009】
前記アルコール添加して処理した柿果汁を、30~32℃の室温で静置培養する。
【0010】
前記静置培養処理した柿果皮や柿果実の酸度が5.0%以上になったら醗酵を停止して、柿酢諸味を圧搾袋にいれて搾汁する。
【0011】
前記圧搾搾汁して得た柿酢に、火入れ(70~75℃で約10分)を行い、酵素を失活させる。
【0012】
前記一連の処理で出来た柿酢を、サトウキビ等を原料にした酸度20%の醸造酢に、所望する酸度(酸度15%、酸度10%、酸度5%等)となるように容器に割り入れして仕込み、熟成することにより柿酢に柿渋の展着性が付与した、渋柿成分の含有する食酢の製造方法にある。
【発明の効果】
【0013】
醸造酢と柿果皮や果実の天然素材からなる食酢は、カリウム、ポリフェノール、ビタミンなど人体に有用な植物の多様な栄養成分が豊富に含まれており、人体への健康効果が期待でき、飲食用に提供することができる。
【0014】
醸造酢と柿果皮や果実からなる本発明の食酢は、柿タンニンが展着剤の役目を果たしての雑草及び植物害虫等の防除だけではなく、柿植物の免疫力を高める作用があり、病害虫の防除や予防のほか、日照不足高温、乾燥時の対策、成り疲れや根腐れに効果がある。
【0015】
不快なにおいを発するカメムシに、酸度15%の渋柿成分を含有する食酢を150倍に希釈して散布すると、酸っぱい臭いの場所から遠ざかり、実際、アブラムシやカメムシの発生しそうな場所に散布すると忌避剤としての効果がある。
【0016】
イシクラゲは藻類の一種で、雨上がりに雨水を吸ってヌルヌルして滑るし、晴れた日にはカラカラに乾燥して、見た目には完全にワカメであるが、気持ちの悪いこの厄介者に酸度15%の渋柿成分を含有する食酢を、30倍に希釈して雨上がり後に散布すると、3日後位から茶色く枯れて、散布しないところと区別がつくほど除草効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0017】
干し柿を造る際に大量に排出される柿の皮や、干し柿などに加工できない規格外の収穫された渋柿等の蔕を取り、果皮の外側から35度以上45度以下のアルコールを吹きかけて密閉袋に入れ、数日間放置した後、冷凍、解凍することにより軟化や渋抜きされる柿果皮や果実を、柿果皮や果実の重量と同量の水に破砕して入れ、更に、水を加えた量と同量の柿酢諸味を加えて最終的に全体の5重量%になるようにアルコールを添加して静置培養をする。
【0018】
前記静置培養処理で柿諸味の酸度が5%になったら醗酵を止め、火入れ(70~75℃で約10分)を行い、酵素を失活させた後、柿酢諸味を搾汁、濾過して得た柿酢を、サトウキビ等を原料とした酸度20%の醸造酢に、求める酸度となるよう容器に割り入れて仕込み、熟成する柿酢に柿渋の展着性が付与した食酢の製造方法である。