(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023168192
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/74 20060101AFI20231116BHJP
H01R 13/46 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
H01R13/74 J
H01R13/46 304Z
H01R13/74 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145040
(22)【出願日】2022-09-13
(31)【優先権主張番号】P 2022078909
(32)【優先日】2022-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】591043064
【氏名又は名称】モレックス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100116207
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100096426
【弁理士】
【氏名又は名称】川合 誠
(72)【発明者】
【氏名】犬飼 瞳
(72)【発明者】
【氏名】圓谷 哲紀
(72)【発明者】
【氏名】宮本 久嗣
【テーマコード(参考)】
5E087
【Fターム(参考)】
5E087JJ07
5E087JJ09
5E087MM18
5E087RR06
5E087RR29
(57)【要約】
【課題】壁部材にがたつきなく取付けることができ、安定的な取付状態を確実に維持することができ、小型化することができ、構造が簡素で、部品点数が少なく、製造が容易で、コストが低く、信頼性が高くなるようにする。
【解決手段】ハウジングと、該ハウジングと組合される複数の弾性部材と、前記ハウジングに取付けられる複数の端子とを備え、前記ハウジングは、壁部材に形成された開口に挿入可能であり、前記弾性部材は、それぞれが前記ハウジングの嵌合面に露出する嵌合露出面と、前記ハウジングの側壁面に露出する側壁露出面とを含み、前記ハウジングの幅方向左右両側にそれぞれが位置する左右対称の対を少なくとも1つなすように構成され、前記側壁露出面は、嵌合方向に延在するリブであって、前記開口の内面と当接可能なリブを含んでいる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ハウジングと、該ハウジングと組合される複数の弾性部材と、前記ハウジングに取付けられる複数の端子とを備え、
(b)前記ハウジングは、壁部材に形成された開口に挿入可能であり、
(c)前記弾性部材は、それぞれが前記ハウジングの嵌合面に露出する嵌合露出面と、前記ハウジングの側壁面に露出する側壁露出面とを含み、前記ハウジングの幅方向左右両側にそれぞれが位置する左右対称の対を少なくとも1つなすように構成され、
(d)前記側壁露出面は、嵌合方向に延在するリブであって、前記開口の内面と当接可能なリブを含んでいることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記ハウジングの側壁面は第1側壁面、第2側壁面、第3側壁面及び第4側壁面を含み、
前記ハウジングの幅方向左右の一方側に位置する弾性部材は前記ハウジングの第1側壁面、第2側壁面及び第3側壁面に露出する第1側壁露出面、第2側壁露出面及び第3側壁露出面を含み、前記第1側壁露出面、第2側壁露出面及び第3側壁露出面は、各々、前記リブを含み、
前記ハウジングの幅方向左右の他方側に位置する弾性部材は前記ハウジングの第1側壁面、第2側壁面及び第4側壁面に露出する第1側壁露出面、第2側壁露出面及び第4側壁露出面を含み、前記第1側壁露出面、第2側壁露出面及び第4側壁露出面は、各々、前記リブを含んでいる請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記リブは少なくとも6つであり、該リブのそれぞれは、少なくともその先端が前記ハウジングの側壁面よりも外方に突出する角部を含んでいる請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記弾性部材は前記対を2つなすように構成されている請求項1に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記ハウジングは、その幅方向中央寄りの位置にロック部を含み、前記弾性部材の各々は、前記ロック部よりもハウジングの幅方向外側で該ハウジングと組合されている請求項1に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記ロック部は、前記壁部材と係合可能なロック部材及び突出部を含んでいる請求項5に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記嵌合面は、前記ハウジングにおける嵌合方向両側に位置する請求項1に記載のコネクタ。
【請求項8】
前記ハウジングは、前記弾性部材の嵌合露出面及び側壁露出面の輪郭に沿って形成された輪郭凸部を含んでいる請求項1に記載のコネクタ。
【請求項9】
前記ハウジングは、前記コネクタと嵌合可能な相手方コネクタとロック可能なロック部を含んでいる請求項1に記載のコネクタ。
【請求項10】
一対の相手方コネクタと嵌合して該一対の相手方コネクタを互いに接続するための中継コネクタ、又は、基板に実装される基板コネクタである請求項1~9のいずれか1項に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、各種の電気機器や電子機器においては、ケーシングやハウジングのような筐体の内外を電気的に接続するために、筐体の開口を貫通するコネクタが使用されている。このようなコネクタは、筐体から離脱することがないように、弾性変形可能なリテーナ等の部材によって筐体に取付けられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
図39は従来の筐体の開口を貫通するコネクタの分解斜視図である。
【0004】
図において、810は、コネクタとしてのレセプタクルコネクタであり、シールドカバー871が装着される。また、前記レセプタクルコネクタ810には、その前面からガスケット831が嵌込まれる。その後、前記レセプタクルコネクタ810は、筐体の壁面891に形成された開口892に前記壁面891の後面側から挿入され、さらに、リテーナクリップ872が前記壁面891の前面側から開口892に挿入される。そして、図示されない相手方コネクタとしてのプラグコネクタがリテーナクリップ872に挿入され、レセプタクルコネクタ810と嵌合される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記従来のコネクタにおいては、筐体の壁面891に形成された開口892の寸法精度が比較的低い(寸法公差が比較的大きい)ので、開口892の内面とコネクタの外面との間に間隙が生じ、コネクタを壁面891に安定的に取付けることができず、コネクタにがたつきが発生してしまう。さらに、がたつきが発生すると、コネクタの外面が壁面891における開口892の縁によって削られてしまうこともある。
【0007】
ここでは、前記従来の問題点を解決して、壁部材にがたつきなく取付けることができ、安定的な取付状態を確実に維持することができ、小型化することができ、構造が簡素で、部品点数が少なく、製造が容易で、コストが低く、信頼性の高いコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そのために、コネクタにおいては、ハウジングと、該ハウジングと組合される複数の弾性部材と、前記ハウジングに取付けられる複数の端子とを備え、前記ハウジングは、壁部材に形成された開口に挿入可能であり、前記弾性部材は、それぞれが前記ハウジングの嵌合面に露出する嵌合露出面と、前記ハウジングの側壁面に露出する側壁露出面とを含み、前記ハウジングの幅方向左右両側にそれぞれが位置する左右対称の対を少なくとも1つなすように構成され、前記側壁露出面は、嵌合方向に延在するリブであって、前記開口の内面と当接可能なリブを含んでいる。
【0009】
他のコネクタにおいては、さらに、前記ハウジングの側壁面は第1側壁面、第2側壁面、第3側壁面及び第4側壁面を含み、前記ハウジングの幅方向左右の一方側に位置する弾性部材は前記ハウジングの第1側壁面、第2側壁面及び第3側壁面に露出する第1側壁露出面、第2側壁露出面及び第3側壁露出面を含み、前記第1側壁露出面、第2側壁露出面及び第3側壁露出面は、各々、前記リブを含み、前記ハウジングの幅方向左右の他方側に位置する弾性部材は前記ハウジングの第1側壁面、第2側壁面及び第4側壁面に露出する第1側壁露出面、第2側壁露出面及び第4側壁露出面を含み、前記第1側壁露出面、第2側壁露出面及び第4側壁露出面は、各々、前記リブを含んでいる。
【0010】
更に他のコネクタにおいては、さらに、前記リブは少なくとも6つであり、該リブのそれぞれは、少なくともその先端が前記ハウジングの側壁面よりも外方に突出する角部を含んでいる。
【0011】
更に他のコネクタにおいては、さらに、前記弾性部材は前記対を2つなすように構成されている。
【0012】
更に他のコネクタにおいては、さらに、前記ハウジングは、その幅方向中央寄りの位置にロック部を含み、前記弾性部材の各々は、前記ロック部よりもハウジングの幅方向外側で該ハウジングと組合されている。
【0013】
更に他のコネクタにおいては、さらに、前記ロック部は、前記壁部材と係合可能なロック部材及び突出部を含んでいる。
【0014】
更に他のコネクタにおいては、さらに、前記嵌合面は、前記ハウジングにおける嵌合方向両側に位置する。
【0015】
更に他のコネクタにおいては、さらに、前記ハウジングは、前記弾性部材の嵌合露出面及び側壁露出面の輪郭に沿って形成された輪郭凸部を含んでいる。
【0016】
更に他のコネクタにおいては、さらに、前記ハウジングは、前記コネクタと嵌合可能な相手方コネクタとロック可能なロック部を含んでいる。
【0017】
更に他のコネクタにおいては、さらに、一対の相手方コネクタと嵌合して該一対の相手方コネクタを互いに接続するための中継コネクタ、又は、基板に実装される基板コネクタである。
【発明の効果】
【0018】
本開示によれば、コネクタは、壁部材にがたつきなく取付けることができ、安定的な取付状態を確実に維持することができる。また、コネクタを小型化することができる。さらに、構造が簡素で、部品点数が少なく、製造が容易で、コストを低減することができるとともに、信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】第1の実施の形態における壁部材に取付けられたコネクタに第1及び第2の相手方コネクタが嵌合された状態を示す第1の斜視図である。
【
図2】第1の実施の形態における壁部材に取付けられたコネクタに第1及び第2の相手方コネクタが嵌合された状態を示す第2の斜視図ある。
【
図3】第1の実施の形態における壁部材に取付けられたコネクタに第1及び第2の相手方コネクタが嵌合された状態を示す側面図である。
【
図4】第1の実施の形態におけるコネクタと第1及び第2の相手方コネクタとの嵌合前の状態を示す斜視図である。
【
図5】第1の実施の形態におけるコネクタの前方斜め上から視た斜視図である。
【
図6】第1の実施の形態におけるコネクタの前方斜め下から視た斜視図である。
【
図8】第1の実施の形態におけるコネクタの後方斜め上から視た斜視図である。
【
図9】第1の実施の形態におけるコネクタの後方斜め下から視た斜視図である。
【
図11】第1の実施の形態におけるコネクタの二面図であって、(a)は上面図、(b)は(a)におけるA-A矢視断面図である。
【
図12】第1の実施の形態におけるコネクタの後方斜め上から視た分解斜視図である。
【
図13】第1の実施の形態における一方のエラストマの前方斜め上から視た斜視図である。
【
図14】第1の実施の形態における一方のエラストマの後方斜め下から視た斜視図である。
【
図15】第1の実施の形態における端子の側面図であって、(a)は好適例の側面図、(b)は変形例の側面図である。
【
図16】第1の実施の形態におけるコネクタの側断面図であって、(a)は
図11におけるB-B矢視断面図、(b)は
図11におけるC-C矢視断面図である。
【
図17】第1の実施の形態におけるコネクタに第1及び第2の相手方コネクタが嵌合された状態を示す側断面図である。
【
図18】第2の実施の形態における壁部材に取付けられたコネクタに第1及び第2の相手方コネクタが嵌合された状態を示す第1の斜視図である。
【
図19】第2の実施の形態における壁部材に取付けられたコネクタに第1及び第2の相手方コネクタが嵌合された状態を示す第2の斜視図である。
【
図20】第2の実施の形態における壁部材に取付けられたコネクタに第1及び第2の相手方コネクタが嵌合された状態を示す側面図である。
【
図21】第2の実施の形態におけるコネクタと第1及び第2の相手方コネクタとの嵌合前の状態を示す斜視図である。
【
図22】第2の実施の形態におけるコネクタの前方斜め上から視た斜視図である。
【
図23】第2の実施の形態におけるコネクタの前方斜め下から視た斜視図であって、(a)は下側蓋部材を取付けた状態を示す図、(b)は下側蓋部材を取外した状態を示す図である。
【
図24】第2の実施の形態におけるコネクタの下側蓋部材を前方斜め下から視た斜視図である。
【
図26】第2の実施の形態におけるコネクタの後方斜め上から視た斜視図である。
【
図27】第2の実施の形態におけるコネクタの後方斜め下から視た斜視図であって、(a)は下側蓋部材を取付けた状態を示す図、(b)は下側蓋部材を取外した状態を示す図である。
【
図28】第2の実施の形態におけるコネクタの下側蓋部材を後方斜め下から視た斜視図である。
【
図30】第2の実施の形態におけるコネクタの二面図であって、(a)は上面図、(b)は(a)におけるD-D矢視断面図である。
【
図31】第2の実施の形態におけるコネクタの後方斜め上から視た分解斜視図である。
【
図32】第2の実施の形態におけるハウジングの右側に位置するエラストマの前方斜め上から視た斜視図である。
【
図33】第2の実施の形態におけるハウジングの左側に位置するエラストマの前方斜め上から視た斜視図である。
【
図34】第2の実施の形態におけるハウジングの左側に位置するエラストマの後方斜め下から視た斜視図である。
【
図35】第2の実施の形態におけるハウジングの右側に位置するエラストマの後方斜め下から視た斜視図である。
【
図36】第2の実施の形態における端子の側面図であって、(a)は好適例の側面図、(b)は変形例の側面図である。
【
図37】第2の実施の形態におけるコネクタの側断面図であって、(a)は
図30におけるE-E矢視断面図、(b)は
図30におけるF-F矢視断面図である。
【
図38】第2の実施の形態におけるコネクタに第1及び第2の相手方コネクタが嵌合された状態を示す側断面図である。
【
図39】従来の筐体の開口を貫通するコネクタの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0021】
図1は第1の実施の形態における壁部材に取付けられたコネクタに第1及び第2の相手方コネクタが嵌合された状態を示す第1の斜視図、
図2は第1の実施の形態における壁部材に取付けられたコネクタに第1及び第2の相手方コネクタが嵌合された状態を示す第2の斜視図、
図3は第1の実施の形態における壁部材に取付けられたコネクタに第1及び第2の相手方コネクタが嵌合された状態を示す側面図、
図4は第1の実施の形態におけるコネクタと第1及び第2の相手方コネクタとの嵌合前の状態を示す斜視図である。
【0022】
図において、10は、本実施の形態におけるコネクタであって壁部材91に取付けられるコネクタである。前記壁部材91は、例えば、各種の電気機器や電子機器におけるケーシングやハウジングのような筐体の外壁であるが、壁状乃至板状の部材であれば、いかなる種類のものであってもよく、いかなる用途に用いられるものであってもよい。そして、前記壁部材91には、該壁部材91を貫通する開口である挿入開口92が形成され、前記コネクタ10は、
図1~3に示されるように、前記挿入開口92に挿入された状態で前記壁部材91に取付けられる。なお、
図1~3において、前記壁部材91は、図示の都合状、挿入開口92の周辺部分以外の描画が省略されている。
【0023】
また、前記コネクタ10は、いかなる種類のものであってもよく、いかなる用途に用いられるものであってもよく、例えば、回路基板等の基板に実装される基板コネクタであってもよいし、フレキシブルフラットケーブルやリボンケーブルの先端に接続されるケーブルコネクタであってもよいが、ここでは、
図1~4に示されるように、両方の嵌合端にそれぞれ嵌合された相手方コネクタ101同士を接続する中継コネクタであるものとして説明する。なお、コネクタ10の第1嵌合端、すなわち、前方(X軸正方向)の嵌合端には、第1相手方コネクタ101Aが嵌合され、コネクタ10の第2嵌合端、すなわち、後方(X軸負方向)の嵌合端には、第2相手方コネクタ101Bが嵌合される。
【0024】
本実施の形態において、第1相手方コネクタ101A及び第2相手方コネクタ101Bは、フレキシブル回路基板であるFPC191をコネクタ10に電気的に接続するための、いわゆる、ジャケットとして使用されるものであってFPC191が取付けられるFPCコネクタであり、第1相手方コネクタ101Aと第2相手方コネクタ101Bとを統合的に説明する場合には、相手方コネクタ101として説明する。また、本実施の形態において、FPC191は、フレキシブル回路基板だけでなく、FFCと称されるフレキシブルフラットケーブルをも含む平板状可撓性基板乃至平板状可撓性ケーブルのことを意味し、いかなる種類の平板状可撓性基板乃至平板状可撓性ケーブルであってもよい。
【0025】
なお、本実施の形態において、コネクタ10、相手方コネクタ101、FPC191等の各部の構成及び動作を説明するために使用される上、下、左、右、前、後等の方向を示す表現は、絶対的なものでなく相対的なものであり、前記コネクタ10、相手方コネクタ101、FPC191等の各部が図に示される姿勢である場合に適切であるが、その姿勢が変化した場合には姿勢の変化に応じて変更して解釈されるべきものである。
【0026】
そして、前記コネクタ10は、例えば、グラスファイバを15〔%〕程度含有するポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂等の合成樹脂のような絶縁性材料によって一体的に形成されたコネクタ本体としてのハウジング11と、該ハウジング11内に取付けられた後述される複数の導電性の端子61とを有する。
【0027】
前記ハウジング11は、図に示されるように、幅方向(Y軸方向)に細長く延びた外形を備え、平面視(Z軸方向から視て)において概略長方形の上面11aと、該上面11aに対向する下面11bと、前記上面11aと下面11bの幅方向両端を連結し、前記上面11a及び下面11bとほぼ直交する右側面11s1及び左側面11s2と、前端及び後端において前記上面11a、下面11b並びに右側面11s1及び左側面11s2と直交する前面11f及び後面11rとを有する。なお、前記右側面11s1及び左側面11s2を統合的に説明する場合には、側面11sとして説明する。また、前記前面11f及び後面11rは、コネクタ10と嵌合する相手方コネクタ101に向合う面であり、嵌合面とも称される。さらに、前記上面11a、下面11b、右側面11s1及び左側面11s2は、ハウジング11の側壁を構成する面であり、それぞれ、第1側壁面、第2側壁面、第3側壁面及び第4側壁面とも称され、統合的には、側壁面とも称される。
【0028】
なお、上面11aと側面11sとの接続部分及び下面11bと側面11sとの接続部分は、前後方向(X軸方向)から視て、中心角約90度の扇形の曲線のように湾曲した曲面となっている。そして、コネクタ10が挿入開口92に挿入された状態では、ハウジング11の外面としての上面11a、下面11b及び/又は側面11sと挿入開口92の内面との間には、寸法公差に起因する不可避的な間隙が存在する。
【0029】
また、前記ハウジング11には、前面11fに開口された前方挿入凹部13fと、後面11rに開口された後方挿入凹部13rとが形成されている。前記前方挿入凹部13fには、前方から第1相手方コネクタ101Aが挿入され、前記後方挿入凹部13rには、後方から第2相手方コネクタ101Bが挿入される。なお、前方挿入凹部13fと後方挿入凹部13rとを統合的に説明する場合には、挿入凹部13として説明する。該挿入凹部13は、その幅方向(Y軸方向)のほぼ中央に位置する嵌合柱部12cによって左右に二分されている。また、前記前面11fにおける幅方向のほぼ中央には、第1相手方コネクタ101Aの相手方ロック部材121と係合してロックされる前方被ロック部21fが形成され、前記後面11rにおける幅方向のほぼ中央には、第2相手方コネクタ101Bの相手方ロック部材121と係合してロックされる後方被ロック部21rが形成されている。すなわち、前記ハウジング11は、相手方コネクタ101とのロック部としての前方被ロック部21f及び後方被ロック部21rを含んでいる。
【0030】
さらに、前記ハウジング11は、幅方向(Y軸方向)中央寄りの位置に、壁部材91と係合可能であって、該壁部材91にロックされるロック部を構成するロック部材23及び突出部24を含んでいる。具体的には、上面11a及び下面11bには、ロック部材23が形成されるとともに、前記上面11a及び下面11bの後端には、上方及び下方に突出する突出部24が形成されている。また、前記下面11bには、上方(Z軸正方向)に向けて凹入する下方凹部11eが形成されている。該下方凹部11eは、その前端は開放されているが、その後端が下方に突出する突出部24によって画定され、下面11bの幅方向(Y軸方向)のほぼ中央に位置するロック部材23によって左右に二分されている。
【0031】
該ロック部材23の設置数及び設置位置は、適宜変更することができるが、図に示される例においては、前記上面11aに第1ロック部材23A及び第2ロック部材23Bの2つが設置され、前記下面11bに第3ロック部材23Cだけが設置されている。なお、図に示される例において、前記ロック部材23は、その前端が前記上面11a及び下面11bの前端よりも前方に突出するように形成されている。そして、各ロック部材23は、前後方向に延在する細長いロック腕部23bと、該ロック腕部23bの中間部から外方(上方又は下方)に向けて突出するロック突起部23aとを含んでいる。前記ロック腕部23bは、前後両端がハウジング11に固定された両持ち梁状の弾性変形可能部材であり、これにより、前記ロック腕部23bは上下方向に弾性的に変位可能となっている。また、左右方向(Y軸方向)から視て、前記ロック突起部23aは、前方側に前後方向に対して傾斜する傾斜面が形成され、後方側に前後方向に対して直交する垂直面が形成されている。
【0032】
したがって、壁部材91の挿入開口92にコネクタ10をその前面11fから挿入させると、コネクタ10が壁部材91に対して前進するにつれて挿入開口92の縁がロック腕部23bの外面に沿って相対的に後方に移動し、ロック突起部23aの傾斜面に沿って摺動するので、ロック突起部23aはスムーズに変位させられる。そして、挿入開口92が相対的にロック突起部23aの後方にまで到達すると、ロック突起部23aが弾性的に復元し、ロック突起部23aの垂直面が壁部材91の前面における挿入開口92の外縁部に対向するので、コネクタ10が壁部材91に対して後進することが防止される。
【0033】
また、前記突出部24は、その前端にロック対向部24aを含んでおり、該ロック対向部24aの前面は、前後方向に対して直交する垂直面となっている。そして、前述のように、挿入開口92が相対的にロック突起部23aの後方にまで到達すると、ロック対向部24aの垂直面が壁部材91の後面における挿入開口92の外縁部に対向するので、コネクタ10が壁部材91に対して前進することが防止される。
【0034】
つまり、壁部材91の挿入開口92にコネクタ10をその前面11fから挿入させ、挿入開口92が相対的にロック突起部23aの後方にまで到達すると、ロック突起部23aの垂直面が壁部材91の前面における挿入開口92の外縁部に対向するとともに、ロック対向部24aの垂直面が壁部材91の後面における挿入開口92の外縁部に対向するようになっている。これにより、壁部材91は、ロック突起部23aの垂直面とロック対向部24aの垂直面とによって前後から挟まれた状態となり、コネクタ10は壁部材91に確実に取付けられる。
【0035】
また、前記コネクタ10は、熱硬化性エラストマのような弾性を有する絶縁性材料によって一体的に形成された弾性部材としてのエラストマ31を有する。なお、前記熱硬化性エラストマは、例えば、ポリエステル系エラストマやオレフィン系エラストマであるが、これに限定されるものでなく、いかなる種類のものであってもよく、ウレタン系エラストマ、スチレン系エラストマ等のものであってもよい。前記エラストマ31は、ハウジング11と組合されているものの、ハウジング11と密着して一体化されたものでなく、ハウジング11から分離されたものであって、ハウジング11とは別個の部材である。例えば、射出成形よって所定形状に形成されたハウジング11の構成材料が固化した後に、ハウジング11内に形成された後述されるエラストマ収容空間16内にエラストマ31の構成材料を射出成形によって充填することにより、ハウジング11から分離された状態でありながら、ハウジング11と組合された状態のエラストマ31を得ることができる。
【0036】
図に示される例において、ハウジング11は単体、すなわち、1つであるのに対し、エラストマ31は2つ、すなわち、一対である。そして、各エラストマ31は、ハウジング11の左右両端においてハウジング11と組合されており、かつ、ハウジング11の上面11a、下面11b、側面11s、前面11f及び後面11rに露出している。また、前記エラストマ31の前記上面11a、下面11b及び側面11sに露出した部分には、相手方コネクタ101との嵌合方向、すなわち、前後方向に延在する細長いリブ33が形成され、該リブ33の少なくとも一部は挿入開口92の内面に当接可能となっている。具体的には、各リブ33の少なくとも一部には外方に突出する角部としての凸部33aが形成され、該凸部33aの少なくとも先端は、前記ハウジング11の上面11a、下面11b及び側面11sよりも外方(上方、下方、左方又は右方)に突出し、コネクタ10が挿入開口92に挿入された状態で挿入開口92の内面に当接して弾性的に変形するようになっている。
【0037】
なお、エラストマ31は、ハウジング11の幅方向左右両側にそれぞれが位置し、左右対称の対をなすものであればよく、必ずしも一対である必要はなく、二対以上であってもよいが、本実施の形態においては、一対である場合について説明する。
【0038】
前記相手方コネクタ101は、例えば、グラスファイバを15〔%〕程度含有するポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂等の合成樹脂のような絶縁性材料によって一体的に形成された相手方コネクタ本体としての相手方ハウジング111を有する。
【0039】
該相手方ハウジング111は、図に示されるように、概略直方体である幅方向(Y軸方向)に細長く延びた外形を備える。そして、前記相手方ハウジング111は、FPC191が挿入される側に位置する本体部111aと、該本体部111aの前面(コネクタ10に対向する面)に接続されてコネクタ10と嵌合する嵌合部111bとを有する。また、前記本体部111aと嵌合部111bとの間には、幅方向(Y軸方向)に延在する平板状のフランジ部111cが形成されている。
【0040】
前記嵌合部111bは、その幅方向(Y軸方向)両端に位置し、フランジ部111cからコネクタ10に向けて延出する角柱のような形状の嵌合側部112bと、左右両端を嵌合側部112bによって画定された嵌合主部112aとを含んでいる。そして、該嵌合主部112aにおける幅方向(Y軸方向)中央には、嵌合部111bが欠落した凹部としての嵌合凹部112cが形成されている。該嵌合凹部112cは、上下方向(Z軸方向)から観て、嵌合主部112aの前端面からフランジ部111cまで到達するように凹入した概略矩形の空間であり、前記嵌合主部112aは嵌合凹部112cによって左右に二分されている。
【0041】
コネクタ10と相手方コネクタ101とが嵌合すると、左右に二分された嵌合主部112aの各々は、ハウジング11の左右に二分された挿入凹部13の各々の中に挿入されて収容され、前記嵌合凹部112c内にはハウジング11の嵌合柱部12cが進入して収容され、フランジ部111cはハウジング11の前面11f及び後面11rに近接又は当接する。
【0042】
また、相手方ハウジング111の上面(Z軸正方向面)における幅方向(Y軸方向)中央には、コネクタ10との嵌合状態を維持する嵌合状態維持装置としての相手方ロック部材121が形成されている。コネクタ10と相手方コネクタ101とが嵌合すると、前記相手方ロック部材121がハウジング11の前方被ロック部21f及び/又は後方被ロック部21rと係合してロックするので、コネクタ10と相手方コネクタ101とが互いにロックされる。また、前記相手方ロック部材121の後側(コネクタ10と反対側)には、コネクタ位置保証機構(CPA)としての二次ロック部材122が取付けられている。該二次ロック部材122は、一般的なCPAと同様に機能し、コネクタ10と相手方コネクタ101との嵌合が完了した際に、前記相手方ロック部材121がコネクタ10をロックした状態で、コネクタ10の方向に向けてスライドさせられて、相手方ロック部材121が嵌合解除方向に動作することを防止する部材である。
【0043】
さらに、相手方ハウジング111には、FPC191における少なくとも前端近傍部分が挿入されるFPC挿入凹部としての基板挿入凹部113が形成されている。該基板挿入凹部113は、前後方向(X軸方向)に延在するとともに、本体部111aの後面(コネクタ10と反対側の面)において、幅方向(Y軸方向)に延在する細長いスリットのように開口する凹部である。また、前記基板挿入凹部113は、嵌合部111bにおいては左右に二分された各嵌合主部112a内を前後方向に延在し、各嵌合主部112aの前面(コネクタ10に対向する面)に開口する。さらに、前記基板挿入凹部113内の上面及び/又は下面からは、前後方向に延在する複数の細長いリブ114が突出している。基板挿入凹部113に挿入されたFPC191は、その上側及び/又は下側の面が細長いリブ114の表面に沿ってスライドするので、摺接抵抗が減少し、スムーズにスライドすることができる。
【0044】
なお、FPC191は、一般的に、長尺の帯状の部材であるが、その前端から所定距離以上に離れた部分は、図示の都合上、描画が省略されている。そして、前記FPC191の本体における裏側面(Z軸負方向側面)には、前端から所定長の範囲に、平板状の補強板192が取付けられている。該補強板192は、例えば、絶縁性の樹脂フィルム等から成り、補強部材として、本体の裏側面に、接着剤等によって固着されていることが望ましい。なお、前記所定長は、FPC191が相手方コネクタ101に取付けられた際に、補強板192の後端近傍が視認可能となる程度が望ましい。
【0045】
また、前記FPC191の本体における表側面(Z軸正方向側面)では、前端から一定範囲において、絶縁性被覆が取除かれ、導電線193が露出しているものとする。該導電線193は、FPC191の長手方向(X軸方向)に延在するものであって、複数本(例えば、12本程度)が所定のピッチ(例えば、1~2〔mm〕程度)で互いに平行となるように配設されている。そして、前記導電線193の本数及びピッチは、コネクタ10の端子61の本数及びピッチに対応して、適宜変更される。なお、図示の都合上、導電線193は、一部のみが描画され、その他の部分は描画が省略されている。
【0046】
さらに、前記FPC191は、先端が二股状のものであって、その前端における幅方向(Y軸方向)中央には、後方に向けて凹入するような形状の図示されない分離部が形成されている。該分離部は、FPC191が欠落した空間であって、前記嵌合凹部112cに対応するように形成された空間である。
【0047】
そして、
図1~3に示されるように、挿入開口92に挿入された状態で壁部材91に取付けられたコネクタ10に、FPC191が取付けられた第1相手方コネクタ101A及び第2相手方コネクタ101Bが嵌合すると、第1相手方コネクタ101Aに取付けられたFPC191の各導電線193が、コネクタ10の有する端子61を介して、第2相手方コネクタ101Bに取付けられたFPC191の各導電線193と導通する。これにより、壁部材91の一面側に位置するFPC191と壁部材91の他面側に位置するFPC191とが互いに接続される。
【0048】
次に、前記コネクタ10の構成の詳細について説明する。
【0049】
図5は第1の実施の形態におけるコネクタの前方斜め上から視た斜視図、
図6は第1の施の形態におけるコネクタの前方斜め下から視た斜視図、
図7は
図5における要部拡大図、
図8は第1の実施の形態におけるコネクタの後方斜め上から視た斜視図、
図9は第1の実施の形態におけるコネクタの後方斜め下から視た斜視図、
図10は
図8における要部拡大図、
図11は第1の実施の形態におけるコネクタの二面図、
図12は第1の実施の形態におけるコネクタの後方斜め上から視た分解斜視図、
図13は第1の実施の形態における一方のエラストマの前方斜め上から視た斜視図、
図14は第1の実施の形態における一方のエラストマの後方斜め下から視た斜視図、
図15は第1の実施の形態における端子の側面図、
図16は第1の実施の形態におけるコネクタの側断面図、
図17は第1の実施の形態におけるコネクタに第1及び第2の相手方コネクタが嵌合された状態を示す側断面図である。なお、
図11において、(a)は上面図、(b)は(a)におけるA-A矢視断面図であり、
図15において、(a)は好適例の側面図、(b)は変形例の側面図であり、
図16において、(a)は
図11におけるB-B矢視断面図、(b)は
図11におけるC-C矢視断面図である。
【0050】
本実施の形態におけるコネクタ10の端子61は、導電性の金属板に打抜き等の加工を施して製作されたX-Z平面上に延在する薄板部材であり、
図15~17等に示されるように、側面視(Y軸方向から視て)において、左右対称の形状を有し、略長方形状の本体部63と、該本体部63の上辺から上方(Z軸正方向)に延出するアンカー部64と、前記本体部63の側辺における上端近傍から前方(X軸正方向)及び後方(X軸負方向)にそれぞれ延出する細長い第1接触部65A及び第2接触部65Bとを含んでいる。
【0051】
図に示されるように、第1接触部65Aは、全長が第2接触部65Bよりも長く、その自由端が第2接触部65Bの自由端よりも本体部63から離れており、かつ、第2接触部65Bの上方に位置するように形成されている。なお、第1接触部65Aと第2接触部65Bとを統合的に説明する場合には、接触部65として説明する。該接触部65の各々は、カンチレバー状の部材であり、その自由端に下方(Z軸負方向)に向けて膨出する接触突部65aが形成されている。そして、本体部63の前方及び後方において、第1接触部65Aの接触突部65aと第2接触部65Bの接触突部65aとは前後に並んだ状態となっている。
【0052】
また、前記アンカー部64は本体部63よりも幅狭(X軸方向の寸法が短い)に形成され、前記アンカー部64の前方及び後方の側辺は、ハウジング11に食込んで固定されるための凹凸が形成され、アンカー64aとして機能する。なお、例えば、コネクタ10に、第1相手コネクタ101Aのみが挿入され、FPC191が一方(
図15~17における右方)の接触部65に接続した状態では、端子61に、
図15~17における反時計周り方向の回転モーメントが生じて、他方(
図15~17における左方)の接触部65が下方(Z軸負方向)に偏倚することとなる。このような状態で、第2相手コネクタ101Bを挿入した場合、端子61を破壊してしまう可能性がある。したがって、ハウジング11に固定された端子61の姿勢を安定させて、接触部65が下方に偏倚することがないようにすることが望まれる。そして、ハウジング11に固定された端子61の姿勢を安定させるためには、前方及び後方のアンカー64a同士の距離が大きいことが望ましい。例えば、
図15に示されるように、本体部63の幅(X軸方向の寸法)をWとし、前方及び後方のアンカー64aから本体部63の前方及び後方の側辺までの距離をRとした場合、R<W/4となるようにすることが望ましい。
【0053】
なお、前記アンカー部64には、
図15(a)に示されるように、前後方向の中心に上下方向(Z軸方向)に延在する溝状の欠落部64bが形成されていることが望ましい。すなわち、前記アンカー部64は、
図15(a)に示されるように、二股状に形成されることが望ましい。もっとも、必要に応じて、
図15(b)に示されるように、欠落部64bの形成を省略することもできる。なお、本実施の形態においては、説明の都合状、アンカー部64が二股状に形成されている例についてのみ説明する。
【0054】
そして、前記端子61は、
図12に示されるように、複数個がハウジング11の幅方向(Y軸方向)に所定のピッチで並んで配設される。前記端子61は、各々がFPC191の各導電線193に接触して導通するものであるから、その数及びピッチは、FPC191の導電線193の数及びピッチに対応するように設定される。
【0055】
また、前記ハウジング11は、
図11(b)、16等に示されるように、その前後方向(X軸方向)の中央付近に形成された端子保持部18を備える。該端子保持部18は、前面11fに開口された前方挿入凹部13fと、後面11rに開口された後方挿入凹部13rとを分離する中央部18cと、該中央部18cから前方(X軸正方向)及び後方(X軸負方向)にそれぞれ延出する挿入凹部中間板18aとを含んでいる。該挿入凹部中間板18aは、前方挿入凹部13f内、及び、後方挿入凹部13r内において、ハウジング11の前後方向及び幅方向に延在する板状の部材である。
【0056】
そして、前記中央部18cには、各端子61の本体部63がそれぞれ挿入されるスリット状の端子収容凹部18dが複数個ハウジング11の幅方向(Y軸方向)に所定のピッチで並んで配設される。前記端子収容凹部18dの数及びピッチは、前記端子61の数及びピッチに対応するように設定される。各端子収容凹部18dの下端は、端子61の本体部63を下方から挿入することができるように、開放されている。そして、各端子収容凹部18dの上端には、上方に延出するスリット状のアンカー収容部18fが連続して形成される。該アンカー収容部18f内には、各端子61のアンカー部64が収容され、該アンカー部64のアンカー64aがアンカー収容部18fの対応する内面に食込んで固定される。
【0057】
また、各端子収容凹部18dの前方(X軸正方向)及び後方(X軸負方向)の端は、挿入凹部中間板18aに形成された接触部収容溝18bの各々に連通する。該接触部収容溝18bは、各挿入凹部中間板18aの下面(Z軸負方向側面)に開口し、前後方向(X軸方向)に延在するように形成されたスリット状の溝であり、それぞれに、各端子61の接触部65が収容される。これにより、該接触部65のハウジング11の幅方向(Y軸方向)の変位が抑制されるので、前記接触部65の変形を防止することができる。なお、
図16に示されるように、各接触部65において、少なくとも接触突部65aの先端は、挿入凹部中間板18aの下面よりも下方(Z軸負方向)に突出するように設定される。
【0058】
したがって、
図17に示されるように、コネクタ10に、FPC191が取付けられた第1相手方コネクタ101A及び第2相手方コネクタ101Bが嵌合すると、第1相手方コネクタ101A及び第2相手方コネクタ101Bに取付けられたFPC191の各導電線193が、挿入凹部中間板18aの下面よりも下方に突出する接触突部65aの先端と接触して端子61と導通する。この場合、FPC191の各導電線193に前後方向(X軸方向)に並んだ2つの接触突部65aの先端が接触するので、各導電線193と対応する端子61との導通状態が確実に維持される。これにより、第1相手方コネクタ101Aに取付けられたFPC191の各導電線193が、コネクタ10の有する端子61を介して、第2相手方コネクタ101Bに取付けられたFPC191の各導電線193と導通する。
【0059】
図6、9等に示されるように、ハウジング11の下方凹部11eの天面には、複数の端子挿入スリット18eの下端が開口している。各端子挿入スリット18eは、各端子収容凹部18d及び各接触部収容溝18bに対応する位置に形成され、各端子61の前後方向(X軸方向)の寸法に対応する長さとなるように設定されている。これにより、各端子61を、ハウジング11の下方から、下方凹部11eの天面に開口した各端子挿入スリット18eを通して、対応する端子収容凹部18d、アンカー収容部18f及び接触部収容溝18bに挿入して、取付けることができる。なお、必要があれば、端子61のハウジング11への取付けが完了した後に、図示されない下側蓋部材をハウジング11に取付けて、下方凹部11eの下側を覆うようにすることもできる。
【0060】
本実施の形態において、エラストマ31は、前述のように一対、すなわち、2つであり、具体的には、
図12に示されるように、右側エラストマ31A及び左側エラストマ31Bである。なお、右側エラストマ31Aと左側エラストマ31Bとは、ハウジング11の幅方向中心を通るX-Z平面(垂直面)を対称面とする互いに面対称な部材であり、統合的に説明する場合には、エラストマ31として説明する。
【0061】
該エラストマ31は、ハウジング11の表面の各所に露出する露出面を有し、例えば、上面11a、下面11b、右側面11s1、左側面11s2、前面11f及び後面11rに、それぞれ露出する、上方露出面32a、下方露出面32b、右側方露出面32s1、左側方露出面32s2、前方露出面32f及び後方露出面32rを含んでいる。なお、前記右側方露出面32s1及び左側方露出面32s2を統合的に説明する場合には、側方露出面32sとして説明する。また、前記前方露出面32f及び後方露出面32rは、ハウジング11の嵌合面である前面11f及び後面11rに露出するので、嵌合露出面とも称される。さらに、前記上方露出面32a、下方露出面32b、右側方露出面32s1及び左側方露出面32s2は、それぞれ、ハウジング11の第1側壁面、第2側壁面、第3側壁面及び第4側壁面である上面11a、下面11b、右側面11s1及び左側面11s2に露出するので、第1側壁露出面、第2側壁露出面、第3側壁露出面及び第4側壁露出面とも称され、統合的には、側壁露出面とも称される。
【0062】
前記エラストマ31の露出面は、その周囲のハウジング11の表面とほぼ同一面となっている。また、前記エラストマ31の側壁露出面、すなわち、上方露出面32a、下方露出面32b及び側方露出面32sには、前述のように、嵌合方向、すなわち、前後方向に延在する細長いリブ33が形成され、該リブ33の少なくとも一部は挿入開口92の内面に当接可能となっている。具体的には、各リブ33の少なくとも一部には外方に突出する凸部33aが形成され、該凸部33aの少なくとも先端は、前記ハウジング11の上面11a、下面11b及び側面11sよりも外方(上方、下方、左方又は右方)に突出し、コネクタ10が挿入開口92に挿入された状態で挿入開口92の内面に当接して弾性的に変形するようになっている。
【0063】
また、前記上方露出面32a及び下方露出面32bにおけるハウジング11の幅方向中心寄り、かつ、後方露出面32r寄りの位置には、上方及び下方に突出するロック対向部34がそれぞれ形成され、該ロック対向部34には、前方に突出する凸部34aが形成されている。該凸部34aの少なくとも先端は、前記ハウジング11のロック対向部24aの垂直面よりも外方(前方)に突出し、壁部材91がロック突起部23aの垂直面とロック対向部24aの垂直面とによって前後から挟まれた状態で壁部材91の後面に当接して弾性的に変形するようになっている。
【0064】
なお、上方露出面32aにおけるロック対向部34の凸部34a及びリブ33の凸部33aは、ハウジング11の幅方向に関して、ロック部材23のロック腕部23bの外側に位置する。また、下方露出面32bにおけるロック対向部34の凸部34a及びリブ33の凸部33aも、ハウジング11の幅方向に関して、ロック部材23のロック腕部23bの外側に位置する。
【0065】
図12に示されるように、ハウジング11内には、エラストマ31が収容されるエラストマ収容空間16が形成されている。該エラストマ収容空間16は、ハウジング11の表面の各所に開口を有し、例えば、上面11a、下面11b、側面11s、前面11f及び後面11rには、それぞれ、上面開口16a、下面開口16b、側面開口16s、前面開口16f及び後面開口16rを有する。そして、前記ハウジング11の表面におけるエラストマ収容空間16の各開口の周縁には、輪郭凸部17が形成されている。すなわち、該輪郭凸部17は、エラストマ31の露出面の輪郭に沿って形成されている。前記輪郭凸部17は、ハウジング11の表面から、例えば、0.1〔mm〕程度外方に突出し、エラストマ収容空間16の各開口の周縁を取囲むように連続的に延在する壁のような部分であり、エラストマ31の成形工程において、エラストマ収容空間16内に充填されたエラストマ31の構成材料がエラストマ収容空間16の開口からはみ出すことを防止する。これにより、前記開口からはみ出したエラストマ31の構成材料が固化した後に、バリとなって残存してしまうことを防止することができる。
【0066】
次に、前記構成のコネクタ10と相手方コネクタ101とを嵌合させる動作について説明する。
【0067】
ここで、第1相手方コネクタ101A及び第2相手方コネクタ101Bは、それぞれ、FPC191の取付けが完了したものであるとする。
【0068】
まず、オペレータは、コネクタ10を壁部材91に取付ける。具体的には、該壁部材91の挿入開口92にコネクタ10をその前面11fから挿入すると、コネクタ10が壁部材91に対して前進するにつれて挿入開口92の縁がロック腕部23bの外面に沿って相対的に後方に移動し、ロック突起部23aの傾斜面に沿って摺動するので、ロック突起部23aはスムーズに変位させられる。そして、挿入開口92が相対的にロック突起部23aの後方にまで到達すると、ロック突起部23aが弾性的に復元し、ロック突起部23aの垂直面が壁部材91の前面における挿入開口92の外縁部に対向するので、コネクタ10が壁部材91に対して後進することが防止される。また、ハウジング11の突出部24のロック対向部24aの垂直面が壁部材91の後面における挿入開口92の外縁部に対向するので、コネクタ10が壁部材91に対して前進することが防止される。これにより、壁部材91は、ロック突起部23aの垂直面とロック対向部24aの垂直面とによって前後から挟まれた状態となり、コネクタ10は壁部材91に確実に取付けられる。
【0069】
この際、ハウジング11と組合されたエラストマ31におけるロック対向部34の凸部34aの少なくとも先端がハウジング11のロック対向部24aの垂直面よりも外方(前方)に突出しているので、前記凸部34aが壁部材91の後面に当接して弾性的に変形する。したがって、壁部材91の厚さの寸法精度が比較的低い(寸法公差が比較的大きい)ことに起因して、壁部材91の前面及び後面とロック突起部23aの垂直面及びロック対向部24aの垂直面との間に間隙が生じたとしても、該間隙に弾性的に変形した前記凸部34aが介在するので、がたつきが発生することがない。
【0070】
また、前記エラストマ31におけるリブ33の凸部33aの少なくとも先端がハウジング11の上面11a、下面11b及び側面11sよりも外方(上方、下方、左方又は右方)に突出しているので、コネクタ10が挿入開口92に挿入された状態で、挿入開口92の内面に当接して弾性的に変形する。したがって、挿入開口92の寸法精度が比較的低い(寸法公差が比較的大きい)ことに起因して、挿入開口92の内面とハウジング11の上面11a、下面11b及び側面11sとの間に間隙が生じたとしても、該間隙に弾性的に変形した前記凸部33aが介在するので、がたつきが発生することがない。
【0071】
続いて、オペレータは、第1相手方コネクタ101A及び第2相手方コネクタ101Bを壁部材91に取付けられたコネクタ10と嵌合させる。具体的には、第1相手方コネクタ101Aの相手方ハウジング111における嵌合部111bをコネクタ10のハウジング11における前方挿入凹部13fに挿入し、第2相手方コネクタ101Bの相手方ハウジング111における嵌合部111bをコネクタ10のハウジング11における後方挿入凹部13rに挿入する。そして、第1相手方コネクタ101Aの嵌合部111b及び第2相手方コネクタ101Bの嵌合部111bが前方挿入凹部13f及び後方挿入凹部13rの奥に向けて進行すると、各嵌合部111bの基板挿入凹部113内に前方挿入凹部13f及び後方挿入凹部13r内の挿入凹部中間板18aが相対的に進入し、該挿入凹部中間板18aの下面よりも下方(Z軸負方向)に突出している端子61の2つの接触突部65aの先端が、第1相手方コネクタ101A及び第2相手方コネクタ101Bに取付けられたFPC191の各導電線193に接触する。
【0072】
最終的に、
図1~3に示されるように、第1相手方コネクタ101A及び第2相手方コネクタ101Bとコネクタ10との嵌合が完了すると、第1相手方コネクタ101A及び第2相手方コネクタ101Bの相手方ハウジング111におけるフランジ部111cがハウジング11の前面11f及び後面11rに近接又は当接する。また、
図17に示されるように、端子61の2つの接触突部65aの先端が、第1相手方コネクタ101A及び第2相手方コネクタ101Bに取付けられたFPC191の各導電線193に接触して導通するので、第1相手方コネクタ101Aに取付けられたFPC191の各導電線193が、コネクタ10の有する端子61を介して、第2相手方コネクタ101Bに取付けられたFPC191の各導電線193と導通する。
【0073】
このように、本実施の形態において、コネクタ10は、ハウジング11と、ハウジング11と組合される複数のエラストマ31と、ハウジング11に取付けられる複数の端子61とを備え、ハウジング11は、壁部材91に形成された挿入開口92に挿入可能であり、エラストマ31は、ハウジング11の前面11f及び後面11rに露出する前方露出面32f及び後方露出面32rと、ハウジング11の上面11a、下面11b、右側面11s1及び左側面11s2に露出する上方露出面32a、下方露出面32b、右側方露出面32s1及び左側方露出面32s2とを含み、ハウジング11の幅方向左右両側にそれぞれが位置する左右対称の対を少なくとも1つ(図に示される例では、1つのみ)なすように構成され、上方露出面32a、下方露出面32b、右側方露出面32s1及び左側方露出面32s2は、嵌合方向に延在するリブ33であって、挿入開口92の内面と当接可能なリブ33を含んでいる。
【0074】
これにより、コネクタ10は、壁部材91にがたつきなく取付けることができ、安定的な取付状態を確実に維持することができる。また、コネクタ10は、小型化することができ、構造が簡素で、部品点数が少なく、製造が容易で、コストが低く、信頼性を向上させることができる。
【0075】
さらに、ハウジング11の側壁面は上面11a、下面11b、右側面11s1及び左側面11s2を含み、ハウジング11の幅方向左右の一方側に位置するエラストマ31である右側エラストマ31Aはハウジング11の上面11a、下面11b及び右側面11s1に露出する上方露出面32a、下方露出面32b及び右側方露出面32s1を含み、上方露出面32a、下方露出面32b及び右側方露出面32s1は、各々、リブ33を含み、ハウジング11の幅方向左右の他方側に位置するエラストマ31である左側エラストマ31Bはハウジング11の上面11a、下面11b及び左側面11s2に露出する上方露出面32a、下方露出面32b及び左側方露出面32s2を含み、上方露出面32a、下方露出面32b及び左側方露出面32s2は、各々、リブ33を含んでいる。
【0076】
さらに、リブ33は少なくとも6つであり、リブ33のそれぞれは、少なくともその先端がハウジング11の側壁面よりも外方に突出する凸部33aを含んでいる。
【0077】
さらに、ハウジング11は、その幅方向中央寄りの位置に壁部材91と係合可能なロック部材23及び突出部24を含み、一対のエラストマ31の各々は、ロック部材23及び突出部24よりもハウジング11の幅方向外側でハウジング11と組合されている。
【0078】
さらに、前面11f及び後面11rは、ハウジング11における嵌合方向両側に位置する。
【0079】
さらに、ハウジング11は、エラストマ31の前方露出面32f及び後方露出面32r、並びに、上方露出面32a、下方露出面32b、右側方露出面32s1及び左側方露出面32s2の輪郭に沿って形成された輪郭凸部17を含んでいる。
【0080】
さらに、ハウジング11は、コネクタ10と嵌合可能な相手方コネクタ101とロック可能な前方被ロック部21f及び後方被ロック部21rを含んでいる。
【0081】
さらに、コネクタ10は、一対の相手方コネクタ101と嵌合して一対の相手方コネクタ101を互いに接続するための中継コネクタ、又は、基板に実装される基板コネクタである。
【0082】
次に、第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。また、前記第1の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
【0083】
図18は第2の実施の形態における壁部材に取付けられたコネクタに第1及び第2の相手方コネクタが嵌合された状態を示す第1の斜視図、
図19は第2の実施の形態における壁部材に取付けられたコネクタに第1及び第2の相手方コネクタが嵌合された状態を示す第2の斜視図、
図20は第2の実施の形態における壁部材に取付けられたコネクタに第1及び第2の相手方コネクタが嵌合された状態を示す側面図、
図21は第2の実施の形態におけるコネクタと第1及び第2の相手方コネクタとの嵌合前の状態を示す斜視図、
図22は第2の実施の形態におけるコネクタの前方斜め上から視た斜視図、
図23は第2の実施の形態におけるコネクタの前方斜め下から視た斜視図、
図24は第2の実施の形態におけるコネクタの下側蓋部材を前方斜め下から視た斜視図、
図25は
図22における要部拡大図、
図26は第2の実施の形態におけるコネクタの後方斜め上から視た斜視図、
図27は第2の実施の形態におけるコネクタの後方斜め下から視た斜視図、
図28は第2の実施の形態におけるコネクタの下側蓋部材を後方斜め下から視た斜視図、
図29は
図26における要部拡大図、
図30は第2の実施の形態におけるコネクタの二面図、
図31は第2の実施の形態におけるコネクタの後方斜め上から視た分解斜視図、
図32は第2の実施の形態におけるハウジングの右側に位置するエラストマの前方斜め上から視た斜視図、
図33は第2の実施の形態におけるハウジングの左側に位置するエラストマの前方斜め上から視た斜視図、
図34は第2の実施の形態におけるハウジングの左側に位置するエラストマの後方斜め下から視た斜視図、
図35は第2の実施の形態におけるハウジングの右側に位置するエラストマの後方斜め下から視た斜視図、
図36は第2の実施の形態における端子の側面図、
図37は第2の実施の形態におけるコネクタの側断面図、
図38は第2の実施の形態におけるコネクタに第1及び第2の相手方コネクタが嵌合された状態を示す側断面図である。なお、
図23において、(a)は下側蓋部材を取付けた状態を示す図、(b)は下側蓋部材を取外した状態を示す図であり、
図27において、(a)は下側蓋部材を取付けた状態を示す図、(b)は下側蓋部材を取外した状態を示す図であり、
図30において、(a)は上面図、(b)は(a)におけるD-D矢視断面図であり、
図36において、(a)は好適例の側面図、(b)は変形例の側面図であり、
図37において、(a)は
図30におけるE-E矢視断面図、(b)は
図30におけるF-F矢視断面図である。
【0084】
前記第1の実施の形態においては、エラストマ31が左右一対のものであるのに対し、本実施の形態においては、エラストマ31が左右二対のものとなっている。
【0085】
具体的には、
図31に示されるように、本実施の形態において、エラストマ31は、二対、すなわち、4つであり、右側エラストマ31A及び左側エラストマ31Bを含み、さらに、右側エラストマ31Aは、右側上エラストマ31A1及び右側下エラストマ31A2を含み、左側エラストマ31Bは、左側上エラストマ31B1及び左側下エラストマ31B2を含んでいる。そして、4つのエラストマ31、すなわち、右側上エラストマ31A1、右側下エラストマ31A2、左側上エラストマ31B1及び左側下エラストマ31B2は、互いに分離した個別の部材である。
【0086】
さらに、右側上エラストマ31A1と左側上エラストマ31B1とは、ハウジング11の幅方向中心を通るX-Z平面(垂直面)を対称面とする互いに面対称な部材であり、また、右側下エラストマ31A2と左側下エラストマ31B2とは、ハウジング11の幅方向中心を通るX-Z平面を対称面とする互いに面対称な部材である。
【0087】
なお、本実施の形態におけるエラストマ31のその他の点の構成は、前記第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0088】
また、本実施の形態においては、
図23、27、31等に示されるように、ハウジング11の下面11bに形成された一対の下方凹部11eのそれぞれの下側を覆う下側蓋部材41が、ハウジング11に取付けられるようになっている。
【0089】
前記下側蓋部材41の各々は、
図24、28、31等に示されるように、概略角皿状の部材であり、略矩形の平板状の底板42と、該底板42の4辺から起立する4つの側壁43と、下側蓋部材41の前方(X軸正方向)及び後方(X軸負方向)に位置する側壁43に形成された凹入部44と、該凹入部44に配設された係合片45とを有している。該係合片45は、その基端が底板42と平行であって自由端が上方(Z軸正方向)を向くように湾曲した板状の弾性部材であり、その自由端近傍に外方に向けて突出する係合部としての係合突起45aが形成されている。
【0090】
また、各下方凹部11eの前方(X軸正方向)及び後方(X軸負方向)に位置する内壁には、前記係合突起45aと係合可能な係合部としての係合凹部11gが形成されている。
【0091】
そして、各端子61を、ハウジング11の下方から、下方凹部11eの天面に開口した各端子挿入スリット18eを通して、対応する端子収容凹部18d、アンカー収容部18f及び接触部収容溝18bに挿入することによって、端子61のハウジング11への取付けが完了した後に、前記下側蓋部材41をハウジング11に取付けて、下方凹部11eの下側を覆うことができる。この場合、下側蓋部材41の各係合突起45aが、対応する係合凹部11gと係合するので、下側蓋部材41は、ハウジング11に確実に取付けられ、脱落することがない。
【0092】
このように、ハウジング11の下方凹部11eの下側が下側蓋部材41によって覆われるので、コネクタ10と相手方コネクタ101とを嵌合させる際に、オペレータの手指や工具等の部材が下方凹部11e内に進入して端子61等を破損することが防止され、また、周囲の環境に存在する塵埃等の異物が下方凹部11e内に進入して端子61等に付着することが防止される。
【0093】
なお、本実施の形態におけるコネクタ10及び相手方コネクタ101のその他の点の構成、並びに、コネクタ10と相手方コネクタ101とを嵌合させるその他の点の動作については、前記第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0094】
また、本明細書の開示は、好適で例示的な実施の形態に関する特徴を述べたものである。ここに添付された特許請求の範囲内及びその趣旨内における種々の他の実施の形態、修正及び変形は、当業者であれば、本明細書の開示を総覧することにより、当然に考え付くことである。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本開示は、コネクタに適用することができる。
【符号の説明】
【0096】
10 コネクタ
11 ハウジング
11a 上面
11b 下面
11e 下方凹部
11f 前面
11g 係合凹部
11r 後面
11s1 右側面
11s2 左側面
12c 嵌合柱部
13f 前方挿入凹部
13r 後方挿入凹部
16 エラストマ収容空間
16a 上面開口
16b 下面開口
16f 前面開口
16r 後面開口
16s 側面開口
17 輪郭凸部
18 端子保持部
18a 挿入凹部中間板
18b 接触部収容溝
18c 中央部
18d 端子収容凹部
18e 端子挿入スリット
18f アンカー収容部
21f 前方被ロック部
21r 後方被ロック部
23 ロック部材
23a ロック突起部
23A 第1ロック部材
23b ロック腕部
23B 第2ロック部材
23C 第3ロック部材
24 突出部
24a、34 ロック対向部
31 エラストマ
31A 右側エラストマ
31A1 右側上エラストマ
31A2 右側下エラストマ
31B 左側エラストマ
31B1 左側上エラストマ
31B2 左側下エラストマ
32a 上方露出面
32b 下方露出面
32f 前方露出面
32r 後方露出面
32s 側方露出面
32s1 右側方露出面
32s2 左側方露出面
33、114 リブ
33a、34a 凸部
41 下側蓋部材
42 底板
43 側壁
44 凹入部
45 係合片
45a 係合突起
61 端子
63、111a 本体部
64 アンカー部
64a アンカー
64b 欠落部
65 接触部
65a 接触突部
65A 第1接触部
65B 第2接触部
91 壁部材
92 挿入開口
101 相手方コネクタ
101A 第1相手方コネクタ
101B 第2相手方コネクタ
111 相手方ハウジング
111b 嵌合部
111c フランジ部
112a 嵌合主部
112b 嵌合側部
112c 嵌合凹部
113 基板挿入凹部
121 相手方ロック部材
122 二次ロック部材
191 FPC
192 補強板
193 導電線
810 レセプタクルコネクタ
831 ガスケット
871 シールドカバー
872 リテーナクリップ
891 壁面
892 開口