(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023016821
(43)【公開日】2023-02-02
(54)【発明の名称】熱伝導性組成物、熱伝導性部材、バッテリモジュール
(51)【国際特許分類】
C08L 83/07 20060101AFI20230126BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20230126BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20230126BHJP
H01M 10/653 20140101ALI20230126BHJP
H01M 10/6555 20140101ALI20230126BHJP
C08L 83/05 20060101ALI20230126BHJP
【FI】
C08L83/07
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/653
H01M10/6555
C08L83/05
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022179512
(22)【出願日】2022-11-09
(62)【分割の表示】P 2022533630の分割
【原出願日】2022-01-20
(31)【優先権主張番号】P 2021030602
(32)【優先日】2021-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】313001332
【氏名又は名称】積水ポリマテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100207756
【弁理士】
【氏名又は名称】田口 昌浩
(74)【代理人】
【識別番号】100129746
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 滋郎
(72)【発明者】
【氏名】岩本 達矢
(72)【発明者】
【氏名】北田 学
(57)【要約】
【課題】熱伝導性に優れ、ポリプロピレンに対して接着力の高い熱伝導性部材を形成可能な熱伝導性組成物を提供することを課題とする。
【解決手段】(A)アルケニル基を少なくとも2つ有するオルガノポリシロキサンと、(B)ヒドロシリル基を少なくとも2つ有するハイドロジェンオルガノポリシロキサンと、(C)熱伝導性充填材と、(D)炭素数4以上のアルキル基を少なくとも1つ備えるポリシロキサン化合物とを含む、熱伝導性組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)アルケニル基を少なくとも2つ有するオルガノポリシロキサンと、
(B)ヒドロシリル基を少なくとも2つ有するハイドロジェンオルガノポリシロキサンと、
(C)熱伝導性充填材と、
(D)炭素数4以上のアルキル基を少なくとも1つ備えるポリシロキサン化合物と、
を含む熱伝導性組成物。
【請求項2】
前記(D)ポリシロキサン化合物が、前記(A)成分または(B)成分と反応できる反応基を備える、請求項1に記載の熱伝導性組成物。
【請求項3】
前記反応基が(メタ)アクリロイル基である、請求項2に記載の熱伝導性組成物。
【請求項4】
前記(D)ポリシロキサン化合物が備える前記アルキル基がブチル基である、請求項1~3のいずれかに記載の熱伝導性組成物。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載の熱伝導性組成物を硬化してなる熱伝導性部材。
【請求項6】
請求項5に記載の熱伝導性部材からなる間隙材と、複数のバッテリセルと、前記複数のバッテリセルを格納するモジュール筐体とを備え、前記間隙材がモジュール筐体の内部に配置されるバッテリモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱伝導性組成物、熱伝導性部材、および、該熱伝導性部材を間隙材とするバッテリモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
硬化可能な熱伝導性組成物を、発熱体と放熱体の間に充填し、その後、硬化することで形成される硬化物は、発熱体が発する熱を放熱体に伝える熱伝導性部材として使用されている。硬化可能な熱伝導性組成物は、流動性があるため、発熱体と放熱体の間の任意の隙間を埋めることができる。そのため、形成される熱伝導性部材は、発熱体と放熱体の隙間が一定でなくても確実にその隙間を埋めることができ、熱伝導性の間隙材として利用されている。
【0003】
例えば特許文献1に開示されるように、熱伝導性部材を間隙材としてバッテリモジュールに使用されることが知られている。熱伝導性部材は、発熱体であるバッテリセルと放熱体であるモジュール筐体の間に配置されて、バッテリセルの熱を外部に放熱する役割を果たす。また、バッテリセルとバッテリセルの間に配置されこれらを固定して、離間状態を保持することにも利用されている。
熱伝導性部材は、一定の粘着性を備えており、発熱体及び放熱体などの被着体からズレたり脱落しない程度に密着するものが多く、より強固に固定する場合は、発熱体及び放熱体を嵌合構造にしたり、ネジ等で固定することも行われている。
【0004】
ところで、熱伝導性部材を車載用途として使用する場合は、ある程度粘着性を備えていても、振動によって発熱体及び放熱体などの被着体から剥がれてしまい、熱伝導性が損なわれることが懸念される。そうした経緯から、特許文献2では、硬化性オルガノポリシロキサンと、アルコキシシラン化合物と、熱伝導性充填材とを含み、前記アルコキシシラン化合物が炭素数8~18の長鎖アルケニル基含有アルコキシシランである、熱伝導性組成物が開示されており、被着体に対して優れた接着力を有することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2018/173860号
【特許文献2】国際公開第2020/213306号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、リチウムイオンバッテリーモジュールの筐体には、信頼性の高いアルミニウム合金などの金属が用いられていたが、近年、軽量化やコストダウンの観点から安価な汎用樹脂でありながら一定の耐熱性、強靭性、及び軽量性を有するポリプロピレンが用いられるようになってきた。
しかしながら、従来用いられていた熱伝導性部材は、ポリプロピレンに対する接着力が弱く、剥がれ等の不具合が生じやすいことが分かった。
【0007】
そこで、本発明は、熱伝導性に優れ、ポリプロピレンに対して接着力の高い熱伝導性部材を形成可能な熱伝導性組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、鋭意検討の結果、(A)アルケニル基を少なくとも2つ有するオルガノポリシロキサン、(B)ヒドロシリル基を少なくとも2つ有するハイドロジェンオルガノポリシロキサン、(C)熱伝導性充填材、及び(D)炭素数4以上のアルキル基を少なくとも1つ備えるポリシロキサン化合物を含む熱伝導性組成物により上記課題を解決できることを見出し、以下の本発明を完成させた。すなわち、本発明は、以下の[1]~[8]を提供する。
【0009】
[1](A)アルケニル基を少なくとも2つ有するオルガノポリシロキサンと、(B)ヒドロシリル基を少なくとも2つ有するハイドロジェンオルガノポリシロキサンと、(C)熱伝導性充填材と、(D)炭素数4以上のアルキル基を少なくとも1つ備えるポリシロキサン化合物とを含む熱伝導性組成物。
[2]前記(D)ポリシロキサン化合物が、前記(A)成分または(B)成分と反応できる反応基を備える、上記[1]に記載の熱伝導性組成物。
[3]前記反応基が(メタ)アクリロイル基である、上記[1]又は[2]に記載の熱伝導性組成物。
[4]前記(D)ポリシロキサン化合物が備える前記アルキル基の炭素数が4以上30以下である、上記[1]~[3]のいずれかに記載の熱伝導性組成物。
[5]前記(D)ポリシロキサン化合物が備える前記アルキル基の炭素数が4以上8以下である、上記[1]~[4]のいずれかに記載の熱伝導性組成物。
[6]前記(D)ポリシロキサン化合物が備える前記アルキル基がブチル基である、上記[1]~[5]のいずれかに記載の熱伝導性組成物。
[7]上記[1]~[6]のいずれかに記載の熱伝導性組成物を硬化してなる熱伝導性部材。
[8]上記[7]に記載の熱伝導性部材からなる間隙材と、複数のバッテリセルと、前記複数のバッテリセルを格納するモジュール筐体とを備え、前記間隙材がモジュール筐体の内部に配置されるバッテリモジュール。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、熱伝導性に優れ、ポリプロピレンに対して接着力の高い熱伝導性部材を形成可能な熱伝導性組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に係るバッテリモジュールの代表的構成を示す斜視図である。
【
図2】バッテリモジュールが有するバッテリセルの代表的構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[熱伝導性組成物]
以下、本発明の熱伝導性組成物について詳しく説明する。
本発明の熱伝導性組成物は、(A)アルケニル基を少なくとも2つ有するオルガノポリシロキサン、(B)ヒドロシリル基を少なくとも2つ有するハイドロジェンオルガノポリシロキサン、(C)熱伝導性充填材、及び(D)炭素数4以上のアルキル基を少なくとも1つ備えるポリシロキサン化合物を含む。該熱伝導性組成物を硬化させることにより本発明の熱伝導性部材が形成される。
本発明の熱伝導性組成物により形成された熱伝導性部材が、ポリプロピレンに対して接着力が高い理由は定かではないが、以下のように推定される。(D)ポリシロキサン化合物はポリシロキサン構造を有するため、(A)成分及び(B)成分の反応により形成されるシリコーンマトリックスと相溶する。さらに(D)ポリシロキサン化合物は炭素数4以上のアルキル基を備えることにより、ポリプロピレンに対する親和性が高い。その結果、熱伝導性部材を構成するシリコーンマトリックスの表面エネルギーが低下して、ポリプロピレンとの接着力が向上すると考えられる。
【0013】
<(A)成分、(B)成分>
本発明の熱伝導性組成物は、(A)アルケニル基を少なくとも2つ有するオルガノポリシロキサン(以下(A)成分ともいう)、及び(B)ヒドロシリル基を少なくとも2つ有するハイドロジェンオルガノポリシロキサン(以下(B)成分ともいう)を含有する。なお、(A)成分及び(B)成分は、後述する(D)成分とは異なる成分である。
【0014】
(A)成分は主剤、(B)成分は硬化剤として一般に使用されるものである。(A)成分及び(B)成分は付加反応により反応し硬化して、シリコーンゴムからなるマトリクスを形成する。シリコーンゴムは圧縮変形が容易であるため、本発明の熱伝導性部材は、発熱体と放熱体の間に組み付けやすくなる。
【0015】
(A)成分は、1分子中にアルケニル基を少なくとも2つ有するオルガノポリシロキサンであれば特に制限されない。(A)成分における1分子中のアルケニル基の数は、好ましくは2~20であり、より好ましくは2~10である。
(A)成分におけるアルケニル基としては、例えば炭素数2~8のものが挙げられ、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基などが挙げられる。
(A)成分は1種のみを使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0016】
(B)成分は、1分子中にヒドロシリル基を少なくとも2つ有するハイドロジェンオルガノポリシロキサンであれば特に制限されない。ヒドロシリル基とはケイ素原子に結合した水素原子(SiH基)を意味する。(B)成分における1分子中のヒドロシリル基の数は、好ましくは2~100であり、より好ましくは2~50である。
(B)成分は、1種のみを使用してもよいし、2種以上を併用することができる。
(B)成分としては、(BX)ヒドロシリル基の含有率が2mmol/g以上のハイドロジェンオルガノポリシロキサン(以下、(BX)成分ともいう)を含むことが好ましい。これにより、形成される熱伝導性部材の硬度が高まり、ポリプロピレンに対する接着性が向上しやすくなる。
(BX)成分のヒドロシリル基の含有率は好ましくは4mmol/g以上であり、より好ましくは6mmol/g以上である。
(BX)成分の含有量は、所望の硬化物の硬さとなるように(BX)成分の量を調整すれば良い。具体的には、硬化物を硬くしたいときは(BX)成分の含有量を増やし、柔らかくしたいときには(BX)成分の含有量を少なくすれば良い。
【0017】
(A)成分及び(B)成分は、硬化前は液状であることが好ましい。硬化前に液状であることで、熱伝導性充填材を高充填しやすくなる。なお、本明細書において液状とは、常温(23℃)、1気圧下で液体のものをいう。(A)成分及び(B)成分の付加反応は、付加反応触媒の存在下において行うとよく、付加反応触媒は白金触媒であることが好ましい。
【0018】
<(C)成分>
本発明の熱伝導性組成物は、(C)熱伝導性充填材を含有する。(C)熱伝導性充填材を含有することにより、熱伝導性組成物により形成される熱伝導性部材の熱伝導性が向上する。
(C)熱伝導性充填材としては、例えば、金属、金属酸化物、金属窒化物、金属水酸化物、炭素材料、金属以外の酸化物、窒化物、炭化物などが挙げられる。また、(C)熱伝導性充填材の形状は、球状、不定形の粉末などが挙げられる。
(C)熱伝導性充填材において、金属としては、アルミニウム、銅、ニッケルなど、金属酸化物としては、アルミナに代表される酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛など、金属窒化物としては窒化アルミニウムなどを例示することができる。金属水酸化物としては、水酸化アルミニウムが挙げられる。さらに、炭素材料としては球状黒鉛などが挙げられる。金属以外の酸化物、窒化物、炭化物としては、石英、窒化ホウ素、炭化ケイ素などが挙げられる。これらの中でも、熱伝導性部材の放熱性向上の観点から、酸化アルミニウムが好ましく、難燃性を高めたい場合には水酸化アルミニウムが好ましい。
(C)熱伝導性充填材は、上記したものを1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0019】
(C)熱伝導性充填材の平均粒径の平均粒径は0.1~200μmであることが好ましく、0.5~100μmであることがより好ましく、1~70μmであることがさらに好ましい。
(C)熱伝導性充填材は、平均粒径が0.1μm以上5μm以下の小粒径熱伝導性充填材と、平均粒径が5μm超200μm以下の大粒径熱伝導性充填材を併用することが好ましい。平均粒径の異なる熱伝導性充填材を使用することにより、充填率を高めることができる。小粒径熱伝導性充填材と大粒径熱伝導性充填材の体積比(小粒径熱伝導性充填材/大粒径熱伝導性充填材)は、好ましくは0.05~5であり、より好ましくは0.1~1であり、さらに好ましくは0.2~0.8である。
なお、(C)熱伝導性充填材の平均粒径は、電子顕微鏡等で観察して測定できる。より具体的には、例えば電子顕微鏡や光学顕微鏡を用いて、任意の(C)熱伝導性充填材50個の粒径を測定して、その平均値(相加平均値)を平均粒径とすることができる。
【0020】
(C)熱伝導性充填材の含有量は、(A)成分、(B)成分、及び(D)ポリシロキサン化合物の合計100質量部に対して、好ましくは150~3000質量部、より好ましくは200~2000質量部、さらに好ましくは300~1000質量部である。(C)熱伝導性充填材の含有量を上記下限値以上とすることで、一定の熱伝導性を熱伝導性部材に付与できる。(C)熱伝導性充填材の含有量を上記上限値以下とすることで、熱伝導性部材中に(C)熱伝導性充填材を適切に分散できる。また、熱伝導性組成物の粘度が必要以上に高くなったりすることも防止できる。
【0021】
<(D)成分>
本発明の熱伝導性組成物は、(D)炭素数4以上のアルキル基を少なくとも1つ備えるポリシロキサン化合物((D)ポリシロキサン化合物)を含有する。(D)ポリシロキサン化合物を含有することにより、熱伝導性組成物により形成される熱伝導性部材のポリプロピレンに対する接着性が向上する。
(D)ポリシロキサン化合物は、炭素数4以上のアルキル基を少なくとも1つ備えていればよいが、ポリプロピレンに対する接着性や化合物の製造し易さの観点などから、(D)ポリシロキサン化合物における炭素数4以上のアルキル基の数は、好ましくは1~3個であり、より好ましくは1~2個であり、さらに好ましくは1個である。
【0022】
炭素数4以上のアルキル基は、炭素数が4以上であれば特に限定されず、直鎖状であっても分岐状であってもよい。炭素数4以上のアルキル基の炭素数は、好ましくは4以上30以下であり、より好ましくは4以上12以下であり、さらに好ましくは4以上8以下であり、特に好ましくは4である。すなわち、炭素数4以上のアルキル基としてはブチル基が特に好ましい。
(D)ポリシロキサン化合物が炭素数4以上のアルキル基を複数備える場合は、該複数の炭素数4以上のアルキル基は同一であっても異なっていてもよい。
【0023】
ポリプロピレンに対する接着性向上の観点から、炭素数4以上のアルキル基が1個の場合は、該炭素数4以上のアルキル基は(D)ポリシロキサン化合物の末端に存在することが好ましい。炭素数4以上のアルキル基が2個以上の場合は、少なくとも1つの炭素数4以上のアルキル基が、(D)ポリシロキサン化合物の末端に存在することが好ましい。
【0024】
また、(D)ポリシロキサン化合物は、上記(A)成分または(B)成分と反応できる反応基を備えることが好ましい。これにより、(D)ポリシロキサン化合物は、(A)成分及び(B)成分と化学結合により連結されやすくなるためシリコーンマトリクスの表面エネルギーが低下し易くなる。さらに上記したとおり(D)ポリシロキサン化合物は炭素数4以上のアルキル基を有するため、シリコーンマトリクスとポリプロピレンとの親和性がより向上し、両者の接着力が優れたものとなる。
(A)成分または(B)成分と反応できる反応基としては、特に限定されないが、(メタ)アクリロイル基、アルケニル基、及びヒドロシリル基(SiH基)からなる群から選択される反応基であることが好ましい。(メタ)アクリロイル基及びアルケニル基は(B)成分と反応できる反応基であり、ヒドロシリル基(SiH基)は(A)成分と反応できる反応基である。
(メタ)アクリロイル基は、アクリロイル基又はメタクリロイル基を意味する。
アルケニル基としては、例えば炭素数2~8のものが挙げられ、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基などが挙げられる。
これら反応基の中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましく、メタクリロイル基がより好ましい。
(D)ポリシロキサン化合物が反応基を有する場合は、(D)ポリシロキサン化合物が有する反応基の数は1つであっても、2以上であってもよいが、1つであることが好ましい。
【0025】
本発明における(D)ポリシロキサン化合物は、以下の式(1)で表される化合物が好ましい。
【化1】
Xは反応基を有する有機基である。B、C、Dのうち少なくとも一つは以下の式(2)で表される基であり、残余はメチル基又はフェニル基である。式(2)で表される基が複数存在する場合は、該複数の式(2)で表される基は同一であっても異なっていてもよい。中でも、B、C、Dのうち一つ又は二つが以下の式(2)で表される基であり、残余がメチル基であることが好ましい。
【0026】
【化2】
R
1及びR
2はそれぞれ独立してメチル基又はフェニル基である。R
3、R
4、及びR
5のうち少なくとも一つは炭素数4以上のアルキル基であり、残余はそれぞれ独立してメチル基、フェニル基、又はX(すなわち上記した反応基を有する有機基)であり、好ましくは、残余はそれぞれ独立してメチル基又はフェニル基である。*は式(1)のSiと結合する結合手を意味する。nは9~130の整数である。
中でも、R
3が炭素数4以上のアルキル基であり、R
4及びR
5がそれぞれ独立して、メチル基又はフェニル基であることが好ましく、R
4及びR
5が共にメチル基であることがより好ましい。
炭素数4以上のアルキル基の炭素数は、好ましくは4以上30以下であり、より好ましくは4以上12以下であり、さらに好ましくは4以上8以下であり、特に好ましくは4である。すなわち、炭素数4以上のアルキル基としてはブチル基が特に好ましい。
【0027】
Xが有する反応基としては、(A)成分または(B)成分と反応できる反応基として説明した上記反応基と同様である。Xは、好ましくは反応基を有する炭素数2~50の有機基であり、より好ましくは反応基を有する炭素数3~15の有機基である。
【0028】
Xは好ましくは、以下のX
1~X
6のいずれかであることが好ましい。
【化3】
上記X
1~X
6において、Aは反応基である。Aは、(メタ)アクリロイル基、アルケニル基、及びヒドロシリル基(SiH基)からなる群から選択される反応基であることが好ましく、(メタ)アクリロイル基であることがより好ましく、メタクリロイル基であることがさらに好ましい。n1は1~2の整数である。n2は1~6の整数であり、2~4の整数であることが好ましい。*は式(1)のSiと結合する結合手を表す。
上記X
1~X
6の中でも、熱伝導性部材のポリプロピレンに対する接着性を高める観点から、XはX
2であることが好ましい。
【0029】
熱伝導性組成物中の(D)ポリシロキサン化合物の含有量は、(A)成分、(B)成分及び(D)ポリシロキサン化合物の合計100質量部に対して、好ましくは0.1~30質量部であり、より好ましくは0.5~20質量部であり、さらに好ましくは1~10質量部である。(D)ポリシロキサン化合物の含有量を前記範囲とすることにより、熱伝導性組成物から形成される熱伝導性部材のポリプロピレンに対する接着性が向上しやすくなる。
【0030】
本発明の熱伝導性組成物中には、種々の添加剤を含有させることができる。添加剤としては、例えば、触媒、分散剤、難燃剤、可塑剤、硬化遅延剤、酸化防止剤、着色剤などが挙げられる。
【0031】
本発明の熱伝導性組成物の形態は、1液型でもよいし、第1剤と第2剤を組み合わせてなる2液型でもよいが、保存安定性の観点から、2液型が好ましい。
2液型の熱伝導性組成物において、第1剤と第2剤の質量比(第2剤/第1剤)は、1又は1に近い値であることが好ましく、具体的には0.9~1.1が好ましく、0.95~1.05がより好ましい。このように、第1剤と第2剤の質量比を1又は1に近い値とすることで、熱伝導性組成物の調製が容易になる。また、2液型の熱伝導性組成物において、第1剤と第2剤の粘度比(第2剤/第1剤)も、1又は1に近い値であることが好ましく、具体的には0.5~2.0が好ましく、0.8~1.2がより好ましい。このように、第1剤と第2剤の質量比を1又は1に近い値とすることで、熱伝導性組成物を均一に混合しやすくなる。なお、質量比や粘度比を調整する方法は後述する。
【0032】
2液型の熱伝導性組成物は、より具体的には、第1剤が(A)アルケニル基を少なくとも2つ有するオルガノポリシロキサン(A成分)(主剤)を含み、第2剤が(B)ヒドロシリル基を少なくとも2つ有するハイドロジェンオルガノポリシロキサン(B成分)(硬化剤)を含むものである。
付加反応触媒は第1剤に含有され、第2剤には含有されないことが好ましい。そうすることで、第1剤と第2剤とは混合前は保存安定性に優れ、混合後には反応が促進され、速やかに硬化するものとすることができ、硬化により得られる熱伝導性部材の各種物性を良好にできる。その要因は定かではないが、白金触媒などの付加反応触媒が、(A)成分の付加反応部位である、アルケニル基に配位した状態となり、硬化が進行しやすいためと推定される。
【0033】
(C)熱伝導性充填材は、第1剤及び第2剤の少なくともいずれか一方に含有されるとよいが、好ましくは第1剤及び第2剤の両方に含有させる。(C)熱伝導性充填材を第1剤及び第2剤の両方に含有させると、第1剤と第2剤を混合しやすくなる。また、熱伝導性組成物を作製する際の第1剤に対する第2剤の質量比および粘度比を1又は1に近い値にできるため、2液型として使用しやすくなる。
また、第2剤は、(A)成分を含有することが好ましい。第2剤が硬化剤である(B)成分に加えて主剤である(A)成分も含有することで、熱伝導性組成物を作製する際の第1剤に対する第2剤の質量比および粘度比を1又は1に近い値に調整しやすくなる。一方で、第1剤には、硬化剤である(B)成分が含有されないとよい。
【0034】
第2剤が(B)成分に加えて(A)成分と微量の付加反応触媒も含有する形態を採る場合、保存時における付加反応硬化を防止するため、硬化遅延剤を添加し、第2剤中に添加された付加反応触媒による常温時における反応促進効果を相殺することで、実質的に付加反応触媒が含まれていない状態を達成することもできる。
具体的には、第2剤中に、微量の付加反応触媒が含有されている際、保存中、付加反応触媒による(B)成分と(A)成分との反応を抑制するために、硬化遅延剤を添加することができる。硬化遅延剤として、例えば、3-メチル-1-ブチン-3-オール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、フェニルブチノール、1-エチニル-1-シクロヘキサノール等の炭素-炭素三重結合を有するアルコール誘導体、3-メチル-3-ペンテン-1-イン、3,5-ジメチル-3-ヘキセン-1-イン等のエンイン化合物、テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン、テトラメチルテトラヘキセニルシクロテトラシロキサン等のアルケニル基含有低分子量シロキサン、メチル-トリス(3-メチル-1-ブチン-3-オキシ)シラン、ビニル-トリス(3-メチル-1-ブチン-3-オキシ)シラン等のアルキン含有シランが例示される。
また、第2剤には、硬化遅延剤が含有されない場合でも、常温時は反応が促進されない程度の量の付加反応触媒が含有されてもよい。
付加反応触媒として利用される、例えば、塩化白金酸、塩化白金酸とオレフィン類、ビニルシロキサン又はアセチレン化合物との錯化合物等の白金触媒は、硬化剤である(B)成分に作用し、その反応性を高める活性化の機能を有している。第2剤を保存中、硬化剤の不要な活性化を回避する手段としては、第2剤中に付加反応触媒を含有しないことが最も有効である。
【0035】
(D)ポリシロキサン化合物は、第1剤及び第2剤のいずれか一方に含有させてもよいし、両方に含有させてもよい。(D)ポリシロキサン化合物が(A)成分または(B)成分と反応できる反応基を備える場合は、保存安定性の観点から、その反応基の種類に応じて(D)ポリシロキサン化合物の配合方法を決めるとよい。
(D)ポリシロキサン化合物が有する反応基が(B)成分と反応できる基(例えば、(メタ)アクリロイル基又はアルケニル基)である場合は、保存安定性の観点から(D)ポリシロキサン化合物は、第1剤に配合することが好ましい。また(D)ポリシロキサン化合物が有する反応基が(A)成分と反応できる基(例えば、ヒドロシリル基)である場合は、保存安定性の観点から(D)ポリシロキサン化合物は第2剤に配合することが好ましい。
【0036】
熱伝導性組成物は、硬化剤として利用される(B)成分の種類、配合量、ならびに、添加される付加反応触媒の種類、添加量に応じて、硬化温度を選択すればよい。例えば、2液型において、第1剤と第2剤とは混合して常温下で放置するだけで硬化する形態とすればよいが、加熱させることで硬化を促進させる形態を選択することもできる。
【0037】
[熱伝導性部材]
本発明の熱伝導性組成物を硬化することで、熱伝導性部材を形成することができる。熱伝導性部材(すなわち、熱伝導性組成物の硬化物)の硬度は、JIS K 6253のタイプEの硬度計によって測定される値(以下「E硬度」という)で例えば30~90、好ましくは35~80、より好ましくは40~70である。
熱伝導性部材のE硬度を上記下限値以上とすることで、熱伝導性部材とポリプロピレンとの接着性が向上する。これは、熱伝導性部材が一定の硬さを備えるため、凝集破壊が抑制されるからと推定される。また、熱伝導性部材のE硬度を上記上限値以下とすることで、発熱体や放熱体の形状に沿って良好に追従する柔軟性と、発熱体や放熱体との密着性とを十分に確保することができる。
【0038】
熱伝導性部材(すなわち、熱伝導性組成物の硬化物)の熱伝導率は、1.0W/m・K以上であることが好ましく、1.5W/m・K以上であることがより好ましく、2.0W/m・K以上であることがさらに好ましい。これら下限値以上とすることで、熱伝導性が良好となる。そのため、例えばバッテリセルモジュールの間隙材として使用する場合には、バッテリセルから発生する熱を、間隙材を経由して、モジュール筐体に効率的に伝えることができ、バッテリセルの温度の過度の上昇を抑えることができる。熱伝導性部材の熱伝導率は、高ければ高いほどよいが、実用的には、例えば7W/m・K以下である。
【0039】
[バッテリモジュール]
本発明に係るバッテリモジュールは、熱伝導性部材からなる間隙材と、複数のバッテリセルと、前記複数のバッテリセルを格納するモジュール筐体とを備え、前記間隙材は、モジュール筐体の内部に配置される。
熱伝導性部材からなる間隙材は、バッテリセル相互間、及びバッテリセルとモジュール筐体間に充填されており、充填されている間隙材は、バッテリセル、及びモジュール筐体に密着する。これにより、バッテリセル間の間隙材は、バッテリセル相互間の離間状態を保持する機能を有している。また、バッテリセルとモジュール筐体との間の間隙材は、バッテリセルとモジュール筐体の双方に密着し、バッテリセルで発生する熱をモジュール筐体に伝える機能を有している。
【0040】
図1は、バッテリモジュールの具体的な構成を示す。
図2は各バッテリセルの具体的な構成を示す。
図1で示すように、バッテリモジュール10の内部には、複数のバッテリセル11が配置される。各バッテリセル11は、可撓性の外装フィルム内にラミネートして封入したものであり、全体的な形状は、高さや幅の大きさに比べて厚さが薄い偏平体である。こうしたバッテリセル11は、
図2で示すように、正極11aと負極11bが外部に表れ、偏平面の中央部11cは圧着された端部11dよりも肉厚に形成されている。
【0041】
図1に示すように、各バッテリセル11は、その偏平面同士が対向するように配置されている。
図1の構成において、間隙材13は、モジュール筐体12の内部に格納される、複数のバッテリセル11の全体を覆うようには充填されていない。間隙材13は、モジュール筐体12の内部の一部分(底側部分)に存在する間隙を満たすように充填されている。間隙材13は、バッテリセル11相互間、および、バッテリセル11とモジュール筐体12の間に充填され、この部分のバッテリセル11の表面、および、モジュール筐体12の内面と密着されている。
【0042】
バッテリセル11相互の間に充填される間隙材13は、双方のバッテリセル11の表面に接着されているが、間隙材13自体は、上記した硬度を有することで、適度の弾性と柔軟性を有しており、バッテリセル11相互の間隔を変位する外力が印加されても、外力による歪み変形を緩和することができる。したがって、間隙材13は、バッテリセル11相互間の離間状態を保持する機能を有している。
バッテリセル11とモジュール筐体12の内面との間の間隙に充填されている間隙材13も、バッテリセル11の表面と、モジュール筐体12の内面に、密に接着されている。その結果、バッテリセル11の内部で発生する熱は、バッテリセル11の表面に接着している間隙材13を経由して、該間隙材13の他の面により密着されているモジュール筐体12の内面へと伝えられる。
【0043】
バッテリモジール10内への間隙材13の形成は、一般的なディスペンサーを用いて、液状の熱伝導性組成物を塗布した後、その液状の熱伝導性組成物を硬化させることで行うとよい。この際、上記の通り2液型の熱伝導性組成物を使用することが好ましい。2液型は、保管が容易であるとともに、使用直前に混合すればディスペンサーで塗布する作業時には硬化し難く、塗布後は速やかに硬化させることができる。また、ディスペンサーでの塗布は、バッテリモジュール10の筐体12内の比較的奥深くまで、液状の熱導電性組成物を充填させることができる点でも好ましい。
【0044】
バッテリセル11を覆う間隙材13は、バッテリセル11の一方側において、各バッテリセル11の20~40%覆うことが好ましい。20%以上とすることで、バッテリセル11を安定的に保持することができる。また、発熱量が大きいバッテリセルを十分に覆うことで、放熱効率が良好となる。一方で、40%以下とすることで、バッテリセル11から発生する熱の放熱を効率的に行うことができ、重量増大や、作業性の悪化等も防げる。また、放熱効率を良好にするために、バッテリセル11の電極11a,11bがある側を間隙材13で覆うことが好ましく、電極11a,11bの全体を間隙材13で覆うことがより好ましい。
【0045】
以上のとおり、バッテリモジュール10は、バッテリセル11から発生した熱を、間隙材13を経由して、モジュール筐体12に逃がすことができる。
間隙材13は、複数のバッテリモジュール10を内部に備えるバッテリパックに使用することも好ましい。バッテリパックは、一般には、複数のバッテリモジュール10と、該複数のバッテリモジュール10を収容するバッテリパックの筐体とを備える。該バッテリパックにおいて、バッテリモジュール10とバッテリパックの筐体との間に間隙材13を設けることができる。これにより、上記のとおりモジュール筐体12に逃がした熱をさらに、バッテリパックの筐体に逃がすことができ、効果的な放熱が可能となる。
また、間隙材13に本発明の熱伝導性部材を用いているので、モジュール筐体12又はバッテリパックの筐体がポリプロピレン製であったとしても、接着性が良好になる。そのため、本発明の熱伝導性部材は、例えば自動車の発進や停止、走行時に振動や衝撃を受けても、モジュール筐体12又はバッテリパックの筐体から脱落するなどの不具合が生じ難く、放熱性を良好に維持することが可能となる。
【実施例0046】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
【0047】
[引張せん断接着強さ]
引張せん断接着強さは、以下のように引張せん断強さを測定することで評価した。
引張せん断強さは、JIS K6850:1999の引張せん断試験に準拠して測定した。試験片は、縦100mm、横25mm、厚さ2mmのアルミニウム板とポリプロピレン板の2枚を準備し、互いの先端が縦横25mm×25mmの長さで重なる状態に配置し、その間に厚さが2mmとなるように、液状の熱伝導性組成物を塗布して、25℃で24時間、常置して硬化させることで作製した。その後、引張試験機(東洋精機製作所「STROGRAPH VE50」)を用いて、室温25℃、引張速度100mm/minの条件で引張試験を行い、引張せん断強さを測定し、引張せん断強さが最大となる点を引張せん断接着強さとして評価した。
【0048】
[E硬度]
熱伝導性部材を、JIS K 6253のタイプEの硬度計によって測定した。
【0049】
[熱伝導率]
熱伝導性部材を厚さ20mmの板状に切り出し、ASTM D5470に基づいて熱伝導率を測定した。
【0050】
[実施例1~3、7~9]
下記の組成の第1剤及び第2剤を用意し、第1剤及び第2剤を質量比1:1で混合して、表1に記載の組成の熱伝導性組成物を得た。得られた熱伝導性組成物を室温(23℃)で24時間放置することで硬化させて熱伝導性部材を得た。
<第1剤>
・アルケニル基を少なくとも2つ有するオルガノポリシロキサンA
・下記式(3)で示す構造のポリシロキサン化合物D1
【化4】
n=63、分子量5,000
・水酸化アルミニウムC1(平均粒径1μm)
・水酸化アルミニウムC2(平均粒径54μm)
・微量の白金触媒
<第2剤>
・アルケニル基を少なくとも2つ有するオルガノポリシロキサンA
・ヒドロシリル基を少なくとも2つ有するハイドロジェンオルガノポリシロキサンB1
・ヒドロシリル基を少なくとも2つ有するハイドロジェンオルガノポリシロキサンB2
・水酸化アルミニウムC1(平均粒径1μm)
・水酸化アルミニウムC2(平均粒径54μm)
なお、ハイドロジェンオルガノポリシロキサンB1及びB2は、SiH基の含有率が異なる硬化剤であり、ハイドロジェンオルガノポリシロキサンB2のSiH基の含有率は7mmol/gであり、粘度は30cStである。
【0051】
[実施例4~6]
下記の組成の第1剤及び第2剤を用意し、第1剤及び第2剤を質量比1:1で混合して、表1に記載の組成の熱伝導性組成物を得た。得られた熱伝導性組成物を室温(23℃)で24時間放置することで硬化させて熱伝導性部材を得た。
<第1剤>
・アルケニル基を少なくとも2つ有するオルガノポリシロキサンA
・下記式(4)で示す構造のポリシロキサン化合物D2
【化5】
n=130、分子量10,000
・水酸化アルミニウムC1(平均粒径1μm)
・水酸化アルミニウムC2(平均粒径54μm)
・微量の白金触媒
<第2剤>
・アルケニル基を少なくとも2つ有するオルガノポリシロキサンA
・ヒドロシリル基を少なくとも2つ有するハイドロジェンオルガノポリシロキサンB1
・ヒドロシリル基を少なくとも2つ有するハイドロジェンオルガノポリシロキサンB2
・水酸化アルミニウムC1(平均粒径1μm)
・水酸化アルミニウムC2(平均粒径54μm)
【0052】
[比較例1]
下記の組成の第1剤及び第2剤を用意し、第1剤及び第2剤を質量比1:1で混合して、表1に記載の組成の熱伝導性組成物を得た。得られた熱伝導性組成物を室温(23℃)で24時間放置することで硬化させて熱伝導性部材を得た。
<第1剤>
・アルケニル基を少なくとも2つ有するオルガノポリシロキサンA
・水酸化アルミニウムC1(平均粒径1μm)
・水酸化アルミニウムC2(平均粒径54μm)
・微量の白金触媒
<第2剤>
・アルケニル基を少なくとも2つ有するオルガノポリシロキサンA
・ヒドロシリル基を少なくとも2つ有するハイドロジェンオルガノポリシロキサンB1
・水酸化アルミニウムC1(平均粒径1μm)
・水酸化アルミニウムC2(平均粒径54μm)
【0053】
[比較例2]
下記の組成の第1剤及び第2剤を用意し、第1剤及び第2剤を質量比1:1で混合して、表1に記載の組成の熱伝導性組成物を得た。得られた熱伝導性組成物を室温(23℃)で24時間放置することで硬化させて熱伝導性部材を得た。
<第1剤>
・アルケニル基を少なくとも2つ有するオルガノポリシロキサンA
・水酸化アルミニウムC1(平均粒径1μm)
・水酸化アルミニウムC2(平均粒径54μm)
・微量の白金触媒
<第2剤>
・アルケニル基を少なくとも2つ有するオルガノポリシロキサンA
・ヒドロシリル基を少なくとも2つ有するハイドロジェンオルガノポリシロキサンB1
・ヒドロシリル基を少なくとも2つ有するハイドロジェンオルガノポリシロキサンB2
・水酸化アルミニウムC1(平均粒径1μm)
・水酸化アルミニウムC2(平均粒径54μm)
【0054】
[比較例3]
下記の組成の第1剤及び第2剤を用意し、第1剤及び第2剤を質量比1:1で混合して、表1に記載の組成の熱伝導性組成物を得た。得られた熱伝導性組成物を室温(23℃)で24時間放置することで硬化させて熱伝導性部材を得た。
<第1剤>
・アルケニル基を少なくとも2つ有するオルガノポリシロキサンA
・比較化合物として炭素数4以上のアルキル基を有さず、2つのメタアクリレート基を有するポリジメチルシロキサン((D)ポリシロキサン化合物の比較化合物)
・水酸化アルミニウムC1(平均粒径1μm)
・水酸化アルミニウムC2(平均粒径54μm)
・微量の白金触媒
<第2剤>
・アルケニル基を少なくとも2つ有するオルガノポリシロキサンA
・ヒドロシリル基を少なくとも2つ有するハイドロジェンオルガノポリシロキサンB1
・ヒドロシリル基を少なくとも2つ有するハイドロジェンオルガノポリシロキサンB2
・水酸化アルミニウムC1(平均粒径1μm)
・水酸化アルミニウムC2(平均粒径54μm)
【0055】
【0056】
(D)ポリシロキサン化合物を含む本発明の熱伝導性組成物から形成された実施例1~9の熱伝導性部材は、引張せん断接着強さが高く、ポリプロピレンに対する接着性が優れていた。また、(D)ポリシロキサン化合物の配合量が同じである実施例1~3、及び実施例4~6を比較すると、熱伝導性部材のE硬度の値が大きくなると、引張せん断接着強さが高まり、ポリプロピレンに対する接着強度が向上することがわかった。
一方、(D)ポリシロキサン化合物を含まない比較例1~3の熱伝導性組成物から形成された熱伝導性部材は、引張せん断接着強さが低くなり、ポリプロピレンに対する接着性が低下することがわかった。