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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023168214
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】マグネット式ピース玩具
(51)【国際特許分類】
   A63H 33/26 20060101AFI20231116BHJP
   A63F 9/10 20060101ALI20231116BHJP
   A63F 9/34 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
A63H33/26 B
A63F9/10 D
A63F9/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022207895
(22)【出願日】2022-12-26
(31)【優先権主張番号】P 2022079616
(32)【優先日】2022-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】507045409
【氏名又は名称】宇野 孝二
(74)【代理人】
【識別番号】100085291
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥巣 実
(74)【代理人】
【識別番号】100117798
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 慎一
(74)【代理人】
【識別番号】100166899
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥巣 慶太
(74)【代理人】
【識別番号】100221006
【弁理士】
【氏名又は名称】金澤 一磨
(72)【発明者】
【氏名】宇野 孝二
【テーマコード(参考)】
2C150
【Fターム(参考)】
2C150BA17
2C150BA64
2C150BB01
2C150EB44
(57)【要約】
【課題】使用者が押す・押すことを解除するという単純な動作で、可動軸を移動させることでマグネットを移動させるという単純な動作で、ピースの着脱ができ、それを利用してピースをピース配列盤上に並べる。
【解決手段】使用者が複数のピース2を、1つずつ吸着する吸着具を用いて、それぞれ、ピース配列盤39の一部又は全部の上に並べて遊ぶ、マグネット式ピース玩具である。各ピース2は、磁性材12,15を有する。吸着具3は、外筒20内に可動軸30がスライド移動可能に収納され、可動軸30の下端部に第1マグネット32が設けられている。可動軸30をスライド移動させることによって、第1マグネット32の磁力が、外筒20の下端部外に及ぶ吸着位置と、前記下端部外に及ぶのを解除する待機位置との間で、第1マグネット32を移動させるものである。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者が複数のピースを、1つずつ吸着する吸着具を用いて、それぞれ、ピース配列盤の一部又は全部の上に並べて遊ぶ、マグネット式ピース玩具であって、
前記各ピースは、磁性体を有し、
前記吸着具は、外筒内に可動軸がスライド移動可能に収納され、前記可動軸の下側端部に第1マグネットが設けられ、前記可動軸をスライド移動させることによって、前記第1マグネットの磁力が、前記外筒の下端部外に及ぶ吸着位置と、前記第1マグネットの磁力が、前記下端部外に及ぶのを解除する待機位置との間で前記第1マグネットを移動させるもので、前記第1マグネットのスライド移動によって、前記外筒又は前記可動軸の下端部に前記ピースを吸着させたり前記下端部から脱離させたりするものである、
ことを特徴とするマグネット式ピース玩具。
【請求項2】
前記外筒は、上端部に鍔を有し、下端に中空カバーが取り付けられたものであり、
前記可動軸は、上端部が押し部となり、前記待機位置では前記押し部が前記外筒の上方から外部に突出する一方、前記吸着位置では前記押し部の下側部分が前記外筒内に押し込まれるものであり、そして下側端部に、前記第1マグネットを転動可能に収納する中空のマグネットホルダーが取り付けられ、また前記外筒と前記可動軸との間には、前記吸着位置で前記待機位置より圧縮されるスプリングが設けられている、
請求項1記載のマグネット式ピース玩具。
【請求項3】
前記ピース配列盤の上面には、前記ピースに対応する区画を表示するラインが描かれ、前記区画が、それぞれ前記ピースの外形に対応する形状及び大きさで、前記区画は、同一の形状及び大きさである、請求項1記載のマグネット式ピース玩具。
【請求項4】
前記ピース配列盤は、外周縁に、前記ピース配列盤より厚さが厚い外枠が着脱可能に設けられている、請求項1に記載のマグネット式ピース玩具。
【請求項5】
前記ピース配列盤は、複数の基本配列盤を、連結具を介して連結されたものである、請求項1に記載のマグネット式ピース玩具。
【請求項6】
前記ピース配列盤は、前記区画のうち選択された区画に前記第1マグネットより磁力が弱い第2マグネットが設けられている、請求項3記載のマグネット式ピース玩具。
【請求項7】
前記各ピースは、前記可動軸の第1マグネットが吸着位置にあるとき、2つ以上のピースが同時に前記第1マグネットの磁力の影響を受けない位置に前記磁性体が設けられている、
請求項1に記載のマグネット式ピース玩具。
【請求項8】
前記外筒は、下端に開口が設けられ、
前記可動軸は、前記待機位置では下端部が前記外筒内に位置し、前記吸着位置では下端部が前記外筒の開口より外方に突出するものであり、
さらに前記可動軸の下端部に、前記第1マグネットを転動可能に収納する中空部が形成され、前記外筒と前記可動軸との間には、前記吸着位置で前記待機位置より圧縮されるスプリングが設けられている、
請求項1記載のマグネット式ピース玩具。
【請求項9】
前記外筒の上端部は、前記スプリングのスプリング反力調整用の鍔が位置調整可能に設けられ、
前記外筒の下端部は、前記スプリングのスプリング反力に応じて軸線方向に位置調整可能である調整スリーブによって形成され、
前記調整スリーブは、下端に、前記可動軸の下端部が前記吸着位置で突出する開口が設けられている、
請求項8記載のマグネット式ピース玩具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者が複数のピースを、マグネットを利用して1つずつ吸着する吸着具を用いて、ピース配列盤の上に並べて遊ぶ、マグネット式ピース玩具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、脳卒中の病後などで運動機能に障害を来した人のリハビリのためや、幼児教育のために、大型ピースのジグソーパズルが利用されている。
【0003】
ところが、前記のような運動機能に障害を有する人や、指先の運動機能が十分に発達していない幼児には、1枚ずつピースを取り上げることが困難な場合が多い。つまり、指先や手先の機能が充分でないため、ピースを取り上げることができなかったり、所定位置に置く際にうまくピースを手離せなかったり、既に所定位置に並べているピースがずれて、次のピースが所定位置にうまく置くことができない場合がある。
【0004】
そこで、運動機能に障害を持つ人のリハビリ目的として、あるいは幼児教育目的として有効に利用できるものとして、持ち手に付けた磁石を利用してパズルピースを着脱可能にしたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
そして、前記パズルピースの着脱は、持ち手に設けた磁石の磁力により持ち上げて、基盤の上に一旦置き、パズルピースの端部を指で押さえ、持ち手を少し傾けることによって磁石の一部をパズルピースから離して吸着力を弱め、パズルピースを基盤上に残して磁石(持ち手)のみを持ち上げるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000-167234号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記特許文献1の技術では、パズルピースから持ち手を分離させる際に、持ち手を少し傾ける動作などが必要となり、脳卒中の病後などで運動機能に障害を来した人のリハビリ目的や、幼児教育目的としては、使用者による持ち手の着脱動作が困難である。
【0008】
本発明は、使用者が押す・押すことを解除するという単純な動作で、可動軸をスライド移動させてピースの着脱をできるようにすることで、ピースをピース配列盤上に簡単に置け、置かれたピースは意図して押さない限り移動しないことを可能とするマグネット式ピース玩具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、使用者が複数のピースを、1つずつ吸着する吸着具を用いて、それぞれ、ピース配列盤の一部又は全部の上に並べて遊ぶ、マグネット式ピース玩具であって、前記各ピースは、磁性体を有し、前記吸着具は、外筒内に可動軸がスライド移動可能に収納され、前記可動軸の下側端部に第1マグネットが設けられ、前記可動軸をスライド移動させることによって、前記第1マグネットの磁力が、前記外筒の下端部外に及ぶ吸着位置と、前記第1マグネットの磁力が、前記下端部外に及ぶのを解除する待機位置との間で前記第1マグネットを移動させるもので、前記第1マグネットのスライド移動によって、前記外筒又は前記可動軸の下端部に前記ピースを吸着させたり前記下端部から脱離させたりするものである、こと
を特徴とする。ここで、「ピース配列盤の一部又は全部の上に並べて遊ぶ」とは、ピースを並べて遊ぶ場合に、ピース配列盤のすべてを使用するだけでなく、一部だけ使用する場合もあることを意味する。また、「前記第1マグネットの磁力が、前記外筒の下端部外に及ぶ」とは、前記第1マグネットの磁力が、前記外筒の下端部外にまで及びピース(磁性体)を前記外筒又は前記可動軸の下端部(外表面)に吸着できることを意味する。
【0010】
このようにすれば、使用者が押すこと・押すことを解除するという単純な動作の繰り返しで、吸着具の可動軸をスライド移動させて、第1マグネットを移動させ、ピースの着脱ができるようにしているので、各ピースをピース配列盤上に無理なく並べることができる。よって、使用者が子どもや老人であっても、大きな負担をかけることなく、遊びながら子どもの知育や老人の脳の衰えを防止することができる。
【0011】
前記外筒は、上部端に鍔を有し、下端に中空カバーが取り付けられたものであり、前記可動軸は、上端部が押し部となり、前記待機位置では前記押し部が前記外筒の上方から外部に突出する一方、前記吸着位置では前記押し部の下側部分が前記外筒内に押し込まれるものであり、そして下側端部に、前記第1マグネットを転動可能に収納する中空のマグネットホルダーが取り付けられ、また前記外筒と前記可動軸との間には、前記吸着位置で前記待機位置より圧縮されるスプリングが設けられている、ことが望ましい。ここで、「前記吸着位置で前記待機位置より圧縮される」とは、待機位置では、吸着位置での圧縮状態よりも圧縮の程度が弱くなっていることを意味し、完全に圧縮状態が解除されている場合も含む。このようにすれば、スプリングのスプリング力を利用することによって、第1マグネットを吸着位置から待機位置に復帰させるのを容易にできる。
【0012】
また、前記ピース配列盤の上面には、前記ピースに対応する区画を表示するラインが描かれ、前記区画が、それぞれ前記ピースの外形に対応する形状及び大きさで、前記区画は、同一の形状及び大きさである、ことが望ましい。このようにすれば、区画の判別が容易となる。
【0013】
前記ピース配列盤は、外周縁に、前記ピース配列盤より厚さが厚い外枠が着脱可能に設けられている、ことが望ましい。このようにすれば、ピースがピース配列盤上から零れないようにできる。
【0014】
また、前記ピース配列盤は、複数の基本配列盤を、連結具を介して連結されたもの、とすることができる。ここで、基本配列盤は、一定の基本となる大きさを有する配列盤である。このようにすれば、ピース配列盤の大きさを変更・拡大することができる。
【0015】
前記ピース配列盤は、前記区画のうち選択された区画に前記第1マグネットより磁力が弱い第2マグネットが設けられている、ことが望ましい。ここで、「前記区画のうち選択された区画に」とは、一部の区画に(例えば一つ置きに)という意味であるが、すべての区画に設ける場合も含む。このようにすれば、前記ピース配列盤上に置かれた前記ピースを吸着具で吸着でき、吸着具から脱離したときには前記ピースは前記ピース配列盤上に安定する。また、吸着具が待機状態であれば、吸着具の下端部でピースを押すと、その押す力で前記ピースを移動させることができる。
【0016】
前記各ピースは、前記可動軸の第1マグネットが吸着位置にあるとき、2つ以上のピースが同時に前記第1マグネットの磁力の影響を受けない位置に前記磁性体が設けられている、ことが望ましい。このようにすれば、吸着具によって、2つのピースが同時に吸着されるのが回避される。
【0017】
また、前記外筒は、下端に開口が設けられ、前記可動軸は、前記待機位置では下端部が前記外筒内に位置し、前記吸着位置では下端部が前記外筒の開口より外方に突出するものであり、さらに前記可動軸の下端部に、前記第1マグネットを転動可能に収納する中空部が形成され、前記外筒と前記可動軸との間には、前記吸着位置で前記待機位置より圧縮されるスプリングが設けられている、構造とすることが可能である。この場合には、前記外筒の上端部は、前記スプリングのスプリング反力調整用の鍔が位置調整可能に設けられ、前記外筒の下端部は、前記スプリングのスプリング反力に応じて軸線方向に位置調整可能である調整スリーブによって形成され、前記調整スリーブは、下端に、前記可動軸の下端部が前記吸着位置で突出する開口が設けられている、構造とすることも可能である。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、可動軸をスライド移動させるという単純な動作で、第1マグネットを移動させることで、ピースの、吸着具への着脱ができるので、各ピースを、磁力を利用してピース配列盤上に無理なく並べることが可能となる。よって、使用者に大きな負担をかけることなく、遊びながら子どもの知育や老人の脳の衰えを防止するマグネット式ピース玩具として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に係るマグネット式ピース玩具の一実施の形態を示し、図1(a)はゲーム開始前の、絵柄、図柄、文字などの一部が描かれたピースが、ピース配列盤の一つにバラバラに置かれた状態を示す図、図1(b)はすべてのピースを符合させてゲームが終了した状態を示す図である。
図2】吸着具を示し、(a)は待機状態を示す中央断面図、(b)は吸着状態を示す中央断面図である。
図3図2(a)のA-A線における断面図である。
図4図2(a)のB-B線における断面図である。
図5図2(a)のC-C線における断面図である。
図6】ピースを示し、(a)は平面図、(b)は底面図である。
図7図6(a)のD-D線における断面図である。
図8】吸着具及びピース配列盤の磁力が及ぶ範囲とピースの磁性体との関係を示す説明図である。
図9】ピース配列盤の平面図である。
図10図9のE-E線における断面図である。
図11図9のF-F線における断面図である。
図12図9のG-G線における断面図である。
図13図9のH-H線における断面図である。
図14】絵柄の一例を示し、(a)は表面図、(b)は裏面図である。
図15】図柄の一例を示し、(a)は表面図、(b)は裏面図である。
図16】4分割文字の一例を示し、(a)は表面図、(b)は裏面図である。
図17】9分割文字の一例を示し、(a)は表面図、(b)は裏面図である。
図18】ピース配列盤の連結状態を示す説明図である。
図19】別の実施の形態の吸着具を示し、図19(a)は待機状態を示す中央断面図、図19(b)は同平面図、図19(c)は吸着状態を示す中央断面図、図19(d)は図19(a)のK-K線における断面図、図19(e)は図19(a)のS―S線における断面図である。
図20】前記別の実施の形態の吸着具の変形例を示し、図20(a)は可動軸の下端部の変形例を示す図、図20(b)は外筒の下端部の変形例を示す図である。
図21】さらに別の実施の形態の吸着具を示す、中央断面図である。
図22図22(a)(b)はスプリング反力が弱の場合の待機状態及び吸着状態をそれぞれ示す中央断面図、図22(c)(d)はスプリング反力が中の場合の待機状態及び吸着状態をそれぞれ示す中央断面図、図22(e)(f)はスプリング反力が強の場合の待機状態及び吸着状態をそれぞれ示す中央断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る実施の形態を、図面に沿って説明する。
【0021】
図1は本発明に係るマグネット式ピース玩具の一実施の形態を示し、(a)はゲーム開始前の、絵柄、図柄、文字などの一部が描かれたピースが、ピース配列盤の一つにバラバラに置かれた状態を示す図、(b)はすべてのピースを符合させてゲームが終了した状態を示す図である。
【0022】
図1(a)(b)に示すように、本発明に係るマグネット式ピース玩具1は、使用者が複数のピース2(各ピースは同一符号2で示す)を中から1つのピース2(磁性材12,15)を選択し、1つずつ吸着する吸着具3を用いて、矩形状のピース配列盤39の一部又は全部の上に並べて、遊ぶものである。
【0023】
また、ピース配列盤39は、配列盤基材40の上面に、区画(領域)を形成する区画ライン44が碁盤目状に描かれた盤記事材43で覆われている。後述する第1マグネット32より磁力が弱い第2マグネット41が前記区画に設けられ、磁力を利用して、並べられピース2が不用意に移動しないようになっている。ピース配列盤39は第2マグネット41を除き、プラスチック等の非磁性材料から形成されている。
【0024】
また、ピース配列盤39には、高さ調整のために高さ調整ボルト42がコーナー部に設けられ,外周縁にはピース配列盤39より厚さが厚い外枠47が着脱可能に設けられている。連結穴45を利用して連結材46にて相互に連結し、ピース配列盤全体の大きさを変更することもできる。つまり、ピース配列盤39は、一定の大きさを有する基本配列盤が一枚だけ、あるいは複数枚連結して形成される。1枚だけでピース配列盤39を構成する場合を図9に示し、複数枚連結してピース配列盤39を構成する場合を図18に示す。尚、外枠47は、連結した場合も含めて、ピース配列盤39からピース2がこぼれないようにし、水平保持機能(折れ曲がり防止)を発揮するようにもなっている。
【0025】
ピース2は、区画に対応する大きさで、図1(a)に示すように、ゲーム開始前には、絵柄、図柄、文字などの一部が描かれたピース2が、一つのピース配列盤39の上にバラバラに置かれ、図1(b)に示すように、すべてのピース2をピース配列盤39の上の所定の区画に符合させて並べることで、ゲームが終了することになる。なお、絵柄の例をEX1で、図柄の例をEX2で、4分割文字の例をEX3で、9分割文字の例をEX4でそれぞれ示す。
【0026】
このようにすれば、例えばEX3の場合には、ピース2の表面には、4分割された文字「あ」の一部(部分模様)が描かれ、ピース配列盤39上の所定の区画にピース2に並べることで、文字「あ」が完成するようになっている。つまり、各ピース2をピース配列盤39のどこに、どの区画に配置すればよいかを、使用者に認識させることで、遊びながら子どもの知育や老人の脳の衰えを防止することが可能となる。なお、図柄、絵柄、文字の分割枚数は、この実施の形態のものに制限されない。
【0027】
吸着具3は、図2図5に示すように、第1外筒20内に第1可動軸30が軸線方向にスライド移動可能に収納され、可動軸30の下側端部に第1マグネット32が設けられている。可動軸30をスライド移動させることによって外筒20の下端部外に第1マグネット32の磁力が及ぶ吸着位置(図2(b)参照)と、前記下端部外に第1マグネット32の磁力が及ぶのを解除する待機位置(図2(a)参照)との間で、第1マグネット32を移動させることができる。
【0028】
外筒20は、ガイドピン24を除いてプラスチック等の非磁性材料から形成され、上端部に第1鍔21が設けられ、下端部に下端部を塞ぐように設けられる中空カバー22を備えている。中空カバー22は、円錐台形状に形成され、固定具25(樹脂製のリベット)にて外筒20の下端に固定されている。中空カバー22は、円錐台形状に限らず、半球形状や多角錐台形状や楕円形状とすることもできる。
【0029】
可動軸30は、コイルスプリング23を除いてプラスチック等の非磁性材料から形成され、上端に天板状の第1押し部31が設けられる一方、下側端部に、内部に球体状の第1マグネット32を転動可能に収納する中空のマグネットホルダー34が固定具25(樹脂製のリベット)で設けられ、外筒20と可動軸30との間に、前記吸着位置で前記待機位置より圧縮されるコイルスプリング23が設けられている。よって、待機位置で吸着解除状態とされる。
【0030】
可動軸30を下方にスライド移動させることによって、つまり押し部31を下方に押すことによって、コイルスプリング23のスプリング力に抗してピース2を吸着する吸着位置に、第1マグネット32を移動させることができる。
【0031】
第1マグネット32は球体状であるので、吸着具3を傾斜させても、マグネットホルダー34内で転動して、第1マグネット32の磁力がピース2に対して最も有効に働きピース2を吸着させることができる。
【0032】
よって、使用者が、可動軸30の押し部31を押し込んだり押し込みを解除したりすることで、ピース2を吸着する吸着位置と、ピース2の吸着を解除する待機位置との間で、第1マグネット32(磁力範囲33)を移動させ、外筒20の下端部(中空カバー22)に1枚のピース2を吸着させたり吸着を解除して分離させたりすることができる。
【0033】
また、可動軸30の、上下方向に長いガイドホール35が形成され、このガイドホール35に外筒20を貫通するガイドピン24が挿通され、ガイドホール35とガイドピン24との関係で、第1マグネット32(磁力範囲33)が、吸着位置と待機位置との間で移動できるように、可動軸30のスライド移動範囲を制限している。
【0034】
ピース2を吸着具3に吸着させる場合には、コイルスプリング23のスプリング力に逆らって、使用者が可動軸30の押し部31を、使用者が、例えば手の指で押すことで、押し部31の下側部分が外筒20内に押し込まれる。そして第1マグネット32(マグネットホルダー34)が、ピース2を吸着具3の中空カバー22に吸着させることができる吸着位置に移動する。つまり、吸着具3の下端に吸着される位置までマグネット32を移動させることで、ピース2の表磁性体12が、第1マグネット32の磁力が及ぶ範囲内となる。
【0035】
一方、第1マグネット32は、ピース2を吸着具3から脱離させる場合には、使用者が可動軸30の上端を手の指で押す動作を解除することで、コイルスプリング23のスプリング力によって、第1マグネット32が待機位置に移動し、第1マグネット32の磁力が及ばない範囲内となり、第1マグネット32がピース2を吸着具3から分離させる待機位置に移動させる。つまり、ピース2の表磁性材12が、第1マグネット32の磁力が及ぶ範囲から外れることで、ピース2が吸着具3の下端部から離れる。
【0036】
可動軸30やマグネットホルダー34、中空カバー22は、プラスチック等の非磁性材料である材質から形成されている。
【0037】
図6及び図7に示すように、ピース2は正方形状で、プラスチック等の非磁性材料であるピース基材11の表裏面に、円盤状の表裏磁性材12,15(磁性体)が設けられ、その上に表裏記事14,17が描かれている表裏記事材13,16が設けられ、表裏磁性材12,15を覆っている。裏面には、符合する区画を特定できるように、裏記事17として、符合された表記事17a(縮小表示)、部位表示線17b(列記号、行番号)、管理記号17cが描かれている。なお、各ピース2は、区画ライン44によって区画された区画(領域)の大きさ・形状に対応し、同一形状・同一サイズであるが、正方形状に限らず、正三角形、正五角形などの正多角形状とすることもでき、また、2つ以上の区画(領域)の大きさ・形状に対応する形状としてもよい。また、表裏磁性材12,15(磁性体)も円盤状や正方形状に限定されない。
【0038】
なお、例えば図8に示すように、ピース配列盤39上に並べられた状態で、隣り合うピース2の磁性材12,12間の距離が、吸着具3の第1マグネット32が吸着位置にあるとき、第1マグネット32の磁力が及ぶ距離を超える大きさとされている。つまり、吸着具3の第1マグネット32の磁力範囲33内に隣り合うピース2の磁性材12,12が両方とも入ることがなく、ピース配列盤39上に一旦並べられると、別のピース2を隣に並べる際に移動することはない。第1マグネット32の磁力範囲から隣の表磁性材12は距離L1だけ離れ、裏磁性材15は距離L3だけ離れ、第2マグネット41の磁力範囲から裏磁性材15は距離L2だけ離れている。
【0039】
ピース配列盤39は、図9図13に示すように、外周縁に、バネ性を有する断面略U
字形状の外枠47が、差し込みなどにより着脱可能に設けられている。
【0040】
また、図14図17に、図1(a)(b)において示したピースに表示する絵柄、図柄、4分割文字、9分割文字の例を、表裏面についてそれぞれ拡大して示す。
【0041】
次に、本発明に係るマグネット式ピース玩具1の使用方法について説明する。
【0042】
まず、ピース配列盤39上に、バラバラにピース2をばらまく。次に、ピース配列盤39上に、吸着具3を使って、最終的に文字「あ」が完成するようにピース2を順に並べていく。具体的には、吸着具3を使用者が保持し、所望のピース2近辺まで吸着具3を移動させ、吸着具3の可動軸30の上端を指で押し、第1マグネット32を吸着位置まで移動させ、所望のピース2を吸着具3の下端部に吸着する。
【0043】
それから、可動軸30の押し部31を指で押す状態を維持し、ピース2を吸着具3が吸着した状態で、ピース配列盤39上の適宜位置まで移動させ、押す動作を解除することで、ピース2を吸着具3から分離させ、ピース配列盤39上の所定の位置に載置する。
【0044】
このようにして、最終的に文字「あ」が完成するようにピース2をピース配列盤39上の所定の位置に順次置いていく。ピース2の位置の微調整を行うときは、中空カバー22の下端をピース2に押し当てて移動させることができる。
【0045】
前記実施の形態では、可動軸30が中実で、マグネットホルダー34が中空カバー22内に収納される構造となっているが、可動軸を中空として下端部に、第1マグネットを転動可能に収納する中空部を形成することでマグネットホルダーを可動軸と一体に形成し、可動軸の下端部が外筒の下端開口より出没可能となる構造とすることも可能である。このようにすれば、部品点数を低減することができる。
【0046】
この場合、吸着具3Aは、例えば図19(a)(c)に示すように、第2外筒50A内に中空の第2可動軸60Aが軸線方向にスライド移動可能に収納され、可動軸60Aの下端部内に球体状の第1マグネット32が転動可能に設けられている。可動軸60Aをスライド移動させることによって、外筒50Aの、下端部外に第1マグネット32の磁力が及ぶのを解除する待機位置(図19(a)参照)と、外筒50Aの下端開口54を通じて外部に突出させ外筒50Aの下端部外に第1マグネット32の磁力が及ぶ吸着位置(図19(c)参照)との間で、第1マグネット32を移動させることができる。前記吸着位置では前記待機位置よりコイルスプリング23が圧縮されスプリング反力が大きくなる状態である。可動軸60Aのストロークは、ストッパー59によって規制される。なお、第1マグネット32の磁力が及ぶ磁力範囲33は二点鎖線で示している。
【0047】
外筒50Aの上端部には、上部に楕円形板状の鍔51Aaを有する第2鍔部材51Aが位置調整可能に設けられ、コイルスプリング23のスプリング反力が調整されるようになっている。鍔部材51Aより上方の可動軸60A上端に天板状の第2押し部61が設けられている。なお、鍔部材51Aは、外筒50Aの外周部に着脱できるようになっており、ねじ止め部51Abを有する。
【0048】
外筒50Aの下端部は半球形状に形成され、下端開口54の内径は可動軸60Aの外径より大きくなっている。可動軸60Aの下端部は、中空の半球形状で、内部に第1マグネット32が転動可能に設けられる中空部となっている。可動軸60Aの下端中央部に、第1マグネット32の外径より小さい径の下部開口65が設けられている。
【0049】
前記中空部の(第1マグネット32の)上側には、球体状の第1マグネット32の上方移動を規制する移動規制ピン63が可動軸60Aを貫通して設けられている。なお、可動軸60Aの下端部は中空の半球形状に限らず、例えば図20(a)に示す第3可動軸60Bのように、中空の多角錐台形状とすることができ、中空の円錐台形状などとすることもできる。また、外筒50Aの下端部は、図20(b)に示す第3外筒50Bのように、円筒状とすることもできる。ただ、この場合、吸着位置でピース2が傾斜して引き込まれない径とすることが望ましい。
【0050】
可動軸60Aの上方外周には、鍔部材51Aの下側にコイルスプリング押し座62が、外筒50Aの下方内周には、コイルスプリング受け座52がそれぞれ設けられ、両座62,52の間にコイルスプリング23が設けられている。
【0051】
そして、可動軸60Aを下方にスライド移動させることによって、つまり押し部61を下方に押すことによって、コイルスプリング23のスプリング力に抗してピース2を吸着する吸着位置に、第1マグネット32を移動できること、第1マグネット32は球体状であるので、吸着具3Aを傾斜させても、可動軸60A,60Bの前記中空部内で転動して、第1マグネット32の磁力がピース2に対して最も有効に働き、ピース2を吸着できることは、前述した実施の形態と同じである。
【0052】
よって、前述した実施の形態と同様に、使用者が、可動軸60A、60Bを押し込んだり押し込みを解除したりすることで、ピース2を吸着する吸着位置と、ピース2の吸着を解除する待機位置との間で、第1マグネット32(磁力範囲33)を移動させ、可動軸60A,60Bの下端部に1枚のピース2を吸着させたり分離させたりすることができる。
【0053】
また、図21に示すように、外筒の下端部を、コイルスプリング23のスプリング反力の強さに応じて軸線方向に位置調整可能である調整スリーブ55によって形成し、可動軸60Aの下端部を突出させて吸着位置とするのに要するストローク量を調整することも可能である。この場合、第4外筒50Cは、下部にそれより小径の延長外筒部50Caを有し、延長外筒部50Caに調整スリーブ55が取付けられ、調整スリーブ55が設けられた状態で、外筒50Cと外径がほぼ等しくなるように形成されている。なお、外筒50Cと延長外筒部50Caとの段差部が、コイルスプリング押し座62に対応するコイルスプリング受け座52となっている。また、調整スリーブ55は、下端に、可動軸60Aの下端部が出没可能である開口56が設けられている。延長外筒部50Caと、調整スリーブ55と間には、それぞれに嵌合する複数の環状の凹凸が対応して形成され、嵌合する凹凸部を変えることで外筒50C(延長外筒部50Ca)に対して調整スリーブ55の取付位置を、コイルスプリング23のスプリング反力の強さに応じて軸線方向において調整することができる(図22(a)~(f)参照)。
【0054】
なお、本発明は、前記実施の形態に制限されず、例えば以下に例示するように、特許請求の範囲に記載の範囲内で種々の変更が可能である。
【0055】
(i)前記実施の形態では、吸着具3,3Aの可動軸30,60A,60B自体を直接手(指)で押してスライド移動(つまり吸着位置と待機位置との切替え)させているが、それに限定されず、前記可動軸30,60A,60Bをスライド移動させる可動ケーブルあるいはリンク機構を有する操作部を、外筒20,50A~50Cに連結し、操作部の操作により、前記可動軸30,60A,60Bのスライド移動を使用者の手(指)で間接的に行うようにすることもできる。例えば、操作部を銃形状として、銃の引き金を引くことで前記可動軸をスライド移動させる構造や、操作部のレバーを回転させることで前記可動軸30,60A,60Bをスライド移動させる構造を用いることもできる。
【0056】
(ii)ピース配列盤に描かれる区画ライン44(盤記事材43)に代えて、ピース配列盤上に、ピースの形状・大きさに対応する溝が形成された中敷きを設ける一方、ピースの周縁に前記中敷きの溝に係脱可能に係合する突条部を設け、それらを係合させることで、ピースが区画上から不用意に移動しないようにすることもできる。この場合は、中敷きを変えることで、ピースの大きさ・形状の変更を容易に行うことができ、使用者がピースの大きさ・形状を変更する場合には、中敷きの交換で簡単に対応することができる。
【0057】
(iii)ピースの表裏に2つの磁性材(磁性体)を設けるのに代えて、ピース内部(例えば、厚さ方向の中ほど)に1つの磁性体を埋め込むようにすることもできる。つまり、可動軸30の第1マグネット32が吸着位置にあるとき、2つ以上のピース2が、並んだ状態であるか重なった状態であるかにかかわりなく、同時に第1マグネット32の磁力の影響を受けない位置に磁性体が設けられていればよいからである。
【0058】
(iv)ピース配列盤上の選択された区画に第2マグネットを設けるのに代えて、ピース配列盤の全面に亘って、第2マグネットとして、例えば厚さ1~2mm程度のマグネットシートを設けることもできる。
【0059】
(v)前記ピースは、表面に、絵柄(絵画)、図柄(メダル、ペンダント)、文字(ひらがな、カタカナ、漢字言葉、熟語)などの表記事が描かれている表記事材を貼り替え可能にすることも可能である。
【符号の説明】
【0060】
1 マグネット式ピース玩具
2 ピース
3,3A 吸着具
11 ピース基材
12 表磁性材
13 表記事材
14 表記事
15 裏磁性材
16 裏記事材
17 裏記事
17a 符合した表記事
17b 部位表示線
17c 管理記号
20 第1外筒
21 第1鍔
22 中空カバー
23 コイルスプリング
24 ガイドピン
25 固定具
30 第1可動軸
31 第1押し部
32 第1マグネット
33 磁力範囲
34 マグネットホルダー
35 ガイドホール
39 ピース配列盤
40 配列盤基材
41 第2マグネット
42 高さ調整ボルト
43 盤記事材
44 区画ライン
45 連結穴
46 連結材
47 外枠
50A 第2外筒
50B 第3外筒
50C 第4外筒
50Ca 延長外筒部
51A 第2鍔部材
51Aa 鍔
51Ab ねじ止め部
52 コイルスプリング受け座
54 下部開口
55 調整スリーブ
56 開口
59 ストッパー
60A 第2可動軸
60B 第3可動軸
61 第2押し部
62 コイルスプリング押し座
63 移動規制ピン
65 下部開口
図1
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