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  • 特開-アンテナ装置及びビーム制御方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023168222
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】アンテナ装置及びビーム制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 7/0456 20170101AFI20231116BHJP
   H01Q 3/26 20060101ALI20231116BHJP
   H04B 7/06 20060101ALI20231116BHJP
   H04B 7/08 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
H04B7/0456
H01Q3/26 Z
H04B7/06 950
H04B7/08 800
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027390
(22)【出願日】2023-02-24
(31)【優先権主張番号】202210524257.1
(32)【優先日】2022-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】596039187
【氏名又は名称】台達電子工業股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】DELTA ELECTRONICS,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ツァイ-シャン ワン
【テーマコード(参考)】
5J021
【Fターム(参考)】
5J021AA06
5J021DB02
5J021DB03
5J021HA01
5J021HA05
(57)【要約】
【課題】アンテナ装置を提供する。
【解決手段】アレイアンテナと、アレイアンテナに接続され、アレイアンテナがビームフォーミングを行うように制御するために用いられるビームフォーミング回路と、ビームフォーミング回路に接続されるプロセッサと、を備え、ビームフォーミング回路は複数のビームインデックスを保存する先入れ先出し一時記憶域を有するレジスタ回路を含み、プロセッサは、第1の通信インタフェースを介して、ビームフォーミング回路が先入れ先出し方法により、アレイアンテナのビーム方向に対応するビームインデックスを順に読み取り、読み取ったことに基づいて、アレイアンテナのビーム方向を設定するように制御する、アンテナ装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アレイアンテナと、
前記アレイアンテナに接続され、前記アレイアンテナがビームフォーミングを行うように制御するために用いられるビームフォーミング回路と、
前記ビームフォーミング回路に接続されるプロセッサと、
を備え、
前記ビームフォーミング回路は複数のビームインデックスを保存する先入れ先出し一時記憶域を有するレジスタ回路を含み、
前記プロセッサは、第1の通信インタフェースを介して、前記ビームフォーミング回路が先入れ先出し方法により、前記複数のビームインデックスを順に読み取り、読み取ったビームインデックスに基づいて、前記アレイアンテナのビーム方向を設定するように制御し、前記読み取ったビームインデックスは前記アレイアンテナのビーム方向に対応する、
アンテナ装置。
【請求項2】
前記レジスタ回路は、複数の候補ビーム方向のビームパラメータを含むビームテーブルを保存する請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、更に、
前記第1の通信インタフェースを介して、前記ビームフォーミング回路が前記読み取られたビームインデックスに基づいて、対応する候補ビーム方向のビームパラメータを前記ビームテーブルから選択するように制御すること、及び、
前記対応する候補ビーム方向のビームパラメータに基づいて前記アレイアンテナのビーム方向を設定すること、に用いられる請求項2に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、更に、初期化段階で、第2の通信インタフェースを介して前記ビームテーブルを前記レジスタ回路に保存するために用いられる請求項2に記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記第1の通信インタフェースは汎用入出力ポートであり、前記第2の通信インタフェースはシリアル・ペリフェラル・インタフェースである請求項4に記載のアンテナ装置。
【請求項6】
前記ビームフォーミング回路は、ビーム選択モジュール及びビーム応用モジュールを含み、
前記プロセッサは、更に、
前記汎用入出力ポートを介して、前記ビーム選択モジュールが先入れ先出し方法により前記先入れ先出し一時記憶域における前記複数のビームインデックスを読み取り、前記読み取られたビームインデックスを前記ビーム応用モジュールに伝送するように制御すること、及び、
前記ビーム応用モジュールが前記読み取られたビームインデックスに基づいて前記アレイアンテナがビームフォーミングを行うように制御すること、に用いられる請求項5に記載のアンテナ装置。
【請求項7】
複数のビームインデックスを保存する先入れ先出し一時記憶域を有するレジスタ回路を含むビームフォーミング回路により、アレイアンテナがビームフォーミングを行うように制御するステップと、
第1の通信インタフェースを介して、前記ビームフォーミング回路が先入れ先出し方法により前記複数のビームインデックスを順に読み取るように制御するステップと、
サイクリックプレフィックス時間以下にするビーム切り替え時間を前記サイクリックプレフィックス時間内に設定して、前記ビーム切り替え時間内に、読み取られたビームインデックスに基づいて前記アレイアンテナのビーム方向を設定するステップ、と、
を含むビーム制御方法。
【請求項8】
前記レジスタ回路は、複数の候補ビーム方向のビームパラメータを含むビームテーブルを保存する請求項7に記載のビーム制御方法。
【請求項9】
前記第1の通信インタフェースを介して、前記ビームフォーミング回路が前記読み取られたビームインデックスに基づいて対応する候補ビーム方向のビームパラメータを前記ビームテーブルから選択するように制御するステップと、
前記対応する候補ビーム方向のビームパラメータに基づいて前記アレイアンテナのビーム方向を設定するステップと、
を更に含む請求項8に記載のビーム制御方法。
【請求項10】
初期化段階で、第2の通信インタフェースを介して前記ビームテーブルを前記レジスタ回路に保存するステップを更に含む請求項8に記載のビーム制御方法。
【請求項11】
前記第1の通信インタフェースは汎用入出力ポートであり、前記第2の通信インタフェースはシリアル・ペリフェラル・インタフェースである請求項10に記載のビーム制御方法。
【請求項12】
前記ビームフォーミング回路は、ビーム選択モジュール及びビーム応用モジュールを含み、
前記ビーム制御方法は、
前記汎用入出力ポートを介して、前記ビーム選択モジュールが先入れ先出し方法により前記先入れ先出し一時記憶域における前記複数のビームインデックスを読み取り、前記読み取られたビームインデックスを前記ビーム応用モジュールに伝送するように制御するステップと、
前記ビーム応用モジュールが前記読み取られたビームインデックスに基づいて前記アレイアンテナがビームフォーミングを行うように制御するステップと、を更に含む請求項11に記載のビーム制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第5世代ニューラジオ(5G new radio;5G NR)技術に関し、特に、アンテナ装置及びビーム制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
第5世代ニューラジオ(5G new radio;5G NR)のミリ波(mmWave)アレイアンテナ(antenna array)では、アレイアンテナにおいてビームフォーミングの方法を採用して各種の信号を伝送する場合が多い。しかしながら、アレイアンテナがそのビーム方向を変更する度に、プロセッサは、アレイアンテナのビーム方向を設定するように、ビームに関する大量のデータをビームフォーミングチップに伝送する必要がある場合が多い。更に、従来技術では、まずシリアル・ペリフェラル・インタフェース(Serial Peripheral Interface;SPI)によってビームテーブルをビームフォーミングチップに保存し、且つシリアル・ペリフェラル・インタフェースにより汎用入出力ポート(General-purpose Input/Output;GPIO)によるビームテーブルに対応するビームの切り替え制御を設定する必要がある場合が多い。続いて、シリアル・ペリフェラル・インタフェース(SPI)により完全なビームインデックスをビームフォーミングチップに伝送し、且つ汎用入出力ポート(GPIO)によりビームフォーミングチップがビームを切り替えるように制御する必要がある。従って、多くの場合に大量の時間がかかってこそアレイアンテナのビーム方向の設定ステップを達成することができる。これに鑑みて、如何にアレイアンテナのビーム方向を設定するために必要な時間を減少するかは、当業者が早急に解決すべき問題となっている。
【発明の概要】
【0003】
本開示の一態様は、アレイアンテナと、アレイアンテナに接続され、アレイアンテナがビームフォーミングを行うように制御するために用いられるビームフォーミング回路と、ビームフォーミング回路に接続されるプロセッサと、を備え、ビームフォーミング回路は複数のビームインデックスを保存する先入れ先出し一時記憶域を有するレジスタ回路を含み、プロセッサは、第1の通信インタフェースを介して、ビームフォーミング回路が先入れ先出し方法により、複数のビームインデックスを順に読み取り、読み取ったビームインデックスに基づいて、アレイアンテナのビーム方向を設定するように制御し、読み取ったビームインデックスはアレイアンテナのビーム方向に対応する、アンテナ装置を開示する。
【0004】
本開示の別の態様は、複数のビームインデックスを保存する先入れ先出し一時記憶域を有するレジスタ回路を含むビームフォーミング回路により、アレイアンテナがビームフォーミングを行うように制御するステップと、第1の通信インタフェースを介して、ビームフォーミング回路が先入れ先出し方法により複数のビームインデックスを順に読み取るように制御するステップと、サイクリックプレフィックス時間以下にするビーム切り替え時間をサイクリックプレフィックス時間内に設定して、ビーム切り替え時間内に、読み取られたビームインデックスに基づいてアレイアンテナのビーム方向を設定するステップ、と、を含むビーム制御方法を開示する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】本開示のアンテナ装置の模式図である。
図2A】本開示の幾つかの実施例による初期化段階にあるアンテナ装置の模式図である。
図2B】本開示の幾つかの実施例によるビームフォーミング段階にあるアンテナ装置の模式図である。
図3】本開示のビーム制御方法のフローチャートである。
図4】従来技術におけるビーム切り替え時間の模式図である。
図5】従来技術におけるビーム方向の切り替えの模式図である。
図6】本開示の幾つかの実施例によるビーム切り替え時間の模式図である。
図7】本開示の幾つかの実施例によるアンテナ装置がビーム方向を切り替える模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
図1を参照されたい。図1は、本開示のアンテナ装置100の模式図である。本実施例において、アンテナ装置100は、プロセッサ110と、ビームフォーミング回路120と、アレイアンテナ130と、を備える。プロセッサ110はビームフォーミング回路120に接続され、ビームフォーミング回路120はアレイアンテナ130に接続される。
【0007】
幾つかの実施例において、プロセッサ110は、処理回路、中央処理ユニット又はコンピューティングユニットにより実現されてよい。幾つかの実施例において、ビームフォーミング回路120は、一般的に使用されているアナログ型ビームフォーミング集積回路(Integrated Circuit;IC)により実現されてよい。幾つかの実施例において、アレイアンテナ130は、任意のタイプのアンテナ(例えば、パッチアンテナ又は逆F型アンテナなど)であり得る複数のアンテナユニットを含んでよい。
【0008】
幾つかの実施例において、プロセッサ110は、第1の通信インタフェースIF1及び第2の通信インタフェースIF2を介してビームフォーミング回路120を制御してよい。幾つかの実施例において、第1の通信インタフェースIF1は汎用入出力(General-purpose Input/ Output;GPIO)ポートであってよく、第2の通信インタフェースIF2はシリアル・ペリフェラル・インタフェース(Serial Peripheral Interface;SPI)であってよい。
【0009】
本実施例において、ビームフォーミング回路120は、アレイアンテナ130がビームフォーミング(Beamforming)を行うように制御するために用いられる。また、ビームフォーミング回路はレジスタ回路121を含む。
【0010】
幾つかの実施例において、レジスタ回路121はレジスタ(Register)であってよい。幾つかの実施例において、初期化段階(Initial Phase)(即ち、システム初期化)で、プロセッサ110は、第2の通信インタフェースIF2を介してビームテーブル(Beam Table)BTをレジスタ回路121に保存してよい。幾つかの実施例において、ビームテーブルBTは、複数の候補ビーム方向のビームパラメータ及びこれらの候補ビーム方向に対応する候補ビームインデックスを含んでよい。
【0011】
幾つかの実施例において、候補ビーム方向のビームパラメータは、予めシミュレーションにより決定された1つ又は複数のビームが指向する候補ビーム方向に対応する各アンテナユニットの位相制御(Phase Control)ビット列及び振幅制御(Amplitude Control)ビット列(例えば、全て3列のビットからなる)であってよく、各アンテナユニットの位相制御ビット列は、アレイアンテナ130のビーム方向を調整するように各アンテナユニットの位相を制御するために利用可能であり、各アンテナユニットの振幅制御ビット列は、アレイアンテナ130のビーム幅を調整するように各アンテナユニットの振幅を制御するために利用可能である。
【0012】
本実施例において、レジスタ回路121は、複数のビームインデックスを保存する先入れ先出し一時記憶域(First-in First-out Region)FIFORを含む。換言すれば、初期化段階では、予めこれらのビームインデックスをこの先入れ先出し一時記憶域FIFORに順に保存している。
【0013】
また、プロセッサ110は、第1の通信インタフェースIF1を介して、ビームフォーミング回路120が先入れ先出し方法(即ち、先に保存されたデータが先に読み取られる必要がある)により複数のビームインデックスを順に読み取り、且つ読み取られたビームインデックスに基づいてアレイアンテナ130のビーム方向を設定するように制御するために用いられ、読み取られたビームインはデックスアレイアンテナ130のビーム方向に対応する。
【0014】
幾つかの実施例において、プロセッサ110は、第1の通信インタフェースIF1を介して、ビームフォーミング回路120が読み取られたビームインデックスに基づいてビームテーブルBTから対応する候補ビーム方向のビームパラメータを選択するように制御することができ、換言すれば、ビームテーブルBTからこのビームパラメータと同じ候補ビームインデックスを検索するとともに、この候補ビームインデックスに対応する候補ビーム方向のビームパラメータを選択することができる。続いて、プロセッサ110は、対応する候補ビーム方向のビームパラメータに基づいてアレイアンテナ130のビーム方向を設定することができる。以下、表1に示される先入れ先出し一時記憶域FIFOR及び表2に示されるビームテーブルBTの実例をもって説明する。
【表1】
【表2】
【0015】
表1から分かるように、プロセッサ110は、第1の通信インタフェースIF1を介して、ビームフォーミング回路120が先入れ先出し方法によりこれらのビームインデックス0~3を順に読み取るように制御する。続いて、表2から分かるように、プロセッサ110は、読み取られたビームインデックスに基づいて上記ビームテーブルBTから対応する候補ビーム方向のビームパラメータを選択し、対応する候補ビーム方向のビームパラメータは1組の位相制御ビット列と1組の振幅制御ビット列(例えば、第1の位相制御ビット群と第1の振幅制御ビット群)を含んでよい。それにより、ビームフォーミング回路120は、対応するビーム(A~D)のビームパラメータに基づいてアレイアンテナ130のビーム(A~D)の方向を設定することができる。例えば、ビームフォーミング回路120により読み取られたビームインデックスが0である場合、ビームフォーミング回路120は、第1の位相制御ビット群に基づいてアレイアンテナ130における各アンテナユニットの位相を調整することで位相制御(Phase Control)を行うことができ、且つ第1の振幅制御ビット群に基づいてアレイアンテナ130における各アンテナユニットの振幅を調整することでゲイン制御(Gain Control)を行い、更にアレイアンテナ130のビームAの方向を-16度に設定することができる。換言すれば、プロセッサ110は、第1の通信インタフェースIF1を介してビームインデックス0~3に基づいてビームAからビームDまで順に切り替える(Toggle)。
【0016】
注意すべきなこととして、第1の通信インタフェースIF1が汎用入出力ポートである場合、プロセッサ110は、少量のデータを有する切り替え信号(例えば、3つの汎用入出力クロック信号)をビームフォーミング回路120に伝送すると、ビームフォーミング回路120は、先入れ先出しの方式で先入れ先出し一時記憶域FIFORにおける複数のビームインデックスを順に読み取り、且つ読み取られたビームインデックスに基づいてアレイアンテナ130のビーム(A~D)の方向を設定する。このようにして、アレイアンテナ130のビーム(A~D)の方向を切り替えるために必要な時間が大幅に減少される。
【0017】
図2A図2Bを併せて参照されたい。図2Aは、本開示の幾つかの実施例による初期化段階にあるアンテナ装置200の模式図であり、図2Bは、本開示の幾つかの実施例によるビームフォーミング段階にあるアンテナ装置200の模式図である。図2A図2Bに示すように、アンテナ装置200は、プロセッサ110と、ビームフォーミング回路120と、アレイアンテナ130と、を備える。プロセッサ110はビームフォーミング回路120に接続され、ビームフォーミング回路120はアレイアンテナ130に接続される。ビームフォーミング回路120は先入れ先出し一時記憶域FIFORを含む。
【0018】
また、プロセッサ110は、アレイアンテナ130がビームフォーミングを行うように、複数のSPI伝達ピンを含むシリアル・ペリフェラル・インタフェースSPI及び複数のGPIOピンを含む汎用入出力ポートGPIOを介してビームフォーミング回路120を制御する。
【0019】
幾つかの実施例において、プロセッサ110は初期化モジュール111を含み、図2Aに示すように、初期化段階で、初期化モジュール111は、シリアル・ペリフェラル・インタフェースSPIを介してビームテーブルBTをレジスタ回路121に保存し、且つ汎用入出力ポートGPIOを介してレジスタ回路121におけるビームテーブルBTに対応するビームに対する汎用入出力ポートGPIOの切り替え制御を設定する。
【0020】
幾つかの実施例において、ビームフォーミング回路120はビーム選択モジュール122とビーム応用モジュール123を更に含んでよい。幾つかの実施例において、プロセッサ110はスケジューリングモジュール112を更に含む。幾つかの実施例において、図2Bに示すように、ビームフォーミング段階で、スケジューリングモジュール112は、アレイアンテナ130が生じたビームを切り替えるように、汎用入出力ポートGPIOのみを介して先入れ先出し一時記憶域FIFORに保存されているビームインデックスを切り替えることができる。幾つかの実施例において、ビームフォーミング段階で、スケジューリングモジュール112は、汎用入出力ポートGPIOを介して切り替え信号TS(1)~TS(N)(Nは任意の正の整数である)を先入れ先出し一時記憶域FIFORに順に伝送してよい。幾つかの実施例において、ビームフォーミング段階で、スケジューリングモジュール112が汎用入出力ポートGPIOを介して切り替え信号TS(1)~TS(N)のうちの1つを先入れ先出し一時記憶域FIFORに伝送する度に、先入れ先出し一時記憶域FIFORは読み取り可能な状態であり、更にビーム選択モジュール122が先入れ先出し方法により先入れ先出し一時記憶域FIFORにおける1つのビームインデックスを読み取るようにする。読み取りが完了した後、幾つかのセキュリティメカニズムの考慮に基づいて、先入れ先出し一時記憶域FIFORを読み取り不可能の状態に切り替えてもよい。
【0021】
詳しくは、スケジューリングモジュール112が汎用入出力ポートGPIOを介して1番目の切り替え信号TS(1)を先入れ先出し一時記憶域FIFORに伝送する時、先入れ先出し一時記憶域FIFORは読み取り可能な状態に切り替えられてよく、更にビーム選択モジュール122が先入れ先出し一時記憶域FIFORにおける最も先に保存されたビームインデックスを読み取るようにする。このように類推し、その後に順に伝送される切り替え信号TS(2)~TS(N)に応答して、ビーム選択モジュール122は先入れ先出し方法により先入れ先出し一時記憶域FIFORにおける他のビームインデックスを順に読み取る。
【0022】
幾つかの実施例において、ビームフォーミング段階で、ビーム選択モジュール122は、読み取られたビームインデックスに基づいてビームテーブルBTから対応する候補ビーム方向のビームパラメータを選択し、候補ビーム方向のビームパラメータをビーム応用モジュール123に伝送することができる。続いて、ビーム応用モジュール123は、対応する候補ビーム方向のビームパラメータに基づいてアレイアンテナ130がビームフォーミングを行うように制御する。
【0023】
注意すべきこととして、上記初期化モジュール111及びスケジューリングモジュール112は、ハードウェア回路の形でプロセッサ110内に設けられてもよく、ソフトウェアプログラムの形でプロセッサ110のレジスタ(図示せず)に保存されてもよく、更に外部の保存装置(図示せず)に保存されている、プロセッサ110により読み取られて実行されるソフトウェアプログラムであってもよい。
【0024】
図3を合わせて参照されたい。図3は、本開示のビーム制御方法のフローチャートである。図1に示されるアンテナ装置100は、図3におけるビーム制御方法の全てのステップを実行するために利用可能である。
【0025】
まず、ステップS210において、ビームフォーミング回路120により、アレイアンテナ130がビームフォーミングを行うように制御する。
【0026】
また、ステップS220において、第1の通信インタフェースIF1を介して、ビームフォーミング回路120が先入れ先出し方法により複数のビームインデックスを順に読み取るように制御する。
【0027】
ステップS230において、ビーム切り替え時間内に、読み取られたビームインデックスに基づいてアレイアンテナ130のビーム方向を設定し、前記ビーム切り替え時間をサイクリックプレフィックス時間以下にすることにより、サイクリックプレフィックス時間内に設定する。
【0028】
更に、本発明のアンテナ装置及びビーム制御方法を使用することによって、ビーム切り替え時間(即ち、アレイアンテナ130のビーム方向を切り替えるために必要な時間)をサイクリックプレフィックス(Cyclic Prefix;CP)時間以下に設定することができ、それによってビーム切り替え時間をサイクリックプレフィックス時間内に設定することができ、サイクリックプレフィックス時間は、同期信号バースト(Synchronization Signal Burst;SSB)におけるタイムスロット(Time Slot;SL)内の複数のシンボル(Symbol;SMB)の間に設定される。それにより、ビーム切り替え時間内に、第1の通信インタフェースIF1を介して複数のビームインデックスに基づいてこれらのビームインデックスに対応する複数のビーム方向の間で順に切り替えることができ、従来の技術的解決手段ではビーム切り替え時間をタイムスロット内に設定して上記ビーム切り替えを行うことによって引き起こされる問題が解決される。
【0029】
以下、実際の例をもって従来技術及び上記ビーム切り替え時間とサイクリックプレフィックス時間の間の関係を更に説明する。図4を併せて参照されたい。図4は、従来技術におけるビーム切り替え時間BSTの模式図である。図4に示すように、同期信号バーストSSBの2つのタイムスロットSLを例とし、各タイムスロットSLのいずれにも14個のシンボルSMBがある。サブキャリア間隔(subcarrier spacing;SCS)を120kHzとすれば、タイムスロットSLの時間は125マイクロ秒となり、シンボルSMBの時間は8.93ミリ秒となる。
【0030】
従来技術において、上記先入れ先出し一時記憶域FIFORが存在しないため、シリアル・ペリフェラル・インタフェースを介して所定のビームに対応するビームインデックスをビームフォーミング回路に伝送し、更に汎用入出力ポートを介して切り替え信号をビームフォーミング回路に伝送することで、ビームフォーミング回路が予め保存されたビームテーブルからこのビームインデックスに対応する候補ビーム方向のビームパラメータを選択するしかできない。それにより、ビームフォーミング回路は、アレイアンテナがこのビームパラメータに基づいてビームフォーミングを行うように制御することができる。
【0031】
これから分かるように、ビームの切り替えには、シリアル・ペリフェラル・インタフェースを介して所定のビームに対応するビームインデックスを伝送する時間及び汎用入出力ポートを介して切り替え信号を伝送する時間が消費される。1つのクロックの時間を0.05マイクロ秒とすれば、シリアル・ペリフェラル・インタフェースを介して所定のビームに対応するビームインデックスを伝送する時間として、72個のクロックが必要とされ、汎用入出力ポートを介して切り替え信号を伝送する時間として、3つのクロックが必要とされ、この場合、ビーム切り替え時間BSTは3.75マイクロ秒となる。
【0032】
更に、サイクリックプレフィックス時間CPを0.57マイクロ秒とすれば、この時に長いビーム切り替え時間BSTを必要とするため、このようなビーム切り替え時間BSTはサイクリックプレフィックス時間CP内に差し込むことができない。従って、ビームフォーミング回路120は、4番目のシンボルの時間内にビームA(即ち、4番目のシンボルの時間内にビーム切り替え時間BSTを差し込む)に切り替え、5番目~12番目のシンボルSMB内にビームAを利用してデータを伝送又は受信し、且つ16番目のシンボルの時間内にビームB(即ち、16番目のシンボルの時間内にビーム切り替え時間BSTを差し込む)に切り替え、17番目~24番目のシンボルSMB内にビームBを利用してデータを伝送又は受信するしかできない。換言すれば、従来技術において、ビームフォーミング回路120は、ビームを切り替える必要がある時にシンボルSMBにビーム切り替え時間BSTを差し込むしかできない。それによって、2つのタイムスロットSL内に2つのビームを順に切り替えるしかできない。
【0033】
図5を併せて参照されたい。従来技術におけるビーム方向の切り替えの模式図である。図5に示すように、図4におけるシンボルSMB内にビーム切り替え時間BSTを差し込む方法では、従来技術のアンテナ装置ANTは、2つのタイムスロットSL内にビームA~ビームBを順に生成してそれぞれユーザ装置UE1~UE2と通信するしかできない。
【0034】
図6を併せて参照されたい。図6は、本開示の幾つかの実施例によるビーム切り替え時間BSTの模式図である。図6に示すように、同期信号バーストSSBの2つのタイムスロットSLを例とし、各タイムスロットSLのいずれにも14個のシンボルSMBがある。サブキャリア間隔を120kHzとすれば、タイムスロットSLの時間は125マイクロ秒となり、シンボルSMBの時間は8.93ミリ秒となる。
【0035】
この実施例において、プロセッサ110は、汎用入出力ポートGPIOを介して切り替え信号を先入れ先出し一時記憶域FIFORに伝送することで、ビーム選択モジュール122が先入れ先出し一時記憶域FIFORにおける最も先に保存されたビームインデックスを読み取り、且つビームテーブルBTからこのビームインデックスに対応する候補ビーム方向のビームパラメータを選択することができる。このように類推し、その後に伝送される切り替え信号に応答して、ビーム選択モジュール122は先入れ先出し方法により先入れ先出し一時記憶域FIFORにおける他のビームインデックスを順に読み取る。
【0036】
それにより、ビーム選択モジュール122は、ビームテーブルBTから読み取られたビームインデックスに対応する候補ビーム方向のビームパラメータを選択することができ、且つこのビームパラメータをビーム応用モジュール123に伝送し、アレイアンテナ130がこのビームパラメータに基づいてビームフォーミングを行うように制御することができる。
【0037】
これから分かるように、ビームの切り替えには、汎用入出力ポートGPIOを介して切り替え信号を伝送する時間のみが消費される。1つのクロックの時間を0.05マイクロ秒とし、汎用入出力ポートGPIOを介して切り替え信号を伝送する時間として、3つのクロックが必要とされる場合、ビーム切り替え時間BSTは0.15マイクロ秒となる。
【0038】
更に、サイクリックプレフィックス時間CPを0.57マイクロ秒とすれば、この時に短いビーム切り替え時間BST(即ち、0.15秒)だけで、ビームフォーミング回路120は、5番目のサイクリックプレフィックス時間CP内にビームAに切り替え、5番目~8番目のシンボルSMB内にビームAを利用してデータを伝送又は受信し、且つ9番目のサイクリックプレフィックス時間CP内にビームBに切り替え、9番目~12番目のシンボルSMB内にビームBを利用してデータを伝送又は受信することができる。このように類推し、同じ方法によりビームBからビームCに切り替え、最後にビームCからビームDに切り替えることができる。
【0039】
換言すれば、上記方法により、ビームフォーミング回路120は、ビームを切り替える必要がある時にサイクリックプレフィックス時間CP内にビーム切り替え時間BSTを差し込むことができる。それにより、同様に、2つのタイムスロットSL内に、本開示のアンテナ装置100はビームAからビームDまで順に切り替えることができる。逆に、上記図4の従来技術では、2つのタイムスロットSL内に2つのビームを順に切り替えるしかできない。
【0040】
図7を併せて参照されたい。図7は、本開示の幾つかの実施例によるアンテナ装置100がビーム方向を切り替える模式図である。図7に示すように、図6におけるサイクリックプレフィックス時間CP内にビーム切り替え時間BSTを差し込む方法では、アンテナ装置100は、ビームA~ビームDを順に生成してそれぞれユーザ装置UE1~UE4と通信することができる。新たなビームを生成する度に3つの汎用入出力クロックの時間がかかるだけでよく、これによってアレイアンテナ130のビーム方向を設定するために必要な時間が大幅に減少される。
【0041】
以上を纏めると、本開示は、ビームフォーミング回路におけるレジスタ回路に、アレイアンテナが生成してくるビームの方向の全てのビームインデックスを予め保存するための先入れ先出し一時記憶域を設定することができる。それにより、汎用入出力ポートを利用するだけでアレイアンテナのビームを迅速に切り替えることができる。更に、サイクリックプレフィックス時間内のビーム切り替え時間内にアレイアンテナのビームを切り替えることができ、アレイアンテナのビーム方向を設定するために必要な時間が大幅に減少される。
【0042】
関連する上記実施例は、本開示の所定の実施例によって開示されたが、これらの実施例は本開示を制限しようとするものではない。各種の代替と改良は、本開示の原理と精神から逸脱することなく、当業者によって本開示において実行されることがきる。従って、本開示の保護範囲は、添付される特許請求の範囲によって決定されるものとする。
【符号の説明】
【0043】
100、200、ANT アンテナ装置
110 プロセッサ
111 初期化モジュール
112 スケジューリングモジュール
120 ビームフォーミング回路
121 レジスタ回路
122 ビーム選択モジュール
123 ビーム応用モジュール
130 アレイアンテナ
IF1 第1の通信インタフェース
IF2 第2の通信インタフェース
BT ビームテーブル
SPI シリアル・ペリフェラル・インタフェース
GPIO 汎用入出力ポート
FIFOR 先入れ先出し一時記憶域
TS(1)~TS(N) 切り替え信号
S210~S230 ステップ
SSB 同期信号バースト
SL タイムスロット
SMB シンボル
CP サイクリックプレフィックス時間
A~D ビーム
BST ビーム切り替え時間
UE1~UE4 ユーザ装置
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7