(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023168229
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】打ち込み工具
(51)【国際特許分類】
B25C 1/06 20060101AFI20231116BHJP
B25C 1/04 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
B25C1/06
B25C1/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043044
(22)【出願日】2023-03-17
(31)【優先権主張番号】P 2022079286
(32)【優先日】2022-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長尾 雅也
(72)【発明者】
【氏名】馬場 徳和
(72)【発明者】
【氏名】栗木 駿
(72)【発明者】
【氏名】福田 一作
【テーマコード(参考)】
3C068
【Fターム(参考)】
3C068AA01
3C068BB01
3C068CC07
3C068GG03
(57)【要約】
【課題】ガス圧でドライバを前進させて打ち込み具を打ち込み、リフト機構によりドライバを上方の待機位置に戻すガスバネ式の打ち込み工具において、リフト機構のホイールがドライバに噛み合う際にホイールを回転させる遊星ギア装置に間接的にガス圧が付加される。本開示では、遊星ギア装置のコンパクト性を確保しつつギアハウジングの耐久性が高められるようにする。
【解決手段】アルミダイキャスト製の第2ハウジング47と第3段遊星ギア列43のインターナルギア43dとの間に弾性体50を介在させる。リフト機構20を経て第3段遊星ギア列43に付加される回転方向の力を弾性体50で受けて緩衝することで第2ハウジング47の耐久性を高める。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
打ち込み工具であって、
ガス圧によって打ち込み方向へ前進するピストンと、
前記ピストンと一体であり前進して打ち込み具を打撃するドライバと、
前記ドライバに係合して前記ドライバを後退させるホイールと、
正転することで前記ホイールを回転させて前記ドライバを後退させる電動モータと、
前記電動モータの出力を減速して前記ホイールに出力する遊星ギア装置と、
前記遊星ギア装置を収容するギアハウジングと、
前記遊星ギア装置のインターナルギアと前記ギアハウジングとの間に設けられて、前記電動モータの前記正転時において前記インターナルギアから力を受ける弾性体を有する打ち込み工具。
【請求項2】
請求項1記載の打ち込み工具であって、
前記遊星ギア装置は、直列に配置された複数の遊星ギア列を備え、
前記弾性体は、最終段の前記遊星ギア列の前記インターナルギアと前記ギアハウジングとの間に介在されている打ち込み工具。
【請求項3】
請求項1又は2記載の打ち込み工具であって、
前記インターナルギアは、径方向外方に突き出す複数の外周凸部を有し、
前記ギアハウジングは、内周面から前記インターナルギアに向けて突き出す複数の内周凸部を有し、
前記外周凸部と前記内周凸部の間のそれぞれに前記弾性体が介在されて、前記ドライバの後退時に前記外周凸部を経て付加される回転方向の力を前記弾性体で受ける打ち込み工具。
【請求項4】
請求項3記載の打ち込み工具であって、
前記外周凸部は、前記弾性体に接触する弾性体受け面を有し、前記弾性体受け面は、前記インターナルギアの外周面の接線に対して直交して延在する打ち込み工具。
【請求項5】
請求項1~4の何れか1つに記載の打ち込み工具であって、
前記弾性体はゴム部材であり、
前記弾性体の表面に溝部が延設されている打ち込み工具。
【請求項6】
請求項5に記載の打ち込み工具であって、
前記弾性体は、6面体であり、
前記溝部として、前記インターナルギアの中心軸方向に沿う溝と、前記中心軸方向に直交する溝を有する打ち込み工具。
【請求項7】
請求項2記載の打ち込み工具であって、
前記ギアハウジングは、前記インターナルギアの中心軸に沿って相互に結合された樹脂製の第1ハウジングと金属製の第2ハウジングを有し、
前記第2ハウジングに前記最終段の前記遊星ギア列の前記インターナルギアが収容される打ち込み工具。
【請求項8】
請求項7に記載の打ち込み工具であって、
前記第2ハウジングは前記第1ハウジングの内周側に挿入する結合用のボス部を有し、
前記ボス部と同周上に前記弾性体が配置される打ち込み工具。
【請求項9】
請求項1~8の何れか1つに記載の打ち込み工具であって、
前記ドライバは、前記インターナルギアの中心軸と平行な線に対して直交する方向に往復動し、
前記弾性体は、前記インターナルギアの前記中心軸に対して、前記ドライバとは反対側の領域に配置される打ち込み工具。
【請求項10】
請求項1~9の何れか1つに記載の打ち込み工具であって、
前記インターナルギアと前記弾性体を覆って、前記インターナルギアと前記弾性体が前記インターナルギアの中心軸方向に変位することを規制するワッシャを有している打ち込み工具。
【請求項11】
請求項1~10の何れか1つに記載の打ち込み工具であって、
前記遊星ギア装置は、動力伝達経路に沿って直列に配置された複数の遊星ギア列を備え、
前記遊星ギア列は、太陽ギアと、前記太陽ギアに噛み合わされた複数の遊星ギアと、前記複数の遊星ギアをそれぞれ回転可能に保持するキャリアを有し、
前記動力伝達経路について最終段を除いた上流側の前記遊星ギア列の前記キャリアに前記動力伝達経路の下流側の前記遊星ギア列の前記太陽ギヤが設けられ、
前記上流側の前記遊星ギア列の前記キャリアと、前記下流側の前記遊星ギア列の前記太陽ギアは、別部材で相対移動可能に連結される打ち込み工具。
【請求項12】
請求項11に記載の打ち込み工具であって、
前記別部材の前記太陽ギアと前記キャリアは、スプライン結合された打ち込み工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、釘やステープル等の打ち込み具を木材等に打ち込むための打ち込み工具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、圧縮ガスの推力を打撃力として利用するガスバネ式の打ち込み工具が開示されている。ガスバネ式の打ち込み工具は、シリンダ内を上下動するピストンと、ピストンに結合されて一体で下動して打ち込み具を打撃するドライバを有する。ピストンとドライバは蓄圧室のガス圧で打ち込み方向に下動する。
【0003】
ピストンとドライバは、打ち込みノーズ部の側部に配置したリフト機構により反打ち込み方向に戻される。リフト機構は、ドライバに係合されるホイールを有する。ホイールは、打ち込みノーズ部に一体に設けたホイールハウジングに収容される。ホイールは電動モータにより回転する。電動モータの回転出力は遊星ギア装置を介してホイールに伝達される。遊星ギア装置を収容するギアハウジングがホイールハウジングに結合される。電動モータによりホイールが回転することでドライバが反打ち込み方向に戻される。この際にドライバには蓄圧室のガス圧が付加される。特許文献1には、ドライバ戻し時に遊星ギア装置を経てギアハウジングに付加される力(ガス圧の間接作用)に対するギアハウジングの耐久性を高めるための結合構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の結合構造では、ホイールハウジングの結合部とギアハウジングの結合部にモータ軸線回りの噛み合わせ部を設け、噛み合わせ部に弾性体を介在させる構成であることから、遊星ギア装置のモータ軸線方向のコンパクト化が困難になる。本開示では、遊星ギア装置のコンパクト性を確保しつつギアハウジングの耐久性が高められるようにする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の1つの局面によれば、打ち込み工具は、例えばガス圧によって打ち込み方向へ前進するピストンと、ピストンと一体であり前進して打ち込み具を打撃するドライバを有する。打ち込み工具は、例えばドライバに係合してドライバを後退させるホイールと、正転することでホイールを回転させて前記ドライバを後退させる電動モータを有する。打ち込み工具は、例えば電動モータの出力を減速してホイールに出力する遊星ギア装置と、遊星ギア装置を収容するギアハウジングを有する。打ち込み工具は、例えば遊星ギア装置のインターナルギアとギアハウジングとの間に設けられて、電動モータの正転時においてインターナルギアから力を受ける弾性体を有する。
【0007】
従って、電動モータの正転によりなされるドライバの反打ち込み方向への後退時に、インターナルギアに付加される力が弾性体により受けられる。これによりドライバの後退時にインターナルギアから受ける力に対するギアハウジングの耐久性が高められる。弾性体は遊星ギア装置のインターナルギアとギアハウジングとの間に設けられていることから、遊星ギア装置の中心軸線方向(モータ軸線方向)の大形化が回避される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施例の打ち込み工具の全体右側面図である。
【
図2】
図1中II-II線断面矢視図であって、工具本体の縦断面図である。
【
図3】
図1中III-III線断面矢視図であって、リフト機構の横断面図である。
【
図4】
図1中IV-IV線断面矢視図であって、遊星ギア装置の横断面図である。
【
図5】
図3中V部拡大図であって、リフト機構と遊星ギア装置の拡大図である。
【
図6】
図4中VI部拡大図であって、遊星ギア装置の拡大図である。本図は、
図5中VI-VI線断面矢視図に相当する。
【
図8】第2ハウジングに対する第3段遊星ギア列の収容状態を示す斜視図である。
【
図10】第2実施例に係る遊星ギア装置の横断面図である。
【
図11】第2段遊星ギア列のキャリアと第3段遊星ギア列の太陽ギアの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1つ又はそれ以上の実施態様において、例えば遊星ギア装置は、直列に配置された複数の遊星ギア列を備える。弾性体は、例えば最終段の遊星ギア列のインターナルギアとギアハウジングとの間に介在されている。従って、最終段のインターナルギアからギアハウジングに付加される力が弾性体で緩衝されてギアハウジングの耐久性が高められる。
【0010】
1つ又はそれ以上の実施態様において、例えばインターナルギアは、径方向外方に突き出す複数の外周凸部を有する。例えばギアハウジングは、内周面からインターナルギアに向けて突き出す複数の内周凸部を有する。例えば外周凸部と内周凸部の間のそれぞれに弾性体が介在される。例えばドライバの後退時に外周凸部を経て付加される回転方向の力が弾性体で受けられる。従って、インターナルギアの中心軸回りの力が弾性体によって確実に緩衝される。
【0011】
1つ又はそれ以上の実施態様において、例えば外周凸部は、弾性体に接触する弾性体受け面を有する。弾性体受け面は、例えばインターナルギアの外周面の接線に対して直交して延在する。従って、インターナルギアの中心軸回りの力が弾性体に対して効率よく付加される。これにより弾性体による緩衝が効率よくなされる。また、弾性体の径方向への位置ずれが抑制される。
【0012】
1つ又はそれ以上の実施態様において、弾性体は例えばゴム部材である。例えば弾性体の表面に溝部が延設されている。従って、溝部により弾性体が弾性変形し易くなる。これにより弾性体の側方への膨出を抑制しつつ、弾性体の弾性変形により効率のよい緩衝がなされる。
【0013】
1つ又はそれ以上の実施態様において、弾性体は、例えば6面体である。弾性体は、溝部として、例えばインターナルギアの中心軸方向に沿う溝と、中心軸方向に直交する溝を有する。従って、弾性体の表面に、十字形の溝部が設けられる。十字形の溝部により弾性体の側方への膨出が抑制されつつ、弾性体による効率のよい緩衝がなされる。
【0014】
1つ又はそれ以上の実施態様において、例えばギアハウジングは、インターナルギアの中心軸に沿って相互に結合された樹脂製の第1ハウジングと金属製の第2ハウジングを有する。例えば第2ハウジングに最終段の遊星ギア列のインターナルギアが収容される。従って、弾性体により第2ハウジングに対する緩衝がなされる。これにより金属製の第2ハウジングの耐久性が高められる。
【0015】
1つ又はそれ以上の実施態様において、例えば第2ハウジングは第1ハウジングの内周側に挿入する結合用のボス部を有する。例えばボス部と同周上に弾性体が配置される。これにより第2ハウジングの径方向の大形化を回避しつつ、第2ハウジングとインターナルギアとの間に弾性体が配置される。
【0016】
1つ又はそれ以上の実施態様において、例えばドライバは、インターナルギアの中心軸と平行な線に対して直交する方向に往復動する。弾性体は、例えばインターナルギアの中心軸に対して、ドライバとは反対側の領域に配置される。従って、ドライバ側の領域に弾性体が配置されないことでギアハウジングの薄肉化が可能となる。これにより打ち込みノーズ部のギアハウジングの径方向のコンパクト化を図りつつ、必要領域に弾性体が配置されてギアハウジングの緩衝がなされる。
【0017】
1つ又はそれ以上の実施態様において、例えばインターナルギアと弾性体を覆って、インターナルギアと弾性体がインターナルギアの中心軸方向に変位することを規制するワッシャを有している。従って、ワッシャによりインターナルギアと弾性体のインターナルギアの中心軸方向の変位が規制される。これにより、別途規制部材を追加することなく弾性体のインターナルギアの中心軸方向への変位がインターナルギアと共通のワッシャにより規制される。
【0018】
1つ又はそれ以上の実施態様において、例えば遊星ギア装置は、動力伝達経路に沿って直列に配置された複数の遊星ギア列を備える。遊星ギア列は、太陽ギアと、太陽ギアに噛み合わされた複数の遊星ギアと、複数の遊星ギアをそれぞれ回転可能に保持するキャリアを有する。例えば動力伝達経路について最終段を除いた上流側の遊星ギア列のキャリアに動力伝達経路の下流側の遊星ギア列の太陽ギヤが設けられる。例えば上流側の遊星ギア列のキャリアと、下流側の遊星ギア列の太陽ギアは、別部材で相対移動可能に連結される。従って、キャリアに対して太陽ギアが移動する(適度なクリアランスを有する)ことで太陽ギアに噛み合う複数の遊星ギアに対する当該太陽ギアの調心作用が発揮される。これにより遊星ギア列に対する負荷が低減されて、遊星ギア列の耐久性が高められる。
【0019】
1つ又はそれ以上の実施態様において、例えば別部材の太陽ギアとキャリアはスプライン結合される。従って、遊星ギア列の調心作用を確保しつつ、電動モータの動力がホイールに効率よく伝達される構成とすることができる。
【実施例0020】
次に本開示の実施形態の1つである第1実施例を
図1~9に基づいて説明する。打ち込み工具1の一例として、シリンダ上方の蓄圧室のガス圧を打ち込み具Nを打ち込むための推力として利用するガスバネ式の打ち込み工具を示す。以下の説明では、打ち込み具Nの打ち込み方向を下方向とし、反打ち込み方向を上方向とする。打ち込み工具1の使用者は、
図1において概ね打ち込み工具1の左側に位置する。使用者の手前側を後方向(使用者側)、手前側と反対側の奥側を前方向とする。左右方向については使用者を基準とする。
【0021】
図1~3に示すように打ち込み工具1は、工具本体10を有する。工具本体10は、概ね円筒形の本体ハウジング11にシリンダ12を収容した構成を有する。シリンダ12内にはピストン13が上下に往復動可能に収容される。ピストン13よりも上方のシリンダ12の上部は、蓄圧室14に連通される。蓄圧室14には、例えば空気等の圧縮ガスが封入される。蓄圧室14のガス圧は、ピストン13の上面に下動(打ち込み方向に前進)させる推力として作用する。
【0022】
シリンダ12の下部は、工具本体10の下部に設けられた打ち込みノーズ部2の打ち込み通路2aに連通される。打ち込みノーズ部2は、多数本の打ち込み具Nが装填されたマガジン8と結合される。打ち込み通路2aには、マガジン8内から打ち込み具Nが1本ずつ上下に延出した姿勢で供給される。打ち込みノーズ部2の下部には、上下にスライド可能なコンタクトアーム3が設けられる。コンタクトアーム3は、被打ち込み材Wと当接することにより上動する。
【0023】
ピストン13の下面には、上下に長いドライバ15が結合される。ドライバ15の下部は、打ち込み通路2a内に進入している。ドライバ15は、ピストン13の上面に作用する蓄圧室14のガス圧によって打ち込み通路2a内を下動する。ドライバ15の下端が打ち込み通路2a内に供給された1本の打ち込み具Nを打撃する。打撃された打ち込み具Nは、打ち込みノーズ部2の射出口2bから射出される。射出された打ち込み具Nは被打ち込み材Wに打ち込まれる。シリンダ12の下部には、ピストン13の下動端での衝撃を吸収するための下動端ダンパ17が配置される。
【0024】
ドライバ15の右側部には、複数の被係合部16が設けられる。第1実施例では10個の被係合部16がドライバ15の長手方向(上下方向)に一定の間隔で配置される。各被係合部16は、ラック歯状に形成され、それぞれ右方へ張り出す状態に設けられる。被係合部16は、後述するリフト機構20が具備する係合部25と係合する。
【0025】
図1に示すように工具本体10の後部には、使用者が把持するグリップ4が設けられる。グリップ4の前部下面には、使用者が指先で引いて操作するトリガ5が設けられる。グリップ4の後部にはバッテリ取付部6が設けられる。バッテリ取付部6の後面には、バッテリパック7を取り外し可能に装着できる。バッテリパック7は、バッテリ取付部6から取り外して別途用意した充電器で繰り返し充電して使用できる。バッテリパック7は、他の電動工具の電源として流用することができる。バッテリパック7は、後述する駆動部30に電力を供給する電源として動作する。
【0026】
打ち込みノーズ部2の右側部には、リフト機構20が結合されている。リフト機構20は、打撃後にピストン13とドライバ15を一体で上方へ戻す機能を有する。リフト機構20によりピストン13が上方へ戻されることで、蓄圧室14のガス圧が高められる。
【0027】
リフト機構20の後部には、リフト機構20を動作させるための駆動部30が並設される。リフト機構20と駆動部30は、略円筒状の駆動部ケース11aに収容される。駆動部ケース11aは、本体ハウジング11の下部とバッテリ取付部6の下部を連結する。駆動部ケース11aは、本体ハウジング11と一体に設けられる。本体ハウジング11と駆動部ケース11aは樹脂製で左右半割り構造を有する。
【0028】
図2に示すようにリフト機構20は、後述する遊星ギア装置40に連結された回転軸21と、回転軸21に支持されたホイール22を有する。ホイール22は、略円筒状のホイールケース29に収容されている。ホイールケース29は、シリンダ12の下部を閉塞する下部ケース12aに一体に設けられている。下部ケース12aの内周側に下動端ダンパ17が保持されている。
【0029】
回転軸21の回転軸線は、モータ軸線Jに一致している。回転軸21の前部側は軸受26を介してホイールケース29に回転可能に支持される。回転軸21の後部側は、遊星ギア装置40の最終段のキャリアに連結される。遊星ギア装置40の最終段のキャリアは、外周側に設けられた軸受27を介してホイールケース29に回転可能に支持される。電動モータ31が起動(正転)すると、リフト機構20の回転軸21とホイール22が一体で
図2に示す矢印Rの方向(
図2において反時計回り方向)に回転する。
【0030】
ホイール22の外周縁に沿って複数の係合部25が設けられている。第1実施例では、例えば10個の係合部25が設けられる。各係合部25には、円柱形の軸部材(ピン)が用いられる。10個の係合部25は、周方向の約3/4周の領域に設けられている。残余の1/4周の領域は、係合部25が配置されない逃がし領域とされる。
【0031】
図2に示すようにホイール22の左部は、ホイールケース29内から打ち込み通路2a内に進入している。打ち込み通路2a内においてホイール22の各係合部25がドライバ15の被係合部16に係合される。ホイール22の矢印R方向の回転により、係合部25が順次ドライバ15の被係合部16に係合されることでドライバ15とピストン13が上方へ戻される。
【0032】
図3に示すように駆動部30は、駆動源としての電動モータ31を有する。電動モータ31はモータケース32に収容されている。モータケース32は駆動部ケース11a内に保持されている。電動モータ31は、出力軸33の軸線(モータ軸線J)を打ち込み方向(
図3において紙面直交方向)に直交させた前後方向に沿わせた姿勢で収容される。電動モータ31は、バッテリパック7の電力を電源としてトリガ5の引き操作によって起動(正転)する。
【0033】
電動モータ31の出力軸33は、前後の軸受34,35を介してモータケース32に回転可能に支持される。出力軸33の前部は、モータケース32の前部から突き出されて遊星ギア装置40に接続される。出力軸33の前部には駆動ギア33aが設けられている。
【0034】
遊星ギア装置40は、略円筒状のギアハウジング45に収容される。遊星ギア装置40には3段の遊星ギア列41,42,43が用いられている。3段の遊星ギア列41,42,43は、相互に同軸でありかつモータ軸線Jと同軸に配置されている。電動モータ31の回転出力は、3段の遊星ギア列41,42,43を含む遊星ギア装置40で減速されてリフト機構20に出力される。
【0035】
ギアハウジング45は、モータ軸線J方向に沿って相互に結合された樹脂製の第1ハウジング46と金属製の第2ハウジング47を有する。樹脂製の第1ハウジング46に第1段遊星ギア列41と第2段遊星ギア列42が収容されている。第1ハウジング46の後部46aが、モータケース32の前部に結合されている。
【0036】
金属製の第2ハウジング47に第3段遊星ギア列43が収容されている。第2ハウジング47は、リフト機構20のホイールケース29に一体に設けられている。このため、第1実施例では、下部ケース12aとホイールケース29と第2ハウジング47が相互に一体に設けられている。第1実施例では、下部ケース12aとホイールケース29及び第2ハウジング47は、アルミダイキャスト製の一体部品とされている。
【0037】
図5に示すように第1段遊星ギア列41は、3つの遊星ギア41aと1つのキャリア41bと1つのインターナルギア41cを有する。3つの遊星ギア41aが駆動ギア33aに噛み合わされている。駆動ギア33aが第1段遊星ギア列41の太陽ギアに相当する。インターナルギア41cは第1ハウジング46の内面に沿って固定されている。インターナルギア41cに3つの遊星ギア41aが噛み合わされている。3つの遊星ギア41aは1つのキャリア41bにそれぞれ支軸41dを介して回転可能に支持されている。
【0038】
第1段遊星ギア列41のキャリア41bの前面に、第2段遊星ギア列42の太陽ギア42aが一体に形成されている。図では表れていないが第1段遊星ギア列41と第2段遊星ギア列42との間には、当該遊星ギア装置40の逆転(ホイール22をR方向とは逆方向に回転させる回転動作)を規制するためのワンウエイクラッチ機構が介在されている。
【0039】
太陽ギア42aに3つの遊星ギア42bが噛み合わされている。3つの遊星ギア42bは1つのキャリア42cにそれぞれ支軸42eを介して回転可能に支持されている。3つの遊星ギア42bは1つのインターナルギア42dに噛み合わされている。インターナルギア42dは第1ハウジング46の内面に沿って固定されている。第2段遊星ギア列42のインターナルギア42dと、第1段遊星ギア列41のインターナルギア41cとの間に円環形の介装部材44が挟み込まれている。これによりインターナルギア41c,42dのモータ軸線J方向の変位が規制されている。
【0040】
第2段遊星ギア列42のキャリア42cの前面に、第3段遊星ギア列43の太陽ギア43aが一体に形成されている。最終段の第3段遊星ギア列43は金属製の第2ハウジング47に収容されている。
図6,7に示すように太陽ギア43aに5つの遊星ギア43bが噛み合わされている。5つの遊星ギア43bは1つのキャリア43cにそれぞれ支軸43eを介して回転可能に支持されている。5つの遊星ギア43bは1つのインターナルギア43dの内周側に噛み合わされている。
【0041】
図5に示すように第3段遊星ギア列43のインターナルギア43dと第2段遊星ギア列42のインターナルギア42dとの間に円環形の介装部材49が挟み込まれている。これによりインターナルギア42d,43dのモータ軸線J方向の変位が規制されている。
【0042】
第3段遊星ギア列43のキャリア43cは、軸受27を介して第2ハウジング47の内周に回転可能に支持されている。キャリア43cに例えばスプライン軸部21aを介して回転軸21が結合されている。これによりキャリア43cとホイール22が一体で回転する。従って、電動モータ31の正転によりキャリア43cが
図6中矢印Cで示す方向に回転することで、ホイール22が
図2中矢印R方向に回転してドライバ15が上方へ戻される。
【0043】
図6,7に示すようにインターナルギア43dは、第2ハウジング47の内周面に沿って支持されている。インターナルギア43dの外周には4つの外周凸部43fが外方へ突き出す状態に設けられている。第2ハウジング47の内周面には4つの内周凸部47aが内方へ突き出す状態に設けられている。
【0044】
4つの外周凸部43fと4つの内周凸部47aの間のそれぞれに1つの弾性体50が介在されている。第3段遊星ギア列43のキャリア43cが
図6中矢印C方向に回転することで、インターナルギア43dには矢印Cとは逆方向(矢印L方向)の力Pが付加される。力Pは、4箇所の弾性体50により受けられる。力Pは、ドライバ15に付加されるガス圧がホイール22及び第3段遊星ギア列43を経て間接的に作用する外力に相当する。力Pは、ドライバ15の被係合部16に対するホイール22の係合部25の噛み合い、離脱に合わせて断続的に付加される。
【0045】
各外周凸部43fは、弾性体50に接触する弾性体受け面43gを有する。各弾性体受け面43gは、インターナルギア43dの外周面の接線に対して直交して延在する。これにより弾性体50が力Pにより効率良く弾性変形する。
【0046】
図3,8に示すように第2ハウジング47の後端部には、第1ハウジング46に対する結合用のボス部47bが設けられている。ボス部47bは、第2ハウジング47の後端面に沿って後方へ張り出す円環形に形成されている。ボス部47bが第1ハウジング46の前部内周側に挿入されて、第1ハウジング46と第2ハウジング47が相互に同軸に結合される。
【0047】
図6,8に示すように円環形のボス部47bの4箇所が欠落されて4つの弾性体50が同周上に収容されている。これにより、弾性体50の外周側により大径のボス部を全周に連続して設ける構成に比して第2ハウジング47の径方向のコンパクト化が図られている。4つの弾性体50は、円環形のボス部47bのほぼ半周の領域E1であって、ドライバ15とは反対側の領域E1に配置されている。ドライバ15側の領域E2に弾性体50を配置しないことにより、第2ハウジング47をよりドライバ15に接近させることができる。これにより打ち込みノーズ部2のコンパクト化が図られる。
【0048】
第2ハウジング47のドライバ15側のほぼ半周の領域E2の肉厚は、反ドライバ側の領域E1の肉厚よりも薄くなっている。これによっても第2ハウジング47をよりドライバ15に接近させて配置することができ、ひいては打ち込みノーズ部2のコンパクト化が図られる。
【0049】
図9に1つの弾性体50が単体で示されている。第1実施例では各弾性体50は、例えば6面体のゴム部材である。各弾性体50は、第2ハウジング47の径方向に直交する内周側の側面50aと外周側の側面50bを有する。2つの側面50a,50bの縦長さmと横長さnは同じ寸法に設定されている。2つの側面50a,50bには、縦溝51と横溝52が十字形に交差する状態に設けられている。
【0050】
弾性体50は、電動モータ31の正転時にインターナルギア43dの外周凸部43fから力Pを受けて縦溝51の溝幅が狭くなるように弾性変形する。これにより弾性体50の厚みkの増大(第2ハウジング47の径方向への膨らみ)が抑制される。従って、厚みk方向の弾性変形を許容するための大きなスペースを確保することなく弾性体50が弾性変形されて力Pが効率良く吸収される。これにより第2ハウジング47の径方向のコンパクト化が図られる。
【0051】
各弾性体50は、縦長さmと横長さnが同じ(m=n)である2つの側面50a,50bを有する。2つの側面50a,50bのそれぞれに十字形に交差する縦溝51と横溝52を有する。このため、モータ軸線J方向、力Pの付加方向及び第2ハウジング47の径方向のそれぞれに反転して、外周凸部43fと内周凸部47aとの間に介装することができる。これにより弾性体50の組み付け性が良くなる。
【0052】
図5に示すように第3段遊星ギア列43と第2段遊星ギア列42との間に1つのワッシャ48が介在されている。ワッシャ48は、第3段遊星ギア列43の遊星ギア43bとインターナルギア43dと弾性体50の後方を覆っている。これにより、インターナルギア43dと弾性体50のモータ軸線J方向への変位が規制される。第3段遊星ギア列43の遊星ギア43bとインターナルギア43dの変位を規制するワッシャ48により弾性体50の変位が規制される。共通の部材により変位が規制されることから、別途規制部材を追加する場合のような構成の複雑化を招くことなく弾性体50のモータ軸線J方向への変位が規制される。
【0053】
以上のように構成した第1実施例によれば、遊星ギア装置40のインターナルギア43dと第2ハウジング47との間に4つの弾性体50が介在されている。弾性体50により、ドライバ15の後退時においてインターナルギア43dから付加される回転方向(L方向)の力Pが受けられる。これによりインターナルギア43dから受ける力Pが弾性体50で緩衝されて第2ハウジング47の耐久性が高められる。
【0054】
第1実施例によれば、弾性体50は遊星ギア装置40のインターナルギア43dと第2ハウジング47との間に設けられていることから、遊星ギア装置40の中心軸線方向(モータ軸線J方向)の大形化が回避される。
【0055】
第1実施例によれば、インターナルギア43dの4つの外周凸部43fと、第2ハウジング47の4つの内周凸部47aとの間のそれぞれに弾性体50が介在される。4つの弾性体50により、インターナルギア43dを経て第2ハウジング47に付加される回転方向(L方向)の力Pが確実に緩衝されて第2ハウジング47の耐久性が高められる。
【0056】
第1実施例によれば、インターナルギア43dの外周凸部43fは、弾性体50に接触する弾性体受け面43gを有する。弾性体受け面43gは、インターナルギア43dの外周面の接線に対して直交して延在される。これにより、インターナルギア43dの中心軸回りの力Pが弾性体50に対して効率よく付加される。従って、弾性体50による緩衝が効率よくなされる。また、弾性体50の径方向(第2ハウジング47の径方向)への位置ずれ及び弾性変形が抑制される。
【0057】
第1実施例によれば、弾性体50の2つの側面50a,50bに、モータ軸線J方向に沿った縦溝51と、モータ軸線J回りの回転方向に沿った横溝52が設けられている。このため、電動モータ31の正転時(ドライバ15の後退時)にインターナルギア43dから力Pを受けて弾性体50が弾性変形すると、縦溝51の溝幅が狭くなる。これにより弾性体50の側方(第2ハウジング47の径方向)への膨出を抑制しつつ、弾性体50の弾性変形により効率のよい緩衝がなされる。
【0058】
第1実施例によれば、ギアハウジング45は、インターナルギア43dの中心軸(モータ軸線J)に沿って相互に結合された樹脂製の第1ハウジング46と金属製の第2ハウジング47を有する。第2ハウジング47に最終段の第3段遊星ギア列43のインターナルギア43dが収容される。従って、弾性体50により第2ハウジング47に対する緩衝がなされることで、その耐久性が高められる。
【0059】
第1実施例によれば、第2ハウジング47は第1ハウジング46の内周側に挿入する結合用のボス部47bを有する。4つの弾性体50はボス部47bと同周上に配置される。これにより第2ハウジング47の径方向の大形化を回避しつつ、第2ハウジング47とインターナルギア43dとの間に弾性体50が効率良く配置される。
【0060】
第1実施例によれば、ドライバ15は、遊星ギア装置40の中心軸(モータ軸線J)と平行な線に対して直交する上下方向に往復動する。弾性体50は、遊星ギア装置40の中心軸に対して、ドライバ15とは反対側の領域E1に配置される。従って、ドライバ15側の領域E2に弾性体50が配置されないことで第2ハウジング47の領域E2の薄肉化が可能となる。これにより打ち込みノーズ部2の第2ハウジング47の径方向のコンパクト化を図りつつ、必要領域に弾性体50が配置されて第2ハウジング47の緩衝がなされる。
【0061】
第1実施例によれば、第3段遊星ギア列43の後方が1つのワッシャ48で覆われている。ワッシャ48により遊星ギア43b、インターナルギア43d及び弾性体50のモータ軸線J方向の変位が規制される。これにより、別途規制部材を追加することなく弾性体50の変位が規制されることで構成の複雑化を回避できる。
【0062】
以上説明した第1実施例には種々変更を加えることができる。例えば、インターナルギア43dと第2ハウジング47との間に4つの弾性体50を介在させる構成を例示したが、弾性体の個数は、1つ又は2個以上に変更してもよい。
【0063】
遊星ギア装置40を収容するギアハウジング45が樹脂製の第1ハウジング46と金属製の第2ハウジング47に分割された構成を例示したが、例示した緩衝機構は一体のギアハウジングにも適用することができる。ギアハウジングは樹脂製であっても金属製であってもよい。
【0064】
3段の遊星ギア列41,42,43を例示したが、1段、2段あるいは4段以上の遊星ギア列を有する遊星ギア装置にも同様に適用できる。
【0065】
第3段遊星ギア列43とギアハウジング45との間に弾性体50を介在させた構成を例示したが、これに加えてより上流側(電動モータ31側)の第1段あるいは第2段遊星ギア列41,42とギアハウジング45との間に弾性体を配置する構成としてもよい。
【0066】
図10には第2実施例に係る遊星ギア装置55が示されている。第2実施例の遊星ギア装置55は、動力伝達経路の上流側(電動モータ31側)から第1段遊星ギア列41と第2段遊星ギア列56と第3段遊星ギア列58を有する。第1実施例と同様、最終段の第3段遊星ギア列58とギアハウジング45との間に弾性体50が介在されている。第2実施例の遊星ギヤ装置40は、最終段の1つ手前の第2段遊星ギア列56のキャリア57と第3段遊星ギア列58の太陽ギア59が別部材である点で第1実施例と異なっている。変更を要しない部材及び構成については同位の符号を用いてその説明を省略する。
【0067】
図11に示すように第2段遊星ギア列56のキャリア57に例えば4つの遊星ギア42bが支持されている。4つの遊星ギア42bはそれぞれ支軸42eを介して回転可能に支持されている。遊星ギア42bは太陽ギア42aに噛み合わされている。太陽ギア42aは第1段遊星ギア列41のキャリア41bに一体に設けられている。遊星ギア42bはインターナルギア42dに噛み合わされている。インターナルギア42dは、樹脂製の第1ハウジング46の内周面に沿って固定されている。
【0068】
キャリア57の前面に円形の凹部57aが設けられている。凹部57aの中心に結合孔57bが設けられている。結合孔57bはキャリア57の厚み方向に貫通している。凹部57aと結合孔57bはモータ軸線Jと同軸に設けられている。結合孔57bにはスプライン孔が用いられている。
【0069】
キャリア57の前面に太陽ギア59が結合されている。太陽ギア59の後部にフランジ部59aが設けられている。フランジ部59aの後面に結合軸部59bが設けられている。結合軸部59bにはスプライン軸が用いられている。結合軸部59bは太陽ギア59に同軸に設けられている。結合軸部59bが結合孔57bに挿入されて、キャリア57の前面に太陽ギア59がインボリュートスプライン結合されている。スプライン結合によりキャリア57と太陽ギア59がモータ軸線J周りの回転について相互に一体化されている。
【0070】
フランジ部59aが有底の凹部57aに挿入されることで、太陽ギア59の後方への変位が規制される。フランジ部59aの前面側にワッシャ48が張り出すことで太陽ギア59の前方への変位が規制される。
【0071】
第1実施例と同様、太陽ギア59に最終段の遊星ギア43bが噛み合わされている。遊星ギア43bはキャリア43cに支持されている。キャリア43cの中心に回転軸21がスプライン結合されている。最終段のキャリア43cは軸受27を介して金属製の第2ハウジング47の内周側に支持されている。
【0072】
第2実施例によれば、最終段の第3段遊星ギア列58の太陽ギア59と最終段に隣接する第2段遊星ギア列56のキャリア57が別部材である。別部材である太陽ギア59とキャリア57が相互にスプライン結合されることで両者間に主として径方向の遊合関係が得られる。これにより第3段遊星ギア列58の遊星ギア43bに対する太陽ギア59の調心作用が得られる。太陽ギア59の調心作用により第3段遊星ギア列58の負荷が低減されてその耐久性が高められる。
【0073】
第2段遊星ギア列のキャリアにスプライン軸部を設け、第3段遊星ギア列の太陽ギアにスプライン孔設けて、両者をスプライン結合する構成としてもよい。
【0074】
最終段の第3段遊星ギア列58の太陽ギア59と最終段に隣接する第2段遊星ギア列56のキャリア57がスプライン結合される構成を例示したが、スプライン結合に代えて、例えば六角形軸部と六角形孔の結合に変更してもよい。六角形等の多角形軸部と多角形孔の結合により、両者間に適度なクリアランス(主として径方向の変位)を持たせることで、最終段の遊星ギア43bに対する太陽ギア59の調心作用を持たせることができる。
【0075】
第2実施例では、回転軸21のスプライン軸部21aを省略して、最終段の第3段遊星ギア列58のキャリア43cに対して回転軸21を一体に設ける構成としてもよい。
【0076】
第2実施例では、最終段の第3段遊星ギア列58の太陽ギア59が第2段遊星ギア列56のキャリア57にスプライン結合される構成(太陽ギア59の調心作用)に加えて若しくは代えて第2段遊星ギア列56の太陽ギア42aが第1段遊星ギア列41のキャリア41bに対してスプライン結合される構成(太陽ギア42aの調心作用)としてもよい。
【0077】
第1、第2実施例の打ち込み工具1が本開示の1つの局面における打ち込み工具の一例である。第1、第2実施例のピストン13が本開示の1つの局面におけるピストンの一例である。第1、第2実施例のドライバ15が本開示の1つの局面におけるドライバの一例である。第1、第2実施例の打ち込み具Nが本開示の1つの局面における打ち込み具の一例である。第1、第2実施例のホイール22が本開示の1つ局面におけるホイールの一例である。第1、第2実施例の電動モータ31が本開示の1つの局面における電動モータの一例である。
【0078】
第1、第2実施例の遊星ギア装置40が本開示の1つの局面における遊星ギア装置の一例である。第1、第2実施例の第2ハウジング47が本開示の1つの局面におけるギアハウジングの一例である。第1、第2実施例のインターナルギア43dが本開示の1つの局面におけるインターナルギアの一例である。第1、第2実施例の力Pが本開示の1つの局面における力の一例である。第1、第2実施例の弾性体50が本開示の1つの局面における弾性体の一例である。