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特開2023-168232産業プラントにおいて匿名画像を取得する方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023168232
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】産業プラントにおいて匿名画像を取得する方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   G06T 1/00 20060101AFI20231116BHJP
   G06F 21/62 20130101ALI20231116BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20231116BHJP
【FI】
G06T1/00 340Z
G06F21/62 354
G06T7/00 660Z
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023048819
(22)【出願日】2023-03-24
(31)【優先権主張番号】22172725
(32)【優先日】2022-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
(71)【出願人】
【識別番号】591005615
【氏名又は名称】ジック アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001069
【氏名又は名称】弁理士法人京都国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クレメンス ウェラ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス カルテンバッハ
【テーマコード(参考)】
5B057
5L096
【Fターム(参考)】
5B057AA20
5B057BA02
5B057CA08
5B057CA12
5B057CA16
5B057CB08
5B057CB12
5B057CB16
5B057CC03
5B057CE04
5B057CE09
5B057CE11
5B057CG07
5B057DA08
5B057DB02
5B057DB09
5B057DC09
5L096BA08
5L096CA02
5L096DA01
5L096DA02
5L096EA02
5L096EA24
5L096EA35
5L096EA37
5L096FA02
5L096HA11
5L096JA11
(57)【要約】      (修正有)
【課題】画像中の人物的特徴の不鮮明化により、画像中の人物的特徴を除去することができる、産業プラントのための、匿名画像を取得する方法及び装置を提供する。
【解決手段】産業プラントにおいて匿名画像を取得する方法は、光電子工学的に読み取り可能なコード1200と、人物的特徴1100と、を含む画像1000を取得することと、画像1000中の人物的特徴1100を識別することと、画像1000中の人物的特徴1100を不鮮明化することと、を含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
産業プラントにおいて匿名画像を取得する方法(100)において、
画像(1000)の取得(101)であって、前記画像が光電子工学的に読み取り可能なコード(1200)と人物的特徴(1100)を含む、画像の取得(101)、
前記画像(1000)中の前記人物的特徴(1100)の識別(105)、及び、
前記画像(1000)中の前記人物的特徴(1100)の不鮮明化(106)、
という手順を備える方法(100)。
【請求項2】
前記識別(105)が前記画像(1000)中の前記人物的特徴(1100)のセグメント化を含む、請求項1に記載の方法(100)。
【請求項3】
前記識別(105)及び/又は前記セグメント化を、ニューラルネットワークを用いて行う、請求項2に記載の方法(100)。
【請求項4】
前記不鮮明化(106)が前記画像(1000)中の前記人物的特徴(1100)をピクセル化することを含む、請求項1~3のいずれかに記載の方法(100)。
【請求項5】
前記不鮮明化(106)が前記画像(1000)中の前記人物的特徴(1100)を除去することを含む、請求項1~4のいずれかに記載の方法(100)。
【請求項6】
前記光電子工学的に読み取り可能なコード(1200)の読み出し(108)という手順を更に含む、請求項1~5のいずれかに記載の方法(100)。
【請求項7】
不鮮明化された前記人物的特徴(1100)を含む前記画像の保存(110)という手順を更に含む、請求項1~6のいずれかに記載の方法(100)。
【請求項8】
前記画像の保存(110)がリモート記憶ユニット(21)への送信(109)を含む、請求項7に記載の方法(100)。
【請求項9】
前記光電子工学的に読み取り可能なコード(1200)を含む部分領域にまで前記画像(1000)をクロップするという手順を更に含む、請求項1~8のいずれかに記載の方法(100)。
【請求項10】
前記取得した画像(1000)の暗号化(102)、
前記取得した画像(1000)のリモート処理ユニット(22)への送信(103)、及び、
前記リモート処理ユニット(22)における前記取得した画像(1000)の復号(104)、
という手順を更に含む、請求項1~9のいずれかに記載の方法(100)。
【請求項11】
前記識別(105)及び/又は前記セグメント化を前記リモート処理ユニット(22)で行う、請求項10に記載の方法(100)。
【請求項12】
産業プラントにおいて匿名画像を取得する装置(10)において、
画像(1000)を取得するように構成された画像取得ユニット(13)、前記画像が光電子工学的に読み取り可能なコード(1200)と人物的特徴(1100)を含む、画像取得ユニット(13)、
取得された画像(1000)を保存するように構成された記憶ユニット(11、12)、及び、
前記画像(1000)中の前記人物的特徴(1100)を識別し、該画像(1000)中の該人物的特徴(1100)を不鮮明化するように構成された処理ユニット(12、22)
を備える装置(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品保管プラント、商品輸送プラント及び/又は商品処理プラント等の産業プラントにおいて匿名画像を取得する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
産業プラントにおいては、商品の連続又は処理の連続を監視及び管理するために画像取得方法及び装置がよく用いられる。
【0003】
ところが、このプロセスでは人物的特徴もしばしば取得される。これではデータ保護の要求を満たすことができない。更に、人物的特徴はメモリ空間を必要とするため、例えば大き目の画像ファイルを処理しなければならない場合に、取得した画像のその後の処理手順をより複雑にする可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
故に、本開示の目的は、産業プラントのための、匿名画像を取得する改良された方法及び改良された装置であって、特に後段での画像の保管及び処理が容易になるような方法及び装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的はまず、独立請求項1に記載の、産業プラントにおいて匿名画像を取得する方法により果たされる。
【0006】
本方法の第1のステップでは、例えばカメラ又はイメージセンサ等の画像取得ユニット、具体的にはラインカメラ又はマトリクスカメラを用いて、画像を取得する。画像取得ユニットは、具体的にはいわゆるプレゼンテーションカメラである。本方法では、画像が規則的に、連続的に、及び/又は、出来事に関連付けられた形で(例えば産業プラント内の光バリア及び/又は作動素子を作動させることにより)取得される。
【0007】
本方法において、画像はバーコード、QRコード又はセマコード等の光電子工学的に読み取り可能なコードを含んでいる。本本法において前記コードは、例えば、産業プラント内に保管されている物品(商品又はパッケージ等)に取り付け又は貼付されている。
【0008】
前記画像は更に少なくとも1つの人物的特徴、具体的には画像を取得することを目的としてカメラの前で物体を保持している人間の手等、を含んでいる。例えば、その人物的特徴は指紋の一部を含んでいる可能性もある。本方法において、人物的特徴には衣服(特に一又は複数の袖)及び/又は装身具(指輪や腕時計等)も含めることができる。人物的特徴はその人物に関する結論を出すことができる特徴であり、特にその人物を確認できる特徴、更に具体的には一義的に確認できる特徴である。
【0009】
本方法の次のステップでは、後で詳しく説明するように、この人物的特徴を、例えば処理ユニットを用いて、画像中で識別する。
【0010】
本方法の最後のステップでは、先に識別された人物的特徴を画像内で不鮮明にする。ここで「不鮮明」とは、特に人間の目に対して不鮮明であることを意味するが、処理ユニットにとって不鮮明であること含むこともできる。特に不鮮明化は不可逆的である。即ち、それは人間によっても処理ユニットによっても元に戻すことができない。
【0011】
本匿名画像取得方法によれば、人物的特徴が不鮮明化されており、後で例えば他の目的で更なる処理及び/又は後続の処理を行う間に人物に関する結論を出すことはもはや不可能であるから、データ保護仕様を考慮することなく産業プラントにおいて取得された画像を処理することができる。
【0012】
このように取得された画像は特に社外の協力パートナー及び/又はデータ保護仕様に従う義務のない協力パートナーに利用させることもできる。
【0013】
特徴が不鮮明化されているため、画像に含まれる情報も少なくなり、以て必要なメモリ空間も少なくなることが特に有利である。特に元の画像は削除され、前記特徴が除去又は不鮮明化された画像のみが保存される。従って、画像の更なる処理に必要なパワー及びメモリがより少なくなる。
【0014】
人物的特徴が不鮮明化された画像は産業プラントの制御に影響を及ぼすために用いられることが好ましい。これにより、例えば工作物等の更なる処理を行う産業プラントの所定の動作を、例えば読み取り可能なコードを用いて発動させることができる。
【0015】
本方法を更に発展させて、画像中の人物的特徴の識別が該画像中の人物的特徴をセグメント化することを含むようにすることができる。ここで「セグメント化」とは、画像を関連の要素に分割し、続いてそれらの分割部分又はセグメントを個々のクラス、特に事前に定義されたクラスに分類することを意味する。本態様においては、特徴抽出用のアルゴリズムを用いること、そして画像の前処理を行うことができる。セグメント化により、ある識別された範囲についての説明、特に、それが本態様における人物的特徴であるかという言明がなされる。
【0016】
セグメント化には画素指向の方法、エッジ指向の方法、及び/又は、領域指向の方法等、公知の方法を用いることができる。それに加えて又はその代わりに、モデルベース及び/又はテクスチャベースの方法をセグメント化に用いることができる。
【0017】
この更なる発展により特に効率的な解決策がもたらされる。具体的には、取得した画像のうち人物的特徴に関係する領域のみが処理される、即ち不鮮明化されるということが達成される。
【0018】
本方法を更に発展させて、ニューラルネットワークを用いて画像中の人物的特徴の識別及び/又はセグメント化を行うようにすることができる。
【0019】
ニューラルネットワークはコンピュータベースの人工知能であり、ニューラルネットワーク及び/又は人工ニューラルネットワークと呼ぶこともできる。識別又はセグメント化は特に、訓練中にニューラルネットワークが処理しなかった新規な取得画像でさえもセグメント化できるように深層学習のアルゴリズムにより訓練されたニューラルネットワークを用いて行うことができる。
【0020】
識別又はセグメント化は特に、このために特別に設けられた処理ユニット、例えば高度な並列化を有するマイクロプロセッシングユニットやプログラム可能な論理コンポーネント等を用いて行うことができる。
【0021】
この更なる発展により特に強力な解決策がもたらされる。特に、ニューラルネットワークのおかげで、人物的特徴を識別又はセグメント化する格別に信頼できる方法が得られる。
【0022】
本方法を更に発展させて、画像中の人物的特徴の不鮮明化が該画像中の人物的特徴をピクセル化することを含むようにすることができる。
【0023】
ここで「ピクセル化」とは、人物的特徴の当初の細かい画素解像度をそれよりもずっと粗い解像度で置き換えることにより、人物的特徴の個々の部分的な特徴が見えず、粗い構造になった認知不能の画素しか用いないことを意味する。これは適宜のピクセル化アルゴリズムにより行うことができる。
【0024】
本方法を更に発展させて、画像中の人物的特徴の不鮮明化が該画像中の人物的特徴を除去することを含むようにすることができる。
【0025】
ここで「除去する」とは、人物的特徴に関係する画素を削除すること、及び/又は、これらの画素を単色の画素、例えば白又は黒の画素で置き換えることを意味する。
【0026】
本方法を更に発展させて、前記光電子工学的に読み取り可能なコードを読み出すことを更に含むようにすることができる。
【0027】
光電子工学的に読み取り可能なコードの読み出しは適宜の読み出しアルゴリズムを用いて行われる。例えば、光電子工学的に読み取り可能なコード中に存在する又は暗号化されている情報を読み出す及び/又は評価することができる。読み出したコードの結果、例えば数字若しくはシリアル番号(追跡番号等)又はコードの他の内容は、その後、読み出しの場所及び/又は時点と一緒に保存することができる。
【0028】
本態様において、光電子工学的に読み取り可能なコードは特に、該光電子工学的に読み取り可能なコードを付すことができる物体に関する情報及び/又は指示を含むこともできる。光電子工学的コードは特に、未来の及び/又は過去の保管場所、配送場所及び/又は出力場所を含むことができる。その代わりに又はそれに加えて、光電子工学的に読み取り可能なコードは物体の中身及び/又は属性への参照を含むことができる。
【0029】
光電子工学的に読み取り可能なコードから読み出された情報はその後、産業プラントにおいて動作又は無動作を行わせることができる。この情報は特に、産業プラントにおいて、例えば物体の更なる処理、更なる輸送又は更なる保管といった未来の活動の間に考慮することができる。例えば、読み出した情報に基づいて物体の次の輸送先、特に産業プラント内での搬送先を決定することができる。
【0030】
本方法を更に発展させて、不鮮明化された人物的特徴を含む画像を保存することを更に含むようにすることができる。
【0031】
前記保存は特に、読み出されたコード並びに読み出しの場所及び時点と一緒に保存するものとすることができる。
【0032】
この更なる発展によれば、物体が所定の中間地点を通過したこと又は物体の現在の保管場所を記録することができる。これにより、産業プラントにより処理又は製造された物品を該産業プラント内で追跡することができる。
【0033】
本方法を更に発展させて、前記画像の保存がリモート記憶ユニットへの送信を含むようにすることができる。
【0034】
本態様において、リモート記憶ユニットは特に、画像取得ユニット及び産業プラントから遠く離れた場所にある記憶ユニットである。リモート記憶ユニットは特に、不鮮明化された人物的特徴を含む画像を検証のために保存した記憶ユニットとすることができる。本態様において、リモート記憶ユニットは特に画像取得ユニット又は産業プラントとは異なる国にあるものとすることができる。
【0035】
本方法を更に発展させて、前記光電子工学的に読み取り可能なコードを含む部分領域にまで画像をクロップすることを更に含むようにすることができる。
【0036】
ここで「クロップする」とは光電子工学的に読み取り可能なコードを含まない画像内容を除去することを意味しており、「マスクする」と呼ぶこともできる。本態様において、クロップは、事前に又は事後的に不鮮明化された人物的特徴の部分の切り取りとして行うこともできる。
【0037】
クロップは、決まったやり方、即ち常に一定のクロップファクタで行うこと、及び/又は、動的に、例えば人物的特徴及び/又は光電子工学的に読み取り可能なコードの識別に基づいて行うことができる。
【0038】
クロップが識別若しくはセグメント化より前、及び/又は、不鮮明化の前に行われる場合、処理する必要がある画像内容がより少なくなるため、識別若しくはセグメント化のため及び/又は不鮮明化のために必要な処理パワーがより少なくなる。
【0039】
本態様において、クロップはリモート記憶ユニットへの送信の前及び後の両方で行うことができる。或いはクロップをリモート記憶ユニットへの画像の送信なしで行うこともできる。これによりローカル及びリモートの両方で記憶ユニット内のメモリ空間が低減される。
【0040】
この更なる発展によれば、必要なメモリ空間及び/又は処理パワーが特に少なくなる。
【0041】
本方法を更に発展させて、取得した画像を暗号化すること、前記取得した画像をリモート処理ユニットに送信すること、及び、前記リモート処理ユニットにおいて前記取得した画像を復号することを含むようにすることができる。
【0042】
本態様において、暗号化は一般的な暗号化アルゴリズムにより行うことができる。例えば、取得した画像をSFTPでリモート処理ユニットに送信することができる。その代わりに又はそれに加えて、取得した画像を例えば対称又は非対称な暗号化プロトコルを用いて暗号化及び復号することができる。
【0043】
暗号化は特に、画像の取得直後、特に人物的特徴の識別及び/又は不鮮明化を行う前に行うことができ、こうした未処理の画像をリモート処理ユニットへ送信することができ、該ユニットで復号することができる。
【0044】
リモート処理ユニットは、リモート記憶ユニットに直接接続された処理ユニット、又は、リモート記憶ユニットとは異なる若しくは該リモート記憶ユニットから遠く離れた処理ユニットとすることができる。
【0045】
この更なる発展によれば、何者かが人物的特徴を含む取得画像を盗み取り、不正なやり方で人物に関する結論を出すことができる、ということが防止される。
【0046】
本方法を更に発展させて、画像中の人物的特徴の識別及び/又はセグメント化を前記リモート処理ユニットで行うようにすることができる。
【0047】
具体的には、このためにリモート処理ユニットを特に識別又はセグメント化を実行するように構成することができ、また、特にこの応用のために訓練された適宜のニューラルネットワークの使用に適合させることもできる。このために、リモート処理ユニットは更に具体的に、例えばリモート処理ユニットの場所及び/又は認証によって、特定のデータ保護仕様を満たすように適合化されたものとすることができる。
【0048】
この実施形態によれば、不鮮明化を特にデータ保護の要求に従って行うことができ、産業プラント内ではそれが行われない。
【0049】
最初に言及した目的は、独立請求項12に記載の、産業プラントにおいて匿名画像を取得する装置によっても同様に果たされる。
【0050】
更なる実施形態及びその利点については、産業プラントにおいて匿名画像を取得する方法についての上記の説明を参照する。
【0051】
産業プラントにおいて匿名画像を取得する装置は特に、上述した産業プラントにおいて匿名画像を取得する方法の実施形態を部分的に又は完全に実行するように構成されている。
【0052】
これより、産業プラントにおいて匿名画像を取得する方法及び装置の実施例を以下の図面と関連させて詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1】産業プラントにおいて匿名画像を取得する装置の実施例の概略図。
図2】産業プラントにおいて匿名画像を取得する方法の実施例のフローチャート。
図3】(a)~(d)産業プラントにおいて匿名画像を取得する方法の応用の個々のステップ。
【発明を実施するための形態】
【0054】
本実施例において同一の参照符号は同じ又は類似の特徴を示している。
【0055】
図1は産業プラントにおいて匿名画像を取得する装置1の実施例の概略図を示している。
【0056】
本実施例において、装置1はまずローカルユニット10と、該ローカルユニット10から遠く離れたユニット20とを備えている。リモートユニット20は、特に例として、次の図2と関連させて説明するように、装置1の一部又は方法100の一部のステップを実施できるクラウドサービスとして示されている。
【0057】
ローカルユニット10はローカル記憶ユニット11、ローカル処理ユニット12、及び画像取得ユニット13を備えている。ローカルユニット10はまた、明快さのため図示していない無線及び/又は有線通信ユニットも備えている。ここで「ローカル」とは、産業プラントに配置されている又は産業プラントの一部であるという意味である。
【0058】
リモートユニット20はリモート記憶ユニット21とリモート処理ユニット22を備えている。リモートユニット20はまた、明快さのため図示していない無線及び/又は有線通信ユニットも備えている。ここで「リモート」とは、ローカルユニット10から空間的に離れており、特に産業プラント内に配置されていないことを意味している。
【0059】
リモートユニットは、具体的には、遠隔地にセットアップされてクラウドサービスを構成している一又は複数のサーバである。本実施例では、明快さのため、リモート記憶ユニット21とリモート処理ユニット22は同じクラウドサービスに属するものとして示している。
【0060】
代案では、記憶ユニット21が第1のクラウドサービスにより提供され、処理ユニットがそれと異なる第2のクラウドサービスにより提供され、第1のクラウドサービスと第2のクラウドサービスが無線及び/又は有線の通信ユニットを経由して接続される。
【0061】
更に具体的には、リモートユニット20は少なくとも画像取得ユニットを備えていない。或いは、ローカルの画像取得ユニット13が通信ユニットの他に産業プラント内に配置されている唯一のローカルユニットであるものとすることができる。
【0062】
装置1は特に、図2と関連させて以下に説明する方法を実行するように構成されている。
【0063】
図2は産業プラントにおいて匿名画像を取得する方法100の実施例のフローチャートを示している。
【0064】
本方法100の最初のステップ101では、光電子工学的に読み取り可能なコードと個人的特徴を含む画像が取得される。
【0065】
続くステップ102では、取得された画像が暗号化される。
【0066】
その次のステップ103では、暗号化された画像がリモート処理ユニットに送信される。
【0067】
続くステップ104では、暗号化された画像がリモート処理ユニットにおいて復号される。
【0068】
その次のステップ105では、復号された画像中の人物的特徴がリモート処理ユニットによりニューラルネットワークを用いたセグメント化によって識別される。
【0069】
続くステップ106では、画像中の人物的特徴をピクセル化すること、及び/又は、該画像から人物的特徴を除去することにより、画像中の人物的特徴が不鮮明化される。
【0070】
その次のステップ107では、画像が、光電子工学的に読み取り可能なコードを含む部分領域にまでクロップされる。
【0071】
その次のステップ108では、光電子工学的に読み取り可能なコードが読み出される。
【0072】
続くステップ109では、不鮮明化された人物的特徴を含む画像がリモート記憶ユニットに送信され、最終ステップ110において該ユニットに保存される。その後、本方法100を再びステップ101から始めることができる。
【0073】
図3(a)~(d)は産業プラントにおいて匿名画像を取得する方法の応用のシーケンスを示している。本実施例では、最初のステップで、図3(a)に示したように、人物的特徴1100と光電子工学的に読み取り可能なコード1200の両方を含む画像1000が取得される。
【0074】
図示した例において、人物的特徴1100は両手から成り、他に人物的特徴1100を成すものの例として衣類の一部(即ち袖)と指輪も示されている。
【0075】
光電子工学的に読み取り可能なコード1200は本例ではQRコードとして構成されており、物体1300に付されている。ここでは例として物体1300が1枚の長方形の紙として示されている。
【0076】
図3(a)に示した画像1000は図2に関連して説明した画像であり、最初の方法ステップ101において、人間が両手を使って物体1300をプレゼンテーションカメラの前にかざすというやり方で取得した画像である。
【0077】
その次のステップでは、人物的特徴1100が画像1000中で識別されている。これには、図2の方法ステップ105に関連して説明したように、実際にニューラルネットワークにより実行されるセグメント化アルゴリズムを用いた。
【0078】
このステップ105の結果が図3(b)に示されており、そこでは人物的特徴1100だけが画像1000中に含まれている。ただし、これがこのように描かれているのは単に識別又はセグメント化の理解のためにすぎない。実際には光電子工学的に読み取り可能なコード1200を含む物体1300もまだ画像1000中に含まれており、つまり図3(b)に示した画像は現在の画像情報を全て表してはおらず、むしろ識別又はセグメント化の結果だけを示している。
【0079】
その次のステップでは、画像1000に含まれる人物的特徴1100が不鮮明化される。これは人物的特徴1300がピクセル化された図3(c)に示されている。代案として、人物的特徴1100の除去又は削除が図3(d)に例示されている。この不鮮明化は図2と関連させて説明した方法ステップ106に相当する。
【0080】
更に、図3(d)に示した画像1000中では、画像部分がクロップされることで光電子工学的コード1200の読み取りに必要ない他の情報(最下層、人物的特徴の部分等)が除去され、その結果、画像1000は、図3(d)に示したように、該画像1000のうち光電子工学的に読み取り可能なコード1200が見つかった部分領域だけを含んでいる。図3(d)に示したこの画像1000は図2に記載した方法ステップ107に関連して生成された画像に相当する。
【0081】
上述の実施例により、メモリ負荷の低減と処理負荷の低減という結果をもたらす効率的な解決策が可能になり、それらの実施例は同時に、商品保管プラント、商品輸送プラント及び/又は商品処理プラント等の産業プラントにおける人間による物体のデータ保護の要求に従った処理に寄与する。
【符号の説明】
【0082】
1…装置
10…ローカルユニット
11…ローカル記憶ユニット
12…ローカル処理ユニット
13…画像取得ユニット
20…リモートユニット
21…リモート記憶ユニット
22…リモート処理ユニット
100…方法
101…方法ステップ
102…方法ステップ
103…方法ステップ
104…方法ステップ
105…方法ステップ
106…方法ステップ
107…方法ステップ
108…方法ステップ
109…方法ステップ
110…方法ステップ
1000…取得した画像
1100…人物的特徴
1200…光電子工学的に読み取り可能なコード
1300…物体
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2023-05-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
産業プラントにおいて匿名画像を取得する方法(100)において、
画像(1000)の取得(101)であって、前記画像が光電子工学的に読み取り可能なコード(1200)と人物的特徴(1100)を含む、画像の取得(101)、
前記画像(1000)中の前記人物的特徴(1100)の識別(105)、及び、
前記画像(1000)中の前記人物的特徴(1100)の不鮮明化(106)、
という手順を備える方法(100)。
【請求項2】
前記識別(105)が前記画像(1000)中の前記人物的特徴(1100)のセグメント化を含む、請求項1に記載の方法(100)。
【請求項3】
前記識別(105)及び/又は前記セグメント化を、ニューラルネットワークを用いて行う、請求項2に記載の方法(100)。
【請求項4】
前記不鮮明化(106)が前記画像(1000)中の前記人物的特徴(1100)をピクセル化することを含む、請求項1に記載の方法(100)。
【請求項5】
前記不鮮明化(106)が前記画像(1000)中の前記人物的特徴(1100)を除去することを含む、請求項1に記載の方法(100)。
【請求項6】
前記光電子工学的に読み取り可能なコード(1200)の読み出し(108)という手順を更に含む、請求項1に記載の方法(100)。
【請求項7】
不鮮明化された前記人物的特徴(1100)を含む前記画像の保存(110)という手順を更に含む、請求項1に記載の方法(100)。
【請求項8】
前記画像の保存(110)がリモート記憶ユニット(21)への送信(109)を含む、請求項7に記載の方法(100)。
【請求項9】
前記光電子工学的に読み取り可能なコード(1200)を含む部分領域にまで前記画像(1000)をクロップするという手順を更に含む、請求項1に記載の方法(100)。
【請求項10】
前記取得した画像(1000)の暗号化(102)、
前記取得した画像(1000)のリモート処理ユニット(22)への送信(103)、及び、
前記リモート処理ユニット(22)における前記取得した画像(1000)の復号(104)、
という手順を更に含む、請求項1に記載の方法(100)。
【請求項11】
前記識別(105)及び/又は前記セグメント化を前記リモート処理ユニット(22)で行う、請求項10に記載の方法(100)。
【請求項12】
産業プラントにおいて匿名画像を取得する装置(10)において、
画像(1000)を取得するように構成された画像取得ユニット(13)、前記画像が光電子工学的に読み取り可能なコード(1200)と人物的特徴(1100)を含む、画像取得ユニット(13)、
取得された画像(1000)を保存するように構成された記憶ユニット(11、12)、及び、
前記画像(1000)中の前記人物的特徴(1100)を識別し、該画像(1000)中の該人物的特徴(1100)を不鮮明化するように構成された処理ユニット(12、22)
を備える装置(10)。
【外国語明細書】