(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023168233
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】計時器用の順行性ディスプレイ機構
(51)【国際特許分類】
G04B 19/24 20060101AFI20231116BHJP
【FI】
G04B19/24 Z
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023049307
(22)【出願日】2023-03-27
(31)【優先権主張番号】22173340.5
(32)【優先日】2022-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】594082512
【氏名又は名称】ブランパン・エス アー
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】メディ・デンデン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】計時器用の順行性ディスプレイ機構を提供する。
【解決手段】第1のホイール110と、第2のホイール120と、少なくとも2つの歯が切頭された滑らかな角度セクタを含む第3のホイール130と、第4のホイール140とを含む順行性ディスプレイ機構であって、第1の角度α離された2つのガイドマーク間の角度αの連続する短いジャンプによって、ディスプレイオルガン2が角運動において駆動されるとき、これら連続する短いジャンプの間に、弾性オルガン160を徐々に巻き上げるように、第2のホイール120の回転速度が、第1のホイール110の回転速度未満になるように、また、中間ホイール150の歯が、第3のホイール130の滑らかな角度セクタに遭遇したとき、弾性オルガン160は、滑らかな角度セクタの瞬時の通過を誘導し、ディスプレイオルガン2の角度βの長いジャンプによる角運動を誘導するように下げられるように、構成される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイ(3)の円周上に分布された複数のガイドマークを有する目盛りを有する前記ディスプレイ(3)を含む計時器用の順行性ディスプレイ機構(100)であって、少なくとも2つの連続するガイドマークを分離する角度距離が、他の連続するガイドマークのうちの2つを分離する第1の角度(α)よりも大きい第2の角度(β)に対応するように、前記目盛りが構成され、前記順行性ディスプレイ機構(100)は、前記第1の角度(α)離された2つのガイドマーク間の角度(α)の連続する短いジャンプによって、および、前記第2の角度(β)離された2つの目盛りガイドマーク間の角度(β)の長いジャンプによって、ディスプレイオルガン(2)を、その角運動で駆動するように構成され、前記順行性ディスプレイ機構(100)は、
- 時計ムーブメントによって駆動できる、駆動ホイールと呼ばれる、第1のホイール(110)と、
- 前記第1のホイール(110)と同軸であり、弾性オルガン(160)によって前記第1のホイール(110)に連結された第2のホイール(120)と、
- 前記第1のホイール(110)によって直接駆動され、前記ディスプレイオルガン(2)と協働する、ディスプレイホイールと呼ばれる、第3のホイール(130)を直接駆動する第1の中間ホイール(150)であって、前記第3のホイール(130)は、少なくとも2つの歯が切頭された滑らかな角度セクタ(131,131a,131b,131c,131d)を含む、第1の中間ホイール(150)と、
- 前記第3のホイール(130)との回転時に同軸に堅固に接続された第4のホイール(140)であって、第2の中間ホイール(170)を介して前記第2のホイールと噛み合う、第4のホイール(140)とを含むことを特徴とし、
前記順行性ディスプレイ機構は、前記第1の角度(α)離された2つのガイドマーク間の角度(α)の連続する短いジャンプによって、前記ディスプレイオルガン(2)が前記角運動において駆動されるとき、これら連続する短いジャンプの間に、前記弾性オルガン(160)を徐々に巻き上げるように、前記第2のホイール(120)の回転速度が、前記第1のホイール(110)の回転速度未満になるように、また、前記中間ホイール(150)の前記歯が、前記第3のホイール(130)の滑らかな前記角度セクタ(131,131a,131b,131c,131d)に遭遇したとき、前記弾性オルガン(160)は、前記滑らかな角度セクタ(131)の瞬時の通過を誘導し、前記ディスプレイオルガン(2)の角度(β)の長いジャンプによる前記角運動を誘導するように下げられるように、構成される、順行性ディスプレイ機構(100)。
【請求項2】
前記第1のホイール(110)は、前記時計ムーブメントによるジャンプによって駆動できることを特徴とする、請求項1に記載の計時器順行性ディスプレイ機構(100)。
【請求項3】
前記第1のホイール(110)は、歯数(n1)を含み、前記歯数(n1)は、前記ディスプレイ(3)の前記目盛のガイドマークの数に等しいことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の計時器順行性ディスプレイ機構(100)。
【請求項4】
前記第2のホイール(120)は、前記第1のホイール(110)の前記歯数(n1)よりも多い歯数(n2)を含むことを特徴とする、請求項3に記載の計時器順行性ディスプレイ機構(100)。
【請求項5】
前記第3のホイール(130)は、歯付き部分に分布する有効な歯数(n3 eff)と、前記滑らかな角度セクタ(131,131a,131b,131c,131d)における切頭された歯数(n3 tronq,n’3 tronq,n’’3 tronq,n’’’3 tronq)とを含み、全体で、前記第3のホイール(130)の全周における等価の歯数(n3 equi)を形成し、前記第3のホイール(130)の全周における前記等価の歯数(n3 equi)は、前記第2のホイール(120)の前記歯数(n2)に等しいことを特徴とする、請求項4に記載の計時器順行性ディスプレイ機構(100)。
【請求項6】
前記第3のホイール(130)の前記滑らかな角度セクタ(131,131a,131b,131c,131d)における切頭された前記歯数(n3 tronq,n’3 tronq,n’’3 tronq,n’’’3 tronq)は、前記第1の角度(α)に対する前記第2の角度(β)の比率に対応する整数であることを特徴とする、請求項5に記載の計時器順行性ディスプレイ機構(100)。
【請求項7】
前記第4のホイール(140)は、前記第2のホイール(120)の前記歯数(n2)に等しい歯数(n4)を含むことを特徴とする、請求項4に記載の計時器順行性ディスプレイ機構(100)。
【請求項8】
前記第2のホイール(120)の前記歯数(n
2)は、以下の関係、
によって決定され、
αは、少なくとも2つの連続する目盛ガイドマークを分離する第1の角度距離に対応する第1の角度であり、
β
iは、前記目盛のセクタS
iにおいて、少なくとも2つの他の連続する目盛ガイドマークを分離する、前記第1の角度距離とは異なる第2の角度距離に対応する、前記第1の角度αよりも大きい第2の角度であり、
iは、1からjまでの整数であり、
jは、2つの連続する目盛ガイドマークが、前記第1の角度αよりも大きい第2の角度β
i離間されている前記目盛のセクタS
iの総数に対応する整数であることを特徴とする、請求項4に記載の計時器順行性ディスプレイ機構(100)。
【請求項9】
前記弾性オルガン(160)は、帯ばね、シート、板ばね、または渦巻きばねであることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の計時器順行性ディスプレイ機構(100)。
【請求項10】
前記弾性オルガン(160)は、前記第1のホイール(110)を有する第1のワンピース端部(161)と、前記第2のホイール(120)に接続された第2の端部(162)とを含むように、前記第1のホイール(110)と一体化されているか、または、前記弾性オルガン(160)は、前記第2のホイール(120)を有する第1のワンピース端部と、前記第1のホイール(120)に接続された第2の端部とを含むように、前記第2のホイール(120)と一体化されていることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の計時器順行性ディスプレイ機構(100)。
【請求項11】
前記ディスプレイ(3)は、31個のガイドマークを有する日付目盛りを含み、前記ディスプレイオルガン(2)は、日付針であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の計時器順行性ディスプレイ機構(100)。
【請求項12】
前記日付目盛りは、1から31までの数字、および/または、前記数字に対応するインデクスを含み、1から31までの連続する前記数字は、前記第1の角度(α)離され、数字31および数字1は、前記第1の角度(α)よりも大きい前記第2の角度(β)離されることを特徴とする、請求項11に記載の計時器順行性ディスプレイ機構(100)。
【請求項13】
前記第1のホイール(110)は31個の歯を含み、31日で1回転を実行するように構成され、前記順行性ディスプレイ機構は、前記弾性オルガン(160)を31日間徐々に巻き上げるように構成されることを特徴とする、請求項12に記載の計時器順行性ディスプレイ機構(100)。
【請求項14】
前記ディスプレイ(3)は、60個のガイドマークを有する分目盛りまたは秒目盛りを含み、前記ディスプレイオルガンはそれぞれ、分針または秒針であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の計時器順行性ディスプレイ機構(100)。
【請求項15】
請求項1に記載のディスプレイ機構(100)を備えることを特徴とする時計ムーブメント。
【請求項16】
請求項1に記載の順行性ディスプレイ機構(100)を備える時計ムーブメントを含む計時器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、順行性すなわち「反逆行性」ディスプレイ機構、つまり、第2の角度距離より大きい第1の角度距離、走行方向にディスプレイオルガンを旋回させるように構成されたディスプレイ機構に関する。
【0002】
本発明はまた、そのような順行性ディスプレイ機構を含む時計ムーブメント、およびそのような時計ムーブメントを含む計時器にも関する。
【背景技術】
【0003】
順行性ディスプレイ機構は、現在の時間に関する情報または日付に関する情報を表示するために従来から使用されている。
【0004】
従来の計時器では、現在の時間または日付を目盛り付けするためのガイドマークは、通常、文字盤の円周上に均一に分布している。しかしながら、特定の状況では、特定の時間にディスプレイオルガンが隠れることを防ぐために、ディスプレイオルガンが、文字盤の特定のセクタの安定位置に留まらないこと、たとえば、コンプリケーション(たとえば、トゥールビヨン)や、別のディスプレイ(たとえば、ムーンフェイズ)を、問題となっている文字盤の特定のセクタに配置することが望ましい。
【0005】
ディスプレイオルガンが、所定の文字盤セクタにインデクス付けされたままになることを防ぐために、ディスプレイオルガンがこの角度セクタで停止しないように、ディスプレイオルガンが、所定の角度セクタ上で、他の目盛りよりも大きな角度距離、前方にジャンプできる、順行性ディスプレイ機構を使用することが知られている。
【0006】
特許文献1は、日付に適用されたそのような順行性ディスプレイ機構の実施形態の例を説明しており、ここでは、日付目盛りガイドマークは、円周上に均一に分布していないが、ガイドマーク15とガイドマーク16とを分離する角度距離が、1から31までの他のガイドマークを分離する角度距離よりも大きくなるように配置される。したがって、ガイドマーク15とガイドマーク16との間に、ガイドマークのない計時器の文字盤の角度セクタが作成され、ここでは、日付針は、停止しないが、他の目盛りガイドマークを分離する第1の角度よりも大きい第2の角度、ジャンプする。この特許において説明されている順行性ディスプレイ機構は、いくつかの歯付きセクタの使用と、それらの複雑な協働に基づいている。
【0007】
特許文献2は、日付にも適用される順行性ディスプレイ機構の別の実施形態の例を説明している。この文献では、ガイドマーク31とガイドマーク1とを分離する角度距離は、1と31との間の他のガイドマークを分離する角度距離よりも大きい。ガイドマーク31の日付針を、停止することなくガイドマーク1に傾けるために、この文献は、日付針を支持する日付ホイールに堅固に接続されたカタツムリ形状のカムの使用を提案し、前記日付ホイールは、日付アクチュエータによって、1日あたり1ステップ、前方に進められる。カタツムリ形状のカムは、レバーおよびスプリングと協働して、ガイドマーク1からガイドマーク31の間で、カムの安定した角度位置を保証する。カタツムリ形状のカムは、ガイドマーク1とガイドマーク31との間の30の安定位置のための30個の歯を備える歯付き部分と、(ガイドマーク31とガイドマーク1との間の)目盛りのない文字盤の角度セクタに対応する角度セクタに伸びる滑らかな部分とを含み、レバーの作用により、ガイドマーク31からガイドマーク1の間の角度に対応する角度だけ、カムおよび日付ホイールを旋回させることが可能である。
【0008】
しかしながら、これら順行性機構は、製造と、腕時計ケースへの組み込みが複雑であるか、または、これら機構は、製造と、特に機械加工、変動に非常に敏感であり、目盛りに対するジャンプに遅れが生じるので、これら機構の工業化を困難にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】CH699736号公報
【特許文献2】CH713209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
その結果、順行性ディスプレイ機構を改良し、特に工業化を容易にし、したがって、部品の寸法変動の影響を受けにくく、コンパクトで使いやすく、より信頼性を高める必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
これに関連して、本発明は、ディスプレイの円周上に分布された複数のガイドマークを有する目盛りを有するディスプレイを含む計時器用の順行性ディスプレイ機構を提案し、2つの連続するガイドマークを分離する角度距離が、他の連続するガイドマークのうちの2つを分離する第1の角度αよりも大きい第2の角度βに対応するように、目盛りが構成され、順行性ディスプレイ機構は、第1の角度α離された2つのガイドマーク間の角度αの連続する短いジャンプによって、および、第2の角度β離された2つの目盛りガイドマーク間の角度βの長いジャンプによって、ディスプレイオルガンを、その角運動で駆動するように構成され、順行性ディスプレイ機構は、
- 時計ムーブメントによって駆動できる、駆動ホイールと呼ばれる、第1のホイールと、
- 第1のホイールと同軸であり、弾性オルガンによって第1のホイールに連結された第2のホイールと、
- 第1のホイールによって直接駆動され、前記ディスプレイオルガンと協働する、ディスプレイホイールと呼ばれる、第3のホイールを直接駆動する第1の中間ホイールであって、前記第3のホイールは、少なくとも2つの歯が切頭された滑らかな角度セクタを含む、第1の中間ホイールと、
- 第3のホイールとの回転時に同軸に堅固に接続された第4のホイールであって、第2の中間ホイールを介して前記第2のホイールと噛み合う、第4のホイールとを含むことを特徴とし、
順行性ディスプレイ機構は、第1の角度α離された2つのガイドマーク間の角度αの連続する短いジャンプによって、ディスプレイオルガンがその角運動において駆動されるとき、これら連続する短いジャンプの間に、弾性オルガンを徐々に巻き上げるように、第2のホイールの回転速度が、第1のホイールの回転速度未満になるように、また、中間ホイールの歯が、第3のホイールの滑らかな角度セクタに遭遇したとき、弾性オルガンは、滑らかな角度セクタの瞬時の通過を誘導し、前記ディスプレイオルガンの角度βの長いジャンプによる角運動を誘導するように下げられるように、構成される。
【0012】
前の段落で言及された特徴に加えて、本発明による順行性ディスプレイ機構は、個別に、または技術的に可能な組合せに従って考慮される、以下の中から、1つまたは複数の補完的な特徴を有することができる。
- 第1のホイールは、前記時計ムーブメントによるジャンプによって駆動することができる。
- 第1のホイールは、歯数n1を含み、歯数n1は、ディスプレイの目盛ガイドマークの数に等しい。
- 第2のホイールは、第1のホイールの歯数n1よりも多い歯数n2を含む。
- 第3のホイールは、歯付き部分に分布する有効な歯数n3 effと、滑らかな角度セクタにおける切頭された歯数n3 tronqとを含み、全体で、第3のホイールの全周における等価の歯数n3 equiを形成し、第3のホイールの全周における等価の歯数n3 equiは、第2のホイールの歯数n2に等しい。
- 第3のホイールの滑らかな角度セクタにおける切頭された歯数n3 tronqは、第1の角度αに対する第2の角度βの比率に対応する整数である。
- 第4のホイールは、第2のホイールの歯数n2に等しい歯数n4を含む。
- 第2のホイールの歯数n2は、以下の関係によって決定される。
【0013】
【0014】
ここで、
αは、少なくとも2つの連続する目盛ガイドマークを分離する第1の角度距離に対応する第1の角度であり、
βiは、目盛のセクタSiにおいて、少なくとも2つの他の連続する目盛ガイドマークを分離する、第1の角度距離とは異なる第2の角度距離に対応する、第1の角度αよりも大きい第2の角度であり、
iは、1からjまでの整数であり、
jは、2つの連続する目盛ガイドマークが、第1の角度αよりも大きい第2の角度βi離間されている目盛のセクタSiの総数に対応する整数であり、
- 弾性オルガンは、帯ばね、シート、板ばね、または渦巻きばねであり、
- 弾性オルガンは、前記第1のホイールを有する第1のワンピース端部と、第2のホイールに接続された第2の端部とを含むように、第1のホイールと一体化されているか、または、弾性オルガンは、前記第2のホイールを有する第1のワンピース端部と、第1のホイールに接続された第2の端部とを含むように、第2のホイールと一体化され、
- ディスプレイは、31個のガイドマークを有する日付目盛りを含み、ディスプレイオルガンは、日付針であり、
- 日付目盛りは、1から31までの数字、および/または、数字に対応するインデクスを含み、1から31までの連続する数字は、第1の角度α離され、数字31および数字1は、前記第1の角度αよりも大きい第2の角度β離され、
- 第1のホイールは31個の歯を含み、31日で1回転を実行するように構成され、順行性ディスプレイ機構は、弾性オルガンを31日間徐々に巻き上げるように構成され、
- ディスプレイは、60個のガイドマークを有する分目盛りまたは秒目盛りを含み、ディスプレイオルガンはそれぞれ、分針または秒針である。
【0015】
本発明はまた、本発明による順行性ディスプレイ機構を含むことを特徴とする時計ムーブメントにも関する。
【0016】
本発明はまた、本発明による順行性ディスプレイ機構を移動させる時計ムーブメントを含む計時器にも関する。
【0017】
好ましくは、計時器は腕時計である。
【発明の効果】
【0018】
本発明の目的、利点、および特徴は、以下の図を参照して以下に与えられる詳細説明を読むことにより、より良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本発明による順行性ディスプレイ機構の第1の実施形態の例の概略斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示された順行性ディスプレイ機構の概略底面図である。
【
図3】
図3は、
図1に示された順行性ディスプレイ機構の異なる位置を概略的に示す図である。
【
図4】
図4は、
図1に示された順行性ディスプレイ機構の異なる位置を概略的に示す図である。
【
図5】
図5は、
図1に示された順行性ディスプレイ機構の異なる位置を概略的に示す図である。
【
図6】
図6は、
図1に示された順行性ディスプレイ機構の異なる位置を概略的に示す図である。
【
図7a】
図7aは、本発明による順行性ディスプレイ機構の第2の実施形態の例、より具体的には、ディスプレイ文字盤の第2の実施形態の例を概略的に示す図である。
【
図7b】
図7bは、本発明による順行性ディスプレイ機構の第2の実施形態の例、より具体的には、対応するディスプレイホイールの第2の実施形態の例を概略的に示す図である。
【
図8a】
図8aは、本発明による順行性ディスプレイ機構の第3の実施形態の例、より具体的には、ディスプレイ文字盤の第3の実施形態の例を概略的に示す図である。
【
図8b】
図8bは、本発明による順行性ディスプレイ機構の第3の実施形態の例、より具体的には、対応するディスプレイホイールの第3の実施形態の例を概略的に示す図である。
【
図9a】
図9aは、本発明による順行性ディスプレイ機構の第4の実施形態の例、より具体的には、ディスプレイ文字盤の第4の実施形態の例を概略的に示す図である。
【
図9b】
図9bは、本発明による順行性ディスプレイ機構の第4の実施形態の例、より具体的には、対応するディスプレイホイールの第4の実施形態の例を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
すべての図において、別段の指示がない限り、共通の要素には同じ参照番号が付される。
【0021】
本発明による順行性ディスプレイ機構100は、計時器、たとえば腕時計に収容されるように意図される。
【0022】
本発明による順行性ディスプレイ機構100は、時計ムーブメント(図示せず)によって、すなわち、機能が時分割に依存する機構によって作動するように構成される。
【0023】
順行性ディスプレイ機構100は、ディスプレイの円周上に分布された複数のガイドマークによって形成される周縁目盛りを有する、たとえば文字盤であるディスプレイに面している、たとえば針のような、ディスプレイオルガン(またはインジケータ)のジャンプディスプレイを生成するように構成され、これら連続するガイドマークの2つを分離する角度距離は、目盛りの他の連続するガイドマークの2つを分離する第1の角度αより大きい第2の角度βに対応する。目盛は、第1の角度αよりも大きい第2の角度β離された少なくとも2つの連続するガイドマークを含む。
【0024】
代替実施形態(図示せず)では、順行性ディスプレイ機構100は、たとえば、ディスクの円周上に分布された周縁目盛を形成し、ディスプレイオルガンの一部を露出させる窓を形成する文字盤に配置された開口部と協働する、複数のガイドマークを有するディスクのような、ディスプレイオルガンのジャンプによって、ディスプレイを生成するように構成される。
【0025】
順行性ディスプレイ機構100は、第1の角度α離された目盛りガイドマーク間の連続する短いジャンプを用いて、および、第2の角度β離された2つの連続する目盛りガイドマーク間の長いジャンプによって、ディスプレイオルガンを駆動するように構成される。
【0026】
図1から
図6に具体的に示された順行性ディスプレイ機構100の第1の実施形態の例では、順行性ディスプレイ機構100が、日付ディスプレイの具体例に適用される。しかしながら、本発明による順行性ディスプレイ機構は、すべての時間ベースの情報のディスプレイにも適用可能である。したがって、本発明による順行性ディスプレイ機構は、日付、時間、分、秒、またはクロノグラフ、ムーンフェイズ、カウンタ、パワーリザーブなどの順行性ディスプレイ機構にも等しく良好となることができる。
【0027】
図1から
図6に表される第1の例では、順行性ディスプレイ機構100は、日付目盛りを形成する複数のガイドマークを支持する文字盤3(
図3から
図6に表される)を含む。したがって、文字盤3は、文字盤3の円周上に分布された31個のガイドマークを含む。
【0028】
図示される例では、日付目盛りは、文字盤3の円周上に分布された1から31までの奇数と、2つの奇数の間に位置するインデクスとを備える。奇数の間に位置するインデクスは、ここでは偶数を表す。これらは、特にディスプレイの読み易さを向上させるために、目盛りの数字を置換する。したがって、本出願では、より明確にするために、数字のみを参照し、偶数は、ここではインデクスである。
【0029】
連続する数字31と数字1とを分離する角度距離は、日付目盛りの1と31との間の他の数字を分離する、第1の角度αよりも大きい第2の角度βに対応する。
【0030】
図1は、角度α離されたガイドマーク間の連続する短いジャンプによって、および、角度β離された目盛りガイドマーク間の長いジャンプによって角運動でディスプレイオルガンを駆動するための、本発明による順行性ディスプレイ機構100の概略斜視図を示す。
【0031】
図2は、
図1に示される順行性ディスプレイ機構100の底面図を概略的に示す。
【0032】
図1および
図2を参照して示すように、本発明による順行性ディスプレイ機構100は、時計ムーブメント(図示せず)によって直接回転駆動される、駆動ホイールと呼ばれる第1のホイール110を含む。
【0033】
図示される実施形態の例では、駆動ホイール110の回転速度は31日で1回転し、駆動ホイールは、時計ムーブメントによって1日1回移動される。したがって、駆動ホイール110は、1日に1ステップ、前に出される。
【0034】
この目的のために、駆動ホイール110は、文字盤3の日付目盛りの31個のガイドマークに対して、日付ディスプレイデバイスの31個のインデクス付けされた位置に対応する駆動ホイール110の、31個のインデクス位置に対する31個の歯に等しい歯数n1を含む。
【0035】
駆動ホイール110の各インデクス位置は、駆動ホイール110と協働するジャンパ180によってインデクス付けされる。ジャンパ180は、ピボット181を中心に回転可能であり、駆動ホイール110が各ステップ間の位置に確実に保持されるように、ジャンパビーク182が、歯と、駆動ホイール110の歯間空間と協働するように、ジャンパビーク182を駆動ホイール110の回転軸に戻そうとする弾性要素(図示せず)によって拘束される。
【0036】
順行性ディスプレイ機構100はさらに、駆動ホイール110と同軸に取り付けられた第2のホイール120を含む。第2のホイール120は、駆動ホイール110の歯数n1とは異なる歯数n2を含む。有利には、第2のホイール120は、駆動ホイール110の歯数n1よりも多い歯数n2を含む。
【0037】
駆動ホイール110および第2のホイール120は、回転時に、堅固に接続されていない。2つのホイール110,120は、弾性オルガン160によって互いに接続される。弾性オルガン160は、駆動ホイール110に堅固に接続された第1の端部161と、第2のホイール120に堅固に接続された第2の端部162とを含む。
【0038】
堅固な接続は、少なくとも自由度が固定されている機械的接続を意味する。
【0039】
順行性ディスプレイ機構100はさらに、文字盤3上に日付を表示するために、ディスプレイオルガンを駆動する、ディスプレイホイールと呼ばれる第3のホイール130を含む。
【0040】
たとえば、
図3から
図6に表されるように、ディスプレイ機構は、ディスプレイホイール130のバレル132に取り付けられた日付針2によって形成できる。
【0041】
代替実施形態(図示せず)によれば、ディスプレイオルガンは、ディスプレイホイール130に対する回転時に堅固に接続されたディスクであり、ディスクは、日付目盛りを形成する複数のガイドマークを有し、ディスクの一部を表すために、文字盤の開口部と協働するように構成される。
【0042】
駆動ホイール110は、ディスプレイホイール130を直接駆動する中間ホイール150を直接駆動する。中間ホイール150は、有利には、駆動ホイール110とディスプレイホイール130との間に設定ホイールを作成することを可能にする。
【0043】
ディスプレイホイール130は、少なくとも1つの歯付き部分と、歯のない「滑らかな」角度セクタを形成するように複数の歯が切頭された少なくとも1つの角度セクタ131とを含む。したがって、ディスプレイホイール130が完全に回転するたびに、瞬間的に、ディスプレイホイール130の滑らかな角度セクタ131が、中間ホイール150の歯部に面するとき、ディスプレイホイール130は、駆動ホイール110と直接係合しない。
【0044】
図1から
図6に示される特定の場合において、滑らかな角度セクタ131は、歯部の第1の歯d1と、歯部の最後の歯d30とによって境界付けられ、ディスプレイホイール130は、30個の歯を含む。
【0045】
図1から
図6に表される例では、ディスプレイホイール130は、少なくとも2つの歯が切頭されたゾーンを画定する、単一の滑らかな角度セクタ131を含む。
【0046】
したがって、ディスプレイホイール130は、歯付き部分に分布する有効歯数n3 effと、滑らかな角度セクタ131上の切頭歯数n3 tronqとを含む。したがって、ホイールの円周上の歯の当量に対応する数n3 equiが取得される。
【0047】
ディスプレイホイール130について、以下の関係がある。
n3 equi=n3 eff+n3 tronq
【0048】
ディスプレイホイール130はまた、必要に応じて、ディスプレイホイール130の円周上に均一に分布できる、あるいは均一に分布できない、多くのまたは少ない、大きな角度距離、等しい角度距離を有しているか、あるいは有していない、いくつかの歯付き部分と、いくつかの滑らかな角度セクタ131とを備えることができることが留意される。さらなる実施形態の例は、
図7から
図10を参照して以下に説明される。
【0049】
順行性ディスプレイ機構100はさらに、ディスプレイホイール130と同軸であり、ディスプレイホイール130を有するホイールとの回転時に堅固に接続された第4のホイール140を含む。第4のホイールは、歯数n4を含む。
【0050】
第4のホイール140は、第2のホイール120と直接噛み合う第2の中間ホイール170と直接噛み合い、第2のホイール120は、第2の中間ホイール170によって回転駆動される。
【0051】
有利には、第2のホイール120は、駆動ホイール110の歯数n1よりも多い歯数n2を有し、駆動ホイール110の回転速度よりも低い回転速度を有し、よって、駆動ホイール110の回転中、弾性オルガン160を徐々に巻き上げ、すなわち、チャージする。
【0052】
有利には、秒ホイール120およびディスプレイホイール130はそれぞれ、駆動ホイール110の歯数n1よりも多い、歯数n2および歯数n3 equiを有する。有利には、秒ホイール120およびディスプレイホイール130は、同じ歯数(n2=n3 equi)を有する。
【0053】
有利には、第2のホイール120、ディスプレイホイール130、および第4のホイール140はそれぞれ、駆動ホイール110の歯数n1よりも多い、歯数n2、歯数n3 equi、および歯数n4を有する。有利には、第2のホイール120、ディスプレイホイール130、および第4のホイール140は、同じ歯数(n2=n3 equi=n4)を有する。
【0054】
図3から
図6に示される実施形態の例では、文字盤3は、日付目盛りを含む。日付目盛りは、文字盤3の円周に均一に分布していない31個のガイドマークを含むが、これは、数字31と数字1との間の第2の角度βが、1から31の間の他の数字を分離する第1の角度αよりも大きいためである。
【0055】
この例では、角度βは、角度αの2倍大きい。
【0056】
このように、文字盤3は、32個の等間隔の区画に分割され、そのうちの2つの連続する区画は、第1の角度α離される。
【0057】
これら区画は、インデクス付け可能な位置Pxを形成し、ここで、xの範囲は、1から32である。
【0058】
日付目盛りガイドマークを形成する31個の数字は、文字盤3の31個のインデクス付け可能な位置である、位置P1からP31に分布する。
【0059】
インデクス付け可能な位置P32(仮想的に、点線で表される)は、ガイドマークがなく、数字31(インデクス付け可能な位置P31)と、数字1(インデクス付け可能な位置P1)との間の角度βの長いジャンプを行う日付針2によって直接ジャンプされることが意図される。
【0060】
駆動ホイール110は、日付針2の31個のインデクス付けされた位置に対応する31個の歯を、したがって、日付目盛りの文字盤3の31個のガイドマークを含む。
【0061】
有利には、第2のホイール120は、以下の関係によって定義される歯数n2を含む。
【0062】
【0063】
ここで、
αは、少なくとも2つの連続する目盛ガイドマークを分離する第1の角度距離に対応する第1の角度であり、
βiは、目盛のセクタSiにおいて、少なくとも2つの他の連続する目盛ガイドマークを分離する、第1の角度距離とは異なる第2の角度距離に対応する、第1の角度αよりも大きい第2の角度であり、
iは、1からjまでの整数であり、
jは、2つの連続する目盛ガイドマークが、第1の角度αよりも大きい第2の角度βi離間されている目盛のセクタSiの総数に対応する整数である。
【0064】
上記のように、第2の角度βは、第1の角度αの2倍大きい。
n1=31
β/α=2
n2=32=n3 equi=n4
【0065】
ディスプレイホイール130の滑らかな角度セクタ131における切頭された歯数n3 tronqは、第2の角度βと第1の角度αとの比率と等価である。
【0066】
【0067】
したがって、
図1から
図6に表される実施形態の例では、ディスプレイホイール130は、2つの連続する歯が、滑らかな角度セクタ131において切頭される、32個の歯のホイールと等価である。したがって、ディスプレイホイール130は、30個の有効な歯n
3 effを有する。
【0068】
駆動ホイール110が完全に回転する場合、第2のホイール120は、31日で回転を完了する駆動ホイール110に対して1/32°の角度損失を有する。駆動ホイール110と第2のホイール120との間の相対的な回転速度差は、所与の期間、ここでは31日間、弾性変形によって弾性オルガン160を徐々にチャージ、すなわち巻き上げる。
【0069】
弾性オルガン160は、帯ばね、シート、板ばね、渦巻きばね、または腕時計製造の分野で従来から使用されている他の任意の弾性要素とすることができる。
【0070】
図1から
図6に示される実施形態の例では、弾性オルガン160は、駆動ホイール110と一体化される。その結果、第1の端部161は、駆動ホイール110とワンピースで作られ、第2の端部162は、第2のホイール120に接続される。
【0071】
たとえば、第2の端部162は、第2のホイール120に配置された楕円形のループ121と協働するピン163を含むフックヘッドを形成して、回転中の弾性オルガン160の第2の端部162を、第2のホイール120に堅固に接続する。
【0072】
図示されていない実施形態の例によれば、弾性オルガンは、第2の端部162が、第2のホイール120とワンピースで作られ、第1の端部161が、駆動ホイール110に接続されるように、第2のホイール120と一体化される。
【0073】
順行性ディスプレイ機構の機能
順行性ディスプレイ機構100の機能は、
図1から
図2を参照して説明された実施形態の例の機能を表す、
図3から
図6を参照して以下に説明される。
【0074】
図3は、インデクス付け可能な位置P
1に対応する、文字盤3の日付目盛の数字1に日付針2がインデクス付けされているときの順行性ディスプレイ機構100を示す。
【0075】
順行性ディスプレイ機構100のこの初期位置から、ディスプレイホイール130は、駆動ホイール110の各ステップにおいて、駆動ホイール110によって31日間駆動される。この31日の期間中、日付針2は、角度αの連続する短いジャンプによって、1日に1回角度的に移動される。したがって、日付針2は、角度α離された文字盤3の異なる区画、すなわちインデクス付け可能な位置P
xに対応する異なる日付目盛ガイドマークで、すなわち、数字1と数字31との間で、
図4に示すように、文字盤3の日付目盛りの数字の31(位置P
31)に達するまで、毎日インデクス付けされる。
【0076】
この31日間の期間中、駆動ホイール110と、機構の他のホイール120,130,140との間のギア比は、駆動ホイール110と第2のホイール120との間の角度遅れを誘発する。駆動ホイール110による各増分で増加するこの遅れは、弾性オルガン160を徐々にチャージする。
【0077】
日付針2が、文字盤3の位置P31(日目盛りの数字31)にインデクス付けされるとき、駆動ホイール110と第2のホイール120との間の相対的な角度差は最大であり、弾性オルガン160は、その最大巻き上げ位置にある。
【0078】
逆に、
図3に示すように、日付針2が、文字盤3のインデクス付け可能な位置P
1(日付目盛の数字1)にインデクス付けされたとき、駆動ホイール110と秒ホイール120との間の相対的な角度差は最小であり、弾性オルガン160は、その解放位置にある。
【0079】
図4に示すように、ディスプレイオルガンを、インデクス付け可能な位置P
31にインデクス付けした後、駆動ホイール110の次のステップは、滑らかな角度セクタ131が中間ホイール150に面する位置に到達するまで、
図5に示されるように、ディスプレイホイール130がもはや駆動ホイール110と係合しないように、ディスプレイホイール130のさらなる回転を駆動する。ディスプレイホイール130が駆動ホイール110と瞬間的に噛み合わなくなると、弾性オルガン160は、過去31日間にわたって蓄積されたエネルギを自由に解放できる。
【0080】
弾性オルガン160の解放下で、秒ホイール120は、駆動ホイール110に対して、過去31日間にわたって蓄積された角度損失を補う傾向があり、ディスプレイホイール130を(駆動ホイール110の回転と同じ方向に)回転駆動し、これにより、滑らかな角度セクタ131が通過し、中間ホイール150が、
図6に示すように、滑らかな角度セクタ131に隣接する歯d1と接触するまで、日付針2が前方(時計回り方向)に移動する。
【0081】
駆動ホイール110は、毎日の角度ステップに対応するその回転をまだ完了していないのに対し、弾性オルガンはその後瞬時に解放される。このフェーズは、特に
図6に示される。この図では、日付針2がまだ文字盤3のガイドマーク1に面していないことが留意される。
【0082】
実際、この段階では、ジャンパ180が、駆動ホイール110の2つの歯の間にまだ配置されていないため、駆動ホイール110のステップはまだ完了していない。弾性要素の戻り力がジャンパ180に作用することにより、ジャンパ180は、駆動ホイール110の回転を、次のインデクス付け位置に終結させようとする。ジャンパ180の作用下で駆動ホイール110がさらに回転することにより、上記で説明した
図3に示されるように、第1の中間ホイール150を、したがって、ディスプレイホイール130をステップから脱調させて、日付針2のジャンプを終結させ、文字盤3の日付目盛りの数字1に面している日付針2を移動させることが可能になる。
【0083】
したがって、日付目盛りの数字31と数字1との間の日付針2の角度βの長いジャンプは、駆動ホイール110の毎日のステップによって、および、弾性部材160の解放によって、従来的に生成された角度αの回転に対応し、角度ε=β-αのさらなる回転を引き起こし、日付目盛りの数字1に直接到達する。
【0084】
明らかに、弾性オルガン160の解放によるディスプレイホイール130の、したがって日付針2の回転は、以前のインデクス付け期間中に蓄積されたエネルギと、ディスプレイホイール130の滑らかな角度セクタ131の角度距離とに依存する。したがって、異なる構成が可能であり、角度βの長いジャンプは、角度αの2倍よりも大きくなる場合がある。
【0085】
代替実施形態
図7aおよび
図7bは、日付の表示のための本発明による順行性ディスプレイ機構の第2の実施形態の例を示す。
図7aは、日付目盛を支持する文字盤3の第2の実施形態の例を示し、
図7bは、対応するディスプレイホイールの第2の実施形態の例を示す。
【0086】
この第2の実施形態の例では、文字盤3は、35個の等間隔の区画に分割され、そのうち2つの連続する区画は、第1の角度α離される。
【0087】
これら区画は、インデクス付け可能な位置Pxを形成し、ここで、xの範囲は1から35である。
【0088】
日付目盛りガイドマークを構成する31個の数字は、文字盤3の31個のインデクス付け可能な位置Px、位置P1から位置P15、および位置P16から位置P35に分布する。
【0089】
この実施形態の例では、ここでは位置P16から位置P19である、文字盤3の4つの連続する区画、すなわちインデクス付け可能な位置は、架空のものであり、日付ガイドマークを有していない。その結果、これら区画は、日付針2によってインデクス付けされるように意図されていない。
【0090】
実際、ここで日付針2は、数字15と数字16との間で、数字15(インデクス付け可能な可能位置P15)から数字16(インデクス付け可能な可能位置P20)まで、日付目盛りの他の数字の間の角度αよりも5倍大きい、角度βの長いジャンプを実行する。
【0091】
駆動ホイール110は、日付針2の31個のインデクス付けされた位置に対応する31個の歯を含み、したがって、日付目盛りの文字盤3の31個のガイドマークを含む。
【0092】
第2のホイール120は、以下の関係によって定義される歯数n2を含む。
【0093】
【0094】
ここで、j=i=1であり、
n2=31+(5-1)=35
【0095】
したがって、この第2の実施形態の例では、第2のホイール120および第4のホイールは、35個の歯を有し、ディスプレイホイール130は、35個の歯のホイールと等価である。
【0096】
ディスプレイホイール130の滑らかな角度セクタ131において切頭された歯数n3 tronqは、5に等しい。
【0097】
【0098】
その結果、この第2の実施形態の例では、ディスプレイホイール130は、滑らかな角度セクタ131において、5つの連続する歯が切頭される、35個の歯のホイールと等価である。したがって、ディスプレイホイール130は、30個の有効歯を有する。
【0099】
図8aおよび
図8bは、分の表示のための本発明による順行性ディスプレイ機構の第3の実施形態の例を示す。
図8aは、分目盛りを支持する文字盤3の第3の実施形態の例を示し、
図8bは、対応するディスプレイホイールの第3の実施形態の例を示す。
【0100】
この第3の実施形態の例では、文字盤3は、66個の等間隔の区画に分割され、そのうちの2つの連続する区画は、第1の角度α離される。
【0101】
これら区画は、インデクス付け可能な位置Pxを形成し、ここで、xの範囲は1から66である。
【0102】
この第3の実施形態では、分目盛りの60個のガイドマークは、文字盤3の60個のインデクス付け可能な位置Px、位置P1から位置P30、および位置P34から位置P63に分布する。
【0103】
文字盤3は、ここでは位置P31から位置P33、および位置P64から位置P66である3つの連続する区画を含む2つのセクタS1およびセクタS2を含み、これらは架空のものであり、分のガイドマークを有していない。その結果、これら区画は、分針によってインデクス付けされるように意図されていない。
【0104】
したがって、数字30と数字31との間の第1のセクタS1において、分針はここで、分目盛数字間の短いジャンプに対応する角度αよりも4倍大きい、角度β1の第1の長いジャンプを実行する。
【0105】
数字60と数字1との間の第2のセクタS2において、分針はここで、分目盛数字間の短いジャンプに対応する角度αよりも4倍大きい、角度β2の第2の長いジャンプを実行する。
【0106】
この実施形態の例では、駆動ホイールは、分ディスプレイオルガンによってインデクス付けされる60分のための60個のへこみを含む。
【0107】
第2のホイール120は、以下の関係によって定義される歯数n2を含む。
【0108】
【0109】
ここで、j=2であり、
n2=n1+((β1/α)-1)+((β2/α)-1)
n2=60+(4-1)+(4-1)=66
【0110】
したがって、この第3の実施形態の例では、第2のホイール120および第4のホイールは、66個の歯を有し、ディスプレイホイール130は、66個の歯のホイールに等価である。
【0111】
図8bに示されるディスプレイホイール130は、ここでは
図8aに示される文字盤3の分目盛りにおいて、ディスプレイオルガンのインデクス付けのみならず、角度αの短いジャンプと、角度β
1および角度β
2の2つの長いジャンプとを実行できるようにするために、互いに対向する2つの滑らかな角度セクタ131a,131bを含む。
【0112】
ディスプレイホイール130の第1の滑らかな角度セクタ131aにおける切頭歯数n3 tronqは、4に等しい。
【0113】
【0114】
ディスプレイホイール130の第2の滑らかな角度セクタ131bにおける切頭歯数n’3 tronqは、4に等しい。
【0115】
【0116】
その結果、この第3の実施形態の例では、ディスプレイホイール130は、4つの連続する歯が、第1の滑らかな角度セクタ131aにおいて切頭され、4つの連続する歯が、第2の滑らかな角度セクタ131bにおいて切頭される、66個の歯のホイールと等価である。
【0117】
したがって、ディスプレイホイール130は、滑らかな角度セクタ131aと角度セクタ131bおのおのの間の29個の連続する歯であるか、または第1の歯付き部分における29個の連続する歯と、第2の歯付き部分における29個の連続する歯とである、58個の有効な歯を有する。
【0118】
図9aおよび
図9bは、特に分のディスプレイのための、本発明による順行性ディスプレイ機構の第4の実施形態の例を示す。
図9aは、分目盛りを支持する文字盤3の第4の実施形態の例を示し、
図9bは、対応するディスプレイホイールの第4の実施形態の例を示す。
【0119】
この第4の実施形態の例では、文字盤3は、68個の等間隔の区画に分割され、そのうちの2つの連続する区画は、第1の角度α離される。
【0120】
これら区画は、インデクス付け可能な位置Pxを形成し、ここで、xの範囲は1から68である。
【0121】
この第4の実施形態の例では、60個の分目盛りガイドマークは、60個のインデクス付け可能な位置Pxに分布する。
【0122】
文字盤3は、ここでは位置P16,P17,P33,P34,P50,P51,P67,P68である、2つの連続する区画の4つのセクタS1,S2,S3およびS4を含み、これらは架空のものであり、分のガイドマークを有しない。その結果、これら区画は、分針によってインデクス付けされるように意図されていない。
【0123】
したがって、数字15と数字16との間の第1のセクタS1において、分針はここで、分目盛数字間の短いジャンプに対応する角度αよりも3倍大きい、角度β1の第1の長いジャンプを実行する。
【0124】
数字30と数字31との間の第2のセクタS2において、分針はここで、分目盛数字間の短いジャンプに対応する角度αよりも3倍大きい、角度β2の第2の長いジャンプを実行する。
【0125】
数字45と数字46との間の第3のセクタS3において、分針はここで、分目盛数字間の短いジャンプに対応する角度αよりも3倍大きい、角度β3の第3の長いジャンプを実行する。
【0126】
数字60と数字1との間の第4のセクタS4において、分針はここで、分目盛数字間の短いジャンプに対応する角度αよりも3倍大きい、角度β4の第4の長いジャンプを実行する。
【0127】
この実施形態の例では、駆動ホイールは、分ディスプレイオルガンによってインデクス付けされる60分のための60個のへこみを含む。
【0128】
第2のホイール120は、以下の関係によって定義される歯数n2を含む。
【0129】
【0130】
ここで、j=4であり、
n2=n1+((β1/α)-1)+((β2/α)-1)+((β3/α)-1)+((β4/α)-1)
n2=60+(3-1)+(3-1)+(3-1)+(3-1)=68
【0131】
したがって、第2のホイール120および第4のホイールは、68個の歯を有し、ディスプレイホイール130は、68個の歯のホイールと等価である。
【0132】
図9bに示されるディスプレイホイール130は、ここでは、ディスプレイホイール130上に等距離に分布する4つの滑らかな角度セクタ131a,131b,131c,131dを含み、
図9aに示されるように、文字盤3の分目盛りにおけるディスプレイオルガンのインデクス付けのみならず、角度αの短いジャンプ、および角度β
1,β
2,β
3,β
4の4つの長いジャンプを実行することを可能にする。
【0133】
ディスプレイホイール130の第1の滑らかな角度セクタ131aにおける切頭歯数n3 tronqは、3に等しい。
【0134】
【0135】
ディスプレイホイール130の第2の滑らかな角度セクタ131bにおける切頭歯数n’3 tronqは、3に等しい。
【0136】
【0137】
ディスプレイホイール130の第3の滑らかな角度セクタ131cにおける切頭歯数n’’3 tronqは、3に等しい。
【0138】
【0139】
ディスプレイホイール130の第4の滑らかな角度セクタ131dにおける切頭歯数n’’’3 tronqは、3に等しい。
【0140】
【0141】
したがって、この第4の実施形態の例では、ディスプレイホイール130は、2つの連続する歯が、4つの滑らかな角度セクタ131a,131b,131c,131dで切頭される、68個の歯のホイールと等価である。
【0142】
したがって、ディスプレイホイール130は、56個の有効な歯、すなわち、滑らかな各角度セクタ131a,131b,131c,131dの間に14個の連続する歯を有する。したがって、ディスプレイホイール130は、14個の歯の第1の歯付き部分、14個の歯の第2の歯付き部分、14個の歯の第3の歯付き部分、および14個の歯の第4の歯付き部分を含み、歯付き部分のおのおのは、3つの歯に等価である角度セクタに対応する滑らかな角度セクタ131a,131b,131c,131dによって分離される。
【0143】
本発明はまた、そのような順行性ディスプレイ機構を含む時計ムーブメントにも関する。
【0144】
本発明はまた、そのような時計ムーブメントを含む、腕時計などの計時器にも関する。
【符号の説明】
【0145】
2 日付針、ディスプレイオルガン
3 文字盤、ディスプレイ
100 順行性ディスプレイ機構
110 第1のホイール、駆動ホイール
120 第2のホイール、秒ホイール
121 ループ
130 第3のホイール、ディスプレイホイール
131 角度セクタ
131a 角度セクタ
131b 角度セクタ
131c 角度セクタ
131d 角度セクタ
132 バレル
140 第4のホイール
150 中間ホイール
160 弾性オルガン
161 第1の端部
162 第2の端部
163 ピン
170 第2の中間ホイール
180 ジャンパ
181 ピボット
182 ジャンパビーク
d1 第1の歯
d30 最後の歯
P1 位置
P15 位置
P20 位置
P30 位置
P31 位置
P32 位置
P33 位置
P34 位置
P35 位置
P63 位置
P64 位置
P66 位置
S1 第1のセクタ
S2 第2のセクタ
S3 第3のセクタ
S4 第4のセクタ
α 第1の角度
β 第2の角度
β1 角度
β2 角度
β3 角度
β4 角度
【外国語明細書】