(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023168264
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】ノズルプレート、流体吐出ヘッドと流体吐出ヘッドを作製するための方法
(51)【国際特許分類】
B41J 2/14 20060101AFI20231116BHJP
B41J 2/16 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
B41J2/14 501
B41J2/16 401
B41J2/16 509
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023076699
(22)【出願日】2023-05-08
(31)【優先権主張番号】17/662,873
(32)【優先日】2022-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】723005698
【氏名又は名称】船井電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148460
【弁理士】
【氏名又は名称】小俣 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100168125
【弁理士】
【氏名又は名称】三藤 誠司
(72)【発明者】
【氏名】グラハム・デビッド シー.
(72)【発明者】
【氏名】ウィーバー・ショーン ティー.
【テーマコード(参考)】
2C057
【Fターム(参考)】
2C057AF71
2C057AG14
2C057AG46
2C057AP13
2C057AP47
2C057BA04
2C057BA13
(57)【要約】
【課題】流体吐出装置のための流体吐出ヘッドのノズルプレート、前記ノズルプレートを含む流体吐出ヘッド、及び前記のノズルプレートを含む流体吐出ヘッドを作製するための方法を提供する。
【解決手段】ノズルプレートは、ノズル孔のアレイと、ノズルプレートの露出面に取り付けられる流体チャネル層とを含み、流体チャネル層は、流体を各ノズル孔から遠ざけるために各ノズル孔に隣接する流体チャネル層に形成される流体チャネルを含む。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体吐出装置のための流体吐出ヘッドのノズルプレートであって、
ノズル孔の2つ以上のアレイと、
前記ノズルプレートの露出面に取り付けられる流体チャネル層と
を含み、
前記流体チャネル層は、流体を各前記ノズル孔から遠ざけるため各前記ノズル孔に隣接する前記流体チャネル層に形成される流体チャネルを含む、
ノズルプレート。
【請求項2】
フォトイメージアブル層を含む、
請求項1に記載のノズルプレート。
【請求項3】
前記流体チャネル層が、各前記ノズル孔に外接する窪み領域を更に含む、
請求項1に記載のノズルプレート。
【請求項4】
各前記ノズル孔に外接する前記窪み領域は、各前記ノズル孔に隣接する前記流体チャネルと流体連通している、
請求項3に記載のノズルプレート。
【請求項5】
前記流体チャネル層は、各前記ノズル孔のための各流体チャンバの上方に設けられる矩形窪み領域を更に含む、
請求項1に記載のノズルプレート。
【請求項6】
前記矩形窪み領域は、各前記ノズル孔に隣接する前記流体チャネルと流体連通している、
請求項5に記載のノズルプレート。
【請求項7】
前記流体チャネルは、各前記ノズル孔から前記ノズルプレートの非機能領域へ向け前記流体を吸い上げる毛細管現象を促すサイズを有する、
請求項1に記載のノズルプレート。
【請求項8】
請求項1に記載の前記ノズルプレートを含む、
流体吐出装置のための流体吐出ヘッド。
【請求項9】
流体吐出装置のための流体吐出ヘッドを作製するための方法であって、
第1のネガ型フォトレジスト層を半導体基板のデバイス面に塗布することであって、前記第1のネガ型フォトレジスト層は、多官能エポキシ化合物、第1の二官能エポキシ化合物、光酸発生剤、接着増強剤、及びアリールケトン溶媒を含む組成物に由来することと、
複数のフロー特徴を提供するため、前記第1のネガ型フォトレジスト層を画像形成して現像することと、
第2のネガ型フォトレジスト層を前記第1のネガ型フォトレジスト層の露出面に塗布することであって、前記第2のネガ型フォトレジスト層は、約10~約30ミクロンの範囲の厚さを有し、第2の二官能エポキシ化合物、比較的高分子量のポリヒドロキシエーテル、前記光酸発生剤、前記接着増強剤、及び脂肪族ケトン溶媒を含む第2のフォトレジスト製剤に由来することと、
複数のノズル孔を有するノズルプレートを提供するため、前記第2のネガ型フォトレジスト層を画像形成して現像することと、
前記ノズルプレートの露出面に第3のネガ型フォトレジスト層を塗布することと、
流体を各前記ノズル孔から遠ざけるため各前記ノズル孔に隣接する流体チャネルを提供するため、前記第3のネガ型フォトレジスト層を画像形成して現像することと
を含む、
方法。
【請求項10】
前記ノズルプレートはフォトイメージアブル層を含む、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第3のネガ型フォトレジスト層にて各前記ノズル孔に外接する窪み領域を提供するため、前記第3のネガ型フォトレジスト層を画像形成して現像すること
を更に含む、
請求項9に記載の方法。
【請求項12】
各前記ノズル孔に外接する前記窪み領域は、各前記ノズル孔に隣接する前記流体チャネルと流体連通している、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
各前記ノズル孔のための各流体チャンバの上方で前記第3のネガ型フォトレジスト層に設けられる矩形窪み領域を提供するため、前記第3のネガ型フォトレジスト層を画像形成して現像すること
を更に含む、
請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記矩形窪み領域は、各前記ノズル孔に隣接する前記流体チャネルと流体連通している、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記流体チャネルは、各前記ノズル孔から前記ノズルプレートの非機能領域へ向け前記流体を吸い上げる毛細管現象を促すサイズを有する、
請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体吐出装置のための改善されたフォトイメージアブルノズル、及び、連続使用の間に吐出ヘッドノズル部材の自己洗浄を提供する方法及び構造を対象とする。
【背景技術】
【0002】
従来の流体吐出装置の流体吐出ヘッドは、流体吐出ヘッドのノズルプレート上に余剰となった流体が残るため、定期的な洗浄を要する。流体吐出ヘッドが定期的に洗浄されない場合、乾燥したインクといった流体の蓄積が流体吐出ヘッド中のノズル孔からの流体吐出を劣化させる。インクといった流体の蓄積は、コンベアに沿って移動する段ボールや他の物品といった梱包材上に印刷するために用いられる印刷装置にとって、特に問題となる。個人向けインクジェット印刷装置には筐体及びその中の吐出ヘッドクリーニングステーションが提供されるのに対し、梱包作業に用いられる産業用プリンタは、典型的に細長い固定吐出ヘッドを有し、吐出ヘッドのためのクリーニングステーションを備えていない。従って、そのような印刷装置のノズルプレート上のインクの蓄積は、ノズルプレートの1つ以上のノズルを閉塞させるかそのサイズを減少させる、及び/又は、流体の吐出される液滴のミスディレクションを引き起こす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
図1と
図2に示すように、従来の吐出ヘッド10は、互いに密に隣接する複数のノズル孔12aと12bを有する。印刷動作の間、流体は、吐出ヘッドチップ16を貫通してエッチングされた流体ビア14から、吐出ヘッド10の流体フロー層22中の1つ以上のフローチャネル18及び関連付く流体チャンバ20へ供給される。薄膜抵抗といった流体吐出器24が流体チャンバ20の流体を加熱するために用いられることができ、これにより流体をノズルプレート26のノズル孔12を通じて吐出させる。
図2は、ノズル孔12の2つのアレイ28aと28b及び流体吐出器24を示している。流体吐出の間、ノズル孔12に隣接するノズルプレート26の表面30上に流体が蓄積する傾向にある。流体は、ノズル孔12aと12bに隣接するノズルプレート26の表面30上に蓄積して、乾燥するか、さもなくばノズル孔12から吐出される流体に干渉する。よって、ノズルプレート26の表面30から乾燥した流体及び余剰流体を除去するため、定期的にノズルプレート26を洗浄する必要がある。しかし、上述したような産業用プリンタは、ノズルプレートを洗浄するためのメンテナンスステーションや他の手段を備えていない。典型的に、印刷すべき基板は、固定流体吐出ヘッド10の下方を通過するか隣接する。ノズルプレート26を洗浄又は拭き洗浄するために吐出ヘッド10をメンテナンスステーションへ移動させるための機構は存在しない。従って、ノズルプレートのノズル孔に隣接するインクといった流体の蓄積を低減させる自己洗浄型ノズルプレートが必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記を鑑み、本発明の実施形態は、流体吐出装置のための流体吐出ヘッドのノズルプレートを提供する。ノズルプレートは、2つ以上のノズル孔と、ノズルプレートの露出面に取り付けられる流体チャネル層とを含む。流体チャネル層は、各ノズル孔から流体を遠ざけるため各ノズル孔に隣接する流体チャネル層に形成される流体チャネルを含む。
【0005】
本発明のもう1つの実施形態は、流体吐出装置のための流体吐出ヘッドを作製するための方法を提供する。該方法は、半導体基板のデバイス面に第1のネガ型フォトレジスト層を塗布することを含む。第1のネガ型フォトレジスト層は、多官能エポキシ化合物、第1の二官能エポキシ化合物、光酸発生剤、接着増強剤、及びアリールケトン溶媒を含む組成物に由来する。第1のネガ型フォトレジスト層は、その複数のフロー特徴を提供するため、画像形成されて現像される。第2のネガ型フォトレジスト層が、第1のネガ型フォトレジスト層の露出面に塗布される。第2のネガ型フォトレジスト層は、約10ミクロン~約30ミクロンの範囲の厚さを有し、第2の二官能エポキシ化合物、比較的高分子量のポリヒドロキシエーテル、光酸発生剤、接着増強剤、及び脂肪族ケトン溶媒を含む第2のフォトレジスト製剤に由来する。第2のネガ型フォトレジスト層は、複数のノズル孔を有するノズルプレートを提供するため画像形成されて現像される。第3のネガ型フォトレジスト層がノズルプレートの露出面に塗布される。第3のネガ型フォトレジスト層は、各ノズル孔から流体を遠ざけるため各ノズル孔に隣接する流体チャネルを提供するため、画像形成されて現像される。
【0006】
いくつかの実施形態において、ノズルプレートはフォトイメージアブル層から成る。
【0007】
いくつかの実施形態において、各ノズル孔に外接する、第3のネガ型フォトレジスト層中の窪み領域を更に含む。他の実施形態において、第3ネガ型フォトレジスト層中の各ノズル孔に外接する窪み領域は、各ノズル孔に隣接する流体チャネルと流体連通している。
【0008】
いくつかの実施形態において、各ノズル孔のための各流体チャンバの上方に設けられる、第3のネガ型フォトレジスト層中の矩形窪み領域を更に含む。他の実施形態において、矩形窪み領域は、各ノズル孔に隣接する流体チャネルと流体連通している。
【0009】
いくつかの実施形態において、流体チャネルは、ノズルプレートの各ノズル孔から非機能領域へ向け流体を吸い上げる毛細管現象を促すサイズを有する。
【発明の効果】
【0010】
ここで説明するノズルプレート構造及び方法の利点は、ノズルプレートのノズル孔に隣接する流体の蓄積が、実質的に根絶されずとも大幅に低減されることである。流体は、ノズル孔から流体チャネルを通ってノズルプレートの非機能領域へ引き離される。「非機能領域」とは、流体吐出又は印刷動作の間にノズル孔を介して吐出される流体が干渉しない領域を意味する。そのような領域は、ノズル孔から流体チャネルの先端に向かって距離が置かれた、吐出器サイズよりも広い領域を含んでよい。従って、本実施形態は、拭き洗浄により余剰となる流体をノズルプレートから除去することなく、又は、他のメンテナンス動作なしに、流体吐出を可能とする構造及び方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】先行技術の流体吐出ヘッドの一部の、縮尺通りでない、断面図である。
【
図2】
図1の先行技術の流体吐出ヘッドの該部分の、縮尺通りでない、平面図である。
【
図3】本発明の1つの実施形態による流体吐出ヘッドの一部の、縮尺通りでない、断面図である。
【
図4】流体をノズル孔から遠ざけるために流体吐出ヘッドのノズルプレートに取り付けられた層に流体チャネルとトラフとを含む、
図3の流体吐出ヘッドの該部分の、縮尺通りでない、平面図である。
【
図5】本発明の実施形態による吐出ヘッドの平面顕微鏡写真である。
【
図6】本発明の実施形態による吐出ヘッドの平面顕微鏡写真である。
【
図7】本発明の実施形態による吐出ヘッドの平面顕微鏡写真である。
【
図8】本発明の実施形態による吐出ヘッドを製造するためのステップを表す、縮尺通りでない、断面図である。
【
図9】本発明の実施形態による吐出ヘッドを製造するためのステップを表す、縮尺通りでない、断面図である。
【
図10】本発明の実施形態による吐出ヘッドを製造するためのステップを表す、縮尺通りでない、断面図である。
【
図11】本発明の実施形態による吐出ヘッドを製造するためのステップを表す、縮尺通りでない、断面図である。
【
図12】本発明の実施形態による吐出ヘッドを製造するためのステップを表す、縮尺通りでない、断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、特にプリンタである流体分注装置のための流体吐出ヘッドのための改善されたノズルプレートを対象とする。応用によっては、プリンタは、コンベアに沿って移動する梱包材といった基板上に印刷するため、直線状長尺アレイに並んで設けられる一連の固定流体吐出ヘッドを有する。
【0013】
本発明の実施形態による流体吐出ヘッド40の一部を、
図3の断面図及び
図4の平面図に表す。流体吐出ヘッド40は、その直線状アレイに沿って設けられる複数の流体吐出ノズル孔42aと42bを含む。流体をフローチャネル18を通じて上述したような流体チャンバ20に設けられる流体吐出器24へ提供するため、流体は半導体基板16にエッチングされた流体供給ビア14から抵抗ヒータといった流体吐出器24へ提供される。
【0014】
ノズルプレート26の表面30上(
図1)で流体が蓄積して乾燥することを防ぐため、
図3と
図4に示すように、ノズルプレート26に施された層82に流体チャネル46が形成される。流体チャネル46は、毛細管現象によりノズル孔42から、印刷動作に対して非機能的なノズルプレート26の遠位部分へ流体を遠ざけるのに十分な長さ(L)と幅(W)を有する。非機能領域は、ノズル孔に隣接する流体チャネルの縁部とは逆の流体チャネル46の遠位端に向かう。流体チャネル46の長さ(L)は、約0.1ミクロンからおよそノズルプレート26の外縁までの範囲であってよく、流体チャネル46の幅(W)は、約0.1ミクロンから流体吐出器24の直径の約2倍までの範囲であってよい。流体チャネル46は、約0.1ミクロン~約100ミクロンの深さ(D)で層82に形成されてよい。深さ(D)は、層82の厚さと同一であるか、層82の厚さ未満であってよい。いくつかの実施形態において、矩形トラフ50は流体チャネル46と同一の深さで層82に形成されてよい。矩形トラフ50はノズル孔42を囲んでよく、ノズル孔42を囲む流体が流体チャネル46に進入してノズル孔46から引き離されることを可能とする。
図4による吐出ヘッド40の顕微鏡写真を
図5に示す。
【0015】
もう1つの実施形態において、ノズル孔42を囲む円形トラフ52が層82に形成されてよい。矩形トラフ50のように、円形トラフは流体をノズル孔42から遠ざけるためにチャネル46に接続される。チャネル46に接続された円形トラフ52を有する吐出ヘッド54の顕微鏡写真を
図6に表す。
【0016】
更に他の実施形態において、
図7における吐出ヘッド58の顕微鏡写真に示すように、流体をノズル孔42から引き離すため、層82中の幅(W)未満の幅(W1)を有するチャネル56が用いられてよい。
【0017】
図8~
図12を参照し、本発明の実施形態による改善された吐出ヘッドを作製するための方法を表す。処理の第1ステップとして、流体吐出装置24を含む半導体基板16が提供される。基板16の表面62へ第1のフォトレジスト材料層60をスピンコート又は積層するといった従来の方法により、第1のフォトレジスト材料層60が基板16の表面62に塗布される。
【0018】
第1のフォトレジスト材料層60は、第1の二官能エポキシ化合物、光酸発生剤、非反応性溶媒、そして任意的に接着増強剤に由来する。本発明のいくつかの実施形態において、第1のフォトレジスト材料層60は、多官能エポキシ化合物、二官能エポキシ化合物、光酸発生剤、非反応性溶媒、そして任意的に接着増強剤を含む。
【0019】
本発明の実施形態によると、第1のフォトレジスト材料層60を製造するためのフォトレジスト製剤において、二官能エポキシ成分は、ビスフェノール-Aのジグリシジルエーテル(例えば、テキサス州ヒューストンのシェルケミカル社から「EPON 1007F」、「EPON 1007」、及び「EPON 1009F」の商品名において入手可能なもの、ミシガン州ミッドランドのダウ・ケミカル社から入手可能な「DER-331」、「DER-332」、及び「DER-334」)、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(例えば、コネチカット州ダンベリーのユニオンカーバイド社から入手可能な「ERL-4221」)、3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキサンカルボキシレート(例えば、ユニオンカーバイド社から入手可能な「ERL-4201」)、ビス(3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルメチル)アジペート(例えば、ユニオンカーバイド社から入手可能な「ERL-4289」))、及び、ビス(2,3-エポキシシクロペンチル)エーテル(例えば、ユニオンカーバイド社から入手可能な「ERL-0400」)を含む二官能エポキシ化合物から選択されてよい。
【0020】
特に適する二官能エポキシ成分は、約1000よりも大きいエポキシ当量を有する、テキサス州ヒューストンのシェルケミカルカンパニーから商品名EPON resin 1007Fで入手可能なビスフェノール-A/エピクロルヒドリンエポキシ樹脂である。「エポキシ当量」とは、1グラム相当のエポキシドを含む樹脂のグラム数である。二官能エポキシ成分の重量平均分子量は、通常、例えばダルトンで約2800~約3500重量平均分子量といった、2500よりも上である。フォトレジスト製剤中の二官能エポキシ成分の量は、硬化した樹脂の重量に基づき約30~約95重量%の範囲であってよい。
【0021】
本発明の実施形態によるフォトレジスト製剤は、光酸発生剤も含む。光酸発生剤は、VA族元素のオニウム塩、VIA族元素のオニウム塩、及び芳香族ハロニウム塩から選択されることのできる芳香族錯体塩といった、カチオンを生成することのできる化合物又は化合物の混合物から選択されてよい。芳香族錯体塩は、紫外線又は電子ビーム照射にさらされると、エポキシドとの反応を開始する酸部分を生成することができる。光酸発生剤は、硬化した樹脂の重量に基づき約0.5~約15重量%の範囲の量でフォトレジスト製剤中に存在してよい。
【0022】
本発明の1つの実施形態による製剤において用いることのできるトリアリール置換スルホニウム錯体塩光開始剤の例は、次を含むがこれに限定されない:
トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボラート
トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート
トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート
トリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェート
アニシルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート
4-ブトキシフェニルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボラート
4-クロロフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート
4-アセトキシ-フェニルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボラート
4-アセトアミドフェニルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボラート
【0023】
フォトレジスト製剤に用いるのに適するトリアリール置換スルホニウム錯体塩の最も好ましい塩は、ユニオンカーバイド社からCYRACURE UVI-6974の商品名で市販されているトリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート塩の混合物である。
【0024】
本発明のもう1つの実施形態において、第1のフォトレジスト製剤は、多官能エポキシ成分をも含む。本発明によるフォトレジスト製剤の作製に適した多官能エポキシ成分は、ポリフェノールのグリシジルエーテルといった芳香族エポキシドから選択されてよい。特に好ましい多官能エポキシ樹脂は、テキサス州ヒューストンのResolution Performance ProductsからEPON RESIN SU-8の商品名で入手可能な、約190~約250の範囲のエポキシ当量を有し、130℃での粘度が約10~約60ポアズの範囲のノボラックエポキシ樹脂といった、フェノールホルムアルデヒドノボラック樹脂のポリグリシジルエーテルである。
【0025】
本発明による第1のフォトレジスト製剤の多官能エポキシ成分は、ゲル浸透クロマトグラフィーで測定して約3,000~約5,000の重量平均分子量、及び3を超え、好ましくは約6~約10である平均エポキシド基官能を有する。本発明によるフォトレジスト製剤中の多官能エポキシ樹脂の量は、硬化後の層60の重量に基づき約30~約50重量%の範囲であることが好ましい。
【0026】
ここで説明する第1のフォトレジスト製剤は、シラン化合物といった接着増強剤の有効量を任意的に含む。フォトレジスト製剤の成分と適合性のあるシラン化合物は、典型的に、多官能エポキシ化合物、二官能エポキシ化合物、及び光開始剤からなる群から選択された少なくとも1つと反応が可能な官能基を有する。そのような接着増強剤は、例えばγ-グリシドキシプロピルトリメトキシシランといった、グリシドキシアルキルトリアルコキシシランといったエポキシド官能基を有するシランであってよい。使用されるとき、接着増強剤は、硬化後の樹脂の総重量に基づき約0.5~約5重量%の範囲の量で存在することが好ましく、約0.9~4.5重量%であることがより好ましく、そこに含まれる全ての範囲を含む。ここで使用される接着増強剤は、基板16の表面62上の第1のフォトレジスト材料層のフィルム形成及び接着特性を補助するフォトレジスト組成物に可溶な有機材料を意味するよう定義される。
【0027】
基板16の表面62上の第1のフォトレジスト材料層(
図8)を提供するため、適切な溶媒が用いられる。適切な溶媒は、非光反応性であることが好ましい溶媒である。非光反応性溶媒には、γ-ブチロラクトン、炭素数1~6のアセテート、テトラヒドロフラン、低分子量ケトン、それらの混合物等を含むが、これに限定されない。特に好ましい非光反応性溶媒はアセトフェノンである。非光反応性溶媒は、フォトレジスト製剤の総重量に基づき約20~約90重量%の範囲の量で第1のフォトレジスト材料層60を提供するために用いられる製剤混合物に存在し、約40~約60重量%であることが好ましい。非光反応性溶媒は硬化後の層60に残留しないことが好ましく、このため層60の硬化ステップの前又は間に取り除かれる。
【0028】
好ましい手順によると、非光反応性溶媒と二官能エポキシ化合物は、アンバーボトルやフラスコといった適切な容器で混合され、成分の適切な混合を保証するため、この混合物は約60℃で一晩ローラーミルに入れられる。溶媒と二官能エポキシ化合物とが混合された後、使用される場合、多官能エポキシ化合物が容器に加えられ、得られた混合物が約60℃で2時間ローラーミルで回される。他の成分、光酸発生剤と接着増強剤も一度に1つずつ容器に加えられ、ウェハ被覆混合物を提供するため、全ての成分が容器に加えられた後に、容器は60℃で2時間ローラーミルにて回される。
【0029】
ここで説明するフォトレジスト製剤及び得られる第1のフォトレジスト材料層は、アクリレート又はメタクリレートポリマー及びニトリル基を実質的に含まない。理論考察に縛られることを望まずとも、高分子量の二官能性エポキシ材料は、アクリレート又はメタクリレートポリマー及びニトリルゴム成分を実質的に含まない光硬化性製剤の使用を可能にするのに十分な熱可塑性を層60に寄与すると考えられる。加えて、アクリレート又はメタクリレートポリマーを実質的に有さないフォトレジスト製剤は、アクリレート又はメタクリレートポリマーを含む同様のフォトレジスト製剤と比較し、向上した貯蔵寿命を有し得る。
【0030】
上述したフォトレジスト製剤を基板16の表面62(
図8)へ塗布するため、レジストスピナー又は従来のウェハレジスト堆積軌道のいずれかの適切なサイズのチャック上にシリコン基板ウェハが中心に置かれる。第1のフォトレジスト製剤混合物は、手動又は機械的にウェハの中心に分注される。ウェハを保持するチャックは、次いで混合物をウェハの中心からウェハの縁部へ均等に広げるため、所定の毎分回転数で回転される。層60の得られる厚さを変化させるため、ウェハの回転速度が調節されてよく、又は被覆用混合物の粘度が変更されてよい。2500rpm以上の回転速度が用いられてよい。基板16の表面62に塗布されるフォトレジスト製剤の量は、そこに画像形成されるフロー特徴のための所望の厚さを有する層60を提供するのに十分であるべきである。従って、硬化した層60の厚さは、約10~約25ミクロン以上の範囲であってよい。
【0031】
層60を含む得られたシリコン基板ウェハが手動又は機械的にチャックから取り外され、材料が「ソフト」ベークされるまで約30秒~約1分間、約90℃の温度に温度調整されたホットプレート又は温度調整されたオーブンのいずれかに置かれる。このステップは、層60から溶媒の少なくとも一部を取り除き、基板16の表面62上の部分的に乾燥した膜が得られる。ウェハは熱源から取り外され、室温へ冷まされる。
【0032】
層60に画像形成及び現像する前に、エッチング処理等により、流体供給ビア14が基板16に形成される。例示的なエッチング処理は、深掘り反応性イオンエッチング又は誘導結合プラズマエッチングといったドライエッチング処理である。エッチング処理の間、層60はエッチング停止層としての役割を果たす。
【0033】
流体チャンバ20及び流体供給チャネル18といった第1のフォトレジスト材料層60中のフロー特徴を定義するため、層60は、実質的に透明な領域66と実質的に非透明な領域68とを含むマスク64でマスクされる。マスク64の非透明な領域68によりマスクされた層60の領域は、上述したフロー特徴を提供するため、現像において取り除かれる。
【0034】
図8において、放射源は、層60に画像形成するため矢印70によって示される活性光線を提供する。適切な放射源は、紫外線及び可視スペクトル領域内の波長で活性光線を放射する。層60の露出は、製剤において用いられる特定のエポキシ材料及び芳香族錯塩の量によって、そして放射源、放射源からの距離、及び層60の厚さによって、約1秒未満~約10分以上であってよく、約5秒~約1分が好ましい。層60は、任意的に紫外線放射ではなく電子ビーム照射に露出されてよい。
【0035】
上記手順は、標準的な半導体リソグラフィ処理に類似する。マスク64は、層60(即ち、ネガ型フォトレジスト層)から取り除くべき領域を定義する非透明な領域68を有する、通常、ガラス又は石英の、透明で平坦な基板である。非透明な領域68は、その下にマスクされた層60を紫外線光が架橋することを防ぐ。マスク64の実質的に透明な領域66により提供される層60の露出領域は、層60の硬化を完成させるため、続いて約30秒~約10分、好ましくは約1~約5分、約90℃の温度でベークされる。
【0036】
層60の非画像形成領域は、次いで現像剤によって可溶化され、可溶化された材料が除去され、
図9に示されるように、基板16の表面62上の画像形成され現像された層22が残る。現像剤は、タンクのような構成での浸漬及び攪拌のいずれかにより、又は基板16及び層60上に現像剤を噴霧することにより、基板16及び層60と接触する。噴霧又は浸漬のいずれかにより、画像形成されていない材料が適切に除去される。例示的な現像剤には、例えば、ブチルセロソルブアセテート、キシレン、及びブチルセロソルブアセテート混合物、及びブチルアセテートのような炭素数1~6のアセテートが含まれる。
【0037】
第1のフォトレジスト材料層60を作製するための例示的な製剤を次の表に表す:
【0038】
【0039】
【0040】
【0041】
図10を参照し、流体フロー層22を提供するため、第1のフォトレジスト材料層60の画像形成と現像に続き、第2のフォトレジスト材料層72が第1の層22に積層される。第2のフォトレジスト材料層72は、二官能性エポキシ化合物、比較的高分子量のポリヒドロキシエーテル、上述した光酸発生剤、及び任意的に上述した接着増強剤に由来するドライフィルムフォトレジスト材料により提供される。
【0042】
第2のフォトレジスト材料層72を提供するために用いられる二官能エポキシ化合物は、例えば、ダルトンで約2800~約3500重量平均分子量といった、典型的に2500ダルトンを超える重量平均分子量を有する上述した第1の二官能エポキシ化合物を含む。
【0043】
積層目的のため第2のフォトレジスト材料層72の柔軟性を向上させるため、第2の二官能エポキシ化合物が第2の層72のための製剤に含まれてよい。第2の二官能エポキシ化合物は、典型的に、第1の二官能エポキシ化合物の重量平均分子量よりも低い重量平均分子量を有する。具体的には、第2の二官能エポキシ化合物の重量平均分子量は、約250~約400ダルトンの範囲である。第1の二官能エポキシ化合物と第2の二官能エポキシ化合物の実質的に等しい質量部が、第2のフォトレジスト層72を作製するために用いられる。適切な二官能エポキシ化合物は、日本のDICエポキシ社からDIC850-CRPの商品名で、テキサス州ヒューストンのシェルケミカル社からEPON 828の商品名で入手可能な、ビスフェノール-Aのジグリシジルエーテルから選択されてよい。第2のフォトレジスト材料層72中の二官能エポキシ化合物の総量は、硬化した層72の総重量に基づき約40~約60重量%の範囲である。層72中の二官能エポキシ化合物の総量において、総量の約半分が第1の二官能エポキシ化合物であり、総量の約半分が第2の二官能エポキシ化合物である。
【0044】
第2のフォトレジスト材料層72のもう1つの成分は、次の式の末端α-グリコール基を有する比較的高分子量のポリヒドロキシエーテル化合物であり、nは約35~約100の整数である:
[OC6H4C(CH3)2C6H4OCH2CH(OH)CH2]n
【0045】
このような化合物は、エポキシ樹脂と同一の原材料から製造されるが、化合物中にエポキシ基を含まない。このような化合物はフェノキシ樹脂と称されることが多い。適切な比較的高分子量のフェノキシ樹脂には、サウスカロライナ州ロックヒルのInChem社からPKHP-200及びPKHJの商品名で入手可能なフェノキシ樹脂を含むが、これに限定されない。そのようなフェノキシ化合物は、約99重量%の固形分、約450~約800センチポイズの25℃でのブルックフィールド粘度、約50,000~約60,000の範囲のダルトンでの重量平均分子量、約1.18の25℃で溶融する特定の比重、そして約90℃~約95℃のガラス転移温度を有する。
【0046】
フェノキシ樹脂は第2のフォトレジスト層72を作製するのに特に有用であり、理由の一部は、結晶化又は応力集中を蓄積しないことが多いためである。フェノキシ樹脂は、約38℃を超える温度を含む広い温度範囲で安定性を可能にする高温特性を有する。第2のフォトレジスト材料層72は、硬化した第2の層72の重量に基づき約25~約35重量%のフェノキシ樹脂を含む。
【0047】
流体フロー層22のためのフォトレジスト材料のように、第2のフォトレジスト材料層72は、上述した光酸発生剤、そして任意的に上述した接着増強剤を含む。光酸発生剤の量は、硬化した層72の重量に基づき約15~約20重量%の範囲であり、使用される場合、接着増強剤は、硬化した第2の層72の重量に基づき約0.05~約1重量%の範囲である。
【0048】
第2のフォトレジスト材料層72は、層22を硬化させ現像した後、流体フロー層22へドライフィルム積層として塗布される。従って、第2のフォトレジスト材料層72の上記の成分は適切な溶媒又は溶媒の混合物に溶解され、剥離ライナー又は他の適切な支持材料上で乾燥されることができる。第2のフォトレジスト材料層72の全成分が可溶である溶媒は、脂肪族ケトン溶媒又は溶媒の混合物である。特に有用な脂肪族ケトン溶媒はシクロヘキサノンである。シクロヘキサノンは単独で使用されてよく、又はアセトンとの組合せで用いられることが好ましい。シクロヘキサノンは、シクロヘキサノンにおける高分子量フェノキシ樹脂の溶解性のため、第2の層組成のための主溶媒として使用される。アセトンは、フィルム形成処理を助けるための溶媒として任意的に使用される。アセトンが高揮発性溶媒であることから、フィルムが剥離ライナー又は支持材上に引き下ろされた後、アセトンは即座に溶出する。アセトンの揮発は、液体樹脂が層72のためのドライフィルムに固化することを助ける。
【0049】
図10と11を参照し、第2のフォトレジスト材料層72を含む吐出ヘッド50を作製する方法を説明する。該方法によると、第2のフォトレジスト材料層72が、第1のフォトレジスト材料層60のために用いた手順によって画像形成され現像される。第2のフォトレジスト材料層72は、熱と圧力を用いて流体フロー層22へ積層されてよい。次に、第2のフォトレジスト層72中のノズル孔42を定義するためマスク74が用いられる。上述したように、マスク74は、透明な領域76と、第2の層72中のノズル孔42を定義する非透明な領域78とを含む。非透明な領域78は、矢印80により示される活性光線がノズル孔42を提供する領域において第2の層72に接触することを防ぎ、残りの第2の層72は活性光線により硬化される。上述したような適切な溶媒で第2のフォトレジスト層72を現像すると、
図11に示されるように、ノズル孔42がノズルプレート26に形成される。上述したような従来のフォトイメージング及び現像技術が、第2のフォトレジスト材料層72を画像形成し現像するために用いられる。
【0050】
第2のフォトレジスト材料層72を現像した後、流体フロー層22とノズルプレート26とを含む基板16は、任意的に、後続の上述した流体チャネル46の形成の間のノズルプレート26の損傷又は反りを防止するため、約1分~約60分、好ましくは約15~約30分、約150℃~約200℃の範囲の温度、好ましくは約170℃~約190℃でベークされる。ノズルプレート26のガラス転移温度は約175℃であり、これは第3のフォトレジスト材料層82をノズルプレート26に塗布するために用いられるドライフィルム積層温度よりも高い。
【0051】
図12を参照し、第3の層82にチャネル46及び/又はトラフ50/52を作製するための方法を説明する。ノズルプレート26の画像形成、現像、及び任意的なベークに続き、
図12に示されるように、第3のフォトレジスト材料層82がノズルプレート26の外面84に積層される。第3のフォトレジスト材料層82は、ノズルプレート26について上述したのと同一の製剤のドライフィルムフォトレジスト材料により提供される。従って、第3の層82も、二官能エポキシ化合物、比較的高分子量のポリヒドロキシエーテル、上述した光酸発生剤、そして任意的に上述した接着増強剤に由来する。
【0052】
第2のフォトレジスト材料層72及び第3のフォトレジスト材料層82を提供するための適切な製剤は次のとおりである:
【0053】
【0054】
第3のフォトレジスト材料層82は、第2の層72の画像形成、現像、及び任意的なベークの後、第2のフォトレジスト材料層72の外面84にドライフィルム積層として塗布される。従って、第3のフォトレジスト材料層82の上記成分に適切な溶媒又は溶媒の混合に溶融し、剥離ライナー又は他の適切な支持材上で乾燥されることができる。第3のフォトレジスト材料層82の全成分が可溶である溶媒は、脂肪族ケトン溶媒又は溶媒の混合物である。特に有用な脂肪族ケトン溶媒はシクロヘキサノンである。シクロヘキサノンは単独で使用されてよく、又はアセトンとの組合せで用いられることが好ましい。シクロヘキサノンは、シクロヘキサノンにおける高分子量フェノキシ樹脂の溶解性のため、第3の層組成のための主溶媒として使用される。アセトンは、フィルム形成処理を助けるための溶媒として任意的に使用される。アセトンが高揮発性溶媒であることから、フィルムが剥離ライナー又は支持材上に引き下ろされた後、アセトンは即座に溶出する。アセトンの揮発は、液体樹脂が層82のためのドライフィルムに固化することを助ける。
【0055】
上述したように、第3のフォトレジスト材料層82は、ノズルプレート26のガラス転移温度よりも低い温度で、熱と圧力とを用いてノズルプレート26の外面84に積層される。次いで、第3の層82中のチャネル46とトラフ50/52を定義するためマスク86が用いられる。マスク86は、第3の層82中のチャネル46とトラフ50/52を定義する非透明な領域90を含む。非透明な領域90は、矢印92により示される活性光線が、層82の取り除くべき領域において第3の層82に接触することを防ぎ、マスク86の透明な領域88は、活性光線が、ノズルプレート26上に残る第3の層82の領域を硬化させることを可能とする。上述したような適切な溶媒で第3のフォトレジスト材料層82を現像すると、
図3~
図4に示されるように、チャネル46とトラフ50/52が層82に形成される。上述したような従来のフォトイメージング及び現像技術が、第3のフォトレジスト材料層82を画像形成し現像するために用いられる。
【0056】
第3のフォトレジスト材料層82を現像した後、層22とノズルプレート26とを含む基板16は、任意的に、約1分~約60分、好ましくは約15~約30分、約150℃~約200℃の範囲の温度、好ましくは約170℃~約190℃でベークされる。チャネル46とトラフ50/52を含む吐出ヘッドの断面図を
図3に表す。
【0057】
本明細書及び添付の特許請求の範囲の目的のため、特に明記しない限り、明細書及び特許請求の範囲で使用される量、百分率又は比率を表す全ての数値及び他の数値は、全ての場合において「約」という用語によって修飾されると理解されるべきである。従って、そうでないと示されない限り、以下の明細書及び添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、本発明により得ることが求められる所望の特性に応じて変わり得る近似値である。少なくとも、そして各数値パラメータは、特許請求の範囲に対する均等論の適用を制限する試みとしてではなく、少なくとも、述べられた有効数字の数を考慮し、そして通常の丸め手法を適用することにより、解釈されるべきである。
【0058】
特定の実施形態について説明したが、出願人又は他の当業者には、現在予測していない、又は予測できない、代替、修正、変形、改善、及び実質的な均等物が生じうる。従って、提出された添付の特許請求の範囲及び補正された特許請求の範囲は、そのようなすべての代替、修正、変形、改善、及び実質的な均等物を包含することを意図している。
【符号の説明】
【0059】
10:吐出ヘッド
12、12a、12b:ノズル孔
14:流体ビア
16:吐出ヘッドチップ
18:フローチャネル
20:流体チャンバ
22:流体フロー層
24:流体吐出器
26:ノズルプレート
28、28a、28b:アレイ
30:表面
40:流体吐出ヘッド
42、42a、42b:ノズル孔
44:直線アレイ
46:流体チャネル
48:層
50:矩形トラフ
52:円形トラフ
56:チャネル
60:第1のフォトレジスト材料層
62:表面
64:マスク
66:透明な領域
68:非透明な領域
70:矢印
72:第2のフォトレジスト材料層
74:マスク
76:透明な領域
78:非透明な領域
80:矢印
82:第3のフォトレジスト材料層
84:外面
86:マスク
88:透明な領域
90:非透明な領域
L:長さ
W、W1:幅