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▶ 株式会社半導体エネルギー研究所の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023168294
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】半導体装置、及び表示装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/786 20060101AFI20231116BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20231116BHJP
   G09G 3/3233 20160101ALI20231116BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20231116BHJP
   H10K 50/10 20230101ALI20231116BHJP
   H10K 59/12 20230101ALI20231116BHJP
   H10K 59/131 20230101ALI20231116BHJP
【FI】
H01L29/78 626A
G09F9/30 365
G09F9/30 338
G09G3/3233
G09G3/20 611H
G09G3/20 624B
H01L29/78 616V
H10K50/10
H10K59/12
H10K59/131
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023078525
(22)【出願日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】P 2022079206
(32)【優先日】2022-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】楠 紘慈
(72)【発明者】
【氏名】川島 進
(72)【発明者】
【氏名】宍戸 英明
(72)【発明者】
【氏名】熱海 知昭
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 元晴
【テーマコード(参考)】
3K107
5C080
5C094
5C380
5F110
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107DD39
3K107EE03
3K107HH05
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5C080AA07
5C080AA10
5C080AA13
5C080AA17
5C080BB05
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5C080DD27
5C080FF11
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5C080JJ06
5C080KK02
5C080KK07
5C080KK34
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5C080KK47
5C080KK49
5C080KK50
5C094AA05
5C094AA23
5C094AA31
5C094BA03
5C094BA27
5C094CA19
5C094DA13
5C094DB01
5C094DB04
5C094FA01
5C094FA02
5C094FB02
5C094FB12
5C094FB14
5C094HA06
5C094HA07
5C094HA08
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5C380AB13
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5C380AB37
5C380AC02
5C380AC07
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5C380CC04
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5C380CC27
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5C380CC39
5C380CC66
5C380CD016
5C380CF21
5C380CF31
5C380CF41
5C380CF66
5C380DA41
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5F110BB01
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5F110CC09
5F110DD01
5F110DD02
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5F110DD13
5F110DD14
5F110DD15
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5F110EE04
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5F110FF04
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5F110FF28
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5F110HK34
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5F110HM12
5F110HM17
5F110NN41
5F110NN71
5F110NN72
5F110NN73
5F110NN78
5F110QQ01
(57)【要約】
【課題】微細化が可能なトランジスタを提供する。電気特性が良好なトランジスタを提供する。
【解決手段】半導体装置は、第1のトランジスタ、第2のトランジスタ、及び絶縁層を有する。第1のトランジスタは第1の半導体層、第1の導電層を有する。第2のトランジスタは第2の半導体層、第2の導電層を有する。絶縁層は第1の導電層上に第1の側面と、第2の導電層上に第2の側面とを有する。ゲート絶縁層は第1の半導体層を介して第1の側面と対向する部分と、第2の半導体層を介して第2の側面と対向する部分とを有する。ゲート電極はゲート絶縁層及び第1の半導体層を介して第1の側面と対向する部分と、ゲート絶縁層及び第2の半導体層を介して第2の側面と対向する部分とを有する。第1の半導体層と第2の半導体層とは、絶縁層上で電気的に接続する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のトランジスタ、第2のトランジスタ、及び絶縁層を有し、
前記第1のトランジスタは、第1の半導体層、ゲート絶縁層、ゲート電極、及び第1の導電層を有し、
前記第2のトランジスタは、第2の半導体層、前記ゲート絶縁層、前記ゲート電極、及び第2の導電層を有し、
前記絶縁層は、第1の側面及び第2の側面を有し、
前記第1の側面は、前記第1の導電層上に位置し、
前記第2の側面は、前記第2の導電層上に位置し、
前記第1の半導体層は、前記絶縁層上に位置する部分と、前記第1の側面に接する部分と、前記第1の導電層の上面に接する部分と、を有し、
前記第2の半導体層は、前記絶縁層上に位置する部分と、前記第2の側面に接する部分と、前記第2の導電層の上面に接する部分と、を有し、
前記ゲート絶縁層は、前記絶縁層上に位置する部分と、前記第1の半導体層を介して前記第1の側面と対向する部分と、前記第2の半導体層を介して前記第2の側面と対向する部分と、を有し、
前記ゲート電極は、前記絶縁層上に位置する部分と、前記ゲート絶縁層及び前記第1の半導体層を介して前記第1の側面と対向する部分と、前記ゲート絶縁層及び前記第2の半導体層を介して前記第2の側面と対向する部分と、を有し、
前記第1の半導体層と前記第2の半導体層とは、前記絶縁層上で電気的に接続している、
半導体装置。
【請求項2】
第1のトランジスタ、第2のトランジスタ、及び絶縁層を有し、
前記第1のトランジスタは、第1の半導体層、ゲート絶縁層、ゲート電極、及び第1の導電層を有し、
前記第2のトランジスタは、第2の半導体層、前記ゲート絶縁層、前記ゲート電極、及び第2の導電層を有し、
前記絶縁層は、第1の側面及び第2の側面を有し、
前記第1の側面は、前記第1の導電層上に位置し、
前記第2の側面は、前記第2の導電層上に位置し、
前記第1の半導体層は、前記絶縁層上に位置する部分と、前記第1の側面に接する部分と、前記第1の導電層の上面に接する部分と、を有し、
前記第2の半導体層は、前記絶縁層上に位置する部分と、前記第2の側面に接する部分と、前記第2の導電層の上面に接する部分と、を有し、
前記ゲート絶縁層は、前記絶縁層上に位置する部分と、前記第1の半導体層を介して前記第1の側面と対向する部分と、前記第2の半導体層を介して前記第2の側面と対向する部分と、を有し、
前記ゲート電極は、前記絶縁層上に位置する部分と、前記ゲート絶縁層及び前記第1の半導体層を介して前記第1の側面と対向する部分と、前記ゲート絶縁層及び前記第2の半導体層を介して前記第2の側面と対向する部分と、を有し、
前記第1の導電層と前記第2の導電層とは、前記絶縁層よりも下で電気的に接続している、
半導体装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
第3の導電層を有し、
前記第3の導電層は、前記絶縁層上に位置し、
前記第1の半導体層と前記第2の半導体層とは、それぞれ前記第3の導電層と接する部分を有する、
半導体装置。
【請求項4】
請求項1において、
第3の導電層を有し、
前記第3の導電層は、前記絶縁層上に位置し、
前記第1の半導体層と前記第2の半導体層とは、それぞれ前記第3の導電層と接する部分を有し、
前記絶縁層上において、前記第1の導電層、前記第1の半導体層、前記第3の導電層、前記ゲート絶縁層、及び前記ゲート電極が互いに重なる部分と、
前記絶縁層上において、前記第2の導電層、前記第2の半導体層、前記第3の導電層、前記ゲート絶縁層、及び前記ゲート電極が互いに重なる部分と、を有する、
半導体装置。
【請求項5】
請求項3において、
第4の導電層を有し、
前記第4の導電層は、前記絶縁層上において前記第3の導電層と接し、
前記第3の導電層は、酸化物を含み、
前記第4の導電層は、金属または合金を含む、
半導体装置。
【請求項6】
請求項1または請求項2において、
第5の導電層を有し、
前記第5の導電層は、前記絶縁層よりも下に位置し、
前記第5の導電層は、前記第1の導電層及び前記第2の導電層の一方又は双方と接し、
前記第1の導電層及び前記第2の導電層は、酸化物を含み、
前記第5の導電層は、金属または合金を含む、
半導体装置。
【請求項7】
請求項1において、
前記第1の半導体層は、第1の膜の一部であり、
前記第2の半導体層は、前記第1の膜の他の一部である、
半導体装置。
【請求項8】
請求項2において、
前記第1の導電層は、第2の膜の一部であり、
前記第2の導電層は、前記第2の膜の他の一部である、
半導体装置。
【請求項9】
第3のトランジスタと、第4のトランジスタと、容量と、第1乃至第4の配線を有し、
前記第3のトランジスタは、ソース電極及びドレイン電極の一方が前記第1の配線と電気的に接続され、ソース電極及びドレイン電極の他方が前記第4のトランジスタのソース電極及びドレイン電極の一方、及び前記容量の一方の端子と電気的に接続され、ゲート電極が前記容量の他方の端子、及び前記第2の配線と電気的に接続され、
前記第4のトランジスタは、ソース電極及びドレイン電極の他方が前記第3の配線と電気的に接続され、ゲート電極が前記第4の配線と電気的に接続され、
前記第1の配線には、第1の電位と第2の電位が交互に与えられ、
前記第3の配線には、第3の電位が与えられ、
前記第1の電位は、前記第2の電位よりも低く、
前記第3の電位は、前記第2の電位よりも低く、
前記第4の配線は、第1の信号が与えられ、
前記第2の配線は、前記第1の信号を反転した第2の信号が与えられ、
前記第3のトランジスタは、請求項1または請求項2に記載の半導体装置が有する前記第1のトランジスタ及び前記第2のトランジスタにより構成される、
半導体装置。
【請求項10】
第5のトランジスタと、第6のトランジスタと、第7のトランジスタと、発光素子と、第5乃至第7の配線と、を有し、
前記第5のトランジスタは、ゲート電極が前記第5の配線と電気的に接続され、ソース電極及びドレイン電極の一方が前記第6の配線と電気的に接続され、ソース電極及びドレイン電極の他方が前記第6のトランジスタのソース電極及びドレイン電極の一方、及び前記発光素子の一方の電極と電気的に接続され、
前記第6のトランジスタは、ゲート電極が前記第7のトランジスタのソース電極及びドレイン電極の一方と電気的に接続され、ソース電極及びドレイン電極の他方が前記第7のトランジスタのソース電極及びドレイン電極の他方と電気的に接続され、
前記第7のトランジスタは、ゲート電極が前記第7の配線と電気的に接続され、
前記第5の配線には第3の信号が与えられ、
前記第6の配線にはデータ信号が与えられ、
前記第7の配線には第4の信号が与えられ、
前記第6のトランジスタは、請求項1または請求項2に記載の半導体装置が有する前記第1のトランジスタ及び前記第2のトランジスタにより構成される、
表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、半導体装置、及びその作製方法に関する。本発明の一態様は、トランジスタ、及びその作製方法に関する。本発明の一態様は、半導体装置を備える表示装置に関する。
【0002】
なお、本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本明細書等で開示する本発明の一態様の技術分野としては、半導体装置、表示装置、発光装置、蓄電装置、記憶装置、電子機器、照明装置、入力装置、入出力装置、それらの駆動方法、又はそれらの製造方法、を一例として挙げることができる。半導体装置は、半導体特性を利用することで機能しうる装置全般を指す。
【背景技術】
【0003】
トランジスタの微細化が求められている。例えば表示装置においては、画素に用いられるトランジスタの占有面積が小さいほど、画素のサイズを縮小できるため高精細化が可能となる。また、単位面積あたりに配置することのできるトランジスタを増やせるため、画素のサイズを大きくすることなく、画素内に多くのトランジスタを配置することで、補正機能などを画素に組み込むことが可能となる。
【0004】
近年、ディスプレイパネルの高精細化が進められている。高精細なディスプレイパネルが要求される機器として、タブレット端末、スマートフォン、腕時計型端末のほか、例えば仮想現実(VR:Virtual Reality)、または拡張現実(AR:Augmented Reality)向けの機器が、近年盛んに開発されている。高精細なディスプレイパネルには、有機EL(Electro Luminescence)素子、または発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)等の発光素子が主に用いられている。
【0005】
特許文献1には、有機ELデバイス(有機EL素子ともいう)を用いた、高精細な表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2016/038508号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の一態様は、微細化が可能なトランジスタを提供することを課題の一とする。または、電気特性が良好なトランジスタを提供することを課題の一とする。または、ソースとドレインを入れ替えた時に特性の差の小さいトランジスタを提供することを課題の一とする。または、チャネル長を小さくすることが可能なトランジスタを提供することを課題の一とする。または、占有面積の小さいトランジスタを提供することを課題の一とする。または、配線抵抗が低減された半導体装置を提供することを課題の一とする。または、高精細化が容易な表示装置を提供することを課題の一とする。または、信頼性の高いトランジスタ及び半導体装置を提供することを課題の一とする。
【0008】
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。なお、これら以外の課題は、明細書、図面、請求項などの記載から抽出することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、第1のトランジスタ、第2のトランジスタ、及び絶縁層を有する半導体装置である。第1のトランジスタは、第1の半導体層、ゲート絶縁層、ゲート電極、及び第1の導電層を有する。第2のトランジスタは、第2の半導体層、ゲート絶縁層、ゲート電極、及び第2の導電層を有する。絶縁層は、第1の側面及び第2の側面を有する。第1の側面は、第1の導電層上に位置する。第2の側面は、第2の導電層上に位置する。第1の半導体層は、絶縁層上に位置する部分と、第1の側面に接する部分と、第1の導電層の上面に接する部分と、を有する。第2の半導体層は、絶縁層上に位置する部分と、第2の側面に接する部分と、第2の導電層の上面に接する部分と、を有する。ゲート絶縁層は、絶縁層上に位置する部分と、第1の半導体層を介して第1の側面と対向する部分と、第2の半導体層を介して第2の側面と対向する部分と、を有する。ゲート電極は、絶縁層上に位置する部分と、ゲート絶縁層及び第1の半導体層を介して第1の側面と対向する部分と、ゲート絶縁層及び第2の半導体層を介して第2の側面と対向する部分と、を有する。第1の半導体層と第2の半導体層とは、絶縁層上で電気的に接続している。
【0010】
また、本発明の他の一態様は、第1のトランジスタ、第2のトランジスタ、及び絶縁層を有する半導体装置である。第1のトランジスタは、第1の半導体層、ゲート絶縁層、ゲート電極、及び第1の導電層を有する。第2のトランジスタは、第2の半導体層、ゲート絶縁層、ゲート電極、及び第2の導電層を有する。絶縁層は、第1の側面及び第2の側面を有する。第1の側面は、第1の導電層上に位置する。第2の側面は、第2の導電層上に位置する。第1の半導体層は、絶縁層上に位置する部分と、第1の側面に接する部分と、第1の導電層の上面に接する部分と、を有する。第2の半導体層は、絶縁層上に位置する部分と、第2の側面に接する部分と、第2の導電層の上面に接する部分と、を有する。ゲート絶縁層は、絶縁層上に位置する部分と、第1の半導体層を介して第1の側面と対向する部分と、第2の半導体層を介して第2の側面と対向する部分と、を有する。ゲート電極は、絶縁層上に位置する部分と、ゲート絶縁層及び第1の半導体層を介して第1の側面と対向する部分と、ゲート絶縁層及び第2の半導体層を介して第2の側面と対向する部分と、を有する。第1の導電層と第2の導電層とは、絶縁層よりも下で電気的に接続している。
【0011】
また、上記において、絶縁層上に位置する第3の導電層を有することが好ましい。さらに第1の半導体層と第2の半導体層とは、それぞれ第3の導電層と接する部分を有することが好ましい。
【0012】
または、上記において、絶縁層上に位置する第3の導電層を有することが好ましい。第1の半導体層と第2の半導体層とは、それぞれ第3の導電層と接する部分を有することが好ましい。絶縁層上において、第1の導電層、第1の半導体層、第3の導電層、ゲート絶縁層、及びゲート電極が互いに重なる部分と、絶縁層上において、第2の導電層、第2の半導体層、第3の導電層、ゲート絶縁層、及びゲート電極が互いに重なる部分と、を有することが好ましい。
【0013】
また、上記において、絶縁層上において第3の導電層と接する第4の導電層を有することが好ましい。さらに、第3の導電層は、酸化物を含み、第4の導電層は、金属または合金を含むことが好ましい。
【0014】
また、上記において、絶縁層よりも下に位置する第5の導電層を有することが好ましい。第5の導電層は、第1の導電層及び第2の導電層の一方又は双方と接することが好ましい。また、第1の導電層及び第2の導電層は、酸化物を含み、第5の導電層は、金属または合金を含むことが好ましい。
【0015】
また、上記において、第1の半導体層は、第1の膜の一部であり、第2の半導体層は、第1の膜の他の一部であることが好ましい。
【0016】
または、上記において、第1の導電層は、第2の膜の一部であり、第2の導電層は、第2の膜の他の一部であることが好ましい。
【0017】
また、本発明の他の一態様は、第3のトランジスタと、第4のトランジスタと、容量と、第1乃至第4の配線を有する半導体装置である。第3のトランジスタは、ソース電極及びドレイン電極の一方が第1の配線と電気的に接続され、ソース電極及びドレイン電極の他方が第4のトランジスタのソース電極及びドレイン電極の一方、及び容量の一方の端子と電気的に接続され、ゲート電極が容量の他方の端子、及び第2の配線と電気的に接続される。また第4のトランジスタは、ソース電極及びドレイン電極の他方が第3の配線と電気的に接続され、ゲート電極が第4の配線と電気的に接続される。第1の配線には、第1の電位と第2の電位が交互に与えられ、第3の配線には、第3の電位が与えられる。第1の電位は第2の電位よりも低く、第3の電位は第2の電位よりも低い。第4の配線は第1の信号が与えられ、第2の配線は第1の信号を反転した第2の信号が与えられる。第3のトランジスタは、上記第1のトランジスタ及び第2のトランジスタにより構成される。
【0018】
また、本発明の他の一態様は、第5のトランジスタと、第6のトランジスタと、第7のトランジスタと、発光素子と、第5乃至第7の配線と、を有する表示装置である。第5のトランジスタは、ゲート電極が第5の配線と電気的に接続され、ソース電極及びドレイン電極の一方が第6の配線と電気的に接続され、ソース電極及びドレイン電極の他方が第6のトランジスタのソース電極及びドレイン電極の一方、及び発光素子の一方の電極と電気的に接続される。第6のトランジスタは、ゲート電極が第7のトランジスタのソース電極及びドレイン電極の一方と電気的に接続され、ソース電極及びドレイン電極の他方が第7のトランジスタのソース電極及びドレイン電極の他方と電気的に接続される。第7のトランジスタは、ゲート電極が第7の配線と電気的に接続される。第5の配線には第3の信号が与えられ、第6の配線にはデータ信号が与えられ、第7の配線には第4の信号が与えられる。第6のトランジスタは、上記第1のトランジスタ及び第2のトランジスタにより構成される。
【発明の効果】
【0019】
本発明の一態様によれば、微細化が可能なトランジスタを提供できる。または、電気特性が良好なトランジスタを提供できる。または、ソースとドレインを入れ替えた時に特性の差の小さいトランジスタを提供できる。または、チャネル長を小さくすることが可能なトランジスタを提供できる。または、占有面積の小さいトランジスタを提供できる。または、配線抵抗が低減された半導体装置を提供できる。または、高精細化が容易な表示装置を提供できる。または、信頼性の高いトランジスタ及び半導体装置を提供できる。
【0020】
なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、必ずしも、これらの効果の全てを有する必要はない。なお、これら以外の効果は、明細書、図面、請求項などの記載から抽出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1(A)乃至図1(D)は、半導体装置の構成例である。
図2図2は、半導体装置の構成例である。
図3図3は、半導体装置の構成例である。
図4図4(A)乃至図4(D)は、半導体装置の構成例である。
図5図5(A)及び図5(B)は、半導体装置の構成例である。
図6図6(A)及び図6(B)は、半導体装置の構成例である。
図7図7(A)乃至図7(F)は、半導体装置の作製方法例を説明する図である。
図8図8は、半導体装置の回路図である。
図9図9(A)及び図9(B)は、半導体装置の回路図である。
図10図10(A)及び図10(B)は、半導体装置の回路図である。
図11図11(A)は、半導体装置の回路図である。図11(B)はタイミングチャートである。
図12図12(A1)、(B1)は、半導体装置の回路図である。図12(A2)、(B2)は、タイミングチャートである。
図13図13(A1)、(B1)は、半導体装置の回路図である。図13(A2)、(B2)は、タイミングチャートである。
図14図14は、半導体装置の回路図である。
図15図15は、表示装置の構成例である。
図16図16は、表示装置の構成例である。
図17図17は、表示装置の構成例である。
図18図18は、表示装置の構成例である。
図19図19(A)乃至図19(C)は、表示装置の構成例である。
図20図20は、表示装置の構成例である。
図21図21は、表示装置の構成例である。
図22図22は、表示装置の構成例である。
図23図23(A)乃至図23(F)は、表示装置の作製方法を説明する図である。
図24図24(A)乃至図24(D)は、電子機器の構成例である。
図25図25(A)乃至図25(F)は、電子機器の構成例である。
図26図26(A)乃至図26(G)は、電子機器の構成例である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。ただし、実施の形態は多くの異なる態様で実施することが可能であり、趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は、以下の実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0023】
なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。また、同様の機能を指す場合には、ハッチングパターンを同じくし、特に符号を付さない場合がある。
【0024】
なお、本明細書で説明する各図において、各構成要素の大きさ、層の厚さ、または領域は、明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。
【0025】
なお、本明細書等における「第1」、「第2」等の序数詞は、構成要素の混同を避けるために付すものであり、数的に限定するものではない。
【0026】
トランジスタは半導体素子の一種であり、電流または電圧を増幅する機能、及び、導通または非導通を制御するスイッチング動作などを実現することができる。本明細書におけるトランジスタは、IGFET(Insulated Gate Field Effect Transistor)及び薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)を含む。
【0027】
また、「ソース」と「ドレイン」の機能は、異なる極性のトランジスタを採用する場合、または回路動作において電流の方向が変化する場合などには入れ替わることがある。このため、本明細書においては、「ソース」と「ドレイン」の用語は、入れ替えて用いることができるものとする。
【0028】
また、本明細書等において、トランジスタのソース、又はドレインのどちらか一方のことを「第1電極」と呼び、ソース、又はドレインの他方を「第2電極」とも呼ぶことがある。なお、ゲートについては「ゲート」又は「ゲート電極」とも呼ぶ。
【0029】
また、本明細書等において、「電気的に接続」には、「何らかの電気的作用を有するもの」を介して接続されている場合が含まれる。ここで、「何らかの電気的作用を有するもの」は、接続対象間での電気信号の授受を可能とするものであれば、特に制限を受けない。例えば、「何らかの電気的作用を有するもの」には、電極または配線をはじめ、トランジスタなどのスイッチング素子、抵抗素子、コイル、容量素子、その他の各種機能を有する素子などが含まれる。
【0030】
なお、本明細書等において「上面形状が概略一致」とは、積層した層と層との間で少なくとも輪郭の一部が重なることをいう。例えば、上層と下層とが、同一のマスクパターン、または一部が同一のマスクパターンにより加工された場合を含む。ただし、厳密には輪郭が重なり合わず、上層が下層の内側に位置すること、または上層が下層の外側に位置することもあり、この場合も「上面形状が概略一致」という場合がある。
【0031】
なお、以下では「上」、「下」などの向きを示す表現は、基本的には図面の向きと合わせて用いるものとする。しかしながら、説明を容易にするためなどの目的で、明細書中の「上」または「下」が意味する向きが、図面とは一致しない場合がある。一例としては、積層体等の積層順(または形成順)などを説明する場合に、図面において当該積層体が設けられる側の面(被形成面、支持面、接着面、平坦面など)が当該積層体よりも上側に位置していても、その向きを下、これとは反対の向きを上、などと表現する場合がある。
【0032】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の半導体装置の例として、トランジスタの構成例、及びその作製方法例について説明する。
【0033】
本発明の一態様のトランジスタは、半導体層、ゲート絶縁層、ゲート電極、第1の電極、及び第2の電極を有する。第1の電極は、ソース電極及びドレイン電極の一方として機能し、第2の電極はその他方として機能する。
【0034】
第2の電極は、第1の電極よりも上方に設けられる。第1の電極と第2の電極との間には、スペーサとして機能する絶縁層が設けられる。絶縁層には、第1の電極に達する開口が設けられており、半導体層は第1の電極、第2の電極、及び絶縁層の開口内の側壁(側面ともいう)に接して設けられている。そして、半導体層を覆ってゲート絶縁層とゲート電極とが設けられている。なお、開口の代わりに溝(スリット)を用いてもよい。
【0035】
ここで、第1の電極及び第2の電極はそれぞれ半導体層とは異なる電極であってもよいし、半導体層の一部が第1の電極または第2の電極として機能してもよい。
【0036】
上記のような構成のトランジスタは、ソース電極とドレイン電極とが、異なる高さに位置しているため、半導体層を流れる電流は高さ方向に流れることとなる。すなわち、チャネル長方向が高さ方向(縦方向)の成分を有するということができるため、本発明の一態様は、縦型トランジスタ、縦型チャネルトランジスタ、などとも呼ぶことができる。
【0037】
上記トランジスタは、ソース電極、半導体層、及びドレイン電極を、それぞれ重ねて設けることが可能となるため、半導体層を平面上に配置した、いわゆるプレーナ型のトランジスタと比較して、大幅に占有面積を縮小することができる。
【0038】
また、トランジスタのチャネル長は、絶縁層の厚さによって精密に制御することが可能となるため、プレーナ型のトランジスタと比較して、チャネル長のばらつきを極めて小さくできる。さらには、絶縁層を薄くすることで、極めてチャネル長の短いトランジスタも作製することができる。例えばチャネル長が2μm以下、1μm以下、500nm以下、300nm以下、200nm以下、100nm以下、50nm以下、30nm以下、または20nm以下であって、5nm以上、7nm以上、または10nm以上のトランジスタを作製することができる。そのため、従来のフラットパネルディスプレイの量産用の露光装置(例えば最小線幅2μmまたは1.5μm程度)では実現できなかった、極めて小さいチャネル長のトランジスタを実現することができる。また、最先端のLSI技術で用いられる極めて高額な露光装置を用いることなく、チャネル長が10nm未満のトランジスタを実現することもできる。
【0039】
半導体層としては、特に半導体特性を有する金属酸化物(酸化物半導体ともいう)を用いると、高い性能と、高い生産性を両立できるため好ましい。特に結晶性を有する酸化物半導体を用いることで、高い信頼性を付与することができるためより好ましい。
【0040】
一方、このような縦型トランジスタは、上下非対称な形状であるため、第1の電極をソース、第2の電極をドレインとした場合の電気特性と、その反対にした場合の電気特性とで、少なからず差が生じる場合がある。また、ゲート電極はスペーサとして機能する絶縁層上に形成されるため、ゲート電極との寄生容量は第1の電極よりも第2の電極の方が大きくなる。そのため、縦型トランジスタを用いて回路を設計する際には、この非対称性を考慮して設計することが重要である。
【0041】
しかしながら、回路によっては、期間によってトランジスタのソースとドレインが入れ替わるように駆動する場合がある。このとき、上記のような非対称性のあるトランジスタでは、ソースとドレインとが入れ替わる前後で、電圧-電流特性に差が生じるため、好ましくない場合がある。
【0042】
そこで本発明の一態様は、2つの縦型トランジスタの互いの第1の電極同士を電気的に接続する、または第2の電極同士を電気的に接続する。さらに2つの縦型トランジスタのゲート電極も電気的に接続して共通とすることにより、2つの縦型トランジスタを直列に接続する。このように直列に接続した一対の縦型トランジスタは、上述した非対称性の問題が抑制された、一つのトランジスタとみなすことができる。
【0043】
このとき、一方のトランジスタの第1の電極と、他方のトランジスタの第2の電極とを接続することでも、2つのトランジスタを直列に接続することができるが、このような構成では、ソースとドレインとを入れ替えた時の特性の差を軽減することができない。そのため、本発明の一態様では、第1の電極同士または第2の電極同士を接続することが、ソースとドレインとを入れ替えた時の特性の差を軽減するうえで重要である。
【0044】
このようなトランジスタを用いることにより、あらゆる回路を、縦型トランジスタを用いた回路に置き換えることが可能となる。なお、トランジスタの接続数は偶数であればよく、2つに限定されない。
【0045】
さらに、2x(xは1以上の整数)個のトランジスタを直列に接続した構成は、上述した電気特性の非対称性を低減できるだけでなく、チャネル長が一つの縦型トランジスタの2x倍である一つのトランジスタとみなすことができる。回路によっては、チャネル長の短いトランジスタだけでなく、チャネル長の長いトランジスタの双方が必要な場合がある。上記構成とすることで、スペーサとして機能する絶縁層をトランジスタ毎に厚さを異ならせて作り分けることなく、同一の作製工程を経て得られる縦型トランジスタを用いて、異なるチャネル長のトランジスタを用いた回路を実現することができる。
【0046】
以下では、より具体的な例について図面を参照して説明する。
【0047】
[構成例1]
図1(A)に、トランジスタ10a及びトランジスタ10bを有する半導体装置の上面概略図を示す。また図1(B)には、図1(A)中の切断線A1-A2に対応する断面概略図を示す。また、図2には、図1(A)中の切断線A1-A3で分断したときの斜視概略図を示す。なお、上面概略図においては、図を見やすくするため、一部の構成要素(例えば絶縁層など)を明示していない。
【0048】
トランジスタ10aとトランジスタ10bとは、同一の作製工程を経て作製され、同様の構成を有する。トランジスタ10aとトランジスタ10bとは、ほぼ面対称となるように形成されることが好ましい。そのため、トランジスタ10aとトランジスタ10bとは、チャネル長及びチャネル幅が概略等しいトランジスタである。
【0049】
トランジスタ10aは基板11上に設けられ、半導体層21a、絶縁層22、導電層23、導電層24a、及び導電層25を有する。トランジスタ10bも基板11上に設けられ、半導体層21b、絶縁層22、導電層23、導電層24b、及び導電層25を有する。
【0050】
絶縁層22は、2つのトランジスタに共通に設けられ、絶縁層22の一部はトランジスタ10aのゲート絶縁層として機能し、他の一部はトランジスタ10bのゲート絶縁層として機能する。導電層23も同様に、2つのトランジスタに共通に設けられ、その一部はトランジスタ10aのゲート電極として機能し、他の一部はトランジスタ10bのゲート電極として機能する。導電層24aの一部はトランジスタ10aのソース電極及びドレイン電極の一方として機能し、導電層24bの一部はトランジスタ10bのソース電極及びドレイン電極の一方として機能する。導電層25は2つのトランジスタに共通に設けられ、その一部はトランジスタ10aのソース電極及びドレイン電極の他方として機能し、他の一部はトランジスタ10bのソース電極及びドレイン電極の他方として機能する。
【0051】
すなわち、トランジスタ10aとトランジスタ10bとは、ゲート電極が共通であり、且つ、ソース電極及びドレイン電極の他方が電気的に接続されているため、直列に接続されているともいえる。図1(C)には、直列に接続されたトランジスタ10aとトランジスタ10bに対応する回路図の一例を示している。Pは導電層24aに対応する配線、Qは導電層24bに対応する配線、Gは導電層23に対応する配線である。
【0052】
図1(C)に示すような、直列に接続された2つのトランジスタは、図1(D)に示すように、一つのトランジスタ10とみなすことができる。2つのトランジスタのそれぞれのチャネル長がL、チャネル幅がWである場合、トランジスタ10はチャネル長2×Lであり、チャネル幅がWであるトランジスタとみなすことができる。
【0053】
なお、上述のようにトランジスタ10aとトランジスタ10bとは同様の構成を有するため、以降の説明においては、一方の構成についてのみ詳細に説明し、他方の構成はこれを参照し、説明を省略する場合がある。例えば以降の説明において、トランジスタ10aについてのみ詳細な説明を行い、トランジスタ10bに関する詳細な説明を省略する場合がある。このとき、トランジスタ10bについては、トランジスタ10aの構成要素である導電層24a、半導体層21aなどを、トランジスタ10bの構成要素である導電層24b及び半導体層21bなどに置き換えればよい。
【0054】
図1(B)及び図2に示すように、基板11上に、導電層24a及び導電層24bが設けられ、これらを覆って絶縁層29a、絶縁層28、及び絶縁層29bがこの順に設けられている。さらに、絶縁層29b上に、導電層25が設けられている。また、導電層25、絶縁層29b、絶縁層28、及び絶縁層29aには、それぞれ導電層24a、導電層24bに達する開口20a、開口20bが設けられている。例えば、導電層25、絶縁層29b、絶縁層28、及び絶縁層29aの、開口20aにおける側壁(側面)は、導電層24aと重なっているともいうことができる。
【0055】
半導体層21aは、開口20aの底に位置する導電層24aの上面、開口20aにおける絶縁層29aの側面、絶縁層28の側面、絶縁層29bの側面、並びに導電層25の側面及び導電層25の上面と接する。半導体層21aの、導電層25と接する部分はソース領域及びドレイン領域の一方として機能し、導電層24と接する部分はその他方として機能し、これらの間の領域(特に絶縁層28と接する領域)はチャネルが形成される領域(チャネル形成領域)として機能する。半導体層21aの、絶縁層29aと接する領域、及び絶縁層29bと接する領域は、チャネル形成領域よりもキャリア濃度が高く、低抵抗であることが好ましい。
【0056】
絶縁層29b、導電層25、半導体層21a、及び半導体層21bを覆って、ゲート絶縁層として機能する絶縁層22が設けられている。さらに絶縁層22を覆って、ゲート電極として機能する導電層23が設けられている。
【0057】
上述のように、トランジスタ10aにおいて、半導体層21aは、絶縁層28の側面と接し、チャネル形成領域として機能する部分を有する。開口20aにおいて、絶縁層22は、半導体層21aを介して絶縁層28の側面と対向する部分を有する。また導電層23は、半導体層21a及び絶縁層22を介して、絶縁層28の側面と対向する部分を有する。半導体層21aと絶縁層22との界面及び絶縁層22と導電層23との界面は、絶縁層28の側面と平行である部分を有する。
【0058】
なお、絶縁層22及び導電層23を覆って、平坦化層、層間絶縁層、または保護層として機能する絶縁層を設けてもよい。また、当該絶縁層上に、導電層24a、導電層24b、導電層25、導電層23などと電気的に接続する配線として機能する導電層を設けてもよい。また当該絶縁層上に、発光素子を構成する画素電極、有機層、及び共通電極などを設けてもよい。
【0059】
半導体層21a及び半導体層21bは、金属酸化物(酸化物半導体)を有することが好ましい。
【0060】
半導体層21a及び半導体層21bに用いることができる金属酸化物として、例えば、In酸化物、Ga酸化物、及びZn酸化物が挙げられる。金属酸化物は、少なくともInまたはZnを含むことが好ましい。また、金属酸化物は、Inと、元素Mと、Znと、の中から選ばれる二または三を有することが好ましい。なお、元素Mは、酸素との結合エネルギーが高い金属元素又は半金属元素であり、例えば、酸素との結合エネルギーがInよりも高い金属元素又は半金属元素である。元素Mとして、具体的には、Al、Ga、Sn、Y、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Zr、Mo、Hf、Ta、W、La、Ce、Nd、Mg、Ca、Sr、Ba、B、Si、Ge、及びSbなどが挙げられる。金属酸化物が有する元素Mは、上記元素のいずれか一種または複数種であることが好ましく、特に、Al、Ga、Y、及びSnから選ばれた一種または複数種であることが好ましく、Gaがより好ましい。なお、Inと、元素Mと、Znとを有する金属酸化物を、以降ではIn-M-Zn酸化物と呼ぶ場合がある。なお、本明細書等において、金属元素と半金属元素をまとめて「金属元素」と呼ぶことがあり、本明細書等に記載の「金属元素」には半金属元素が含まれることがある。
【0061】
金属酸化物がIn-M-Zn酸化物の場合、当該In-M-Zn酸化物におけるInの原子数比はMの原子数比以上であることが好ましい。例えば、このようなIn-M-Zn酸化物の金属元素の原子数比として、In:M:Zn=1:1:1、In:M:Zn=1:1:1.2、In:M:Zn=2:1:3、In:M:Zn=3:1:2、In:M:Zn=4:2:3、In:M:Zn=4:2:4.1、In:M:Zn=5:1:3、In:M:Zn=5:1:6、In:M:Zn=5:1:7、In:M:Zn=5:1:8、In:M:Zn=6:1:6、In:M:Zn=5:2:5、またはこれらの近傍の組成等が挙げられる。なお、近傍の組成とは、所望の原子数比の±30%の範囲を含む。金属酸化物中のInの原子数比を大きくすることで、トランジスタのオン電流、または電界効果移動度などを高めることができる。
【0062】
また、In-M-Zn酸化物におけるInの原子数比は元素Mの原子数比未満であってもよい。例えば、このようなIn-M-Zn酸化物の金属元素の原子数比として、In:M:Zn=1:3:2、In:M:Zn=1:3:3、In:M:Zn=1:3:4、またはこれらの近傍の組成等が挙げられる。金属酸化物中のMの原子数比を大きくすることで、酸素欠損の生成を抑制することができる。
【0063】
半導体層21a及び半導体層21bは、例えば、In-Zn酸化物、In-Ga酸化物、In-Sn酸化物、In-Ti酸化物、In-Ga-Al酸化物、In-Ga-Sn酸化物、In-Ga-Zn酸化物、In-Sn-Zn酸化物、In-Al-Zn酸化物、In-Ti-Zn酸化物、In-Ga-Sn-Zn酸化物、In-Ga-Al-Zn酸化物などを用いることができる。また、Ga-Zn酸化物を用いてもよい。
【0064】
なお、金属酸化物は、Inに代えて、又は、Inに加えて、周期の数が大きい金属元素の一種または複数種を有してもよい。金属元素の軌道の重なりが大きいほど、金属酸化物におけるキャリア伝導は大きくなる傾向がある。よって、周期の数が大きい金属元素を含むことで、トランジスタの電界効果移動度を高めることができる場合がある。周期の数が大きい金属元素として、第5周期に属する金属元素、及び第6周期に属する金属元素などが挙げられる。当該金属元素として、具体的には、Y、Zr、Ag、Cd、Sn、Sb、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、及びEuなどが挙げられる。なお、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、及びEuは、軽希土類元素と呼ばれる。
【0065】
また、金属酸化物は、非金属元素の一種または複数種を有してもよい。金属酸化物が非金属元素を有することで、トランジスタの電界効果移動度を高めることができる場合がある。非金属元素として、例えば、炭素、窒素、リン、硫黄、セレン、フッ素、塩素、臭素、及び水素などが挙げられる。
【0066】
金属酸化物の形成は、スパッタリング法、または原子層堆積(ALD:Atomic Layer Deposition)法を好適に用いることができる。なお、金属酸化物をスパッタリング法で形成する場合、成膜後の金属酸化物の組成はターゲットの組成と異なる場合がある。特に亜鉛は、成膜後の金属酸化物における含有率が、ターゲットと比較して50%程度にまで減少する場合がある。
【0067】
本明細書等において、金属酸化物のある金属元素の含有率とは、金属酸化物に含まれる金属元素の原子数の総数に対する、その元素の原子数の割合をいう。例えば金属酸化物が金属元素X、金属元素Y、金属元素Zを含み、当該金属酸化物に含まれる金属元素X、金属元素Y、金属元素Zのそれぞれの原子数をA、A、Aとしたとき、金属元素Xの含有率は、A/(A+A+A)で示すことができる。また、金属酸化物中の金属元素X、金属元素Y、金属元素Zのそれぞれの原子数の比(原子数比)が、B:B:Bで示されるとき、金属元素Xの含有率は、B/(B+B+B)で示すことができる。
【0068】
例えば、Inを含む金属酸化物の場合、Inの含有率を高くすることにより、オン電流の大きいトランジスタを実現することができる。
【0069】
半導体層21にGaを含まない、またはGaの含有率の低い金属酸化物を用いることにより、正バイアス印加に対する信頼性が高いトランジスタとすることができる。つまり、PBTS(Positive Bias Temperature Stress)試験でのしきい値電圧の変動量が小さいトランジスタとすることができる。また、Gaを含む金属酸化物を用いる場合は、Inの含有率よりも、Gaの含有率を低くすることが好ましい。これにより、高移動度で且つ信頼性の高いトランジスタを実現することができる。
【0070】
一方、Gaの含有率を高くすることにより、光に対する信頼性の高いトランジスタとすることができる。つまり、NBTIS(Negative Bias Temperature Illumination Stress)試験でのしきい値電圧の変動量が小さいトランジスタとすることができる。具体的には、Gaの原子数比がInの原子数比以上である金属酸化物はバンドギャップがより大きくなり、トランジスタのNBTIS試験でのしきい値電圧の変動量を小さくすることができる。
【0071】
また、亜鉛の含有率を高くすることにより、結晶性の高い金属酸化物となり、金属酸化物中の不純物の拡散を抑制できる。したがって、トランジスタの電気特性の変動が抑制され、信頼性を高めることができる。
【0072】
半導体層21a及び半導体層21bは、2以上の金属酸化物層を有する積層構造としてもよい。半導体層21a及び半導体層21bが有する2以上の金属酸化物層は、組成が互いに同じ、または概略同じであってもよい。組成が同じ金属酸化物層の積層構造とすることで、例えば、同じスパッタリングターゲットを用いて形成できるため、製造コストを削減できる。なお、異なる組成の金属酸化物層を2以上積層した積層構造としてもよい。
【0073】
半導体層21a及び半導体層21bは、結晶性を有する金属酸化物層を用いることが好ましい。例えば、CAAC(c-axis aligned crystal)構造、多結晶構造、微結晶(nc:nano-crystal)構造等を有する金属酸化物層を用いることができる。結晶性を有する金属酸化物層を半導体層21a及び半導体層21bに用いることにより、半導体層21a及び半導体層21b中の欠陥準位密度を低減でき、信頼性の高い半導体装置を実現できる。
【0074】
半導体層21a及び半導体層21bに用いる金属酸化物層の結晶性が高いほど、半導体層21a及び半導体層21b中の欠陥準位密度を低減できる。一方、結晶性の低い金属酸化物層を用いることで、大きな電流を流すことができるトランジスタを実現することができる。
【0075】
酸化物半導体を用いたトランジスタ(以下、OSトランジスタと記す)は、非晶質シリコンを用いたトランジスタと比較して電界効果移動度が極めて高い。また、OSトランジスタは、オフ状態におけるソース-ドレイン間のリーク電流(以下、オフ電流ともいう)が著しく小さく、当該トランジスタと直列に接続された容量に蓄積した電荷を長期間に亘って保持することが可能である。また、OSトランジスタを適用することで、半導体装置の消費電力を低減することができる。
【0076】
本発明の一態様である半導体装置は、例えば、表示装置に適用することができる。表示装置の画素回路に含まれる発光デバイスの発光輝度を高くする場合、発光デバイスに流す電流量を大きくする必要がある。そのためには、画素回路に含まれている駆動トランジスタのソース-ドレイン間電圧を高くする必要がある。OSトランジスタは、シリコンを用いたトランジスタ(以下、Siトランジスタと記す)と比較して、ソース-ドレイン間において耐圧が高いため、OSトランジスタのソース-ドレイン間には高い電圧を印加することができる。したがって、画素回路に含まれる駆動トランジスタをOSトランジスタとすることで、発光デバイスに流れる電流量を大きくし、発光デバイスの発光輝度を高くすることができる。
【0077】
トランジスタが飽和領域で動作する場合において、OSトランジスタは、Siトランジスタよりも、ゲート-ソース間電圧の変化に対して、ソース-ドレイン間電流の変化を小さくすることができる。このため、画素回路に含まれる駆動トランジスタにOSトランジスタを適用することで、発光デバイスに流れる電流量を細かく制御することができる。このため、画素回路における階調を大きくすることができる。また、発光デバイスの電気特性(例えば抵抗)の変動、または電気特性のばらつきが生じたとしても、安定した電流を流すことができる。
【0078】
上記のとおり、画素回路に含まれる駆動トランジスタにOSトランジスタを用いることで、「黒浮きの抑制」、「発光輝度の上昇」、「多階調化」、「発光デバイスのばらつきの影響の抑制」などを図ることができる。
【0079】
OSトランジスタは、放射線照射による電気特性の変動が小さい、つまり放射線に対する耐性が高いため、放射線が入射しうる環境においても好適に用いることができる。OSトランジスタは、放射線に対する信頼性が高いともいえる。例えば、X線のフラットパネルディテクタの画素回路に、OSトランジスタを好適に用いることができる。また、OSトランジスタは、宇宙空間で使用する半導体装置に好適に用いることができる。放射線として、電磁放射線(例えば、X線、及びガンマ線)、及び粒子放射線(例えば、アルファ線、ベータ線、陽子線、及び中性子線)が挙げられる。
【0080】
なお、半導体層21a及び半導体層21bに用いることができる半導体材料は、酸化物半導体に限定されない。例えば、単体元素よりなる半導体、または化合物半導体を用いることができる。単体元素よりなる半導体としては、シリコン(単結晶シリコン、多結晶シリコン、微結晶シリコン、非晶質シリコンを含む)またはゲルマニウムなどが挙げられる。化合物半導体として、例えば、ヒ化ガリウム、シリコンゲルマニウムが挙げられる。化合物半導体として、有機半導体、窒化物半導体、または酸化物半導体等が挙げられる。なお、これらの半導体材料に、ドーパントとして不純物が含まれてもよい。
【0081】
または、半導体層21a及び半導体層21bは、半導体として機能する層状物質を有してもよい。層状物質とは、層状の結晶構造を有する材料群の総称である。層状の結晶構造は、共有結合またはイオン結合によって形成される層が、ファンデルワールス力のような、共有結合またはイオン結合よりも弱い結合を介して積層している構造である。層状物質は、単位層内における電気伝導性が高く、つまり、2次元電気伝導性が高い。半導体として機能し、かつ、2次元電気伝導性の高い材料をチャネル形成領域に用いることで、オン電流の大きいトランジスタを提供することができる。
【0082】
上記層状物質として、例えば、グラフェン、シリセン、カルコゲン化物などが挙げられる。カルコゲン化物は、カルコゲン(第16族に属する元素)を含む化合物である。また、カルコゲン化物として、遷移金属カルコゲナイド、13族カルコゲナイドなどが挙げられる。トランジスタの半導体層として適用可能な遷移金属カルコゲナイドとして、具体的には、硫化モリブデン(代表的にはMoS)、セレン化モリブデン(代表的にはMoSe)、モリブデンテルル(代表的にはMoTe)、硫化タングステン(代表的にはWS)、セレン化タングステン(代表的にはWSe)、タングステンテルル(代表的にはWTe)、硫化ハフニウム(代表的にはHfS)、セレン化ハフニウム(代表的にはHfSe)、硫化ジルコニウム(代表的にはZrS)、セレン化ジルコニウム(代表的にはZrSe)などが挙げられる。
【0083】
半導体層21a及び半導体層21bに用いる半導体材料の結晶性は特に限定されず、非晶質半導体、単結晶性半導体、または単結晶以外の結晶性を有する半導体(多結晶半導体、微結晶半導体、または一部に結晶領域を有する半導体)のいずれを用いてもよい。結晶性を有する半導体を用いると、トランジスタ特性の劣化を抑制できるため好ましい。
【0084】
導電層24a、導電層24b、及び導電層25は、それぞれ上面が半導体層21aまたは半導体層21bと接する。ここで、半導体層21a及び半導体層21bとして酸化物半導体を用いた場合、導電層24a、導電層24bまたは導電層25に例えばアルミニウムなどの酸化しやすい金属を用いると、導電層24a、導電層24bまたは導電層25と半導体層21aまたは半導体層21bとの間に絶縁性の酸化物(例えば酸化アルミニウム)が形成され、これらの導通を妨げる恐れがある。そのため、導電層24a、導電層24b及び導電層25には、酸化しにくい導電材料、酸化しても電気抵抗が低く保たれる導電材料、または酸化物導電性材料を用いることが好ましい。
【0085】
導電層24a、導電層24b及び導電層25としては、例えば窒化タンタル、窒化チタン、チタンとアルミニウムを含む窒化物、タンタルとアルミニウムを含む窒化物、ルテニウム、酸化ルテニウム、窒化ルテニウム、ストロンチウムとルテニウムを含む酸化物、ランタンとニッケルを含む酸化物などを用いることが好ましい。これらは、酸化されにくい導電性材料、または、酸化しても導電性を維持する材料であるため、好ましい。
【0086】
または、酸化インジウム、酸化亜鉛、In-Sn酸化物、In-Zn酸化物、In-W酸化物、In-W-Zn酸化物、In-Ti酸化物、In-Ti-Sn酸化物、シリコンを含むIn-Sn酸化物、ガリウムを添加した酸化亜鉛などの導電性酸化物を用いることができる。特にインジウムを含む導電性酸化物は、導電性が高いため好ましい。
【0087】
絶縁層22はゲート絶縁層として機能する。半導体層21a及び半導体層21bに酸化物半導体を用いた場合、絶縁層22の少なくとも半導体層21aまたは半導体層21bと接する膜には、酸化物絶縁膜を用いることが好ましい。例えば、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化窒化ハフニウム、酸化ガリウム、酸化窒化ガリウム、酸化イットリウム、酸化窒化イットリウム、及びGa-Zn酸化物の一または複数を用いることができる。このほか、絶縁層22として、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウムなどの窒化物絶縁膜を用いることもできる。また、絶縁層22は積層構造を有していてもよく、例えば酸化物絶縁膜と窒化物絶縁膜とをそれぞれ1以上有する積層構造としてもよい。
【0088】
なお、本明細書等において、酸化窒化物は窒素よりも酸素の含有量が多い材料を指す。窒化酸化物は酸素よりも窒素の含有量が多い材料を指す。
【0089】
導電層23はゲート電極として機能し、様々な導電性材料を用いることができる。導電層23としては、例えばクロム、銅、アルミニウム、金、銀、亜鉛、モリブデン、タンタル、チタン、タングステン、マンガン、ニッケル、鉄、コバルト、及びニオブの一または複数、もしくは前述した金属の一または複数を成分とする合金を用いて形成することができる。また導電層23には、上記導電層24a、導電層24b及び導電層25に用いることができる、窒化物、及び酸化物を適用してもよい。
【0090】
絶縁層28は、半導体層21aまたは半導体層21bと接する部分を有する。半導体層21a及び半導体層21bに酸化物半導体を用いた場合、半導体層21aまたは半導体層21bと絶縁層28との界面特性を向上させるため、絶縁層28の少なくとも半導体層21aまたは半導体層21bと接する部分には酸化物を用いることが好ましい。例えば、酸化シリコンまたは酸化窒化シリコンを好適に用いることができる。
【0091】
また、絶縁層28には、加熱により酸素を放出する膜を用いるとより好ましい。これにより、トランジスタ10a及びトランジスタ10bの作製工程中にかかる熱により半導体層21a及び半導体層21bに酸素を供給することができ、半導体層21a及び半導体層21b中の酸素欠損の低減を図ることができ、信頼性を高めることができる。絶縁層28に酸素を供給する方法としては、酸素雰囲気下における加熱処理、酸素雰囲気下におけるプラズマ処理などが挙げられる。また、絶縁層28の上面に対してスパッタリング法により、酸素雰囲気下で酸化物膜を成膜することで酸素を供給してもよい。その後、当該酸化物膜を除去してもよい。
【0092】
絶縁層28は、スパッタリング法、またはプラズマ化学気相堆積(PECVD:Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition)法などの成膜方法で形成することが好ましい。特に、スパッタリング法を用い、成膜ガスに水素ガスを用いない成膜方法で成膜することで、水素の含有量の極めて少ない膜とすることができる。そのため、半導体層21a及び半導体層21bに水素が供給されることを抑制し、トランジスタ10a及びトランジスタ10bの電気特性の安定化を図ることができる。
【0093】
絶縁層29a及び絶縁層29bは、酸素が拡散しにくい膜を用いることが好ましい。これにより、絶縁層28に含まれる酸素が、加熱により絶縁層29aを介して基板11側に透過すること、及び、絶縁層29bを介して絶縁層22側に透過することを防ぐことができる。言い換えると、酸素が拡散しにくい絶縁層29a及び絶縁層29bで絶縁層28の上下を挟むことで、絶縁層28に含まれる酸素を閉じ込めることができる。これにより、半導体層21a及び半導体層21bに効果的に酸素を供給することができる。
【0094】
絶縁層29a及び絶縁層29bとしては、例えば窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化ハフニウム、及びハフニウムアルミネートの一または複数を用いることができる。特に窒化シリコン及び、窒化酸化シリコンは自身からの不純物(例えば、水及び水素)の放出が少なく、酸素及び水素が透過しにくい特徴を有するため、絶縁層29a及び絶縁層29bとして好適に用いることができる。
【0095】
図3には、トランジスタ10aの断面の拡大図を示している。
【0096】
本明細書等においては、トランジスタ10aのチャネル長Lは、図3に示すように、半導体層21aにおける導電層24aと接する部分と導電層25と接する部分との間の最短距離を言うこととする。絶縁層29a、絶縁層28、及び絶縁層29bの開口20aにおける側面が、基板面に対して垂直に近いほど、チャネル長Lは短くなる。
【0097】
また、トランジスタ10aのチャネル幅Wは、開口20aの周長と一致する。図1(A)に示すように、開口20aの上面形状が、直径Rの円形である場合、トランジスタ10aのチャネル幅Wは、開口20aの円周の長さと一致し、π×Rとなる。開口20aの上面形状が円形のとき、最もチャネル幅Wの小さいトランジスタとすることができる。
【0098】
なお、実際には、開口20aの径は深さ方向で変わる場合が多い。この場合、断面視における絶縁層28の最も高い位置の径、最も低い位置の径、及びこれらの中間点の位置の径の3つの平均値を、開口20aの径とすることができる。なお、これに限られず、絶縁層28の最も高い位置の径、最も低い位置の径、またはこれらの中間点の位置の径の、いずれかの径を、開口20aの径としてもよい。
【0099】
図3に示すように、開口20aにおいて、絶縁層28、絶縁層29a、及び絶縁層29bの側面が、それぞれ上向きに傾斜している、いわゆるテーパ形状である場合の例である。このとき、開口20aにおける絶縁層28の側面と、開口20aの底部に位置する導電層24aの上面との成す角を角度θとしたとき、例えば角度θは、90度以上であって、135度以下、好ましくは125度以下、より好ましくは120度以下、より好ましくは110度以下である部分を有することが好ましい。角度θが直角に近いほど、すなわち、絶縁層28の側面が垂直に近いほど、トランジスタ10aの占有面積を縮小することができる。なお、半導体層21a、絶縁層22、及び導電層23の積層体が、絶縁層28の側面を被覆できる場合は、角度θが90度未満であってもよい。
【0100】
また、半導体層21a及び半導体層21bは、絶縁層29a、絶縁層28、及び絶縁層29bの開口における側面に沿って成膜される。この時、例えばスパッタリング法、またはプラズマCVD法などの成膜方法を用いて成膜される膜は、基板面に対して水平な面に成膜される膜の厚さと比較して、基板面に対して傾斜している面または垂直な面に成膜される膜の厚さが薄くなる傾向がある。そのため、半導体層21a及び半導体層21bをスパッタリング法により形成した場合、絶縁層28と接する部分の厚さは、導電層24aの上面と接する部分の厚さ、及び導電層25の上面と接する部分の厚さよりも薄くなる場合がある。
【0101】
なお、絶縁層22及び導電層23も同様に、絶縁層28等の開口における側面に沿って成膜される部分の厚さが、導電層24a及び導電層25の上面に形成される部分よりも薄く形成されうる。
【0102】
一方、ALD法などで形成する場合には、被形成面の傾斜角によらず、均一な厚さの膜を成膜することができるため、半導体層21a、半導体層21b、絶縁層22、及び導電層23等は、厚さの違いがほとんど生じない場合がある。
【0103】
上述のように、一つのトランジスタ10aに着目すると、絶縁層28等の開口20aの側面が傾斜していることにより、チャネル幅Wは、厳密には導電層24aに近いほど小さく、導電層25に近いほど大きくなる。また、導電層23と導電層25とが絶縁層22を介して重なっている部分には容量が形成される。このような上下非対称な形状の特徴に起因して、トランジスタ10aは、ソースとドレインを入れ替えて動作させた際に、その電圧-電流特性、サブスレッショルド値、しきい値電圧、電界効果移動度、周波数依存性などの電気特性が厳密には一致せず、これらに差が生じてしまう。しかしながら、本発明の一態様は、偶数個のトランジスタを上述のように直列に接続することで、ソースとドレインを入れ替えて動作させた際の電気特性の差を軽減することが可能となる。
【0104】
[構成例2]
以下では、上記構成例1とは一部の構成の異なる構成例について説明する。なお以下では、上記構成例1と重複する部分については説明を省略する場合がある。
【0105】
図4(A)に半導体装置の上面概略図を、図4(B)に図4(A)中の切断線A4-A5に対応する断面概略図を、それぞれ示している。
【0106】
上記構成例1では、絶縁層28よりも上側に位置する導電層(導電層25)により、2つのトランジスタが直列に接続する例を示した。本構成例では、絶縁層28よりも下側に位置する導電層24によって2つのトランジスタが直列に接続された構成について説明する。
【0107】
導電層24は、トランジスタ10aとトランジスタ10bに共通に設けられ、その一部はトランジスタ10aのソース電極及びドレイン電極の一方として機能し、他の一部がトランジスタ10bのソース電極及びドレイン電極の一方として機能する。導電層24は、構成例1における導電層24a及び導電層24bと同様の材料を用いることができる。
【0108】
導電層25aは、トランジスタ10aのソース電極及びドレイン電極の他方として機能する。また導電層25bは、トランジスタ10bのソース電極及びドレイン電極の他方として機能する。導電層25a及び導電層25bは、構成例1における導電層25と同様の材料を用いることができる。
【0109】
直列に接続されたトランジスタ10aとトランジスタ10bに対応する回路図を、図4(C)に示す。また、このような構成は、図4(D)に示すように、一つのトランジスタ10とみなすことができる。
【0110】
構成例1は配線Pと配線Qとが、絶縁層28よりも下に位置する例であり、構成例2はこれらが絶縁層28よりも上に位置する例である。構成例1と構成例2とは、導電層の上面形状を変更するのみで、同一の作製工程を経て同一基板上に作り分けることが可能であるため、これらを混在させることもできる。トランジスタ10aまたはトランジスタ10bと接続するための配線P及びQを、絶縁層28よりも下に配置したい場合は構成例1、上に配置したい場合は構成例2などと、設計に応じてこれらを作り分けることができる。
【0111】
[構成例3]
以下では、上記構成例1及び構成例2とは一部の構成要素の異なる例について説明する。
【0112】
〔構成例3-1〕
図5(A)は、半導体層の構成が異なる点で構成例1と主に相違している。図5(A)では、トランジスタ10aとトランジスタ10bとで、一つの半導体層21を共有している。そのため、半導体層21の一部はトランジスタ10aのチャネルが形成される半導体層として機能し、他の一部はトランジスタ10bの半導体層として機能する。
【0113】
また、トランジスタ10aとトランジスタ10bとの間の領域において、絶縁層28上に導電層25、半導体層21、絶縁層22、及び導電層23がこの順で積層されている。この部分は、絶縁層22を誘電体とした容量として機能する。
【0114】
図1(B)等で例示した構成では、半導体層21aと半導体層21bとを分離するために、これらの間に隙間が設けられていたが、図5(A)に示す構成は、半導体層を2つに作り分ける必要がないため当該隙間を設ける必要がない。そのため、トランジスタ10aとトランジスタ10bとの間の距離を縮小することができ、占有面積を削減することができる。
【0115】
〔構成例3-2〕
図5(B)は、上記構成例3-1における導電層25を省略した場合の例である。
【0116】
半導体層21の絶縁層29b上に位置する部分は、絶縁層28の側面と接する部分と比較してキャリア濃度が高く、低抵抗であることが好ましい。これにより、半導体層21の絶縁層29b上に位置する部分を配線として用いることができる。
【0117】
また、ゲートとして機能する導電層23に、トランジスタ10a及びトランジスタ10bを導通させる電位が与えられたとき、半導体層21の絶縁層29b上に位置する部分にもチャネルが形成されうる。そのため、半導体層21の絶縁層29b上に位置する部分は、トランジスタ10a及びトランジスタ10bを導通状態とするときには低抵抗化し、非導通状態とするときには高抵抗化する。このように、トランジスタ10a及びトランジスタ10bの動作に応じて半導体層21の絶縁層29b上に位置する部分の抵抗が変化するため、導電層25を省略しても問題なく動作できる。このような構成は、特にトランジスタ10aとトランジスタ10bとの間の距離が十分に短い場合には好適である。
【0118】
〔構成例3-3〕
上述したように、導電層24、導電層25などの、半導体層と接する導電層は、半導体層と接する面の酸化の恐れがあるため、酸化しにくい導電材料、酸化しても電気抵抗が低く保たれる導電材料、または酸化物導電性材料を用いることが好ましい。しかしながら、このような材料を用いた場合、十分に電気抵抗を下げることが難しい場合がある。そのため、導電性を補助するために、導電層24、導電層25などに接して低抵抗な導電層を設けることが好ましい。
【0119】
図6(A)は、図1(B)で例示した構成に、導電層14a、導電層14b、及び導電層15を追加した例である。
【0120】
導電層14aは導電層24aに接して設けられる。導電層14bは導電層24bに接して設けられる。導電層15は導電層25に接して設けられる。
【0121】
導電層14a、導電層14b、及び導電層15は、少なくとも導電層25及び導電層24aよりも電気抵抗率の低い材料を用いることが好ましい。例えば、金属、または合金を用いることが好ましい。さらに、導電層14a及び導電層14bは、導電層24a及び導電層24bよりも厚いことが好ましい。また、導電層15は、導電層25よりも厚いことが好ましい。
【0122】
導電層14a、導電層14b、及び導電層15としては、上記導電層23に用いることのできる導電性材料を適用できる。
【0123】
なお、ここでは導電層14a及び導電層14bが、それぞれ導電層24a、導電層24bの上面に接する例を示したが、導電層24a、導電層24bの下面に接する構成としてもよい。同様に、導電層15は、導電層25の下面に接するように設けられていてもよい。
【0124】
図6(B)には、図4(B)で例示した構成に、導電層14、導電層15a、及び導電層15bを追加した例である。導電層14は、導電層24に接して設けられ、導電層15a、導電層15bはそれぞれ、導電層25a、導電層25bと接して設けられている。
【0125】
以上が構成例3についての説明である。
【0126】
なお、上記では、開口20a及び開口20bの形状を円形としたが、これに限られず様々な形状とすることができる。例えば、円形の他、楕円形、角の丸い四角形などとすることができる。また、正三角形、正方形、正五角形をはじめとした正多角形、正多角形以外の多角形としてもよい。また、星形多角形などの、少なくとも一つの内角が180度を超える多角形である凹多角形とすると、チャネル幅を大きくできる。
【0127】
また、フォトリソグラフィ法では、加工するパターンが微細になるほど、光の回折の影響を無視できなくなるため、露光によりフォトマスクのパターンを転写する際に忠実性が損なわれ、レジストマスクを所望の形状に加工することが困難になる。そのため、フォトマスクのパターンが矩形であっても、角が丸まったパターンが形成されやすい。したがって、発光素子の上面形状が、多角形の角が丸い形状、楕円形、または円形などになることがある。そこで、設計パターンと、転写パターンとが一致するように、あらかじめマスクパターンを補正する技術(OPC(Optical Proximity Correction:光近接効果補正)技術)を用いてもよい。具体的には、OPC技術では、マスクパターン上の図形コーナー部などに補正用のパターンを追加する。
【0128】
以上が半導体装置の構成例についての説明である。
【0129】
[作製方法例]
以下では、本発明の一態様のトランジスタの作製方法の例について説明する。ここでは、上記構成例1で例示したトランジスタ10a及びトランジスタ10bを例に挙げて説明する。
【0130】
なお、半導体装置を構成する薄膜(絶縁膜、半導体膜、導電膜等)は、スパッタリング法、化学気相堆積(CVD:Chemical Vapor Deposition)法、真空蒸着法、パルスレーザー堆積(PLD:Pulsed Laser Deposition)法、ALD法等を用いて形成することができる。CVD法としては、PECVD法、熱CVD法などがある。また、熱CVD法のひとつに、有機金属化学気相堆積(MOCVD:Metal Organic CVD)法がある。
【0131】
また、半導体装置を構成する薄膜(絶縁膜、半導体膜、導電膜等)は、スピンコート、ディップ、スプレー塗布、インクジェット、ディスペンス、スクリーン印刷、オフセット印刷、ドクターナイフ、スリットコート、ロールコート、カーテンコート、ナイフコート等の方法により形成することができる。
【0132】
また、半導体装置を構成する薄膜を加工する際には、フォトリソグラフィ法等を用いて加工することができる。それ以外に、ナノインプリント法、サンドブラスト法、リフトオフ法などにより薄膜を加工してもよい。また、メタルマスクなどの遮蔽マスクを用いた成膜方法により、島状の薄膜を直接形成してもよい。
【0133】
フォトリソグラフィ法としては、代表的には以下の2つの方法がある。一つは、加工したい薄膜上にレジストマスクを形成して、エッチング等により当該薄膜を加工し、レジストマスクを除去する方法である。もう一つは、感光性を有する薄膜を成膜した後に、露光、現像を行って、当該薄膜を所望の形状に加工する方法である。
【0134】
フォトリソグラフィ法において、露光に用いる光は、例えばi線(波長365nm)、g線(波長436nm)、h線(波長405nm)、またはこれらを混合させた光を用いることができる。そのほか、紫外線、KrFレーザ光、またはArFレーザ光等を用いることもできる。また、液浸露光技術により露光を行ってもよい。また、露光に用いる光として、極端紫外(EUV:Extreme Ultra-Violet)光、X線を用いてもよい。また、露光に用いる光に代えて、電子ビームを用いることもできる。極端紫外光、X線または電子ビームを用いると、極めて微細な加工が可能となるため好ましい。なお、電子ビームなどのビームを走査することにより露光を行う場合には、フォトマスクは不要である。
【0135】
薄膜のエッチングには、ドライエッチング法、ウェットエッチング法、サンドブラスト法などを用いることができる。
【0136】
図7(A)乃至図7(F)は、以下で説明する半導体装置の作製工程における、各工程における斜視図である。
【0137】
〔基板11の準備〕
まず、基板11を準備する。
【0138】
基板としては、少なくとも後の熱処理に耐えうる程度の耐熱性を有する基板を用いることができる。基板として、絶縁性基板を用いる場合には、ガラス基板、石英基板、サファイア基板、セラミック基板、有機樹脂基板などを用いることができる。また、シリコン、または炭化シリコンなどを材料とした単結晶半導体基板、多結晶半導体基板、シリコンゲルマニウム、窒化ガリウム等の化合物半導体基板、SOI基板などの半導体基板を用いることができる。
【0139】
〔導電層24a、導電層24bの形成〕
続いて、基板11上に導電膜を成膜し、当該導電膜上にレジストマスクを形成して、導電膜の不要な部分をエッチングにより除去することで、導電層24a及び導電層24bを形成する(図7(A))。
【0140】
導電層24a及び導電層24bとなる導電膜の成膜方法としては、スパッタリング法、CVD法、ALD法などを用いることができる。
【0141】
〔絶縁層29a、絶縁層28、絶縁層29bの形成〕
続いて、導電層24a、導電層24bを覆って、絶縁層29a、絶縁層28、及び絶縁層29bを順に成膜する。
【0142】
ここで、絶縁層29a及び絶縁層29bと、絶縁層28とは、組成または構成元素の異なる絶縁膜を用いることが好ましい。
【0143】
絶縁層28は、後に半導体層21のチャネル形成領域が接する膜であるため、加熱により酸素が放出される程度に酸素を多く含み、且つ、水素の含有量の少ない酸化物膜を用いることが好ましい。絶縁層28は、PECVD法、スパッタリング法、ALD法などの成膜方法により成膜できるが、特にスパッタリング法により成膜することが好ましい。特に、成膜ガスに水素が含まれるガスを用いず、且つ、酸素を含むガスを用いて成膜することにより、水素含有量が極めて少なく、且つ、酸素を過剰に含む絶縁層28を成膜することができる。
【0144】
〔導電層25の形成〕
続いて、絶縁層29b上に導電層25となる導電膜を成膜したのち、不要な部分をエッチングにより除去することで、導電層25を形成する(図7(B))。
【0145】
〔開口20a、開口20bの形成〕
続いて、導電層25及び絶縁層29b上にレジストマスクを形成し、導電層25、絶縁層29b、絶縁層28、及び絶縁層29aの一部をエッチングすることにより、これらに導電層24aに達する開口20aと、導電層24bに達する開口20bを形成する(図7(C))。
【0146】
導電層25、絶縁層29b、絶縁層28、及び絶縁層29aのエッチングは、それぞれドライエッチングを用いることで、微細な開口20a及び開口20bを形成することができる。なおこれに限られず、ウェットエッチングとドライエッチングとを組み合わせてもよいし、ウェットエッチングにより加工してもよい。
【0147】
〔半導体層21a、半導体層21bの形成〕
続いて、半導体層21a及び半導体層21bとなる半導体膜を成膜し、不要な部分をエッチングにより除去することにより、島状の半導体層21a及び半導体層21bを形成する(図7(D))。
【0148】
半導体層21a及び半導体層21bは、絶縁層28、絶縁層29a、絶縁層29b、及び導電層25の開口20aまたは開口20bにおける側面に、出来るだけ均一な厚さの膜を形成することが好ましい。例えば、スパッタリング法またはALD法を用いて成膜することができる。
【0149】
半導体膜は、例えば金属酸化物ターゲットを用いたスパッタリング法により形成することが好ましい。
【0150】
半導体膜は、可能な限り欠陥の少ない緻密な膜とすることが好ましい。また、半導体膜は、可能な限り水素、水などの不純物が低減され、高純度な膜であることが好ましい。特に、半導体膜として、結晶性を有する金属酸化物膜を用いることが好ましい。
【0151】
また、金属酸化物膜を成膜する際に、酸素ガスと、不活性ガス(例えば、ヘリウムガス、アルゴンガス、キセノンガスなど)とを混合させてもよい。なお、金属酸化物膜を成膜する際の成膜ガス全体に占める酸素ガスの割合(以下、酸素流量比ともいう)が高いほど、金属酸化物膜の結晶性を高めることができ、信頼性の高いトランジスタを実現できる。一方、酸素流量比が低いほど、金属酸化物膜の結晶性が低くなり、オン電流が高められたトランジスタとすることができる。
【0152】
金属酸化物膜を成膜する際、基板温度が高いほど、結晶性が高く、緻密な金属酸化物膜とすることができる。一方、基板温度が低いほど、結晶性が低く、電気伝導性の高い金属酸化物膜とすることができる。
【0153】
金属酸化物膜の成膜条件としては、基板温度を室温以上250℃以下、好ましくは室温以上200℃以下、より好ましくは基板温度を室温以上140℃以下とすればよい。例えば基板温度を、室温以上140℃未満とすると、生産性が高くなり好ましい。また、基板温度を室温とする、または意図的に加熱しない状態で、金属酸化物膜を成膜することにより、結晶性を低くすることができる。
【0154】
ALD法を用いる場合、熱ALD法、またはPEALD(Plasma Enhanced ALD)法等の成膜方法を用いることが好ましい。熱ALD法は極めて高い段差被覆性を示すため好ましい。またPEALD法は、高い段差被覆性を示すことに加え低温成膜が可能であるため好ましい。
【0155】
例えば、半導体層21に金属酸化物を用いる場合、構成する金属元素を含むプリカーサと、酸化剤と、を用いてALD法により成膜することができる。
【0156】
例えば、In-Ga-Zn酸化物を成膜する場合には、インジウムを含むプリカーサ、ガリウムを含むプリカーサ、および亜鉛を含むプリカーサの、3つのプリカーサを用いることができる。または、インジウムを含むプリカーサと、ガリウム及び亜鉛を含むプリカーサの2つのプリカーサを用いてもよい。
【0157】
インジウムを含むプリカーサとして、トリエチルインジウム、トリス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオン酸)インジウム、シクロペンタジエニルインジウム、塩化インジウム(III)、(3-(ジメチルアミノ)プロピル)ジメチルインジウムなどを用いることができる。
【0158】
また、ガリウムを含むプリカーサとして、トリメチルガリウム、トリエチルガリウム、三塩化ガリウム、トリス(ジメチルアミド)ガリウム、ガリウム(III)アセチルアセトナート、トリス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオン酸)ガリウム、ジメチルクロロガリウム、ジエチルクロロガリウム、塩化ガリウム(III)などを用いることができる。
【0159】
また、亜鉛を含むプリカーサとして、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオン酸)亜鉛、塩化亜鉛などを用いることができる。
【0160】
酸化剤としては、例えば、オゾン、酸素、水などを用いることができる。
【0161】
得られる膜の組成を制御する方法としては、原料ガスの流量比、原料ガスを流す時間、原料ガスを流す順番などを調整することが挙げられる。また、これらを調整することで、組成が連続して変化する膜を成膜することもできる。また、組成の異なる2以上の膜を連続して成膜することも可能となる。
【0162】
半導体膜の成膜後、加熱処理を行ってもよい。加熱処理により、半導体膜に含まれる水及び水素を低減し、且つ、絶縁層28から酸素を供給することができる。なお、加熱処理は半導体膜を加工したあとに行ってもよい。
【0163】
〔絶縁層22の形成〕
続いて、導電層25、半導体層21a、半導体層21b、及び絶縁層29bを覆って、絶縁層22を形成する(図7(E))。
【0164】
絶縁層22は、PECVD法、スパッタリング法、ALD法などの成膜方法を用いることができる。特に開口20a及び開口20bの側壁が垂直に近い場合には、段差被覆性の高い成膜方法を用いることが好ましく、ALD法を用いて形成することが好ましい。
【0165】
〔導電層23の形成〕
続いて、絶縁層22を覆って導電層23となる導電膜を成膜し、不要な部分をエッチングにより除去することで、導電層23を形成する(図7(F))。
【0166】
導電層23は、PECVD法、スパッタリング法、ALD法などの成膜方法を用いることができる。特に開口20a及び開口20bの側壁が垂直に近い場合には、段差被覆性の高い成膜方法を用いることが好ましく、ALD法を用いて形成することが好ましい。
【0167】
以上の工程によりトランジスタ10a及びトランジスタ10bを作製することができる。
【0168】
[適用例]
以下では、上記構成例で例示したトランジスタを適用可能な回路について説明する。
【0169】
上述のように、本発明の一態様のトランジスタは、ソースとドレインを入れ替えて駆動する際に、電気特性の差が小さいことを特徴の一つとする。そのため、ソースとドレインが入れ替わるように動作するトランジスタを有する様々な回路に用いることが好適である。さらに、回路内の他のトランジスタについては、上記構成例で例示したトランジスタと同一の工程で同一基板上に作製される縦型トランジスタを適用できるため、占有面積を縮小することが可能となる。
【0170】
また、本発明の一態様は、直列に接続するトランジスタ数によってチャネル長を決定することができる。チャネル長が長いほど、トランジスタが流す電流を小さくできる。また、チャネル幅が一定であるとき、チャネル長が長いほど、飽和領域で駆動する際の、ソース-ドレイン間電圧を変化させたときの、ドレイン電流の変化を小さくできる(飽和性を高くできる、ともいう)。このような特性が要求されるトランジスタに、本発明の一態様のトランジスタを適用することが好適である。
【0171】
〔適用例1〕
図8には、インバータ回路(「NOT回路」または「反転回路」ともいう)として機能する回路30の構成例を示す。
【0172】
図8に示す回路30は、トランジスタM1、トランジスタM2、トランジスタM3、及び容量C1を有する。回路30は、2つの配線(配線IN、配線INB)と、1つの出力配線(配線OUT)を有する。
【0173】
回路30は、nチャネル型トランジスタのみで構成される単極性のインバータ回路である。回路30の構成にpチャネル型トランジスタを用いないため、製造コストを低減できる。
【0174】
トランジスタM1は、ソース及びドレインの一方が配線CLKと電気的に接続され、他方がトランジスタM2のソース及びドレインの一方、容量C1の一方の電極、及び配線OUTと電気的に接続され、ゲートが容量C1の他方の電極、トランジスタM3のソース及びドレインの一方と電気的に接続される。トランジスタM2は、ソース及びドレインの他方が配線VSSと電気的に接続され、ゲートが配線INと電気的に接続される。トランジスタM3は、ソース及びドレインの他方が配線INBと電気的に接続され、ゲートが配線VDDと電気的に接続される。
【0175】
配線CLKには、第1の電位と、第1の電位よりも高い第2の電位が交互に与えられる。配線INには、入力信号が与えられ、配線INBには、当該入力信号を反転した信号が与えられる。配線VDD、配線VSSにはそれぞれ、高電源電位、低電源電位が与えられる。高電源電位は第1の電位よりも高く、低電源電位は第2の電位よりも低い。
【0176】
続いて、回路30の動作について、図9(A)、(B)を用いて説明する。回路30の動作としては、大きく以下の2つの期間を交互に繰り返すように動作する。図9(A)に示す期間を充電期間、図9(B)に示す期間を放電期間と呼ぶ場合がある。
【0177】
図9(A)の充電期間において、配線INBと配線CLKにハイレベル電位(Hと表記)が、配線INにローレベル電位(Lと表記)が入力される。配線VDDには常にハイレベル電位が、配線VSSには常にローレベル電位が与えられる。
【0178】
このとき、図9(A)に示すように、充電期間ではトランジスタM1とトランジスタM3が導通状態(ONと表記)となり、トランジスタM2が非導通状態(OFFと表記)となる。トランジスタM1のゲートには、トランジスタM3を介して配線INBからハイレベル電位が与えられることで、トランジスタM1が導通状態となる。その結果、配線CLKから配線OUTに向かって電流が流れ、配線OUTに接続される負荷(例えば配線、容量など)を充電することができる。
【0179】
ここで、配線OUTの電位が上昇すると、容量C1によるブートストラップ効果によって、トランジスタM1のゲートの電位は配線INBに与えられるハイレベル電位よりも高い電位に上昇するため、トランジスタM1のしきい値電圧の影響を排除でき、配線OUTへの出力電位を配線CLKの電位に近づけることができる。
【0180】
続いて、図9(B)の期間では、配線INにハイレベル電位が、配線INBと配線CLKにローレベル電位が、それぞれ入力される。
【0181】
配線INにハイレベル電位が与えられるため、トランジスタM2が導通状態となる。図9(A)の期間で配線OUTが充電されているため、配線OUTから配線VSSに電流が流れ、配線OUTが放電される。
【0182】
このとき、充電期間から放電期間に移行した直後では、容量C1はトランジスタM1のしきい値電圧よりも高い電圧が充電されている状態のため、トランジスタM1が非導通状態となるまでにはタイムラグが生じる。そのため、トランジスタM1が導通状態であり、且つ配線CLKにはローレベル電位が与えられた状態であることから、配線OUTから配線CLKに向かって電流が流れる。その後、容量C1の充電電圧がトランジスタM1のしきい値電圧を下回ることで、トランジスタM1が非導通状態となる。
【0183】
このように、図9(B)に示す配線OUTの放電期間において、配線VSS側だけでなく、配線CLK側にも放電のための電流を流すことで、配線OUTの放電を迅速に行うことができる。そのため、配線OUTに接続される負荷が大きい場合であっても高速動作が可能となる。
【0184】
上記で説明したように、回路30におけるトランジスタM1は、充電期間と放電期間とで、電流の向きが入れ替わるように動作する。言い換えると、トランジスタM1は、ソースとドレインとが入れ替わるように動作する。そのため、回路30においては、トランジスタM1に上記構成例で例示した、偶数個のトランジスタを直列接続したトランジスタを適用することが好ましい。また、トランジスタM2及びトランジスタM3にも、トランジスタM1と同一工程により同一基板上に作製される縦型トランジスタを適用することが好ましい。
【0185】
続いて、回路30を用いた順序回路の構成例について説明する。
【0186】
図10(A)に、順序回路40aの構成例を示す。順序回路40aは、回路30と、回路35と、を有する。回路30と回路35とは、配線IN及び配線INBによって接続されている。回路30については上記記載を参照できる。
【0187】
回路35は、トランジスタ41乃至トランジスタ47と、容量C2を有する。回路35には、配線LIN、配線CLK2、配線CLK3、配線RIN、及び配線RESが接続される。トランジスタ41乃至トランジスタ47は、それぞれnチャネル型のトランジスタであることが好ましい。
【0188】
回路35は、入力される各種信号に従って、配線INに第1の信号を、配線INBに第1の信号を反転した第2の信号を、それぞれ出力する機能を有する。
【0189】
配線LIN、配線CLK1、配線CLK2、配線RIN、及び配線RESには、それぞれハイレベル電位の期間とローレベル電位の期間とが所定の周期で繰り返される制御信号が入力される。配線LINに与えられる電位がハイレベル電位のとき、配線INはローレベル電位、配線INBはハイレベル電位となる。一方配線LINに与えられる電位がローレベル電位のときは、配線INがハイレベル電位、配線INBはローレベル電位となる。
【0190】
具体的には、トランジスタ41は、ゲートが配線LINと、ソース及びドレインの一方が配線INB、及びトランジスタ46のソース及びドレインの一方と、他方が配線VDDと、それぞれ電気的に接続されている。トランジスタ42は、ゲートが配線CLK3と、ソース及びドレインの一方がトランジスタ43のソース及びドレインの一方と、他方が配線VDDと、それぞれ電気的に接続されている。トランジスタ43は、ゲートが配線CLK2と、ソース及びドレインの他方が配線IN、容量C2の一方の電極、及びトランジスタ46のゲートと、それぞれ電気的に接続されている。トランジスタ44は、ゲートが配線RINと、ソース及びドレインの一方が配線INと、他方が配線VDDと、それぞれ電気的に接続されている。トランジスタ45は、ゲートが配線RESと、ソース及びドレインの一方が配線INと、他方が配線VDDと、それぞれ電気的に接続されている。トランジスタ46は、ソース及びドレインの他方が配線VSSと電気的に接続されている。トランジスタ47は、ゲートが配線LINと、ソース及びドレインの一方が配線INと、他方が配線VSSと、それぞれ電気的に接続されている。容量C2は、他方の電極が、配線VSSと電気的に接続されている。
【0191】
図10(B)に示す順序回路40bは、回路30に代えて回路30bを有する。回路30bは、回路30と同様の構成が並列に2つ設けられている。すなわち、トランジスタM1、トランジスタM2、トランジスタM3、及び容量C1を含む構成と、トランジスタM4、トランジスタM5、トランジスタM6、及び容量C3を含む構成の2つを有する。トランジスタM1及びトランジスタM2には配線SROUTが接続され、トランジスタM4及びトランジスタM5には配線GOUTが接続される。またトランジスタM4には、配線PWCが接続される。配線CLK1と、配線PWCとには、同期した信号が与えられる。
【0192】
回路30bにおいて、トランジスタM1及びトランジスタM4に、上記構成例で例示した、偶数個のトランジスタを直列接続したトランジスタを適用することが好ましい。
【0193】
順序回路40a及び順序回路40bは、例えば、表示装置の走査線駆動回路に設けられるシフトレジスタ回路などに適用することが好適である。このとき、配線INの電位はほとんどの期間、ハイレベル電位を保つ必要がある。そのため、配線INと配線VSSの導通・非導通を制御するためのスイッチとして機能するトランジスタ47には、オフ状態におけるリーク電流が可能な限り小さいトランジスタを適用することが好ましい。そこで、トランジスタ47には、上記構成例で例示した、チャネル長の長いトランジスタを適用することが好ましい。
【0194】
〔適用例2〕
以下では、表示装置の画素に用いることのできる画素回路について説明する。図11(A)には、以下で例示する回路50を示している。
【0195】
回路50は、トランジスタM11乃至M16と、容量C11と、発光素子ELを有する。また回路50には、配線DATA、配線S1、配線S2、配線S3、配線EM1、配線EM2、配線INI、配線VDD、及び配線VSSが接続されている。配線VDDにはハイレベル電位が、配線VSSにはローレベル電位が、それぞれ与えられる。配線INIには任意の固定電位(代表的にはローレベル電位)が与えられる。配線DATAには、データ信号が与えられる。
【0196】
トランジスタM11は、ゲートが配線S2と、ソース及びドレインの一方が配線DATAと、他方がトランジスタM12のソース及びドレインの一方、及びトランジスタM15のソース及びドレインの一方と、それぞれ電気的に接続されている。トランジスタM12は、ゲートがトランジスタM13のソース及びドレインの一方、及び容量C11の一方の電極と、ソース及びドレインの他方がトランジスタM13のソース及びドレインの他方、及びトランジスタM14のソース及びドレインの一方と、それぞれ電気的に接続されている。トランジスタM13は、ゲートが配線S1と電気的に接続されている。トランジスタM14は、ゲートが配線EM2と、ソース及びドレインの他方が配線VDDと、それぞれ電気的に接続されている。トランジスタM15は、ゲートが配線EM1と、ソース及びドレインの他方が発光素子ELの一方の電極、トランジスタM16のソース及びドレインの一方、及び容量C11の他方の電極と、それぞれ電気的に接続されている。トランジスタM16は、ゲートが配線S3と、ソース及びドレインの他方が配線INIと、それぞれ電気的に接続されている。
【0197】
トランジスタM11、M13、M14、M15、及びM16は、それぞれ配線の導通・非導通を制御するためのスイッチとして機能する。特にトランジスタM11は、データ信号が与えられる配線DATAと電気的に接続され、選択トランジスタと呼ぶことができる。一方、トランジスタM12は、発光素子ELに流れる電流の大きさを制御する機能を有し、駆動トランジスタとも呼ぶことができる。
【0198】
図11(B)には、回路50を駆動させる際のタイミングチャートの例を示している。図11(B)では、上から配線S1、配線S2、配線EM1、配線EM2、配線S3、及び配線DATAに与えられる信号における、電位の時間変化をそれぞれ示している。図11(B)に示すタイミングチャートは、期間T1乃至期間T4に分かれている。なお、図11(B)等では、期間T1乃至期間T4を同じ長さで明示しているが、それぞれの期間の長さは異なっていてもよい。
【0199】
続いて、回路50の動作例について説明する。
【0200】
図12(A1)、(B1)、図13(A1)、及び(B1)は、回路50の動作を説明するための回路図である。図12(A2)、(B2)、図13(A2)、及び(B2)は、説明する期間を示すタイミングチャートである。
【0201】
なお以下では、トランジスタM12以外のトランジスタは、導通状態のとき、ゲートにドレインよりも十分高い電位が与えられ、線形領域で動作するものとし、トランジスタのソースとドレインは同電位となるものとする。
【0202】
期間T1では、図12(A1)、(A2)に示すように、トランジスタM13及びM14が導通状態となり、トランジスタM11、M15、及びM16が非導通状態となる。このとき、トランジスタM12のゲートが接続されるノードN1には、トランジスタM13及びM14を介して配線VDDからハイレベル電位が与えられる。このときのノードN1の電位を、Vddとする。
【0203】
続いて期間T2では、図12(B1)、(B2)に示すように、トランジスタM13、M15、及びM16が導通状態となり、トランジスタM11、M14が非導通状態となる。このとき、ノードN1から、トランジスタM13、M12、M15、及びM16を介して配線INIに向かって電流が流れ、トランジスタM12が非導通状態になるまで電位が低下する。配線INIに与えられる電位をVini、トランジスタM12のしきい値電圧をVthとしたとき、平衡状態に達した後のノードN1の電位はVini+Vthとなる。また、トランジスタM11、M12及びM15が接続されるノードN2の電位は、Viniとなる。
【0204】
続いて、期間T3では、図13(A1)、(A2)に示すように、トランジスタM11、M13、及びM16が導通状態となり、トランジスタM14及びM15が非導通状態となる。このとき、配線DATAの電位に応じて、トランジスタM11、M12、及びM13を介して、ノードN1に電流が流れ、ノードN1の電位が上昇する。配線DATAに与えられる電位をVdataとしたとき、非発光の場合以外は、VdataはViniよりも高くする。これにより、ノードN2の電位は、ViniからVdataに上昇するため、その変化分はVdata-Viniとなる。そのため、ノードN1の電位も、Vdata-Viniだけ上昇し、平衡状態に達した後のノードN1の電位はVdata+Vthとなる。すなわち、トランジスタM12のゲートには、データ信号の電位Vdataに自身のしきい値電圧Vth分高い電位が与えられることになる。したがって、期間T4でトランジスタM12に流れる電流は、トランジスタM12のしきい値電圧Vthの値に依存せず、VdataとViniの電位差のみに依存することとなる。
【0205】
最後に、期間T4では、図13(B1)、(B2)に示すように、トランジスタM14及びトランジスタM15を導通状態とし、トランジスタM11、M13、及びM16を非導通状態とする。これにより、配線VDDからトランジスタM14、M12、及びM15を介して発光素子ELに電流が流れる。発光素子ELに流れる電流は、トランジスタM12のゲートに与えられる電位によって制御される。
【0206】
このような回路、及び駆動方法を用いることで、駆動トランジスタとして機能するトランジスタM12のしきい値電圧のばらつきの影響を原理的に排除することができる。
【0207】
ここで、トランジスタM12に流れる電流の向きに着目すると、期間T2での電流の向きと、期間T3での電流の向きは、反対向きとなる。すなわち、トランジスタM12は、双方向に電流が流れるトランジスタであるといえる。そのため、トランジスタM12には、上記構成例で例示した偶数個の縦型トランジスタを直列接続したトランジスタを適用することが好ましい。
【0208】
また、トランジスタM12以外のトランジスタにも、縦型トランジスタを用いることが好ましい。本発明の一態様の縦型トランジスタは、チャネル長を短くでき且つチャネル幅を大きくできるため、極めて大きな電流を流すことに適している。そのため、スイッチとして機能するトランジスタM11等に縦型トランジスタを適用することで、トランジスタM12と同一の作製工程を経て同時に作製できるだけでなく、トランジスタと接続する配線等の充放電に要する期間を短縮できるため、画素の書き込みに要する時間を短くできる。
【0209】
ここで、図11(B)等に示すタイミングチャートにおいて、配線EM2に与えられる信号と、配線S3に与えられる信号とは、反転信号を用いることができる。そのため、一方の信号から、インバータ回路などの反転回路により容易に他方の信号を生成することができる。また、トランジスタM16にp型トランジスタを適用することで、配線S3と配線EM2とを共通にすることが可能となり、配線の本数を削減できるため好ましい。
【0210】
なお、n型トランジスタとp型トランジスタを混在させる場合、p型トランジスタには、多結晶シリコンまたは単結晶シリコンをチャネルが形成される半導体に用いたトランジスタを適用することが好ましい。特に、LTPS(Low Temperature Poly Silicon)を用いたトランジスタを適用することが好ましい。このとき、n型のトランジスタには、上記で例示した縦型トランジスタを適用し、同一基板上に2種類のトランジスタを混載することが好ましい。
【0211】
〔適用例3〕
図14に示す回路60は、ソースフォロア回路として機能する回路である。回路60は、入力された電圧を所定の割合で増幅し、出力する回路である。
【0212】
回路60は、トランジスタM21、トランジスタM22、抵抗素子R、及び容量C21を有する。また回路60には、配線IN、配線BIAS、配線OUT、配線VDD、及び配線VSSが接続される。
【0213】
トランジスタM21は、ゲートが配線INと、ソース及びドレインの一方が配線VDDと、他方がトランジスタM22のソース及びドレインの一方、及び抵抗素子Rの一方の端子と、それぞれ電気的に接続されている。トランジスタM22は、ゲートが配線BIASと、ソース及びドレインの他方が配線VSSと、それぞれ電気的に接続されている。抵抗素子Rは、他方の端子が配線OUT、及び容量C21の一方の電極と電気的に接続されている。容量C21は、他方の電極が配線VSSと電気的に接続されている。
【0214】
配線INは回路60の入力に相当し、配線OUTは出力に相当する。配線VDDには高電源電位が、配線VSSには低電源電位がそれぞれ与えられる。配線BIASには定電位が与えられる。例えば配線BIASには、配線VSSに与えられる電位以上、配線VDDに与えられる電位以下の電位を与えることができる。
【0215】
トランジスタM21及びトランジスタM22は飽和領域で動作する。このとき、トランジスタが飽和領域で動作する際の、ゲート-ソース間電圧の変化に対する、ソース-ドレイン間電流の変化が小さい(トランジスタの飽和性が良好であるともいう)ほど、回路60の増幅率を高めることができる。トランジスタM21とトランジスタM22の両方に、縦型トランジスタを適用する場合、単体で用いると飽和性が十分でない場合がある。そのため、トランジスタM21とトランジスタM22には、複数の縦型トランジスタを直列に接続したトランジスタを適用することが好ましい。
【0216】
ここで、図14に示す回路の増幅率をシミュレーションにより見積もった結果を示す。シミュレーションに用いたトランジスタM21及びトランジスタM22の特性については、酸化物半導体を用いた、チャネル長L=0.5μm、チャネル幅W=2πμmの縦型トランジスタの実測値を使用した。また、配線VDDに与える電圧を12V、配線VSSに与える電圧を-8V、配線BIASに与える電圧を-5.5Vとし、抵抗Rの抵抗値を1.7kΩ、容量C21の容量値を7.5pFとした。
【0217】
トランジスタM21及びトランジスタM22に使用したトランジスタの直列数と、回路60の増幅率のシミュレーション結果を表1に示す。直列数が大きいほど、増幅率は1に近づく結果となった。
【0218】
【表1】
【0219】
以上が、適用例についての説明である。
【0220】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0221】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様の半導体装置が適用された表示装置について説明する。
【0222】
本実施の形態の表示装置は、高解像度の表示装置または大型な表示装置とすることができる。したがって、本実施の形態の表示装置は、例えば、テレビジョン装置、デスクトップ型もしくはノート型のパーソナルコンピュータ、コンピュータ用などのモニタ、デジタルサイネージ、及び、パチンコ機などの大型ゲーム機などの比較的大きな画面を備える電子機器の他、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、及び、音響再生装置の表示部に用いることができる。
【0223】
また、本実施の形態の表示装置は、高精細な表示装置とすることができる。したがって、本実施の形態の表示装置は、例えば、腕時計型、及び、ブレスレット型などの情報端末機(ウェアラブル機器)の表示部、並びに、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)などのVR向け機器、及び、メガネ型のAR向け機器などの頭部に装着可能なウェアラブル機器の表示部に用いることができる。
【0224】
本発明の一態様の半導体装置は、表示装置、または、当該表示装置を有するモジュールに用いることができる。当該表示装置を有するモジュールとしては、当該表示装置にフレキシブルプリント回路基板(Flexible printed circuit、以下、FPCと記す)もしくはTCP(Tape Carrier Package)等のコネクタが取り付けられたモジュール、COG(Chip On Glass)方式もしくはCOF(Chip On Film)方式等により集積回路(IC)が実装されたモジュール等が挙げられる。
【0225】
[表示装置50A]
図15に、表示装置50Aの斜視図を示す。
【0226】
表示装置50Aは、基板152と基板151とが貼り合わされた構成を有する。図15では、基板152を破線で示している。
【0227】
表示装置50Aは、表示部162、接続部140、回路部164、配線165等を有する。図15では表示装置50AにIC173及びFPC172が実装されている例を示している。そのため、図15に示す構成は、表示装置50Aと、ICと、FPCと、を有する表示モジュールということもできる。
【0228】
接続部140は、表示部162の外側に設けられる。接続部140は、表示部162の一辺または複数の辺に沿って設けることができる。接続部140は、単数であっても複数であってもよい。図15では、表示部の四辺を囲むように接続部140が設けられている例を示す。接続部140では、表示素子の共通電極と、導電層とが電気的に接続されており、共通電極に電位を供給することができる。
【0229】
回路部164は、例えば走査線駆動回路(ゲートドライバともいう)を有する。また、回路部164は、走査線駆動回路及び信号線駆動回路(ソースドライバともいう)の双方を有していてもよい。
【0230】
配線165は、表示部162及び回路部164に信号及び電力を供給する機能を有する。当該信号及び電力は、FPC172を介して外部から配線165に入力される、またはIC173から配線165に入力される。
【0231】
図15では、COG方式またはCOF方式等により、基板151にIC173が設けられている例を示す。IC173には、例えば、走査線駆動回路及び信号線駆動回路のうち一方または双方を有するICを適用できる。なお、表示装置50A及び表示モジュールは、ICを設けない構成としてもよい。また、ICを、COF方式等により、FPCに実装してもよい。
【0232】
本発明の一態様の半導体装置は、例えば、表示装置50Aの表示部162及び回路部164の一方または双方に適用することができる。また、本発明の一態様の半導体装置は、IC173に適用することもできる。
【0233】
例えば、本発明の一態様の半導体装置を表示装置の画素回路に適用する場合、画素回路の占有面積を縮小することができ、高精細の表示装置とすることができる。また、例えば、本発明の一態様の半導体装置を表示装置の駆動回路(例えば、ゲート線駆動回路及びソース線駆動回路の一方または双方)に適用する場合、駆動回路の占有面積を縮小することができ、狭額縁の表示装置とすることができる。また、本発明の一態様の半導体装置は、電気特性が良好であるため、表示装置に用いることで表示装置の信頼性を高めることができる。
【0234】
特に、表示装置50Aに設けられるトランジスタのうち、双方向に電流が流れるトランジスタには、実施の形態1で例示した、偶数の縦型トランジスタが直列に接続された構成を適用することが好ましい。
【0235】
表示部162は、表示装置50Aにおける画像を表示する領域であり、周期的に配列された複数の画素210を有する。図15には、1つの画素210の拡大図を示している。
【0236】
本実施の形態の表示装置における画素の配列に特に限定はなく、様々な方法を適用することができる。画素の配列としては、例えば、ストライプ配列、Sストライプ配列、マトリクス配列、デルタ配列、ベイヤー配列、及びペンタイル配列が挙げられる。
【0237】
図15に示す画素210は、赤色の光を呈する副画素11R、緑色の光を呈する副画素11G、及び、青色の光を呈する副画素11Bを有する。
【0238】
副画素11R、11G、11Bは、それぞれ、表示素子と、当該表示素子の駆動を制御する回路と、を有する。
【0239】
表示素子としては、様々な素子を用いることができ、例えば、液晶素子及び発光素子が挙げられる。その他、シャッター方式または光干渉方式のMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)素子、マイクロカプセル方式、電気泳動方式、エレクトロウェッティング方式、または電子粉流体(登録商標)方式等を適用した表示素子などを用いることもできる。また、光源と、量子ドット材料による色変換技術と、を用いたQLED(Quantum-dot LED)を用いてもよい。
【0240】
液晶素子としては、例えば、透過型の液晶素子、反射型の液晶素子、及び、半透過型の液晶素子が挙げられる。
【0241】
発光素子としては、例えば、LED、OLED(Organic LED)、半導体レーザなどの、自発光性の発光素子が挙げられる。LEDとして、例えば、ミニLED、マイクロLEDなどを用いることができる。
【0242】
発光素子が有する発光物質としては、例えば、蛍光を発する物質(蛍光材料)、燐光を発する物質(燐光材料)、熱活性化遅延蛍光を示す物質(熱活性化遅延蛍光(Thermally activated delayed fluorescence:TADF)材料)、及び、無機化合物(量子ドット材料等)が挙げられる。
【0243】
発光素子の発光色は、赤外、赤、緑、青、シアン、マゼンタ、黄、または白などとすることができる。また、発光素子にマイクロキャビティ構造を付与することにより色純度を高めることができる。
【0244】
発光素子が有する一対の電極のうち、一方の電極は陽極として機能し、他方の電極は陰極として機能する。
【0245】
本実施の形態では、主に、表示素子として発光素子を用いる場合を例に挙げて説明する。
【0246】
なお、本発明の一態様の表示装置は、発光素子が形成されている基板とは反対方向に光を射出する上面射出型(トップエミッション型)、発光素子が形成されている基板側に光を射出する下面射出型(ボトムエミッション型)、両面に光を射出する両面射出型(デュアルエミッション型)のいずれであってもよい。
【0247】
図16に、表示装置50Aの、FPC172を含む領域の一部、回路部164の一部、表示部162の一部、接続部140の一部、及び、端部を含む領域の一部をそれぞれ切断したときの断面の一例を示す。
【0248】
図16に示す表示装置50Aは、基板151と基板152の間に、トランジスタ205D、205R、205G、205B、発光素子130R、発光素子130G、発光素子130B等を有する。発光素子130Rは、赤色の光を呈する副画素11Rが有する表示素子であり、発光素子130Gは、緑色の光を呈する副画素11Gが有する表示素子であり、発光素子130Bは、青色の光を呈する副画素11Bが有する表示素子である。
【0249】
表示装置50Aには、SBS(Side By Side)構造が適用されている。SBS構造は、発光素子ごとに材料及び構成を最適化することができるため、材料及び構成の選択の自由度が高まり、輝度の向上及び信頼性の向上を図ることが容易となる。
【0250】
また、表示装置50Aは、トップエミッション型である。トップエミッション型は、トランジスタ等を発光素子の発光領域と重ねて配置できるため、ボトムエミッション型に比べて画素の開口率を高めることができる。
【0251】
トランジスタ205D、205R、205G、205Bは、いずれも基板151上に形成されている。これらのトランジスタは、同一の材料及び同一の工程により作製することができる。
【0252】
本実施の形態では、トランジスタ205D、205R、205G、205Bには、OSトランジスタを用いる例を示す。トランジスタ205D、205R、205G、205Bには、本発明の一態様のトランジスタを用いることができる。ここでは、トランジスタ205R、205G、205Bに、2つの縦型トランジスタが直列に接続された構成を適用した例を示している。例えばトランジスタ205R、205G、及び205Bは、発光素子に流れる電流を制御するための、駆動トランジスタとして機能する。また、トランジスタ205Dには、単体の縦型トランジスタを適用した例を示している。トランジスタ205Dは、駆動回路の一部を構成するトランジスタである。
【0253】
このように、表示装置50Aは、表示部162及び回路部164の双方に、本発明の一態様のトランジスタを有する。表示部162に本発明の一態様のトランジスタを用いることで、画素サイズを縮小でき、高精細化を図ることができる。また、回路部164に本発明の一態様のトランジスタを用いることで、回路部164の占有面積を小さくでき、狭額縁化を図ることができる。本発明の一態様のトランジスタについては、先の実施の形態の記載を参照できる。
【0254】
具体的には、トランジスタ205D、205R、205G、205Bは、それぞれ、ゲートとして機能する導電層104、ゲート絶縁層として機能する絶縁層106、ソースまたはドレインとして機能する導電層112a及び導電層112b、金属酸化物を有する半導体層108、並びに、絶縁層110(絶縁層110a、110b、110c)を有する。ここでは、同一の導電膜を加工して得られる複数の層に、同じハッチングパターンを付している。絶縁層110は、導電層112aと半導体層108との間に位置する。絶縁層106は、導電層104と半導体層108との間に位置する。
【0255】
なお、本実施の形態の表示装置が有するトランジスタは、本発明の一態様のトランジスタのみに限定されない。例えば、本発明の一態様のトランジスタと、他の構造のトランジスタと、を組み合わせて有していてもよい。
【0256】
本実施の形態の表示装置は、例えば、プレーナ型のトランジスタ、スタガ型のトランジスタ、逆スタガ型のトランジスタのいずれか一以上を有していてもよい。本実施の形態の表示装置が有するトランジスタは、トップゲート型またはボトムゲート型のいずれとしてもよい。または、チャネルが形成される半導体層の上下にゲートが設けられていてもよい。
【0257】
また、本実施の形態の表示装置は、シリコンをチャネル形成領域に用いたトランジスタ(Siトランジスタ)を有していてもよい。
【0258】
シリコンとしては、単結晶シリコン、多結晶シリコン、非晶質シリコン等が挙げられる。特に、半導体層にLTPSを有するトランジスタ(以下、LTPSトランジスタともいう)を用いることができる。LTPSトランジスタは、電界効果移動度が高く、周波数特性が良好である。
【0259】
画素回路に含まれる発光素子の発光輝度を高くする場合、発光素子に流す電流量を大きくする必要がある。そのためには、画素回路に含まれている駆動トランジスタのソース-ドレイン間電圧を高くする必要がある。OSトランジスタは、Siトランジスタと比較して、ソース-ドレイン間において耐圧が高いため、OSトランジスタのソース-ドレイン間には高い電圧を印加することができる。したがって、画素回路に含まれる駆動トランジスタをOSトランジスタとすることで、発光素子に流れる電流量を大きくし、発光素子の発光輝度を高くすることができる。
【0260】
また、トランジスタが飽和領域で動作する場合において、OSトランジスタは、Siトランジスタよりも、ゲート-ソース間電圧の変化に対して、ソース-ドレイン間電流の変化を小さくすることができる。このため、画素回路に含まれる駆動トランジスタとしてOSトランジスタを適用することによって、ゲート-ソース間電圧の変化によって、ソース-ドレイン間に流れる電流を細かく定めることができるため、発光素子に流れる電流量を制御することができる。このため、画素回路における階調数を多くすることができる。
【0261】
また、トランジスタが飽和領域で動作するときに流れる電流の飽和特性において、OSトランジスタは、ソース-ドレイン間電圧が徐々に高くなった場合においても、Siトランジスタよりも安定した電流(飽和電流)を流すことができる。そのため、OSトランジスタを駆動トランジスタとして用いることで、例えば、EL素子の電流-電圧特性にばらつきが生じた場合においても、発光素子に安定した電流を流すことができる。つまり、OSトランジスタは、飽和領域で動作する場合において、ソース-ドレイン間電圧を変化させても、ソース-ドレイン間電流がほぼ変化しないため、発光素子の発光輝度を安定させることができる。
【0262】
回路部164が有するトランジスタと、表示部162が有するトランジスタは、同じ構造であってもよく、異なる構造であってもよい。回路部164が有する複数のトランジスタの構造は、全て同じであってもよく、2種類以上あってもよい。同様に、表示部162が有する複数のトランジスタの構造は、全て同じであってもよく、2種類以上あってもよい。
【0263】
表示部162が有するトランジスタの全てをOSトランジスタとしてもよく、表示部162が有するトランジスタの全てをSiトランジスタとしてもよく、表示部162が有するトランジスタの一部をOSトランジスタとし、残りをSiトランジスタとしてもよい。
【0264】
例えば、表示部162にLTPSトランジスタとOSトランジスタとの双方を用いることで、消費電力が低く、駆動能力の高い表示装置を実現することができる。また、LTPSトランジスタと、OSトランジスタとを、組み合わせる構成をLTPOと呼称する場合がある。なお、より好適な例としては、配線間の導通、非導通を制御するためのスイッチとして機能するトランジスタ等にOSトランジスタを適用し、電流を制御するトランジスタ等にLTPSトランジスタを適用する構成が挙げられる。
【0265】
例えば、表示部162が有するトランジスタの一は、発光素子に流れる電流を制御するためのトランジスタとして機能し、駆動トランジスタとも呼ぶことができる。駆動トランジスタのソース及びドレインの一方は、発光素子の画素電極と電気的に接続される。当該駆動トランジスタには、LTPSトランジスタを用いることが好ましい。これにより、画素回路において発光素子に流れる電流を大きくできる。
【0266】
一方、表示部162が有するトランジスタの他の一は、画素の選択、非選択を制御するためのスイッチとして機能し、選択トランジスタとも呼ぶことができる。選択トランジスタのゲートはゲート線と電気的に接続され、ソース及びドレインの一方は、ソース線(信号線)と電気的に接続される。選択トランジスタには、OSトランジスタを適用することが好ましい。これにより、フレーム周波数を著しく小さく(例えば1fps以下)しても、画素の階調を維持することができるため、静止画を表示する際にドライバを停止することで、消費電力を低減することができる。
【0267】
トランジスタ205D、205R、205G、205Bを覆うように、絶縁層218が設けられ、絶縁層218上に絶縁層235が設けられている。
【0268】
絶縁層218は、トランジスタの保護層として機能することが好ましい。絶縁層218には、水及び水素などの不純物が拡散しにくい材料を用いることが好ましい。これにより、絶縁層218をバリア層として機能させることができる。このような構成とすることで、トランジスタに外部から不純物が拡散することを効果的に抑制でき、表示装置の信頼性を高めることができる。
【0269】
絶縁層218は、1層以上の無機絶縁膜を有することが好ましい。無機絶縁膜としては、例えば、酸化絶縁膜、窒化絶縁膜、酸化窒化絶縁膜、及び窒化酸化絶縁膜が挙げられる。これらの無機絶縁膜の具体例は、前述の通りである。
【0270】
絶縁層235は、平坦化層としての機能を有することが好ましく、有機絶縁膜が好適である。有機絶縁膜に用いることができる材料としては、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミドアミド樹脂、シロキサン樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂、フェノール樹脂、及びこれら樹脂の前駆体等が挙げられる。また、絶縁層235を、有機絶縁膜と、無機絶縁膜との積層構造にしてもよい。絶縁層235の最表層は、エッチング保護層としての機能を有することが好ましい。これにより、画素電極111R、111G、111Bなどの加工時に、絶縁層235に凹部が形成されることを抑制することができる。または、絶縁層235には、画素電極111R、111G、111Bなどの加工時に、凹部が設けられてもよい。
【0271】
絶縁層235上に、発光素子130R、130G、130Bが設けられている。
【0272】
発光素子130Rは、絶縁層235上の画素電極111Rと、画素電極111R上のEL層113Rと、EL層113R上の共通電極115と、を有する。図16に示す発光素子130Rは、赤色の光(R)を発する。EL層113Rは、赤色の光を発する発光層を有する。
【0273】
同様に、発光素子130Gは、画素電極111G、EL層113G、及び共通電極115を有する。発光素子130Gは緑色の光(G)を発し、EL層113Gは緑色の光を発する発光層を有する。
【0274】
同様に、発光素子130Bは、画素電極111B、EL層113B、及び共通電極115を有する。発光素子130Bは青色の光(B)を発し、EL層113Bは青色の光を発する発光層を有する。
【0275】
なお、図16では、EL層113R、113G、113Bを全て同じ厚さのように示すが、これに限られない。EL層113R、113G、113Bのそれぞれの膜厚は異なっていてもよい。例えば、EL層113R、113G、113Bをそれぞれの発する光を強める光路長に対応して膜厚を設定することが好ましい。これにより、マイクロキャビティ構造を実現し、各発光素子から射出される光の色純度を高めることができる。
【0276】
画素電極111Rは、絶縁層106、絶縁層218、及び絶縁層235に設けられた開口を介して、トランジスタ205Rが有する導電層112bと電気的に接続されている。同様に、画素電極111Gは、トランジスタ205Gが有する導電層112bと電気的に接続され、画素電極111Bは、トランジスタ205Bが有する導電層112bと電気的に接続されている。
【0277】
画素電極111R、111G、111Bのそれぞれの端部は、絶縁層237によって覆われている。絶縁層237は、隔壁(土手、バンク、スペーサともいう)として機能する。絶縁層237は、無機絶縁材料及び有機絶縁材料の一方または双方を用いて、単層構造または積層構造で設けることができる。絶縁層237には、例えば、絶縁層218に用いることができる材料及び絶縁層235に用いることができる材料を適用できる。絶縁層237により、画素電極と共通電極とを電気的に絶縁することができる。また、絶縁層237により、隣接する発光素子同士を電気的に絶縁することができる。
【0278】
共通電極115は、発光素子130R、130G、130Bに共通して設けられる一続きの膜である。複数の発光素子が共通して有する共通電極115は、接続部140に設けられた導電層123と電気的に接続される。導電層123には、画素電極111R、111G、111Bと同じ材料及び同じ工程で形成された導電層を用いることが好ましい。
【0279】
本発明の一態様の表示装置において、画素電極と共通電極のうち、光を取り出す側の電極には、可視光を透過する導電膜を用いる。また、光を取り出さない側の電極には、可視光を反射する導電膜を用いることが好ましい。
【0280】
また、光を取り出さない側の電極にも可視光を透過する導電膜を用いてもよい。この場合、反射層と、EL層との間に当該電極を配置することが好ましい。つまり、EL層の発光は、当該反射層によって反射されて、表示装置から取り出されてもよい。
【0281】
発光素子の一対の電極を形成する材料としては、金属、合金、電気伝導性化合物、及びこれらの混合物などを適宜用いることができる。当該材料としては、具体的には、アルミニウム、マグネシウム、チタン、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ガリウム、亜鉛、インジウム、スズ、モリブデン、タンタル、タングステン、パラジウム、金、白金、銀、イットリウム、ネオジムなどの金属、及びこれらを適宜組み合わせて含む合金が挙げられる。また、当該材料としては、インジウムスズ酸化物(In-Sn酸化物、ITOともいう)、In-Si-Sn酸化物(ITSOともいう)、インジウム亜鉛酸化物(In-Zn酸化物)、及びIn-W-Zn酸化物などを挙げることができる。また、当該材料としては、アルミニウム、ニッケル、及びランタンの合金(Al-Ni-La)等のアルミニウムを含む合金(アルミニウム合金)、並びに、銀とマグネシウムの合金、及び、銀とパラジウムと銅の合金(Ag-Pd-Cu、APCとも記す)等の銀を含む合金が挙げられる。その他、当該材料としては、上記例示のない元素周期表の第1族または第2族に属する元素(例えば、リチウム、セシウム、カルシウム、ストロンチウム)、ユウロピウム、イッテルビウムなどの希土類金属及びこれらを適宜組み合わせて含む合金、グラフェン等が挙げられる。
【0282】
発光素子には、微小光共振器(マイクロキャビティ)構造が適用されていることが好ましい。したがって、発光素子が有する一対の電極の一方は、可視光に対する透過性及び反射性を有する電極(半透過・半反射電極)であることが好ましく、他方は、可視光に対する反射性を有する電極(反射電極)であることが好ましい。発光素子がマイクロキャビティ構造を有することで、発光層から得られる発光を両電極間で共振させ、発光素子から射出される光を強めることができる。
【0283】
透明電極の光の透過率は、40%以上とする。例えば、発光素子の透明電極には、可視光(波長400nm以上750nm未満の光)の透過率が40%以上である電極を用いることが好ましい。半透過・半反射電極の可視光の反射率は、10%以上95%以下、好ましくは30%以上80%以下とする。反射電極の可視光の反射率は、40%以上100%以下、好ましくは70%以上100%以下とする。また、これらの電極の抵抗率は、1×10-2Ωcm以下が好ましい。
【0284】
EL層113R、113G、113Bは、それぞれ、島状に設けられている。図16では、隣り合うEL層113Rの端部とEL層113Gの端部とが重なっており、隣り合うEL層113Gの端部とEL層113Bの端部とが重なっており、隣り合うEL層113Rの端部とEL層113Bの端部とが重なっている。ファインメタルマスクを用いて島状のEL層を成膜する場合、図16に示すように、隣り合うEL層の端部同士が重なることがあるが、これに限られない。つまり、隣り合うEL層同士は重ならず、互いに離隔されていてもよい。また、表示装置において、隣り合うEL層同士が重なっている部分と、隣り合うEL層同士が重ならず離隔されている部分と、の双方が存在してもよい。
【0285】
EL層113R、113G、113Bは、それぞれ、少なくとも発光層を有する。発光層は、1種または複数種の発光物質を有する。発光物質としては、青色、紫色、青紫色、緑色、黄緑色、黄色、橙色、または赤色などの発光色を呈する物質を適宜用いる。また、発光物質として、近赤外光を発する物質を用いることもできる。
【0286】
発光物質としては、蛍光材料、燐光材料、TADF材料、及び量子ドット材料などが挙げられる。
【0287】
発光層は、発光物質(ゲスト材料)に加えて、1種または複数種の有機化合物(ホスト材料、アシスト材料等)を有していてもよい。1種または複数種の有機化合物としては、正孔輸送性の高い物質(正孔輸送性材料)及び電子輸送性の高い物質(電子輸送性材料)の一方または双方を用いることができる。また、1種または複数種の有機化合物として、バイポーラ性の物質(電子輸送性及び正孔輸送性が高い物質)、またはTADF材料を用いてもよい。
【0288】
発光層は、例えば、燐光材料と、励起錯体を形成しやすい組み合わせである正孔輸送性材料及び電子輸送性材料と、を有することが好ましい。このような構成とすることにより、励起錯体から発光物質(燐光材料)へのエネルギー移動であるExTET(Exciplex-Triplet Energy Transfer)を用いた発光を効率よく得ることができる。発光物質の最も低エネルギー側の吸収帯の波長と重なるような発光を呈する励起錯体を形成するような組み合わせを選択することで、エネルギー移動がスムーズとなり、効率よく発光を得ることができる。この構成により、発光素子の高効率、低電圧駆動、長寿命を同時に実現できる。
【0289】
EL層は、発光層の他に、正孔注入性の高い物質を含む層(正孔注入層)、正孔輸送性材料を含む層(正孔輸送層)、電子ブロック性の高い物質を含む層(電子ブロック層)、電子注入性の高い物質を含む層(電子注入層)、電子輸送性材料を含む層(電子輸送層)、及び、正孔ブロック性の高い物質を含む層(正孔ブロック層)のうち一つまたは複数を有することができる。その他、EL層は、バイポーラ性材料及びTADF材料の一方または双方を含んでいてもよい。
【0290】
発光素子には低分子化合物及び高分子化合物のいずれを用いることもでき、無機化合物を含んでいてもよい。発光素子を構成する層は、それぞれ、蒸着法(真空蒸着法を含む)、転写法、印刷法、インクジェット法、塗布法等の方法で形成することができる。
【0291】
発光素子には、シングル構造(発光ユニットを1つだけ有する構造)を適用してもよく、タンデム構造(発光ユニットを複数有する構造)を適用してもよい。発光ユニットは、少なくとも1層の発光層を有する。タンデム構造は、複数の発光ユニットが電荷発生層を介して直列に接続された構成である。電荷発生層は、一対の電極間に電圧を印加したときに、2つの発光ユニットの一方に電子を注入し、他方に正孔を注入する機能を有する。タンデム構造とすることで、高輝度発光が可能な発光素子とすることができる。また、タンデム構造は、シングル構造と比べて、同じ輝度を得るために必要な電流を低減できるため、信頼性を高めることができる。なお、タンデム構造をスタック構造と呼んでもよい。
【0292】
図16において、タンデム構造の発光素子を用いる場合、EL層113Rは、赤色の光を発する発光ユニットを複数有する構造であり、EL層113Gは、緑色の光を発する発光ユニットを複数有する構造であり、EL層113Bは、青色の光を発する発光ユニットを複数有する構造であると好ましい。
【0293】
発光素子130R、130G、130B上には保護層131が設けられている。保護層131と基板152は接着層142を介して接着されている。基板152には、遮光層117が設けられている。発光素子の封止には、例えば、固体封止構造または中空封止構造が適用できる。図16では、基板152と基板151との間の空間が、接着層142で充填されており、固体封止構造が適用されている。または、当該空間を不活性ガス(窒素またはアルゴンなど)で充填し、中空封止構造を適用してもよい。このとき、接着層142は、発光素子と重ならないように設けられていてもよい。また、当該空間を、枠状に設けられた接着層142とは異なる樹脂で充填してもよい。
【0294】
保護層131は、少なくとも表示部162に設けられており、表示部162全体を覆うように設けられていることが好ましい。保護層131は、表示部162だけでなく、接続部140及び回路部164を覆うように設けられていることが好ましい。また、保護層131は、表示装置50Aの端部にまで設けられていることが好ましい。一方で、接続部204には、FPC172と導電層166とを電気的に接続させるため、保護層131が設けられていない部分が生じる。
【0295】
発光素子130R、130G、130B上に保護層131を設けることで、発光素子の信頼性を高めることができる。
【0296】
保護層131は単層構造でもよく、2層以上の積層構造であってもよい。また、保護層131の導電性は問わない。保護層131としては、絶縁膜、半導体膜、及び、導電膜の少なくとも一種を用いることができる。
【0297】
保護層131が無機膜を有することで、共通電極115の酸化を防止する、発光素子に不純物(水分及び酸素等)が入り込むことを抑制する、等、発光素子の劣化を抑制し、表示装置の信頼性を高めることができる。
【0298】
保護層131には、例えば、酸化絶縁膜、窒化絶縁膜、酸化窒化絶縁膜、及び窒化酸化絶縁膜等の無機絶縁膜を用いることができる。これらの無機絶縁膜の具体例は、前述の通りである。特に、保護層131は、窒化絶縁膜または窒化酸化絶縁膜を有することが好ましく、窒化絶縁膜を有することがより好ましい。
【0299】
また、保護層131には、ITO、In-Zn酸化物、Ga-Zn酸化物、Al-Zn酸化物、またはIGZO等を含む無機膜を用いることもできる。当該無機膜は、高抵抗であることが好ましく、具体的には、共通電極115よりも高抵抗であることが好ましい。当該無機膜は、さらに窒素を含んでいてもよい。
【0300】
発光素子の発光を、保護層131を介して取り出す場合、保護層131は、可視光に対する透過性が高いことが好ましい。例えば、ITO、IGZO、及び、酸化アルミニウムは、それぞれ、可視光に対する透過性が高い無機材料であるため、好ましい。
【0301】
保護層131としては、例えば、酸化アルミニウム膜と、酸化アルミニウム膜上の窒化シリコン膜と、の積層構造、または、酸化アルミニウム膜と、酸化アルミニウム膜上のIGZO膜と、の積層構造を用いることができる。当該積層構造を用いることで、不純物(水及び酸素等)がEL層側に入り込むことを抑制できる。
【0302】
さらに、保護層131は、有機膜を有していてもよい。例えば、保護層131は、有機膜と無機膜の双方を有していてもよい。保護層131に用いることができる有機膜としては、例えば、絶縁層235に用いることができる有機絶縁膜などが挙げられる。
【0303】
基板151の、基板152が重ならない領域には、接続部204が設けられている。接続部204では、配線165が、導電層166及び接続層242を介してFPC172と電気的に接続されている。配線165は、導電層112bと同一の導電膜を加工して得られた導電層の単層構造である例を示す。導電層166は、画素電極111R、111G、111Bと同一の導電膜を加工して得られた導電層の単層構造である例を示す。接続部204の上面では、導電層166が露出している。これにより、接続部204とFPC172とを接続層242を介して電気的に接続することができる。
【0304】
表示装置50Aは、トップエミッション型である。発光素子が発する光は、基板152側に射出される。基板152には、可視光に対する透過性が高い材料を用いることが好ましい。画素電極111R、111G、111Bは可視光を反射する材料を含み、対向電極(共通電極115)は可視光を透過する材料を含む。
【0305】
基板152の基板151側の面には、遮光層117を設けることが好ましい。遮光層117は、隣り合う発光素子の間、接続部140、及び、回路部164などに設けることができる。
【0306】
また、基板152の基板151側の面、または、保護層131上に、カラーフィルタなどの着色層を設けてもよい。発光素子に重ねてカラーフィルタを設けると、画素から射出される光の色純度を高めることができる。
【0307】
また、基板152の外側(基板151とは反対側の面)には各種光学部材を配置することができる。光学部材としては、例えば、偏光板、位相差板、光拡散層(拡散フィルムなど)、反射防止層、及び集光フィルムが挙げられる。また、基板152の外側には、ゴミの付着を抑制する帯電防止膜、汚れを付着しにくくする撥水性の膜、使用に伴う傷の発生を抑制するハードコート膜、衝撃吸収層等の表面保護層を配置してもよい。例えば、表面保護層として、ガラス層またはシリカ層(SiO層)を設けることで、表面汚染及び傷の発生を抑制することができ、好ましい。また、表面保護層としては、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)、酸化アルミニウム(AlO)、ポリエステル系材料、またはポリカーボネート系材料などを用いてもよい。なお、表面保護層には、可視光に対する透過率が高い材料を用いることが好ましい。また、表面保護層には、硬度が高い材料を用いることが好ましい。
【0308】
基板151及び基板152としては、それぞれ、ガラス、石英、セラミックス、サファイア、樹脂、金属、合金、半導体などを用いることができる。発光素子からの光を取り出す側の基板には、該光を透過する材料を用いる。基板151及び基板152に可撓性を有する材料を用いると、表示装置の可撓性を高め、フレキシブルディスプレイを実現することができる。また、基板151及び基板152の少なくとも一方として偏光板を用いてもよい。
【0309】
基板151及び基板152としては、それぞれ、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリエーテルスルホン(PES)樹脂、ポリアミド樹脂(ナイロン、アラミド等)、ポリシロキサン樹脂、シクロオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂、ABS樹脂、セルロースナノファイバー等を用いることができる。基板151及び基板152の少なくとも一方に、可撓性を有する程度の厚さのガラスを用いてもよい。
【0310】
なお、表示装置に円偏光板を重ねる場合、表示装置が有する基板には、光学等方性の高い基板を用いることが好ましい。光学等方性が高い基板は、複屈折が小さい(複屈折量が小さい、ともいえる)。光学等方性が高いフィルムとしては、トリアセチルセルロース(TAC、セルローストリアセテートともいう)フィルム、シクロオレフィンポリマー(COP)フィルム、シクロオレフィンコポリマー(COC)フィルム、及びアクリルフィルム等が挙げられる。
【0311】
接着層142としては、紫外線硬化型等の光硬化型接着剤、反応硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、嫌気型接着剤などの各種硬化型接着剤を用いることができる。これら接着剤としてはエポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、イミド樹脂、PVC(ポリビニルクロライド)樹脂、PVB(ポリビニルブチラール)樹脂、EVA(エチレンビニルアセテート)樹脂等が挙げられる。特に、エポキシ樹脂等の透湿性が低い材料が好ましい。また、二液混合型の樹脂を用いてもよい。また、接着シート等を用いてもよい。
【0312】
接続層242としては、異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)、異方性導電ペースト(ACP:Anisotropic Conductive Paste)などを用いることができる。
【0313】
[表示装置50B]
図17に示す表示装置50Bは、各色の副画素に、共通のEL層113を有する発光素子と、着色層(カラーフィルタなど)と、が用いられている点で、表示装置50Aと主に異なる。なお、以降の表示装置の説明では、先に説明した表示装置と同様の部分については説明を省略することがある。
【0314】
図17に示す表示装置50Bは、基板151と基板152の間に、トランジスタ205D、205R、205G、205B、発光素子130R、130G、130B、赤色の光を透過する着色層132R、緑色の光を透過する着色層132G、及び、青色の光を透過する着色層132B等を有する。
【0315】
発光素子130Rは、画素電極111Rと、画素電極111R上のEL層113と、EL層113上の共通電極115と、を有する。発光素子130Rの発光は、着色層132Rを介して表示装置50Bの外部に赤色の光として取り出される。
【0316】
発光素子130Gは、画素電極111Gと、画素電極111G上のEL層113と、EL層113上の共通電極115と、を有する。発光素子130Gの発光は、着色層132Gを介して表示装置50Bの外部に緑色の光として取り出される。
【0317】
発光素子130Bは、画素電極111Bと、画素電極111B上のEL層113と、EL層113上の共通電極115と、を有する。発光素子130Bの発光は、着色層132Bを介して表示装置50Bの外部に青色の光として取り出される。
【0318】
発光素子130R、130G、130Bは、EL層113と、共通電極115と、をそれぞれ共有して有する。各色の副画素に共通のEL層113を設ける構成は、各色の副画素にそれぞれ異なるEL層を設ける構成に比べて、作製工程数の削減が可能である。
【0319】
例えば、図17に示す発光素子130R、130G、130Bは、白色の光を発する。発光素子130R、130G、130Bが発する白色の光が、着色層132R、132G、132Bを透過することで、所望の色の光を得ることができる。
【0320】
なお、発光素子130R、130G、130Bにマイクロキャビティ構造が適用されている場合には、それぞれEL層113が呈する白色光のうち、所定の波長の光が強められた光を発する。ここでは、このようにマイクロキャビティ構造が適用されている発光素子であっても、白色の光を発するEL層が適用された場合には、白色の光を発する発光素子と呼ぶこととする。
【0321】
白色の光を発する発光素子は、2つ以上の発光層を含むことが好ましい。2つの発光層を用いて白色発光を得る場合、2つの発光層の発光色が補色の関係となるような発光層を選択すればよい。例えば、第1の発光層の発光色と第2の発光層の発光色を補色の関係になるようにすることで、発光素子全体として白色発光する構成を得ることができる。また、3つ以上の発光層を用いて白色発光を得る場合、3つ以上の発光層の発光色が合わさることで、発光素子全体として白色発光する構成とすればよい。
【0322】
EL層113は、例えば、青色の光を発する発光物質を有する発光層、及び、青色よりも長波長の可視光を発する発光物質を有する発光層を有することが好ましい。EL層113は、例えば、黄色の光(Y)を発する発光層、及び、青色の光を発する発光層を有することが好ましい。または、EL層113は、例えば、赤色の光を発する発光層、緑色の光を発する発光層、及び、青色の光を発する発光層を有することが好ましい。
【0323】
白色の光を発する発光素子には、タンデム構造を用いることが好ましい。具体的には、黄色の光を発する発光ユニットと、青色の光を発する発光ユニットとを有する2段タンデム構造、赤色と緑色の光を発する発光ユニットと、青色の光を発する発光ユニットとを有する2段タンデム構造、青色の光を発する発光ユニットと、黄色、黄緑色、または緑色の光を発する発光ユニットと、青色の光を発する発光ユニットとをこの順で有する3段タンデム構造、または、青色の光を発する発光ユニットと、黄色、黄緑色、または緑色の光と、赤色の光とを発する発光ユニットと、青色の光を発する発光ユニットと、をこの順で有する3段タンデム構造などを適用することができる。例えば、発光ユニットの積層数と色の順番としては、陽極側から、B、Yの2段構造、Bと発光ユニットXとの2段構造、B、Y、Bの3段構造、B、X、Bの3段構造が挙げられ、発光ユニットXにおける発光層の積層数と色の順番としては、陽極側から、R、Yの2層構造、R、Gの2層構造、G、Rの2層構造、G、R、Gの3層構造、または、R、G、Rの3層構造などとすることができる。また、2つの発光層の間に他の層が設けられていてもよい。
【0324】
または、例えば、図17に示す発光素子130R、130G、130Bは、青色の光を発する。このとき、EL層113は、青色の光を発する発光層を1層以上有する。青色の光を呈する副画素11Bにおいては、発光素子130Bが発する青色の光を取り出すことができる。また、赤色の光を呈する副画素11R及び緑色の光を呈する副画素11Gにおいては、発光素子130Rまたは発光素子130Gと、基板152との間に、色変換層を設けることで、発光素子130Rまたは130Gが発する青色の光をより長波長の光に変換し、赤色または緑色の光を取り出すことができる。さらに、発光素子130R上には、色変換層と基板152との間に着色層132Rを設け、発光素子130G上には、色変換層と基板152との間に着色層132Gを設けることが好ましい。発光素子が発する光の一部は、色変換層で変換されずにそのまま透過してしまうことがある。色変換層を透過した光を、着色層を介して取り出すことで、所望の色の光以外を着色層で吸収し、副画素が呈する光の色純度を高めることができる。
【0325】
[表示装置50C]
図18に示す表示装置50Cは、ボトムエミッション型の表示装置である点で、表示装置50Bと主に相違する。
【0326】
発光素子が発する光は、基板151側に射出される。基板151には、可視光に対する透過性が高い材料を用いることが好ましい。一方、基板152に用いる材料の透光性は問わない。
【0327】
基板151とトランジスタとの間には、遮光層117を形成することが好ましい。図18では、基板151上に遮光層117が設けられ、遮光層117上に絶縁層153が設けられ、絶縁層153上にトランジスタ205D、トランジスタ205R(図示しない)、トランジスタ205G、及びトランジスタ205Bなどが設けられている例を示す。また、絶縁層218上に、着色層132R(図示しない)、着色層132G、及び着色層132Bが設けられ、着色層132R(図示しない)、着色層132G、及び着色層132B上に絶縁層235が設けられている。
【0328】
着色層132R(図示しない)と重なる発光素子130Rは、画素電極111Rと、EL層113と、共通電極115と、を有する。
【0329】
着色層132Gと重なる発光素子130Gは、画素電極111Gと、EL層113と、共通電極115と、を有する。
【0330】
着色層132Bと重なる発光素子130Bは、画素電極111Bと、EL層113と、共通電極115と、を有する。
【0331】
画素電極111R、111G、111Bには、それぞれ、可視光に対する透過性が高い材料を用いる。共通電極115には可視光を反射する材料を用いることが好ましい。ボトムエミッション型の表示装置では、共通電極115に抵抗の低い金属等を用いることができるため、共通電極115の抵抗に起因する電圧降下が生じることを抑制でき、高い表示品位を実現できる。
【0332】
本発明の一態様のトランジスタは微細化が可能であり、占有面積を小さくできるため、ボトムエミッション型の表示装置において、画素の開口率を高めること、または、画素のサイズを小さくすることができる。
【0333】
[表示装置50D]
図19(A)に示す表示装置50Dは、受光素子130Sを有する点で、表示装置50Aと主に相違する。
【0334】
表示装置50Dは、画素に、発光素子と受光素子を有する。表示装置50Dにおいて、発光素子として有機EL素子を用い、受光素子として有機フォトダイオードを用いることが好ましい。有機EL素子及び有機フォトダイオードは、同一基板上に形成することができる。したがって、有機EL素子を用いた表示装置に有機フォトダイオードを内蔵することができる。
【0335】
画素に、発光素子及び受光素子を有する表示装置50Dでは、画素が受光機能を有するため、画像を表示しながら、対象物の接触または近接を検出することができる。したがって、表示部162は、画像表示機能に加えて、撮像機能及びセンシング機能の一方または双方を有する。例えば、表示装置50Dが有する副画素全てで画像を表示するだけでなく、一部の副画素は、光源としての光を呈し、他の一部の副画素で光検出を行い、残りの副画素で画像を表示することもできる。
【0336】
したがって、表示装置50Dと別に受光部及び光源を設けなくてもよく、電子機器の部品点数を削減することができる。例えば、電子機器に設けられる生体認証装置、またはスクロールなどを行うための静電容量方式のタッチパネルなどを別途設ける必要がない。したがって、表示装置50Dを用いることで、製造コストが低減された電子機器を提供することができる。
【0337】
受光素子をイメージセンサに用いる場合、表示装置50Dは、受光素子を用いて、画像を撮像することができる。例えば、イメージセンサを用いて、指紋、掌紋、虹彩、脈形状(静脈形状、動脈形状を含む)、または顔などを用いた個人認証のための撮像を行うことができる。
【0338】
また、受光素子は、タッチセンサ(ダイレクトタッチセンサともいう)または非接触センサ(ホバーセンサ、ホバータッチセンサ、タッチレスセンサともいう)などに用いることができる。タッチセンサは、表示装置と、対象物(指、手、またはペンなど)とが、直接接することで、対象物を検出できる。また、非接触センサは、対象物が表示装置に接触しなくても、当該対象物を検出することができる。
【0339】
受光素子130Sは、絶縁層235上の画素電極111Sと、画素電極111S上の機能層113Sと、機能層113S上の共通電極115と、を有する。機能層113Sには、表示装置50Dの外部から光Linが入射する。
【0340】
画素電極111Sは、絶縁層106、絶縁層218、及び絶縁層235に設けられた開口を介して、トランジスタ205Sが有する導電層112bと電気的に接続されている。
【0341】
画素電極111Sの端部は、絶縁層237によって覆われている。
【0342】
共通電極115は、受光素子130S、発光素子130R(図示しない)、発光素子130G、及び、発光素子130Bに共通して設けられる一続きの膜である。発光素子と受光素子とが共通して有する共通電極115は、接続部140に設けられた導電層123と電気的に接続される。
【0343】
機能層113Sは、少なくとも活性層(光電変換層ともいう)を有する。活性層は、半導体を含む。当該半導体としては、シリコンなどの無機半導体、及び、有機化合物を含む有機半導体が挙げられる。本実施の形態では、活性層が有する半導体として、有機半導体を用いる例を示す。有機半導体を用いることで、発光層と、活性層と、を同じ方法(例えば、真空蒸着法)で形成することができ、製造装置を共通化できるため好ましい。
【0344】
機能層113Sは、活性層以外の層として、正孔輸送性の高い物質、電子輸送性の高い物質、またはバイポーラ性の物質(電子輸送性及び正孔輸送性が高い物質)等を含む層をさらに有していてもよい。また、上記に限られず、正孔注入性の高い物質、正孔ブロック材料、電子注入性の高い物質、または電子ブロック材料などを含む層をさらに有していてもよい。受光素子が有する活性層以外の層には、例えば、上述の発光素子に用いることができる材料を用いることができる。
【0345】
受光素子には低分子化合物及び高分子化合物のいずれを用いることもでき、無機化合物を含んでいてもよい。受光素子を構成する層は、それぞれ、蒸着法(真空蒸着法を含む)、転写法、印刷法、インクジェット法、塗布法等の方法で形成することができる。
【0346】
受光素子130Sを用いた表示装置は、タッチセンサ付き表示装置、または非接触センサ付き表示装置として用いることができる。
【0347】
図19(B)及び図19(C)に示す表示装置50Dは、基板151と基板152との間に、受光素子を有する層353、回路層355、及び、発光素子を有する層357を有する。
【0348】
層353は、例えば、受光素子130Sを有する。層357は、例えば、発光素子130R、130G、130Bを有する。
【0349】
回路層355は、受光素子を駆動する回路、及び、発光素子を駆動する回路を有する。回路層355は、例えば、トランジスタ205R、205G、205Bを有する。その他、回路層355には、スイッチ、容量、抵抗、配線、及び端子などのうち一つまたは複数を設けることができる。
【0350】
図19(B)は、受光素子130Sをタッチセンサに用いる例である。図19(B)に示すように、層357において発光素子が発した光を、表示装置50Dに接触した指352が反射することで、層353における受光素子がその反射光を検出する。これにより、表示装置50Dに指352が接触したことを検出することができる。
【0351】
図19(C)は、受光素子130Sを非接触センサに用いる例である。図19(C)に示すように、層357において発光素子が発した光を、表示装置50Dに近接している(接触していない)指352が反射することで、層353における受光素子がその反射光を検出する。
【0352】
[表示装置50E]
図20に示す表示装置50Eは、MML(メタルマスクレス)構造が適用された表示装置の一例である。つまり、表示装置50Eは、ファインメタルマスクを用いずに作製された発光素子を有する。なお、基板151から絶縁層235までの積層構造、及び保護層131から基板152までの積層構造は、表示装置50Aと同様のため、説明を省略する。
【0353】
図20において、絶縁層235上に、発光素子130R、130G、130Bが設けられている。
【0354】
発光素子130Rは、絶縁層235上の導電層124Rと、導電層124R上の導電層126Rと、導電層126R上の層133Rと、層133R上の共通層114と、共通層114上の共通電極115と、を有する。図20に示す発光素子130Rは、赤色の光(R)を発する。層133Rは、赤色の光を発する発光層を有する。発光素子130Rにおいて、層133R、及び、共通層114をまとめてEL層と呼ぶことができる。また、導電層124R及び導電層126Rのうち一方または双方を画素電極と呼ぶことができる。
【0355】
発光素子130Gは、絶縁層235上の導電層124Gと、導電層124G上の導電層126Gと、導電層126G上の層133Gと、層133G上の共通層114と、共通層114上の共通電極115と、を有する。図20に示す発光素子130Gは、緑色の光(G)を発する。層133Gは、緑色の光を発する発光層を有する。発光素子130Gにおいて、層133G、及び、共通層114をまとめてEL層と呼ぶことができる。また、導電層124G及び導電層126Gのうち一方または双方を画素電極と呼ぶことができる。
【0356】
発光素子130Bは、絶縁層235上の導電層124Bと、導電層124B上の導電層126Bと、導電層126B上の層133Bと、層133B上の共通層114と、共通層114上の共通電極115と、を有する。図20に示す発光素子130Bは、青色の光(B)を発する。層133Bは、青色の光を発する発光層を有する。発光素子130Bにおいて、層133B、及び、共通層114をまとめてEL層と呼ぶことができる。また、導電層124B及び導電層126Bのうち一方または双方を画素電極と呼ぶことができる。
【0357】
本明細書等では、発光素子が有するEL層のうち、発光素子ごとに島状に設けられた層を層133B、層133G、または層133Rと示し、複数の発光素子が共有して有する層を共通層114と示す。なお、本明細書等において、共通層114を含めず、層133R、層133G、及び層133Bを指して、島状のEL層、島状に形成されたEL層などと呼ぶ場合もある。
【0358】
層133R、層133G、及び層133Bは、互いに離隔されている。EL層を発光素子ごとに島状に設けることで、隣接する発光素子間のリーク電流を抑制することができる。これにより、意図しない発光に起因したクロストークを防ぐことができ、コントラストの極めて高い表示装置を実現できる。
【0359】
なお、図20では、層133R、133G、133Bを全て同じ膜厚で示すが、これに限られない。層133R、133G、133Bのそれぞれの膜厚は異なっていてもよい。
【0360】
導電層124Rは、絶縁層106、絶縁層218、及び絶縁層235に設けられた開口を介して、トランジスタ205Rが有する導電層112bと電気的に接続されている。同様に、導電層124Gは、トランジスタ205Gが有する導電層112bと電気的に接続され、導電層124Bは、トランジスタ205Bが有する導電層112bと電気的に接続されている。
【0361】
導電層124R、124G、124Bは、絶縁層235に設けられた開口を覆うように形成される。導電層124R、124G、124Bの凹部には、それぞれ、層128が埋め込まれている。
【0362】
層128は、導電層124R、124G、124Bの凹部を平坦化する機能を有する。導電層124R、124G、124B及び層128上には、導電層124R、124G、124Bと電気的に接続される導電層126R、126G、126Bが設けられている。したがって、導電層124R、124G、124Bの凹部と重なる領域も発光領域として使用でき、画素の開口率を高めることができる。導電層124R及び導電層126Rに反射電極として機能する導電層を用いることが好ましい。
【0363】
層128は、絶縁層であってもよく、導電層であってもよい。層128には、各種無機絶縁材料、有機絶縁材料、及び導電材料を適宜用いることができる。特に、層128は、絶縁材料を用いて形成されることが好ましく、有機絶縁材料を用いて形成されることが特に好ましい。層128には、例えば前述の絶縁層237に用いることができる有機絶縁材料を適用することができる。
【0364】
図20では、層128の上面が平坦部を有する例を示すが、層128の形状は、特に限定されない。層128の上面は、凸曲面、凹曲面、及び平面の少なくとも一つを有することができる。
【0365】
また、層128の上面の高さと、導電層124Rの上面の高さと、は、一致または概略一致していてもよく、互いに異なっていてもよい。例えば、層128の上面の高さは、導電層124Rの上面の高さより低くてもよく、高くてもよい。
【0366】
導電層126Rの端部は、導電層124Rの端部と揃っていてもよく、導電層124Rの端部の側面を覆っていてもよい。導電層124R及び導電層126Rのそれぞれの端部は、テーパ形状を有することが好ましい。具体的には、導電層124R及び導電層126Rのそれぞれの端部はテーパ角90°未満のテーパ形状を有することが好ましい。画素電極の端部がテーパ形状を有する場合、画素電極の側面に沿って設けられる層133Rは傾斜した部分を有する。画素電極の側面をテーパ形状とすることで、画素電極の側面に沿って設けられるEL層の被覆性を良好にすることができる。
【0367】
導電層124G、126G、及び、導電層124B、126Bについては、導電層124R、126Rと同様であるため詳細な説明は省略する。
【0368】
導電層126Rの上面及び側面は、層133Rによって覆われている。同様に、導電層126Gの上面及び側面は、層133Gによって覆われており、導電層126Bの上面及び側面は、層133Bによって覆われている。したがって、導電層126R、126G、126Bが設けられている領域全体を、発光素子130R、130G、130Bの発光領域として用いることができるため、画素の開口率を高めることができる。
【0369】
層133R、層133G、及び層133Bそれぞれの上面の一部及び側面は、絶縁層125、127によって覆われている。層133R、層133G、層133B、及び、絶縁層125、127上に、共通層114が設けられ、共通層114上に共通電極115が設けられている。共通層114及び共通電極115は、それぞれ、複数の発光素子に共通して設けられるひと続きの膜である。
【0370】
図20において、導電層126Rと層133Rとの間には、図16等に示す絶縁層237が設けられていない。つまり、表示装置50Eには、画素電極に接し、かつ、画素電極の上面端部を覆う絶縁層(隔壁、バンク、スペーサなどともいう)が設けられていない。そのため、隣り合う発光素子の間隔を極めて狭くすることができる。したがって、高精細、または、高解像度の表示装置とすることができる。また、当該絶縁層を形成するためのマスクも不要となり、表示装置の製造コストを削減することができる。
【0371】
前述の通り、層133R、層133G、及び層133Bは、それぞれ、発光層を有する。層133R、層133G、及び層133Bは、それぞれ、発光層と、発光層上のキャリア輸送層(電子輸送層または正孔輸送層)と、を有することが好ましい。または、層133R、層133G、及び層133Bは、それぞれ、発光層と、発光層上のキャリアブロック層(正孔ブロック層または電子ブロック層)と、を有することが好ましい。または、層133R、層133G、及び層133Bは、それぞれ、発光層と、発光層上のキャリアブロック層と、キャリアブロック層上のキャリア輸送層と、を有することが好ましい。層133R、層133G、及び層133Bの表面は、表示装置の作製工程中に露出するため、キャリア輸送層及びキャリアブロック層の一方または双方を発光層上に設けることで、発光層が最表面に露出することを抑制し、発光層が受けるダメージを低減することができる。これにより、発光素子の信頼性を高めることができる。
【0372】
共通層114は、例えば電子注入層、または正孔注入層を有する。または、共通層114は、電子輸送層と電子注入層とを積層して有していてもよく、正孔輸送層と正孔注入層とを積層して有していてもよい。共通層114は、発光素子130R、130G、130Bで共有されている。
【0373】
層133R、層133G、及び層133Bのそれぞれの側面は、絶縁層125によって覆われている。絶縁層127は、絶縁層125を介して、層133R、層133G、及び層133Bのそれぞれの側面を覆っている。
【0374】
層133R、層133G、及び層133Bの側面(さらには、上面の一部)が、絶縁層125及び絶縁層127の少なくとも一方によって覆われていることで、共通層114(または共通電極115)が、画素電極、及び、層133R、133G、133Bの側面と接することを抑制し、発光素子のショートを抑制することができる。これにより、発光素子の信頼性を高めることができる。
【0375】
絶縁層125は、層133R、層133G、及び層133Bのそれぞれの側面と接することが好ましい。絶縁層125が層133R、層133G、及び層133Bと接する構成とすることで、層133R、層133G、及び層133Bの膜剥がれを防止でき、発光素子の信頼性を高めることができる。
【0376】
絶縁層127は、絶縁層125の凹部を充填するように、絶縁層125上に設けられる。絶縁層127は、絶縁層125の側面の少なくとも一部を覆うことが好ましい。
【0377】
絶縁層125及び絶縁層127を設けることで、隣り合う島状の層の間を埋めることができるため、島状の層上に設ける層(例えばキャリア注入層、及び共通電極など)の被形成面の極端な凹凸を低減し、より平坦にすることができる。したがって、キャリア注入層及び共通電極などの被覆性を高めることができる。
【0378】
共通層114及び共通電極115は、層133R、層133G、層133B、絶縁層125、及び絶縁層127上に設けられる。絶縁層125及び絶縁層127を設ける前の段階では、画素電極及び島状のEL層が設けられる領域と、画素電極及び島状のEL層が設けられない領域(発光素子間の領域)と、に起因する段差が生じている。本発明の一態様の表示装置は、絶縁層125及び絶縁層127を有することで当該段差を平坦化させることができ、共通層114及び共通電極115の被覆性を向上させることができる。したがって、段切れによる接続不良を抑制することができる。また、段差によって共通電極115が局所的に薄膜化して電気抵抗が上昇することを抑制することができる。
【0379】
絶縁層127の上面は平坦性の高い形状を有することが好ましい。絶縁層127の上面は、平面、凸曲面、及び、凹曲面のうち、少なくとも一つを有していてもよい。例えば、絶縁層127の上面は、平坦性の高い、滑らかな凸曲面形状を有することが好ましい。
【0380】
絶縁層125は、無機材料を有する絶縁層とすることができる。絶縁層125には、例えば、酸化絶縁膜、窒化絶縁膜、酸化窒化絶縁膜、及び窒化酸化絶縁膜等の無機絶縁膜を用いることができる。これらの無機絶縁膜の具体例は、前述の通りである。絶縁層125は単層構造であってもよく積層構造であってもよい。特に、酸化アルミニウムは、エッチングにおいて、EL層との選択比が高く、後述する絶縁層127の形成において、EL層を保護する機能を有するため、好ましい。特にALD法により形成した酸化アルミニウム膜、酸化ハフニウム膜、または酸化シリコン膜等の無機絶縁膜を絶縁層125に適用することで、ピンホールが少なく、EL層を保護する機能に優れた絶縁層125を形成することができる。また、絶縁層125は、ALD法により形成した膜と、スパッタリング法により形成した膜と、の積層構造としてもよい。絶縁層125は、例えば、ALD法によって形成された酸化アルミニウム膜と、スパッタリング法によって形成された窒化シリコン膜と、の積層構造であってもよい。
【0381】
絶縁層125は、水及び酸素の少なくとも一方に対するバリア絶縁層としての機能を有することが好ましい。また、絶縁層125は、水及び酸素の少なくとも一方の拡散を抑制する機能を有することが好ましい。また、絶縁層125は、水及び酸素の少なくとも一方を捕獲、または固着する(ゲッタリングともいう)機能を有することが好ましい。
【0382】
なお、本明細書等において、バリア絶縁層とは、バリア性を有する絶縁層のことを示す。また、本明細書等において、バリア性とは、対応する物質の拡散を抑制する機能(透過性が低いともいう)とする。または、対応する物質を、捕獲、または固着する(ゲッタリングともいう)機能とする。
【0383】
絶縁層125が、バリア絶縁層としての機能、またはゲッタリング機能を有することで、外部から各発光素子に拡散しうる不純物(代表的には、水及び酸素の少なくとも一方)の侵入を抑制することが可能な構成となる。当該構成とすることで、信頼性の高い発光素子、さらには、信頼性の高い表示装置を提供することができる。
【0384】
また、絶縁層125は、不純物濃度が低いことが好ましい。これにより、絶縁層125からEL層に不純物が混入し、EL層が劣化することを抑制することができる。また、絶縁層125において、不純物濃度を低くすることで、水及び酸素の少なくとも一方に対するバリア性を高めることができる。例えば、絶縁層125は、水素濃度及び炭素濃度の一方、好ましくは双方が十分に低いことが望ましい。
【0385】
絶縁層125上に設けられる絶縁層127は、隣接する発光素子間に形成された絶縁層125の極端な凹凸を平坦化する機能を有する。換言すると、絶縁層127を有することで共通電極115を形成する面の平坦性を向上させる効果を奏する。
【0386】
絶縁層127としては、有機材料を有する絶縁層を好適に用いることができる。有機材料としては、感光性の有機樹脂を用いることが好ましく、例えば、アクリル樹脂を含む感光性の樹脂組成物を用いることが好ましい。なお、本明細書などにおいて、アクリル樹脂とは、ポリメタクリル酸エステル、またはメタクリル樹脂だけを指すものではなく、広義のアクリル系ポリマー全体を指す場合がある。
【0387】
また、絶縁層127として、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、イミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミドアミド樹脂、シリコーン樹脂、シロキサン樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂、フェノール樹脂、及びこれら樹脂の前駆体等を用いてもよい。また、絶縁層127として、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリグリセリン、プルラン、水溶性のセルロース、またはアルコール可溶性のポリアミド樹脂等の有機材料を用いてもよい。また、感光性の有機樹脂としてはフォトレジストを用いてもよい。感光性の有機樹脂として、ポジ型の材料及びネガ型の材料のどちらを用いてもよい。
【0388】
絶縁層127には可視光を吸収する材料を用いてもよい。絶縁層127が発光素子からの発光を吸収することで、発光素子から絶縁層127を介して隣接する発光素子に光が漏れること(迷光)を抑制することができる。これにより、表示装置の表示品位を高めることができる。また、表示装置に偏光板を用いなくても、表示品位を高めることができるため、表示装置の軽量化及び薄型化を図ることができる。
【0389】
可視光を吸収する材料としては、黒色などの顔料を含む材料、染料を含む材料、光吸収性を有する樹脂材料(例えばポリイミドなど)、及び、カラーフィルタに用いることのできる樹脂材料(カラーフィルタ材料)が挙げられる。特に、2色、または3色以上のカラーフィルタ材料を積層または混合した樹脂材料を用いると、可視光の遮蔽効果を高めることができるため好ましい。特に3色以上のカラーフィルタ材料を混合させることで、黒色または黒色近傍の樹脂層とすることが可能となる。
【0390】
[表示装置50F]
図21に示す表示装置50Fは、各色の副画素に、層133を有する発光素子と、着色層(カラーフィルタなど)と、が用いられている点で、表示装置50Eと主に異なる。
【0391】
図21に示す表示装置50Fは、基板151と基板152の間に、トランジスタ205D、205R、205G、205B、発光素子130R、130G、130B、赤色の光を透過する着色層132R、緑色の光を透過する着色層132G、及び、青色の光を透過する着色層132B等を有する。
【0392】
発光素子130Rの発光は、着色層132Rを介して表示装置50Fの外部に赤色の光として取り出される。同様に、発光素子130Gの発光は、着色層132Gを介して表示装置50Fの外部に緑色の光として取り出される。発光素子130Bの発光は、着色層132Bを介して表示装置50Fの外部に青色の光として取り出される。
【0393】
発光素子130R、130G、130Bは、それぞれ、層133を有する。これら3つの層133は、同一の工程、同一の材料で形成される。また、これら3つの層133は、互いに離隔されている。EL層を発光素子ごとに島状に設けることで、隣接する発光素子間のリーク電流を抑制することができる。これにより、意図しない発光に起因したクロストークを防ぐことができ、コントラストの極めて高い表示装置を実現できる。
【0394】
例えば、図21に示す発光素子130R、130G、130Bは、白色の光を発する。発光素子130R、130G、130Bが発する白色の光が、着色層132R、132G、132Bを透過することで、所望の色の光を得ることができる。
【0395】
または、例えば、図21に示す発光素子130R、130G、130Bは、青色の光を発する。このとき、層133は、青色の光を発する発光層を1層以上有する。青色の光を呈する副画素11Bにおいては、発光素子130Bが発する青色の光を取り出すことができる。また、赤色の光を呈する副画素11R及び緑色の光を呈する副画素11Gにおいては、発光素子130Rまたは発光素子130Gと、基板152との間に、色変換層を設けることで、発光素子130Rまたは130Gが発する青色の光をより長波長の光に変換し、赤色または緑色の光を取り出すことができる。さらに、発光素子130R上には、色変換層と基板152との間に着色層132Rを設け、発光素子130G上には、色変換層と基板152との間に着色層132Gを設けることが好ましい。色変換層を透過した光を、着色層を介して取り出すことで、所望の色の光以外を着色層で吸収し、副画素が呈する光の色純度を高めることができる。
【0396】
[表示装置50G]
図22に示す表示装置50Gは、ボトムエミッション型の表示装置である点で、表示装置50Fと主に相違する。
【0397】
発光素子が発する光は、基板151側に射出される。基板151には、可視光に対する透過性が高い材料を用いることが好ましい。一方、基板152に用いる材料の透光性は問わない。
【0398】
基板151とトランジスタとの間には、遮光層117を形成することが好ましい。図22では、基板151上に遮光層117が設けられ、遮光層117上に絶縁層153が設けられ、絶縁層153上にトランジスタ205D、トランジスタ205R(図示しない)、トランジスタ205G、及びトランジスタ205Bなどが設けられている例を示す。また、絶縁層218上に、着色層132R(図示しない)、着色層132G、及び着色層132Bが設けられ、着色層132R(図示しない)、着色層132G、及び着色層132B上に絶縁層235が設けられている。
【0399】
着色層132R(図示しない)と重なる発光素子130Rは、導電層124Rと、導電層126Rと、EL層113と、共通層114と、共通電極115と、を有する。
【0400】
着色層132Gと重なる発光素子130Gは、導電層124Gと、導電層126Gと、EL層113と、共通層114と、共通電極115と、を有する。
【0401】
着色層132Bと重なる発光素子130Bは、導電層124Bと、導電層126Bと、EL層113と、共通層114と、共通電極115と、を有する。
【0402】
導電層124R、124G、124B、126R、126G、126Bには、それぞれ、可視光に対する透過性が高い材料を用いる。共通電極115には可視光を反射する材料を用いることが好ましい。ボトムエミッション型の表示装置では、共通電極115に抵抗の低い金属等を用いることができるため、共通電極115の抵抗に起因する電圧降下が生じることを抑制でき、高い表示品位を実現できる。
【0403】
本発明の一態様のトランジスタは微細化が可能であり、占有面積を小さくできるため、ボトムエミッション型の表示装置において、画素の開口率を高めること、または、画素のサイズを小さくすることができる。
【0404】
[表示装置の作製方法例]
以下では、MML構造が適用された表示装置の作製方法について図23を用いて説明する。ここでは、ファインメタルマスクを用いずに発光素子を作製する工程について詳述する。図23には、各工程における、表示部162が有する3つの発光素子と接続部140との断面図を示す。
【0405】
発光素子の作製には、蒸着法などの真空プロセス、及び、スピンコート法、インクジェット法などの溶液プロセスを用いることができる。蒸着法としては、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンビーム蒸着法、分子線蒸着法、真空蒸着法などの物理蒸着法(PVD法)、及び、化学蒸着法(CVD法)等が挙げられる。特にEL層に含まれる機能層(正孔注入層、正孔輸送層、正孔ブロック層、発光層、電子ブロック層、電子輸送層、電子注入層、電荷発生層など)については、蒸着法(真空蒸着法等)、塗布法(ディップコート法、ダイコート法、バーコート法、スピンコート法、スプレーコート法等)、印刷法(インクジェット法、スクリーン(孔版印刷)法、オフセット(平版印刷)法、フレキソ(凸版印刷)法、グラビア法、または、マイクロコンタクト法等)などの方法により形成することができる。
【0406】
以下で説明する表示装置の作製方法で作製される島状の層(発光層を含む層)は、ファインメタルマスクを用いて形成されるのではなく、発光層を一面に成膜した後、フォトリソグラフィ法を用いて加工することで形成される。したがって、これまで実現が困難であった高精細な表示装置または高開口率の表示装置を実現することができる。さらに、発光層を各色で作り分けることができるため、極めて鮮やかでコントラストが高く、表示品位の高い表示装置を実現できる。また、発光層上に犠牲層を設けることで、表示装置の作製工程中に発光層が受けるダメージを低減し、発光素子の信頼性を高めることができる。
【0407】
例えば、表示装置が、青色の光を発する発光素子、緑色の光を発する発光素子、及び赤色の光を発する発光素子の3種類で構成される場合、発光層の成膜、及び、フォトリソグラフィによる加工を3回繰り返すことで、3種類の島状の発光層を形成することができる。
【0408】
まず、トランジスタ205R、205G、205B等(図示しない)が設けられた基板151上に、画素電極111R、111G、111B、及び導電層123を形成する。(図23(A))。
【0409】
画素電極となる導電膜の形成には、例えば、スパッタリング法または真空蒸着法を用いることができる。当該導電膜上にフォトリソグラフィ工程によりレジストマスクを形成した後、当該導電膜を加工することにより、画素電極111R、111G、111B、及び導電層123を形成することができる。当該導電膜の加工には、ウェットエッチング法及びドライエッチング法の一方または双方を用いることができる。
【0410】
続いて、後に層133Bとなる膜133Bfを、画素電極111R、111G、111B上に形成する(図23(A))。膜133Bf(後の層133B)は、青色の光を発する発光層を含む。
【0411】
なお、本実施の形態では、まず、青色の光を発する発光素子が有する島状のEL層を形成した後、他の色の光を発する発光素子が有する島状のEL層を形成する例を示す。
【0412】
島状のEL層を形成する工程において、形成順が2番目以降の色の発光素子における画素電極は、先の工程によりダメージを受けることがある。これにより、2番目以降に形成した色の発光素子の駆動電圧は高くなることがある。
【0413】
そこで、本発明の一態様の表示装置を作製する際には、最も短波長の光を発する発光素子(例えば、青色の発光素子)の島状のEL層から作製することが好ましい。例えば、島状のEL層の作製順を、青色、緑色、赤色の順、または、青色、赤色、緑色の順にすることが好ましい。
【0414】
これにより、青色の発光素子において画素電極とEL層の界面の状態を良好に保ち、青色の発光素子の駆動電圧が高くなることを抑制できる。また、青色の発光素子の寿命を長くし、信頼性を高めることができる。なお、赤色及び緑色の発光素子は、青色の発光素子に比べて、駆動電圧の上昇等の影響が小さいため、表示装置全体として、駆動電圧を低くでき、信頼性を高くすることができる。
【0415】
なお、島状のEL層の作製順は上記に限定されず、例えば、赤色、緑色、青色の順としてもよい。
【0416】
図23(A)に示すように、導電層123上には、膜133Bfを形成していない。例えば、エリアマスクを用いることで、膜133Bfを所望の領域にのみ成膜することができる。エリアマスクを用いた成膜工程と、レジストマスクを用いた加工工程と、を採用することで、比較的簡単なプロセスにて発光素子を作製することができる。
【0417】
膜133Bfに含まれる化合物の耐熱温度は、それぞれ、100℃以上180℃以下であることが好ましく、120℃以上180℃以下が好ましく、140℃以上180℃以下がより好ましい。これにより、発光素子の信頼性を高めることができる。また、表示装置の作製工程においてかけられる温度の上限を高めることができる。したがって、表示装置に用いる材料及び形成方法の選択の幅を広げることができ、歩留まりの向上及び信頼性の向上が可能となる。
【0418】
耐熱温度としては、例えば、ガラス転移点、軟化点、融点、熱分解温度、及び、5%重量減少温度のうちいずれかの温度、好ましくはこれらのうち最も低い温度とすることができる。
【0419】
膜133Bfは、例えば、蒸着法、具体的には真空蒸着法により形成することができる。また、膜133Bfは、転写法、印刷法、インクジェット法、または塗布法等の方法で形成してもよい。
【0420】
続いて、膜133Bf上、及び導電層123上に、犠牲層118Bを形成する(図23(A))。犠牲層118Bとなる膜上にフォトリソグラフィ工程によりレジストマスクを形成した後、当該膜を加工することにより、犠牲層118Bを形成することができる。
【0421】
膜133Bf上に犠牲層118Bを設けることで、表示装置の作製工程中に膜133Bfが受けるダメージを低減し、発光素子の信頼性を高めることができる。
【0422】
犠牲層118Bは、画素電極111R、111G、111Bのそれぞれの端部を覆うように設けることが好ましい。これにより、後の工程で形成される層133Bの端部は、画素電極111Bの端部よりも外側に位置することとなる。画素電極111Bの上面全体を発光領域として用いることが可能となるため、画素の開口率を高くすることができる。また、層133Bの端部は、層133B形成後の工程で、ダメージを受ける可能性があるため、画素電極111Bの端部よりも外側に位置する、つまり、発光領域として用いないことが好ましい。これにより、発光素子の特性のばらつきを抑制することができ、信頼性を高めることができる。
【0423】
また、層133Bが画素電極111Bの上面及び側面を覆うことにより、層133B形成後の各工程を、画素電極111Bが露出していない状態で行うことができる。画素電極111Bの端部が露出していると、エッチング工程などにおいて腐食が生じる場合がある。画素電極111Bの腐食を抑制することで、発光素子の歩留まり及び特性を向上させることができる。
【0424】
また、犠牲層118Bを、導電層123と重なる位置にも設けることが好ましい。これにより、導電層123が表示装置の作製工程中にダメージを受けることを抑制できる。
【0425】
犠牲層118Bには、膜133Bfの加工条件に対する耐性の高い膜、具体的には、膜133Bfとのエッチングの選択比が大きい膜を用いる。
【0426】
犠牲層118Bは、膜133Bfに含まれる各化合物の耐熱温度よりも低い温度で形成する。犠牲層118Bを形成する際の基板温度としては、代表的には、200℃以下、好ましくは150℃以下、より好ましくは120℃以下、より好ましくは100℃以下、さらに好ましくは80℃以下である。
【0427】
膜133Bfに含まれる化合物の耐熱温度が高いと、犠牲層118Bの成膜温度を高くでき好ましい。例えば、犠牲層118Bを形成する際の基板温度を100℃以上、120℃以上、または140℃以上とすることもできる。無機絶縁膜は、成膜温度が高いほど緻密でバリア性の高い膜とすることができる。したがって、このような温度で犠牲層を成膜することで、膜133Bfが受けるダメージをより低減でき、発光素子の信頼性を高めることができる。
【0428】
なお、膜133Bf上に形成する他の各層(例えば絶縁膜125f)の成膜温度についても、上記と同様のことがいえる。
【0429】
犠牲層118Bの形成には、例えば、スパッタリング法、ALD法(熱ALD法、PEALD法を含む)、CVD法、真空蒸着法を用いることができる。また、前述の湿式の成膜方法を用いて形成してもよい。
【0430】
犠牲層118B(犠牲層118Bが積層構造の場合は、膜133Bfに接して設けられる層)は、膜133Bfへのダメージが少ない形成方法を用いて形成されることが好ましい。例えば、スパッタリング法よりも、ALD法または真空蒸着法を用いることが好ましい。
【0431】
犠牲層118Bは、ウェットエッチング法またはドライエッチング法により加工することができる。犠牲層118Bの加工は、異方性エッチングにより行うことが好ましい。
【0432】
ウェットエッチング法を用いることで、ドライエッチング法を用いる場合に比べて、犠牲層118Bの加工時に、膜133Bfに加わるダメージを低減することができる。ウェットエッチング法を用いる場合、例えば、現像液、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)水溶液、希フッ酸、シュウ酸、リン酸、酢酸、硝酸、またはこれらの2以上を含む混合溶液等を用いることが好ましい。また、ウェットエッチング法を用いる場合、水、リン酸、希フッ酸、及び硝酸を含む混酸系薬液を用いてもよい。なお、ウェットエッチング処理に用いる薬液は、アルカリ性であってもよく、酸性であってもよい。
【0433】
犠牲層118Bとしては、例えば、金属膜、合金膜、金属酸化物膜、半導体膜、無機絶縁膜、及び、有機絶縁膜のうち一種または複数種を用いることができる。
【0434】
犠牲層118Bには、例えば、金、銀、白金、マグネシウム、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、パラジウム、チタン、アルミニウム、イットリウム、ジルコニウム、及びタンタル等の金属材料、または該金属材料を含む合金材料を用いることができる。
【0435】
犠牲層118Bには、In-Ga-Zn酸化物、酸化インジウム、In-Zn酸化物、In-Sn酸化物、インジウムチタン酸化物(In-Ti酸化物)、インジウムスズ亜鉛酸化物(In-Sn-Zn酸化物)、インジウムチタン亜鉛酸化物(In-Ti-Zn酸化物)、インジウムガリウムスズ亜鉛酸化物(In-Ga-Sn-Zn酸化物)、シリコンを含むインジウムスズ酸化物等の金属酸化物を用いることができる。
【0436】
なお、上記ガリウムに代えて元素M(Mは、アルミニウム、シリコン、ホウ素、イットリウム、銅、バナジウム、ベリリウム、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムから選ばれた一種または複数種)を用いてもよい。
【0437】
例えば、半導体の製造プロセスと親和性の高い材料として、シリコンまたはゲルマニウムなどの半導体材料を用いることができる。または、上記半導体材料の酸化物または窒化物を用いることができる。または、炭素などの非金属材料、またはその化合物を用いることができる。または、チタン、タンタル、タングステン、クロム、アルミニウムなどの金属、またはこれらの一以上を含む合金が挙げられる。または、酸化チタンもしくは酸化クロムなどの上記金属を含む酸化物、または窒化チタン、窒化クロム、もしくは窒化タンタルなどの窒化物を用いることができる。
【0438】
また、犠牲層118Bとして、保護層131に用いることができる各種無機絶縁膜を用いることができる。特に、酸化絶縁膜は、窒化絶縁膜に比べて膜133Bfとの密着性が高く好ましい。例えば、犠牲層118Bには、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化シリコン等の無機絶縁材料を用いることができる。犠牲層118Bとして、例えば、ALD法を用いて、酸化アルミニウム膜を形成することができる。ALD法を用いることで、下地(特に膜133Bf)へのダメージを低減できるため好ましい。
【0439】
例えば、犠牲層118Bとして、ALD法を用いて形成した無機絶縁膜(例えば、酸化アルミニウム膜)と、スパッタリング法を用いて形成した無機膜(例えば、In-Ga-Zn酸化物膜、シリコン膜、またはタングステン膜)と、の積層構造を用いることができる。
【0440】
なお、犠牲層118Bと、後に形成する絶縁層125との双方に、同じ無機絶縁膜を用いることができる。例えば、犠牲層118Bと絶縁層125との双方に、ALD法を用いて形成した酸化アルミニウム膜を用いることができる。ここで、犠牲層118Bと、絶縁層125とで、同じ成膜条件を適用してもよく、互いに異なる成膜条件を適用してもよい。例えば、犠牲層118Bを、絶縁層125と同様の条件で成膜することで、犠牲層118Bを、水及び酸素の少なくとも一方に対するバリア性の高い絶縁層とすることができる。一方で、犠牲層118Bは後の工程で大部分または全部を除去する層であるため、加工が容易であることが好ましい。そのため、犠牲層118Bは、絶縁層125と比べて、成膜時の基板温度が低い条件で成膜することが好ましい。
【0441】
犠牲層118Bに、有機材料を用いてもよい。例えば、有機材料として、少なくとも膜133Bfの最上部に位置する膜に対して化学的に安定な溶媒に溶解しうる材料を用いてもよい。特に、水またはアルコールに溶解する材料を好適に用いることができる。このような材料の成膜の際には、水またはアルコール等の溶媒に溶解させた状態で、湿式の成膜方法で塗布した後に、溶媒を蒸発させるための加熱処理を行うことが好ましい。このとき、減圧雰囲気下での加熱処理を行うことで、低温且つ短時間で溶媒を除去できるため、膜133Bfへの熱的なダメージを低減することができ、好ましい。
【0442】
犠牲層118Bには、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリグリセリン、プルラン、水溶性のセルロース、アルコール可溶性のポリアミド樹脂、または、パーフルオロポリマーなどのフッ素樹脂等の有機樹脂を用いてもよい。
【0443】
例えば、犠牲層118Bとして、蒸着法または上記湿式の成膜方法のいずれかを用いて形成した有機膜(例えば、PVA膜)と、スパッタリング法を用いて形成した無機膜(例えば、窒化シリコン膜)と、の積層構造を用いることができる。
【0444】
なお、本発明の一態様の表示装置には、犠牲膜の一部が犠牲層として残存する場合がある。
【0445】
続いて、犠牲層118Bをハードマスクに用いて、膜133Bfを加工して、層133Bを形成する(図23(B))。
【0446】
これにより、図23(B)に示すように、画素電極111B上に、層133B、及び、犠牲層118Bの積層構造が残存する。また、画素電極111R及び画素電極111Gは露出する。また、接続部140に相当する領域では、導電層123上に犠牲層118Bが残存する。
【0447】
膜133Bfの加工は、異方性エッチングにより行うことが好ましい。特に、異方性のドライエッチングが好ましい。または、ウェットエッチングを用いてもよい。
【0448】
その後、膜133Bfの形成工程、犠牲層118Bの形成工程、及び、層133Bの形成工程と同様の工程を、少なくとも発光材料を変えて、2回繰り返すことで、画素電極111R上に、層133R、及び、犠牲層118Rの積層構造を形成し、画素電極111G上に、層133G、及び、犠牲層118Gの積層構造を形成する(図23(C))。具体的には、層133Rは、赤色の光を発する発光層を含むように形成し、層133Gは、緑色の光を発する発光層を含むように形成する。犠牲層118R、118Gには、犠牲層118Bに用いることができる材料を適用することができ、いずれも同一の材料を用いてもよく、互いに異なる材料を用いてもよい。
【0449】
なお、層133B、層133G、層133Rの側面は、それぞれ、被形成面に対して垂直または概略垂直であることが好ましい。例えば、被形成面と、これらの側面との成す角度を、60度以上90度以下とすることが好ましい。
【0450】
上記のように、フォトリソグラフィ法を用いて形成した層133B、層133G、及び層133Rのうち隣接する2つの間の距離は、8μm以下、5μm以下、3μm以下、2μm以下、または、1μm以下にまで狭めることができる。ここで、当該距離とは、例えば、層133B、層133G、及び層133Rのうち、隣接する2つの対向する端部の間の距離で規定することができる。このように、島状のEL層の間の距離を狭めることで、高い精細度と、大きな開口率を有する表示装置を提供することができる。
【0451】
続いて、画素電極、層133B、層133G、層133R、犠牲層118B、犠牲層118G、及び犠牲層118Rを覆うように、後に絶縁層125となる絶縁膜125fを形成し、絶縁膜125f上に絶縁層127を形成する(図23(D))。
【0452】
絶縁膜125fとしては、3nm以上、5nm以上、または、10nm以上、かつ、200nm以下、150nm以下、100nm以下、または、50nm以下の厚さの絶縁膜を形成することが好ましい。
【0453】
絶縁膜125fは、例えば、ALD法を用いて形成することが好ましい。ALD法を用いることで、成膜ダメージを小さくすることができ、また、被覆性の高い膜を成膜可能なため好ましい。絶縁膜125fとしては、例えば、ALD法を用いて、酸化アルミニウム膜を形成することが好ましい。
【0454】
そのほか、絶縁膜125fは、ALD法よりも成膜速度が速いスパッタリング法、CVD法、または、PECVD法を用いて形成してもよい。これにより、信頼性の高い表示装置を生産性高く作製することができる。
【0455】
絶縁層127となる絶縁膜は、例えば、アクリル樹脂を含む感光性の樹脂組成物を用いて、前述の湿式の成膜方法(例えばスピンコート)で形成することが好ましい。成膜後には、加熱処理(プリベークともいう)を行うことで、当該絶縁膜中に含まれる溶媒を除去することが好ましい。続いて、可視光線または紫外線を当該絶縁膜の一部に照射し、絶縁膜の一部を感光させる。続いて、現像を行って、絶縁膜の露光させた領域を除去する。続いて、加熱処理(ポストベークともいう)を行う。これにより、図23(D)に示す絶縁層127を形成できる。なお、絶縁層127の形状は図23(D)に示す形状に限定されない。例えば、絶縁層127の上面は、凸曲面、凹曲面、及び平面のうち一つまたは複数を有することができる。また、絶縁層127は、絶縁層125、犠牲層118B、犠牲層118G、及び、犠牲層118Rのうち少なくとも一つの端部の側面を覆っていてもよい。
【0456】
続いて、図23(E)に示すように、絶縁層127をマスクとして、エッチング処理を行って、絶縁膜125f、及び、犠牲層118B、118G、118Rの一部を除去する。これにより、犠牲層118B、118G、118Rそれぞれに開口が形成され、層133B、層133G、層133R、及び導電層123の上面が露出する。なお、絶縁層127及び絶縁層125と重なる位置に犠牲層118B、118G、118Rの一部が残存することがある(犠牲層119B、119G、119R参照)。
【0457】
エッチング処理は、ドライエッチングまたはウェットエッチングによって行うことができる。なお、絶縁膜125fを、犠牲層118B、118G、118Rと同様の材料を用いて成膜していた場合、エッチング処理を一括で行うことができるため、好ましい。
【0458】
上記のように、絶縁層127、絶縁層125、犠牲層118B、犠牲層118G、及び、犠牲層118Rを設けることにより、各発光素子間において、共通層114及び共通電極115に、分断された箇所に起因する接続不良、及び局所的に膜厚が薄い箇所に起因する電気抵抗の上昇が発生することを抑制できる。これにより、本発明の一態様の表示装置は、表示品位を向上させることができる。
【0459】
続いて、絶縁層127、層133B、層133G、及び、層133R上に、共通層114、共通電極115をこの順で形成する(図23(F))。
【0460】
共通層114は、蒸着法(真空蒸着法を含む)、転写法、印刷法、インクジェット法、塗布法等の方法で形成することができる。
【0461】
共通電極115の形成には、例えば、スパッタリング法または真空蒸着法を用いることができる。または、蒸着法で形成した膜と、スパッタリング法で形成した膜を積層させてもよい。
【0462】
以上のように、本発明の一態様の表示装置の作製方法では、島状の層133B、島状の層133G、及び島状の層133Rは、ファインメタルマスクを用いて形成されるのではなく、膜を一面に成膜した後に加工することで形成されるため、島状の層を均一の厚さで形成することができる。そして、高精細な表示装置または高開口率の表示装置を実現することができる。また、精細度または開口率が高く、副画素間の距離が極めて短くても、隣接する副画素において、層133B、層133G、及び、層133Rが互いに接することを抑制できる。したがって、副画素間にリーク電流が発生することを抑制することができる。これにより、意図しない発光に起因したクロストークを防ぐことができ、コントラストの極めて高い表示装置を実現できる。
【0463】
また、隣り合う島状のEL層の間に、端部にテーパ形状を有する絶縁層127を設けることで、共通電極115の形成時に段切れが生じることを抑制し、また、共通電極115に局所的に膜厚が薄い箇所が形成されることを防ぐことができる。これにより、共通層114及び共通電極115において、分断された箇所に起因する接続不良、及び局所的に膜厚が薄い箇所に起因する電気抵抗の上昇が発生することを抑制できる。したがって、本発明の一態様の表示装置は、高精細化と高い表示品位の両立が可能となる。
【0464】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0465】
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様の電子機器について、図24乃至図26を用いて説明する。
【0466】
本実施の形態の電子機器は、表示部に本発明の一態様の表示装置を有する。本発明の一態様の表示装置は、高精細化及び高解像度化が容易である。したがって、様々な電子機器の表示部に用いることができる。
【0467】
また、本発明の一態様の半導体装置は、電子機器の表示部以外に適用することもできる。例えば、電子機器の制御部等に、本発明の一態様の半導体装置を用いることで、低消費電力化が可能となり好ましい。
【0468】
電子機器としては、例えば、テレビジョン装置、デスクトップ型もしくはノート型のパーソナルコンピュータ、コンピュータ用などのモニタ、デジタルサイネージ、パチンコ機などの大型ゲーム機などの比較的大きな画面を備える電子機器の他、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、などが挙げられる。
【0469】
特に、本発明の一態様の表示装置は、精細度を高めることが可能なため、比較的小さな表示部を有する電子機器に好適に用いることができる。このような電子機器としては、例えば、腕時計型及びブレスレット型の情報端末機(ウェアラブル機器)、並びに、ヘッドマウントディスプレイなどのVR向け機器、メガネ型のAR向け機器、及び、MR向け機器など、頭部に装着可能なウェアラブル機器等が挙げられる。
【0470】
本発明の一態様の表示装置は、HD(画素数1280×720)、FHD(画素数1920×1080)、WQHD(画素数2560×1440)、WQXGA(画素数2560×1600)、4K(画素数3840×2160)、8K(画素数7680×4320)といった極めて高い解像度を有していることが好ましい。特に4K、8K、またはそれ以上の解像度とすることが好ましい。また、本発明の一態様の表示装置における画素密度(精細度)は、100ppi以上が好ましく、300ppi以上が好ましく、500ppi以上がより好ましく、1000ppi以上がより好ましく、2000ppi以上がより好ましく、3000ppi以上がより好ましく、5000ppi以上がより好ましく、7000ppi以上がさらに好ましい。このように高い解像度及び高い精細度の一方または双方を有する表示装置を用いることで、臨場感及び奥行き感などをより高めることが可能となる。また、本発明の一態様の表示装置の画面比率(アスペクト比)については、特に限定はない。例えば、表示装置は、1:1(正方形)、4:3、16:9、16:10など様々な画面比率に対応することができる。
【0471】
本実施の形態の電子機器は、センサ(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、においまたは赤外線を検知、検出、または測定する機能を含むもの)を有してもよい。
【0472】
本実施の形態の電子機器は、様々な機能を有することができる。例えば、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示部に表示する機能、タッチパネル機能、カレンダー、日付または時刻などを表示する機能、様々なソフトウェア(プログラム)を実行する機能、無線通信機能、記録媒体に記録されているプログラムまたはデータを読み出す機能等を有することができる。
【0473】
図24(A)乃至図24(D)を用いて、頭部に装着可能なウェアラブル機器の一例を説明する。これらウェアラブル機器は、ARのコンテンツを表示する機能、VRのコンテンツを表示する機能、SR(Substitutional Reality)のコンテンツを表示する機能、MR(Mixed Reality)のコンテンツを表示する機能のうち少なくとも一つを有する。電子機器が、AR、VR、SR、及びMRなどの少なくとも一つのコンテンツを表示する機能を有することで、使用者の没入感を高めることが可能となる。
【0474】
図24(A)に示す電子機器700A、及び、図24(B)に示す電子機器700Bは、それぞれ、一対の表示パネル751と、一対の筐体721と、通信部(図示しない)と、一対の装着部723と、制御部(図示しない)と、撮像部(図示しない)と、一対の光学部材753と、フレーム757と、一対の鼻パッド758と、を有する。
【0475】
表示パネル751には、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。したがって極めて精細度の高い表示が可能な電子機器とすることができる。
【0476】
電子機器700A、及び、電子機器700Bは、それぞれ、光学部材753の表示領域756に、表示パネル751で表示した画像を投影することができる。光学部材753は透光性を有するため、使用者は光学部材753を通して視認される透過像に重ねて、表示領域に表示された画像を見ることができる。したがって、電子機器700A、及び、電子機器700Bは、それぞれ、AR表示が可能な電子機器である。
【0477】
電子機器700A、及び、電子機器700Bには、撮像部として、前方を撮像することのできるカメラが設けられていてもよい。また、電子機器700A、及び、電子機器700Bは、それぞれ、ジャイロセンサなどの加速度センサを備えることで、使用者の頭部の向きを検知して、その向きに応じた画像を表示領域756に表示することもできる。
【0478】
通信部は無線通信機を有し、当該無線通信機により映像信号等を供給することができる。なお、無線通信機に代えて、または無線通信機に加えて、映像信号及び電源電位が供給されるケーブルを接続可能なコネクタを備えていてもよい。
【0479】
電子機器700A、及び、電子機器700Bには、バッテリが設けられており、無線及び有線の一方または双方によって充電することができる。
【0480】
筐体721には、タッチセンサモジュールが設けられていてもよい。タッチセンサモジュールは、筐体721の外側の面がタッチされることを検出する機能を有する。タッチセンサモジュールにより、使用者のタップ操作またはスライド操作などを検出し、様々な処理を実行することができる。例えば、タップ操作によって動画の一時停止または再開などの処理を実行することが可能となり、スライド操作により、早送りまたは早戻しの処理を実行することなどが可能となる。また、2つの筐体721のそれぞれにタッチセンサモジュールを設けることで、操作の幅を広げることができる。
【0481】
タッチセンサモジュールとしては、様々なタッチセンサを適用することができる。例えば、静電容量方式、抵抗膜方式、赤外線方式、電磁誘導方式、表面弾性波方式、光学方式等、種々の方式を採用することができる。特に、静電容量方式または光学方式のセンサを、タッチセンサモジュールに適用することが好ましい。
【0482】
光学方式のタッチセンサを用いる場合には、受光素子として、光電変換素子を用いることができる。光電変換素子の活性層には、無機半導体及び有機半導体の一方または双方を用いることができる。
【0483】
図24(C)に示す電子機器800A、及び、図24(D)に示す電子機器800Bは、それぞれ、一対の表示部820と、筐体821と、通信部822と、一対の装着部823と、制御部824と、一対の撮像部825と、一対のレンズ832と、を有する。
【0484】
表示部820には、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。したがって極めて精細度の高い表示が可能な電子機器とすることができる。これにより、使用者に高い没入感を感じさせることができる。
【0485】
表示部820は、筐体821の内部の、レンズ832を通して視認できる位置に設けられる。また、一対の表示部820に異なる画像を表示させることで、視差を用いた3次元表示を行うこともできる。
【0486】
電子機器800A、及び、電子機器800Bは、それぞれ、VR向けの電子機器ということができる。電子機器800Aまたは電子機器800Bを装着した使用者は、レンズ832を通して、表示部820に表示される画像を視認することができる。
【0487】
電子機器800A、及び、電子機器800Bは、それぞれ、レンズ832及び表示部820が、使用者の目の位置に応じて最適な位置となるように、これらの左右の位置を調整可能な機構を有していることが好ましい。また、レンズ832と表示部820との距離を変えることで、ピントを調整する機構を有していることが好ましい。
【0488】
装着部823により、使用者は電子機器800Aまたは電子機器800Bを頭部に装着することができる。なお、図24(C)などにおいては、メガネのつる(テンプルともいう)のような形状として例示しているがこれに限定されない。装着部823は、使用者が装着できればよく、例えば、ヘルメット型またはバンド型の形状としてもよい。
【0489】
撮像部825は、外部の情報を取得する機能を有する。撮像部825が取得したデータは、表示部820に出力することができる。撮像部825には、イメージセンサを用いることができる。また、望遠、広角などの複数の画角に対応可能なように複数のカメラを設けてもよい。
【0490】
なお、ここでは撮像部825を有する例を示したが、対象物の距離を測定することのできる測距センサ(以下、検知部ともよぶ)を設ければよい。すなわち、撮像部825は、検知部の一態様である。検知部としては、例えばイメージセンサ、または、ライダー(LIDAR:Light Detection and Ranging)などの距離画像センサを用いることができる。カメラによって得られた画像と、距離画像センサによって得られた画像とを用いることにより、より多くの情報を取得し、より高精度なジェスチャー操作を可能とすることができる。
【0491】
電子機器800Aは、骨伝導イヤフォンとして機能する振動機構を有してもよい。例えば、表示部820、筐体821、及び装着部823のいずれか一または複数に、当該振動機構を有する構成を適用することができる。これにより、別途、ヘッドフォン、イヤフォン、またはスピーカなどの音響機器を必要とせず、電子機器800Aを装着しただけで映像と音声を楽しむことができる。
【0492】
電子機器800A、及び、電子機器800Bは、それぞれ、入力端子を有してもよい。入力端子には映像出力機器等からの映像信号、及び、電子機器内に設けられるバッテリを充電するための電力等を供給するケーブルを接続することができる。
【0493】
本発明の一態様の電子機器は、イヤフォン750と無線通信を行う機能を有してもよい。イヤフォン750は、通信部(図示しない)を有し、無線通信機能を有する。イヤフォン750は、無線通信機能により、電子機器から情報(例えば音声データ)を受信することができる。例えば、図24(A)に示す電子機器700Aは、無線通信機能によって、イヤフォン750に情報を送信する機能を有する。また、例えば、図24(C)に示す電子機器800Aは、無線通信機能によって、イヤフォン750に情報を送信する機能を有する。
【0494】
電子機器がイヤフォン部を有してもよい。図24(B)に示す電子機器700Bは、イヤフォン部727を有する。例えば、イヤフォン部727と制御部とは、互いに有線接続されている構成とすることができる。イヤフォン部727と制御部とをつなぐ配線の一部は、筐体721または装着部723の内部に配置されていてもよい。
【0495】
同様に、図24(D)に示す電子機器800Bは、イヤフォン部827を有する。例えば、イヤフォン部827と制御部824とは、互いに有線接続されている構成とすることができる。イヤフォン部827と制御部824とをつなぐ配線の一部は、筐体821または装着部823の内部に配置されていてもよい。また、イヤフォン部827と装着部823とがマグネットを有してもよい。これにより、イヤフォン部827を装着部823に磁力によって固定することができ、収納が容易となり好ましい。
【0496】
なお、電子機器は、イヤフォンまたはヘッドフォンなどを接続することができる音声出力端子を有してもよい。また、電子機器は、音声入力端子及び音声入力機構の一方または双方を有してもよい。音声入力機構としては、例えば、マイクなどの集音装置を用いることができる。電子機器が音声入力機構を有することで、電子機器に、いわゆるヘッドセットとしての機能を付与してもよい。
【0497】
このように、本発明の一態様の電子機器としては、メガネ型(電子機器700A、及び、電子機器700Bなど)と、ゴーグル型(電子機器800A、及び、電子機器800Bなど)と、のどちらも好適である。
【0498】
本発明の一態様の電子機器は、有線または無線によって、イヤフォンに情報を送信することができる。
【0499】
図25(A)に示す電子機器6500は、スマートフォンとして用いることのできる携帯情報端末機である。
【0500】
電子機器6500は、筐体6501、表示部6502、電源ボタン6503、ボタン6504、スピーカ6505、マイク6506、カメラ6507、及び光源6508等を有する。表示部6502はタッチパネル機能を備える。
【0501】
表示部6502に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。
【0502】
図25(B)は、筐体6501のマイク6506側の端部を含む断面概略図である。
【0503】
筐体6501の表示面側には透光性を有する保護部材6510が設けられ、筐体6501と保護部材6510に囲まれた空間内に、表示パネル6511、光学部材6512、タッチセンサパネル6513、プリント基板6517、バッテリ6518等が配置されている。
【0504】
保護部材6510には、表示パネル6511、光学部材6512、及びタッチセンサパネル6513が接着層(図示しない)により固定されている。
【0505】
表示部6502よりも外側の領域において、表示パネル6511の一部が折り返されており、当該折り返された部分にFPC6515が接続されている。FPC6515には、IC6516が実装されている。FPC6515は、プリント基板6517に設けられた端子に接続されている。
【0506】
表示パネル6511には本発明の一態様のフレキシブルディスプレイを適用することができる。そのため、極めて軽量な電子機器を実現できる。また、表示パネル6511が極めて薄いため、電子機器の厚さを抑えつつ、大容量のバッテリ6518を搭載することもできる。また、表示パネル6511の一部を折り返して、画素部の裏側にFPC6515との接続部を配置することにより、狭額縁の電子機器を実現できる。
【0507】
図25(C)にテレビジョン装置の一例を示す。テレビジョン装置7100は、筐体7101に表示部7000が組み込まれている。ここでは、スタンド7103により筐体7101を支持した構成を示している。
【0508】
表示部7000に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。
【0509】
図25(C)に示すテレビジョン装置7100の操作は、筐体7101が備える操作スイッチ、及び、別体のリモコン操作機7111により行うことができる。または、表示部7000にタッチセンサを備えていてもよく、指等で表示部7000に触れることでテレビジョン装置7100を操作してもよい。リモコン操作機7111は、当該リモコン操作機7111から出力する情報を表示する表示部を有してもよい。リモコン操作機7111が備える操作キーまたはタッチパネルにより、チャンネル及び音量の操作を行うことができ、表示部7000に表示される映像を操作することができる。
【0510】
なお、テレビジョン装置7100は、受信機及びモデムなどを備えた構成とする。受信機により一般のテレビ放送の受信を行うことができる。また、モデムを介して有線または無線による通信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)または双方向(送信者と受信者間、あるいは受信者間など)の情報通信を行うことも可能である。
【0511】
図25(D)に、ノート型パーソナルコンピュータの一例を示す。ノート型パーソナルコンピュータ7200は、筐体7211、キーボード7212、ポインティングデバイス7213、外部接続ポート7214等を有する。筐体7211に、表示部7000が組み込まれている。
【0512】
表示部7000に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。
【0513】
図25(E)及び図25(F)に、デジタルサイネージの一例を示す。
【0514】
図25(E)に示すデジタルサイネージ7300は、筐体7301、表示部7000、及びスピーカ7303等を有する。さらに、LEDランプ、操作キー(電源スイッチ、または操作スイッチを含む)、接続端子、各種センサ、マイクロフォン等を有することができる。
【0515】
図25(F)は円柱状の柱7401に取り付けられたデジタルサイネージ7400である。デジタルサイネージ7400は、柱7401の曲面に沿って設けられた表示部7000を有する。
【0516】
図25(E)及び図25(F)において、表示部7000に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。
【0517】
表示部7000が広いほど、一度に提供できる情報量を増やすことができる。また、表示部7000が広いほど、人の目につきやすく、例えば、広告の宣伝効果を高めることができる。
【0518】
表示部7000にタッチパネルを適用することで、表示部7000に画像または動画を表示するだけでなく、使用者が直感的に操作することができ、好ましい。また、路線情報もしくは交通情報などの情報を提供するための用途に用いる場合には、直感的な操作によりユーザビリティを高めることができる。
【0519】
図25(E)及び図25(F)に示すように、デジタルサイネージ7300またはデジタルサイネージ7400は、使用者が所持するスマートフォン等の情報端末機7311または情報端末機7411と無線通信により連携可能であることが好ましい。例えば、表示部7000に表示される広告の情報を、情報端末機7311または情報端末機7411の画面に表示させることができる。また、情報端末機7311または情報端末機7411を操作することで、表示部7000の表示を切り替えることができる。
【0520】
デジタルサイネージ7300またはデジタルサイネージ7400に、情報端末機7311または情報端末機7411の画面を操作手段(コントローラ)としたゲームを実行させることもできる。これにより、不特定多数の使用者が同時にゲームに参加し、楽しむことができる。
【0521】
図26(A)乃至図26(G)に示す電子機器は、筐体9000、表示部9001、スピーカ9003、操作キー9005(電源スイッチ、または操作スイッチを含む)、接続端子9006、センサ9007(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、においまたは赤外線を検知、検出、または測定する機能を含むもの)、マイクロフォン9008、等を有する。
【0522】
図26(A)乃至図26(G)において、表示部9001に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。
【0523】
図26(A)乃至図26(G)に示す電子機器は、様々な機能を有する。例えば、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示部に表示する機能、タッチパネル機能、カレンダー、日付または時刻などを表示する機能、様々なソフトウェア(プログラム)によって処理を制御する機能、無線通信機能、記録媒体に記録されているプログラムまたはデータを読み出して処理する機能、等を有することができる。なお、電子機器の機能はこれらに限られず、様々な機能を有することができる。電子機器は、複数の表示部を有してもよい。また、電子機器にカメラ等を設け、静止画または動画を撮影し、記録媒体(外部またはカメラに内蔵)に保存する機能、撮影した画像を表示部に表示する機能、等を有してもよい。
【0524】
図26(A)乃至図26(G)に示す電子機器の詳細について、以下説明を行う。
【0525】
図26(A)は、携帯情報端末9101を示す斜視図である。携帯情報端末9101は、例えばスマートフォンとして用いることができる。なお、携帯情報端末9101は、スピーカ9003、接続端子9006、センサ9007等を設けてもよい。また、携帯情報端末9101は、文字及び画像情報をその複数の面に表示することができる。図26(A)では3つのアイコン9050を表示した例を示している。また、破線の矩形で示す情報9051を表示部9001の他の面に表示することもできる。情報9051の一例としては、電子メール、SNS、電話などの着信の通知、電子メールまたはSNSなどの題名、送信者名、日時、時刻、バッテリの残量、電波強度などがある。または、情報9051が表示されている位置にはアイコン9050などを表示してもよい。
【0526】
図26(B)は、携帯情報端末9102を示す斜視図である。携帯情報端末9102は、表示部9001の3面以上に情報を表示する機能を有する。ここでは、情報9052、情報9053、情報9054がそれぞれ異なる面に表示されている例を示す。例えば使用者は、洋服の胸ポケットに携帯情報端末9102を収納した状態で、携帯情報端末9102の上方から観察できる位置に表示された情報9053を確認することもできる。使用者は、携帯情報端末9102をポケットから取り出すことなく表示を確認し、例えば電話を受けるか否かを判断できる。
【0527】
図26(C)は、タブレット端末9103を示す斜視図である。タブレット端末9103は、一例として、移動電話、電子メール、文章閲覧及び作成、音楽再生、インターネット通信、コンピュータゲーム等の種々のアプリケーションの実行が可能である。タブレット端末9103は、筐体9000の正面に表示部9001、カメラ9002、マイクロフォン9008、スピーカ9003を有し、筐体9000の左側面には操作用のボタンとしての操作キー9005、底面には接続端子9006を有する。
【0528】
図26(D)は、腕時計型の携帯情報端末9200を示す斜視図である。携帯情報端末9200は、例えばスマートウォッチ(登録商標)として用いることができる。また、表示部9001はその表示面が湾曲して設けられ、湾曲した表示面に沿って表示を行うことができる。また、携帯情報端末9200は、例えば無線通信可能なヘッドセットと相互通信することによって、ハンズフリーで通話することもできる。また、携帯情報端末9200は、接続端子9006により、他の情報端末と相互にデータ伝送を行うこと、及び、充電を行うこともできる。なお、充電動作は無線給電により行ってもよい。
【0529】
図26(E)乃至図26(G)は、折り畳み可能な携帯情報端末9201を示す斜視図である。また、図26(E)は携帯情報端末9201を展開した状態、図26(G)は折り畳んだ状態、図26(F)は図26(E)と図26(G)の一方から他方に変化する途中の状態の斜視図である。携帯情報端末9201は、折り畳んだ状態では可搬性に優れ、展開した状態では継ぎ目のない広い表示領域により表示の一覧性に優れる。携帯情報端末9201が有する表示部9001は、ヒンジ9055によって連結された3つの筐体9000に支持されている。例えば、表示部9001は、曲率半径0.1mm以上150mm以下で曲げることができる。
【0530】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0531】
10、10a、10b:トランジスタ、11R、11G、11B:副画素、11:基板、14、14a、14b:導電層、15、15a、15b:導電層、20a、20b:開口、21、21a、21b:半導体層、22:絶縁層、23:導電層、24、24a、24b:導電層、25、25a、25b:導電層、28:絶縁層、29a、29b:絶縁層、30:回路、30b:回路、35:回路、40a、40b:順序回路、41~47:トランジスタ、50:回路、50A~50G:表示装置、60:回路
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