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特開2023-168311家禽を吊り下げ替えする方法およびシステム、家禽を吊り下げるためのシャックル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023168311
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】家禽を吊り下げ替えする方法およびシステム、家禽を吊り下げるためのシャックル
(51)【国際特許分類】
   A22C 21/00 20060101AFI20231116BHJP
【FI】
A22C21/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023079070
(22)【出願日】2023-05-12
(31)【優先権主張番号】2031855
(32)【優先日】2022-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(71)【出願人】
【識別番号】514175841
【氏名又は名称】メイン フード プロセシング テクノロジー ベー.フェー.
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】弁理士法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ファン ステイン、アロイシウス クリスチャヌス マリア
(72)【発明者】
【氏名】ファン ストラーレン、リック セバスティアーン
(72)【発明者】
【氏名】アル、ルネ ヘラードゥス ヘンドリクス
【テーマコード(参考)】
4B011
【Fターム(参考)】
4B011FA01
(57)【要約】
【課題】頭部により吊り下げられた家禽を、脚部により吊り下げられるように自動的に吊り替えるための、効率的で柔軟な方法およびシステムを提供する。
【解決手段】第1シャックルコンベヤの第1シャックル3に頭部2により吊り下げられている家禽1を、脚部6により吊り下げる第2シャックルコンベヤの第2シャックル4に吊り下げ替えするためのシステムおよび方法である。脚部位置決めユニット5は、家禽1が第1シャックル3に頭部2により吊り下げられた状態に維持されている間に、家禽1を脚部6により支持する。可動式引取ユニット7は、少なくとも脚部位置決めユニット5が脚部6により家禽1を支持しているときに、家禽1の脚部6を、第2シャックル4へ移動させて、第2シャックル4へ送り込む。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1シャックルコンベヤの第1シャックル(3)に頭部(2)により吊り下げられている家禽(1)を、家禽(1)が脚部(6)により吊り下げられている、または吊り下げられる予定の、第2シャックルコンベヤの第2シャックル(4)に吊り下げ替えするためのシステムであって、
前記システムは、家禽(1)が第1シャックルコンベヤの第1シャックル(3)に頭部(2)により吊り下げられた状態に維持されている間に、家禽(1)を脚部(6)により支持するように構成された、脚部位置決めユニット(5)を備え、
前記システムは、家禽(1)の脚部(6)を第2シャックルコンベヤの第2シャックル(4)に移動させるために、第2シャックルコンベヤの第2シャックル(4)に向かって移動可能な可動式引取ユニット(7)を備え、
可動式引取ユニット(7)が、少なくとも脚部位置決めユニット(5)が脚部(6)により家禽(1)を支持するときに作動するように構成された前記システムにおいて、
可動式引取ユニット(7)は、第2シャックルコンベヤの第2シャックル(4)に向かって移動可能な脚部位置決めユニット(5)とは独立して別個に、家禽(1)の脚部(6)に直接作用して、家禽(1)の脚部(6)を第2シャックルコンベヤの第2シャックル(4)へ移動させるよう構成されていることを特徴とする家禽を吊り下げ替えするシステム。
【請求項2】
脚部位置決めユニット(5)は、頭部(2)によって吊り下げられた状態の家禽(1)の脚部(6)に掛かるように構成されたフック(5′)を備えることを特徴とする請求項1記載の家禽を吊り下げ替えするシステム。
【請求項3】
脚部位置決めユニット(5)のフック(5′)は、脚部(6)に接近する本質的に円形の経路をたどって、最終的に家禽(1)の脚部(6)に掛かるように構成され、前記円形の経路は、家禽(1)が頭部(2)により吊り下げられている位置から離れて、家禽(1)の脚部(6)が斜め方向または横方向に延びている位置で終わっていることを特徴とする請求項2記載の家禽を吊り下げ替えするシステム。
【請求項4】
可動式引取ユニット(7)は、脚部位置決めユニット(5)が家禽(1)の脚部(6)に掛かっている位置の近傍の位置で終了するところの、前記可動式引取ユニット(7)の上方への移動において、家禽(1)の脚部(6)に掛かるように構成されていることを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項記載の家禽を吊り下げ替えするシステム。
【請求項5】
脚部位置決めユニット(5)および/または可動式引取ユニット(7)は、家禽(1)の足首の前側において、前記足首またはその近傍を掛けるものであることを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項記載の家禽を吊り下げ替えするシステム。
【請求項6】
可動式引取ユニット(7)は、脚部位置決めユニット(5)が家禽(1)の脚部(6)を掛けているときにおける脚部位置決めユニット(5)から第1シャックル(3)までの距離よりも、家禽(1)が頭部(2)により吊り下げられている第1シャックル(3)の位置からの距離が遠い位置において、脚部(6)を掛けるものであることを特徴とする請求項4記載の家禽を吊り下げ替えするシステム。
【請求項7】
可動式引取ユニット(7)は、家禽(1)の脚部(6)を受け入れるための第1スリット(9)を備えていることを特徴とする請求項1記載の家禽を吊り下げ替えするシステム。
【請求項8】
可動式引取ユニット(7)には、第1スリット(9)からの脚部(6)の離脱を防止するための制限要素(10)が設けられていることを特徴とする請求項7記載の家禽を吊り下げ替えするシステム。
【請求項9】
可動式引取ユニット(7)が家禽(1)の脚部(6)に掛かった後に、頭部(2)を第1のシャックル(3)から解放するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の家禽を吊り下げ替えするシステム。
【請求項10】
家禽(1)の脚部(6)が受け止められた第1のスリット(9)からの脚部(6)の離脱を防止するように可動式引取ユニット(7)の制限要素(10)が作動された後に、頭部(2)を第1のシャックル(3)から解放するように構成されていることを特徴とする請求項8および9記載の家禽を吊り下げ替えするシステム。
【請求項11】
可動式引取ユニット(7)は、家禽(1)の脚部(6)を、第2シャックルコンベヤの第2シャックル(4)に向かって実質的に水平運動で動かすように構成されていることを特徴とする請求項1記載の家禽を吊り下げ替えするシステム。
【請求項12】
家禽(1)が脚部(6)によって吊り下げられている、または吊り下げられる予定の、第2シャックル(4)を備えた第2シャックルコンベヤをさらに備え、第2シャックル(4)は、家禽(1)の脚部(6)を受け入れて保持するための本質的に垂直な第2スリット(11)を備え、
可動式引取ユニット(7)は、この可動式引取ユニット(7)が家禽(1)の脚部(6)を持った状態で第2シャックルコンベヤの第2シャックル(4)に向かって移動した後に、脚部(6)の保持のために、脚部(6)を、第2シャックル(4)における本質的に垂直な第2スリット(11)内において下方へ移動させるように構成されていることを特徴とする請求項1記載の家禽を吊り下げ替えするシステム。
【請求項13】
第2シャックル(4)は、第2スリット(11)から上方へ離れた上部水平ロッド(18)を備え、可動式引取ユニット(7)は、上部水平ロッド(18)よりも上方において上部水平ロッド(18)を越えて脚部(6)から延びる足を移動させ、次に脚部(6)を下向きに移動させて、前記足を上部水平ロッド(18)に掛けるとともに、第2シャックル(4)における本質的に鉛直な第2スリット(11)への脚部(6)の移動に先がけて、前記足のつま先を第2スリット(11)内へ移動させるように構成されていることを特徴とする請求項11または12記載の家禽を吊り下げ替えするシステム。
【請求項14】
可動式引取ユニット(7)は、つま先が第2シャックル(4)に配置されると、脚部(6)を下向きに移動させて第2スリット(11)へ入り込ませるように構成されていることを特徴とする請求項13記載の家禽を吊り下げ替えするシステム。
【請求項15】
第2シャックル(4)は中央鉛直バー(12)を備え、中央鉛直バー(12)の下端(12′)において2つの第1ロッド(13、14)が中央鉛直バー(12)に接続され、2つの第1ロッド(13、14)は、互いに離れるように配置されるとともに、中央鉛直バー(12)から離れた位置において下部水平ロッド(15)に接続され、
下部水平ロッド(15)の両端は、曲がることで、上向きに延びる2つの第2ロッド(16、17)を構成し、第2ロッド(16、17)は、最終的に中央鉛直バー(12)に接続し、
2つの第1ロッド(13、14)と2つの第2ロッド(16、17)とは、これら2つの第1ロッド(13、14)と2つの第2ロッド(16、17)との間に第2スリット(11)を画定して、脚部(6)により第2シャックル(4)から吊り下げられた家禽(1)の前記脚部(6)を受け取って保持するように構成され、
2つの上向きに延びる第2ロッド(16、17)は、下部水平ロッド(15)から離れて位置する上部水平ロッド(18)につながり、
上部水平ロッド(18)は、中央鉛直バー(12)から所定の距離をおいた位置に固定されていることを特徴とする請求項13記載の家禽を吊り下げ替えするシステム。
【請求項16】
上部水平ロッド(18)は、中間接続片(19)によって中央鉛直バー(12)に接続されていることを特徴とする請求項15記載の家禽を吊り下げ替えするシステム。
【請求項17】
脚部位置決めユニット(5)が脚部(6)により家禽(1)を支持する前に家禽(1)を支持する胸部支持体(20)を備えていることを特徴とする請求項1記載の家禽を吊り下げ替えするシステム。
【請求項18】
第1シャックルコンベヤの第1シャックル(3)に頭部(2)により吊り下げられている家禽(1)を、家禽(1)が脚部(6)により吊り下げられている、または吊り下げられる予定の、第2シャックルコンベヤの第2シャックル(4)に吊り下げ替えするための方法であって、
家禽(1)が第1シャックルコンベヤの第1シャックル(3)に頭部(2)により吊り下げられた状態に維持されている間に、家禽(1)を脚部(6)により支持させるに際して、
第1のステップにおいて、家禽(1)が脚部(6)によって支持されるときに前記脚部(6)に直接作用する可動式引取ユニット(7)に前記家禽(1)の脚部(6)を掛け、
第2のステップにおいて、家禽(1)の脚部(6)に直接作用する可動式引取ユニット(7)を第2シャックルコンベヤの第2シャックル(4)に向かって移動させて、前記脚部(6)を第2シャックルコンベヤの第2シャックル(4)へ移動させることを特徴とする家禽を吊り下げ替えする方法。
【請求項19】
家禽(1)を脚部(6)にて支持する、および/または、脚部6の足首と膝との間のドラム部における足首よりも上側の部分において脚部(6)を可動式引取ユニット(7)に掛ける、ことを特徴とする請求項18記載の家禽を吊り下げ替えする方法。
【請求項20】
可動式引取ユニット(7)が家禽(1)の脚部(6)を掛けた後に家禽(1)の頭部を解放することを特徴とする請求項18または19記載の家禽を吊り下げ替えする方法。
【請求項21】
可動式引取ユニット(7)が家禽(1)の脚部(6)を第2シャックルコンベヤの第2シャックル(4)よりも上方の位置に移動させた後に、前記可動式引取ユニット(7)を下方向に移動させて、脚部(6)を保持するために前記脚部(6)を第2シャックル(4)内に下降させることを特徴とする請求項18または19記載の家禽を吊り下げ替えする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1シャックルコンベヤの第1シャックルに頭部により吊り下げられた家禽を、家禽が脚部で吊り下げられている、または吊り下げられる予定の、第2シャックルコンベヤの第2シャックルに吊り下げ替えする方法およびシステムに関する。本発明はまた、家禽を吊り下げるためのシャックルに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(国際公開第2014/026695号)は、脚によってシャックルから鳥を吊り下げるための方法およびシステムを開示している。特許文献1では、以下の1)~3)の一連のステップが実行される。1)足が鳥の胸に近づくように、足首の関節で少なくとも1本の脚を曲げる、2)脚をシャックルに挿入する、3)脚を少なくとも部分的に解放する。脚を曲げることは、脚の胸側に掛かり部材を配置して、鳥の胸側への足関節の移動を妨げることと、足を胸側に強制的に移動させるためのキャリアを使用することとによって、達成することができる。足首の関節が曲がることで、脚の腱や筋肉が引っ張られ、その結果、指が近づき、足が締りやすくなる。膝関節を伸ばすと、さらに強く締めることができる。このように鳥の脚を曲げて指を合わせることは、先行技術において必要である。足のスペースがかなり小さくなり、脚によって家禽を吊り下げるシャックルの開口部に脚を導入しやすくなるためである。
【0003】
特許文献2(国際公開第00/41568号)は、請求項1の前提要件部において、第1シャックルコンベヤの第1シャックルによって頭部から吊り下げられている家禽を、第2シャックルコンベヤの第2シャックルによって脚部から吊り下げるように吊り下げ替えするシステムを開示する。このシステムは、家禽が第1シャックルコンベヤの第1シャックルによって頭部から吊り下げられた状態を維持している間に家禽を脚部で支持するように配置された、脚部位置決めユニットを備える。さらにこのシステムは、家禽の脚を第2シャックルコンベヤの第2シャックルに向けて移動させるために、第2シャックルコンベヤの第2シャックルに向かって移動可能な可動式引取りユニットを備える。可動式引取ユニットは、少なくとも脚部位置決めユニットが家禽を脚部で支持するときに作動するように配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2014/026695号
【特許文献2】国際公開第00/41568号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のシステムは、頭部により吊り下げられた家禽を、脚部にて吊り下げられるように自動的に吊り替えるための、効率的で柔軟な方法およびシステムを提供しない。特許文献2のシステムは、柔軟性に欠けるとともに、高速度処理には不向きである。
【0006】
本発明の目的は、頭部により吊り下げられた家禽を、脚部により吊り下げられるように自動的に吊り下げ替えるための、効率的で柔軟な方法およびシステムを提供することにある。
【0007】
本発明のさらなる目的は、信頼性が高く、多くのメンテナンスを必要とせず、吊り下げ替え作業における高速度処理に対処するための十分な構成を有する、このような方法およびシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
したがって、本発明の方法およびシステムは、添付の請求項の1つまたは複数に規定された特徴を備える。また、本発明は、特許請求の範囲によって定義されるシャックルにおいて具現化される。
【0009】
本発明の第1の態様では、可動式引取ユニットは、第2シャックルコンベヤの第2シャックルに向かって移動可能な脚部位置決めユニットとは独立して別個とされているとともに、家禽の脚部に直接作用して、前記家禽の脚部を第2シャックルコンベヤの第2シャックルに向けて移動するように構成されている。本発明のシステムは、吊り下げ替えのための完全な自動化を可能とするものである。そのとき家禽は、最初は頭部により吊り下げられ、かつ脚部により吊り下げられるように変換される。そして、最初のステップにおいて、第1シャックルコンベヤの第1シャックルに頭部により吊り下げられていた家禽を脚部により吊り下げることが行われる。次のステップでは、家禽が脚部によって支持されているときに、脚部に直接作用する可動式引取ユニットによって、家禽の脚部を掛けることが行われる。さらに次のステップにおいては、脚部に直接作用している可動式引取ユニットを第2シャックルコンベヤの第2シャックルに向かって移動させて、家禽の脚部を第2シャックルコンベヤの第2シャックルへ移動させる。
【0010】
脚部位置決めユニットは、頭部により吊り下げられた状態の家禽の脚部に掛かるように構成されたフックを含んでいることが好ましい。フックは、食肉産業においてよく知られた装置であり、脚の位置決め作業を行うための頑丈な器具である。
【0011】
脚部位置決めユニットのフックは、脚部に接近する際に本質的に円形の経路をたどり、最終的に家禽の脚部に掛かるように配置され、この円形の経路は、家禽が頭部により吊り下げられた場所から斜め方向または横方向に離れた位置で終わることが好ましい。家禽の脚部が斜め方向または横方向に離れると、以下に詳述するように、それらの脚部は、さらに可動式引取ユニットによって掛けられるための適切な位置に存在することになる。
【0012】
好ましくは、可動式引取ユニットは、この可動式引取ユニットの上方への移動の際に、脚部位置決めユニットが家禽の脚に掛かっている場所に隣接して移動が終了するようにして、家禽の脚部に掛かるように構成される。したがって、可動式引取ユニットは、明確に定義された位置において家禽の脚に掛かる。これは、本発明が想定する自動化された動作において望ましいものである。
【0013】
脚部位置決めユニットおよび/または可動式引取ユニットが、脚部の前側における足首又はその近傍、好ましくは脚部の足首と膝との間のドラム側における足首よりも上方の位置で、脚部に掛かることが好ましい。これにより脚部に一定の曲げが生じ、この曲げは、後の吊り下げ替え時において、脚部が可動式引取ユニットによって家禽の吊り下げシャックルへ移動される際に、脚の向きを正しく定めるのに有用である。
【0014】
可動式引取ユニットにより家禽の脚部をのちにシャックルへ容易に移動することを可能にするために、脚部位置決めユニットが家禽の脚部を掛けているときにおける脚部位置決めユニットから第1シャックルまでの距離よりも、家禽が頭部により吊り下げられている第1シャックルの位置からの距離が遠い位置において、可動式引取ユニットが脚部に掛かることが好適である。
【0015】
好適には、可動式引取ユニットは、家禽の脚部を受け入れるための第1スリットを備える。
【0016】
可動式引取ユニットに、この可動式引取ユニットの第1スリットからの脚部の離脱を防止するための制限要素が設けられていることがさらに好ましい。これにより、頭部による家禽の吊り下げが解除されて、家禽が頭を下げた姿勢に反転しても、脚部が離脱されることがない。これに対応して、可動式引取ユニットが家禽の脚部を掛けた後に、頭部を第1のシャックルから解放するように構成されていることが好ましい。さらに、家禽の脚部が受け入れられている第1のスリットからの脚部の離脱を可動式引取ユニットの制限要素によって防ぐように作動を行った後に、頭部を第1のシャックルから解放するように構成されていることがより好ましい。
【0017】
可動式引取ユニットが、家禽の脚部を第2シャックルコンベヤの第2シャックルに向かって実質的に水平に移動させるように構成されていることが好適である。この運動の機械化は、容易に達成される。
【0018】
システムが、複数の一連の第2シャックルを有する第2コンベヤを備えることが好ましい。。
【0019】
第2シャックルが、家禽の脚部を受け入れて保持するための本質的に鉛直のスリットを備えることが、さらに好ましい。ここで、可動式引取ユニットが家禽の脚部とともに第2シャックルコンベヤの第2シャックルに向かって移動した後に、この可動式引取ユニットは、下方へ移動して、脚部を、保持のために第2シャックルの前記本質的に鉛直なスリットの中へ移動させる。
【0020】
特に、第2のシャックルが、第2のスリットから上方に離れた上部水平ロッドを備える場合は、可動式引取ユニットは、家禽の脚部から延びる足を、上部水平ロッドよりも上方へ超えて移動させ。そして、次に、脚部を下方に移動させて、足を上部水平ロッドに掛からせるとともに、第2シャックルの前記した本質的に鉛直な第2スリットへの脚部の移動に先立って、足のつま先を第2シャックルの中に移動させる。可動式引取ユニットは、つま先が前記の第2シャックル内に確実に配置されると、下方への移動によって、脚部を、前記の第2スリット内へ移動させるように構成される。したがって、本発明の方法において、可動式引取ユニットが家禽の脚部を第2シャックルコンベヤの第2シャックルよりも上方に移動させた後に、この可動式引取ユニットは、下向きに移動して、家禽の脚部から延びる足が第2シャックルの上部水平ロッドを越えて突出するようにさせる。これは、その後に脚部を下向きに移動させて第2シャックル内に保持させるための適切な開始位置をとるためである。可動式引取ユニットの下方への移動中に、足は最初に第2シャックルの上部水平ロッドに掛かり、そして可動式引取ユニットが継続的に下方へ移動することによって、足のつま先は第2シャックルに入り込む。このようにして、最終的に脚部が第2シャックルの本質的に鉛直なスリット内に進入しなくなるという危険性が、低減される。
【0021】
脚部によって家禽を吊り下げるために、第2シャックルとして従来のものを使用することができる。このような従来のシャックルは、中央鉛直バーを備える。そして、中央鉛直バーの下端において2つの第1ロッドが中央鉛直バーに接続され、2つの第1ロッドは、互いに離れるように配置されるとともに、中央鉛直バーから離れた位置において下部水平ロッドに接続される。下部水平ロッドの両端は、曲がることで、上向きに延びる2つの第2ロッドを構成し、第2ロッドは、最終的に中央鉛直バーに接続する。2つの第1ロッドと2つの第2ロッドとは、これら2つの第1ロッドと2つの第2ロッドとの間に第2スリットを画定して、脚部により第2シャックルから吊り下げられた家禽の前記脚部を受け取って保持する。
【0022】
第2シャックルとして従来のものを使用するよりも、2つの上向きに延びる第2ロッドが、下部水平ロッドから離れて位置する上部水平ロッドにつながり、上部水平ロッドが、中央鉛直バーから所定の距離をおいた位置に固定されている構成の第2シャックル用いる方が好ましい。これによれば、可動式引取ユニットが第2シャックルに向かって移動した後に下方に移動し、この下方への移動中に、家禽の脚部が第2シャックルの本質的に鉛直なスリット内へ保持のために下方に移動されるときに、家禽の脚部をいっそう容易に第2シャックルへ移動させることができる。
シャックルの上部水平ロッドが中間接続片によって中央鉛直バーに連結されることが適切である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】家禽を吊り下げ替えするための本発明のシステムを、吊り下げ替えすべき家禽とともに示す図である。
図2】本発明のシステムの一部を構成する脚部位置決めユニットの動作を示す図である。
図3A】家禽の脚部を掛ける可動式引取ユニットの動作を示す図である。
図3B】可動式引取ユニットを示す等角図である。
図4】家禽の脚部を固定するための閉じた保持要素を備えた可動式引取ユニットを示す図である。
図5】頭部が解放されて可動式引取ユニットから脚部により吊り下げられた状態の家禽を示す図である。
図6】家禽を脚部により吊り下げるシャックルに接近した後の可動式引取ユニットを示す図であって、脚部がシャックルの上部よりも上方に延びている状態を示す図である。
図7】下向きに移動した位置における可動式引取ユニットを示す図であって、この位置において家禽の脚部が図6のシャックルに導入されることを示す図である。
図8】家禽の脚部が図6のシャックルに導入された後に可動式引取ユニットがさらに下方に移動した位置にある状態を示す図である。
図9】可動式引取ユニットの最終位置を示す図であって、可動式引取ユニットが家禽の脚部から解放されて図6のシャックルから離れる前の状態を示す図である。
図10】家禽を脚部により吊り下げるための従来のシャックルを示す図である。
図11】本発明によるシャックルを示す図である。
図12】家禽のための専用の胸部支持体を備えた、本発明のシステムの別の実施形態における、可動式引取ユニットのその後の移動段階を示す図である。
図13】家禽のための専用の胸部支持体を備えた、本発明のシステムの別の実施形態における、可動式引取ユニットのさらにその後の移動段階を示す図である。
図14】家禽のための専用の胸部支持体を備えた、本発明のシステムの別の実施形態における、可動式引取ユニットのさらにその後の移動段階を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付の請求項に関して限定的ではないところの、本発明による家禽を吊り下げ替えするためのシステムの例示的な実施形態の動作シーケンスを示す図面を参照して、本発明をさらに説明する。
【0025】
図中、同じ参照数字が適用される場合は、常に、これらの数字は同じ部材を指す。
【0026】
本発明による家禽を吊り下げ替えするためのシステムの動作を、システムの異なる部分の動作シーケンスを示す図1図9を参照して説明する。
【0027】
図1は、第1シャックルコンベヤの第1シャックル3に頭部2により吊り下げられた家禽1を示す。本発明のシステムは、この家禽1を、最終的に第2シャックルコンベヤの第2シャックル4から脚部により吊り下げられる姿勢に吊り下げ替えるように設計されている。
【0028】
図1は、このシステムが、まだ動作していない位置にある脚部位置決めユニット5を備えることを示す。している。図1は、脚部位置決めユニット5が、頭部2により吊り下げられた状態の家禽1の脚部6に掛かるように配置されたフック5′を含んでいることを明確に示す。
【0029】
図2では、脚部位置決めユニット5が、動作可能になった後に、家禽1の脚部6に掛けられた状態が示されている。図2は、家禽1が頭部2により第1シャックルコンベヤの第1シャックル3に吊り下げられた状態を維持しながら、脚部位置決めユニット5が家禽1を脚部6で支持するように配置されていることを示す。
【0030】
図1および図2は、脚部位置決めユニット5がヒンジ8に取り付けられていることを示す。これにより、脚部位置決めユニット5のフック5′が、家禽1の脚部6に接近する際に本質的に円形の経路をたどり、最終的に家禽1の脚部6に掛かるようになっている。前記円形経路は、家禽6が頭部2により吊り下げられている位置から家禽1の脚部6が斜め方向または横方向に離れる位置で終了する。この最後の態様は、図2にも示されている。
【0031】
図3Aおよび図3Bには、家禽1の脚部6に直接動作するように設計された可動式引取ユニット7が示されている。可動式引取ユニット7は、図2に示すように、脚部位置決めユニット5が家禽1を脚部6により支持した後に動作可能となるように配置されている。さらに、図6図9を参照して後述するように、システムにおける少なくとも可動式引取ユニット7は、第2シャックルコンベヤの第2シャックル4へ家禽1の脚部6を移動させるために、脚部位置決めユニット5から独立して第2シャックル4の方へ移動可能である。
【0032】
この移動動作が実行される前に、可動式引取ユニット7は、この可動式引取ユニット7が上方へ移動し脚部位置決めユニット5が家禽1の脚部6を掛ける場所に隣接して上方への移動を終了することで、家禽1の脚部6を掛ける動作を行うように構成される。図3Aにもっとも明確に示されるように、脚部位置決めユニット5および/または可動式引取りユニット7は、最良の結果を得るために、足首の前側における足首またはその近傍において脚部6に掛かる。好ましくは、脚部6の足首と膝との間のドラム部における足首よりも上側の部分に掛かる。好ましくは、可動式引取ユニット7は、家禽1が頭部2により吊り下げられている第1シャックル3から、脚部位置決めユニット5が家禽1の脚部6を掛けているときにおけるその脚部位置決めユニット5から第1シャックル3までの距離よりも遠い位置において、脚部6に掛かる。
【0033】
図3Bを参照すると、可動式引取ユニット7が、家禽1の脚部6を受け入れるためのスリット9を備えることが示されている。図3Bはさらに、可動式引取ユニット7が家禽1の脚部6に掛かり、脚部6をこれらのリット9に受け入れた後、脚部6がスリット9から外れるのを防止するための制限要素10を備えていることを示す。これらの制限要素10は、家禽1が頭部2により吊り下げられている第1シャックル3が頭部2を解放し、それにより家禽1が反転して可動式引取ユニット7から脚部6のみにより吊り下げられた状態になる時点の前に、脚部6が第1のスリット9から外れることを防止するように動作する。この様子が図5に描かれている。
【0034】
それ以降、可動式引取りユニット7は、好ましくは本質的に水平な動きによって、家禽1の脚部6を第2シャックルコンベヤの第2シャックル4に向かって動かすように構成されている。これは、図5~7の動作順序を比較することによって説明される。図6は、可動式引取ユニット7が第2シャックル4に近づいたことを描いており、図6の状況では、脚部6の足が、第2シャックル4の上に横たわる地点に到達している。家禽1を脚部6により吊り下げるためのシャックルによく見られるように、第2シャックル4には、家禽1の脚部6を受け入れて保持するための本質的に鉛直方向のスリット11が設けられている。以下、これを図10および図11を参照しながらさらに説明する。
【0035】
図6図7との比較によって、可動式引取ユニット7は、脚部6の足が第2シャックル4の上に横たわる地点に達した後に、下方に移動するように配置されていることが、示されている。図6では、可動式引取ユニット7が、家禽1の脚部6を、第2シャックルコンベヤの第2シャックル4に近接して上方に移動させていることが描かれている。その後に可動式引取ユニット7が下方へ移動することにより、家禽1の脚部6が下降されて、足がつま先とともに第2シャックル4の上部水平ロッド18に掛かる。これは、図7に示すようにつま先を第2シャックル4に入り込ませるように移動させる動作の前に、行われる。図7図8との比較によって、次のことが示される。すなわち、足のつま先が第2シャックル4に入ると、可動式引取ユニット7は、継続した下方への移動により、脚部6を第2シャックル4にさらに送り込んで、第2シャックル4における本質的に鉛直方向のスリット11に脚部6を下ろして保持する。図9は、可動式引取ユニット7が外される直前の、この可動式引取ユニット7の最終的な状態を示しており、その後に家禽1は、脚部6により第2シャックルコンベヤの第2シャックル4から完全に吊り下げられる。
【0036】
以上説明した例示的な吊り替え方法において、図10に示すような従来のシャックル4を使用することも可能である。このような従来のシャックル4は、中央鉛直バー12を有し、この中央鉛直バー12の下端12′において、2本の第1ロッド13、14が中央鉛直バー12に接続されている。2つの第1ロッド13、14は、互いに離れるように分岐したうえで、中央鉛直バー12から離れて位置する下部水平ロッド15に接続している。下部水平ロッド15の両端において、この下部水平ロッド15は、曲がって、上向きに延びる2本の第2ロッド16、17になっている。第2ロッド16、17は、最終的に中央鉛直バー12に接続する。2本の第1ロッド13、14と2本の第2ロッド16、17とは、これら2本の第1ロッド13、14と2本の第2ロッド16、17との間に、スリット11を区切って規定する。これらのスリット11は、家禽1の脚部6を受け入れて保持することで、家禽1を脚部6によりこの第2シャックル4から吊り下げる。
【0037】
図11に示すような設計のシャックルを用いることが有利である。図11に示されるシャックルは、図10に示される従来のシャックル4と同じ形態を有するが、しかし、2つの上向きに延びる第2ロッド16、17は、下部水平ロッド15から離れて位置する上部水平ロッド18に合流するという、追加的で差別化された特徴を有する。上部水平ロッド18は、中央鉛直バー12から所定の距離にて位置固定される。この目的のために、上部水平ロッド18は、中間接続片19によって、中央鉛直バー12に接続される。図11の第2シャックル4によれば、図6に描かれているように脚部6の足が第2シャックル4の上に横たわる地点に達した後、家禽1の脚部6を1回の下降運動で第2シャックル4のスリット11内に移動させることが、いっそう容易である。
【0038】
本発明の実施形態は、本明細書に互いに独立に開示されている特徴のあらゆる組み合わせを含むことができる。本発明は、本発明のシステムの例示的な実施形態を参照して前述のように議論されてきたが、本発明は、本発明から逸脱することなく多くの方法で変化させることができるこの特定の実施形態には、制限されない。したがって、説明した例示的な実施形態は、添付の特許請求の範囲をこの実施形態に従って厳密に解釈するために使用されるものではない。それどころか、この実施形態は、単に添付の請求項の文言を説明するためのものであり、請求項をこの例示的な実施形態に限定する意図はない。したがって、本発明の保護範囲は、添付の特許請求の範囲のみに従って解釈されるものとし、特許請求の範囲の文言における起こり得る曖昧さは、この例示的な実施形態を用いて解決されるものとする。
【0039】
本発明の変形および修正は、当業者には明らかであり、添付の特許請求の範囲において、そのようなすべての修正および同等物をカバーすることが意図される。そのような可能な変形または修正の1つが、図12図14に描かれている。図12図14では、図1図3の実施形態に加えて、家禽1のための胸部支持体20も示されている。図12図14は、脚部位置決めユニット5と可動式引取ユニット7とについての、いくつかの後続の移動段階を示す。そこでも胸部支持体20は、吊り下げ替えの操作中に家禽1を支持するのを助けるために、異なる位置をとる。
【0040】
上記で引用したすべての文献、出願、特許、出版物の開示内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。上記において「必須」であると特に記載されていない限り、様々な構成要素またはその相互関係は、いずれも本発明の操作に対して必須でない。むしろ、望ましい結果は、様々な構成要素の置換、および/または、それらの相互関係の再構成によって達成することができる。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14