(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023168321
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】レーザマーキング用の可搬式装置
(51)【国際特許分類】
B23K 26/70 20140101AFI20231116BHJP
B23K 26/00 20140101ALI20231116BHJP
【FI】
B23K26/70
B23K26/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023079873
(22)【出願日】2023-05-15
(31)【優先権主張番号】102022000009983
(32)【優先日】2022-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】523178086
【氏名又は名称】オートメーター マーキング システムズ エス.アール.エル.
【氏名又は名称原語表記】AUTOMATOR MARKING SYSTEMS S.r.l.
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】バルシロン ブランビラ,ジャイム アルバート
【テーマコード(参考)】
4E168
【Fターム(参考)】
4E168AA00
4E168EA24
4E168FC01
4E168FC07
4E168KA16
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本発明は、マーキングされる表面上の欠陥の存在及び/又はその誤配置を検出することが可能な、レーザマーキング用の可搬式装置に関する。
【解決手段】レーザマーキング用の可搬式装置(1)は、マーキングヘッド(2)、マーキングチャンバ(2a)、空気の流入管路(6)、空気出口開口部(7)、マーキングチャンバ(2a)内の内圧を測定する測定アセンブリを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザマーキング用の可搬式装置(1)であって:
‐ユーザが把持可能な少なくとも1つの把持要素(23)が設けられた少なくとも1つのマーキングヘッド(2);
‐レーザ光ビームを生成するように構成されたレーザ光生成器とマーキングされる表面(S)との間に位置決め可能な、前記マーキングヘッド(2)と関連付けられた少なくとも1つのマーキングチャンバ(2a)であって、前記レーザ光ビームの通過のためのマーキング開口部(5)を有する少なくとも1つのヘッド端部(4)を備え、前記ヘッド端部(4)は、使用時に、前記マーキングされる表面(S)に接触することが意図され、それによって、前記マーキングされる表面(S)は前記マーキング開口部(5)を閉じる、少なくとも1つのマーキングチャンバ(2a);
‐前記マーキングチャンバ(2a)と流体連通しているとともに、前記マーキングチャンバ(2a)内に空気の実質的に一定の流れを給送するように構成された、少なくとも1つの流入管路(6);
‐前記マーキングチャンバ(2a)に形成されており、空気が前記マーキングチャンバ(2a)から、及び、前記マーキングされる表面(S)の前記マーキング中に前記レーザ光ビームによって生成される煙が逃げることを可能にするように構成された、少なくとも1つの空気出口開口部(7);
‐少なくとも1つの測定アセンブリ(8)であって、前記マーキングヘッド(2)内に少なくとも部分的に配置されており、前記マーキングチャンバ(2a)と動作可能に関連付けられており、前記マーキングされる表面(S)において存在しうる欠陥を判断するために、前記マーキングチャンバ(2a)内の内圧(PI)の値及び/又は前記流入管路(6)から給送される前記空気の流れが、所定の値の範囲内にあるか否かを確認するように構成された、少なくとも1つの測定アセンブリ(8)
を備える、可搬式装置。
【請求項2】
可搬式装置(1)であって、前記マーキングチャンバ(2a)と前記測定アセンブリ(8)との間に流体接続して位置決めされた少なくとも1つのダクト(20)を備えること、及び、前記測定アセンブリ(8)は、前記ダクト(20)と関連付けられているとともに、前記ダクト(20)から、前記空気の流れを受け取って、前記内圧値(PI)を測定するように適合された、少なくとも1つの測定装置(19)を備えることを特徴とする、請求項1に記載の可搬式装置。
【請求項3】
可搬式装置(1)であって、2つの前記ダクト(20)を備えること、及び、前記測定アセンブリ(8)は、相互に並列に接続されているとともに、各々がそれぞれの前記ダクト(20)と関連付けられた、2つの前記測定装置(19)を備えることを特徴とする、請求項2に記載の可搬式装置。
【請求項4】
可搬式装置(1)であって、2つの前記ダクト(20)を備えること、及び、前記測定アセンブリ(8)は、相互に直列に接続されているとともに、各々がそれぞれの前記ダクト(20)と関連付けられた、前記2つの測定装置(19)を備えることを特徴とする、請求項2に記載の可搬式装置。
【請求項5】
可搬式装置(1)であって、前記測定アセンブリ(8)は:
‐第1の時点(t1)において、前記測定装置(19)のうちの一方を作動させ、前記内圧(PI)の第1の測定を行うとともに、前記内圧(PI)の第1の値を受信し;
‐第2の時点(t2)において、前記測定装置(19)のうちの他方を作動させ、前記内圧(PI)の第2の測定を行うとともに、前記内圧(PI)の第2の値を受信し;
‐前記第1の値及び前記第2の値が前記値の範囲内にあるか否かを確認し;
‐前記第1の値及び前記第2の値が前記値の範囲内にある場合には第1の信号を生成し、前記第1の値及び前記第2の値が前記値の範囲外にある場合には第2の信号を生成する
ように構成されている、確認手段(21)を備えることを特徴とする、請求項1~4の1つ又は複数に記載の可搬式装置。
【請求項6】
可搬式装置(1)であって、前記確認手段(21)と動作可能に関連付けられているとともに、前記レーザ生成器によるレーザ光の放出を防止する阻止形態と、前記レーザ生成器によるレーザ光の放出を可能にする放出形態との間で移動可能な、少なくとも1つのプラグ要素(22)を備え、前記確認手段(21)は、前記第2/第1の信号の生成に続いて、前記プラグ要素(22)を前記阻止/放出形態に配置するように構成されていることを特徴とする、請求項5に記載の可搬式装置。
【請求項7】
可搬式装置(1)であって、前記プラグ要素(22)は:
‐前記マーキングヘッド(2)と関連付けられた少なくとも1つのベース部分(22a);及び
‐前記ベース部分(22a)と関連付けられているとともに、前記阻止/放出形態においてレーザ光経路と重なる/レーザ光経路から離れるように適合された少なくとも1つの突出部分(22b)
を備えることを特徴とする、請求項6に記載の可搬式装置。
【請求項8】
可搬式装置(1)であって、前記マーキングチャンバ(2a)は、前記マーキングヘッド(2)と取り外し可能に関連付けられていることを特徴とする、請求項1~7の1つ又は複数に記載の可搬式装置。
【請求項9】
可搬式装置(1)であって、前記マーキングヘッド(2)と取り換え可能に関連付けることができる、形状及び/又はサイズが互いに異なる複数の前記マーキングチャンバ(2a)を備えることを特徴とする、請求項8に記載の可搬式装置。
【請求項10】
レーザマーキングを安全に行う方法であって:
‐請求項1~9の1つ又は複数に記載の可搬式装置(1)を有する段階;
‐前記マーキングチャンバ(2a)を前記レーザ光生成器と前記マーキングされる表面(S)との間に位置決めする段階;
‐前記マーキング開口部(5)を前記マーキングされる表面(S)によって閉じる段階;
‐前記流入管路(6)によって、空気の流れを前記マーキングチャンバ(2a)内に給送する段階;
‐前記測定装置(19)のうちの一方によって、第1の時点(t1)において前記マーキングチャンバ(2a)の前記内圧(PI)の第1の測定を行い、前記内圧(PI)の第1の値を得る段階;
‐前記測定装置(19)のうちの他方によって、第2の時点(t2)において前記マーキングチャンバ(2a)の前記内圧(PI)の第2の測定を行い、前記内圧(PI)の第2の値を得る段階;
‐前記第1の値及び前記第2の値が前記所定の値の範囲内にあるか否かを評価する段階;
‐前記マーキングされる表面(S)に向かう前記レーザ光ビームの放出を阻止する段階
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザマーキング用の可搬式装置に関し、具体的には、IEC60825-1及び/又はレーザ機械安全ガイドラインに関連する他の基準に従う、安全クラス1のレーザマーキング用の可搬式装置に関する。
【0002】
レーザマーキングは、局所的なエネルギーのビームの放射を通して、物体自体に所望の形状又はレタリングを作り出すために、物体の表面を変更することを可能にする、広く使用されている技術である。
【背景技術】
【0003】
通常、レーザマーキング用の既知の装置は、マーキングされる物体の表面に合焦されるレーザ光ビーム/線を生成するように構成されたマーキングヘッドを備える。
【0004】
高い安全基準を確実にするために、マーキングされる表面がマーキングヘッドの正面に適切に位置決めされているか否かを知ることが特に有用であり、それによって、レーザ光ビームが、その表面のみに当たり、環境内に散乱しない。
【0005】
この理由から、レーザマーキング用のいくつかの既知の装置は、マーキングヘッドとマーキングされる表面との接触縁部に沿って配置された複数の安全センサが設けられた制御システムの使用を伴う。そのような安全センサは、マーキングされる表面に対して接触縁部によって加えられる圧力を検出するように適合されており、それによって、マーキングされる表面の正確な位置決めを自動的に監視することができる。そのようなセンサは、例えば特許文献1において記載されているような、例えば磁気センサ、圧力センサ、REEDスイッチ、ホールセンサ又は圧電センサであり得る。
【0006】
しかし、そのような解決策は、マーキングされる表面の正確な位置決めを確認することのみを可能にするが、レーザ光ビームをマーキング領域の外部に散乱させることで他の表面又はユーザを意図せず壊し、損傷を与える可能性のある、変形又は孔等の存在しうる欠陥を検出することを可能にしない。
【0007】
これらの欠点を部分的に解決するために、マーキングヘッドとマーキングされる表面との間に位置付けられるシーリングアセンブリが設けられるレーザマーキングシステムが既知である。そのようなシーリングアセンブリは、マーキングされる表面に接触するように構成されたシーリングヘッドを備え、マーキングされる表面とともにマーキングチャンバを画定し、マーキングチャンバを通して、レーザビームが通過させられる。上記シーリングヘッドは、マーキングチャンバを取り囲む真空チャンバも備え、ヘッド、及び、それらの間のマーキングされる表面をシールすることが可能な真空が形成される。シーリングアセンブリは、生じた真空の値を測定するように構成されたセンサも有する。このセンサは、測定された真空値に従ってマーキングヘッドの動作を制御することが可能な制御機構に動作可能に接続されている。シーリングアセンブリが真空を達成することができない場合に、この情報が制御機構に送信され、制御機構は、その状況が補正されるまでマーキングプロセスを停止させる。真空を作ることができない理由は、例えば、マーキングされる表面における変形の存在、例えば孔等の欠陥の存在等であり得る。
【0008】
そのような既知のシステムは、上記で概説した問題の解決に部分的に成功しているが、特に、マーキングされる表面の平坦さの制御が、真空チャンバのみにおいて生じ、一方で、マーキングチャンバにおいては制御されないことに関連して、付加的な問題が存在するように思われる。そのような既知のシステムにおいて生じる付加的な問題は、チャンバ内部の真空の形成が、達成するのが常に容易ではなく、実施の困難さ及び極めて高い製造コストをもたらす多くの複雑化させる要因を有することに関連する。
【0009】
最後に、そのような既知のシステムに関する別の課題は、マーキングプロセス中に、表面をエッチングするレーザが、マーキングチャンバ内部に捉えられる排煙を生じ、レーザ光ビームに干渉するとともにレーザ光ビームを阻害することに関連する。
【0010】
したがって、そのような煙の除去は、マーキングプロセス及びマーキングされる表面の平坦さのチェックプロセスの中断を必要とする。
【0011】
上記の問題を少なくとも部分的に解決するために、特許文献2及び特許文献1の教示に従って構成されたレーザマーキング装置が既知である。
【0012】
具体的には、特許文献2によって開示されている装置は、レーザビームを放出するマーキングヘッドであって、軸方向に互いにより近づくことができる2つのセクションからなるマーキングヘッド、及び、マーキングヘッドに接合されているとともに、マーキングされるワークの表面とマーキングヘッド自体との間の作業スペースを画定するシーリングフードを備える。
【0013】
作業スペースにおけるシーリングフードの遮断が保証されない場合にレーザ放出を中断するために、特許文献2の装置には:
‐作業スペースの内部と周囲空気との間の圧力差を評価するように構成された複数の圧力センサ;及び
‐マーキングヘッドの2つのセクションが互いに向かって押圧されたときにレーザビームが放出されることを可能にするように作動されることができる、複数の安全スイッチ
が設けられている。
【0014】
加えて、この装置は、レーザビームを生成するレンズに空気を方向付けることで、マーキングプロセス中に発生する粒子が結果としてレンズを汚すことを防止するように適合された、特別な給気チャネルを備える。
【0015】
したがって、この場合、フード内にガスを給送する目的は、レンズを清潔に保つためであり、したがって、放出されたレーザが適切に合焦されることを確実にする。
【0016】
他方で、特許文献1に関して、これは、特許文献2のものと同様の構成要素が設けられた装置を記載しているが、特許文献2との違いは、マーキングされるワークの表面とマーキングヘッドとの間の作業スペースが、2つの容積部を異なるガスで満たすことを可能にする光学的に透明なバリアによって分割されることである。
【0017】
これに関して、特許文献1の装置は、冷却手段であって、マーキングヘッドに関連付けられているとともに:
‐出口を通って逃げる、レンズとバリアとの間に含まれる容積部を満たすことが意図される第1の冷却ガス(例えば、空気)の第1の供給管路;及び
‐バリアの底部から、出口を通して続いて引き出されるいずれの排出粒子もなくなることを確実にする、フードの壁内に得られるとともに、第2のガス(例えば、窒素)を放出することが意図される、第2の供給管路
を備える、冷却手段を備える。
【0018】
したがって、この場合、フード内部へのガスの投入は、マーキングヘッド内部の装置を冷却する目的も果たし、したがって、装置の起こりうる過熱が装置を誤動作させることを防止する。
【0019】
装置は、それらの動作に真空生成を必要としないため、特許文献2及び特許文献1の装置は、特許文献1の装置に関してちょうど説明した関連する課題を解決することを可能にする。
【0020】
これにもかかわらず、これらの特許文献において開示されている装置でさえも、それ自体が、装置のより安全かつより効率的な使用、並びに、装置の使用の多用途性及び適合性を高めることを可能にすることを主に目的として、改良が可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】欧州特許出願公開第3427887号明細書
【特許文献2】欧州特許第2564977号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本出願人は、したがって、排煙の除去を可能にすると同時に、マーキングされる表面における欠陥、及び、装置からの表面の起こりうる変位又は接続の解除をチェックするように、マーキングチャンバ内部に、大気圧よりも高い圧力を生成することに基づく制御システムが設けられた、レーザマーキング用の可搬式装置を作製することを計画した。
【0023】
したがって、本発明の主な目的は、マーキングされる表面上の欠陥の存在及び/又はその誤配置を検出すると同時に、クラス1のマーキングプロセス中に生成される煙を除去することが可能な、レーザマーキング用の可搬式装置を考案することである。
【0024】
本発明の別の目的は、従来技術の前述した欠点を、使用が単純で、合理的で、容易かつ効果的であるとともに安価な解決策の枠組みにおいて克服することを可能にする、レーザマーキング用の可搬式装置を考案することである。
【課題を解決するための手段】
【0025】
前述した目的は、請求項1の特徴を有するレーザマーキング用のこの可搬式装置によって達成される。
【0026】
本発明の他の特徴及び利点は、添付の図面において限定的ではなく例示的に示される、レーザマーキング用の可搬式装置の好ましいが排他的ではない実施形態の記載から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明による装置及びマーキングされる表面の不等角投影図である。
【
図2】前述したマーキングされる表面に接触して配置された、本発明による装置の全体的な不等角投影図である。
【
図3】本発明による装置の測定アセンブリ及びコンベヤパイプを示す不等角投影図である。
【
図4】2つの異なる動作形態のうちの1つにある、本発明による装置のプラグ要素の正面図である。
【
図5】2つの異なる動作形態のうちの1つにある、本発明による装置のプラグ要素の正面図である。
【
図6】一対の取り換え可能なマーキングチャンバを示す不等角投影図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
これらの図を具体的に参照すると、参照符号1は、レーザマーキング用の可搬式装置を全体的に示している。
【0029】
可搬式装置1は、マーキングされる表面Sに方向付けられるレーザ光ビーム/線が通過させられる、制御された限られたスペースを作ることを可能にする。本発明によると、可搬式装置1は、マーキングプロセスが安全に行われるか否かを確認することが可能であり、一方で、マーキングされる表面Sをエッチングするレーザ光ビーム/線によって生成される煙の除去を可能にする。
【0030】
「煙」という用語は、マーキングされる表面Sに当たるレーザ光ビーム/線によって生成される燃焼プロセスによって生じる、未燃材料の灰及び断片等のような全ての廃棄物を指す。
【0031】
以下の記載においてより良く理解されるように、可搬式装置1は、限られたスペースの外部の不所望の領域へのレーザ光ビーム/線の散乱につながり得る、マーキングされる表面Sにおいて存在しうる欠陥の検出を可能にする。そのような欠陥は、例えば、変形及び孔の存在、並びに、可搬式装置1に対するマーキングされる表面Sの不適切な位置決めであり得る。
【0032】
図1から明らかなように、可搬式装置1は、ユーザが把持可能な少なくとも1つの把持要素23が設けられた少なくとも1つのマーキングヘッド2を備える。
【0033】
把持要素23は、1つ又は複数のハンドルのタイプであり得るか、又は、同等に、いずれの場合もユーザによる可搬式装置1のしっかりとした把持を可能にする、当業者に既知の様々なタイプであり得る。
【0034】
同様に、可搬式装置1は、マーキングヘッド2に関連付けられているとともに、レーザ光ビーム/線を生成するように構成されたレーザ光生成器と、マーキングされる表面Sとの間に位置決め可能な、マーキングチャンバ2aを備える。既知のように、レーザ光生成器は、光学的な放出経路に沿ってレーザ光ビーム/線を生成することが可能であり、レーザ光ビーム/線は、少なくとも1つ又は複数の偏向ミラーによって好適に偏向されて、マーキングされる表面Sに向かって送られる。マーキングヘッド2には、光学的な放出経路に沿って、マーキングされる表面Sに向かってレーザビームを合焦させるための1つ又は複数の光学手段が設けられ得る。レーザ光生成器の動作は、現行の技術水準において既知であり、したがって、本明細書では詳細には説明しない。レーザ光生成器は、マーキングヘッド2の内部に取り付けられるか、又は、装置1に接続可能な外部装置の一部であり得る。
【0035】
本発明の場合、マーキングチャンバ2aは、使用時に、マーキングされる表面Sに接触して配置されることが意図され、レーザ光ビームがレーザ光生成器からマーキングされる表面Sに通過することを可能にする。
【0036】
適切には、マーキングチャンバ2aは、レーザ光ビーム/線を通過させることを可能にするように適合されたマーキング開口部5を有するヘッド端部4を備える。本発明の場合、レーザ光生成器は、レーザ光ビームを生成し、レーザ光ビームは、マーキングチャンバ2aを横断してマーキング開口部5を通過し、マーキングされる表面Sに当たる。
【0037】
簡便には、
図2において明らかなように、ヘッド端部4は、使用時に、マーキングされる表面Sに接触することが意図され、それによって、マーキングされる表面Sは、少なくともマーキング中にマーキング開口部5を閉じる。
【0038】
適切には、ヘッド端部4は、マーキングされる表面Sに対して接触して停止するように適合された少なくとも1つの接触縁部13を有する。特に、接触縁部13は、マーキング開口部5の境界を定める。好ましくは、接触縁部13は、実質的に円形の形状を有する。しかし、接触縁部13が、例えば三角形、正方形等といった異なる構造を有し得ることを除外することはできない。
【0039】
簡便には、接触縁部13は、接触縁部13を、マーキングされる表面Sによってシールするように適合されたシール構成要素を有する。
【0040】
具体的には、マーキングされる表面Sは、マーキングチャンバ2aとともに、限られた実質的に包囲されたスペースの境界を定めることによって、マーキング開口部5を塞ぎ、限られた実質的に包囲されたスペース内で、レーザ光ビームは、マーキングが安全に行われる環境を作るように封じ込められる。
【0041】
以下の記載において詳述するように、マーキングチャンバ2a及びマーキングされる表面Sによって境界を定められた、限られたスペースの制御は、大気圧、すなわち、マーキングチャンバ2aの外部に存在する圧力よりも高い圧力をマーキングチャンバ2aの内部に生成することが可能な適切な加圧システムによって行われる。
【0042】
このために、
図1、
図2及び
図7から明らかなように、可搬式装置1は、マーキングチャンバ2aと流体連通しているとともに、空気の実質的に連続した流れをマーキングチャンバ2a内に給送するように構成された流入管路6を備える。
【0043】
付加的に、可搬式装置1は、マーキングチャンバ2aにおいて切り欠かれ、マーキングされる表面Sのマーキング中に、空気がマーキングチャンバ2aから逃げることを可能にし、それとともにレーザ光ビーム/線によって生成されるいずれの煙も逃げることを可能にするように構成された、少なくとも1つの空気出口開口部7を備える。
【0044】
本発明の場合、流入管路6及び空気出口開口部7は、マーキング開口部5が効果的に閉じられているときに、マーキングチャンバ2a内に実質的に一定の内圧を生じるために、互いに連動して動作するように構成されている。実際には、マーキングされる表面Sがマーキング開口部5を効果的に閉じているとき、不所望の空気漏れがない限られたスペースを作ることによって、流入管路6及び空気出口開口部7は、実質的に一定の圧力がマーキングチャンバ2a内で生成されることを可能にする。
【0045】
マーキング開口部5は、空気がマーキング開口部5から逃げないとき、又は、逃げる空気が、マーキングチャンバ2aを通過する空気の流れの全体的なバランスにおいてわずかであるときに、効果的に閉じられる。
【0046】
流入管路6は、空気の一定の流れをマーキングチャンバ2a内に給送することによって、大気圧、すなわち、マーキングチャンバ2aの外部に存在する圧力よりも高い値を有する内圧PIをマーキングチャンバ2a内で生成する。マーキングチャンバ2aの内部と外部との間のこの圧力差が、空気出口開口部7を通って逃げる空気の流れを生成し、空気とともに、マーキングプロセス中に生成される何らかの煙も引き出す。
【0047】
好ましくは、本明細書において以下で詳細に記載するように、流入管路6及び空気出口開口部7は、マーキング開口部5が効果的に閉じられているときに、所定の値の規定された範囲内でマーキングチャンバ2aへの内圧PIを生成するように適合されている。
【0048】
実際には、空気出口開口部7のサイズ、及び、流入管路6からマーキングチャンバ2a内に給送される空気の流れは、マーキング開口部5が効果的に閉じられているときに、マーキングチャンバ2a内で所定の限界値間に含まれる圧力を生成するように予め決定されている。
【0049】
具体的には、マーキングチャンバ2aは、空気が、空気出口開口部7及びマーキング開口部5のみから逃げることを可能にするように構成されている。流入管路6は、マーキングチャンバ2a内に、或る値を有する空気の実質的に一定の流れを給送するように適合されており、それによって、マーキング開口部5が効果的に閉じられているときに、流入管路6は、マーキングチャンバ2a内に、所定の値の範囲内に含まれる内圧PIを生成することができる。
【0050】
有利には、可搬式装置1は、少なくともマーキングチャンバ2aと動作可能に関連付けられているとともに、マーキングチャンバ2a内の内圧PIの値及び/又は流入管路6から給送される空気の流れが所定の値の範囲内に入るか否かを確認するように構成された、マーキングヘッド2内に少なくとも部分的に配置された、少なくとも1つの測定アセンブリ8を備える。
【0051】
特に、これは、マーキングされる表面Sにおいて存在しうる欠陥又は欠陥の非存在を判断することを可能にする。実際には、測定アセンブリ8によって、マーキングチャンバ2a内の内圧が常に所定の限界値内にあり、異常に低下しないか否かを確認することが可能である。これは、内圧PIの低下が、本明細書において以下で説明するように、マーキングされる表面Sに欠陥が存在することを意味し得るためである。
【0052】
「欠陥」という用語は、例えば変形又は孔のような、マーキングされる表面の構造的な欠陥、及び、可搬式装置1に対するマーキングされる表面Sの位置決めにおける欠陥の双方を示すことが意図される。
【0053】
好ましくは、所定の値の範囲は、0.01バール~8バール間に含まれる。更により好ましくは、所定の値の範囲は、0.05バール~2バール間に含まれる。
【0054】
上述したように、流入管路6及び空気出口開口部7は、マーキング開口部5がマーキングされる表面Sによって効果的に閉じられている場合にのみ、マーキングチャンバ2a内に、所定の値の範囲内に含まれる内圧PIを生成するように適合されている。
【0055】
換言すると、これは、マーキングされる表面Sに対するレーザビームの不所望の流出が可能ではないとき、すなわち、マーキングされる表面Sがヘッド端部4の正面において正確に位置決めされており、欠陥が存在しないときにのみ生じる。
【0056】
したがって、所定の値の範囲の最小値よりも低い内圧PIが、マーキングされる表面S上の欠陥の存在、及び/又は、マーキングされる表面Sの不正確な位置決めに関連し得、これは、空気が空気出口開口部7からだけでなくマーキング開口部5からも逃げることを意味するためである。
【0057】
この手段は、可搬式装置1の安全レベルを高めることによる、マーキングされる表面Sの制御、及び、マーキングプロセスによって生成される何らかの煙のマーキングチャンバ2aからの除去を同時に可能にするという点で、特に効果的である。
【0058】
図6に示されているように、マーキングチャンバ2aは、マーキング開口部5へのレーザ光ビーム/線の通過に好適な区画9の境界を定める。具体的には、マーキングチャンバ2aは、区画9の境界を定める外周エンベロープを有する。
【0059】
マーキングチャンバ2aは、使用時にマーキングされる表面Sに接触するように適合されたヘッド端部4、及び、レーザ光生成器と関連付けられるように適合された接続部分10を有する。好ましくは、接続部分10は、アクセス開口部11も備え、アクセス開口部11を通して、レーザ光生成器は、レーザ光ビーム/線をマーキングチャンバ2a内に給送することができる。しかし、レーザ光生成器がマーキングチャンバ2aの内部に配置され得、したがって、マーキングチャンバ2aにアクセス開口部11がないこと、又は、アクセス開口部11が、レーザ光生成器をマーキングチャンバ2aの内部に挿入することが可能であるように構成されることを除外することはできない。
【0060】
マーキングチャンバ2aは、レーザ光生成器と関連付けられ、欠陥のないマーキングされる表面Sに接触して適切に配置された後で、流入管路6、空気出口開口部7及びマーキング開口部5を介して外部環境との空気の交換が生じる、実質的にシールされたスペースを生成する。
【0061】
具体的には、可搬式装置1は、接続部分10がレーザ光生成器との水密接続をなすように位置づけられ構成された場所に少なくとも部分的に配置された、図示されていない接続手段を備える。
【0062】
1つ又は複数の実施形態によると、接続手段は、接続部分10が空気漏れを防止するように位置付けられる場所に配置された、図示されていないシール構成要素を有する。好ましくは、そのようなシールガスケットは、アクセス開口部11を囲むように配置されている。
【0063】
1つ又は複数の実施形態によると、水密接続を達成するために、接続手段は、好ましくは、マーキングチャンバ2aを、ヘッド端部4に配置された制御領域と、接続部分10に配置された接続領域とに分割するように、ヘッド端部4と接続部分10との間に配置された光学的に透明なバリアを備える。光学的に透明なバリアは、2つの領域を分離し、空気の交換を防止すると同時に、レーザ光ビーム/線が通過することを可能にするように構成されている。
【0064】
簡便には、マーキングチャンバ2aは、実質的に細長い形状を有し、接続部分10とヘッド端部4との間に長手方向に沿って延在する。
【0065】
好ましくは、マーキングチャンバ2aは、実質的に筒状の構造を有し得、すなわち、実質的に円形の断面を有する。
【0066】
しかし、マーキングチャンバ2aが、例えば平行六面体等の異なる構造を有し得ることを除外することはできない。
【0067】
同様に、筒状の構造の場合、マーキングチャンバ2aは、50mm~500mmの間に含まれる、好ましくは200mmの長さを有する。また、マーキングチャンバ2aは、直径を意味する、10mm~350mmの間に含まれる、好ましくは120mmの幅を有する。
【0068】
これに関して、マーキングチャンバ2aは、マーキングヘッド2と取り外し可能に関連付けられている。
【0069】
このように、マーキングチャンバ2aは、マーキングヘッド2から取り外され、必要に応じて容易に保守/交換されることができる。
【0070】
有利には、
図6において示されているように、装置1は、マーキングヘッド2と取り換え可能に関連付けられることができる、互いに形状及び/又はサイズが異なる、複数のマーキングチャンバ2aを備える。
【0071】
例えば、筒状の構造を有するマーキングチャンバ2a、及び、それぞれ角柱構造を有する1つ又は複数のマーキングチャンバ2aを設けることができる。
【0072】
この可能性は、必要であれば(例えば、マーキング表面S又は他の動作状況に応じて)特定の明確に画定された構造が設けられたマーキングチャンバ2aを採用することを可能にし、したがって、装置1の使用の適合性及び多用途性を大きく高める。
【0073】
図7から明らかなように、流入管路6は、空気の一定の流れをマーキングチャンバ2a内に給送するように構成された流入手段14を備える。
【0074】
好ましくは、流入手段14は、例えば本明細書において以下で記載する制御手段によって、又は、記載されない他の構成要素によって、空気の流入流を変化させるように調整されることができる。
【0075】
流入管路6は、流入手段14とマーキングチャンバ2aとを流体動作式に接続するように適合された少なくとも1つの流入ダクト15も有する。特に、流入ダクト15は、空気の流れが流入手段14からマーキングチャンバ2aに向かって流れることを可能にするように、マーキングチャンバ2a及び流入手段14に流体動作式に接続されるように適合されている。
【0076】
図7を特に参照すると、流入手段14は、流入ダクト15に空気の流れを供給するように構成された少なくとも1つの供給装置17、及び、供給装置17によって生成される空気の流れの圧力を調節するように適合された、減圧弁とも称される圧力レギュレータ18を備える。
【0077】
好ましくは、供給装置17は加圧ガス源である。しかし、供給装置17が異なり得ることを除外することはできない。
【0078】
好ましくは、圧力レギュレータ18は、流入ダクト15を通って流れる空気の流れの圧力を調節するために流入ダクト15に沿って配置された弁である。好ましくは、弁18は、ソレノイド弁のタイプであり、すなわち、電気的に制御されるように適合された弁である。
【0079】
図1から明らかなように、空気出口開口部7は、マーキングチャンバ2aにおいて切り取られた貫通孔である。
【0080】
適切には、空気出口開口部7は、0.1mm~5mmの間に含まれる、好ましくは1.5mmの直径を有する。
【0081】
1つ又は複数の実施形態では、空気出口開口部7は、例えばベンチュリ装置等の、空気を取り込む手段に動作可能に接続され得る。
【0082】
好ましい実施形態では、可搬式装置1は、1つのみの空気出口開口部7を有する。しかし、可搬式装置1が複数の空気出口開口部7を有し得ることを除外することはできない。
【0083】
上記から予見されるように、測定アセンブリ8は、マーキングチャンバ2aの内圧PIを測定するように構成されている。しかし、そのような測定を、空気出口開口部7が位置付けられている場所で行うことができることを除外することはできない。
【0084】
具体的には、装置1は、マーキングチャンバ2aと測定アセンブリ8との間に流体接続して位置決めされた少なくとも1つのダクト20を備え、測定アセンブリ8は、ダクト20と関連付けられているとともに、ダクト20から空気の流れを受け取って内圧値PIを測定するように適合された少なくとも1つの測定装置19を備える。
【0085】
好ましくは、測定装置19は、圧力スイッチのタイプである。
【0086】
これに関して、測定装置19は有利には、デジタルタイプである。実際には、測定装置19は、測定を行うとともに、測定された圧力値を表す測定信号を生成するために、電子装置によって制御されるように構成されている。
【0087】
有利には、
図3において明らかなように、装置1は2つのダクト20を備える。
【0088】
同様に、同じ図を参照すると、測定アセンブリ8は、相互に接続され、各々がそれぞれのダクト20と関連付けられた2つの測定装置19を備える。
【0089】
具体的には、測定装置19は互いに並列に接続されている。
【0090】
代替的には、測定装置19は、互いに直列に接続されることができる。
【0091】
それぞれのダクト20によってマーキングチャンバ2aに各々が接続された2つの測定装置19を設けることは、装置1の使用の信頼性を大幅に高めることを可能にし、測定装置19のうちの一方における何らかの誤動作が、装置自体の全体的な動作に影響を与えることを防止する。
【0092】
上記から予見されるように、可搬式装置1は、マーキングされる表面Sがマーキングチャンバ2aの正面に正確に位置決めされており、欠陥がないか否かを確認することを可能にする。
【0093】
本発明の動作をより良く理解するために、マーキングされる表面Sがマーキング開口部5を効果的に閉じている場合に、すなわち、マーキングされる表面Sが正確に位置決めされており、欠陥がない場合に、マーキングチャンバ2a内への空気の取り込みの開始から、2つの主な段階が続くことに留意することが有用である:
‐平衡値に達するまで、内圧が連続的に上昇する第1の段階、及び
‐マーキングチャンバ2aの内圧が、この平衡値において実質的に一定のままである、第2の段階。
【0094】
考案されたような可搬式装置1は、第1の段階及び第2の段階の双方の間に、内圧を確認することを可能にする。このために、測定アセンブリ8は、流入管路6によって空気がマーキングチャンバ2a内に流入する間に、内圧PIが所定の値の範囲内にあるか否かを確認するように構成された、確認手段21(例えば、電子コンパレータ)を備える。
【0095】
例えば、内圧PIが理論的に上昇するはずである第1の段階の間に確認が行われると仮定する。コンパレータ21が所定の値の範囲の下限よりも低い内圧PIを検出する場合、これは、空気が、空気出口開口部7からだけではなく、マーキング開口部5からも逃げていることを意味し、したがって、マーキングされる表面Sにおける欠陥の存在、又は、マーキングされる表面Sの不正確な位置決めを示唆する。圧力が一定のままであり、低下しないはずである第2の段階において確認が行われる場合に、同じように推論することができる。
【0096】
一実施形態によると、第1の段階の間の圧力の上昇は、予め既知の傾向を有し得る。この実施形態では、コンパレータ21は、第1の段階の間に圧力の傾向を決定し、無視できるほどの誤差でない限り、この傾向が既知の傾向と実質的に同様であるか否かを確認するように構成され得る。
【0097】
詳細に簡潔に説明するように、コンパレータ21は、マーキングチャンバ2aの内圧PIの測定を行うために測定装置19を作動させ、その測定の値を受信するように構成されている。有利には、コンパレータ21は、測定装置19によって、マーキングチャンバ2aの内圧PIの複数の測定を行い、それらを互いに比較するように構成されている。
【0098】
しかし、コンパレータ21が、1回の測定を行い、それを内圧PIの所定の値と比較するように構成され得ることを除外することはできない。そのような場合、コンパレータ21は、好ましくは、内圧PIの連続的な測定を行い、内圧PIが一定のままであるか又は低下しないか否かを確認するように構成されている。
【0099】
この場合、コンパレータ21は:
‐第1の時点t1において、測定装置19のうちの一方を作動させ、内圧PIの第1の測定を行うとともに、内圧PIの第1の値を受信し;
‐第2の時点t2において、測定装置19のうちの他方を作動させ、内圧PIの第2の、好ましくは連続的な測定を行うとともに、内圧PIの第2の値を受信し;
‐第1の値及び第2の値がともに所定の値の範囲内にあるか否かを確認し;
‐第1の値及び第2の値が所定の値の範囲内にある場合には第1の信号を生成し、第1の値及び第2の値が所定の値の範囲外にある場合には第2の信号を生成する
ように構成されている。
【0100】
上記で明記したように、この確認は、内圧PIが低下しないか否かを判断するために使用され、マーキングされる表面Sに欠陥がなく、正確に位置決めされていることを確実にする。したがって、圧力が低下する場合には、コンパレータ21は、第2の信号を生成するように構成されており、それによって、レーザ光生成器をオフにすることができ、マーキングを防止することができる。
【0101】
好ましくは、確認は、第2の段階において行われるが、これは、より正確であるためである。
【0102】
適切には、コンパレータ21は、第1の時点と第2の時点との間の時間間隔が0.5秒~5秒の間に含まれる確認を行うように構成されている。換言すると、コンパレータ21は、第1の測定と第2の測定との間で0.5秒~5秒の経過を有するように構成されている。しかし、2回の測定間の時間間隔を、より長く、より短く、又は実質的にゼロ(リアルタイム)にし得る可能性を除外することはできない。
【0103】
しかし、コンパレータ21が、より多いか又はより少ない測定を行い、それらを互いに比較するように構成され得ることを除外することはできない。言うまでもなく、測定の回数が多くなるほど、確認の精度が高くなる。
【0104】
一実施形態によると、確認手段21は、例えばPLC、マイクロコントローラ、電子制御ユニット、マイクロプロセッサ、PCなどのような、同じか又は同様の機能を有する電子コンパレータと同様の電子装置であり得る。
【0105】
コンパレータ21は、測定装置19内に直接据え付けることができるか、又は、測定装置19に、適切な有線、パイロットケーブル、無線、Bluetooth、赤外線及び/又は同様の接続によって接続することができる。
【0106】
有利には、装置1は、コンパレータ21と動作可能に関連付けられているとともに、レーザ生成器によるレーザ光の放出を防止する阻止形態(
図4)と、レーザ生成器によるレーザ光の放出を可能にする放出形態(
図5)との間で移動可能な、少なくとも1つのプラグ要素22を備える。
【0107】
具体的には、コンパレータ21は、第2/第1の信号の生成に続いて、プラグ要素22を阻止/放出形態に配置するように構成されている。
【0108】
したがって、圧力の異常な低下が生じる場合(例えば、マーキングの中断の結果として、マーキングされる表面S上に欠陥がある場合、又は、装置1が適切に位置決めされていない場合)、プラグ要素22は、レーザビームの放出を妨げ、したがって、レーザ放出を中断させる。
【0109】
これは、安全な使用及び精密な動作を伴う装置1を得ることを明らかに可能にし、ここで、プラグ要素22の動作は、レーザビームが、正常な動作の状況下、すなわち、内圧PIが一定であるか又は上昇するときにのみ放出されることを確実にする。
【0110】
このように、特に、コンパレータ21は、装置1の使用が中断されるときはいつでも、プラグ要素22を阻止形態に配置し、明確かつ重要な安全上の利点を伴う。
【0111】
好ましい実施形態によると、
図4及び
図5において明らかなように、プラグ要素22は:
‐マーキングヘッド2と回転可能に関連付けられた少なくとも1つのベース部分22a;及び
‐ベース部分22aと関連付けられているとともに、阻止/放出形態においてレーザ光経路と重なる/レーザ光経路から離れるように適合された少なくとも1つの突出部分22bを備える。
【0112】
しかし、プラグ要素22の突出部分22bが、(バタフライプラグと同様に)それ自身の垂直軸の周りで阻止形態と放出形態との間で、又は、シフト移動、伸縮式移動等のような様々な運動学によって移動し得ることを除外することはできない。
【0113】
具体的には、ベース部分22aは、マーキングヘッド2のフレームに蝶着されており、突出部分22bとともに、阻止形態及び放出形態に対応する2つの限界終端位置間で回転する。
【0114】
図4から推察することができるように、阻止形態において、ベース部分22aは、レーザ生成器から来るレーザビームを妨害し、したがって、ビーム自体がマーキングされる表面S上に放出されることを防止する。
【0115】
換言すると、ベース部分22aは、バリアとして動作し、レーザビームの通過を物理的に妨げる。
【0116】
放出形態に関して(
図5)、ベース部分22aは、阻止形態において占有されていた位置に対して回転され、その結果、レーザビームをもはや妨害せず、したがって、レーザビームがマーキングされる表面S上に放出されることを可能にする。
【0117】
一実施形態によると、レーザ光生成器は、可搬式装置1の一部ではない。この実施形態では、可搬式装置1は、レーザ光生成器に取り外し可能に接続可能である。すなわち、マーキングチャンバ2aは、接続手段によって、レーザ光生成器に取り外し可能に接続可能である。この場合、プラグ要素22もレーザ光生成器に接続可能であり、その動作を制御する。
【0118】
一実施形態によると、レーザ光生成器は、可搬式装置1の一部である。この実施形態では、可搬式装置1は、マーキングチャンバ2aと関連付けられたレーザ光生成器を備え、レーザ光ビームをマーキング開口部5に向かって放出する。プラグ要素22は、レーザ光生成器に動作可能に接続されている。
【0119】
本発明によるレーザマーキングを安全に行うための方法を実施する上でのこの可搬式装置1の動作は、以下の通りである。
【0120】
上記から予見されるように、マーキングを安全に行うために、マーキングチャンバ2aをレーザ光生成器とマーキングされる表面Sとの間に配置する必要がある。具体的には、ヘッド端部4が、マーキングされる表面Sに接触して配置され、それによって、マーキングされる表面Sがマーキング開口部5を閉じる。換言すると、本発明の動作は、マーキングされる表面Sによって、マーキングチャンバ2aのマーキング開口部を閉じることを伴う。
【0121】
そのようなステップによって、マーキング中にレーザ光ビームが内部に維持される、マーキングチャンバ2a及びマーキングされる表面Sによって境界を定められた、限られた実質的に包囲されたスペースを作ることが可能である。
【0122】
次に、可搬式装置1の動作は、空気の実質的に一定の流れをマーキングチャンバ2a内に給送することを伴う。この空気の給送は、上述した流入管路6を作動させることによって達成される。
【0123】
この時点で、マーキングされる表面が正常であることの確認を行うことができる。この確認は、マーキングプロセス前及び/又はマーキングプロセス中に行うことができる。
【0124】
特に、この確認は、第1の時点t1においてマーキングチャンバ2aの内圧の少なくとも第1の測定を行い、内圧の第1の値を得ること、及び、第2の時点t2においてマーキングチャンバ2aの内圧の第2の測定を行い、内圧の第2の値を得ることを伴う。これらの測定は、測定装置19によって行われる。好ましくは、測定装置19は、上記で詳細に記載したように、コンパレータ21によって制御される。
【0125】
しかし、確認がより少ないか又はより多い測定を行うことを伴い得ることを除外することはできない。
【0126】
好ましくは、確認プロセスは、第2の測定を行う前に、0.1秒~5秒間待つことを伴う。
【0127】
測定を行った後で、第2の値が第1の値と比較され、それらの関係を確認するようにする。
【0128】
好ましくは、そのような比較は、コンパレータ21によって自動的に行われ、コンパレータ21は、測定装置19によって測定された値が所定の値の範囲内にあることを検出する場合には第1の信号を生成し、測定装置19によって測定された値が所定の値の範囲外にあることを検出する場合には第2の信号を生成する。
【0129】
測定装置19によって測定された値が所定の値の範囲外にあることを検出する確認の場合、次に、プラグ要素22を阻止形態に配置することによって、マーキングされる表面Sに向かうレーザ光の放出を阻止することが提供される。逆に、測定装置19によって測定された値が所定の値の範囲内にあることが確認によって見出される場合、次に、プラグ要素22を放出形態に配置することによって、マーキングされる表面Sに向かうレーザ光の放出が可能となる。
【0130】
実際に、記載された発明が、意図した目的を達成することが確実にされており、特に、レーザマーキング用の可搬式装置によって、マーキングされる表面上の欠陥の存在及び/又はその不正確な位置決めを検出すると同時に、単純かつ効果的な解決策によって、マーキングプロセス中に生成される煙を除去することが可能であることが強調される。
【外国語明細書】