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特開2023-168334光学システム、照明システム、表示システム、及び移動体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023168334
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】光学システム、照明システム、表示システム、及び移動体
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20231116BHJP
   G02B 27/01 20060101ALI20231116BHJP
   B60K 35/00 20060101ALI20231116BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20231116BHJP
   F21Y 115/15 20160101ALN20231116BHJP
【FI】
F21S2/00 441
G02B27/01
F21S2/00 435
B60K35/00 A
F21Y115:10
F21Y115:15
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023140452
(22)【出願日】2023-08-30
(62)【分割の表示】P 2019086747の分割
【原出願日】2019-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高田 和政
(72)【発明者】
【氏名】上水 和平
(72)【発明者】
【氏名】阪口 知久
(72)【発明者】
【氏名】原 広紀
(72)【発明者】
【氏名】網江 正樹
(57)【要約】
【課題】光の取り出し効率の向上を図ること。
【解決手段】光学システム100は、導光板1と、光制御体2と、プリズム3と、を備える。導光板1は、光が入射する入射面10、及び互いに対向する第1面11及び第2面12を有し、第2面12が光の出射面である。光制御体2は、入射面10に向かう光を集光し、集光した光を入射面10に出射する。プリズム3は、第1面11に設けられて、導光板1の内部を通る光を第2面12に向けて反射する。導光板1は、入射面10から入射した光をプリズム3にて直接反射して第2面12から出射させるダイレクト光路を含む。光制御体2は、導光板1とは反対側の面で、入射面10に入射する光を屈折させて入射面10に出射する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光が入射する入射面、及び互いに対向する第1面及び第2面を有し、前記第2面が光の出射面である導光板と、
前記入射面に向かう光を集光し、集光した光を前記入射面に出射する光制御体と、
前記第1面に設けられて、前記導光板の内部を通る光を前記第2面に向けて反射するプリズムと、を備え、
前記導光板は、前記入射面から入射した光を前記プリズムにて直接反射して前記第2面から出射させるダイレクト光路を含み、
前記光制御体は、前記導光板と一体であり、
前記光制御体は、光源から前記光制御体に直接入射する光を集光し、
前記光制御体は、前記導光板とは反対側の面で、前記入射面に入射する光を屈折させて前記入射面に出射する、
光学システム。
【請求項2】
前記光制御体は、前記導光板とは反対側の前記面で、前記入射面に入射する光を屈折かつ全反射させて前記入射面に出射する、
請求項1に記載の光学システム。
【請求項3】
前記光制御体は、
前記導光板とは反対側の前記面に形成され、前記入射面に入射する前記光を入射する凹部と、
前記凹部における前記第1面の側の外側面を形成する第1全反射面と、
前記凹部における前記第2面の側の外側面を形成する第2全反射面と、を有し、
前記第1全反射面及び前記第2全反射面は、前記入射面の側から前記凹部の開口側に沿って前記凹部の内側に湾曲している、
請求項1又は2に記載の光学システム。
【請求項4】
前記凹部の底面は、前記凹部の開口側に凸レンズ状に突出するように湾曲している、
請求項3に記載の光学システム。
【請求項5】
前記凹部に入射する前記光は、第1光、第2光及び第3光を含み、
前記第1光は、前記凹部の前記底面から前記光制御体の内部に入射して前記導光板の前記入射面に出射され、
前記第2光は、前記凹部における前記第1面の側の内側面から前記光制御体の内部に入射して前記第1全反射面の内面で全反射されて前記導光板の前記入射面に出射され、
前記第3光は、前記凹部における前記第2面の側の内側面から前記光制御体の内部に入射して前記第2全反射面の内面で全反射されて前記導光板の前記入射面に出射される、
請求項4に記載の光学システム。
【請求項6】
前記入射面は、前記光制御体の光入射面に対向して配置されかつ前記第2面に直交する仮想的な平面であり、
前記導光板において前記入射面から前記第2面に向かう光よりも前記入射面から前記第1面に向かう光の方が多くなるように、前記光制御体の光軸は、前記入射面に対して前記第1面の側に傾斜している、
請求項1~5のいずれか1項に記載の光学システム。
【請求項7】
前記プリズムを複数備え、
複数のプリズムの深さは、前記入射面に入射する光の進行方向に向かうに連れて深くなる、
請求項1~6のいずれか1項に記載の光学システム。
【請求項8】
前記ダイレクト光路は、前記プリズムにて全反射する光の光路を含む、
請求項1~7のいずれか1項に記載の光学システム。
【請求項9】
前記第1面と前記第2面とは、互いに傾斜している、
請求項1~8のいずれか1項に記載の光学システム。
【請求項10】
前記導光板は、前記入射面から入射した光を前記第2面にて反射させた後に、前記プリズムにて反射させて前記第2面から出射させるインダイレクト光路を更に含む、
請求項1~9のいずれか1項に記載の光学システム。
【請求項11】
前記プリズムは、前記入射面に光が入射する方向において複数並ぶように設けられている、
請求項1~10のいずれか1項に記載の光学システム。
【請求項12】
前記プリズムの少なくとも一部は、前記導光板の厚さ方向から見て、前記入射面に対して傾斜している、
請求項1~11のいずれか1項に記載の光学システム。
【請求項13】
前記プリズムは、互いに間隔を空けるように分割された複数の小プリズムを有している、
請求項1~12のいずれか1項に記載の光学システム。
【請求項14】
前記複数の小プリズムのうち2以上の小プリズムは、前記導光板の厚さ方向から見て曲線状に並ぶように配置されている、
請求項13記載の光学システム。
【請求項15】
前記プリズムは、前記第1面においてランダムに配置された複数の小プリズムを有している、
請求項1~12のいずれか1項に記載の光学システム。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか1項に記載の光学システムと、
前記光制御体を通して前記入射面に光を出射する前記光源と、を備える、
照明システム。
【請求項17】
請求項16記載の照明システムと、
前記照明システムから出射される光を受けて画像を表示する表示器と、を備える、
表示システム。
【請求項18】
請求項17記載の表示システムと、
前記表示システムを搭載する移動体本体と、を備える、
移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に光学システム、照明システム、表示システム、及び移動体に関する。より詳細には、本開示は、入射面から入射した光を制御して出射面から出射させる光学システム、照明システム、表示システム、及び移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、対象空間に虚像を投影する画像表示装置(表示システム)を開示する。この画像表示装置は、自動車用HUD(Head-Up Display)装置である。ダッシュボード内の自動車用HUD装置(光学システム)から発せられる画像光である投射光がフロントガラスで反射され、視認者である運転者に向かう。これにより、ユーザ(運転者)は、ナビゲーション画像等の画像を虚像として視認することができ、路面等の背景に虚像が重畳されているように視認する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-142491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、光の取り出し効率の向上を図ることのできる光学システム、照明システム、表示システム、及び移動体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係る光学システムは、導光板と、光制御体と、プリズムと、を備える。前記導光板は、光が入射する入射面、及び互いに対向する第1面及び第2面を有し、前記第2面が光の出射面である。前記光制御体は、前記入射面に向かう光を集光し、集光した光を前記入射面に出射する。前記プリズムは、前記第1面に設けられて、前記導光板の内部を通る光を前記第2面に向けて反射する。前記導光板は、前記入射面から入射した光を前記プリズムにて直接反射して前記第2面から出射させるダイレクト光路を含む。前記光制御体は、前記導光板と一体である。前記光制御体は、光源から前記光制御体に直接入射する光を集光する。前記光制御体は、前記導光板とは反対側の面で、前記入射面に入射する光を屈折させて前記入射面に出射する。
【0006】
本開示の一態様に係る照明システムは、上記の光学システムと、光源と、を備える。前記光源は、前記光制御体を通して前記入射面に光を出射する。
【0007】
本開示の一態様に係る表示システムは、上記の照明システムと、表示器と、を備える。前記表示器は、前記照明システムから出射される光を受けて画像を表示する。
【0008】
本開示の一態様に係る移動体は、上記の表示システムと、前記表示システムを搭載する移動体本体と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、光の取り出し効率の向上を図ることができる、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1A及び図1Bは、それぞれ本開示の一実施形態に係る光学システムの概要を示す断面図である。
図2図2は、同上の光学システムの概要を示す平面図である。
図3図3A及び図3Bは、それぞれ同上の光学システムにおける光路の説明図である。
図4図4は、同上の光学システムを用いた表示システムを備える移動体の説明図である。
図5図5は、同上の表示システムの説明図である。
図6図6A及び図6Bは、それぞれ比較例の光学システムの概要を示す断面図である。
図7図7A図7Cは、それぞれ本開示の一実施形態の第1変形例に係る光学システムの概要の説明図である。
図8図8A及び図8Bは、それぞれ本開示の一実施形態の第2変形例に係る光学システムの概要を示す断面図である。
図9図9は、本開示の一実施形態の第3変形例に係る光学システムの概要を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(1)概要
本実施形態の光学システム100(図1A及び図1B参照)は、入射面10から入射した光を制御して出射面(第2面12)から出射させる機能を有する。光学システム100は、図1に示すように、導光板1と、光制御体2と、プリズム3と、を備える。光学システム100は、光源4と共に照明システム200を構成する。言い換えれば、照明システム200は、光学システム100と、光源4と、を備える。光源4は、光制御体2を通して入射面10に光を出射する。
【0012】
導光板1は、光が入射する入射面10、及び互いに対向する第1面11及び第2面12を有し、第2面12が光の出射面である。本実施形態では、導光板1は、平板状であって、導光板1の厚さ方向において対向する2面がそれぞれ第1面11及び第2面12である。また、導光板1の4つの側面のうちの1つの側面が入射面10である。つまり、導光板1は、入射面10である側面から光が入射することにより、出射面である第2面12が面発光するように構成されている。
【0013】
光制御体2は、入射面10に向かう光を集光し、集光した光を入射面10に出射する。本実施形態では、光源4から出射される光が、光制御体2を通して導光板1の入射面10に入射する。そして、光制御体2に入射した光は、広がり角を狭めるように制御され、入射面10に向けて出射する。本実施形態では、光制御体2は、入射面10に出射する光の光路が第2面12と平行な光路に近づくように、光制御体2に入射した光の広がり角を制御する。
【0014】
プリズム3は、第1面11に設けられて、導光板1の内部を通る光を第2面12に向けて反射する。本実施形態では、プリズム3は、第1面11に複数設けられている。プリズム3は、入射する光を全反射するように構成されている。もちろん、プリズム3は、入射する光を全て全反射する態様に限らず、一部の光が全反射せずにプリズム3の内部を通過する態様も含み得る。
【0015】
導光板1においては、入射面10から入射した光の大部分は、第1面11又は第2面12のうちプリズム3を除いた部位で反射することなく、プリズム3にて反射することで、第2面12から出射される。つまり、導光板1は、入射面10から入射した光をプリズム3にて直接反射して第2面12から出射させるダイレクト光路L1を含む(図3B参照)。
【0016】
上述のように、本実施形態では、光制御体2を通して広がり角を制御された光を、導光板1の第1面11に設けられたプリズム3にて直接反射させて、第2面12から出射させている。このため、本実施形態では、導光板1の第1面11及び第2面12にて全反射を繰り返しながら第2面12から光を出射させる態様と比較して、光の取り出し効率の向上を図ることができる、という利点がある。本開示でいう「取り出し効率」とは、導光板1の入射面10に入射する光の光量に対して、導光板1の第2面12(出射面)から出射する光の光量が占める割合をいう。
【0017】
(2)詳細
以下、本実施形態の光学システム100、及び光学システム100を用いた表示システム300について説明する。
【0018】
(2.1)表示システム
まず、表示システム300について説明する。表示システム300は、例えば自動車(移動体)B1に搭載されるヘッドアップディスプレイに用いられ、例えば、自動車B1の速度情報、コンディション情報、及び運転情報等に関連する運転支援情報をユーザA1の視界に表示するために用いられる。自動車B1の運転情報としては、例えば、走行経路等を表示するナビゲーション関連の情報、及び、走行速度及び車間距離を一定に保つACC(Adaptive Cruise Control)関連の情報等がある。
【0019】
表示システム300は、図4及び図5に示すように、画像表示部310と、光学系320と、制御部330と、を備えている。また、表示システム300は、画像表示部310、光学系320、及び制御部330を収容するハウジング340を更に備えている。
【0020】
表示システム300は、移動体である自動車B1の移動体本体B11に搭載される。つまり、移動体(自動車)B1は、表示システム300と、表示システム300を搭載する移動体本体B11と、を備えている。
【0021】
ハウジング340は、例えば合成樹脂の成型品等で構成されている。ハウジング340には、画像表示部310、光学系320、及び制御部330等が収容されている。ハウジング340は、移動体本体B11のダッシュボードB13に取り付けられている。光学系320の第2ミラー322(後述する)によって反射された光は、ハウジング340の上面の開口部を通して反射部材(ウィンドシールドB12)に出射され、ウィンドシールドB12によって反射された光がアイボックスC1に集光される。なお、反射部材は、移動体本体B11に設けられたコンバイナで実現されてもよい。
【0022】
画像表示部310は、表示デバイス311と、表示デバイス311の表示面313に配置されるレンズアレイ312と、を備える。画像表示部310は、画像中の対象物から複数の方向に放出される光を再現することで対象物を立体的に見せるライトフィールド(Light Field)方式により、立体画像を表示する機能を有している。
【0023】
表示デバイス311は、ハウジング340の内部に、表示面314を第1ミラー321(後述する)に向けた状態で収容されている。表示デバイス311の表示面314は、ユーザA1に投影する画像の範囲、つまりウィンドシールドB12の形状に合わせた形状(例えば矩形状)である。表示デバイス311の表示面314には、複数の画素がアレイ状に配置されている。表示デバイス311の複数の画素は、制御部330の制御に応じて発光し、表示デバイス311の表示面314から出力される光によって、表示面314に表示される画像が形成される。表示デバイス311は、表示器5と、光学システム100を含む照明システム200と、によって実現される。表示器5は、例えば液晶ディスプレイ、又は有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等であって、照明システム200から出射される光を受けて画像を表示する。つまり、表示システム300は、照明システム200と、表示器5と、を備えている、と言える。
【0024】
表示デバイス311の表示面314には、レンズアレイ312が配置されている。ここで、レンズアレイ312の表面が画像表示部310の表示面313となる。レンズアレイ312は、アレイ状に配列された複数のレンズを有する。
【0025】
表示デバイス311の表示面314に表示された画像は、レンズアレイ312と光学系320とを通してアイボックスC1内に視点があるユーザA1に視認される。よって、ユーザA1は、自動車B1の走行面D1に沿って重畳された虚像E1、及び、走行面D1と直交する平面PL1に沿って立体的に描画される虚像を視認することができる。
【0026】
なお、画像表示部310が、立体描画の対象物の虚像を立体的に表示する方式はライトフィールド方式に限定されない。画像表示部310は、ユーザA1の左右の目に、互いに視差がある画像をそれぞれ投影することで、ユーザA1に立体描画の対象物の虚像を視認させる視差方式を採用してもよい。
【0027】
光学系320は、画像表示部310の表示面313から出力される光を、アイボックスC1に集光する。本実施形態では、光学系320は、例えば、凸面鏡である第1ミラー321と、凹面鏡である第2ミラー322と、ウィンドシールドB12と、を備えている。
【0028】
第1ミラー321は、画像表示部310から出力される光を反射して、第2ミラー322に入射させる。第2ミラー322は、第1ミラー321から入射した光をウィンドシールドB12に向かって反射する。ウィンドシールドB12は、第2ミラー322から入射した光を反射してアイボックスC1に入射させる。
【0029】
制御部330は、例えば、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしての1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを主構成とする。コンピュータシステムの1以上のメモリ又は記憶部334に記録されたプログラムを1以上のプロセッサが実行することによって、制御部330の機能(例えば、描画制御部331、画像データ作成部332、及び出力部333等の機能)が実現される。プログラムは、コンピュータシステムの1以上のメモリ又は記憶部334に予め記録されている。なお、プログラムは、電気通信回線を通じて提供されてもよいし、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0030】
記憶部334は、例えば、書換可能な不揮発性の半導体メモリ等の非一時的記録媒体にて実現される。記憶部334は、制御部330が実行するプログラム等を記憶する。また、本実施形態の表示システム300は、既に述べたように、自動車B1の速度情報、コンディション情報、及び運転情報等に関連する運転支援情報をユーザA1の視界に表示するために用いられる。このため、表示システム300が表示する虚像の種類は予め決まっている。そして、記憶部334には、虚像(平面描画の対象物である虚像E1、及び、立体描画の対象物である虚像)を表示するための画像データが予め記憶されている。
【0031】
描画制御部331は、自動車B1に搭載された各種のセンサ350から検出信号を受け取る。センサ350は、例えば先進運転システム(ADAS:Advanced Driver Assistance System)に使用される各種の情報を検出するためのセンサである。センサ350は、
例えば、自動車B1の車速、温度、残燃料等を測定するセンサ、自動車B1の周囲を撮影する画像センサ、及び、自動車B1の周囲に存在する物体を検出するためのミリ波レーダ、LiDAR(Light Detection and Ranging)等のセンサのうちの少なくとも1つを含む。
【0032】
描画制御部331は、センサ350から入力される検出信号に基づいて、この検出信号に関する情報を表示するための1又は複数の画像データを記憶部334から取得する。ここで、画像表示部310に複数種類の情報を表示する場合、描画制御部331は、複数種類の情報を表示するための複数の画像データを取得する。また、描画制御部331は、センサ350から入力される検出信号に基づいて、虚像を表示する対象空間において虚像を表示する位置に関する位置情報を求める。そして、描画制御部331は、表示対象の虚像の画像データと位置情報とを、画像データ作成部332に出力する。
【0033】
画像データ作成部332は、描画制御部331から入力される画像データ及び位置情報に基づいて、表示対象の虚像を表示するための画像データを作成する。
【0034】
出力部333は、画像データ作成部332によって作成された画像データを表示デバイス311に出力し、表示デバイス311の表示面314に、作成された画像データに基づく画像を表示させる。表示面314に表示された画像は、レンズアレイ312と光学系320とを介してアイボックスC1に集光され、虚像がユーザA1によって視認される。
【0035】
(2.2)光学システム
次に、光学システム100について図1A図3Bを用いて説明する。光学システム100は、導光板1と、複数の光制御体2と、複数のプリズム3と、を備えている。光学システム100は、複数の光源4と共に照明システム200を構成している。以下の説明では、導光板1の幅方向(図2において複数の光源4が並ぶ方向)を「X方向」、導光板1の奥行き方向(図1Aにおいて複数のプリズム3が並ぶ方向)を「Y方向」とする。また、以下の説明では、導光板1の厚さ方向(図1Aにおいて第1面11及び第2面12が並ぶ方向)を「Z方向」とする。
【0036】
なお、図面における「X方向」、「Y方向」、及び「Z方向」を示す矢印は説明のために表記しているに過ぎず、実体を伴わない。また、図面における破線の矢印は、光源4から出射されて導光板1の内部を通過する光の光路を概念的に表している。
【0037】
光源4は、例えば発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)素子又は有機EL(Organic Electro-Luminescence:OEL)素子等の固体発光素子である。本実施形態では、複数の光源4は、図2に示すように、導光板1の入射面10と対向する形で、X方向に間隔を空けて並ぶように配置されている。複数の光源4は、それぞれ導光板1の入射面10に設けられた複数の光制御体2と1対1に対応している。
【0038】
導光板1は、例えばアクリル樹脂等の透光性を有する材料により形成されており、平板状である。導光板1のY方向において互いに対向する2つの側面のうちの一方の側面(図1Aにおける左面)は、複数の光源4から出射される光が、それぞれ複数の光制御体2を通して入射する入射面10である。導光板1のZ方向において互いに対向する2つの面は、それぞれ第1面11及び第2面12である。第1面11は、図1Aにおける下面であり、第2面12は、図1Aにおける上面である。そして、第2面12は、導光板1の内部を通る光が外部へと出射する出射面である。
【0039】
本実施形態では、第2面12は、入射面10と直交する面、言い換えれば、XY平面と平行な面である。一方、第1面11は、入射面10と直交しておらず、XY平面に対して傾斜した面である。具体的には、第1面11は、入射面10から遠ざかるにつれて第2面12に近づくように傾斜している。つまり、本実施形態では、第1面11と第2面12とは、互いに傾斜している。
【0040】
光制御体2は、例えばコリメータレンズであって、入射面10に向かう光を集光し、集光した光を入射面10に出射する。具体的には、光制御体2は、図3Aに示すように、屈折面20と、全反射面21と、を有している。屈折面20は、光源4が出射する光の一部を屈折させて、屈折した光を入射面10に出射する。全反射面21は、光源4が出射する光の一部を全反射させて、全反射した光を入射面10に出射する。このように、光制御体2は、光源4が出射する光の一部又は全部を屈折させることにより、光源4が出射する光の広がり角を狭めるように制御する。したがって、光制御体2は、光制御体2から出射する光の光路が、入射面10に対して垂直な光路、言い換えれば、第2面12と平行な光路に近づくように、光源4が出射する光の広がり角を制御する。
【0041】
本実施形態では、図2に示すように、複数の光制御体2は、導光板1の入射面10を構成する端部において、X方向に並ぶように形成されている。つまり、本実施形態では、光制御体2は、導光板1と一体である。また、複数の光制御体2は、既に述べたように、それぞれ複数の光源4と1対1に対応している。したがって、複数の光制御体2は、それぞれ対応する光源4が出射する光の広がり角を制御して、光を入射面10へと出射する。
【0042】
プリズム3は、導光板1の第1面11面を構成する端部を加工することにより、X方向から見た断面が三角形状の凹部となるように、第1面11に形成されている。プリズム3は、図1Bに示すように、導光板1の内部を通って入射する光を第2面12に向けて反射する反射面30を有している。なお、図1Bは、図1Aにおいて一点鎖線で囲まれた部位の拡大図である。
【0043】
反射面30と第1面11とがなす角度(つまり、反射面30の傾斜角度)θ1は、反射面30に入射する光の入射角θ0が臨界角以上となるような角度である。つまり、反射面30は、入射する光が全反射するように、第1面11に対して傾斜している。また、反射面30の傾斜角度θ1は、反射面30にて全反射した光が、第2面12に殆ど垂直な方向を含む方向に出射するように設定されている。ここで、複数のプリズム3に入射する光の入射角θ0は、プリズム3ごとに異なっている。
【0044】
本実施形態では、図2に示すように、複数のプリズム3は、それぞれZ方向から見て、X方向に平行な直線状に形成されている。そして、複数のプリズム3は、導光板1の第1面11を構成する端部において、Y方向に間隔を空けて並ぶように形成されている。つまり、本実施形態では、プリズム3は、入射面10に光が入射する方向(Y方向)において複数並ぶように設けられている。具体的には、複数のプリズム3は、導光板1の内部を通って第1面11へと向かう光が、複数のプリズム3のうちのいずれかのプリズム3にて反射するように、Y方向に間隔を空けて設けられている。
【0045】
以下、本実施形態の光学システム100の発光原理について図3A及び図3Bを用いて説明する。まず、図3Aに示すように、光源4から出射される光は、対応する光制御体2を通過することにより、広がり角を制御される。そして、光制御体2から導光板1の入射面10に向かって、広がり角を制御された光が出射される。光制御体2から出射する光の光路は、入射面10に対して殆ど垂直な光路、言い換えれば、第2面12と殆ど平行な光路となる。また、既に述べたように、第1面11は、入射面10から遠ざかるにつれて第2面12に近づくように傾斜している。このため、入射面10に入射する光の大部分は、第2面12、及び導光板1の入射面10と対向する側面13に到達せずに、第1面11に到達することになる。
【0046】
そして、図3Bに示すように、入射面10に入射する光の大部分は、第1面11及び第2面12にて反射することなく、第1面11に設けられた複数のプリズム3のうちのいずれかのプリズム3の反射面30にて全反射する。つまり、導光板1は、入射面10から入射した光をプリズム3にて直接反射して第2面12から出射させるダイレクト光路L1を含んでいる。さらに、本実施形態では、ダイレクト光路L1は、プリズム3にて全反射する光の光路を含んでいる。プリズム3の反射面30にて全反射した光は、第2面12と殆ど直交する光路を辿り、第2面12から出射される。これにより、第2面12全体が面発光することになる。
【0047】
ここで、入射面10に入射する光の一部は、第1面11及び側面13へと向かわずに、第2面12へと向かう。この第2面12へと向かう光は、第2面12にて全反射し得る。そして、第2面12にて全反射した光は、第1面11へと向かうので、この光が複数のプリズム3のうちのいずれかのプリズム3の反射面30にて全反射する。プリズム3の反射面30にて全反射した光は、ダイレクト光路L1を辿る光と同様に、第2面12と殆ど直交する光路を辿り、第2面12から出射される。つまり、本実施形態では、導光板1は、入射面10から入射した光を第2面12にて反射させた後に、プリズム3にて反射させて第2面12から出射させるインダイレクト光路L2を更に含み得る。
【0048】
以下、本実施形態の光学システム100の利点について、比較例の光学システム400との比較を交えて説明する。比較例の光学システム400は、図6A及び図6Bに示すように、複数の光制御体2及び複数のプリズム3を備えていない点で、本実施形態の光学システム100と相違する。また、比較例の光学システム400は、導光板401の第1面501に入射した光が全反射するように、第1面501が第2面502に対して傾斜している点で、本実施形態の光学システム100と相違する。
【0049】
比較例の光学システム400では、光源402から出射される光は、広がり角を制御されることなく、導光板401の入射面500に入射する。したがって、比較例の光学システム400では、入射面500に入射する光は、第1面501に向かう光と、第2面502に向かう光とで、殆ど均等に分かれることになる。そして、比較例の光学システム400では、一般的な導光板と同様に、入射面500に入射した光は、第1面501及び第2面502にて全反射を繰り返しながら、第2面502から出射される。これにより、比較例の光学システム400では、第2面502全体が面発光することになる。
【0050】
しかしながら、比較例の光学システム400は、導光板401の第1面501及び第2面502にて光の全反射を繰り返すことにより、第2面502全体を面発光させるように設計されている。このため、光の全反射の回数が増えれば増えるほど、全反射の条件(つまり、入射角≧臨界角)が崩れやすく、第1面501から光が漏れ出る可能性が高くなる。
【0051】
特に、本実施形態の表示システム300のように、自動車B1に搭載されるヘッドアップディスプレイに光学システムを適用する場合、光学システムとしては、一般的な導光板を含む光学システムと比較して、狭い視野角と、大きい光の強度と、が要求される。視野角を狭くするためには、導光板の出射面の面積を小さくする、つまり導光板の小型化を図る必要があるが、導光板を小さくすればする程、導光板に入射した光が到達し得る距離(導光距離)が短くなる。そして、導光距離が短くなればなる程、導光板の出射面から出射することなく入射面と対向する側面から漏れ出る光が多くなり、十分な光の強度(言い換えれば、光の取り出し効率)を確保することが困難となる。
【0052】
そこで、導光距離が短い導光板においても十分な光の強度を確保するために、比較例の光学システム400のように、導光板401の第1面501を第2面502に対して傾斜させることが考えられる。しかしながら、既に述べたように、比較例の光学システム400においても、第1面501から光が漏れやすく、結果として十分な光の取り出し効率を確保することが難しい。
【0053】
一方、本実施形態の光学システム100では、上述のように光制御体2及びプリズム3を備えているので、導光板1の入射面10に入射する光の大部分は、ダイレクト光路L1を辿ることになる。つまり、本実施形態では、導光板1の入射面10に入射する光の大部分は、第1面11及び第2面12にて全反射を繰り返すことなく、直接、プリズム3に入射して第2面12から出射することになる。このため、本実施形態では、比較例の光学システム400のように、全反射の条件が崩れるということもないので、第1面11から光が漏れ出にくく、結果として光の取り出し効率の向上を図ることができる。
【0054】
なお、導光板1の入射面10に入射する光の一部は、インダイレクト光路L2を辿ることになるが、プリズム3に到達するまでに発生する全反射は第2面12での全反射のみであるため、比較例の光学システム400と比較して、全反射の条件が崩れにくく、第1面11から光が漏れ出にくい。
【0055】
このように、本実施形態の光学システム100は、比較例の光学システム400と比較して、導光板1の内部を通る光の全反射の回数を極力避けるように設計されることで、光の取り出し効率の向上を図ることが可能である。
【0056】
また、本実施形態では、第1面11と第2面12とが互いに傾斜している。このため、本実施形態では、第1面11と第2面12とが互いに平行である場合と比較して、光制御体2にて入射面10に入射する光の広がり角を狭める度合いが小さくて済む。したがって、本実施形態では、第1面11と第2面12とが互いに平行である場合と比較して、光制御体2と対応する光源4との間の距離を長くする必要がないので、結果として照明システム200の小型化を図りやすい、という利点がある。
【0057】
(3)変形例
上述の実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上述の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。上述の実施形態において説明した各図は模式的な図であり、図中の構成要素の大きさ及び厚さの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0058】
以下、上述の実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、上述の実施形態と適宜組み合わせて適用可能である。
【0059】
(3.1)第1変形例
第1変形例の光学システム100Aは、図7Aに示すように、プリズム3が複数(ここでは、3つ)の小プリズム31に分割されている点で、上述の実施形態の光学システム100と相違する。つまり、本変形例では、プリズム3は、互いに間隔を空けるように分割された複数の小プリズム31を有している。図7Aにおいては、Y方向に並ぶ複数のプリズム3のうちの1つのプリズム3のみを図示している。また、図7Aにおいては、1つのプリズム3のうち、1つの光源4及び1つの光制御体2と対応する箇所のみを図示している。
【0060】
複数の小プリズム31は、いずれもZ方向から見て、円弧を描くように並んで配置されている。つまり、本変形例では、プリズム3の少なくとも一部(小プリズム31)は、第1面11及び第2面12が並ぶ方向(Z方向)から見て、入射面10に対して傾斜している。さらに、本変形例では、複数の小プリズム31のうち2以上の小プリズム31は、第1面11及び第2面12が並ぶ方向(Z方向)から見て曲線状に並ぶように配置されている。
【0061】
ところで、光学システムにおいて狭い視野角を実現するためには、第2面12から出射する光の光路は、極力、第2面12に対して垂直であるのが好ましい。ここで、光源4が出射する光は、光制御体2により広がり角を狭められている。しかしながら、図7Aに示すように、XY平面において、入射面10に入射する光の全てが入射面10に対して垂直な光路を辿るわけでなく、一部の光はX方向に広がる光路を辿る。したがって、上述の実施形態のように、プリズム3がX方向に平行な直線状である場合、入射面10に入射した光の一部は、XY平面においてプリズム3の反射面30に対して傾斜して入射することになる。この場合、プリズム3の反射面30にて全反射した光は、第2面12に対して垂直な光路ではなく、第2面12に対して角度を持った光路を辿るため、狭い視野角を実現しにくくなる可能性がある。
【0062】
一方、本変形例では、プリズム3の少なくとも一部は、Z方向から見て入射面10に対して傾斜している。つまり、本変形例では、入射面10に入射した光は、XY平面において小プリズム31の反射面30に対して殆ど垂直に入射することになる。このため、本変形例では、小プリズム31の反射面30にて全反射した光は、第2面12に対して殆ど垂直な光路を辿りやすく、結果として狭い視野角を実現しやすい、という利点がある。
【0063】
なお、本変形例において、複数の小プリズム31は、図7Bに示すように、Z方向から見て、プリズム3を挟んで光制御体2側と反対側に曲線状の並びに近似する円弧の中心が位置するように配置されてもよい。
【0064】
また、本変形例において、複数の小プリズム31は、図7Cに示すように、Z方向から見て曲線状に並ばないように配置されてもよい。この態様では、複数の小プリズム31を形成する加工に要する時間を短くすることができる、という利点がある。また、この態様では、複数の小プリズム31がランダムに配置されるので、第2面12から出射される光のむらを抑制しやすい、という利点がある。
【0065】
(3.2)第2変形例
第2変形例の光学システム100Bは、図8A及び図8Bに示すように、導光板1の第1面11と第2面12とが互いに傾斜しておらず、いずれも入射面10と直交する面である点で、上述の実施形態の光学システム100と相違する。また、本変形例の光学システム100Bは、入射面10に対して光源4及び光制御体2が傾斜するように配置されている点で、上述の実施形態の光学システム100と相違する。
【0066】
つまり、本変形例の光学システム100Bは、光源4及び光制御体2を入射面10に対して傾斜させることで、入射面10に入射する光の大部分が第1面11に向かうように設計されている。このため、本変形例では、上述の実施形態と同様に、入射面10に入射する光の大部分がダイレクト光路L1を辿ることになるので、導光板1に傾斜面を設ける加工を施すことなく、光の取り出し効率の向上を図ることができる。したがって、本変形例では、上述の実施形態と比較して、導光板1の設計が容易である、という利点がある。
【0067】
なお、図8Bでは、導光板1はダイレクト光路L1のみを含んでいるが、インダイレクト光路L2を含んでいてもよい。
【0068】
(3.3)第3変形例
第3変形例の光学システム100Cは、導光板1の第1面11と第2面12とが互いに傾斜しておらず、いずれも入射面10と直交する面である点で、上述の実施形態の光学システム100と相違する。また、本変形例の光学システム100Cは、図9に示すように、複数のプリズム3(ここでは、3つのプリズム3A,3B,3C)の各々の深さd1,d2,d3を互いに異ならせている点で、上述の実施形態の光学システム100と相違する。3つのプリズム3A,3B,3Cの深さd1,d2,d3は、入射面10に入射した光の進行方向(図9における右方)に向かうにつれて深くなっている。
【0069】
つまり、本変形例の光学システム100Cは、複数のプリズム3の深さを互いに異ならせることで、入射面10に入射する光の大部分が複数のプリズム3のうちのいずれかのプリズム3にて全反射するように設計されている。このため、本変形例では、上述の実施形態と同様に、入射面10に入射する光の大部分がダイレクト光路L1を辿ることになるので、導光板1に傾斜面を設ける加工を施すことなく、光の取り出し効率の向上を図ることができる。したがって、本変形例では、上述の実施形態と比較して、導光板1の設計が容易である、という利点がある。
【0070】
なお、図9では、導光板1はダイレクト光路L1のみを含んでいるが、インダイレクト光路L2を含んでいてもよい。
【0071】
(3.4)その他の変形例
上述の実施形態において、第1面11が入射面10と直交する面であり、第2面12が入射面10と直交せずにXY平面に対して傾斜した面であってもよい。また、上述の実施形態において、第1面11及び第2面12のいずれもが、入射面10と直交せずにXY平面に対して傾斜した面であってもよい。
【0072】
上述の実施形態において、第1面11には、複数のプリズム3ではなく、1つのプリズム3のみが設けられていてもよい。この場合、プリズム3は、第1面11の全面にわたって形成され、かつ、互いに傾斜角度が異なる複数の反射面30を有していてもよい。
【0073】
上述の実施形態において、プリズム3は、導光板1の第1面11を構成する端部を加工することにより形成されているが、この態様に限られない。例えば、プリズム3が形成されたプリズムシートを第1面11に貼り付けることにより、プリズム3を第1面11に設けてもよい。この場合、プリズムシートには、1つのプリズム3が形成されていてもよいし、複数のプリズム3が形成されていてもよい。
【0074】
第1変形例に限らず、上述の実施形態、第2変形例、及び第3変形例においても、プリズム3は、X方向において互いに間隔を空けるように分割されていてもよい。また、第1変形例において、プリズム3は複数の小プリズム31に分割されずに、つながっていてもよい。
【0075】
(まとめ)
以上述べたように、第1の態様に係る光学システム(100,100A~100C)は、導光板(1)と、光制御体(2)と、プリズム(3)と、を備える。導光板(1)は、光が入射する入射面(10)、及び互いに対向する第1面(11)及び第2面(12)を有し、第2面(12)が光の出射面である。光制御体(2)は、入射面(10)に向かう光を集光し、集光した光を入射面(10)に出射する。プリズム(3)は、第1面(11)に設けられて、導光板(1)の内部を通る光を第2面(12)に向けて反射する。導光板(1)は、入射面(10)から入射した光をプリズム(3)にて直接反射して第2面(12)から出射させるダイレクト光路(L1)を含む。
【0076】
この態様によれば、光の取り出し効率の向上を図ることができる、という利点がある。
【0077】
第2の態様に係る光学システム(100,100A~100C)では、第1の態様において、ダイレクト光路(L1)は、プリズム(3)にて全反射する光の光路を含む。
【0078】
この態様によれば、プリズム(3)にて全反射しない場合と比較して、光の取り出し効率が向上しやすい、という利点がある。
【0079】
第3の態様に係る光学システム(100,100A~100C)では、第1又は第2の態様において、光制御体(2)は、導光板(1)と一体である。
【0080】
この態様によれば、光制御体(2)が導光板(1)と別体である場合と比較して、入射面(10)に入射する光を制御しやすい、という利点がある。
【0081】
第4の態様に係る光学システム(100,100A)では、第1~第3のいずれかの態様において、第1面(11)と第2面(12)とは、互いに傾斜している。
【0082】
この態様によれば、第1面(11)と第2面(12)とが互いに平行な場合と比較して、光の取り出し効率が向上しやすい、という利点がある。
【0083】
第5の態様に係る光学システム(100,100A~100C)では、第1~第4のいずれかの態様において、導光板(1)は、インダイレクト光路(L2)を更に含む。インダイレクト光路(L2)は、入射面(10)から入射した光を第2面(12)にて反射させた後に、プリズム(3)にて反射させて第2面(12)から出射させる光路である。
【0084】
この態様によれば、第2面(12)から出射する光の向きを制御しやすい、という利点がある。
【0085】
第6の態様に係る光学システム(100,100A~100C)では、第1~第5のいずれかの態様において、プリズム(3)は、入射面(10)に光が入射する方向において複数並ぶように設けられている。
【0086】
この態様によれば、光の取り出し効率の向上を図ることができる、という利点がある。
【0087】
第7の態様に係る光学システム(100A)では、第1~第6のいずれかの態様において、プリズム(3)の少なくとも一部は、第1面(11)及び第2面(12)が並ぶ方向から見て、入射面(10)に対して傾斜している。
【0088】
この態様によれば、第2面(12)から出射する光の向きを制御しやすい、という利点がある。
【0089】
第8の態様に係る光学システム(100,100A~100C)では、第1~第7のいずれかの態様において、プリズム(3)は、互いに間隔を空けるように分割された複数の小プリズム(31)を有している。
【0090】
この態様によれば、プリズム(3)が分割されていない場合と比較して、プリズム(3)を第1面(11)に形成しやすい、という利点がある。
【0091】
第9の態様に係る光学システム(100A)では、第8の態様において、複数の小プリズム(31)のうち2以上の小プリズム(31)は、第1面(11)及び第2面(12)が並ぶ方向から見て曲線状に並ぶように配置されている。
【0092】
この態様によれば、第2面(12)から出射する光の向きを制御しやすい、という利点がある。
【0093】
第10の態様に係る照明システム(200)は、第1~第9のいずれかの態様の光学システム(100,100A~100C)と、光源(4)と、を備える。光源(4)は、光制御体(2)を通して入射面(10)に光を出射する。
【0094】
この態様によれば、光の取り出し効率の向上を図ることができる、という利点がある。
【0095】
第11の態様に係る表示システム(300)は、第10の態様に係る照明システム(200)と、表示器(5)と、を備える。表示器(5)は、照明システム(200)から出射される光を受けて画像を表示する。
【0096】
この態様によれば、光の取り出し効率の向上を図ることができる、という利点がある。
【0097】
第12の態様に係る移動体(B1)は、第11の態様に係る表示システム(300)と、表示システム(300)を搭載する移動体本体(B11)と、を備える。
【0098】
この態様によれば、光の取り出し効率の向上を図ることができる、という利点がある。
【0099】
第2~第9の態様に係る構成については、光学システム(100)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0100】
1 導光板
10 入射面
11 第1面
12 第2面
2 光制御体
3 プリズム
31 小プリズム
4 光源
5 表示器
100,100A~100C 光学システム
200 照明システム
300 表示システム
B1 自動車(移動体)
B11 移動体本体
L1 ダイレクト光路
L2 インダイレクト光路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9