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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023168337
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】剥離装置
(51)【国際特許分類】
   H02G 1/12 20060101AFI20231116BHJP
   H01F 41/077 20160101ALI20231116BHJP
【FI】
H02G1/12 060
H01F41/077
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023141393
(22)【出願日】2023-08-31
(62)【分割の表示】P 2020165611の分割
【原出願日】2020-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】599132661
【氏名又は名称】ティーエス プレシジョン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】山根 直之
(72)【発明者】
【氏名】岩永 渡
(57)【要約】
【課題】角線の剥離部の境界のばりや剥がれを抑制する剥離装置を提供する。
【解決手段】剥離装置は、断面四角形状の角線10の側面のうち平行に位置する第1側面と第2側面とに直交する第1方向からそれぞれ押し付けられる一対の第1ノッチ部材33であって、第1側面の絶縁被膜と第2側面の絶縁被膜とに切り込みを入れたまま角線10を保持する一対の第1ノッチ部材33と、角線10の第1側面及び第2側面と平行な第2方向に移動される第1剥離パンチ37であって、角線10の第1側面の絶縁被膜と第2側面の絶縁被膜とを剥離する第1剥離パンチ37とを有する横剥離治具3を備える。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面四角形状の角線の側面のうち平行に位置する第1側面と第2側面とに直交する第1方向からそれぞれ押し付けられる一対のノッチ部材であって、前記第1側面の絶縁被膜と前記第2側面の絶縁被膜とに切り込みを入れたまま前記角線を保持する前記一対のノッチ部材と、
前記角線の前記第1側面及び前記第2側面と平行な第2方向に移動される剥離部材であって、前記角線の前記第1側面の絶縁被膜と前記第2側面の絶縁被膜とを剥離する前記剥離部材と、を有する剥離治具を備える
剥離装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、剥離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、モータ等の回転電機のコイルには、断面が四角形状の角線が用いられている。このような角線においては、導線にエナメルやポリイミド等の樹脂からなる絶縁被膜が施されているため、角線を電気接続するときには絶縁被膜を剥離する必要がある。
【0003】
特許文献1に記載の剥離装置では、上側分離パンチ及び下側分離パンチにより角線の上面及び下面に筋付け線を切り込んだ後、縦剥離カッタにより角線の2側面を剥離し、さらにその後、横剥離カッタにより角線の上面及び下面を筋付け線に沿って剥離する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5428945号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1に記載の剥離装置では、角線の側面に筋付け線を切り込まずに縦剥離カッタにより角線の側面が剥離される。このため、角線の絶縁被膜が剥離された剥離部との境界にばりや剥がれが発生するおそれがある。よって、角線の剥離部の境界のばりや剥がれを抑制することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する剥離装置は、断面四角形状の角線の側面のうち平行に位置する第1側面と第2側面とに直交する第1方向からそれぞれ押し付けられる一対のノッチ部材であって、前記第1側面の絶縁被膜と前記第2側面の絶縁被膜とに切り込みを入れたまま前記角線を保持する前記一対のノッチ部材と、前記角線の前記第1側面及び前記第2側面と平行な第2方向に移動される剥離部材であって、前記角線の前記第1側面の絶縁被膜と前記第2側面の絶縁被膜とを剥離する前記剥離部材と、を有する剥離治具を備える。
【0007】
上記構成によれば、ノッチ部材が角線を保持した状態で剥離部材が角線の第1側面の絶縁被膜と第2側面の絶縁被膜とを剥離するため、角線が位置ずれせず、所望の位置の絶縁被膜を剥離することができる。また、ノッチ部材が切り込みを入れた角線の第1側面の絶縁被膜と第2側面の絶縁被膜とを剥離部材が剥離するため、ノッチ部材の切り込みに沿って角線の絶縁被膜が剥離された剥離部の境界を形成することができる。よって、角線の剥離部の境界のばりや剥がれを抑制することができる。
【0008】
上記剥離装置について、前記第1方向に移動する駆動部材を備え、前記駆動部材は、前記一対のノッチ部材を前記第1方向に駆動しつつ、前記剥離部材を前記第2方向に駆動することが好ましい。
【0009】
上記剥離装置について、前記駆動部材の前記第1方向の駆動を前記第2方向の駆動に変換する第1変換部と、前記第1変換部で変換された前記第2方向の駆動を前記第1方向の駆動に変換する第2変換部と、を備えることが好ましい。
【0010】
上記剥離装置について、前記駆動部材が駆動すると、前記第1変換部及び前記第2変換部によって前記ノッチ部材が前記角線を保持した後に、前記第1変換部によって前記剥離部材が前記角線の前記第1側面の絶縁被膜と前記第2側面の絶縁被膜とを剥離することが好ましい。
【0011】
上記剥離装置について、前記ノッチ部材を第1ノッチ部材とし、前記剥離部材を第1剥離部材とし、前記剥離治具を第1剥離治具とし、前記角線の前記第1側面及び前記第2側面と異なる平行に位置する第3側面と第4側面に前記第2方向からそれぞれ押し付けられる一対の第2ノッチ部材であって、前記第3側面の絶縁被膜と前記第4側面の絶縁被膜とに切り込みを入れたまま前記角線を保持する前記一対の第2ノッチ部材と、前記第1方向に移動される第2剥離部材であって、前記角線の前記第3側面の絶縁被膜と前記第4側面の絶縁被膜とを剥離する第2剥離部材と、を有する第2剥離治具を備えることが好ましい。
【0012】
上記剥離装置について、前記第1剥離治具を駆動する駆動部材を第1駆動部材とし、前記第1方向に移動する第2駆動部材を備え、前記第2駆動部材は、前記一対の第2ノッチ部材を前記第2方向に駆動しつつ、前記第2剥離部材を前記第1方向に駆動することが好ましい。
【0013】
上記剥離装置について、前記第2駆動部材の前記第1方向の駆動を前記第2方向の駆動に変換する第3変換部を備えることが好ましい。
上記剥離装置について、前記第2駆動部材が駆動すると、前記第3変換部によって前記第2ノッチ部材が前記角線を保持した後に、前記第2剥離部材が前記角線の前記第3側面の絶縁被膜と前記第4側面の絶縁被膜とを剥離することが好ましい。
【0014】
上記剥離装置について、前記第1剥離治具を通過した前記角線が前記第2剥離治具を通過するように、前記第1剥離治具及び第2剥離治具が配置されていることが好ましい。
上記剥離方法について、前記第1剥離治具と前記第2剥離治具とは、前記第1剥離治具が前記角線の絶縁被膜を剥離する位置と前記第2剥離治具が前記角線の絶縁被膜を剥離する位置との間隔が前記角線の絶縁被膜が剥離される剥離位置の隣同士の距離の倍数となるように配置され、前記第1剥離治具を駆動する第1駆動部材と前記第2剥離治具を駆動する第2駆動部材とを同じタイミングで駆動する制御部を備えることが好ましい。
【0015】
上記課題を解決する剥離方法は、断面四角形状の角線の側面のうち平行に位置する第1側面と第2側面とに直交する第1方向からそれぞれ押し付けられる一対のノッチ部材であって、前記第1側面の絶縁被膜と前記第2側面の絶縁被膜とに切り込みを入れたまま前記角線を保持する前記一対のノッチ部材と、前記角線の第1側面及び第2側面と平行な第2方向に移動される剥離部材であって、前記角線の前記第1側面の絶縁被膜と前記第2側面の絶縁被膜とを剥離する前記剥離部材とを用いて、前記ノッチ部材により前記角線を保持する保持工程と、前記ノッチ部材により前記角線の前記第1側面の絶縁被膜と前記第2側面の絶縁被膜とに切り込みを入れるノッチ工程と、前記ノッチ部材により前記角線を保持したまま、前記剥離部材により前記角線の前記第1側面の絶縁被膜と前記第2側面の絶縁被膜とを剥離する剥離工程とを行う。
【0016】
上記方法によれば、ノッチ部材が角線を保持した状態で剥離部材が角線の第1側面の絶縁被膜と第2側面の絶縁被膜とを剥離するため、角線が位置ずれせず、所望の位置の絶縁被膜を剥離することができる。また、ノッチ部材が切り込みを入れた角線の第1側面の絶縁被膜と第2側面の絶縁被膜とを剥離部材が剥離するため、ノッチ部材の切り込みに沿って角線の絶縁被膜が剥離された剥離部の境界を形成することができる。よって、角線の剥離部の境界のばりや剥がれを抑制することができる。
【0017】
上記剥離方法について、前記ノッチ部材を第1ノッチ部材とし、前記剥離部材を第1剥離部材とし、前記ノッチ工程を第1ノッチ工程とし、前記保持工程を第1保持工程とし、前記剥離工程を第1剥離工程とし、前記角線の前記第1側面及び前記第2側面と異なる平行に位置する第3側面と第4側面に前記第2方向からそれぞれ押し付けられる一対の第2ノッチ部材であって、前記第3側面の絶縁被膜と前記第4側面の絶縁被膜とに切り込みを入れたまま前記角線を保持する前記一対の第2ノッチ部材と、前記第1方向に移動される第2剥離部材であって、前記角線の前記第3側面の絶縁被膜と前記第4側面の絶縁被膜とを剥離する第2剥離部材とを用いて、前記第2ノッチ部材により前記角線を保持する第2保持工程と、前記第2ノッチ部材により前記角線の前記第3側面の絶縁被膜と前記第4側面の絶縁被膜とに切り込みを入れる第2ノッチ工程と、前記第2ノッチ部材により前記角線を保持したまま、前記第2剥離部材により前記角線の前記第3側面の絶縁被膜と前記第4側面の絶縁被膜とを剥離する第2剥離工程とを行うことが好ましい。
【0018】
上記課題を解決する剥離プログラムは、断面四角形状の角線の側面のうち平行に位置する第1側面と第2側面とに直交する第1方向からそれぞれ押し付けられる一対のノッチ部材であって、前記第1側面の絶縁被膜と前記第2側面の絶縁被膜とに切り込みを入れたまま前記角線を保持する前記一対のノッチ部材と、前記角線の第1側面及び第2側面と平行な第2方向に移動される剥離部材であって、前記角線の前記第1側面の絶縁被膜と前記第2側面の絶縁被膜とを剥離する前記剥離部材とを用いて、コンピュータに、前記ノッチ部材により前記角線を保持する保持工程と、前記ノッチ部材により前記角線の前記第1側面の絶縁被膜と前記第2側面の絶縁被膜とに切り込みを入れるノッチ工程と、前記ノッチ部材により前記角線を保持したまま、前記剥離部材により前記角線の前記第1側面の絶縁被膜と前記第2側面の絶縁被膜とを剥離する剥離工程とを実行させる。
【0019】
上記プログラムによれば、ノッチ部材が角線を保持した状態で剥離部材が角線の第1側面の絶縁被膜と第2側面の絶縁被膜とを剥離するため、角線が位置ずれせず、所望の位置の絶縁被膜を剥離することができる。また、ノッチ部材が切り込みを入れた角線の第1側面の絶縁被膜と第2側面の絶縁被膜とを剥離部材が剥離するため、ノッチ部材の切り込みに沿って角線の絶縁被膜が剥離された剥離部の境界を形成することができる。よって、角線の剥離部の境界のばりや剥がれを抑制することができる。
【0020】
上記剥離プログラムについて、前記ノッチ部材を第1ノッチ部材とし、前記剥離部材を第1剥離部材とし、前記ノッチ工程を第1ノッチ工程とし、前記保持工程を第1保持工程とし、前記剥離工程を第1剥離工程とし、前記角線の前記第1側面及び前記第2側面と異なる平行に位置する第3側面と第4側面に前記第2方向からそれぞれ押し付けられる一対の第2ノッチ部材であって、前記第3側面の絶縁被膜と前記第4側面の絶縁被膜とに切り込みを入れたまま前記角線を保持する前記一対の第2ノッチ部材と、前記第1方向に移動される第2剥離部材であって、前記角線の前記第3側面の絶縁被膜と前記第4側面の絶縁被膜とを剥離する第2剥離部材とを用いて、コンピュータに、前記第2ノッチ部材により前記角線を保持する第2保持工程と、前記第2ノッチ部材により前記角線の前記第3側面の絶縁被膜と前記第4側面の絶縁被膜とに切り込みを入れる第2ノッチ工程と、前記第2ノッチ部材により前記角線を保持したまま、前記第2剥離部材により前記角線の前記第3側面の絶縁被膜と前記第4側面の絶縁被膜とを剥離する第2剥離工程とを実行させることが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、角線の剥離部と絶縁被覆との境界のばりや剥がれを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】剥離装置の全体構成を示す正面図。
図2】角線の拡大断面図。
図3】剥離装置の電気的構成を示すブロック図。
図4】剥離装置の全体構成を示す左側面図。
図5】剥離装置の全体構成を示す右側面図。
図6】剥離装置の全体構成を示す斜視図。
図7】剥離装置による横剥離のクランプ動作を示す正面図であって、(a)はクランプしていない状態、(b)はクランプしている状態である。
図8】剥離装置による横剥離のクランプ動作を示す側面図であって、(a)はクランプしていない状態、(b)はクランプしている状態である。
図9】剥離装置による横剥離のノッチ動作を示す側面図であって、(a)はノッチしていない状態、(b)はノッチしている状態である。
図10】剥離装置による横剥離のノッチ動作を示す拡大側面図であって、(a)はノッチしていない状態、(b)はノッチしている状態である。
図11】剥離装置による横剥離のノッチ動作を示す正面図であって、(a)はノッチしていない状態、(b)はノッチしている状態である。
図12】剥離装置による横剥離の剥離動作を示す側面図であって、(a)は剥離していない状態、(b)は剥離している状態である。
図13】剥離装置による横剥離の剥離動作を示す正面図であって、(a)は剥離していない状態、(b)は剥離している状態である。
図14】剥離装置による横剥離のノッチ動作を示す正面図。
図15】剥離装置による横剥離の剥離動作を示す側面図。
図16】剥離装置による縦剥離のクランプ動作を示す正面図であって、(a)はクランプしていない状態、(b)はクランプしている状態である。
図17】剥離装置による縦剥離のクランプ動作を示す側面図であって、(a)はクランプしていない状態、(b)はクランプしている状態である。
図18】剥離装置による縦剥離のノッチ動作を示す正面図であって、(a)はノッチしていない状態、(b)はノッチしている状態である。
図19】剥離装置による縦剥離のノッチ動作を示す側面図であって、(a)はノッチしていない状態、(b)はノッチしている状態である。
図20】剥離装置による縦剥離の剥離動作を示す正面図であって、(a)は剥離していない状態、(b)は剥離している状態である。
図21】剥離装置による縦剥離の剥離動作を示す側面図であって、(a)は剥離していない状態、(b)は剥離している状態である。
図22】剥離装置による剥離処理におけるタイミングチャート。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図1図22を参照して、剥離装置及び剥離方法の一実施形態について説明する。
図1に示すように、剥離装置1は、角線10の絶縁被膜を剥離する装置である。角線10は、モータ等の回転電機のコイルに用いられる断面が四角形状の導線である。剥離装置1は、工作機械2に横剥離治具3及び縦剥離治具4が装着された装置である。工作機械2は、数値制御(NC:Numerical Control)によって動作するNC工作機械である。工作機械2は、剥離プログラムによって実行される。横剥離治具3及び縦剥離治具4は、工作機械2によって駆動されて、角線10の絶縁被膜を剥離する加工を行う。工作機械2は、角線10を送り出す送り出し装置27を備えている。送り出し装置27は、角線10の延出方向へ角線10を任意の位置に送り出すことで、角線10の絶縁被膜の剥離位置を設定することが可能である。送り出し装置27は、横剥離治具3で絶縁被膜を剥離する位置と縦剥離治具4で絶縁被膜を剥離する位置とを合わせることができ、角線10の絶縁被膜を剥離する間隔を設定することができる。送り出し装置27は、角線10にローラを押し付けてロータを回転することで送り出す機構や、角線10を挟んで送り出す機構等がある。送り出し装置27は、剥離装置1の後段にあり、横剥離治具3及び縦剥離治具4から角線10を引き出している。なお、送り出し装置27は、剥離装置1の前段にあってもよい。
【0024】
図2に示すように、角線10の断面形状は、長方形である。図2中の角線10の左右に延びる辺の長さは、図2中の上下に延びる辺の長さよりも短い。つまり、角線10の左右、言い換えれば横に延びる辺が短辺であって、角線10の上下、言い換えれば縦に延びる辺が長辺である。角線10の短辺の面が第1側面11及び第2側面12である。第1側面11及び第2側面12は、平行に位置する。角線10の長辺の面が第3側面13及び第4側面14である。第3側面13及び第4側面14は、平行に位置する。角線10の表面は、絶縁被膜15で覆われている。絶縁被膜15は、エナメルやポリイミド等の樹脂である。角線10をコイルに用いる場合には、所定間隔で通電させる必要があり、角線10の絶縁被膜15を剥離して通電箇所を確保する。
【0025】
図3に示すように、工作機械2は、横剥離治具3を駆動する第1駆動部材21と、縦剥離治具4を駆動する第2駆動部材22及び第3駆動部材23とを備えている。第1駆動部材21は、第1駆動部24によって駆動される。第1駆動部24は、電動モータを駆動源として回転運動を直線運動に変換して出力する。第2駆動部材22は、第2駆動部25によって駆動される。第2駆動部25は、電動モータを駆動源として回転運動を直線運動に変換して出力する。第3駆動部材23は、第3駆動部26によって駆動される。第3駆動部26は、電動モータを駆動源として回転運動を直線運動に変換して出力する。工作機械2は、第1駆動部24、第2駆動部25、第3駆動部26、及び送り出し装置27を制御する制御部28を備えている。制御部28は、第1駆動部材21と第2駆動部材22及び第3駆動部材23とが同じタイミングで駆動するように第1駆動部24、第2駆動部25、及び第3駆動部26を制御する。
【0026】
図1図4、及び図5に示すように、横剥離治具3は、工作機械2のベース20に設置され、工作機械2の左寄りに位置している。縦剥離治具4は、工作機械2のベース20に設置され、工作機械2の右寄りに位置している。横剥離治具3と縦剥離治具4とは、並んで設置されている。すなわち、横剥離治具3を通過した角線10が縦剥離治具4を通過するように、横剥離治具3及び縦剥離治具4が配置されている。角線10は、工作機械2の左側から横剥離治具3に挿通されて、続いて縦剥離治具4に挿通されて、工作機械2の右側から出てくる。横剥離治具3と縦剥離治具4とは、横剥離治具3が角線10の絶縁被膜15を剥離する位置と縦剥離治具4が角線10の絶縁被膜15を剥離する位置との間隔が角線10の絶縁被膜15が剥離される剥離位置の隣同士の距離の倍数となるように配置されている。
【0027】
第1駆動部材21は、図中の上下方向、言い換えれば縦方向に移動する。第2駆動部材22は、図中の上下方向、言い換えれば縦方向に移動する。ここで、第1側面11及び第2側面12と直交する縦方向が第1方向に相当し、第1側面11及び前記第2側面と平行な横方向が第2方向に相当する。
【0028】
図6に示すように、横剥離治具3は、角線10の第1側面11及び第2側面12の絶縁被膜15を剥離する治具である。縦剥離治具4は、角線10の第3側面13及び第4側面14の絶縁被膜15を剥離する治具である。つまり、横剥離治具3及び縦剥離治具4によって角線10の4面の絶縁被膜15が剥離される。なお、横剥離治具3が第1剥離治具に相当し、縦剥離治具4が第2剥離治具に相当する。
【0029】
<横剥離治具3>
図7及び図8に示すように、横剥離治具3は、角線10の第1側面11をクランプする第1クランプパンチ32を備えている。第1クランプパンチ32は、第1連結部材31を介して第1駆動部材21と接続され、第1方向へ移動可能に第1治具本体30に収容されている。第1クランプパンチ32は、第1連結部材31に対して2つ取り付けられている。一対の第1クランプパンチ32は、角線10の剥離部10Aよりも外側の位置に設けられている。剥離部10Aは、角線10において絶縁被膜15が剥離される部分である。第1クランプパンチ32の先端には、押さえ部32Aが設けられている。第1連結部材31と第1クランプパンチ32との間には、第1ばね31Aが設けられている。第1ばね31Aは、第1クランプパンチ32の押さえ部32Aが角線10に接触した後の第1連結部材31の移動を吸収する。
【0030】
図7(a)及び図8(a)に示すように、一対の第1クランプパンチ32が第1駆動部材21に駆動されていないときには、第1クランプパンチ32の押さえ部32Aが角線10から離れている。一方、図7(b)及び図8(b)に示すように、一対の第1クランプパンチ32が第1駆動部材21に駆動されると、第1駆動部材21と第1連結部材31と第1ばね31Aを介して第1クランプパンチ32が駆動されて角線10に接触して角線10の第1側面11を押さえつける(第1クランプ工程)。そして、第1クランプパンチ32が下方向に移動することができなくなると、第1ばね31Aが第1連結部材31の移動を吸収する。
【0031】
図9図11に示すように、横剥離治具3は、角線10の第1側面11及び第2側面12に対して第1方向においてそれぞれ押し付けられる一対の第1ノッチパンチ33を備えている。第1ノッチパンチ33の刃先は、角線10の第1側面11の剥離部10Aの左右の境界にそれぞれ配置されるとともに、角線10の第2側面12の剥離部10Aの左右の境界にそれぞれ配置されている(図11参照)。第1ノッチパンチ33は、第1方向へ移動可能に第1治具本体30に収容されている。一対の第1ノッチパンチ33は、角線10の第1側面11の絶縁被膜15と第2側面12の絶縁被膜15とに切り込みを入れたまま角線10を保持する(第1保持工程)。なお、第1ノッチパンチ33が第1ノッチ部材に相当する。
【0032】
図9に示すように、横剥離治具3は、第1駆動部材21の第1方向の駆動を第2方向の駆動に変換するクサビ34及びスライダー35を備えている。クサビ34は、第1連結部材31に接続され、第1方向へ移動可能に第1治具本体30に収容されている。クサビ34には、第1傾斜面34Aと第2傾斜面34Bとを有する突部が設けられている。第1傾斜面34Aと第2傾斜面34Bとは平行である。スライダー35は、クサビ34の第1傾斜面34Aと接触する第3傾斜面35Aと、クサビ34の第2傾斜面34Bと接触する第4傾斜面35Bとを有する溝が設けられている。スライダー35は、第2方向へ移動可能に第1治具本体30に収容されている。
【0033】
図9(a)及び図11(a)に示すように、クサビ34が第1方向の下方向へ移動すると、第1傾斜面34Aとスライダー35の第3傾斜面35Aとが接触することでスライダー35が第2方向の角線10寄りに移動する。一方、図9(b)及び図11(b)に示すように、クサビ34が第1方向の上方向へ移動すると、第2傾斜面34Bとスライダー35の第4傾斜面35Bとが接触することでスライダー35が第2方向の角線10から離れる方向へ移動する。なお、クサビ34とスライダー35とが第1変換部として機能する。
【0034】
図9及び図10に示すように、横剥離治具3は、スライダー35で変換された第2方向の駆動を第1方向の駆動に変換する第1カムドライバ36を備えている。第1カムドライバ36は、スライダー35の先端に接続され、第2方向へ移動可能に第1治具本体30に収容されている。第1カムドライバ36は、第1方向の上下に位置する一対の挿通部36Aを備えている。上側の挿通部36Aは、上側の一対の第1ノッチパンチ33の間を挿通している。下側の挿通部36Aは、下側の一対の第1ノッチパンチ33の間を挿通している。第1ノッチパンチ33には、挿通部36Aと接触する接触溝33Aが設けられている。挿通部36Aには、第1ノッチパンチ33の接触溝33Aと接触して第1ノッチパンチ33を角線10寄りに移動させる第1段差部36Bが設けられている。第1段差部36Bは、傾斜面で接続されて高くなっている部分である。また、挿通部36Aには、第1ノッチパンチ33の接触溝33Aと接触して第1ノッチパンチ33を角線10から離れるように移動させる第2段差部36Cが設けられている。第2段差部36Cは、傾斜面で接続されて高くなっている部分である。なお、第1カムドライバ36が第2変換部として機能する。
【0035】
図9(a)及び図10(a)に示すように、スライダー35が第2方向の角線10寄りに移動すると、第1カムドライバ36の挿通部36Aの第1段差部36Bが第1ノッチパンチ33の接触溝33Aと接触して第1ノッチパンチ33を角線10寄りに移動させて押し付ける。上側の第1ノッチパンチ33が第1方向の下方向へ移動されるとともに、下側の第1ノッチパンチ33が第1方向の上方向へ移動される。よって、第1ノッチパンチ33によって角線10の第1側面11の絶縁被膜15と第2側面12の絶縁被膜15とに切り込みが入れられる(第1ノッチ工程)。一方、図9(b)及び図10(b)に示すように、スライダー35が第2方向の角線10から離れる方向へ移動すると、第1カムドライバ36の挿通部36Aの第2段差部36Cが第1ノッチパンチ33の接触溝33Aと接触して第1ノッチパンチ33を角線10から離れる方向に移動させることで押し付けが解除される。上側の第1ノッチパンチ33が第1方向の上方向へ移動されるとともに、下側の第1ノッチパンチ33が第1方向の下方向へ移動される。
【0036】
図12及び図13に示すように、横剥離治具3は、第2方向に移動される第1剥離パンチ37を備えている。第1剥離パンチ37は、角線10の第1側面11の絶縁被膜15と第2側面12の絶縁被膜15とを剥離する。第1剥離パンチ37は、スライダー35の先端に接続され、第2方向へ移動可能に第1治具本体30に収容されている。第1剥離パンチ37は、角線10の第1側面11及び第2側面12を切り落とす刃が設けられた溝37Aを有している。なお、第1剥離パンチ37が第1剥離部材に相当する。
【0037】
図12に示すように、横剥離治具3は、第2方向において角線10をクランプするストリッパープレート38を備えている。ストリッパープレート38は、第1剥離パンチ37に接続され、第2方向において移動可能に第1治具本体30に収容されている。ストリッパープレート38は、図示しないばねによって必要以上の移動が吸収される。
【0038】
図12(a)及び図13(a)に示すように、スライダー35が第2方向の角線10寄りへ移動すると、第1剥離パンチ37及びストリッパープレート38を第2方向の角線10寄りへ移動させる。そして、ストリッパープレート38が角線10の第3側面13をクランプして、第1剥離パンチ37の溝37Aが角線10の第1側面11の絶縁被膜15と第2側面12の絶縁被膜15とに接触することで角線10の第1側面11の絶縁被膜15及び第2側面12の絶縁被膜15が剥離される(第1剥離工程)。一方、図12(b)及び図13(b)に示すように、スライダー35が第2方向の角線10から離れる方向へ移動すると、第1剥離パンチ37が角線10から離れるとともに、ストリッパープレート38も角線10から離れる。
【0039】
図14及び図15に示すように、横剥離治具3は、一対の第1ノッチパンチ33及び第1剥離パンチ37によって角線10の絶縁被膜15を剥離する。すなわち、一対の第1ノッチパンチ33は、角線10の第1側面11と第2側面12とにそれぞれ向かって駆動される。一対の第1ノッチパンチ33は、角線10の第1側面11の絶縁被膜15と第2側面12の絶縁被膜15とにそれぞれ切り込みを入れたまま角線10を保持する。そして、第1剥離パンチ37は、角線10の第3側面13に向かって駆動される。第1剥離パンチ37は、角線10の第1側面11の絶縁被膜15と第2側面12の絶縁被膜15とを剥離する。
【0040】
<縦剥離治具4>
図16及び図17に示すように、縦剥離治具4は、角線10の第3側面13をクランプする第2クランプパンチ42を備えている。第2クランプパンチ42は、第2連結部材41を介して第2駆動部材22と接続され、第2方向へ移動可能に第2治具本体40に収容されている。第2クランプパンチ42は、第2連結部材41に対して2つ取り付けられている。一対の第2クランプパンチ42は、角線10の剥離される剥離部10Aよりも外側の位置に設けられている。第2クランプパンチ42には、V溝42Bが設けられている。V溝42Bは、角線10の第2方向の中心位置を位置決めする。第2連結部材41と第2クランプパンチ42との間には、第2ばね42Aが設けられている。第2ばね42Aは、第2クランプパンチ42のV溝42Bが角線10に接触した後の第2連結部材41の移動を吸収する。縦剥離治具4は、角線10の第4側面14を支持する支持部材45を備えている。支持部材45は、第3連結部材49を介して第3駆動部材23に接続され、第1方向へ移動可能に第1治具本体30に収容されている。第3駆動部材23は、支持部材45が角線10を支持するのに必要なだけ移動する。つまり、第2駆動部材22の駆動によって、角線10の第3側面13及び第4側面14の剥離動作を行う。
【0041】
図16(a)及び図17(a)に示すように、一対の第2クランプパンチ42が第2駆動部材22に駆動されていないときには、第2クランプパンチ42のV溝42Bが角線10から離れている。支持部材45が第3駆動部材23に駆動されていないときには、支持部材45が角線10から離れている。一方、図16(b)及び図17(b)に示すように、一対の第2クランプパンチ42が第2駆動部材22に駆動されると、第2駆動部材22と第2連結部材41と第2ばね42Aを介して第2クランプパンチ42が駆動されて角線10に接触して角線10の第1側面11を押さえ付ける。そして、第2クランプパンチ42が下方向に移動することができなくなると、第2ばね42Aが第2連結部材41の移動を吸収する。支持部材45が第3駆動部材23に駆動されると、第3連結部材49を介して支持部材45が角線10の第4側面14を支持する。
【0042】
図18及び図19に示すように、縦剥離治具4は、角線10の第3側面13及び第4側面14に対して第2方向にそれぞれ押し付けられる一対の第2ノッチパンチ43を備えている。第2ノッチパンチ43は、角線10の第3側面13の剥離部10Aの左右の境界にそれぞれ配置されるとともに、角線10の第3側面13の剥離部10Aの左右の境界にそれぞれ配置されている。第2ノッチパンチ43は、第2方向へ移動可能に第1治具本体30に収容されている。一対の第2ノッチパンチ43は、角線10の第3側面13の絶縁被膜15と第4側面14の絶縁被膜15とに切り込みを入れたまま角線10を保持する(第2保持工程)。なお、第2ノッチパンチ43が第2ノッチ部材に相当する。
【0043】
縦剥離治具4は、第2駆動部材22の第1方向の駆動を第2方向の駆動に変換する第2カムドライバ46を備えている。第2カムドライバ46は、第2連結部材41に接続され、第1方向へ移動可能に第2治具本体40に収容されている。第2カムドライバ46は、第2方向の前後に位置する一対の挿通部46Aを備えている。前側の挿通部46Aは、前側の一対の第2ノッチパンチ43の間を挿通している。後側の挿通部46Aは、下側の一対の第2ノッチパンチ43の間を挿通している。第2ノッチパンチ43には、挿通部46Aと接触する接触溝43Aが設けられている。挿通部46Aには、第2ノッチパンチ43の接触溝43Aと接触して第2ノッチパンチ43を角線10寄りに移動させる第3段差部46Bが設けられている。第3段差部46Bは、傾斜面で接続されて高くなっている部分である。また、挿通部46Aには、第2ノッチパンチ43の接触溝43Aと接触して第2ノッチパンチ43を角線10から離れるように移動させる第4段差部46Cが設けられている。第4段差部46Cは、傾斜面で接続されて高くなっている部分である。なお、第2カムドライバ46が第3変換部として機能する。
【0044】
図18(a)及び図19(a)に示すように、第2カムドライバ46が第1方向の角線10寄りに移動すると、第2カムドライバ46の挿通部46Aの第3段差部46Bが第2ノッチパンチ43の接触溝43Aと接触して第2ノッチパンチ43を角線10寄りに移動させて押し付ける。前側の第2ノッチパンチ43が第2方向の後方向へ移動されるとともに、後側の第2ノッチパンチ43が第2方向の前方向へ移動される。よって、第2ノッチパンチ43によって角線10の第3側面13の絶縁被膜15と第4側面14の絶縁被膜15とに切り込みが入れられる(第2ノッチ工程)。一方、図18(b)及び図19(b)に示すように、第2カムドライバ46が第1方向の角線10から離れる方向へ移動すると、第2カムドライバ46の挿通部46Aの第4段差部46Cが第2ノッチパンチ43の接触溝43Aと接触して第2ノッチパンチ43を角線10から離れる方向に移動させることで押し付けが解除される。前側の第2ノッチパンチ43が第2方向の前方向へ移動されるとともに、後側の第2ノッチパンチ43が第2方向の前方向へ移動される。
【0045】
図20及び図21に示すように、縦剥離治具4は、第1方向に移動される第2剥離パンチ47を備えている。第2剥離パンチ47は、角線10の第3側面13の絶縁被膜15と第4側面14の絶縁被膜15とを剥離する。第2剥離パンチ47は、第2連結部材41に接続され、第2方向へ移動可能に第2治具本体40に収容されている。第2剥離パンチ47は、角線10の第3側面13及び第4側面14を切り落とす刃が設けられた溝47Aを有している。なお、第2剥離パンチ47が第2剥離部材に相当する。
【0046】
縦剥離治具4は、第1方向において角線10をクランプするストリッパープレート48を備えている。ストリッパープレート48は、第2剥離パンチ47に接続され、第1方向において移動可能に第1治具本体30に収容されている。ストリッパープレート48は、図示しないばねによって必要以上の移動が吸収される。
【0047】
図20(a)及び図21(a)に示すように、第2連結部材41が第1方向の角線10寄りへ移動すると、第2剥離パンチ47及びストリッパープレート48を第1方向の角線10寄りへ移動させる。そして、ストリッパープレート48が角線10の第1側面11をクランプして、第2剥離パンチ47の溝47Aが角線10の第3側面13の絶縁被膜15と第4側面14の絶縁被膜15とに接触することで角線10の第3側面13の絶縁被膜15及び第4側面14の絶縁被膜15が剥離される(第2剥離工程)。一方、図20(b)及び図21(b)に示すように、第2連結部材41が第1方向の角線10から離れる方向へ移動すると、第2剥離パンチ47が角線10から離れるとともに、ストリッパープレート48も角線10から離れる。
【0048】
次に、図22を併せ参照して、上記のように構成された剥離装置1の動作について説明する。図22の縦軸は、各部材の移動距離(ストローク)である。図22の横軸は、時間である。第1駆動部材21、第2駆動部材22、第1クランプパンチ32、第1ノッチパンチ33、及び第2剥離パンチ47の移動距離は、第1方向である縦方向の移動距離である。第1剥離パンチ37、第2クランプパンチ42、及び第2ノッチパンチ43の移動距離は、第2方向である横方向の移動距離である。
【0049】
図22に示すように、横剥離治具3は、第1駆動部材21が第1方向の下方向へ移動を開始すると、第1クランプパンチ32及び第1剥離パンチ37も移動を開始する。第1ノッチパンチ33は、クサビ34及びスライダー35を介して駆動されるため、移動の開始が遅れる。このため、角線10をクランプしてからノッチすることができる。そして、第1駆動部材21の移動が継続すると、第1クランプパンチ32が角線10の第1側面11及び第2側面12をクランプするとともに、第1ノッチパンチ33が角線10の第1側面11及び第2側面12に切り込みを入れる。第1ノッチパンチ33がその状態のままで、第1剥離パンチ37が角線10の第1側面11及び第2側面12の絶縁被膜15を剥離する。
【0050】
第1駆動部材21は、一対の第1ノッチパンチ33を第1方向に駆動しつつ、第1剥離パンチ37を第2方向に駆動する。第1駆動部材21が第1方向に駆動すると、クサビ34とスライダー35及び第1カムドライバ36によって第1ノッチパンチ33が第1方向に駆動されて、第1ノッチパンチ33が角線10を保持する。その後、クサビ34及びスライダー35によって第1剥離パンチ37が第2方向に駆動されて、第1剥離パンチ37が角線10の第1側面11の絶縁被膜15と第2側面12の絶縁被膜15とを剥離する。
【0051】
縦剥離治具4は、第2駆動部材22が第1方向の下方向へ移動を開始すると、第2クランプパンチ42及び第2剥離パンチ47も移動を開始する。第2ノッチパンチ43は、第2カムドライバ46を介して駆動されるため、移動の開始が遅れる。このため、角線10をクランプしてからノッチすることができる。そして、第2駆動部材22の移動が継続すると、第2クランプパンチ42が角線10の第3側面及び第4側面14をクランプするとともに、第2ノッチパンチ43が角線10の第3側面13及び第4側面14に切り込みを入れる。第2ノッチパンチ43がその状態のままで、第2剥離パンチ47が角線10の第3側面13の絶縁被膜15及び第4側面14の絶縁被膜15を剥離する。
【0052】
第2駆動部材22は、一対の第2ノッチパンチ43を第2方向に駆動しつつ、第2剥離パンチ47を第1方向に駆動する。第2駆動部材22が第1方向に駆動すると、第2カムドライバ46によって第2ノッチパンチ43が第2方向に駆動されて、第2ノッチパンチ43が角線10を保持した後に、第2剥離パンチ47が角線10の第3側面13の絶縁被膜15と第4側面14の絶縁被膜15とを剥離する。
【0053】
次に、本実施形態の効果について説明する。
(1)第1ノッチパンチ33が角線10を保持した状態で第1剥離パンチ37が角線10の第1側面11の絶縁被膜15と第2側面12の絶縁被膜15とを剥離するため、角線10が位置ずれせず、所望の位置の絶縁被膜15を剥離することができる。また、第1ノッチパンチ33が切り込みを入れた角線10の第1側面11の絶縁被膜15と第2側面12の絶縁被膜15とを第1剥離パンチ37が剥離するため、第1ノッチパンチ33の切り込みに沿って角線10の絶縁被膜15が剥離された剥離部の境界を形成することができる。よって、角線10の剥離部10Aの境界のばりや剥がれを抑制することができる。
【0054】
(2)第1駆動部材21が第1ノッチパンチ33と第1剥離パンチ37とを連続的に駆動するため、第1ノッチパンチ33を駆動する駆動部材と第1剥離パンチ37を駆動する駆動部材とを設けるよりも構成を少なくすることができる。
【0055】
(3)第1ノッチパンチ33は第1方向に駆動され、第1剥離パンチ37は第2方向に駆動されるため、クサビ34及びスライダー35と第1カムドライバ36とによって第1方向に移動する第1駆動部材21のみで第1ノッチパンチ33と第1剥離パンチ37とを駆動することができる。
【0056】
(4)クサビ34及びスライダー35と第1カムドライバ36とによって第1駆動部材21の駆動方向を変換することで、第1方向に移動する第1ノッチパンチ33を第1駆動部材21が直接駆動するときとは異なる駆動を可能とすることができる。
【0057】
(5)第2ノッチパンチ43が角線10を保持した状態で第2剥離パンチ47が角線10の第3側面13の絶縁被膜15と第4側面14の絶縁被膜15とを剥離するため、角線10が位置ずれせず、所望の位置の絶縁被膜15を剥離することができる。また、第2ノッチパンチ43が切り込みを入れた角線10の第3側面13の絶縁被膜15と第4側面14の絶縁被膜15とを第2剥離パンチ47が剥離するため、第2ノッチパンチ43の切り込みに沿って角線10の剥離部10Aの境界を形成することができる。よって、角線10の剥離部10Aの境界のばりや剥がれを抑制することができる。
【0058】
(6)第2駆動部材22が第2ノッチパンチ43と第2剥離パンチ47とを連続的に駆動するため、第2ノッチパンチ43を駆動する駆動部材と第2剥離パンチ47を駆動する駆動部材とを設けるよりも構成を少なくすることができる。
【0059】
(7)第2ノッチパンチ43は第1方向に駆動され、第2剥離パンチ47は第2方向に駆動されるため、第2カムドライバ46によって第1方向に移動する第2駆動部材22のみで第2ノッチパンチ43と第2剥離パンチ47とを駆動することができる。
【0060】
(8)第2カムドライバ46によって第2ノッチパンチ43の駆動方向を変換することで、第2方向に移動する第2ノッチパンチ43を第2駆動部材22が直接駆動するときとは異なる駆動を可能とすることができる。
【0061】
(9)横剥離治具3によって角線10の第1側面11の絶縁被膜15と第2側面12の絶縁被膜15とを剥離した後に縦剥離治具4によって角線10の第3側面13の絶縁被膜15と第4側面14の絶縁被膜15とを剥離して、角線10の4面の絶縁被膜15を剥離することができる。
【0062】
(10)横剥離治具3による角線10の絶縁被膜15の剥離と縦剥離治具4による角線10の絶縁被膜15の剥離とを同じタイミングで行うことができ、角線10の剥離位置の距離毎にスムーズに移動させることができる。
【0063】
(他の実施形態)
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0064】
・上記実施形態では、第2カムドライバ46によって第2ノッチパンチ43の駆動方向を第2方向に変換したが、第2ノッチパンチ43の駆動方向を第2方向に変換することができれば、他の構成であってもよい。
【0065】
・上記実施形態では、第2カムドライバ46によって第1方向に移動する第2駆動部材22のみで第2ノッチパンチ43と第2剥離パンチ47とを駆動した。しかしながら、第2ノッチパンチ43を駆動する駆動部材と、第2剥離パンチ47を駆動する駆動部材とを別々に設けて、第2ノッチパンチ43と第2剥離パンチ47とをそれぞれ駆動させてもよい。
【0066】
・上記実施形態では、クサビ34及びスライダー35と第1カムドライバ36とによって第1駆動部材21の駆動方向を変換したが、第1ノッチパンチ33を第1方向に駆動することができれば、他の構成であってもよい。
【0067】
・上記実施形態では、クサビ34及びスライダー35と第1カムドライバ36とによって第1方向に移動する第1駆動部材21のみで第1ノッチパンチ33と第1剥離パンチ37とを駆動した。しかしながら、第1ノッチパンチ33を駆動する駆動部材と第1剥離パンチ37を駆動する駆動部材とを別々に設けて、第1ノッチパンチ33と第1剥離パンチ37とをそれぞれ駆動させてもよい。
【0068】
・上記実施形態において、横剥離治具3のストリッパープレート38の構成を省略してもよい。
・上記実施形態において、縦剥離治具4のストリッパープレート48の構成を省略してもよい。
【0069】
・上記実施形態では、角線10の第1側面11及び第2側面12を剥離する横剥離治具3の次に角線10の第3側面13及び第4側面14を剥離する縦剥離治具4を設置した。しかしながら、縦剥離治具4の次に横剥離治具3を設置してもよい。
【0070】
・上記実施形態では、角線10の断面が長方形の場合、短辺の絶縁被膜15から剥離するのが好ましいが、長辺の絶縁被膜15から剥離してもよい。
・上記実施形態では、横剥離治具3と縦剥離治具4とを同じタイミングで動作させたが、横剥離治具3と縦剥離治具4とを異なるタイミングで動作させてもよい。
【0071】
・上記実施形態では、横剥離治具3が角線10の第1側面11の絶縁被膜15及び第2側面12の絶縁被膜15を剥離した後、続けて縦剥離治具4が角線10の第3側面13の絶縁被膜15及び第4側面14の絶縁被膜15を剥離した。しかしながら、横剥離治具3と縦剥離治具4とを別々の工作機械2に設置して、別々に剥離してもよい。
【符号の説明】
【0072】
1 剥離装置
2 工作機械
3 横剥離治具(第1剥離治具)
4 縦剥離治具(第2剥離治具)
10 角線
10A 剥離部
11 第1側面
12 第2側面
13 第3側面
14 第4側面
15 絶縁被膜
20 ベース
21 第1駆動部材
22 第2駆動部材
23 第3駆動部材
24 第1駆動部
25 第2駆動部
26 第3駆動部
27 送り出し装置
28 制御部
30 第1治具本体
31 第1連結部材
31A 第1ばね
32 第1クランプパンチ
32A 押さえ部
33 第1ノッチパンチ(第1ノッチ部材)
33A 係合溝
34 クサビ(第1変換部)
34A 第1傾斜部
34B 第2傾斜部
35 スライダー(第1変換部)
35A 第1傾斜部
35B 第2傾斜部
36 第1カムドライバ(第2変換部)
36A 挿通部
36B 第1段差部
36C 第2段差部
37 第1剥離パンチ(第1剥離部材)
37A 溝
38 ストリッパープレート
40 第2治具本体
41 第2連結部材
42 第2クランプパンチ
42A 第2ばね
42B V溝
43 第2ノッチパンチ(第2ノッチ部材)
43A 係合溝
45 支持部材
46 第2カムドライバ(第3変換部)
46A 挿通部
46B 第3段差部
46C 第4段差部
47 第2剥離パンチ(第2剥離部材)
47A 溝
48 ストリッパープレート
49 第3連結部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22