(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023168374
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】模型部品
(51)【国際特許分類】
A63H 9/00 20060101AFI20231116BHJP
B29C 33/42 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
A63H9/00 X
B29C33/42
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023151500
(22)【出願日】2023-09-19
(62)【分割の表示】P 2021000226の分割
【原出願日】2019-02-05
(71)【出願人】
【識別番号】000135748
【氏名又は名称】株式会社バンダイ
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岸山 博文
(72)【発明者】
【氏名】脇田 敏之
(57)【要約】
【課題】視認性の向上した表示部の実現を可能にする。
【解決手段】模型部品であって、模型を構成する複数のパーツと、前記複数のパーツと接続されたランナーと、前記ランナーの一部に、前記複数のパーツの少なくとも1つと関連付けて設けられた識別情報を表示する表示部とを備え、前記表示部は、基面部上に前記識別情報を表す形状が突出するように形成され、前記形状の前記基面部に対する高さは、前記識別情報を表す形状の前記基面部における縦方向の長さに対して少なくとも8%の大きさを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
模型を構成する複数のパーツと、
前記複数のパーツと接続されたランナーと、
前記ランナーの一部に、前記複数のパーツの少なくとも1つと関連付けて設けられた識別情報を表示する表示部と
を備える模型部品であって、
前記表示部は、基面部上に前記識別情報を表す形状が突出するように形成され、前記形状の前記基面部に対する高さは、前記識別情報を表す形状の前記基面部における縦方向の長さに対して少なくとも8%の大きさを有する、模型部品。
【請求項2】
前記形状の前記基面部に対する高さは、前記識別情報を表す形状の前記基面部における縦方向の長さに対して少なくとも8%から46%の範囲に含まれる、請求項1に記載の模型部品。
【請求項3】
前記識別情報を表す形状の前記基面部における縦方向の長さは、1.75mmから3.5mmの範囲内である、請求項1または2に記載の模型部品。
【請求項4】
前記基面部に対する高さは、0.3mmから0.5mmの範囲内である、請求項1から3のいずれか1項に記載の模型部品。
【請求項5】
前記基面部に対する高さは、0.3mmから0.8mmの範囲内である、請求項1から3のいずれか1項に記載の模型部品。
【請求項6】
前記基面部に対する高さは、0.4mmである請求項1から3のいずれか1項に記載の模型部品。
【請求項7】
前記表示部は、前記複数のパーツのそれぞれと関連付けて設けられた識別情報を表示する表示部であり、
前記識別情報は前記対応するパーツを識別するための情報である請求項1から6のいずれか1項に記載の模型部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、模型部品に関する。
【背景技術】
【0002】
ランナーに接続されている複数の模型部品を個々に識別するために、各模型部品と関連付けられて識別番号が付与される。特許文献1は、当該識別番号を付与するための表示部に数字が付された模型キットの発明を開示している。また、特許文献2は、同様の表示部に模型部品のキャラクタのシルエットを想起させる図柄が番号と共に付された模型キットの発明を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-107275号公報
【特許文献2】実用新案登録第3154497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の従来技術に開示されるような識別番号の表示部における番号表記は、文字や図柄の視認性を確保するために、文字サイズおよび表示部をできるだけ大きく確保する必要があった。その一方で、表示部を大きくすると、模型部品をランナーから取り外す際の作業の妨げになるだけでなく、成形材料が増加し製造コストが上昇するため、模型部品自体とは関係ない表示部等の小型化、ひいては製造コストの削減が求められている。
【0005】
本発明は、視認性の向上した表示部の実現を可能にするための技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明は、模型部品であって、
模型を構成する複数のパーツと、
前記複数のパーツと接続されたランナーと、
前記ランナーの一部に、前記複数のパーツの少なくとも1つと関連付けて設けられた識別情報を表示する表示部と
を備え、前記表示部は、基面部上に前記識別情報を表す形状が突出するように形成され、前記形状の前記基面部に対する高さは、前記識別情報を表す形状の前記基面部における縦方向の長さに対して少なくとも8%の大きさを有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、視認性の向上した表示部を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】発明の実施形態に対応する模型部品の一例を示す図である。
【
図2】発明の実施形態に対応する模型部品に配置される表示部の構造を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、発明の例示的な実施形態について図面を参照して説明する。なお、各図において、同じ参照符号は、同じ要素を示している。また、各図において、紙面に対する上下左右方向を、本実施形態における模型部品(またはパーツ)の上下左右方向として、本文中の説明の際に用いることとする。
【0010】
まず、発明の実施形態に対応する模型部品の構造を
図1に示す。
図1において、模型部品100は、主ランナー101Aにパーツ102Aと103Aとが接続されて構成されている。パーツ102Aと103Aとは、所定の模型を構成するための部品であって、主ランナー101Aに対して副ランナー101Bにより接続されている。
【0011】
表示部102B及び103Bは、それぞれパーツ102A及び103Aと関連付けて設けられた、対応するパーツを識別する識別情報を表示する表示領域である。表示部102Bは、主ランナー101Aの交差するコーナーに配置されており、表示部103Bは主ランナー101Aと副ランナー101Bとが交差するコーナーに配置されている。このように、各表示部はランナーが交差するコーナーに配置することもできるし、コーナー以外のランナーのいずれかの位置に配置することもできる。
【0012】
各表示部の大きさは、対応するパーツを識別するための識別情報の数字を表示するのに必要な大きさであればよい。具体的な表示部の構成について
図2を参照して説明する。
【0013】
図2は、表示部の構成の一例を示す図であり、表示部における識別情報の表示の一形態を示す。
図2では、基面部201に対して数字「6」202が表示されているが、識別情報の種類はこれに限定されるものではない。また、数字は1桁に限定されるものではなく、複数桁で表示されてもよい。更には、数字以外のアルファベット、ひらがな、カタカナ、漢字、記号、図形等が表示されてもよい。表示部におけるこれらの識別情報は、任意のフォントで表示することができる。例えばイワタUDゴシックを使用してもよい。また、表示部に表示される識別情報は、ランナーに接続されたパーツに関連する内容であればよく、例えば、複数のパーツを組み立てた後の模型全体の情報や模型の各部位ごとの情報、素材、社名等であってもよい。
【0014】
識別情報の大きさは、例えば縦方向の長さを1.75mmから3.5mmの範囲とすることができる。横方向の幅は文字の種類によって異なる。このとき、基面部201上には識別情報を表す形状(
図2では数字の「6」)が突出するように形成されている。基面部201上に形成された識別情報を表す形状の基面部201に対する高さ(当該形状の厚み)は0.3mmから0.5mm、あるいは、0.3mmから0.8mmとすることができる。これにより、識別情報を表す形状の高さは、当該形状の基面部201上の縦方向の長さに対して約8%から約46%の割合を有することとなる。
【0015】
本実施形態では、識別情報の表す形状の高さを0.8mmよりも大きくすると所謂ガス焼けが発生する恐れがあるため、上限を0.8mmとしているが、仮にガス焼けが発生しない場合には、ガス焼けが発生しない範囲で上限を大きくしてもよい。なお、ガス焼けとは、プラスチック射出成形において、細いリブの先端部等で発生する現象であって成形品の一部が黒変し炭化してしまう現象をいう。
【0016】
このように、基面部に対して識別情報に一定の厚み(高さ)を持たせることにより、基面部から識別情報が突出して形成されることとなり、視認性を向上させることができる。視認性の向上は、識別情報や基面部を小さくしても損なわれにくいので、表示部のサイズを縮小することが可能となり、ひいては材料コストを削減することが可能となる。
【0017】
以上のように、本実施形態によれば、パーツを識別する識別情報の視認性の高い表示部を有する模型部品を提供することができる。