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特開2023-168419イソマルトオリゴ糖組成物を調製する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023168419
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】イソマルトオリゴ糖組成物を調製する方法
(51)【国際特許分類】
   C12P 19/14 20060101AFI20231116BHJP
   C12P 19/24 20060101ALI20231116BHJP
   C12P 19/02 20060101ALI20231116BHJP
   C13K 11/00 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
C12P19/14 Z
C12P19/24
C12P19/02
C13K11/00
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023158129
(22)【出願日】2023-09-22
(62)【分割の表示】P 2020555735の分割
【原出願日】2018-12-28
(31)【優先権主張番号】10-2018-0000274
(32)【優先日】2018-01-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2018-0117875
(32)【優先日】2018-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】512035620
【氏名又は名称】コーンプロダクツ ディベロップメント インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142387
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 都子
(72)【発明者】
【氏名】ソン、チヨン
(72)【発明者】
【氏名】チョン、ヘソク
(57)【要約】
【課題】本発明は、イソマルトオリゴ糖(IMO)複合物及び製造方法を提供する。
【解決手段】本発明によれば、甘味レベルの高いイソマルトオリゴ糖を、フルクトースを添加する追加のプロセスなしに提供することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イソマルトオリゴ糖複合物を製造する方法であって、
デンプンスラリーを液化酵素に接触させることによって液化溶液を得る工程と、
一次サッカロゲン酵素及び二次サッカロゲン酵素を、前記液化溶液と接触させることにより、イソマルトオリゴ糖糖化液を得る工程と、
イソメラーゼを前記糖化液と接触させることにより、総固体分重量に基づいて、30~40%(重量/重量)のフルクトースを生成する工程と、で構成される方法。
【請求項2】
前記イソマルトオリゴ糖の含有量が、前記複合物の固体重量に基づいて、総重量の10~35%(重量/重量)である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記イソマルトオリゴ糖糖化液が、前記複合物の総固体重量に基づいて、50~90%(重量/重量)のグルコースで構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記サッカロゲン酵素が、グルコアミラーゼ、アルファ-アミラーゼ、ベータ-アミラーゼ、イソアミラーゼ、プルラナーゼ、又はそれらの組み合わせである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記二次サッカロゲン酵素が、トランスグルコシダーゼ、分枝酵素、デキストランスクラーゼ、アミロスクラーゼ、又はそれらの組み合わせである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記一次サッカロゲン酵素が、前記液化溶液の総固体重量に基づいて0.02~0.08%(重量/重量)である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記二次サッカロゲン酵素が、前記液化溶液の総固体重量に基づいて0.02~0.08%(重量/重量)である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法を使用して製造された、総固体重量に基づいて3~10%(重量/重量)の重合度3以上を有する糖類、及び85~97%(重量/重量)の単糖又は二糖で構成されるイソマルトオリゴ糖複合物。
【請求項9】
前記イソマルトオリゴ糖複合物が、75~85%(重量/重量)の単糖で構成される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記イソマルトオリゴ糖複合物が、30~40%(重量/重量)のフルクトースで構成される、請求項8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2018年10月2日に出願された韓国特許出願第10-2018-000027号及び韓国特許出願第10-2018-0117875号に対する優先権を主張し、いずれも参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明のタイトル)
イソマルトオリゴ糖組成物を調製する方法
【0003】
(発明の分野)
本発明は、イソマルトオリゴ糖複合物を調製する方法に関する。
【背景技術】
【0004】
イソマルトオリゴ糖(IMO:isomaltooligosaccharide)は、腸内の有益な細菌を増殖させ、有害な細菌を抑制して便秘の改善に役立つなど、ヒトにおいて並外れた生理学的機能を有するオリゴ糖である。したがって、IMOは、オリゴ糖市場を韓国及び世界中に導く機能的糖類物質である。
【0005】
しかしながら、イソマルトオリゴ糖は、一般に、甘味度が高い多くの種類の糖類を含まず、砂糖の約40~50%の糖の甘味度である。したがって、フルクトース及びグルコースなどの甘味度を増加させるための別個の成分を精製し、分離し、製造プロセスの間に添加して、イソマルトオリゴ糖の甘味度を増加させる。例えば、韓国特許出願公開第10-2014-0136244号は、他の既存のイソマルトオリゴ糖製品とは区別される甘味の質及び程度をもたらすために、糖類原料としてシロップ及び精製フルクトースの液化溶液を混合することによる糖化を通して、イソマルトースを含むイソマルトオリゴ糖を調製する方法を記載している。
前述の方法を使用して生成されるイソマルトオリゴ糖は、既存のイソマルトオリゴ糖製品よりも1.7~2倍高い甘味度を持つ。しかしながら、1対1の比で砂糖を置き換えるには、甘味レベルが不十分であることを示している。加えて、製造が複雑及び生成が困難であるなどという問題がある。したがって、これらの問題を克服するために高い甘味レベルを取り戻しながら、単純な製造でイソマルトオリゴ糖を調製する方法を開発する必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
(技術的課題)
一実施形態は、デンプンスラリーと液化酵素とを組み合わせることによって液化溶液を得る工程と、前述の液化溶液を一次サッカロゲン酵素及び二次サッカロゲン酵素と混合することによって、イソマルトオリゴ糖を含有する液体糖類を得る工程と、前述の液体糖類をイソメラーゼと接触させることによってフルクトースを生成する工程と、を含む、イソマルトオリゴ糖複合物を製造する方法で構成される。
【0007】
(発明の方法)
一実施形態は、デンプンスラリーと液化酵素とを組み合わせることによって液化溶液を得る工程と、前述の液化溶液を一次サッカロゲン酵素及び二次サッカロゲン酵素と混合することによって、イソマルトオリゴ糖を含有する液体糖類を得る工程と、前述の液体糖類をイソメラーゼと接触させることによってフルクトースを生成する工程と、を含む、イソマルトオリゴ糖を製造する方法で構成される。
前述のイソマルトオリゴ糖複合物の一実施形態の詳細な例は、イソマルトースを含まなくてもよい。一般に、イソマルトースは、フルクトース及び液化溶液を酵素を使用して反応させるときに生成される。しかしながら、一実施形態の方法は、フルクトース溶液が原料として使用されないため、イソマルトースを生成せず、その結果、イソマルトースの生成は生じない。続いて、イソマルトースを含まないことにより、フルクトースの含有量が増加し、その結果、甘味レベルの高いイソマルトオリゴ糖複合物が生成される。
【0008】
本発明のこの詳細な説明において、用語「オリゴ糖」は、結合によりいくつかの糖類によって形成される糖質を指す。「イソマルトオリゴ糖」は、短鎖糖質の混合物であり、α-D-(1,6)-結合によるグルコースオリゴマーを含み得る。イソマルトース、パントース、イソマルトトリオース、イソマルトテトラオース、イソマルトペンタオース、ニゲロース、コウジビオース、又はトレハロースは、糖類として含まれてもよい。前述のオリゴ糖は、1~9個の分岐糖を含有してもよく、前述の分岐糖は、1~8個の糖類で構成されてもよい。例えば、前述のイソマルトオリゴ糖は、コウジビオース、トレハロース、及びニゲロースなどの2つの分岐糖を含有してもよい。
【0009】
前述のイソマルトオリゴ糖は、トウモロコシ、コムギ、オオムギ、マメ、コメ、ジャガイモ、サツマイモ、オオムギ、又はソルガムに由来する酵素を用いて当業者が容易に得ることができ、商業的に販売されている任意の製品であってもよい。
【0010】
本発明のこの詳細な説明において、用語「糖化」は、デンプンなどの味が少ない多糖を、加水分解により甘味を有する糖類に変化させる反応を指す。糖化は、サッカロゲン酵素を用いて、酵素反応又は化学反応によって行われてもよい。
【0011】
前述のデンプンスラリーは、適切な溶媒(例えば、水)中で混合されたデンプン粉末の懸濁液を指し、デンプンスラリーの総重量におけるデンプン比は、20~40%又は25~35%(重量/重量)であり得る。
【0012】
一実施形態の方法は、デンプンスラリーを液化酵素と接触させることによって液化溶液を得る工程を含む。前述の液化酵素は、デンプンを液化する酵素を含み、アルファ-アミラーゼ、シクロデキストリングリコシルトランスフェラーゼ、又はそれらの組み合わせを含んでもよい。前述の液化酵素は、固形デンプンスラリーの総重量に基づいて、0.04~0.05%(重量/重量)であってもよい。前述の液化酵素とデンプンスラリーとを混合して液化溶液を得る工程を、pH5.5~6.0、温度100~110℃で5分~180分間行えばよい。
【0013】
一実施形態の方法は、一次サッカロゲン酵素及び二次サッカロゲン酵素を、前述の液化溶液と接触させることにより、イソマルトオリゴ糖を得る工程を含む。このとき、二次サッカロゲン酵素を一次サッカロゲン酵素と接触させた後に前述の液化溶液と接触させると、イソマルトオリゴ糖の含有量が低下するという問題がある。二次サッカロゲン酵素を前述の液化溶液と接触させた後、一次サッカロゲン酵素を接触させると、糖化液の生成に必要とされるサッカロゲン酵素の含有量が増加するという問題がある。したがって、イソマルトオリゴ糖の糖化時間は、前述の一次サッカロゲン酵素及び二次サッカロゲン酵素を同時に接触させることによって短縮することができる。加えて、イソマルトオリゴ糖の最適な含有量を有する糖化液を生成するのに有効である。前述のサッカロゲン酵素は、デンプンを糖化する酵素を指す。前述の一次サッカロゲン酵素は、デンプンを加水分解することによって、低分子量の糖類を生成する酵素を含む。この後、本明細書で生成される低分子量の小さい糖類は、トランスグルコシダーゼなどの酵素の反応基質として使用される。
前述の一次サッカロゲン酵素は、グルコアミラーゼ、アルファ-アミラーゼ、ベータ-アミラーゼ、イソアミラーゼ、プルラナーゼ、又はそれらの組み合わせであってもよい。
【0014】
グルコアミラーゼは、デンプン又はデキストリンを加水分解することによってデキストロースを作る酵素であり、加水分解により直鎖糖類に加えて、分岐糖などのイソマルトオリゴ糖成分(α-(1,6)結合)からデキストロースを作ることもできる。したがって、とは言え、グルコアミラーゼは一般にイソマルトオリゴ糖の生成に使用されない。しかしながら、一例として、イソマルトオリゴ糖の生成には一般的に使用されないグルコアミラーゼのみを主に使用して、イソマルトオリゴ糖及びデキストロースで一次糖溶液を作製するレシピが開発されている。したがって、法的仕様を満たし、他の全ての成分をデキストロースに分解することができるイソマルトオリゴ糖含有量を維持することができる。
【0015】
アルファ-アミラーゼは、デンプン又はデキストリンをランダムに加水分解する酵素であり、主に、イソマルトオリゴ糖(α-(1,6)結合)成分を分解できないため、IMOの生成に主に使用される。
【0016】
ベータ-アミラーゼは、デンプン又はデキストリンを分解することによってマルトース(ショ糖)を作る酵素であり、イソマルトオリゴ糖成分((α-(1,6)結合)を分解することができない。
【0017】
プルラナーゼは、約DP3~5を有するプルラン(マルトトリオース又はマルトテトラオース)などの直鎖中の1つ又は2つのα-(1,6)結合を有するデキストロースで構成される糖類中のα-(1,6)結合を分解する酵素である。プルラナーゼは、アルファ-アミラーゼ又はベータ-アミラーゼが分解できず、トランスグルコシダーゼがイソマルトオリゴ糖成分を作るのを助けることができる物質を分解する。
【0018】
前述の一次サッカロゲン酵素は、液化溶液の固体成分の総重量に基づいて、0.02~0.08%(重量/重量)であってもよい。
【0019】
例えば、0.02~0.08%(重量/重量)、0.02~0.07%(重量/重量)、0.02~0.06(重量/重量)、0.02~0.05%(重量/重量)、0.02~0.04%(重量/重量)、0.03~0.08%(重量/重量)、又は0.03~0.05%*重量.重量)であってもよい。このとき、一次サッカロゲン酵素の含有量が前述の範囲内であると、イソマルトオリゴ糖の甘味レベルを低下させるという問題がある。また、前述の範囲を超えると、イソマルトオリゴ糖の含有量が法的要件を満たさないという問題がある。
【0020】
前述の二次サッカロゲン酵素は、イソマルトオリゴ糖を生成する酵素を含む。前述のサッカロゲン酵素としては、トランスグルコシダーゼ、分枝酵素、デキストランスクラーゼ、アミローススクロース、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0021】
トランスグルコシダーゼは、イソマルトオリゴ糖の生成に最も広く使用される酵素であり、イソマルトオリゴ糖の成分であるα-(1,6)結合を含む糖類を生成することができる。主に、2~4の重合度(DP)を有する直鎖状糖類を基質として使用し、直鎖糖類からグルコース又はマルトースを分解した後、2~4の重合度で他の糖(sugar)にα-(1,6)結合をつなぐことによってイソマルトオリゴ糖成分を生成することができる。トランスグルコシダーゼは、高分子量の基質(デンプン、デキストリン)と直接反応することが困難である。したがって、良好な反応基質が同時に提供されるため、アルファ-アミラーゼ、ベータ-アミラーゼ、又はプルラナーゼなどの加水分解酵素と反応させると、イソマルトオリゴ糖の生成に役立つ。
【0022】
分枝酵素は、トランスグルコシダーゼと同様にα-(1,6)結合を作る酵素である。
【0023】
デキストランスクラーゼ及びアミローススクロースは、糖を分解した後にデキストロースを直鎖糖類に結合することによって、分子量が大きなイソマルトオリゴ糖を作る酵素である。
【0024】
前述の二次サッカロゲン酵素は、液化溶液の固体成分の総重量に基づいて、0.02~0.08%(重量/重量)であってもよい。例えば、0.02~0.08%(重量/重量)、0.02~0.07%(重量/重量)、0.02~0.06%(重量/重量)、0.02~0.05%(重量/重量)、0.02~0.04%(重量/重量)、0.03~0.08%(重量/重量)、又は0.03~0.05%(重量/重量)であってもよい。
このとき、二次サッカロゲン酵素の含有量が前述の範囲未満であると、甘味レベルの低下に加えて、イソマルトオリゴ糖の含有量が法的要件を満たさないという問題がある。前述の一次サッカロゲン酵素及び二次サッカロゲン酵素を接触させることで糖化液を得る工程は、pH4.7~5.5及び温度55~60℃で24時間~72時間行えばよい。このとき、前述の一次サッカロゲン酵素及び二次サッカロゲン酵素の最適pH条件が異なるため、pHが上記範囲未満であると、イソマルトオリゴ糖の最適な含有量に到達しないという問題がある。上記範囲を超えると、複合物の甘味レベルが低下するという問題がある。
【0025】
一実施形態の方法は、イソメラーゼを前述の糖化液と接触させることによってフルクトースを生成する工程を含む。前述の糖化液を得る工程の後に得られる糖化液は、糖化分野において良く知られている方法に従って、濾過、色除去、イオン交換、又は濃縮する工程を更に含んでもよい。
【0026】
前述のイソメラーゼは、デキストロースイソメラーゼ、グルコースイソメラーゼ、又はそれらの組み合わせであってもよい。前述のイソメラーゼは、デキストロース又はグルコースをフルクトースに変化させることができる。
【0027】
イソメラーゼを用いる異性化反応は、pH7.5~8.5又は7.8~8.0、温度50~65℃又は53~60℃で行うことができ、異性化前のデキストロースの含有量が、固体成分に基づいて50~90%又は75~90%(重量/重量)、又は異性化後のフルクトースの含有量が固体成分に基づいて30~45%又は33~45%(重量/重量)となるように行うことができる。また、糖溶液中の固形分が40ブリックス未満、38ブリックス未満、又は30ブリックス未満であるときに行うことができる。
【0028】
一実施形態では、前述のイソメラーゼを用いてフルクトースを生成する工程は、イソマルトオリゴ糖の生成後に行われる。反応pH(7.5~8.5)及びデキストロースイソメラーゼなどのイソメラーゼの反応温度は、反応pH(4.5~5.5)及びサッカロゲン酵素の温度と非常に異なるため、イソマルトオリゴ糖を生成するサッカロゲン酵素と共にイソメラーゼを使用することができないことは、糖類分野では一般的な知識である。
しかしながら、一実施例では、本発明者らは、イソマルトオリゴ糖の製造プロセス中にイソメラーゼを加えることにより、一次サッカロゲン酵素及び二次サッカロゲン酵素をイソメラーゼと反応させる方法を開発した。したがって、イソマルトオリゴ糖複合物中の糖類の組成を自由に変更することができ、甘味度の低い重合度が3を超える(DP3+)糖類の含有量を5~7%に低下させることができる。また、高甘味度で重合度が2以下(DP1、DP2)の単糖及びショ糖の含有量を85~97%に増加させることができる。したがって、砂糖と同様の甘味度を有するイソマルトオリゴ糖を生成することができる。加えて、フルクトースは、デキストロースをフルクトースに変換することによって製造されるイソマルトオリゴ糖において生成されるため、イソマルトオリゴ糖への添加プロセスにおいて、別の糖類の生成及び精製プロセスを省略することができる。しかしながら、必要に応じてフルクトースを加えることが可能である。しかしながら、前述のイソメラーゼは、粉末又は液体形態であってもよい。
【0029】
他の実施形態は、重合度3以上を有する3~10%(重量/重量)、85~97%(重量/重量)の単糖及びショ糖の糖類を含む、イソマルトオリゴ糖複合物を提供する。
【0030】
前述の複合物は、75~85%(重量/重量)の単糖を含むイソマルトオリゴ糖複合物であってもよい。単糖は、グルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、又はリボースを含んでもよい。前述のフルクトースの含有量は、30~40%(重量/重量)であってもよい。
【0031】
一実施形態によれば、イソマルトオリゴ糖複合物は、高甘味度の単糖及びショ糖の含有量の増加により、高甘味を提供してもよい。前述のイソマルトオリゴ糖複合物は、88超、89超、90超、91超、92超、93超、94超、又は95超の甘味度であり得る。
【0032】
前述の複合物が食品複合物である場合、当該技術分野で利用可能な一般的な食品製剤で生産されてもよい。前述の食品複合物は、例えば、粉末、顆粒、錠剤、丸薬、カプセル剤、懸濁液、エマルジョン、シロップ、輸液、溶液、及び抽出物などの一般的な製剤で製造されてもよい。これはまた、肉のソーセージ、パン、チョコレート、キャンディ、スナック、菓子、ピザ、ラーメン、その他の麺、ガム、ゼリー、アイスクリームなどの乳製品、様々なスープ、飲料、茶、ドリンク、アルコール飲料、及びマルチビタミンなどの任意の食品形式で製造することもできる。上記食品アイテムを製造するために、食品に対して承認された担体又は添加剤を使用してもよい。また、所望の製剤の製造のために、通知された、当該技術分野で使用することができる任意の担体又は添加剤。
【0033】
前述の添加剤として、様々な栄養素、ビタミン、電解質、香料、着色剤、ペクチン酸及びその塩、アルギン酸及びその塩、有機酸、保護コロイド、増粘剤、pH調整剤、安定剤、防腐剤、グリセリン、アルコール、炭酸飲料に使用される炭酸塩を含んでもよい。加えて、それらは、天然果汁、果汁ドリンク、又は野菜ドリンクを含んでもよい。加えて、天然果汁、果汁ドリンク、及び野菜ドリンクを製造するためのパルプを含有してもよい。
これらの添加剤の成分は、独立して又は組み合わせて使用されてもよく、添加剤の比率は、複合物の総重量に基づいて、0.001~5重量%、具体的には0.01~3重量%であってもよい。
【0034】
前述の飲料は、甘味料として前述の複合物を使用することができ、飲料に一般的に使用される様々な香料及び天然の糖質を更に含有してもよい。前述の天然糖質としては、単糖(例えば、デキストロース、フルクトースなど)、ショ糖(例えば、マルトース、スクロースなど)、多糖(例えば、デキストリン、シクロデキストリンなど)などの一般的な糖類、並びにキシリトール、ソルビトール、及びエリスリトールなどの糖アルコールを挙げることができる。また、天然香料(例えば、タウマチン、ステビア抽出物など)及び合成香料(例えば、サッカリン、アスパルテームなど)を香料として使用してもよい。
【0035】
(発明の効果)
一実施形態のイソマルトオリゴ糖を製造する方法によれば、プロセスを簡略化することによって、費用効率の良い方法で、甘味レベルの高いイソマルトオリゴ糖が提供され得る。また、本発明によるイソマルトオリゴ糖は、イソマルトースを含有せずに糖と同様の甘味レベルを有することができ、糖を置き換える甘味料として使用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】一実施形態による、イソマルトオリゴ糖複合物の製造プロセスを簡潔に示す図である。
図2】一実施形態による、イソマルトオリゴ糖複合物の甘味レベルの評価の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の理解を助けるために推奨例が提供される。しかしながら、以下に提供されるこれらの実施例は、本発明を理解するのを助けるために提供され、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例0038】
実施例1.イソマルトオリゴ糖複合物の生成
トウモロコシデンプン2600g及び水6000gを容器に加えることで、デンプンスラリーを生成した。
【0039】
液体酵素であるアルファ-アミラーゼ(Liquozyme Supra 2.2X、Novozymes Korea)を、pH5.5~6.0及びデンプンスラリーの固体成分の総重量に基づいて0.04%~0.05%(重量/重量)で、前述のデンプンスラリーに添加した。それを100~110℃で5~30分間反応させ、8~17デキストロース当量(DE)の液化溶液を得た。続いて、得られた液化溶液をサッカロゲン酵素と混合することにより、糖溶液を得た。具体的には、液化溶液の総固体重量に基づいて、グルコアミラーゼ(Dextrozyme 2.0X、Novozymes)0.026%~0.06%(重量/重量)及びトランスグルコシダーゼ(L”Amano”、AMANO)0.03%~0.06%(重量/重量)をpH4.8~5.3で添加し、55~60℃で24時間~70時間インキュベートした。
【0040】
デキストロースを含有するイソマルトオリゴ糖を、この方法で得た。この後、未反応物質を濾過し、70~75℃で30分~2時間、活性炭顆粒を充填したカーボンカラムに通過させ、色を取り除いた。続いて、陽イオン交換樹脂(PK218、Samyang)及び陰イオン交換樹脂(WA30、Samyang)を用いて、40~50℃にて50~150L/分の流量で、前述の溶液からイオン成分を除去した。続いて、上記のように得られたイソマルトオリゴ糖に含まれるデキストロースをフルクトースで置換した。具体的には、イソメラーゼ(Gensweet IGI、Dupont)を充填したカラムにイソマルトオリゴ糖を温度53~60℃及びpH7.5~8.0で通過させることによって、固体重量に基づいて30~45%(重量/重量)のフルクトース含有量の異性化された溶液を得た後、イオン性物質を、カチオン交換樹脂(PK218、Samyang)及び陰イオン交換樹脂(WA30、Samyang)を用いて除去した。石炭粉末を、温度70~75℃で30分~1時間、イオン精製溶液に添加して、色を除去した。溶液を5A及び5Cフィルタに通し、濃縮装置を使用して、75~82Bxの甘味レベルの高いイソマルトオリゴ糖複合物を得た。
【0041】
(比較例)
比較例1.イソマルトオリゴ糖複合物の生成
液化溶液を、前述の実施例1と同じ方法で得た。この後、サッカロゲン酵素を前述の液化溶液と接触させることにより、液化溶液を得た。具体的には、液化溶液の総固体重量に基づいてグルコアミラーゼ(Dextrozyme 2.0X、Novozymes)0.05%~0.10%(重量/重量)pH4.0~4.5を添加し、55~60℃で24時間反応させた。
【0042】
このようにして得られたデキストロース溶液の非反応性物質を濾過し、70~75℃で30分~2時間、粒状活性炭を充填したカーボンフィルタを通過させて脱色した。続いて、カチオン交換樹脂(PK218、Samyang Corp)及び陰イオン交換樹脂(WA30、Samyang Corp)を用いて、40~50℃及び50~150L/分の流量で前述の溶液からイオン性成分を除去した。この後得られた溶液を45~50ブリックスに濃縮し、54~60℃及びpH7.5~8.0で、イソメラーゼ(Gensweet、Dupont)を充填したカラムに通して、フルクトースの固形分に基づいて40~45%の異性化溶液を得た。この後、陽イオン交換樹脂(PK218、Samyang Corp)及び陰イオン交換樹脂(WA30、Samyang Corp)を用いて、40~50℃、50~150L/分の流量で前述の溶液からイオン成分を除去し、粒状炭素を用いて脱色した後、濃縮器を用いて55~60ブリックスの濃縮フルクトース溶液を得た。前述の濃縮フルクトース溶液を、60~62℃でセパレータ樹脂(Dowex Monosphere 99ca/320、Dow)を充填したカラムを用いて濾過し、固体重量に基づいて純度85%を超える高純度フルクトース溶液を得た。この後、陽イオン交換樹脂(PK218、Samyang Corp)及び陰イオン交換樹脂(WA30、Samyang Corp)を用いて、40~50℃、50~150L/分の流量で前述の溶液からイオン成分を除去し、粒状炭素を用いて脱色し、粒状炭素を用いて脱色した後、濃縮器を用いて70~80ブリックスの濃縮フルクトース溶液を得た。
【0043】
続いて、フルクトースの含有量が固体重量に基づいて55~57%となるように、前述のフルクトースの40~45%を含有する濃縮フルクトース溶液(55~60ブリックス)と混合することによって、35~38ブリックスの糖溶液を生成した。35~38ブリックス)の前述の液化溶液と前述の糖溶液とを、前述の糖溶液全重量の約40%まで混合して、糖化原料を生成した。この後、糖化原料の固形分の総重量に基づいて、真菌アルファアミラーゼ(Clarase L,Dupont)0.03~0.06%、プルラナーゼ(Optimase L 1000、Dupont)0.011~0.014%、トランスグルコシダーゼ(トランスグルコシダーゼL”Amano”、Sein Corporation)0.024~0.027%を、上記のようにして得られた糖化原料に加えた。イソマルトオリゴ糖溶液を、55~60℃及びpH5.2~5.6で40~48時間反応させることによって得た。上記のようにして得た溶液の非反応性物質を濾過し、70~75℃で30分~2時間、活性炭顆粒を充填した炭素カラムを通過させることにより脱色した。続いて、カチオン交換樹脂(PK218、Samyang Corp)及び陰イオン交換樹脂(WA30、Samyang Corp)を用いて、40~50℃及び50~150L/分の流量で、前述の溶液からイオン性成分を除去した。この後、上記のようにして得た溶液を75~77ブリックスに濃縮して、イソマルトオリゴ糖複合物を得た。
【0044】
比較例2.一般的なイソマルトオリゴ糖複合物の生成
上記実施例1と同じ方法で液化溶液を得た。この後、サッカロゲン酵素を前述の液化溶液と接触させることにより、糖化液を得た。具体的には、液化溶液の固形分の総重量に基づいて、真菌アルファアミラーゼ(Clarase L,Dupont)0.03~0.06%、プルラナーゼ(Optimase L 1000、Dupont)0.011~0.020%、トランスグルコシダーゼ(トランスグルコシダーゼL”Amano”、Sein Corporation)0.03~0.05%を加え、55~60℃及びpH5.2~5.6で40~48時間反応させてイソマルトオリゴ糖溶液を得た。得られた溶液の非反応性物質を濾過し、70~75℃で30分~2時間、活性炭顆粒を充填した炭素カラムを通過させることにより脱色した。続いて、40~50℃及び流量50~150L/分、カチオン交換樹脂(PK218、Samyang Corp)及び陰イオン交換樹脂(WA30、Samyang Corp)を用いて、前述の溶液からイオン性成分を除去した。この後、上記のようにして得た溶液を75~77ブリックスに濃縮して、イソマルトオリゴ糖複合物を得た。
【0045】
(試験例)
イソマルトオリゴ糖複合物中の糖類タイプの組成の分析
前述の実施例1及び比較例1~2に示すようにして得たイソマルトオリゴ糖複合物中の糖類タイプの組成を分析した。具体的には、前述の複合物を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて分析し、結果を以下の表1に示す。このとき、分離カラムとして∫7.8mm×300mmのAminex HPX-42 A糖質カラム(製造者:Bio-Rad)及び∫4.6mm×250mmのYMCポリアミンIIカラムを使用した。
各糖類の含有量は、以下の表1に示される各糖類複合物又はコーンシロップに含まれる糖類の総重量に基づいて百分率に変換された値である。また、イソマルトオリゴ糖の含有量(IMO%)は、食品コード(Food Code)のオリゴ糖分析法を用いて算出されている。
【0046】
【表1】
【0047】
表1に示す結果より、本発明者らは、実施例1において78%よりも高い含有量で、単糖成分であるフルクトース及びグルコースの含有量を確認することができた。一方、本発明者らは、比較例1では、単糖含有量が約69%であり、比較例2では単糖含有量が約25%であることを確認することができた。したがって、実施例1(甘味レベル95~100)は、甘味レベルの高い成分である単糖の含有量が異なるため、実施例1(甘味レベル80~85)及び比較例2(甘味レベル45~50)よりも強い甘味を与えることができる。
【0048】
また、比較例1の場合とは異なり、本発明者らは、実施例1がイソマルトースを含有していないことを確認することができた。したがって、実施例1は、比較例1~2と比較して糖類の組成が異なり、甘味の質及び甘味レベルに特徴的な違いがある。
【0049】
イソマルトオリゴ糖溶液複合物の物理的特性の分析
前述の実施例1及び比較例1~2のイソマルトオリゴ糖複合物の粘度を分析し、結果を下記表1に示す。具体的には、前述の複合物を正確に75.0ブリックスに調整し、粘度計を用いて粘度を分析した。
【0050】
これに使用される粘度計及び条件は、Brookfield、スピンドル番号SCH25、rpm12、20℃であった。
【0051】
【表2】
【0052】
表2に示す結果より、本発明者らは、実施例1の複合物は、比較例1~2の複合物と比較して粘度が低いことを確認することができた。したがって、実施例1の複合物は、比較例2と比較して、流動性が良好で使用しやすいという利点がある。
【0053】
イソマルトオリゴ糖溶液複合物の甘味レベルの比較
前述の実施例1のイソマルトオリゴ糖複合物の甘味レベルを分析した。具体的には、糖類分野の10名の専門の評価者が、希釈した砂糖、及び7、10、13ブリックスの実施例1の複合物を試飲し、相対甘味レベルを測定した。正確な測定のために、試験をブラインド方式で行い、評価者は試飲の合間にきれいな水でうがいをし、試飲の順序が影響しないことを確認した。
【0054】
図2に示される結果より、実施例1のイソマルトオリゴ糖複合物は、96%超の砂糖甘味レベルを示すことが確認された。したがって、前述の複合物は、砂糖を1対1で置き換えることができる甘味料として使用することができる。
【0055】
糖溶液の含有量による甘味レベルの比較
(1)イソマルトオリゴ糖の含有量による甘味レベルの比較
上記実施例1のイソマルトオリゴ糖複合物のイソマルトオリゴ糖の含有量によって、甘味レベル(異性化後)を比較した。具体的には、糖類分野の10名の専門の評価者が、適切な量の砂糖及び実施例1の複合物を試飲し、甘味レベル及び甘味の質を、5段階の等級付けスケール(非常に類似、類似、わずかに類似、弱い、非常に弱い)を用いて評価した。正確な測定のために、試験をブラインド方式で行い、評価者は試飲の合間にきれいな水でうがいをし、試飲の順序が影響しないことを確認した。
【0056】
【表3】
【0057】
表3に示す結果より、イソマルトオリゴ糖含有量が10~35%(固形分)の糖溶液を異性化した場合、甘味レベル及び甘味の質は、砂糖に類似することが確認された。したがって、前述の複合物が食品複合物として使用される場合、10~35%の前述の複合物の含有量を含むことにより、糖を置き換えることができる甘味料として使用できる。
【0058】
(2)グルコース含有量による異性化後の甘味レベルの比較
異性化工程に先立って、イソマルトオリゴ糖複合物の甘味レベルを、糖化工程でのグルコース含有量によって比較した。具体的には、糖化工程において、以下の表4に示すように、グルコースの含有量を調整したことを除いて、実施例1に記載の方法と同一の方法を用いて異性化工程を行うことによって、イソマルトオリゴ糖複合物を製造した。この後、10名の糖類分野の専門の評価者が、10%(重量/重量)砂糖溶液及び10%(重量/重量)の実施例1の複合物を試飲し、固体重量に基づく砂糖の甘味レベルを100として相対的な甘味レベルを測定した。正確な測定のために、試験をブラインド方式で行い、評価者は試飲の合間及び設定された休憩時間にきれいな水でうがいをし、試飲の順序が影響しないことを確認した。
【0059】
【表4】
【0060】
表4に示すように、砂糖溶液中のグルコースの含有量が50~90%超である場合、甘味レベルがより良好な複合物を製造することができる。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2023-10-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イソマルトオリゴ糖複合物を製造する方法であって、
デンプンスラリーを液化酵素に接触させることによって液化溶液を得る工程と、
一次サッカロゲン酵素及び二次サッカロゲン酵素を、前記液化溶液と接触させることにより、イソマルトオリゴ糖糖化液を得る工程と、
イソメラーゼを前記糖化液と接触させることにより、総固体分重量に基づいて、30~40%(重量/重量)のフルクトースを生成する工程と、で構成される方法。
【外国語明細書】