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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023168434
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】電動弁及び冷凍サイクルシステム
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/04 20060101AFI20231116BHJP
【FI】
F16K31/04 Z
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023165107
(22)【出願日】2023-09-27
(62)【分割の表示】P 2020018726の分割
【原出願日】2020-02-06
(71)【出願人】
【識別番号】000143949
【氏名又は名称】株式会社鷺宮製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】中川 大樹
(57)【要約】
【課題】ねじ送り機構によってロータ軸の軸線方向の直線運動に変換して弁部材により弁ポートの開度を制御する電動弁にて、ロータ軸の振れや傾きを抑制して電動弁の作動性を安定化する。
【解決手段】弁ハウジング1側の支持部材2に形成された雌ねじ部21aと、ステッピングモータ6のロータ軸3に形成された雄ねじ部3aとによりねじ送り機構を構成する。ステッピングモータ6のマグネットロータ62の回転運動を、ねじ送り機構によってロータ軸3の軸線X方向の直線運動に変換する。ロータ軸3に連結されたニードル弁5により弁ポート11の開度を制御する。ロータ軸3と一体に軸線X方向に移動する括れ部31(ロータ軸3の一部)と、ロータ軸3を軸線X上に保持する軸ガイド孔21bとの間に,ブッシュ部材71を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁本体側の支持部材に形成された雌ねじ部と、電動モータのロータ軸に形成され前記雌ねじ部の中心に貫通配置された雄ねじ部とを備え、前記電動モータのマグネットロータの回転運動を、前記雌ねじ部と前記雄ねじ部とのねじ送り機構によって該ロータ軸の軸線方向の直線運動に変換し、このロータ軸に連結された弁部材により弁ポートの開度を制御する電動弁において、
前記ロータ軸と一体に前記軸線方向に移動する被ガイド部と、該被ガイド部を挿通して
該被ガイド部を前記軸線上に保持する円筒空洞をなす軸上ガイド孔と、前記被ガイド部と前記軸上ガイド孔との間に該軸上ガイド孔に軽圧入して設けられるブッシュ部材と、を備え、
前記軸上ガイド孔が前記雌ねじ部と同軸に前記支持部材に形成された軸ガイド孔であり、前記被ガイド部が前記ロータ軸の前記雄ねじ部と同軸に形成された括れ部であり、
前記ブッシュ部材は、前記ロータ軸が前記軸線方向に移動するとき、前記括れ部を区画する境界面が前記ブッシュ部材を前記軸線方向に付勢することで、該被ガイド部と該軸上ガイド孔とに軽圧入されていることを特徴とする電動弁。
【請求項2】
前記ブッシュ部材は弾性材から構成され、前記軸上ガイド孔の内周及び前記被ガイド部の外周のそれぞれとの接触面に対し径方向の反対方向に荷重をかけることを特徴とする請求項1に記載の電動弁。
【請求項3】
圧縮機と、凝縮器と、膨張弁と、蒸発器と、を含む冷凍サイクルシステムであって、請求項1又は2に記載の電動弁が、前記膨張弁として用いられている
ことを特徴とする冷凍サイクルシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍サイクルシステムなどに使用する電動弁及び冷凍サイクルシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空気調和機の冷凍サイクルに設けられる電動弁として、例えば特開2016-23711号公報(特許文献1)及び特開2017-25974号公報(特許文献2)に開示されたものがある。これらの電動弁は、電動モータのロータ軸側に雄ねじ部が形成され、このロータ軸が貫通する雌ねじ部が配置され、ロータ軸の下端に弁部材を備えている。そして、電動モータのロータの回転運動を雌ねじ部と雄ねじ部とのねじ送り機構によってロータ軸の軸線方向の直線運動に変換し、弁部材を移動して弁ポートの開度を制御するものである。なお、特許文献1のものでは、電動モータのマグネットロータの回転範囲、すなわち下端位置と上端位置とを規制するストッパ機構を、雌ねじ部を形成した支持部材の外周に設けている。また、特許文献2のものでは、同様なストッパ機構を密閉ケースの天井内部(ロータ軸の端部側)に設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-23711号公報
【特許文献2】特開2017-25974号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記のように雌ねじ部と雄ねじ部とからなるねじ送り機構を利用した電動弁では、ねじ送り機構の作動性を考慮して、雌ねじ部と雄ねじ部との間にクリアランスが必要である。このため、マグネットロータの回転時にロータ軸に振れや傾きが生じる場合があり、この振れが生じると、ロータ軸やこれに連結された部位が摺動部に偏って接触することになり、電動弁の作動性を悪化させる場合がある。
【0005】
本発明は、ねじ送り機構によってロータ軸の軸線方向の直線運動に変換して弁部材により弁ポートの開度を制御する電動弁及びその電動弁を備えた冷凍サイクルシステムにおいて、ロータ軸の振れを抑制して電動弁の作動性を安定化することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電動弁は、弁本体側の支持部材に形成された雌ねじ部と、電動モータのロータ軸に形成され前記雌ねじ部の中心に貫通配置された雄ねじ部とを備え、前記電動モータのマグネットロータの回転運動を、前記雌ねじ部と前記雄ねじ部とのねじ送り機構によって該ロータ軸の軸線方向の直線運動に変換し、このロータ軸に連結された弁部材により弁ポートの開度を制御する電動弁において、前記ロータ軸と一体に前記軸線方向に移動する被ガイド部と、該被ガイド部を挿通して該被ガイド部を前記軸線上に保持する円筒空洞をなす軸上ガイド孔と、前記被ガイド部と前記軸上ガイド孔との間に設けられて該被ガイド部と該軸上ガイド孔とに軽圧入されるブッシュ部材と、を備え、前記軸上ガイド孔との間に該軸上ガイド孔に軽圧入して設けられるブッシュ部材と、を備え、前記軸上ガイド孔が前記雌ねじ部と同軸に前記支持部材に形成された軸ガイド孔であり、前記被ガイド部が前記ロータ軸の前記雄ねじ部と同軸に形成された括れ部であり、前記ブッシュ部材は、前記ロータ軸が前記軸線方向に移動するとき、前記括れ部を区画する境界面が前記ブッシュ部材を前記軸線方向に付勢することで、該被ガイド部と該軸上ガイド孔とに軽圧入されていることを特徴とする。
【0007】
この際、前記軸上ガイド孔が前記雌ねじ部と同軸に前記支持部材に形成された軸ガイド孔であり、前記被ガイド部が前記ロータ軸の前記雄ねじ部と同軸に形成された括れ部であることを特徴とする電動弁が好ましい。
【0008】
また、前記軸上ガイド孔が前記雌ねじ部と同軸に前記支持部材に形成されたスライド孔であり、前記被ガイド部が前記ロータ軸と一体に形成されるとともに前記弁部材を保持して、前記スライド孔内に配置された弁ホルダであることを特徴とする電動弁が好ましい。
【0009】
また、前記ロータ軸の前記弁部材とは反対側の端部に前記マグネットロータの回転範囲を規制するストッパ機構を備え、該ストッパ機構の中央に前記ロータ軸の前記端部が挿通されるガイド管を備え、前記軸上ガイド孔が前記ガイド管の内周の孔であり、前記被ガイド部が前記ロータ軸の前記端部であることを特徴とする電動弁が好ましい。
【0010】
また、前記ブッシュは弾性材から構成され、前記軸上ガイド孔の内周及び前記被ガイド部の外周のそれぞれとの接触面に対し径方向の反対方向に荷重をかけることを特徴とする電動弁が好ましい。
【0011】
本発明の冷凍サイクルシステムは、圧縮機と、凝縮器と、膨張弁と、蒸発器と、を含む冷凍サイクルシステムであって、前記電動弁が、前記膨張弁として用いられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の電動弁及び冷凍サイクルシステムによれば、ロータ軸と一体に軸線方向に移動する被ガイド部と、この被ガイド部を軸線上に保持する軸上ガイド孔との間に、この被ガイド部と軸上ガイド孔とに軽圧入されるブッシュ部材を備えているので、このブッシュ部材により被ガイド部の外周との接触面に対して径方向内側に向けて荷重が、また、軸上ガイド孔の内周との接触面に対して径方向外側に向けて荷重が、即ち被ガイド部の外周及び軸上ガイド孔の内周にはブッシュ部材を挟んで互いに径方向の反対向きに荷重が掛かる。このことから、ねじ送り機構におけるクリアランスによるロータ軸の振れや傾きが抑制され、当該電動弁の作動性が安定する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施形態の電動弁の縦断面図である。
図2】本発明の第1実施形態の電動弁におけるブッシュ部材近傍の要部拡大縦断面図及び平断面図である。
図3】本発明の第1実施形態の電動弁におけるブッシュ部材の作用を説明する図である。
図4】本発明の第2実施形態の電動弁の縦断面図である。
図5】本発明の第3実施形態の電動弁の縦断面図である。
図6】本発明の第4実施形態の電動弁の縦断面図である。
図7】本発明の第5実施形態の電動弁の縦断面図である。
図8】本発明の第6実施形態の電動弁の縦断面図である。
図9】本発明の実施形態の冷凍サイクルシステムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明の電動弁の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は第1実施形態の電動弁の縦断面図、図2は第1実施形態の電動弁におけるブッシュ部材近傍の要部拡大縦断面図及び平断面図であり、図2(B)は図2(A)のA-A断面図である。また、図3は第1実施形態の電動弁におけるブッシュ部材の作用を説明する図である。なお、以下の説明における「上下」の概念は図1の図面における上下に対応する。
【0015】
この電動弁100は、ステンレスや真鍮等の金属部材により形成された「弁本体」としての弁ハウジング1を有しており、弁ハウジング1には弁室1Aと、軸線Xを中心として弁室1Aに開口する円筒形状の弁ポート11とが形成されるとともに、弁ポート11の下
方にはストレート部12が形成されている。さらに、弁ハウジング1には、側面側から弁室1Aに連通する一次継手管111が取り付けられるとともに、軸線X方向の下方端部にストレート部12に連通する二次継手管112が取り付けられている。これにより、弁室1Aと二次継手管112とが導通可能となっている。
【0016】
弁ハウジング1には、上部から弁室1A内に挿通されるように弁ガイド部材13が圧入及びかしめにより取り付けられており、この弁ガイド部材13の中心には弁ガイド孔13aが形成されている。また、弁ハウジング1の上端部には弁ガイド部材13の上端外周部を囲うようにリム1aが形成されており、弁ハウジング1には、リム1aの外周に嵌合するように円筒状のケース14が組み付けられている。このケース14は、リム1aをかしめるとともに、底部外周をろう付けすることにより弁ハウジング1に固着されている。さらに、ケース14の上端開口部には支持部材2が取り付けられている。
【0017】
支持部材2は、合成樹脂製の略円柱状のホルダ部21と、このホルダ部21の弁ハウジング1寄りの端部にインサート成形により一体に設けられたステンレス製のフランジ部22とを有しており、支持部材2は、フランジ部22をケース14の開口周辺に溶接することにより、このケース14に固着されている。この支持部材2のホルダ部21の中心には、弁ポート11の軸線Xと同軸の雌ねじ部21aとそのネジ孔が形成されるとともに、雌ねじ部21aのネジ孔に連なる軸ガイド孔21bが形成され、さらに、この軸ガイド孔21bの内周よりも径の大きな円筒状のスライド孔21cが形成されている。そして、この雌ねじ部21aのネジ孔と、軸ガイド孔21bの中に円柱棒状のロータ軸3が配設されている。ロータ軸3の外周に雄ねじ部3aが形成されており、この雄ねじ部3aはホルダ部21の雌ねじ部21aに螺合されている。
【0018】
ホルダ部21には、その外周に螺旋状の突条からなるガイド雄ネジ211、ガイド雄ネジ211の下側一端に半径方向に突出した下端ストッパ212、及びガイド雄ネジ211の上端部の外周縁に上端ストッパ213がそれぞれ形成されている。また、ガイド雄ネジ211の外周にはコイル状の従動スライダ214が螺合されている。この従動スライダ214は後述のマグネットロータ62の回転に伴って同方向に連れ回され、ガイド雄ネジ211に倣ってロータ軸3と同方向(上下)に移動する。そして、この従動スライダ214が下端ストッパ212または上端ストッパ213に当接することにより、マグネットロータ62の上下の停止位置が規制される。
【0019】
支持部材2のスライド孔21cには弁ホルダ4が軸線X方向に摺動可能に嵌合されており、この弁ホルダ4は下部に「弁部材」としてのニードル弁5を保持している。弁ホルダ4は、筒状の円筒部41の下端にボス部42が固着されるとともに、円筒部41内にバネ受け43と圧縮コイルバネ44とワッシャ45とを備えている。ニードル弁5は、ステンレスや真鍮等の金属部材により形成され、下側先端の半楕円体形状のニードル部51と、このニードル部51から軸線X方向に伸びる円柱棒状のロッド部52と、ロッド部52の上端に形成されたフランジ部53とを有している。そして、ニードル弁5は、弁ホルダ4のボス部42の挿通孔42a内に挿通されるとともに、フランジ部53をボス部42に当接させて弁ホルダ4に取り付けられている。また、ニードル弁5のロッド部52は弁ガイド部材13の弁ガイド孔13a内に挿通されている。また、弁ホルダ4の円筒部41はロータ軸3に係合している。すなわち、ロータ軸3の下端部にはフランジ部3bが一体形成され、このフランジ部3bが円筒部41の上端部と共にワッシャ45を挟み込み、ロータ軸3の下端部は円筒部41の上端部で回転可能に係合している。この係合により、弁ホルダ4がロータ軸3によって回転可能に吊り下げた状態で支持されている。
【0020】
ケース14の上端には密閉ケース61が溶接等によって気密に固定され、密閉ケース61内には、外周部を多極に着磁されたマグネットロータ62と、その中心に固着されたロ
ータ軸3とが設けられている。また、密閉ケース61の外周にはステータコイル63が配設されており、マグネットロータ62、ロータ軸3及びステータコイル63はステッピングモータ6を構成している。そして、ステータコイル63にパルス信号が与えられることにより、そのパルス数に応じてマグネットロータ61が回転されてロータ軸3が回転する。
【0021】
以上の構成により、ステッピングモータ6が駆動されると、マグネットロータ62及びロータ軸3が回転し、ロータ軸3の雄ねじ部3aと支持部材2の雌ねじ部21aとのねじ送り機構により、ロータ軸3は軸線X方向に移動する。この回転に伴うロータ軸3の軸線X方向移動によって弁ホルダ4と共にニードル弁5が軸線X方向に移動する。そして、ニードル弁5は、ニードル部51を弁ポート11内に挿通させた状態で軸線X方向に進退させて弁ポート11の開口面積を増減させる。これにより、一次継手管111から二次継手管112へ、または二次継手管112から一次継手管111へ流れる流体(冷媒)の流量が制御される。
【0022】
支持部材2における軸ガイド孔21bは円筒状の空洞であり、「軸上ガイド孔」を構成している。また、この軸ガイド孔21bに挿通されるロータ軸3とは、雄ねじ部3aと一体に軸線X方向に移動するとともに、軸ガイド孔21bによって軸線X上に保持される「被ガイド部」を構成している。そして、この第1実施形態では、ロータ軸3の雄ねじ部3aの下部に形成された括れ部31に、ブッシュ部材71が配設されている。
【0023】
図2(B)に示すように、ブッシュ部材71はC型形状の弾性材から構成されており、ロータ軸3の括れ部31に嵌め込まれている。そして、このブッシュ部材71が支持部材2の軸ガイド孔21b内に軽圧入されることで、このブッシュ部材71の外周は軸ガイド孔21bの内面に接触されるとともに、この軸ガイド孔21bの内周面との間の摺動抵抗は小さく保持されている。そして、図3(A)の状態から図3(B)の状態となるように、ロータ軸3が弁閉方向(下方)に移動するとき、雄ねじ部3aがブッシュ部材71を下方に付勢し、ブッシュ部材71は軸ガイド孔21bの内周面に対して外径方向に荷重をかける。同時にブッシュ部材71はロータ軸3の括れ部31の外周面に対して内径方向に荷重をかける。これにより、雄ねじ部3aと雌ねじ部21aとからなる「ねじ送り機構」におけるクリアランスによるロータ軸3の振れや傾きが抑制される。したがって、当該電動弁の作動性が安定する。
【0024】
図4は第2実施形態の電動弁の縦断面図であり、以下の各実施形態において同様な部材、同様な要素には同じ符号を付記して詳細な説明は省略する。図4の第2実施形態において第1実施形態と異なる点は、円筒状の弁ホルダ4′をロータ軸3の下端にロータ軸3と一体に形成し、この弁ホルダ4′の外周にブッシュ部材72を配設したものである。すなわち、この第2実施形態では、支持部材2におけるスライド孔21cは円筒状の空洞であり、「軸上ガイド孔」を構成している。また、このスライド孔21cに挿通される弁ホルダ4′は、雄ねじ部3a(及びロータ軸3)と一体に軸線X方向に移動するとともに、スライド孔21cによって軸線X上に保持される「被ガイド部」を構成している。そして、この第2実施形態では、弁ホルダ4′の周囲に形成された括れ部4a′に、ブッシュ部材72が配設されている。なお、この実施形態では、弁ホルダ4′内において、バネ受け43′と圧縮コイルバネ44′とによりニードル弁5を保持している。
【0025】
この第2実施形態では、ブッシュ部材72が支持部材2のスライド孔21c内に軽圧入されることで、このブッシュ部材72の外周はスライド孔21cの内面に接触されるとともに、このスライド孔21cの内周面との間の摺動抵抗は小さく保持されている。そして、ロータ軸3が弁閉方向(下方)に移動するとき、ブッシュ部材72はスライド孔21cの内周面に対して外径方向に荷重をかける。同時にブッシュ部材72は弁ホルダ4′に形
成された括れ部4a′の外周面に対して内径方向に荷重をかける。これにより、雄ねじ部3aと雌ねじ部21aとからなる「ねじ送り機構」におけるクリアランスによるロータ軸3の振れや傾きが抑制される。したがって、当該電動弁の作動性が安定する。なお、ブッシュ部材72も第1実施形態と同様にC型形状の弾性材から構成されてもよい。
【0026】
図5は第3実施形態の電動弁の縦断面図であり、この第3実施形態では、第2実施形態と同様に弁ホルダ4′と支持部材2のスライド孔21cとの間にブッシュ部材73を配設したものであり、この第3実施形態では、スライド孔21cの内周の括れ部(凹部)21c1にブッシュ部材73を嵌め込んだものである。この第3実施形態の作用は第2実施形態と同様であり、支持部材2におけるスライド孔21cは円筒状の空洞をなす「軸上ガイド孔」を構成し、弁ホルダ4′はスライド孔21cによって軸線X上に保持される「被ガイド部」を構成している。そして、この第3実施形態では、ブッシュ部材73内に弁ガイド4′が軽圧入されることで、このブッシュ部材73の内周は弁ガイド4′の外周面に接触されるとともに、この弁ガイド4′の外周面との間の摺動抵抗は小さく保持されている。そして、ロータ軸3が弁閉方向(下方)に移動するとき、ブッシュ部材73は弁ガイド4′の外周面に対して内径方向に荷重をかける。同時にブッシュ部材73はスライド孔21cの内周の括れ部(凹部)21c1の内周面に対して外径方向に荷重をかける。これにより、雄ねじ部3aと雌ねじ部21aとからなる「ねじ送り機構」におけるクリアランスによるロータ軸3の振れや傾きが抑制される。したがって、当該電動弁の作動性が安定する。なお、ブッシュ部材73も第1実施形態と同様にC型形状の弾性材から構成されてもよい。
【0027】
図6は第4実施形態の電動弁の縦断面図であり、この第4実施形態の電動弁は、「電動モータ」としてのステッピングモータ10と、「弁本体」としての弁ハウジング20と、弁機構部30と、非磁性体からなる密閉ケース40とを備えている。
【0028】
密閉ケース40は、上端部が塞がれた略円筒形状に形成されており、弁ハウジング20の上端に溶接等によって気密に固定されている。ステッピングモータ10は、前記実施形態と同様なロータ軸3と、密閉ケース40の内部に回転可能に配設されたマグネットロータ10bと、密閉ケース40の外周においてマグネットロータ10bに対して対向配置されたステータコイル10cと、その他、図示しないヨークや外装部材等により構成されている。ロータ軸3はマグネットロータ10bの中心に取り付けられ、このロータ軸3は弁機構部30側に延設されている。
【0029】
弁ハウジング20はステンレス等で略円筒形状に形成されており、その内側に弁室20Rを有している。弁ハウジング20の外周片側には弁室20Rに導通される一次継手管111が接続されるとともに、下端から下方に延びる筒状部に二次継手管112が接続されている。二次継手管112の弁室20R側には弁ポート20c1を有する弁座リング20cが嵌合されており、二次継手管112は弁ポート20c1を介して弁室20Rに導通される。
【0030】
弁機構部30は、支持部材30aと、弁ホルダ4′と、「弁部材」としてのニードル弁30cとを有している。支持部材30aは例えば合成樹脂製で略円柱形状に形成されて、その外周にはインサート成形により一体に設けられた金属製のフランジ部30dを有し、支持部材30aはフランジ部30dを介して弁ハウジング20の上端部に固定されている。また、支持部材30aの中心には、ロータ軸3の軸線Xと同軸の雌ねじ部30a1とそのねじ孔が形成されるとともに、雌ねじ部30a1のねじ孔よりも径の大きな円筒状の「軸上ガイド孔」としてのスライド孔30eが形成されている。
【0031】
円筒状の弁ホルダ4′は第2実施形態及び第3実施形態と同様にロータ軸3の下端にロ
ータ軸3と一体に形成されたものである。そして、この弁ホルダ4′と支持部材30aのスライド孔30eとの間にブッシュ部材74が配設されている。この第4実施形態では、スライド孔30eの内周の括れ部(凹部)30e1にブッシュ部材74を嵌め込んだものである。すなわち、この第4実施形態では、支持部材30におけるスライド孔30eは円筒状の空洞であり、「軸上ガイド孔」を構成している。また、このスライド孔30eに挿通される弁ホルダ4′は、雄ねじ部3a(及びロータ軸3)と一体に軸線X方向に移動するとともに、スライド孔30eによって軸線X上に保持される「被ガイド部」を構成している。なお、この第4実施形態では、弁ホルダ4′内において、バネ受け43′と圧縮コイルバネ44′とによりニードル弁30cを保持している。
【0032】
そして、この第4実施形態では、ブッシュ部材74内に弁ガイド4′が軽圧入されることで、このブッシュ部材74の内周は弁ガイド4′の外周面に接触されるとともに、この弁ガイド4′の外周面との間の摺動抵抗は小さく保持されている。そして、ロータ軸3が弁閉方向(下方)に移動するとき、ブッシュ部材74は弁ガイド4′の外周面に対して内径方向に荷重をかける。同時にブッシュ部材74はスライド孔30eの括れ部(凹部)30e1の内周面に対して外径方向に荷重をかける。これにより、雄ねじ部3aと雌ねじ部30a1とからなる「ねじ送り機構」におけるクリアランスによるロータ軸3の振れや傾きが抑制される。したがって、当該電動弁の作動性が安定する。
【0033】
なお、この第4実施形態では、密閉ケース40内の上部に内ケース81が嵌合され、この内ケース81の中央のガイド管82内に軸受部材83が嵌め込まれている。軸受部材83の内部にはロータ軸3の上端部(端部)が挿通され、ロータ軸3は軸受部材83の内部に回動自在に嵌め込まれている。また、内ケース81のガイド管82の外周には回転ストッパ機構が構成されている。すなわち、、ガイド管82の外周に螺旋ガイド線体84が装着されるとともに螺旋ガイド線体84に螺合した可動ストッパ部材85が設けられている。そして、マグネットロータ10bの回転に伴って可動ストッパ部材85が螺旋ガイド線体83との螺合によって旋回しながら上下動し、可動ストッパ部材85が、螺旋ガイド線体83の下端ストッパ83aまたは内ケース81の上端ストッパ81aに当接することによって、マグネットロータ10bの回転範囲、すなわち下端位置と上端位置とが規制される。
【0034】
図7は第5実施形態の電動弁の縦断面図であり、この第5実施形態において第4実施形態と異なる点は、弁ホルダ4′の周囲に形成された括れ部4a′に、ブッシュ部材75を配設した点であり、その他の構成は第4実施形態と同様である。
【0035】
そして、この第5実施形態では、ブッシュ部材75が支持部材30のスライド孔30e内に軽圧入されることで、このブッシュ部材75の外周はスライド孔30eの内面に接触されるとともに、このスライド孔30eの内周面との間の摺動抵抗は小さく保持されている。そして、ロータ軸3が弁閉方向(下方)に移動するとき、ブッシュ部材75はスライド孔30eの内周面に対して外径方向に荷重をかける。同時にブッシュ部材75は弁ホルダ4′に形成された括れ部4a′の外周面に対して内径方向に荷重をかける。これにより、雄ねじ部3aと雌ねじ部30a1とからなる「ねじ送り機構」におけるクリアランスによるロータ軸3の振れや傾きが抑制される。したがって、当該電動弁の作動性が安定する。
【0036】
図8は第6実施形態の電動弁の縦断面図であり、この第6実施形態において第4実施形態及び第5実施形態と異なる点は、弁ホルダ4の内部の構造と、弁ホルダ4とロータ軸3との連結構造とが、第1実施形態と同様になっている点と、回転ストッパ機構の内側にブッシュ部材76を設けた点である。その他の構成は第4実施形態及び第5実施形態と同様である。
【0037】
この第6実施形態では、内ケース41の中央のガイド管42内にロータ軸3の上端部3Aが配設されるとともに、このロータ軸3の上端部3Aの外周にブッシュ部材76が配設されている。すなわち、この第6実施形態では、内ケース41の中央のガイド管42は円筒状の空洞であり、ガイド管42の内周が「軸上ガイド孔」を構成している。また、このガイド管42に挿通されるロータ軸3の上端部の括れ部3Aは、雄ねじ部3a(及びロータ軸3)と一体に軸線X方向に移動するとともに、ガイド管42によって軸線X上に保持される「被ガイド部」を構成している。
【0038】
そして、この第6実施形態では、ガイド管42内にブッシュ部材76(及びロータ軸の上端部3A)が軽圧入されることで、このブッシュ部材76の外周はガイド管42の内周面に接触されるとともに、このガイド管42の内周面との間の摺動抵抗は小さく保持されている。そして、ロータ軸3が弁閉方向(下方)に移動するとき、ブッシュ部材76はガイド管42の内周面に対して外径方向に荷重をかける。同時にブッシュ部材76はロータ軸3の括れ部3Aの外周面に対して内径方向に荷重をかける。これにより、雄ねじ部3aと雌ねじ部30a1とからなる「ねじ送り機構」におけるクリアランスによるロータ軸3の振れや傾きが抑制される。したがって、当該電動弁の作動性が安定する。なお、ブッシュ部材76は、C型形状の弾性材から構成されてもよい。
【0039】
なお、各実施形態においてブッシュ部材は、C型形状の弾性材を例としたが、形状はこれに限らず被ガイド部と軸上ガイド孔に径方向の反対向きに荷重をかけられるものであれば良い。
【0040】
図9は実施形態の冷凍サイクルシステムを示す図である。図において、符号100は膨張弁を構成する本発明の実施形態の電動弁、200は室外ユニットに搭載された室外熱交換器、300は室内ユニットに搭載された室内熱交換器、400は四方弁を構成する流路切換弁、500は圧縮機である。電動弁100、室外熱交換器200、室内熱交換器300、流路切換弁400、及び圧縮機500は、それぞれ導管によって図示のように接続され、ヒートポンプ式の冷凍サイクルを構成している。なお、アキュムレータ、圧力センサ、温度センサ等は図示を省略してある。
【0041】
冷凍サイクルの流路は、流路切換弁400により冷房運転時の流路と暖房運転時の流路の2通りに切換えられる。冷房運転時には、図に実線の矢印で示したように、圧縮機500で圧縮された冷媒は流路切換弁400から室外熱交換器200に流入され、この室外熱交換器200は凝縮器として機能し、室外熱交換器200から流出された液冷媒は電動弁100を介して室内熱交換器300に流入され、この室内熱交換器300は蒸発器として機能する。
【0042】
一方、暖房運転時には、図に破線の矢印で示したように、圧縮機500で圧縮された冷媒は流路切換弁400から室内熱交換器300、電動弁100、室外熱交換器200、流路切換弁400、そして、圧縮機500の順に循環され、室内熱交換器300が凝縮器として機能し、室外熱交換器200が蒸発器として機能する。電動弁100は、冷房運転時に室外熱交換器200から流入する液冷媒、または暖房運転時に室内熱交換器300から流入する液冷媒を、それぞれ減圧膨張し、さらにその冷媒の流量を制御する。
【0043】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0044】
1 弁ハウジング
1A 弁室
11 弁ポート
12 ストレート部
13 弁ガイド部材
13a 弁ガイド孔
14 ケース
111 一次継手管
112 二次継手管
X 軸線
2 支持部材
21 ホルダ部
22 フランジ部
21a 雌ねじ部
21b 軸ガイド孔
21c スライド孔
211 ガイド雄ネジ
212 下端ストッパ
213 上端ストッパ
214 従動スライダ
3 ロータ軸
3a 雄ねじ部
4 弁ホルダ
1 ニードル弁
41 円筒部
42 ボス部
43 バネ受け
44 圧縮コイルバネ
45 ワッシャ
51 ニードル部
52 ロッド部
53 フランジ部
61 密閉ケース
62 マグネットロータ
63 ステータコイル
2 ステッピングモータ
71 ブッシュ部材
72 ブッシュ部材
73 ブッシュ部材
74 ブッシュ部材
75 ブッシュ部材
76 ブッシュ部材
100 電動弁
200 室外熱交換器
300 室内熱交換器
400 流路切換弁
500 圧縮機
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9