(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023168437
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】ベツリン含有白樺樹皮抽出物およびその製剤
(51)【国際特許分類】
A61K 36/185 20060101AFI20231116BHJP
A61K 9/06 20060101ALI20231116BHJP
A61K 9/10 20060101ALI20231116BHJP
A61K 9/12 20060101ALI20231116BHJP
A61K 9/70 20060101ALI20231116BHJP
A61K 31/045 20060101ALI20231116BHJP
A61K 31/047 20060101ALI20231116BHJP
A61K 31/19 20060101ALI20231116BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20231116BHJP
A61K 47/06 20060101ALI20231116BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20231116BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20231116BHJP
A61K 47/24 20060101ALI20231116BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20231116BHJP
A61K 47/44 20170101ALI20231116BHJP
A61L 15/44 20060101ALI20231116BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20231116BHJP
A61P 17/02 20060101ALI20231116BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20231116BHJP
A61L 15/40 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
A61K36/185
A61K9/06
A61K9/10
A61K9/12
A61K9/70 401
A61K31/045
A61K31/047
A61K31/19
A61K45/00
A61K47/06
A61K47/10
A61K47/14
A61K47/24
A61K47/26
A61K47/44
A61L15/44 100
A61P17/00
A61P17/02
A61P43/00 121
A61L15/40 100
【審査請求】有
【請求項の数】46
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023166010
(22)【出願日】2023-09-27
(62)【分割の表示】P 2020528872の分割
【原出願日】2019-01-04
(31)【優先権主張番号】62/613,646
(32)【優先日】2018-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519018211
【氏名又は名称】アムリット・リサーチ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・アシュリー・ワトソン
(72)【発明者】
【氏名】セバスティアン・イェーガー
(72)【発明者】
【氏名】トビアス・ザーン
(57)【要約】
【課題】本発明が解決しようとする課題は、患者の状態を悪化させることなく、皮膚に塗布されうる固形白樺樹皮抽出物を含有する創傷治癒製剤を提供することである。
【解決手段】本発明は、少なくとも約70重量%のベツリンと、ベツリン酸、オレアノール酸、エリスロジオールおよびルペオールからなる群から選択される一つまたは複数のトリテルペンとを含む、固形白樺樹皮抽出物に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも約70重量%のベツリンと、ベツリン酸、オレアノール酸、エリスロジオールおよびルペオールからなる群から選択される一つまたは複数のトリテルペンとを含む、固形白樺樹皮抽出物。
【請求項2】
前記固形白樺抽出物が、以下のHPLC法にしたがってクロマトグラフ化されたときに、
図1に実質的に同一であるHPLCクロマトグラムを有し、
【表1】
前記ベツリン酸が、約0.75~0.90の相対保持時間を有し、前記オレアノール酸が約0.84~0.97の相対保持時間を有し、前記ベツリンが1.00の相対保持時間を有し、前記エリスロジオールが約1.25~1.40の相対保持時間を有し、前記ルペオールが約3.50~4.15の相対保持時間を有する、請求項1に記載の固形白樺樹皮抽出物。
【請求項3】
(a) 白樺樹皮を薬学的に許容可能な溶媒に接触させ、それによってベツリンおよび一つまたは複数のトリテルペンを含む抽出溶液を形成することと、
(b) 前記白樺樹皮を前記抽出溶液から分離することと、
(c) 前記抽出溶液を冷却し、それによって前記ベツリンの一部および一つまたは複数のトリテルペンが前記冷却された抽出溶液から結晶化することと、
(d) 前記冷却された抽出溶液から、前記結晶化したベツリンおよび一つまたは複数のトリテルペンを分離することと、
(e) 前記分離された結晶化したベツリンおよび一つまたは複数のトリテルペンを乾燥させて、前記固形白樺樹皮抽出物を提供することと、を含むプロセスによって調製され、
乾燥後、精製されたヒマワリ油中に分散されたステップ(e)の約1重量%~約20重量%の前記乾燥固形白樺樹皮抽出物が、オレオゲルを形成する、請求項1または請求項2に記載の固形白樺樹皮抽出物。
【請求項4】
一つまたは複数のステップ(a)、(c)、および(e)は、以下の条件:
(i)ステップ(a)の前記接触は、約60℃~約130℃の温度で実施される;
(ii)ステップ(c)の前記冷却は、約-20℃~約35℃の温度で実施される;
(iii)ステップ(e)の前記乾燥は、約70mbar未満の圧力で約75℃~約95℃の温度で実施される、請求項3に記載の固形白樺樹皮抽出物。
【請求項5】
二つ以上のステップ(a)、(c)、および(e)は、以下の条件:
(i)ステップ(a)の前記接触は、約60℃~約130℃の温度で実施される;
(ii)ステップ(c)の前記冷却は、約-20℃~約35℃の温度で実施される;
(iii)ステップ(e)の前記乾燥は、約70mbar未満の圧力で約75℃~約95℃の温度で実施される、請求項3に記載の固形白樺樹皮抽出物。
【請求項6】
ステップ(a)、(c)、および(e)は、以下の条件:
(i)ステップ(a)の前記接触は、約60℃~約130℃の温度で実施される;
(ii)ステップ(c)の前記冷却は、約-20℃~約35℃の温度で実施される;
(iii)ステップ(e)の前記乾燥は、約70mbar未満の圧力で約75℃~約95℃の温度で実施される、請求項3に記載の固形白樺樹皮抽出物。
【請求項7】
前記薬学的に許容可能な溶媒が、炭化水素またはアルコール、またはその組み合わせである、請求項3~6のいずれか一項に記載の固形白樺樹皮抽出物。
【請求項8】
前記薬学的に許容可能な溶媒が、n-ペンタン、n-ヘキサン、またはn-ヘプタンからなる群から選択される炭化水素である、請求項3~7のいずれか一項に記載の固形白樺樹皮抽出物。
【請求項9】
前記薬学的に許容可能な溶媒が、n-ヘプタンであり、前記接触が、約60℃~約130℃の温度で、約8~12分間実施される、請求項8に記載の固形白樺樹皮抽出物。
【請求項10】
ステップ(c)で、前記冷却された抽出溶液が少なくとも約2倍過飽和される、請求項3~9のいずれか一項に記載の固形白樺樹皮抽出物。
【請求項11】
前記冷却された抽出溶液が約5倍過飽和される、請求項10に記載の固形白樺樹皮抽出物。
【請求項12】
残留抽出溶媒の量が約0.5重量%以下である、請求項3~11のいずれかに記載の固形白樺樹皮抽出物。
【請求項13】
約50μm未満の平均粒径を有し、約80重量%~約99重量%の一つまたは複数の非極性液体に分散された、約1重量%~約20重量%の請求項1~12のいずれか一項に記載の固形白樺樹皮抽出物の粒子を含むオレオゲル。
【請求項14】
前記分散された固形白樺樹皮抽出物の粒子が、前記オレオゲル中の唯一のオレオゲル形成剤である、請求項13に記載のオレオゲル。
【請求項15】
約10重量%の前記固形白樺樹皮抽出物の粒子を含む、請求項13に記載のオレオゲル。
【請求項16】
前記非極性液体が少なくとも一つのトリグリセリドを含む、請求項13または15に記載のオレオゲル。
【請求項17】
前記非極性液体が少なくとも一つのC7またはそれ以上の炭化水素を含む、請求項13または15に記載のオレオゲル。
【請求項18】
前記非極性液体が一つまたは複数の植物油を含む、請求項16に記載のオレオゲル。
【請求項19】
前記非極性液体がヒマワリ油を含む、請求項18に記載のオレオゲル。
【請求項20】
前記非極性液体が約10未満の過酸化物価を有する、請求項13~19のいずれか一項に記載のオレオゲル。
【請求項21】
前記過酸化物価が約3以下である、請求項20に記載のオレオゲル。
【請求項22】
前記オレオゲルが、約50μmを超えるサイズを有する固形白樺樹皮抽出物の粒子を実質的に含まない、請求項13~21のいずれか一項に記載のオレオゲル。
【請求項23】
前記オレオゲルが滅菌である、請求項13~22のいずれか一項に記載のオレオゲル。
【請求項24】
前記オレオゲルが、約20kGy未満の用量でイオン化照射によって滅菌される、請求項23に記載のオレオゲル。
【請求項25】
前記オレオゲルが、約11~約20kGyの範囲の用量でイオン化照射によって滅菌される、請求項24に記載のオレオゲル。
【請求項26】
前記オレオゲルからの前記非極性液体の前記分離が、25℃で30分間、2750gで遠心分離した後で、約10%未満である、請求項13~25のいずれか一項に記載のオレオゲル。
【請求項27】
円錐平板粘度計を使用して、Ph.Eur.2.2.10に記載の回転粘度計法にしたがって測定すると、前記オレオゲルの200/sでの粘度が、約0.5~約4.0Pa.sの範囲であり、前記オレオゲルのチキソトロピー値が、約200~約1200Pa.sの範囲である、請求項13~26のいずれか一項に記載のオレオゲル。
【請求項28】
前記オレオゲルのコンシステンシーが、テクスチャーアナライザーの使用にしたがって測定されると、約300~3000mNの範囲である、請求項13~27のいずれか一項に記載のオレオゲル。
【請求項29】
殺菌剤をさらに含む、請求項13~28のいずれか一項に記載のオレオゲル。
【請求項30】
前記殺菌剤が、エタノール、n-プロパノール、およびイソプロパノールからなる群から選択される、請求項29に記載のオレオゲル。
【請求項31】
親油性抗生物質をさらに含む、請求項13~28のいずれか一項に記載のオレオゲル。
【請求項32】
滅菌創傷被覆材であって、
(a)パッドと、
(b)前記パッドの少なくとも一つの表面上に配置された、請求項13~31のいずれかに記載のオレオゲルを含む、治療有効層と、を含む滅菌創傷被覆材。
【請求項33】
前記パッドが吸収性パッドである、請求項32に記載の滅菌創傷被覆材。
【請求項34】
(a) 白樺樹皮を薬学的に許容可能な溶媒に接触させ、それによってベツリンおよび一つまたは複数のトリテルペンを含む抽出溶液を形成することと、
(b) 前記白樺樹皮を前記抽出溶液から分離することと、
(c) 前記抽出溶液を冷却し、それによって前記ベツリンの一部および一つまたは複数のトリテルペンが前記冷却された抽出溶液から結晶化することと、
(d) 前記冷却された抽出溶液から、前記結晶化したベツリンおよび一つまたは複数のトリテルペンを分離することと、
(e) 前記分離された結晶化したベツリンおよび一つまたは複数のトリテルペンを乾燥させて、前記固形白樺樹皮抽出物を提供することと、を含み、
乾燥後、精製されたヒマワリ油中に分散されたステップ(e)の約1重量%~約20重量%の前記乾燥固形白樺樹皮抽出物が、オレオゲルを形成する、請求項1または請求項2に記載の固形白樺樹皮抽出物を調製する方法。
【請求項35】
一つまたは複数のステップ(a)、(c)、および(e)は、以下の条件:
(i) ステップ(a)の前記接触は、約60℃~約130℃の温度で実施される;
(ii) ステップ(c)の前記冷却は、約-20℃~約35℃の温度で実施される;
(iii) ステップ(e)の前記乾燥は、約70mbar未満の圧力で約75℃~約95℃の温度で実施される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
二つ以上のステップ(a)、(c)、および(e)は、以下の条件:
(i) ステップ(a)の前記接触は、約60℃~約130℃の温度で実施される;
(ii) ステップ(c)の前記冷却は、約-20℃~約35℃の温度で実施される;
(iii) ステップ(e)の前記乾燥は、約70mbar未満の圧力で約75℃~約95℃の温度で実施される、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
ステップ(a)、(c)、および(e)は、以下の条件:
(i) ステップ(a)の前記接触は、約60℃~約130℃の温度で実施される;
(ii) ステップ(c)の前記冷却は、約-20℃~約35℃の温度で実施される;
(iii) ステップ(e)の前記乾燥は、約70mbar未満の圧力で約75℃~約95℃の温度で実施される、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
前記薬学的に許容可能な溶媒が、n-ペンタン、n-ヘキサン、またはn-ヘプタンからなる群から選択される炭化水素である、請求項34に記載の方法。
【請求項39】
前記薬学的に許容可能な溶媒が、n-ヘプタンであり、前記接触が、約115℃~約130℃の温度で、約8~12分間実施される、請求項34~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
ステップ(c)で、前記冷却された抽出溶液が少なくとも約2倍過飽和される、請求項34~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記冷却された抽出溶液が約5倍過飽和される、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
残留抽出溶媒の量が約0.5重量%以下である、請求項34~41のいずれかに記載の方法。
【請求項43】
請求項1~12のいずれかに記載の固形白樺樹皮抽出物を含む乳濁液。
【請求項44】
請求項13~31のいずれかに記載のオレオゲルを含む乳濁液。
【請求項45】
前記乳濁液が油中水型乳濁液である、請求項43または44に記載の乳濁液。
【請求項46】
実質的に乳化剤を含まない、請求項45に記載の乳濁液。
【請求項47】
本質的に前記固形白樺樹皮抽出物またはオレオゲル、油、および水からなる、請求項43~46のいずれか一項に記載の乳濁液。
【請求項48】
前記オレオゲル、油、および水からなる、請求項44~46のいずれか一項に記載の乳濁液。
【請求項49】
殺菌剤をさらに含む、請求項43~46のいずれか一項に記載の乳濁液。
【請求項50】
前記殺菌剤が、エタノール、n-プロパノール、およびイソプロパノールからなる群から選択される、請求項49に記載の乳濁液。
【請求項51】
親油性抗生物質をさらに含む、請求項43~46のいずれか一項に記載の乳濁液。
【請求項52】
請求項43~51のいずれか一項に記載の乳濁液を含む発泡体。
【請求項53】
殺菌剤をさらに含む、請求項52に記載の発泡体。
【請求項54】
前記殺菌剤が、エタノール、n-プロパノール、およびイソプロパノールからなる群から選択される、請求項53に記載の発泡体。
【請求項55】
親油性抗生物質をさらに含む、請求項52に記載の発泡体。
【請求項56】
前記乳濁液の界面張力が約4mN/mよりも大きい、請求項52~55のいずれかに記載の発泡体。
【請求項57】
発泡指数が、約2より大きい、請求項52~56のいずれかに記載の発泡体。
【請求項58】
前記オレオゲルが、約5重量%~約10重量%の固形白樺樹皮抽出物からなり、前記乳濁液が、前記オレオゲルおよび約20重量%~約30重量%の水からなる油中水型乳濁液である、請求項52に記載の発泡体。
【請求項59】
前記オレオゲルが、約7重量%の固形白樺樹皮抽出物からなり、前記乳濁液中の水の量が、約25重量%である、請求項58に記載の発泡体。
【請求項60】
ホスファチジルコリン、ポリグリセリル-3-ジステアリン酸メチルグルコース、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、乳化剤をさらに含む、請求項52~56のいずれか一項に記載の発泡体。
【請求項61】
請求項43~51のいずれか一項に記載の乳濁液と、薬学的に許容可能な噴射剤とを含む混合物で充填された加圧容器であって、前記容器から前記混合物の少なくとも一部をデカントする際に、前記乳濁液が発泡体を形成する、加圧容器。
【請求項62】
請求項13~31のいずれか一項に記載のオレオゲルを、創傷の少なくとも一部に局所投与することを含む、患者の創傷を治療する方法。
【請求項63】
創傷を治療する方法で使用するための、請求項13~31のいずれか一項に記載のオレオゲル。
【請求項64】
前記創傷が、火傷、外科手術皮膚病変、体表損傷、慢性創傷、褥瘡、糖尿病性足部潰瘍、慢性静脈潰瘍、動脈不全潰瘍、エステティック皮膚治療による創傷、アブレーションレーザー皮膚治療による創傷、ケミカルピーリングによる創傷、皮膚剥離による創傷、薬の副作用により生じる創傷、中毒性表皮壊死症により生じる創傷、ライエル症候群により生じる創傷、スティーブンス・ジョンソン症候群により生じる創傷、および放射線による皮膚炎により生じる創傷からなる群から選択される、請求項63に記載の使用のための方法またはオレオゲル。
【請求項65】
請求項43~51のいずれか一項に記載の乳濁液を、創傷の少なくとも一部に局所投与することを含む、患者の創傷を治療する方法。
【請求項66】
創傷を治療する方法で使用するための、請求項43~51のいずれか一項に記載の乳濁液。
【請求項67】
前記創傷が、火傷、外科手術皮膚病変、体表損傷、慢性創傷、褥瘡、糖尿病性足部潰瘍、慢性静脈潰瘍、動脈不全潰瘍、エステティック皮膚治療による創傷、アブレーションレーザー皮膚治療による創傷、ケミカルピーリングによる創傷、皮膚剥離による創傷、薬の副作用により生じる創傷、中毒性表皮壊死症により生じる創傷、ライエル症候群により生じる創傷、スティーブンス・ジョンソン症候群により生じる創傷、および放射線による皮膚炎により生じる創傷からなる群から選択される、請求項66に記載の使用のための方法または乳濁液。
【請求項68】
請求項52~60のいずれか一項に記載の発泡体を、創傷の少なくとも一部に局所投与することを含む、患者の創傷を治療する方法。
【請求項69】
創傷を治療する方法で使用するための、請求項52~60のいずれか一項に記載の発泡体。
【請求項70】
前記創傷が、火傷、外科手術皮膚病変、体表損傷、慢性創傷、褥瘡、糖尿病性足部潰瘍、慢性静脈潰瘍、動脈不全潰瘍、エステティック皮膚治療による創傷、アブレーションレーザー皮膚治療による創傷、ケミカルピーリングによる創傷、皮膚剥離による創傷、薬の副作用により生じる創傷、中毒性表皮壊死症により生じる創傷、ライエル症候群により生じる創傷、スティーブンス・ジョンソン症候群により生じる創傷、および放射線による皮膚炎により生じる創傷からなる群から選択される、請求項69に記載の使用のための方法または発泡体。
【請求項71】
患者の表皮水疱症の領域に、請求項13~31のいずれか一項に記載のオレオゲルを局所投与することを含む、それを必要とする前記患者の表皮水疱症を治療する方法。
【請求項72】
表皮水疱症を治療する方法で使用するための、請求項13~31のいずれか一項に記載のオレオゲル。
【請求項73】
患者の表皮水疱症の領域に、請求項43~51のいずれか一項に記載の乳濁液を局所投与することを含む、それを必要とする前記患者の表皮水疱症を治療する方法。
【請求項74】
表皮水疱症を治療する方法で使用するための、請求項43~51のいずれか一項に記載の乳濁液。
【請求項75】
患者の表皮水疱症の領域に、請求項52~60のいずれか一項に記載の発泡体を局所投与することを含む、それを必要とする前記患者の表皮水疱症を治療する方法。
【請求項76】
表皮水疱症を治療する方法で使用するための、請求項52~60のいずれか一項に記載の発泡体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年1月4日出願の米国仮出願第62/613,646号の利益を主張し、その全内容はあらゆる目的においてその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、白樺樹皮の抽出物に由来する医薬製剤に関する。
【背景技術】
【0003】
白樺樹皮抽出物に見られるトリテルペンは、創傷治癒特性を有することが公知である。白樺樹皮からこれらのトリテルペンを抽出する方法は、米国特許第7,482,383号に報告されている。これらの方法は、医薬製剤で使用されうる固形白樺樹皮抽出物を提供する。例えば、このような抽出物を含有する乳濁液は、米国特許第7,482,383号に記載されており、このような抽出物を含有するオレオゲルは、米国特許第9,352,041号、第8,828,444号、および第8,536,380号に記載されている。
【0004】
創傷治癒における臨床的使用については、治療が必要な皮膚の領域に触れることによって、オレオゲルを塗布する必要がある。接触塗布は、特定の皮膚状態(例えば、表皮水疱症)の治療に不利であり、これはオレオゲルを塗布する単純な作用が皮膚状態の悪化につながる場合があるためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国仮出願第62/613,646号
【特許文献2】米国特許第7,482,383号
【特許文献3】米国特許第7,482,383号
【特許文献4】米国特許第9,352,041号
【特許文献5】米国特許第8,828,444号
【特許文献6】米国特許第8,536,380号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、患者の状態を悪化させることなく、皮膚に塗布されうる固形白樺樹皮抽出物を含有する創傷治癒製剤に対する必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、公知の固形白樺樹皮含有乳濁液およびオレオゲルの不利益を克服する、改善されたレオロジー特性を有する、臨床的に有利な創傷治癒製剤(オレオゲル、乳濁液および発泡体を含む)を提供する。
【0008】
本開示は、少なくとも約70重量%のベツリンと、ベツリン酸、オレアノール酸、エリスロジオールおよびルペオールからなる群から選択される一つまたは複数のトリテルペンとを含有する、固形白樺樹皮抽出物を提供する。本明細書に記載される固形白樺樹皮抽出物は、臨床的に有利なレオロジー特性を有するオレオゲルで処方されうる。
【0009】
本開示はまた、非極性溶媒中分散されうる固形白樺樹皮抽出物を作製する方法を提供し、(a)白樺樹皮を適切な溶媒に接触させて、ベツリンおよび少なくとも一つのトリテルペンを含有する抽出溶液を形成するステップと、(b)白樺樹皮を抽出溶液から分離するステップと、(c)抽出溶液を冷却して、溶液からベツリンおよびトリテルペンの一部を結晶化させるステップと、(d)結晶化したベツリンとトリテルペンを分離するステップと、(e)分離された結晶化したベツリンとトリテルペンを乾燥させて、固形白樺樹皮抽出物を形成するステップとを含む、臨床的に有利なオレオゲルを提供する。本開示はまた、これらの方法にしたがって調製される固形白樺樹皮抽出物も提供する。
【0010】
本開示は、約80%~約99%の一つまたは複数の非極性液体に分散された固形白樺樹皮抽出物の粒子を約1重量%~約20重量%含む臨床的に有利なオレオゲルを提供し、固形白樺樹皮抽出物は、適切な非極性液体中に分散されてオレオゲルを形成する。パッドおよび治療有効量のオレオゲルを含む滅菌創傷被覆材も提供される。
【0011】
本開示は、本発明のオレオゲルを含む乳濁液を提供し、本開示の乳濁液を含む発泡体をさらに提供する。
【0012】
本開示はまた、本開示の有効量のオレオゲル、乳濁液または発泡体を創傷の少なくとも一部に局所投与することによって、患者における創傷を治療する方法も提供する。
【0013】
本開示はまた、本開示の有効量のオレオゲル、乳濁液または発泡体を患者の表皮水疱症の領域に局所投与することを含む、それを必要とする患者の表皮水疱症を治療する方法も提供する。
【0014】
本開示は、以下の番号付けされた実施形態にしたがって、固形白樺樹皮抽出物、オレオゲル、滅菌創傷被覆材、調製プロセス、乳濁液、発泡体、加圧容器、創傷治療方法、および表皮水疱症の治療方法を提供する。
1. 少なくとも約70重量%のベツリンと、ベツリン酸、オレアノール酸、エリスロジオールおよびルペオールからなる群から選択される一つまたは複数のトリテルペンとを含む、固形白樺樹皮抽出物。
2. 固形白樺抽出物が、以下のHPLC法にしたがってクロマトグラフ化されたときに、
図1に実質的に同一であるHPLCクロマトグラムを有し、
【表1】
ベツリン酸が、約0.75~0.90の相対保持時間を有し、オレアノール酸が約0.84~0.97の相対保持時間を有し、ベツリンが1.00の相対保持時間を有し、エリスロジオールが約1.25~1.40の相対保持時間を有し、ルペオールが約3.50~4.15の相対保持時間を有する、実施形態1に記載の固形白樺樹皮抽出物。
3.
(a) 白樺樹皮を薬学的に許容可能な溶媒に接触させ、それによってベツリンおよび一つまたは複数のトリテルペンを含む抽出溶液を形成することと、
(b) 白樺樹皮を抽出溶液から分離することと、
(c) 抽出溶液を冷却し、それによってベツリンの一部および一つまたは複数のトリテルペンが冷却された抽出溶液から結晶化することと、
(d) 冷却された抽出溶液から、結晶化したベツリンおよび一つまたは複数のトリテルペンを分離することと、
(e) 分離された結晶化したベツリンおよび一つまたは複数のトリテルペンを乾燥させて、固形白樺樹皮抽出物を提供することと、を含むプロセスによって調製され、
乾燥後、精製されたヒマワリ油中に分散されたステップ(e)の約1重量%~約20重量%の乾燥固形白樺樹皮抽出物が、オレオゲルを形成する、実施形態1または2に記載の固形白樺樹皮抽出物。
4. 一つまたは複数のステップ(a)、(c)、および(e)は、以下の条件:
(i)ス テップ(a)の該接触は、約60℃~約130℃の温度で実施される;
(ii) ステップ(c)の該冷却は、約-20℃~約35℃の温度で実施される;
(iii) ステップ(e)の該乾燥は、約70mbar未満の圧力で約75℃~約95℃の温度で実施される、実施形態3に記載の固形白樺樹皮抽出物。
5. 二つ以上のステップ(a)、(c)、および(e)は、以下の条件:
(i) ステップ(a)の該接触は、約60℃~約130℃の温度で実施される;
(ii) ステップ(c)の該冷却は、約-20℃~約35℃の温度で実施される;
(iii) ステップ(e)の該乾燥は、約70mbar未満の圧力で約75℃~約95℃の温度で実施される、実施形態3に記載の固形白樺樹皮抽出物。
6. ステップ(a)、(c)、および(e)は、以下の条件:
(i) ステップ(a)の該接触は、約60℃~約130℃の温度で実施される;
(ii) ステップ(c)の該冷却は、約-20℃~約35℃の温度で実施される;
(iii) ステップ(e)の該乾燥は、約70mbar未満の圧力で約75℃~約95℃の温度で実施される、実施形態3に記載の固形白樺樹皮抽出物。
7. 薬学的に許容可能な溶媒が、炭化水素またはアルコール、またはその組み合わせである、実施形態3~6のいずれか一つに記載の固形白樺樹皮抽出物。
8. 薬学的に許容可能な溶媒が、n-ペンタン、n-ヘキサン、またはn-ヘプタンからなる群から選択される炭化水素である、実施形態3~7のいずれか一つに記載の固形白樺樹皮抽出物。
9. 薬学的に許容可能な溶媒が、n-ヘプタンであり、該接触が、約60℃~約130℃の温度で、約8~12分間実施される、実施形態8に記載の固形白樺樹皮抽出物。
10. ステップ(c)で、冷却された抽出溶液が少なくとも約2倍過飽和される、実施形態3~9のいずれか一つに記載の固形白樺樹皮抽出物。
11. 冷却された抽出溶液が約5倍過飽和される、実施形態10に記載の固形白樺樹皮抽出物。
12. 残留抽出溶媒の量が約0.5重量%以下である、実施形態3~11のいずれかに記載の固形白樺樹皮抽出物。
13. 約50μm未満の平均粒径を有し、約80重量%~約99重量%の一つまたは複数の非極性液体に分散された、実施形態1~12のいずれか一つに記載の約1重量%~約20重量%の固形白樺樹皮抽出物の粒子を含むオレオゲル。
14. 分散された固形白樺樹皮抽出物の粒子が、オレオゲル中の唯一のオレオゲル形成剤である、実施形態13に記載のオレオゲル。
15. 約10重量%の固形白樺樹皮抽出物の粒子を含む、実施形態13または14に記載のオレオゲル。
16. 非極性液体が少なくとも一つのトリグリセリドを含む、実施形態13~15のいずれか一つに記載のオレオゲル。
17. 非極性液体が少なくとも一つのC7またはそれ以上の炭化水素を含む、実施形態13~16のいずれか一つに記載のオレオゲル。
18. 非極性液体が一つまたは複数の植物油を含む、実施形態16に記載のオレオゲル。
19. 非極性液体がヒマワリ油を含む、実施形態18に記載のオレオゲル。
20. 非極性液体が約10未満の過酸化物価を有する、実施形態13~19のいずれか一つに記載のオレオゲル。
21. 過酸化物価が約3以下である、実施形態20に記載のオレオゲル。
22. オレオゲルが、約50μmを超えるサイズを有する固形白樺樹皮抽出物の粒子を実質的に含まない、実施形態13~21のいずれか一つに記載のオレオゲル。
23. オレオゲルが滅菌である、実施形態13~22のいずれか一つに記載のオレオゲル。
24. オレオゲルが、約20kGy未満の用量でイオン化照射によって滅菌される、実施形態23に記載のオレオゲル。
25. オレオゲルが、約11~約20kGyの範囲の用量でイオン化照射によって滅菌される、実施形態24に記載のオレオゲル。
26. オレオゲルからの非極性液体の分離が、25℃で30分間、2750gで遠心分離した後で、約10%未満である、実施形態13~25のいずれか一つに記載のオレオゲル。
27. 円錐平板粘度計を使用して、Ph.Eur.2.2.10に記載の回転粘度計法にしたがって測定すると、オレオゲルの200/sでの粘度が、約0.5~約4.0Pa.sの範囲であり、オレオゲルのチキソトロピー値が、約200~約1200Pa.sの範囲である、実施形態13~26のいずれか一つに記載のオレオゲル。
28. オレオゲルのコンシステンシーが、テクスチャーアナライザーの使用により測定すると、約300~3000mNの範囲である、実施形態13~27のいずれか一つに記載のオレオゲル。
29. 殺菌剤をさらに含む、実施形態13~28のいずれか一つに記載のオレオゲル。
30. 殺菌剤が、エタノール、n-プロパノール、およびイソプロパノールからなる群から選択される、実施形態29に記載のオレオゲル。
31. 親油性抗生物質をさらに含む、実施形態13~28のいずれか一つに記載のオレオゲル。
32. 滅菌創傷被覆材であって、
(a)パッドと、
(b)パッドの少なくとも一つの表面上に配置された、実施形態13~31のいずれかに記載のオレオゲルを含む、治療有効層と、を含む滅菌創傷被覆材。
33. パッドが吸収性パッドである、実施形態32に記載の滅菌創傷被覆材。
34.
(a) 白樺樹皮を薬学的に許容可能な溶媒に接触させ、それによってベツリンおよび一つまたは複数のトリテルペンを含む抽出溶液を形成することと、
(b) 白樺樹皮を抽出溶液から分離することと、
(c) 抽出溶液を冷却し、それによってベツリンの一部および一つまたは複数のトリテルペンが冷却された抽出溶液から結晶化することと、
(d) 冷却された抽出溶液から、結晶化したベツリンおよび一つまたは複数のトリテルペンを分離することと、
(e) 分離された結晶化したベツリンおよび一つまたは複数のトリテルペンを乾燥させて、固形白樺樹皮抽出物を提供することと、を含むプロセスによって調製され、
乾燥後、精製されたヒマワリ油中に分散されたステップ(e)の約1重量%~約20重量%の乾燥固形白樺樹皮抽出物が、オレオゲルを形成する、実施形態1または2に記載の固形白樺樹皮抽出物を調製する方法。
35. 一つまたは複数のステップ(a)、(c)、および(e)は、以下の条件:
(i) ステップ(a)の該接触は、約60℃~約130℃の温度で実施される;
(ii) ステップ(c)の該冷却は、約-20℃~約35℃の温度で実施される;
(iii) ステップ(e)の該乾燥は、約70mbar未満の圧力で約75℃~約95℃の温度で実施される、実施形態34に記載の方法。
36. 二つ以上のステップ(a)、(c)、および(e)は、以下の条件:
(i) ステップ(a)の該接触は、約60℃~約130℃の温度で実施される;
(ii) ステップ(c)の該冷却は、約-20℃~約35℃の温度で実施される;
(iii) ステップ(e)の該乾燥は、約70mbar未満の圧力で約75℃~約95℃の温度で実施される、実施形態34に記載の固形白樺樹皮抽出物。
37. ステップ(a)、(c)、および(e)は、以下の条件:
(i) ステップ(a)の該接触は、約60℃~約130℃の温度で実施される;
(ii) ステップ(c)の該冷却は、約-20℃~約35℃の温度で実施される;
(iii) ステップ(e)の該乾燥は、約70mbar未満の圧力で約75℃~約95℃の温度で実施される、実施形態34に記載の固形白樺樹皮抽出物。
38. 薬学的に許容可能な溶媒が、n-ペンタン、n-ヘキサン、またはn-ヘプタンからなる群から選択される炭化水素である、実施形態34~37のいずれか一つに記載の方法。
39. 薬学的に許容可能な溶媒が、n-ヘプタンであり、該接触が、約115℃~約130℃の温度で、約8~12分間実施される、実施形態34~38のいずれか一つに記載の方法。
40. ステップ(c)で、冷却された抽出溶液が少なくとも約2倍過飽和される、実施形態34~39のいずれか一つに記載の方法。
41. 冷却された抽出溶液が約5倍過飽和される、実施形態40に記載の方法。
42. 残留抽出溶媒の量が約0.5重量%以下である、実施形態34~41のいずれかに記載の方法。
43. 実施形態1~12のいずれかに記載の固形白樺樹皮抽出物を含む乳濁液。
44. 実施形態13~31のいずれかに記載のオレオゲルを含む乳濁液。
45. 該乳濁液が油中水型乳濁液である、実施形態43または44に記載の乳濁液。
46. 実質的に乳化剤を含まない、実施形態45に記載の乳濁液。
47. 本質的に固形白樺樹皮抽出物またはオレオゲル、油、および水からなる、実施形態43~46のいずれか一つに記載の乳濁液。
48. オレオゲル、油、および水からなる、実施形態44~46のいずれか一つに記載の乳濁液。
49. 殺菌剤をさらに含む、実施形態43~46のいずれか一つに記載の乳濁液。
50. 殺菌剤が、エタノール、n-プロパノール、およびイソプロパノールからなる群から選択される、実施形態49に記載の乳濁液。
51. 親油性抗生物質をさらに含む、実施形態43~46のいずれか一つに記載の乳濁液。
52. 実施形態43~51のいずれか一つに記載の乳濁液を含む発泡体。
53. 殺菌剤をさらに含む、実施形態52に記載の発泡体。
54. 殺菌剤が、エタノール、n-プロパノール、およびイソプロパノールからなる群から選択される、実施形態53に記載の発泡体。
55. 親油性抗生物質をさらに含む、実施形態52に記載の発泡体。
56. 乳濁液の界面張力が約4mN/mよりも大きい、実施形態52~55のいずれかに記載の発泡体。
57. 発泡指数が、約2より大きい、実施形態52~56のいずれかに記載の発泡体。
58. オレオゲルが、約5重量%~約10重量%の固形白樺樹皮抽出物からなり、乳濁液が、オレオゲルおよび約20重量%~約30重量%の水からなる油中水型乳濁液である、実施形態52に記載の発泡体。
59. オレオゲルが、約7重量%の固形白樺樹皮抽出物からなり、乳濁液中の水の量が、約25重量%である、実施形態58に記載の発泡体。
60. ホスファチジルコリン、ポリグリセリル-3-ジステアリン酸メチルグルコース、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、乳化剤をさらに含む、実施形態52~56のいずれかに記載の発泡体。
61. 実施形態43~51のいずれか一つに記載の乳濁液と、薬学的に許容可能な噴射剤とを含む混合物で充填された加圧容器であって、容器から混合物の少なくとも一部をデカントする際に、乳濁液が発泡体を形成する、加圧容器。
62. 実施形態13~31のいずれか一つに記載のオレオゲルを、創傷の少なくとも一部に局所投与することを含む、患者の創傷を治療する方法。
63. 創傷を治療する方法で使用するための、実施形態13~31のいずれか一つに記載のオレオゲル。
64. 創傷が、火傷、外科手術皮膚病変、体表損傷、慢性創傷、褥瘡、糖尿病性足部潰瘍、慢性静脈潰瘍、動脈不全潰瘍、エステティック皮膚治療による創傷、アブレーションレーザー皮膚治療による創傷、ケミカルピーリングによる創傷、皮膚剥離による創傷、薬の副作用により生じる創傷、中毒性表皮壊死症により生じる創傷、ライエル症候群により生じる創傷、スティーブンス・ジョンソン症候群により生じる創傷、および放射線による皮膚炎により生じる創傷からなる群から選択される、実施形態63の使用のための方法またはオレオゲル。
65. 実施形態43~51のいずれか一つに記載の乳濁液を、創傷の少なくとも一部に局所投与することを含む、患者の創傷を治療する方法。
66. 創傷を治療する方法で使用するための、実施形態43~51のいずれか一つに記載の乳濁液。
67. 創傷が、火傷、外科手術皮膚病変、体表損傷、慢性創傷、褥瘡、糖尿病性足部潰瘍、慢性静脈潰瘍、動脈不全潰瘍、エステティック皮膚治療による創傷、アブレーションレーザー皮膚治療による創傷、ケミカルピーリングによる創傷、皮膚剥離による創傷、薬の副作用により生じる創傷、中毒性表皮壊死症により生じる創傷、ライエル症候群により生じる創傷、スティーブンス・ジョンソン症候群により生じる創傷、および放射線皮膚炎により生じる創傷からなる群から選択される、実施形態66の使用のための方法または乳濁液。
68. 実施形態52~60のいずれか一つに記載の発泡体を、創傷の少なくとも一部に局所投与することを含む、患者の創傷を治療する方法。
69. 創傷を治療する方法で使用するための、実施形態52~60のいずれか一つに記載の発泡体。
70. 創傷が、火傷、外科手術皮膚病変、体表損傷、慢性創傷、褥瘡、糖尿病性足部潰瘍、慢性静脈潰瘍、動脈不全潰瘍、エステティック皮膚治療による創傷、アブレーションレーザー皮膚治療による創傷、ケミカルピーリングによる創傷、皮膚剥離による創傷、薬の副作用により生じる創傷、中毒性表皮壊死症により生じる創傷、ライエル症候群により生じる創傷、スティーブンス・ジョンソン症候群により生じる創傷、および放射線皮膚炎により生じる創傷からなる群から選択される、実施形態69の使用のための方法または発泡体。
71. 患者の表皮水疱症の領域に、実施形態13~31のいずれか一つに記載のオレオゲルを局所投与することを含む、それを必要とする患者の表皮水疱症を治療する方法。
72. 表皮水疱症を治療する方法で使用するための、実施形態13~31のいずれか一つに記載のオレオゲル。
73. 患者の表皮水疱症の領域に、実施形態43~51のいずれか一つに記載の乳濁液を局所投与することを含む、それを必要とする患者の表皮水疱症を治療する方法。
74. 表皮水疱症を治療する方法で使用するための、実施形態43~51のいずれか一つに記載の乳濁液。
75. 患者の表皮水疱症の領域に、実施形態52~60のいずれか一つに記載の発泡体を局所投与することを含む、それを必要とする患者の表皮水疱症を治療する方法。
76. 表皮水疱症を治療する方法で使用するための、実施形態52~60のいずれか一つに記載の発泡体。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、210nm(上図)および320nm(下図)をモニタリングする、固形白樺樹皮抽出物から得られたHPLCクロマトグラフを示す。
図1のx軸は保持時間(分)であり、y軸はピーク強度(mAU)である。
【
図2】
図2は、ベツリンおよび一つまたは複数のトリテルペンを含む抽出溶液を提供するための白樺樹皮の連続的な抽出を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
定義
以下の用語は、当業者によって十分理解されていると思われるが、以下の定義は、本開示の主題の説明を容易にするために記載される。
【0017】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的とし、限定することを意図していないことが理解されるべきである。
【0018】
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本開示が属する分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。好ましい方法、装置、および材料が記載されているが、本明細書に記載のものと類似または同等のいかなる方法および材料も、本開示の実施または試験に使用することができる。本明細書に引用されるすべての参照文献(米国特許第9,352,041号、第8,828,444号、第8,536,380号、および第7,482,383号を含む)は、あらゆる目的において、その全体が参照により組み込まれる。
【0019】
長年にわたる特許法の慣習にしたがい、「a」、「an」、および「the」という用語は、特許請求の範囲を含む本出願で使用される場合、「一つまたは複数」を指す。したがって、例えば、「担体」への言及は、一つまたは複数の担体、二つ以上の担体などの混合物を含む。
【0020】
別途示されていない限り、本明細書および特許請求の範囲で使用される成分の量、反応条件などを表す全ての数は、「約」という用語によって全ての場合に変更されるものとして理解されるべきである。したがって、反対に示される場合を除き、本明細書および添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、本出願によって取得されることが求められる所望の特性に応じて変化する可能性がある近似値である。一般的に、「約」という用語は、重量、時間、用量などの測定可能な値に言及するときに本明細書で使用される場合、ある例では特定の量から±15%または±10%、別の例では±5%、別の例では±1%、さらに別の例では±0.1%の変動を包含することを意味し、このような変動は、開示された方法を実施するために適切である。
【0021】
「投与する」とは、経口、皮下、舌下、経粘膜、非経口、静脈内、動脈内、口腔、舌下、局所、膣、直腸、眼、耳、鼻、吸入、および経皮などの任意の投与様式を含む。「投与する」とは、特定の化合物を含む剤形の処方箋を、処方または記入することも含むことができる。「投与する」には、特定の化合物またはその化合物を含む剤形に関する方法を実施するための指示を提供することも含まれうる。
【0022】
本明細書で使用される場合、本明細書および特許請求の範囲において使用される「含む」という動詞およびその活用形は、その非限定的な意味で使用され、単語に続く項目が含まれるが、具体的に言及されていない項目も除外されないことを意味する。
【0023】
「白樺樹皮」という用語は、白い樹皮のカバノキの皮層を意味する。好ましい実施形態には、Betula pendula RothおよびBetula pubescens Ehrhならびに両種の雑種由来の白樺樹皮が含まれる。
【0024】
「相対保持時間」(または「RRT」)という用語は、未知のピークの保持時間のベツリンピークに対する保持時間の比率を意味し、以下の方程式にしたがって計算される。
RRT=RT
unknown/RT
betulin
式中、RT
unkownは未知のピークの保存時間であり、RT
betulinはベツリンピーク(210nm)の保持時間であり、以下のHPLC法によって測定される。
【表2】
【0025】
「実質的に同一」という用語は、本明細書で使用される場合、HPLCクロマトグラム、NMRスペクトルなどの分析スペクトルを意味し、ピーク位置およびその強度の両方で基準スペクトルに大いに似ている。例えば、HPLCクロマトグラム内のピーク位置(相対保持時間)が、参照クロマトグラムのピーク位置(相対保持時間)から±5%以下で変動する場合、HPLCクロマトグラムは、参照クロマトグラムと「実質的に同一」である。いくつかの実施形態では、HPLCクロマトグラムの相対ピーク強度は、参照クロマトグラムのピーク強度から±10%以下で変動しうる。
【0026】
「治療有効量」とは、疾患、障害、または他の望ましくない医学的状態を治療するために対象に投与された場合、その疾患、障害、または状態に対して有益な効果を有するのに十分な活性物質の量を意味する。治療有効量は、活性物質の化学的同一性および製剤形態、疾患または状態およびその重症度、ならびに治療される患者の年齢、体重、およびその他の関連特性に応じて変化する。所与の活性物質の治療有効量を決定することは、当技術分野の範囲内であり、典型的には通常の実験のみを必要とする。
【0027】
「実質的に含まない」という用語は、示された成分が存在しないか、またはわずかな量だけ存在することを意味する。一実施形態では、「実質的に含まない」とは、約10%未満(例えば、約10重量%未満)を意味する。他の実施形態では、「実質的に含まない」とは、約5%未満(例えば、約5重量%未満)、約2%未満(例えば、約2重量%未満)、または約1%未満(例えば、約1重量%未満)、または約0%(例えば、約0重量%)を意味する。 例えば、乳化剤を実質的に含まない乳濁液は、実質的な量の乳化剤を含有しない(例えば、約10重量%未満、約5重量%未満、約2重量%未満、または約1重量%未満の乳化剤、または約0重量%の乳化剤を含有する)。同様に、約50μmを超えるサイズを有する固形白樺樹皮抽出物粒子を実質的に含まないオレオゲルは、約50μmを超えるサイズを有する固形白樺樹皮抽出物粒子を実質的な量で含有しない(例えば、約50μmを超えるサイズを有する固形白樺樹皮抽出物粒子を約10重量%未満、約5重量%未満、約2重量%未満、または約1重量%未満含有するか、または約50μmを超えるサイズを有する固形白樺樹皮抽出物粒子を0重量%含有する)。
【0028】
固形白樺樹皮抽出物
本開示は、臨床的に有益なオレオゲルで処方されうる固形白樺樹皮抽出物を提供する。いかなる理論にも束縛されるものではないが、本開示の方法にしたがって生成された固形白樺樹皮抽出物の化学組成および粒子形態が、これらの利点の原因であると考えられている。
【0029】
本開示の固形白樺樹皮抽出物は、それらの化学組成に基づいて特徴付けられうる。いくつかの実施形態では、本開示の固形白樺樹皮抽出物は、ルパンおよびオレアナントリテルペンを含む。特に、白樺樹皮抽出物は、ルパントリテルペン:ベツリン、ルペオール、およびベツリン酸、ならびにオレアナントリテルペン:エリスロジオールおよびオレアノール酸を含有しうる。
【0030】
白樺抽出物中の特定のトリテルペンの存在は、HPLCクロマトグラフィーから得られる相対保持時間を使用して判断することができる。以下のHPLC法は、本開示の固形白樺樹皮抽出物の化学組成を判断するために使用される。
【表3】
【0031】
Phenomenex Kinetix C18カラムは、上記のカラム寸法を有するコアシェルシリカ固体担体(2.6μm HILIC 100Å)にC-18修飾シリカ固定相を用いたHPLCカラムの例である。
【0032】
固形白樺樹皮抽出物が上述のHPLCクロマトグラフィー法を受けるとき、ベツリン酸は約0.75~0.90の相対保持時間を有し、オレアノール酸は約0.84~0.97の相対保持時間を有し、ベツリンは1.00の相対保持時間を有し、エリスロジオールは約1.25~1.40の相対保持時間を有し、およびルペオールは約3.50~4.15の相対保持時間を有する。
【0033】
特定の実施形態では、固形白樺樹皮抽出物は、
図1と実質的に同一のHPLCクロマトグラムを有する。
【0034】
いくつかの実施形態では、固形白樺樹皮抽出物は、少なくとも約50重量%、少なくとも約55重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約65重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約75重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約85重量%、または少なくとも約90重量%のベツリンおよび一つまたは複数のトリテルペンを含む。いくつかの実施形態では、一つまたは複数のトリテルペンが、ベツリン酸、オレアノール酸、エリスロジオールおよびルペオールからなる群から選択される。
【0035】
いくつかの実施形態では、固形白樺樹皮抽出物は、以下の物質:3-β-カフェオイルベツリン、ベツリン酸のメチルエステルの酢酸塩、アセチルオレアノール酸、アロベツリン、ベツリン酸アルデヒド、ベツロン酸、ベツロン酸アルデヒド、ルパン-3β,20,28-トリオール、ルパン-3β,20-ジオール(モノジノール)、オレアノール酸アルデヒド、シトステロール、ウルソール酸、またはβ-アミリンの少なくとも一つを含む。
【0036】
本開示の固形白樺樹皮抽出物は、固形白樺樹皮抽出物の粒径によって特徴付けられうる。いくつかの実施形態では、固形白樺樹皮抽出物の粒子の平均粒径は、約100μm未満、約90μm未満、約80μm未満、約70μm未満、約60μm未満、約50μm未満、約40μm未満、約30μm未満または約25μm未満である。
【0037】
その他の実施形態では、本開示の固形白樺樹皮抽出物は、約30μmを超える、約40μmを超える、約50μmを超える、約60μmを超える、約70μmを超える、約80μmを超える、約90μmを超える、または約100μmを超える粒径を有する固形白樺樹皮抽出物粒子を実質的に含まない。
【0038】
好ましい実施形態では、固形白樺樹皮抽出物は、Betula pendula RothおよびBetula pubescens Ehrhならびに両種の雑種由来である。
【0039】
固形白樺樹皮抽出物の製造方法
本開示は、臨床的に有益なオレオゲルで処方されうる固形白樺樹皮抽出物を調製するための方法を提供する。一般に、方法は、カバノキを獲得するステップと、該カバノキからの樹皮をはがし、処理するステップと、処理した白樺樹皮を適切な溶媒に接触させて、ベツリンおよび一つまたは複数のトリテルペンを含む抽出溶液を提供するステップと、抽出溶液からベツリンおよび一つまたは複数のトリテルペンを含む白樺樹皮抽出物を単離し、乾燥させるステップとを含む。いくつかの実施形態では、単離された白樺樹皮抽出物は固形形態である。
【0040】
いくつかの実施形態では、方法は、(a)白樺樹皮を薬学的に許容可能な溶媒に接触させて、ベツリンおよび一つまたは複数のトリテルペンを含む抽出溶液を形成すること、(b)抽出溶液から白樺樹皮を分離することと、(c)抽出溶液を冷却し、それによってベツリンおよび一つまたは複数のトリテルペンの一部が、冷却された抽出溶液から結晶化することと、(d)冷却された抽出溶液から結晶化したベツリンおよび一つまたは複数のトリテルペンを分離することと、(e)分離された結晶化したベツリンおよび一つまたは複数のトリテルペンを乾燥させて、固形白樺樹皮抽出物を提供することと、を含む。
【0041】
いくつかの実施形態では、ステップ(a)で使用される白樺樹皮は、最初に処理され、白樺樹皮からのベツリンおよび一つまたは複数のトリテルペンの抽出効率を改善する。例えば、実験は、抽出された白樺樹皮粒子が小さい時、白樺樹皮からの乾燥抽出物の収率が最も高いことを示している。特定の実施形態では、ステップ(a)の前に、白樺樹皮の粒径を、ミルまたは他の適切な装置を使用して、得られた白樺樹皮が約1.25mmのメッシュサイズのふるいを通過するまで、減少させる。
【0042】
いくつかの実施形態では、白樺樹皮を、約50℃~約200℃の温度で薬学的に許容可能な溶媒と接触させる。その他の実施形態では、温度は約60℃~約100℃、約60℃~約110℃、約60℃~約120℃、約60℃~約130℃、約70℃~約130℃、約80℃~約130℃、約90℃~約130℃、または約100℃~約150℃である。特定のさらなる実施形態では、温度は約115℃~130℃である。
【0043】
いくつかの実施形態では、白樺樹皮を、約2~10バールの圧力で、薬学的に許容可能な溶媒と接触させる。一実施形態では、圧力は約4.5バールである。
【0044】
薬学的に許容可能な溶媒は、当業者に公知であり、炭化水素、アルコール、ケトン、エーテルエステル、スルホキシドなどを含む。薬学的に許容可能な溶媒の例には、これらに限定されないが、1-ブタノール、1-ペンタノール、1-プロパノール、2-ブタノール、2-メチル-1-プロパノール、2-プロパノール、3-メチル-1-ブタノール、酢酸、アセトン、アニソール、酢酸ブチル、ジメチルスルホキシド、エタノール、酢酸エチル、エチルエーテル、ギ酸エチル、ギ酸、ヘプタン、ヘキサン、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、酢酸メチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ペンタン、酢酸プロピル、tert-ブチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル、メチルイソプロピルケトン、およびメチルテトラヒドロフランが含まれる。
【0045】
いくつかの実施形態では、二つ以上の薬学的に許容可能な溶媒を混合して、薬学的に許容可能な溶媒を提供する。
【0046】
いくつかの実施形態では、白樺樹皮を、約60℃~130℃の温度で、8~12分間、n-ヘプタンと接触させる。
【0047】
いくつかの実施形態では、(a)白樺樹皮を、薬学的に許容可能な溶媒に接触させて、ベツリンおよび一つまたは複数のトリテルペンを含む抽出溶液を形成することと、(b)抽出溶液から白樺樹皮を分離することが、連続抽出方法を使用して実行される(
図2に示す)。
【0048】
連続抽出方法の一実施形態では、白樺樹皮は、約1:14~1:16(w/v)の比率でn-ヘプタンと混合される。混合物は、約115~130℃の温度および約4.5バール(窒素)の圧力で、n-ヘプタンを抽出溶媒として使用して連続的に抽出される。沈殿容器の下端で、抽出したコルクは冷たいn-ヘプタンで洗い流され、沈殿容器の上端で抽出物(n-ヘプタン中のトリテルペンの高温溶液)が濾過され(10μmフィルター)、第二のフィルター(1μmフィルター)を通して、結晶化ステップに送られる。
【0049】
いくつかの実施形態では、ステップ(c)の冷却は、約-20℃~約35℃、約-15℃~約35℃、-10℃~約35℃、約-5℃~約35℃、または約0℃~約35℃の温度で実施される。その他の実施形態では、ステップ(c)では、冷却された抽出溶液は少なくとも約1倍、約2倍、約3倍、約4倍、約5倍または約6倍に過飽和される。好ましい実施形態では、ステップ(c)では、冷却された抽出溶液は、約2倍または約5倍に過飽和される。
【0050】
いくつかの実施形態では、乾燥ステップ(e)は、少なくとも50℃、少なくとも60℃、少なくとも70℃、少なくとも80℃、または少なくとも85℃の温度で真空下で実施される。特定の実施形態では、乾燥ステップ(e)は、約65℃~約75℃、約70℃~約80℃、約75℃~約85℃、または約85℃~約95℃の温度で実施される。
【0051】
いくつかの実施形態では、乾燥ステップ(e)は、約90mbar未満、約80mbar未満、約70mbar未満、約60mbar未満、または約50mbar未満の圧力で真空下で実施される。特定の実施形態では、乾燥ステップ(e)は、乾燥白樺樹皮抽出物中の薬学的に許容可能な溶媒の量を、約0.5%(重量/重量)未満に減少させる。
【0052】
本発明はまた、上述の方法にしたがって調製された、固形白樺樹皮抽出物を提供する。
【0053】
固形白樺樹皮抽出物を含む組成物
本開示は、固形白樺樹皮抽出物を含む臨床的に有利な創傷治癒製剤を提供する。組成物は、オレオゲル、乳濁液、発泡体、およびオレオゲル含浸滅菌創傷被覆材を含む。組成物は、局所創傷治癒剤として有用である。
【0054】
ゲルは、液相および固相を含む、細かく分散されたシステムである。固相はコヒーレントな三次元フレームワークを形成し、二つの相は互いに透過する。オレオゲルは、非極性液体(例えば、油、ろう、またはパラフィン)をベースにした疎水性ゲルであり、これにゲル形成剤を添加して、所望の物理的特性を達成する。
【0055】
本開示は、非極性液体およびオレオゲル形成剤を含むオレオゲルを提供する。本開示のオレオゲルで使用するための適切な非極性液体には、例えば、植物、動物、または合成油、ろう、およびパラフィンが含まれる。いくつかの実施形態では、非極性液体は、ひまし油、ピーナッツ油、ホホバ油、ヒマワリ油、オリーブ油、アボカド油、およびアーモンド油からなる群から選択される植物油である。好ましい実施形態では、非極性液体はヒマワリ油である。
【0056】
いくつかの実施形態では、非極性液体は、少なくとも一つのトリグリセリドを含む。特定の実施形態では、少なくとも一つのトリグリセリドはミグリオールである。他の実施形態では、非極性液体が少なくとも一つのC7またはそれ以上の炭化水素を含む。特定の実施形態では、少なくとも一つのC7またはそれ以上の炭化水素はパラフィンである。
【0057】
いくつかの実施形態では、オレオゲルで使用される非極性液体は、約15未満、約10未満、約5未満、約4未満、約3未満、または約2未満の過酸化物価を有する。特定の実施形態では、非極性液体は約3以下の過酸化物価を有する。「過酸化物価」という用語は、本明細書で使用される場合、Ph.Eur.2.5.5.にしたがって、過酸化物価が決定されることを意味する。
【0058】
本開示は、オレオゲルを作製する方法を提供する。いくつかの実施形態では、固形白樺樹皮抽出物が乾燥した後、約1重量%~約20重量%の乾燥固形白樺樹皮抽出物が、非極性液体中に分散され、オレオゲルを形成する。特定の実施形態では、非極性液体はヒマワリ油である。
【0059】
特定の実施形態では、オレオゲルは滅菌される。オレオゲルは、例えば、電子ビーム(EB)、X線、またはガンマなどの電離放射線を使用して、当業者に公知の適切な方法によって滅菌されてもよい。いくつかの実施形態では、オレオゲルは、約40kGy未満、約35kGy未満、約30kGy未満、約25kGy未満、約20kGy未満、または約15kGy未満の用量で、イオン化(例えば、ガンマ)照射によって滅菌される。特定の実施形態では、オレオゲルは、約5~約25kGy、約9~約25kGy、約10~約25kGy、約11~約25kGy、約12~約25kGy、または約11~約20kGyの範囲の用量で、イオン化(例えば、ガンマ)照射によって滅菌される。
【0060】
いくつかの実施形態では、オレオゲルは、約70重量%~約99重量%の一つまたは複数の非極性液体の中に分散された、約1重量%~約30重量%の固形白樺樹皮抽出物を含み、オレオゲルは、固形白樺樹皮抽出物粒子に加えて、少なくとも一つのオレオゲル形成剤を含有する。いくつかの実施形態では、オレオゲルは、約80重量%~約99重量%の一つまたは複数の非極性液体の中に分散された、約1重量%~約20重量%の固形白樺樹皮抽出物を含み、オレオゲルは、固形白樺樹皮抽出物粒子に加えて、少なくとも一つのオレオゲル形成剤を含有する。
【0061】
他の実施形態では、オレオゲルは、約70重量%~約99重量%の一つまたは複数の非極性液体の中に分散された、約1重量%~約30重量%の固形白樺樹皮抽出物粒子を含み、分散された固形白樺樹皮抽出物粒子は、オレオゲル中唯一のオレオゲル形成剤である。いくつかの実施形態では、オレオゲルは、約80重量%~約99重量%の一つまたは複数の非極性液体の中に分散された、約1重量%~約20重量%の固形白樺樹皮抽出物を含み、オレオゲルは、固形白樺樹皮抽出物粒子に加えて、少なくとも一つのオレオゲル形成剤を含有する。
【0062】
特定の実施形態では、オレオゲルは、約95重量%の一つまたは複数の非極性液体中に分散された約5重量%の固形白樺樹皮抽出物粒子、約90重量%の一つまたは複数の非極性液体中に分散された約10重量%の固形白樺樹皮抽出物粒子、約85重量%の一つまたは複数の非極性液体中に分散された約15重量%の固形白樺樹皮抽出物粒子、または約80重量%の一つまたは複数の非極性液体中に分散された約20重量%の固形白樺樹皮抽出物粒子を含む。
【0063】
前述の実施形態では、固形白樺樹皮抽出物粒子(例えば、約1重量%~約20重量%)の量は、非極性液体に溶解している最大約0.5重量%の固形白樺樹皮抽出物粒子を含む。
【0064】
遠心分離によってオレオゲルにストレスをかけることは、オレオゲルの非極性液体を分離(separate)(または分離(segregate))する傾向に関する情報を提供する。いくつかの実施形態では、本開示のオレオゲルは、25℃で約30分間、2750g(例えば4,400rpm)で遠心分離した後、オレオゲルからの非極性液体の分離は、約10%、約9%、約8%、約7%、約6%、約5%、約4%、約3%、約2%、約1%、約0.5%、または約0.1%未満である。
【0065】
本開示のオレオゲルは、それらの粘性によって特徴付けられうる。特定の実施形態では、円錐平板粘度計を使用して、Ph.Eur.2.2.10に記載の回転粘度計法にしたがって測定すると、オレオゲルの200/sでの粘度が、約0.5~約4.0Pa.sの範囲であり、オレオゲルのチキソトロピー値が、約200~約1200Pa.sの範囲である。
【0066】
また、本開示のオレオゲルは、テクスチャーアナライザーを使用して決定されるような、そのコンシステンシーの値によって特徴付けられてもよい。テクスチャー分析は主に、二つのサイクルテクスチャープロファイル分析試験の結果から算出された製品の機械的特性の測定に関連している。テクスチャーアナライザーは、制御された力を製品に印加し、力、変形および時間の形態でその応答を記録することによって、この試験を実施する。
【0067】
本開示では、コンシステンシーとは、円筒形貫通物体(0.5インチ=1.27cm)を備えた材料試験装置(テクスチャーアナライザー)を使用して測定した、試料(例えば、オレオゲル)に1cm貫通するために必要な力[mN]である。貫通速度は0.4mm/秒である。
【0068】
本開示のオレオゲルは、コンシステンシーの値に基づいて、固形白樺樹皮抽出物の単純な増粘混合物と区別されうる。具体的には、本開示のオレオゲルは、テクスチャーアナライザーによって測定されるように、約3000mN未満、および少なくとも約250mNのコンシステンシーの値を有することで特徴付けられてもよい。いくつかの実施形態では、オレオゲルのコンシステンシーの値は、テクスチャーアナライザーによって測定されるように、約300~2000mNである。
【0069】
本開示はまた、オレオゲルを調製するための方法を提供する。いくつかの実施形態では、方法は、適切な非極性液体中に固形白樺樹皮抽出物を分散させることを含む。
【0070】
いくつかの実施形態では、本開示のオレオゲルを含むパッドおよび治療有効層を含む滅菌創傷被覆材が提供されている。特定の実施形態では、パッドは吸着性パッドである。他の実施形態では、パッドは、綿ガーゼを含む創傷を覆うために適切な任意の固形材料である。いくつかの実施形態では、オレオゲルの治療有効層を、パッドの一つまたは複数の表面(例えば、患者の皮膚または創傷に直接接触することが意図されたパッドの表面)に適用する。他の実施形態では、パッドは、オレオゲルがパッドの外部表面の少なくとも一部に、および随意にパッドの内部の少なくとも一部に配置されるように、オレオゲルに浸漬される。
【0071】
いくつかの実施形態では、パッドは、使用時に溶解してオレオゲルを放出する創傷を被覆するのに適した材料を含むことができる。こうした材料には、コラーゲン、アルギン酸塩などを含む吸収性材料が含まれうる。
【0072】
乳濁液という用語は、一般的には相と呼ばれる、相互に混和しない、または限られた範囲で混和する二つの液体からなる不均一系に関する。乳濁液では、二つの液体のうちの一つが、微小液滴の形態で他方の液体内に分散される。
【0073】
いくつかの実施形態では、本開示の固形白樺樹皮抽出物を含む乳濁液が提供される。他の実施形態は、本開示のオレオゲルを含む乳濁液を提供する。
【0074】
いくつかの実施形態では、本開示の乳濁液は乳化剤を含む。特定の実施形態では、乳化剤は(ヒドロプロピル)メチルセルロースである。特定の他の実施形態では、乳濁液は、乳化剤を実質的に含まない。
【0075】
皮膚創傷を治療するために、オレオゲルの塗布は接触する必要があるが、発泡体はほぼ接触せずに創傷に塗布できるため、発泡体はオレオゲルより優れている場合がある。発泡体は一般的に、噴射剤が乳濁液の分散された脂質相と混合される乳濁液に基づく。
【0076】
本開示は、上述の通り、固形白樺樹皮抽出物含有乳濁液を含む発泡体を提供する。
【0077】
特定の実施形態では、発泡体が、約5重量%~約10重量%の固形白樺樹皮抽出物からなるオレオゲルを含み、乳濁液が、オレオゲルおよび約20重量%~約30重量%の水からなる油中水型乳濁液である。
【0078】
特定の他の実施形態では、発泡体が、約7重量%の固形白樺樹皮抽出物からなるオレオゲルを含み、乳濁液が、オレオゲルおよび約25重量%の水からなる油中水型乳濁液である。
【0079】
特定の実施形態では、本開示の発泡体は乳化剤をさらに含む。乳化剤は、乳濁液を安定化させ、界面活性剤を含む物質として当技術分野で周知である。本発明で有用な乳化剤は、医薬用途、特に皮膚または創傷との接触に許容されるものである。いくつかの実施形態では、適切な乳化剤には、乳化ろう、セテアリルアルコール、ポリソルベート20、セテアレス20などが含まれる。特定のさらなる実施形態では、乳化剤は、ホスファチジルコリン、ポリグリセリル-3-ジステアリン酸メチルグルコース、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0080】
特定の実施形態では、本開示のオレオゲル、乳濁液、および発泡体は、殺菌剤をさらに含む。特定のさらなる実施形態では、殺菌剤が、エタノール、プロパン-1-オール(n-プロパノール)、およびプロパン-2-オール(イソプロパノール)からなる群から選択される。他の実施形態では、本開示のオレオゲル、乳濁液、および発泡体は、抗生物質、特にフルオロキノロン、マクロライド、チゲサイクリン、リンコサミド、リファンピン、リネゾリド、テトラサイクリン、およびクロラムフェニコールなどの親油性抗生物質をさらに含む。
【0081】
特定の実施形態では、本開示の発泡体は特定の物理的特性を有する。いくつかの実施形態では、発泡指数は約2より大きい。他の実施形態では、発泡体に使用される乳濁液は、当技術分野で公知の方法を使用して約4nM/mより大きい界面張力を示す。「発泡指数」という用語は、本明細書で使用される場合、特定の材料の発泡密度および非発泡密度の比である。例えば、特定の発泡体の発泡指数は、発泡前の材料の密度に対する発泡した材料の密度の比である。
【0082】
本開示はまた、本発明の乳濁液で充填された加圧容器および薬学的に許容可能な噴射剤を提供し、それによって乳濁液は、容器からの混合物の少なくとも一部をデカントする際に発泡体を形成する。
【0083】
固形白樺樹皮抽出物の使用方法
本開示はまた、本開示の有効量のオレオゲル、乳濁液または発泡体を創傷の少なくとも一部に局所投与することによって、患者における創傷を治療する方法も提供する。
【0084】
特定の実施形態では、治療される創傷は、火傷(軽度から重度の火傷など)、外科手術皮膚病変、体表損傷、慢性創傷(褥瘡、糖尿病性足部潰瘍、慢性静脈潰瘍、動脈不全潰瘍など)、エステティック皮膚治療(アブレーションレーザー皮膚治療、ケミカルピーリング、皮膚剥離など)、薬の副作用により生じる創傷(中毒性表皮壊死症、ライエル症候群、スティーブンス・ジョンソン症候群、放射線による皮膚炎、化学療法による皮膚炎など)、稀な皮膚病(表皮水疱症、尋常性天疱瘡、類天疱瘡、水疱性類天疱瘡、落葉状天疱瘡、壊疽性膿皮症など)およびその組み合わせからなる群から選択される。
【0085】
本開示はまた、本開示の有効量のオレオゲル、乳濁液または発泡体を患者の表皮水疱症の領域に局所投与することを含む、それを必要とする患者の表皮水疱症を治療する方法も提供する。
【0086】
参照による組み込み
本明細書に引用されるすべての参考文献、論文、刊行物、特許、特許公開、および特許出願は、全ての目的のためにその全体が参照により組み込まれる。しかし、本明細書に引用される参考文献、論文、刊行物、特許、特許公開、および特許出願の言及は、それらが有効な従来技術を構成している、または世界中のどの国においても共通の一般知識の一部を形成していること承認、または何らかの形の示唆として解釈するものではなく、するべきではない。
【手続補正書】
【提出日】2023-09-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a) 白樺樹皮を薬学的に許容可能な溶媒に接触させ、それによってベツリンおよび一つまたは複数のトリテルペンを含む抽出溶液を形成することと、
(b) 前記白樺樹皮を前記抽出溶液から分離することと、
(c) 前記抽出溶液を冷却し、それによって前記ベツリンの一部および一つまたは複数のトリテルペンが前記冷却された抽出溶液から結晶化することと、
(d) 前記冷却された抽出溶液から、前記結晶化したベツリンおよび一つまたは複数のトリテルペンを分離することと、
(e) 前記分離された結晶化したベツリンおよび一つまたは複数のトリテルペンを乾燥させて、前記固形白樺樹皮抽出物を提供することと、を含み、
乾燥後、約50μm未満の平均粒径を有する、ステップ(e)の約1重量%~約20重量%の前記乾燥固形白樺樹皮抽出物が、精製されたヒマワリ油中に分散されて、オレオゲルを形成し、
前記固形白樺皮抽出物が、少なくとも約70重量%のベツリンと、ベツリン酸、オレアノール酸、エリスロジオールおよびルペオールからなる群から選択される一つまたは複数のトリテルペンとを含み、
前記オレオゲルが、約11~約40kGyの範囲の用量で、イオン化照射によって滅菌される、滅菌オレオゲルを調製する方法。
【請求項2】
一つまたは複数のステップ(a)、(c)、および(e)は、以下の条件:
(i) ステップ(a)の前記接触は、約60℃~約130℃の温度で実施される;
(ii) ステップ(c)の前記冷却は、約-20℃~約35℃の温度で実施される;
(iii) ステップ(e)の前記乾燥は、約70mbar未満の圧力で約75℃~約95℃の温度で実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
二つ以上のステップ(a)、(c)、および(e)は、以下の条件:
(i) ステップ(a)の前記接触は、約60℃~約130℃の温度で実施される;
(ii) ステップ(c)の前記冷却は、約-20℃~約35℃の温度で実施される;
(iii) ステップ(e)の前記乾燥は、約70mbar未満の圧力で約75℃~約95℃の温度で実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ステップ(a)、(c)、および(e)は、以下の条件:
(i) ステップ(a)の前記接触は、約60℃~約130℃の温度で実施される;
(ii) ステップ(c)の前記冷却は、約-20℃~約35℃の温度で実施される;
(iii) ステップ(e)の前記乾燥は、約70mbar未満の圧力で約75℃~約95℃の温度で実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記薬学的に許容可能な溶媒が、n-ペンタン、n-ヘキサン、またはn-ヘプタンからなる群から選択される炭化水素である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記薬学的に許容可能な溶媒が、n-ヘプタンである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記薬学的に許容可能な溶媒が、n-ヘプタンであり、前記接触が、約115℃~約130℃の温度で実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
ステップ(c)で、前記冷却された抽出溶液が少なくとも約2倍過飽和される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記冷却された抽出溶液が約5倍過飽和される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
残留抽出溶媒の量が約0.5重量%以下である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記オレオゲルが、約11~約20kGyの範囲の用量でイオン化照射によって滅菌される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記イオン化照射が、X線またはガンマ放射線である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記分散された固形白樺樹皮抽出物の粒子が、前記オレオゲル中の唯一のオレオゲル形成剤である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記オレオゲルが、約10重量%の前記固形白樺樹皮抽出物の粒子を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記オレオゲルが、約50μmを超えるサイズを有する固形白樺樹皮抽出物の粒子を実質的に含まない、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記オレオゲルからの前記非極性液体の前記分離が、25℃で30分間、2750gで遠心分離した後で、約10%未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
円錐平板粘度計を使用して、Ph.Eur.2.2.10に記載の回転粘度計法にしたがって測定すると、前記オレオゲルの200/sでの粘度が、約0.5~約4.0Pa.sの範囲であり、前記オレオゲルのチキソトロピー値が、約200~約1200Pa.sの範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
(a) 白樺樹皮を薬学的に許容可能な溶媒に接触させ、それによってベツリンおよび一つまたは複数のトリテルペンを含む抽出溶液を形成することと、
(b) 前記白樺樹皮を前記抽出溶液から分離することと、
(c) 前記抽出溶液を冷却し、それによって前記ベツリンの一部および一つまたは複数のトリテルペンが前記冷却された抽出溶液から結晶化することと、
(d) 前記冷却された抽出溶液から、前記結晶化したベツリンおよび一つまたは複数のトリテルペンを分離することと、
(e) 前記分離された結晶化したベツリンおよび一つまたは複数のトリテルペンを乾燥させて、前記固形白樺樹皮抽出物を提供することと、を含み、
乾燥後、約50μm未満の平均粒径を有する、ステップ(e)の約1重量%~約20重量%の前記乾燥固形白樺樹皮抽出物が、精製されたヒマワリ油中に分散されて、オレオゲルを形成し、
前記固形白樺皮抽出物が、少なくとも約70重量%のベツリンと、ベツリン酸、オレアノール酸、エリスロジオールおよびルペオールからなる群から選択される一つまたは複数のトリテルペンとを含み、
前記オレオゲルが、約300~3000mNの範囲のコンシステンシーを有し、前記コンシステンシーは、1.27cmの円筒形貫通物体を備えたテクスチャーアナライザーを使用して測定されるオレオゲルに1cm貫通するために必要な力[mN]であり、及び、貫通速度は、0.4mm/秒である、オレオゲルを調製する方法。
【請求項19】
一つまたは複数のステップ(a)、(c)、および(e)は、以下の条件:
(i) ステップ(a)の前記接触は、約60℃~約130℃の温度で実施される;
(ii) ステップ(c)の前記冷却は、約-20℃~約35℃の温度で実施される;
(iii) ステップ(e)の前記乾燥は、約70mbar未満の圧力で約75℃~約95℃の温度で実施される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
二つ以上のステップ(a)、(c)、および(e)は、以下の条件:
(i) ステップ(a)の前記接触は、約60℃~約130℃の温度で実施される;
(ii) ステップ(c)の前記冷却は、約-20℃~約35℃の温度で実施される;
(iii) ステップ(e)の前記乾燥は、約70mbar未満の圧力で約75℃~約95℃の温度で実施される、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
ステップ(a)、(c)、および(e)は、以下の条件:
(i) ステップ(a)の前記接触は、約60℃~約130℃の温度で実施される;
(ii) ステップ(c)の前記冷却は、約-20℃~約35℃の温度で実施される;
(iii) ステップ(e)の前記乾燥は、約70mbar未満の圧力で約75℃~約95℃の温度で実施される、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記薬学的に許容可能な溶媒が、n-ペンタン、n-ヘキサン、またはn-ヘプタンからなる群から選択される炭化水素である、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記薬学的に許容可能な溶媒が、n-ヘプタンである、請求項18に記載の方法。
【請求項24】
前記薬学的に許容可能な溶媒が、n-ヘプタンであり、前記接触が、約115℃~約130℃の温度で実施される、請求項18に記載の方法。
【請求項25】
ステップ(c)で、前記冷却された抽出溶液が少なくとも約2倍過飽和される、請求項18に記載の方法。
【請求項26】
前記冷却された抽出溶液が約5倍過飽和される、請求項18に記載の方法。
【請求項27】
残留抽出溶媒の量が約0.5重量%以下である、請求項18に記載の方法。
【請求項28】
前記分散された固形白樺樹皮抽出物の粒子が、前記オレオゲル中の唯一のオレオゲル形成剤である、請求項18に記載の方法。
【請求項29】
前記オレオゲルが、約10重量%の前記固形白樺樹皮抽出物の粒子を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項30】
前記オレオゲルが、約50μmを超えるサイズを有する固形白樺樹皮抽出物の粒子を実質的に含まない、請求項18に記載の方法。
【請求項31】
前記オレオゲルからの前記非極性液体の前記分離が、25℃で30分間、2750gで遠心分離した後で、約10%未満である、請求項18に記載の方法。
【請求項32】
円錐平板粘度計を使用して、Ph.Eur.2.2.10に記載の回転粘度計法にしたがって測定すると、前記オレオゲルの200/sでの粘度が、約0.5~約4.0Pa.sの範囲であり、前記オレオゲルのチキソトロピー値が、約200~約1200Pa.sの範囲である、請求項18に記載の方法。
【請求項33】
(a) 白樺樹皮を薬学的に許容可能な溶媒に接触させ、それによってベツリンおよび一つまたは複数のトリテルペンを含む抽出溶液を形成することと、
(b) 前記白樺樹皮を前記抽出溶液から分離することと、
(c) 前記抽出溶液を冷却し、それによって前記ベツリンの一部および一つまたは複数のトリテルペンが前記冷却された抽出溶液から結晶化することと、
(d) 前記冷却された抽出溶液から、前記結晶化したベツリンおよび一つまたは複数のトリテルペンを分離することと、
(e) 前記分離された結晶化したベツリンおよび一つまたは複数のトリテルペンを乾燥させて、前記固形白樺樹皮抽出物を提供することと、を含み、
乾燥後、約50μm未満の平均粒径を有する、ステップ(e)の約1重量%~約20重量%の前記乾燥固形白樺樹皮抽出物が、精製されたヒマワリ油中に分散されて、オレオゲルを形成し、
前記固形白樺皮抽出物が、少なくとも約70重量%のベツリンと、ベツリン酸、オレアノール酸、エリスロジオールおよびルペオールからなる群から選択される一つまたは複数のトリテルペンとを含み、
前記精製されたヒマワリ油が、約3以下の過酸化物価を有する、オレオゲルを調製する方法。
【請求項34】
一つまたは複数のステップ(a)、(c)、および(e)は、以下の条件:
(i) ステップ(a)の前記接触は、約60℃~約130℃の温度で実施される;
(ii) ステップ(c)の前記冷却は、約-20℃~約35℃の温度で実施される;
(iii) ステップ(e)の前記乾燥は、約70mbar未満の圧力で約75℃~約95℃の温度で実施される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
二つ以上のステップ(a)、(c)、および(e)は、以下の条件:
(i) ステップ(a)の前記接触は、約60℃~約130℃の温度で実施される;
(ii) ステップ(c)の前記冷却は、約-20℃~約35℃の温度で実施される;
(iii) ステップ(e)の前記乾燥は、約70mbar未満の圧力で約75℃~約95℃の温度で実施される、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
ステップ(a)、(c)、および(e)は、以下の条件:
(i) ステップ(a)の前記接触は、約60℃~約130℃の温度で実施される;
(ii) ステップ(c)の前記冷却は、約-20℃~約35℃の温度で実施される;
(iii) ステップ(e)の前記乾燥は、約70mbar未満の圧力で約75℃~約95℃の温度で実施される、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記薬学的に許容可能な溶媒が、n-ペンタン、n-ヘキサン、またはn-ヘプタンからなる群から選択される炭化水素である、請求項33に記載の方法。
【請求項38】
前記薬学的に許容可能な溶媒が、n-ヘプタンである、請求項33に記載の方法。
【請求項39】
前記薬学的に許容可能な溶媒が、n-ヘプタンであり、前記接触が、約115℃~約130℃の温度で実施される、請求項33に記載の方法。
【請求項40】
ステップ(c)で、前記冷却された抽出溶液が少なくとも約2倍過飽和される、請求項33に記載の方法。
【請求項41】
前記冷却された抽出溶液が約5倍過飽和される、請求項33に記載の方法。
【請求項42】
残留抽出溶媒の量が約0.5重量%以下である、請求項33に記載の方法。
【請求項43】
前記分散された固形白樺樹皮抽出物の粒子が、前記オレオゲル中の唯一のオレオゲル形成剤である、請求項33に記載の方法。
【請求項44】
前記オレオゲルが、約10重量%の前記固形白樺樹皮抽出物の粒子を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項45】
前記オレオゲルが、約50μmを超えるサイズを有する固形白樺樹皮抽出物の粒子を実質的に含まない、請求項33に記載の方法。
【請求項46】
円錐平板粘度計を使用して、Ph.Eur.2.2.10に記載の回転粘度計法にしたがって測定すると、前記オレオゲルの200/sでの粘度が、約0.5~約4.0Pa.sの範囲であり、前記オレオゲルのチキソトロピー値が、約200~約1200Pa.sの範囲である、請求項33に記載の方法。
【外国語明細書】