(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023168440
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】肥料コーティング方法
(51)【国際特許分類】
C05G 5/30 20200101AFI20231116BHJP
C05G 5/10 20200101ALI20231116BHJP
B01J 2/00 20060101ALI20231116BHJP
B01J 2/12 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
C05G5/30
C05G5/10
B01J2/00 C
B01J2/00 B
B01J2/12
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023167818
(22)【出願日】2023-09-28
(62)【分割の表示】P 2021517928の分割
【原出願日】2019-06-04
(31)【優先権主張番号】62/680,193
(32)【優先日】2018-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18177506.5
(32)【優先日】2018-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】520478987
【氏名又は名称】パーセル・アグリ-テック・エルエルシー
(71)【出願人】
【識別番号】500030150
【氏名又は名称】ハンツマン・インターナショナル・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ・アントニー・サイア
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ・テイラー・パーセル・ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴン・マーク・ブルックス
(72)【発明者】
【氏名】レオン・ロバーソン・ザ・セカンド
(72)【発明者】
【氏名】スペンサー・ダニエル・サンダーズ
(72)【発明者】
【氏名】アレン・ゾーン・サンダーズ
(72)【発明者】
【氏名】マレー・ポール・ハシノフ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・ポール・ヘベラー
(72)【発明者】
【氏名】ジャスティン・マクレーン・フォガーティ
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・マイケル・モドルジンスキ
(57)【要約】
【課題】本発明は、粒子をコーティングする方法、特に肥料粒子をコーティングする方法に関する。
【解決手段】コーティングを用いて肥料粒子をコーティングする方法であって、コーティングユニット内に肥料粒子を準備することと、1つ以上のコーティング成分を肥料粒子にコーティングユニット内で適用することによってコーティング層を適用する1つ以上の工程と、コーティング層を少なくとも部分的に硬化又は硬質化させることであって、当該硬化又は硬質化は当該1つ以上のコーティング成分の化学反応を伴う、硬化又は硬質化させることと、コーティングされた肥料粒子をコーティングユニットから、任意選択で最終硬化又は硬質化工程後に放出することであって、コーティングユニットは固定フレーム及び少なくとも2つの可動要素を含む、放出することと、を含む、方法が開示される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
肥料粒子をコーティングでコーティングする方法であって、
a)コーティングユニット内に肥料粒子を準備する工程と、
b)
1つ以上のコーティング成分を前記肥料粒子に前記コーティングユニット内で適用して、コーティング層及び前記肥料粒子を含むコーティングされた肥料粒子を準備すること、及び、
前記コーティング層を少なくとも部分的に硬化又は硬質化させることであって、前記硬化又は硬質化が、前記1つ以上のコーティング成分の化学反応を伴うことと、
を含むコーティング層を適用する工程であって、
この工程b)を1回以上実行して、コーティングされた肥料粒子を準備する、コーティング層を適用する工程と、
c)
前記コーティングユニットから前記コーティングされた肥料粒子を排出する工程、又は
前記コーティングユニット内の前記コーティングされた肥料粒子の最終硬化若しくは硬質化を実行し、その後、前記コーティングユニットから前記肥料粒子を放出する工程
であって、
前記排出された肥料粒子が前記コーティングを含み、前記コーティングがポリマーを含む、工程と、
を含み、
前記コーティングユニットが、固定フレーム及び少なくとも2つの可動要素を備え、
前記可動要素は、前記固定フレームに対して独立して動作可能であり、
前記方法が、少なくとも工程b)の間に、前記少なくとも2つの可動要素を前記固定フレームに対して動作させることを含む、方法。
【請求項2】
前記可動要素の第1の可動要素が、肥料粒子を収容するための壁及び内部空間を有する容器であり、
前記方法が、前記容器が少なくとも工程b)の間に前記肥料粒子を保持している間に、回転軸の周りを回転運動で前記容器をスピンさせることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記可動要素の第2の可動要素が、前記容器の前記内部空間内に配置された撹拌部材であり、
前記方法が、少なくとも工程b)の間に、前記容器をスピンさせると同時に前記撹拌部材を動作させることを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記撹拌部材がローターであり、
前記方法が、少なくとも工程b)の間に、前記容器をスピンさせると同時に前記ローターの回転軸の周りで前記ローターを回転させることを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ローターの前記回転軸と前記容器の前記回転軸とが、互いに平行であるか、あるいは互いに30°未満の夾角を有し、
前記ローターの前記回転軸と前記容器の前記回転軸とが互いに間隔を置いて配置されており、これにより、前記ローターが、前記容器の前記内部空間内に偏心的に取り付けられる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ローターが、シャフト及び1つ以上のブレードを備え、
前記シャフトが第1の端部及び第2の端部を有し、前記第1の端部が前記容器の前記内部空間に配置され、かつ、前記第2の端部がアクチュエータに接続され、
前記ブレードは、前記シャフトに接続され、前記容器の前記内部空間内の前記シャフトから、前記シャフトの全長に垂直な方向に延びる、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記容器の前記回転軸が、垂直軸に対して傾斜しており、前記垂直軸が、重力に対して規定される、請求項2~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記容器が底部及び壁を有し、
前記コーティングユニットが、スクレーパを更に含み、前記スクレーパが、少なくとも工程b)の間に前記固定フレームに対して固定されており、
前記スクレーパが、前記容器の前記壁及び/又は前記底部から材料を掻き取るように配置されている、請求項2~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記排出された粒子の前記コーティングが、架橋ポリマー又は熱硬化性ポリマーを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
工程b)において、コーティング層が、コーティングを有さないコーティング前の前記肥料粒子の重量に基づいて、0.50~4.0重量%の量で適用され、
工程b)が、10~600秒、好ましくは30~240秒で実行され、
工程c)の最終硬化が実行される場合、60秒~15分で実行される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
工程a)及びb)が、少なくとも50℃の温度で実行され、
工程c)が、少なくとも50℃の温度からより低い温度にまで前記排出された粒子を冷却することを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記コーティングが、ポリウレタンコーティングであり、
前記コーティングの成分が、ポリイソシアネート成分及びポリオールを含む、請求項9~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記コーティングが、ポリウレタンコーティングであり、
工程b)が、その後:
B1)ポリオールを前記容器内の前記肥料粒子の床に注入する工程と、
B2)前記ポリオールを前記肥料粒子と5~120秒間混合する工程と、
B3)ポリイソシアネート成分を前記容器内の肥料粒子の前記床に注入する工程と、
B4)前記肥料粒子を前記容器内で少なくとも10~300秒間転動させることにより、前記ポリオール及び前記ポリイソシアネート成分を互いに反応させると同時に、前記ローターも回転させる、工程と、
B5)液体ワックスを前記肥料の床に注入する工程と、
任意選択で、前記工程B1~B5を繰り返す工程と、
B6)任意選択で、前記肥料を前記容器内で少なくとも10秒間転動させることにより、前記コーティングを更に硬化させる工程と、
を含む、請求項4に記載の、又は請求項5又は6に記載の方法。
【請求項14】
前記コーティングが、非水溶性ポリマーを含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
- 尿素溶融物のための入口及び温尿素粒子のための出口を有する、造粒ユニット又はプリル塔などの尿素仕上げユニットと、
- 温尿素粒子のための前記出口に接続された入口を有するコーティングユニットであって、
固定フレーム及び少なくとも2つの可動要素を含み、前記可動要素が、前記固定フレームに対して独立して動作可能であり、
前記可動要素の第1の可動要素が、コーティング前の肥料粒子を収容するための壁及び内部空間を有する容器であり、
第2の前記可動要素が、前記容器の前記内部空間に配置された撹拌部材であり、
前記コーティングユニットが、コーティングされた尿素粒子の出口を更に含む、
コーティングユニットと、
- コーティングされた尿素粒子のための前記出口に接続された入口を有し、冷却されコーティングされた尿素粒子のための出口を更に有し、好ましくは、冷却空気のための入口及び排空気のための出口を更に有する冷却ユニットと、
を備える、尿素仕上げプラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子をコーティングする方法、特に肥料粒子をコーティングする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの肥料が粒子状物質として使用され、例えば尿素含有肥料など、水溶性である。制御放出肥料を使用して、粒子からの肥料の持続放出を提供することができる。持続放出は、肥料のより効率的な使用に寄与することができる。このような肥料は、例えば、肥料粒子にコーティングを適用することによって製造することができる。例えば、米国特許出願公開第2014/0033779号では、基材材料及びコーティング材料が混合され、コーティングされた混合物が別個の反応器内で硬化される、基材をコーティングする方法を記載している。米国特許出願公開第‘779号では、単一のドラム又は反応器(すなわちバッチ処理)を利用して制御放出肥料を製造する方法が、機能的であり一般的に使用されているが、コーティングされた材料の塊やボールが生成されるリスクなど、いくつかの問題に関連しているとも述べている。
【0003】
米国特許第5538531号では、肥料粒子を加熱し、穏やかな混合が維持されるように粒子を撹拌し、ポリオールを添加し、ポリオール成分が均一に広がった後にポリイソシアネートを添加し、成分を反応させ、そしてワックスを添加することを伴う、制御放出粒子状肥料の製造方法を記載している。
【0004】
更に、肥料の既存のコーティング方法は、特にコーティング工程が肥料の生産に別個のプロセス工程を追加するため、比較的費用がかかる。コーティング工程は、典型的に、長い処理時間を必要とするため、大型の機器が伴い、資本コスト及び操業コストが高くなる。特殊コーティングや園芸ではより高い価格を許容できるが、トウモロコシ(メイズ)などの大規模な農作物では低コストであることが重要である。
したがって、粒子、特に肥料粒子をコーティングするための方法が望まれている。特に、大規模な商品としての農作物の効率的な施肥に適した制御放出肥料を生産するために、競争力のある価格で肥料をコーティングする方法が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2014/0033779号明細書
【特許文献2】米国特許第5538531号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、一態様では、上記の問題及び要望に少なくとも部分的に対処するコーティング方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、第1の態様において、肥料粒子をコーティングでコーティングする方法であって、
a)コーティングユニット内に肥料粒子を準備することと、
b)コーティング層を適用する工程(工程b)であって、
1つ以上のコーティング成分を肥料粒子にコーティングユニット内で適用して、コーティング層及び肥料粒子を含むコーティングされた肥料粒子を準備すること、
及び、コーティング層を少なくとも部分的に硬化又は硬質化させること、を含み、当該硬化又は硬質化が、当該1つ以上のコーティング成分の化学反応を伴い、
工程b)を1回以上実行して、コーティングされた肥料粒子を準備する、コーティング層を適用する工程と、
c)コーティングユニットからコーティングされた肥料粒子を排出すること、又はコーティングユニット内のコーティングされた肥料粒子の最終硬化若しくは硬質化を実行し、その後、コーティングユニットから肥料粒子を放出することであって、排出された肥料粒子が当該コーティングを含み、コーティングが好ましくは非水溶性ポリマーを含む、肥料粒子を放出することと、を含み、
コーティングユニットが、固定フレーム及び少なくとも2つの可動要素を備え、当該可動要素は、フレームに対して独立して動作可能であり、方法は、少なくとも工程b)の間に、当該少なくとも2つの可動要素をフレームに対して動作させることを含む、方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の方法で使用することができる例示的なコーティングユニットを概略的に示す図である。
【
図2】異なる反応性時間値を有するコーティング組成物を用いて、本発明による方法で調製された肥料粒子の実験的に得られた尿素放出速度を示す図である。
【
図3】本発明の方法に従ってコーティングされた2つの肥料と、回転ドラムコーターを用いた比較方法に従ってコーティングされた2つの肥料について、実験的に得られた尿素放出時間プロファイルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、コーティング前の粒子が移動を続けるコーティングユニットにおける短い滞留時間を、2つの可動要素を含むコーティングユニットと、好ましくは更に、短い硬化又は硬質化時間を有するコーティング組成物と組み合わせるという賢明な洞察を広く提供する。
【0010】
本発明は、コーティングを少なくとも部分的に硬化又は硬質化させるために、粒子が移動を続けている間、そのコーティングユニット内における1つ以上のコーティング成分の化学反応を実行することを伴う、方法を提供する。有利なことに、これにより、肥料粒子の凝集やコーティングユニット内の固体堆積物の形成なしに、高スループット及び高速コーティングプロセスが可能になる。
【0011】
本発明は、肥料粒子をコーティングする方法に関する。肥料粒子はまた、粒状肥料と呼ばれることもある。コーティング前の粒子及び/又はコーティング後の粒子は、例えば、0.10~20mm、例えば0.5~15mm又は1.5~5mmの粒径を有する。粒子は、例えば、この範囲内の重量平均粒径を有する、又は例えば、粒子の少なくとも90重量%が、この範囲内の粒径を有し、粒子のサイズは、例えば最小サイズを指す。粒子は、例えば、粒状化若しくは球状化肥料、又はペレット化、錠剤化若しくは圧密化肥料材料である。任意選択的に、本方法は、例えば、プリル塔、造粒ユニット(例えば、噴流床又は流動床を備えた)、又はペレタイザを用いて、特に肥料が尿素肥料又は尿素含有肥料である場合に、液体肥料材料をコーティング前の肥料粒子に固化する工程を含む。好ましくは、この固化工程において、溶融物(尿素溶融物など)は、例えば冷却空気を使用して冷却される。好ましくは、粒子は、固化工程とコーティング工程との間で、50℃超又は60℃超の温度に維持される。
【0012】
コーティング前の粒子は、肥料材料を含む(又はそれからなる)。肥料材料は、例えば窒素肥料材料であり、例えば、窒素(N原子に基づく)を、少なくとも10重量%、少なくとも20重量%、又は少なくとも30重量%の量で含む。肥料材料は、例えば、尿素並びに/又は硫酸アンモニウム及び硝酸アンモニウムなどのアンモニウム塩を含むことができ、例えば、10重量%未満、又は5重量%未満の、尿素及びアンモニウム塩以外の成分を含む。好ましくは、肥料材料は、尿素、例えば少なくとも50重量%の尿素を含み、好ましくは、少なくとも40重量%のN又は少なくとも46重量%のNを有する尿素肥料である。肥料材料はまた、例えば硫酸塩及び/又はリンの塩として、任意選択で、例えば尿素及び/又はアンモニアとしてのNと組み合わせて、K(カリウム)、Ca(カルシウム)、P(リン)及び/又はS(硫黄)(元素組成に基づく)を含み得る。肥料材料は、典型的には水溶性であり、肥料粒子が土地に施用されると、肥料元素(N、P及びS、K、Caなど)は、溶解種として作物に提供され、任意選択で更にZn及び/又は他の微量栄養素が提供される。
【0013】
本発明の方法は、コーティングを用いた肥料粒子のコーティングに関する。したがって、コーティングされた粒子(コーティング方法の後に得られる)は、肥料粒子と、肥料粒子を部分的又は全体的に被覆するコーティング材料の外層とを含む。
【0014】
コーティング層は、例えば、肥料が土地(土壌中)に施用され、水と接触している場合に、肥料材料の制御放出を提供する。コーティング層はまた、肥料材料の徐放を提供し得る。このような実施形態では、肥料材料は、例えば、加水分解、生分解、若しくは限定された溶解性によって、又はこれらの組み合わせによって、粒子から放出される。放出される肥料材料は、植物に利用可能な栄養素の放出を指す。
【0015】
コーティングは、好ましくはポリマーを含み、より好ましくは非水溶性ポリマーを含む。ポリマーは、例えば、100kPa及び20℃の脱イオン水中で0.10g/L未満の溶解度を有する。ポリマーは、例えば、D.Braun et al.,Practical Macromolecular Organic Chemistry,CRC Press,1984,p.73に記載されている、30~50mgの超微細粒子ポリマー試料を、1mLの液体を有する小型試験管に入れ、数時間静置する方法を用いて、20℃で脱イオン水に溶解しないものである。
【0016】
コーティング材料は、例えば、水不透過性又は半透過性である。好ましくは、コーティング材料は、放出されるまで、コーティングの内側の肥料を土壌プロセスから保護する。
【0017】
いくつかの実施形態では、水及び溶質は、拡散によってコーティングを透過することができる。拡散に必要な時間により、コーティングされた粒子から土壌への肥料栄養素の所望の放出速度を得ることができる。このようにして、コーティングにより、制御放出をもたらすことができる。
【0018】
いくつかの実施形態では、コーティング材料は半透過性であり(例えば、水に対して透過性であるが、尿素などの肥料材料に対して不透過性である)、土地に施用すると、浸透のため水がコーティングを通って進入し、肥料材料のコアの膨潤を引き起こす。これにより、コーティングにひびが入る、及び/又はコーティングの細孔を通って肥料材料が移動する可能性がある。このようにして、コーティング材料の持続的放出及び/又は遅延放出を達成することができる。
【0019】
コーティング材料は、例えば、全粒子の重量に基づいて、合計で少なくとも0.0010重量%、例えば0.10重量%~10重量%であり、及び/又は、例えば、1つのコーティング層当たり0.2~5重量%、若しくは0.3~3.0重量%、若しくは0.3~1.5重量%、若しくは0.5~1.2重量%、例えば、1つのコーティング層当たり1.0~3重量%である。コーティング厚さは、例えば、合計で、及び/又は1つのコーティング層当たり、1.0μm~50μmの範囲であるが、他の厚さも可能である。
【0020】
コーティングされた粒子中に存在するコーティング材料は、例えばポリマーであり、コーティング方法中に肥料粒子に適用されるコーティング組成物は、例えば樹脂である。
【0021】
好ましくは、コーティングユニットから放出される粒子のコーティングは、ポリマーを含む。好ましくは、ポリマーは架橋されている。好ましくは、ポリマーは熱硬化性、あるいは熱可塑性である。
【0022】
本方法は、コーティングユニット内に肥料粒子を準備することを伴い、例えば、粒子は、コーティングユニット、特に回転容器内に供給される。コーティングユニットは、コーティング前の肥料粒子を受容するように構成されている。コーティングユニットは、例えば、肥料粒子を受容及び保持するための容器を含む。このような容器は、好ましくは、壁及び内部空間を有し、内部空間は、肥料粒子を受容することができる。
【0023】
本方法は、肥料粒子をコーティングユニットに導入する前に、肥料粒子を所望のサイズ範囲にスクリーニングすることを含み得る。
【0024】
本方法は、例えば、少なくとも30℃、少なくとも40℃、少なくとも50℃若しくは少なくとも60℃の温度、及び/又は周囲温度より少なくとも5℃、少なくとも10℃若しくは少なくとも20℃高い温度まで、典型的には100℃未満又は80℃未満の温度まで、肥料粒子がコーティングユニットに導入される前に、肥料粒子を予備加熱する工程を更に含み得る。
【0025】
本方法は、コーティング層を適用する工程を含む。この工程を1回以上実行して、1つ以上のコーティング層を有するコーティングされた肥料粒子を提供することができる。
【0026】
コーティング層を適用する工程は、コーティング層を有する肥料粒子を提供することを伴う。工程は、粒子がコーティングユニット内にある間に、1つ以上のコーティング成分を肥料粒子に適用することを含む。加えて、コーティング層を適用するこのような工程の間に、溶媒などの他の化合物を肥料粒子に適用することができるが、好ましい実施形態では、溶媒は使用されない。本方法はまた、ワックス層が適用される工程など、追加のコーティング層を粒子に適用する追加の工程を伴い得る。コーティング層を適用する特定の工程では、コーティング成分及び任意選択の更なる化合物を、例えば同時に又はその後に適用することができる。例えば、異なる組成を有する、少なくとも2つのコーティング成分を、その後に、例えば段階的に適用する。各コーティング成分はまた、化合物の混合物であってもよい。コーティング成分は、典型的には液体(これには、例えば、エマルジョン、溶液、及び分散液、並びにポリマー溶融物が含まれ得る)として、例えば、液体を噴霧するなどの注入によって適用される。このようにして、コーティング層及び肥料粒子をコアとして含む肥料粒子が提供される。したがって、適用された1つ以上のコーティング成分は、肥料粒子上に(更なる)層として存在する。
【0027】
好ましい実施形態では、適用されたときのコーティング成分の少なくとも1つ又は全ては、25℃で2000mPa・s未満又は1000mPa・s未満、典型的には25℃で100mPa・s超の粘度を有する。粘度は、例えば、ISO 3219:1993に従って測定される。
【0028】
好ましくは、1つ以上のコーティング成分は、肥料粒子の床に添加され、この床は、コーティングユニットの可動要素の運動によって、特に、転動作用によって、又は粒子間接触によって提供される。好ましくは、床は浮遊した粒子床であり、肥料粒子は可動要素の運動によって浮遊する。コーティングユニットは、内部空間内の全ての材料が一定の運動に保たれるように操作されることが好ましい。好ましくは、コーティングユニットは、空中粒子が複数の方向に連続的に移動するように操作される。いくつかの実施形態では、コーティング工程は、空気以外の雰囲気、例えば、N2などの不活性雰囲気中で実行される。コーティングユニットは、例えば、少なくともいくつかの粒子が「気中(gasborne)」粒子(例えば、空中粒子)であり、これらの粒子が典型的には複数の方向に連続的に移動するように操作される。これは、重力の影響を克服するのに役立つことができ、粒径、形状及び密度の制限を打消し、短い混合サイクルでコーティング成分と粒子との均質な混合を達成することができる。
【0029】
肥料粒子は、例えば、コーティングされていない肥料粒子の材料のバルク密度に基づいて、全て容器の内部空間の容積に対して、10%超、又は20%超、又は40%超、又は60%超、及び/又は95%未満、又は90%未満、又は80%未満、例えば、60~90%、好ましくは75~90%の量で容器内に導入される。バルク密度に基づく容積分率は、コーティングされていない粒子のバルク床(床内の空隙を含む)が、内部空間の当該容積分率を占めることを意味する。例えば、尿素粒子又は尿素含有粒子の場合、720~820kg/m3、例えば770kg/m3のバルク密度を使用することができる。肥料材料(コーティングされていない)の真密度に基づく充填分率は、例えば、内部空間容積の10%超、又は20%超、又は30%超、及び/又は60%未満、又は50%未満である。この充填分率は、工程b)の間に浮遊した床の形成、及びコーティング成分の良好な分布に寄与することができる。
【0030】
好ましくは、コーティング成分は無溶媒であり、例えば、5重量%未満の水、例えば1.0重量%未満の水と、5重量%未満又は1.0重量%未満の有機溶媒とを含み、有機溶媒は、例えば、120℃未満の沸点を有する有機化合物である。好ましくは、全方法において、コーティングされていない肥料粒子の重量に基づいて、1.0重量%未満の水及び/又は1.0重量%未満の有機溶媒が適用される。水は、多くの肥料が水溶性であるため、避けることが好ましい。有機溶媒は、排出のリスクを回避し、排出基準及び他の規制に準拠するために避けることが好ましい。
【0031】
好ましくは、コーティング成分は、工程b)の間に実行される化学反応における反応物質以外の成分の40重量%未満、又は20重量%未満、又は10重量%未満を構成する。好ましくは、各コーティング成分は、硬化又は硬質化のために実行される化学反応の反応物質の50重量%超又は80重量%超を構成することが好ましい。好ましくは、各コーティング成分は、排出されるときにコーティングされた肥料粒子に含まれない化合物の10重量%未満を構成する。
【0032】
1つ以上のコーティング成分がポリマーを含む又はポリマーである実施形態では、ポリマーコーティング成分は、ポリマーを加工できるほど十分に低い粘度を有するように、例えば、ポリマーのガラス転移温度を十分に超える温度で、ポリマー溶融物などの液体として適用されることが好ましい。
【0033】
本方法は、適用された1つ以上のコーティング成分を少なくとも部分的に硬化又は硬質化させることを更に伴う。この少なくとも部分的な硬化又は硬質化は、コーティングユニット内で実行され、例えば、最終コーティングが、好ましい非水溶性コーティングを含むことを確実にする。
【0034】
硬化又は硬質化は、1つ以上のコーティング成分の化学反応を含む。この化学反応は、コーティングユニット内で、より具体的には、可動要素の少なくとも1つが動いている間に行われる。化学反応は、例えば、コーティング層の粘度の増加をもたらす。いくつかの実施形態では、化学反応は、反応物質よりも高い分子量を有する化合物の形成を伴う。化学反応は、例えば、ポリマーの重合及び/又は架橋を伴う。
【0035】
工程b)における部分的な硬化又は硬質化の場合、コーティングユニットからコーティングされた肥料粒子の排出前及び/又は後に、最終硬化又は硬質化が続いて実行される。最終硬化は、例えば、工程b)に使用されるコーティングユニット内で実行される。
【0036】
硬質化及び硬化は、1つ以上のコーティング成分の化学反応による、肥料粒子に添加された1つ以上の液体コーティング成分の固体コーティング材料への固化を含み得る。硬化の場合、化学反応は、例えば、熱硬化性ポリマーを得るための架橋反応を含む。硬質化の場合、化学反応は、典型的には架橋を伴わず、化学反応は、典型的には熱可塑性ポリマーを生成する。1つのコーティング成分のみが適用される実施形態では、この成分は、例えば、重合反応においてそれ自体と反応することができる。
【0037】
反応性の硬化又は硬質化の観点から、1つ以上のコーティング成分は、例えば、重合開始剤(例えば、フリーラジカル開始剤又はカチオン性開始剤)及び重合触媒などの、開始剤及び/又は触媒を含む。
【0038】
コーティングされた肥料粒子及び/又はコーティング材料は、追加の成分を含み得る。追加の成分としては、例えば、湿潤剤、界面活性剤、殺生物剤、除草剤、殺虫剤、殺真菌剤、帯電防止剤、及び微量栄養素からなる群から選択される1つ以上が挙げられる。微量栄養素は、例えばFe、Mn、Zn、Cu、Mo、Ni、Cl、Mg、及びBからなる群から選択される。
【0039】
このような追加の成分は、例えば、コーティング層を適用する1つ以上の工程の間に、例えば、1つ以上のコーティング成分の一部として、又は工程b)及び/又は工程c)の間に追加される追加成分として適用される。
【0040】
コーティングは、例えば、工程b)の間に硬化又は硬質化されるコーティング層間の層として、及び/又は最終層として適用されるワックスを含むことができる。ワックスは、例えば、オレフィンワックス、より好ましくは、少なくとも20若しくは少なくとも30個の炭素原子を有するものなどのα-オレフィンワックス、又は例えば、例えば20~40個の炭素原子を有する炭化水素(アルカンなど)である。ワックスは、例えば、パラフィンワックス、ワセリンワックス、又はポリアミドワックスであり、及び/又は、例えば、マイクロクリスタリンワックスである。
【0041】
本方法は、コーティングユニットからコーティングされた肥料粒子を、任意選択で最終硬化工程又は最終硬質化工程後に排出することを更に含む。最終硬質化工程は、例えば、未反応モノマーの蒸発、又は冷却、及び/又は最終硬質化化学反応工程を含んでもよい。任意選択の最終硬化工程は、適用されたコーティング層中に存在するコーティング成分を更に反応させることを含み得る。最終硬化工程は、ポリマーコーティング材料の架橋を伴い得る。排出された肥料粒子は、コーティング及びコーティング材料を含む。任意選択の最終硬質化工程を適用して、粒子を排出可能な状態、特に非粘着性の状態にし、取り扱い、包装、及び貯蔵されるのに十分な機械的/破砕強度を有するようにする。
【0042】
本方法は、コーティングされた肥料粒子の放出後における1つ以上の工程、例えば、冷却工程、包装工程、計量工程、及び/又は貯蔵工程を任意選択で含む。冷却工程では、例えば、冷却空気を使用する。コーティングされた肥料粒子は、例えば、冷却空気中に懸濁される。包装工程は、例えば、袋又は容器に肥料粒子を包装することを含む。計量工程は、次々と来るコーティングされた肥料粒子を計量された量のバッチで分割することを伴ってもよく、このようなバッチは、例えば、包装の有無にかかわらず、車両又は船舶に輸送されてもよい。
【0043】
コーティング方法は、例えば、バッチプロセス又は連続プロセスとして実行される。本方法は、例えば、複数のコーティング層をもたらすバッチプロセスであり、コーティング層を適用する2つ以上の工程が、同じコーティングユニット(例えば、同じ容器)内で実行される。また、バッチプロセスに関して、1つ以上の成分は、例えば、少なくとも10秒、又は少なくとも30秒にわたって連続的に添加することができる。例示的なプロセスでは、2つ以上のバッチコーティングユニットが並行して操作され、並列コーティングユニットは、それぞれの時点で互いに異なる工程を実行する。このような実施形態では、本方法は、いわゆるバッチ連続モード又は半連続モードで実行される。例えば、本方法は、第1のコーティングユニットに肥料粒子を充填することを伴い得る一方で、第2のコーティングユニットは、充填よりも方法の別の工程を実行する。このようにして、2つ以上のコーティングユニットを並列に使用して、肥料粒子の連続的な供給を、コーティングされていない肥料粒子を受容する並列コーティングユニットのうちの少なくとも1つで、いかなる時点においても処理することができる。このような実施形態では、本方法は、例えば、並列コーティングユニットの1つ1つにおいて、肥料粒子(1、2、3又はそれ以上の層など)上に適用されるコーティング層の総数を適用することを伴う。
【0044】
連続プロセスとして本方法が実行される例示的な実施形態では、2つ以上のコーティング層が、直列に配置された本明細書に記載の異なるコーティングユニットに適用され、各コーティングユニットは、例えば、容器及びローターを有し、本方法は、第1のコーティング層を適用するための第1のコーティングユニットから、第2のコーティング層を適用するための第2のコーティングユニットまで、肥料粒子を輸送することを含む。このような輸送を、例えば、移動ベルトを用いて実行することができる、又は例えば、コーティングユニットを重ね合わせて配置し、輸送を重力によって実行することができる。連続プロセスは、第1のコーティングユニットへの肥料粒子の連続供給、第1のコーティングユニットから下流の第2のコーティングユニットへのコーティング層を有する肥料粒子の輸送、及び第2のコーティングユニットからの追加のコーティング層を有する肥料粒子の回収を伴い得る。いくつかの更なる実施形態では、記載されるような2つ以上のコーティングユニットは、直列で使用され、異なるコーティング層は、当該コーティングユニットとは異なるコーティングユニットに段階的に適用され、輸送は、コーティングされた肥料粒子のバッチを、少なくとも第1のコーティングユニットから下流の第2のコーティングユニットまで輸送することを伴う。
【0045】
コーティングユニットは、固定フレームと、第1及び第2の可動要素を含む少なくとも2つの可動要素とを備える。コーティングユニットは、(更に)コーティングされる前の肥料粒子を受容することができる。可動要素は、コーティングプロセス中に肥料粒子を移動させるように構成されている。第1及び第2の可動要素は、それぞれフレームに対して動作可能であり、典型的には、独立した方式でフレームに対して動作可能である。本方法は、少なくとも工程b)の間に、好ましくは肥料粒子と接触している間に、少なくとも2つの可動要素をフレームに対して動作させることを含む。好ましくは、第1及び第2の可動要素もまた、互いに対して動作する。第1及び第2の可動要素は、例えば、互いに独立して、かつ回転及び/又は往復運動によって独立して動作する。
【0046】
可動要素の運動により、工程b)の間に肥料粒子の移動をもたらすことができる。これにより、添加された1つ以上のコーティング成分を互いに、及び肥料粒子と良好に混合することができる。可動要素を動作させることにより、コーティング材料及び肥料粒子の塊などの、コーティングプロセス中の塊の形成を回避又は防止することもできる。
【0047】
固定フレームは、可動要素、例えばモーターなどのアクチュエータを取り付けるために使用される。固定フレームには、静的ケースを含めることができる。
【0048】
好ましくは、第1の可動要素は、容器を含むか、又は容器である。容器は、壁及び内部空間を有する。壁は、例えば、底部及び1つ以上の側部を有する。壁は、例えば、コーティングされた肥料粒子を排出するために、底部に閉鎖可能な出口開口部を設けることができる。容器は、例えば、コーティングユニットの一部であるカバープレートで頂部において閉鎖される。カバープレートは、肥料粒子のための入口開口部を含み得、例えば、1つ以上のコーティング成分のための1つ以上のスプレーノズルが設けられている。入口開口部はまた、開放パイプによって提供され得る。開放パイプは、例えば、コーティング成分を粒子床に滴下するために使用される。内部空間は、粒子を収容するための方法において、例えば、内部空間の自由空間内で肥料粒子を受容及び保持することによって使用される。本方法の間、容器は、例えば、回転し及び/又は往復運動し、(例えば水平方向又は垂直方向において)回転運動又は往復運動を伴う。本方法は、例えば、容器が特に内部空間内で肥料粒子を保持している間、回転軸の周りで容器をスピンさせることを伴う。好ましくは、少なくとも工程b)は、当該スピン中に実行される。容器をスピンさせることにより、例えば工程b)の間に肥料粒子を転動させる。好ましくは、粒子は、容器を回転させることなどによって、排出されるまで、容器内で連続的に移動を続ける。
【0049】
容器は、例えば円筒形であり、例えばパンである。容器は、例えば、回転軸に垂直な平面内に円形の断面を有する。容器は、例えば、モーターなどの第1のアクチュエータに接続されている。第1のアクチュエータは、例えば、フレーム内に設けられ、フレームに対する容器の運動のために構成されている。
【0050】
コーティングユニットは、例えば、フレームに対して固定されているスクレーパを含み得、又は、例えば、容器がスピンしている間、フレームに対して固定状態を保つことができる。スクレーパは、回転容器の壁から固体材料を掻き取るために使用することができる。スクレーパにより、操作中の粒子を撹拌することもできる。スクレーパは、容器の壁及び/又は容器の底部の近傍(例えば、1~5mmなどの1~10mmの間隙)に配置され、好ましくは、容器の好ましい傾斜の上側に配置される。スクレーパは、容器の壁に対して移動可能である。好ましい実施形態では、容器が底部及び側壁を有し、コーティングユニットが、スクレーパを更に含み、スクレーパが、少なくとも工程b)の間にフレームに対して固定されており、スクレーパが、容器の側壁及び/又は底部から材料を掻き取るように配置されている。
【0051】
好ましい実施形態では、第2の可動要素は、撹拌部材である、又は撹拌部材を備える。撹拌部材は、容器の内部空間に配置され、例えば、内部空間内で回転及び/又は往復運動するように構成されている。本方法は、好ましくは、少なくとも工程b)の間、容器をスピンさせるのと同時に、より好ましくは工程b)の間に連続的に、撹拌部材を動作させることを含む。このようにして、撹拌部材は、粒子に1つ以上のコーティング成分が提供されるとき、工程b)の間に肥料粒子と接触する。撹拌部材は、例えば、混合ツールである。撹拌部材の運動により、粒子の混合回避に、及び/又は塊の形成回避に、役立つことができる。いくつかの実施形態では、撹拌部材は、例えば、工程b)中の任意の所与の時間に、大半(例えば、数で30%超)又は大部分の粒子を(容器と接触せずに)空気中に懸濁状態に保つように配置されている。個々の粒子は、工程b)の間に、例えば容器の壁と撹拌部材との間で跳ね返る。
【0052】
撹拌部材は、例えば、フレームに対する撹拌部材の運動のためにフレーム内に設けられた第2のアクチュエータなどのアクチュエータに接続され、その運動は回転であり得る。撹拌部材の速度及び運動は、好ましくは、容器の速度及び運動とは別に制御することができる。
【0053】
より好ましくは、撹拌部材はローターである。ローターは、例えば、シャフトと1つ以上のブレードとを備える。ブレードは、パドルとして提供することができる。ブレード又はパドルは、好ましくは、シャフトの周りに角度的に均等に間隔を置いて配置されている。本方法は、例えば、少なくとも工程b)の間に容器をスピンさせると同時にローターの回転軸の周りでローターを回転させることを含む。1つの容器には、1つ以上のローターを設けることができる。ローターは、シャフトの周りを回転することが好ましい。ローターの回転軸は、例えば、容器の回転軸と実質的に平行(平行を含む)である。ローターの回転軸は、例えば、容器の回転軸に対して30°未満、又は20°未満、又は5°未満、例えば0°の夾角を有する。シャフトは、容器のカバープレート内の穴を通って延びることができる。例えば、ローターは、フレーム内の容器の上方に取り付けられ、容器内に固定されている。
【0054】
容器及びローターは、特にシャフト及び回転軸が実質的に平行である場合、同じ又は反対の回転方向で(任意の所与の時間で)回転させることができる。反対方向の回転が好ましい。例えば、重力に対して上から見た場合、容器は時計回りの方向に、ローターは反時計回りの方向に回転してもよく、逆もまた同様である。
【0055】
容器は、例えば、少なくとも1rpm(毎分回転)、典型的には500rpm未満、好ましくは5~100rpm、例えば10~60rpmの速度で回転させる。ローターは、例えば、少なくとも1rpm(毎分回転)、典型的には500rpm未満、好ましくは5~100rpm、例えば10~60rpmで回転させる。先端速度は、例えば、容器で0.10~1m/秒、好ましくは0.2~2.0m/秒又は0.5~2.0m/秒である。先端速度は、例えば、ローターで0.2~10m/秒、好ましくは0.5~5.0m/秒又は1.0~2.5m/秒である。ローターの先端速度は、容器の先端速度よりも速いことが好ましい。これらの好ましい速度は、特に工程b)に当てはまる。
【0056】
ローターの回転軸は、好ましくは、容器の回転軸から間隔を置いて配置され(少なくとも容器の回転軸に垂直な平面内で)、これにより、ローターが、容器の内部空間内に偏心的に取り付けられ、特に実施形態において、ローターの回転軸が、例えば、容器の回転軸と実質的に平行(平行を含む)である。間隔は、例えば、容器の回転軸に垂直な平面内の内部空間における直径の少なくとも2%又は少なくとも5%の距離である。いくつかの実施形態では、単一の容器に、複数のローターを任意選択で設けることができる。複数のローターにおけるローターの回転軸は、例えば、容器の回転軸から同じ距離又は異なる距離(半径方向)にある。
【0057】
好ましい実施形態では、ローターは、シャフトと1つ以上のブレードとを備える。シャフトは、長さ方向の第1の端部及び第2の端部の長さを有し、当該第1の端部は、当該容器の当該内部空間内に配置されている。ブレードもその内部空間に配置されている。第2の端部は、アクチュエータ、例えば、第2のアクチュエータ、例えば第2のモーター内に接続されている。ブレードは、シャフトに接続され、シャフトの全長に垂直な方向に、容器の当該内部空間内のシャフトから延びている。ブレードは、例えば、容器の回転軸に垂直な断面において、容器の半径の少なくとも2%又は少なくとも5%のシャフトに垂直な方向の長さを有する。
【0058】
好ましくは、容器の回転軸は、垂直方向に対して傾斜しており、垂直方向は、重力に対して規定される。好ましくは、回転軸は、垂直方向に対して少なくとも5°又は少なくとも10°、典型的には30°未満の角度を有する。回転軸はまた、重力に対して垂直であってもよい。向きを垂直又はわずかに傾斜させることで、回転軸が水平又はほぼ水平である実施形態と比較して、容器内の粒子の均質な(回転軸の周りで実質的に角度的に対称な)分布をもたらすことができる。傾斜した回転軸の場合、フレームは、回転容器が、支持要素の底部に平行である水平面に対して傾斜するように、容器が支持要素上に配置されているケーシングを備える。好ましくは、容器は、平板、例えば円筒形プレートによって提供される底壁を有する。好ましくは、底壁は、水平面に対して少なくとも5°又は少なくとも10°の角度でフレーム内に取り付けられる。例えば、円筒形の底壁は、静止している(回転していない)ときに最も低い点を有することができる。コーティングされた肥料粒子を排出するための出口ダクトは、例えば、その最も低い点に、又は例えば、底壁の中央に設けられる。傾斜した回転により、肥料及び添加された1つ以上のコーティング成分をより良好に混合することもできる。
【0059】
いくつかの実施形態では、コーティングユニットは、直列又は並列に配置された複数のコーティングデバイスを備え、各コーティングデバイスは、容器及び少なくとも1つのローターを備える。例えば、コーティングユニットは、直列に配置され、コーティングされた肥料粒子の輸送ライン(移動ベルト又はダクトなど)と互いに接続された、複数のコーティングデバイスを備え、各コーティングデバイスは1つの容器を有する。各容器は、例えば、(コーティングされた)肥料粒子のための入口及び出口を有する。このようなコーティングユニットは、例えば、工程b)が2回以上実行される方法で使用することができる。各コーティング層は、例えば、異なるコーティングデバイス内(及び異なる容器内)で適用され、各容器において、例えば、1つ以下のコーティング層が適用される。肥料粒子は、コーティングデバイスの最も上流に供給され、最も下流のコーティングデバイスから排出される。最後のコーティングデバイスは、例えば、コーティング層を適用するのではなく、最終硬化を実行するために使用される。別の実施形態では、コーティングシステムは、複数のコーティングユニットと並列に、かつコーティングユニットの下流における共通の冷却段階で使用される。
【0060】
本発明によれば、コーティングユニットは、例えば、Eirichミキサ、例えば、Eirich Intensive Mixer Type R、又は例えば、並列又は直列に配置された複数のこのようなミキサである。本発明によれば、コーティングユニットは、例えば、米国特許出願公開第4854715号に記載されている、又は同第9295109号に記載されているような混合デバイスである。
【0061】
コーティングユニットは、例えば、Loedigeから入手可能な水平混合システム、又は例えば、Eirich Plow Blenderであってもよい。コーティングユニットは、例えば、水平円筒形タンクと中実の水平シャフトを備えた混合デバイスであり、くさび状のプラウ又は角度の付いたパドルがシャフトに取り付けられており、例えばEirich Plow Blenderがある。
【0062】
好ましい実施形態では、工程b)において、コーティング層は、コーティングされていないコーティング前の肥料粒子の重量に基づいて、0.10重量%~6.0重量%、より好ましくは0.50~4.0重量%、更により好ましくは0.5~1.5重量%の量で適用される。工程b)が、例えば、異なる組成を有するコーティング層を得るために、2回以上実行される場合、これらの量及び回数は、工程b)の1回の例を指す。例えば、全コーティングは、コーティングされていないコーティング前の肥料粒子の重量に基づいて、1.0~25重量%、又は1.0~15重量%、又は例えば1.5~10重量%、好ましくは1.5~7.5重量%である。
【0063】
好ましくは、工程b)は、10~600秒、好ましくは30~240秒、又は10~120秒、又は30~120秒、又は10~60秒、又は10~30秒、又は30~90秒で、特にこのような量のコーティング材料に対して実行(及び完了)される。いくつかの実施形態では、コーティング成分は、0.5~30秒、又は1~10秒、又は1~5秒で容器に添加され、好ましくは、そのようなコーティング成分、好ましくは各コーティング成分の全量が、そのような期間に添加される。いくつかの実施形態では、成分は、10秒~45秒、又は10~30秒で肥料粒子上に分配される(すなわち、粒子と混合される)。そのような速い混合時間は、例えば、使用されるとき、容器及びローターの運動によって達成される。
【0064】
工程b)が、例えば、異なる組成を有するコーティング層を得るために、2回以上実行される場合、これらの回数は、工程b)の1回の例を指す。好ましくは、工程c)の最終硬化は、実行される場合、60秒~15分、より好ましくは2~10分で実行(及び完了)される。好ましくは、工程b)は、容器及びローターの両方が回転している間に、続けて段階的に2つ以上のコーティング成分を肥料粒子に適用することを伴う。好ましくは、粒子に最初に添加されるコーティング成分は、第2のコーティング成分よりも高い分子量(数平均分子量など)及び/又はより高い粘度を有する。好ましくは、第1(最初)のコーティング成分を粒子に添加し、10~60秒などの2~120秒間混合した後、第2のコーティング成分を添加する。第1のコーティング成分を混合することで、混合期間の終了時及び第2のコーティング成分が添加される前に、粒子上にコーティング成分を均質に分布させることが好ましい。好ましくは、両方のコーティング成分は、液体(滴下及び噴霧を含むことができる)として、好ましくは、浮遊した粒子の床に注入される。好ましい実施形態では、浮遊した粒子の床は、粒子が最も速く移動し(例えば、ローターの近くで)、コーティング成分がその部分に追加されるゾーンを含む。これにより、粒子上にコーティング成分を早く均一に分布させることができる。いくつかの実施形態では、添加される第1の2つのコーティング成分は、互いに反応性である。1つ以上の反応性コーティング成分が適用された後、本方法は、粒子が移動を続けている間、例えば10~120秒など、10~300秒間、コーティング成分を互いに反応させることを伴い得る。本発明の利点は、コーティングユニット内で実行されるこの反応が、コーティングされた粒子の凝集を伴わずに粒子の硬化又は硬質化を提供し得ることである。
【0065】
コーティングユニット内、好ましくはローターを備えた回転容器内で反応を実行することにより、コーティング成分の迅速かつ完全な分布が提供されることが見出された。分布はまた、コーティング層を用いた肥料粒子の完全なカプセル化も提供する。迅速な分布により、より速い反応速度でコーティング成分を使用することもできる。同時に、このようなコーティングユニットにおけるコーティングの高品質化を達成するためには、より速い反応速度が重要である。特に、反応速度が速すぎること、及び反応速度が遅すぎることの双方により、コーティングされた肥料粒子からの栄養素の放出速度が速くなりすぎる可能性がある。更に、コーティングユニットにおける塊の形成は、可動要素(例えば、容器及びローター)の運動によって回避されることが見出された。
【0066】
このような反応時間の後、ワックス、好ましくは肥料床に注入される液体ワックスなどの1つ以上の更なるコーティング成分を添加することができる。好ましくは、ワックスはコーティング層の間に適用される。これらの工程は、複数のコーティング層を得るために、同じ容器内又は直列の更なる容器内において任意選択で1回以上繰り返され、任意選択で最終硬化段階が続く。最終硬化段階は、例えば、60秒~15分、例えば2~10分間、好ましくは2~5分間で実行(及び完了)され、コーティング層の完全な硬質化又は硬化を確実にする。任意選択で、ワックス層などの最終追加のコーティング層が適用される。最終硬化は、同じ回転容器内で、又はコーティングユニットの異なる部分内で実行することができる。最終硬化は、典型的には、コーティングされた肥料粒子の排出によって停止される。
【0067】
好ましくは、工程a)及び工程b)は、少なくとも10℃、30℃、少なくとも40℃、少なくとも50℃、少なくとも55℃、又は少なくとも60℃、典型的には120℃未満、又は80℃未満、例えば40~120℃又は50~100℃、より好ましくは55~80℃の温度で実行される。好ましくは、肥料粒子は、コーティングユニット内の滞留時間全体の間、そのような温度に維持される。好ましくは、粒子は、コーティングユニットから排出されるとき、少なくとも50℃又は少なくとも60℃である。本方法は、排出された粒子を、少なくとも50℃、又は少なくとも60℃の温度から、例えば30℃未満のより低い温度まで冷却することを伴い得る。いくつかの実施形態では、本方法は、固体肥料粒子の予備加熱工程を含む。いくつかの他の実施形態では、本方法は、このような温度で固化することによって形成される肥料粒子(例えば、造粒又はプリル中に形成されたもの)を得ることと、そのような温度(例えば、50℃超)で尿素粒子を、固化ユニットからコーティングユニットまで輸送することとを伴う。コーティングユニット内の粒子を50℃超又は60℃超に、特に滞留時間全体にわたって維持することは、例えば、ポリウレタンコーティングが使用される場合に、コーティング成分の反応性硬化又は反応性硬質化の高速化に寄与し得る。他のコーティング成分は、10~50℃などのより低い温度で、既に十分に速く反応し得る。更に、粒子を80℃未満、又は更には60℃未満、又は50℃未満に維持することは、コーティングが高温で分解又は望ましくない副反応を起こしやすい追加の成分を含む場合に、有益であり得る。コーティングユニットは、好ましくは、0.010~10バールの絶対圧、例えば、0.5~2.0又は0.5~1.0バール未満の絶対圧(わずかな真空)で動作する。
【0068】
好ましい実施形態では、コーティングはポリウレタンコーティングである。好ましくは、コーティングの成分は、ポリイソシアネート及びポリオールを含む。好ましくは、ポリイソシアネートは、1分子当たり2つ以上のイソシアネート基を有する。ポリイソシアネートは、例えば、脂肪族又は芳香族、好ましくは芳香族である。ポリイソシアネートは、例えば、厳密に2つのイソシアネート基を有するジイソシアネートである。特に有用なポリイソシアネートは、4,4’MDIなどのメチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)であり、別の例はトルエンジイソシアネート(TDI)である。芳香族ポリイソシアネートは、例えば、イソシアネートのポリマー異性体とジ異性体とのブレンドとして使用される。
【0069】
ポリオールは、1分子当たり少なくとも2つのヒドロキシル基、好ましくは2~5つのヒドロキシル基、更により好ましくは3つ又は4つのヒドロキシル基を有する。ポリオールは、例えば、ポリエーテル、ポリエステル、又は天然油に基づいており、好ましくはポリエーテルに基づく。ポリオールは、例えば、150~700のヒドロキシル価を有し、例えば、3の平均官能価(1分子当たりのイソシアネート反応性部位の数)を有する。
【0070】
例えば、ヒドロキシル価150~700及び官能価3又は4を有するポリプロピレンポリオール又はポリエチレンポリオールは、比較的短い鎖長(例えば、分子量300~700Da)を提供することから、使用される。鎖長が短いと、ポリオールの粘度が低くなる一因となる可能性がある。
【0071】
好ましい実施形態では、ポリオールは、25℃で2000mPa・s未満又は1000mPa・s未満、及び典型的には25℃で100mPa・sを超える粘度を有する。ヒドロキシル基価は、例えば、ASTM D4274-99又はISO 14900:2017に従って測定される。粘度は、例えば、ASTM D4878-15(好ましくは方法A)又はISO 3219:1993に従って測定される。
【0072】
ポリオールは、例えば、開始剤及び複数のアルキレンオキシド単位から形成されるものなどの脂肪族ポリエーテルポリオールである。ポリオールは、例えば、グリセロールなどの3つのヒドロキシル基を有する化合物から開始されるか、又は例えばアミンで開始されるか、又はこれらの組み合わせである。ポリオールは、例えば、ポリエチレンオキシド又はポリプロピレンオキシドポリオール、又は他のポリエーテルポリオールである。ポリエステルポリオールも使用することができる。NCO対OH基の数比は、例えば、0.8:10~1.2:10の範囲である。しかしながら、多くのポリウレタンコーティングを使用することができる。
【0073】
コーティング成分は、重合触媒、例えば、有機金属触媒、三級アミン、有機又は無機塩基を含む。
【0074】
好ましくは、ポリオール及びポリイソシアネートは、25℃、70℃、及び/又はコーティングが適用される温度で、2分未満で硬化させることにより、2分未満の間隔で後続の適用を可能にする。触媒の量及び種類は、そのような硬化時間に応じて調整することができる。
【0075】
コーティング成分は、好ましくは、室温で25~125秒(少なくとも50%の硬化に必要な時間)の、好ましくは、コーティングユニットの動作温度及び/又は55℃で10~45秒で、反応性を有する。好ましくは、室温での反応性は、以下の手順A(「反応性パラメータを求めるための手順(25℃で)-カップ反応性」)に記載されるように測定される。好ましくは、動作温度での反応性は、以下の手順B(「所望の硬化温度での反応性パラメータを求めるための手順-ホットプレート反応性」)に記載されるように測定される。
【0076】
いくつかの実施形態では、コーティングはポリエステルコーティングであり、より好ましくは熱硬化性ポリエステルコーティングである。コーティング成分は、不飽和ポリエステル(炭素-炭素二重結合を含む)及びビニルモノマーを含み得る。工程b)の硬化の反応は、ビニルモノマーと不飽和ポリエステルとの共重合を伴い得る。不飽和ポリマーは、例えば、飽和ジカルボン酸(又は無水物)と、不飽和ジカルボン酸(又は無水物)と、ジオール(グリコール)などのポリオールとの反応生成物である。グリコールは、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、又は例えば、水素添加ビスフェノールAである。グリコールは、例えば環状又は非環状であり、例えば脂肪族又は芳香族である。グリコールは、例えば、2~30個のC原子を有する。ビニルモノマーは、例えばスチレンである。工程b)中の反応は、例えばフリーラジカル開始剤及び触媒の存在下での、不飽和ポリエステル及びビニルモノマーの共重合を伴い得る。不飽和ポリエステルは、例えば、ビニルモノマーとの液体混合物として注入され、ビニルモノマーはまた、ポリエステルの溶媒としても作用する。
【0077】
更なる実施形態では、コーティングはポリ尿素コーティングであり、コーティング成分は、1分子当たり2つ以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート、及び1分子当たり2つ以上のアミン基、好ましくは2~5つのアミン基、より好ましくは3又は4つのアミン基を有するポリアミンを含む。
【0078】
更なる実施形態では、コーティング組成物はフェノール樹脂コーティングであり、コーティング成分はフェノール及びホルムアルデヒドを含む。フェノール成分及びホルムアルデヒド成分は、コーティングユニット内で反応して、熱硬化性ポリマーを形成することができる。
【0079】
更なる実施形態では、コーティング組成物はエポキシコーティングであり、コーティング成分は、エポキシ成分(エポキシド基を有する)、並びに任意選択で、アミン、酸及び酸無水物、フェノール、アルコール及びチオールなどの反応性基を有する共反応物を含む。共反応物は、典型的には、熱硬化性ポリマーの形成を提供するために、1分子当たり2つ以上の当該反応性基を有する。エポキシ成分は、工程b)での単独重合によって、又は任意選択の共反応物質との反応によって架橋することができる。
【0080】
記載されるコーティングユニットの操作は、コーティング中に粒子が破砕されることを有利に回避し、同時に、回転ドラム式コーターなどと比較して、混合の程度を大幅に向上させる。コーティングユニットにより、より速い反応時間(ポリオールとポリイソシアネートとの間など)を可能にし、従来技術よりも実質的に少ないバッチサイクル時間を実現する。例えば、3層プロセスのバッチ時間全体は5~6分であってもよく、一方、回転ドラムでは1層当たり6~8分が必要になる場合がある。本発明の方法における高強度の混合及びより速い反応時間は、粒子の凝集を伴わずにコーティングされた肥料粒子を製造することを可能にする。更に、反応速度を用いて、使用される触媒の種類及び量を調節することにより、肥料の放出速度を最適化することができる。コーティング方法は、トウモロコシ(メイズ)などの大規模な作物のためのコーティングされた肥料を製造するのに特に好適である。
【0081】
1つ以上のコーティング成分は、好ましくは、25℃で、好ましくは30~250秒の反応時間を有し、反応時間は、硬質化に必要な時間である(本明細書に記載の手順A-「カップ反応性」として任意選択で測定される)。
【0082】
1つ以上のコーティング成分は、好ましくは、好ましくは10~120秒、より好ましくは10~60秒のコーティング温度(70℃など)での反応時間を有し、反応時間は、硬質化に必要な時間である(本明細書に記載の「ホットプレート反応性」として任意選択で測定される)。
【0083】
反応時間は、硬化又は硬質化に使用される触媒の量及び種類を変えることによって達成又は調整することができる。
【0084】
本発明を限定するものではない好ましい実施形態では、コーティングユニットは容器及びローターを含み、コーティングはポリウレタンコーティングであり、工程b)は、続いて(互いの後に、ただし任意選択で、更なる工程の前、間、及び/又は後):
B1)ポリオールを当該容器内の当該肥料粒子の床に注入する工程であって、好ましくは、当該床内の粒子が、容器及びローターの運動によって浮遊し、好ましくは、注入は、開放パイプ又はスプレーノズルを用いて行われる、工程と、
B2)当該ポリオールを当該肥料粒子と5~120秒間、好ましくは10~60秒間混合する工程と、
B3)ポリイソシアネート成分を当該容器内の当該肥料粒子の床に注入する工程であって、好ましくは、注入は、開放パイプ又はスプレーノズルを用いて行われる、工程と、
B4)肥料粒子を当該容器内で少なくとも10~300秒間、好ましくは20~180秒間転動させることにより、ポリオール及びポリイソシアネート成分を互いに反応させ、コーティング層を少なくとも部分的に硬化させると同時に、ローターも回転させる、工程と、
B5)任意選択で、液体ワックスを肥料床に注入する工程、
及び任意選択で、当該工程B1~B5を繰り返す工程と、
B6)任意選択で、肥料を容器内で少なくとも10秒間転動させることにより、コーティングを更に硬化させる工程と、を含む。
【0085】
変形例において、工程B3は、ポリイソシアネートが最初に注入されるように、工程B1及びB2の前に実行される。しかしながら、ポリオールは、特にポリオールがポリマー化合物である場合、最初に注入されることが好ましい。いくつかの実施形態では、ワックスを注入する工程B5は、例えば、工程B1~B5の任意選択の繰り返しの少なくとも一部において省略される。いくつかの実施形態では、工程B1~B6は、異なる種類のコーティング層を得るために、ポリイソシアネート及びポリオール以外の他のコーティング成分を用いて実行される。工程B1~B6では、容器及びローターを回転させることによって、肥料を転動させることができる。この好ましい実施形態は、水に浸漬したときの肥料の望ましい放出速度で、特に良好なコーティング結果を得ることが見出された。
【0086】
本発明はまた、尿素溶融物のための入口及び温尿素粒子のための出口を有する、造粒ユニット又はプリル塔などの尿素仕上げユニットと、尿素粒子のための、好ましくは温尿素粒子のための当該出口に接続された入口を有するコーティングユニットであって、コーティングユニットは記載されたとおりであり、フレーム及び少なくとも2つの可動要素を含み、当該可動要素がフレームに対して独立して動作可能である、コーティングユニットと、を備える、尿素仕上げプラントに関する。本明細書において、「温尿素粒子(warm urea particle)」は、コーティングユニットの入口において周囲温度を超える温度、例えば30~95℃、好ましくは50~85℃、より好ましくは55~75℃の温度を有する粒子を指す。コーティングユニットの入口と仕上げユニットの出口との間の接続部は、好ましくは、尿素仕上げユニットとコーティングユニットの入口との間に冷却ユニットを含まず、特に、冷却空気を使用する冷却ユニット、例えば、冷却空気のためのブロワー又はファンを含む冷却ユニットを含まない。
【0087】
可動要素は、好ましくは、記載される容器及び撹拌部材、より好ましくは、コーティング前の肥料粒子を収容するための壁及び内部空間を有する容器、及び好ましくは、容器の内部空間に配置された撹拌部材である。撹拌部材は、記載されるようなローターであることが好ましい。コーティングユニットは、コーティングされた尿素粒子のための出口を更に含む。プラントはまた、冷却ユニットも備える。冷却ユニットは、コーティングされた尿素粒子のための当該出口に接続された入口、及び冷却されコーティングされた尿素粒子のための出口を有し、好ましくは、冷却空気のための入口及び排空気のための出口を更に有する。本発明の方法を実行するために、プラントを使用することができる。本発明の方法はまた、貯蔵部から肥料粒子を得ること、及び例えば、必要に応じて予熱することによって実行することもできる。
【0088】
本発明はまた、本発明の方法によって得ることができる肥料粒子にも関する。これらの肥料粒子は、有利な放出速度を示す。有利な放出速度の例を実施例3に示す。記載された方法で得ることができる肥料粒子は、例えば、コーティングされた肥料粒子の総重量に基づいて、少なくとも50重量%の尿素などの尿素を含む。粒子のコーティングは、例えば、ポリウレタンコーティングである。好ましくは、記載された方法で得ることができる肥料粒子は、本明細書に記載される手順Cに従って測定されるものなど、水に20日間浸漬した後、40%未満の放出速度を有する。好ましくは、放出速度は更に、7日の浸漬で20重量%未満である。非水溶性ポリマーの好ましい使用は、このような放出速度の達成に有利に寄与し得る。総コーティング量は、例えば、全くコーティングされていないコーティング前の肥料粒子の重量に基づいて、例えば5~25重量%又は10~20重量%である。コーティング層の数は、例えば、4~8層などの1~12層であり、ワックス層は別個の層として数えられる。粒子は、例えば、3つのポリウレタン層及び3つのワックス層(合計6層)を含む。例えば、コーティングは、2~6つのポリウレタン層を含み、これらは、例えば、ワックス層によって互いに分離されている。
【0089】
本発明はまた、好ましくは尿素を含み、より好ましくは、コーティングされた肥料粒子の重量に基づいて、少なくとも50重量%の尿素を含み、本明細書に記載されている手順C(「制御放出肥料からの栄養素放出速度を求めるための手順」)に従って測定されるような放出速度が、水に20日間浸漬した後40%未満であるコーティングされた肥料粒子に関する。好ましくは、放出速度は更に、7日の浸漬で20重量%未満である。コーティングされた肥料粒子のコーティングは、例えば、ポリウレタンコーティングである。粒子は、例えば、上記のような量及び数の層のコーティングを有する。
【0090】
理論に束縛されるものではないが、本発明のコーティング方法により、肥料粒子の高い又は完全な被覆を有する均質なコーティング層を提供することができる。
【0091】
図1は、本発明の方法で使用することができる例示的なコーティングユニットを概略的に示す。コーティングユニット1は、ケーシングであるフレーム2と、容器3と、ローター4とを含む。ローター4は、ローター4を駆動するためのモーター5に接続されている。ローター4は、ブレード7を備えたシャフト6を備える。容器3は、更なるモーター8を備え、回転軸9を有する。回転軸9は、シャフト6と平行であり、シャフト6(の中線)から間隔を置いて配置されている。容器3はまた、容器の壁の近傍にスクレーパ10を有しているが、容器3が軸9の周りをスピンしている間、静止したままであり得る。容器3はカバープレート14を含み、シャフト6はカバープレートを通って延びている。容器はまた、肥料粒子のための入口11と、コーティング成分のための1つ以上の入口12とを有する。入口12は、例えば、開放パイプとして、又は1つ以上のスプレーノズルとして実装され、各スプレーノズルは、例えば、1つの特定のコーティング成分のための供給ラインへの1つの接続部を有する。容器3はまた、例えば容器の底部の閉鎖可能な開口13として実装される、コーティングされた肥料粒子のための出口13を有する。
【0092】
ここで、本発明は、本発明又は特許請求される主題を限定するものではない以下の実施例によって更に例示される。
【実施例0093】
実施例1
記載したミキサ(回転容器及び回転ローターを用いて)を約75℃に予熱し、4.08kgの尿素肥料粒子を添加し、撹拌を開始した。尿素が約75℃であることが確認された後、14.0gの3回分のポリオール投入量の最初の投入量を添加し30秒間混合してから、21.3gの3回分のイソシアネート投入量の最初の投入量を添加した。60秒間混合した後、10.2gの2回分のワックス投入量の最初の投入量を添加した。材料を更に30秒間混合した。ポリオール、イソシアネート、及びワックス添加工程及び混合時間を繰り返した。最後に、ポリオール及びイソシアネートの3回目の投入量を適切な混合時間で添加した。
【0094】
前述の2つのコーティング層とは異なり、ウレタン成分の3回目の投入量(ポリオール投入量及びイソシアネート投入量)の後、ワックス層の添加を省いた。任意選択で、ワックスの層を第3のポリウレタンコーティング層上に適用することができた。自由流動性であり、塊又は凝集を含まない尿素をミキサから分配して冷却した。この3層プロセスの総バッチ時間は、5.5分(概ね層ごとに6~8分を必要とする最新の報告されたバッチ時間からの大幅な短縮)であった。コーティングは3重量%であり、最終重量は4.21kgであり、そのうち126gのコーティングであった。ワックスを2層のみで0.5%で適用し、3回のコーティング工程を使用した。肥料粒子は、目視検査に基づいて、コーティングで完全に被覆されていた。
【0095】
実施例2
表1に示すように、有機金属触媒又は第三級アミン触媒をポリエーテルポリオールに、触媒量を増やしながら添加することによって、ポリオール配合物A~Gを調製した。
【0096】
表1は、MDIに基づく多官能性芳香族イソシアネートと配合したときのポリオールブレンドのそれぞれの室温及び高温反応性を示す。これらの試料を、8秒の速い反応性時間から5分より長い非常に遅い反応時間までの範囲の反応性を有するように配合した。約75℃の処理温度では、反応時間は大幅に速くなった。N/Aの記入が記録されている場合、それは試料が20秒間の混合時間中、又は本質的にホットプレートに添加された直後に反応したことを意味する。
【0097】
ポリオールを、実施例1に従って、記載されるようにミキサ内で撹拌される予熱した尿素粒子に添加した。反応パラメータは、71℃(160F)のプロセス温度、3%の総ウレタンコーティング重量(最初にポリオールを添加し、次にイソシアネートを添加した、各々1%の3つの別個の層を介して添加)、並びに第1及び第2のウレタンコーティング層の後に2つの別個の層を介して添加された0.5%の総ワックスであった。
【表1】
【0098】
図2は、表1の異なるポリオールブレンド(室温での反応性時間(秒)に応じたX軸上のポリオールブレンド)について、2時間、1、3及び7日浸漬での、尿素の放出%(0~100%、Y軸;手順Cに従って測定)を示す。望ましい、より遅い放出は、ポリオールブレンドD、C及びBで達成され、ブレンドC及びDで最もよく達成されている。放出速度は、異なる量及び種類の触媒を使用することによって改質されたポリオールブレンドの反応性に依存する。
【0099】
実施例3
加えて、ポリオールブレンドC及びDも、同じ添加順序及び混合時間に従って、比較回転ドラムミキサを使用して肥料粒子に適用したが、材料の投入量は減少し、肥料粒子の投入量の低下を反映した。手順Cに従い、放出速度を求めた。
【0100】
図3は、前述のコーティングユニット(C1、D1)及び比較回転ドラム(C2、D2)を用いて適用されたブレンドC及びDについての、2時間、並びに1、3、7、14及び21日(x軸、日数)浸漬での尿素放出%(y軸)を示す。本発明のミキサからの放出速度は、回転ドラムミキサよりも実質的に良好(より遅い)である。C2及びD2の場合、60%超の尿素が3日未満の浸漬で放出された。C1及びD1の場合、40%未満の尿素が、21日間の浸漬で放出された。これは、より速い反応性が、比較回転ドラムミキサ法で生成された比較コーティング肥料にとって有益ではないが、本発明の方法及び本発明の尿素粒子にとって非常に有利であることを示す。
【0101】
実験手順
実施例2では、以下の手順を使用した。
【0102】
手順A:反応性パラメータを求めるための手順(25℃で)-カップ反応性
完全に配合された成分の必要な重量を添加して、小さなカップ内で150を達成する。直ちに及び同時にタイマーを開始し、化合物の混合を開始する。20秒間、又は20秒未満の場合は材料が固化するまで、混合を継続する。
【0103】
反応時間を確認するために、定期的にステンレス鋼スパチュラ(又は代替的に木製の舌圧器)で材料の表面に軽く触れる。スパチュラが、材料の表面の硬質スポット、又は硬化したスポットに当たった時が、反応時間と見なされる。実施例2では、150gを達成するのに必要な、任意選択の添加剤のいずれかを含む、完全に配合されたイソシアネート成分(A成分)及び完全に配合されたポリオール成分(B成分)を小さなカップに添加した。化学成分及び装置は、最初は全て25℃である。B成分を最初に混合容器に計量し、続いてA成分を、成分の適切な重量比で計量する。
【0104】
手順B:所望の硬化温度での反応性パラメータを求めるための手順-ホットプレート反応性
ホットプレート上の深さ1/8のキャビティ内に2mLの混合材料を保持できる小さな型を置き、型を所望の温度まで予熱する。所望の温度が確認されると、「手順A-カップ反応性」として説明されている混合手順に従うが、試料が完全に混合された時点ですぐに、2mLの反応混合物を予熱した型のキャビティに注ぐ。樹脂を型に添加した直後にタイマーを開始する。スパチュラを使用して、定期的に材料の表面に触れる。反応時間は、この表面の樹脂が硬質材料に固化する時間である。
【0105】
手順C:制御放出肥料からの栄養素放出速度を求めるための手順
様々な既知の濃度の栄養素を蒸留水に溶解させることによって調製された栄養素溶液を調製する。屈折率対濃度の較正曲線を構築することができるように、既知の濃度の屈折率を屈折計で測定する。次いで、10gのコーティングされた肥料粒子を小型の広口瓶に正確に秤量し、90gの水を添加する。試料を穏やかにかき混ぜ、必要とされる測定時間まで静置する。それぞれの新たな測定の前に、試料を穏やかにかき混ぜて均一性を確保する。溶液の小さな試料を屈折計に配置し、測定値を記録する。較正曲線との比較により、溶液中の栄養素濃度が得られる。コーティングされた肥料粒子から放出される栄養素の百分率を計算する。実験は、周囲温度、例えば、20℃で実行した。