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特開2023-168448レノックス・ガストー症候群に関連した発作の治療におけるカンナビノイドの使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023168448
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】レノックス・ガストー症候群に関連した発作の治療におけるカンナビノイドの使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/05 20060101AFI20231116BHJP
   A61P 25/08 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
A61K31/05
A61P25/08
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023170155
(22)【出願日】2023-09-29
(62)【分割の表示】P 2020526576の分割
【原出願日】2018-11-15
(31)【優先権主張番号】1718862.4
(32)【優先日】2017-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】319016758
【氏名又は名称】ジーダブリュー・リサーチ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー・ガイ
(72)【発明者】
【氏名】フォルカー・ナッパーツ
(57)【要約】
【課題】既存の薬品では治療が失敗したと思われているレノックス・ガストー症候群(LGS)の患者の治療のための医薬を提供する。
【解決手段】本発明は、既存の薬品では治療が失敗したと思われているレノックス・ガストー症候群(LGS)の患者の治療におけるカンナビジオール(CBD)の使用に関する。特に、CBDの使用により、抗てんかん薬(AED)を試したが失敗した患者又は現在AEDを服用しているが発作を制御できない患者における、失立発作及び総発作の頻度の両方の統計学的に有意な減少を提供することが見出された。好ましくは、治療が失敗したことが示されたAEDは、ルフィナミド、ラモトリギン、トピラマート、及び/又はフェルバメートの1つ又は複数である。好ましくは、使用されるCBDは、CBDが総抽出物(w/w)の98%より多く存在し、抽出物のその他の成分が特徴づけられるような、高度に精製されたカンナビスの抽出物の形態である。特に、カンナビノイドのテトラヒドロカンナビノール(THC)は、0.15%(w/w)以下のレベルまで実質的に除去され、CBDのプロピル類似体であるカンナビジバリン(CBDV)は1%までの量で存在している。代替手段として、CBDは合成的に産生されたCBDであってもよい。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レノックス・ガストー症候群(LGS)と関連した発作の治療における使用のためのカンナビジオール(CBD)であって、LGS患者は1つ又は複数の抗てんかん薬(AED)では治療が失敗したと思われていることを特徴とする、カンナビジオール(CBD)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既存の薬品では治療が失敗したと思われているレノックス・ガストー症候群(LGS)の患者の治療におけるカンナビジオール(CBD)の使用に関する。特に、CBDの使用により、抗てんかん薬(AED)を試したが失敗した患者又は現在AEDを服用しているが発作を制御できない患者における、失立発作(drop seizure)及び総発作(total seizure)の頻度の両方の統計学的に有意な減少を提供することが見出された。
【0002】
好ましくは、治療の失敗が示されたAEDは、ルフィナミド、ラモトリギン、トピラマート、及び/又はフェルバメートの1つ又は複数である。
【0003】
好ましくは、使用されるCBDは、CBDが総抽出物(w/w)の98%より多く存在し、抽出物のその他の成分が特徴づけられるような、高度に精製されたカンナビスの抽出物の形態である。特に、カンナビノイドのテトラヒドロカンナビノール(THC)は、0.15%(w/w)以下のレベルまで実質的に除去され、CBDのプロピル類似体であるカンナビジバリン(CBDV)は1%までの量で存在している。代替手段として、CBDは合成的に産生されたCBDであってもよい。
【背景技術】
【0004】
てんかんは、世界中の人口のおよそ1%で発生し(Thurman et al., 2011)、そのうちの70%は入手可能な既存の抗てんかん薬(AED)で症状を十分に制御することができる。しかしながら、この患者群の30%は(Eadie et al., 2012)、入手可能なAEDでは発作の消失を得ることができず、そのため、難治性てんかん又は「治療抵抗性てんかん(TRE)」に患っていると呼ばれている。
【0005】
難治性又は治療抵抗性てんかんは2009年に国際抗てんかん連盟(ILAE)によって、「持続的な発作の消失を達成するための、二つの、耐容され、適切に選択され、使用されたAED治療計画(単独療法又は併用のいずれとしても)の適切な試みの失敗」と定義された(Kwan et al., 2009)。
【0006】
誕生して数年の間にてんかんを発症した個人は、しばしば治療が困難であり、そのため、しばしば治療抵抗性と呼ばれる。小児期に頻繁な発作を起こした子供は、認知、行動、及び運動遅延を起こし得る神経損傷がしばしば残る。
【0007】
小児てんかんは、100,000人あたり約700人の有病率である、子供及び若年成人において、比較的一般的な神経疾患である。これは、人口あたりのてんかん患者の成人の数の2倍である。
【0008】
小児又は若年成人が発作を呈した場合、通常、原因を調べるために調査が行われる。小児てんかんは、多くの異なった症候群及び遺伝子変異によって引き起こされ得り、そのためこれらの子供の診断にある程度の時間がかかることがある。
【0009】
てんかんの主な症状は、繰り返される発作である。患者が患っているてんかんの種類又はてんかん症候群を確定するために、患者が経験している発作の種類の調査が行われる。臨床的観察及び脳波検査(EEG)テストが行われ、発作の種類が、下記に記載のILAE分類に従って、分類される。
【0010】
ILAEによって提案された発作の種類の国際分類は1981年に採用され、修正された提案は2010年にILAEによって発表されたが、1981年の分類とまだ取り代えられてない。修正された専門用語に関する2010年の提案は、部分性の専門用語を焦点性に置き換えるための提案された変更を含む。加えて、用語「単純部分発作」は用語「意識/反応性が減損していない焦点発作」に置き換えられ、用語「複雑部分発作」は用語「意識/反応性が減損した焦点発作」に置き換えられた。
【0011】
発作が両側性に分散されたネットワーク内で生じ、急速に当該ネットワークを巻き込む、全般発作は、強直間代(大発作)発作、欠神(小発作)発作、間代発作、強直発作、脱力発作、及びミオクロニー発作の六つのサブタイプに分けられる。
【0012】
発作が片脳半球だけに限定されたネットワーク内で生じる、焦点(部分)発作も、サブカテゴリーに分けられる。ここでは、発作は、前兆、運動、自律神経、及び意識/反応性を含む、発作の1つ又は複数の特徴に従って特徴付けられる。発作が局所的な発作として始まり、急速に進展して両側のネットワーク内に分散した場合、この発作は両側痙攣発作として知られるものであり、当該用語は二次性全般発作(焦点発作から進展した全般発作であり、もはや局所性を残していない全般発作)を置き換えるために提案された用語である。
【0013】
てんかん症候群は、しばしば多くの異なった発作の種類を呈し、患者が患っている発作の種類を同定することは、重要である。なぜならば、標準のAEDの多くが、ある特定の発作の種類/サブタイプを治療することを目的とされており、又はある特定の発作の種類/サブタイプに対してしか効果的でないからである。
【0014】
そのような小児てんかん症候群の一つが、レノックス・ガストー症候群(LGS)である。LGSはてんかんの深刻な形態であり、発作は通常4歳前に始まる。発作の種類は、患者の間で多様であるが、強直発作(身体の硬直、眼の上向き偏位、瞳孔の散大、及び異常な呼吸パターン)、脱力発作(突然の転倒を引きおこす、筋緊張及び意識の短時間の消失)、非定型欠神発作(凝視発作(staring spells))、並びにミオクロニー発作(突然の筋肉の痙攣)を含む。頻繁な発作の期間に、短く、比較的発作のない期間が混ざっていてもよい。
【0015】
LGSにおける発作は、しばしば「失立発作」と言われる。そのような失立発作は、転倒、怪我、椅子にぐったりと崩れ落ちる、又は自身の頭を地面に打つことをもたらす又はもたらしたかもしれない、身体全体、胴体、又は頭を巻き込んだ発作(attack)又は発作(spell)(脱力発作、強直発作、若しくは強直間代発作)と定義される。
【0016】
LGSの患者のほとんどが、発育遅延及び行動障害を伴う、ある程度の知的機能障害又は情報処理障害を経験している。
【0017】
LGSは、脳形成異常、周産期仮死、重度の頭部損傷、中枢神経系感染症、及び遺伝性変性又は代謝疾患によって引き起こされ得る。30-35%の場合において、原因が見出すことができない。
【0018】
LGSの患者における失立発作の治療を含む、失立発作に対する第一選択治療は、通常、多くの場合ルフィナミド又はラモトリギンと組合せたバルプロ酸ナトリウムのような広域AEDを含む。その他の考えられるAEDは、フェルバメート、クロバザム及びトピラマートを含む。
【0019】
カルバメザピン(carbamezapine)、ガバペンチン、オクスカルバゼピン、プレガバリン、チアガビン、又は/及びビガバトリンのようなAEDは、失立発作において禁忌である。
【0020】
作用のメカニズムによって定義される一般的なAEDを以下の表に記載した。
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】
【表3】
【0024】
本発明は、LGSに関連した発作に対する治療としてのCBDの2つのプラセボ対照試験からの驚くべきデータを記述する。CBDは、治療抵抗性と定義された患者における追加治療として使用された。患者は中央値で6つのAEDをそれまでに試し、それらの使用を止め(失敗した)、中央値で3つのAEDに支えられていた。
【0025】
この集中治療療法にもかかわらず、ベースラインでの失立発作の回数の中央値は、両方の研究において、1ヶ月に75回を超えていた。これらは、既に多数のAEDを試し、失敗した、高度に満たされていない医療ニーズを有する患者集団であった。多くの場合において、彼らを支えているAEDは、LGSの治療に対して認可された、ルフィナミド、ラモトリギン、又はトピラマートを含んでいた。
【0026】
LGSに対する1つ又は複数の既存の認可された薬では治療が失敗したと思われた患者について集められたデータは、これらの医薬品と組合せたCBDの使用が失立発作及び総発作の両方の頻度の統計学的に有意な減少という結果をもたらしたことを示した。
【0027】
2017年の8月に、Gastonらは、非盲検研究において、CBDをてんかんの患者に投与した場合、いくつかのAEDの血清レベルがCBDの存在下で上昇したことが見出されたと述べた。当該研究では、そのような上昇は、治療が失敗したと思われていた患者における発作の減少という結果をもたらすということは見出されなかった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0028】
【非特許文献1】Thurman et al., 2011
【非特許文献2】Eadie et al., 2012
【非特許文献3】Kwan et al., 2009
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0029】
本発明の第一の態様に従って、レノックス・ガストー症候群(LGS)と関連した発作の治療における使用のためのカンナビジオール(CBD)であって、LGS患者は1つ又は複数の抗てんかん薬(AED)では治療が失敗したと思われていることを特徴とする、カンナビジオール(CBD)が提供される。
【0030】
好ましくは、1つ又は複数のAEDは、ルフィナミド、ラモトリギン、トピラマート、及び/又はフェルバメートから選ばれる。
【0031】
好ましくは、CBDは、少なくとも98%(w/w)のCBDを含む、高度に精製されたカンナビスの抽出物の形態である。代替物としては、CBDは合成化合物として存在する。
【0032】
好ましくは、抽出物は0.15%未満のTHCを含む。より好ましくは、抽出物はさらに最大1%のCBDVを含む。
【0033】
好ましくは、CBDの用量は50 mg/kg/day未満であり、より好ましくは30 mg/kg/day未満であり、さらにより好ましくはCBDの用量は20 mg/kg/dayであり、又はこの値より多く、さらにより好ましくはCBDの用量は10 mg/kg/dayであり、又はこの値より多い。
【0034】
本発明の第二の態様に従って、レノックス・ガストー症候群(LGS)と関連した発作を治療する方法であって、治療が失敗したと思われている、LGSと診断された患者(subject)にカンナビジオール(CBD)を投与することを含む方法を提供する。
【0035】
好ましくは、患者はヒトである。
【0036】
[定義]
本発明を説明するために使用された、いくつかの用語の定義を以下に列挙する。
【0037】
本願で述べられたカンナビノイドを、それらの標準的な略語と共に以下に一覧にした。
【0038】
【表4】
【0039】
上記の表は網羅されてはなく、単に、参考までに本願で確認されるカンナビノイドを詳しく列挙したに過ぎない。これまでに60を超える異なるカンナビノイドが確認されており、これらのカンナビノイドは以下のように異なるグループに分けることができる:ファイトカンナビノイド、エンドカンナビノイド、及び(新しいカンナビノイド、又は合成されたファイトカンナビノイド若しくはエンドカンナビノイドであってもよい)合成カンナビノイド。
【0040】
「ファイトカンナビノイド」は、天然に由来し、カンナビス植物において見出される、カンナビノイドである。ファイトカンナビノイドは、植物から単離して、高度に精製された抽出物を生産することができ、又は合成的に再生産することができる。
【0041】
「高度に精製されたカンナビノイド抽出物」は、カンナビス植物から抽出され、高度に精製されたカンナビノイドが純度98%(w/w)以上となるように、カンナビノイドと共に抽出された非カンナビノイド成分及びその他のカンナビノイド成分が実質的に除かれた程度にまで、精製された、カンナビノイドと定義される。
【0042】
「合成カンナビノイド」は、カンナビノイド又はカンナビノイド様の構造を有する化合物であり、植物からよりもむしろ、化学的な手段を使用して製造される。
【0043】
ファイトカンナビノイドは、カンナビノイドを抽出するために使用された方法によって、中性形態(脱炭酸形態)又はカルボン酸形態のいずれかとして、得ることができる。例えば、上記カルボン酸形態を加熱すると、カルボン酸形態のほとんどを脱炭酸して中性形態になることが知られている。
【0044】
「治療抵抗性てんかん」(TRE)又は「難治性てんかん」は、2009年のILAEガイダンスの通り、一つ又は複数のAEDの試みによって十分に制御されないてんかんと定義される。
【0045】
「小児てんかん」は、小児期にてんかんを起こし得る、多くの異なる症候群、及び遺伝子変異を指す。いくつかのこれらの例は以下の通りである:ドラベ症候群、ミオクロニー欠神てんかん、レノックス・ガストー症候群、原因不明の全般てんかん、CDKL5変異、アイカルディ症候群、結節性硬化症、両側性多少脳回、Dup15q、SNAP25、及び熱性感染症関連てんかん症候群(FIRES)、良性ローランドてんかん、若年ミオクロニーてんかん、点頭てんかん(ウェスト症候群)、及びランドウ・クレフナー症候群。多くの異なる小児てんかんが存在するので、上記の一覧は網羅されてはない。
【0046】
「失立発作」を、転倒、怪我、椅子にぐったりと崩れ落ちる、又は自身の頭を地面に打つことをもたらす又はもたらしたかもしれない、身体全体、胴体、又は頭を巻き込んだ発作と定義する。失立発作の原因として分類される発作の種類は、脱力発作、強直発作、又は強直間代発作である。
【0047】
「治療が失敗(treatment failure)」を、現在AEDを服用していたが制御できない発作が続いた患者、又は以前にAEDを服用したが発作の制御の効率が十分でないためにAEDを用いた治療を止めた患者と定義する。
【発明を実施するための形態】
【0048】
高度に精製されたCBD抽出物の調製
既知で一定の組成を有する高度に精製された(>98% w/w)カンナビジオール抽出物の生産が、以下の実施例に使用されたことを、以下に説明する。
【0049】
まとめると、使用された原薬は、CBDを多量に含むchemotypeであるCannabis sativa Lの液体二酸化炭素抽出物であり、それはCBDを生成するために、溶媒結晶化法によってさらに精製された。結晶化工程は、特にその他のカンナビノイド及び植物成分を除去して、98%より高いCBDを生成する。CBDは高度に精製されるが、合成ではなくカンナビス植物から生産されるので、CBDと共に生産及び抽出されるその他のカンナビノイドが少量存在する。これらのカンナビノイドの詳細、及び薬品中に存在するそれらの分量は、以下の表5に記載の通りである。
【0050】
【表5】
【実施例0051】
実施例1:抗てんかん薬(AED)での治療が失敗したと思われた患者のレノックス・ガストー症候群(LGS)の治療におけるカンナビジオールの有効性
現在、4つの製品しかEUにおいて、LGSの治療に対して認可されていない。これらの薬品は、ルフィナミド、ラモトリギン、トピラマート、及びフェルバメートである。これらの詳細を、以下の表6に記載した。
【0052】
【表6】
【0053】
英国国立臨床研究所(NICE)は、LGSの治療に関する推奨経路を提示してきた(NICE、2016)。NICEは、第一選択治療はバルプロ酸ナトリウムであると提案している。これが効果的でない、又は耐性が認められた場合、次にラモトリギンが補助治療として処方されるべきである。使用されてもよいその他のAEDは、ルフィナミド、トピラマート、及びフェルバメートである。通常、1つより多いAEDの組合せを服用して、任意の発作を制御する。
【0054】
特にLGSの治療に対して、EUにおいて認可された4つの化合物全ては、ナトリウムチャネル遮断を介して作用しているようである(表7を参照)。CBDはこれらの治療に対して異なる作用機序を有するので、処方者及び患者に、悪名高くも従来の抗てんかん治療に反応しないこの疾患の治療に関する実施可能な代替方法を提供する。
【0055】
【表7】
【0056】
LGSと関連した発作に関する治療としてのCBDの2つのプラセボ対照研究において、カンナビジオールは、治療抵抗性と定義された患者における追加治療として使用された。患者は中央値で6つのAEDをそれまでに試し、それらの使用を止め、中央値で3つのAEDに支えられていた。
【0057】
第一の研究は、プラセボに対するカンナビジオール経口液(CBD-OS)の、1:1でランダム化された、二重盲検の、14週間比較であった。治療期間は、2週間の用量設定期間(titration period)とそれに続く12週間の維持期間(maintenance period)から構成された。治療期間の後に、10日の漸減期間(taper period)、及び4週間のフォローアップ期間(follow-up period)が続いた。当該研究は、プラセボと比較した、20 mg/kg/dayのカンナビジオールの有効性、安全性、及び耐容性の決定を目的とした。
【0058】
第二の研究は、プラセボに対する2つの用量レベルのカンナビジオール(10 mg/kg/day及び20 mg/kg/day)の、1:1:1でランダム化された、二重盲検の、14週間比較であった。治療期間は、2週間の用量設定期間とそれに続く12週間の維持期間から構成された。治療期間の後に、10日の漸減期間、及び4週間のフォローアップ期間が続いた。当該研究は、プラセボと比較した、2つの用量レベルのCBD-OSの有効性、安全性、及び耐容性の決定を目的とした。プラセボ群の患者は、半分は10 mg/kg/dayの投与量を受ける群、及び半分は20 mg/kg/dayの投与量を受ける群の、2つの同数の群に分けた。
【0059】
確実に、介護者が正しく発作を解釈できるようにするために、全ての介護者は予習トレーニングを受け、彼らの発作の説明及び分類は、てんかん研究コンソーシアム(the Epilepsy Study Consortium)に任命された委員によって、独立して検証された。
【0060】
患者が既に服用していた薬品の数にも関わらず、ベースラインでの失立発作の回数の中央値は、両方の研究において、1ヶ月に75回を超えていた。これらは、既に多数のAEDを試し、失敗した、高度に満たされていない医療ニーズを有する患者集団であった。多くの場合において、彼らを支えているAEDは、LGSの治療に対して認可された、ルフィナミド、ラモトリギン、又はトピラマートを含んでいた。
【0061】
ルフィナミド、ラモトリギン、若しくはトピラマート、フェルバメートのそれぞれを現在服用していた、又はそれまでに服用していたが止めた患者における、プラセボに対するCBDに関する発作頻度の変化の解析を行った。そのような患者は、AEDでの治療が失敗したと合理的に定義することができる。
【0062】
ルフィナミド
以下の表8から10は、ルフィナミドを試したが失敗した患者、又は現在ルフィナミドを服用しているが発作を制御できない患者における結果を示している。プラセボと比較して20 mg/kg/dayの用量のカンナビジオールでは、失立発作及び総発作の頻度の有意な大きな減少があり、失立発作の頻度が50%以上減少した患者の群が有意に多かった。
【0063】
【表8】
【0064】
【表9】
【0065】
【表10】
【0066】
ラモトリギン
以下の表11から13は、ラモトリギンを試したが失敗した患者、及び現在ラモトリギンを服用しているが発作を制御できない患者における結果を示している。プラセボと比較して両方の用量のカンナビジオールで、失立発作及び総発作の両方の頻度の有意な大きな減少があり、失立発作の頻度が50%以上減少した患者の群が有意に多い。
【0067】
【表11】
【0068】
【表12】
【0069】
【表13】
【0070】
トピラマート
以下の表14から16は、トピラマートを試したが失敗した患者、及び現在トピラマートを服用しているが発作を制御できない患者における結果を示している。プラセボと比較して両方の用量のカンナビジオールで、失立発作及び総発作の両方の頻度の有意な大きな減少があり、プラセボと比較して両方の用量のカンナビジオールで、失立発作の頻度が50%以上減少した患者の群が多い(20 mg/kg/dayの用量に関しては統計学的な有意性を達成するが、10 mg/kg/dayの用量に関してはごく僅かな統計学的な有意性しか達成しない)。
【0071】
【表14】
【0072】
【表15】
【0073】
【表16】
【0074】
フェルバメート
以下の表17から19は、フェルバメートを試したが失敗した患者、及び現在フェルバメートを服用しているが発作を制御できない患者における結果を示している。プラセボと比較して20 mg/kg/dayの用量のカンナビジオールでは、失立発作の頻度のごく僅かな統計学的に有意な大きな減少があり、失立発作の頻度が50%以上減少した患者の群が統計学的に有意に多い。
【0075】
【表17】
【0076】
【表18】
【0077】
【表19】
【0078】
[結論]
適切に管理された、多施設、多国間のランダム化された2つの研究から蓄積されたデータは、EUにおいてLGSでの使用に関して認可されたAEDを服用しているが発作を制御できない患者、又はそれらを以前服用していたがその後止めた患者は、CBDから有意な恩恵を得ることを示している。この効果は、20 mg/kg/dayの1日用量において最も有意である。
【0079】
これらのデータは、CBDを用いた追加治療は、ラモトリギン、ルフィナミド、フェルバメート、及びトピラマートによって得られる利点を超える臨床的に関係した利点を与えることができることを示している。この臨床的に関係した利点は、これらのAEDの作用機序と異なるカンナビジオールの作用機序とつじつまが合う。
【0080】
驚くべきことに、LGSを治療するための認可された上記の薬品、すなわち、ルフィナミド、ラモトリギン、トピラマート、又はフェルバメートの1つ又は複数と組合せたCBDの使用は、既存の薬品では治療が失敗したと思われている患者における失立発作及び総発作の頻度の統計学的に有意な減少を可能にする。
【外国語明細書】